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6.高等学校と大学との連携の取組事例について

東京工業大学における取組の事例 「衛星通信システムによる高大連携プロジェクト」

1.高大連携の概要

  • 事業概要:平成14年度より、教育工学開発センターにおいて運用している衛星通信遠隔教育システム(ANDES)を活用し、全国の高等学校等に大学の授業を配信する高大連携プロジェクトを開始した。授業は通常の学部授業を活用し、公開講座として配信している。平成19年度は「化学第一」「認知科学」「基礎生物学」「情報基礎学」といった基礎科学系科目を開講する。文部科学省の教育情報衛星通信ネットーワーク「エル・ネット」との互換性を確保し、より多くの高校において受信できるようにしたり、受講者には学習成果として公開講座受講証明書を交付するなどの工夫を行っている。
  • 参画状況:受講する高校生の学年は特に制限を設けておらず、高校により異なる。受講高校数は1講座当たり10~15校程度。年間のべ修了者数は60名程度となっている。
  • 高校での活用状況:高校での単位認定・取得、または課外活動として本講座を活用するか否かなどについては各高校の判断に基づき行われている。高校の単位認定に活用される場合、学校外学修として行う場合や総合的な学習の時間の中で本講座の一部を活用するなどの方法がとられている。
    なお、高等専門学校の4、5学年の学生については、科目等履修生として所定の成績をとった場合、大学の単位を認定することができる。

2.高校生のニーズに応じた授業を展開するための工夫

 衛星通信遠隔教育システムによる授業のほか、高校側からの求めに応じ、講師による個別訪問指導、講演等を行っている。
 また、高校側にコーディネータを配置してもらい、運営に当たっての連絡調整、運営の工夫・改善に向けた意見交換、受講者からのニーズの汲み取りなどに努めている。さらに、高校、大学、講師が参画する連携協議会を開催し、授業内容や運営の工夫・改善に向けた意見交換を行っている。

3.今後の課題

  • 事業として定着させるため、大学・高校双方のメリットとなるような事業展開の工夫が必要である。
  • 附属高校との関係や大学としてのメリットを整理し、学内的な理解・支援を得られるよう努める必要がある。
  • 受講生への大学の単位認定の可能性を検討する必要がある。
  • より安価な配信、提供方法を検討する必要がある。

岡山理科大学における取組の事例 「インターネット遠隔授業による高大連携の広域化 -e-Learningによる高大連携の取組-」

1.高大連携の概要

  • 事業概要:平成14年度より、情報科学科の専門基礎科目である「インターネット入門」(前期1単位)と「アルゴリズム入門」(後期1単位)の講義をインターネット遠隔授業(同期双方向と非同期双方向の併用)により参加高校に配信する事業を開始した。所定の成績をとった高校生に本学の単位を認定している。高校の単位認定・取得については各高校が独自に行っている。受講する高校生の学年は特に制限を設けておらず、高校により異なる。
  • 参画状況:本学と連携高校は独自に教育協定を締結しているが、その内容は岡山県教育委員会と県内大学とが締結している包括協定に準拠している。協定高校は平成18年度時点で県内の高校8校(県立5校、私立3校)、県外の高校3校である。
  • 成績評価:講義担当の本学教員が定期試験(ペーパーテスト)と受講状況をもとに大学生と高校生の区別なく成績評価を行っている。定期試験は同期双方向遠隔授業システムを使用して、本学と全高校が同時に実施している。

表1.高校生の年度別受講者数と大学単位認定者数

年度 平成14年
(前)
平成15年
(前)
平成15年
(後)
平成16年
(前)
平成16年
(後)
平成17年
(前)
平成17年
(後)
平成18年
(前)
合計
受講登録者数 16 74 39 59 30 58 58 40 374
単位認定者数 8 30 26 38 20 30 34 20 206
  • 高校における単位認定状況:高校により状況は異なる。一例として、某高校(単位制高校)の平成17年度後期のデータを提示する。受講生数10名で大学単位認定者数は6名、高校の単位認定者数(増加単位)は9名である。

2.地域間格差・コスト負担の問題に対する取組

  • 地域間格差の解消:インターネットにより物理的距離に影響されずに高大連携が可能である。近隣に大学がない高校でも連携でき、地域間格差が解消され教育の機会均等の原則が守れる。岡山県内においても多くの大学は岡山市や倉敷市の県南にあり、本事業は特に県北の高校にとって大きなメリットがあると考えられる。
  • コスト負担:県教育委員会との協定により、高校生の受講料は無料である。高校は既にブロードバンドインターネット回線に接続しており、またパソコン実習室が整備されているため、本取り組みのために高校サイドには設備面で特にコストはかかっていない。大学は私学助成や研究助成を得るよう努力している。また、Learning Management System(LMS)を自作することにより、開発費やライセンス料などのランニングコストを抑えている。

3.高校生のニーズに応じた授業を展開するための工夫

  • 授業の工夫:Webアンケートによる授業評価を毎回実施し、必要に応じて授業内容の構成の仕方等を検討している。毎回の授業をVODにし、復習や欠席した生徒の便宜をはかっている。
  • システムの工夫:授業のサポートや受講者管理など遠隔授業システム全体を管理するLMSを独自に研究開発をし、有効に活用している。

