国際教育協力懇談会(2006年2月17日~)(第7回) 議事録

1.日時

平成18年7月13日 14時~16時

2.場所

文部科学省 省議室

3.議題

  1. 開会
  2. 事務局より資料説明
  3. 討議
  4. 閉会

4.議事録

1.開会

(事務局)

2.委員等紹介

出席者

 木村座長、荒木委員、内海委員、工藤智規委員、廣里委員、弓削委員、渡辺委員、千野委員

欠席者

 山委員、工藤高史委員、白石委員

オブザーバー

 国際協力機構人間開発部・末森部長
 国際協力銀行開発セクター部・橋本部長
 外務省経済協力局開発計画課・小野企画官

事務局

 近藤文部科学審議官

3.資料説明

 (事務局)

4.討議

【木村座長】
 お手元にお配りしました報告書(案)は、事前にお送り申し上げて、それぞれの委員の皆様のご意見を伺って、それをなるべく生かすという形で修正したものでございます。御覧頂きまして、なおお気づきの点がありましたら、ご意見等をいただければと思います。感想等でも結構でございますので、よろしくお願いいたします。ご自分のコメントされたところがきちんと直っているか、その辺も見ていただければと思います。何かございませんでしょうか。

【工藤(智)委員】
 皆様、まだお考え中かもしれませんので、私から、若干マイナーな話ですけれども、2ページ目の一番下から2行目のところですけれども、こういう書き方もあるのかもしれませんが、欧米、特にアメリカとかオーストラリアがアジア地域に進出したのは、アジア地域の高等教育需要の高まりにこたえてというよりは、むしろ、特にアメリカなんかは日本国内のアメリカ分校みたいに、アメリカ国内で就学人口が少なくなったので、いわばお客さんを外に求めにいったという要素がかなりありますね。そこを随分きれいに言っているんですけれども、これでいいのか、「需要の高まりを受けて」という言い方がいいのかどうかというのはちょっと気になったところなんですけどね。それは、3ページ目の「我が国の教育における課題」、下から2行目で同じ言いぶりをしてあるんですけれども、このあたりをもしニュートラルに言うとすれば、単に「高等教育需要への対応」でいいのかもしれませんし。どうするかというのはお任せします。
 それから、同じ3ページで上から3つ目の「初等中等教育においても」の段落なんですけれども、最初のワンセンテンスが、「初等中等教育においても」と言って、「また、」で「学校教育においては」という文章になっているんですが、普通に見ると、初等中等教育と学校教育、何を違えて言おうとしているのかなという気になるので、「また、」の後の「学校教育においては」というのは削ったほうが通りがいいかなという気がしました。
 とりあえず、以上です。

【木村座長】
 ありがとうございます。そうですね。特にこの「総合的な学習の時間」のところは学校教育と言わなくてもわかりますし、最初の「高まりを受けて」というのは……。

【工藤(智)委員】
 それは感想です。

【木村座長】
 高まりは多少あると思いますが、どちらかというと、向こうからやって来たというところが本当かもしれませんね。
 ほかに何かございませんでしょうか。

【内海委員】
 最初に感想的なことでございますが、1ページ目の下のところに「サブサハラアフリカや南アジア等」という言葉が入っています。しかし、それ以降、アジアは出てくるのですが、アフリカや中南米とかの地域についての言葉がほとんどありません。この報告書を英文にした場合、アフリカ諸国はがっかりするのではないでしょうか。前の部分でさまざまな地域でいろいろな問題があると述べているわけですから、対策の部分でもアフリカなどの言葉が入るとよいのではないかと思います。

【大山国際協力政策室長】
 そのあたり、関連いたしまして、5ページの箱の中で「基礎教育協力」のところで、3行目の「高い効果が見込まれる地域・国を選択し」というあたりで、必要な地域に対してはやっていきたいという趣旨を……。

【木村座長】
 全体を検討して、もう一度見直しましょう。

【大山国際協力政策室長】
 はい。あと、「2015年までのEFA目標達成」という中でもそういう趣旨を入れさせていただいたというところではございます。

【内海委員】
 8ページ目の1.の(1)の2番目の段落で「このような国際貢献は」というところで、資金のことですが、「特に、自然科学分野に比べ競争的研究資金の種類が少ない」。種類が少ないだけじゃなくて額が少ないというのが私の印象です。「種類」ではなくて「競争的資金が少ない」くらいでいいのではないかと思います。

