「もんじゅ」の在り方に関する検討会(第6回) 議事録

1.日時

平成28年4月6日(水曜日)16時00分~17時30分

2.場所

文部科学省 第2講堂(旧文部省庁舎6階)

3.議題

  1. 「もんじゅ」の組織運営における課題について
  2. 「もんじゅ」に係る主な課題の整理について
  3. その他

4.出席者

委員

有馬座長
井川委員
櫻井委員
高橋委員
中尾委員
丸委員
宮野委員
山本委員

文部科学省

馳文部科学大臣
冨岡文部科学副大臣
土屋文部科学事務次官
戸谷文部科学審議官
田中研究開発局長
明野もんじゅ改革監
板倉大臣官房審議官(研究開発局担当)
信濃開発企画課長
岡村原子力課長
高谷研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)
次田「もんじゅ」の在り方検討対応室次長

(説明者)
日本原子力研究開発機構
 児玉理事長
 青砥理事/もんじゅ所長
 荒井もんじゅ運営計画・研究開発センター計画管理部長

5.議事録

【有馬座長】

定刻になりましたので,「もんじゅ」の在り方に関する検討会の第6回を開催いたします。
本日は,お忙しいところ,御出席いただきまして,まことにありがとうございます。
第6回の検討会開催に当たり,馳文科大臣が御出席ですので,御挨拶をよろしくお願いいたします。

【馳文部科学大臣】

どうもお疲れ様です。第6回となり,いよいよ検討会も佳境に入ってまいりました。
これまで,いわゆる総括をしながら,どこに課題があったのかということでの議論を賜りました。文部科学省に対しても大変厳しい御指摘を頂いており,重く受け止めております。
今回は,これまでの課題を踏まえながら,いよいよ組織の在り方,運営の在り方について,より具体的に踏み込んだ議論をしていただければと思っております。いわゆる第2段階に入ってきたということでありまして,どうぞ忌たんのない御意見とともに,御指導も頂きたいと思います。
本日は,私も最後まで出席させていただきますので,よろしくお願いいたします。

【有馬座長】

どうもありがとうございました。
それでは,事務局から出席者の紹介をお願いいたします。

【高谷研究開発戦略官】

本日,宮崎委員は所用により御欠席です。
また,説明者として,日本原子力研究開発機構から,児玉理事長,青砥理事,荒井部長が御出席しています。

【有馬座長】

それでは,議題1「「もんじゅ」の組織運営における課題について」に入ります。
本検討会では,これまで「もんじゅ」の運転管理に必要となる技術的能力及び運転管理と研究開発との関係等,技術面からの検証を中心に議論を進めてまいりました。そうした議論の中でも,各委員から「もんじゅ」の組織運営についても重要な御意見を頂いてまいりました。 また,前回の検討会では,「もんじゅ」の新たな運営主体に求められる具体的要件について,各委員から意見を提出していただきました。 今回は,これらの議論を更に掘り下げて,「もんじゅ」の組織運営に関する課題について,委員の方々の御意見を頂くことを中心に議論を進めたいと思います。
議論は,第1,品質保証体制について,第2,運営全般の組織・機能について,第3,ガバナンスの在り方についての三つの観点に分けて,順に委員の方々から御意見をお伺いし,最後でまとめて議論したいと思います。
初めに,品質保証体制についてですが,この観点に関連したこれまでの各委員からの質問に対し,日本原子力研究開発機構が回答をまとめています。基本は資料を見ていただければと思いますが,補足すべき説明があれば,日本原子力研究開発機構からお願いいたします。

【荒井計画管理部長】

日本原子力研究開発機構の荒井でございます。資料1で委員の方々からの質問に対しての回答に若干補足して説明させていただきたいと思います。
シート1,軽水炉との比較で,前回,保全の在り方について軽水炉との比較をしましたが,今回は品質管理に関して比較を行いました。品質管理に関して,品質保証体制,不適合管理活動などについて,日本原子力発電の軽水炉との比較を行いました。比較の項目は2ページのとおりです。比較の結果については,シート17以降に参考資料として付けてありますので,後で御覧ください。
主な比較結果について,6点まとめました。品質保証体制には差はないが,業務内容,規程の妥当性確認について「もんじゅ」では十分に実施できていませんでした。ただし,現在,オールジャパン体制の下,プロセス総合チェックを実施中です。
不適合管理活動については,CAP(Corrective Action Program:是正措置プログラム)を導入しましたが,まだ導入初期で,見直しの余地があると評価しました。
3番目,安全衛生活動,工程管理等はほぼ同様です。
保守管理体制については,係長級以上に「もんじゅ」の保守経験豊富な者が少ないということで,今後は,一定のプロパー比率の下,バランスの良い配置,育成が必要だと評価しました。
5番目,本社の技術支援という観点です。「もんじゅ」ではもんじゅ運営計画・研究開発センター,そして,本部組織が「もんじゅ」の本社機能を担っていますが,そこに「もんじゅ」のプラントを熟知した要員が不足しており,電力会社に比べて十分な機能が発揮できていないと評価しました。
6点目,保守管理業務の機械化に関しては,「もんじゅ」は,IT化に着手したところです。
3ページ,二つ目の質問です。炉内中継装置の落下トラブルについて,検討会の第3回で事故後のメーカーとの責任分担について御紹介しました。そのときに御質問いただいた1億円の調停案でなぜ合意したのかということについて,御説明します。
そもそもこのトラブルが発生した時期には契約上の瑕疵(かし)担保期間を過ぎていたので,日本原子力研究開発機構としては,不法行為責任に基づく損害賠償請求の調停申立てを行いました。その結果,裁判所の調停で,製造メーカーに一定の責任があることが示され,日本原子力研究開発機構としては総合的に判断した結果,1億円の調停案を受け入れることにしたということが回答になります。
4ページです。前回,保守管理,運転管理の力量について説明したところ,それらを行うに当たっての適切な人材確保にどのような対応をしているのかという御質問を頂きました。その回答を,保守管理についてはシート4から6,運転管理についてはシート7から9にまとめましたが,読み上げは省略させていただきます。
最後,シート10です。保全計画の見直しについて,これまでの見直し,あるいは今後の見直し,全体はどうなっているのかということについて改めて御質問いただきました。これまでに個別に御説明したものを,今回まとめ直しました。ポイントは,シート10に5項目書いたので,これも後で御覧いただければお分かりいただけると思います。 以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。
この観点に関しては,特に宮野委員から御発言を頂きたいと思います。

【宮野委員】

宮野です。随分きちんと検討してまとめていただいたと思いますが,品質問題についてはようやくここまで来たという段階であり,どういう位置付けでこの品質問題を扱っていくのかというところを最初にコメントさせていただきました。「もんじゅ」は何をするために品質問題をきちんとやっていくのか,今の時点で何をするのかといったところで位置付けを明確に,どういう考えでこれを作っているかというところも明らかにしていただきたいというのが一つ目です。
それからもう一つは,品質管理の状態というのは,「もんじゅ」の運転状態をどのように想定してやっていこうとしているのかというところを明確にした方が良いと思います。これからいろいろな状態が変わっていくと思いますが,今やろうとしているところの状態を御説明いただきたいと思います。
それからもう1点は,現在,オールジャパンで取組をいろいろやっていますが,それとの関連で,品質管理の状態をこれからどのように持っていこうとしているのかということにも考えがあるのではないかと思います。資料の後ろに付いていると思いますが,それも併せて御説明いただきたいと思います。
以上,コメントです。

