平成28年5月20日(金曜日)14時00分~15時30分
文部科学省 3階 1特別会議室
有馬座長 井川委員 櫻井委員 高橋委員 中尾委員 丸委員 宮崎委員 宮野委員 山本委員
馳文部科学大臣 冨岡文部科学副大臣 土屋文部科学事務次官 戸谷文部科学審議官 田中研究開発局長 明野もんじゅ改革監 板倉大臣官房審議官(研究開発局担当) 信濃開発企画課長 岡村原子力課長 高谷研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当) 次田「もんじゅ」の在り方検討対応室次長 (説明者) 日本原子力研究開発機構 児玉理事長 青砥理事/もんじゅ所長 荒井もんじゅ運営計画・研究開発センター計画管理部長
「もんじゅ」の在り方に関する検討会の第8回を開催させていただきます。
皆さん,お忙しいところ,御出席いただきありがとうございます。
第8回の検討会開催に当たりまして,馳文科大臣が御出席でいらっしゃいますので,御挨拶を頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
本日もありがとうございます。これまで7回にわたり,「もんじゅ」について原子力規制委員会から頂いた勧告に関して,総括の議論もし,そして在り方論を深めてきたわけであります。本日は山場だと思っております。本日は報告書を,改めて皆さんにも課題について議論いただいて,できれば取りまとめをしていただきたいと思っております。
原子力規制委員会から頂いた猶予は,半年をめどにということでありました。昨年の11月から,本日は5月20日でありますので,もう既にほぼ半年というめどはたったと思っております。この間,精力的に検討会を開催することによって,問題点も明らかにしていただき,同時に,「もんじゅ」の現場の声,また児玉理事長等から御意見も頂いたところであり,この間,マスコミの皆さんには全面公開ということで御理解いただき,傍聴の方にも見守っていただき,今日に至ったと,このように思っております。
我々に与えられた重大な責任を果たしていくためにも,今後とも,この検討会の議論を踏まえて取り組んでまいりたいと思います。
本日もどうぞ最後まで,よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
大臣,どうもありがとうございました。それでは,事務局から出席者の紹介をお願いいたします。
本日,委員は全員御出席を頂いております。また,本日も,日本原子力研究開発機構児玉理事長,青砥理事,荒井部長に出席を頂いております。
それでは,事務局から配布資料の確認をお願いいたします。
議事次第の中に,配布資料がリストアップされています。配布資料として,資料1「『もんじゅ』の運営主体の在り方について(案)概要」,資料2「『もんじゅ』の運営主体の在り方について(案)」を配布しています。
資料の過不足等ございましたら,事務局までお知らせください。
また,本日は,机上配布資料として,第7回の議事録をお配りしています。委員の皆様には既にメールで御確認いただいたものですが,修正等ございましたら,5月24日までに事務局までお知らせください。その後,ホームページに議事録を掲載させていただきます。
また,あわせて,机上配布資料として,「もんじゅ」の在り方の検討に関する,意見書とか要望書を頂いており,それを配布させていただいています。福井大学,福井工業大学,福井県議会,それから「もんじゅ」に関する市民検討委員会とございますので,御参照いただければと思います。
以上です。
それでは,本日の議題の「もんじゅ」の運営主体の在り方についてに入りたいと思います。前回の検討会で,「もんじゅ」の運営主体の在り方について,これまでの検討会で頂きました御意見を骨子案として取りまとめたものを議論していただきました。今回は,頂いたコメントも反映しながら,前回の骨子をベースに報告書案として取りまとめましたので,その内容について議論いただきたいと思います。
初めに,報告書案の概要について,事務局から説明をお願いいたします。
それでは,お手元の資料1を御覧ください。「『もんじゅ』の運営主体の在り方について(案)概要」です。今回のこの在り方についての取りまとめの報告書ですが,四つの章で構成されています。
まず1番目,「はじめに」ということで,高速増殖原型炉「もんじゅ」の政策上の位置付け,原子力規制委員会の勧告について,「もんじゅ」の在り方に関する検討会についての記載です。
また,第2章として,資料真ん中左手です。「もんじゅ」に関する主な問題ということで,保守管理に係る不備の問題に加え,その背後にある組織的要因に関する検討を集中的に実施し,現状における「もんじゅ」の運営に係る問題を検証・総括ということで,8項目挙げています。
拙速な保全プログラムの導入,脆弱(ぜいじゃく)な保全実施体制,情報収集力・技術力・統率力の不足,長期停止の影響,人材育成に係る問題,社会的要請の変化への適応力の不足,原子力機構の運営上の問題,監督官庁等との関係の在り方。
また,その右側です。第3章として,抽出された課題と「もんじゅ」の運営主体が備えるべき要件ということで,「もんじゅ」の運営主体は,運転・保守管理の適切な実施を組織全体の目標と明確に位置付けた上で,以下の要件を具備する組織であることが必要ということで,5項目挙げています。
研究開発段階炉の特性を踏まえた保全計画の策定及び遂行能力,現場が自律的に発電プラントとしての保守管理等を実施するための体制,実用発電炉に係るものを含めた有益な情報の収集・活用体制,原子力機構により培われた技術の確実な継承と更なる高度化,社会の関心・要請を適切に反映できる強力なガバナンス。
そして,一番下です。第4章,「おわりに」ということで,原子力規制委員会の勧告を契機として,「もんじゅ」の運転再開に向けた体制を検討することができる最後の機会。新たな運営主体については,「もんじゅ」が置かれている厳しい状況を十分に認識した上で,要件を適切に満たすことのできる体制・仕組みを整えることを期待ということです。
概要は以上です。
どうもありがとうございました。各章の具体的な中身については,後ほど御議論いただくことにいたします。まずは全体構成について御意見がありましたら,頂きたいと思います。全体構成について御意見ありましたらどうぞ。
ないようですので,続きまして,報告書案の具体的な内容についての議論に入りたいと思います。それぞれの章について,お気付きの点があれば,御意見をお願いいたします。
まず第1章,「はじめに」について,事務局から内容の説明をお願いいたします。
それでは,資料2に基づいて,章ごとに御説明させていただきます。
資料2「『もんじゅ』の運営主体の在り方について(案)」を1枚めくっていただきますと,目次がございます。この目次の次から,1ページということで,1番,「はじめに」の章です。この章では,まず(1)高速増殖原型炉「もんじゅ」の政策上の位置付けということで,第1段落では,エネルギー資源の乏しい我が国での長期的なエネルギー安定供給の確保を目指して推進してきた。特に高速増殖炉サイクルは,「常陽」,「もんじゅ」が初臨界を達成するなど,研究開発が進められてきたということ。
また,第2段落では,平成25年9月に策定した「もんじゅ研究計画」に触れています。位置付けとして,丸1,高速増殖炉技術開発の成果の取りまとめ,丸2,廃棄物の減容・有害度低減などを目指した研究開発,丸3,高速増殖炉・高速炉の安全技術体系の構築を目指した研究開発の3点を担う中核的な研究開発の場として,「もんじゅ」の研究計画を策定しているというところです。
1ページ後半に,2項目あります。これは,「もんじゅ研究計画」の中からの引用です。
国内における「もんじゅ」の位置付けということで,将来の不確実性に備える観点から,以下のエネルギー資源確保と廃棄物対策の両面において技術的実証を行い,我が国としての技術的選択肢を確保するということで,2点。次に,実存するプラントでの実証としてアクシデントマネジメントやリスクマネジメントの実証のためのデータの提供。さらに,原型炉として研究開発段階にある「もんじゅ」を適切に管理・運転していくためのマネジメント手法の確立ということ。
また,世界における「もんじゅ」の位置付けとしては,1番目に国際研究拠点としての位置付け,国際貢献の観点からも重要な施設であること,実規模レベルでの照射が可能な施設であるということを記載しています。
2ページです。以上を踏まえて,平成26年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」において,廃棄物の減容・有害度の低減や核不拡散関連技術等の向上のための国際的な研究拠点と位置付け,これまでの取組の反省や検証を踏まえ,あらゆる面において徹底的な改革を行い,もんじゅ研究計画に示された研究の成果を取りまとめることを目指し,そのため実施体制の再整備や新規制基準への対応など克服しなければならない課題について,国の責任の下,十分な対応を進めるとされているところです。
(2)原子力規制委員会の勧告についてということで,ここでは,昨年11月13日の原子力規制委員会からの勧告,この勧告について,2項目を枠囲みで改めてここで記載しています。
