「もんじゅ」の在り方に関する検討会(第7回) 議事録

1.日時

平成28年4月27日(水曜日)16時00分~17時30分

2.場所

文部科学省 3階 1特別会議室

3.議題

  1. 「もんじゅ」に係る課題の総括と組織の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

有馬座長
井川委員
高橋委員
中尾委員
丸委員
宮崎委員
山本委員

文部科学省

馳文部科学大臣
冨岡文部科学副大臣
土屋文部科学事務次官
田中研究開発局長
明野もんじゅ改革監
板倉大臣官房審議官(研究開発局担当)
信濃開発企画課長
岡村原子力課長
髙谷研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)
次田「もんじゅ」の在り方検討対応室次長

(説明者)
日本原子力研究開発機構
 児玉理事長
 青砥理事/もんじゅ所長
 荒井もんじゅ運営計画・研究開発センター研究管理部長

5.議事録

【有馬座長】

「もんじゅ」の在り方に関する検討会の第7回を開催いたします。
本日はお忙しいところ御出席いただき誠にありがとうございます。
第7回の検討会開催に当たり,馳文部科学大臣が御出席でいらっしゃいますので,御挨拶をお願いいたします。

【馳文部科学大臣】

お忙しいところ,本当にいつもありがとうございます。
本日で第7回となり,佳境に入ってまいりました。これまでの総括,また在り方,こういったものを踏まえて,新たな運営主体が備えるべき要件を整理していただきたいと思います。皆様方の検討を踏まえた上で,最終的に我々も判断したいと思いますので,よろしくお願いいたします。
以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。
それでは,事務局から出席者の紹介をお願いいたします。

【髙谷研究開発戦略官】

本日は,宮野委員,櫻井委員が御欠席です。
また,説明者として,日本原子力研究開発機構から児玉理事長,青砥理事,荒井部長が出席されています。

【有馬座長】

それでは,事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【髙谷研究開発戦略官】

議事次第に配付資料が記載してあります。
資料1「『もんじゅ』に係る主な課題と新たな運営主体が備えるべき要件(骨子案概要)」,資料2「『もんじゅ』の運営主体の在り方について(骨子案)」,資料3「『もんじゅ』の理想的な体制について(イメージ)」,資料4「新たな運営主体に求められる要件等に関する委員の意見について」,資料5「『もんじゅ』に係る課題の検証における論点(例)」です。資料の不足等あれば,事務局までお知らせください。
また,その他,机上配付資料として,第6回の議事録及び,本日御欠席の宮野委員から資料1,2に対するコメントを頂いており,お配りしています。
宮野委員のコメントを幾つか御紹介させていただきます。
各資料の位置づけとして,資料1については,原子力規制委員会の指摘を機会に,「もんじゅ」の運営に関して抜本的なレビューを行ったものであるということをしっかり示すこと。また,資料2については,品質管理に関わる問題に関して,全体として整合性のとれた対策となるように在るべき姿を構築すべく,これまで指摘のあった課題を分類し,主要な論点を整理したものであることをしっかり示すこととの御意見を頂くとともに,研究開発段階炉としての運用管理,品質管理の在り方を今後詰めて考えるべきであり,停止時の運用管理体制を整備しつつ,この在り方を継続して検討する必要があることなどの御意見を頂いています。これらの内容については,今後,議論の取りまとめの際に反映させていただきたいと思います。
また,議事録については,委員の皆様には既にメールで御確認いただいたものですが,修正等ございましたら5月2日までに事務局までお知らせください。その後,ホームページに議事録を掲載させていただきます。
以上です。

【有馬座長】

それでは,議題1「『もんじゅ』に係る課題の総括と組織の在り方について」に入りたいと思います。
本検討会では,これまで,「もんじゅ」の運営について何が問題であったのかということを徹底的に検証するため,保守管理・品質保証を中心とした技術面,運転管理と研究開発との関係,日本原子力研究開発機構の組織運営,文部科学省の関わり方等,様々な側面から検討を行い,課題を抽出してまいりました。また,議論を進める中で,そうした課題に対して,それを克服するために「もんじゅ」の新たな運営主体ではどのような要件を具備すべきか,また新たな運営主体に求められる具体的な取組,取り組むべき制度等についても御意見を頂いてまいりました。頂いた御意見について,事務局で,検討会としての取りまとめの骨子案として整理したので,その内容について議論いただきたいと思います。
初めに,骨子案の全体構成について,事務局から説明をお願いいたします。

【髙谷研究開発戦略官】

それでは,資料1に基づいて,骨子案の構成について御説明します。
「『もんじゅ』に係る主な課題と新たな運営主体が備えるべき要件(骨子案概要)」というタイトルですが,この左側が,「もんじゅ」に係る主な課題です。この課題については,前回の検討会の資料3で整理したものを,そのまま掲載しています。簡単にタイトルだけ読み上げますと,1番「拙速な保全プログラムの導入」,2番「脆弱(ぜいじゃく)な保全実施体制」,3番「長期停止の影響」,4番「人材育成の課題」,5番「情報力や統率力の課題」,6番「東電福島原発事故後の社会的要請の変化への適応力の不足」,7番「日本原子力開発機構の運営の課題」,8番「関係機関との関係の在り方等の課題」です。
それで,この課題に対して,右側が,新たな運営主体が備えるべき要件です。この課題に対応する,課題を解決するためにどのような要件が必要かということを,大きく4点に整理しました。1番目として,「研究開発段階炉の特性を踏まえた,ナトリウム冷却高速炉にふさわしい保全プログラムの遂行能力を有すること」,2番目として,「発電プラントとしての保守管理・品質保証のための体制・能力を有するとともに適切な人材育成ができること」,3番目として,「保守管理・品質保証の信頼性の向上に資する情報の収集・活用能力及びナトリウム冷却高速炉に特有な技術力等を有すること」,4番目として,「社会の関心・要請を適切に運営に反映できる,強力なガバナンスを有すること」。
この左と右の項目の間の矢印が,それぞれの課題に対して主に対応するべき要件として,どれが当てはまるかということを示したものです。
骨子については,後ほど本体について御議論いただきますが,全体構成としては,主な課題,運営主体が求めるべき要件を骨子の柱に構成しています。
説明は以上です。

【有馬座長】

どうもありがとうございました。
具体的な中身は後ほど議論いただくことにして,まずは骨子の全体構成について,項目としてのくくり方についての御意見,新たに起こすべき項目についての御意見,課題と要件との関係についての御意見などについて,各委員から御意見を頂きたいと思います。御意見のある委員は御発言をお願いします。どなたからでもどうぞ。
山本委員。

【山本委員】

御説明ありがとうございました。何点かあります。
まずは要件ということで,四つほど御説明いただきましたが,一般的にこういうことを考えるときには,まず目的があって,それを達成するための原則があって,それをブレークダウンして要件が出てくるものかと思います。そこをまず追加する必要があると考えます。具体的に,原則の話ですが,新たな運営主体が備えるべき原則という,一段階高いところの原則を考えると,これまで議論があったように,安全確保を大前提として,運転・保守管理の適切な実施を運営主体の最重要のミッションとしてきちんと定義できることがやはり最も重要ではないかと思っています。これが羅針盤になると思いますので,まずトップに掲げるべきだろうと思います。
それと同類ですが,「もんじゅ」のプロジェクトの進捗とか課題への対応が,新たな運営主体に対して非常に重大な影響を与えるものだということを,運営主体の全員で共有できる必要があると考えるので,これも,原則か要件かは御検討いただくとして,書き込む必要があると思います。
これがまず大枠の話です。
続いて,くくり方ですが, 四つに分けている3番目ですが,ここは,情報の収集・活用と,技術力という少し異なるカテゴリーのものが入っているように感じており,再整理が必要かと思います。具体的に申し上げると,この3番を二つに分割して,情報の収集・活用能力と,特有な技術力を有することとは,別のカテゴリーに整理した方が見通しが良くなると思います。
最後ですが,ここに書いているものは要件ということで,要するにrequirementということですが,これを達成するためには当然,予算的な裏付けが必要になるはずで,それに関してここで書かれていないのは,実行性に非常に疑問を生じさせることになるので,その点についても御検討いただいた方が良いと思います。
以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。重要なポイントを大変ありがとうございました。
どなたか,ほかに御発言はございませんか。
井川委員。

