原子力損害賠償紛争審査会(第50回) 議事録

1.日時

令和元年9月19日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

全国都市会館 3階 第1会議室

3.議題

  1. 原子力損害賠償紛争審査会による現地視察結果について
  2. 地方公共団体等からの主な要望事項について
  3. 避難指示解除後の現状について
  4. 東京電力ホールディングス株式会社による賠償の現状について
  5. 原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況について
  6. 地裁判決の状況について
  7. 損害賠償請求権の消滅時効について
  8. その他

4.出席者

委員

鎌田会長、大塚会長代理、明石委員、内田委員、織委員、樫見委員、須藤委員、中島委員、中田委員

文部科学省

上野文部科学副大臣、生川研究開発局長、千原原子力損害賠償対策室長、林原子力損害賠償対策室室長代理、大金原子力損害賠償対策室総括次長、山田原子力損害賠償対策室次長、

オブザーバー

【説明者】
辻本内閣府原子力被災者生活支援チーム総括参事官、内田東京電力ホールディングス株式会社福島原子力補償相談室長、森口東京電力ホールディングス株式会社福島原子力補償相談室基準総括グループマネージャー、佐々木原子力損害賠償紛争和解仲介室(原子力損害賠償紛争解決センター)室長

5.議事録

【鎌田会長】  多少予定の時間よりも早いですけれども、皆様おそろいになりましたので、第50回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。
 本日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、上野文部科学副大臣に御出席いただいておりますので、上野副大臣から御挨拶を頂きたいと思います。副大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 


【上野文部科学副大臣】  皆様、こんにちは。ただいま御紹介いただきました、先週から文部科学副大臣を拝命させていただいております上野通子でございます。一言、御挨拶申し上げます。
 第50回の原子力損害賠償紛争審査会の開会に当たり、皆様方には、常日頃から大変お世話になっておりますこと、更にはこの指針に基づく賠償が着実に進みますよう、心からお願いするところでございます。
 また、皆様方におかれましては、被災地の実態のフォローアップをしていただいておりますこと、7月24日、そして、25日には、富岡町、大熊町、楢葉町、双葉町、浪江町を御視察いただくなど、精力的に活動いただいていることに心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
 また、本日は、原子力損害賠償の消滅時効について御議論されるとも伺っております。事故からもう8年と半分、8年半が経過しておりますが、被災地の皆様方の被災者救済の観点から、活発な御議論をよろしくお願い申し上げます。
 このほか、幾つかの報告事項があるとも伺っております。これらを通じて、現在の被災地の状況をしっかりと把握して、今後の検討に役立てていただきたいと思います。政府といたしましては、原子力災害からの福島の復興再生を加速させ、政府一丸となって、一日も早い復興を目指して取り組んでいくところでございます。私といたしましても、被災者の方々に寄り添いながら、原子力災害からの復興に向けて取り組んでいく所存でございます。紛争審査会におかれましても、公平かつ適正な賠償が一層進むように有意義な御議論をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。
 なお、上野副大臣におかれましては、公務のため、途中で御退席になられますので、御了承いただきたいと思います。
 それでは、初めに、事務局より資料を確認していただきます。

 


【山田原子力損害賠償対策室次長】  事務局でございます。
 まず初めに、審査会委員の交代がございましたので、報告させていただきます。本年3月31日付で、甲斐倫明委員、高橋滋委員が審査会委員を御退任されました。また、4月1日付で新たに審査会委員が着任されていますので、御紹介させていただきます。
 東京大学名誉教授及び早稲田大学特命教授、内田貴委員。

 


【内田委員】  内田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 


【山田原子力損害賠償対策室次長】  上智大学地球環境学研究科教授、織朱實委員。

 


【織委員】  織でございます。よろしくお願いいたします。

 


【山田原子力損害賠償対策室次長】  なお、弁護士の富田善範委員も4月1日付で着任されましたが、本日は所用により御欠席となっておりますので、御紹介だけさせていただきます。
 また、事務局側に異動がございましたので、紹介させていただきます。
 7月9日付で、研究開発局長に着任しました生川浩史です。

 


【生川研究開発局長】  生川でございます。よろしくお願い申し上げます。

 


【山田原子力損害賠償対策室次長】  また、4月1日付で、大臣官房審議官研究開発局担当に、千原由幸が着任しております。現在、出張先から戻っているところであり、途中から出席するという可能性もありますので、御紹介させていただきます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。メインテーブルの方は、お手元の資料をごらんいただければと思います。傍聴者の方は、それぞれメールで配付されているかと思いますので、御確認ください。
 配付資料のところです。今回は資料1から資料6-2までございます。資料1は、原子力損害賠償紛争審査会による現地視察結果について、資料2は、地方公共団体等からの主な要望事項について、資料3は、避難指示区域の状況等について、資料4は、原子力損害賠償のお支払い状況等、資料5は、原子力損害賠償紛争解決センターの活動について、資料6-1が東電福島原発事故に関する消滅時効について(案)、資料6-2が、審査会の第31回の資料の3-1と同じでございますが、消滅時効に関する弊社の考え方についてという東京電力の資料でございます。
 参考資料といたしまして、参考1、原子力損害賠償紛争審査会委員名簿、参考2、第49回、すなわち前回の原子力損害賠償紛争審査会議事録、参考3といたしまして、避難指示区域の概念図でございます。
 資料の不足、落丁等ありましたら事務局までお申し出ください。
 また、メインテーブルの皆様には、本日の議論に関係する過去の審査会の資料等をまとめていますので、議論に当たり、適宜参照していただきたいと思います。
 本日は、原子力損害賠償紛争審査会の組織等に関する政令第3条第2項に基づき、過半数以上の委員の皆様に御出席を頂いており、会議開催の要件を満たしておりますということをあらかじめ報告させていただきます。
 以上です。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。議題の1番、原子力損害賠償紛争審査会による現地視察結果について、事務局より説明をお願いいたします。

 


【山田原子力損害賠償対策室次長】  それでは、説明させていただきます。資料1をご覧いただければと思います。原子力損害賠償紛争審査会による現地視察結果についてでございます。
 先ほど上野副大臣からも紹介がありましたとおり、今年の7月24日、25日にかけまして現地視察をさせていただきました。目的といたしましては、中間指針等に基づく賠償の実施状況を確認するため、被災地域の現場を視察することでございます。視察された委員ですが、鎌田会長のほか、大塚会長代理、大塚会長代理は24日のみの御対応でした、それから、内田委員、織委員、織委員は25日のみの御対応でした、樫見委員、富田委員、中田委員、以上でございます。
 視察先でございますが、24日は、富岡町において夜ノ森駅周辺、また、中央商店街を視察されました。また、富岡町役場において、宮本町長等と意見交換を行いました。
 大熊町ですが、大野駅周辺、また、大川原地区を視察いたしました。それから、大熊町役場において、石田副町長、鈴木議長等と意見交換をされました。
 翌25日でございますが、楢葉町は、Jヴィレッジ、それから、ここなら笑店街を視察されました。ここなら笑店街の中の交流館において、松本町長等と意見交換を行いました。次に、広野町の中にあります高野病院という病院ですが、こちらで、高野理事長と意見交換を行いました。
 双葉町ですが、双葉南小学校、特定復興拠点外の民家をそれぞれ視察されました。国道6号線沿いふれあい広場において、伊澤町長、佐々木議長等と意見交換を行いました。
 浪江町ですが、バスの中から町内一円を視察されました。浪江町役場において、吉田町長等と意見交換を行いました。
 次の2ページをごらんいただければと思います。こちらは事務局で、現地視察における被災自治体等の意見交換をした際の主な御発言をまとめさせていただきました。賠償の話だけでなく、町の関心事項や課題についても幅広く意見交換を行わせていただきました。
 訪問順に報告させていただきます。
 富岡町ですが、「ADRセンターにおける和解仲介手続きにおいて、被害者側は和解案を受諾しているにもかかわらず、東京電力が和解案を拒否する事例が出ているため、東京電力にしっかりと指導をしてほしい。また、和解成立事例で共通する物については、中間指針等へ反映してほしい」。
 また、営業損害についてですが、「2年分の一括賠償が終わった後、個別請求が900件あるが、そのうち支払われたものは14件しかないと承知している。いったいどのように請求すれば対応してもらえるのか。東京電力からは、支払われない理由は教えてもらえず、ただ書類が返ってくるだけということもある」。
 「帰還している住民はまだ少ない。富岡町は避難指示の解除まで6年を要したこともあり、避難先に生活の拠点ができているというのが大きな原因であると思う。もう一度ふるさとに目を向けてもらうための施策を展開しつつ、戻る町民だけでなく新たな町民を呼び込むため、子育て支援や定住化に向けた住宅支援等の取組も進めている」という意見交換を行いました。
 大熊町からお聞きした内容です。「本年4月に一部の地域が避難指示解除になったが、まだ住民の96%が帰還できていないという厳しい状況にある。避難指示が解除されても、住民はすぐには戻ってこない。避難先で子育てや介護をしている方が、ひと段落して10年、20年後に戻ってくるという場合もあると考えている」。
 次ですが、「営業損害について、一括賠償の後の個別請求に対して、実際に支払われている件数が少ない。急に間口を閉じられたような印象で、そもそも請求を諦めている方も多くいる」。
 その次ですが、「我々は原子力災害によって、雲を掴むような業務を成し遂げなければならなくなった。何をすればいいのか正確な答えは無い。ただ、住んでいてよかった、安心して生活できたというような取組を進めたい」でございました。
 翌日25日に訪問しました楢葉町についてです。
 「精神的損害や財物損害については、大部分の賠償が支払われていると承知しているが、一部まだ請求をしていない住民もいる。御自身の思いとして、賠償金をもらうべきではないと考えている方もいると聞いている。賠償自体を知らずに、そもそも請求をしないでいるという方はほとんどいないと考えている」。
 次ですが、「今後の町づくりの柱として、『教育』『農業』『健康』という3つを掲げている。教育政策においては、『日本一の教育環境を目指す』ことを掲げ、様々な取組を進めている。子どもたちは宝であり、思いつく施策をどんどんスピード感をもって取り入れている」。
 その次ですが、「基幹産業である農業については、以前から盛んであった稲作の再開を進めるとともに、新たな取組として、収益率の高いさつまいもの栽培を始めており、稲作とさつまいもの二本柱で進めている」という意見交換をさせていただきました。
 その次の高野病院でございますが、「東京電力の賠償に対する態度を改善してほしいと考えている。原発事故がなければ流出しなかった医療・介護専門職の補塡に要した費用を単なる『病院の経営判断(だから賠償を支払う必要がない)』でかたづけられた。『個別に丁寧に対応』し、『誠意をもって十分な対応』をしてほしい。
 「ADRセンターが示す和解案に強制力がないため、賠償手続きや議論が進まないのではないか」。
 「度重なる東京電力からの資料請求や、被害者からの質問への回答遅延、当初説明や議事録内容の翻意が、結果的に和解遅延を助長していると感じている」。
 「当地域において、東電の事故が原因でない損害など何一つないということを国も東電も再認識していただきたい」。
 その次に訪問した双葉町でございます。
 「長期に渡る避難生活により、家庭環境が崩壊し、避難先に馴染めずいじめや孤独感が増している町民がいる。双葉町は避難指示が出された市町村で唯一全町避難継続中の町であるという状況を理解し、町民の実態把握をした上で、指針の見直しや生活支援策を検討頂きたい」。
 その次ですが、「来年春に予定している避難指示の一部解除は、住民の帰還を伴わない特殊な解除であることを原賠審の委員には理解した上で審議をお願いしたい」。
 その次ですが、「ADRセンターは公平かつ迅速に裁判より簡素化した対応をするための組織であるにも関わらずその和解案を東京電力が拒否していることについては、誠に遺憾である」。
 4ページに移りまして、「未だに賠償請求権を行使していない本賠償未請求者がいるという事は把握している。ただし、未請求者の情報は個人と東京電力の案件になるため、詳細情報は町では把握していない。賠償の権利を有していることを理解していない対象者への周知が完了していない状態で未請求者が請求権を失うことがないように、時効の延長を含め検討頂きたい。」でございました。
 最後に訪問した浪江町でございます。
 「復興がなかなか進まない。農地の大規模太陽光発電や中心市街地の家屋解体等があり、町を元に戻すことは不可能。地域コミュニティ破壊が深刻であり、再構築は困難なうえ避難先でも孤独を感じている。今もって精神的苦痛は続いており、月額10万円では慰謝されていない」。
 「集団申立ての打切り後に住民説明会を行い、ADRセンターへの再申立て等を促進しているが、申立て件数は伸びない。町の進めた申立てが東電の拒否により長期化したうえ白紙となり、期待が裏切られ、個人で申し立てても仕方がないと諦めが加速した」。
 「東京電力は「被災者に寄り添う」と言い、国も指導しているが実現していない。中間指針を改めてもらい、東京電力に原因者としての責任を果たしてもらいたい」という内容でございました。
 5ページ以下は、各町から頂いた要望書を添付させていただきました。
 訪問順に掲載しております。文書として頂いたものであり、審査会事務局としてもしっかり受け止めさせていただきたいと思います。
 なお、楢葉町からは、文書での要望書の提出はございませんでした。
 報告は以上でございます。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明について、御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。特に現地視察に参加された委員の皆様からは、現地を訪問された上での御感想も含めて御発言いただければと考えております。
 どうぞ。よろしくお願いします。