【有馬座長】

ありがとうございました。日本原子力研究開発機構から何か説明ありますか。

【荒井計画管理部長】

現在,「もんじゅ」をどういう位置付け,どういう状態だと考えて品質保証をやっているのかということについては,御存じのとおり,現在,「もんじゅ」は低温停止の状態です。したがって,低温停止の状態で必要な機能を確実に確保する,そういう観点で品質保証をやっています。次には,新規制基準の対応などいろいろありますが,プラントを動かして成果を出していくことが「もんじゅ」のミッションですので,今の状態で品質管理の整備をきちんとした後で,次は,運転状態に向かっていくときに今に加えてプラスで必要になる設備の保全も含めて,改善を積み上げていくということが必要だと考えています。
将来についても同じになりますが,品質問題において,一番問題となっているのが保守の部分です。保守の部分については,現時点では若干力量が不足しているところがありますので,プロパーをしっかりと育成して,自ら保守ができるように,かつ,メーカーとか協力会社に分担してやってもらうところは責任と権限を明確にして,しっかりお願いするものはお願いする,そして,きちんと事業として管理していくというところを目指していかなければならないと思っています。

【青砥理事/もんじゅ所長】

少し補足させていただきます。状態に関して,今,プラントの状態の話をしましたが,「もんじゅ」は研究開発段階炉であるという意味で,商用炉の品質保証の形と,研究開発段階炉ということで,自分たちのやっている技術開発がどういうレベルにあるかといったところを確認していくという視点がやはり必要になります。現在,低温停止状態である,あるいは建設状態である,運転状態であるということも含めて,通念として,研究開発段階炉の品質保証は今後どうあるべきかということを確認していくと考えています。

【宮野委員】

そういうことですと,まず,現在の停止状態できちんと作り上げていくというのが一つと,次のステップは次のステップでまた考えていくということを,今のところでは今後ステップアップしていく状態を考えているということですね。
そうすると,問題点として指摘されているのは,どこが品質管理として問題であったのかというのを指摘してきたと思います。一つは,ドキュメンテーションはどうなっていたのかという問題,もう一つは,品質管理の実行性がどうなっていたのかという問題,その2点があったと思いますが,現在,どういう取組でそれを改善する,若しくは,どういう姿にしていこうとしているのかということをお答えいただきたいと思います。

【荒井計画管理部長】

ドキュメンテーションと実行の問題ですが,1ページの主な比較結果の一つ目の項目で,パフォーマンスレビューが十分実施できていないと評価しました。電力会社の場合は,いろいろな業務の実効性について,品質保証という第三者の立場でレビューしています。我々は現在,オールジャパン体制で,保安規定の全ての条項について,ドキュメントとしてきちんと展開されているか,そして,それぞれのアクティビティーがしっかりと実施されているかどうかについて,プロセス総合チェックを実施しており,その中で潜在している課題を見付け出し,見付け出した課題について,アクションプランを作って改善していくことに取り組んでいますので,まず,現在の状態の悪さどころをしっかり出して改善していくことを考えています。

【宮野委員】

そうですと,現在,オールジャパン体制でドキュメンテーションをきちんと整備するということを伺いましたが,是非きちんとやっていただきたいと思います。それは当初の指摘で,保全プログラム,保全計画と実行していたところでそごがあるという問題点が指摘されたと思いますので,そういう意味では,ドキュメンテーションをきちんと展開することで,そういうそごがなくなるということでよろしいですかというのが一つ。
それからもう一つは,そのとおり実行しているかどうかを誰がどのように今後きちんと確認していくのかということについて,体制はどうなっていますでしょうか。

【荒井計画管理部長】

保全計画の実行部分のドキュメンテーションのチェックについても,プロセス総合チェックを実施しますし,現在,保全計画の見直しを同じくオールジャパン体制で行っています。その保全計画の見直しにおいては,日本原子力研究開発機構が作った案を製造メーカーにもレビューしてもらい,両者で確認の上で,保全計画にきちんと適合した形での点検を実施するというように展開しようと思っています。それをどのようにチェックするかについては,一番の基本はラインのセルフのチェックです。担当者が実施し,係長,そして課長というラインでセルフチェックを徹底する。そのために現在,「もんじゅ」のプラント保全部では,課長は,自分の仕事に関係する要領を左脇に置いて,一つ一つチェックしながら実施しなさいという取組をしています。
それに加えて,現在,オールジャパン体制でプロセス総合チェックを実施していると説明しましたが,これは品質保証室という横串を刺す室で,室長の下,外から来たメンバーで短期集中で実施していますが,横串を刺す組織でのチェックを,今回のオールジャパンの経験を踏まえて品質保証室の中に埋め込んでいきたいと考えています。

【宮野委員】

ありがとうございます。これまで抜けていた品質保証のところは,品質保証室がきちんと責任を持って動かしていくと理解してよろしいでしょうか。

【荒井計画管理部長】

はい。品質保証室のチェックと,セルフのチェックの両輪だと思っています。

【宮野委員】

ありがとうございます。私からはまずはこれだけです。

【有馬座長】

重要なポイントをいろいろありがとうございました。
それでは,続いて,二つ目の観点である運営全般の組織,機能についてです。この議論では,前回,私からお願いした「もんじゅ」のミッションを達成するための理想的な体制が議論の基になると思います。文部科学省が資料を準備していますので,説明をお願いします。

【板倉大臣官房審議官】

事務局の板倉です。資料2に基づいて御説明します。
「もんじゅ」のミッションについては,エネルギー基本計画に記載がありますが,廃棄物の減容・有害度の低減や核不拡散関連技術等の向上のための国際的な研究拠点ということで位置付けられています。
その上で,文部科学省が策定したもんじゅ研究計画で,再稼働した後,どのような研究をするかという研究計画も規定されていますが,3点あります。一つ目は高速増殖炉開発の成果の取りまとめ。具体的には,発電システムの信頼性・実証性の確認,設備点検・故障対応経験を通じた保守管理技術の整備などを対象としています。二つ目は廃棄物の減容・有害度低減。三つ目は高速増殖炉の安全性強化ということで,例えばシビアアクシデント評価技術の構築,さらにはシビアアクシデントマネジメント策の充実などが対象となっています。
こういった研究を行うことを担っていますが,今後の流れとしては,現在対応している保守管理体制及び品質保証体制の再構築等が完成した後,保安措置命令が解除され,それを踏まえて,新規制基準対応工事等を行った上で,原子力規制委員会から新規制基準の対応の許可を受けた上で,もんじゅ研究計画に基づく研究開発を実施するという流れになっています。
この全体の流れを見渡した上で,運営主体が備えることが求められる要素ということで,これまで委員の方々から頂いた御意見を基に考えられる要素について,網羅的ではないので例としていますが,主なものをまとめたのが枠の中に書いた4点です。
一つ目の経営全般についてということですが,これは前回も当方から説明したように,保守管理不備等の諸問題に自発的かつ迅速に対応できるガバナンス体制が重要であるということが全体を包括した考え方だと思います。特に自発的かつ迅速にという点がポイントと考えています。
具体的には,適切な業績評価と組織としての遂行力・徹底力が必要であるということ。これは委員の方々からは,例えばパフォーマンスインジケーターに基づくPDCAができる体制を整備すること,さらには,組織内のコミュニケーションを強化することが重要であるという御意見も頂いています。
委員の方々から頂いた御意見は,資料5にまとめていますので,併せて御参照いただければと思いますが,その上で,遂行力,徹底力という意味では,運転管理,保守管理部門にも陽(ひ)を当てるような組織の活性化といったことも重要であるという御意見も頂いています。 さらに,経営の中では,事業の実施に必要となる予算と人員の柔軟な確保ということで,必要なリソースを適時適切に確保することが重要であり,こうした経営ができるということが重要であろうということです。
二つ目ですが,保守管理体制の再構築等(保安措置命令解除)についてですが,研究開発段階発電用原子炉として適切な保全計画を策定・遂行することを含め,「もんじゅ」の運転管理・保守管理を確実に実施できる技術的能力を持つことが条件であろうと考えています。
委員の方々からは,経営と連携する品質保証部門の強化,ナトリウム炉の固有の技術とこれまで培ってきた保守技術の伝承,「もんじゅ」を熟知している技術者がいること,さらには,保守・運転を最優先として,それにリソースをしっかり割り当てることが必要である,IT化,システム化も重要であるという御意見も頂いています。こういったことを総合して,運転管理・保守管理を確実に実施できる技術的能力を備えることが重要であろうと考えています。
続いて,規制動向や技術動向に係る重要な情報を的確に収集・活用する能力ということで,情報感度が必要であるという御意見を頂いたところですが,それを踏まえてこういった能力をしっかりと持つことが重要であろうと考えています。
さらには,効果的な人材育成・技術伝承の仕組みが重要であるというような御意見も頂いています。マイプラント意識の醸成,さらにはモチベーション向上の動機付けが必要であるということ,ナトリウム炉に関する知見や技術を持った人材を確保すべきこと,シニアエンジニアの活用とか,各階層の人材の適材適所の配置,プラント運営のプロフェッショナル教育を強化すべきということ,あとは,暗黙知の形式知化,データベース化してしっかり伝承すべきであるという御意見も頂いています。こういったことを総合した技術伝承の仕組み,人材育成の仕組みが必要であろうと考えています。
3点目ですが,新規制基準対応についてです。新規制基準への対応のための技術力・予算が必要であるということです。
この新規制基準ですが,ナトリウム炉固有の新規制基準はまだ策定されていませんので,具体的にどのぐらい予算が必要かということは現在では見積もれていませんが,相当程度の予算を必要とするという前提で,こういったことが必要だろうということです。
運転再開後の研究開発については,炉の運転・保守データを評価し,成果を取りまとめる研究開発能力,さらには,日本原子力研究開発機構がこれまでに蓄積したナトリウム冷却炉やプルトニウム燃料の取扱いに関する知見・技術の活用が要件だろうと考えています。 こうしたことを踏まえて,当面している課題である保安措置命令の解除のために,まずは「もんじゅ」の保守管理を組織全体の目標と明確に位置付けた上で,運転再開に向けた運転管理・保守管理への対応が確実かつ迅速に実行できる組織であるべきだと考えているところです。
説明は以上です。