4.今後の課題

  • 担当高校教員の負荷を評価すること
  • 高校と大学の1単位授業時間数の違い
  • e-learningにおける講義者の授業テクニック、など

京都府教育委員会における取組の事例

1.高大連携の概要

  • (1)国公私立17大学と京都府教育委員会との包括協定
  • (2)高校生が大学レベルの教育研究に触れることのできる各種取組
    1. ITを活用した高大連携事業
       京都府の教育機関を結ぶ大容量高速インターネット回線(京都みらいネット)を利用し、高大連携の機会に恵まれない京都府北部の高校を対象に、大学教員の講義をテレビ会議システムを使ったリアルタイム双方向配信で遠隔地授業を実施している。
    2. 大学の授業の聴講(科目等履修生等)
    3. 高校における大学教員の授業(出前講義)
  • (3)教職をめざす大学生のキャリア形成のため、大学生の教員養成プログラムを実施
    1. 教育委員会から大学へ講師を派遣するとともに、小学校現場等での体験実習を行う「教員養成サポートセミナー」
    2. 京都府立高校において、教職を目指す大学生等を教育ボランティアとして受け入れ、生徒へのきめ細やかな学習を支援するとともに、教職を志す学生の資質の向上に寄与する「大学生教育ボランティア学習支援事業」。
  • (4)高校生のニーズに応じた授業実施のため、高校教員と大学教員との丁寧な事前打ち合わせや高校の指導計画に明確に位置づけた講義を依頼
  • (5)教育委員会と該当高校との双方で地元新聞社等へ広報を実施

2.京都高大連携研究協議会

  • (1)京都府教育委員会、京都市教育委員会、京都府私立中学高等学校連合会、京都商工会議所、財団法人大学コンソーシアム京都で構成
  • (2)主な事業
    1. 高校教員と大学教員が共同で教育実践プログラムを開発
    2. 高校と大学の円滑な接続を図るため、大学及び高校の教職員による研修を実施
    3. 京都の大学が生徒、保護者、学校関係者を対象に合同模擬講義や大学紹介を実施

3.成果と課題

(1)成果

  • 複数の大学と複数の高校との連携・交流について、さまざまな人的ネットワークを作りながら組織的に取り組むことができる。
  • 高校の時間的かつ経済的負担を軽減し、高校と大学との円滑な連携ができる。
  • 教育委員会が高校のニーズや大学の対応等をについて情報を集約して調整できる。
  • IT活用事業のように1校ではリスクや経費がともなう事業について、先駆的に実施することができる。
  • 多様な高大連携の成果や課題を多くの学校で共有することができる。
  • 生徒の「学ぶ意欲」や「進路意識」を高めることにより、キャリア教育の視点を踏まえた高大連携ができる。
  • 教員養成プログラムにより、教職をめざす大学生のキャリア形成ができる。
  • 高大連携のみならず、府下の小中学校や生涯教育に関わる社会教育の機関等、大学にとっては教育研究に関わる多様な地域貢献の機会を得ることができる。

(2)課題

  • 高校から大学へ向けた取組の充実が求められる
  • 予算的措置の支援が必要である。
  • 専門学科を持つ高校への連携を進める必要がある。
  • 成果が見えにくく事業の継続性に課題を持つ。

和歌山県教育委員会における取組の事例

1.高大連携の概要

  • (1)和歌山大学と和歌山県教育委員会が協定
  • (2)高校生が大学レベルの教育研究に触れることのできる各種取組(平成18年度)
    • 教育学部、経済学部、システム工学部のすべての学部で講座を開設する。
    • 各講座の概要
      前期、後期講座 大学で学部生といっしょに講義を受ける。前期8科目(15名受講)、後期13科目(12名受講)を開講。夕刻の講義を公開講座とし、高校生は放課後に大学へ移動して受講。
      紀南講座 紀南地方の高校生が、専門性の高い大学の講義を受講できるように紀南の高等学校で開講。毎週土曜日に大学教員が出向き講義。1科目(50名受講)
      集中講座 大学での夏期集中講座のひとつであるコンピュータの講義を高校生も受講できるようにしている。1科目(6名受講)
      土曜講座 生涯学習センターで、大学が一般県民向けに開設している「土曜講座」を高校生のための公開講座と位置づけ受講させる。(48名受講)
      ※1 上記講座のうち、紀南講座は、和歌山大学から遠距離にある高校生の受講機会として、また、土曜講座は、課業日に受講できない高校生への機会として設定。
      ※2 上記講座とは別に、高等学校での大学教員による出前講座を実施。
  • (3)上記のように、県内すべての公立高等学校生徒が受講できるよう、場と機会を工夫した講座を設定
  • (4)各学校への周知と募集については、県教育委員会が実施

2.成果と課題

(1)成果

  • 高等学校と大学あるいは教員同士の個人的なつながりによるのではなく、組織としてとりまとめることにより、一定のルールに基づく実施ができる。
  • 高等学校の置かれた地理的条件に左右されることなく、すべての高校を対象とすることができる。
  • 高校生の学究的な学びに対する意識が高まる。
  • 出前講座等で大学教員が高校へ出向いて授業することにより、大学教員の高校生に対する理解が深まる。
  • 大学と教育委員会の連携関係が強化され、大学教員が行う出前講座が年間をとおした指導へと発展するケースも生まれている。
  • 講義によっては(例えば「CAD」など)、専門高校の生徒の方が学部生より知識がある場合があり、大学の講義にも緊張感を与える場合もある。
  • 学部生と高校生が同時に受講するため、大学教員の講義への工夫改善につながる。

(2)課題

  • 和歌山大学の地理的位置から大学へ行くまでに時間がかかり、前期・後期講座には、近隣の高等学校しか受講できない。
  • 専門性を持ちながら基礎的な内容の講義を開設することとしているが、講義によっては高校生には難しい内容もある。

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

(高等教育局大学振興課大学改革推進室)

-- 登録:平成21年以前 --