ここからサイトの主なメニューです

原子力損害賠償紛争審査会(第40回) 議事録

1.日時

平成27年1月28日(水曜日)14時00分~16時05分

2.場所

文部科学省旧文部省庁舎6階第2講堂

3.議題

  1. 原子力損害賠償紛争審査会の現地視察結果等について
  2. 原子力災害からの復興及び生活再建等に向けた取組について
  3. 東京電力株式会社による賠償の現状について
  4. 紛争解決センターの活動状況について
  5. 住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱について
  6. その他

4.出席者

委員

能見会長、大谷委員、大塚委員、鎌田委員、草間委員、高橋委員、中島委員、野村委員、米倉委員

文部科学省

山本ともひろ大臣政務官、戸谷官房長、田中研究開発局長、柳原子力損害賠償対策室長代理、原原子力損害賠償対策室総括次長、橋爪原子力損害賠償対策室次長

5.議事録

【能見会長】  それでは、時間になりましたので、第40回の原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。

 お忙しいところ、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。本日は、一昨年12月に策定されました中間指針の第4次の追補策定後の賠償の状況を確認するために、関係機関等から説明を聴取したいと考えております。

 また、開催に当たりまして、今日は山本ともひろ文部科学大臣政務官がいらっしゃっておられますので、御挨拶を頂きたいと思います。では、よろしくお願いします。

【山本文部科学大臣政務官】  皆様、こんにちは。ただいま能見会長から御紹介賜りました文部科学大臣政務官の山本ともひろでございます。本日は、皆様、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。一言御挨拶を申し上げたいと思います。

 原子力損害賠償紛争審査会の委員の先生方におかれましては、平成25年12月に第4次追補を策定いただきました。また、昨年の9月には、現地に入っていただいて、現地視察をしていただいたと。この東京電力の福島原発の事故に関しては、先生方には本当に日頃よりお力を頂きますことを、ここで改めて感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 この事故から、早いもので、もう3年10か月経ちました。昨年は田村市都路地区、川内村で避難指示が解除されました。第4次追補に基づく損害賠償も始まっております。委員の先生方におかれましては、損害賠償の状況について、まずは御確認いただいた上で、御専門の観点から率直な御議論を頂きたいなと思っております。

 引き続き、事故の被害を受けた皆様に対する公正かつ迅速な賠償の実現のため、皆様の大所高所からの御意見、御助言を賜りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【能見会長】  どうもありがとうございました。

 山本大臣政務官は、公務のために、ここで退席されます。どうもありがとうございました。

【山本文部科学大臣政務官】  ありがとうございました。では、よろしくお願いします。

【能見会長】  それでは、事務局より本日の資料の確認をお願いいたします。

【橋爪原子力損害賠償対策室次長】  それでは、資料の確認の前に、事務局に異動がございましたので、紹介させていただきたいと思います。

 まず、研究開発局長でございますが、田中正朗が着任しております。

【田中研究開発局長】  どうぞよろしくお願いいたします。

【橋爪原子力損害賠償対策室次長】  続きまして、原子力損害賠償対策室室長代理として、柳孝が着任しております。

【柳原子力損害賠償対策室長代理】  よろしくお願いいたします。

【橋爪原子力損害賠償対策室次長】  続きまして、原子力損害賠償対策室総括次長として、原克彦が着任しております。

【原原子力損害賠償対策室総括次長】  よろしくお願いいたします。

【橋爪原子力損害賠償対策室次長】  それでは、資料の確認に入らせていただきます。本日お手元に幾つか資料を準備させていただいております。順番に確認させていただきます。

 まず、議事次第でございます。それから、次に、資料1-1でございますが、昨年9月に行っていただきました現地視察の結果についてということでございます。続きまして、資料1-2でございますが、地方公共団体等からの主な要望事項ということで、まとめた資料でございます。続きまして、資料2-1でございますが、これは原子力被災者生活支援チームより提出いただいております、避難指示区域の状況についてという資料でございます。続きまして、資料2-2でございますが、復興庁から、復興の現状ということで準備いただいております。続きまして、東京電力株式会社から、資料3でございますが、原子力損害賠償のお支払状況等ということで頂いております。また、資料3の別紙といたしまして、住居確保費用の賠償に関する参考資料が、その後に付いてございます。続きまして、資料4でございますが、原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況ということで準備させていただいております。そして、資料5でございます。住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱について(案)ということでございます。その参考資料といたしまして、参考1、福島県内の宅地の調査の調査報告書でございます。

 以上、お手元の資料でございますが、不足等ございましたらおっしゃっていただければと存じます。

 また、机上の方には、本日の議論に関係する過去の審査会の資料等をまとめてございますので、そちらも適宜御参照いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【能見会長】  それでは、議題1から順次議論していきたいと思いますが、最初に、原子力損害賠償紛争審査会の現地視察の結果についてでございます。

 昨年9月に審査会としては現地視察をしたわけでございますが、それの報告をまずしてもらいます。併せて、地方公共団体等から文部科学省に寄せられた要望事項がいろいろございますので、これも事務局より説明いたします。それでは、よろしくお願いいたします。

【原原子力損害賠償対策室総括次長】  それでは、お手元にお配りしています、まず資料1-1、当審査会による現地視察結果についてという資料を御覧いただきたいと思います。

 先ほど会長からお話しいただきましたように、昨年の9月24日、一日かけて現地視察に委員の先生方に行って頂いております。

 この現地視察の目的でございますけれども、2ポツにございますように、25年12月に策定した中間指針の第4次追補に基づく賠償の実施状況の確認のために、その後の状況を確認するために行っていただいたということが目的でございます。

 行っていただいた委員の先生方につきましては、能見会長をはじめといたしまして、大塚委員、草間委員、中島委員、野村委員、米倉委員の各先生方に行っていただいてございます。

 日程でございますけれども、1枚めくっていただきまして、地図にプロットしたものを御覧いただければと思います。まず赤い線でつないだところが、実際に行っていただいた行程になってございまして、冒頭郡山を出発いたしまして、まず最初に右側の方にずっと行っていただいて、田村市にあります仮設商業施設Domoを御覧いただくということ、それから、同じく田村市でございますけれども、農業の再開状況、それから、住宅修繕の状況について御覧いただいたということでございます。それから、下の方に下がっていただきまして、川内村の保健福祉医療複合施設ゆふねを御覧いただいてございます。それから、その後、右側の方に行っていただきまして、富岡町でございますけれども、除染の状況、住宅の状況、それから、ちょっと下に下がっていただきますけれども、農業の再開状況というところを御覧いただいてございます。それから、またさらに南下していただきまして、楢葉町におきましては、JRの竜田駅、住宅の状況、それから、ちょっと下に行きまして、ここなら商店街、これらのところを御視察いただいた後、最終的にはいわき市まで抜けていただいたというのが全体の行程でございます。

 また1ページ目にお戻りいただきまして、その際、関係の市町村から頂いた説明、要望等につきまして、主なものを1ページ目の5ポツとして書かせていただいてございます。幾つか紹介させていただきますと、雇用・医療・教育等を浜通り地方に依存していたために、これらの機能が復興しないと帰還が進まないでございますとか、避難指示区域間の賠償格差が課題、それから、避難者が集中するいわき市は全国で高い地価上昇率となっており、実態に即した宅地算定基準の見直しをしてほしい。それから、浪江町のADRでの集団申立てで提示された精神的損害賠償額の加算を指針に反映してほしい。大工の数が限られているなど、住宅の確保が終了するまでに3~4年かかる。相当期間について特段の配慮をお願いしたいというようなことが、括弧の中に書いたそれぞれの市町村から要望として寄せられているということでございました。

 先ほど会長の方からお話しいただきましたけれども、これらの現地視察の際に、今申し上げました要望があったもののほかに、文科省にこれまで寄せられている要望につきまして、資料1-2、次の資料でございますが、これに基づいて御紹介したいと思います。

 資料1-2、地方公共団体等からの主な要望事項についてということでございます。米印に書いてございますように、この要望事項につきましては、昨年の1月からこれまでの間、概ね1年間、文科省に寄せられた要望のうち、主なものを最初から3ページ目までまとめさせていただいてございます。それから、詳細な説明は差し控えますけれども、4ページ目以降に、参考として、より詳細な個別の要望事項について、一覧の形で事務局で取りまとめをしましたので、必要に応じて御参照いただければと思います。

 まず1ページ目に戻っていただきまして、幾つかカテゴリーに分けて、要望事項について主なものを御紹介させていただきます。

 1番でございますが、被害の実態に見合った賠償ということで、帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域はもとより、旧避難指示解除準備区域、旧緊急時避難準備区域、特定避難勧奨地点等を含め、住民や事業者の置かれている状況を十分に踏まえ、混乱や不公平を生じさせないよう配慮しながら、被害の実態に見合った賠償を確実、迅速に行わせること。

 それから、2番目、精神的損害に係る賠償といたしまして、避難指示区域間及び市町村間で格差をつけないことですとか、あるいは、一律の賠償を超える個別具体的な事情による損害についても、誠意を持って対応させることということ。

 それから、3番目、避難指示解除後の賠償が継続する相当期間に関連いたしましては、関係市町村から意見を聴取するなど避難指示の解除が検討されている区域等の現状を把握した上で、地域の特別な状況、あるいは個別具体的な事情に応じて柔軟に対応し、生活や事業の再建のために必要な期間を確実に確保させることというような要望を頂いております。

 それから、4番目、住居確保損害に係る賠償につきましては、区域の格差をつけないことですとか、帰還、移住いずれの場合においても、被害者の事情に応じた賠償が柔軟かつ迅速になされるようにすること。それから、福島県内の都市部の平均宅地単価の上昇を踏まえ、実態に即した宅地算定基準とすることといったような要望を頂いているところでございます。

 それから、2ページ目でございますけれども、5番、財物損害に係る賠償といたしまして、山林や立木、個別評価による家財等の賠償基準を国が前面に出て早急に示し、賠償金の支払いを速やかに開始させること。井戸水、沢水に頼らざるを得ない地域における井戸の掘削費用等について、十分な賠償を行わせること。

 それから、6番目、営業損害、就労不能損害、風評被害に係る賠償といたしまして、営業損害、就労不能損害について、避難による被害が継続する限り、被害者の実情に応じた賠償を継続すること。「のれん代」や商圏の喪失等に伴う損害、転業、移転等のための追加的費用を含めた一括賠償等の対応を行わせること。移転先等で事業の再建を図るために必要となる費用等について、確実に賠償を行わせること。「特別の努力」により得た収益を賠償金から控除しない取扱いを全ての賠償期間に適用させること。風評被害について、事業者の置かれている状況を十分に踏まえ、早期に事業を再建することができるよう、損害の範囲を幅広く捉え、被害者の立場に立った賠償を行わせること。風評被害を最小にとどめるための情報発信や自主検査等の対策に要する費用について、確実に賠償を行わせること。

