平成24年12月10日(月曜日)10時30分~14時00分
文部科学省(中央合同庁舎7号館東館)3階講堂
能見会長、大谷委員、大塚委員、鎌田委員、高橋委員、中島委員、野村委員、米倉委員
那谷屋文部科学大臣政務官、森口文部科学事務次官、藤木文部科学審議官、戸谷研究開発局長、田中総括審議官、大竹原子力損害賠償対策室長、田口原子力損害賠償対策室次長
【能見会長】 それでは、時間が参りましたので、第29回原子力損害賠償紛争審査会を開催したいと思います。
本日もお忙しいところ、お集まりいただきまして、大変ありがとうございました。
本日は那谷屋政務官がおいでですので、最初に御挨拶をお願いしたいと思います。よろしく。
【那谷屋文部科学大臣政務官】 改めまして、皆さん、おはようございます。御紹介いただきました文部科学大臣政務官の那谷屋正義でございます。
委員の皆様におかれましては、昨年の4月の第1回審査会開催以来、大変お忙しい中、精力的に御審議を重ねていただきまして、今お話ありましたように、今日はもう第29回ということで、まことにありがとうございます。
また、専門委員の皆様には、今回、非常にタイトなスケジュールの中で、現地調査を含めた膨大な内容の調査の取りまとめをお願いしているところでありまして、改めて御礼を申し上げたいと思います。
現在、本年3月に策定いただきました中間指針第二次追補を踏まえて、東京電力において具体的な賠償の対応が進められているところでありますけれども、新たに類型化すべきものについては、指針に盛り込むことも含めて、審査会におきましても、よろしく御議論をお願いいたします。
文部科学省といたしましても、指針で示していただいた考え方に沿って、迅速、公正、適正な賠償が行われるよう、関係省庁と連携・協力しながら取組を進めております。また、指針で類型化することが困難な個別の事例への対応については、ADRセンターによる和解の仲介などの体制の強化に取り組んでいるところでございます。
本日は、農林漁業の風評被害に関して、専門委員の皆様から現地調査の御報告をいただくほか、これまでの政府における取組や、東京電力による賠償の進捗状況についても御報告をいただく予定になっております。
委員の皆様には、引き続き大変な御苦労をおかけいたしますけれども、今後とも十分に御審議をいただき、迅速、公平かつ適正な賠償の実現につなげていただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
【能見会長】 ありがとうございました。
では、引き続き、事務局から配付資料の確認をお願いしたいと思います。その後で、本日から新しい委員がお加わりになりましたので、その御紹介を申し上げたいと思います。
それでは、資料の確認。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、配付資料を確認させていただきます。
議題は全部で四つございます。一つ目の風評被害関係の資料といたしまして、資料1から資料3までございます。それから、二つ目の避難区域の見直しに関しまして、資料2-1から2-3、これも3種類ございます。それから、三つ目の東電からの報告につきましては、3-1から3-4までございます。それから、ADRの活動状況として、これは4種類、4-1から4-4までございます。不足がございましたら、お申し出を随時いただければと思います。
以上が資料の確認でございます。
それから、本日から、これまで審査会の特別委員として、紛争解決センターで仲介をしていただいて、総括委員会の委員長でございます大谷委員を、本日付けで審査会の委員として任命されましたので、御紹介をさせていただきたいと思います。
大谷委員につきましては、これまで審査会の特別委員として、ADRの総括委員会、これの仲介の中で総括委員会を務められてございましたが、これからは審査会の委員として、引き続きADRの方の仲介のお仕事もお願いすることになってございます。よろしくお願いします。
以上でございます。
【能見会長】 ただいまの報告にあったとおりでございます。大谷委員には、そういう意味で、審査会の委員と紛争解決センターの総括委員との両方のお仕事ということで、大変でございますけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
せっかくですから、この際、もし大谷委員から一言御挨拶いただければと思いますが。
【大谷委員】 今御紹介いただいたとおりでございますけれども、これまで紛争解決センターの最前線の方について関与させていただいておりました。これまで当審査会の議論には直接参加していたわけではなく、途中からの参加でございますので、突飛な発言、見当外れの発言がおそらくあるだろうかと思いますけれど、どうぞ御寛容にお許し願いたいと思います。いろいろ御指導いただきますけれども、よろしくお願い申し上げます。
【能見会長】 審査会としましては、紛争解決センターにおける解決との一層の連携を図っていけるということで考えておりますので、大谷委員にはぜひよろしくお願いしたいと思っております。
それでは、本日の議題に入りたいと思いますけれども、第1の議題、食品の新基準の認定に伴う農林漁業の風評被害に係る調査についてでございます。これにつきましては、かなり膨大な調査を現在進めている最中でございますので、最初に事務局から調査の概要についての説明をお願いしたいと思います。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、資料1-1と資料1-2をお願いいたします。
まず資料1-1でございますが、これは今回進めてございます調査の品目、範囲について、具体的に1枚の表にまとめたものでございます。農林産物、畜産物、水産物、その他ということで、それぞれ県単位で調査を進めてございます。
農林産物につきましては、そこに書いてございます15都県、基本的には出荷制限指示が出た、あるいは自粛があった県、それから、出荷制限のあった県については、その隣接まで調査しているということでございます。
それから、牛乳、乳製品につきましては、岩手、宮城、群馬の3県。
それから、水産物につきましても非常に多くなってございますが、海につきましては、そこにございます、太平洋側に、あるいは東北の沿岸の9都道府県、それから、内水面につきましては、10都県ということになってございます。
それから、それ以外の飼料、牛ふん堆肥、あるいは、きのこの原木、薪・木炭についても、幅広く、そこに書いてあるような範囲で、基本的には使用制限が出された区域についての調査をしているということでございます。
それで、調査の結果としまして、本日、専門委員から現地調査の結果も含めた御報告をいただきますが、資料1-2でございますが、これは定性的な情報ということで、これまで各県等から寄せられた実際の損害、あるいは検査、そういったものの報告を定性的にまとめたものでございます。それで、これに加えて、市場の調査ということで、定量的調査をやっておるわけでございますが、ここについては、何分データが膨大になってございまして、まだまとめるのに時間がかかってございます。その報告は次回ということになりますが、本日は、まず資料1-2の定性的情報について、ざっと御説明をさせていただければと思ってございます。
資料1-2でございますが、これは寄せられた情報を都道府県別、あるいは産品別にまとめてございます。時間が限られてございますので、ざっと御紹介させていただきたいと思います。
まず北海道の水産物が、検査も含めて、8ページまで続いてございます。水産物については、この後、特にタラなどを中心に専門委員から御報告があると思いますので、省略いたしますが、北海道の水産物について、道全域、特に中国・韓国への輸出向けの海産物、あるいはタラといったところから、実際の減収、あるいは取引の停止等の情報が寄せられてございます。それに伴いまして、検査は広く海産物全般について行われているというのが現状でございます。特に胆振地方でございますが、室蘭を中心とした北海道の南側の部分について、多く報告が寄せられているということでございます。
それから、9ページから、青森県になります。青森県のまず農林産物でございますが、青森県については、しいたけ、これは乾しいたけのみならず、原木しいたけ、あるいは野生のきのこ、こういったところの価格の低下について報告がされてございます。これに伴いまして、10ページ以降が検査費用になってございますが、農林産物、これはきのこだけではなくて、にんにくや野菜、果樹といった幅広い製品で検査の必要、検査を迫られているという状況でございます。
それから、12ページが、青森の水産物でございます。これも後ほど専門委員からご報告があると思いますが、タラ等に加えて、これは釣り関係の遊漁船業の減収、あるいは水産加工業についての営業損害が報告されているところでございます。
次の14ページ、ここから岩手県になります。まず岩手県の農林産物でございますが、これは先ほどの青森よりも少し幅広になってございまして、果樹園、あるいは、特に多いのが直売所関係、それから、大豆、そばについては、幅広くJAなどの取扱品でも報告されている。それから、有機栽培の野菜、こういったものについて多く報告が上がってきてございます。それから、しいたけ、あるいは山菜というのは、これも全般的に風評被害の報告があるということでございます。これは岩手がずっと続きまして、35ページまで、検査も含めてございます。
それから、36ページからは、岩手県の牛乳・乳製品ということで、これも牧草の放射性物質の検出に伴いまして、給食向けの取引の停止であるとか、あるいは売上の減少というのが報告されてございまして、それに伴いまして、37ページ、検査の費用もかかっているという格好になってございます。
それから、38ページは、岩手県の水産物でございます。ここは、タラのほかに、内水のアユ、あるいはオキアミといったものにも営業損害が報告されているということでございます。
それから、39ページ、40ページは、その他の農林産物ということで、きのこの原木、あるいは牧草、牛ふん堆肥でございますが、これについても多く営業損害、検査費用が報告されているということでございます。
それから、41ページからが宮城県になりますが、ここも非常に多く報告がございまして、まず宮城の農林産物でございますが、41ページから、検査も含めますと、76ページまでになります。これは先ほどの岩手をさらに幅広にした格好になっていまして、冒頭ございますが、ホウレンソウとかシュンギク、コマツナ、そういったものからも含めて、幅広く風評の損害が報告されてございます。
それから、71ページ、これは宮城の牛乳・乳製品でございますが、これも傾向としては先ほどの岩手と同様でございますが、具体的な数字がかなり入ってございますが、より顕著に損害が出ているようでございます。
それから、79ページは、宮城の水産物でございます。これも、海産物、あるいは、80ページからは遊漁船業、あるいは内水面の養殖物も含めて、取引停止、あるいは価格の低下という事例が報告されてございます。81ページ、82ページからは、水産加工品、こういったものにも影響が出ているということでございます。
それから、83ページ、84ページは、その他の農林産物ということで、きのこの原木、稲わら、牛ふん堆肥について、多く報告が入ってございます。
それから、88ページから、秋田県になります。秋田県については、これは先ほどからの農産物の傾向も同じでございますが、一番最初のところに、農協系統以外の青果物は基本的に扱えない状況があったということでございます。直売とか、あるいは有機栽培、こういったところに損害が見られるということでございまして、その下も、直売のもの、あるいは、次のページも、直売、有機栽培物が比較的多く影響を受けている。さらには、しいたけ、山菜につきましては、秋田でもやはり影響が出ている。それに伴って、青果物全般の検査費用がかかっているということでございます。
それから、92ページは、その他農林産物ということでございますが、秋田からは、牛ふん堆肥について、これも報告が上がってございます。
それから、93ページからは、山形県でございます。山形県についても、冒頭ございますが、野菜の仕入れが西日本にシフトされたとか、あるいは果樹、その下の方は有機栽培物でございますが、そういったものについて影響が出ているという報告がございます。
それから、96ページは、山形のその他でございますが、きのこ原木、牛ふん堆肥、影響が出ているという事例が報告されてございます。
それから、97ページ以降は、茨城、栃木、群馬、千葉と続きますが、千葉までは、これは中間指針で農林産物の風評被害が全般的に明記されているところでございますので、ここについては、その他の農林産物ということで、きのこの原木、あるいは牛ふん堆肥といった中間指針では扱わなかったものだけになりますが、そこについて影響が出ているという格好になってございます。それから、群馬県の牛乳・乳製品につきまして、これは給食用の牛乳に影響が出たという事例が報告されてございます。それから、千葉県もきのこ原木、牛ふん堆肥でございまして、それから、104ページからが東京都になります。
東京都につきましても、栗、アシタバ、葛飾の野菜、あるいは、しいたけ、山菜は都内幅広くということで、影響が上がってございます。アシタバについては、後ほど専門委員からの報告があると思います。ここでも、105ページにありますように、例えば、減農薬で、有機栽培に近いような高付加価値の野菜がデパートから取引を停止されたり、それから、中間指針では明記していませんでしたが、お茶についても影響が出ているという報告がございます。
それから、109ページに行っていただきますと、これは伊豆諸島でございますが、東京都の水産物ということで、サザエとか、カツオとか、こういったものに影響が出ているという報告がございます。その他、これは多摩のきのこの原木といったものが報告をされているということでございます。
それから、111ページからは、神奈川県でございます。神奈川県も、まずこれまでの傾向と同じように、しいたけは全般に影響が出ておると。それから、2番目にトマトとか米とかありますが、こういった有機栽培あるいは減農薬栽培、こういった高付加価値の農産物に影響が出ているという報告がございます。
それから、116ページからは、新潟県の農林産物でございます。これも同様で、しいたけ、ナメコといった、きのこの類いに加えて、米については、これはJAで報告されているのは、上から4番目の長岡のものでございますが、これは新規顧客の開拓が難しいという話。そのほかの問屋レベル、あるいは直売、有機栽培、こういったものに米でも影響が出ているということが報告されてございます。それに伴って、先ほどからこれは一緒でございますが、検査の費用がかかっているというのと、それから、122ページのところにももというのがございますが、これは前にほかの県でも、実を言うと、ももについては間接損害というふうに書いてございますが、福島の果樹園のももが市場に出たことによって、もも全体の価格が下がったというようなことで、これはほかの県でも同様の報告がございます。
それから、123ページは、新潟は、内水面のアユが中心だと思いますが、釣り客なんだと思いますが、その辺に影響が出ている。それから、牛ふん堆肥などは、やはり影響が出ているということでございます。
それから、124ページからは、富山県でございますが、富山県はしいたけ関係に影響が出ているということでございます。
それから、125ページからは、山梨県でございます。山梨県は、有機栽培の野菜に影響が出ているという報告がございます。それから、右下に行って、水産物でございますが、内水面のニジマス、ヤマメ、イワナ、これは養殖物でございますが、出荷量の減少が報告されてございます。
それから、127ページからは、長野県でございますが、これは先ほどのももの話に加えて、これも直売のものでございますが、しいたけ、生栗について報告がございます。
それから、129ページ、岐阜県でございますが、ここも有機栽培のトマト、しいたけについて報告があるということでございます。
それから、次の静岡でございますが、これもタケノコ、しいたけといった、いわゆる山のものに加えて、そこにございます直売の米といったものについて報告があるということでございます。
それから、135ページ、愛知県でございますが、愛知県についても、有機栽培の野菜について、これは1名の消費者が野菜の取引をやめたという報告がございます。
それから、島根につきましては、牛ふん堆肥、それから、広島につきましては、これは出荷制限が出たということもございまして、原木しいたけについて多くの報告がございます。
139ページからは、そういったものを若干まとめた感じで、まず全農の方からの話が書いてございます。品目としましては、乾しいたけ、ここには岩手の入札が低迷しているとか、青森県は被害はないんだけど買い手がつかないとか、あるいは、静岡についても取引の停止があるとか、あるいは岩手のが安くなっているというような乾しいたけの話、それから、大豆について、栃木県産、宮城県産に風評被害が出ているのではないかというようなことが報告されてございます。それに伴いまして、右の検査費用のところでございますが、乾しいたけ、大豆については、幅広く検査をしている。
それから、椎茸商業組合連合会の方からも、乾しいたけの状況が書いてございまして、例えば、141ページにございますが、上から四つ目のポツでございますが、例えば、大阪府の学校給食では、17都県産は使用しないというような話とか、あるいは、その下の方に、産地に関係なくしばらくの間、取引しないとか、あるいは、四国産の椎茸であっても、「日本産」と表記しては売れなくて、「九州産」とか「四国産」と表記しているとか、全体として西日本にシフトされているという現状があるようでございます。
それから、こちらは椎茸農業協同組合でございますが、こちらについて、大手商社が岩手県産を買わないであるとか、あるいは、伊豆産についても、検査に伴う費用が発生しているというような話がございます。
それから、かつお・まぐろ漁業協同組合からも報告が上がってございまして、ここにつきましては、これは遠洋物なわけでございますが、あるところでは、検査結果が出るまでの待機時間ができるので、その間、営業損害が出るというような話も報告されてございます。
それから、145ページ以下は、これは各県に風評被害を防止するための施策というんですか、方策の取組について、いろいろ挙げてもらってございますが、検査を強化する、あるいは販促活動をやる、あるいは証明書の発行をするというようなことを、各県で努力をいただいているということでございます。
その他報告事項というのが158ページからございますが、これは特にきのこについての話が多うございますが、なかなか風評被害を防止するのが難しいであるとか、販売時期に商品を出荷できないであるとか、そういった一般的な話、それから、158ページには、報道に問題があるのではないかというようなことも、現地の県からの意見として上がってきてございます。
ちょっと長くなりましたが、資料1-2の説明は、以上でございます。
【能見会長】 今の点についても、いろいろ質問があるかもしれませんが、後でまとめて伺うといたしまして、続きまして、農林水産物の風評被害に係る調査について、専門委員から、現地調査をされたということでございますから、その報告をお願いしたいと思います。専門委員の藤島専門委員と佐藤専門委員、所用で中座されるということでございますので、先に全ての報告を伺って、一旦そこで中断して、その後でまた質問、質疑等を続けたいと考えております。