【木村座長】
 おっしゃるとおりだと思います。

【内海委員】
 それから、続けて言いますと、10ページ目の(3)ですが、「(1)3「留意事項において示したように」というのが冒頭に来ているので、多分これは文末か、または文中に「留意事項参照」といれてはいかがでしょうか。冒頭にこういう句がはいると、あまり見る気がしなくなります。
 とりあえず、以上です。

【木村座長】
 ありがとうございました。ごもっともなご意見だと思います。
 ほかにございませんでしょうか。弓削さん。

【弓削委員】
 今の地域のコメントと関連するのですが、「サブサハラアフリカや南アジア」というふうに報告書の最初には書いてはありますが、その後はこの地域について触れられていない。この報告書は今後数年間をカバーするということだと思いますが、国際的な潮流としては、最貧国、アフリカに向けての援助と活動にますます焦点が移る中で、日本はアジアに集中していていいんだということにはもうならないと思うんですね。前回も申し上げたように、総理もアフリカへのODA倍増ということもおっしゃっています。この報告書は英語に訳されてウェブページとかに載ると思うんですけれども、国際社会から見たODA大国である日本が国際教育協力の分野に力を入れるということは非常にウエルカムだと思うんですが、そのときに、世界全体がこれだけ、アフリカへの支援が必要で、MDGsも一番アフリカがおくれていると言っていて、報告書の前文ではそうだと言いながら、取り組みのところにはこれが出てこないというのは非常に寂しいと思いますし、やっぱり国際社会から見ても、ちょっとバランスが悪いんじゃないかなというふうに見られるのも残念ですね。
 ですから、どういう書きぶりをしたらいいのかなんですが、アフリカですとか、サブサハラアフリカとか最貧国、または、特にMDGsの達成がおくれている地域ということで、入れておかないと、やはり世界の潮流から外れてしまうという気がいたします。

【木村座長】
 ありがとうございました。その辺も、気をつけて、後で見直してみます。
 ほかに。どうぞ、渡辺先生。

【渡辺委員】
 ちゃんと意見を反映していただいて大変うまく組み込んでいただいて、感謝しています。さすが、非常にコンシステントにこの広範な問題をよくまとめてくださったなというのが第一印象なんです。
 大した意見はないんですが、表紙の日本語の使い方。やっぱりこれは若い人、学生なんかにも読んでもらいたいので、2行目、「効果的に解決するべく」などという表現はなるべくやめて、1行目、「国際社会における責務を果たし、開発途上国の様々な問題をより効果的に解決するために」でしょうかね。上の「ため」を取って「果たし」、2行目を「するために」というのがいいんじゃないかなと思いますね。
 それから、言葉ばかりですが、2ページ目の4行目ですけれども、キャパシティービルディング、「能力構築」。定訳がこうなっているのかもしれませんけれども、能力を構築するというのはちょっと……。「能力形成」ではぐあいが悪いんでしょうかね。

【木村座長】
 なるほど。そうですね。

【渡辺委員】
 ですよね。定訳がこうなっていたら、いたし方ないんですが、そんなことはないですよね。

【木村座長】
 キャパシティービルディング、最近盛んにこの言葉が出てくるんですが、定訳というのはあるのですかね。

【渡辺委員】
 ないんでしょうね、まだ。

【木村座長】
 そう思います。

【渡辺委員】
 つくればいいわけですね。

【木村座長】
 確かに「構築」よりは、少なくともこの場面では、「能力形成」のほうがいいかもしれないですね。

【渡辺委員】
 それから、4ページ、下から2行目、「一層連携して」というのですけれども、「一層緊密に連結する」とか「密度を濃く」とか、何か一語欲しいですね。
 さっき大山さんご自身が気になさっていた「ブラッシュアップ」という言葉ですが、これもやっぱりちょっと……。