【井川委員】

今の山本委員のコメントと似ていますが,全体的に,「もんじゅ」の管理人のように感じます。やはり目的は,高速炉関連技術の実用化に向けて,それを達成できるということが最も必要なことで,それがないと,新しい組織を作るときに必要なことの全体を考えられないのではないか,これでは矮小(わいしょう)化し過ぎているのではないかと感じられるので,その大目標をとにかくきちんと入れていただきたいということが1点です。
その関連で,これは意見というより質問ですが,原子力規制委員会の田中俊一委員長が日本原子力研究開発機構の方々との対話のときか何かに,原子力規制委員会であなた方の燃料工場を使えないようにしたので,どうせ「もんじゅ」は運転できないというようなことをかなり強くおっしゃっていた記憶があり,この能力の中に,燃料をきちんと調達して加工する能力がないことには,話にならない。そのときに,青砥理事が,そこは考えているというようなことはおっしゃいましたが,余り具体的でなかったので,もし分かれば教えていただきたい。それで,その観点から言うと,今の「もんじゅ」に必要な燃料は,巨額の経費,コストを掛けないと調達できない。燃料工場が使えないので,工場を作り直すということなのでしょうが。それで,今の状態では,もし運転するにしても半年も運転できないだろう,できないのではないかというようなことを,あちこちで言われているようで,真相が分からないと,目標を掲げても,現実的・具体的に伴わないということでは困るので,それについての御見解,どうなっているのか,現状のお考えを,教えていただければ有り難い。

【有馬座長】

田中局長。

【田中研究開発局長】

もし必要があれば,日本原子力研究開発機構でも補足していただけると思いますが,もともともんじゅ研究計画では,まず当面6年ぐらい運転をし,それでチェック・アンド・レビューをして,その後,運転を継続するかどうかを判断するというようなことで考えていました。確かに,現存の燃料で6年間ずっとフルに動かせるかどうかについて言うと,なかなか難しいという認識を持っています。そういう意味で,東海村にあるMOX燃料加工工場で新たに燃料を作っていく必要はもともと認識しています。その上で,現在の燃料加工工場で,そのまま「もんじゅ」の燃料を作れるかというと,恐らく新しい規制基準を適用して,燃料加工工場に対しても,施設の改善を図った上で燃料の製造が必要になると思います。我々としてはそれを視野に入れた上で「もんじゅ」の再稼働について議論していくつもりです。

【有馬座長】

井川委員,よろしいですか。

【井川委員】

かなりのコストが掛かるということが言われていますが,どうなのですか。

【田中研究開発局長】

「もんじゅ」の新規制基準対応の経費もまだ試算段階ですし,燃料加工工場でも,新規制基準対応が,どの程度なのか,例えば最も端的には基準地震動とか,いろいろなものを念頭に置いて,どれぐらい耐震補強しなければならないのかとか,どこまで対応が必要になるかによって,結構,数字は振れるだろうと思っていますが,いずれにしても再稼働するとなれば,そのコストも含めて考えることは必要だと思っています。

【有馬座長】

よろしいですか。
宮崎委員,どうぞ。

【宮崎委員】

私は原子力は専門分野ではなくて,技術経営とか技術政策が専門分野ですので,その観点から助言してまいりました。今回,この骨子案を見て,私どもが指摘した事柄がよく反映されていると思います。
それで,幾つかの点で補足したいことがあります。やはり,こういうことは,環境の変化にもどんどん対応していった方が良いと思います。
それで,資料1の東電福島原発事故後の社会的要請の変化への適応力の不足が挙げられていますが,それに加えて,やはり今回の熊本の地震も考慮するべきだと思います。私は地震が専門ではないので詳しくは分かりませんが,4月18日の日本経済新聞に,直下型の常識を覆すという記事があり,専門家にインタビューをしています。東京大学の地震研究所の古村教授は,ある断層で起きた地震が周囲に乗り移ることをずっと心配してきましたが,実例はほとんどなかったのですが,今回起きましたと。そして,ほかの断層にどのように影響して連鎖するのか,仕組みを理解する鍵となりますことと,同様のことが起こり得る場所は数多くあるはずだと指摘しておられます。
今回の熊本地震では,震度7の地震が28時間以内に同じ場所で起きたことなど,いろいろ想定外のことが起きました。それで,以前配付された資料の中に断層の調査について書いてありますが,近くの活断層が活動した際に「もんじゅ」の敷地内の破砕帯が引きずられて動くことはないとか,原子炉施設の直下にある断層が活断層の可能性は低いと書いてありますが,全国で熊本地震のような地震が起きる可能性があるということが,今回の地震で分かりましたので,この点について再検討していただいた方が地域の住民も安心できると思います。それが1点です。
それから,ガバナンスの件ですが,原子力に閉じることなく,社会の関心や要請を踏まえた意思決定が可能となるような,原子力以外の分野の外部有識者の経営への参画の件ですが,二通りの考え方があると思います。長期的戦略とかミッション,組織戦略などに関する外部有識者の経営への参画の場合ですと,どちらかといえば外部評価のようなガバナンスが考えられます。しかし,通常の業務の場合は,やはり現場のことがよく分かっていなければ,経営に参画するのは,やや難しいのではないかと思われます。緊急時の際は特に様々な専門分野の方の知識を統合する必要がありますが,すべての専門家が「もんじゅ」内で見つかることは考えられないと思います。その場合はスピーディーに外部の専門家に参画してもらうような仕組み,体制が必要だと思います。ですから,外部の専門家のデータベース化というのが必要になってくると思います。
以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。
それでは,次の課題にまいりまして,また戻って御質問,御意見があればお聞きしたいと思います。
続きまして,骨子案の具体的な内容についての議論に入ります。骨子案の内容の議論は,「3 新たな運営主体が備えるべき要件」の四つの項目に分けて行いたいと思います。初めに事務局から骨子案の内容の説明をお願いいたします。

