戻る


資料4

国際教育協力懇談会・「大学による国際開発協力の促進」
に関するこれまでの論点の整理

大学が国際開発協力活動に参加していくことに対する期待

大学(アカデミア)が援助の世界で活躍していくことは、援助要員の幅を拡大し、強化するという観点から、大変望ましい。
国際開発協力に大学が今後は組織として対応出来るようになれば、大変すばらしい。
大学が国際開発協力に組織として取り組んでいくことを出来るだけ積極化する方法と、そのための方策を提言すべき。


「大学における国際開発協力の促進」についての論点

大学における国際開発協力活動基盤醸成の重要性
 
学長の判断によっては大学教官が国際開発協力に従事するのが困難になることもありうるのではないかと懸念。
国際開発協力が、世界の経済と社会の安定に貢献し、国益に繋がるというコンセプトについて、コンセンサスが必要。
大学や大学人が国際開発協力に携わることを積極的に評価するシステムが必要。


国際援助機関との関係構築の必要性
(国際援助機関との関係構築)
 
国際援助機関のプロジェクトに入札し、落札することは容易ではなく、営業活動が必要。
各大学及び研究所の比較優位を明らかにするとともに、専門家のロースター等を作成し、そこでマッチメイキングを行う体制が必要。
国際開発協力プロジェクトを受託していくためには、MDB(※1)の職員との個人的な接触、情報交換が非常に重要な側面を持ってくる。
大学からMDBの職員として2,3年出向し、ノウハウや人脈を形成する、ということも考えられる。
  (※1)MDB: Multilateral Development Bank (国際開発金融銀行)

  (国内の援助機関に求められる対応)
 
JICA、JBICにおいても、大学とのパートナーシップについて議論が必要。
JICA、JBIC等のODA実施機関が大学を通じた国際開発協力を本気でやるのであれば、そのための登録制度の整備等の決意が必要。
JICAの開発調査やプロジェクト形成調査、JBICの有償資金協力促進調査、プロジェクト評価など、調査研究業務において大学をもっと活用すべき。


国内大学間、大学とコンサルタント企業、海外の大学間の連携促進の必要性
(連携の対象)
 
国際開発協力プロジェクトを受注するには、日本の大学同士が連合体を組むのも有効。
米国の大学連合が日本の大学に対し開発プロジェクトのパートナーとしての連携を提案してきた例がある。
大学と民間コンサルタントの共同受注の方式をとれば、レベルも一層高くなる上、関連する民間のコンサルタントの質も上がってくる。
途上国にある研究機関、コンサルタントとの緊密なる技術及び情報交換等が必要。
   
  (連携の方法)
 
人材バンクを整えていく方法について検討が必要。
コンサルタント企業としては、どこにどういう専門の大学教官が所在するのか、データベース化してもらえると連絡しやすい。
大学とコンサルタント業界の交流というものを、人事交流の面からも促進できる。


大学における実務能力の向上の必要性
 
国際援助機関における仕事の進め方を理解して、プロジェクト発注者がやりやすいような知識や技術を提供する必要あり。
レポートライティングやコミュニケーション、会議に出席して関係者とともに意見をまとめていけるようなスキル等が必要。
企業コンサルティング協会としては、コンサルタント企業の中に蓄積されている、事務方のバックアップ、契約書の作成、契約の交渉等に関するノウハウに関し、大学関係者向けの研修を実施することができる。


分野別の国際開発協力戦略の形成の必要性
 
日本の「売り」を生み出さなければならない。
分野別に知力を結集した戦略策定を行う調査研究拠点の整備が必要。
分野別のコンソーシアムで大学の連合体を形成しておいた上で、さらに、企業や他の国の大学との連携を模索することも考えられる。
日本の援助は現場では非常に評価されているものの、それが、その国の政府レベルや国際社会にまでは届かない等の批判がある。いろいろなフォーラムやシンポジウムを開催することにより、国際的に発信を行っていくことが必要。


大学における国際開発協力活動のためのサポートセンターの必要性
 
中核となり、サポートサービスを提供するセンターが必要。
コンソーシアム、あるいは、特別の組織が必要。
米国の大学には、外部資金の受託事務に関するサポート体制が非常に発達している例があり、専門家のロースターの作成や、案件開拓のためのマーケティング、プロポーザルの作成、契約書の交渉終結、事業実施の管理など、様々な活動を行っている。また、米国の6つの高等教育機関協会が中心となり、ALO(※2)という、国際機関促進のための全国ネットの組織をつくり、USAID(※3) との協力協定の管理や、公募案件の周知徹底、広報などを行っている。
 
(※2) ALO: Association Liaison Office for University Cooperation in Development
(※3) USAID: US Agency for International Development (米国国際開発庁)


その他

ODA総合戦略センターの必要性
 
長期的な視野でオールジャパンとしてのODA総合政策・戦略を研究する研究機関の設定というものも将来に向けて必要。


 

ページの先頭へ