 


【大塚会長代理】  では、視察の感想のようなことを一言だけ申し上げさせていただきます。私は、日程調整上、最初の日しか伺えなかったわけですけれども、富岡町とか大熊町の帰還困難区域を視察させていただきまして、3月11日の新聞配達の場所で新聞紙が3月11日のまま転がっているような状況とか、あと、震災のときのまま時計の針が止まっているような状況とかを拝見しました。
 他方で、大熊町の役場が、新庁舎ができて、大変きれいな新庁舎ができていますけども、復興のシンボルともなるべきものだというふうに実感したところでございます。常磐線が夜ノ森とか大野とか、来年3月に開通するということでございますので、復興に向けた大きな転換点となることを期待しているところでございます。
 私の感想は以上でございます。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 ほかに御発言いかがでしょうか。中島委員、お願いできますか。

 


【中島委員】  私は、恐縮ですが、参加できなかったんですが、そこの3ページの双葉町の2つ目の丸ポツについて、委員会全体として認識を共有しておくために質問というか、事務局の方で調べていただけるとありがたいと思っているところがありまして、この住民の帰還を伴わない解除。避難指示の解除というものの内容というか、効果について、避難指示を受けている人たちは、住民票を移さずに避難している人が多いと聞いていますが、その場合は、住民税と固定資産税が免除されていると聞いています。避難指示が解除されると、戻らないけれど、住民税が復活するのか、それから、固定資産税も復活するのか、そのあたりを調べていただけないでしょうか。委員会として、委員としては、知見として共有しておいた方がいいかなと思いますので、お願いいたします。

 


【辻本参事官】  内閣府支援チームの総括参事官の辻本でございます。今の御質問に対しまして現状を申し上げますと、町の方では、住民税を求めることはしない方向で調整中であるというふうに聞いています。今回の、解除するけど、住民が戻ってこないというのは、むしろ町としては、後ほど説明いたしますけども、拠点が整備されて、みんなが帰れる状態になったときにまとめて帰れる方が町の発展に資するという前提で、むしろ町の意向で帰還を求めないという前提になっているものですから、むしろ、今御指摘いただいた住民税等々については、村の単費といいますか、村の予算でその分は、村としては求めることはしないという点と、加えて、まさに解除された後に幾つかのものが、税金とか固定資産税、いろいろ掛かってくるんですけども、そこについても、まだ確定はしておりませんけれども、村の方で、住民に負担を求めないという方向で、今、議論をされているというふうに聞いております。

 


【鎌田会長】  よろしいですか。

 


【中島委員】  はい。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 では、ほかの。それではまず、樫見委員、お願いいたします。

 


【樫見委員】  2点ほど。まず、視察そのものについてでございますけれども、やはり幾つかの町を回らせていただきまして、帰宅困難の続いている地域といいますか、避難解除がなされていない地域、それから、解除がなされたのですが、まだ時間的にかなり長期間、避難解除が解けなかった自治体、様々な状況があろうかと思いますけれども、やはり震災から8年ほどたちますけれども、復興の進捗状況にかなり差が見られまして、先ほどお話がありましたように、いまだに震災当時の家屋がゴーストタウンのように残っているという状況を見ますと、今後やはりいろいろな形での支援が必要ですし、住民の方々の御苦労がしのばれます。これが全体の印象でございます。
 それからもう1点は、被害者である自治体の要望等はもちろんでございますが、今回は被害者個人といいますか、高野病院さんのところで、被害者の方から直にお話をお聞きしたというところで印象深いものがあったわけでございますが、全体として時間はたっているのですが、なかなか損害賠償の支払い等につきましては、もちろん請求側の損害の内容ですとかいろいろ詳細に調べる点はあろうかとは思いますけれども、東電との対応ですとか、それから、高野病院に限らないわけでありますけれども、個々の被害者の方に十分に支援の手が届いているのか、賠償の支払いが進んでいるのか、まだまだ解決すべき問題が多いというふうに受け取らせていただきました。
 以上でございます。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、織委員、お願いします。

 


【織委員】  私は、大塚委員とまた別に後半だけ参加させていただきました。後半だけ、楢葉と双葉と浪江を訪問させていただきました印象なんですけど、先ほど樫見先生がおっしゃったように、やはり全町避難が継続している地域と一部指定解除の地域では、復興のスピードがかなり違っているなということを実感しておりました。一律、復興に向けてと言いながらも、そこには随分異なる現状があり、また、賠償の支払いもまた違っている現状があるということを改めて認識させていただきました。
 特に双葉町において、双葉南小学校、本当に避難、その事故当日の現状のまま放置されているところが印象的だったんですけれども、町長さんがそのとき、展示されている卒業生の、6年生の工作を見て、これをいつか卒業生たちに返してあげたい、みんなが戻ってきて、きちっと本人に返すことができたらなというふうにおっしゃっていたのがすごく印象的で、私も小学校の卒業生たちも、もう8年半年たっているので、1年生だった子たちももうすっかり忘れてしまっているかもしれないですけれども、戻ってきて、復興に向けて力になって、そして、思い出してくれればなというのを改めて思いました。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 ほかにはいかがですか。では、内田委員、お願いします。

 


【内田委員】  私も2日間、初めて現地視察に参加いたしましたので、その感想を申し上げたいと思います。
 まず、被災された自治体の御発言について御報告がありましたけど、これは直接お伺いしましたので、重く受け止めて今後の審議に生かしていきたいと感じております。
 現地を視察した印象ですけれども、既に他の委員が御指摘されたことと全く同じで、重なりますけれども、やはり今まで被災地について、ニュース報道などで映像は見ておりましたけれども、テレビを通して見る印象と現地を直接訪問して見るのとで全く違うということを非常に強く感じました。
 その違いについて、2点申し上げますと、これも既に御指摘されたことと重なりますけれども、まずは、帰還が困難な地域と、避難指示が解除されて、住民が戻ってきて、復興に向けて動き出している地域との落差の大きさ、これは本当に現地を見なければ分からないという感じがいたしました。非常に落差が大きく、この差をどうしていくかということが大きな課題であると感じました。
 もう一つの印象としまして、これも既に御指摘がありましたけれども、帰還困難で住民が戻っていない地域の集落とか、あるいは、今、織委員から御指摘のあった双葉南小学校も拝見しましたけれども、人がいないといっても、だんだんさびれていった村が、人が誰もいなくなってしまったというのとは全く違って、通常の日常生活が行われていた場所が、ある瞬間、突然時間が断ち切られて、人がいなくなってしまった。その瞬間がそのまま残っているということを感じました。
 もちろん年月がたっておりますので、建物が老朽化したりといった変化はありますけれども、やはりある瞬間で時間が断ち切られている。元の生活、ある時点まで生活していたその瞬間までの状態が残って、人だけがいなくなっている。その現状を見ると、やはり被災された方々、今、避難して、ふるさとに戻れないでいる方々の無念さというものが感じ取られまして、非常に大きな被害を受けられたのだということを改めて感じた次第です。
 以上です。

 


【鎌田会長】  ほかには。中田委員、お願いします。

 


【中田委員】  私も何人かの委員とほぼ共通の感想でございます。私は4回目でございますけれども、やはり各地域における違いを感じました。
 第一に、最も復旧復興が進んだ地域がありまして、ここでは、こちらも明るい気持ちになることができました。ただ、とは言いましても、個別的には未解決の被害者もいらっしゃいますので、その方々のことも忘れてはいけないと思いました。
 2番目に道半ばの地域があります。復興に向けての計画が進んでいるけれども、帰還されていない住民も相当いらっしゃるという地域でありまして、ここでは幾つかの具体的な問題についてお伺いしました。賠償と復興の双方の観点から、対応が引き続き必要だと感じました。
 第3に、最も困難な地域があります。帰還困難区域が今なお広く残っていて、帰還を断念される住民も次第に多くなってきていると伺った地域でございます。ここでは自分自身が漠然と持ってきた時間軸の感覚を見直す必要があると感じました。従来の感覚では対応できないような長期間かつ広範囲の被害について、自らの感覚を問い直しながら、賠償と復興の関係について更に考える必要があると思いました。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。では、明石委員、お願いします。

 


【明石委員】  私は参加できなかったんですけど、病院のことで、もしお分かりになればお聞かせいただきたいんですが、医療・介護専門職の補塡のことが出ていますが、実際どの程度補塡されていて、医療がどの程度回復したというふうに、この高野病院は判断をされていたのか。もし分かりましたらお聞かせいただければと思います。

 


【山田原子力損害賠償対策室次長】  事務局でございます。高野病院様と意見交換をしたときは、そこまでの具体的な話はありませんでしたので、今度、我々が事務的に、高野病院様に確認をして、委員に御報告したいと思います。

 


【鎌田会長】  よろしいですか。

 


【明石委員】  はい。

 


【鎌田会長】  逆に、病院の数が限られていますから、患者は増えたというお話もされたように記憶しております。ただ、それに対応するために、更に人手が掛かるので、経営的にはむしろ難しい状況になっているという、そういう場合の営業損の考え方が難しいという、大きなお話があったように記憶をしているところです。
 私自身も現地を伺いまして、そのときの感想は、既に各委員のおっしゃられたことと重複いたしておりますので、それらを援用するにとどめたいと思いますが、ただ、かなり住民が戻って、復興の歩みが始まったところでも、やはりそれは昔の生活がよみがえったんじゃなくて、3.11以前とは違う新しい形になっている。それをどう今後、新しい地元、コミュニティとして作っていくかというのはなかなか難しい課題であろうという印象も受けたことを付け加えさせていただきます。
 各自治体の首長さんから、あるいは住民の方からもいろいろと御意見を頂戴いたしましたが、紛争審査会といたしましては、今後も引き続き現地の状況をしっかりと把握しつつ、検討を進めていきたいと考えております。
 自治体からの要望について、先ほど御紹介もありましたけれども、現地視察の機会以外にも様々な要望を頂戴しておりますので、次に、議題の2番でございますが、地方公共団体等からの主な要望事項について、まとめて事務局より説明をしていただきます。よろしくお願いします。