【髙谷研究開発戦略官】

それでは,資料2で,「もんじゅ」の運営主体の在り方についての骨子案について御説明させていただきます。
1ページ目です。骨子案,まず冒頭に,「もんじゅ」について原子力規制委員会から文部科学大臣に対して勧告を受けるに至った,これを踏まえて,「もんじゅ」の在り方に関する検討会を設けて根本的な問題と原因を検証し,これまでの課題を総括するとともに,新たな運営主体の在り方について議論を行ったという経緯を記載した上で,1番目として「はじめに」で,「原子力規制員会の勧告について」,「勧告に至った背景」,「『もんじゅ』の在り方に関する検討会について」,「検討会における議論の経緯」を記載したいと思っています。
2番目として,「『もんじゅ』に係る主な課題」ということで,先ほどの資料1の左側です。「2-1 拙速な保全プログラムの導入」,「研究開発段階炉にあるべき保守管理の検討が不十分なまま,拙速な保全プログラムの導入」ということで,「もんじゅ」の保全計画は,極めて短期間(2か月)での策定が要請されたところ,十分な運転・保守経験が蓄積されておらず,実用軽水炉の保全計画をほぼ準用したものを策定せざるを得ず,策定当初より多くの問題を内包するものであったということ。「2-2 脆弱(ぜいじゃく)な保全実施体制」,「品質保証,保守管理に関する不十分な理解,PDCAを含め脆弱(ぜいじゃく)な実施体制」ということで,保全プログラムの導入当時,保守管理を行う現場との間で,実際の手続や作業とのすり合わせが不十分であったため,現場において理解が不十分であった。保全計画で定める時期に点検が行われていない機器があったりする等,保守管理不備の問題を生ずることになってしまった。また,「もんじゅ」の組織全体においても保全プログラムの運用を問題として認識することができず,PDCAサイクルを適切に回すことができなかったということ。それから2番目のひし形,「保守管理に係る業務を外部に頼る傾向」があったということで,プロパー職員の適切な配置を通じた技術継承及び人材育成が十分にできていなかったということ。
「2-3 長期停止の影響」ということで三つ。初めは,「実際に運転,発電した期間が短いため,運転保守に関する知見の蓄積が不十分」であったということで,原子炉が稼働していたのは,平成6年頃の1年8か月と,平成22年の2か月の期間に限られていて,原子炉が稼働した状態での運転保守に関する知見の蓄積が少ないということ。2番目のひし形,「長期間停止の中で経験者の退職,出向者の帰任によるノウハウ等の逸失」ということで,「もんじゅ」の建設・運転に携わった経験者は徐々に定年退職を迎え,また電力事業者やプラントメーカーからの出向者も随時帰任(交代)して,ノウハウが組織内で引き継いで生かされることなく散逸していったということ。3番目のひし形,「停止の定常化によるモチベーション,マイプラント意識の低下」ということで,「もんじゅ」の運転停止期間が長期化し,運転再開に向けた見通しに不安がある中で,停止状態を前提とした保守管理作業が定常化することによって,これに携わる職員のモチベーション,マイプラント意識が低下し,知識,技術の向上等を妨げる要因になっていることが否定できないということ。
「2-4 人材育成の課題」ということで3点あります。一つ目,「高速炉の実用化に向けた道行きが不明確な中での,将来に向けた人材育成の困難さ」ということで,実用化に向けた道行きが明確でないため,専門性を持つ人材のキャリアパスの確立が困難となっており,特に保守管理担当部署へのプロパー職員の配置や人材育成に支障を来してきたということ。2番目のひし形,「電力事業者やメーカー等からの出向支援を通じたプラント保全経験者のノウハウの定着不足」ということで,長期にわたり出向支援を受けているにもかかわらず,「もんじゅ」における保守管理部門へのプロパー職員の人材配置が限られていたことなどにより,プラント保全に係るノウハウを組織内に十分に定着させ,保守管理の経験の浅いプロパー職員の育成に資することができなかった。3番目のひし形,「原子力規制委員会からの各種要請等を踏まえ,プラント保全担当部署の強化を図るも,管理職の経験値が不足」ということで,保守管理不備の問題の発生以降も,日本原子力研究開発機構はほかの部署からの配置替え等によりプラント保全担当部署の職員の補強を行ったが,「もんじゅ」における保守管理に関する経験不足から,その後の原子力規制庁による保守検査等において,十分な対応ができなかった事例が見受けられるなど,効果が十分に現れていない。
「2-5 情報力や統率力の課題」,「実用発電炉と比べての規制動向や技術情報に対する情報収集力の低さ」ということで,軽水炉において保全計画・保全プログラム導入に向けた体制の整備が進められていた頃,「もんじゅ」においては,当初,自らもその対象となるとの認識がなかったため,規制動向の変化を見据えた対応ができていなかった。また,電力事業者が本社機能として有している,規制情報やトラブル情報に関する情報収集・分析・伝達機能を日本原子力研究開発機構は十分に有しておらず,対応が後手に回った。2番目のひし形,「機器・設備等に関する設計ミスを見抜けないなど,技術力の不足」ということで,「もんじゅ」が経験した大きなトラブルについては,当該機器の製造メーカーの設計ミスが原因であったものの,日本原子力研究開発機構はそのミスを見抜けずに設計承認を行うなど,プラントメーカーを統率する技術力にも課題があるということ。3番目のひし形,「複数メーカーが行う保守管理の一元的な管理,統率能力の不足」ということで,「もんじゅ」はプラントメーカー4社が中心となって建設に携わって保守管理等も請け負っているが,同じ機器であっても企業によって分類コードが異なるなど,保守管理の一元的な管理に対する課題が解決できておらず,メーカーの統率ができていない。
「2-6 東電福島原発事故を経ての社会的要請の変化への適応力の不足」ということで,「安全・安心に関する社会的要請の高まりに対する,状況把握と対応が不十分」。東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえ,原子力の安全・安心に対する社会的要請が高まり,特に規制委員会発足以降,保全プログラムの実施に係る改善を含め,規制当局からの要求水準が高まっていたが,「もんじゅ」では,こうした要請の変化を察知して,自発的かつ迅速な対応をとることができなかった。
「2-7 日本原子力研究開発機構の運営の課題」の一つ目,「研究開発が優先され,経営陣含め保守管理が十分に重要視されていない」ということで,「もんじゅ」の保守管理を担当する部署においては,外部からの出向者が多く,実際に点検作業を行うこととなるなど,定型的だと考えられる業務についてはプロパー職員の配置が限定的であり,十分な関心を払ってこなかったという指摘があること。また,2番目,「これまで繰り返し改革に取り組んできたが,十分な成果があがっていない」ということで,検討会においても必要性が確認された多くの事項が,過去の改革の過程においても同様の提言がなされているところであり,これらの提言への取組が十分な成果を上げていない背景には,経営陣と現場の双方について徹底力が不足していたものと考えられる。
「2-8 関係機関との関係の在り方等の課題」ということで,「監督官庁との間の緊張関係の不足」。主務官庁である文部科学省が日本原子力研究開発機構の状況をおもんぱかる代弁者となっており,日本原子力研究開発機構に対して,保守管理不備を自律的に解決に向かわせるに足りる,厳しい指導ができていないとの指摘がある。また,日本原子力研究開発機構も文部科学省に依存し,事業者として規制当局に対して十分な対応・コミュニケーションが行えていなかったとの指摘があるということ。2番目,「関係者の責任関係についての不明確さや認識の不足」ということで,「もんじゅ」が経験した大きなトラブルに関する責任関係など,不明確さや相互の認識の不足が見受けられることから,プラントメーカーや下請業者を十分に統率できていないとの指摘がある。
2番の「『もんじゅ』に係る主な課題」としては以上です。
引き続き,3番目,「新たな運営主体が備えるべき要件」として,「もんじゅ」を安全に出力運転するため,新たな運転主体は以下の能力・機能を具備することが必要であるということで,先ほどの4点です。
「3-1 研究開発段階炉の特性を踏まえた,ナトリウム冷却高速炉にふさわしい保全プログラムの遂行能力を有すること」。現在,日本原子力研究開発機構が電力事業者・プラントメーカーの支援を受けて実施している保全計画の抜本的見直しを完遂し,運転・保守経験によるデータの蓄積を基に更に継続的に改善できること。「もんじゅ」の運転・保守データを収集・分析・評価し,研究開発段階炉の特性を踏まえた,ナトリウム冷却高速炉にふさわしい保全の在り方を追求するとともに,実証炉以降に向けた知見の蓄積ができること。
「3-2 発電プラントとしての保守管理・品質保証のための体制・能力を有するとともに適切な人材育成ができること」。他のプラントにおける経験者やシニアエキスパートの活用を含め,実用発電炉を参考に適切な規模で能力・経験のある者を確保し,保守管理・品質保証部門の枢要なポストに登用すること。保守管理・品質保証部門について,年齢バランス等を考慮した上で,プロパー職員を継続的に配属し,体制・能力を維持すること。保守管理・品質保証の確実な実施に資する人材育成のシステムを構築するとともに,これらの業務を尊重する風土を生む人事制度を構築することということで,保守管理に係る人材育成が図られる評価制度の導入,信賞必罰に基づく処遇,他のプラントを含めたキャリアパスの構築,電力事業者の発電プラントにおける長期研修の実施など。
「3-3 保守管理・品質保証の信頼性の向上に資する情報の収集・活用能力及びナトリウム冷却高速炉に特有な技術力等を有すること」。実用軽水炉に関するものを含めた規制動向や技術動向に係る重要な情報を的確に収集・活用できること。民間からの専門家の登用等により,プラントメーカー各社に分散している技術情報を掌握し,保守管理に係る契約に基づく作業を十分に統率できる技術力を有すること。暗黙知を形式知に変換することを含め,膨大な保守情報や設計情報等の技術情報を適切に電子化・データベース化し,組織として実効的な活用ができる環境を構築すること。原子力機構が保有するナトリウム取扱い及びMOX燃料取扱いなどのナトリウム冷却高速炉に特有な技術及び知見を確実に継承し,活用できること。核物質の平和的利用を担保する保障措置及び核物質防護について,適切な対応を図ることができる能力を有し,世界の核不拡散に貢献できること。今後見直しが予定されている高速炉に係る新規制基準をあらかじめ想定し,これに適切に対応できる技術力を有すること。
「3-4 社会の関心・要請を適切に運営に反映できる,強力なガバナンスを有すること」。適切な保守管理・品質保証の実施等,社会からの強い要請である安全に係る対応を経営の最優先事項とする組織運営及び組織文化を実現できること。原子力に閉じることなく,社会の関心や要請を踏まえた意思決定が可能となるよう,原子力以外の分野の外部有識者が経営へ参画すること。主務官庁に依存せず,自らの経営問題についてスピード感をもって自律的に判断,解決行動ができること。常にプラントの安全への信頼性の向上を念頭に,規制当局との間で十分なコミュニケーションを行えること。
最後,4番目,「今後の『もんじゅ』の運営に当たっての視点」として,大学などとの連携による人材育成,規制当局とのコミュニケーションの重要性。
以上が,骨子です。
説明は以上です。