 それから、その他の賠償といたしまして、帰還等により生じる様々な精神的な苦痛、生活費の増加費用、家賃等の避難費用等について、個別具体的な事情への対応を含め、被害者の立場に立った賠償を行わせること。個人あるいは事業者が行う県内全域における財物の除染、検査の実施等に要する費用について、確実、迅速に賠償がなされるよう、国が全面に立って早急に基準を示すこと。自主的避難等に係る賠償について、損害の範囲を幅広く捉え、県民それぞれの被害の実態に合った賠償を行うとともに、個別具体的な事情による損害についても、誠意を持って対応させること。

 それから、その次のページに参りますが、3ページ目でございます。地方公共団体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、政府指示の有無に係わらず事故との因果関係が明らかであることから、最後まで確実に賠償を行わせること。それから、原発事故によって生じた税収の減収分について、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。

 8番目として、ADRセンターの和解仲介手続に関しましては、和解の仲介について、多くの被害者に共通する損害については、中間指針にその内容を反映させること。それから、和解仲介案の尊重を東京電力に対し強く指導すること。和解仲介案の水平展開を強く指導すること。

 それから、9番目といたしまして、被害者の視点に立った親身・迅速な賠償ということにつきましては、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情に配慮し誠実に対応させること。損害賠償請求手続について、被害者の負担軽減のため一層の簡素化を進めるとともに、全ての被害者が確実に賠償請求をすることができるよう、賠償請求未了者への請求手続の周知と相談窓口等での誠意ある丁寧な対応を徹底して行わせること。それから、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を周知するとともに、被害者に分かりやすく説明させること。

 それから、最後に10番でございますけれども、住宅や医療、福祉、教育、雇用など、被害者に寄り添ったきめ細やかな生活再建策、住民帰還に向けた支援策を最後まで講じること。

 以上申し上げた点が、概ねこの1年間に文科省に寄せられた地方公共団体等からの主な要望事項ということでございます。

 以上でございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。

只今説明がありました地方公共団体等からの主な要望事項は、いずれもいろいろ議論しようとすると相当な時間がかかる問題でございますので、これは後でちゃんと時間を取って、次の議題2の説明を受けてから、その後で時間を取って議論したいと思います。ここでは、現地視察の結果について報告された内容につきまして御質問、あるいは、視察に参加された委員の先生方から、何かこの現地視察について御意見あるいは御感想がございましたら、ここで伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

 現地視察での、その場での市町村からのいろいろ説明とか要望事項もございましたが、これは後でまとめて議論したいと思いますが、もしこの際何か強調しておきたい点などがあれば、よろしくお願いします。

 よろしいですか。では、後でまとめて御議論いただくことにいたしましょう。

 それでは、次の第2の議題の、原子力災害からの復興及び生活再建等に向けた取組についてという議題についてでございます。これは、内閣府の原子力被災者生活支援チーム及び復興庁から御説明を頂くということになります。

【井上参事官】  ありがとうございます。内閣府の原子力被災者生活支援チームでございます。先に、資料2-1に基づきまして、簡単に避難指示区域の状況について御説明を差し上げたいと思います。

 先生方も昨年の9月に現地視察をしていただいておりますが、本日はお題として、昨今進んでいる避難指示が解除されているような区域について、まず実態上どうなっているのかといったようなお話をするようにということでございますので、まずその点について御説明を差し上げたいと思います。

 1ページおめくりいただきます。右上に赤で1と書いてある避難指示区域の設定の経緯でございますが、現状、事故が起こってから避難指示が出され、赤・黄・緑の3つの区域に区域見直しが行われたところでございます。

 2ページ目でございますが、こうした状況の中で、関係省庁の多大な御尽力を頂きまして、幾つかの地域においては、避難指示自体を解除する動きが進んでおります。

 1つ目が田村市でございまして、平成26年4月1日に解除を行いました。一番最後のページに出てまいりますが、113世帯、351人の方々が対象でございます。この解除に当たりましては、田村市との御相談はもちろんのこと、住民の方々との意見交換を行った上で、現状、避難指示区域では宿泊は禁止されておりますが、帰還に向けた準備のための宿泊を行っていただいて、様々な課題を出していただき、対応していくといったような段取りで進めてきています。

 (2)川内村につきましては、平成26年10月1日に解除を行いました。139世帯、274人でございます。

 また、この2つは、いわゆる避難指示区域でございますが、その区域外に、特定の地点ごとに、線量が高かったということで、事故直後に設定された特定避難勧奨地点というところがございますが、ここにつきまして、昨年の年末に、南相馬市に残っていた152世帯、723名の方々に対する地点指定を解除いたしました。

 その他、楢葉町、川俣町、葛尾村をはじめとした他の市町村についても、様々な取組を進めているところでございます。

 3ページ目、具体的にどんなことをやっているのかという御下問でございましたので、まず田村市につきましては、ここに書いているような様々な取組を行っております。左の買物環境の充実の真ん中の写真、Domoが昨年9月に御視察いただいたところでございますが、その右側にあるのが、ついこの間、新たにコンビニエンスストアを新規オープンしていただきました。24時間オープン、地元雇用ということで、大変地元の方々にも喜んでいただいていると思います。

 その他、この地域ではやはり放射線への不安が強うございますが、左上にございますとおり、個人線量計を配布させていただいて、お医者さんによるデータの解説と健康相談を個別に行うといったようなことを行っております。また、診療所の再開に加えまして、解除に合わせ、夜間の診療が不安だという声もございまして、まだ100%ではございませんが、夜間の診療所も市内にオープンしたところでございます。

 右側にございますとおり、田村市では、特に都路では、避難指示の解除に伴いまして、船引の方に避難していた小学校、中学校が戻ってきてくださっておりまして、入学式なんかも行われているといったような状況でございます。

 次のページ、川内村でございますが、企業誘致ということで、ここに書いてあるのは、コドモエナジーという会社ですが、これが26年6月、あるいは、野菜工場KiMiDoRi、25年4月といったところが進出済みでございます。避難指示の解除後も復興はしっかりやっていくということで、新たな工業団地の整備を進めようとしております。これは20キロ圏内でございまして、現在測量、設計中ですが、27年度から造成を進めていくということでございます。また、新たに7社の企業の進出が予定されているという状況でございます。

 左下、線量計との関係も、こちらは長崎大学が非常に強くコミットしてくださっておりますので、折田さんという保健師をはじめ、きめ細かな対応を行っております。

 また、なかなか買物環境が乏しいといったような声もございまして、右側にありますとおり、新しい商業施設というのを、今年の夏以降の開業を予定して作ろうとしているところでございます。

 次のページ、これから避難指示の解除に取り組んでいくところも説明をということでございましたので、代表例として、楢葉町についても触れさせていただきました。一番左上の「ここなら商店街」、それから、左下のJR常磐線の再開、ここら辺は昨年9月にも御視察いただいていると思いますけれども、なかなかリフォームが進まないんだということ、そういった声も踏まえまして、上の真ん中にございますとおり、国と町のお金を合わせて、今、リフォームであるとか、様々な対策について補助事業を行っております。800軒以上の方々が申請をされていると承っております。

 また、こちらは木戸ダムというところから飲み水が供給される区域ですが、どうしても不安が強いという声はございます。飲料水から放射性物質が検出された事実はありませんし、大雨時でも木戸ダムの底質の巻き上がりは生じていないと考えられると町の除染検証委員会にも報告されたところではありますが、それでも安心のために様々な対策を更に講じていくところでございます。

 また、右から2番目でございますが、イノベーション・コースト構想の1つの中核組織であります「楢葉遠隔技術開発センター」というものの工事が、既に楢葉町で進んでおります。また、企業進出としては、住友金属鉱山の子会社が今年操業開始予定で、まずは20名程度の地元雇用をと聞いておりますが、企業の御要請も踏まえて、働き手をしっかり見つけるために町が取り組んでいるところでございます。

 元の町役場での業務も、昨年6月より再開していただいております。右下にありますとおり、去年の12月から、役場職員、町長さんなども御自宅での夜間滞在を始め、帰町に向けた課題の把握に取り組んでいただいております。このような取組を進めております。

 また、6ページでございますが、解除した田村とか川内というのはどれぐらい人が戻っているんだという御下問でございますけれども、田村市(都路町)につきましては、去年の4月1日に解除になりました。20キロ圏については、直近、昨年の11月末で、人口で39%、世帯で48%の方々がお戻りになっております。また、20キロの先の30キロ圏の都路町の残りですが、帰還人口61%、帰還世帯73%といったような状況になっております。

 去年の10月に解除されました川内村、下段でございますが、こちらは20キロ圏内と圏外、村で統計を切り分けていないので、合わせた数になりますが、直近、昨年の12月1日時点で、帰還人口57%、世帯53%。なお、注2で書かせていただいていますが、中で20キロ圏内の旧避難指示解除準備区域等につきましては、大体2割弱程度の帰還に今のところはとどまっているといったようなお話を承っております。

 7ページでございますが、御案内のとおり、下に書いてございますとおり、避難指示解除の要件は、放射線量だけではなくて、日常生活に必須なインフラ、生活関連サービス、除染等を行った上で、住民の方々を含めた協議を行って、解除することになっております。したがいまして、今まで申し上げたようなところについては、放射線量は年間20ミリシーベルトを大幅に下回るという状況になっておりますが、インフラ等もございましたので、解除がこのタイミングになってきているということでございます。

 9ページは、放射線量の全体的な状況でございまして、御案内のとおり、公表されているとおりでございます。直近の公表されている航空機モニタリングは、一昨年11月時点でして、事故当時から50%程度の放射線量の低下が見られるということでございます。

 また、10ページは、環境省さんの資料ですが、除染の進捗、なかなか苦心しているところも多うございますが、一所懸命環境省さんは取り組んでおられるところと承っております。

 11ページ、相談員制度というのは、放射線不安との兼ね合いで、我々の方で立ち上げて、できるだけ住民の方々の身近で一緒に取り組んでいきたいという制度を進めております。

 また、12ページ、未来がないじゃないかという御指摘いただきまして、関係省庁のお力も頂きながら、今、福島イノベーション・コースト構想というのを進めておりまして、2ポツの(1)、それから、2ポツの(1)、(3)といったようなところは、関係省庁で予算措置がもう整っておりまして、地点も決まっているところ、これから決まっていくところといったような状況でございます。また、企業についても、先ほど申し上げたような動きになっております。

 他方、最後のページですが、全体像、引き続き極めて厳しい実態かと思っております。全体でまだ12万人の方々が避難をされている状況でございます。我々としては、復興をさらに前へ進めなければいけない、と思っておりまして、引き続き誠心誠意取り組んでいきたいと考えております。