3ページ,勧告に至った背景として,4項目を挙げています。平成7年のナトリウム漏えい事故後,安全性総点検の実施,地元自治体からの了承,ナトリウム漏えい対策に係る改造工事等を経て,平成22年5月に「もんじゅ」は試運転を再開したが,以下の経緯により,現状に至っているということで,丸1として,平成20年10月,保全計画に基づく原子炉の保守管理制度の導入の決定と,短時間での保全計画の策定について,大きく三つ記載しています。
平成20年8月,当時の原子力安全・保安院の保全プログラムの導入決定,平成20年10月,「もんじゅ」に対しての導入が急きょ決まったということ,「もんじゅ」の保全計画は策定期間が短期であったこと,長期の運転停止により十分な経験が蓄積されていなかったことなどを書いています。
丸2として,平成22年5月の試運転再開,同年8月の炉内中継装置の落下トラブルの発生ということで,事実を記載しています。
丸3として,落下トラブルへの対応と平成24年11月の多数の点検不備の確認ということで,トラブル対応のため,予定された点検間隔における機器の点検等ができない状態になったということ,原子力規制委員会発足後の平成24年9月の保安検査で約9,000点の機器の点検に係る不備が確認され,平成24年11月に原子力規制委員会に報告したことを記載しています。
丸4として,平成24年12月及び平成25年5月,保安措置命令等の発出ほかということで,平成24年12月の,原子力規制委員会が日本原子力研究開発機構に対して点検時期を超過している未点検機器の早急な点検等を指示する措置命令等の発出,その後,日本原子力研究開発機構より報告を行ったが,十分に対応できておらず,平成25年5月に改めて措置命令等が発出されたこと,これらの保安措置命令等以降の保安検査においても,不十分な保全計画に基づき行っていた点検や過去の対応の誤り等を指摘されてきたということを記載しています。
(3)「もんじゅ」の在り方に関する検討会についてということで,この検討会が平成27年12月22日の文部科学大臣決定に基づき開催することになったこと,また,この検討会での具体的な検討事項とか,この検討会では平成27年12月から会合を開いて検討をしてきたということを記載しています。
第1章については以上です。
どうもありがとうございました。それでは,ただいまの説明に対して御意見のある方は,挙手して御発言いただきたいと思いますが,いかがでしょうか。御意見ございませんか。
丸委員。
少し細かい点で恐縮ですが,3ページの丸1の星の三つ目で,「もんじゅ」の保全計画は策定期間が短期間でうんぬんとあります。それで,「従前の点検内容やメーカー推奨等を基に実用発電炉の規格をほぼ準用して」とあります。この「メーカー推奨等」という意味が,このまま読むとメーカーが保全計画の策定に参加しているように見えてしまいますが,実際には参加していないわけで,ここは機器のマニュアル等を参考にしたという意味だと思いますので,「機器仕様等を基に」程度の表現にした方が良いかと思います。
何かそれに対して御回答ありますか。
ここは文部科学省が執筆されたものですが,ここの意味合いの私の理解は,メーカーが作った要領書とか取扱説明書等で,点検の周期等が日本原子力研究開発機構に技術情報として提示されており,それらを用いて作ったという意味で「メーカー推奨」と書かれているのだと思いますので,その部分を誤解を生まないような表現に修正するのがよろしいかと思います。
事務局,何かございますか。
書き方を少し工夫させていただきたいと思いますが,どう書けば良いのか,丸委員と御相談させていただきます。
丸委員,それでよろしいですか。
はい。
ほかに御意見ございませんか。
ないようですので,次に第2章,「もんじゅ」に係る主な問題について,事務局から説明をお願いいたします。
それでは第2章,「もんじゅ」に係る主な問題です。5ページから第2章が始まります。これまでは「もんじゅ」に係る主な課題と整理していましたが,これは「もんじゅ」に関しての問題点であるということで,表現,タイトルを,「もんじゅ」に係る主な問題としています。中身については前回も御議論いただいたところなので,簡単に項目立ての御紹介にとどめたいと思います。
その前に,「もんじゅ」に係る主な問題。検討会においては,今回の原子力規制委員会による指摘を契機に,勧告の発出に至った直接の原因である保守管理に係る不備の問題に加え,その背後にある組織的要因に関する検討を集中的に実施し,現状における「もんじゅ」の運営に係る問題の検証・総括を行ったということで見いだされた問題は,以下のとおりという整理をしています。
(1)として,拙速な保全プログラムの導入ということで,あるべき保守管理の検討が不十分なまま,保全プログラムが導入されたということ。
(2)として,脆弱(ぜいじゃく)な保全実施体制ということで,品質保証,保守管理に関する不十分な理解,PDCAを含め脆弱(ぜいじゃく)な実施体制であったということ。保守管理に係る業務を外部に頼る傾向であったということ。
(3)として,前回は後の方に記載していた技術力・統率力を,前回のコメントを踏まえて,3番目に記載しています。情報収集力・技術力・統率力の不足ということで,初めに,実用発電炉と比べての規制動向や技術情報に対する情報収集力の低さ。2番目に,機器・設備等に関して設計ミス等の不適切な部分を指摘できる技術力の不足。3番目として,複数メーカーが行う保守管理に係る統率力の不足。
(4)として,長期停止の影響。運転保守に関する知見の蓄積が不十分であるということ。長期間停止の中で,経験者の退職,出向者の帰任によるノウハウ等の逸失があるということ。停止の定常化によりモチベーション,マイプラント意識が低下していたということ。
(5)人材育成に係る問題として,高速炉の実用化に向けた道行きが不明確な中での人材育成の困難さがあったということ。プラント保全経験者等のノウハウの定着不足があったということ。
(6)社会的要請の変化への適応力の不足ということで,安全・安心に関する社会的要請や法改正に対する状況把握と対応が不十分であったということ。
(7)日本原子力研究開発機構の運営上の問題ということで,研究開発が優先され,保守管理が十分に重要視されていないこと。これまで繰り返し改革に取り組んできたが,十分な成果が上がっていないということ。
(8)監督官庁等との関係の在り方ということで,監督官庁との間の緊張関係の不足,関係者の責任関係についての不明確さや認識の不足ということを挙げています。
以上です。
どうもありがとうございました。ただいまの第2章について御意見のある委員は,挙手をして御意見賜りたいと思います。いかがでしょうか。
どうぞ,山本委員。
御説明ありがとうございます。この第2章の項目については,これまでいろいろ議論をした内容が,きちんと整理されていると理解しております。
ここに書いていただいている問題は,これまで議論になった,個別の問題をきちんと整理していただいていると思いますが,恐らくもう少し少数の根本原因というものがあって,私の理解では,第3章の始めのところに,運転保守の適切な実施を組織全体の目標としてと,そういうことが書かれていると思います。運転保守の適切な実施が最重要の課題であるということが十分に共有されていなかったということが,非常に本質的な要因の一つであり,それが幾つかの問題,例えば第2章で挙げられているうちの1番,2番,3番などは,そういうところから派生してきている問題だと思います。そういう形で,第2章の最初に根本原因をもし書き込むことができるのであれば,書いていただいた方が,なぜこういう問題が派生的に出てきたのかということが理解できて,全体として分かりやすくなると思います。
以上です。
どうもありがとうございました。ほかに御意見ございませんか。
丸委員。
6ページの最後の星印に,複数メーカーが行う保守管理に係る統率力の不足という題で,企業がそれぞれ建設を担当した設備等の保守管理を請け負っているというくだりがありますが,ここは本質的な問題があると思います。保守管理は事業者が行うもので,メーカー側が保守管理を行うということはないわけです。
もちろん実際には納入設備の点検作業を請け負うことがあることは承知しておりますが,表題にあるように,保守管理をメーカーが行い,日本原子力研究開発機構が統率するという関係ではないと思います。これでは統率だけが日本原子力研究開発機構の仕事のように聞こえてしまいますが,JEAC(電気技術規程),つまり品質管理規程なりQMS(品質マネジメントシステム)の思想から言うと,言い方が変だと思います。
ここの項は,技術的事項をメーカーなどの外部に依存する傾向ということを多分言いたい部分だと思うので,このタイトルの表現は見直した方が良いと思います。
具体的にはどのように直しますか。
例えば「技術的事項をメーカーなどの外部に依存する傾向」という題にすれば良いのではないかと思います。むしろ日本原子力研究開発機構の役割として,保守管理はメーカーが行う,日本原子力研究開発機構は統率すると,そういう関係だということを何か宣言しているようで,少しおかしいと思います。
田中局長。