それでは、お願いいたします。
【藤島専門委員】 農産物関係のうち、園芸担当の専門委員の藤島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、11月21日に東京都大島町におきまして、アシタバを中心に現地調査を行ってまいりましたので、そのことについて御報告いたします。お手元の資料の1-3を御覧いただければと思います。そちらに基づいて御説明申し上げます。
まず2のところの当該産地等の特徴でございますけれども、アシタバは、東京都の特産品であり、東京都中央卸売市場におけるシェアは、約9割ほどとなっております。ちなみに、年によっては、95パーセントという非常に高いシェアをとることもございます。いずれにしましても、アシタバは、東京都の島しょ部における最重要の野菜でございます。また、ウドとともに、東京都全体で見ましても、代表的な野菜ということが言えると思っております。
次のところですが、東京都においては、アシタバは、主に伊豆諸島で栽培されております。伊豆諸島各島で栽培されたアシタバは、主に、東京島しょ農業協同組合が集荷して、東京市場に出荷するほか、直売所への出荷や、業者が加工場で乾燥アシタバを製造して食品加工会社に販売したり、健康食品として消費者に直接通信販売するなどしております。
なお、個人単位で出荷するケースもあると思われますが、この実態については把握できておりません。
3番、当該産品の生産、加工・流通、消費の特徴でございます。
商品の生産実態ですが、アシタバは、通常の野菜とは異なり、多年性の常緑植物であり、毎年、若葉を摘みながら出荷いたします。なお、加工向けにつきましては、茎の出荷もございます。
このため、先般、セシウムの基準値を超過したケースにつきましては、土中からの吸収によるものか、原発事故に伴い放出されたセシウムが茎葉に付着した後、若葉に移行し、本年になってから検出されたものかは、現時点では不明でございます。
産品の流通・消費実態。
アシタバは、生鮮品及び加工品として流通しております。
生鮮品としては、天ぷらの素材などに使われており、市場出荷されるほか、地元宿泊施設や飲食店で、特産品として提供されております。
加工品としては、健康飲料のアシタバ茶や粉末パウダーの原料等として、生産者や地元業者が乾燥加工を行った上で、全国に出荷したり、地元観光施設等で販売されております。
特に、アシタバ茶については、健康飲料として飲用されているため、無農薬栽培されており、放射性物質のような健康を阻害するおそれのある物質の検出については、特に神経質であります。そのため、先般の放射性セシウムの検出については、基準値以内であっても商品価値を大きく失うものと認識されております。
4の風評被害の状況に移らせていただきます。
6月11日の出荷自粛要請については、大島産アシタバに限定されておりましたが、出荷自粛要請以降、他島産のアシタバについても、月別平均価格が低落しております。それにつきましては、3ページの図の下の方、五つの島のデータが載っているほうを御覧いただければと思います。こちらを見ていただきますと、6月と7月を比べますと、例えば、前年の平成23年については、単価が7月の方が6月よりも高くなっております。いずれの島のアシタバとも高くなっております。が、24年につきましては、7月の方が6月よりも下がっているということで、今回、風評被害があった、これから見てとれると思います。
続きのところですが、また、7月5日に大島産アシタバの出荷自粛要請の解除後も、販売価格は十分に回復していない状況であります。その点につきましては、3ページの上の方の図を見ていただきたいと思いますけれども、この上の方の図で、太い赤い実線になっておりますのが、平成24年産の価格でございます。そして、黒いのは、平成20~22年の平均価格、さらに、青いのが平成23年産の価格です。下の棒グラフの方は出荷量です。これを見ていただきますと、出荷量が少ないにもかかわらず、7月から8月の初めにかけては、赤い折れ線グラフが、青そして黒の折れ線グラフよりも下になっているのがおわかりいただけるかと思います。つまり、出荷量が少なくても価格が低い。これは、当然、やはり風評被害があったというふうに見られるわけでございます。
もとに戻りまして、2ページの方に戻りまして、続けていきたいと思います。
地元宿泊施設や飲食店においても、放射性物質の付着の懸念から、注文が減少したとの声があります。
アシタバ茶やアシタバ粉末等については、放射性物質の付着の懸念に伴い、食品加工業者や消費者の買い控えが発生し、島内の土産物店での販売や本土の流通業者等との取引が減少しております。なお、本土との取引の場合、加工品につきましては、現在も取引量がゼロになっていると聞いております。
さらに、都の検査とは別に、乾燥アシタバについては、出荷先から検査の実施や、安全証明書の添付等の要請があるため、外部委託による検査を実施し、証明書を送付しております。この検査につきましては、1検体当たり約15,000円ほどかかっております。
出荷自粛要請前に出荷したアシタバについても、返品の発生や、自主回収を行った事例がございます。
出荷自粛要請の解除後、取引は回復しつつありますが、島外の加工業者と取引契約をしていたにもかかわらず、出荷自粛要請の解除後も取引が中止されたままの農家や、アシタバ加工事業の拡大を目指して数百万円の新型加工機を購入したまま、それを利用できない島内の加工業者も存在しております。
乾燥アシタバを製薬会社に出荷しておりましたが、出荷自粛要請の直後から、取引が停止され、さらに来年度についても取引が中止となり、年間3,000万円程度の損害が見込まれる島内の加工業者も存在しております。
出荷自粛要請により収穫できなかったため、とう立ちや害虫の発生等によりアシタバが傷むなど、生葉が出荷可能になるまで時間を要した事例もございます。
5番、産地における取組等。
基準値超過以降は、都による抽出検査に加え、生産者や業者においても外部委託による検査を実施しております。なお、この外部委託による検査は、多い業者の場合、30検体前後を行っており、費用全体として、40万円を超えるということでございます。
6、その他の報告事項。
他の野菜についても取引の一時停止や、出荷先等からの要請により検査を実施しております。
原発事故により、椿油の輸出が停止している事例もございます。
基準値を超過したアシタバが栽培されていたほ場は、生産を停止した上で、東京都が試験ほ場として一部を借り上げ、放射性物質が検出された原因究明に向けた調査を行っているところでございます。この結果については、来春には明らかになるであろうと思われます。
審査会等で大島産アシタバに出荷自粛要請が指示されていたこと等を報告することにより、消費者の買い控え等が再燃しないかという懸念が、住民の多くの方々から聞こえました。この点につきまして、ぜひとも御留意のほど、よろしくお願いいたします。
以上で、私の報告を終わらせていただきます。
【能見会長】 続いて、佐藤委員。
【佐藤専門委員】 私、実は、先ほど先生の方から途中で退席ということがありましたけど、退席いたしません。このまま居られますので。ただ、農産関係ということで、一括の方がよろしいということでしたら、説明はすぐいたします。いかがいたしましょうか。
【能見会長】 何分ぐらいで報告いただけますか。
【佐藤専門委員】 藤島先生よりも少し長くなるかもしれません。
【能見会長】 そうですか。それで、その時間まで藤島先生はおいでいただけますか。
【藤島専門委員】 はい。
【能見会長】 じゃ、続けてお願いしましょうか。
【佐藤専門委員】 わかりました。
農産物のうち、米、大豆、そば、有機農産物等の担当をさせていただいております、岩手大学の佐藤と申します。資料の5ページを御参照お願いいたします。
私は、11月21日~22日にかけまして、岩手県一関市、宮城県大崎市、大河原町で現地調査を行ってまいりました。
この現地調査地域を岩手県、宮城県といたしましたのは、都県にお願いいたしました食品新基準値の設定等に伴う農林水産業の風評被害に係る調査におきまして、訂正情報がこの2県から多かったということで、この地域、2県を対象といたしました。一関市は、今の報告書の2のところ、当該産地等の特徴に書いてありますように、県の最南端部に位置しまして、米と畜産が中心の農業経営が営まれておりますが、このうち、市内の大東地区を中心としましては、有機農業にも力を入れている地域がございます。ここでは、有機農産物生産者、そば生産組合、農産物直売所の担当者、JA、一関市役所、岩手県庁等から状況報告をいただきました。
宮城県大崎市では、地域の方々に集まっていただきまして、聞き取りを行いました。この地域は、県北部に位置しまして、米、大豆を基幹とした畜産・野菜を組み合わせた複合経営が主体の地域でございますが、一戸当たりの耕地面積が3ヘクタールでありまして、どちらかというと土地利用型農業中心の地域でございます。ここでは、特別栽培米と野菜の生産者、農産物直売所の担当者、宮城県庁から状況報告をいただきました。
大河原町では、福島県と隣接した県の南部地域、仙南地域と申しますが、この地域の方々に集まっていただきました。この地域も米を基幹とし、畜産・園芸との複合経営が展開されている地区です。ここでも、特別栽培米と野菜の生産者、有機農業生産者、農産物直売所の担当者、白石市役所等から状況報告をいただきました。
まず3の当該産品の加工・流通・消費の特徴から御説明いたしますが、まず大豆につきましては、産地品種銘柄ごとにJA等の出荷団体が相対取引や入札取引を通じて問屋等に出荷しまして、さらにそこから食品加工メーカー等で、豆腐、納豆などに加工された上でスーパーに並びます。また、大豆の価格は、これは資料の8ページを見ていただきながらがよろしいのではないかと思うんですが、その年の生産量の増減や流通在庫の量によって変動いたします。この一番左のグラフを見ていただければわかりますように、23年産の大豆の落札価格は、全国平均で対前年で見ますと、1,470円も上昇しております。これは、東海地域での不作、流通在庫の減少等々、いろいろな要因がございますが、いずれにしましても、全国的に大豆が品薄になったためと考えられます。ところが、ここで岩手県の方、その右側のこれを見ていただくとわかりますように、落札価格は上昇しておりますが、まずそれが小幅だということ、それから、落札率も4パーセント上昇しただけである。さらに、一番右の宮城県に至りましては、落札率は8パーセント上昇しましたが、落札価格は逆に低下しております。要するに、全国的に非常に大幅に価格、落札率とも上昇している中で、東北地域、特に岩手県、宮城県については、かなり格差がついているということがわかるかと思います。
東北地域の23年産の大豆生産は、他の地域とほとんど同様でありましたが、平年並みの北陸、九州、豊作となった北海道で大幅に入札価格が上昇しているのに対して、東北産は全体的に低迷しているというようなことでございます。
こういったような状況に関連いたしまして、売上が減少しました宮城県の納豆業者の方から、取引先から、宮城県の大豆を使用した納豆だけが売上が落ちていると言われているというような話もございました。
次に、そばですが、9ページの資料を見ながら御参照いただきたいと思うんですが、そばの流通は、一般に生産者とそば屋さんとの直接取引もありますし、農協委託取引もございます。一般には、直接取引の方が高品質なもの、銘柄ものが取引されるので、高価格になるということがございます。こういった取引は、ただ、流通量が少なくて、農協委託の販売量の方とは大分違ったような状況にあるということがございます。今回調査いたしましたそば生産組合では、直接取引が、2.3トンのうち0.8トンがこの直接取引になっておりまして、このうち全体の2.3トンの約2割に当たる0.5トンが、原発事故を理由に取引中止になったということでございます。この部分につきましては、新たな取引先を見つければいいのですが、先ほども申しましたように、直接取引は流通量が少ないので、結局は、直接取引に比べ価格の低い農協委託販売にいかざるを得ないというような状況がございまして、その差損分が損害になるということでございます。
有機農産物につきましては、もう一つページをめくっていただきまして、10ページを参照しながら見ていただきたいんですが、有機農産物は流通量が少なくて、日本の場合、青果物では1パーセント未満になるのではないかと思うんですが、消費者・消費者団体や流通業者との直接的な取引が主流でございます。また、有機農産物の主な購入者は、やはり食品の安全性に対する意識が非常に高くて、一般農産物よりも5割以上高い価格で取引が行われているということであります。しかし、有機農産物の購入者は、そういうようなことで、安全に敏感でございますので、風評被害が起こりやすいような傾向がある。一度取引が中止された場合は、すぐに新たな取引先が見つけにくいという状況にございます。このページの一番下にその事例を掲載してございますが、生産者が生産している有機栽培米36トンのうち、16トンの取引先が原発事故によって契約解除になり、行き先を失いました16トンについて、相対的に価格の低い一般栽培米に格下げをして売らざるを得ないということで、損害が発生しております。
次に、これは補足的な調査になりますが、農産物直売所についても説明させていただきたいと思います。ページが11ページになります。
農産物直売所は、委員の皆様方も御存知のように、周辺地域の農業者が農産物を持ち寄って販売しております。施設自体は、その運営経費の大体15パーセント程度を手数料として、これから運営を行っております。したがって、販売高の減少が即農産物直売所の経営を圧迫するような構造になっております。このグラフでは、上が農産物直売所の販売額の推移、下が来客数の推移ですが、それぞれ販売額なり来客数が多く減少しているということがお見取りいただけるかと思います。
これをもう少しよく見ていただきますと、販売額及び来客数の丸1丸2につきましては、原発事故直後の来店客数の大幅な減少が、売上高減少の要因とみられておりまして、販売額の丸3は、山菜加工品の生産者の持ち込み量が減ったためとみられます。そのほか、丸4は、山菜、きのこの出荷制限指示による取扱量の減少と、栽培物の販売不振によるものとみておりまして、丸5は、来客数の減少が、農家の米の持ち込みを控えたものというふうにみております。また、来客数の減少は、今回調査しました全ての直売所で、今日まで続いているということが言えるかと思います。
最後に、検査費用についてですが、これにつきましては、最後のページに掲げております。12ページ、13ページあたりに関係資料、直接な資料ではございませんが、この辺を参照していただきたいんですが、直接販売や農産物直売所で販売される農産物で主に行われているのが、自主検査でございます。特に、自主検査は、販売のトラブル防止が目的でございますけれども、それ以外にも、検査を行って、直接販売される消費者に、販売物とともに送付する。いわゆる検査結果を送付することによって、販売単価、販売数量、直売所の来店客数の確保に貢献しておりまして、こういったような直売所は、有機農産物の生産者にとっては自主検査は必須であるというふうに報告を受けました。また、この費用につきましては、御承知だと思うんですが、当然ながら、単なる検査費用だけではなくて、検体の費用なり、あと、その輸送等にかかる費用が生じております。
3ページに戻っていただきたいんですが、全体のページでは7ページの一番下のところになるかと思いますが、次に、産地側における取組について御報告しておきますと、いずれの産地におきましても、大豆や米につきましては、放射性セシウムの吸収を抑制するように、カリウム成分をより多くするような施肥対策を行っております。また、風評被害に対しましては、先ほど申しましたような検査結果の公表、提供等々、それから、新たな販路を別途に開拓するような取組も行われています。
最後に、今回調査しました岩手県と宮城県につきましては、農産物では「そば」で出荷制限指示が出されており、また、「大豆」でも100ベクレル超が検出されたために、県の指示による出荷自粛が行われておりまして、年明けには出荷制限指示が出される予定になっていることを報告いたしまして、報告を閉じたいと思います。
ちょっと長くなりまして、どうも恐縮でありました。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、御説明の方はここで一旦中止いたしまして、今御説明いただきましたお二方に対する質問等がございましたらお願いしたいと思います。
【中島委員】 今の佐藤先生の御報告ですと、流通上のトラブルを避けるためには自主検査が必要であるという御報告でしたけれども、指針では、検査費用を賠償対象にするためには、取引先から検査を要求されなければならないということになっていますが、この自主検査というのは、実際上は流通過程で要求されていると、事実上、そう理解してよろしいんですか。
【佐藤専門委員】 この点につきましては、実は、3か所のところで御参集いただいた方たちに伺いました。そこの限りということですが、口頭、いわゆる電話とか、それが大半であって、書面によるものは、私どもではそういうものは受け取っていない。ただ、電話では、大手の流通業者さんとか、そういうところからそういう要請を受けている。したがって、それに対応せざるを得ないと。ということで、私どもも、書面のものをできるだけ集めたほうがいいとは思ったんですが、今回、そういうものは提出できなかったということでございます。
事務局の方でも大分探して、見つかったかのようにも伺ったんですが、この中には今回提出できなかったのではないか。報告書のときには、もしかしたら、そこのところは改めて御用意できるかもしれないということで。ただ、大半が口頭であるということでございます。
【中島委員】 こちらの得ている情報でも、口頭がほとんどであると。にもかかわらず、東電側は書面を要求しているので、その点で、ADR等で止まっている例が多いというふうに聞いておりますけれども、その辺は何か情報は得ておられますか。
【佐藤専門委員】 私どものところでは、今、メモをもう一回読み直さないと正確なところは申せないかもしれませんが、それが直接的な理由で止まっているということではなくて、中間指針に記載されていないので、地域が、どちらかというと、なかなかうまく認めていただけないというような報告は1件だけございましたが、検査要求書とか、そういうものがそろっていないということでという報告は、会場では受けませんでした。
【能見会長】 ほかにいかがでしょうか。
【藤島専門委員】 今の件についてよろしいですか。
大島の調査につきましても、自主検査については、これは書面で要請されるということはなかったと思います。我々も、書面のことは一つも聞いておりません。全て口頭で来たものに対して対応してくるということになると思います。
そして、この自主検査は、例えば、今回、我々はアシタバの調査をやったわけですけれども、アシタバについて出荷を制限されたということがあるものですから、アシタバについてやったわけですが、そうでない品目についても、自主検査を求められておるという話が幾つもありました。
