国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議
2001/01/19 議事録
平成13年1月19日(金) 10:30〜12:30
虎ノ門パストラル「桃の間」
石弘光(副主査)、江口吾朗、大崎仁、樫谷隆夫、勝方信一、桐村晋次、児玉隆夫、菅原寛孝、鈴木章夫(主査)、本間正明(副主査)、宮本美沙子、宮脇淳、山田家正、若松澄夫の各委員
小川浩平、上野一彦、細谷昌志の各関係者
工藤高等教育局長、森口会計課長、合田大学課長、永山大臣官房企画官、杉野大学改革推進室長 他
【委員及び関係者】
イギリスでは、留学生から教育経費の全額を徴収することが認められており、大学によっては多くの留学生を受け入れてマスプロ授業を行っているが、その授業料収入というのは特別な扱いが可能となっているのか。
【委員及び関係者】
イギリスでは、国が留学生を除く学生の授業料を決定しているが、留学生からは受益者負担の原則により教育経費の全額を徴収することが認められている。留学生からの授業料収入は、国や地方からの補助金の額に影響を及ぼすことはなく、大学が自由に使えることになっている。したがって、留学生をたくさん受け入れて、その収入で教員を増やし、教育をするというのは大学の自由になっている。
【委員及び関係者】
諸外国のファンディングシステムの仕組みを参考にしようというときに、イギリスのようなファンディングカウシルスタイルとアメリカを中心するその他の国のような政府が大学に直接関与するスタイルのいずれでいくかなど、いくつかの切り口があると思う。
【委員及び関係者】
二点教えてほしい。
一点目は、イギリスのファンディングカウンシルの性格。これは国立学校特別会計のようなものでもないし、より民間に近い形で一種の国立大学協会のようなところにファイナンシャルセクターを作ったというようなものなのか。
二点目は、運営費交付金の積算を考えたときに、イギリスでは、専攻分野別に4〜5のカテゴリーに大きく分け、学生数などの基本的要素について定められた係数を掛ける配分算定式で額が決まり、教育・研究に使用する限りにおいては使途が自由な一般財源として補助金が交付されている。その場合の算定の基礎となる学生一人当たりの教育費用などは如何にして決まっているのか。
【委員及び関係者】
一点目のイギリスのファンディングカウンシルの性格については、イギリスは以前、大学人により構成された大学補助金委員会(UGC)において大学人の判断に基づいて、ひも付きでない政府資金を配っていたが、サッチャーがラジカルな改革を行っているときに、UGCの配分が古くからある大学には手厚く、政府と一緒に産業技術などを一生懸命やっている新興大学には冷淡だということで、現在のようなファンディングカウンシルに改組された。
ファンディングカウンシルは、文字通り委員会みたいなものに法人格を与えもので、政府から独立しているが、そのメンバーは大臣の任命でアカデミックスと最近は産業界からもかなり入っている。大学とのパートナーシップを強調しており、政府の大学に対する注文を大学と繰り返し話をしながら実現をしていくことが、実際の仕事になっている。また、現在は、大学の経営コンサルタントのようなことにも力を入れている。なお、高等教育評価機関(QAA)は、イギリスの国立大学協会にあたる英国大学副学長協会(CVCP)が作ったものを母体にして出来ている。
二点目の教育費用については、おそらく当初は実績を積み上げたものでそれなりの理屈はあった思うが、毎年、政府やファンディングカウンシルでぎりぎり詰めて見直すのは色々とデータを出したとしても非常に難しいため、漸進的に見直しが行われており、一時のカットから最近は5〜6%の増が行われている。
【委員及び関係者】
学生数を補助金の積算に使うイギリスの場合、間接費に関して、単純に学生数のみだと学生数の多い大学が有利になり、学生数の少ない大学は不利になりがちになる。その辺はどのような配慮がされているのか。
【委員及び関係者】
補正要素がある。一つは、ロンドン補正というものがあり、ロンドンにある大学についてはプレミアムがつく。それから、単科のカレッジなど比較的小規模な大学などの特別なインスティチューションに対する補正や歴史的な建物を持つ大学の補正というものがある。それ以外のあまり細かい補正はないのではないか。