ここで言いたかったのは,これは「もんじゅ」の場合の特殊性になるかもしれませんが,プラントメーカー4社が分担して建設した結果,各々のところに,もちろん当時の保守管理の主体は日本原子力研究開発機構ということだとは思いますが,実際その作業を,製造したメーカーに,いろいろ請け負ってやっていただいていると。それが各々の形でやられていることについて,本来では統一的に日本原子力研究開発機構で見なければいけないわけですが,それが十分できていなかったということを指摘したい。
ですから単純に依存するというだけではなくて,それが分かれていることに対して,全体として統合できていたかどうかということの問題もあるので,できればそういう点を書き換えて修正いただくことが良いかと思います。
申し上げたかったのは,保守管理の主体は日本原子力研究開発機構という事業者の最重要事項だというのは先ほどもあったとおり,これは法律的にもQMS(品質マネジメントシステム)の規定からいっても,こう書いてしまうと非常に変な感じがするものですから。保守管理をメーカーが行っている,それを日本原子力研究開発機構が統率するという表現に,少し違和感があるということです。
どうぞ。宮野委員。
おっしゃること両方分かるので申し上げたいと思います。このタイトル,保守管理に係る業務を外部に頼るというのは,係るではなくて技術的な問題なのかと思いますが,文章を少し直されたらよろしいのではないかと思います。「プロパー職員が自ら積極的に担うべき業務であるとの認識が希薄であり,技術部分を電力事業者やプラントメーカーを始め,外部に依存する傾向があり,結果として,日本原子力研究開発機構が担うべき保守管理を担当する部署においては」と直されれば明確になるのではないでしょうか。タイトルは直す必要はないと思います。言いたいことはどちらも同じではないかと思いますから。いかがでしょうか。
櫻井委員,どうぞ。
今の点について,詳細な規定がどのようになっているかは改めて確認しないといけないと思いますが,各メーカーが保守管理について請け負っておられるということは,法的に正確なわけです。請負ですね。そうだとすると,日本原子力研究開発機構の方は発注しているわけで,契約の主体ですね。一方の主体で,その請負をされている相手方がメーカーであるということですね。それで,統率力という言葉は若干強いのだけれども,全体を包括する管理能力というか,マネジメントみたいなところが不足していたという,そういう御趣旨だと思うのですね。
ですから,余りいたずらにメーカーの責任を減殺する方向での表現の変更というのは必ずしも適切でないと思っていまして,分担して請け負ってもらっているのであれば,それはきちんと,日本原子力研究開発機構として全体としてどうなっているかということが表れるということが重要なので,そのことは依存という話ともまた別の枠組みでありますので,全体管理とか包括管理とか,そういうような言葉を使われてはどうかなとは思います。
それに対して,何か御意見ありますか。今の宮野委員の修正案に対して,どのように加筆するか,お考えがあれば。
保守管理については私も実態をよく分かりませんが,いろいろなメーカーなり協力会社なりが発注を受けて点検作業を行っているというのは事実ですよね。それで保守管理という言葉が非常に広い意味なので,保守管理をメーカーが行っているとここで言ってしまうのが,非常におかしいと私は思います。同じことが後にも出てくるものですから,ここが大事な点で。
井川委員。
丸委員,少しだけよろしいですか。これ,多分,ここに書かれていることは,私の理解では,建設中のプラントの,今に至るまでの長い時間の保守管理の問題を多分扱っているのだと思うということで,今,丸委員がおっしゃったような現状の保守管理の考え方というのは,途中から,むしろ保全プログラム等の新たなものが導入されて以降,かなり強調されて考えられるようになった考え方,JEAC(電気技術規程)の問題とかがかなり正面から導入されてからの考え方なので,この「もんじゅ」については,その前からの問題もはらんで,今,議論されていると思うので,私は全体的には,そこまで現行のJEAC(電気技術規程)の定義だけに基づいて書き直すというのは,時間軸を考えると無理があるかなというので異論があります。
それで,もし丸委員がおっしゃるようなことがあるとするならば,「複数のメーカーが請け負った保守管理業務」とすれば,これは別におっしゃっているようなことと矛盾しなくなるのではないのかという感じがしますので,それだけ提案させてください。
どうぞ。
済みません,言葉の定義かと思います。保守管理というのは,実際に保全のプランを作って,点検をして,その点検の結果どうだったのかという評価をして,それをもう1回,PDCAで,例えば計画に戻す。それら全体を含めて保守管理という単語を業界では使っているものですから,恐らく丸委員はそこにこだわられている。
実態としては,評価だとか,あるいはプランを作るという,最初と最後の辺りは我々事業者がやり,点検の実施については,我々の責任といいますか,統率の下,メーカーに発注して,請負業務としてやっていただいている。ですから,点検を実施している,点検を請け負っているのはメーカー,これは正しいので,恐らくそこを保守管理という単語一つでくくってしまっているので,こだわられているのかなと思います。以上です。
おっしゃるとおりです。ですから,今,荒井部長がおっしゃったような趣旨で書かれれば,問題ないと思います。
そういう意味では,「複数メーカーが請け負った保守管理に係る点検業務に関する統率力の不足」みたいな言い方がよろしいわけでしょうか。
統率力の問題ですか。問題がそこにあるのかというのが,次に疑問になるのです。つまり,点検作業なり実際の作業はほかの人がやる,それを統率するということが日本原子力研究開発機構の保守管理の責務であるという,何となくまた違和感があります。違和感というか,間違っているように思います。そういう表現がですね。
それは日本原子力研究開発機構が自らの仕事として保守管理を行うのだという意思を明確にしないと,保守管理は誰かに委託しているのだと,それを統率すれば良いのだという立場ではないということを申し上げたいのですね。ですから言葉の表現だけではなくて,少しスタンスがそうであると,これは間違った考えになってしまうと思います。つまり統率者であるという表現になってしまうと,内容としても違うと私は思います。
宮野委員。
今,丸委員がおっしゃったのはそのとおりですが,どこにも保守管理の部分をメーカーなりが担っているとは書いていない。メーカーがやっているのは飽くまでも点検検査の実行だけであって,保守管理全体については日本原子力研究開発機構が担っているということで,反省として「保守管理担当として十分な力量を身に付けるには時間を要し」と,自分たちがそれをやっていると明確にうたっているわけです。
実行だけを委託してやっているのを,それは結果として責任を持ってそれを判断するのが役割だと先ほどおっしゃったとおりですので,ここに余り違和感はないのではないかなと。ただ単に,点検作業を実施していただいているのは請負としてやってもらっているということだと思います。そこがもし疑問であるなら,もう少しそこのところを付け加えて書けば十分なことではないでしょうか。保守管理を行っている日本原子力研究開発機構が,きちんと実力を身に付けていない,若しくは統率できていないというところがあって,不備を生んでしまったと書いているのではないかと思いますし,そういう理解だと思いますけれども。
済みません,これは先ほど申し上げたように,4社が分割して点検していただいているということがあって,そこは本来,共通的にきちんと見られるだけの能力があるということが必要だろうと思っていたわけですけれども,それから先ほど申し上げたように,これは保守管理全部ではなくて,メーカーが請け負っている点検業務という限定を掛けた上で,その上で,統率力というところがもし気にされるということであれば,何か別のいい言葉,用語,ございますでしょうか。
すぐ思い付きませんが,私は,日本原子力研究開発機構が主体的に自ら保守管理を行っているということが明確に表現されていれば良いと思います。それから統率という言葉は,私の理解ではリーダーシップという意味だと思うのですね。リーダーシップというのは,内部の組織に対する責任者のリーダーシップだと思うのですね。統率という言葉が時々出てくるのですけれども,いろいろなことを含めて,統率するというのはニュアンスが強い感じがするのですね。
ですから,内部に向かって統率するというのは,それは非常に大事なことですが,例えばここで,委託している保守管理を統率するという表現は変だと思います。
宮野委員。
多分,田中局長が間違った理解をされていると思います。4社で分担をしているところをまとめるだけが,日本原子力研究開発機構の仕事ではないのです。4社で分担しているところは,飽くまでも作業だけ分担しているのであって,全体をまとめるのもそうだし,その結果を判断するのも日本原子力研究開発機構がやらなければいけないわけだし,やっているはずです。それが保守管理ということで,管理というのはそこにあるわけで,それを更に4社で分担していたところで,うまく整合性が取れなかったというところはあるかもしれませんが,管理をやっているのは飽くまでも日本原子力研究開発機構だと。ですから保守管理は日本原子力研究開発機構で,作業はそれぞれ委託先がやっているところはありますが,それは保守管理とは言わないです。