以上です。
【能見会長】 今、中島委員が問題提起されましたように、書面で要求されているかどうかというのを決定的な基準にすべきものではないような気がしますね。実際上要求されているということによって、その費用というのが損害になっているというのが正しい考え方なのではないでしょうか。
ほかにいかがでしょうか。
ここの流通の実態とか、そういうところ、全く私は素人なので、よくわかりませんけれども、ここは風評損害ですから、要するに、出荷制限そのものの対象ではなくて、出荷制限が解除された、あるいは、出荷制限の対象品目でないけれども影響を受けている、そういうものの流通がどうなっているかということの御説明だったわけですよね。
それで、単純に私がどういうふうに理解したらいいかと思ったのは、今日のお話を伺っていますと、生産者から、一般的には、流通のプロである卸とか、あるいは加工業者とか、そういうのが一旦入って、最後、消費者のところへ行くというときに、消費者はおそらくいろんな人たちがいて、消費者の段階での――仮に消費者のところまでいけば、そこで消費者に売られる量の低下の問題と、それから、最初の、いわば流通・加工業者、要はプロというんですか、そういう段階で下がる下がり方と、少し違うんじゃないかという気もするんですよね。いいとか悪いの問題ではなくて。
消費者の直接の反応というのは、今日も、例えば直接販売の品目を御説明いただきましたが、そこでどのぐらいの差があるかというのも出てきますけど、ただ、直接販売というのは、普通のマーケットによる消費者とはまたちょっと違う反応を示しそうなので、もし流通における低下の具合とか、消費者における低下の具合とか、そういうことを分けること自体がナンセンスなのかもしれませんけど、もし何かお考えがあれば、お二方に御説明をお願いします。
【藤島専門委員】 流通のどの段階において特に下がるかというと、これは一概には言えないだろうと思いますけれども、卸売業者――青果物の卸売業者、仲卸業者ということだけではなくて、全般に農産物を取り扱う卸売業者の場合は、非常に敏感であろうと思います。
と申しますのは、小売店におきましてもそうですけれども、一旦信頼が傷つくと、これはその後の取引ができなくなるということがあるものですから、先ほどのような自主検査についても強く求めてくるということになっているんだろうと。これは絶対安心ですよ、大丈夫ですよということで小売店側に販売し、そして、小売店側も自信を持って消費者に販売できるという、そういうことが彼らとしても非常に必要だと強く感じているだろうと。
そういったようなことで、確かに消費者のところで価格が下がるということもございますけれども、卸売段階のところで価格が下がるというのは、ある意味では、消費者以上に敏感な形で起きるだろうと考えています。
【佐藤専門委員】 私の担当の方は青果物ではなくて、米、大豆、そば、有機農産物――有機農産物の中にちょっと野菜が入るんですが、ちょっとその点が違っていて、流通の仕組みもかなり違います。
やっぱり大豆でかなり出ているというのは、大豆についての、いわゆるセシウム吸収に対する対策がどのぐらい効くのかというのは、よくわからない部分。その辺が、業者の方たちにとっても、やはり入札をするときの不安感を刺激しているのではないか、ということがあるのではないかというふうに。米の場合は、その辺が大豆ほどは顕著ではなかったということですよね。
それと、有機農産物については、このうち、これも全てではないんですが、ほかのものと比較しますと消費者に直接行っているということ、そして、その消費者の方たちが、安全ということに対して非常にセンシティブな方たちだということが、取引中止とか、購入の中止、そういったことに結びつきやすいという構造を持っているんだと。
したがって、流通業者の皆さんの評価の仕方と、消費者、特に有機農産物の方たちとは、違ったような観点があるのではないかというように、私どもの担当の中では、そういうふうに見ました。
【能見会長】 ほかに、御質問等ございますか。よろしいですか。
それでは、どうもお二方、ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、その他の現地調査についての御説明をお願いしたいと思いますが、そちらでもう順番が決まっていると思いますが。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 資料の順番でお願いいたします。
【内橋専門委員】 中央酪農会議の内橋でございます。今回、私は、飼料の制限指導がなされた区域が所在する3県のうち、宮城県と岩手県2県につきまして、11月14日~16日の2日間、牛乳・乳製品について、牧場と乳業ということで調査をいたしました。
御案内のとおり、岩手県につきましては、全国でも第6位の生乳生産量ということで、この牧場の存在します地域につきましては、傾斜地の多い高冷地ということで、古くから多くの経営に乳牛が導入されて、県内最大の生産量となってございます。また、その地区では、酪農を地域産業、地域活性化の重要な作目として位置づけ、地区の基幹産業ということで、地区を挙げて育成活動をしているということでございます。現在は、発展した酪農を中心にとらえまして、加工した乳製品の販売など、多角的な活動が展開されている地域でございました。
一方、宮城県につきましても、農業産出額の約3割が畜産ということで、乳用牛、肉用牛の飼養頭数は、それぞれ全国第9位、全国第7位ということでございまして、畜産主産県としての地位を確立してございます。また、第9位の生乳生産量を誇っておりますので、大手乳業系列の工場、あるいは中小プラントが整備されてございまして、消費者から支持される高品質な牛乳・乳製品を安定供給しているという県でございます。
今回の現地調査の牧場の特徴でございますけれども、良質な生乳を100パーセント使用して、75℃、15分という低温殺菌を行うノンホモジナイズド――一般的な牛乳は、脂肪球を均質化するホモジナイズという製法でございますけれども、こうした特色ある牛乳、そして、ヨーグルト、きのこヨーグルト、アイスクリームなどの乳製品を製造・販売しているということ。あわせまして、消費者への宅配、観光牧場での販売や中元・歳暮のギフト販売といった特徴を持った牧場でございました。
また、宮城県で調査に伺いました乳業につきましては、地元で生産される新鮮な生乳からつくった牛乳、ヨーグルト、アイスクリームなどの乳製品を製造するほか、これらの乳製品を利用したこだわりのおいしい商品を製造しているということでございまして、県内の小売店における販売のほか、広くネット販売において、全国各地に商品が流通しているという特徴を持ったところでございます。小中学校の学校給食用として牛乳を卸すとともに、保育園等にも納入してきたということでございました。
今回明らかになりました状況といたしまして、岩手県の牧場につきましては、盛岡市内を中心といたしました宅配事業の契約者が、昨年2月、震災前の時点の2,005件に対しまして、24年3月時点で1,546件と、459件減少して、販売額が低下したということでございます。また、23年度の乳製品等のギフト、中元・歳暮等における販売額は、22年度に比較しまして、500万円の減少という結果にございます。また、宮城県内から毎年中高生の牧場体験受け入れを行っておりましたけれども、22年度10校の実績に対しまして、23年度以降は受け入れ実績がないという状況にございます。
また、宮城県の乳業につきましては、隣県の福島県で原乳の出荷制限指示を受けたということもありまして、また宮城県におきましても、昨年5月に牧草の給与自粛要請、さらに、7月に汚染稲わらの給与自粛要請といった、肉牛の出荷制限指示が相次いで出されたということもございまして、牛乳・乳製品に対しても買い控えが発生しているということで、全体売上は20パーセント以上減少したということでございます。また、昨年6月から幼稚園との契約が解除され、また、県内スーパーの1,000ミリリットル牛乳の売上は、23年8月から今年の7月までの間で42パーセント減少するという状況にございます。さらに、関東以西及び乳製品の販売につきましては、昨年8月から今年の6月までの間、38パーセント減少、そして、ネット販売につきましても、注文キャンセルが相次ぎ、販売額が前年度に比べまして20パーセント減少して、直近でも15パーセント減少しているということで、回復に至っていないということでございました。
産地における取組といたしましては、岩手県、宮城県におきましては、原乳の放射性物質検査は、モニタリング検査といたしまして、クーラーステーション単位で週1回の頻度でゲルマニウム半導体検出器で実施されておりますけれども、酪農家が搾った生乳は、組合を通じて、東北生乳販連という指定団体が乳業メーカーに販売するということでございますけれども、東北生乳販連では、乳業が取引先から検査結果を求められる等の対応に応じまして、自主検査を行っておりまして、昨年8月から毎月1回、岩手県下の全集乳路線――集乳路線といいますのは、ミルクタンクローリーで順次農家を回って乳を集めるわけですけれども、その路線単位に150検体、宮城県下におきましても73検体を検査してございます。また、宮城県の乳業におきましても、牛乳とヨーグルトにつきまして、毎月1回、自主検査を実施いたしまして、結果を得意先に報告しているという状況にございます。
その他の報告事項といたしまして、原乳から微量の放射性セシウムが検出されて、地区内の他の乳業の生産地を冠した商品の販売が3割減少するという状況にございまして、これまで築き上げてきました消費者との、高品質で優れた商品であるという信頼関係が喪失しているという状況にございます。
また、当該地区の草地につきましても、利用自粛要請を受けておりませんけれども、独自に除染など、低減対策を実施する予定でございます。
また、宮城県の状況におきましては、県が窓口を開設いたしました電話相談におきましても、消費者からの原乳・牛乳に関する相談件数は、牧草・稲わらの給与自粛要請、あるいは肉牛の出荷制限指示のあった時期に増加するといったことで、放射能への県民の不安を如実に示しているということでございます。
また、23年末から生産者の飼料給与の改善を徹底をするということで、不検出レベルまで低下したわけでございますけれども、学校給食現場では牛乳を飲まない児童が多数発生しているということも聞いているところでございます。
また、次の17ページの資料について簡単に補足させていただきます。事例といたしまして、牛乳・乳製品の販売量の減少でございますけれども、宮城県も含めまして、生乳の出荷制限指示を受けているわけではございませんけれども、新基準値をも大幅に下回る状況にあっても、下のグラフは、食品の流通販売事業者からの報告の例でございますけれども、1リットルパックの売上本数の推移を、いわゆる原発事故と因果関係のある出来事と時期を同じくして低下しているという状況が確認できるところでございます。消費者は、また取引先が、原発事故による放射性物質による汚染の危険性を懸念しているということが言えるかと思います。また、取引先からの検査結果の提出依頼についても、例で示させていただいております。
また、次の18ページにつきましては、特に、大人に比べて子どもが放射性物質の影響を受けやすいということで、一般的にもよく知られているということから、学校給食現場での取引中止の関係について、事例として掲出させていただいております。左側のところは、群馬県の例でございまして、セシウムが低温殺菌牛乳について3.1、3.9ということで、基準値を大幅に下回る状況でございますけれども、検査結果に対して、さらに愛知県の春日井市でも、基準値以下ながらということで、脱脂粉乳などの乳製品について使用を断念したという例でございまして、この群馬県産につきましても、群馬の生乳を販売しております関東生乳販連におきましても、東北生乳販連と同様、全集乳路線、毎月1回、185検体の自主検査を行っているという状況にございました。
以上でございます。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
じゃ、続いて、今度は内藤委員ですか。
【内藤専門委員】 私は、今までの報告と違いまして、稲わらですとか堆肥という、特殊な商品といいましょうか、これらについての現地調査を受け持ちました。
そこで、まず最初に、先ほど事務局の方からお話がありましたが、これらについては、島根県、あるいは新潟、千葉等で、広範囲にわたって問題を起こしている事例でございます。
実は私は順番を逆にしまして、このカラーのページ、22ページを見ていただきたいと思います。
まず稲わら等の粗飼料ということでございますが、畜産におきましては、飼料としては牧草、あるいは稲わら、あるいは、最近でございますが、飼料用の稲――お米ですね――あるいは麦わら、こういうものが対象になるわけでありますが、今回は特に稲わらに焦点を合わせて調査いたしましたが、調査の過程におきまして、例えば、岩手県内で暫定許容値を超える放射性物質が出たということで、関係ない安全な地域にある牧場でやっている哺育・育成牧場で雌子牛を、牛乳を搾るまで約十数か月間預かり、しっかりと放牧するという仕事をやっておりますが、そういうところにも牛が来ないということで、預託料六千数百万円の被害を受けているという事例も把握することができました。
具体的に言いますと、稲わらは牛の餌としてどうしても必要なものであります。年間で約110万トンが利用されておりますが、約90万トンが国産でございます。この90万トンの国産稲わらが、大きく今しぼんでいるわけでありますが、さらに、最近の状況によりますと、先月の下旬に中国でまた口蹄疫が発生したということで、今度、稲わらがまた輸入されなくなったということで、今、畜産が非常に困っております。
それから、3ポツのところでございますが、品質の良い稲わらが収穫される地域では、稲わらが域外にも広く流通しております。稲わらを専門に取り扱う業者も数多くございます。
それから、4ポツでございますが、そこに書いてあるとおりで、安全であると言われておりますけれども、結局、風評被害で流通に乗らずに、生産者が大変困っている。その写真が下でございます。
下にありますように、今回調査対象になりました宮城県の事例でございますが、左の方は、安全な稲わらであるにもかかわらず、流通できなくて倉庫にある。そして、右側が、さらに、それへも入らずに、外で朽ちている、こういうふうな状況でございます。これ以外に写真はございませんが、反対側に立派な置き場がありまして、そこには許容値を超えるものについては、しっかりとそこに保管されているという状況でございます。
稲わらの粗飼料の販売、下に書いてありますが、利用可能な23年稲わら5,359トンのうち、約2,000トンが売れ残っており、値段も12.5パーセント下がっている。これは宮城県の調査事例でございます。
そして、長年取引してきた仲介業者や畜産農家から稲わらの注文が途絶えた(7件)。
稲わらの販売先の畜産農家全てから検査証明書の添付を求められている。そして、それを自費でやっているんだという事例でございます。これも宮城県の調査事例でございます。
また、20~22年産と比較しまして、23、24年産の稲わらの販売量が半減し、販売価格も低下しているという事例でございます。これも宮城県での数字でございます。
それから、24年産の麦わらは利用可能になったけれども、23年産が利用できなかったことから、取引先から今年も利用しないという通告を受け、麦わらの収穫・販売ができなかった。これは栃木県の事例でございます。このようなことでございます。
このような状況のほかに、インターネット等で見ますと、九州管内の某県の畜産課のホームページには、「東北・関東地域の稲わら等にご注意ください!」というのがいまだ載っているという「風評被害」があります。
次に、23ページを見ていただきたいのですが、牛ふん堆肥ということでございます。家畜排せつ物につきましては、資源循環型の観点から、年間発生の約8千数百万トンのうち、およそ9割が堆肥として農作物や飼料作物、あるいはホームセンター等を通じ一般家庭で利用されています。まさに環境保全型の農業の前提になるものであります。
3ポツでございますが、しかしながら、原発事故以降、一部の地域では、暫定許容値を下回ることが確認されても、注文が減少あるいは停止して、廉価販売あるいは無償譲渡する等の事例がありますが、私が行きました地域においては、「無償譲渡すら拒否されている」、「もうそのようなものは持ってくるな」と言われている状況が報告されているところであります。
さらに、在庫の滞留により堆肥舎が満杯となりまして、排せつ物が牛舎内に蓄積される。そして、それを一時的に保管しようとして努力しておりますが、もう個人の限界を超えて、まさに、言葉は適切でありませんが、ふん詰まりの状況というのが現状であります。これは大変問題がありまして、そこに書いてありますように、家畜排せつ物の保管につきましては、法律がございます。このような処理をして、このような保管をしなければいけないという法律があるんですが、このような環境のもとに、それすらも今危機に瀕しておるというのが現状でございます。
下の方の真ん中の図は、今申し上げたようなことであります。
一番下の牛ふん堆肥の販売量の減少、価格の下落等の情報でございますが、納入先から在庫を全て返品、あるいは、取引再開後も、前年比6割減、これは宮城県での事例でございます。
それから、5年間注文が続いていた市内農家からの注文が途絶えた、23年度販売量は半減した、という事例が報告されています。これも宮城県でございます。
そして、JAいちご部会で、地域の堆肥センターの堆肥を利用しないという決定がされて、全く売れなくなったというふうなこともございます。これは栃木県の事例でございます。
こういうようなことが、先ほど事務局からありましたが、このほかに島根、あるいは新潟、あるいは千葉等で、いろいろな形をもって風評被害が起きているというのが現状でございます。
それで、19ページ目にお戻りいただきたいと思います。
私が現場に行きましたのは、11月14~16日の2日間でございまして、岩手と宮城県に参りました。岩手は牛ふん堆肥、宮城が牛ふん堆肥と飼料ということで調査に行きました。調査対象は、そこにございますように、3件でございます。
まず岩手は、先ほどお話もございましたが、農業産出額の5割を畜産が占める。そして、乳用牛・肉用牛の飼養頭数は全国でも上位にあるという畜産県でございます。そして、その中でA社の存在する地域は、山嶺が酪農、畜産に利用されまして有名なD農場があります。当該施設は、バイオマスによる自然エネルギーで循環型社会に貢献しているということで、市町村も積極的にバックアップしている事例でございます。また、家畜排泄物堆肥化施設はD農場から生産される家畜ふん尿を主として、地域の学校等給食加工残渣、もやし、おから、コーヒー等を集めまして、メタン発電による電力、液肥、堆肥を生産しているところでございます。
宮城県につきましては、同じように、農業産出額の約3割強を畜産が占めています。稲作地帯であることから、飼料用のホールクロップサイレージ、いわゆる餌にするお米の生産・供給地となっております。また、稲わらと堆肥の交換によりまして、耕畜連携が進んでいる地域であります。この地域のB農場を訪ねましたが、この方は飼養歴50年、常時飼養頭数が500頭の黒毛和牛の肥育農家であります。この農家は、後ほどありますが、A4以上、いわゆるサシの入った霜降りのお肉を約8割以上生産するという、非常に優秀な農家であります。それから、この牧場があります地域は、有機米生産地域で、生産量の80パーセントを占めている地域です。