【木村座長】
 問題ですね。

【渡辺委員】
 「援助リソースの拡充」、あるいは、もし「質」を入れるのなら「質的充実」とかですね。

【木村座長】
 私はそちらのほうがいいと思います。

【渡辺委員】
 そんな感じですかね。

【木村座長】
 この下の書きぶりからすると、「質の向上」ということだと思いますが。

【渡辺委員】
 「質の向上」、そのほうが優しくて、いいかもしれませんね。
 全体を通じて、何とかすべきである、整備する、促進する、取り組むという言葉で大体終わっているんですが、だれがいかにというところがほとんど載っていないんですが、それは今回の第1回目の報告書ですから、あえて書かないというふうに考えたらいいんでしょうか、どうしたものでしょうかということですね。

【木村座長】
 どうぞ大山さん。

【大山国際協力政策室長】
 まさにご指摘のとおり、この報告自体はちょっと抽象的な書きぶりにどうしてもなってしまっておりまして、今後、私ども文科省のほうで、より具体的に、どういうタイムスケジュールで何を具体的にやるかというあたりは、また施策展開、考えていきたいと思っておりますので。

【渡辺委員】
 もしそうだとすると、国際教育協力に対する、ある種の大綱的な文章なのであって、具体的なことはいずれどこかで別途検討するとかいった趣旨のことを前書きあたりで書いたらどうなんでしょうか。前書きがなくて一挙にここへ行っちゃうんでしょうかね。この中に初めに木村先生の文章か何かが入るんじゃないですか。

【木村座長】
 そうですね、さきほど千野さんとも話したのですが、これである程度しっかりした報告書ができた。問題は、これがどう使われるかということですね。

【渡辺委員】
 そういうことなんですね。

【大山国際協力政策室長】
 その辺、4ページの四角のすぐ下に、「今後、速やかに取り組むべき具体的な改善・取組方策を提案している」というところがあるんですけれども、そういう意味で、これを踏まえて、さらにこの内容に沿った形で展開していきたいというようなことを若干ここに書かせていただいている次第ではございます。

【木村座長】
 はっきり言うと、これは予算獲得のための、報告書ではないでしょうか。

【大山国際協力政策室長】
 ただ、予算に限らず、予算をかけずにやれる、例えばネットワーク化とか、いろんなところもございますので、そういうところはお知恵をおかりしてつくっていったというところでございます。

【木村座長】
 どうぞ、廣里さん。

【廣里委員】
 私は、表現に関して3つほど追加的なコメントをさせていただきたいと思います。
 先ほど、渡辺先生が指摘された「能力構築」のところなんですけれども、国際的な思潮という観点では「能力開発」という言葉が使われていまして、英語ではキャパシティーディベロップメントということで、コンセンサスが得られているのかなと思います。そういった意味では、例えばですが、「持続的成長に向けた途上国自身の主体的な能力開発を進める観点」というのはどうでしょうか。これは1ページと4ページに出てきまして、4ページ目は囲みの中で「途上国国家の能力構築ニーズ」というところがありますが、これも例えば「途上国自身の主体的な能力開発ニーズの高まり」というふうな表現はいかがでしょうかというのが1つ目です。
 2つ目は、3ページ目の囲みの中で、「初等中等教育の完全普及過程における質的向上・持続的発展や」、その次に「ポストEFAの課題としての」というのがありまして、ここは「ポスト基礎教育の課題」のほうが整合性があるのかなと思います。というのは、例えばライフスキルというのがEFAの範囲に入ってきて、これも考え方によっては職業教育の一形態ですので、「ポスト基礎教育」のほうがすんなり読めるかなと思います。
 3点目は、5ページ目で、これは教員教育の位置づけに関することです。「質的向上」の中に教員教育が入ってくると思いますが、定義上、位置づけが難しいんです。実質、日本の教育援助においてかなりウエートの高い教員教育をどう位置づけるかということだと思います。教育段階では高等教育段階ですが、支援の目的ということでは基礎教育のための教員教育でしょう。ここでは教員教育への言及はありませんが、どのように位置づけておくべきかなと気づいたものでコメントをさせていただきました。以上です。

【木村座長】
 ありがとうございました。
 荒木さん。

【荒木委員】
 文章的なことはすっかり渡辺先生に言われちゃって、出る幕がなくなっちゃったんですけれども、全体としては非常によくできて、すんなりと美人につくられているんですけれども、美人過ぎちゃって特徴がないという感じもないわけでもないんですけどね。
 さて、私は、7ページの3番目の「初等中等教育現場における国際理解教育の充実」、本文にせっかく書いていただいたので、「国際理解教育や開発教育」というので、それを1つ入れていただければありがたい。

