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資料13

我が国の教育経験について

[職業教育]



我が国の高等学校における職業教育について


1.概 要

 我が国においては、職業(技術)に関する専門教育は、主に高等学校の職業学科(専門高校)及び総合学科、高等専門学校、大学、専修学校等において行われている。
 また、高等学校における職業教育は、農業、工業、商業、水産、家庭及び看護に関する学科をおく専門高校を中心に行われており、約91万人(全高校生の約22%)の生徒が学んでいる。平成15年度から実施される新しい教育課程においては、高度の情報技術者の育成を目指す専門教科「情報」と介護サービスに対応できる人材の育成を目指す専門教科「福祉」が創設された。

 
2.我が国の職業(技術)教育の特色

(1) 単線型学校体系の一類型としての職業教育の実施
 我が国の学校教育は、ドイツのような普通教育と職業教育を別の学校体系で行うものとは異なり、基本的に単線型の学校体系をとっており、職業教育もその一類型として実施している。しかし、同じ単線型の学校体系をとるアメリカでは、ほとんどの高校生が広く薄く職業教育を受けているのに対し、我が国の専門高校では、職業科目を約3〜5割履修させており、充実した職業教育が行われている。
 なお、高等専門学校等、単線型の例外となる教育機関も存在するが、その修了者は大学への編入学が可能であり、単線型の教育機関への移行の途が開かれている。

(2) 学校を中心とした職業教育の実施
 ドイツにおいては、職業教育は企業等における実習を中心に行われているが、我が国の職業教育は、学校に実習施設を整備し、基本的に学校内において、座学と実習を並行して行うことにより、知識と技術の統合を図っている。

3.振興施策

(1) 教育課程の改善
1  専門性の基礎・基本の重視
… 教育内容の厳選(各教科・科目の内容、内容の取り扱いを明示) 等
2  生徒の選択幅の拡大
… 専門教科・科目の必修単位数の削減(30単位以上→25単位以上) 等
3  社会の変化や産業の動向への対応
… 職業に関する新教科として「情報」「福祉」を新設 等


(2) 実験実習施設・設備の整備に対する助成
 高等学校の設置者が産業教育のための実験実習施設・設備の整備を図るために要する経費の一部を助成。
 平成14年度予算額:93億18百万円

(3) 教員研修
1  指導者養成講習
… 産業技術の革新に適切に対応できるよう、各都道府県における産業教育担当教員の指導者を養成。
2  産業教育内地留学
… 産業教育担当教員が長期間にわたって大学や企業等において研修。


(4) 大学入学者選抜における専門高校卒業生選抜及び推薦入学の拡充
 専門高校・総合学科卒業生選抜(専門高校・総合学科卒業生を対象として職業に関する教科・科目の学力検査の成績などにより合否を判定)や専門高校・総合学科卒業生を対象とした推薦入学の拡充について、大学に要請。

(5) その他の支援施策
1 全国産業教育フェアの開催
 全国の専門高校生の作品の展示等各種行事により、産業教育に対する理解・協力を促し、高等学校における産業教育の活性化を図るため、平成3年から実施。
2 専門高校と小・中学校との連携推進事業
 専門高校と小・中学校との連携による農林水産業体験やものづくりなどに関する教育の推進についての実践的な調査研究を実施。


生涯を通しての職業教育

生涯を通しての職業教育

専門高校の現状について


1 高等学校学科別生徒数・学校数(平成13年5月)
区分 生徒数(人) 比率(%) 学校数(校)
 合計 4,053,627 100.0 5,479
 普 通 科 2,960,287 73.0 4,272
職 す
業 る
教 学
育 科


小 計 906,137 22.4 2,064
農 業 113,103 2.8 381
工 業 355,193 8.8 657
商 業 338,295 8.3 909
水 産 12,163 0.3 48
家 庭 68,091 1.7 423
看 護 19,292 0.5 137
他の専門学科 105,851 2.6 619
総 合 学 科 81,352 2.0 160

※ 全日制・定時制のみの統計である(通信制は含まれない)。


2 高等学校学科別生徒数の構成の推移

高等学校学科別生徒数の構成の推移


○ 普通科・職業学科別大学等進学率の推移
普通科・職業学科別大学等進学率の推移


○ 普通科・職業学科別就職率
普通科・職業学科別就職率

高等学校卒業者の進路状況(平成13年3月卒)

高等学校卒業者の進路状況(平成13年3月卒)
単位:人(%) ※就職者には就職進学者は含まれない。


高等学校教育課程のイメージ

高等学校教育課程のイメージ


産業教育施設・設備の整備について

1.概要


 産業教育の振興を図るため、産業教育振興法に基づき、高等学校における産業教育のための実験実習の施設・設備の整備等に要する経費の一部を国が補助するもの

(1) 補助率
 施設・設備:1/3〔沖縄6/10〕

(2) 補助の対象
 基準設備・一般施設整備事業、普通科等産業教育設備整備事業、専攻科施設・設備整備事業、特別装置整備事業(事業費が公立1,000万円、私立500万円以上で、施設と一体の設備)、農場施設整備、実習船整備


2.予算の推移

(単位:百万円)
区分 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度
施設 12,098 10,991 10,196 9,989 8,390
公 立(本土) 10,536 9,798 9,197 8,406 7,280
私立 748 723 723 578 521
公 立(沖縄) 814 470 276 1,005 589
設備 1,450 1,305 1,240 992 896
 公立 1,280 1,152 1,094
私立 170 153 146
経 常 費 28 29 30 31 32
13,576 12,325 11,466 11,012 9,318


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