それから、C社でございますが、これは稲わらを取り扱っているところは、水田7ヘクタール、大豆4ヘクタール、牧草2ヘクタール、それから、農作業の受委託が1,000ヘクタール、稲わらの収集が400ヘクタールという、非常に幅広い経営をやりまして、全国に稲わらを供給しているところでございます。
3番目でございますが、牛ふん堆肥のこのA社は、堆肥1日29トン生産し、ほぼ全量をD農場に販売しております。D農場では、その大部分を農場に散布しておりますが、一部を自社ブランド堆肥を製造しまして売っているということでございました。県内外への販売している事例でございます。
B農場は、今申し上げましたような大きな肥育農家でございますが、年間3,500トンの堆肥を生産し、有機米栽培用として、近隣の耕種農家との稲わらの交換・販売をしてきたところでございます。
飼料のC社は、毎年稲わら1,000トン、麦わら900トンを扱っています。そして、販売先は50パーセントは東北・関東地域の畜産農家向け、それから、50パーセントは東京以南、そのうち九州が2割ある、全国展開をしている会社でございます。
次に風評被害の状況でございますが、まず県が行った平成24年牧草の放射性物質調査におきまして、暫定許容値を超過していないにもかかわらず、当該施設は需要先のD農場からの要求で、堆肥のセシウム検査を年1~2回提示しているということでございます。当然、費用も発生しています。
次のところは、23年秋のデータでは不検出に近い値であったにもかかわらず、堆肥を使うに当たりまして、いろいろなところから検査を求められている。それでも量が減っているという事例でございます。
それから、稲わらと堆肥の交換を約120ヘクタール行ってきましたが、基準値以下であっても、農家からもう堆肥は要らない、そして現物交換できないということを言われ、この肥育農家は、逆に、稲わらを購入しているということで、年間360万円ほどの経費増になっているということであります。また、一部を野菜農家に無償供給してきましたが、これも断られているということで、この農家は、現在、2年契約で5か所、約1ヘクタールの農地を緊急に借り上げて、一時的な緊急場所として堆肥を置いてありますが、周辺農家から――周辺農家は葉物の野菜農家でありますが、早く撤去しろという苦情が相次いでおり、仲間同士でもこのような状況が出てきているという状況でございます。
それから、飼料の方でございますが、先ほど申し上げました当該経営は全国展開しておりますが、20年来の顧客であった、先ほど事例を挙げた岩手県のD農場でさえ風評被害を恐れ、この宮城からの稲わらを拒否している、使ってくれていないという状況でございます。平成23年度の販売実績は22年度までの20パーセント程度と大幅に減少しています。
それから、2ポツのところには書いてありますが、風評被害で売れない稲わらの保管場所として、自分の水田をつぶして圃場にしていますが、写真に見るような状況でございます。
次に、地域での取組につきましては、そこに書いてあります。D農場で使用している敷料については、汚染地域から購入しない、それから、宮城県からの稲わらを一部購入していたが、これは使わないというふうな形で、同じ東北地域においても、「安全」であっても、このようなことが実際行われているということでございます。
それから、肥育農家でございますが、仲間3人で18ヘクタールを借り入れて、チモシー――牛に使う餌、牧草ですが、自給飼料を生産していましたが、農地の貸し手の農家の方々からは、「堆肥は使わないでほしい」ということにもなっています。堆肥を使わないで牧草生産なんていうのはあり得ないわけですが、いわゆる地域の仲間内でもこのような状況が発生しているということでございます。そのことで、自費で飼料も検査をしているわけでありますが、どうしても科学的に安全といえども、現実に利用者からは安心は得られないで、このような困っているんだということです。
それから、その他報告事項ですが、代替飼料(稲わら)については、現在、計算をして東電に請求しているけれども、思わしくないようです。
それから、肥育農家の事例ですが、「風評被害」により堆肥が売れない、そうすると堆肥が滞留する、そして、もう牛舎内がふんでいっぱいになる、そうすると頭数を減らさざるを得ない、あるいは減らさないためには敷料を使わない、そして畜舎内の環境は悪化し、体重が落ちると同時に肉質も落ち、この牧場はA4以上85パーセントぐらいあったんですが、今は50パーセントぐらいに落ちたというふうな状況があります。そして、病気が発生する等々で、ここに書いたように、悪循環を来しておりまして、もう個人の限界を超えているということでございます。
それから、最後のところでありますが、そこに書いてあります、近隣への環境問題を引き起こすおそれがある。適正な保管に係る費用の賠償も早急に検討してほしいということです。
21ページ目でございますが、稲わらの方は、現在、東電に、22年度の売上を基準として、請求月の売上との差額に貢献利益率――これは算式があるようですが――を掛けて請求しているけれども、まだ返事が来ていないということでございます。
県下の状況を見ますと、そこに書いてあるとおりであります。
ちょっと時間が押していますが、一言言わせてください。生産者から委員の皆さん方に伝えてほしいという強い要望がありました。1点目は東電は、「中間指針にない」、あるいは「対象地域にない」ということで、話に乗ってこない。。
2点目は、話し合いがようやく詰まるとなると、1年で東電の担当者がかわってしまう。結局、遅々として進まない。
それから、3番目は、強く要求する者には、早く、100パーセント以上の補償が出ている事例がある。これは、必要であれば名前も言ってもいいという状況であります。
それから、ある生産者はこれはかわいそうなぐらいですが、「22年度の実績に比べまして、70~80パーセントの水準に戻れば、それ以上は東電に要求しないので、東電はもっと頑張って、24年度中に補償額を出してくれ」というところまで生産者は本当に努力しているということであります。
それから、これもやむを得ない声かと思いますが、「国行政が基準を設けて、科学的に安全といえども、現実的に使う方の安心が得られないんだ、これをどうしたらいいんだ」という、本当に涙声で訴えられました。
また、「因果関係を示すことが非常に重要であることはわかるけれども、生産者は日々、困っている。東電は実態を直視して、前向きな対応をしてほしいんだ。もう個人の限界は過ぎている」という生の声が寄せられましたので、お伝えしたいと思います。
以上です。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、続いて、お願いいたします。
【村上専門委員】 それでは、24ページからでございます。私、日本特用林産振興会の村上と申します。
私の担当は、しいたけの原木、菌床、それから乾しいたけ、山菜ということで、11月6日~20日のうち3日間かけて、岩手県と静岡県を調査してまいりました。先ほど、定性報告の中でも話題になったように、非常にきのこ関係の話が多うございます。まず皆さん方に、原木きのこはどういったものか等について簡単に御説明させていただいてから、話をしたいと思います。
ページ数、38ページでございます。原木しいたけの栽培方法ということでございます。簡単に説明させていただきます。まず、原木を11月ごろ伐採いたしまして、これを大体90センチぐらいに切って、そこにドリルで穴をあけたものに植菌し、大体一、二年ぐらい伏せておきますと、菌糸が原木の中に十分に回ってくる。ということで、大体1年たちますと、水に浸けて刺激を与える。ところによっては、金槌で小口をたたいてというようなやり方もありますが、大体一般的には一、二日水に浸けて刺激すると、きのこが出てくるということでございます。大体1本の原木から900グラム程度とれるということでございます。
それから、次の39ページでございます。これは菌床しいたけの栽培方法ということで、おがこ、鋸屑でございます。これと栄養体、米ぬかとか、ふすまとか、そういったものを固めて、その中にしいたけの種菌を接種するということで、大体120日ぐらい培養室で置くと、きのこが発生してくるということでございます。1回の収穫後、水に浸水するということによって、大体三、四回ぐらいとれて、1培地当たり500グラム程度とれるということでございます。通常、温度や湿度管理なんかがきちんとされたところで栽培されているということでございます。
それから、次の40ページでございますが、これは乾しいたけの生産工程ということで、国産の乾しいたけの99パーセントは、先ほどの原木しいたけを干して仕上げるということでございます。ここに書いてございますように、生のしいたけを栽培しまして、えびら並べとなっていますが、これはしいたけを並べる容器、下の方から風通しがいいような、そういう容器がございます。これに並べて乾燥させるということでございます。しいたけは大体水分が約90パーセントぐらい入っていますので、これを大体七、八パーセント程度まで乾燥させるということでございます。乾燥機の、小さいものについては大体8~12時間ぐらい、それから、大きいのになりますと15~18時間ぐらいということになっています。次にこれをふるい選別ということで、虫食いとか、そういうものを除いた形で選別して、出荷するということになってございます。
それから、ちょっと前の表にかえりますが、36ページ、37ページでございますが、これは岩手県における11月30日現在の出荷制限等品目ということでございます。原木露地しいたけ、乾しいたけ等が、かなりの市町村で出荷制限を受けているということでございます。また、後ほど御説明しますが、山菜、こしあぶらとか、ぜんまいとか、そういったものを中心に出荷制限がかかったということでございます。
それから、静岡県におきましては、今回調査したところの伊豆でございますが、出荷自粛ということで、これは23年9月30日まで収穫したものを自粛しているというような状況になってございます。
それで、24ページにかえっていただきまして、産地の特徴ということでございます。
岩手県の場合でございますが、平成23年のしいたけの生産量は約6,000トンということで、全国3位、東日本では1位ということになっています。うち菌床栽培が95パーセント、原木が5パーセントというようなことでございます。
それから、乾しいたけの生産量でございますが、これが216トンで、全国で5位、東日本では一番多いということでございます。乾しいたけの生産につきましては、技術者も優秀な方がおられますし、気候的に恵まれているということで、全国品評会を毎年やっておりますが、これで農林水産大臣賞を受賞された方が多く輩出されてというような状況でございます。
それから、山菜でございますが、御承知のように、東北地方は山菜の宝庫と言われています。多いところは山形と秋田、新潟なんかが多いんですが、ここ岩手においても山菜が豊富でございます。ちなみに、わらびにつきましては、23年の生産量が約22トンということでございます。
それから、静岡県でございます。静岡県につきましては、乾しいたけでございますが、これが23年は124トンということで、全国6位、東日本第2位ということであります。乾しいたけの一番多いのは九州の大分等々でございまして、四国、九州が上位を占めているところでございますが、東日本では静岡の方も健闘されているということでございます。
それから、この対象地域につきましては、ブランド化された商品もございます。それから、しいたけの専業生産者という方が約134名おりまして、これは全国3位、東日本で一番多いというような状況です。静岡につきましても、全国的な乾しいたけの品評会で優秀な賞をとるという方が多く出ているところでございます。
それから、3番目の生産、加工・流通、消費の特徴でございます。生しいたけ、菌床、原木につきましては、先ほど御説明しましたので、省略させていただきます。
生しいたけの流通でございますが、生産量の約3割はJA全農いわてが扱っておるということで、ここで扱ったものは中央市場に出しているということでございます。残りの7割は、大手スーパー、地元スーパー等々に出荷されていまして、野菜等と一緒に並べているということでございます。
それから、乾しいたけでございますが、これは静岡、岩手両県とも言えるんですが、生産規模、1万本未満の生産者が約8割ということで、小規模零細な生産体制をとっているということでございます。
岩手県におきましては、流通関係はJA全農いわてと県森連の方が約5割ずつそれぞれ扱っておりまして、全農の方は全農系の系統市場ということで、これは埼玉の久喜市にございますが、ここの入札会場に出荷する。それから、県森連の方は、日本椎茸農業協同組合連合会、これは静岡県の藤枝市にございますが、ここに出荷して入札にかけるというようなことでございます。
それから、乾しいたけの流通ですが、静岡の場合、農協が県内生産の約7割を扱っている。農協、これは単位農協でございますが、残りにつきましては、全国的な組織に2割程度、残りは県内のスーパー、直売等ということになってございます。静岡県の特徴は、日本椎茸商業協同組合連合会という、流通・加工の団体がここにありまして、東日本最大の乾しいたけの供給基地ということになってございます。
山菜につきましては、いろんな種類がございます。皆様御承知のとおりでございますが、主に直売所においては生食用のものを出しておりますが、そのほかにも、塩蔵とか乾燥といったものについても販売されているということでございます。
山菜の流通につきましては、生産者が1束とか2束とか、そんな大量の持ち込みはしなくて、自ら値札をつけて、包装したものを直売所で販売して、残ったものは自分で持ち帰るというような販売システムをとっているということでございます。
それから、風評被害の状況でございます。
まず生しいたけ、これはいずれも岩手県の事例でございますが、新聞報道で「きのこ、原木が汚染か」というような記事の後に、大手スーパー向けに納入した業者から、口頭で納品を止めたいというようなことで、受注が激減したとか、それから、本年4月に500から100ベクレル毎キログラムに変わったわけでございますが、そういう段階で基準値超えの報道がありまして、それ以降、納入業者から納品の休止を求められたというような事例がございます。
結果的に、こういう風評被害や、納入業者からのこういう差し止めといったようなことが書かれまして、単価が下がり、昨年9月から本年9月まで、1年間で売上は約25パーセント減収したとか、また、一部の取引先から、「売れないので、価格を下げてもらいたい」というようなことで、結果的に4割近く価格を下げて販売せざるを得なかったというような事例もございます。
また、直売所にも出していますが、ここも売れ行きが悪く、本年7月から25パーセント引きで販売しているといったようなところがございます。お話を伺った方によりますと、手取りがキロ100円を下回るということになると、生産コストもままならないということで、今後続けていくことが難しいのではないかなというような話がございました。
それから、乾しいたけにつきましても、これも一部市町村で基準値超えというようなことがありまして、県から出荷自粛の要請があった、そういう事実がマスコミに報じられたということで、その後、価格等が大幅に落ち込んだというふうな状況でございます。結果的に、平成20~22年平均がキロ5,000円ということでございましたが――これは23になっていますが、24年の間違いでございます。訂正いただきたいと思います。24年には約1,200円ということで、大幅に価格を下げているという状況がございます。
また、23年10月には出荷自粛の要請があり、その事実が、またこれもマスコミに大きく報道されたというようなことで、これは静岡県の場合でございますが、24年の取扱が約5割ぐらい落ち込んだと。また、価格につきましても、約半減したというような状況がございます。
それから、本年2月、9月、これもマスコミ報道されておりますが、食品の基準値を超えるものが流通したというようなことの中で、得意先の大手スーパーから出荷停止とか、売上が3分の1程度に落ち込んだというようなことになってございます。特に取引先から、食品の安全確認とかいったものが相次いでいるという状況でございます。
山菜につきましては、これは岩手の事例でございます。今回、2か所を調査したわけでございますが、本年4月に一部市町村の山菜に出荷制限等があったということで、ある直売所におきましては、来客者が月平均800名から20パーセント減少し、また、売上が30パーセント減少したというような事実もございます。
それから、先ほど申しましたように、山菜につきましては、生産者が1束、2束とか、少量持ち込みが多いわけでございます。その際、直売所の方からは、検査証明添付というような要求がございまして、そうすると、検査のための検体が必要で、大体700グラム~1キログラム必要だということで、それをとるだけでも結構大変なものでございますので、あえて出荷はしないというようなことも起こっているようでございます。
それから、こういう山菜の生食用とか、そういったものの影響を受けまして、例えば、山菜を使ったおにぎりとか、煮物のほか、そういったものも直売所で売っていたんですが、それも売れなくなったというようなことがあるようでございます。
それから、大手スーパーに出店している直売所で、出荷制限品目でないもの、これは35ページに書いてありますが、果物の柿につきましても検査証明を求められたというような状況でございます。
それで、検査体制でございますが、生しいたけにつきましては、岩手県の場合、全戸検査を出荷前に行うということを徹底してございます。
また、きのこ原木につきましても、今の指標値が50ベクレル毎キログラムでございますが、これを超えないようなものにするため、全戸検査を行っているという状況でございます。
それから、加えて、生産者自ら安全性を確保するというようなことで、放射性検査の頻度を高め、自主検査も実施しているということでございます。
また、先ほどの原木の関係でございますが、安全な原木を確保したいということで、お隣の秋田県とかといったようなところや、放射能被害の少ない県内産を使うというようなことを実施しているところでございます。
乾しいたけにつきましては、これも岩手におきましては、出荷前に全戸検査を実施してございます。
それから、全農加工施設では、乾しいたけをパッキングする前に自主検査を実施しているということでございます。
静岡の乾しいたけにおきましては、詰めてある大箱とか中箱とか小箱とございますが、その全箱について、民間の検査機関に依頼して、検査を実施しているということでございます。
それから、一部地域におきましては、本当は摂食時といいますか、食べる段階、水戻し状態で100ベクレルを切ればいいんですが、やはりリスク負担を考えて、自主的に95ベクレルというような数字を設け、これを上回るものについては出荷しない。上回ったものについては、民間の用地を借り入れ保管し、その費用は市が負担しているというような状況でございます。