【委員及び関係者】
学生数と教官数の人数比に対する補正などという考え方あるのか。
【委員及び関係者】
教育費の中に人件費が含まれている。学生数を補正する専攻分野別単位費用比の中には、大学に関係なく専攻分野が同じであれば学生数と教官数の比率は一定であるという前提の上に、専攻分野によって学生数と教官数の比率が違うことが加味されている。
【委員及び関係者】
イギリスの大学における自己収入の大半が留学生からの授業料、寮費、民間からの研究費の三つで占められている。
留学生を多く受け入れるのは、授業料を自由に決めることができ、もらったものを自由に使うことができるからである。また、学生寮は実質的には独立採算であり、日本の私立大学の寮と比べても寮費が高い。
工学系では民間との共同研究が大きな位置を占め、技術研究のほとんどが企業向けの研究であるという印象が強い。
イギリスの在り方というのは、独立行政法人化後の国立大学の一つの物差しにはなると思うが、大学の歴史をはじめ、随分と事情が違うことを理解しておく必要がある。参考にするにしても、そう簡単なものではない。
【委員及び関係者】
質の問題をどのように評価するかというところこそが問題ではないか。研究に関しては相対的な比較が可能だと思うが、教育の評価や教育の質の評価を日本で行うとした場合に、どういったところでそれが機能できるのかがよくわからない。
【委員及び関係者】
イギリスにおける教育の質の評価は、カリキュラムのデザイン・内容とその構造、教育・学習とその評価、学生の進歩と教育目標の達成度、学生に対する支援と指導、教育機器及び教育施設、教育の質の点検と維持・強化・発展の六つのカテゴリーを専攻分野ごとに、その専攻分野の専門家が4段階にピュアレヴューで評価している。
それとは別に大学全体としての評価というものもあるが、これは一種の助言みたいなものである。
【事務局】
日本の大学評価に関する状況は、昨年の4月に学位授与機構を改組し、新たに創設した大学評価学位授与機構において、平成15年度からの本格的な実施に向け、大学関係者以外の方々にもご協力をいただき準備が進められている。
大学評価は、すべての国立大学の教育・研究活動のそれぞれについて、専攻分野別の評価を行うことで準備を進めているが、具体的な内容はまだ決まっていない。
教育活動の評価についても原則ピュアレヴューと考えてもよいかと思う。
【委員及び関係者】
教育の多様化が進められれば、評価はますます難しくなるのではないか。
【委員及び関係者】
イギリスの評価も非常に大変だと聞いている。
実際に裏話を聞いてみると、評価委員が来るときには何ヶ月も掛かって準備しなければならない、あるいは1年を通じてどこかのセクションがそのために準備をしなければならないなど難しいことを言っている大学があった。その辺のところは十分気をつけなければならない。
【委員及び関係者】
人事制度委員会では、独法化すれば必ず人を雇えるといわれている。国立大学が21世紀に世界の大学と競争していくためには、優秀な人材をたくさん雇うとともに今以上に多くの人を雇っていかなければならない。しかし、今でも運営費に占める人件費の割合が6割を越えている。そういった中で簡単に独立行政法人化すれば必ず人を雇えるといえるのか、実際には雇えないのではないかという危惧がある。
【事務局】
実際に人件費が増えるかどうかというのは時の政府の財政状況、それから国立大学に対する社会の評価ということに関わってくるが、独立行政法人制度上、国は事務事業が確実に実施されるよう人件費を含め所要の財源措置を行うとされている。人件費についても評価が前提になるのであれば、評価に応じたしかるべき予算措置がされることになる。
国立大学が独立行政法人化した場合に、人件費がどうなるのかという話については一般論というよりも、各大学ごとの業績こそが問われると考えている。
【委員及び関係者】
財務会計制度で一番問題になるのは、自己収入の扱いだと思う。