という理解をしていないと,文部科学省だけが間違った判断していたのかもしれませんが,日本原子力研究開発機構も我々も,多分同じことを言っているのだと思います。
よろしいですか。そういう意味では,もしよろしければ,例えば,「複数メーカーが行う保守管理に係る統率力の不足」の最初の文章のところに,まず「『もんじゅ』の保守管理については,もちろん日本原子力研究開発機構自らが行うものではあるが」,その後,続けていただいて,「各々の企業が設備等の保守管理のうち,点検に係る業務を請け負っている」というような言い方にすればよろしいということでしょうか。
櫻井委員。
文部科学省が間違っているとはにわかに判断していないのですけれども,この文章,実は5ページの(2)の一番下から4行目のところに,保守管理に係る業務を外部に頼る傾向という話があって,もともとその前提として,本来,保守管理の主体は日本原子力研究開発機構であるという趣旨が,まず出ているわけですよね。それを受けた上で(3)があって,しかし全てを自分でやるわけではありませんので,一定の保守管理については,正にメーカーに分担して請け負っていただいていると,そういう構図があって,その請け負っていただいている部分についての日本原子力研究開発機構の関与の在り方が適切・包括的なものであったかどうかというところが現状として足りなかったのではないかという,そういう整理だと思うのですね。
請負というのは手足として働くということではありませんので,そういう意味では,メーカーが業務を,言うなれば特段の自由なく,何か手足のように働いてやっているだけだというようなニュアンスでおっしゃっているとすると,それは言葉が矛盾するので,そうではないはずで,多分,契約内容を見ないと分かりませんけれども,そこは違うのではないかということで,この文章を見る限りは,これを前提にする限りは,特にそこがおかしいとは思いません。前提と違うということがあれば別論でございます。
井川委員。
先ほどから丸委員は表題のところにこだわっておられたようなので,だからそれが今の櫻井委員のおっしゃるような文脈で見れば,私も余り違和感はないのですが,もし丸委員が違和感あるというのであれば,この見出しの「複数メーカーが行う保守管理」とあるのが,主体がメーカーみたいに見えるので,したがって,「複数メーカーが行う」というのを取って,「保守管理業務に係る統率力の不足」と書いておけば,それでいいのではないかと思いますが。印象の問題としてそう捉えるのであれば,ここだけ抜き取って。いかがなものでしょうか。
その方向で検討させていただきたいと思います。
それでは,ただいまのいろいろな御意見を賜りましたことを参考にして,少し修正することにいたしましょう。
どうぞ,中尾委員。
(4)の3番目の「停止の定常化によるモチベーション,マイプラント意識の低下」,本当に従業員の方にインタビューして,やってられないと言って辞めた人がいるとか,心理学の先生が入っていったらそうだったというのであればそうかもしれませんが,先日,「もんじゅ」に行ってお話を聞いた限りでは,そんなことは全然なかったような気がします。
この「もんじゅ」と,今,世間を騒がせている自動車メーカーが燃費の不正をしたのとは同じですかといったら,そんなことは全然なくて,分かっていて隠していたわけでも何でもないわけですから,このようなことを書かれると,何か「もんじゅ」の職員がたるんでいるのではないかというような感じが見えるので,何かおかしいと思います。それに指摘された点についても,分かっていたのに隠していたわけでもなし,上長が隠せと命令したわけでもなし,自分たちから自主的に,これは忘れていましたとかできないと言って,わざわざ指摘したわけですから,組織が何かおかしいでしょうと,たるんでいるから自動車メーカーが入ってきたら良かったねなんて,そういう話では全然ないのではないかなと思います。
それと,7番目も「研究開発が優先され,保守管理が十分に重要視されていない」と言っていますが,研究開発というと,何か大学の教育と研究ぐらいに違うものかと思ったら,そうでもなくて,研究開発といっても,ポンプを新しいものに替えてみましょうとか,そういうような改善計画のようなものだから,だからこれがあるから,保守管理やっていた人が,自分は日の目を見ないからやってられるかなどということを言っているわけでもないのではないでしょうか。
もしかしてそういうのがインタビューで出てきたりとか,辞めた人がいるとかいう,そういうような事実からこれが出るのであれば,これを書いても良いと思いますが,そうするとでは「もんじゅ」は何が悪かったのだろうというと,6番の「社会的要請の変化への適応力の不足」。だから,これについては,もっと気合を入れてやらないと世の中は許してくれないよねという状況になったのに,それが一歩遅かったというところが,これは大きいことではないかなと思いますが,そういう,たるんでいるという証拠があったのかどうかということをお聞きしたいと思って質問しました。
日本原子力研究開発機構,何か回答ありますか。
私は「もんじゅ」に来てからまだ2年弱ですので,長きにわたった意識がどうであったかを答えるには少し適格ではないかもしれませんが,少なくとも私が見ている2年の間を通じて言えば,モチベーションという意味で言えば,それほど低いとは思っていません。ただ,「もんじゅ」を大いに動かそうとしていた今から20年前の職員と比べたときに,一緒かと言われると,そこは相対的な低さがあることは否めないと思います。だから書き方だと思いまして,先ほどの自動車会社の話のような,コンプライアンスに抵触するような貧しい組織中で頑張っているわけではなくて,今の人間は今の人間で,今の状況においてモチベーションを持っています。
ただ,何の支障もなくどんどん前進していったであろう20年前の職員と比べたときに,そのときの意識と比べると,相対的には低いだろうと言わざるを得ないというのと,ここで最も自分たちの考えと合っているのは,長い間止まっているうちに,知識とか技術とかの継承が,かなりうまくいかなかったのではないかというところを指摘されているところだと思っておりました。
2番目の四角の方が大きいと。ノウハウ等が失われた方が大きいと。
ということだと思います。ですから,そういう順番で書かれているのだろうと思っていました。
だとしたら,「マイプラント意識の低下のおそれ」ぐらいではないのですか。20年前と比較したら低下しているかもしれないが,もう組織として腐っているから変えるべきであるというようなことを言っているのではないのですね。
櫻井委員。
私は「もんじゅ」に視察に行きましたときに,若手の方々のお話を伺って,何か疲れているなというか,けん怠感があるなというか,さあ頑張ろうという感じでもなかったなと感じまして,ある意味お気の毒だなと思った気持ちもありました。そういう意味では,マイプラント意識というのも,言葉として余り高度な言葉ではないとは思いますが,何かしらけん怠感が漂っていたことは間違いないし,目標を見失っている感のようなものがあったとは,それほど違和感はございません。
それから(7)で,研究開発が優先されて保守管理が十分ではなかったというのは,これは多分,私も研究者の端くれですから,研究機関というのは独特の研究をやるのだという使命感のようなのがもともとあって,そこにすごく重点を置いて,もともと「もんじゅ」に入ったのだという人たちが,お話を伺った方々には多かったです。そうすると,その結果として,相対的に現実の保守管理というルーチンワークのようなものについて,もっと意識を配るべきであったという,そういう御意見は伺ったと理解しましたし,研究者としてそうだよなということを,今の大学の在り方でもそうですけれども,そういうことを感じましたので,これも特段に違和感がないと思っております。
中尾委員。
いや,櫻井委員はそれに違和感がないとおっしゃいましたが,私はこのように書くことには違和感の方があると思うし,あの人たちがそんなにやる気のない人だとは思わなかったですね。また,ここで言っているのは,そういうことはあるのではないかなというのを考えたら,ああそうかなと思いますが,では本当にその人たちに会って,けん怠感が見えたかと言うと,よくこの状況でこれだけ頑張っているなと感じて,私は,それならば平気だろうなと思いました。
だからそういう主観的な評価で言うのではなくて,もっと何か本当にその人たちを,心理学の先生が入ってきて,一人一人インタビューしてこうでしたと言うのであれば,そうですねと言えると思います。そういうステレオタイプで,こういうことですということをわざわざ書く必要もないのではと思いますが,いかがでしょうか。
田中局長。
モチベーションの低下の点で申し上げれば,委員の方々に現地に行っていただいたときは,もんじゅ改革を始めて2年ぐらいたっております。たしか,もんじゅ改革がスタートした時点から,日本原子力研究開発機構では何回か職員のアンケート調査を実施していたと思いますが,その中で,理事長ヘッドでもんじゅ改革本部をやるということの意識の定着を当時からずっとやられていて,理事長自身が現場の職員と会って話をされて,それによって「もんじゅ」に対する意識の高まり感というのは確実に上がっているというデータが確かにあったと思います。
