国際教育交流政策懇談会(第7回) 議事要旨

1.日時

平成21年9月29日火曜日10時から12時

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. これまでの議論の整理
  2. 外国人研究者等の受入れ推進のための子どもの教育環境整備について(我が国の教育への波及効果も含む)
  3. その他

4.出席者

委員

金澤座長、田村座長代理、池上委員、佐藤委員、白石委員、角南委員、牟田委員、渡辺委員

文部科学省

坂田事務次官、木曽国際統括官、徳久審議官、芝田大臣官房国際課長

オブザーバー

(有識者)加藤・加藤学園長、ウェンドフェルト・加藤学園ディレクター、中島・馬場財団理事長

5.議事要旨

(1)これまでの議論の整理

•   これまでの議論内容を再度整理した資料2及び3について、事務局から説明が行われた。また、前回委員から意見があった、本懇談会からのメッセージの打ち出しについては、懇談会の最終回に行いたい旨説明があった。質疑応答の概要は以下のとおり。

 【委員】

 ブラジル人学校に関する補正予算が確保された旨の記述が削除されているが、日本の国際化のためには非常に大事な問題なので、補正予算の確保に向けて何らかの記述がほしい。

【事務局】

 補正予算は現在見直しをしており、政務三役が総合的に判断することになる。

【委員】

 日本は、国際教育を意図的に行わないと内向きになってしまい国際化が進まない地域であるので、その重要性をぜひ伝えてほしい。

 【委員】

 「世界での交流」の中でも「アジアとの交流」は重要であり、具体的な取組・プログラムについて、例えば東アジアにおける取組の必要性等を今後に向けて考えるべきである。

【事務局】

 新大臣の意向を踏まえ、座長とも相談になる。今後のテーマ設定が変更になる可能性もある。

【委員】

 アジアの大学の台頭などを踏まえ、東アジア共同体構築の中で、東アジア・サイエンスコミュニティや東アジア教育コミュニティとして、アジアのトップクラス大学との交流関係を築くなどのアイデアを本懇談会で議論することは有意義である。

【委員】

 アジアにはAASA、FASAS及び日本が立ち上げたアジア学術会議という3つの学術組織がある。日本はAASA及びFASASには加わっていない。今後本懇談会で教育交流について議論していく上で、考慮に入れてほしい。   

(2)外国人研究者等の受入れ推進のための子どもの教育環境整備について(我が国の教育への波及効果も含む)

•   事務局より、資料4に基づき、外国人研究者等の受入れ推進のための子どもの教育環境整備について説明があった。その後、質疑応答が行われたところ、概要は以下の通り。 

【委員】

 外国人研究者受入れのためのインターナショナルスクールは、様々な地域で必要となるが、その地域展開の方法が1つの問題である。また、東京学芸大学附属国際中等教育学校が検討しているように、外国人研究者がいる研究所等と協定を結び、外国人研究者の子どもの外国方式での教育、配偶者のインターナショナルスクールの教員としての雇用による教育者の確保に取り組むなど、多方面での取り組みが必要。

【委員】

 日本からの海外派遣者と同様、長期研究者受入れ数は横ばいあるいは微減で、短期研究者受入れ数は増えている。これがよいことなのか議論が必要である。

 【委員】

 受入れ数増加について、アジアからの受入が増えたのではないか。最近は東アジアでも英語での教育に関心が高いので、アジア圏からの研究者についても英語による子どもの教育関係の整備は無関係でなくなっているのではないか。 

•   続いて田村委員より、ブリティッシュスクール及び幕張インターナショナルスクールを例として高度人材受入にあたっての外国人子弟の教育についてについて、加藤・加藤学園長及びウェンドフェルト・加藤学園ディレクターより、資料5に基づき同学園の取組について、中島・馬場財団理事長より、資料6に基づき国際バカロレアを取り入れることの日本の教育課程への効果について発表があった。その後、自由討議が行われたところ、概要は以下の通り。 

【委員】

 日本の既存の学校が国際バカロレア(IB)を導入するために何が最も大変なのか。政策として、どういう支援が考えられるか。 

【加藤学園長】

 最も大事なのは教員の資質であり、その向上のために大学院程度の教育や海外経験も必要。 

【委員】

 幕張インターナショナルスクールの設立で一番苦労したことも、やはり教員の確保である。インターナショナルスクールに関わる仕事をしてきたが、そこで教えられる日本人を採用するのは、人材が限られるため、無理がある。

 高度外国人材受入れにあたり、シンガポールのようにその子どもの教育まで国が責任を持つ例もあるが、日本が今できることは、現在あるインターナショナルスクールを積極的に活用する方法を見いだすことである。 

【委員】

 加藤学園の早くからの取り組みに大変感銘を受けた。

 ペンシルバニア州立テンプル大学ジャパンキャンパスの例のように、その教育方針と日本の設置基準が合わない、外国の教員資格が日本では認められないなど、日本の教育が閉鎖的であったり、資格要件が狭いという現状がある。本懇談会で、その間口を広げ、国際教育を推進できるような提言をしたい。 

【委員】

 中国では例えば千人計画でトップクラスの研究者を招へいする際に子どもの教育費を負担したり、アメリカのコロンビア大学では教員の子どもがその附属学校に安価で入学できるなどの例がある。中国が1,000人規模であれば、日本でも100人計画で、例えば招聘プログラムに別途教育支援という枠を作ってはどうか。1人あたり200万円とすると2億円を教育費に充てる。それをどのように配分するかについて検討する必要はあるが、生活費や奨学金としてではなく、子どもの教育支援の枠を作るということも本懇談会から提言してはどうか。

【中島理事長】

 現在、横須賀に国際学校の設立を考えているが、教員のうち半分以上が外国人となる。

この場合、地域の人たちとの連携を考え、保育園、幼稚園、小学校の付設、さらには病院などの設置も考えなければならないと考える。

 【加藤学園長】

 加藤学園では20年以上英語圏の教員を採用しているが、イマージョン・プログラムが可能になったのは、1992年頃日本の一人あたりの国民所得が3万ドルになった時である。円、国力が強いことで外国から優秀な先生が来る。これから高度人材を呼び込むには、日本の英語教育を根本的に変えて日本を英語が通じる国にしなければならない。

 本学園では外国人教員と日本人教員とのティームティーチングも行って双方の交流が活発である。国際バカロレアは、世界各国で教員研修、再教育を行っており、優秀な教員が確保できる。

 【ウェンドフェルト加藤学園ディレクター】

 日本の学校が世界基準になるための苦労は2点ある。日本人教員には、自分たちと違うものに対するアレルギー反応を示す人もおり、許容度を高めなければならない。一方外国人教員には日本人が子どもに期待していることを伝えるなど、日本人教員と外国人教員の双方の歩み寄りが必要である。

 もう1つは、受け入れる大学側の問題であるが、日本の大学は海外でのディプロマコース(DP)修了者は受け入れるが、国内でのDP修了では、入学資格が認められない大学がほとんどである。日本の大学も、世界基準で学生の受入をしていただけるとありがたい。

【加藤学園長】

 受験生の英語力が低いことで、日本の大学は受験生を囲んでしまっている。英語力がつけば、学生が世界の大学を選択できるようになり、それに伴い、日本の大学の競争力も増すのではないか。

6.次回以降の日程

•   委員には次回懇談会は10月27日(火曜日)10時から12時開催予定と連絡しているが、日程に加え、新政権での本懇談会のあり方、懇談事項について変更があった場合は、速やかに委員に報告することとなった。

お問合せ先

大臣官房国際課国際協力政策室

(大臣官房国際課国際協力政策室)