【木村座長】
 タイトルにですね。

【荒木委員】
 はい。1つしか入っていないものですから、開発教育にちょっと熱心な人間として主張したいところでございます。
 それから、先ほど渡辺先生が言った、「ブラッシュアップ」で「質的向上」ということですけれども。これを援助に適用していくとすれば、現地適応化というか、現地に合うようにするというか、そういうニュアンスのものじゃないかなという気もします。よく現地適応というのは援助の言葉で使っているんですけれども、そのまま使わなくても、何かそういうニュアンスの言葉はいかがなものかというふうに感じているわけです。タイトルが、「大学発ODA」というのももちろんいいんですけれども、もっと幅広く、大学の知的国際貢献というのが僕はやっぱり一つの売り込みだと思うので、「大学発知的国際貢献」というふうにむしろ言ったほうが、何となくメディア的にはすっきりくるので、大学発はODAだけではないと思います。もっと広く大学のやるべき仕事、社会貢献というのはあるわけなので、そこのところから考えると、これはあまり限定的じゃないかな。本来の意味に立ったらば、そういうようなニュアンスかなという感じがあったんですが。

【大山国際協力政策室長】
 途上国の援助ということを大学発で大学の知を活用してやりたいというのを、なるべく短くキャッチコピー的に言いたいなというようなことでつくってみたものでございまして、その辺、もう少し検討させていただきたいと思います。

【木村座長】
 小野さん、何かありますか。いいですか。
 末森さん、何か。

【末森部長(JICA(ジャイカ))】
 では、2つだけ、コメントとします。5ページの「取組を期待する具体的な方策」の(1)のところの、「また、JICA(ジャイカ)との協力関係の下、派遣された」という、ここの「国内支援体制を整備する」というのは、渡辺先生が言われました、だれが体制を整備するのかとか、そのあたりを明確に書いていないので、ここあたり、具体的に何かイメージがあればご説明いただきたいのと、もう一つは、7ページの上のほうなんですけれども、「アジア地域における高等教育ネットワークの活用」というところで、今、日本の11大学とASEAN(アセアン)の19大学でやっているアジア高等教育ネットワークというのが具体的に動いているわけですけれども、それもここにもし余裕があれば入れさせていただければ、それがおそらく一番最初に動いたネットワークなので、ぜひご高配いただければありがたいなと思います。
 以上です。

【木村座長】
 ありがとうございます。
 最初のご意見についてですが、こういう報告書の実行は、だれがどうしてやるかというのは非常に難しいと思いますが。大山さん、どうぞ。

【大山国際協力政策室長】
 まず、ご質問いただきました、5ページの1の下2行でございますけれども、この辺は、今も実際いろんな、JICA(ジャイカ)さんの事業に関連して協力をしながらやっているという向きがあるかと思いますので、そういうものを一層効果的にやれるようにというような趣旨。あと、私どもでやっております拠点システム構築事業という、基礎教育分野の日本の経験を蓄積してオープンリソース化して、例えば青年海外協力隊の現職教員派遣の先生方のお役に立てるようにというようなことをやっておりまして、例えばそういう形でのサポートも既に今やっておりますので、そういったことをより効果的にやれればということで「協力関係の下」というようなことを書かせていただいております。