そういうことで,中尾委員がおっしゃっているような意味では,この2年の間にモチベーションは確実に高まってきていました。スタートラインで考えたときは,それよりは当然低かったというのはありますし,最初に「もんじゅ」を立ち上げた頃の,建設していた頃の高揚感と比べると,この20年間ほぼ止まっていたし,それから実証炉が見えなくなって目標を見失っていたという意味でのモチベーションの低下というのは,定量的にはなかなか出せませんが,あったと理解していたということです。
それならばそのように書けば良いだけであって,そういうデータがあるのであれば,2年間で,モチベーションが上がってきて,だんだんやる気が出ている状態のときに原子力規制委員会からこうやって怒られましたというようなことを書けば,理解できます。このままでは,組織がおかしいのではないかという,そういう結論になりませんか。
分かりました。正確に表現させていただきたいと思います。
井川委員。
今,局長がおっしゃったように,前回,「もんじゅ」を拝見したときに,そのようなアンケートも何か資料にあったので,是非そういうものを引用していただいた方が良いと思います。
それと(3)について,それだけではなくて,私は,ナトリウム漏えい事故のときから「もんじゅ」を見ているし,その前から拝見させていただいて,随分長く「もんじゅ」の方々を見ていますが,意欲が落ちているというか,萎縮しているという感じは強くあります。それで技術等あるいは将来像について伺っても,直近のことしかおっしゃらなくなっていくので,そういう意味では,全体として組織として長期的な目標をにらんで坂道をぐんぐん上っているかというと,そういう組織ではなくなりつつあるのかなという残念なところを感じますので,こういう指摘は重要だと思うということが一つです。
それから(7)について,「研究開発が優先され」という部分ですが,これもそのとおりだと思います。ただ,むしろ書き足りないと思っているのは,日本原子力研究所と一緒になった後,どうしても研究開発現場の大きな組織を率いたことがないと思われる方々が,「もんじゅ」のトップに来られた。これは批判ではなくて,そういうことに余りなじまない方がトップになって,実務的には現場の方との付き合い方が違ってきて,特にここ最近,日本原子力研究所と統合して以来,マインドというか,考え方,現場の管理についても,研究所としての管理のようなことがすごく強くなったのが,ここ数年の問題点かと思っていますので,ここは正にそのとおりで,研究開発ではなくて,今後の組織を実務的な組織に戻さなければいけないということの観点から,ここの部分は非常に重要だと思いますので,むしろここは落とすのではなくて是非残していただいた方が良いかと思います。
以上です。
大変重要なポイントをたくさん御発言いただき,ありがとうございました。皆さんの御意見,全部が全部取り入れられるか分かりませんが,書き直すことにいたしましょう。
それでは,第3章の議論に入りたいと思います。抽出された課題と「もんじゅ」の運営主体が備えるべき要件について,事務局から説明してください。
それでは10ページを御覧ください。第3章,抽出された課題と「もんじゅ」の運営主体が備えるべき要件ということで,項目を挙げています。まず,初めの記載のところです。
第1段落で「もんじゅ」の目的を掲げた上で,この目的を達成するための前提として,まずは「もんじゅ」の保守管理が確実に実施され,安全確保上の懸念が払拭されることが必要であるということ。
それから2段落目は,「もんじゅ」の運営主体は,将来の研究開発を行う上で必要になる運転・保守管理の適切な実施を組織全体の目標と明確に位置付けた上で,運転再開に向けた運転管理・保守管理への対応が確実かつ迅速に実行できる組織となるよう,以下の要件を具備することが必要であると。
第3段落については,まずは運転停止状態における確実な保守管理の実施に取り組む必要がある。その上で改めて,運転再開に向けた運転・保守管理体制の確立に取り組むということを記載しています。
具体的に各項目です。
(1)研究開発段階炉の特性を踏まえた保全計画の策定及び遂行能力ということで,1番目は,問題が,極めて短時間に策定された保全計画にあること。
2番目には,この保全計画の見直しを,今,日本原子力研究開発機構がやっていることを,まずは完遂するということ。
3番目には,見直しに当たっては,実際に保守管理作業を行う者の意見が「もんじゅ」の保守管理に適切に反映されることが求められるということを記載しています。
4番目には,実証炉以降に向けて運転・保守の在り方に関する知見の蓄積をしていくということも求められるということを記載しています。
(2)現場が自律的に発電プラントとしての保守管理等を実施するための体制ということで,1番目は,まずは担当者がその中身を十分に理解して,自律的に日々の活動の中でPDCAサイクルを回す,当事者意識と責任感を持つということを記載しています。
2番目は,検査官による指摘の内容や意図を踏まえた適切な対応を進めることができる体制。
3番目は,日々の保守管理を愚直に行うことが,十分に高く評価される組織風土を定着させることが必要であるということ。
4番目は,保守管理に係る人材の効果的な育成のための人事制度の構築とか,パフォーマンスインジケーター,PIの活用による目標値の明示ということです。
5番目は,「もんじゅ」の運転及び保守管理を確実に実施するためには,予算や人員などの必要なリソースの確保が重要であること。また,これを最大限効果的に活用できる体制とすることが必要ということ。
6番目は,加えて,体制を迅速に整えるためには,担当部署において,能力のあるプロパー職員を確保・配属し,組織内で技術やノウハウが確実に伝承される制度を整えるということ。
7番目は,「もんじゅ」の運営主体は,外部からの支援は飽くまで補助的な位置付けで,保守管理に関する自らの問題は自らの手で解決する姿勢を明確にするということを書いています。
(3)実用発電炉に係るものを含めた有益な情報の収集・活用体制ということで,2番目で,実用発電炉に係るものを含む規制動向やトラブル情報について,しっかりと情報を収集し,その活用方法を指南することができる専門部署を備える必要がある。
3番目では,メーカー各社が分担している保守管理に係る作業を十分に統率できる管理責任者を育成・確保することも求められる。
4番目では,加えて,暗黙知を形式知に変換することも含めて,技術情報を適切に電子化・データベース化し,組織として実効的な活用ができる環境を構築する対応が必要となる。
(4)日本原子力研究開発機構により培われた技術の確実な継承と更なる高度化ということで,1番目,ナトリウム冷却高速炉に特有のナトリウム取扱技術及びプルトニウム燃料取扱技術が日本原子力研究開発機構にしか存在しないということ。
2番目,「もんじゅ」は核不拡散関連技術の国際的な研究拠点としても,世界の核不拡散に貢献することが期待される。
3番目,「もんじゅ」の運営主体においては,これらの技術を確実に継承するということ。
4番目,さらに,今後見直しが予定されている高速炉に係る新規制基準をあらかじめ想定し,これに適切に対応できる技術力を有するということを記載しています。
この章の最後です。(5)社会の関心・要請を適切に運営に反映できる強力なガバナンスというところで,ここは,これら問題を解決するための対応策としては,5番目です。最初の四つでは問題点を挙げています。
その問題点を解決するための対応策としては,監督官庁による関与を待たず,組織が自らの経営問題についてスピード感を持って自律的に判断し,行動するための新たなガバナンスの体制を構築する必要がある。具体的には,監督官庁に代わって,自立的な組織運営の改善と安全規制の要求に対する迅速かつ的確な措置の実施について強力に推進することのできる経営協議体を組織のガバナンス体制に組み込むということを書いています。
また,6番目ですが,このガバナンス体制を導入するための組織形態として選択肢が幾つかありますが,いずれの場合でも,おおむね構成員の半数以上を目安に,原子力以外の分野の外部専門家が経営に参画するような制度設計を検討する必要があるということを記載しています。
この章は以上です。
ありがとうございました。ただいまの御説明に御意見のある方は,お願いいたします。
宮野委員,どうぞ。
それでは,二つばかり申し上げたいと思います。
10ページの最初に導入がありますが,ここにあるように,ナトリウム炉としては,運用それから発電というのは我が国で初めて入っていくわけで,ここで提言していることは,まずは運転停止状態における確実な保守管理の実施に取り組む必要があるということで,そこから次に,運転再開に向けた保守管理体制を確立し,そして研究開発段階炉として,トータルとしての保守や品質管理に係る体制を段階的に拡充していく必要があると結び付けているわけです。