【有馬座長】

どうもありがとうございました。
この資料の中の運営主体が備えることが求められる要素については,前回検討会において委員より御提案いただいたものが含まれています。そこで,それらの要素を実現するための具体的方策について御提案いただいた委員のお考えを伺いたいと思います。
まず1の適切な業績評価と組織としての遂行力・徹底力の具体的在り方については,高橋委員,山本委員,お二人からお伺いしたいと思います。
高橋委員,いかがですか。

【高橋委員】

私は,日本原子力研究開発機構が業績評価をどのように実施しているのかを十分理解しているわけではありませんが,感じたことをお話しさせていただきます。
これまでのいろいろな不具合を見たときに,人材の活性化ということはとても重要で,そのときに,業績評価の在り方を見直す余地はないかということで,一度チェックをお願いしたいと思いました。これは,働く人たちのモチベーションの向上につながるような人事,あるいは給与という仕組みもありますが,本人が業績の評価を自分でしたときに,上司の評価と突き合わせて,どうしてそのギャップが生まれているかということを洗い出してPDCAを回していくということが重要だと思いました。
それから,これは業績評価とは関係ないかもしれませんが,最近,良い例だと思ったのは,管理職の多面評価のようなものがあって,上司が評価するだけではなくて,部下が評価したり周りが評価するということで,自分の仕事のやり方を見直す大変有効な手段だという話もありますので,参考にしていただければと思います。
それから,組織としての遂行力,徹底力ということでは,この場でも所長からコミュニケーションを深めているという話はありましたが,是非,PI(PerformanceIndicator)を使ったコミュニケーションを図っていただきたいと思いました。PIを活用するときには,どこでもやっている話だと思いますが,理事長の目標に対して担当者に至るまでの連鎖が大変重要だと思いますし,この連鎖を図るということがなかなか難しいわけですから,連鎖というものを頭に置いて,もう一度PI活動を見ていただきたいと思います。先ほどの紹介でもパフォーマンスレビューが不十分という話がありましたが,パフォーマンスレビューでこういうチェックをしていただければと思います。PIの活用は,進捗管理はもちろんですが,コミュニケーションの充実にもなりますし,やる気,達成感というものにも結び付くものだと理解していますので,そういう観点で御検討いただければと思います。
以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。
山本委員,お願いします。

【山本委員】

御説明ありがとうございます。私の意見は,資料5に幾つかまとまっておりますが,適切な業績評価と組織としての遂行力・徹底力については,基本的には,運転と保守への貢献を評価軸にした人事上の処遇がなされることが必須であると考えています。私自身,大学に来る前に割に現場に近いところで働いていたこともあり,その感覚からは,研究開発と現場での作業を比較すると,研究開発は割に陽(ひ)が当たりがちなところがあり,一方,保守,運転というのは非常に重要なところではあるものの,なかなか陽(ひ)が当たりにくいと。そういう非常に重要なところで作業されている方がきちんと処遇されることが非常に重要で,そういうところで働いている方の動機付け,モチベーションが上がるようなことをやっていただく必要があると思います。
具体的な方策は多分いろいろあると思いますが,基本的には,民間企業の良好事例を取り入れるというのが,第一歩ではないかと思います。この辺の人事上の処遇については,恐らく日本原子力研究開発機構はこれまで研究開発法人ということで,それほど際立った人事上の評価は多分なされていないと思いますが,いろいろな民間企業の評価を一度調べていただいて,グッドプラクティスを入れていただくというのが良いかと思っています。
それと,遂行力,徹底力については,例えば以前,ボーイング787のバッテリーのトラブルがありましたが,非常に一生懸命対応して短期にトラブルを収束させたと私は認識していますが,あの原動力は,あの飛行機が飛ばなければ経営上非常に大きな影響があるということを組織の全員が共有した結果だと認識しています。
同様の形で,「もんじゅ」の課題を解決するということが組織にとって非常に重要なことだと感じられるような動機付けができる,そういう組織設計を行う必要があると考えています。
以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。
次に,規制動向や技術動向の収集,活用のための仕組みについても御議論があろうかと思いますが,高橋委員,何かございますか。

【高橋委員】

以前この場で高速炉と軽水炉では情報量が随分違うという話をさせていただきましたが,規制のことをまず考えると,規制ができてまだ何年というオーダーですし,新しい技術動向なども踏まえて,規制はまだかなり流動的だと思います。そういったときに,対応の遅れがないように,組織的に良く情報を収集して,遅れのない対応をしてほしいと思います。これについては,各電力会社を見ても,感度良く一生懸命やっても,少し遅れてしまうようなところもあるので,よほど気を付けてやっていただきたいと思います。
規制の情報だけでなく,技術情報で言いますと,軽水炉の場合には電気事業連合会という情報共有の場がありますし,不適合情報ですと,JANSI(原子力安全推進協会)に一元化されています。各電力会社はそのほかに,国内メーカーだけでなく,GE(ゼネラル・エレクトリック),ウェスチングハウスといった国外の情報も入ってくるわけで,それを大体本社が一元的に管理していて,これは各社によって違うと思いますが,必要なものは影響評価書のようなものを作って,本社と現場でフォローしていくという仕組みがあろうかと思います。
こうした状況に対して,軽水炉の情報がそのまま「もんじゅ」に役に立つということは多分余りないと思いますが,その中でも,そこから適用すべきものを引き出すということが重要だと思っています。それには安全文化が関わってくるのかと思います。そういった人材の育成が欠かせませんし,それをフォローする仕組みも欠かせないと思っています。