 以上です。

【松本参事官】  引き続きまして、復興庁から、資料2-2について御説明させていただきます。

 復興の現状ということでございます。直近の制度的な対応の状況と、それを踏まえた現状ということで御説明させていただきます。

 1ページ目を御覧ください。福島復興再生特別措置法、これは今通常国会で改正を予定しております。今予定をしている概要だけ御説明させていただきます。

 1ページめくっていただけますでしょうか。これは大熊町の例でございますけれども、大川原という地区、地図が小さくて恐縮でございますが、大熊町は相当程度赤い帰還困難区域ですが、西の方に線量の低い地域、ここを町として、復興の拠点として整備をしていくという位置付けでございます。新しくコンパクトシティとかスモールタウンとかという言い方をしておりますけれども、新たな拠点を作るためには、もろもろ国の制度によると、補助金を出すに当たって、補助率なども法律で細かく決まっておりますので、既存の補助制度、交付金制度ではカバーしきれないということで、より柔軟な対応ができるようにということで、地元から御要望いただいておりますので、1ページ目へ戻っていただきますが、1ポツでございます。一団地の復興再生拠点整備制度というのを創設するという、こういう新たなまちづくりみたいなことをするための制度を、この地域でも適用にするということでございます。

 併せて、これのための予算措置ということで、2ポツになりますが、帰還環境整備交付金ということで創設をさせていただいております。道路、上下水道、住宅、学校などの基幹インフラを整備できるようになるというものでございます。

 併せて、その事業再開、今後、避難指示の解除に伴って、あるいは、避難指示の解除に先駆けてされていくことになっていきますが、これに併せて、事業再開される事業者様への課税の特例ということも盛り込んでいるという状況でございます。

 めくっていただきまして、3ページ目になります。新たに「原子力災害からの福島復興交付金」というのも創設いたしました。これは、中間貯蔵施設の議論をしている中で、補正予算ということで今回要求させていただいているものでございますけれども、こちらの方も、特に風評被害、農業なんかも再開を順次始めておりますけれども、そういったもので未だに強く風評被害も残っておりますし、もちろん、12市町村が帰還するに当たって、公益的施設、公設民営の施設、こういったものを整備する、既存の制度の中ではなかなかそういう項目の予算がないということで、そういったものに対応できるように、県に1,000億、造成する基金ということで、今要求をしている。こういった、より細かな地元のニーズに応えるような予算というのも、新たに創設をしているものでございます。

 1ページ飛ばしていただきまして、5ページ目は、既存の「福島再生加速交付金」、先ほど簡単に御説明ありました相談員制度ですとか、もろもろの支援をするための制度でございますけれども、こちらを先ほどの法律改正によって、法定の交付金制度としまして、より使い勝手がよくなる。額的にも、前年度ほぼ同規模で予算を要求させていただいているというものでございます。

 7ページ目をめくっていただきますと、先ほど簡単に触れましたが、企業再開に伴う税制の措置というのも作ってございます。避難指示が解除された地域で事業再開される事業者様に対して、準備金というものを積み立てられるような制度でございまして、これは損金算入をされる。これを取り崩して、事業再開というのを始めていただくというために、特別償却ができる制度として作っているものでございます。

 こういった形で、避難指示が解除されるタイミングに併せていろいろ支援する制度を回しておりますけれども、一方で、引き続き赤い帰還困難区域の地域、なかなかまだすぐには戻れないという地域に対しても、やはり今後の生活の見通しが必要である、なんとかそういうのを立ててほしいということの御要望が強うございますので、8ページ目でございますけれども、福島12市町村の将来像というのを、国が県・市町村とも連携をしながら作っていくということを、昨年12月から始めさせて頂いております。当面の課題としましては、今から5年後、ちょうどオリンピックの年でございますけれども、この頃に向けて早期に暮らせるようにするための方策を作ると。ただ、この時点では、まだやはり帰還困難区域、線量の高いところ、なかなかまだ避難指示の解除が進まない、廃炉も30~40年先である、中間貯蔵も30年廃棄物をお預かりいただくというような状況でございますので、そういったものももろもろ終わる30~40年後、長期のコンセプトというのを併せて考えていくということを考えております。

 先ほど支援チームから紹介がありましたイノベーション・コースト、廃炉に関する産業の創設というのも、こういったものの一部ということで入れていきながら、できるだけ夢のある将来像、避難されている皆様、ここで暮らしていただいている皆様に将来のイメージが持てるような将来像を作っていくということを進めさせていただいているものでございます。この結果、将来的な自立に向けた地域経済・社会が形成されるようにということを考えながら進めております。

 こういった取組をしておりますが、9ページ目を御覧いただきますと、これもたびたび新聞でも報道されますが、住民の皆様方への帰還の意向の調査というのを、住民意向調査という形でさせていただいております。直近で言いますと、右の2つ、双葉町、大熊町、これが昨年11月に公表されておりますが、ここのところで戻りたいと考えていただいている方、これはそれぞれ12.3%、13.3%とございます。一昨年の段階ですと、これがそれぞれ10.3%、8.6%ということでございまして、若干、戻らないと一昨年の段階ではお答えがあった分が減りまして、その分、戻りたい、あるいは、まだ迷っている、現時点ではまだ判断がつかないというのが増加しているという形で、やや希望を持っていただくというような方向に振れてきているのではないかと思われます。

 もう1枚めくっていただきまして、さらに直近のデータでいきますと、右の2つ、楢葉町、田村市でございます。こちらも、楢葉の方も、すぐに帰る、条件が整えば帰るというのが9.6、36.1とございますが、これも元が8、32.2というのから増えているというものでございます。田村市のデータが、間違ったデータが入ってしまっているんですが、現時点、最新のデータでは、当地に住みたい、あるいは、田村市内に住みたいというのが、合わせて61.1%ございますけれども、これも一昨年、25年2月時点で4割程度でございましたのが、大幅に大きくなっていると。避難指示が解除されて、実際帰還の動きが見える中で、こういうのが増えてきているというのが見て取れるというものでございます。

 11ページ目を御覧いただきますと、長期避難者への生活支援ということで、復興公営住宅、こちらの方も、今、アンケートを採りまして、ニーズを4,890戸ということで算定させていただきまして、左下の表にありますとおり、予定戸数ということでは、全て事業計画の受付を完了、とりあえず建設を始めますというところまでは全て完了しまして、今、随時始めているところでございます。これが今後、次々建っていくということでございます。

 12ページ目以降はデータでございますが、鉱工業生産指数、雇用の有効求人倍率なんていうのも、他の被災県と比べましても、大分戻りつつあるというデータでございます。13ページ目の有効求人倍率も、これも必ずしも楽観してはいけないのは、やっぱり1.46倍ということで増えているものの、これを牽引しているのは、あくまで建設業でありますとか、それに伴いまして販売、サービスといったものが増えておりまして、製造業なんていうのは、ものすごくまだ弱い状況でありますけれども、そういったところから人の戻りというのが戻っていく中、だんだんそういった製造業、先ほどの支援策などで強くしていくというような形で、よくなっていくのではないかというものでございます。

 14ページ目は、これもいろいろ補助金に基づいて産業の復興というのが戻りつつあるという状況でございます。メインは、やはり中通り、会津の方にまだ行く企業が多うございますけれども、浜通り、相双地方の方にも戻って事業再開をしているというのも、先ほど支援チームからも御紹介あったとおりでございますが、増えているという状況でございます。

 以上でございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。

 それでは、先ほどの地方公共団体からの要望事項も含めまして、それから、ただいまの内閣府および復興庁からの御説明について、委員の民様から御質問、御意見をお願いできればと思います。

 それでは、私から1つあります。特例宿泊についてです。特例宿泊という表現が適切なのかどうか分かりませんが、要するに、まだ解除されていなくて、しかし、いろんな準備のために戻るという制度があると聞いていますが、この制度についてです。私が質問する狙いは、解除の後の相当な期間が今の1年で適当かどうかという問題に関係してくると思うのですが、1年という期間は、いろんな市町村から短いと言われています。もうちょっと長くしてほしいという要望が出ています。

 この問題を考える際に、この特例宿泊という制度が柔軟に使えるかどうかが関係してきます。この制度が使えるならば、避難指示が解除される前に、この制度がそれなりの期間使えるならば、実際上、元の住居に戻っていろいろ準備ができる。そして、避難指示は解除されていないので、まだ避難指示に伴う慰謝料の賠償は続くわけですね。そうすると、この制度と一緒に考えて、避難指示解除後の相当期間というのをどうしたらいいかを考えるのが合理的であるとも思えます。このように、特例取得の制度は、相当期間の問題にも影響してくる可能性があると思っております。

 そういうことで、この特例宿泊の制度というのは、どの程度使いやすいものなのかというのを伺いたいのですが。この制度のもとで、住民はそこに戻って宿泊することもできるのですね。

【井上参事官】  御指摘のとおりでして、今、会長おっしゃられたのは、準備宿泊というふうに我々は呼んでいるものですが、避難指示解除、ふるさとへの帰還のための準備のための宿泊という制度がございます。ここにつきましては、避難指示解除の先ほど申し上げた3要件のうち、特に上の2つの要件、線量とか、生活環境とか、そういうものから見て、概ねもう大丈夫だろうといったような状況になったところから準備宿泊を始めているというのが実態でございます。

 田村市の場合は、結局、準備宿泊を開始して、大体3か月ぐらいで概ね分かるから、解除でしょうねと思って始めたところではあるんですが、いろいろな御意見もありました。賠償についての御意見もございます。もちろん、それは解除になれば、あと1年で賠償が切れるということについての御意見もございましたが、その他の放射線に対する不安もございました。そういう御意見を踏まえて、結果的には、解除まで8か月間準備宿泊をやったことになります。

 川内村につきましては、もう少し短い期間で解除に至っています。

 ほかの市町村からも、準備宿泊の期間をできるだけ長めに取れないものかなという御相談は頂いておりまして、我々としても、そこについてはこれから考えていかなければいけないんですが、すごく率直に申し上げると、黄色・緑の区域は、基本的には、賠償も全てもらいながら、宿泊以外は様々なことができますので、そこは本来であれば避難指示を解除すべきタイミングなのではないかということとの兼ね合いがございまして、そこは個別の市町村の状況をよくよく見ながら、相談をしているといったような状況でございます。

【能見会長】  今の制度について、もう一、二点伺いたいのですが、準備宿泊の期間の定め方は、何か上限というのがありますか。今、3か月とか何か月とおっしゃったのですけれども。

【井上参事官】  原則として3か月というふうに我々は申し上げておりますが、実態上は、それをやりながら、課題を見出して、むしろいろんな課題をつぶしにかかっていく期間なので、市町村の状況に応じて、少し時間がかかるというところは当然あり得ると思っております。

【能見会長】  それから、居住者以外の、例えば、そこにお店を持っている人とか、こういう人たちも、その制度を使って、そこに戻って営業することには支障はないということなのでしょうか。

【井上参事官】  今までの準備宿泊では、元の居住者以外が宿泊しながら営業するという事例はございませんでした。ただ、田村市の都路なんかでは、先生方も前の前の視察で行かれたと思いますが、ペンションというか、ファームハウスというのが事故前からございまして、そこは準備宿泊開始の時点から宿泊して営業活動をしていただいております。

