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医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議

2000/03/10 議事録

医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議 (第1回)議事要旨


 医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議(第1回)議事要旨


日時     平成12年3月10日(月)10:00〜12:00
場所     文部省5A会議室
出席者  協力者:高久座長、鈴木副座長、赤津、大山、山本(岡島代理)、柿田、神津、佐川、佐治、佐藤、谷口、西野、藤枝、矢崎の各協力者
            文部省:布村医学教育課長、浅野課長補佐、松浦専門官ほか関係官

議事等
1  開会
(1)医学教育課長からあいさつがあった。
(2)事務局から協力者の紹介があった。
(3)主査からあいさつがあった。
(4)事務局から配付資料の確認があった。
(5)会議の公開について、議事要旨の公開という形で対応することが承認された。

2  佐藤委員から医学における教育プログラムについて、神津委員から臨床実習の導入・実施の在り方について、それぞれ説明があった後、質疑応答。
(○:協力者、△:文部省)
○  アメリカのステップ1でいう「基礎」には、日本でいう「診療的知見」が入っている点に注意する必要がある。
○  アンケート結果では、診療参加型の臨床実習を取り入れている大学が58大学となっているが、大学によって「診療参加型」の捉え方が違うのではないか。複数の診療科のうち1科でも実施していれば実施と回答している大学もあれば、全科で実施していなければ実施と回答していない大学もあるだろう。
△  この調査については、診療科ごとのきめ細かい状況や期間など、改めて調査をお願いする必要があると思っている。
○  クリニカル・クラークシップについては、指導できる教員がいないのが問題である。また、教員は評価されなければ熱心に指導しないが、評価自体が難しい。

3  大山委員から歯学教育の在り方について説明があった後、自由討論。(○:協力者)
○  歯科の医行為は外科的要素が多い。卒前教育で模型実習、シミュレーション実習にかなり時間を割いているが、トラブルは多い。学生の医療事故について、誰が責任をとるかが問題。
○  歯科における臨床実習はまさしく「診療参加型」でなければならないが、卒後の研修生を受け入れ、厚生省のガイドラインにあるような「きめ細かい指導」をするには、教官側のマンパワーが足りない。
○  卒前教育でどこまで体得させるのかがはっきりしていない。
○  コンピュータのシミュレーションを使ってはどうか。患者との対面から始まり、画面をクリックして診療を進めていくようなプログラムを作り、それを各医学部、歯学部で使って、これをクリアーした学生のみを患者に触れさせることにする。
○  法的には抵触しなくても、学生に診られるのは嫌だという患者がいる。運転免許を取得する際の路上教習のように、良い医者を育てるためには研修医に診てもらうことも必要なことだということを国民に理解してもらうようアピールする必要がある。
○  「社会」を育てるという発想が必要。治験も同じ。
○  技能訓練的な部分がメジャーに出てしまうのが問題。主訴からはじまる思考プロセスの訓練が必要。
○  チュートリアル教育はアメリカから入ってきたが、日本の学生は問題抽出型の学習に慣れていないので、到達目標だけ決めても、状況は変わらないのではないか。教官の側の問題としては、講義型式にこだわって、学生の能力を引き出すところまでいっていない。
○  学生の意欲をいかに引き出すかが問題。また、学生の医行為については、大学全体を通して整合性のとれたものを明示することが必要。
○  PBLは生涯学習の観点から必要だと思うが、自分で学んだ領域は非常に詳しいが、それ以外の分野は全くダメという学生がいる。そういう学生が国家試験に受かるか不安。
○  国家試験の出題方法も検討すべきことがあるのではないか。
○  コア・カリキュラムがあり、その下に各大学のカリキュラムがあるが、コア・カリキュラムについて大学ごとに議論すると、各科ごとに「これだけは外せない」というものがあって収拾がつかない。国家試験を作成する際に、診療科ごとにではなく「頭頸部で何題、胸部で何題」というようにしたが、コア・カリキュラムについても全体的な視点で、診療科にこだわらないカリキュラムを考えてはどうか。
○  クリニカル・クラークシップは、学生に縫う技術を教えることが主目的ではなく、診断と治療をいかに行うかを学生に植え付けることが目的。
○  到達度の判定については、アメリカではコンピュータによるテストがメジャーになっているが、日本でも文部省や厚生省が先頭に立って、標準化されたものを作っておくべきではないか。
○  シミュレーションについては、医学部より歯学部の方が進んでいるが、人間を相手にしている以上、やはりシミュレーションだけではダメ。まず、人間学があり、その上に診断、治療計画がある。
○  患者が来たときに、どう対応して、どう診断するかのプロセスをどう学ばせるかが問題。アメリカでは視聴覚プログラムが随分開発されている。我が国でも、良いプログラムを開発する必要があるのではないか。
○  コンピュータソフトの開発については、企業に試算させると3,000万円と言われたが、大学と共同研究をしたら少額でできた。医療情報ネットワークなどを使って、全国の大学で興味を持つ先生に呼びかければ、少ない予算でできるのではないか。

4  次回は、ファカルティ・ディベロップメントの在り方と、基礎医学の教育について検討を進めることとし、日程等は事務局で調整することとされた。

以上 

(高等教育局医学教育課)

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