【有馬座長】

ありがとうございました。
次,第3に,効果的な人材育成,技術伝承の在り方について,特に山本委員が御関心がおありかと思いますので,山本委員,いかがでしょうか。

【山本委員】

ありがとうございます。大学にいる人間としては,こういう人材育成には,非常に興味と関心があるところで,このことについては,一時期,原子力発電所の新規立地がなかなかないということで,どういう形で技術伝承とか人材育成をしていくかということが,もう10年ぐらい前ですが,非常に大きな問題となったことがありました。その際に,例えば電力事業者とか,特にプラントメーカーとかで,非常に精緻な人材育成システムを作って対応したところが幾つかありましたので,そういうところではどういうことをやっているのかを調査して,それを変えながら導入するというのが,第一歩ではないかと思います。
恐らく日本原子力研究開発機構は研究開発機関ということで,「もんじゅ」においては,例えばOJTなどの形で当然ながら技術伝承がなされてきたとは思いますが,それがほかで行っている取組と比べてどうなのかを一度整理されてみると,今後の指針が見えてくるのではないかと思います。
以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。
次,第4に,マイプラント意識の醸成について,丸委員,どのようにお考えでしょうか。

【丸委員】

「マイプラント意識」というのは,非常に情緒的で分かりにくい言葉かと思います。良い例か分かりませんが,戦いのときには機材が当然必要,兵たんも必要ですが,それだけで戦いに勝てるわけではなく,士気の問題があるわけですね。ここでマイプラント意識というのは意識の問題なのですが,そのことを新しい体制なり運営を考える上で意識しなければいけないだろうと思いました。
例えば,機材とか兵たんとかという意味では,既に取り上げられていますが,ITの装備とか,CAP(是正処置プログラム)システムとか,そういうことは割と分かりやすいのですが,意識の問題というのは余り測定のしようがないわけで,高いとか低いとかということはなかなか分からない。分からないけれども,あることを遂行するためには,意識というものが非常に関係しているということです。
違う言葉で表現し直すと,目標を設定して,その実行を自律的に行うということに尽きるわけで,要するに,PDCAを自律的に回すような意識が必要だということを言いたかったわけです。
ここで向上と言ったのは,少し先入観があったかもしれません。もしかして足りないのではないのかということが前提で向上という言葉を使いましたが,言いたかったことは,そういう意識を大切にするということです。
以上です。

【有馬座長】

どうもありがとうございました。
もう一つ,丸委員にお聞きしたいのは,「もんじゅ」の新たな運営主体が備えるべき研究開発能力をどう考えるか,どのような体制,仕組みが備えられれば良いか,この辺についても,お考えがあろうかと思いますので,お聞かせいただければ幸いです。

【丸委員】

今回の検討に当たって最も大切なことは,これまで「もんじゅ」や高速炉に関して得られている人材とか知識とか,あるいはナトリウム炉の保守経験とかいったことを実証炉なり実用炉なりに反映することだと思います。そういう意味では,そういった人材とか知見を失わないように,どのように改善していけるのかということです。
この研究開発に関する成果というのは紙に書いて残るものでもなくて,非常に俗人的なものがあると思います。つまり,研究者の知恵だとか,保守管理をやっている人たちのノウハウとか,そういうものがあると思います。これらを残していけるような体制が研究開発能力という言葉で表現されたものであり,既に得られているいろいろな知見を失わないように維持していくということが,研究開発能力の維持という言葉の意味であると申し上げました。

【有馬座長】

大変ありがとうございました。それぞれ大変重要な論点であります。
続きまして,三つ目の重要な観点であるガバナンスの在り方について御議論いただきたいと思います。主務官庁と日本原子力研究開発機構との関係を含め,櫻井委員,何か御意見があろうかと思いますので,お願いします。