 


【山田原子力損害賠償対策室次長】  事務局より説明させていただきます。資料2をご覧いただければと思います。
 地方公共団体等からの主な要望事項についてという資料でございます。この資料は、今年1月に第49回、前回の紛争審査会が開催されたわけですが、それ以降、現時点までに紛争審査会事務局である文部科学省に寄せられた要望のうち、主な項目をまとめたものということでございます。
 まず1つ目、避難者等への賠償でございますが、原子力損害賠償紛争審査会において現地調査を行うなどにより、被災地の現状をしっかりと把握した上で、被害者の一刻も早い救済のため、中間指針等の見直しを行うことという御要望がございました。
 また、原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解事例において、被害者に共通する内容については中間指針に反映することという御要望もございました。
 2つ目ですが、営業損害及び風評被害に係る賠償ということで、営業損害や風評被害の賠償について、被害者からの相談や請求に丁寧に対応するなど、被害者の立場に立った取組を徹底し、事業の再建に繋がる賠償を的確に行わせること。また、一括賠償後においても、損害が継続又は発生している場合には、賠償を継続させることという御要望がございました。
 3つ目、地方公共団体に係る賠償でございます。地方公共団体が福島原子力発電所事故に起因して負担した費用等について、迅速かつ確実に賠償を行わせること。また、財物に関する損害については、地方公共団体の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産や山林、利用再開が見込めない財物の取扱いを含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させることという御要望でした。
 2ページに行きまして、4番、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介についてでございます。原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介手続において、特に申立人が和解案を受諾する意向を表明している場合は、東京電力も和解案を尊重し、和解を行うよう強く指導することという御要望がございました。
 5つ目ですが、損害賠償請求権の消滅時効についてでございます。平成25年12月に「時効延長法」が施行され、福島原子力発電所事故に対する民法上の損害賠償請求権の事項が3年から10年に延長されているところであるが、未だ賠償請求権を行使していない被害者が多数いることから、将来にわたり、消滅時効を援用しないよう具体的かつ明確に「指針」に示すことという御要望がございました。
 要望事項については、以上でございます。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。ただいま説明にもありましたとおり、各所から様々な御要望を頂いております。これらの要望についてどう対応すべきか、委員の皆様方の御意見や御質問をお出しいただければと思います。
 中島委員、お願いいたします。

 


【中島委員】  以前の中間指針の中で、この委員会から要望としても出してあったかと思うんですけども、自治体からの要望の内容の中には、損害賠償という形では、理論上、ちょっと難しいような内容も含まれているように思われます。むしろその場合の復興に関する行政的な支出との調整をもう少し検討して、それとの連携を図られるということも一つの復興をスピードアップさせることかなと。委員会としては、権限を超えるような物言いですけれども、それの視点も入れられてはどうかと、僣越ですが、感じた次第です。

 


【鎌田会長】  ありがとうございます。その点、十分また関係省庁と協議しながら進めていけるようにしたいと思っております。
 ほかにはいかがでしょうか。織委員、どうぞ。

 


【織委員】  私、入ってきたばかりなので、十分知見がないこともあるかもしれないんですけれども、今回、視察に伺わせていただいたときに、高野病院もそうですし、町長さんからも、東電の方で寄り添っていないというような不満が随所に感じられているところなんですけども、損害賠償の額なり、支払いに対して。何がそういうふうに思わせるような原因になっているかということがあるのでしょうかという言い方は変なんですが、例えば物の言い方ですとか、あるいは手順ですとか、あるいは事務的処理の遅さですとか、何が関係者、被害者の方にそういうふうに言わせているところなのかなというのが素朴な疑問としてあるんですけれども。

 


【鎌田会長】  これはどうでしょうか。後ほど東電から御説明いただく際に併せてお話しいただくか、むしろ、今、話をしていただいた方がよろしいようでしたら、東電からお話を受けて。

 


【織委員】  済みません。今、東電さんからお答えいただけるなら、もう1点、よろしいですか。やはりこれも高野病院のヒアリングのときに伺ったんですけれども、請求に当たって要求される領収書等の証拠が毎回変わってしまうということで、それが実際、請求を困難にしているというようなお話があったんですけれども、もし私が損害賠償請求をするときに、やはりこういうものを出せばいいだろうと思っていたら、それでは出せないと言われて、もっともっとと言われてしまうと、それは確かに混乱するような気がするんですけれども、その辺については何か基準があったりとか、それこそ寄り添う気持ちとどういう関係があるのか。そのあたりもお聞かせいただければなというふうに思います。

 


【鎌田会長】  それでは、東京電力から、よろしくお願いします。

 


【内田室長】  東京電力の内田と申します。よろしくお願いいたします。いろいろ御迷惑をお掛けしていまして、申し訳ございません。
 まず、1点目の東電が寄り添っていないではないかという指摘についてでございますが、いろんなケースがございますので、なかなか一概に言えないところはございますが、やはり年数が8年とたってきて、当初の場合は比較的、定型的な書式でとか、定型的な内容で、例えば避難区域内に住まわれている住民の方とか、あるいは事業者の方ということは、かなり形式的な要件でお支払いをさせていただいてきたという事情がございます。
 一方、事故から、今ですと8年半たってございまして、避難の指示の解除も進んできているところがあるという中で、やはり定型的な大量処理から、やはり個別の御事情をお伺いして、損害を確認させていただき、更に相当因果関係を判断させていただくと、こういうプロセスが入ってきているという関係上、どうしてもお時間が掛かったり、あるいは、今までは定型的に類推してお支払いしていたものを、証票をお願いすると。2番目の御質問とも関係してくるかと思うんですけども、そういう意味で、今まで証票なしでもお支払いしていたものを、やはりこの時期に来ますと証票をお願いせざるを得ない。そういったところがございまして、御請求者様に対しましては、そういう意味では御負担をお掛けしているという部分があるかと。また、こちらの対応が非常によろしくないというところもいろいろお𠮟りを受けますけども、そういう面も全くゼロとは言えないというふうに思っておりますので、そういう面でもお詫びを申し上げなければいけないんですけれども、そういう面もあろうかと思います。
 ただ、いずれにしましても、やはり賠償という観点から、こういった時間の経過の中で一定の書類の御提出をお願いしたりと、あるいは損害額の算定、あるいは相当因果関係の検討というところも、なかなか困難な状況になってきているということは事実でございまして、御請求者様の御主張や御意見が、こちらの判断と合わないというところも多々あるといったことも事実でございます。
 こうしたところからそういった行為につながっているのではないかというふうに考えているところでございます。ただ、姿勢としては、各御請求者様の個別の御事情をきちんとお伺いして、それに寄り添ってというと、非常にまた誤解を生むところもあるんですが、きちんとお話をお伺いして、適切に判断していくということを心掛けているところでございます。
 以上でございます。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。

 


【織委員】  はい。

 


【鎌田会長】  では、ほかにはいかがですか。はい、佐々木室長、どうぞ。

 


【佐々木室長】  ADRセンターの室長の佐々木と申します。今の話ですが、ADRの手続しか見ていないのと、あちらこちらの関係団体とお話しして伺っている話という範囲のことになるんですけれども、まず、東電さんの方の今の御説明の、事故からの時間が経って様々な審理すべき論点が出てきていて、なかなか事実認定が難しくなってきていると。これはもう間違いない事実でございまして、私どもの仲介委員、調査官もかなり苦労するようになってきて、1件1件の負荷が物すごく高くなってきております。
 そこでなんですけれども、改めて東電にお願いなんですけれども、和解仲介手続ですので、訴訟のような厳密な立証をやっている手続ではないので、そこで余り重い立証をおっしゃらないでいただけると、被害者の方もある程度スッと行くんでしょうし、私どものいろいろなものももう少し迅速に行くのではないかと。
 例えば、昔であれば、陳述書が幾つかあって合致していればよかったものが、客観証拠がないのかということを言われて、時期が経っていれば、客観証拠が残っていないとか、震災を前提にしてそういうのを作っていない場合もありますので、その辺を少し柔軟にしていただけると非常にありがたいというふうに考えております。
 もう一つが、これも長いことはっきりは言ってなかったんですけれども、「3つの誓い」の中の和解案尊重というのが、本当のところ、一体どういう意味をこのADR手続において持っているのかということを、室長としての考え、それは個人的と言われたらそうなのかもしれませんが、考えているところなんですけれども、そもそも損害賠償の法令とか中間指針というのが細かく全てを規律するものではなくて、こういう大まかな基準で、我々の方の仲介委員の方に裁量でお任せいただいていると。そうすると、多くのところで開かれた構成要件があるので、そこのところはそれぞれの価値判断みたいなもので埋めていかざるを得ないと。これは恐らく常識とかそういう言葉に置き換えて言っても、万人が共通して一致する唯一の解があるわけではなくて、それぞれが相応の合理性を持った範囲の結論に至ることがあるということにならざるを得ない。
 更に事実認定も裁判所のような精密司法をやっているわけではないので、少ない証拠の中から常識的推論をしたときに、やはりこれも幾つも分かれてくる可能性があると。そういう中で、我々の仲介委員も相応の合理性を持った解を出していると。東電の方も法律家を動員して、それなりの合理性のある解を出していると。そういう中で絶対的にどっちが正しいということを言い始めると、これは裁判に行かなければいけなくなってしまうと。そうではなくて、お互い相応の合理性を持っている場合には、やはりうちの仲介委員の判断を尊重いただければと、そういう意味を持っているからこそ、和解仲介手続が、和解の手続で、訴訟みたいな重いことをやらなくても一定の効果が上がるんだと。そういうような本質的なことに関わるお約束ですので、そこは柔軟にお考えいただけるとありがたいと。ただ、こう言うと、今、東電さんにかなりひどいことを言っているような感じもするかもしれないですけれども、東電さんからですけれども、春先の総理の国会の答弁、その後はかなり柔軟にしていただいているという実感を持っておりますことを申し添えた上で、更に柔軟にしていただけるとありがたいなと。
 もう一つがセンターについての話なんですけど、あちらこちらに協議などに行ったときに、東京にいて、本当に福島の実態を分かっているのかというお声をしょっちゅう頂戴いたします。それでも、ある程度の理解はしているつもりです。先ほど病院の復興状態とかいうお話もあったんですけれども、冬の前回の審査会のときに、ひとつ、個別の事案を公表していると話を申し上げたと思います。その個別のところの事実認定なんかを見ていただけると、どんな状況なのか。今現在の状況の話ではないんですけれども、ある程度分かるのであろうと。それはなかなか東京にいて、我々もつかみにくいところがあるとしてもその程度は理解しております。とはいえ、そういうところがなかなか、我々センターも敷居が高いとか、実際、実情を分かっていないとかいう苦情を受けることもありますので、そういうことがいろいろと言われているのかなという反省があります。
 ちょっと長くなってしまいましたが、余計なことを申しました。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 ほかに御意見いかがでしょうか。
 ただいま佐々木室長からも、また、東電からも、くしくも同じような指摘から話が始まったんですけれども、指針を中心にして、一律に、迅速にという賠償のスキームが、当初果たすべき役割はおおむね果たして、今は、それを前提にして個別の事情についての審査をした上で、特殊事情に応じた賠償措置を講ずるということが中心になってきている。それが従来とは少し違ったように見える状況を作り出しているという御指摘だったと思いますけれども、その中で指針を変えれば東電も応じるんじゃないかというふうな要望もたくさん出てきているわけですけれども、中間指針で想定しているものと、直接の相対交渉を通じて、個別事情に応じて解決すべきものと。この2つは少しずつ役割が違っているわけでございますので、その両者の関係について、我々としてもしっかりと丁寧に説明をしながら、審査会の役割を果たしていきたいし、ADRセンターとの協力関係もしっかりと構築していきたいと考えています。
 また、併せて、東京電力様には、指針に書いていないから賠償しないというようなことはおっしゃっていないんだとは思いますけれども、そういう個別の事情にきめ細かく対応していくということも指針に書いてあることですので、指針の精神に応じて、また、被災地の現況に応じて、しっかりと運用していただくことを重ねてお願いしたいと思います。
 併せて中島委員からも御指摘がございましたけれども、事故の賠償に中心がある局面から、復興というところに徐々に重点が移りつつあるわけですので、復興施策と賠償の論理等をしっかりとマッチングさせ、よりよい解決に向かっていけるよう、我々としても努力していきたいと思いますけれども、復興関連の省庁チームにおかれましても、是非よろしく御協力いただきたいということをお願いしたいと思います。
 本日の流れでは、曖昧ではございますけれど、この要望に対する対応についての審議はこの程度でとどめておきたいと思いますが、委員の皆様、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 次に、避難指示解除後の現状について、内閣府原子力被災者生活支援チームより御説明を頂きます。