【能見会長】  この制度が、どの程度柔軟に使えるかについては、いろいろ問題があるかもしれませんけれど、これが柔軟に使えると、恐らく避難指示の解除も実際上スムーズに進む可能性があると個人的には思っておりまして、ここは審査会ですから、解除がどうかというよりは賠償の話なんですけれども、しかし、早く解除されて、皆さんが戻ることができるということが、恐らく最終的にはやはり審査会としても大きな目標ではあると思いますので、この制度がうまく運用されていかれるといいのではないかと思っています。是非、柔軟な活用をお願いしたいと思っています。

 私の方から先にお話をしましたけれども、ほか委員の先生方はいかがでしょうか。どうぞ、高橋委員。

【高橋委員】  復興庁の御資料、今日初めて御説明いただいて、かなり盛りだくさんだったので、よく分からないところがあります。そこで、教えていただきたいのです。

 復興交付金というのが3ページにあって、これは補正でできた制度ということでよろしいでしょうか。

【松本参事官】  これからまさに審議されます。

【高橋委員】  ともかく、補正で入る制度ですね。今度、5ページに、再生加速化交付金の記載があります。これはもう既に26年度予算で1,000億あるのが、27年度で1,056億という話ですね。

【松本参事官】  これも今、要求をしているところです。

【高橋委員】  さらに言うと、1ページ戻って、帰還環境整備交付金を創設しますという話があります。これらの関係がよく分かりません。復興交付金というのは、今年度の当初でなくて補正で充当するのですか。これは27年度にどういう位置付けになるのでしょうか。これに対応する公共事業についての措置というのは、どういう位置付けになるのでしょうか。

【松本参事官】  まず、1ページ目の特措法のところで書いてある帰還環境整備交付金というのは、5ページ目の再生加速化交付金の一部という位置付けになります。この紙が若干分かりにくいというので申し訳ないんですが。この再生加速化交付金というのが、長期避難者向けの支援というのと、子どもの定住対策ということで、5ページ目の対象事業というところで、上に2つございますけれども、これ以下の事業というのが、26年度予算、正確に言うと、25年度補正と26年度予算で要求をしている予算ですが、新たに36事業追加をしましたというものでございまして、これは予算補助だったんでございますけれども、これを事業も追加をして、法律補助にするというのが、この帰還環境整備交付金というものでございます。すなわち、再生加速化交付金の一部が、法律で言うところの帰還環境整備交付金というものになります。

【高橋委員】  どのぐらいの額を予定されているのですか。法定化されるとすると。

【松本参事官】  これ、まだ今、最後、こちらの調整中でございます。額としましては、全部合わせて1,056億。

【高橋委員】  その復興交付金の行方はどうなるのでしょうか。

【松本参事官】  これ、26年度補正で、要は、27年度要求ではなくて、26年度補正で、前倒しで頂こうということでお願いをするというものでございます。27年度も含めて、このお金を、要は、県に基金として積ませていただきますので、そこで県は、そこから27年度も含めて使っていただくという形になると思っています。

【高橋委員】  つまり、1,000億を確保した上で、特に今年度の補正で1,000億基金化して使う、こういうお話だと理解してよろしいでしょうか。

【松本参事官】  はい。再生加速化交付金で1,000億要求しまして、それに上乗せして、別の補正で1,000億を要求するということでございます。

【高橋委員】  分かりました。今まで従来1,000億だったものを、基金化、1,000億上積みするという話ですね。それは積極的なものだと評価できると思いますが。さらに、この辺、財政当局との関係もあると思いますが、積極的に、帰還推進のための事業を進めて頂きたい、これが復興につながると思いますので、引き続き、予算的なことも御配慮いただければなと思います。どうもありがとうございました。

【松本参事官】  ありがとうございます。

【能見会長】  ほかの委員の方はいかがでしょうか。どうぞ、大塚委員。

【大塚委員】  先ほど会長がおっしゃった資料1-2の関係の点ですが、ちょっと確認をさせていただきたいということですが。

 2ページの5の2つ目の丸のところの、井戸水や沢水に頼らざるを得ない地域における井戸の掘削費用等というのは、恐らく今までの井戸水ではちょっとまずいということが前提になっていると思うんですけれども。これ、場合によっては必要なことがあると思いますが、従来の紛争審査会の指針では必ずしも検討していなかったと思うのですけど、どこかに入るかなとも一方で思っているのですけれども、ちょっと気になっています。

 それから、3ページの一番上の、地方公共団体の風評被害対策等に要する費用というのは、これもいろんなケースがあると思いますので、一概に言えないかとは思いますが、これは従来の紛争審査会の指針で対象にしていると言えるかどうか、少し疑問がありますが、今の2点について、少し気になりましたので、もし事務局の方で何かお答えいただければ。こちらで考えることですけれども、もし何かコメントがございましたらお願いします。

【橋爪原子力損害賠償対策室次長】  それらの井戸水の点につきましては、後ほど被災者支援チームの方から御説明があるかと思います。

 地方公共団体の関係については、主に指針の中で御議論いただきましたのは、下水道事業等、民間事業者と同じような事業については、賠償の対象となり得るということを特に御議論いただいております。

 他方、他の点につきましては、今、自治体と、個別の事情ということで、東京電力でいろいろ検討も進められているかもしれないので、後ほど東京電力さんから賠償の状況の説明がありますが、もし可能でしたら、地方自治体の賠償の状況も御説明いただけるとありがたいと思います。

【能見会長】  何かありますか。どうぞ。

【井上参事官】  今、井戸水の件が大塚先生から御下問ございましたけれども、放射線のモニタリング自体は、井戸水についてずっと政府等がやってきておりまして、私、今手元にデータがないんですけれども、基本的には泥に固着しますので、井戸水の澄んでいるところからセシウム等が出ることはございません。

 さはさりながら、不安を持っておられるというのは非常に多くて、私もほとんど全部回りましたが、葛尾村とか、ああいう山際のところは、沢水をそのまま使っておられるところが非常に多うございます。そういうところについては、東京電力さんの方で、様々御検討いただいた上で、例えば、葛尾村では、希望世帯が井戸を掘る費用を賠償として全額負担いただいているといったような状況になっております。

 また、田村、川内みたいなところについては、復興庁さんにも御検討いただいて、先ほど御質問がありました福島再生加速化交付金を活用しながら、井戸掘り費用の予算上の補助というのも行わせていただいておりまして、賠償と予算の組合せで各自治体で対応していると。

 ただ、沢水とかわき水をそのまま使っている世帯はそういう御懸念もあろうかと思うんですが、水道水とか、もうちょっと違うところは、さすがにというところもございまして、一定の歯止めが、私は詳細は存じ上げませんが、あるやに仄聞しております。

【能見会長】  大塚委員が言われた、井戸水、沢水に頼らざるを得ない地域における井戸の掘削費用等は、指針でこう書いてあるというふうに今直ちには言えませんけれども、現実にそういう損害が生じていれば、これは相当因果関係の範囲内で賠償の対象になるということが審査会の基本的な立場だと考えますので、個別的に損害があるか否かを判断するということになるのだと思います。

 それから、地方公共団体の方は、これは後で必要であれば高橋委員から補足をお願いしたいと思いますけれども、当然、一定範囲で賠償の対象になる損害もあると思いますけれども、一般的な行政の範囲内という問題もあるかもしれないので、その点をどう考えたらいいかという問題があると、個人的には思いますが。高橋委員、何か補足があればお願いします。

【高橋委員】  事務局から御説明があったと思いますが、我々が議論したのは専ら税の話で、それ以上の話はしていません。そこで、あとは個別的な話になると思います。

 もっとも行政事務に必要なものを自動的に因果関係の範囲内として見るかどうかという点についてはなかなか難しいと思います。ただ、そこでは、個別的な判断にならざるを得ないと思いますので、具体的な論点になれば、また議論したいと思います。

【能見会長】  では、その点は引き続き議論するとして、ほか、論点はいかがでしょう。中島委員。

【中島委員】  山林や立木の賠償の話が出ているんですけど、技術的には難しいということで、山林の除染が進んでないということを聞いています。それが今どういうふうになっているのかを伺いたいと思います。現在も山菜やキノコは、たしか出荷停止になっていたと思いますけれども。

 それと、もう一つは、「復興の現状」の資料で、風評対策の広域化が課題だと書いてあります点について、例えば、会津の旅館には、西日本からの修学旅行生がまだ来ないとか、それから、福島県産の農産物は未だに大手の流通では取り扱ってもらえていないとか、そういう風評は、県内の対策ではなくて、むしろ西日本とか、そういう広域でキャンペーンとかやらないと、なかなか払拭できないと思うんですけど、そういうことはどうなっているのかと、この2点をお伺いしたいと思います。

【能見会長】  では、お願いします。

【井上参事官】  1点目の御下問の森林の除染につきましては、環境省さんの御担当ですけれども、森林除染についてどうするかというのは、様々な調査研究が進められていると認識しております。

 それで、今までの環境省さんの検討会の資料などでは、山林の流域全体からセシウムが流れ出ることは余りないといったようなデータが出ていると思いますが、いずれにしても、生活空間をまず先行して森林除染をしようということにはなっておりまして、これは地元では様々な御意見があるところですけれども、生活圏の林縁から20メートルの範囲内で、そこまではまずやりましょうというところで除染が行われているという状況かと思います。

 中島先生の御下問との関係で言いますと、従いまして、全ての山林、立木等について除染が行われている状況ではなくて、今後どういう状況になっていくかというのは、今まさに環境省さんなども検討中。ただ、調査データとして言えば、本当にそれが必要なのかどうかというのは、様々議論があるだろうといったような状況かと思います。

 僕らが伺っているところでも、この地域の森林木材も上手に加工して活用できないかという様々な取組は、今研究が始められていますので、そういったプロジェクトがちゃんと進んでいくといいなと。例えば、皮だけはいで、全く問題ない中は製材としてCLT等に使うといったような考え方が既にフロートされております。

 山菜、キノコについては、おっしゃるとおり、多くの地域で未だに出荷制限がかかっています。田村市の都路なんかですと、シイタケですね。ずっと露地栽培でシイタケをやってきたところなんかは、どうしてもまだ立ち直れないといったようなところはございますが、全ての山菜、キノコがどうかというのは、私も今手元にないので、地域地域による状況かなとは思います。

【松本参事官】  風評被害の方でございますけれども、特に今、関係省庁も多くございますが、復興庁も中心になって、関係省庁、タスクフォースというものを組織してやっております。

 例えば、農産物の展開ですと、企業マルシェということで、大手の企業様にお願いをしまして、企業の社員食堂で使っていただいたり、あるいは、企業の贈答品で福島の桃ですとか、梨、リンゴも非常に良くておいしいものでございますので、そういったものに使っていただくというようなことをお願いをしていたり、あるいは、今週も、役所の食堂でも福島・浪江町でとれたお米を食堂で出させていただいたりというようなこともやっております。

 復興庁の資料2-2の4ページ目を御覧ください。ここの右下のところで、風評被害対策事業ということで、先ほど御説明した26年度補正予算で1,000億積むという予算のところで、県に積む予算でも、風評被害の対策というのがやれるようにしております。風評払拭促進拠点と、写真で使っているのは日本橋にある福島のお店でございますけれども、こういったものを作るような拠点の費用、あるいは、先ほど中島先生がおっしゃったお話がありましたが、修学旅行、こういったものもPRできるような教育旅行回復支援事業、あるいは、対外的にPRをするためのソフト事業みたいなものもできるようにしますので、これで積極的に働きかけていくことができるようになると思います。