【櫻井委員】

意見はいろいろありますが,資料2に挙がっている運転管理,保守管理を確実に実施できる技術的能力であるとか,規制動向,技術動向について収集,活用する能力であるとか,研究開発能力であるとか,そういう技術的な観点からこういう能力が必要であるという御指摘の整理がされたのだと思いますが,原子力関係でない者の観点からは,いずれもごく当然のことで,多分,今言われて初めて気が付いたという論点はほとんどないのではないかと思いますが,そういう理解でよろしいですね。言われてみればそうだなということ,若しくは,改革に着手されてから長いので,当然,そういう論点については,潜在的にせよ,それなりに分かった上でやってきたことを今回,改めて言語化したということなのだと理解しております。
そうすると,具体的な問題は既に分かっているわけで,ずっと前から分かっていて,分かっているけれども,その対処ができていない,そこが最大の問題であり,できていなかったというところ,既にもう分かっている問題について,どのように迅速かつ有効にやっていくか,強力に進めていくかという意味で,組織のガバナンスというか,入れ物というか,そういう仕掛けをどのように考えたら良いのかということが恐らく本題だろうと思っています。
資料3を見ても,割合良く整理されていると思いますが,そうすると,これまで改革も随分重ねているのになぜそういうことができていなかったのかということだと思います。まず一つは,これは検討会の第1回で申し上げたように,東京電力福島第一原子力発電所事故の前後で安全規制に対する考え方自体を我が国は転換したわけです。その考え方を受ける新しい官庁として原子力規制委員会ができました。三条委員会,独立行政委員会というのは,戦後多数置かれましたが,我が国の行政体制にもともと歴史的にあったものではないので,そのときから少なからずハレーションがあり,現在ある審議会も,もとは独立行政委員会であったものが少なくありません。今回,そういうことで,新しい組織を作ったら,やはりどうもハレーションはあるのだけれども,それはまさに新しい考え方を表している組織であるということの表れともいえ,気に入らない部分も含めて,きちんと受け止めて対応していくことがまず根本だと思います。したがって,そういうことができる組織でなければならないというのが一つです。
それからもう一つは,日本原子力研究開発機構の御説明,御回答は,ずっと聞いていますが,何か長いのですね。技術的な議論が得意なので,技術的な議論についてはどうしても長い御回答がされる。ところが,例えば,社会科学的な観点からの質問等に対しては,十二分にきちんと答えているかというと,どうも回答が貧弱だなというのが私の印象です。そこから分かるのは,社会に対する感度とか,国民がどのように感じているのかとか,何が求められているのかということについての感度を持った組織でなければならないだろうと思います。原子力村という言い方がありますが,恐らく,村人では駄目なのでしょう。そうではなくて,社会と接点を持っている,若しくは,社会のことが分かるような人で,伝えられるような人が,この新しい組織体制の中に入らないといけないだろうというのが2点目です。 それから,3点目は監督官庁の問題ですが,これは動力炉・核燃料開発事業団と科学技術庁との関係ということになろうかと思いますが,もともとは特殊法人で,特殊法人は「政府の伸ばされた手」というふうに言われて,法人格こそ別でしたけれども内部機構そのものでありました。そういう意味では,必ずしも「もんじゅ」に限らず,文部科学省に限らず,特殊法人とか,組織形態が変わった形での独立行政法人と主務官庁との関係というのは,依然として内部的な要素がどこでもあるわけです。ですから,そのこと自体は,一般論としては問題ないのですが,「もんじゅ」に関しては,それでは結果が出なかったということで,ここがほかの組織と違うところです。 そうすると,文部科学省が変わらなければいけないというのも一つありますが,もう一つは,文部科学省に代わって,より強力に組織を動かしていくエンジンになるような,当初ボードという言い方をしたかと思いますが,そのようなものを入れ込んだ組織を考える必要があるだろうと思っています。
したがって,以上の3点ぐらい観点があると思いますが,原子力規制委員会の勧告からすると日本原子力研究開発機構では駄目だという話なので,それでは,どういう組織形態なら良いのかという議論になってまいります。そうすると,それほどメニューが多いわけではないのですが,考えられるメニューの中で検討すると,一つは株式会社がありますが,完全な会社法上の株式会社というわけにいかず,やはり公的な任務を果たすものとして存在しているので,そうすると,特殊会社,特殊法人,それから,最近はやりの認可法人というのもありますが,そのぐらいがまず法人メニューとしてはあると思います。
もう一つ,独立行政法人の形態についても,類似している例として,年金改革の例が参考になると思っています。結局,組織の体質を変えなければいけないという話でありますから,もともと社会保険庁があって,社会保険庁について問題があるということで日本年金機構という特殊法人に変えたわけです。変えたのだけれども,人も引き継がれたということもあり,どうも体質は変わっていなかったということのようで,いま一つであるということになっているかと思います。関連で,公的な年金基金の運用については,GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)について,最近は株式運用をするのが良いかどうかという問題は一方でありますが,これは独立行政法人の枠の中でコーポレート・ガバナンスの要素を入れた仕組みにする法案が今回の国会に提出されています。これをみると,独立行政法人ではあるのですが,その中で,自律的な,理事長だけではなくて,体制としてリーダーシップがとれる仕組みにするという点から,経営委員会のようなものを置いて,任務をもっと強力に進める仕組みにするという趣旨であり,そうした新規の仕組みにしないとなかなか動かないだろうということだと思います。こういう例も参考になるかと考えているところです。
以上を前提としますと,入れ物そのものは,これでなければ駄目だという議論ではないだろうと思いますが,先ほど,これまで整理されてきたいろいろな技術的課題について,最も強力に進められる組織形態というのは何かという観点から,まずは内部のガバナンスの構造を考えていただいて,結果として独立行政法人の改革ということでもあり得ることだろうと思いますし,特殊会社でもあるのかもしれませんし,認可法人は,もともとは私的な存在だというところから出発しているので,少しそぐわない面が無きにしもあらずですが,これも作り方によると考えられますので,そういう複数の選択肢の中で,落としどころとして最も座りが良いものということでお考えいただくと良いのではないかと考えています。
以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。それぞれ貴重な御意見ありがとうございました。
それでは,これまでの三つの観点,更にこれまで議論いただいていない点も含めて,全体を通じて御意見があればお願いいたしますが,まず,私から櫻井委員のお考えで少し感じたことを申し上げたいと思います。
私が国立大学,東京大学にいて,つくづく思ったのは,もう二十何年前ですが,外部の人の意見が大学の運営に非常に入れにくく,それから,外部の,外国人を含めて評価をするということはほとんど不可能であるということでした。そのときに,外国人を含めた外部評価委員会を組織して,東京大学の物理教室を見てもらうということをやりました。そのときに選んだ委員の中には,もともとノーベル賞の江崎先生が入っていましたが,新たに委員をお願いした人から,南部先生とブレナー先生と2人もノーベル賞が出たので私はうれしかったのですが,そういう外部評価を導入して,我々内部では気が付かないことが分かりました。その際に,内部的に批判を受けたのは,大学のオートノミーを阻害するという大変激しい意見がありました。
その後,私が辞めた後でしたが,文学部の日本語の関係の人たちが外部評価をやってくれて,外国語が専門でない日本語に関する学科,国文学科の評価なのに,外国人まで入れて評価ができるかと大騒ぎになったようですけれども,ドナルド・キーンさんたちを呼んで評価して,日本の大学,特に東京大学の文学部の日本学関係が非常にすばらしいということを評価していただきました。
こういうことがあるので,外部評価というものを導入する必要があると思いますが,最近になって私がはっと思ったことがあります。国立大学が法人化した際に導入された経営協議会というもの,私も山形大学の経営協議会のメンバーとなって入ってみて,非常に良いことをやったと思っています。経営協議会の半分に山形大学なら山形大学の人たちが入っていて,あとの半分がマスコミの人であるとか,地方の,山形大学であれば山形近辺の教育委員長であるとか,それから外部の大学の経験者であるとかに入ってもらうと,そういう外部の人の意見が経営の中に非常に良く入っていく。そしてまた,内部の方も経営協議会で外部の人の意見を聞き,逆に,外部の人は山形大学で今何が起こっているか,非常に詳細に説明を受ける。そして,1年に1回はその経営協議会が大学の各部局,病院であるとか学部であるとかの評価をする。こういうことが非常に生き生きと行われるようになったことに私は大変驚いたわけで,これが特殊法人などにはまだないのではなかろうかと思っています。そういう外部の人が半分近く入るような委員会をお作りになったらどうかと考えました。
その形態が特殊法人でやるのか何でやるか,独立行政法人が良いのか,それはこれから考えなければなりませんが,ともかく運営に外部の方が入ってきて,特にマスコミの人も入る,財界の人も入る,それから産業界の人も入るような格好で「もんじゅ」を運営していくということが有効ではなかろうかと思い,私の考えを申し上げます。これが1点。
それからもう一つ,仮に,これから更に運転を続けていったときに「もんじゅ」の大きな役割は,もちろん,第3世代を超えて第4世代に入っていく新しい原子力を作ることですが,私はその経験を大学院の教育などに大いに生かすべきではないかと思います。外部の人が入るやり方の一つとして,具体的には,外部の大学や研究所の研究者及び大学院の学生,そしてポスドクが,「もんじゅ」の研究及び運転の経験に参画できるようにすることが必要ではなかろうかと思います。
運営の仕方として,外部の人を入れ,内部が外部からも見えるようにする,そして内部の人が外部の動きを見えるようにする,そういう仕組みの提案が一つ。それからもう一つは,教育との関係,若手の研究者の育成という点で,これからどのように進めていけば良いかということをお考えいただければと思い,今申し上げた次第です。
私は,近くの大学,福井大学であるとか大阪大学とか京都大学あたりが,もっと積極的に研究及び運転に入っていけるような仕組みができないものだろうかと思い,それについてどう考えたら良いかも議論いただければ幸いです。これは私の考えを申し上げた次第ですが,そこで皆様の御意見をもう少し,まだ御発言のない方々からお伺いして次に移りたいと思います。
まず,丸委員,御意見があれば。

【丸委員】

今初めてお伺いした話なので,にわかに考えは申し上げられませんが,櫻井委員がおっしゃったように,問題は大体分かっているのではないか,要するにどうやってやるかという問題だというのはそのとおりだと思います。
それで,やはり大切なのは,「もんじゅ」のミッションということが書いてありますが,やっている人たちはこのミッションを見て,自分たちに課せられたミッションだとはっきり認識して前に進めるかどうかということだと思います。
それで,ここに書かれていることは非常に政策的なことであって,私がこの検討会に参加している範囲では,ミッションは閣議で決定された定義があると認識しています。その中で,どのようにしたら少しでも良くなるのだろうかということを考えたり,発言したりさせていただいていますので,そういうふうになるのであれば,形はどうあれ,あり得るのだろうと思いますが,問題は原子力の開発というのが非常に政策的な問題であるという点だと思います。
それが外部の意見等を取り入れて,きちんと定義できるかどうかという問題はあるように思います。つまり,政策なり政府なりの考え方として,しっかりしたミッションがどのように定義されるかということがまず大事だと思います。

【有馬座長】

ありがとうございました。
井川委員。

【井川委員】

先ほどの有馬座長のお話を伺って,一つ追加させていただきたいのですが,「もんじゅ」の方々が外の社会,国内外のいろいろな動向だとか御意見だとか受け止め方というものについて,もう少し外に向かって目を開くとか,耳を傾けるとか,情報収集する,あるいは敏感になるということが非常に重要だと思います。
拝見していると,「もんじゅ」の方々は内にこもっていると言うと言い方は悪いかもしれませんが,どうしても守りを固めているということで,内向きの感じがするということがあります。これは国内だけなら良いのですが,「もんじゅ」の理想的な体制についての資料でも,一番上で核不拡散関連技術のための国際的な研究拠点となっており,この部分が求められる要素の中に全く入っていないというのはいかがなものかと懸念しております。
「もんじゅ」はプルトニウムを扱う施設ですし,それから核不拡散ということも書かれているわけですから,国際的な観点を常に重視していなければならない。それから,機関としても,プルトニウムを扱うので,いろいろなガバナンスの仕方はあるにしても,国際的な対応ができるぐらいの知見と管理能力と技術力,情報収集能力,それから説明力という多角的な観点が今後も欠かせないと思います。資料2では,理想的な体制と求められる要素にギャップがあるので,できれば,資料に,国内外の動向について,しっかり情報収集し対応できる能力,特に,国際的な動向,それから国際的な動向を踏まえて,しっかりとした核管理ができる能力というものがないと,恐らくこれは,研究として国際社会から今後批判を浴びることになりかねないので,そこは是非とも入れていただきたいと思う次第です。
以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。
中尾委員。