【有馬座長】

どうもありがとうございました。
これから,それぞれの項目について,骨子案の文章に対するコメント,加えるべきキーワードなど,お気づきの点があれば御意見をお願いいたします。
最初に「3-1 研究開発段階炉の特性を踏まえた,ナトリウム冷却高速炉にふさわしい保全プログラムの遂行能力を有すること」について御意見を頂きたいと思います。御意見のある委員はお願いいたします。どなたからでもどうぞ。

【井川委員】

3だけではなくて,少し連動するのですが,まず反省項目のところで,「2-5 情報力や統制力の課題」についてですが,これは本来,2-1になるのではないかという気がしてならないのです。いろいろな御意見があるとは思いますが,保全プログラムに対応するのは,原子力規制委員会から言われているのはもちろんですけれど,そのバックグラウンドとしては,情報力や統率力がないと対処できなくて,組織論を考えるのであれば,何かこれだと車のブレーキだけが効けばいいと言っているようなもので,ボディーとか全体のことをまず考えないと,この車は走りますという要件がまずないと,何かハンドルが付いていることからいきなり始まっているような気がして,やはり組織として統率力や情報力があって,能力を有している,頭脳があるというか,そういったところが最初に反省点としてあるというのが,やはり重要であると思います。
そうなると,3の項目も,3-3が本来的には最初にあるべきなのではないのかと。つまり,情報について何が必要かということを,情報を入手して,それについて的確に判断し,それについて技術的に設計なり計画なりをきちんと立てられるという能力があった上で,保全などに対応できなければ,やはりこれまた車全体の話かハンドルの話かと,何か順番,物の軽重が違うような気がして,順序を変えていただければと思います。
また,「2-1 拙速な保全プログラムの導入」について,2か月で導入したことの反省点としては,やはり規制当局との対話がないということ。当時の原子力安全・保安院に早く作れと言われたこと。軽水炉がもう,すぐ作らないといけないので,横並びで作らないと役所としてもたない,原子力業界としてもたないということで作ったわけで,ここは原子力規制庁に文句を言うわけではなくて,旧来の反省点を踏まえると,そこの規制等の対応を十分とって,こういった計画は作るべきということの重要性があるので,拙速な保全プログラムを導入せざるを得なかった背景というのをもう少しきちんと書いておいた方が反省点としては役に立つのかなという気がしますので,そこだけ意見を申し上げたいと思います。
以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。
ほかに御意見はございませんか。
山本委員。

【山本委員】

座長からの御質問は,3-1について御意見はありませんかということでしたが,もう少し全体の枠組みについてのコメントでもよろしいでしょうか。
2点ありまして,1点目は質問ですが,今回の備えるべき要件の中身を拝見すると,いわゆる研究開発についてのことが余り書かれていなくて,ここに「運営主体」と言っているのは,研究開発部門は別にあって,運転をしていくための主体で,それが備えるべき要件をまとめておられるのかどうかということ。これは後でお答えいただければと思います。
2点目ですが,3番目の運営主体が備えるべき要件というところで,「もんじゅ」を安全に出力運転するためと書いてありますが,今までこの在り方検討会で主として検討してきたのは,現時点で「もんじゅ」は停止していて,その保全プログラムの不具合を主として検討してきたわけで,そういう意味では,停止中の保全プログラムに割と特化した要件がここに書かれているという印象です。したがって,今までの在り方検討会の議論を基にして,出力運転のところまでの要件を述べるというのは,少し難しい点があるかと考えています。したがって,新たな運営主体が備えるべき要件の範囲を明確にした方が良いのではないかと思います。当面は停止中の保全をきちんとやるということが非常に重要な話で,それだけでもかなりハードルが高いと思いますので,例えば幾つかにステージを分けて考えていくというようなやり方もあるのではないかと考えています。
以上の2点です。

【有馬座長】

ありがとうございました。
ほかに御意見はございませんか。
それでは次に「3-2 発電プラントとしての保守管理・品質保証のための体制・能力を有するとともに適切な人材育成ができること」についての御意見を頂きたいと思います。例えば,必要な能力を持った人材の確保策とか,いかにして現場のやる気を高めるかというような御意見を頂ければ幸いですが,どなたからでもどうぞ。
丸委員。