【能見会長】  どうもありがとうございました。

 ほかの委員の皆様はいかがでしょうか。

 今の風評被害もそうですけれども、広い意味での営業損害の中に入るのでしょうけれども、こうした損害について、いろんな御意見があるところであり、また、現在、関係者の間でいろいろ交渉などもなされているということを聞いています。審査会としては、いろいろな御意見を踏まえて検討したいと考えています。これらの多様な御意見や諸状況を考えると、直ちに本日の審査会でどういう考え方をとるべきか決められる状況ではないのですけれども、風評被害のような損害をいつまで賠償するのかは、大きな問題であり、かつ、難しい問題ですので、審査会としても皆様のいろいろな御意見などに注意しながら考えていきたいと思っています。

 先ほどの要望事項の中の問題は、今ここで一つ一つを議論していくというわけにいきませんけれども、中には重要な問題も含まれていると思います。ほかの委員の皆さんからは必ずしも言及がありませんでしたけれども、今後も必要に応じて議論して行きたいと思います。ここに書いてあることの全てが適切だとは思いませんけれども、ここで要望として出てきたものの多くの問題については、先ほど何点かについては御指摘が委員からもありましたけれども、審査会としては、ここで提起されていることはそれなりに大きな問題提起と理解しながら、今後議論していきたいと思っております。

 要望事項の中の、1の被害の実態に見合った賠償というのは、考え方としては当然のことすが、現実にこれから解除の計画が進むにつれて、解除後の賠償が継続する相当期間の問題、先ほど私も準備宿泊との関係で少し意見を述べましたが、こういう問題は重要な問題であると考えています。また、住居確保損害については、宅地等の基準価格が適当かどうかという話もありますが、これは後で議題として出てまいりますけれども、それ以外の財物損害、営業損害、その他の問題についても、なお引き続き検討していきたいと思っております。

 特に皆様の方から御意見がなければ、次の第3の議題で、東京電力株式会社から、賠償の現状についての御説明を頂きたいと思います。

  どうぞ、御着席ください。

【木村常務】  担当常務の木村でございます。本日はありがとうございます。

 審査会の委員の皆様におかれましては、賠償の環境整備に御尽力を賜りまして、心より御礼を申し上げます。

 それでは、座りまして御説明をします。

 お手元の資料1ページを御覧いただきまして、賠償金のお支払い状況でございます。まず当社は、発災後、平成23年10月から本格的な賠償を開始させていただきまして、昨年の12月末現在という数字でございますが、仮払いの補償金を加えまして、上の表の下の方に合計が書いてありますが、約4兆5,657億円となっております。賠償件数でございますけれども、累計でございますが、上の項目を下ろしていっていただきますと、個人で約62万件、そして、隣の自主的に避難の賠償が約129万件、そして、法人・個人事業主の賠償、約26万件となっております。

 下のグラフを御覧いただきますと、一番右から3番目のところ、1年前の25年12月からの増加でございますけれども、約1年間で1兆2,700億円が増加になっております。引き続き、迅速に手続を進めてまいりたいと思います。

 次に、ページをめくっていただきまして、賠償の体制でございます。人員数といたしましては、今、下の網掛けのところに1万人の体制と書いてございますけれども、補償相談室として、約1万人の規模で取り組んでいるところでございます。福島県内につきましては、私の隣の近藤が、補償相談室長として常駐しております。また、福島市、いわき市、郡山市、会津若松市の4か所に補償相談センターを配置しておりまして、全1,400名の体制でやっております。これは、参考と書いてあります2番目の体制のところでございます。福島県内は約1,400名で。県内に相談窓口というのを15か所設けておりまして、それと同時に、戸別訪問などにより、請求内容の御相談、あるいは御説明、記載方法の御案内を行っているところでございます。

 平成26年における主な取組といたしましては、賠償のお支払いが進んでまいりました中で、今まで以上に被害を受けられた方々の個別の御事情を丁寧に伺うべきものが多くなってきていると考えておりまして、賠償のお支払いを一層迅速にかつ適切にできるように、昨年の7月に経験豊富なベテラン管理職約220名を福島に専任配置いたしました。それと同時に、福島県内の自治体ごとに責任担当者を割り当てると。これは除染推進、あるいは復興推進、そして賠償といったようなチームで、現地の御要望をきめ細かくお伺いして、対応力を強化したところでございます。今後も、引き続き状況の変化に応じまして体制を整えてまいりたいと考えております。

 それでは、引き続きまして、賠償の実施状況につきましては、近藤より御説明をさせていただきます。

【近藤室長】  福島原子力補償相談室長の近藤でございます。よろしくお願いいたします。

 続きまして、中間指針第4次追補に基づく賠償を含めまして、ここ1年で御案内を開始いたしました賠償の実施状況について御説明をいたします。資料の3ページ目を御覧いただければと思います。

 一昨年の12月ですが、策定いただきました中間指針第4次追補におきまして、避難指示の長期化等に係る損害についての新たな指針をお示しいただきましたことから、当社では、準備が整った賠償項目から順次御案内を開始しております。

 まず、被害を受けられた方々が移住を余儀なくされたことによる精神的損害につきましては、昨年4月に御案内を開始いたしまして、12月末時点で、御請求書の発送数は約1万1,900件、御請求者様から御返送いただきました御請求書の受領数は約1万1,000件、うち合意件数は約1万700件となっておりまして、合意の金額は約1,640億円となっております。

 次に、住居確保に係る損害につきましては、昨年7月より御案内を開始しておりますが、12月末現在で、御請求書の発送数は、持ち家・借家合わせて約1万8,900件、御請求者様から御返送いただきました御請求書の受領数は約3,500件、合意件数は約2,300件でございまして、金額は約301億円となっております。

 住居確保損害におけます具体的なお取扱いにつきましては、本日、別紙ということで用意をさせていただいておりますので、そちらの方を御参照いただければと存じます。

 当社といたしましては、これらの賠償が被害を受けられた方々の早期の生活再建に密接に関わってくることを念頭に置きまして、引き続ききめ細やかな対応やお支払いの一層の迅速化に努めてまいりたいと存じます。

 次に、その他の賠償項目の実施状況につきまして御説明いたしますが、資料の4ページを御覧いただければと思います。

 まず、昨年1月に御案内いたしました避難生活等による精神的損害、これは要介護者様等への増額でございますけれども、こちらにつきましては、これまでのADRにおける和解事例を踏まえまして、要介護状態等にあることなど、他の方々と比べ避難による精神的苦痛が大きいと思われる方につきまして、客観的な証明書類等により一律的なお取扱いができる準備が整いましたことから、本賠償の基準として適用することといたしました。昨年12月末時点の合意実績といたしましては、約1万2,400件で、54億円となっておりますが、当社といたしましては、原子力損害賠償紛争解決センター様の総括基準、あるいは和解事例等を参考に、引き続き迅速、公平かつ適正な賠償に取り組んでまいる所存でございます。

 次に、平成26年3月以降の就労不能損害につきましては、中間指針第4次追補等を踏まえまして、就労意思のある方に対し、将来の生活に見通しをつけるための期間として、平成27年2月まで、今年の2月までですが、賠償させていただくこととしておりまして、昨年12月末時点の合意の実績としましては、約1万1,600件で93億円となっております。

 なお、平成27年3月以降につきましても、当社事故により避難等を余儀なくされたことで、例えば、御健康を損なわれたことにより就労不能損害が発生している方や、また、避難指示解除による帰還に伴い就労不能損害が発生した方など、御請求者様の状況に応じて賠償を考えさせていただきたいと思っております。

 さらに、上記によらず、障害をお持ちの方など、個別のやむを得ない御事情で就労が困難な状況にある方につきましても、個別の御事情を十分にお伺いして、適切に対応させていただきたいと考えております。

 次に、昨年9月に御案内いたしました自主的除染に係る費用の賠償、それから、宅地・田畑以外の土地及び立木に対する賠償につきまして、その賠償実績は資料の4ページのとおりでございますが、こちらにつきましても、より迅速に手続を進めてまいりたいと考えております。

 次に、資料の5ページ目を御覧いただきたいと存じます。こちらは参考データとして掲げたものでございますが、個人様に対する各賠償項目における世帯ごとの合意状況の実績を記載いたしたものでございます。個人様につきましては、御請求者様により対象となる賠償項目が異なりますので、一律の比較は困難でございます。しかし、全ての賠償項目の平均合意額を合計いたしたものがこちらでございますが、例えば、帰還困難区域の4人世帯であれば、これまで約1.5億円の賠償金をお支払いしたということになっております。

 また、資料に記載はしておりませんけれども、法人・個人事業主の分野の一事業者当たりの賠償金額につきまして、各々の事業規模が異なりますので、平均的にどの程度お支払いしているかということをお示しするのは大変難しいところでございますけれども、避難指示区域内で事業を営まれていた商工業者様の営業損害を中央値という形でお示しいたしますと、法人の方で約2,600万円、個人事業主の方で約400万円となります。

 なお、避難指示区域内で事業を営まれていた商工業者様に対する賠償につきましては、本年2月末までを対象期間としてお支払いをしておりますけれども、3月以降のお取扱いにつきましては、別途検討を行っているところでございます。検討に当たりましては、各商工業者様の御意見をよくお伺いさせていただくなど、被害を受けられた方々の実情を十分踏まえながら、国等の御意見も頂き、具体的なお取扱いの検討を進めているところでございます。

 また、避難指示区域外で事業を営まれている商工業者様に対する風評被害のお取扱いにつきましても、個々の事業者様の損害の実態に応じた賠償となりますよう、こちらも検討させていただいているところでございます。

 当社といたしましては、被害を受けられた方々が早期に生活再建、あるいは事業再開の第一歩を踏み出していただけますよう、丁寧な対応を徹底してまいりたいと存じております。

 お手元の資料に関する御説明は以上でございますが、先ほど事務局の方から御説明がございました地方公共団体様からの御要望事項に関する当社の対応につきまして御説明申し上げます。

 まず、避難指示解除後の相当期間につきましては、中間指針第4次追補を踏まえまして、避難指示期間中と同様に、精神的損害や生活費の増加費用等を1年間お支払いするという取扱いをいたしております。

 当社といたしましては、住民の方々の帰還が円滑に進みますよう、賠償に加えまして、家屋の清掃や片付け、それから、除草などの復興推進活動にも積極的に取り組むなど、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

 次に、帰還後の生活再建に重要な飲料水の安全確保につきまして先ほど御質問ございましたけれども、私ども、国と当社が一体となりまして、市町村ごとの御事情を踏まえて、個別に取り組んでいるところでございます。そして、一定の放射性セシウムが検出された飲料水に関して、その水源を利用されている方に対し、必要かつ合理的な範囲の井戸の掘削、あるいはフィルターの設置等の費用をお支払いしているところでございます。