【木村座長】
 5ページのその部分については少し工夫をしてみます。うまくいくかどうかわかりませんが。
 橋本さん、何かありますか。

【橋本部長(JBIC(ジェイビック))】
 では、少しだけ。コメントというよりは感想を述べさせていただきたいと思います。
 まず、幾つか書かれていることの中で、実は既に私どもも、援助機関側の役割ということで書かれている部分で少しやり始めている箇所もあるので、幾つか紹介させていただきますと、6ページの下のほうですが、「我が国の大学経営・運営に関するノウハウ」の共有化、情報発信ということにつきましては、実は、対中国円借款で内陸部人材育成事業をやっているんですが、その中で立命館大学と連携いたしまして、日本の大学運営のノウハウを中国の大学の経営陣に伝えるというような研修コースをつくって、既に研修を始めております。これは、そのプログラムの作成の段階でかなり立命館大学のほうで工夫をされたようで、その内容というのはおそらく中国以外の国の大学経営にも参考になるようなコースになっているのではないかと思います。
 それから、7ページの国際開発協力人材の育成という中で、「開発現場における学生のインターンシップ」ということは、これも私ども、二年前から大学からインターンを受け入れるというようなことを始めておりまして、東京で少し研修していただいた後で現場にも行ってもらうということを、既に、そんなに私ども大きな世帯ではないので大人数はできませんけれども、毎年10名ほど、やっております。
 それから、私どもの仕事上、非常にありがたいことが提言されているということを幾つか申し上げておきますと、私ども、いわゆる委託ベースで大学にいろいろ連携をお願いするというようなケースを最近かなりの規模でやっているんですけれども、その関係で大学サイドでプロジェクト・コーディネーター、そういった方を育成していただくとか、それから、これは10ページの、大学のプロジェクト受託への参画のためにということで、教員組織とか事務組織の対応ができるように強化されるというようなことは、私どもの大学との連携の促進のために、大学サイドの努力としてやっていただけると、非常に我々はやりやすくなるなというぐあいに思っております。
 その関連で、9ページのほうの実証実験等について、まずは文科省さんのほうの予算でサポートセンターということになるんでしょうか、やられるということのようですけれども、おそらく、そういったことが実現いたしますと、ある程度、途上国での土地カンを掴んでいただいた上で開発プロジェクトに参画していただくということが可能になるので、これも私どもの円借款の仕事で大学との連携を深めていく際に非常に役に立つのではないかというぐあいに思います。
 それから、この報告書を受けて、私どものほうでもやっていきたいということは、まさに「知的コミュニティ」の形成ということで、私どももそのメンバーとして入っていくようにしていきたいなと思っております。それで、サポートセンターの中で目利き人材からアドバイスをというようなことにつきましても、もしそういうご期待があるのであれば、積極的に参加していきたいというぐあいに思います。
 それから、全般的に、大学への期待ということで、別にこれは報告書について注文ということではないんですけれども、8ページの「大学の知を活用する意義」というところで、いわゆる地球的規模の困難な課題について知的貢献が求められているんだと。そこに大学の活動の意義があるという。全くそのとおりだと思うんですけれども、こういった最近非常に重視されている地球的規模の問題以外にも、円借款に限らず日本のODAのかなりの部分を占める伝統的なインフラにつきましても、実は非常に難しくて学際的な取り組みが必要で、かつ非常にチャレンジングな、おそらく大学の関係の皆さんにとってもチャレンジしがいのあるイシューというのがいっぱいありますので、そちらのほうも取り込んでいただければという期待を申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。

【木村座長】
 ありがとうございました。
 千野さん、何かありますか。

【千野委員】
 私も何か言わないといけないので……。

【木村座長】
 いや、「知的コミュニティ」というフレージングだけでも大変な貢献です。

【千野委員】
 感想ですけれども、最初、事前にいただいたときは、表紙に「国際社会における責務を果たす」という一文がなかったんですけれども、これがついたことで、非常にいいなと感心しました。
 それから、日ごろは私、荒木委員に賛同することが多いんですけれども、大学発ODA、これはこれで非常にいいんじゃないかなと。つまり、予算獲得というよりも、今、さまざまな形でODAが問題になっていると。そういう中で、大学発のODAはこうなんだということを極めて的確に象徴的に言って、これはこれでいいかなというふうに私は思いました。
 もう一つ、さっきのインプリメンテーションのことなんですけれども、これがぴったり10ページで終わっているので、これはこれでいいのかなとも思ったんですが、「はじめに」に呼応して、終わりがあるとより締まるのかなという気もしないではないですね。特に「サポートセンターの抜本的見直し」は、どこか減らせないかなと思って読んでみると、説明が結構冗長になっている気がいたします。だから、ここは、何か削れるのかなと。そして、4ページ目の「本報告書においては……今後、速やかに……提案している」というこの一文は、本報告書において提案した、これをやっていきたいとすれば、そのまま使えるのかななどと思ったりしましたけれども、別に特にこだわっているわけではありません。