山菜につきましては、先ほども申しましたように、直売所に持ち込むものは自主検査を余儀なくされるということで、それを敬遠して、持ち込まないというケース等が非常に多いということでございます。
その他報告事項としましては、生しいたけにつきまして、今まで需要拡大ということで、いろいろPR活動をやっていたんですが、それをやること自体がかえってまずいのではないかということで、そういうPR活動も中止しているといったようなこと。
それから、新聞報道の中で、菌床につきましては、出荷制限は一切かかっていないんですが、原木の露地栽培というところで、若干何市町村か出荷制限がかかっている。それが新聞報道になると、菌床と原木と区別なく、しいたけということで報道されてしまう。したがって、菌床については安全なのに、そこのところについても影響を受けているということで、報道の仕方について考えてもらいたいというような御要望もございました。
それから、乾しいたけにつきまして、これは損害賠償を求めるわけなんですが、23年度分(9月~12月)、それから、24年度も(1月~9月分)を請求しておりますが、私が調査した段階では、まだ一切支払われていないということのようでございます。
損害賠償がうまくいかないと、もうすぐに生活資金も困るし、それから、運転資金も困るわけで、それから、やっぱり翌年度以降の再生産するための投資する金が確保できないということで、大きな影響が出ているということでございます。
山菜につきましては、なかなか損害賠償の手続きが進んでいないというのが実態でございます。非常に面倒くさいというのがあるようでございますが、近々、該当市におきましては、産直業者等を対象に、「山菜類の損害賠償請求に係る産直施設等個別相談会」というのを開催するということでございまして、私がヒアリングした業者の方は、ぜひ参加して、できれば、せめて検査費用だけでも損害賠償を求めたいというようなことでございました。
若干長くなりましたから、以上でございます。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、次、お願いします。
【杉本専門委員】 木炭と薪の報告をさせていただきます。資料は41ページでございます。全国燃料協会の杉本でございます。
今回、11月のときに3日間、岩手県と宮城県、それから栃木県で調査をいたしました。その御説明の前に、その結果、宮城県と栃木県の木炭、それから、岩手県、宮城と栃木の薪につきましては、今後、指標値を超えるものが検出されることによりまして、風評被害を大いに懸念している地域があるかと確認していますが、本報告は、風評被害の実態が明らかでありました岩手県の木炭について御報告をさせていただきます。
ここで、主に流通する木炭につきまして、簡単に御説明をさせていただきます。資料につきましては、43ページをお開きいただければと思います。木炭につきましては、原木だとか製炭方法によりまして、大まかに三つに分かれております。原木は主にクヌギとかナラ、カシ、広葉樹が主流でございます。左の区分では、黒炭、白炭、オガ炭ということでございます。今回、被災地17県、岩手県で主流なのは、この黒炭でございます。
黒炭というのは、窯の中に原木を入れて、冷やしたときには窯口を粘土で止めて、それで窯の中で消火するものでありまして、東日本では非常に多いやり方でございます。それで、ここの火力はありますが、燃焼時間がもたないんですけれども、バーベキューだとか、一部焼き鳥、こういうところでもやられております。あと、茶道用木炭は、クヌギの樹皮付きの木炭が非常に珍重されておりますので、これが黒炭で焼いております。
御参考として、白炭は、よく言われる業務用の白炭、備長炭だとか、うなぎ屋さんだとか、焼き鳥、業務用に主に使われております。西日本に多く算出されます。下のオガ炭というのは、製材所のオガ粉を固めて、棒状のオガライトというのを炭窯に入れて炭化する。これは天然炭に比べますと、爆跳、はぜるということがありませんので、業務用の焼き肉屋さんなどで多く使われております。いずれにしましても、炭火というのが大分飲食店で増えておりますので、非常に炭は業界では貴重なものとなっております。
下の品質等々につきましては、これは全国燃料協会の方で、固定炭素とか精錬度、炭化の度合いによって、ある程度の炭の基準を決めております。一番下の表は、炭化温度、これは炭窯の中で炭化しているときの炭窯の最終的な温度で、一応精錬度というのを決めております。これが主な炭の概要でございます。
資料41に戻らせていただいて、岩手県におきましては、ナラの広葉樹を主に使いまして、黒炭を生産しております。製炭は、平成23年は413窯、520人が従事しておりまして、炭窯の数、それから、経営体数、生産者とも全国1位でございます。
このことにつきましては、資料44を御覧になっていただければと思います。44、上が黒炭の生産量、右のH23、平成23年が岩手、北海道、熊本と、やはり岩手がずば抜けてシェアを持っております。下の方が黒炭の生産者、やはり同じ岩手がここで520人でございます。これは個人で1窯持っている方がおられれば、20窯という企業製炭でやっている方もおられます。いずれにしましても、岩手が大炭の産地ということでございます。
それでは、続いて、45ページでございます。岩手県における木炭の流通形態というのがこの表でございます。上の黒炭の生産者が、一番多いのは左の方です。集荷業者に一応卸しまして、左の方だと、そのまま小売店に持っていくのが大体1割。それで、あとは集荷業者の真ん中のところなんですけれども、下の移出業者(仲買業者)がいまして、消費地、東京だとか、大阪だとか、もろもろの大都市の卸業者に卸して、小売店、それから需要者に行くということでございます。あと、生産者の中で、生産者の任意団体というのがございまして、シェアは少ないんですけれども、そこから直接スーパーとかホームセンターに売っている方がおられます。これが岩手の黒炭の生産・流通の主なものでございます。
それで、41ページに戻っていただきまして、丸3でございます。やはり黒炭というのは、調理用が主でございまして、レジャーだとか茶道用、工業用の還元剤として使われております。その中に、炭窯で炭を作ったときに、木灰、線香立ての灰を作ってみたり、火鉢の灰に利用されております。あと、製炭のときに出る煙を冷却して、それを液体にしますと、木酢液、これを土壌改良材に使ったり、葉面散布で使ったり、多種多様な用途として消費されております。
岩手木炭協会、自主的な協会としましては、木炭の生産地だとか生産者、それから品質規格を表示しているため、買う方にとりましては、どこどこで作ったということが、風袋の外のものを見ればすぐわかるようになっております。
今回、風評被害の状況を2例御説明させていただきます。
一つとしまして、茶道用木炭として年間約3トンを生産していたところが、納品先から、納品先が自主的に決めた基準以下の納品を求められまして、原木の調達を変更されております。これが46ページを御覧になっていただきたいんですけれども、原木は、なるべく炭窯の近いところで原木を切って窯に入れる作業なんですけれども、これが今回、やはり遠く県北の方からわざわざ切って、持ってこざるを得なかったということでございます。販売相手先からの要請文書というのが、真ん中の、木炭の放射能検査についてということです。真ん中の赤いアンダーラインに関しましては、国の定めたセシウムの基準数値280を確実に厳守するため、弊社においては250ベクレル毎キログラム以下とさせていただくということを記しております。そんなことで、280ぎりぎりであったものが、この向こうからの業者の要請文書によりまして、原木を遠くから買って、わざわざコストを上げなくてはいけない。ただ、売るほうに関しては、そのままの価格として落とせませんので、自分で吸収して検収になっているということが一例でございます。
続きまして、2番目としましては、ページ42でございます。ここにつきましては、同じように、47で御説明させていただきます。これは大手の線香メーカーに出荷されました製炭時に発生する木灰――窯の中で原木を焼いて下にたまる灰、これは岩手だとかは非常にいい灰が出ますので、これを大手線香メーカーが買っていたんですけれども、その線香メーカーが、自分でセシウムを検査したところ、微量に入っていたということがございまして、いきなり、口頭なんですけれども、取引を停止させていただくということでございます。その業者さんは、今でも在庫2トンを抱えております。ちなみに、その微量に出たセシウムに関しましては、岩手木炭協会の検査では、原木のセシウムの数値は、国の基準の280以下であるNDの30ベクレル以下だったんですけれども、そういったことで取引が停止されたということでございます。
5番目で、産地においての取組なんですけれども、これにつきましては、木炭協会は、会員の8割が入っておりましたので、セシウム濃度の検査を代行する仕組みを取り入れて、検査の確実な実施体制の会員への指導等々をやっております。
あと、流通業界につきましては、非常に安心したのが、48ページでございます。震災後、国の基準が11月に出た後、木炭に関しては、調理品を上に載せますので、その調理品へのセシウムの移行がないかということだったんですけれども、お国からの指示があったおかげで、それを検査したときには、それ以下のものを出すということで、これが48で、下から6番目なんですけれども、岩手木炭協会では、そのため、現在流通している岩手木炭については、国が示した当面の指標値280ベクレル毎キログラム以下であるので、安心して使ってくださいという、御自分での協会の方の対応が出ましたので、全国各地のバイヤーもろもろに関しては、消費地に関しては、安心して岩手物を今使っております。
あと、最後で、その他の報告としましては、宮城県とか栃木県におきましては、国が定める指標値を完全に超える木炭が検出されておりまして、現在、損害賠償請求中でございます。
それから、指標値を超えました地域を中心に、岩手の中でも風評被害、買い手さんの方が東日本を避けているということが出ておりますので、今後、指標値以下でありましても取引停止等の風評被害の発生を大いに懸念している次第でございます。
以上でございます。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、田坂さんにお願いいたします。
【田坂専門委員】 それでは、水産物を担当いたします中央水産研究所の田坂でございます。
調査期間は、10月18日~11月20日までの9日間、そこに記載いたしました北海道、青森、岩手、宮城の、対象は県庁、あるいは漁連組織、産業団体等から情報を収集いたしました。
それで、まず風評の前提となります水産業の特徴というものがやはり効いているなというところがございますので、51ページの3ポツの(1)、水産物及び水産業の一般的特徴のところから御説明いたします。
まず魚は、ともかく動くものであるということです。季節ごとに広域に移動する魚もございますし、移動量が少なくてもやはり移動しているということ、これは当然国民も知っているわけで、制限区域を設定しても、魚は動くので、ほかの海域でも汚染状況はやっぱり不安だなという判断がどうしてもそこから出てくる。それから、海水も動くものであるということで、これが非常に需要の方に効いてきている、あるいは、産業界の方に効いているという状況がございます。特定の魚の検査値が、100まではいかないまでも、少し高目に出ると、ほかの魚も高いんじゃないかとか、そこからくるのは、全数調査をしてほしいとかいう要望になって、それが無理であるのなら買わないという、買い控えの方に向かう傾向がございまして、漁業団体も流通段階も、そういう状況の中で、現在、対応をいろいろしているということがわかりました。
それから、漁業自体も、魚群を追って漁場を移動して操業するものなので、それがいろいろなところに水揚げするという行為になるわけです。これが非常に大きな特徴になっているということです。
また、漁獲のときに、この魚は捕ってはいけないというような指示が出ても、その魚だけを避けて操業することは困難を伴うという産業特性がございます。
また、水産物は、浜において価格形成が行われる産地卸売市場というものがあって、産地に立地している加工産業とか、出荷仲買人とか、冷凍冷蔵業者とか、そういう関連諸産業が集中することによって値付けが行われ、流通していく、価格形成が行われているという特徴がありまして、言ってみれば、地域の水産クラスター全体の中で、この放射性物質問題というものが今日あるということで、影響もこのクラスター全体に及んでいるという状況でございます。これが、まず水産をとらえる際の重要な視点になってまいります。
それで、今回調査をいたしました地域、どういう特徴があるかというところを、51ページの2ポツと3ポツの(2)を使って、簡単に説明いたします。
まず、三陸沖は、ともかく黒潮と親潮がぶつかり合う、世界でも有数の好漁場を形成しておりまして、(2)の丸1のところにございますように、全国の生産の42パーセントの漁獲をあげているという大きな産地でございます。そこでは、養殖も行われておりまして、ホタテ、カキ、ワカメ、こういったものでは全体的に全国のシェアが非常に高いものがございます。
また、養殖視点で、もう一つ重要な点がございます。主に魚類の養殖は、水温の高い西日本の方を中心に行われているんですが、ここに向けての餌の供給が、この三陸を中心とした地域からなされているということで、生餌の全体の6割ぐらいがこちら発で西に流れているという状況にございます。これは、放射性物質の影響という点において無視できない点でございます。
それから、51ページの丸1の三つ目のポツでございますけれども、スケトウダラとかサンマといったように、国内のみならず、大陸、特に中国・韓国、このあたりに輸出されて消費される魚がございまして、輸出が国内産地価格に大きな影響を持つに至っております。それが一つの注目点であると思っております。
また、内陸においても、淡水魚を中心に調査いたしました。これについては、統計がそろっていない状況なので、調査はなかなかやりにくい状況ではございますけれども、遊漁客の減少というかたちで大きな影響が出ているということを確認しております。
また、52ページの一番上ですけれども、冷凍カツオ等の釣り漁船ですけれども、このかなりの部分は太平洋の熱帯域を漁場としているものでございます。日本から出港して操業してくるわけですけれども、これが水揚げする地域にとって重要な産業となっております。
それから、養殖魚については、先ほど申し上げましたように、三陸は餌の供給比率が高い地域です。
以上のような産業としての特徴を基礎として、風評被害がどういう場面に出ているかについて、複数の魚種について見てみました。
まず、特定の地域に限定されずに、共通的に見られる事項を幾つか御紹介いたします。53ページ、これは出荷制限等の対象になっていない水産物が、学校給食の使用において忌避されていることを示した資料です。このような文書というのはなかなかないんですが、現地に赴いたときには、このような検証できる資料を、集めてまいりました。この資料の中で赤枠部分は、出荷制限等がかかっていない県ですけれども、これが給食材料として選ばれない産地として指示文書の中に明記されているということです。北海道、千葉、岩手云々でございます。このような規制値以内であっても流通しない、取引できなくなっているという状況は、各地で話を聞いております。
次のページでございますけれども、これは小売店の反応として、自主基準を設定して対応している事例でして、このようなことは多くなっています。産地の出荷業者もそれに対応せざるを得なくて、自主検査を要求されているという事例が多くありまして、非常に産地側の負担増となっております。ここでいろいろと自主基準の例を記載いたしましたけれども、例えば、一番下の大き目の表で見ていただきますと、これは量販小売店のホームページから持ってきたものですけれども、セシウムのところが13ベクレル、18というような数字になっていても、販売しておりませんというような状況にございます。このように、自主基準に照らして販売できないということで、産地がはねている訳です。
それから、52ページの共通部分の三つ目の指摘として、マダラと名称が類似しているうんぬんとあります。これは、マダラについては、検査値がちょっと高目に出たので、操業規制がかかって、その後解除になりましたけれども、それと同じタラ類であるということで、スケトウダラは、検査値は低いし、餌もマダラと全然違うので、生態的には検査値が高くなるはずがないのですが、スケトウダラが名前が同じタラ類だからということで、マーケットから避けられるというような状況が生じています。また、クロソイも、検査値がちょっと高目になりましたけれども、形状がクロソイと似ているからということで、キツネメバルが流通しなくなる、価格下落になるというような状況が生じています。このような、名称や見かけが似ていることが原因となって、風評の影響が出てくるというような特徴が見られました。
次に、地域ごとに幾つか事例を御紹介いたします。
まずスケトウダラでございますけれども、資料の55ページをお開けください。ここについては、先ほど申し上げましたように、北海道で漁獲されるスケトウダラ、特に生ものは、チゲ鍋の具材ということで、韓国から非常に強い引きがあって、高値で取引されております。一方、国内ではスケトウダラというのは生のものはあまり食べない状況がありまして、より価格の安いすり身の原料に回すわけなんですけれども、大震災以降、韓国の小売店や輸入業者の方から、検査値は非常に低いにもかかわらず、取引が避けられているという状況が生じ、結局、韓国の方でシャットアウトを食っている状況が生じています。このため国内では取引価格がより安いすり身の原料に回さざるを得なくなり、全道的に減収になっています。過去3か年の輸出実績を見ますと、赤が2012年の数字、ハッチが入っているのは2010年ですけれども、これだけ輸出量は減っているという状況です。このスケトウダラの輸出減によって減収が生じているエリアは、北海道地図に記載しましたように、全道的に分布しております。国産のすり身向けの原料に仕向けざるを得なくなったことによる減収の程度ですが、仮に1トンのスケトウダラの3割を輸出向けとし、残りの7割をすり身原料に回していたと仮定して計算しますと、47パーセントの減収になって参ります。これが同じタラ類ということで影響を被っているスケトウダラの例でございます。
次は、マダラについての影響を御説明します。57ページをお開きください。これは同じ北海道の特定の地域の話ですが、新聞記事にあるように室蘭での事例です。基準値に近い、もうほとんど100に近かったんですけれども、超えないレベルの検査値が出た際に、新聞で100ベクレルが出たという報道がなされて、これによって産地買受人が買取拒否するとともに、これまで買っていた分も、日をさかのぼって返品するという事態が発生したということです。中には、この地方からの水産物全ての取り扱いを取引リスクを考えてシャットアウトするような仲買人も出てまいりました。この地方の底引き網漁業者は、制度的に特定の漁港にしか水揚げできない、室蘭しか水揚げできない制度になっておりますので、結局、これは漁獲しても買手がつかなければ赤字操業になるとの判断から、操業を自粛するということになりました。水産物の水揚げ地での取引方法は、下の図にあるように、産地卸売市場において仲買人が買い付けて、それを消費地卸売市場等に持って行って小売業者等に販売するかたちをとっているわけですが、流通の末端に位置する業者が購入を見合わせる、あるいは返品するという行為が行われれば、産地仲買人としても、買い付けても確実に損失が発生するということがわかっているので、買わないという構図になってしまいます。実際に現地では、消費地に向けて出荷したものの返品を余儀なくされて、その取引リスクを全部産地仲買人等が負ってしまうというような状況が見られました。