 次に、自主的避難等に係る損害についてでございますが、平成23年12月までの期間につきましては、中間指針の第一次追補に示されている自主的避難等対象区域の賠償に加えまして、当社事故発生時に当該区域に生活の本拠として住居のあった子供及び妊婦の方で、実際に避難された方を対象に、避難生活に伴う支出の増加を考慮いたしまして、当社の判断としまして、20万円の追加賠償をいたしております。

 また、中間指針第一次追補において対象とされなかった地域におきましても、子供及び妊婦の方を対象に、自主的避難等に係る賠償をさせて頂いております。

 さらに、中間指針第二次追補において、今後必要に応じて検討するとされていました平成24年1月以降につきましても、自主的避難等対象区域及び中間指針第一次追補において対象とされなかった地域の方に対して、追加で賠償をいたしております。

 次に、地方公共団体様の損害に係る賠償につきましては、損害の内容や御事情をお伺いして対応するように努めてまいりましたが、原子力災害対応に係わる費用や、あるいは、先ほどお話のありました風評被害の払拭に係わる費用などにつきましても、画一的な判断をすることはなく、これまで以上に各地方公共団体様の個別の御事情をしっかりとお伺いをして、適切な対応を心がけてまいりたいと存じます。

 それから、税収減の賠償につきましては、中間指針及び当紛争審査会における議論等を踏まえまして、目的税を財源とする事業のように、税収と事業支出の連動性が高い事業であって、交付税による財源の措置がされず、事故後も実施が必要な事業に対する税収減であり、かつ、当社事故との相当因果関係が認められる場合は、中間指針における特別の事情がある場合として、賠償対象とさせていただくことを考えております。さらに、目的税に限らず、普通税につきましても、ただいま申し上げました考え方を踏まえまして、当社事故に起因する追加的負担が発生していると認められる場合には、特段の事情があるとして、賠償対象とするよう前向きに検討してまいりたいと存じます。

 賠償の現状に関する御説明は、以上でございます。

【木村常務】  最後でございますけれども、今後とも、国の御支援を賜りまして、被災者様に寄り添った賠償に努めてまいりたいと思いますので、御指導のほど、よろしくお願いいたします。

【能見会長】  どうも丁寧な御説明ありがとうございました。

 それでは、委員の皆様から御質問等がございましたら、お願いいたします。野村委員。

【野村委員】  2点お伺いしたいんですけれども、1つは、1万人体制で損害賠償をなさっているということですけれども、これは東京電力の全体の人数の中でどれぐらいの割合を占めているのかというのを伺いたいというのが1つですね。

 それから、もう一つは、最後に御説明を省略されたところで、訴訟等の状況ということで数字を挙げられておりますけれども、このうちで終了したものが100件ということですけれども、この内訳は、普通に考えられるのは、判決が確定したか、和解で終了したか、取り下げるか、いろいろあると思うのですけれども、内訳がお分かりでしたら、御説明いただければと思います。

【能見会長】  それでは、お答えできるところでお願いいたします。

【木村常務】  それでは、まず体制でございますけれども、今現在、弊社の社員、漸次減少しておりまして、母数が3万4,000人程度になっております。そのうちの1万人ということでございますが、私どもの方で審査をしている部隊につきましては、委託の方が7,000人程度いらっしゃいますので、私どもの純粋な社員といたしましては、3,000人程度ということになります。

【野村委員】  今の3万4,000人というのは、そうすると、東京電力本体の……。

【木村常務】  の全社員でございます。

【野村委員】  全社員というのは、一応正規の社員ということですね。

【木村常務】  正規の社員でございます。

【近藤室長】  それでは、訴訟の関係についてお答えいたします。これは訴訟等と書いてございますので、中には調停等、それから、仮処分等も入ってございますが、ざっくり申し上げますと、大体その半数で和解が成立して終了しております。残りは、裁判で言えば、いわゆる請求棄却あるいは却下がほとんどでございまして、1件認容がございましたのは、報道等もされましたが、自殺をされた案件で認容判決が出たというのが1件ございます。ということで、大体半分が和解で、残りが判決という形でございます。

 以上でございます。

【能見会長】  ほかの委員はいかがでしょうか。どうぞ、中島委員。

【中島委員】  財物の賠償について、まず合意ができてから請求書を送る扱いだという説明になっているのですが、合意するに当たって、時価を証明する書類、これはどういうふうなもので御社としては認定されているのでしょうか。

【木村常務】  証憑に関しましては、それぞれの財物の項目によって決めてはおるんですけれども、被災者様から当初、証憑類が御用意できないとか、あるいは、ちょっと複雑過ぎるとか、いろんな御要望を頂いておりまして、賠償の開始時に比べますと大分簡略化をさせていただいているところでございます。

 それで、それでも何と何が必要なんだということでお問合せを頂く際に、きめ細かく、うちの社員が、このようなものということを、あるいは、その証憑類の整理をお手伝いをさせていただいているというような状況でございます。

【中島委員】  具体的には、一番有力なものとしては、固定資産税評価額を時価の七掛けか八掛けとみて時価を計算するとか、具体的にはそういうことになるわけですね。

【近藤室長】  ええ、不動産とかはそういった形になりますし、あと、例えば、個別の動産とかですと、写真を送ってもらったりとか、そんなような形でやっております。

【能見会長】  一、二点伺いたいのですけども。

 移住を余儀なくされたことによる精神的損害の方は、これは慰謝料といいますか、証明などの問題も余りないので、請求件数に対して、ほとんどが合意に至っているということだと思いますが、住居確保に係る損害の方は、時間がただかかっているだけなのかどうか分かりませんけど、3,000件に対して1,900件の合意件数ということで、若干まだ開きがありますけれども、もし差し支えがなければ、どんなところで合意に至っていないのか、御説明いただければと思います。

【近藤室長】  これ、件数がまだそれほど増えていないのは、受付を開始したのが9月ということでございます。それから、新しいお宅をまだ確保することが決まっていないというケースもやっぱり多くて、いわゆる精神損みたいに、あれは定額で皆さんにお支払いするということなので早かったんですけれども、ちょっと住居確保の方は時間がかかっているということでございます。

【能見会長】  なるほど。分かりました。では、これはだんだん時間が経つにつれて合意率は増えていくというふうに考えられますね。

【近藤室長】  そのように考えております。

【能見会長】  それから、もう1点は、これはただ私の意見ですけれども、先ほど就労不能損害にせよ、あるいは営業損害についても、だんだん個別の対応をしていくというお話でした。これは実際に損害があれば賠償するというスタンスですから、それ自体は全然おかしなことはないと思います。むしろ損害賠償の基本的な考え方です。こういう考え方に基づいて、就労不能損害や営業損害について、実際に損害があれば賠償していただくという対応を是非していただければと思います。

【大谷委員】  会長、ちょっと。

【能見会長】  どうぞ。

【大谷委員】  全体的な問題で、東電の姿勢について御意見を申し上げたいと思います。

 昨年12月19日の河北新報に、東京電力の福島復興本社代表である石崎芳行東電副社長のインタビュー記事が掲載されております。これは浪江町の慰謝料の集団申立案件に係る質問でございますけれども、石崎氏はインタビューに対して、こういうふうに答えております。「今後も会社の方針を変える予定はない。原子力損害賠償紛争審査会の中間指針は1人当たり月10万円と定めており、公平性の観点から増額は認められない。仮に中間指針が変われば、それに沿った賠償をする」と、こういう発言をされております。このように、東京電力の福島復興本社のトップが、中間指針に記載された額を超える損害賠償は、指針が変わらない限りしないと言っているわけです。

 しかし、これまで再三確認したところでございますけれども、中間指針や第二次追補では、精神的損害の月10万円というのは、あくまでも目安であると明確に記載されております。それから、特に第二次追補では、中間指針に明記されていない損害であっても、個別の事例ごとに賠償の対象とするなど、東京電力には合理的かつ柔軟な対応が求められる、また、精神的損害の額はあくまで目安であり、帰還できない期間が長期化するなどの個別的な事情により、これを上回る金額が認められ得るということがきちんと明記されております。

 前にこの審査会の場で、私は、東電に不適切な対応が見られるという意見がよく耳に入るけれども、それはたまたま現場の職員が指針の趣旨をよく理解していなかったということによるものであって、まさか会社の方針ではなかろうというような趣旨の発言をしたことがございます。しかし、今回のこの石崎氏の記事を読みますと、東電が組織ぐるみで、審査会の賠償方針を自らに都合よく利用していると言わざるを得ません。すなわち、東電は、中間指針や第二次追補についての正しい理解を欠いているとしか考えられないということであります。

 東電が、この中間指針に記載された額を超える損害賠償は、指針が変わらない限りしないということは、東電の担当者が先ほど述べられたような、個々の被災者の個別事情を踏まえて賠償を行っているという建前と矛盾するものであり、個々の被災者の個別事情を踏まえて和解仲介を行うという、それはまさに和解仲介手続の本来の役割でございますけれども、そのような和解仲介手続を実施しているセンターの意義、さらには、原子力損害の賠償に関する法律が定めている原子力損害の賠償システム全体を真っ向から否定するものと言わざるを得ません。

 仮に、東京電力として、センターが実施している和解仲介手続を含めた原子力賠償のシステムを否定する意思がないということであれば、このインタビュー記事で取り上げられた浪江の集団申立案件を含めて、東電が仲介委員が示した和解案の受諾を拒否している事案について、改めて対応を見直すべきであると考えますけれども、いかがでございましょうか。

【木村常務】  河北新報の記事につきましては、誠に申し訳ございません。しかしながら、申し上げた趣旨といたしましては、石崎の方でも、この指針が変わらない限り、お受けすることはないというような趣旨のことは申し上げたわけではなかったということでございます。

 まずは、東京電力の姿勢といたしまして、これはADRセンターからの和解案については、最大限に尊重して従ってまいるということで、これまでも、ほとんどのものにつきまして、そのようにさせていただいているところでございますが、この集団案件につきましては、やや全体の影響度でございますとか、そういったものを勘案して、今、お話合いをさせていただいていると。さらに、また個別的な御事情をつまびらかにしていただけるということで、引き続き、鋭意協議を継続させていただくつもりでございますので、今、大谷様がおっしゃられたような姿勢で東京電力が臨むということは今後もございませんので、御理解を賜れればと思います。

【能見会長】  はい。

【大谷委員】  そうしますと、石崎さんのこのインタビュー記事の内容は、正確なものではないということで承知してよろしいわけでございますか。

【木村常務】  はい。それで結構でございます。

【大谷委員】  また、事案の扱いについては、後ほどセンターの方から、これまでの経過の報告もありますから、その点に関して、申し上げることにいたしたいと思います。

【木村常務】  是非よろしくお願いいたします。

【能見会長】  後でADRセンターの活動との関係でまた議論になるかもしれませんけれども、指針との関係で言いますと、これは大谷委員がおっしゃったとおりですけど、指針の範囲内しか賠償しないというものではもちろんなくて、個別の事情等を勘案して、その指針を超えるものも賠償する場合がある、実際に賠償もされている項目もあるわけですから、そういう扱いに一般的にはなるのだろうと思います。