そういうことで,この停止時の運用で得られた「もんじゅ」というナトリウム炉の出力運転に必要な知見を基にした品質管理・保守管理の在り方を保全計画に盛り込んで,新たな保守計画を提案して,それに基づいて運用実績を積んで,次の発電を行う出力運転の保全計画を策定して運用するという,このような段階的な取組を行うということを提案していると理解をするものです。これは確認ですが,私はそのように理解した方が適切ではないかと思います。
そこで,ここで示した要件を満足すれば,この要件を示すような運用ができる,新たな若しくは必要とされる運用体制,運用主体が設置若しくは改善されれば,この「もんじゅ」というプロジェクトは,目的であるナトリウム炉での安定した出力運転ができるという,そのように理解されるわけですが,私は,必ずしもそういうものではないのではないかということを,しっかり肝に銘じる必要があると思います。
すなわち,新たな運営主体によって安全を確保しつつ,新たな取組であるナトリウム炉での安定した発電運転を実現する運営の在り方というのを確立するのだということが重要なのであって,これを守りさえすればいいのだという間違った判断にならないようにしていくということが必要ではないかというのが1点です。
そういうことで,これまで,軽水炉で発電プラントとしての運用の仕組みというものを「もんじゅ」と比較をして,在り方について判断できるというものを説明してくださいということを申し上げてきたのですが,必ずしも十分にデータをそろえて比較できたわけではありません。そういうことをここで示されたわけではないと思っており,もともと,今,申し上げたように,ナトリウム炉での取扱いというのは初めてということで,そういう意味では,軽水炉での経験も基本的にはないと思っているわけです。
ですから,停止時にしっかりとナトリウムを扱う技術,運用する技術をつかまえて,それで保全計画を立て,そして次の段階として運転に入り,運転に入って,そのデータを取り込んだ段階で,今度は発電をどうしたら良いのかというところへ行くように,順次しっかりと段階的な研究計画若しくは開発計画というものを作って,それを踏まえて運用していくという取組をしっかりしていただきたいというのが1点目です。
二つ目は,(5)にある経営協議体というものについてですが,「もんじゅ」の運用に経営というものを持ち出すのがいいのかという問題はもちろんあるわけですが,私の理解するところは,途中で予算の話もありましたが,資源の投入についての議論は余り行っていないと思っています。資源の投入をどうするかということは,極めて重要な課題になってくると思っています。
そういう意味では,そこの13ページの中ほどにあったように,原子力事業に関わる安全規制の厳格化を求める法的・社会的要請に適合したものでなければならず,こうした要請を受けた政府一体としての安全規制の強化に向けた取組に矛盾があってはならないということで,極めて適切な判断ではないかと思いますが,そのためには資源の投入が必須なのではないかと思っています。
そういうことを,しっかりと適切に設備を充実して,安全を確保しているということはもちろんですが,ここで示されたように,基盤となる品質管理・運用管理というものを確実に行わなければならないということで,どのように資源を投入して安全・安定な研究開発の運用ができるのかということを,重大な経営判断として経営協議体で議論をして決めていくというのも一つの方策ではないかということで,この経営協議体というものを理解したということでして,是非資源投入に関して,経営の責任を担うこういう組織を作って,しっかりと提言をしていって,実現するような方向で議論していただきたいと。そういうものに,こういう提言を生かしていただきたいと思います。
この章では以上二つです。
ありがとうございました。
どうぞ。
了解しました。そのように考えています。
高橋委員。
2点,お話しさせていただきたいと思います。
10ページの(1)の最初の四角ですが,保全計画の記載内容と実際に行われていた点検作業の手順との整合性が不十分なままというのはそのとおりだと思いますが,その後,「極めて短期間に策定された」とあります。これは,前にも出てきていて,事実だと思うのですが,原因としてこれを挙げるのはいかがなものかと思います。短期間かどうかはここでも検証していませんし,実際これを作ってから問題が発覚するまで4年ぐらいあります。その間に幾らでも改訂ができたはずで,それをやってこなかったわけですから,そのことを書くか,あるいは「極めて短期間」というのは消した方が良いのではないかと思いました。
2点目は,12ページの一番上,「しかし,これまでも外部人材の登用が行われているが,組織にその知見が有効に取り込まれているとは認め難い」というのがあります。一方でその下の四角のところに,「外部人材をしかるべき処遇によって招へいし」,その下に,「ノウハウ等を徹底的に習得できる職場環境を構築することも重要である」とありますが,外部人材を有効に取り込まれなかったことの対策として,一番下の「職場環境を構築すること」というのが答えになっているのでしょうかという質問です。
前のところを見ていきますと,意識の問題というか,自覚とかそういうものが必要だということがずっと書いてあって,主な問題にも書いてあり,外部に依存する話が問題として挙がっていますが,結局ここで「外部人材をしかるべき処遇によって招へいし」と,また外へ依存するようなことが書かれてしまっています。外部人材登用というのもいいのですが,これが要件かということを考えたときに,それは自分たちでしっかりやるのだろうと,このように思います。
以上2点,コメントさせていただきます。
ありがとうございました。
田中局長。
まず1点目については,おっしゃるとおり,極めて短期間に作成された保全計画であったということは,これは最初の問題点ですが,時間があったにもかかわらず,その後もきちんとそれが見直されてこなかったことが第2の問題で,それはつながっているという理解ですので,その後段の部分をどこかに書き加えるということが必要かと思っています。
それから2点目については,これは当然,このダイヤ印の最初にあるように,まず保守管理は自らの問題だというその認識は,もちろんきちんと書いています。ただ,現状で新たな実施主体を作ったときに,当然,今の日本原子力研究開発機構と「もんじゅ」で働いていた人たちの多くが,そのまま次の主体でも働くことになると思いますが,その際の指導者クラスについて,今の人たちがそのままということではなかなか変わらないので,その部分について外部の人たちの力を借りるということになるわけですが,ただし,そこの職場環境というのは,例えばそういう人たちが指導的なポストにいて,実際には「もんじゅ」の新しい実施主体の責任の下でやっていきますが,やっていく体制を作っていく上で,必要なお願いをするということを申し上げていることです。
高橋委員。
分かりました。最後に参考で「ふげん」の話が書いてあり,「ふげん」が,あたかもそういう体制,すなわち外部の人材を処遇して指導的なポストに配属することによりうまくいった,その良い例だと読めますが,実際には,恐らく「ふげん」の人が一生懸命努力したのだと思います。「ふげん」の人は偉かったのだと思います。それが「もんじゅ」ではできていなかったということで,余り外に依存した書き方にするのはどうかと思います。
田中局長。
外に依存というか,今ある人たちで良ければ,逆に言うとこの問題は起こらないので,そういう意味で,このマネジメントというところを,いずれにしても変えていかなければいけないと。そのときに,そういった知見とか,保守管理をきっちりやっていくというようなカルチャーとか,組織文化,あるいは指導する体制,そういったものについて,ある部分では,今の外部の文化といったものを,新しい組織の中にきちんと移植していかなければいけないと。そういう意味で,書いています。もし表現でおっしゃっているような懸念があれば,そこは修正したいと思いますが,申し上げたいことはそういうことです。
高橋委員,よろしいですか。
宮崎委員。
このセクションでは,いろいろな能力について書かれています。いろいろな能力,それぞれの能力を考える場合,階層的に考えることはできるわけで,ピラミッド型の例を取りますと,一番下の部分ですと,この一番下の部分は,再開する前の保守業務とか,あるいはインフラ整備,例えばデータベース化とか,そのような能力がありますね。その次に,今度は再開した後の保守管理があります。それから日常的な業務の改善を行っていく能力。それからその上に,設計ミスを見抜く能力。それもあります。もう少し高度なレベル。それからいろいろな技術力。それと日常的な運転をする能力。その上に今度は,予想外の事故とかが起きたときに,それに対応する能力。それがもっと上にあるわけですね。それが全体として運転する能力です。これが安全にできるかということを問われているわけです。そしてその上に,今度は研究開発能力。研究開発能力というのは,この運転する能力がないとできないわけです。
それで,ここの部分を見ていますと,何となく私は,下の部分にフォーカスしているような印象を受けます。保守のことですとか保守管理とか,そういうことに。ですから,緊急事態が発生したときに,どうやって対応するのかと。その能力について,もう少し記述した方が良いと思うのです。