 


【辻本参事官】  改めまして、内閣府支援チーム、辻本でございます。それでは、資料3に基づきまして、説明をさせていただきます。併せまして、事務局から参考資料3というのを付けていただいていますので、この地図でありますけれども、これを横で見ていただきながら、お話を聞いていただければと思います。
 簡単に申し上げますと、色塗りの部分が帰還困難区域であるというところと、四角囲みのところは、今、戻っておられる居住者の方々ということであります。
 めくっていただきまして、2ページになりますけども、これは1月の際にも同じ資料だったかと思いますが、簡単に申し上げますと、福島の復興という上の楕円、生活の再建、下のブルーの楕円でありますけれども、なりわい、産業の再生と、これを両輪にして進めているというものであります。
 めくっていただきまして、3ページになります。避難指示の解除であります。見ていただきますと、左の真ん中の四角でありますけども、2014年4月1日、田村市から、この避難指示の解除というのは進みまして、直近では今年の4月10日、大熊町で解除が行われています。
 ただ、その下の今後の避難指示解除の見込みを書いておりますけども、双葉町は、これは、ここに書いていますとおり、96%が帰還困難区域(人口ベース)であります。また、後ほど説明いたしますけども、特定復興再生拠点区域というのも制度として作っております。右の図でいきますとブルーのところでありますけども、帰還困難区域の中でブルーのところを再生拠点という形で、これは町、村からの申請に基づきまして整理をさせていただいていますけど、ここを中心に復興を進めているというものであります。一番下のところは、2013年8月から2019年4月時点で、避難の対象者の数はこういう形、また、面積についてもこういう形でなっているということであります。
 めくっていただきまして、4ページであります。これはJR常磐線が来年の春に全線開通を目指すというところであります。今年の7月の終わりの視察の際にもこのあたりを見ていただいたところであります。この赤の部分ですね。夜ノ森、大野、双葉駅、富岡、ここが来年の春に開通をしていくというところでありまして、この常磐線が開通していけば、人の流れも更に活性化されていくのではないかというふうに思っております。
 めくっていただきまして、5ページであります。帰還困難区域の通行可能ルートと書いてありますけども、いわゆる帰還困難区域というのは、基本的に立ち入りをしていただかない地域でありますけども、その中でもブルーのサイン、これは特別通過交通ルートと申し上げていますけども、ここについては、人、車の往来ができていくというものでありまして、これを徐々に、町の方と相談しながらどんどん拡大をしていっているということであります。したがいまして、前のページの鉄道、また、このページの道路、これが相まって南北のところの大動脈を作りつつあるというふうに御理解いただければと思います。
 めくっていただきまして、6ページ以降、避難指示の解除の後にどういうふうな復興が行われているかといったものを町、村、市ベースでポイントを整理しております。見ていただきたいのは、6ページのところは田村市、川内村、楢葉町でありますけれども、例えば下のところに、「復興に向けた取組」というところで、商業施設、産業等々が記載をされております。
 めくっていただきまして、7ページであります。7ページは、葛尾村、飯舘村、川俣町であります。ここも見ていただきますと、商業施設、医療、産業等々について、こういう形での施設並びに産業が復興に向けて動いているということが見て取れるかと思います。
 更に進みますと8ページであります。南相馬市に関しましては、ここに、一番左の産業のロボットテストフィールドというのがございますけども、新しいこういう形での技術の集約といったものを進めていると同時に、浪江町でありますけども、商業施設も見ていただきますと、今年の7月でありますけど、イオン浪江町がオープンしたというものであります。
 次の9ページを開けていただきますと、富岡に関しましても、商業施設、さくらモールとみおかといったものが29年3月に全面開業しているところが、課題は、ここに書いていますが、大熊、双葉でございまして、見ていただいたら分かりますとおり、商業施設、医療等々についての記載がございません。特にこの双葉に関しましては、先ほど申し上げましたとおり、まだ全町民避難中というところでありまして、現時点では、まだ商業施設等々について、整備する段階になっていないというのが現実でございます。
 めくっていただきまして、10ページでございますが、先ほどちょっと申し上げました特定復興再生拠点が何なのかというのを簡単に説明いたします。
 ここで、双葉町、大熊町は10ページに書いてありますけども、赤字で囲ませていただきましたのは、この7月で委員の先生方に見ていただいた町であります。双葉町につきましては、帰還困難区域は薄いブルーでありますけども、JR双葉駅を中心に、特定復興再生拠点区域なるものを作ろうとしているというところであります。現在、これに向けて環境省を中心に除染等を進めておりまして、一番下を見ていただきますと、2022年春頃までに全域を解除して、拠点として作り上げることによって復興を進めていくというふうな流れであります。
 右の大熊町につきましても、こういう形での復興再生拠点区域等の整備を進めておりまして、これも2022年春頃をめどに、全域の拠点の整備を進めていくというものであります。
 めくっていただきまして、11ページでありますけども、右の上、富岡町、ここも視察をしていただきました。ここも、このJR夜ノ森駅の右側の方になりますけども、ここを拠点区域といたしまして、また、帰還困難区域がありますけども、まずは拠点を整備していって、ここに書いてありますとおり、2023年春頃までに復興を目指す。加えて、その中で、居住人口目標というのを各々書いておりますけども、こういった形の富岡町では1,600人の居住人口、戻っていただく人数というのを町の方で、村の方で計画を立てているというものでございます。
 12ページに参ります。その後の動きについて若干申し上げます。12ページは、帰還困難区域における特定復興再生拠点区域外、先ほど拠点についても御説明いたしましたけども、拠点の外についてどうするのかというのが地元からの強い御指摘であります。ここのところで、今年3月に、基本方針を政府として定めておりますけども、見ていただきたいのは一番下のところのポツであります。
 「再生拠点区域を除く帰還困難区域については」と、一番下にある「特定復興再生拠点区域外の対応を検討する」というような形で、政府としての方針をこの3月にまとめております。
 めくっていただきまして、13ページでありますけども、これは与党の方から、今年は8月に、第8次提言という形で頂いたものであります。ここにつきましても、下から2つ目のパラになりますけども、拠点区域以外の帰還困難区域についても、それぞれの町村の状況に応じて、今後の政策の方向性について検討を進めることという御指摘を受けておりまして、現在、政府の中で、この拠点区域外においてもどういうふうな形で復興するべきなのかといったところについて、議論を重ねている最中であります。
 めくっていただきまして、14ページ以降に、これも説明は割愛いたしますけども、この復興を進めるために、福島相双復興推進機構(官民合同チーム)において5,300者、個別訪問をするといった形での個別の商業の再開、農業の再開等について支援をさせていただいているところであります。
 また、15ページ以降も、実際にどういうふうな数のコンサルタントをしていったか。若しくは自立支援等をしていったかというのを書いております。
 加えて、16ページのところは、これはまちづくり支援という形で、先ほど申し上げました個々の事業者支援を超えた形での町全体、面の支援という形でのまちづくり全体の支援といった形についても、今、サポート等をさせていただいているところであります。
 めくっていただきまして、17ページでありますけども、特に浪江がそうなんですけども、もともと農業が非常に盛んな地域でありましたので、これは農水省と連携を取らせていただきながら、環境省とも連携を取らせていただきながら、営農再開の取組といったものを進めているところであります。
 また、めくっていただきまして、18ページでありますけども、これも今年の1月のときにも御説明をさせていただいたかと思いますけども、特に浜通りの復興に向けて、福島イノベーション・コースト構想といったもので、ここに書いていますとおり、廃炉ももちろんございますけども、ロボット、エネルギー、農林水産といったところを、更に復興を加速化していくような形での取組を進めているというものであります。
 最後になりますが、19ページを見ていただきますと、福島イノベーション・コースト構想の中で、今、説明を申し上げました12市町村おのおのに、こういうふうな形でのプロジェクト、研究機関の拠点等々について整備が進んでいるという状況であります。
 以上であります。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 ただいまの説明について御質問、御意見ございましたらお願いいたします。

 


【大塚会長代理】  この営農再開の取組についてお伺いしたいんですけれども、どのぐらいの状況になっているかということを人数ベースとか点数ベースで教えていただければありがたいと思います。
 あと、なかなか今までと同じように農業ができるかどうかという問題が多分あると思いますので、水耕栽培にするとか、いろいろなことを工夫していらっしゃると思いますけれども、その辺に関しても教えていただければと思います。

 


【辻本参事官】  まず、最初の御質問に関して言えば、現在のところはまだ本当に緒に就いたばかりであります。特徴的な例を申し上げますと、飯舘村の中に長泥地区というのがございまして、土壌を一旦除去して、それをまた反転耕したり、ひっくり返したりという形にして、改めてどういうような作物があるのかと。もともとの稲作が中心だったというふうに聞いておりますけれども、稲作以外の道も含めて、もっと言えば、果実みたいな形での、どちらかというと市場性が高いものについてどういうのがあり得るのかといったところを、今まさに農水省を中心に議論が始まっているところでありまして、まだそういう面でいえば、まだこれからどういう形が将来できるかというのを始めたばかりというところであります。
 あともう一点、もう既に解除済みの区域においても営農は再開しているところも多いんですけれども、ただ、どうしても販路の開拓といったところで、売り先をどう作っていくかが重要になっているものですから、そういう意味では、福島復興フェアとか、そういう形での農作物の、首都圏を中心にして販路開拓をしていくということも進めているという状況であります。

 


【大塚会長代理】  畜産の方はどんな感じでしょうか。もうやれなくなったのを再開するということにやはりなるんでしょうか。

 


【辻本参事官】  畜産につきましては、昔、飯舘牛というのが盛んだった地域があるんですけれども、現時点ではそれほどまだ進んでいないところであります。
 ただ、これもまだ具体化していないんですけれども、例えば養豚場を再開したい、若しくは新しく養豚場をやりたいという方、養鶏場をしたいといった声がちらほら上がってきていますので、これについて具体化を進めつつあるという状況であります。

 


【鎌田会長】  ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。内田委員、どうぞ。

 