【丸委員】

今,3-2の御議論ですが,その次も関係するのですけれども,今回のそもそもの問題は現場の保全上の品質管理がうまくできなかったという,非常にローカル,現場的な問題なわけです。それで,何度も申し上げたつもりなのですが,自律的にPDCAができるということが最も大事だと思いますし,そのために意識上はマイプラント意識とか申し上げたわけです。それで,この自律性ということが,前の反省のところにはいろいろ出てくるのですけれども,3-2で少し自律性を持つということを強調して書いていただいた方が,よろしいかと思うのですが。ところが,少し先走って申し訳ないのですが,3-3では,第2パラグラフに民間からの専門家の登用等により十分に統率できる技術力を有することとなるわけです。
それで,反省の2章を振り返りますと,2-2では,外部に頼る,依存する傾向ということが言われています。2-3についても関連している。それから2-5では,メーカーに対する統率力の課題ということが大きく言われている。
そういうふうに考えてみると,さらなる外部の民間からの登用というのは,むしろ自律性を阻害するのではないか,つまり,外部頼りというふうに聞こえてしまいます。それで,課題と対応として,これを取り上げるというのは,ポイント的には専門家を招集して,よく「もんじゅ」自身に実力を付けるということが大事だというのは当然なのですが,これが課題に対する対応だというところに少し違和感を覚えており,むしろ依存度を高めるというふうに矛盾して見えると思います。
したがって,コメントは3-3にいってしまっていますが,3-2と3-3にかけてそのように感じます。
以上です。

【有馬座長】

どうもありがとうございました。
ほかに御意見はございますか。
井川委員。

【井川委員】

先ほどから,今の御指摘と同じようなことを思っていたのですが,特に3-2では,外部の方を経験者とかシニアエキスパートの活用で枢要なポストに登用とありますが,これだと,3項目目の人材育成のシステムと整合性が取れていないようにも見えるので,むしろ,若い人が責任あるポストを経験して,自ら鍛えていくというのも重要なことだと思います。シニアクラスが,退職したと思ったら戻ってきて,指示するというのは,何か少し違うかと感じますので,書きぶりを注意して,「助言を含めて有効に活用」といったような表現になるのではないのかと思います。
また,今,勧告を受けている原子力規制庁自身も,メーカー,電力等のOBを多数入れて,検査などを向上させるとおっしゃっているので,こちらも外部の者を登用するというのは,むしろいいことだと思いますが,この書きぶりで注意しなければならないのは,そういう者がしっかりと「もんじゅ」の一員として役立てるように,教育・訓練の体系を築いて活用していくという位置づけではないのかと思います。登用して教えてもらうとか,そういう受け身の形だと,結果的に組織としては強くならないのではないかという懸念があるので,そういった観点から,表現ぶりを工夫していただければと思います。
以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。
ほかに御意見はございませんか。
それでは次に,「3-3 保守管理・品質保証の信頼性の向上に資する情報の収集・活用能力及びナトリウム冷却高速炉に特有な技術力等を有すること」について御意見を頂きたいと思います。例えば,どうすれば新たな運営主体が必要とされる技術力を取り込むことができるかなどという観点で御意見を頂いても結構です。どなたからでもお願いいたします。
山本委員。

【山本委員】

最初に申し上げましたが,3-3については,やはり項目を二つに分けた方が良いように思います。情報の収集・活用能力と技術力というのは,かなり性質が異なっている話ですし,「もんじゅ」のそもそもの目的を考えると,ナトリウム冷却高速炉に特有な技術力等を有することというのは非常に重要な目的でもあると思いますので,この項目は分けて書いていただいた方が良いと思います。
以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。
ほかに御意見はございませんか。
中尾委員。

【中尾委員】

ここに出てきた新たな運営主体というのは,原子力規制委員会の言われたことが,新たな運営主体を選びなさい,選べなかったらどうするのか在り方をきちんと明記しなさいということでこれが出ているのだと思いますが,新たな運営主体というのは何か考えているのですか。独立して,本当に自主的に考えていくような。例えば大学なども法人化したように,そういうようなことを考えているのか,今は何も考えていないのか,どうなのですか。

【有馬座長】

田中局長。

【田中研究開発局長】

もちろん,この在り方検討会で,新たな運営主体が備えるべき要件を議論いただいていますので,我々としては,これがある程度まとまれば,この要件に当てはまるような入れ物を新たに考えたいと思っています。どういう形態になるかは,前回,例えばGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のような議論もありましたが,どういう組織体が最も向いているかは,事務局でよく精査させていただきますが,基本的にはこの備えるべき要件に最も合致したふさわしい組織を作ることを考えたいと思っています。

【中尾委員】

それを作るための,要件というわけですね。これに合うような組織を後で設計するから,それに必要な条件を今ここで設定するというふうに考えれば良いわけですね。そうであると,お互いに干渉するようなものが結構入っていると思いますが,そんなことは一々考えないで,これとこれが良い,必要なものをまず列挙しようと,そういう感じになっているのですか。

【田中研究開発局長】

もちろん委員の方々の議論の中で,これは明らかに矛盾しているという点があれば,本当はどちらかを優先すべきだという議論をしていただいた方が,事務局としては本当は良いと思いますが,本日は素案の段階ですので,とりあえず今まで委員の方々から出てきた意見を全部,一応ここに列挙してあるとお考えいただければと思います。その上で,例えばある部分とある部分が明らかに矛盾しているのであれば,どちらを優先すべきだという議論をしていただければと思います。

【中尾委員】

しかし3―3で,メンテナンス部門とリサーチ部門が,両方ないといけないとか,それから自分たちでやらないといけないというのと,軽水炉の方からも人を入れないといけないとか,そのようになってくると,何か少し違うのではないのかと。どのようなものが解になるのだろうかと。

【田中研究開発局長】

今,直ちにこの解というわけではないので。例えば,今出ていました,外から来た人が管理職というのは,イメージとして,私自身がこれまでの議論で思いましたのは,例えば「ふげん」の例で,当初は電力の管理職がいて,その下にプロパーがいて,運転していく中でプロパーが育っていって,その人たちが更に管理職に上がっていくという。そういう意味では,管理職に来ていた外部の方たちも,ただ単に来ているという,お客様的な意識ではなくて,自分たちもできれば「もんじゅ」の運営を主体的に責任を持ってやるのだという意識を持って来ていただいている方たちが,今まで「もんじゅ」の中だけだと,そういう経験が必ずしも十分にできないということがありますので,外にいらっしゃる経験のある人が,自分たちの意識を持って管理職に座った上で,下が育っていくようなイメージがあるのではないかと思いました。

【中尾委員】

分かりました。何か良い設計解があるかどうかをこれから選んでいくということですね。

【田中研究開発局長】

あと,もう一つ,先ほど山本委員からも御質問があったことに関連して申し上げれば,多分,「もんじゅ」で行う研究開発あるいは技術開発というのは,私は,ある部分では2種類あるのではないかと理解しております。
「もんじゅ」自身は原型炉として実証するというプラントですので,実証するというのは単に例えば100パーセント,電気が起こせたということだけではなくて,運転していく中で,次の実証炉を設計する上で必要ないろいろなデータ,例えば保守管理のやり方一つもそうだと思いますし,運転のモードとか,そういったものに対して蓄積するデータは必要になっている。そのデータは多分,次の実証炉を設計するときに,この部分は極端に言うとこういう設計に変えた方が良いとか,あるいはメンテナンスを考えた場合は,ここはこういう配管にしようとか,あるいはメンテナンスではどことどこを中心に見れば良いから,ここは余り見なくて良いとか,そういった経験値というのを,運転していく中で蓄積していく。それもこの「もんじゅ」に与えられた技術開発の大きなものだろうと思っており,それはむしろ運転している人たちが,ある種の技術開発を実際やっているというものだと思います。
もう一つは,例えば実際,「もんじゅ」の中に様々な種類の燃料を投入して,その燃料を実際に解析した結果,例えばどれぐらいの燃え方をしているとか,あるいは燃料が今後どのように変わっているとか,それはむしろ「もんじゅ」を使って研究するという主体だと思います。
それで,「もんじゅ」を使っていろいろなデータをとりたいという人たちは,必ず「もんじゅ」の主体の中にいなければいけないということはないと思います。それは,ある部分では,例えば大学の方が「もんじゅ」に来ていろいろな形で研究をするケースもあると思いますので。したがって,全ての研究部門が新しい主体の中になければいけないということはないと思います。