 ほかに東京電力の方に御質問等がございませんようでしたら、ADRの方に移りたいと思いますけど、よろしいですか。

 どうも今日はありがとうございました。

【木村常務】  どうもありがとうございました。

【能見会長】  それでは、議題4に移りたいと思います。紛争解決センターの活動状況についてでございます。これは團藤さんから御説明をお願いいたします。

【團藤室長】  原子力損害賠償紛争解決センターの庶務を担当いたしております、原子力損害賠償紛争和解仲介室の室長を務めております團藤と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、お手元の資料に沿いまして、主にセンターにおきます昨年、平成26年の活動状況を中心に御報告申し上げたいと存じます。

 まず、ページ数で申しますと2ページになりますが、センターの体制の整備という項目でございます。ここの図にございますように、センターは平成23年9月から申立の受付を開始しておりますが、その時点では、非常に小規模な人数でスタートしておりました。23年度末になって、ようやく仲介委員128名、それから、和解仲介室の職員も62名、うち仲介委員のサポートをいたします調査官、これは既に何度もこれまで御紹介されているかと思いますが、弁護士又は弁護士の資格を有する職員でございますが、その数も28名ということでございましたが、昨年末の時点では、和解仲介の実施を担当いただく仲介委員が283名、それをサポートする調査官は192名という体制で事務処理に当たっております。

 調査官につきましては、この表を見ていただきますとお分かりのとおり、24年、25年と増員を図ってきておりまして、大体25年末の水準を現在維持しているというところでございます。ただ、いずれも本業の弁護士と兼務で、非常勤という形で週5日間勤務をしていただくという条件の下で働いていただいておりますので、やはりどうしても事務所の都合、御家庭の都合などで御退職になる方も少なからずいらっしゃいます。センターといたしましては、引き続き有為の人材の確保に向けて継続的にリクルートに努めているところでございまして、引き続き本年もこの体制を維持・強化してまいりたいと考えておるところでございます。

 続きまして、申立状況でございます。3ページ目を御覧ください。図2といたしまして、平成23~26年までの年間申立件数の月別の動きを折れ線グラフで比較対照したもの、それから、図3といたしまして、昨年の申立件数と申立人の数の月別の推移をグラフで対比しやすくしたものを掲げてございます。

 まず、昨年の申立件数でございますが、これは図2の右下の方に記載がございますが、5,217件ということになっておりまして、平成25年の28%増となってございます。ただ、この下に米印で注記させていただいておりますが、代理人が付されていない御本人による集団の申立事件につきまして、こういったケースは、各世帯ごとに申立書が作成されておりますが、それを4月までは申立書ごとに1件としてカウントしておりました。それを、昨年の5月以降、同じ日に提出された申立書につきましては、バインドをして、全体で1件とした上で、各申立書につきましては、枝番で管理をするという立件方法を採用してございます。したがいまして、統計数字、同じ数字ではございますが、4月までと5月以降とで若干数字の持つ意味が違ってきておりまして、どちらかというと、件数ベースでは少なく抑えられた数字になっているというふうに御理解を頂きたいと思います。そういう前提でも、申立件数は前年比で28%増という形になってございます。

 図3を御覧いただきますと、申立件数と申立人員の比較でございますが、申立人員は、平成26年1年間で、2万9,534という形になってございます。法人も含んでおりますので、あえて人とは申しませんが、申立件数に比べまして、非常に数が大きくなってございます。特に、このグラフを見ていただければお分かりのとおり、申立人数については、前半3月頃、それから、後半10月・11月頃に大きな山がございます。これは、1つの申立において多数の申立人が集団として申立を行う、あるいは、先ほど申し上げましたような立件方法をする集団の申立事件が増えてきているということの表われと理解してございます。こういった集団の申立の傾向は、昨年顕著に表われたところでございまして、本年におきましても、それに対する対応というものが望まれるということかと考えてございます。

 続きまして、1枚おめくりいただきまして、4ページでございます。申立状況(2)ということで、損害項目別の申立件数を、平成25年と26年の数字を件数ベースで比較する棒グラフとしてまとめてございます。先ほど申し上げましたように、申立件数全体の伸び率は、28%でございました。この項目ごとで見てまいりますと、全体の伸び率28%を超える項目といたしましては、避難費用、これが41%増になってございます。それから、精神的損害、これが36%増。そして、除染費用、これが77%増ということで、これらの項目について、昨年大きな伸びが見られたということが言えようかと考えてございます。

 続きまして、1枚おめくりいただきまして、今度は既済の事件の状況でございます。図5といたしまして、終了事由別の件数の推移ということで、昨年終了いたしました事案につきまして、月別に和解成立、打切り、取下げの別を色分けで示したものでございます。26年の既済件数は、総数で5,054件ということでございます。このうち和解成立で終了いたしましたものが4,438件ということで、全体の88%を占めております。その様子は、月別の棒グラフでも見て取れるかと思います。

 また、図6といたしまして、大体平均的にどのぐらいの審理期間がかかっているのかということを、平成26年終了事件を抽出いたしまして調査いたしました結果を記載してございます。私どもの方に申立書を頂きますと、受け取ってから審理開始、これは担当の仲介委員、それから、担当の調査官の指名について、当事者双方に御連絡を差し上げた時点を取っておりますが、これに大体平均で1か月を要しております。どうしてこれだけの時間を要するかと申しますと、仲介委員、調査官、いずれにつきましても、当事者双方との間での利益相反があってはいけないということがございますので、その利益相反の有無についての調査に、やはり相当程度の時間がかかるということが背景にございます。担当の仲介委員、調査官が指名されますと、和解案提示までの間は、平均して4.6か月ということになってございます。和解案提示後、双方により受諾がされますと、和解成立という運びとなるということでございまして、イニシャルに要する期間1か月を含めまして、大体5か月から6か月程度で和解案提示まで至っているという状況かと考えてございます。

 1枚おめくりいただきまして、6ページに、広報活動につきましてまとめさせていただいております。昨年1年間を見ましても、センターとして、より多くの被災者の皆様に我々の存在と、それから、手続の利用を考えていただくため、PR、広報活動に努めてまいりました。

 まず、被災自治体等との連携、あるいは、原子力損害賠償・廃炉等支援機構との連携などによりまして、各地の住民の皆さんなどを対象といたしまして説明会が実施されておりますが、そちらに参加をして、センターの概要、手続の概要などについての御説明を差し上げております。

 また、参考としていただけるような和解事例につきまして、ホームページに公表し、さらに、被災者の皆様の中には、インターネットの利用が困難な皆様もいらっしゃるということを慮りまして、そのダイジェストのような冊子を作成いたしまして、主として福島県内で配布をいたしております。また、リーフレットや新聞広告、ポスターなどを使った広報にも努めているところでございます。

 1枚おめくりいただきますと、ここから後3枚が、総括委員会の所見というものを昨年8月4日に公表いたしておりますので、その経緯や概要、その後のことについて御報告申し上げておきたいと思います。

 まず、8月4日に総括委員会所見というのが公表される経緯でございますが、平成26年3月までは、東京電力はセンターの仲介委員が提示いたします和解案を尊重するという宣言に則って対応してこられた、現在もしておられるというお話を先ほど伺いましたが、その結果、東京電力の社員又はその家族が申立人となっているケースにつきましては、一部の受諾拒否というのはございましたが、それ以外のケースについては、全ての和解案を受諾していただいていたところでございます。

 ところが、本年4月以降、仲介委員が提示した和解案の全部又は一部について、受諾の拒否の回答をされるというケースが複数件見られるという状況になっておりました。

 そのような状況の下におきまして、東京電力が、東京電力のホームページにおきまして、「原子力損害賠償紛争解決センターの和解案への当社対応について」という文書を公表されたわけでございますが、そこには、ここに抽出して書かせていただいておりますように、「中間指針やその考え方から乖離している、あるいは客観的事実からすると原発事故との相当因果関係が明らかに認めがたい請求については、…その内容に対しては充分に吟味・検証したうえで慎重に対応する必要があり」という記載に続けまして、最後、「ADR手続においても同様の対応をしている」ところだという記載がございました。

 そういった状況の下で、総括委員会が、次のページに概要をまとめております所見を公表しておるところでございます。

 中身は、もう既に委員の皆様は御案内のところかと思います。したがいまして、中身の詳細は割愛させていただきますが、1枚おめくりいただきまして、その後の動きでございます。

 総括委員会の所見公表後、複数の案件について和解が成立いたしました。東京電力において、それまでの一部又は全部の受諾拒否の回答を撤回して、全部受諾という回答をされたケースが複数あるということでございます。

 それ以外の、全部又は一部の受諾を拒否する旨の回答をしている案件、この件数は、昨年末時点では、所見公表時の半数以下となってございますが、これらについては、現在、担当の仲介委員が和解案提示理由書を示すなどして東京電力に対する説得を鋭意継続しているところでございます。

 改めて申し上げるまでもなく、和解仲介手続において、手続を実施しております仲介委員は、まさに当事者間の自主的紛争解決に資する指針として定められた、審査会の定めた中間指針及びその追補の考え方に則って、当事者双方の主張・立証を踏まえて、相当因果関係の有無を含めた判断を経た上で和解案を提示しているというわけでございますので、先ほどの所見でも触れておりますように、仲介委員が、中間指針やその考え方から乖離しているとか、あるいは、客観的な事実からすれば相当因果関係がないことが明らかだというようなものについて和解案を提示するということは、このシステムの予定するところではございません。このシステムを適切に運用していくためにも、ベテランの知識と経験のある弁護士の皆さんに審査会特別委員に就任していただいているわけでございます。

 したがって、東京電力におかれては、そういった仲介委員の提示している和解案について、今回の総括委員会所見の趣旨を踏まえて、適切な対応を今後とも取っていただくことを強くお願いしたいと考えておる次第でございます。

 時間を超過して申し訳ございませんでしたが、私からの御報告は以上でございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。

 それでは、今の報告に対して何か御意見等がございましたらお願いいたします。

 現在和解交渉中のものについては、審査会の方から立ち入っては伺いませんけど、和解が成立した分について、今まで受入れを拒否していたのが和解成立に至った、ここら辺の事情といいますか、何か一般的な形でお話しいただけるのがあれば、お話しいただけますか。

【團藤室長】  和解が成立しましたものにつきましても、個別の中身についてお話を申し上げるわけにはまいりませんので、お許しいただきたいのですが、ただ、被申立人である東京電力が一旦は全部又は一部の受諾を拒否しながら、その後、和解受諾に至ったというケースの多くに見られますのは、やはり担当の仲介委員の方で和解提案理由書を示すなり何なりということで、かなり具体的な形で東京電力の側に再考を促したということが共通して言えようかと考えております。そういったものを受けて、また、所見の趣旨を踏まえて、東京電力におかれて、前向きに御検討いただけた結果かなと考えております。