【中尾委員】

資料2がパーフェクトにできているので,このとおりやっていけば良いのではないかと思いました。やはりプルトニウムのバーナーとして廃棄物の減容を,もう,やらなければならないのであろうし,引くにも引けない状態になっているのだから絶対やっていく。
この資料でないのは何かというと,時間軸がないと。暗く思っていても,例えば今PWR(加圧水型原子炉)が動いて,BWR(沸騰水型原子炉)が5年後に動いて,だとしたら「もんじゅ」は10年後に動くのだというぐらいの気持ちで,10年後に研究開発の実施を始めれば良いでしょうぐらいの気持ちでやればうまくいくのかなと。10年後にこれを動かし始めようとしたときに,それまで体制が保てるのかを考えたときに,何が問題かというと,ナトリウムを温めるお金を毎年出せますかとか,この前,青砥理事が新しい人材がと言っていましたが,大学を見ている限り,原子力を勉強したいという日本人はいませんよね。5年間でほとんどいなくなったから,あとまた10年後までいるのかといったら多分いなくて,原子力工学科なんか,どこかでなくなってしまうのではないのかと。
そうならないようにするために,例えばフランスとかアメリカに毎年10人ずつインターンシップに行かせるとか,ロシアの高速増殖炉にインターンシップに行かせるとか,国のお金を使って,そういうような人材を作っていくとか何とかしないと,10年後にもう一回動かすということが,なかなかうまくいかないのではないのかという感じがしました。
同じように作れないもので航空,飛行機については,日本国中,飛行機の学科があっても,飛行機を作っていないのですよね。だけれども,なぜ工学部で一番優秀な者が飛行機の学科に行っているのかというと,やはり面白そうなのですね。それと,航空宇宙と宇宙まで合わせてやっているから,本当に作る気になれば飛行機に関しては,人材は集まるのです。しかし,原子力になると先ほど言ったような感じです。明治時代にあった学科の中で,鉱山というのはなくなってしまったのです。だから,これから石炭を掘ろうといっても,誰が掘るのだという,そのように学問するのに教授もいないという状況になってくると,やはり復活するのにすごく時間が掛かってきてしまうと思います。
今,原子力はその状態で,あと10年もつかどうかなんて分からないですよね。新しい研究者の若い人で,日本人でもう一回,拡大再生産しようと言っても,誰も来ないのだからどうしようもないという状況になってきたときに,どうしたら良いのか。やはりインターンシップを使って,世界中で仲良くやっていくという体制を早く作っておかないと,なかなかうまくいかないのではないかと。そうすれば,あとこのイメージどおりに,時間軸が10年だと思って,このとおりに,国として絶対やめないでやっていかなければいけないのではないかと私は思っています。

【有馬座長】

重要なポイントありがとうございました。
どうぞ,文部科学省。

【田中研究開発局長】

今,中尾委員から御意見があったので,一つだけ事実関係として申し上げますと,確かに原子力関係の学科を志望している学生については,平成23年の東京電力福島第一原子力発電所の事故の後,一旦大きく減りました。ただ,最近の調査では,実は少し盛り返してきているという状況です。それは,恐らく原子力について,エネルギー基本計画,あるいは政策の中で,一定割合について今後ともやるという政府の政策が出たせいではないかと思っています。そういう意味で,原子力専攻の学生は少し盛り返しているというのがまずあります。
ただ,問題点は幾つかあり,いわゆる原子力専攻でない電気だとか機械とか,そういった工学部系統の他の学科の学生が原子力産業に行く割合は実は減ったままという状況が一つ。それからもう一つは,原子力学科の学生が,これから教育実習を受けていく中で,現在では,例えば研究炉が一つも動いていないような状況,それから大学自身がホットラボをなかなか持てないような状況で,現場で実習する機会が失われていると,これが大きな問題としてあるということだけ申し上げたいと思います。

【中尾委員】

確かに原子力は面白いのだけれども,どちらかというと,皆が行くのは中性子を使ったガン治療の方で,原子力発電を何とかするというところには,余り行かないのですね。放射線を使って新しいことをしてみようという,特に医療などのところには学生は多数行っているような状況なので,そういう人たちの中から原子力発電の方にも行ってもらえれば一番良いのですが,なかなか難しいかもしれないと思っています。しかし,何とかそういうことをやっていただけると,非常に優秀な人材が集まってくるのではないかと思っています。

【有馬座長】

ありがとうございました。
それでは,議題2「「もんじゅ」に係る主な課題の整理について」に入りたいと思います。
本検討会では,前回まで馳大臣が言われている3段階の検討のうち,第1段階である「これまでの課題の総括」について集中的に議論してまいりました。これまでの議論を通して抽出された課題について,事務局で整理したので,紹介してください。

【高谷研究開発戦略官】

それでは,資料3,「もんじゅ」に係る主な議題の整理を御覧ください。これまで整理した課題を項目としてまとめました。
まず一つ目,拙速な保全プログラムの導入。検討が不十分なまま,拙速にプログラムを導入したこと。
また,2番目として,脆弱な保全実施体制ということで,品質保証,保守管理に係る不十分な理解,脆弱な実施体制。それから,保守管理の業務を外部に頼る傾向があったということ。
それから3番目,長期停止の影響ということで,実際に発電した期間が,これまでナトリウム漏れ前と,平成22年,2回で期間が短いため,知識の蓄積が不十分であること。それから,長期間停止の中での経験者の退職,出向者の帰任によるノウハウの喪失。停止の定常化によるモチベーション,マイプラント意識の低下。
また,人材育成の課題として,将来に向けた人材育成の困難さ。それから,出向支援を通じて得たプラント保全経験の定着不足。また,原子力規制委員会からの各種要請を踏まえ強化を図るも,管理者の経験値が不足しているという問題。
5番目として,情報力や統率力の課題ということで,発電炉と比べての情報収集力の低さ。また,機器・設備の設計ミスを見抜けないなど,技術力の不足。また,複数メーカーが行う保守管理の一元的な技術管理,統率能力の不足。
2ページ目,東京電力の福島事故を経ての社会的要請の変化。社会的要請の高まりに対する状況把握と対応が不十分であったということ。 また,日本原子力研究開発機構の運営ということで,研究開発が優先され,経営陣含め保守管理が十分に重要視されていないということ。これまで繰り返し改革に取り組んできたが,十分な成果が上がっていないという指摘があるということ。
また,関係機関との関係の在り方ということで,監督官庁との間の緊張関係の不足。また,関係者の責任関係についての不明確さや認識の不足ということがあったのではないかということです。
以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。 今の説明で,日本原子力研究開発機構のこれまでの改革の取組について触れられていました。これまでの取組について,文部科学省よりもう少し詳しく説明を頂きたいと思います。