【中尾委員】

先ほど,まだ6年間このように計画をしようとしていたとおっしゃいましたが,それは1年8か月と2か月をプラスした期間動かした中では分からなかったことで,まだ多くの実験計画があるということなのですか。

【田中研究開発局長】

そのとおりです。少なくとも,今まで動かした中では,最高で40パーセントの出力しか出ていませんので,当然,100パーセントの出力を考えなければいけないと思いますし,それから特に新しい研究計画の中では,いわゆるマイナーアクチノイドと言われている放射性廃棄物を減容化するとか,あるいは有害度を低減化していくといったものに関しての重要度も言われておりますので,そういったことについてのデータをとっていくという観点も新たに追加されているところです。

【中尾委員】

分かりました。

【有馬座長】

高橋委員。

【高橋委員】

これまでの議論を整理して要件として整理すると大体こういうことなのだろうと思います。実態を考えるときに,最も大事なのは保全計画にしても品質保証にしても実施するのは現場であり,現場の組織がいかに機能するかということを考えないといけないのですが,それは,ここに要件で書けるようなものではなくて,もっとずっと泥臭い話のように思います。例えば,「もんじゅ」でも一生懸命やられている対話も大事でしょうし,ちょっとした成功体験を褒めてふくらませていくというようなことも大事でしょうし,それから品質保証体制とか,そういう話も出ていますが,それよりも,古臭いですけれども,顧客志向とか,マーケットインだとか,後工程は神様だとか,そういう気持ちで仕事をするということがとても重要のような気がしまして,要件として書くのになかなかそぐわないし,余り見栄えのする対応ではないのですが,そういうことがうまく表現できないかというのを感じます。そうした中で,現場のことを考えると,自分たちの考えて作った保全計画を,対外的にしっかり説明できるということはとても大切なことだと思いますし,とりわけ「もんじゅ」が原型炉ということを考えれば,規制側に対しても,しっかり自分たちの考え方が説明できる,そういった人材を用意するというか育てるということが大切だと思いますので,要件として,追加していただければと感じました。
以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。
宮崎委員。

【宮崎委員】

私は,前々回,研究開発炉として成果を上げるためには発電炉として機能することが必要だと申しました。その際,宇宙開発の例をとって説明しましたが,具体的な例があります。
今年の2月に打ち上げられたX線天文衛星「ひとみ」は,3月末に通信異常が起きて,衛星の状態を確認できない状態が続いています。そのような状態ですと,本来の目的であるブラックホールの観察などの研究はできなくなってしまいます。ですから「もんじゅ」も同様で,発電炉として長期間,安定して機能することが第一のステップだと思います。そして,それができた上で研究炉としてのミッションを果たすことができるのだと思います。
技術力を考えるときに,いろいろな技術のカテゴリーがあるわけです。コアテクノロジーなのか,基盤テクノロジー,ジェネリックテクノロジーなのか,あるいは周辺技術なのか,そのようにいろいろな区分けをすることができるわけです。このIT化とかデータベース化は周辺技術なわけです。ですから,技術によって,それを整理した上で対策を考えた方が良いと思います。
それから,技術力といいますのは,個人の技術力もありますが,組織としての技術力があるわけです。それで,組織としての技術力向上のためには,組織的な取組が必要なわけです。例えば企業の場合ですと,仕事の進め方の組織的なルーチンなどの改革とか改善とか,いろいろな取組があるわけです。ですから,その二つのことを考えた方が良いと思います。

【有馬座長】

ほかに御意見はございませんか。
現場の方からどう考えるか,日本原子力開発研究機構から御意見があればどうぞ。

【児玉理事長】

ありがとうございます。いろいろ御指摘いただいた課題は,ごもっともということばかりで,我々がもう既に気が付いて日本原子力開発研究機構として手を打っているものがほとんどだとは認識しておりますが,課題としては認識しているが有効な手が見いだせていないというものもございます。例えば原子炉が稼働した状態での運転保守に対する知見の蓄積が少ないとか,管理職の経験不足とか,あと規制当局と十分なコミュニケーションができていないという,課題としては認識しているけれど手が打てていないもの。それから,気がついていなかったものというのも一つあります。それは,文部科学省が厳しい指導がなかったというようなところは,実感としてはありませんでした。
それから備えるべき要件の方は,本当にそのとおりだと思います。皆さんのおっしゃることもそうだと思いますけれども,私自身が今考えている,もう少し漠然とした上位の概念は,やはり組織として価値観を共有して,当事者意識が高くて,士気の高い組織を目指していきたいと。そのためにはどうしたら良いかというようなことを,私どもは今考えているという状況です。

【有馬座長】

ほかにございませんか。
ここでもう一つ,私から質問したいのですが,今議論している中でナトリウム冷却高速炉に特有な技術力という言葉がありますが,その辺に関して,今までいろいろ事故,故障もありましたが,それも克服して,現在までに得られたもので最もすばらしい成果と思われるものは,「もんじゅ」に関してどういうことがあるでしょうか。要するに,高速中性子炉としての技術力の開発において,「もんじゅ」が貢献した最もすばらしい業績は何と考えたらよろしいでしょうか。

【荒井計画管理部長】

ありがとうございます。まず個人的な意見で御勘弁いただきたいですが,お話させていただきます。
やはり,これまで我が国の高速炉の開発の中では,ナトリウムを大量に漏えいさせたことはなかったのを,「もんじゅ」ではナトリウム漏えいを起こしてしまった。それに対して,社会の方々の反応があり,それらを踏まえて全体の総点検をして漏えい対策を打ちました。それ以降,ナトリウム漏えいに対しての知見あるいは気を付けなくてはいけないところに,現場の運転員,保守員が,非常に気を付けて設計してきた。そして,その運用についてもいろいろ検討してきた。これは,我が国の高速炉を開発してきた,発電炉を次に作っていく上では非常に貴重な蓄積,実績を得たと思っています。
もう一つ,炉内中継装置を落として,それを復旧させるとき,御存じのようにナトリウムは活性ですから,その上部を不活性のガスで覆っています。その不活性なガスの境界をキープしながら,いかに中のナトリウムを酸素とか水素とかと接触させないで復旧させるか。あれだけの大型のものを復旧させる技術について,非常によい知見を得られたと思っています。
私が今思い付くのは以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。