これに続いて、58ページに記載した事例は同じ地域の話ですけれども、室蘭という名前を出すだけで小売り側から拒絶反応が出てしまうという背景から、浜値が全体的にダウンしていくという状況が生じました。この背景についてご説明します。例えばこの地域では10月はイカの水揚げ時期にあたっており、例年、大量のイカが水揚げされますが、これが室蘭に水揚げされずに、ほかの漁港に流れていくという状況が発生しました。上が10月のイカの水揚量、下が金額ですけれども、青の丸の部分が、この5年間の5中3の平均値、赤丸の方が、今年の値です。いずれもかなり下がってしまっていることがわかると思います。これは産地にとっては、イカを買い付けて小売店に流通させる仲買人の減収に繋がってしまったことに加えて、製氷工場とか冷凍工場などの関連産業にも影響が出たことがうかがえます。
それから、56ページは、同じ北海道ですけれども、これは放射性物質の検査要求が取引先から強く要請されているコンブの事例です。業界団体から漁業者団体の方に、検査結果を公表して商品には検査結果が分かる文書を添付するようにとの要請が非常に多く出されており、産地としては膨大な検査を実施しているということでした。この事例では、文書はございましたが、ほかの専門委員の方々からも指摘がありましたように、文書として残っているものは少なく、ほとんどが口頭での要請であるということでございます。
次に、青森県の例として、60ページの青森県のマダラの例でございます。これについては、八戸において、6月と8月にマダラから基準値を超える放射性物質が出たということで、水揚げを自粛したという経緯がございます。それで、8月27日に制限指示が出されて、その後、モニタリングなどをやって、10月31日に指示が解除されました。八戸市場でのマダラの価格は、低価格の状況で推移していたものが、次第に回復基調に入ったんですが、市場の検査で50ベクレルの値を超えた時期があって、それを契機にまたずっと下がってしまいました。過去5中3の平均に比べると、6割程度の減という状況で推移したという事例でございます。つまり、水揚げの自粛が解除されても、ちょっとした契機でずっと価格が低迷して、需要が伸びないという状況でございます。
61ページに記載したクロソイについても、同様の傾向がうかがえます。すなわち、一旦クロソイから400ベクレルのセシウムが出たので、1か月ぐらい水揚げの自粛期間が設定されて、7月1日以降に自粛が解禁になりましたが、それでも価格はずっと、ここの図にあるように、解除されて以降も、取引価格は低迷状態で推移しています。
どうしてこういう形で価格が低迷しているかというところでございますけれども、なるべく取引リスクを負いたくないという流通業者の思いもありますが、消費者の状況が宮城県の調査でございますので、これを紹介したいと思います。65ページでございます。これは宮城県民を対象に、魚価下落と消費者の意識について調査したものでございます。これによると、ある特定の産地の一つの食品で、暫定基準値を超える放射性物質が検出された場合、あなたはどういった購買行動をするかと聞いたところ、約8割が、「当該産地のものを控える」「他産地のものを購入」と回答をしています。また、一度暫定許容値を超えても、その後、暫定許容値以下、あるいは不検出となった場合、出荷制限が解除された食品について、あなたならどうしますかと聞いたところ、約8割が、「基準値以下になっても食べません」ということを答えております。このような消費者意識が流通業者の取引リスクを最小にしたいという行動に反映されて、基準値以内のものでも取り扱うとリスクになるという考え方が意識の基礎部分を占めてしまって、現実の買い付け行動に表れているものと考えられます。
次に、養殖についてです。68ページをごらんください。先ほど申し上げましたように、三陸の方ではかなりの魚を養殖の餌として全国に供給しているということで、三陸の各産地においては、あるいはは需要家である養殖業界においても、自主検査が行われているところでございます。これへの対応としての産地の動きを見たものが、63ページ、66ページでございます。はじめは、63ページからお願いいたします。
これは岩手県のイサダの例でございますけれども、イサダは養殖の餌などに使われていますが、仲買人から放射性物質検査に対する要望が非常に強く出されました。検査の結果、1検体から23ベクレルという値が出ました。飼料としての基準値は40ベクレルなので基準値範囲内の値ではあるのですが、仲買人からは漁業者に対して、漁獲方法に関する要望が出されました。このため、県の助言もあって、生産者団体は、新たな操業ルールを策定しています。新しい操業ルールはそこに揚げた三つです。まず網が海底に接しないように、海底から10メートル以上を引き網すること、また、水深が70メートルより浅いところでは操業しないこと、さらに、もし網が底に着いた場合は、そのイサダは水揚げしないことの三つであります。これによって、漁業者としてはルールを策定するのに時間がかかって、操業開始時期が遅れてしまったという影響もありますけれども、慣れない操業方法で、なかなか漁獲がうまくいかず、結果として漁獲量自体が減になっているという状況にあります。
66ページは宮城県の、これと同じイサダの例でございますけれども、検査値としては、餌料としての基準値をはるかに下回っているわけですけれども、仲買人と相談して、禁漁区域を設定して対応したという事例でございます。これによって操業制限を決定して、4月には輪番制を導入して、操業する隻数の制限をしたりしています。それでも、検査結果が大幅に下回っているにもかかわらず、買受け人が購入を断る事例が制限区域外でも見られるというような状況があります。養殖の餌を安定して供給したいという思いから漁業者が努力しても、流通の方にはなかなかうまく入っていかないという状況がございました。
また、70ページに掲載したカツオの事例ですけれども、先ほど申し上げましたように、遠洋漁船の場合は、南方の海域で操業して、日本に持ち帰るわけですが、仲買人等の方から、水揚げ時に、船ごと、魚種ごとに放射性物質の検査を要求するという状況がございます。この結果、検査結果が出るまでの二、三日間は水揚げができませんので、岸壁で待機し、その間は、次の操業に出ていけず、結果として減収を余儀なくされているという状況です。この場合、待機期間中のいろいろな諸費用は漁業者負担になるので、さらに経費の増大となり、経営を圧迫する状況になっています。
このように、漁業ならではの取引環境の中に、風評的な要素があるのですが、自主検査というものは、かなりいろんなところで行われております。52ページの5ポツに書きましたように、産地の取組として、養殖魚種であれば、ガイドラインに沿って、養殖業者が餌の管理を行うというようなところがありますし、あるいは産地によっては、簡易検査機器を使って、水揚げ時にサンプル調査を行って、検査値が低いことを検証している例が多く見受けられます。それから、幾つかのサンプルについては、さらに近隣の国指定検査機関の方に回して、その検査値を検証するというようなことを、毎日、水揚げごとに行うという状況にございます。産地への検査要請は非常に強いものがありまして、今後取組はさらに強化せざるをえず、よって産地において非常に高い出荷コストになっております。
最後でございますけれども、水産物の場合は、毎日の取引だけではなくて、1か月、2か月先の販売イベントに向けて商品企画を立案するケースが小売りサイドに増えてきており、産地としてはその販売促進活動に対応することでかなりの取引量を確保できるという魅力があります。そうした取引環境の中で、1か月先に基準値超えの漁獲物、あるいは基準値以下ではあるが少し高めの検査値の出るリスクは少しでも避けたいとの判断に立つ小売側は、取引量の多い企画商品から、東日本の産地の漁獲物を避けるような状況が出てきております。このあたりについては、まだ取引に乗っていないような場面も多いものですから、被害の全体像、当然、例年に比べての取引増減という捉え方は難しく、実態や被害は検証しづらいものであります。しかしながら、産地においては同様の影響として、あるいは被害としてしっかりと認識しており、今後検証する努力が必要であろうと思います。
最後に、検査要求が強くて、それもかなりの部分は口頭で行われています。東電の方は、そこについても書類が揃わないと相談に乗らないというようなことがあり、また指針の方に地域名の記載がないことを理由に、門前払いに近いような扱いを受けるという場面があったことも聞いております。こういった点からも、実勢に即した形で生産者への対応方法を検討する必要があろうかと感じております。
以上でございます。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
皆様の話の中から、それぞれの分野における損害の特徴、風評損害の発生の仕方の特徴、また、ある種、分野をまたがっての共通するような問題、いろいろ浮き彫りにされましたので、こういうことをまた踏まえまして、さらに調査結果に基づいて、この審査会としては、新しい風評被害についての指針をまとめたいと考えております。
検査に関する費用も、皆さん、どの分野においても共通に生じていて、かなり大きな課題であるということも認識いたしました。
もし、委員の中で何か特に御質問があれば。よろしゅうございますか。
今日は本当に詳しい話をいただきまして、ありがとうございました。これを踏まえて努力したいと思います。どうもありがとうございます。
次に、政府の避難区域の見直し等の現状についてということで、これにつきましては、内閣府、それから、復興庁から説明をお願いするということにしたいと思います。
最初に、内閣府の方から御説明をお願いします。
【児嶋参事官】 内閣府原子力被災者生活支援チーム参事官の児嶋でございます。よろしくお願いします。
今日は、警戒区域と避難指示区域の見直しの現状について、前回、8月3日に、この審査会の場で御説明させていただきましたが、本日は、その後の状況を中心に説明をさせていただきたいと思います。資料2-1を御覧いただきたいと思います。
資料2-1は、大熊町の区域見直しに係る、去る11月30日に開かれました原災本部の決定文であります。御覧のとおり、決まったことは三つでありまして、第1に、大熊町の陸域の避難指示区域を三つの区域に見直すということと、第2に、陸域の計画区域を解除するということと、第3に、その実施を12月10日に行うという内容であります。12月10日というのは、本日でありまして、本日午前0時をもって、この区域見直しは無事に開始された、実施されたという報告を受けています。
それから、資料2-2を御覧いただきたいんですが、これは大熊町の区域見直しを行ったことによって、その後の現在の区域の現状を示す地図であります。警戒区域は、太い赤い線で囲まれるエリアまで縮小しています。大熊町を御覧いただきたいんですが、双葉町と富岡町に挟まれた場所にある大熊町ですけれども、御覧のとおり、緑色の避難指示解除準備区域と、黄色の居住制限区域と、赤色の帰還困難区域の三つに見直されています。これで、区域見直しの対象は全部で11市町村あったわけですけれども、そのうち6市町村の区域見直しが済んだことになります。まだ決まっていないのが5町村、すなわち、浪江町、双葉町、富岡町、川俣町及び葛尾村であります。これらの町村につきましても、それぞれの状況や御意向をしっかりと踏まえて、できるだけ速やかに区域見直しを実施していきたいと考えています。
以上が、8月以降の区域見直しの進捗状況ですが、最後に、区域見直しに関連する動きといたしまして、避難指示解除見込み時期の設定が、8月以降、飯舘村と大熊町において行われております。飯舘村は10月19日に設定されておりまして、事故後6年、5年、3年と分けています。資料はございません。
熊町は、町全体が6年ということで、これは11月30日に設定されています。大熊町は、帰還困難区域に町の人口の96パーセントと、それから、生活に必須なインフラとか生活関連サービスの機能が集中しているという事情を踏まえたものであります。
説明は以上であります。
【能見会長】 続いて、復興庁の方もお願いします。
【木村参事官】 復興庁の原子力災害復興班の参事官の木村でございます。
それでは、資料2-3に基づきまして、今年度、復興庁を中心に、住民意向調査を実施しておりまして、その結果について御報告いたします。
まず1ページを御覧いただきたいと思います。住民意向調査の実施概要が書いてございますが、調査方法のところに記載がありますように、国、県、市町村の共催で実施しております。別途、自治体、それぞれ御事情ありまして、自治体独自で実施されている分もあるんですけれども、今回、我々が取り組んでおりますのは、国、県、市町村の共催で実施をいたしておるということでございます。
2ポツに調査項目が書いてございますけれども、これは現在の避難先での状況、あるいは、将来の帰還に向けた意思、そういった共通調査項目を各自治体、これは設定させていただいておりますけれども、基本的には、それ以外、各自治体、置かれている状況様々でございまして、個別に調査項目を付加したり、あるいは減らしたりということをしながら、各自治体ごとにオーダーメードで調査票を作って、それをもとに調査を実施しているということでございます。共通調査項目については、それぞれ共通で比較できるということになっております。
続きまして、2ページを御覧いただきたいと思います。これは現在の調査実施状況でございますけれども、実施済みの自治体が、今日御報告いたしますけれども、二つの自治体、葛尾村と大熊町、速報版は既に公表済みでございます。現在実施中の自治体が4市町村、その下に書いてございますけれども、田村、楢葉、富岡、飯舘とございます。今後の予定が、双葉、浪江、そして、大熊が、年明けに2回目、これは記名式ということで、お名前・御住所を記名していただいた形でやるということで予定しております。
この住民意向調査につきましては、被災12市町村を主に対象にして、協議を進めてきておりますけれども、今年度につきましては、12自治体のうち、8自治体で実施という予定にしております。今実施中の自治体が4市町村ございます。さらに、今後の予定ということで、双葉も12月ということで、大体2月ぐらいに全体の調査結果、速報版でございますけれども、まとめる方向で、今、最終調整をしておりまして、今回実施予定の調査結果につきましては、町民の現状あるいは実態を把握する上で非常に有用だと思っておりますので、年度内くらいに機会をいただければ、また御報告したいと思っておりますけれども、本日につきましては、実施済みの二つの自治体について、簡単に概要を御説明したいと思います。
次の3ページをご覧ください。まず大熊町の結果でございます。大熊町は、御案内のとおり、東京電力福島第一原発に非常に近接した自治体でございまして、放射線量も比較的高いエリア、今ほど御説明ありましたように、(区域見直しが)今日からということでございますが、6年間帰還はしないということでございまして、非常に長期の避難が余儀なくされる自治体ということでございます。実施概要のところに書いてございますが、全世帯、5,000強世帯を対象に調査を実施いたしております。回収率63パーセントということでございます。
まず大熊町への帰還の意向、現時点での帰還意思を聞いてございますけれども、現時点で戻りたいと考えている方は11パーセントということでございます。現時点で判断がつかないという方が40パーセント強、現時点ではもう戻らないと既に決めているとお答えされた方が45パーセントということでございます。さらに、その右側に、それぞれ理由を聞いておりますけれども、帰還しない理由は、放射線量の不安、あるいは原子力発電所の不安が掲げてありますけれども、3番目に、雨漏りでありますとか、あるいはカビでありますとか、あるいは動物が中に入って荒らしているというような状況がございまして、もう家が劣化して住める状況ではないということも、帰還しない理由として挙げられているということでございます。
その下に、現時点で判断がつかないとお答えいただいた方に、帰還を判断するための必要な情報は何かということを聞いておりますけれども、一番求められているのが、インフラの復旧の目途ということでございます。2番目に、放射線量低下の目途、3番目が、受領する賠償額。さらに、第4番目でございますが、この大熊町は、中間貯蔵施設の調査候補地になってございます。その関係の情報、さらに、5番目には、ほかの住民がどの程度戻るか、それも情報としては必要ということでございます。
この大熊町の結果は、11月に公表したわけでございますけれども、今ほど御説明したとおり、戻らないという方が非常に多いという結果になっております。さらに、戻らないという方に理由を聞いても、家が劣化しているということで、非常に長期にわたって避難を余儀なくされる自治体でございますので、もう家がそもそも住めるような状況ではないということでございます。こういった自治体については、まずは長期避難のための取組を我々は進めておりますけれども、ただ単に家を直しただけでは、もとの町に戻るのはなかなか難しいのが実態だと思っております。家だけ戻してもコミュニティが成り立たないという、状況も想定しながら復興を考えていかなければいけないということでございまして、もとに戻すということではなくて、新しいまちづくりでありますとか、あるいは新しいコミュニティの形成をこれから検討していかなければいけないという認識しています。
続きまして、2ポツでございますけれども、長期避難の生活拠点をどこに形成しますかということで、我々、町外コミュニティと呼んでおりますけれども、仮の町とも呼ばれておりますけれども、その居住意思を聞いてございます。大熊町では、復興計画で、会津若松市といわき市に生活拠点を設けるということになっておりますけれども、そこへ移るかどうかということを聞いております。現時点で判断できないという方が半分以上、50.8パーセントを占めておりまして、拠点に移るという方が22パーセント、移らないという方が24パーセントという結果になっております。
続きまして、3番目でございますけれども、避難期間中に希望する住居の形態を聞いております。これは、戻らないと答えた方も含めて聞いておりますが、これは非常に特徴的な結果だと思っておりますけれども、やはり一戸建て志向が強いということだと思っておりますけれども、自己所有(持ち家)を希望される方が半数以上ということでございます。公営住宅、あるいは民間賃貸が、それぞれ2割弱ということで、全体として、自己所有(持ち家)という御希望が非常に多いということでございます。