それで,今までの2回の事故,聞いたお話では,ナトリウム漏れの問題は温度計が壊れたという理由でしたが,そのもともとの理由は,ナトリウムの流体のかすかな振動が起こしたという,そういうことを聞きました。それで私も何度かこのことについて,バタフライ効果が起きているということを言いましたが,これは予想はできないことです。かすかな事が大きな被害を与えるということは複雑システムの特徴です。これは複雑なシステムですね。だからそれにどうやって対応するのかという,その能力について,もっと考えて記述した方が良いと思うのです。
と言いますのは, 10ページの上の部分に,目的について書いてありますが,運転・保守管理の適切な実施を組織全体の目標,それから運転再開に向けた運転管理・保守管理への対応とか,そういうことが中心的に書かれているので,緊急事態に対してどうやって対応するのかという能力,それについて書いた方が良いと思います。
そして最後に書いている経営のことですが,これは,「もんじゅ」は複雑なシステムであって,年金管理とは違うわけですね。少し違っているわけですから,外部のいろいろな専門外の人を招いても,こういった問題解決は無理があるというか,少し難しいのではないかと思います。
櫻井委員。
13ページの経営という最後のところですけれども,これはコメントですが,先ほど資源投入のお話と関連付けられて御意見がありましたが,厳密に言うと,どういう法人形態を取るのかによって,少し用語が変わってくるところがあります。例えば特殊会社であれば,収支相償うとか,あるいは利潤を一定得るとか,そういうビジネス的なニュアンスでもって経営問題という言葉を受け取られるのかなと思ったのですが,他方で,例えば独立行政法人の改革でやるとか,公的主体の任務として,どういう組織のガバナンスにするのかという議論でいくと,多分,運営という言葉が最もニュートラルであると思います。
ただ,最近は自治体経営と言ったりしていて,そういう意味ではもう少し広い意味で使っているということかと理解されるところで,経営という言葉を使うのも許容範囲でしょうし,それから現実に実定法の中で国立大学法人の中に経営協議会という言葉を使ったり,それからGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)についても経営委員会という言葉を使っていますので,そういう意味では現代型の用語法ということで,広い意味での経営ということで理解は可能だろうと思っています。
それから今の御意見ですが,これはむしろ,なぜ半数以上に原子力以外の人を入れた方が良いのかというと,それは正に社会的な要請であったり,専門家というときに,原子力の人は,原子力の専門家のことしか言っておらず,ほかに多数専門がありまして,ではほかの領域についてはどうなのかというと,決して専門家ではないわけでして,社会に対して感度を持っているとか,そのほかのいろいろな事項がありますので,そういう人たちをガバナンスの中に入れていくという,そういう趣旨ですから,話が複雑であるということの問題のほかに,どういう任務を果たしていこうとする主体にするのかという観点からすると,そういう経営主体の中に,原子力の専門でない方を入れていくということは,ごくオーソドックスな考え方であると考えています。以上です。
ありがとうございました。
山本委員。
この第3章に示していただいている要件については,新たな主体が即座に備えないといけないものと,少し時間を掛けて取り組んだ方が良いものと,いろいろなものが混在していると感じています。
今,議論になっています(5)のガバナンスの件ですが,これはどちらかというと,少し時間を掛けて検討することもできる要件かなとも感じており,一つ懸念事項としては,こういう新しいガバナンス形態に移行したときに,ガバナンスの不連続性のようなことが生じて,それで現場が非常に混乱するということがあると,今行っているいろいろな作業にまた手戻りが生じたり,また時間のロスが発生したりすることが考えられると思います。
したがって,(5)のどこかに,現場の作業への配慮が十分に必要だということを注記していただいてもよろしいのではないかと思います。
以上です。
井川委員。
お願いを一つしたいのですが,最後の方で,全体の趣旨に私は余り異論はないのですが,ここに「マスコミ等」というのが入っていまして,実はこのマスコミを,できれば外していただきたいと思います。決して逃げるという意味ではなくて,マスコミというのはメディアで,そもそも素人ですから,何をやっているかというと,緊張感を持って情報をお伝えし,それから論評をし,それから議論の場をなるべく作っていこうと,こういう立場でやらせていただいているので,経営に参画するというのは,かなり疑問だし,現場にも混乱を広げてしまうおそれもあります。マスコミは,放っておいても外部から意見をいろいろ申し上げますので,ここは可能ならば外していただければ有り難いと思います。以上です。
ありがとうございました。
宮崎委員。
私が前回も申しましたが,経営には,例えば3年とか5年のプランを作ったり,そういう長期的な戦略を作る経営のガバナンス体制の場合は,こういうやり方もよろしいかと思います。しかし,今回の勧告で求められていることはそうではなくて,オペレーション,日常的な運転をする能力を求められていると思うのです。それに対しては,これは緊急な解決策にはならないのではないかということを申しているわけです。
ありがとうございました。ただし私は,原子力の専門家にも,外部の人がたくさんいるわけですよ。外国人も含めて。運営についても様々な点から,技術についても様々な点で,専門家がたくさんいるわけですね。そういう人の意見も十分入るようにしたいということから,この運営協議会的なものを作ったらどうかと言っているわけです。内部の人,あるいは顧問みたいなものでは,少し足りないので,本当にしっかりした人を入れたらどうかと言っているので,そのようにここは解釈していただけると幸いです。
私は前回はオープンイノベーションという言葉を使いました。この組織以外の専門家の知恵も借りられるようなオープンな体制ということを前回発言しました。
ありがとうございました。
大変議論がたくさん行われ,時間が随分超過してまいりましたが,とりあえずここで,第4章の「おわりに」について,まずお聞きした上で,今後の判断をしたいと思います。よろしくお願いします。
それでは15ページ,「おわりに」です。ここは3段落あります。
まず1段落目は今回の検討についてで,検討会における議論は,「もんじゅ」の課題の総括,それから要件の特定に主眼を置いたものであるが,今回の検討は,「もんじゅ」の運転再開に向けた体制を検討することができる最後の機会であると認識しなければならないということ。
2段落目は,自治体からの要望・要請・期待です。特に後段は,地元の福井県からの御期待,それから地元の大学等からの御期待などを記載しています。
3段落目としては,新たな運営主体への期待ということで,今の「もんじゅ」の状況を十分に認識した上で,今回の要件を適切に満たす体制・仕組みを備えることを期待すると締めているところです。
以上です。
ありがとうございました。この第4章について,ただいまの御説明に対し御意見がある方は,御発言をお願いいたします。
宮野委員。
第4章が,これは最後のまとめになっているわけです。そこで,文章に書いてありますが,「もんじゅ」の出力運転を安全に行う能力を有すると認められる運営主体に求められる要件を議論してきたということですが,この要件は,これからこれを守れば出力運転が安全にできるという十分条件ではないかと認識してしまいがちですが,これは必要条件であって十分条件ではないのだということを,しっかりと明示しておく必要があるわけです。
そこで,実行部隊である「もんじゅ」の運営を担っている組織が,この要件を満たすために必要な具体的な実施策を自ら考えて,それで提案して実行していかなければならないわけであり,その上で必要ならば,新たな運営主体を求めて実現をするのだということではないかと考えているわけであります。
先ほどから議論がありましたが,もともとの出発は,きちんと守られなければならないといったことができなかったということだけです。それ以上のことはなくて,事故が起こったわけでもありません。それを何回も指摘されていると。そこをいかにきちんとやるようにできるかということの本質は,先ほど田中局長がおっしゃいましたけれども,マネジメントだと。マネジメントということが余り入っていないので,マネジメントをしっかりやるために,こういう外から人を持ってくるなり,いろいろなことをやっているのだということを,しっかりと示すことが必要ではないかなと思っています。