【木村座長】
 ありがとうございました。
 どうぞ、工藤さん。

【工藤(智)委員】
 3点ほどですけれども、渡辺先生がご指摘されて、幾つかご意見が出ました、2ページの上の、国家の能力形成云々のところですが、4ページの箱の1のところをみると、この単語というか表現が何となくぎくしゃくしていますね、「途上国国家の能力構築ニーズの高まりといった流れを踏まえ」というのは。よく考えればわかるんですけれども、すんなり読んでくれないかもしれないなというような気がしましたので。4ページについて言えば、場合によっては、若干ぼやっとしていますが、「途上国における国づくりに伴う各種ニーズの高まりといった流れを踏まえ」という、そういう代案もあるかなという気がしました。
 それから、さっきからいろいろ、代案を示さなきゃいけないので考えていたんですが、7ページの下の4ですけれども、日本語教育の充実、これは大事なことだと思いますが、その1行目と2行目のセンテンスが、根暗な外国人がいて寂しそうだから何かやってやろうじゃないかという若干ネガティブな感じがあるので、もうちょっとポジティブにできないかなと思います。代案として、例えば、「日本語学習支援」の前までをこんなふうな言いぶりでどうかと思いましたのは、「外国人が近隣住民等とも日常的なコミュニケーションを図り、日本滞在を友好的で実り多いものとするための一助として」ということで後に続けるというか。要は、寂しいから引っ張り出すというんじゃなくて、せっかくいらっしゃるんですから、親日家になってほしいわけですし、そのために日本語教育というのは大事。アメリカなんかではどこへ行ってもセカンドランゲージで教えていますね。そういうことを日本でも地域レベルでやったらどうかというのは大事なことだと思いますので、いかがでしょうかということでございます。
 それから、3点目は、8ページの上の(1)なんですが、第1段落で、まず4行目の「未だ未解決の課題も多い」というのは日本語的に正しいのかどうかですが、マイナス・マイナスでプラスにならないように。「未だ解決していない課題も多い」なのか、「未だ」を取って、ただ「未解決の課題も多い」にするのか、そこは国語的な問題ですが。
 その次のセンテンス、「我が国の知的源泉である大学の知を有効活用し」というと、大学の先生方も結構面映ゆく思われるかな、あるいは、大学に批判的な方からすれば、日本の大学ってそんなに知的源泉かねというような声もないわけではないかもしれないということを考えますと、「知的貢献を果たすためには」の後ですけれども、例えば、「我が国の」を取って「知的源泉として大きな責務を有する大学」。「の知」というのを取って「大学を有効活用し」と。もう一回言いますと、「知的貢献を果たすためには、知的源泉として大きな責務を有する大学を有効活用し」、これこれの視点が必要であると。さらりと、大学に期待されているのが多いんだよというのがわかるようにしたほうがいいのかなという気がいたしましたが。全く私見です。

【木村座長】
 元高等教育局長のお言葉と思えませんが。

【渡辺委員】
 おっしゃるとおりです。

【木村座長】
 おっしゃるとおりですね。まだ現状ではなかなか知的源泉であるとは言い切れないかもしれませんね。
 どうぞ、内海先生。

【内海委員】
 6ページと7ページの両方に出てくる表現ですが、6ページ目の上の3では「基礎教育協力に携わる援助機関、NGO、コンサルタント、教育関係者及び行政機関等」となっています。同じような7ページ目の1のところでは「NGO、コンサルタント、大学関係者等」と、ちょっと言いぶりが違います。

【木村座長】
 これは難しいですね。

【内海委員】
 ええ、ここのところの整合性を考えたほうがよいのではないかと思います。
 それから、今、千野先生からお話があった、10ページの最後の(4)のサポートセンターのところですが、「抜本的見直し」という、すごく強い言葉で、何か解体するようなイメージがあるものですから、もう少し別の表現のほうがいいのかなという気がいたしました。
 それから、目利き人材ですが、これは援助機関や大学のOBのシニア人材のことを目利き人材と呼ぶように読めるのですが、そういうことでよろしいのでしょうか。要するに、OBを活用せよということとしてこれを書かれているのでしょうか。

