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資料5

国際教育協力における我が国の教育経験の活用について


(資料5.1) 我が国の教育経験の活用に関する基本的な取り組み方
   
(資料5.2) 今後の分野別の国際教育協力の取り組み


資料5.2

分野別の今後の国際教育協力の取り組み

1.理数科教育
  我が国に多くの知見や経験があることが途上国にも広く知られている分野であり、我が国による協力例も多い。初等中等教育分野における我が国の主要な協力分野として、引き続き協力のニーズが高いと予想されるところ、これに対応するための効果的・効率的な取り組み方法(協力経験の共有化と伝達)について検討を進めていくことが重要。

2.教員研修制度
  理数科教育プロジェクト等のなかで、教員研修制度の構築に協力してきた経験あり。理数科教育と併せ、効果的・効率的な取り組み方法(協力経験の共有化と伝達:研修の設定方法、内容、期間、教員の参加を促すインセンティブのあり方などを含む)を検討していくことが重要。

3.環境教育
  環境教育に対する取り組みは途上国ごとでまちまちの状況。まずは、自然科学的な側面からの取り組みを中心に途上国のニーズに応じて協力経験を蓄積していくことが大切。

4.幼稚園教育
  途上国においては、適切な就学前教育が重要であるが、具体的に幼稚園に期待されている内容は、保育から就学準備まで一様ではない。ただし、発達段階が異なる就学前の幼児に対し、個々の状態に応じて指導する我が国の教育実践は広く途上国にも応用が可能。国際協力活動で活動できるような幼稚園教員の派遣要請に対応できるよう、今までの実績や事例をもとに協力について検討を進めることが重要。

5.健康教育(学校保健・学校給食を含む)
  保健機関の整備が遅れている途上国では、子どもの健康管理に学校が果たしうる役割は大きい。県・郡の教育管区を対象に、各学校で健康教育を担当する教員の研修や、学校に対する巡回指導などの協力が考えられる。
健康教育に関するこれまでの協力経験は少ないものの、潜在的なニーズが高い分野と考えられるところ、現地における短期間の研修など、対応可能な範囲から協力のあり方について検討を開始することが大切である。

  なお、中間報告において、「我が国の教育経験のある分野については、ユネスコ等の国際機関を通じた多国間の協力にも生かしうる」と指摘されていることも踏まえ、健康教育に関しては、世界食糧計画(WFP)及びユネスコとの連携を進めていく。

6.家庭科教育
  我が国では家庭科が男女必修となっているが、かつては女子の就学のインセンティブの一つとなっていた時代もある。途上国の現状に照らせば、家庭科教育を女子の就学率向上のための工夫の一つとして位置付けることも可能。ただし、途上国においては、家庭科の設置状況もまちまちであるところ、現地の事情を踏まえつつ、将来的には、途上国の学校教育における総合的なニーズへの対応の一分野として検討していくことも考えられる。

7.学校施設
  学校の実態調査に基づく中長期的な施設計画の策定手法について、我が国としての経験の蓄積あり。また、学校施設と地域の社会施設を一体化した効果的な教育方法についても多くの事例とノウハウがある。我が国における学校建設に関連する協力において、計画策定手法も含め、幅広くその経験と知見の活用を進めていくことが重要。

8.女性教育
我が国では、長年に亘り、女性団体等が実施する各種の研修、交流、情報提供などに対する支援を通じて、女性のエンパワーメントの向上を進めてきた経験がある。
また、独立行政法人国立女性教育会館では、関係団体と協力し、途上国の女性を対象とした研修コースを実施している。ただし、途上国では女性団体の状況や性格などが多様であるため、当面は、このような国内研修を中心に協力を実施することが考えられる。

9.障害児教育
  我が国は、障害児教育に特化した国立の研究所を有するなど、障害の種類に応じた教育について長年の蓄積がある。障害児は、「万人のための教育」の重要なターゲットであり、途上国からの様々な要請に備えるとともに、途上国の障害児教育関係者(大学、研究者、行政等)とのネットワークや、途上国の学会などを通じた技術アドバイスの提供なども考えられる。

10.職業教育
  我が国の職業教育は、専門高校、高等専門学校、大学、専修学校等において行なわれており、開発に携わることができるエンジニアや技術革新に自ら対応可能な人材を排出してきている。我が国の工業高校の関係者を中心とする協力が現在も進行中であり、今後も途上国のニーズに合わせて協力を検討。また、農業高校についても大きな協力ポテンシャルがある。


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