資料3 報告書の作成に向けて、ご議論いただきたいポイント(論点ペーパー)

1.内向き志向について

(1)10年後に成人する現在の子供たち

(今までの議論より)

  • 国際的な視野で物事を考えることができる人間、日本を愛することができる人間を育むために、内向き志向は解消しなければならない。
  • 国際的に通用する人材の資質としては、学問の基本的知識だけではなく、知識の活用能力、創造性、論理的思考能力、異文化圏の人とのコミュニケーション能力も不可欠。
  • そうした能力を育む教育ができるよう、教員の資質向上も必要。
  • 大学からの留学では遅く、初等中等教育段階からの国際経験が重要。

 ○内向き志向の要因の一つでもある日本人の語学力不足については、幼少期から対策をし、少なくとも、話す能力、聞く能力という素地を養う必要があるのではないか。

  • 初等中等教育における英語教育については、昨年11月より「外国語能力の向上に関する検討会」(初等中等教育局国際教育課)が開かれている。(池上委員がメンバー)
  • 高校生の海外留学の促進についても、平成21年度以降、一定額の支援を実施。

    (※文部科学省関連施策)
  • 小中高を通じた外国語教育の充実について
  • 高校生の留学促進
  • 外国語能力の向上に関する検討会
  • 日本/ユネスコパートナーシップ事業
  • 国際バカロレアについて

 (2)現在の若者

(今までの議論より)

  • 学生の内向きが近年顕著であり、原因としては、語学力不足、費用の負担感、就職活動の早期化・長期化などが挙げられる。
  • 留学生の受入れも重要だが、日本人が国外に出ることは更に重要。若い時期に海外で勉学に励むことで国際人としての素養が身につく。
  • 長期の留学が難しいのであれば、短期の語学留学、インターン、ボランティアを重点的に支援することも一つの方策。
  • 留学生受入れを促進するに当たっては、外国人教員の増加や留学生受入れのための専門的な組織体制を強化する等、運営体制から見直すことが必要である。

内向きの若者を海外に出す抜本的な取り組みが必要ではないか。
国際機関などへの就職を目指す若者に積極的な支援が必要ではないか。

  • 学生の海外留学の減少が顕著。
  • 英語を社内公用語とする企業、新入社員の一定割合に外国人を採用する企業の登場。
  • 国際機関等の邦人職員数も、望ましい水準に達していない。

    (※文部科学省関連施策)
  • 国際的に活躍するグローバル人材の育成
  • グローバル人材育成のための大学教育プログラム
  • グローバル人材育成のための大学教育プログラムに関する実証的研究 (パンフレット別途配布)
  • 日本/ユネスコパートナーシップ事業(再掲) 

(3)若手研究者

(今までの議論より)

  • 研究者についても内向き傾向が指摘されており、長期の海外派遣者数が減少してきている。
  • 大学が奨学金制度を活用し、優秀な留学生を戦略的に獲得できる体制づくりを行うことが必要である。
  • 海外の優秀な研究者に来日してもらうためには、インターナショナルスクール等子供の就学環境を整備することも重要。

○若手研究者が積極的に海外へ出ることの意義を明確にすべきではないか。 
研究者の相互交流を進めるより一層の取り組みが必要ではないか

  • 1か月を超える長期海外派遣研究者数が10年間で半減(文部科学省「国際研究交流の概況」より)。
  • 帰国後のポストに対する不安や所属機関における業務分担の偏りなどが要因と考えられる。 

    (※文部科学省関連施策)
  • 海外派遣・招へい関連事業
  • 海外特別研究員、若手研究員インターナショナル・トレーニングプログラム/外国人研修者招へい/ネットワーク強化
  • 頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣事業 

(4)教職員、行政官

(今までの議論より)
教育の国際化のためには教員の国際化が必要で、相手国の方々とコミュニケーションを図れ、国際交流において学生や生徒をリードできるような先生の存在が望まれる。

  • 教職員交流について明確な戦略が必要であり、ある程度の長い派遣期間が望まれる。
  • 青年海外協力隊に創設された「現職教員特別参加制度」は、教員自身の研修としてのみならず、学校現場の国際化にも資する有効な制度である。
  • 国際協力においては、日本の現役世代を長期派遣することは容易ではないので、定年退職前後の大学・高専教員の派遣促進が望まれる。

○アジアや米国における国際理解、相互理解のために教職員や行政官の相互交流の継続・充実が不可欠ではないか。
○国際機関における教育事業の成果を、関連施策の立案・評価・改善や関連する研究等に活用し、教育の質の向上を図るため、OECDとの連携が必要ではないか。
○大学、高専を含む幅広い教職員層による国際協力への参加を促進することが必要ではないか。

  • 国際環境が急激に変化(中国やインドの台頭、新興国市場の拡大、尖閣・北方領土問題、北朝鮮問題)。
  • 昨年10月の日米首脳会談で、日本人若手英語教員の米国派遣について合意。来年度より実施予定。
  • 日中、日韓の教員交流についても、引き続き推進。
  • 「ボランティア現職教員特別参加制度」の対象は現行、国公立の小・中・高校、特別支援学校の教員に限定されている。

    (※文部科学省関連施策)
  • 日本人若手英語教員米国派遣事業
  • 初等中等教育教職員招へい事業
  • 持続発展教育(ESD)日米教員交流プログラム
  • OECDの教育の国際比較調査への協力
  • 青年海外協力隊・日系社会青年ボランティア「現職教員特別参加制度」
  • 日本/ユネスコパートナーシップ事業(再掲) 

2.定住外国人の子供の就学支援について

(今までの議論より)
 景気悪化によりブラジル人学校等に通う子供の数が大幅に減少。その中には、授業料が払えず就学を見合わせている者も少なくない。

  • 就学を見合わせている者の中には、日本語能力が十分でないため、公立学校への転入を躊躇(ちゅうちょ)している者も多いと考えられ、日本語指導や適応指導を行う場を提供することが必要。
  • 一方、保護者等の雇用の回復を待ってブラジル人学校等へ復学することを希望する者もいると考えられるため、一定の学習支援を行い、通学の習慣を維持することも必要。
  • また、ブラジル人学校等に在籍する子供のうち、希望者に対して、日本語学習の機会を提供し、日本社会への適応を支援することも大切。
  • 「定住外国人の子供の就学支援事業」は、平成21年度から3年間の期限付で開始したため、来年度で事業が終了するが、依然として厳しい雇用情勢の中、引き続き支援する必要があるのではないか

    (※文部科学省関連施策)
  • 定住外国人の子供の就学支援事業

3.教育関連の地域的な枠組みへの参加について

(今までの議論より)

  • 高等教育の流動性を高めるためには、地域的な枠組みを構築し、学位の国際的通用性を高め、単位互換制度を促進することが極めて重要。
  • 例えば、アジア地域ではUMAP(アジア・太平洋大学交流機構)のような存在があるが、ユネスコの地域条約に加盟することが望ましい。 

○地域枠組みに積極的に参加するべきではないか。

  • ユネスコ地域条約の閣僚級会合が本年11月25日、26日に東京で開催されユネスコ地域条約改正が提案される予定。また、本年には「第1回ASEAN+3教育大臣会合」が開催されることとなっている。 

    (※文部科学省関連施策)
  • ユネスコ アジア・太平洋地域における高等教育の学業・卒業証書及び学位の認定に関する地域条約について
  • アジアでの質保証を伴った大学間交流に係る我が国の取組
  • 東アジア共同体形成に向けた国際教育協力推進体制の整備

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大臣官房国際課国際協力政策室

西、吉村
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