【内田委員】  これから検討されることについての漠然とした質問で恐縮なのですが、特定復興再生拠点区域外の帰還困難区域についても今後の政策の方向性について検討を進めるということが、13ページですが、課題として書かれています。
 今年の7月に、現地視察させていただいて、特に双葉町で拠点区域外の町の職員の方の御自宅を拝見させていただきました。普通に生活をしていたのが、ある瞬間、突然断ち切られて人がいなくなって、そのままの状態で置かれているという住宅でした。こういう拠点区域外の帰還困難区域について、今後の方向性について検討を進められる場合、検討の内容はこれからということなのかとは思いますけれども、例えばどういうことが考えられるかについて、お聞かせいただければと思います。

 


【辻本参事官】  御質問ありがとうございます。
 まず、1点、拠点に関しましては、将来、居住を前提にしているということで、生活環境のインフラも整備する、線量低減措置を行うということを前提に進めています。拠点外につきましては、現時点でまずは事業の可能性を追求できないかと思っておりまして、先ほど御質問いただいた、例えば養鶏場とか養豚場といったものについては、拠点の外でも事業はでき得るはずと。そういったもので、事業としてはできるようなもの、太陽光発電も実はその類いになるかと思いますけれども、そういった形で実際に事業を行っていただいて、そこで財を生む、税を生むといった形での帰還困難区域全体での復興を目指していくというのが今の大きな流れなんだと思います。
 その意味では、とにかく事業をどう戻していくかという形で、今、検討を進めている最中であります。

 


【鎌田会長】  ほかにはよろしいでしょうか。
 では、どうもありがとうございました。
 次に、東京電力による賠償の現状について、御説明をいただきます。【内田室長】  改めまして、東京電力ホールディングスの内田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 弊社の原子力発電所の事故から8年6か月がたちましたが、今なお、多くの皆様に御迷惑と御心配をお掛けしておりますこと、この場を借りまして改めてお詫び申し上げたいと思います。
 弊社といたしましては、福島復興の責任を最後まで果たすべく、最大限努力してまいる所存ですので、引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、資料の説明に入らせていただきます。
 資料の4をごらんいただきたいと思います。1ページ目につきましては、賠償金の御請求、お支払い等の実績についてでございます。
 表の中ほどにお支払い総額というところがございます。こちらは2019年の6月末時点で総額が9兆を超えておりまして、9兆533億円という支払い実績になっております。ちょっと補足しますと、直近ですと、8月31日時点で9兆784億円ということで、先ほどの9兆533億円に比べまして251億円の増加という形になっております。
 それから、下半分のグラフでございます。こちらが各項目ごとというか、分野ごとのお支払いの実績をまとめたものでございます。一番右の2019年6月の時点を見ていただきますと、一番下の0.15というのは仮払い補償金ということで、これはずっと変わっていないところです。その上のちょっとグレーの3.13というところでございますが、こちらが個人の方への賠償の実績、それからその上の点々となっている5.41というところが法人・個人事業主の実績、それから、一番上の0.35というのが自主的避難の皆様への賠償の実績という形になっております。
 最近で申し上げますと、ちょうど点々の法人・個人事業主の伸びが少し大きくなっておりますが、これは除染とか中間貯蔵の費用の求償がここに分類されているためでございます。ちなみに5.41兆円のうち約3.1兆円が純粋な法人・個人事業主の方への賠償、残りの約2.3兆円弱ぐらいが除染等の賠償という内訳になってございます。
 続きまして、2ページ目をごらんいただきたいと思います。一番上でございますが、2017年1月以降の農林業の賠償実績について記載しております。こちらは避難指示区域内の農林業者様への賠償につきましては、2016年12月にプレスリリースを行いまして、2017年1月以降の損害として3倍分の営業損害を一括して賠償しております。今年6月末時点で、賠償実績といたしまして、約1万100件、金額としましては422億円という実績になってございます。
 その下が公共財物の賠償実績ということでございます。審議会でも御審議を頂きまして、公共財物でございますけれども、2018年3月に公共財物の御請求の御案内を始めておりまして、今までの実績としましては、6月末時点で支払いの実績が9件、金額としましては77.2億円というお支払いになってございます。引き続き、自治体様と連携しまして、早期のお支払いに向けて適切に対応してまいりたいと考えております。
 続きまして、その下、原子力損害賠償請求訴訟等の状況というところでございます。6月末時点で送達件数が512件、うち341件が終了しており、現在171件が係属中でございます。
 これ以降は参考としまして、これまでもお示ししてまいりましたが、原子力損害賠償に向けた組織体制、それから個人の方に対する賠償の合意状況及び賠償項目別の合意金額の状況を掲載しておりますので、後ほど御参照いただければと思います。
 御説明は以上でございます。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明に対する御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。
 よろしいでしょうか。では、どうもありがとうございました。
 次に、原子力損害賠償紛争解決センター、ADRセンターの活動状況につきまして、佐々木室長から御説明を頂きます。よろしくお願いします。

 


【佐々木室長】  御説明させていただきます。資料の5、通しページの45ページのところからお願いいたします。
 表題のところに平成30年における状況と書いてございますけれども、平成30年の活動状況報告書のものに、今年の1月1日から6月30日までの速報値を加味したもので御説明させていただきます。今年の分は速報値でございますので、その点、御理解いただければと思います。
 1枚めくっていただいて、センターの人員体制でございますけれども、まず、今年の4月に、紛争審査会の現委員であり、前総括委員会の委員長の須藤典明委員に総括委員会顧問に着任いただいております。
 それから、仲介委員の人数が278、これは6月末現在ですけれども、調査官が140、仲介室職員が127となってございます。
 調査官につきましては、申立件数が減っていることも踏まえまして、自然減に任せておりまして、昨年末から6月30日現在で21名減ということになっております。今後の申立件数の推移等を見ながら規模をどうするかということをさらに検討していきたいと考えてございます。
 1ページめくっていただきまして、今度は申立件数の推移でございますけれども、本年6月末までの申立件数の総数は2万5,012件、申立人数の延べ総数は10万9,210名であります。いずれもピークであった平成26年頃と比較しますと、かなり低水準で推移しているということになります。
 さらに1ページめくっていただきまして、申立件数の推移②というところでございますけれども、今年の上半期の申立件数は676件、昨年、一昨年の申立件数は載せてございませんけれども、昨年、平成30年の上半期が643件、一昨年の29年の上半期が1,094件ですので、一昨年から昨年にかけて41%減になっておりまして、昨年から今年にかけては5%ぐらい上がっております。
 また、申立人数につきましては1,463名となっておりまして、昨年上半期の1,137人よりも増加した数字となっております。
 増えた理由の1つの大きなものは、浪江町の住民の再申立てが若干来ているということで、この効果が出ていると。町の方で丁寧な広報活動をしておられて、また、町が考案された簡素な申立書も作っておられて、それが功を奏しておられるのではないかということを感じております。
 それから、1ページめくっていただきますと、これも速報値になりますけれども、令和元年上半期に申し立てられました案件のうち、初めて申立てをされた事案の割合は33.9%と、昨年の30年よりは減ってございますけれども、なお、3件に1件は初めてここに来られる初回申立てということになっております。
 浪江の再申立ての属性を、特殊なものと考えまして、考慮外に置きますと、初めて来られる方の割合がかなり高くなるというような状況にあります。
 さらに、1ページめくっていただきまして、和解仲介の手続の状況で、終わり方の問題ですけれども、令和元年6月末までで2万3,870件の和解仲介手続を終えてございます。これはこれまで申し立てられた事件数の95.4%に相当いたします。そのうちの80.6%に当たる1万9,240件が和解で成立しております。未済件数はこの6月末で1,142件ということになっております。
 ここでちょっと申し上げておきたいというか、世間に発信したいと思っているのが、3件に2件は和解がいまだに成立しているということです。この実態というものを広く知られていただければと希望しております。
 なぜかと申しますと、市町村、商工団体の担当者と福島でいろいろなところでお話をさせていただいていると、東電さんの和解案拒否があって打ち切りというのが常態化していて、ADRさんの手続が機能していないというふうに聞いているというような話をあちらこちらで聞いて、いえいえ、3件に2件は和解が成立していますし、東電さんもその辺は柔軟にやっていただいているんですよという話をして、え、本当なんですかとか言われております。こうした誤解がADRの申立ての諦めムードにつながっているということになっているように思われますので、そうではなくて、まだ3件に2件はちゃんと和解にたどり着いているんだということをここで申し上げて、そうした実情があちらこちらに広がるとありがたいんですけれども、そういうことで申し上げさせていただきました。
 それから、1ページ、さらにめくっていただいて、今度は各年度別の推移を見ますと、令和元年上半期に手続が終了した件数は653件、平成30年上半期では921件ですので、この数字は昨年よりも少ないペースです。これは新受件数自体が毎年減ってきたこととか、あるいは事故からの時の経過に伴って申立人が置かれている状況が多様化して、和解案を提示するためにいろいろと審理しなくてはいけなくなったと。そのために期間も延びてしまっているということの相乗効果で、少し既済が減っているという状況に今、暫定的になっていると。
 それから既済件数のうち和解成立で終了した案件は461件で、既済件数全体に占める割合では70.6%、昨年が67.8%ですので、やや増加していると。今申し上げましたように3件に2件以上の割合ということになっております。
 一方、取下げで終了した案件は100件、割合で15.3%、昨年が18.3%ですので、やや減っております。
 打切りについては、件数自体は減っていますけれども、割合は年々増加してございます。
 未済件数は1,142件で、この半年間、ほぼ横ばいということになっております。
 1枚めくっていただいて、上半期に打切りとなった92件が、どういう理由で打ち切られているのかという話ですけれども、申立人の請求権を認定できないということから打切りになったものが一番多くて、これが65件で約7割を占めております。
 一方、被申立人である東京電力が和解案をちょっとこれはという話で打切りになったものは、前回の審査会において、今年の冒頭の部分で2件あるというお話をしたんですけれども、その後を全部合わせて10件、うち3件は社員又はその家族からの案件ですので、印象としては、先ほど申し上げましたように、かなり柔軟な御対応を頂いているのではないかと思っております。
 それから、そのほかに和解仲介手続と関連訴訟がともに継続して、双方の請求ないし訴訟物が重複しているということで、確定判決が出るまで和解案の諾否を決められないというか、表明できないという対応がされたことで、先の手続が進められないということで打ち切ったものがほかに2件ございます。
 それから、さらに1ページめくっていただいて、センターの福島における事務所や支所の施設の体制ですけれども、昨年末から特段変化はございません。
 それから、広報等でございますけれども、最後のページになりますが、従来から関係団体や関係地方公共団体と連携協力して、これらが主催する説明会などで説明を行ってきたところですけれども、そろそろ時効の話なんかもすごく関心があって、教えてほしいというものも来ておりますので、そういうことも踏まえて、まだ初回申立てが残っている方もたくさんいるということもありますので、広報を強化しております。郡山市、福島市、いわき市、南相馬市、浪江町、宮城、兵庫、京都、東京等で関係団体主催の説明会に調査官等を派遣して説明をさせていただいております。
 やはり事件を処理していても、東京にいて、調査官とか仲介委員が実態を分かっていないのではないかとか、こういう御指摘も受けることがございますので、なるべくそういう実態を見せるように調査官を派遣して、日々の事件処理、心を引き締めてやってもらうということを考えております。
 ちょっと駆け足になってしまいましたが、以上でございます。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関して、御質問、御意見をお願いいたします。樫見委員、どうぞ。

 


【樫見委員】  前回のところで、東電側の賠償に向けた組織体制についてたしか質問させていただいたかと思うんですけれども、今回はきちんと書かれておりまして、その点に関しまして、やはり損害賠償の問題を解決するには、両当事者といいますか、今、ADRのセンターの人員の御説明もありましたけれども、8年たったので件数が少ないとか、あるいは、だんだん風化していくだろうということは恐らくないわけで、最後に至るまで、やはりしっかりと損害賠償に向けた組織体制、東電さん側も、それからセンターの方も、自然減というお話がちょっとありましたけれども、やはり被害者の救済に当たって、組織体制、処理に当たる方々の体制はこのまま維持をしていただきたいというのがお願いでございます。