【青砥理事/もんじゅ所長】

少し補足させていただきます。質問は,これまでのという話でしたので,まず最も大きいのは,「もんじゅ」を作るときに,高温構造設計方針という設計方針を作りました。それは,今,機械学会で,将来炉に向けて整備がされているわけですが,そこに書いてあるのは,従来軽水炉では培われなかったもの。そのとおりの設計をして,その設計のありさまを40パーセント試験までですが確認できたところ。その中には当然ながら構造材料のナトリウム共存性ですとか,それに対する腐食の評価ですとか,当然ながら,高温で使いますから,軽水炉とは違った高温レベルでの設計基準,クリープ疲労とか,様々な技術開発が必要だったところ,それについての整理がされて,その確認ができていること。完全だとは言いませんが,そこまでのことがまずは非常に大きい成果だったと思います。それは実際にほかの国からも,この高温構造設計方針,ナトリウム腐食に関する評価といったものは,引用されていますし確認されています。それが考えるところ,最大の成果だと思います。その先に,私たちは,実りあるものを作りたい。それが保全計画であったり,いわゆるシビアアクシデントに対する対策だったりするのだと思っています。

【有馬座長】

ありがとうございました。
それでは最後に「3-4 社会の関心・要請を適切に運営に反映できる,強力なガバナンスを有すること」について御意見を頂きたいと思います。例えば,どうすればより効果的に強力なガバナンスを現場の活性化に結び付けていけるのかなどの点についての御意見も頂ければ幸いでございます。どなたからでもどうぞ。
丸委員。

【丸委員】

先ほど申し上げたとおり,今回の問題というのは,あくまでも,事の発端は,保全における品質管理の問題なわけです。極めて現場的な問題であります。それで,3-4の中の原子力以外の分野の外部有識者が経営に参加するというのが,課題とどういうふうにつながっているのかがよく分からないのです。それで,これも先ほど申し上げましたけれども,最も大事なのは,自律的に行動する現場ということだと思うのです。それで,これは先ほど理事長からも当事者意識とか士気の高さということが言われましたが,まさにその点だと思うのです。直近の問題で言えば,今,新たに保全計画を作っておられる,それをどうするか。それが本当の現場の実行者が自分のプログラムだと認識して実行できるようになっているかどうかという点が,やはり問題だと。そうならなければいけないと思います。それで,外部有識者の経営への参画という点ですが,先ほど申し上げましたが,課題との関係がどうもはっきりとリンクできないなと思うことと,これもまた外部という言葉が出てくるのですが,やはり自律性ということと,こういう支援ということとは結構矛盾するところがあると思うのです。ですから,そこが場合によってはむしろ問題になるということすらあり得るのではないかと思いますので,その点は十分注意しなければいけないなと思います。
それで,ガバナンスについて何が必要なのかと考えますと,要するに現場が自律できるように,現場の自律性を高めるように支援する。それがガバナンスにとってまず必要なことだろうと思います。そのためには現場の意見をよく聞いて,恐らく最上位の方針と矛盾することもいろいろあると思うのです。そのときに,徹底的に議論した上で,お互い納得がいくまで方針をはっきりさせて,それでもって,あとは一丸となってやると。そういう形ができれば,私は現在の「もんじゅ」の体制は,非常に高い資質を持った人たちが大勢おいでになると思いますので,その人たちが自律的に動けるような支援の仕方をすれば良いのだと,ガバナンスの点でも思います。これは私の感想なので,よく御検討いただきたいと思います。

【有馬座長】

ありがとうございました。
ほかに御意見はございませんか。
井川委員。

【井川委員】

今,御指摘があったところで,「原子力に閉じることなく」と前振りがあって,その後,外部の有識者とあって,2度重なっておって,多分,この趣旨は,原子力に閉じることなくというのは意思決定が,幅広い観点からという意味なのだとは思うのですが,これが何となく「もんじゅ」の本来果たすべきミッションに対して,何か意思決定がかえってはっきりしなくなるような印象に読める文章なので,恐らく原子力に閉じることなくという出だしがない方が良いと思います。つまり,幅広く,外部のお知恵も借りながらやるというのは,もちろんこれは,普通,どの組織でも重要なことなので。ここに「原子力に閉じることなく」とあると,一体何のために判断するのかというのがよく見えなくなるので,やはり「もんじゅ」のための,あるいは高速炉開発のためのいろいろな意思決定をする際に幅広い御意見を聞くという趣旨のことを強調するようにすれば,もう少し分かりやすくなるのかなという気がしました。

【有馬座長】

山本委員。

【山本委員】

先ほどから自律性の話が出ておりますが,やはり自律的な体制を整えるためには,人と,最初に申し上げた予算の二つの面が重要でありまして,ここには予算の保証というか確保のことが書かれておりませんので,是非,要件として書き込んでいただければと思います。
以上です。

【有馬座長】

ありがとうございます。
どうぞ,宮崎委員。

【宮崎委員】

本日の会議の最初の部分で発言したことと,少し繰り返しになってしまいますが,私は,このガバナンスでは,やはり二通りの考え方があって,組織戦略とかミッションとか経営戦略の場合,外部有識者は,外部評価の形で参加できると思います。しかし,毎日のオペレーションの場合はやはり現場のことがよく分かっていなければ,専門外の人が参加するのはかなり難しいのではないかと思います。また「もんじゅ」の場合は複雑なシステムで,たくさんの専門分野の方が参加しないと成り立たないシステムでして,原子力以外に例えば機械,化学,あるいはIT分野のような,様々な分野の人が参加できるような取組,組織が必要ではないかと思います。
それで,オープンイノベーションも可能ですから,もしも「もんじゅ」の中にそういう専門分野の人がいなければ,外部の人を,そのような専門知識が必要なときに参加してもらうようなフレキシブルな柔軟性のある運営の仕方がよろしいのではないかと思います。

【有馬座長】

ありがとうございました。
一応,全体を通じてやってまいりましたが,振り返って,言い残したところがありましたら御発言いただきたいと思います。今の4の社会の関心に限らず,遡って御発言を頂ければ幸いです。何でも結構ですが,どなたからでも。まだ言い足りないというところがあれば。
青砥所長にお伺いしたいのですが,今後,仮に運転が開始されたときに最も重要な検討課題というか,研究したい,あるいは運転でいろいろな経験を踏みたいと思っておられるところはどういうところでしょうか。

【青砥理事/もんじゅ所長】

基本的には,段階的なものがありますが,動き出したときには,まだ達していない100パーセントのパフォーマンスを見ないといけない。その100パーセントのパフォーマンスの中で,特に今後重要になるのは,以前も少し触れたかもしれませんが,この世の中でループ型ナトリウム炉は「もんじゅ」しかありませんから,その特徴で最も強みのあるところをまずは確認すべき。その確認したものが,もともと自分たちが設計したとき,評価したときに考えていたもののとおりか,そうでない場合には余裕がどのぐらいあるのかについて確認したい。
それ以降は,新たな知見になっていくわけですが,一つは,ナトリウム炉のMOX燃料の燃焼度を高めていく。その一言でさえも,多分,我々としては知見のないところであり,動かせば動かすほどの挙動が出る。
今,問題となっている保守・補修のところも,実際に自分たちが設計したときのイメージとはもうかなり違ってきています。それは,この中でも議論があったように,様々な事故や,我々を取り巻く環境が変わったことによって考え方が変わりました。それが設計したときと,今実際に動かすときのデルタをとった上で,今後出来上がっていく実証炉あるいは次の炉に向けてどう整理していくか。そういったところを確認していくということだと思います。

【有馬座長】

田中局長も同じお考えですか。

【田中研究開発局長】

基本的には,今,青砥理事がおっしゃったとおりだと思っております。そういう意味で,今,ループ型はまさに世界で日本だけですし,現状ではロシアとか中国,インドといった国では,一生懸命やっておりますが,今,西側先進国の中で,動かせる状態にある炉としては,「常陽」と「もんじゅ」しかないということですので,そういう意味では,海外も,「もんじゅ」あるいは「常陽」の再稼働に対しては非常に強い期待を持っているわけです。それから彼ら自身も,「もんじゅ」あるいは「常陽」に来て様々な実験ができるだろうという期待感を持っておりますし,当然,フランスは次のASTRIDという実証炉計画もありますが,そういったところに向けて,彼ら自身も,いろいろ設計に参考となるデータをとっていきたいという思いがあります。そういったところにも,多分,国際研究拠点と見れば役に立っていくだろうと思っております。