【能見会長】  どうもありがとうございます。

 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  今、会長が聞かれたことにさらに追加してということですけれども、現在検討されているものについて、もちろんお伺いするつもりはないんですが、既に成立したものに関しては、ホームページとかでも載せられていると思いますけれども、その中で重要なものとかがございましたら、是非ここでお話しいただけるとありがたいと思いますし、特に総括委員会がこれ以外に何か所見を出されたものは、最近はないでしょうか。しばらく紛争審査会も間が空いているものですから、その間にいろいろ御活動なさっていると思うんですけれども、教えていただけるとありがたいと思います。

【團藤室長】  総括委員会が昨年公表いたしました所見は、この1本だけでございます。

 また、公表につきましては、公表に至るまでに、当事者双方の御意見あるいは仲介委員の意見を確認するという手順を踏んだ上で、公表に至りますので、若干公表までにはお時間が必要となることを御理解いただければありがたいなと思っております。未だこれというもの、具体的に、この件がそれでしたということを申し上げられる状態にはないということでございます。

【大塚委員】  ホームページで出されていますよね。

【團藤室長】  はい。

【大塚委員】  ですから、紛争審査会との関係では、やっぱり指針との関係で、どういうふうに実際に動いているかなというところが知りたいところですので。

【團藤室長】  既に900件を超えるケースを公表いたしておりますが、それらはいずれも受諾拒否というプロセスをとることなく受諾に至ったケースばかりでございまして、全部又は一部の受諾拒否という動きが出てまいりましたのは、昨年の4月以降でございます。

【大塚委員】  そうですか。そこは会長の質問と私はちょっと違っていて、別に拒否していなくてもいいんですけど。成立したもので重要なものがあったら、ちょっと教えていただきたい。拒否のものじゃなくて結構です。

【團藤室長】  重要でございますか。

【大塚委員】  はい。

【團藤室長】  申し訳ございません。そういう観点で900件を全部眺めてピックアップの作業をしておりませんので、どれが重要かというのを今、直ちにお答えできる状況ではございません。

【大塚委員】  じゃ、また次回でも。

【團藤室長】  申し訳ございません。

【能見会長】  どうもありがとうございました。引き続き、ADRにおける御努力をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【團藤室長】  どうもありがとうございました。

【大谷委員】  会長。

【能見会長】  どうぞ。

【大谷委員】  一言だけ付け加えさせていただきます。またかというふうに思われるかもしれませんけれども、それだけ東電に対しては、私どもも非常に困っている状態にあるということを御理解いただきたいということで、かいつまんで申し上げます。

 先ほどの河北新報のインタビューに対する東電の副社長のあの答えは、あれは会社の本音だと私は思っております。東電は、あの後、河北新報に対して、誤報道だという申入れもしておりませんし、先ほどは担当者があのように否定はされましたけれども、やっぱり会社の本音があそこに出ているというふうに私どもは理解しております。だから、そこは是非改めていただく必要があるということと、最近問題になっておりますのは、特に集団申立案件でございますね。

 これについての対応が、先ほどの東電のお話ですと、その中身について相応の吟味をし、疑問点については意見交換をしているというような趣旨の御発言があったかと思いますけれども、実態はそうではない。単に集団申立てだということ、それのみによって、もう木で鼻をくくったような拒否の回答をADRに対してしてきているという、そういう状況でございます。仲介委員は、非常に苦労して、数回にわたって、和解案が妥当であるという根拠を説明する文書を作成し、それを示しているけれども、対応は全く変わりません。東電の対応は、極めて事務的な、無味乾燥なものであります。

 是非、こういう対応を改めて、まともにADRに向き合うというように姿勢を転換していただきたいと思います。

【能見会長】  どうもありがとうございました。

 それでは、最後の議題に移りますが、住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱について、これをお願いします。

【柳原子力損害賠償対策室長代理】  それでは、事務局より、住居確保損害に係る単価の取扱について御説明させていただきたいと思います。

 先ほど冒頭の議題でもございました要望事項の1ページ目の一番下にも、福島県内の都市部の平均宅地単価の上昇を踏まえ、実態に即した宅地算定基準とすることという要望も頂いております。第4次追補で示された3万8,000円、これは、一昨年、この第4次追補を決めるときに、専門機関に調査を委託して、出した金額をベースに決めていただきました。今般、1年以上経ったこともありまして、同様に、6市に関しまして、専門機関に調査を、同じ機関に委託し、調査を行いました。資料の1ポツにございますように、25年は3万7,813円のところ、今回の調査では、3万8,528円ということで、1.9%の上昇でございました。

 この宅地単価の取扱いにつきまして、今日御審議いただく中で、2ポツの基本的な考え方により、今後取り扱ってはいかがかという資料でございます。この第4次追補の中で、平均宅地単価につきましては3万8,000円としたところ、実際の地価の変動に応じて見直していくということが、賠償の目安として基本かと思います。他方、中間指針に示した目安を短期間でころころと変えていくということは、上限額が上がることもあれば、逆に下がることもあるということを考えると、被災者の方の住居の確保計画に影響を及ぼす可能性もありますので、そこは混乱を生じないようにする必要もあると考えられます。

 次に書かせていただきましたのは、審査会として、毎年、地価の動向を確認して頂き、その上で、必要があれば、この宅地単価を見直すとしてはいかがかと考えております。

 ちなみに、今年は、1.9%ということで、この変動幅をどう見るかということです。全国の地価の変動につきましては、1枚めくっていただきまして、参考1として、これまでの地価調査の大きな変動幅は、4%程度の変動幅がありました。これを参考にしつつ考えたときに、今回、特に見直す必要性はないのではないかと思われます。

 それから、先ほど東京電力から御説明のあった資料の別紙で住居確保損害についての取扱いがありましたけれども、住宅の取得、修繕の費用、そして宅地の取得費用のほかに、諸費用というものを上乗せして対応しているというお話がございました。こういった費用の配慮もなされていることを考えると、この1.9%というのは、特に大きな変動とは言えず、今回は特に見直す必要がないのではないかということで、事務局で案を作らせていただきました。

 以上でございます。

【能見会長】  それでは、御議論をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 基本的な考え方として重要なのは、地価が値上がりして、住居を確保するときにより多くの費用がかかるとなると、それは損害ということになりますので、そういうものは基本的には賠償に反映していくということだと思います。ただ他方で、いろんなことを考慮しなくてはいけないという感じがしますが、この住居確保損害というのは、いわゆる狭い意味での損害というよりは、少し政策も加味しながら、少し多めに賠償するような仕組みになっておりますので、そういう意味で、1%、0.5%でも、とにかくちょっとでも上がれば常にそれは反映させなくてはいけないというものとはちょっと違うのではないかと思います。

 また、地価のちょっとした値上がり、値下がりを考慮して、いつ代わりの住居を確保するかということに影響するというのも余り望ましくないので、そういう意味で、この原案では1年となっていますけれども、一定期間は原則として固定するという考え方はそれなりに合理性があります。ただ、その一定期間であっても、途中で急激な値上がりがあったような場合、例えば、5%も値上がりしたなどという場合にどうするかという問題は、さらに考える必要があると思います。もっとも、当面、今のところは1.9%ということですので、何%上下したら、一定期間固定するといっても例外にするという、その例外の部分はともかくとして、1.9%の値上がりという今回の場合には、この程度であれば細かく反映させないという案はどうですかというのが原案の提案でございます。

 御意見をお願いします。

【中島委員】  賛成でございます。期間の問題では参考としては、固定資産税評価額の基準額の評価替えが3年に1回ということも考えますと、それも1つの目安になるのじゃないかなと思います。

【能見会長】  それは期間の問題ですね。

【中島委員】  期間の問題ですね。期間と幅の問題だと思うんですが。

【能見会長】  期間の方はいかがでしょうね。私は、こういう問題について、ほかの制度でどうなっているかということについてはそう詳しくないので、どのぐらいが適当なのかというのは判断に困っているのですが。

【野村委員】  よろしいですか。先ほどの事務局のお考えでいいと思うんですけれども、先ほど、毎年見直す可能性をちょっと……。

【能見会長】  一応原案はそうなっています。

【野村委員】  なんですけれども、今、中島委員が言われたように、毎年がいいのか、ある程度長い期間の方がいいのか、多少検討の余地があるかなという気がするのが1つですね。

 それから、もう一つは、今年は変えないというときに、この次に議論するときには、平成25年のデータを基準にして、そこからの変動幅を考えるということでよろしいんですよね。

【能見会長】  そうですね。

 分かりました。私の不手際でもって時間が延びておりますが。

 一定期間固定するということについては、御賛同いただいたと考えてよろしいですね。その上で、1.9%ぐらいの変動幅の場合に、それを反映させるかということですが。少なくとも現在すぐにそれを反映させなくてもいいだろうという御意見が多いということでしょうか。固定する期間については、その期間を1年にするか、あるいは、2年、3年にするかということについては、今ここで御意見がなければ、少し私の方でもう少し検討して、提案させていただいてよろしいでしょうか。

【大塚委員】  会長にお任せしたいと思いますけれども。先ほど御議論があったように、3年ぐらいというのが1つの考え方だと思いますけど、他方で、突然上がったりすることもあるかもしれませんので、3年と決めはしない方がいいかなという感じはしております。

【能見会長】  どうぞ、高橋委員。

【高橋委員】  評価替えの考え方は、3年に一回きちんと調整するという考え方だと思います。それに対し、この場合については、一旦決めたものをどのぐらいの期間で見直しの機会を設けるか、要するに、それを維持することが妥当かどうかを見るかという、違う視点からの議論であると思います。したがいまして、これから毎年本当に変える必要があるかどうかについて、平成25年を基点にして、チェックする。これが、事務局の示された考え方だと思いました。かつ、私は、これはこれで一つの理屈であると理解しております。その辺も踏まえて、今少し、会長の方で御検討いただければと思います。

【能見会長】  分かりました。

 それでは、まだ幾つか詰めなくてはいけない点がありそうな気がいたしますので、当面対応しなくてはいけない点については、会長預かりということで扱わせていただきます。どういう扱いをするかということについて、決まりましたら皆様にお知らせし、御了解を得るということでいかがでしょうか。

 どうもありがとうございました。ちょっと時間をオーバーしてしまいましたが、本日の審査会を終了したいと思います。

 今日出てきたいろんな御意見、あるいは、時間の関係で十分議論できなかった点については、引き続き議論したいと考えています。いずれ適切な時期に審査会をこれからも開催して、そこで議論していきたいと思います。

 それでは、連絡事項等がございましたらお願いします。

【橋爪原子力損害賠償対策室次長】  先ほどの宅地の件につきましては、また会長と御相談をさせていただきまして会長の御指示のとおりにさせていただきます。

 また、次回につきましては、先ほども会長からございましたように、改めて事務局より連絡をさせていただきたく存じます。

 以上でございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。本日はこれで終了いたします。

 

―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局原子力損害賠償対策室

(研究開発局原子力損害賠償対策室)

-- 登録:平成27年02月 --