【大山国際協力政策室長】
 というだけではございません。そういう方々も活用してということで、いろんな幅広い年齢層、ご経験の方をということで考えております。

【木村座長】
 「も」と言っただけで……。

【内海委員】
 なるほど。目利き人材というのがちょっとわかりにくい表現かなという気がしました。
 それから、ちょっとここが冗長だということの理由の1つは、最後の4行の、「また、大学として」以下が、サポートセンターのことを述べているところに、大学がこうしなさいというようなことが入ってきているからだと思います。
 以上です。

【木村座長】
 どうぞ、荒木さん。

【荒木委員】
 とんでもないことを言うのかもしれませんが。表紙のところは、千野さんが言っていることもよくわかりますが、ただ、この中に4行、「国際社会における責務を果たすため」云々とありますけれども、これを読んでいって、非常にそれなりすんなり立派なことだと思うんですけれども、タックスペイヤーにとってみて、我が国にとっては大学を活性化するという政策的意義はわかるんですけれども、一般的には我が国の国際的な人材形成というか人脈形成というか、あるいは、我が国の国際的な人材ネットワークの構築というか、それにも資する国益的な観点というのをもうちょっと出していかないと、今のこのご時世で非常に迫力がないんじゃないかなという気もするんですね。「ODA大綱」でいう世界の平和と安定に寄与することを通して我が国の平和と繁栄にも寄与するということと相通ずるものが流れとしてあるような気がしてならない。

【木村座長】
 わかりました。確かにおっしゃるとおりだと思います。その辺のところは少し考えたいと思います。
 よろしゅうございましょうか。
 それでは、一通りご意見をいただきました。相当たくさんのご意見をいただきましたので、もう一度事務局と相談をして修文をさせていただきたいと思います。今の荒木さんのご意見をどういうふうに取り入れるかは難しいところはありますが、趣旨は私、大賛成でありますので、考えさせて下さい。
 大山さん、これを完成させて、具体的にどういうところに配付するんですか。

【大山国際協力政策室長】
 やはり大学ですとか、あるいは教育委員会等、大学に限らず教育関係で、今後こういう活動をしていただきたいところを中心にというふうに思っております。援助機関さんとか関係の、ここに名前が出てきておりますようなところにはもちろんお配りしたいと思っておりますし。

【木村座長】
 それから、先ほども出ましたが、英語のバージョンはつくるのですか。

【大山国際協力政策室長】
 つくるようにしたいと思っております。

【木村座長】
 できるだけつくって、外国にも、こんなことを考えているんだというメッセージを発信したほうがいいと思います。
 どうぞ。

【渡辺委員】
 千野・荒木論争が続いているわけですけれども、この点は、かなり重要ですよね、タイトルに何とつけるか。僕もどちらかというと荒木さんに近い。つまり、一案として、「知のODA」というタイトルにして、サブタイトルが「大学の国際貢献を求めて」はどうでしょうか。

【木村座長】
 私も、「大学発ODA」をサポートしました。ODAというと一般的にはネガティブにとらえられるので、ここでその言葉を使うのはどうかなと思ったのですが、まさしく「知のODA」という意味で強く推しました。それを含めた感じで言ったんですがね。

【渡辺委員】
 知的支援というのはちょっと狭いと思うんですね。

【木村座長】
 何か月並みですね。

【渡辺委員】
 ええ。ODAというと、お金とかインフラとか、そういうイメージが非常に強くて、それが最近ではネガティブイメージとなっているんですよね。「知のODA」とつけると、日本のODAの中にはもっとふくよかな要素があるんだよと、そんな感覚が出てきはしないかな。それで、サブタイトルで、「大学の国際貢献を求めて」かな。「に向けて」でもいいと思うんですが。まあそんな感じのほうがいいかなと思いますね。

【木村座長】
 わかりました。全員の皆様に御満足頂ける報告書を作るということは至難の技だと思いますが、事務局と相談して、今、渡辺先生のご発言になったことについては少し考えてみたいと思います。
 ほかによろしゅうございましょうか。これだけ包括的なレポートが出たのは初めてですから、大きなイsンパクトが出てほしいと思います。
 それでは、次回の予定等について、事務局からよろしくお願いいたします。

5.事務連絡

 次回(第8回)は、8月30日(水曜日)11時から12時、如水会館に於いて開催する。

-了-

お問合せ先

大臣官房国際課国際協力政策室

(大臣官房国際課国際協力政策室)