自己収入と運営費交付金に関連する収入を一緒に合算をして損益計算をするのでは、努力をして収入を上げても稼げば稼ぐほど運営費交付金が減っていく構造になっていて、国立大学に対するインセンティブが働かない。例えば、イギリスのように公費で措置する教育と研究の機能をはっきりとし、そこ以外は競争してもらうという、一種のセグメント化をしなければ、国立大学の自主自律もないし、競争による効果も出てこないと思う。是非、財務会計制度の設計の基本として、取り入れていただきたい。
【委員及び関係者】
国立大学に対するインセンティブが重要になることはその通りだと思う。例えば、国立大学間には大きな資産格差があり、持つ者と持たざる者がいる。少ない資産しか持たない国立大学も競争していくためには、努力をして得たものを独自に内部蓄積できる仕組みが必要である。
我々としてもインセンティブがうまく働く財務会計制度を考えていく必要がある。
【委員及び関係者】
先進諸外国の高等教育に対する国の果たすべき責任の考え方には、一本筋が通っている。
国立大学の予算を減らすことではなく、先ず、如何にしたら国立大学をよくすることができるのか、そのためには国は何をしなければならないのかを考えた上で、財務会計制度を考える必要がある。
【委員及び関係者】
イギリスの大学における留学生からの授業料は、自己収入の中でも非常に重視されている。イギリスのよい大学には高い授業料を払ってでも世界中から留学生が押し寄せるが、日本ではどうか。「留学生受入10万人計画」といっても実際に来ている留学生の7割が中国と韓国の留学生である。その留学生達は、授業料を取ったらほとんど来ない。先ずは、授業料を払ってでも日本の大学に留学したいという状況になるまで、日本の大学を高めることが必要なのではないか。
【委員及び関係者】
7段階の評価段階を定め、その評価段階に応じた研究費を配分をするイギリスの方法は間違いである。この方式はイギリスのような階級社会的社会においては、ある意味では自然なのかもしれないが、長い目で見れば評価段階の中で固定化が起きてしまう。固定化されることによってインセンティブも働かないし、改革も行われなくなる。評価をするのは当然として、評価に基づいてある種の国の政策的な判断というものがあって然るべきではないか。例えば、単に評価に応じて配分するのではなく、評価が悪い大学は一段階評価が上がるように、あるいはすべての大学が最高の評価を受けるようにするといった政策目標を立れば、それなりに予算の配分は決まってくる。最終的な目標は、すべての大学が最高の評価を受けるようにすることであるはず。そうであるならば、イギリスのような配分にはならない。
イギリスにおいても教育に関しては評価を必ずしも予算配分に反映させていない。これは教育というものについては評価が難しいという観点なのかもしれないが、それも間違っていると思う。基本的に必要な予算というものがあっても、よりよい教育機関にするためにはどういう予算が必要かという政策的な判断が当然入るべきだと思う。
【委員及び関係者】
アメリカにおける連邦政府の研究費補助金は、全米科学財団(NSF)や国立衛生研究所(NIH)を初めとするいろいろな目的を持った多くの機関を通じて行われるとともに、間接経費制度があるため、大学は非常にバラエティーにとんだ対応ができる。この点は、是非見習ってほしい。
【委員及び関係者】
こういう議論をする時に、社会的な状況の変化というものを意識しておく必要がある。今、大学にはある意味での追い風が吹いている状況にある。
一つは、科学技術振興という非常に大きな大義名分が、日本経済の総体的な立ち遅れと結びついて強調されている。二つめは、公共投資の見直しという観点の中で、公共投資の定義自体や人の問題について配分のウエイトを高めるべきだということがいわれている。この追い風が本当の意味で国立大学の予算が増える方向で作用するかどうか、これは国立大学の現状とこれからの制度設計に関わってくるのだろうと思う。
しかし、国立大学には、組織や管理運営能力、あるいは社会から求められている要請に対して十分応えているのかといった問題があり、国立大学に対する評価は極めて低いといわざるを得ず、この点では逆風が吹いている状況にある。この点で国立大学の独立行政法人化に対する厳しい視線が向けられている。