【板倉大臣官房審議官】

それでは,資料4に基づいて御説明します。
まず,1ページ,動燃改革です。これは平成9年に行われたものですが,背景としては,「もんじゅ」ナトリウム漏えい事故,さらにはその翌々年ですが,アスファルト固化処理施設の火災爆発事故,こうしたトラブルを背景として検討が行われました。
認識された課題としては,先例のない研究開発,原子力であるが故の高い安全性及び競争力ある技術の供給の同時実現という潜在的困難さを動燃は内包しているのだと。動燃は,自らを取り巻く様々な状況変化に的確に対応できず,この困難さを顕在化し,いわば「経営の不在」の状況にあったという分析です。
この「経営の不在」というのは,枠の中に書いてありますが,資源配分等における研究開発への偏重などにより,安全確保と危機管理の不備を招いた。さらには,閉鎖性から,自らの情報発信を怠り,外界の反応を得るという感受性を失った。さらに,事業の肥大化により,業務や組織の適正な管理が困難となったという原因分析です。
これを踏まえて,改革の方向性,具体的な対応方針を下に書いてありますが,一つ目は経営の刷新ということで,原子力委員会の定める長期計画等に基づく事業目標を策定する。経営体への裁量権を付与し,第三者による経営の外部評価の導入。また,新法人の業務遂行については,基本的に自らの裁量で行うこととし,科学技術庁は,その業務結果の評価・監査を行うことを基本とするということです。
二つ目は,事業領域の限定ということです。左に書いてありますが,基礎研究や実用化の技術開発は事業から除外するという考え方で,右にあるような事業に限定と。海外ウラン探鉱などは整理縮小を行いました。
また,安全確保の機能強化ということで,研究開発偏重を排し,運転管理部門と研究開発部門を分離する。さらには,運転管理に電力などの民間の能力や経験を活用するといったことが求められました。
さらには,社会に開かれた体制ということで,広報・情報公開の強化,他分野の技術成果の活用といったことが指摘されています。
続いて,2ページです。平成15年に行われた原子力二法人統合の検討結果,報告書に基づく内容です。
背景としては,平成13年の省庁再編の後ですが,特殊法人等整理合理化計画が閣議決定されました。これを踏まえて,日本原子力研究所と,動力炉・核燃料開発事業団が名前を変えた核燃料サイクル開発機構,この二つの当時の特殊法人を統合して,原子力研究開発を総合的に実施する独立行政法人を設置するという考え方で改革を行ったわけです。
そういう観点から,事業の見直しや固定経費の抑制・削減など,管理部門などの重複部門の簡素化・スリム化を徹底して行うという考え方の下,幾つかの改革を行いました。事業の選択と,限られた資源の集中投入,さらには業務運営の効率化を行った上で,活力ある事業展開を実現するということを目指して,具体的には四角の枠の中に書いてあるように,独立行政法人制度の趣旨を踏まえた組織・運営体制を確立するということで,法人の自主性及び自律性の最大限の確保。第三者評価機関,これは独立行政法人評価委員会になりますが,これによる業務運営の定期的評価の実施。
経営の基本的考え方としては,強い経営の必要性ということで,強力なリーダーシップの下,各事業の明確な目標の設定,業務遂行方法の明確化及び柔軟性の確保,迅速な意思決定と行動,適切な現場の裁量権の確立等に十分に配慮した上で,法人全体の経営の統一性を確保すると,こういった困難な課題に対応できる「強い経営」及びそれを支える適切な組織体制の構築が必要不可欠であるという御指摘がありました。
定期的かつ重層的な評価の必要性ということで,法人評価委員会に加えて,外部有識者の意見を含めた自己評価を定期的に実施する。特に,これは法人全体の全般的評価だけではなく,各事業単位の詳細な費用対効果の評価も実施するなど,重層的な評価を行うという御指摘。 さらには,開かれた経営のメカニズムの導入ということで,大学,産業界等の第三者からの意見を適切に経営に反映する必要があるということから,新法人の長に直属の経営に関する諮問会議を設置するといったことが指摘されています。
続いて,3ページですが,直近の「もんじゅ」の改革の内容です。原子力規制委員会の保安措置命令の発出,さらには,続いて起こったJ-PARC放射性物質漏えい被ばく事故を踏まえて検討が行われ,特に「もんじゅ」関連の部分については,以下のような課題が認識されました。トップマネジメントのコミットメントの不在。新たな成果の創出を重視する研究開発と安全確保を第一とする運転管理の理念の混在。電力会社であれば本社が支えている業務について,日本原子力研究開発機構では,全て「もんじゅ」の現場任せになっている。あとは,保守管理部門を中心にプロパー率が低く,外部からの業務協力に依存。さらには,電力会社からの出向者を単にマンパワーとして活用し,電力会社のノウハウや安全文化を取り入れる体制が欠如している。複数メーカーとの固定的な契約手続の義務付け等により,業務が肥大化・複雑化しているということでした。
具体的な対応としては,1から8まで整理していますが,「もんじゅ」を理事長直轄の組織とする。運転管理に専念する発電所組織にスリム化する。契約業務・新規制基準対応・渉外対応を一元的に支援するための組織を「もんじゅ」から離し,新設する。プロパー率の低い保守管理部門に要員を増強する。民間発電所の所長級経験者を安全担当役員として登用する。電力会社からの出向者をチームで責任部署に配置。さらに,日本原子力研究開発機構の職員を電力会社の発電所に半年から1年程度派遣。特定一社と複数年度契約ということが対応方針として示されています。
他方,文部科学省の課題として指摘されたものが左側の下にあります。業務運営が機構任せになり過ぎていた。安全を最優先とした業務運営の思想に乏しかった。それから,予算が硬直化といった課題が指摘されたことを踏まえて,具体的な対応方針として,中期目標の抜本的な見直し,所要の予算の確保,原子力政策の中での位置付けを明確化,機構を抜本的に改革するための法案を検討する,これは今般,新しく量子科学技術研究開発機構として実現したものですが,こういった改革を実施するということが指摘されたところです。
説明は以上です。

【有馬座長】

どうもありがとうございました。
ただいまの説明について,紹介された課題への御意見,課題として追加すべき事項について,御意見があればお願いします。
櫻井委員。

【櫻井委員】

御説明いただいた改革の歴史を見ると,何かまた同じような報告書を作るのかなという感じがして,それはないことにしないと意味がないですね。ということで,どこをどう違えるかということが肝だと思います。
先ほど座長から,委員会を作ってはどうかというお話がありましたが,そうは言ってもアイデアがそれほどあるわけではなく,私としては一つの方法として考えているにとどまります。
これまでの改革の動きを見て思っているのは,私もいろいろな行政領域を見ていますが,第三者による評価はうまくいくこともありますが,これは強烈で良いなというのは余り見たことがありません。自分が第三者評価に関わることもありますが,何かドキュメンテーションが増えるばかりで,本当に有効なものになっているのかというと,なかなかそうではないので,やはり委員会そのものは,距離を置いて外に置くのではなくて,組織の中に有効なものとして置くことが望ましいという点が,一つです。
それから2点目は,有識者を集めると言っても諮問機関では限界があり,組織としては弱いのですね。委員も専任の方が良いのですが,委員会そのものの権限を,決定機関という形で位置付けるのが筋ではないかと考えます。組織自体を抜本的に変えるという話ですから,組織本体は嫌がりますが,固い決意があるのであれば,そういう制度設計にしていくということになるのではないかと思います。
それから,委員の在り方ですが,先ほど言い掛けましたが,多分非常勤だと力不足なので,常勤が好ましいと思います。もっとも,常勤だとやりたいという人がいれば良いのですが,なかなか人が集まらない。ですから,全員常勤というわけにはなかなかいかないと思いますが,できれば準常勤のような形で,週に何回かは出勤するとか,せめてそのぐらいにはしないと余り存在感がなくて,結局,お客さんのようになってしまい,もっともらしい意見だけ言うけれども,現場は全然聞いていないという形態になりがちではないかと思います。
それからもう一つは,どういう人たちを委員に選ぶのかということについて,法律に書き込むかどうか。先ほどのGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に関する法案では書いてありますが,法律に書き込むかどうかは必然ではないと思いますが,どこかで明文化しておいた方が良くて,原子力関係者というのは当然入るのでしょうが,もう少し総体的に,社会とか人間とか,危険物に対して知見のある人,それから,組織のマネジメントの問題なので会社の経営者とか,そういう書きぶりができるかどうか分かりませんが,何かしら具体的に決め打ちで書かないと,結局,経験則からすると,当該組織になじみのある前から知っている人で,優しそうな人を呼んできてしまうことになるので,そうではない人が来るように書いてみると,従来とは違う組織として性格づけができるというか,過去の文脈を断ち切って,新しい組織としての要素が見て取れるという評価ができるかと思います。
以上です。