ここで備えるべき要件を示されたわけですが,その結果をどうやって世の中に実現できているということを示していくのかということを,しっかりこれから日本原子力研究開発機構なり文部科学省がどうやって検証していくかということが必要であるわけですし,最終的な検証は,定期的に実行される保安検査で,また同じような指摘を起こさないということであり,また起こすと結局は元の木阿弥(もくあみ)になってしまうだけなので,それをどうやっていくかをしっかりとやることが第一の関門です。その上で,品質管理・保守ということを,不備が解消されたという必要条件で次のステップに進むことができるのだということで,まずしっかりと現状の停止時の維持をやるということを実現することが必要なのではないかということで,まずその取組についてはこういうことをやっていけば良いのだと。その後に更に必要であれば,経営とかいろいろなことを考えていくことが必要かもしれませんし,外に組織を求める必要があるかもしれませんが,まずはしっかりと保守管理・品質管理をやるということをやっていくということで,必要条件として満たしていただきたいということです。
ということが余り書かれていないので,確認のために申し上げました。
以上です。
田中局長。
今おっしゃっていただきました,必要条件ということで,十分条件ではないという点,もし必要であれば,少し書き加えても結構だと思います。それから,既に日本原子力研究開発機構は,昨年まで「もんじゅ」の改革も実施していますが,現在,保全計画についても総括的な見直しをやっており,恐らく今月末から来月にかけて,その作業については最終盤に来ていると理解しています。
したがって,そういう取組については,新たな実施主体を作るにしても,一定の時間の後になりますから,それまでの間に,当然,今の「もんじゅ」については,より良いものにどんどんしていくということは必然だと思っています。
中尾委員。
前回質問して,あと何をやらなければならないのかと言ったとき,あと5年間で,もう決められたことをするし,100パーセントの出力を出して,決められたことを目標に,それだけ動かして,あとは廃炉にする作業の知見も得ていこうというので,決められていることを目標にしてやっていくというのが余り書いていなかったので,何か変わったことをやるというわけではないのだということをもっと書いたら,それではそこまでやったらどうですかというような感じが出てくるのではないのかなと思いました。
それで,その決められたことを,これから何年も動かないであろうというところからまたやらなければいけないので,ちょうど何か潜水艦乗りのような,艦長のような人が,多数必要になってくるのだと思います。軍隊でも,潜水艦だけはずっと潜っていなければならないから,心理的に強い人を配属しているので,きちんとテストまでやっているというのを聞いたことがあります。だから一人でもそのように不安定にならないように,潜水艦乗りみたいに強い人を,粘り強くやっているような人を選んで,もう決められたところまで全てやり遂げるような,そういう組織を作ってもらいたいと思います。希望ですが。
櫻井委員。
この最後のところですが,私は,表題が「おわりに」と書いてあるので,「おわりに」ということであって本体ではないのだということで読みまして,まあいいのではないかと理解していますが,少し申し上げたいのは,第1段落の「最後の機会である」というのは,思い切った言葉を使われて,よろしいと思います。それが,まず第1点。
それから2段落目ですが,ここの書きぶりは若干気になっておりまして,今回のこの検討会は,もともと原子力規制委員会の勧告から始まっておりまして,大きなテーマは安全性ということですね。そうすると,安全性の議論をしておりますので,地元自治体,立地自治体の話だけではなくて,本来は関係の周辺の自治体及び周辺自治体の住民の方々,更に行くと国民全体という話になるのですが,議論の筋としましては,本来そこが入っていないといけないのですが,ここの検討会でも周辺の方は特にお呼びしていないですし,そこは若干問題なしとしないと考えております。
それで,そういう観点からすると,2段落目の後半部分の地元の福井県の話はやや書き過ぎの感じがありまして,しかも特定の固有名詞の大学が出てくるのは,これはどうかなと思いますので,もう一度御検討いただきたいと思います。仮に残すとしましても,「しかしながら」以下のところを,それが何か少し付け足しみたいな感じで,「しかしながら」というので安全の話が出てきまして,原子力規制委員会,ひいてはいきなり国民に行かないで,原子力規制委員会,ひいては周辺自治体・住民,更に国民が抱くであろうというような感じで,せめて周辺自治体に少し触れていただくということは,手続論としては重要ではないかなと思います。
最後ですが,本文と関係ないのですけれども,結局この検討会では,そもそも論ということはしておりませんで,そもそも論をする場所というのは,差し当たりエネルギー基本計画なわけですよね。そういう位置付けであるとすると,エネルギー基本計画を作るときの作り方ですね。もっと国民に開かれた形で,実質的に,パブリックインボルブメントといった手法もありますが,単に形式的に閣議決定するという,その形式が整っているということで話は終わらないので,多分,大本のところをどのようにするのかというのが,原子力も含めたエネルギー政策の根本問題として実は残っているだろうと思います。これは意見でございます。
井川委員。
今後のことを考えて,もし可能なら入れていただきたいのですが,この品質保証の制度というのは,もともと一生懸命やると,課題がまた出てくる,それをPDCAを回すというのが本質的な制度なので,最後から7行目のところ,「『もんじゅ』の保守管理体制及び品質保証体制の再構築がなされ」の前に,この報告書が出た後も,恐らくまたいろいろな問題点というのが,自主的に「もんじゅ」の方が一生懸命やればやるほど,メディア的には,また点検漏れだとか,また点検の不備だとかとたたかれるけれども,本質的にそれを見付け出すのが品質保証なので,その部分が明示的に分かるように,もし可能なら入れていただきたいと思います。「品質保証体制の問題点・課題を洗い出した上で,PDCAが適切に回るよう再構築がなされ」ということで,むしろ今後,そういうのをたくさん洗い出して,良くできる組織が必要なのだという趣旨で,問題点は一切ないと誤解をされてしまうといけないので,品質保証というのは本質的に問題点を洗い出す作業であるという認識を是非入れていただければと思います。
了解です。考えたいと思います。
さて,これでどうするか。本日のこの御議論,ここまでやっていただき,原案が出ましたので,様々修正意見等々出されましたが,普通ですと,ここでまとめるために,皆様の御意見を反映した報告書をまとめたいと。その際に,具体的な修正内容につきましては,本日の御意見を踏まえて座長一任という格好を取るというのが普通ですが,本日の御意見は非常に重要なことが多かったので,どうしたら良いでしょうか。もう1回,委員会を開いた方が良いか,それについて,最後に御意見を賜りたい。
ここは皆さんが言うよりも,私が申し上げた方が良いと思います。本日だけでなく,ずっと議論いただいてきておりまして,ここで座長一任はしない方が良いなというのが私の意見であります。本日の御議論は本質に迫る御議論でありましたので,これを踏まえて修正し,大変御足労ではありますが,もう1回やった上で,私は頂いた方が良いですね。座長が取りまとめではありますが,それを受けるのは私でありますし,今後,これを受けてどのように対応していくかということについては,こうして傍聴の皆さんもマスコミの皆さんもおられますけれども,世の中にもお伝えいただいた上で,私はその上でやる筋合いのものだと思います。半年というタイムラグから言えば,少し漏れるかもしれませんが,私は丁寧にやった方が良いという意見を座長に申し上げたいと思います。
大変良い御意見,ありがとうございました。私も度々マスコミと話をしているときに,まとまらなかったときはもう1回ぐらいやるつもりだと言っていますので,もう1回ぐらいやりたいところですけれども,それはともかくとして,極めて重要な御意見が本日ありましたので,もう一度御意見を伺ってまとめた方がよろしいかと思います。皆さん,もう1回おやりいただけますか。賛成の人,手を挙げて。反対の人,いますか。
それでは,文部科学省,大変ですが,もう一度やらせていただきましょう。大変重要な御議論が本日出ましたので,そのことを踏まえて,原案に対し修正案を作りまして,必要に応じて私も見た上で,また皆さんにおはかりをいたしたいと思いますので,もう一度お願いをいたします。どうぞよろしく。文部科学省で,その準備をお願いいたします。
それでは,本日の会議は終わらせていただきたいと思いますが,これからの予定につきましては,事務局に御相談をいたしたいと思います。事務局,連絡をお願いいたします。
それでは事務連絡をさせていただきます。本日の議事録につきましては,事務局で作成後,またいつものとおり照会を掛けさせていただきます。
また,次回開催となりましたので,次回の検討会の日程等,調整をさせていただき,整い次第,お知らせさせていただきます。
では,本日は皆さん,お忙しいところありがとうございました。大変熱心に御議論賜りましたことを,お礼を申し上げます。本日はこれで閉会いたします。ありがとうございました。大臣,ありがとうございました。
どうもありがとうございました。
研究開発局 研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)付