【有馬座長】

ありがとうございました。
私もロシアのBNを見に行ったのですが,中まできちんと見せてもらえませんでした。そういう意味で,「もんじゅ」のようなものが,一般にどなたでも近づくことができれば,非常に研究者に役に立つと思います。
ほかにございませんか。
宮崎委員。

【宮崎委員】

資料のどこかに書いてありますが,私は前回,保全作業と緊急時対応では求められる能力が異なると考えられますと発言しました。それで,いろいろな緊急時に対する対応策を明確に示しておくことが必要だと思われます。3月末にはベルギーでテロが起き,テロリストは,原子力発電所も攻撃しようとしていました。ですから,プルトニウムを使っていますので,テロに対する対策というのももう少し再検討した方が良いかもしれません。

【有馬座長】

ありがとうございました。
田中局長。

【田中研究開発局長】

もちろんテロに対しても,これは核物質防護というような観点あるいは核セキュリティーというような観点で,これ自身,規制の対象になっており,原子力規制委員会の示されている一定のガイドラインとか規制基準がありますので,それにのっとって,例えばいろいろな防護措置を講じ,まずはテロリストが来たときに近づくのに時間が掛かるような措置。その間に警察なりが来られるようなもの。そういった,実は多面的な防護措置が現在でも講じられておりますし,当然,それは世界的なスタンダードにのっとってやられていると考えています。

【有馬座長】

丸委員,中尾委員,高橋委員,御発言がまだ少ないのですが,御意見はありませんか。
高橋委員,どうぞ。

【高橋委員】

御指名でございますので。「もんじゅ」に限らず,原子力をやる以上は,さっき顧客満足と言いましたけれど,やはり顧客満足と,それからやはり危険なことをやらせていただくわけで,地域の人の満足,そういうことはよく考えなければいけないと思います。
それから,もう一つ大事だと思うのは,日本原子力研究開発機構だけではなくて,下請の方もいるし,また更にその下請もおり,働く人たちの満足ということも大事だと思います。
こういう要件に乗りにくい話かもしれませんが,運営するときには,こういう三つの満足はやはりとても大事なことだと思いますので,考慮していただければと思います。

【有馬座長】

ありがとうございました。
中尾委員。

【中尾委員】

保守管理と品質保証をする人が特別な人かといったら,全然そんなことはなくて,やはりリサーチャーでも今は保守管理等やらなければいけないし,大学だって,1回爆発してしまったら,もう営業停止になるわけですから,だからこの保守管理・品質保証が特別でこつこつやらないといけないから,特別な人が要るというようなことは全然ないと私は思います。できる人がきちんとやる気になれば,同じようにできる話なので。だから,人材の質をきちんとキープできれば,リサーチにも向くし,品質保証にも向くような,そういう会社ができていくのではないかなと思っています。

【有馬座長】

ありがとうございました。
最後に丸委員。

【丸委員】

既に2点申し上げたとおりでございますが,もう一つ付け加えるならば,研究開発とプラントの運転ということを,あえて何か別なもののような印象を持って書かれているような気がいたしまして,これはいまだに,プラントの運転,保全ということを研究開発と別に見ているという印象を受けるのです。プラントの保全をもっとリスペクトしないといけないのだということを随分強調して書かれている。だから,根本的に分けて考えている。そこはそうではなくて,プラントの保全自体は立派な研究開発であり,保全計画自体も立派な成果であると思いますので,そこは,これを見る方が誤解ないような書き方というのが私は必要ではないかと思います。

【有馬座長】

丸委員,ありがとうございます。
私も同感で,何となく論文を書かなければ研究者ではないというような格好ではまずいと思うので,研究開発で論文を書いていくことも要るのですが,運転ということに対してもやはり研究的な期待もあるし,逆に研究をしている人も運転体験ということも必要だと思いますので,少し広く評価の仕方についてしっかり検討していっていただきたいと思っています。運転することを評価していただきたいと私も思っておりますので,今の丸委員の御意見に賛成しておきます。
さて,ここで大体,時間が参りましたので,本日,皆様から出されました意見を整理して,事務局において骨子の整理と肉付けを更にしていただきたいと思っています。そしてまた,本日言い残したこともおありだろうと思いますので,いつも申し上げるように,お考えがありましたら事務局に文書でお出しいただきたいと思います。時間の関係などで十分発言できなかったこともおありだと思いますので,よろしくお願いいたします。
本日予定されておりました議題は以上でございますが,大臣にずっとお聞きいただきましたので,一言お願いいたします。

【馳文部科学大臣】

国策であります。エネルギー基本計画において,この核燃料サイクル事業をしっかりやれと言われておる中で勧告を頂きました。児玉理事長か青砥理事,原子力規制委員会に対して何か言いたいことはありますか。1回も口を割らないので。別に何か恨みつらみを言えとか,そういう意味ではなくて。原子力規制委員会がこのような文書を出してこられた。それを踏まえて検討委員会の皆さんにお願いして,本日を含めて7回,こういう議論をさせていただきました。最終的に私も大臣という立場である以上は,政府一体の中でエネルギー基本計画を進めていく重要な位置づけのある核燃料サイクル事業,これはやはり前人未到の域を行く部分もあるわけですから,これに対して原子力規制委員会という三条委員会として設置された委員会からこういう勧告が出たということに対して何か言いたいことはありますか。

【児玉理事長】

「もんじゅ」に関しては,何か原子力規制委員会にお願いするとか言いたいことがあるという以前に,自分たちがやるべきことをきっちりやるということが今は大事だと思います。まず自分たちのガードを固めてといいますか,やるべきことをやってからお願いするという段階だと私は認識しております。

【馳文部科学大臣】

青砥理事は。

【青砥理事/もんじゅ所長】

いろいろなところでお話ししていますように,やはりここでも指摘されています,どうにかしてコミュニケーションをきちんと図るべきだろうと思います。決して,勧告が誤解の下に出たというつもりはありませんが,けれどもそれ以前,その以降も,自分たち,研究開発を行っている人間からすると,規制一つとっても,多分いろいろなところで新たなもの,新しく考えなければいけないものがあるときに,どのようにしてそれを共有できるか,それは何かやり過ぎても駄目だろうし,幾つかのやり方を考えなければいけないと思いますが,かなり緊張関係をもって,どうにかして,何らかのコミュニケーションの基盤を作りたい,あるいは作っていただきたい,そのように思います。

【馳文部科学大臣】

はい。

【有馬座長】

ありがとうございました。
それでは事務局から,事務連絡をお願いいたします。

【髙谷研究開発戦略官】

議事録は事務局で作成後,委員の皆様に御照会を掛けさせていただきますので,よろしくお願いいたします。
また,次回の検討会は,日程等,調整が整い次第,改めて御連絡させていただきたいと思います。以上です。

【有馬座長】

本日はお忙しいところ,まことにありがとうございました。また,皆さん御出席くださってありがとうございました。
これで閉会といたします。

【馳文部科学大臣】

どうもありがとうございました。

お問合せ先

研究開発局 研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)付

(研究開発局 研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)付)