 


【佐々木室長】  必要な体制は維持したいと考えておりますし、近頃も、内部の会議とかで1人でも多くの被害者に適切な賠償を実現するんだと、その思いを持ってやりましょうということを話して、士気を維持するように頑張っております。

 


【鎌田会長】  ほかにはいかがでしょうか。

 


【内田委員】  よろしいですか。

 


【鎌田会長】  はい。

 


【内田委員】  具体的なデータがなければ感覚的なお答えでも結構なんですが、仲介委員や調査官の皆さんには大変な御苦労をいただいていると思います。どのくらいの負担になっているのかについて、週にどのくらいの時間を掛けておられるかということでも結構ですけれども、教えていただけますか。

 


【佐々木室長】  今、ちょっと週の勤務日を5日、3日、4日の選択制にして、それぞれが働ける時間で頑張ってくださいとなっているので、定量的にはなかなか申し上げにくいんですけれども、例えば事件の記録の厚さでいきますと、例えば事業者の逸失利益の請求などになりますと、当時は、賠償の基準となる数字、もともとの収益である平成22年のものが必要で、23年、24年、25年とかでよかったんですけれども、今の30年を持ってくるときには、その間の因果関係を確かめるために全部点検しなきゃいけないとかいうことで、記録は物すごく厚いことになっていると。
 当時としては、そもそも争点にならなかったもの、例えば避難をしていれば、どこの地域からといったら、それは当たり前だよねとか、就労できないというのも、それもそうだよねと、風評もそうだよねとアプリオリに近い形になっていたものが、今であれば、なぜ今の時期にそこに避難しているのかを確かめなければいけないですし、なぜその業種で、今の時期に、その場所で、具体的にどういう風評があるのかを踏み込まなければいけないとか、その間の例えばいろいろな生活の変動が因果関係を維持するものなのかしないものなのかを確かめなければいけないようになっております。そうしますと結構負担が重くなっている。
 それともう一つが、そういうふうに複雑な審理になってきておりますので、うちのいいところがそのまま負担になっているんですけれども、本人申立てが非常に多い。そうすると釈明をするにしても、法律家同士がやりとりする以上にかみ砕いて、こういう話なんですというのを説明しなければいけないんですけれども、なかなかそこら辺の負担もあって、電話などでお願いしてお話をしていても結構長くて、説明がうまく伝わらないと、もう一回どういうふうに説明すればいいんだろうという話になってきておりますので、これを統計上の1件として平均的な重さの1件としてしまうと、多分、仲介委員の先生も調査官も泣いてしまうと思うんですよね。
 恐らく、その御苦労は東電の社員の方なんかも同じような実態になっているということでよろしいでしょうか。その程度の感覚的なお答えしかできないのですが。何分掛かったというのは、ストップウォッチで計っていないので。

 


【内田委員】  さぞ大変な作業なんだろうと想像しておりましたけれども、御説明でその辺もよく分かりました。
 同時に、申立人の方も大変なわけですね。それに応じていかなければいけない。その負担もだんだん大きくなっているという感じですか。

 


【佐々木室長】  御指摘のとおりですが、そこは申し立てていただいてから、ある程度、調査官が寄り添った形でアドバイスというか、二人三脚でという話はしております。
 例えばですが、先ほど申し上げた浪江町の簡素な書式というのも、どういう賠償をしてほしいのかという、念頭にあるのは総括基準なんですけれども、そこにレ点を入れてもらえれば、あとはこちらの調査官からお伺いしてという話で、とにかく申立人の負担を減らす方向も考えさせていただいていると。被害者のためにという心があるのであれば、そのくらいはやろうということでやっております。

 


【鎌田会長】  はい、織委員、どうぞ。

 


【織委員】  ありがとうございます。大変な御苦労だと思います。
 それで、時間を経過することによって、証拠ですとか、あるいは相当因果関係の認定が難しくなってくるという難しさとともに、難しい問題が残ってきているか上がってきているという実情があるのか。
 あと、もう一つ、今コミュニケーションの話をなさったと思うんですけど、高齢者に向けてのコミュニケーションみたいな話も出てくると思うんですけれども、お互いに何か共有できるノウハウみたいなものとか、何か勉強会か、あるいは情報共有か分からないですが、そういったようなことはなさってらっしゃるんでしょうか。

 


【佐々木室長】  なかなかコミュニケーションが難しいというところで、方言の問題とか、高齢者の方のもとにまで我々が行くとなると一日掛かりで、それはなかなか難しいとなると、お手紙か電話だと。電話だとすると、耳の不自由な方だとかいろいろあって、そこも何とかしなければいけないんですけれども、非常に難しい話になっております。そこは辛抱強くという、お互い辛抱強くしかないのかと。

 


【鎌田会長】  大分予定の時間を超過してますけど、最後に1つだけ、いまだに初回申立ての数が多いとおっしゃられましたけど、何か特徴はあるんですか、この時期になって初めてという事案には。

 


【佐々木室長】  本当に感覚的なものなんですけれども、幾つかの類型がございまして、1つは、直接請求の方で一段落したことを告げられて、それでは、ということで来られる類型。
 それからもう一つが、これは心の中の問題なんですけれども、ようやく自分の心の中で生活再建とか事業再建にめどが付いたと。賠償のことを考えられるようになったという方が2つ目の類型。
 3つ目が、県外避難者の方に非常に多いんですけれども、ADRの名前は知っていたけれども、具体的に何をやっているか分からなかったと。聞いたら、申し立てをすれば賠償の仲介をしてくれるという話じゃないかということで申し立てたと。そういうような類型のものが感覚的に入ってきています。
 そうすると、なかなかこちらからコントロールするのは難しい類型になってございます。

 


【鎌田会長】  分かりました。ありがとうございました。
 すいません、まだまだお伺いしたいこともたくさんあるんですけど、予定を大幅に超過しましたので、以上で打ち切りとさせていただきます。
 次に、議題の6番、地裁判決の状況について、御報告いただければと思います。

 


【山田原子力損害賠償対策室次長】  事務局でございます。福島原子力発電所事故に伴う賠償請求訴訟について、横浜、千葉、松山、名古屋の各地方裁判所におきまして判決が出ておりますので御紹介させていただきます。
 福島原発事故からの避難者などが原告となりまして、全国21か所の高等裁判所や地方裁判所において、国及び東電を被告とする約30件の集団訴訟が係属中でございます。
 前回の審査会、今年1月ですが、それ以降、本年2月に横浜地裁、3月に千葉地裁、同じく3月に松山地裁、8月に名古屋地裁におきまして、それぞれ判決が言い渡されましたので、少々はしょりながらでございますが、概要を報告させていただきます。なお、各地裁判決につきましては、いずれも控訴されておりまして、判決は確定していない状況でございます。
 委員の皆様は、向かって左側に積んであります4つの紙ファイルを適宜御参照いただければと思います。これから説明いたします判決文につきましては、大部にわたりますので、メイン席のみの配付とさせていただいております。内容につきましては公表もされておりますし、各裁判所で閲覧可能ということですので、御了承いただければと思います。
 まず、横浜地裁でございます。一番上の黄色のファイルです。
 原告175名により、平成25年9月に提訴されました。
 原告の主な請求内容ですが、避難に伴い継続的に発生する精神的損害に対する慰謝料として1人月額35万円、ふるさと喪失・生活破壊に伴う精神的損害に対する慰謝料として1人2,000万円となっております。
 判決の主な内容でございますが、損害各論の精神的損害につきましては、生命身体障害を伴わない場合に対する慰謝料については3類型に分類されるということで、避難慰謝料、ふるさと喪失慰謝料、自己決定権侵害慰謝料というのが、それぞれ判決で認められています。
 精神的損害の算定方法ですが、帰還困難区域におきましては、ふるさと喪失損害を認めるということで、1,500万円をもって相当としております。
 居住制限区域につきましては、解除までに5年以上を要した区域は1,300万円、5年を経過するより以前に解除された区域は1,000万円、避難指示解除準備区域については、その解除に5年以上を要した区域は1,200万円、5年を経過するより以前に解除された地域は900万円をもって相当としております。また、南相馬市避難要請区域につきましては、150万円を超えることはないとしております。
 緊急時避難準備区域においては、自己決定権侵害慰謝料が認められており、250万円をもって相当とし、同様に、旧屋内退避区域においては150万円をもって相当としております。
 緊急時避難準備区域及び旧屋内退避区域以外の地域における精神的苦痛に対する慰謝料は、自己決定権侵害慰謝料が認められ、原則として30万円をもって相当としております。
 全体として、請求総額約54億円に対して、合計約4億円が認容されているところでございます。
 次は、千葉地裁の判決でございます。緑色のファイルでございます。
 原告19名より、平成27年3月に提訴されました。
 主な請求内容といたしましては、避難生活に伴い継続して発生する精神的苦痛に対する慰謝料として、避難生活が継続する限り、月額50万円程度の賠償が認められるべき。その他、先ほどの賠償では評価し尽くせない、避難によって生じた地域コミュニティの喪失、放射能汚染に対する不安等に対する慰謝料としては2,000万円を下らないという点を包括した慰謝料の一部請求として、1人1,000万円を請求されています。
 判決内容についてでございますが、避難継続の合理性につきましては、避難者ごとに個別具体的に判断されるべきとしております。
 損害論各論についてでございますが、地域ごとに避難の合理性、避難継続の合理性及び福島原発事故と相当因果関係のある原告らの損害を検討するとしております。なお、ふるさと喪失慰謝料につきましては、地域の復興状況等から、地域コミュニティ等の生活基盤が破壊されたとも言えないため認めないとされています。
 全体として、請求総額約2億5,000万円に対して、合計約510万円が認容されています。
 次は、松山地裁の判決でございます。灰色のファイルでございます。
 原告25名から、平成26年3月に提訴されました。
 請求内容といたしましては、個々の損害の積み上げではなく、様々な損害を包括した慰謝料として損害算定すべきと主張し、この慰謝料を正当に評価すると、既払い金を控除しても1,500万円を下らないとし、その一部請求として550万円を請求されています。
 判決の内容ですが、慰謝料の算定に当たりましては、原告らが居住していた地域に対する避難指示等の内容によって区分される共通事情といたしまして、旧避難指示解除準備区域及び旧緊急時避難準備区域に居住していた原告らについては、精神的苦痛に対する慰謝料は、中間指針の定める月額10万円を下るものとは言えないほか、そのような精神的苦痛は区域指定の解除後も相当期間継続していたと認めることができる。
 自主的避難等対象区域に居住していた原告については、福島第一発電所事故後それほど長期間を置かずに放射線量が低下し、また、各種インフラの復旧に遅延等の問題が生じていたというような事情も見当たらないこと等を踏まえても、福島第一発電所事故当初の時期における精神的苦痛に限らず、相当の範囲で慰謝すべきものと認められるとしております。
 その上で、各原告の損害については個別事情に応じてそれぞれ算定されており、全体として、請求総額約1億4,000万円に対して、合計約2,700万円が認容されております。
 最後に、名古屋地裁でございます。
 原告128名から、平成25年6月に提訴されております。
 請求内容といたしましては、住みなれた環境での平穏で安全な生活を維持継続する権利の侵害に対して、受領済みの慰謝料の有無及び額にかかわらず、本件事故に基づく慰謝料の一部として1,000万円を請求されています。
 判決の内容です。精神的損害については、原告ごとに損害の有無及び程度は異なるから、最終的には、慰謝料額は各原告の個別事情を具体的に考慮して算定すべきとしております。
 なお、避難に伴う慰謝料額算定の目安としては、帰還困難区域に居住していた者については、他の区域に居住していた者との慰謝料額との均衡等、諸般の事情を鑑みれば、1人当たり1,500万円とするのが相当としております。
 旧居住制限区域及び旧避難指示解除準備区域、旧緊急時避難準備区域に居住していた者については、避難に伴う慰謝料が月額10万円を基本とするのが相当であり、各原告の個別事情を勘案して最終的な慰謝料を決すべきとしております。
 自主的避難等対象区域に居住していた者については、避難指示等により避難している者と比較すれば居住地を自ら決定する権利の侵害の度合いは低いことを鑑みれば、平成23年3月から同年12月までは月額6万円、また、妊婦又は子供については平成24年1月から同年8月まで月額5万円とすることが相当であるとしております。
 区域外に居住していた者については、避難及びその継続に合理性が認められる場合には自主的避難等対象区域の者に対する賠償基準を参考に慰謝料額を算定するとしており、全体として、請求総額約15億円に対しまして、合計約9,700万円が認容されております。
 事務局からは以上です。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 ただいまの説明について、御意見等ございましたらお願いいたします。よろしいですか。
 ただいま御紹介いただきましたように、それぞれの判決内容は少しずつ異なっておりますし、全て控訴されているということでございますので、今後の推移を見守っていきたいと考えます。
 次に、損害賠償請求権の消滅時効についてです。
 消滅時効につきましては、現地視察において双葉町からも御要望を頂いているところでありますし、先ほど御紹介申し上げた地方自治体からの要望事項の中にも掲げてあり、また、ADRセンターからの御説明にも関連するお話がございました。
 この点につきまして、審査会として、この審査会は時効がいかにあるべきかを決める機関ではございませんけれども、今後の紛争の解決についても重要な影響がございますので、この場で議論をさせていただきたいと考えています。
 事務局より御説明いただきます。