続きまして、4ページに参りまして、4番目でございます。先ほど申し上げました、町外コミュニティへの移転まで待てる期間を聞いております。これは町外コミュニティに移るとお答えされた方、大体23パーセントぐらい、その方々に聞いておりますけれども、大体3年以内とお答えいただいた方が多くなっております。棒グラフが何本かございますけれども、年代別を下に示しておりますけれども、若い世代ほど、できるだけ早くということで、短い期間を回答する比率が高くなっています。
続きまして、5ポツが、町外コミュニティに移転するに当たって、優先する事項は何かということを聞いております。一番多いのが青い部分、47.8パーセントでございますが、これは希望する住居形態、一戸建てか、集合住宅かどうかということで、まず住居形態を一番優先すると答えた方が一番多くなっております。2番目が、その左の21.5パーセントでございますが、これは希望する地域であること、会津なのか、いわきなのか、あるいは郡山なのかという、地域が優先事項ですというのが2番目。3番目が、時期ですね。できるだけ早く移りたい、時期を優先された方が15.6パーセントということでございます。
右側の6番目でございますが、町外コミュニティに求める機能として何が必要かということを聞いておりますけれども、やはり医療が一番多くなっております。医療が1番、2番目が、生活利便機能であります商店とかコンビニであります。3番目が役場出張所、4番目が介護・福祉ということになっております。若干見にくいですが、折れ線グラフで年代別が書いてございますけれども、オレンジ色の比較的若い世代になりますと、全体の傾向とは若干異なりまして、雇用・就労の場とか、教育が若干高い数値を占めているということでございます。
続きまして、5ページ目でございますけれども、葛尾村の結果でございます。葛尾村は、まだ区域見直しは実施されておりませんけれども、大熊町と比べれば、比較的線量が高くないエリアでございまして、こちらは帰還に向けた取組を聞いております。この葛尾村の調査につきましては、世帯ではなくて、全町民を対象にいたしまして、約1,400名の町民に調査票をお配りしたということでございまして、回収率は74.3パーセントということでございます。
1番目に、まずは帰還の意思を聞いてございますけれども、濃い青い色で塗り潰したところでございますけれども、全体の約4割が帰還の意思ありということでございます。戻らないという方は27.1パーセント、まだ判断できないという方が約3割ということでございます。
右側に帰還しない理由を書いてございますけれども、1番と3番が、先ほどの大熊と同じ、放射線量が不安、あるいは原発が不安ということでございますが、2番目に、これは葛尾村の特徴でございますけれども、山から沢水を引いて生活用水に使われている方が多いということで、水に対する安全性、これが非常に不安であるという回答が2番目ということでございます。
その下でございますが、今はまだ判断できないという方に、戻る際の条件として何が必要かということを聞いておりますけれども、やはり放射線量が1番、2番目が医療でありますとか商業施設の再開、賠償額の確定というのが3番目に挙げられている。4番目が、これは大熊も同様でございますけれども、ほかの住民がどの程度戻られるかということも、貴重な情報ということでございます。
下に参りまして、2番目に、帰還に向けて必要な機能として何が優先されるかということを聞いておりますけれども、一番多いのがやはり医療機関ということでございまして、その下の介護・福祉施設と合わせて、やはり医療、福祉が約半数ということで、一番多くなっているということでございます。次に続くのが、商業施設の19.4パーセントということでございます。
その右側に、帰還するまで待てる年数も聞いてございます。これは3年までと答えた方が半数を超えて、53.1パーセント、5年以内を加えますと、約8割の方が5年以内に帰還を望んでいるということでございます。
続きまして、6ページに参りまして、これは帰還に向けて、自営業の方――自営業の方は、回答した町民の中の約3割を占めておりまして、大部分が農林畜産業を営んでおられる方でございますが、この自営業の方に、村内に帰還した後、事業の再開をするかどうかということを聞いております。再開をしたいと答えた方が26.1パーセント、再開するつもりはないという方が9.9パーセント、まだ判断できないという方がやはり一番多くて、約3分の1を占めているということでございます。
その下の5ポツに、事業再開に向けた課題を聞いております。これは再開意思のある方だけ――母数は非常に少ないんですが――に聞いておりますけれども、1番目がまず除染、2番目が放射能からの安全性の確保、3番目が風評被害の払拭ということで、やはり上位3項目とも、放射能被害への対応というのが一番多く回答されているということでございます。4番目に初めて、新しい設備の投資でありますとか、5番目に新しい販路の開拓でありますとか、そういった回答が出てきているということでございます。
説明は以上でございます。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
これについて、もし委員の皆様から何か御質問等がございましたら。
【那谷屋文部科学大臣政務官】 こうした調査というのは、本当はもっと早くやれたら一番よかったなと思うんですが、一つは、いつまで調査を続けて、そして、この調査結果が出てきたものを、どういうふうに、いつから具体的に、例えば、もう戻ってこないという人に対しての手立てをいつからやるのかという問題が一つと、それから、この調査の対象の市町村ですけど、地図を見させていただいたところ、例えば、南相馬市だとか、川俣町ですとか、川内村ですか、調査の対象にいまだ入っていないというのは、当該市町村の了解を得られていないからなのかどうなのか、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
【木村参事官】 まず、調査の時期が少し遅れた理由ですが、住民の方にいろいろ御判断をお聞きするというのが、この調査の趣旨でございまして、住民の方々にいろいろ御判断をお聞きするに当たっては、やはり国側からもいろんな情報を提供しなければいけない。例えば、放射線量の今後の低下の見通しでありますとか、あるいは、賠償がどの程度の水準になりそうなのかということでありますとか、そういった基礎的な情報がないと、住民がそもそも判断材料がないというふうにお答えになるのではなかろうかということで、その放射線量の見通しでありますとか、あるいは東電の賠償基準が、あれは7月だったかと思いますが、それを待って実施をしたというのが実情でございまして、これからまた順次実施をしていくということでございます。
今後でございますけれども、これは自治体の求めがあれば、継続して続けていきたいと思っておりまして、先ほども若干触れましたけれども、大熊町は、次回はもっと掘り下げて、記名式で、細かく聞いていくという御希望もありますので、これは実際の意向があるうちは続けていきたいと思っております。
特に、こういう意向調査を踏まえて、どういう対応をしていくかということでございますけれども、例えば、町外コミュニティに移りたいという方が何割か今回回答を得られたわけでございまして、その方々に具体的に、例えば公営住宅を御希望されるのかどうかということも含めて、これから第2回目で、新しい調査を実施していくということに生かしていきたいと思っておりますし、そのほかの項目についても、我々の今後の帰還に向けた取組でありますとか、あるいは長期避難に向けた生活拠点の形成に向けた取組に生かしていきたいと思っております。
最後に、意向調査を実施していない自治体でございますけれども、まず広野町と川内村につきましては、もう帰還に向けて実際に動き始めている自治体でございまして、相談に伺ったんですが、特段新しく意向を聞かなくてもよいということで、実施する予定は、今のところはございません。御自分で実施された意向調査もあるということで、そういう状況でございます。
南相馬市は、今、相談に乗っているということでございます。川俣も、同様に、やりたいということで、今、相談に乗っている最中でございます。
以上でございます。
【能見会長】 この調査などを見ますと、中間指針で定めた賠償の今までの枠組みというのが、あれもあまり長期の長期ので、情報がない中でつくったものですから、その枠組みというのは変える必要があるのかないのかということについての、いろいろ示唆のある調査が出ているように思います。
思いますけれども、これは私の個人的な見解ですけれども、やはり何といっても、現時点でもってどうしたらいいかわからないという人は圧倒的に多数であるという感じは、やっぱり持ちますよね。ですから、例えば、賠償の形態を、今は継続的に賠償していますけれども、一括賠償の形に変えるのか変えないのかとかいう議論が今後出てくると思いますけれども、この審査会としては、そこはまだ判断できない人が多いということを踏まえながら、慎重に検討したいという気はいたします。
いずれにせよ、でも、こういう調査は我々の賠償の問題についても重要ですので、ぜひ継続していただきたいという気がいたします。
ほかに、委員の方、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
どうもありがとうございました。では、継続して、また調査、報告をお願いいたしたいと思います。
それでは、議事進行が遅れておりますけれども、次の第3の議題として、東京電力による賠償の現状について、報告をお願いしたいと思います。
どうぞお願いいたします。お座りください。
【東京電力(新妻)】 東京電力の新妻でございます。私は、以前御説明に上がりました副社長の内藤とともに、原子力損害賠償の責任者を務めておる者でございます。日頃は福島県内に常駐しておりまして、本日は、このような説明の機会をいただきまして、感謝申し上げます。
説明に先立ちまして、当社原子力発電所の事故によりまして、福島県民の皆様はもちろん、広く国民の皆様方に大変な御迷惑と御心配をおかけしておりますことにつきまして、おわびを申し上げさせていただきたいと思います。本当に申しわけありません。
また能見会長様をはじめ、審査会の委員の皆様方におかれましては、昨年の4月以降、賠償の環境整備に御尽力いただきまして、心から感謝申し上げます。私どもといたしましては、取りまとめいただきました指針を踏まえまして、迅速、公正な賠償に努めてまいる所存でございますので、引き続き御指導のほど、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、座らせていただきます。
【能見会長】 どうぞおかけになってください。
【東京電力(新妻)】 まず最初に、現在の賠償の状況につきまして、お手元の資料に沿って御説明をさせていただきます。資料3-1を御覧いただけますでしょうか。
昨年10月に本賠償を開始いたしましたが、本年11月末現在で、本賠償額は約1兆3,532億円をお支払いしております。これに仮払補償金を加えますと、お支払いいたしました総額は、約1兆5,017億円となります。本年8月に本審査会で御説明した際には、およそ1兆800億円でしたので、4カ月で約4,200億円の賠償をお支払いしたところでございます。
お支払いいたしました賠償金のうち、避難等に伴う精神的損害や避難費用等の個人様の賠償につきましては、約16万人に対しまして約4,500億円、また、自主避難等に関します賠償につきましては、61万世帯に対しまして約2,600億円となっております。
農業団体様に取りまとめていただいております御請求分につきましては、年末に差しかかってまいりましたので、確認作業を急ぎ、お支払いのペースを上げるよう進めております。9月末までに御請求いただきました分は、年内にお支払いできる見込みで、支払いが年内に間に合わない一部の団体様に対しましても、仮払いの実施などを行いまして、12月末までに約300億円のお支払いを行ってまいる予定です。
次に、賠償にかかわる体制につきまして、御説明させていただきます。資料3-1の裏面にまいりまして、上段にございますとおり、賠償に関わる要員につきましては、引き続き1万人規模の体制で取り組んでおります。中下段にあります図表は、請求書類の確認やお支払手続きにかかる所要日数を示したものでございますが、全体といたしまして、目標日数内で安定的にお支払いを進めているところでございます。
次に、資料3-2を御覧いただけますでしょうか。当社は、11月7日に発表させていただきましたとおり、福島県にしっかり根をおろして責任を全うし、地域の復興に力を尽くしたいという思いから、来年1月、福島復興本社を福島県内に設置することといたしました。代表執行役副社長を現地の代表に置き、その下で賠償、除染、復興などの部署を配置いたします。東京から機能を移転いたしまして、平成25年末を目途に、500人規模の要員増強を行いまして、県内の原子力、火力、水力発電所と連携しながら、総勢4,000人以上の体制としてまいります。賠償につきましては、補償相談室長が福島県内に常駐することといたします。業務の進め方を見直しまして、現地事務所における事実認定権限の強化や、証憑収集の効率化を進めまして、手続きを迅速化し、質の向上を図りたいと考えております。今後開始いたします土地・建物等の賠償では、現地で現物を確認して認定することによりまして、着実に進捗させるよう取り組んでまいる所存です。
次に、8月以降新たに開始いたしました賠償がございますので、これについて4点御説明をさせていただきたいと存じます。
まず1点目といたしましては、旧緊急時避難準備区域などに居住されておられる方への精神的損害を遡及してお支払いしております。中間指針の第二次追補では、個々の避難者が、実際にどの時点で帰還したかを問わず、当該期間経過の時点を一律の終期として損害額を算定することが合理的と示されました。これを受けまして、旧緊急時避難準備区域については、平成23年3月11日から平成24年2月29日の間、また、旧屋内退避区域及び南相馬市の一部地域につきましては、平成23年3月11日から同年9月30日の間、遡及して一律に賠償金をお支払いすることとし、既にお支払いを開始しているところでございます。
2点目は、避難指示区域の見直しに伴う包括請求方式の導入についてです。これまで賠償金を継続的にお支払いしている方々に対しましては、資料3-3に記載しております各賠償項目について、将来分も含め、まとまった形で賠償金をお支払いするものであり、10月からお支払いを開始しております。具体的には、平成24年6月1日以降、避難指示の解除見込み時期までを標準期間としてお支払いし、実際に解除見込み時期が決定された後に精算して、追加の賠償金をお支払いいたします。
なお、就労損害と個人事業主様及び法人様に対する営業損害につきましては、中間指針第二次追補にある、「特別の努力」のお取り扱いを適用させていただいており、事故後に新たに得られました収入・収益につきましては、これを賠償額から控除しないことを基本としております。
次に、3点目といたしましては、指針には明示されていない青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県の観光に関する風評損害への賠償についてです。この点について御説明をさせていただきます。これら東北5県に事業所が存在し、主として観光業を行っている法人または個人事業主の方のうち、他の地方から観光客の解約・予約控え等に伴う減収があった場合に賠償させていただくこととし、10月に発表させていただきました。逸失利益につきましては、利益減少分に5県以外からの観光客の割合として設定した50パーセントを乗じた金額とさせていただきます。対象となる期間については、協議の結果、下落が確認できました平成23年3月11日から平成24年2月29日までとさせていただいております。
最後に、4点目といたしまして、自主的避難等にかかわる損害賠償について御説明をいたします。中間指針追補を踏まえ実施しております自主的避難等にかかわる損害賠償について、追加の賠償を実施させていただくことを、12月5日に発表させていただきました。詳細は、資料3-4のプレス発表文を御覧いただきたいと存じますが、自主的避難等対象区域の妊婦及び子どもの方に対し、平成24年1月1日から同年8月31日までの期間について、精神的損害、生活費の増に対する賠償として、お一人当たり8万円をお支払いいたします。指針に示されていない県南地域及び宮城県丸森町につきましても、妊婦及び子どもの方に対し、同様にお一人当たり4万円をお支払いいたします。さらに、以上の地域内の全ての方を対象として、追加的費用等に対する賠償といたしまして、お一人当たり4万円をお支払いすることといたしました。なお、期間を8月31日までとさせていただきましたのは、中間指針第二次追補を踏まえ、旧緊急時避難準備区域の精神的損害の賠償を8月までとさせていただいていること、当初と比較して放射線量の低下が見られ、不安が軽減されていると考えられることなどによるものです。12月12日より請求書類を発送させていただく予定であり、年内にお支払い開始を目指しているところでございます。
次に、農林漁業の風評被害につきまして、9月に当社は宮城県知事、岩手県知事から調査報告書を受領しており、また、本日、食品新基準値の設定等に伴う風評被害について、専門委員の方々から御報告がございましたので、当社の賠償の状況について御説明をさせていただきます。
当社といたしましては、公正、中立に策定されました紛争審査会の指針を踏まえることにより、多数の被害者様に迅速、公正に賠償させていただくことを基本に考えております。一方で、指針に直接類型化されていないような損害でございましても、個別に事情をお伺いし、当社事故との相当因果関係を確認させていただき、適切に賠償させていただくよう努めているところでございます。
前回、福島県周辺県内の一部の地区で出荷制限が出されました作物があった場合には、県単位でその風評被害を賠償させていただく方針であることをお伝えさせていただきました。宮城県では、各海域において、政府から出荷制限指示等が出されましたマダラ、スズキなどの損害については賠償させていただいており、他の魚種への風評被害につきましても、具体的な算定方法等を御協議させていただいているところでございます。
このうち、養殖銀ザケの風評被害につきましては、津波などの事故以外の要因により、海外からのサケの輸入が増加している市場の状況も踏まえた上で、価格下落分の一部を賠償させていただきました。
また、葉物野菜の一部に関して、指針に類型化されていない県において、出荷制限は出ておりませんでしたが、個別の事情を踏まえまして、風評被害を認めることとし、事故以外の要因も踏まえつつ、価格下落分の一部を賠償することで合意した例もございます。
これら風評被害の評価に当たりましては、事故から1年9か月が過ぎる中、市場には価格変動をもたらす要因も様々ございます。当社事故の要因がどの程度占めるのか、どの部分が当社事故と相当因果関係があると言えるのかなど、客観的に明らかにすることが大変難しいことでございます。当社といたしましては、今後とも個別の事情をしっかりと確認させていただきながら、賠償に努めたいと存じますので、今回の調査をお取りまとめいただく際には、こういった事故以外の要因を数値化することについて、何らかの御示唆をいただけますと幸いでございます。