【有馬座長】

はい。宮野委員。

【宮野委員】

資料4は,これまでの歴史を見ると非常に良いことが書いてあって,これができていると私は思っているのですが,問題点は何かということをもう一度振り返ってみると,原子力規制委員会に何を指摘されたのか,つまらないことを指摘されたのだと思っています。それは,品質問題といっても,安全に直接関わらない,つまらないことが抜けていたということを言われており,ですから,そういうことを将来運転して発電するときに,心配なのでしっかりしろということを言ったのだと思っているわけです。
そういう意味で,ここで書かれている改革については,こういう体制を作れば良いというのは,今,運営主体が備えるべき要件も示されましたが,基本的にはこういったことをどうやって実効的なものにするのか。品質問題をきちんと扱えるようにすれば,安全問題に直接関わる問題はなくなっていくことにつながるということを指摘されているので,そこをどのようにするのかということだと思いますし,そこで根本的にガバナンスのところで抜けていたのは何か。文部科学省の役割と日本原子力研究開発機構の本部の役割がしっかりしていなかったのはガバナンスが問題なのだろうと。文部科学省の役割は何かと,目標をどのように設定するかということで,本日,ミッションで示されましたが,それはそのままでよろしいのですかというと,そこをしっかりするのが文部科学省の役割で,それを受けて日本原子力研究開発機構の経営陣は何をするのか。ロードマップをきちんと作って,いつまでに何をやるのだということを示して,それを今度は具体的に実行部隊が何をやっていくのだというのを示すのが,これがガバナンスだと。これがしっかりできていないのではないかというので,主な課題の整理のところで,それが最初に抜けているのだと思いますが,そこをしっかりやることが第一なのだろうと。
その上で何をやらなければいけないかというのは,原子力規制委員会から指摘された,きちんとしたことができていなかったという,それが何なのかということをやれば,ここに示されてきた過去の改革,それから今ここで示されているような取組については,問題なくできるということだと思います。
これ以上のことは,皆さんいろいろおっしゃいましたけれども,ほとんどのことは書かれています。第三者評価委員会だとか,みんな書かれている。どのようにやるかも,みんなほとんど書かれていますが,具体的にどうするかということができていなかったのだろうと。 そういう意味では,PI(PerformanceIndicator)を使って,実績をきちんとフォローしていくことによって,現在,止まっている状態できちんと運営ができるようになっていくということで,見えることが第一だと。そうすれば,次のステップで発電炉をどうするべきかという議論に入っていくのだろうと思いますが,そういうところが指摘されているのだと思うので,しっかりとやっていくことについて,具体的にどうするかということを今後詰めていただければと。その上で,組織がどうあるべきかというところに出ていくのではないかと思います。
以上です。

【有馬座長】

ありがとうございました。ほかに御意見ございませんか。
文部科学省,今いろいろあったことに関して,何か御意見ありませんか。

【田中研究開発局長】

本日お示しした日本原子力研究開発機構に関する改革のうち,実は最後の「もんじゅ」改革については,私自身も審議官,それから今の局長の立場でずっと関わってまいりました。
過去の改革について言うと,確かに良いことは書いてあって,本当にこれが達成できていれば多分現在のこの「もんじゅ」改革などやらなくて済んでいたはずなのですが,現実にはそれが不十分なところで終わっている。例えば,最初の動燃改革で,これも結構業務を絞ったわけですが,その後,実はまた,二法人統合で,結果として法人としては大きくなってしまって,その過程でまた業務を絞っていますけれども,もともと動燃改革をやったところから見れば,現在の日本原子力研究開発機構は非常に大きな法人になってしまった。そういう歴史的な流れの中で,いろいろな改革が若干不十分になってしまった部分が起きていると思います。
それから,これも私自身の個人的な思いもありますが,最初に独立行政法人の組織設計をしたときは,独立行政法人の理事長にかなり裁量権を与えて,国は目標だけ設定すれば,あとは基本的に文句は言わない,5年後にきちんと理事長の業績を評価するという組織で制度設計はされたはずなのですが,残念ながら,現在の独立行政法人の運用はかなり当初とは違って,むしろいろいろ国が細かいところを指導,監督するという,これは日本原子力研究開発機構に限らず,全体として,当初作った制度設計と大分運用が変わっています。ですから,最初に作った制度の理念と,実際行われている運用が違ってしまっているということが改革を不十分にしてしまった部分であると思っています。 それから,最後に行われた「もんじゅ」改革について言えば,「もんじゅ」改革自身は,我々文部科学省がやらなければいけないことについて言えば,一つ一つを見れば一応やってきているのですが,残念ながら,原子力規制委員会が言っているスピードに追いついていないということなのだろうと思っています。そういう意味で,本日頂いた御意見については,これまでやってきたことの反省もしながら,実際にどうやって,どれだけ速いスピードでやっていけるかということで,我々として取り組ませていただきたいと思います。

【有馬座長】

ありがとうございました。
ほぼ予定の時間になってまいりましたが,特にここで追加して意見を述べたい方がいれば,どうぞよろしく。はい,どうぞ,井川委員。

【井川委員】

長年,この「もんじゅ」,動力炉・核燃料開発事業団と日本原子力研究所にお付き合いさせていただいてきたメディア人として言うと,今,同じことをやっていると指摘がありましたが,紙で見るとそうなのですけれども,やはり独立行政法人の扱い,私は合体して大きい日本原子力研究開発機構ができたときに応援の社説を書いたので,今から思えばそれが大きな間違いであったかなという感じがしています。これが最大の失敗であったのではないのかと。一度聞いていてびっくりしましたが,原子力規制委員会と日本原子力研究開発機構のトップのやりとりの中で,もう少し旧日本原子力研究所と旧動力炉・核燃料開発事業団の人は交流した方が良いのではないかということに対して,元日本原子力研究所職員である,原子力規制委員会委員から,そんなものとんでもないという発言があったぐらいで,大きくなったことが何らメリットになっていなくて,むしろそれぞれの組織のミッションが埋没してしまって,結果として,こういう形になって現状に至っているのではないかと。これは文部科学省だけではなくて,多分制度設計に少し問題があったのではないかという気がします。
今回,原子力規制委員会からいろいろ御指摘は受けているわけですが,この際,ミッションがしっかりした,新たな体制の構築をやり直すということを,ちょうど良い機会ですので,是非,文部科学省の強い指導力の下で,実施できると良いなということを意見として申し上げたいと思います。

【有馬座長】

ありがとうございました。まだまだ御意見がたくさんおありだろうと思いますが,本日,時間の関係などで,まだ十分御発言できなかったことがありましたら,随時事務局へ御連絡を賜りたいと思います。本日は本当にありがとうございました。
本日予定されている議題はこれで終わりですが,事務局より事務連絡をお願いします。

【高谷研究開発戦略官】

ありがとうございます。事務連絡が幾つかございます。皆様のテーブルの上に机上配付資料として,第5回の議事録をお配りしています。いつものとおり,御確認いただき,修正等ありましたら,4月8日までにお知らせいただければと思います。その後,ホームページに議事録を掲載させていただきます。
また,本日の議事録ですが,事務局で作成後,皆様にいつものとおり照会を掛けさせていただきます。
次回は,4月27日を予定しています。また,時間,場所等,調整が整い次第,お知らせしたいと思います。
以上です。

【有馬座長】

以上で,本日の検討会を閉会といたします。ありがとうございました。
大臣,お話になることはありますでしょうか。

【馳文部科学大臣】

本当に強い組織というのはどうあるべきかということを踏まえなければいけないなということを,本日,皆さんの御意見を頂いて良く理解できたつもりですが,やはりオールジャパンでやらないといけないですね。これについては改めて,事務方と詰めて議論したいと思います。次回,またよろしくお願いいたします。

【有馬座長】

どうもありがとうございました。
以上で,本日の検討会を閉会といたします。お疲れさまでした。ありがとうございました。

お問合せ先

研究開発局 研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)付

(研究開発局 研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)付)