 


【山田原子力損害賠償対策室次長】  事務局です。資料の説明をさせていただきます。
 資料6-1及び6-2をごらんいただければと思います。資料6-1は、東電福島原発事故に関する消滅時効について(案)という事務局の資料でございます。資料6-2ですが、冒頭でも説明いたしましたとおり、平成25年3月28日に開催されました第31回紛争審査会の配付資料でございまして、東京電力作成のものでございます。
 資料6-1を説明させていただきます。まずは、「時効に係る制度的枠組み」の概要でございます。東京電力福島原子力発電所の事故による損害賠償請求権の消滅事項に係る起算点及び時効期間は、いわゆる時効特例法による民法の読み替えにより、損害及び加害者を知ったときから10年、損害が生じたときから20年とされており、どちらか一方が到来した場合に時効を迎えるということでございます。
 また、時効に関する制度として、時効の更新、これは時効期間のリセットということですが、また、時効の完成猶予、これは時効期間が経過しても時効が完成しないという趣旨です。また、時効の援用(時効の効力の発揮には、時効期間経過後、時効成立の主張が必要)などが民法等に定められており、時効の議論に当たっては、これらの点についても留意が必要ということが概要でございます。
 具体的な制度的枠組みについてでございます。(1)全般です。原子力発電所の事故に関する損害賠償請求権に係る時効については、他の法律に定めがある場合を除き、民法の不法行為に基づく損害賠償請求権に係る消滅時効に関する規定が適用されるということでございます。
 1枚おめくりいただきまして、2ページです。民法の一部を改正する法律が平成29年5月に成立し、令和2年4月に施行される予定です。これに伴いまして、消滅時効に係る制度が変更されることになりますが、施行日前に生じた特定原子力損害、これは東電福島事故に関するものですが、これに係る賠償請求権についても改正民法を適用するという措置が行われました。このため、本資料では、改正民法の内容を中心に記載をしてございます。
 2ページの後半部分です。(2)番、消滅時効の起算点及び時効期間ですが、民法による一般則として、改正民法において不法行為の損害賠償請求権に係る消滅時効の起算点及び期間については、損害及び加害者を知ったときから3年、特に人の生命又は身体を害する不法行為については5年。不法行為のときから20年と規定をされております。いずれか早く時効期間が到来する方が適用されるということです。
 なお、現行民法で除斥期間と解されている部分(第724条後段)でございますが、これは改正民法においては時効であることが明記をされてございます。
 3ページですが、東電福島原発事故に係る特例ということで、本件事故が大規模で長期間にわたる未曾有のものであることに鑑み、いわゆる時効特例法が施行され、今の措置が行われたと。民法の読み替えにより、時効期間等について、損害及び加害者を知ったときから3年が10年に延長され、不法行為のときから20年が損害が生じたときから20年とするなどの措置が講じられました。
 4ページに移ります。時効の更新及び完成猶予ですが、民法による一般則といたしまして、時効期間の進行については、幾つかの事由、これは裁判所の請求であったり、承認などによりますが、により、それまで経過していた時効期間がリセットされ、改めてゼロから起算される。これを時効の更新と申します。2といたしまして、時効期間が経過しても、時効は完成しない。これが時効の完成猶予でございます。ということが民法に定められています。
 4ページの下の方です。原子力損害に係る特例でございますが、特に原子力損害については、原子力損害賠償法(その同法施行前は、東電福島事故についてはADR和解中断特例法が適用されておりました)によりまして、ADRの和解仲介に関し、時効の完成猶予の特例が認められてございます。
 5ページに移りまして、この規定により、原子力損害賠償紛争解決センター(ADRセンター)に和解仲介を申し立てたが打ち切りになった場合、1か月以内に提訴をすれば、ADR申立時に提訴をしたとみなされるという規定になっております。
 6ページに移ります。「消滅時効に関する論点の整理」ということですが、これから申し上げます整理は、あくまで事務局が一般論としての時効の考え方をまとめたものでございまして、個別の損害の時効については、訴訟の判決によることに十分留意をする必要があると考えております。
 また、発災日から10年後には改正民法が適用されていることを踏まえまして、以下の整理においては現行民法ではなく、改正民法の適用について述べたいと思います。
 まず、消滅時効の起算点でございますが、本件事故による原子力損害賠償請求権に係る短期消滅時効ですが、これは損害及び加害者を知ったときから10年ということですが、この起算点は、民法の規定により、加害者及び損害を知ったときとされています。これについては、被害者が損害の発生を現実に認識をしたときとされておりまして、損害の対応や被害者が置かれている状況等により異なります。このため、起算点は発災日である平成23年3月11日に固定されるものではなく、その10年後となる令和3年3月12日に、全て一律に時効を迎えるというものではないということです。
 主な損害項目における起算点の考え方の例を挙げさせていただきました。避難に伴う精神的損害、営業損害、就労不能損害とありますが、損害は日々発生をしていると考えることはできますので、避難から10年経過後、日々、時効期間が到来するという考え方が一般的と考えられますが、一方で、避難が継続をしている間は損害が確定せず、避難終了後の損害確定時が起算点となるという考え方もあります。いずれの場合も、これらの損害についての時効の起算点は、一律に平成23年3月11日になるということではないと考えられます。
 生命・身体的損害ですが、健康被害に関する損害は、その損害の進行が止んだとき(これは症状が固定したときと考えられますが)が時効の起算点になると考えられます。晩発性障害につきましても起算点は同様でありまして、仮に今後、事故による何らかの障害が生じた場合、その症状が固定してから時効期間が進行すると考えられます。
 財物価値に関する損害は、損害が日々発生するという性質のものではなく、一時立ち入り時ですとか、帰還後に当該財物の損害を認識したときが時効の起算点になると考えられますが、一方で、放射性物質の汚染により財物の価値が失われ、事故時を起算点とすることも考えられるということでございます。
 消滅時効の更新ですが、これはリセットのことです。本件事故による原子力損害賠償請求権の時効は、民法の規定により更新されることがあり、その一つの場合として、承認が規定されています。これは、東京電力が被害者に対し損害賠償債務の存在を認識していることを示す行為であり、例えば東京電力が被災者に賠償金の一部を支払う行為などがこれに該当すると考えられます。
 ただし、被災者の考えている損害額と東京電力の考えている損害額に差があった場合、東京電力が自ら考えている損害額の一部を支払ったとしても、被災者が考える賠償額全体について承認をしたことにはならないことも考えられます。また、ある損害項目(それは精神的損害、営業損害、財物とそれぞれございますが)の賠償を行ったとしても、別の損害項目に対しては承認とみなされないことも考えられます。
 それから、消滅時効の完成猶予についてでございます。本件事故による原子力損害賠償請求権の時効は、完成猶予されることがあります。時効が完成猶予される例といたしまして、訴訟を提起することと、あとは訴訟が続いている間は時効は完成しないということなどが、民法に規定されています。
 また、特に原子力損害につきましては、原子力損害賠償法によりまして、ADRの和解仲介に関し時効の完成猶予の特例が認められており、原子力損害賠償紛争解決センターに和解仲介を申し立てたが打ち切りになった場合、1か月以内に提訴をすれば、ADR申立時に提訴をしたとみなされる。つまり、時効期間到来前にADRセンターに申し立てれば、それが不調に終わったとしても、すぐに提訴をすれば係争が続き、時効により係争が不可能になることはないと考えております。
 最後に、消滅時効の援用についてです。本件事故による原子力損害賠償請求権の時効の効果は、時効期間の経過によって当然に発生するわけではなく、東京電力が援用(これは時効となった旨の意思表示をすることですが)したときにその効果が発生するとしております。
 平成25年3月の原子力損害賠償紛争審査会第31回の会議において、東京電力は消滅時効に関する考え方を公表し、その中で時効の援用に関しては、援用の放棄を事前にすることができないという民法上の制約の中、柔軟に対応すると表明をしております。
 説明については以上です。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 ただいま説明を頂いて、分かりやすくなったかどうかについては疑問なしとしないですが、時効はもともと大変難しいですし、学説上もいろいろ争いはございますので、また委員の先生方からも御意見をこの場で伺っておきたいと思います。御自由に御発言ください。

 


【大塚会長代理】  先生方にお話しいただければと思いますけども、今回、こういうものを、例示のようなところが多いと思いますけど、まとめていただいたのは大変よかったと思っています。先ほど、会長がおっしゃったように、まだ一般の方には分かりづらいと思いますので、先ほどADRのセンターの佐々木さんもおっしゃいましたけれども、広報をしていただくときに、是非、分かりやすくする資料を作っていただければと思います。
 10年たったら、全部、時効が来るわけではないので、それぞれ損害の発生時期が、いつ認識をするか等を含めてずれますので、10年たったら全て時効が完了してしまうわけではないので、そこは申し上げておく必要はあるとは思いますけれども、しかし、できるだけ早く請求をしていただくことは非常に重要ですので、広報活動をしっかりしていただけるとありがたいと思います。

 