最後になりますが、当社は事故の原因者としての責任を全うすべく、引き続き損害賠償に誠実に取り組んでまいります。そして、被災された皆様方と福島県の復興に向けまして、社を挙げて努めてまいる所存でございますので、引き続き御指導、御理解を賜りたいと存じます。
当社からの説明は、以上でございます。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
この中間指針を、そこで明記されていないところについても賠償していただいているということについては、私としてはもちろん評価したいと考えております。しかし、賠償をめぐっては、いろいろな意見があり、まだ不十分だという意見もあり、それから、指針というか、賠償のされ方はともかく、賠償が遅いというような、いろいろな意見があって、この部分については、審査会の委員の方も、もし御意見がありましたら、ぜひお願いしたいと考えている次第です。
【大谷委員】 冒頭の御説明で、東電としては、迅速、公正を旨として、できる限りの努力をしておられるということで、それはそれで大変結構なことなんですけれども、先ほどの実態調査の説明者の報告の中にもありましたとおり、例えば、指針にはないということで支払いを拒絶されているとか、請求しているけれども一向に回答がないとかいうような、お話のような総論とはほど遠い対応がされているという不安が被害者の中にあるという御説明がありました。
紛争解決センターにいる私どもの耳にも、当ADRで取り扱っている事件の処理の中で、東電側の対応について、非常に遺憾な、時間の引き延ばしのみ、あるいは、支払いの拒絶というようなことを意図しているような行動がしばしば耳に入る。そういう総論的な方針と実際の対応との食い違い、これは一体どこから出ているんでしょうか。会社の方針なのか。まさかそんなことはないと思うんですけれども。あるいは、職員の資質の問題なのか。あるいは、代理人の問題なのか。その辺は何かお考えがおありですか。
【東京電力(新妻)】 お答えさせていただきます。
まず、私ども、これまでもいろんな場面場面で、東京電力としての対応の遅さとか、それから、いろんなお話を頂戴しているところでございます。そして、そのために、迅速化を進めるために、要員の増強とか、そういったものをこれまでも進めてきているところでございます。
それで、私ども、まずしっかりとお一人お一人、賠償にかかわります内容につきましては、個別事情等もございますので、しっかりお話をお伺いするということを、社内の中でもしっかりと徹底してきているところでございます。
これまでも東電が基準を盾に取って、お支払いそのものに対して否定的な対応をとっているというお話も承っておりますが、私どもはそういうことがないように、これまでも進めているつもりでございますし、今日の御意見も踏まえまして、しっかりと社内の中で徹底をしてまいりたいと、そのように考えております。
【能見会長】 1点付け加えますと、先ほど前半の方でもって、風評損害のところでもって、検査費用のことが問題になりましたよね。それで、中島委員が問題提起をされましたけれども。書面で検査を求めて、ないものについては支払いを――これも実態はよくわかりませんけれども、応じていないということがあったようですけれども、これについてはどうですか。
【東京電力(小川)】 私ども、賠償をする上で、それなりといいますか、やはり言い値でということではなくて、しっかりと、そういったお金がかかったということの確証をある程度求めるということは、これまでもさせてきていただいておりました。御指摘の件につきましても、書面を求めたといったようなことは、事実としてあったようでございます。
一方で、ただ、やはり書面がないという場合も当然あるわけでございまして、これにつきましては、それでは、書面がないならないなりに、例えば、どういう会社の方から、どの部署の方から、どういうことを言われたといったようなことを聞き取って判断させていただくとか、そういった対応も進めつつあるところでございまして、必ずしも書面がないから全部拒絶してしまうといったようなことはないように努めているところでございます。
【能見会長】 ぜひその点は、そういうふうにしていただければと思います。
【中島委員】 今の点なんですけれども、今日の専門委員の御報告を聞いていますと、もはや現時点では、食品関連の流通においては、検査を求めることは公知の事実として、証明をする必要はないんじゃないですか。既に流通業界では公知の事実になっていると言わざるを得ないように思うんですが、その点はいかがでしょうか。
【東京電力(小川)】 今おっしゃった公知の事実であるというところまで、現時点で踏み込んで判断しているということは、御指摘のとおり、まだいたしていないわけでございます。検査を求めるということが、例えば、どの地域においては当然のことなのかといったようなことも、これからいろいろ御示唆をいただきながら、柔軟な対応は目指していきたいと思いますが、現時点で、まだそこまでは進んでいないということは事実でございます。
【能見会長】 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ、中島委員。
【中島委員】 もう1点なんですけれども、先ほど専門委員の報告の中で、北海道の水産物に関して、資料1-3の通し番号59ページですけれども、公式の文書で、ここで資料では赤いラインが引いてありますけれども、風評被害として、中間指針で検査対象とされている範囲というふうになっているものですから、検査対象になっていない自治体として、北海道は対象になっていないから、事故との相当因果関係を認めることは困難であると断定されているんですけど、この検査対象となっていないことが、なぜ相当因果関係を認められない根拠になるのか、このあたりがやはりちょっと硬直的な――大量な処理をされているという事情もよくわかるんですけれども、この辺はもう少し弾力的、個別事情を判断されるということであれば、この辺はもう少し理由づけは違うものになるように思うんですが、いかがでしょうか。
【東京電力(小川)】 それも、御指摘はごもっともというふうに考えております。私どもも、迅速な賠償、あるいは公正な賠償ということが眼目としてございまして、指針の方にも、迅速、公平かつ適正というのが眼目として書かれております。
ともしますと、私ども、特に賠償を始めた、昨年の10月から本賠償を開始しておりますけれども、その当初の時期におきまして、迅速性よりもむしろ公平性ということを重んじすぎたという部分はございました。今お示しいただきました資料の左側半分は、まさにそれが反映されているものでございますが、その後、各方面からいろいろと御批判や御指導もいただきながら、徐々にではございますけれども、公平性だけにとらわれてしまうといったようなことのないように、徐々に態度を変えてきているということで、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
あと、御指摘いただいた点につきまして、この要件というのは、あくまでもその一つです。私どもとして、相当因果関係を認めるよすががどこかにあればということでございますので、今御指摘いただいたポイントだけで賠償するとかしないとかといったようなことではないというふうに考えているところでございます。
【能見会長】 ほかにいかがでしょうか。
今日は、先ほど御説明ありましたけど、風評損害とか、あるいは観光の被害とか、いろいろ、原因がどこまでが今回の事故によるものかというのは、なかなか確定が難しい領域があると思うんですね。ですけれども、今までもそうしていただけているとは思いますけれども、わからないということで拒否するのではなくて、仮払いという形であっても構いませんけれども、とにかく一定割合は関係しているんであろうということであれば、ぜひ積極的に賠償を進めていただけるようにお願いしたいと思います。
今日、いろいろ資料をいただいて、これについても、また詳しく審査会でも検討したいと思いますけれども、次回以降、少し集中的にやりたいと思いますので、その際、また御意見を伺うということもあるかもしれません。よろしくお願いいたします。
【那谷屋文部科学大臣政務官】 大変なことだろうと思いまして、その御苦労には敬意を表したいと思いますが、今、大体お話に出ましたけれども、その一つは、今みたいな文書を出されたときの例集というか、こういうときには大体こういう文書で、賠償に当たらないみたいなことをやっているという、その案件ごとの例みたいなものは集めていらっしゃるのかどうか。保管してあるのかどうか。
そして、そのことについて、余りにも多く来た場合には、逆に言えば、この審査会に、こういう案件があって、我々としては対応に困っているんだけれども、どうしたらいいかという相談を持ちかけることの方が、東電としての能動的な賠償にかかわる姿勢というふうにもうかがえるんですけれども、ここで指摘を受けてから、考えますというようなことでは、やはり今出てきたような、実際の被災者との意識の違いが余りにも大きくクローズアップされる。やっぱりまだまだ格差があるなというふうに受け取らざるを得ないわけで、一応今の段階ではわからないので――お断りするのがいいかどうかわかりませんけれども、お断りしたということに事例集みたいなものは、きちっと、大体何件なのかという、そういうふうなことについてのデータをぜひ今後もとっていただきたいということと、逆に言えば、これはやはり賠償の対象にはならなかったということも、もしかしたらあるかもしれません。そのことについても、きちっと事例集をとっておいて、そして、ある意味、この中で、それがよかったのかどうなのかも含めて、やっぱり審査をしていくということが求められるのではないかなと思いますので、ぜひこの次までには、そういったことを明らかにしていただくように、私の方からは要請させていただきたいなと思います。
以上です。
【能見会長】 ほかに、よろしいですか。
じゃ、そういうことも含めて、また検討をお願いします。どうもありがとうございました。
それでは、最後の議題になりましたが、紛争解決センターにおける活動状況の報告について、これは野山室長からお願いいたします。
【野山室長】 紛争解決センター和解仲介室長の野山でございます。
資料4-1から4までに基づきまして、事件の概況をごく簡潔に説明していきたいと思います。
まず、この表、一番左から、事件受付開始の昨年、23年9月から、一番右側、今年12月6日までの表になっています。一番上、申立件数とございます。前回も報告いたしましたとおり、今年の3月ぐらいから月間約400件、あるいは、それ以上という受付件数がずっと続いていたわけですが、秋に入りまして、9月、10月、11月と、この一番多かったピークより二、三割申立件数が減っているという状況がまずございます。
減った原因が何かということを正確に分析するのは非常に困難でございまして、おそらくいろいろな要因が複合的にあるんだろうと思いますが、その要因の一つと推定されることで、よく被害者側から言われていることが一つございます。それは、当センターの審理に時間がかかり過ぎる。時間がかかり過ぎるので、そんな時間がかかるところに持っていくのでは、とても待てない。金額に不満であっても、東電に請求して、すぐにお金がもらえるほうがいいという声がございます。これは私どもにとっても非常に反省しなければいけない点であろうと考えております。以上が申立件数の推移です。
次に、事件の処理状況でございます。申立件数の下に、既済件数という欄があります。これが、それぞれの月に何件事件が終わったかという数字でございます。今年の夏ぐらいから、概ね月間200件以上が処理できるようになってきております。しかし、その上の申立件数と比較していただければ一目瞭然ですが、まだその月の申立件数を上回る処理件数を出したことがございません。これでは審理期間は伸びる一方でございまして、先ほどの被害者からの不満、苦情に応えることができない。これが当センターの現在の大きな課題であると思っています。
まず、とりあえずその月の申立件数を超えること、それから、現在、主に処理しているのが、今から半年ないし七、八か月前ぐらいに申し立てられた事件が処理の中心でございますので、そのころの事件数、月間四百数十件の処理をその次に達成しなければいけない。さらに、平均審理期間を短くする、和解の賠償提案に至るまでの期間を短くするには、その申立件数をさらに上回る件数、月間500件以上の処理実績を上げていかなければいけない。これが、現在、当センターに課せられた課題であろうと思います。
下の方の一番左端の参考と書いてあるすぐ上に、未済件数累計という欄があります。昨年の9月から、まだ処理されていない事件がどれだけ当センターにたまっているかという数字ですが、とにかく一回も減ったことがなくて、ちょうど11月末では3,100まで達してしまっております。これをできるだけ減らしていかなければいけないということがございます。
他方で、なかなか和解が成立しないと今年の初めごろは言われていましたが、和解処理実績自体は、それなりに増えてきております。全部和解成立という欄が、既済件数のすぐ下にございますが、これが一番右端の合計で1,054件、1,000件を超えました。これはちょうど先月、11月末日で1,000件を超えました。これだけの実績を上げてきたということは一応自己評価したいとは思いますが、被害者の方々のことを思うと、そういう自己評価にのんびりしてはいられないという状況だと思います。
まず、こういう未済件数をどんどん減らして、平均審理期間を短くしていくために大きな二つの柱を、これは前回も申し上げたと思いますが、考えております。
一つが、審理の簡素化ということでございます。今日出てきた話題などに例えますと、例えば、東京電力が書面による証拠がないとだめだと言っても、このようなことはもう今回の原子力事故の経験則によれば、書面がなくても和解提案できる、そういう項目を増やしていくことなどが一つの例でございます。
それから、二つ目が、人員の増強でございます。仲介委員が今年の半ばに、それまでの130名から約200名に増えました。それから、調査官は、今年の8月末現在で約40名だったんですが、倍増という計画を立て、11月に80名を超え、今月1日には90名を超えました。この新しい調査官たちがどんどん仕事に慣れて、戦力化していくことによって、先ほど言った月間500件以上の処理を実現していくことが、当センターに課せられた課題であろうかと思っております。
もう時間もあんまりありませんが、前回、どんな事件があるのかとか、どんな損害項目の請求があるのかとかいう御質問がありました。ごく簡単に説明しますと、損害項目で、全ての事件の中で請求されている割合ということでいきますと、避難費用49パーセント、精神的損害54パーセント、営業損害35パーセント、就労不能損害24パーセント、検査費用8パーセント、財物価値が、不動産が11パーセント、それ以外含め18パーセントという数字が出ています。これは事件受付開始時からの累計です。不動産財物損害などは、最近動き始めたので、全体の比率は低いのだと思っております。
それから、事業者からの申立てで、営業損害が申し立てられている事件の業種の比率ですが、今日話題になりました農林水産業は13パーセント、製造業や建設業など、いわゆる第2次産業系に属すると思われるものが二十数パーセントぐらい、あと残り3分の2ぐらいは、いわゆる第3次産業、流通・販売とか、その他のサービス業と、大体そういうような数字になっております。
あと、前回以降出した総括基準が、資料4-2、4-3、4-4に書いてございます。詳しくはお読みいただきたいと思いますが、東京電力が直接請求で認めている損害の計算方法より、当センターで、それよりも被害者に不利になるような主張をしてはいけないということが定められているものでございます。
簡単でございますが、以上で説明を終わらせていただきます。
【能見会長】 要領よくまとめていただきまして、ありがとうございました。
これにつきまして、何か質問等がございましたら。
じゃ、1点だけ。これ、パーセンテージ、どういうものが問題となっているということで、それとなく、ああ、こんなものかなというのはわかる感じはするんですけれども。この中で、難易度というんですか、難しいというのは、どんなところにございますか。
【野山室長】 難易度は、やっぱり事業者系の損害ですね。逸失利益の算定、それから、原発事故によって生じた追加的費用、例えば、警戒区域の中に工場があったから、急遽、別なところに増設したという、そういうものをどういうふうに損害算定するかということですね。
今日話題になりました風評被害も、細かく考えれば難しいんですが、一通り説明を聞いて、常識的に判断すればいいじゃないか。あまり難しく考えないようにしようということで、審理の簡素化を図ろうと思っております。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
じゃ、中島委員。
【中島委員】 ADRのセンターの総括委員の鈴木委員が、「自由と正義」に、訴訟モデルからの脱却をしないと処理ができないというようなことを言われていますが、その書証をできるだけ簡素化して、証明手続きを簡素化するということであると思うんですが、それは東電側からの請求について、何かそういう感想はお持ちでしょうか。
【野山室長】 東京電力の方が、答弁書とか主張書面でいろいろなことをおっしゃいますが、私どもも1年余り審理をしてきまして、和解案を作成するのに、東京電力が要求する程度にまで細かな釈明要求とか、そこまで細かな証拠提出要求は要らないのではないかという相場観が現在形成されつつあります。
したがいまして、本当に必要な追加の説明の要求や書面の提出の要求、これはもう申立人、被害者の方にはもちろん求めていく必要がありますが、東京電力が求めたからといって、何でもかんでも釈明要求をしたり、書面の提出要求をしたりするということは、審理の遅延を招き、それから、被害者救済を遅らせるということで、問題であろうかと思っております。
釈明要求や書面の提出要求などを徹底してやるというのが、鈴木総括委員の書いてある訴訟モデルで、裁判所の通常の訴訟ではそういうことが行われているわけですが、当ADRでそういうことを行っていたのでは、今回の大規模な被害に対する救済には、間尺が合っていないのではないかという印象を持っております。
【能見会長】 どうも、短い中で要領よく御説明いただきまして、ありがとうございました。
それでは、最後の方は駆け足になりましたけれども、以上で本日の議題は終了したことになります。今日、調査はまだ途中ですけれども、食品の新基準の施行に伴う風評損害について、さらにデータを出していただきまして、これについて審査会としての対応の仕方というのを決定したいと考えております。それ以外の賠償の在り方についても、実際にどういう形で賠償が進んでいるのかということを踏まえながら、審査会としての対応を考えたいと考えております。どうも長い時間、皆様ありがとうございました。
じゃ、次回の予定等ですね。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 次回の日程は調整させていただきます。
本日は、事務局の不手際で時間を大幅に超過して、申しわけございませんでした。
【能見会長】 それでは、これで終わります。
―― 了 ――
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