ここを如何にクリアしながら、追い風をうまく使うことができる財務会計制度を設計していくかという考え方をとる必要がある。
【委員及び関係者】
財務会計制度を設計していくときに二つのポイントがあると思う。
一つ目は、時代の流れにマッチした財務会計制度の方向性を早く示し、追い風が吹いている間に制度設計を終わらなければならない。それが国際化や競争的な資金配分、あるいは国立大学全体のレベルアップにどのように繋がっていくかを関係者が直感的にイメージできる方向性の中で議論を急ぐ必要がある。
二つ目は、いずれにしても独立行政法人化後は、まったく新しい方式で予算配分を行うことになるが、そのときにまず初期値をどういう具合にそろえるかという問題がある。つまり、財務会計制度を移行時とその後の二つの局面に分けて考え、特に移行時においては設計した財務会計制度と現状があまりにも乖離してしまうと現実には機能しないため、できる限りスムーズに繋がるようにする必要がある。そのためにも、考えられる新たな仕組みの現状との関係や相違点を明確にし、それがもたらす時系列的な効果を整理する必要があるのではないか。
【委員及び関係者】
被害者意識が先に立って、変化を前向きに捉えていないことが国立大学に対する厳しい視線をさらに加速させる大きな要因になっている。変わっていくという方向性を我々自身が意識として持ち、独立行政法人化を機会にして国立大学が変わることを積極的にアピールする必要がある。また、事務局にも早く積極的なスタンスを打ち出して具体化していくという作業をお願いしたい。
色々な形で議論をし、それを追い風にしていくためにも、議論の材料として国立大学の現状のデータを事務局には早く出してほしい。
【委員及び関係者】
国によって事情は違うが、それぞれ基本的には評価を伴って、教育についてはかなりの部分を公的資金でカバーする、研究に関しては競争的な環境に置くという色彩が非常に強い。これは今後我々が考えていくときのベースになると思うが、評価がどれだけフェアに行われるかという全体からの信頼感が非常に重要になると思う。
【委員及び関係者】
研究についていえば、国立、公立、私立を通じた公正な評価の仕組みが大事になると思う。例えば、ある分野に国として重点的に予算を配分していく場合に、国立、公立、私立に関係なくすべての大学に機会が与えられるということが公平な競争的環境であって、必ずしも国立のみが配分を受ける必要はないと思う。つまり、大きな視点でいえば、予算配分の仕組みを考えるときには、国立、公立、私立を通じた公正な評価の仕組みについても十分な配慮が必要である。
【委員及び関係者】
イギリスにおける財源別の増減の傾向と低い評価にともなって人件費が減った場合の人事制度はどうなっているのか。
【委員及び関係者】
全体としてサッチャー時代には減っていたものの、最近は世界と競争していくためには人材の養成と研究開発が不可欠ということで予算は5〜6%程度の増加傾向にある。
そもそも人の雇用についても大学に任されており、状況に応じた人事を行うことができるようになっている。経費の面だけでなく、人の面においても自由化されている。
【委員及び関係者】
今までの議論を聞いていて違和感を感じる。財源をどうやって増やしていくか、どう確保するかということに関心が集中しているが、競争をし、効率化を進めていき、その上で、節減できた財源を社会の要請を勘案しながら重点的に活用できるようにすることが本旨ではないか。
国立大学に対する風は全くの逆風であって、国の教育研究機関として社会のニーズに十分応えていないという問題が提起されていると思う。企業から派遣される留学生もアメリカへ留学するケースが増えている。あまりにも学問的な興味と狭い世界に走りすぎ、社会や産業と乖離してしまい、社会や産業に結びついた役割を果たしていない。
社会の変化に対応して積極的な役割を担うべく、例えば、世界中から留学生がやってくるすばらしい国立大学を作るとか、こういったことをやるから資金がほしいといった方向で制度的な議論をするべきではないか。
【委員及び関係者】
事務局には具体的な検討の資料の用意をお願いしたい。
次回は、会計基準について議論していただきたい。
次回は、2月16日(金)に開催することとなった。
以上
(高等教育局 大学課)