【鎌田会長】  発災日から10年で一斉に権利がなくなってしまうと言われることがないわけではないんですけれども、ここで説明がありましたように、10年の期間がいつ起算されるかについて、いろいろな場面、場面によって違う。それから、一旦起算されても、その10年の期間が経過する前に、新しい民法でいえば更新ということで、もう一度10年が計算され直す場合と、それから完成猶予という、10年間の期間の計算が一旦停止して、その事由がなくなってから一定の期間が経過するまで時効の完成が猶予されるというものがありますから、事情、事情によって10年を超えることがありえます。
 しかし、いずれにしましても、いつかは時効期間が満了してしまうので、ここの理解を正しくすること。それから、時効期間が満了したら自動的に権利がなくなるんではなくて、時効の援用と言っていますけれども、この場合ですと東京電力が時効にかかっているから払わないという主張をしない限りは、時効期間が満了したことを理由に裁判をすることができないという仕組みになっていますので、そういう制度をしっかりと理解をしていただくことと、それにもかかわらず、時効が問題ならないように、それぞれの被災者の方、被害者の方が権利行使を適切にできるように情報提供をしていくことが非常に重要だろうと思います。
 それに関連をして、きょうは、かつて東京電力が出された資料も添付されているんですけれども、これについては東京電力から重ねて御説明を頂いた方がよろしいかと思います。この資料6-2は、平成25年3月の第31回紛争審査会において、東京電力から対応方針について御説明を頂いた、その内容に係るものでございます。現時点でも同じようにお考えなのかどうかを、改めて確認をさせていただければと思います。

 


【内田室長】  東京電力の内田でございます。
 今、御紹介いただきましたように、資料6-2で付けております物、こちらは弊社が消滅時効に関する考え方につきまして、2013年2月(平成25年2月)にプレス発表をしたものでございます。その中で特に、最初のホームページの冒頭の部分には、「弊社といたしましては、被害を受けられた方々が時効によって適切な賠償を受けられなくなることは絶対にあってはならないと考えており」というふうにございまして、また、最後、「弊社といたしましては、被害を受けられた方々が時効によって不利益を受けられないよう、皆様それぞれの御事情を十分に踏まえて、真摯に対応してまいります」という記載がございます。
 それで、めくっていただきますと、その後に詳細に弊社の考え方ということで、消滅時効に関する問題と経緯という形で、2ページ目から書いてございまして、特に3ページ目では起算点の問題、それから時効の中断事由等についての考え方も述べております。そして、最後に、4ページ目に「柔軟な対応」というところにございますように、時効の完成をもって一律に賠償請求をお断りすることは考えておらず、時効完成後も御請求者様の個別の御事情を踏まえ、消滅時効に関して柔軟な対応を行わせていただくことを考えておりますということで、表明をさせていただいているところでございます。
 この考え方につきましては、その後、時効特例法の成立等の事情変更もございましたけれども、現時点でもこの考え方は変わってございません。したがいまして、「3つの誓い」に掲げる、最後の1人まで賠償請求という基本的な考え方を踏まえまして、引き続き、御請求者様が不利にならないように対応をしてまいりたいと考えているところでございます。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 何か御質問等がございますか。大塚会長代理、どうぞ。

 


【大塚会長代理】  今、御説明を頂きました東京電力の対応方針といたしましては、東電の賠償の全ての事案につきまして、時効の援用は事実上はしないということを民法の146条に抵触しない範囲で御表明いただいたと理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。

 


【内田室長】  はい、それで結構でございます。

 


【大塚会長代理】  被害者の方々に不利益を生じないようにするというのが東京電力の基本的な姿勢であると認識をさせていただいておりますけれども、それでよろしいですか。

 


【内田室長】  おっしゃるとおり、そういった考え方のもと、今後も対応をしていきたいと考えております。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。引き続き、御意見を伺えればと思います。済みません、予告した終了時間まであと5分しかないんですけれども、まだ少し御報告を頂くべきこともありますし、この点についてしっかり御意見を伺っておいた方がいいと思いますので、終了時間が少し延びる可能性がある、というよりほぼ延びるだろうということをお知らせさせていただきます。
 では、御意見がありましたら。どうぞ。

 


【大塚会長代理】  くどいですけれども、時効の援用に関しては、水俣病に関する裁判例の中で、援用をすることが権利濫用になる場合もあるという判決もないわけではないので、その辺についても是非、御理解いただけるとありがたいと思います。
 以上でございます。

 


【鎌田会長】  ほかに御意見はいかがでしょうか。樫見委員、どうぞ。

 


【樫見委員】  今、大塚先生が言われたこととは別件で、6ページにあります、主な損害項目における起算点の考え方の例ですけれども、この点に関しましては、まさに例示であって、それこそ現在、時効の問題は法も変わりましたし、今後はどのように考えていくのかというのは定まった見解がまだ決まってはおりませんし、混沌としておりますので、この点については、被害者の方はADRのセンターに行かれて、そして、そこで自分の精神的な損害、あるいは避難をしたことによって精神的な苦痛を受けて何らかの傷害を受けたとかという、原発特有の様々な被害もあろうかと思いますけれども、この点は、こういったものが独り歩きしないように、個別の損害でADRに相談をされて、対応をしていただきたい。そして、また、東電におかれましても、特別の損害ということがございますので、御考慮いただければと思います。
 以上でございます。

 


【鎌田会長】  ほかにはいかがでしょうか。明石委員、どうぞ。

 


【明石委員】  ただいまの御発言にありました、主な損害項目における起算点の考え方の例として、生命と身体的損害という項目があります。ここで晩発性障害と、後障害と言ったりするんですけれども、これについてはこのような記載があって、先ほど事務局からは一般的なこととして、こういう記載をしたと言われているんですが、まさにそのとおりで、住民の方で例えば症状が固定するとか、きちんと症状が出て確定的影響というものは、急性障害もちろん数週間をとっくに過ぎているので、そこはもうないですし、晩発性障害についても症状が固定するようなものは、基本的には線量と健康影響という観点からは見当たらないと思うんですが、これはあくまでも一般的な記載として書いたという理解でよろしいんでしょうか。

 


【山田原子力損害賠償対策室次長】  この6ページの冒頭に書いてありますとおり、一般論としての時効の考え方をまとめたものでございます。

 


【明石委員】  つまり、福島のこの事故について限定をした記載ではないという理解でよろしいんでしょうか。

 


【山田原子力損害賠償対策室次長】  そのとおりでございます。

 


【鎌田会長】  放射線の影響によって晩発性障害が起きるということは、現時点では余り考えられないという御趣旨でいらっしゃいますね。この記載が逆に、必ずそういうものが起きるだろうという不安をかき立てることのないようにという御懸念だろうと思いますので、その点はよろしくお願いいたします。
 起算点の考え方に、症状固定時という考え方で書かれていますけれども、そうじゃない、事故の時とか、発症をした時だという、こういう考え方もあります。起算点が遅いと理解をして、ゆっくり権利主張をしたら、もう時効にかかっていますとされるのが被害者にとっては一番の不利益になるわけですから、その点についてもまた、これが誤解を呼んで負けさせたというようなことが起きないように、注意深く一般に向けての広報をする必要があろうかと思います。
 それ以外、先生方、御意見はよろしいでしょうか。

 


【内田委員】  先ほどの大塚会長代理の話の中でも多少触れられていると思いますが、民法には146条という規定があって、時効の利益はあらかじめ放棄できないと明文で定められています。時効という制度はそれなりの合理性があるものですので、時効期間が経過する前に、自分は時効の利益を享受しない、つまり援用をしないということを宣言したとしても、法的には拘束力はないと民法には書かれているということだと思います。
 東電さんの方では、援用をしないという言い方ではないですが、時効によって一律に権利の侵害を受けた人が賠償を受けられないことにならないように、誠実に対応をすると言っておられますけれども、仮に援用をしないと宣言したとしても、民法上は法的に拘束力がないことになるわけです。それがいいことなのかどうかという議論はいろいろあり得るとは思いますが、時効という制度はそれなりの合理性のある制度で、先ほどのADRのお話の中でも、時間がたつにつれて証拠の資料が膨大になって、それを精査した上で判断をするコストが非常に大きくなっているというお話がありました。できるだけ時効の援用が問題になる前に、賠償の問題を解決すべきだと思いますので、まだ3分の1くらいの申立てが新規の申立てというお話ですから、是非広報をしっかりとやっていただいて、権利のある方が時効期間の経過する前に、あるいは援用できるかどうかを争うような事態になる前に申立てをしていただけるように、方策を考えていただければと思います。
 先ほどの話でも、申立ての精神的なハードルの一つに、手続の面倒さということもあるかもしれませんので、そういったところでも是非工夫をしていただければと思います。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。
 それぞれの委員の皆様から御指摘がありましたように、発災から10年で一斉に皆さんの権利がなくってしまうという、その心配はない。ただ、その一方で、時効というのはしばしば権利の上に眠る者は保護しないと、こういう言葉で表現されますが、ずっと権利を行使しないでいつまでもほうっておくと、本当はどうだったのかということ自体が分からなくなって、裁判をしても裁判が逆に真実にたどり着きにくくなるという、こういう問題がありますし、被害者御本人にしてみても、自分の損害の立証が年がたつにつれ難しくなってしまいます。そういう意味で、できるだけ早く自分の権利を行使してくことが、御自身にとっても、またADRや裁判所の運営にとってもいいことだと思います。権利があるのに、時間がたったからというだけでは東電は逃げようとしないということですけれども、あくまで権利があることの証明ができないと、その先に進めないわけですので、そういう点からも適時にADRセンターに、あるいは東電に請求をするとか、あるいは裁判所に訴えを提起するという形で、権利を行使すれば権利の上に眠っている者でなくなるというのが、先ほどの時効期間の更新とか完成猶予というものの考え方になりますので、被害があって損害があるにもかかわらず、まだ権利行使をしていない方が権利行使を躊躇することがないように、また、適切に権利行使ができるような環境の整備について、審査会としても努力をするつもりではございますけれども、関係各方面におかれましても広報、その他について、十分な御配慮をしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
 済みません、終了予定時間を既に過ぎておりますけれども、最後に、その他の議題として、事務局から御報告いただくべきことを、お願いいたします。
 

 

【山田原子力損害賠償対策室次長】  事務局でございます。昨年12月ですけれども、原子力損害の賠償に関する法律の一部改正法が成立をいたしまして、その概要及び主要事項の施行日が来年1月1日であることを、前回の審査会で報告をさせていただきました。今回は、その施行に向けた進捗状況を御報告申し上げます。
 今回の法改正は、万が一、原子力損害が発生した場合における原子力損害の被害者の保護に万全を期するため、東電福島事故における様々な対応のうち、一般的に実施をすることが妥当なものであると判断されたものにつきまして、所要の措置を講じるといったところが主要な部分でございます。
 この改正内容のうち、原子力事業者に対する損害賠償実施方針の作成、公表の義務付け及び仮払い資金の貸付制度の創設の2点につきましては、その規定の一部が政令、省令に委任されているため、現在、文部科学省においてその案を作成しております。作成準備が終わり次第、これらの政令案、省令案のパブリックコメント手続を実施する予定となっており、年内には政令、省令についての整備が完了し、来年から改正原賠法による新しい制度が全面施行されることとなります。
 以上でございます。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 特にコメント、あるいは御質問等はよろしいですね。
 ほかに事務局から何かございますか。あるいは、委員の皆様から何か。よろしいですか。特にないようでしたら、これをもちまして本日の議事を終了させていただきます。長時間、熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。
 なお、今後も必要に応じて審査会を開催するとともに、適宜、賠償の状況等を確認していきたいと考えております。
 最後に、事務局からの連絡事項をお願いいたします。

 


【山田原子力損害賠償対策室次長】  事務局でございます。
 次回の開催は改めて御連絡をさせていただきます。また、本日の議事録は、事務局でたたき台を作成し、委員の皆様及び本日御発言を頂きました皆様に確認の上、御了承いただいたものを次回開催までに、文部科学省ホームページに掲載をさせていただきます。
 以上です。

 


【鎌田会長】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


―― 了 ――

 

お問合せ先

研究開発局原子力損害賠償対策室

(研究開発局原子力損害賠償対策室)