平成24年3月16日(金曜日)19時00分~21時30分
文部科学省旧文部省庁舎6階 第2講堂
能見会長、大塚委員、鎌田委員、高橋委員、田中委員、中島委員、野村委員、米倉委員
奥村文部科学副大臣、神本文部科学大臣政務官、森口文部科学事務次官、戸谷研究開発局長、田中総括審議官、加藤原子力損害賠償対策室長、篠崎原子力損害賠償対策室総括次長、田口原子力損害賠償対策室次長
【能見会長】 それでは、時間になりましたので、第26回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。本日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
まず、事務局から配付資料の確認をしてください。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 配付資料でございます。
議事次第のほかに、資料1といたしまして、中間指針第二次追補の案がございます。それから、参考資料といたしまして、前回の議事録、さらに、委員の皆様の机の上には、これまでの参考資料をまとめて、参考資料リストという形で、一つにとじてございます。
以上でございます。
【能見会長】 それでは、本日の議題に入ります。中間指針第二次追補(案)についてでございます。本日は、前回の審査会、あるいは、それ以前の審査会の議論を踏まえまして、第二次追補の案というものを用意してございます。これに基づいて議論いただき、そして、もちろん、必要な修正があればそれを修正し、可能であれば本日指針を決定したいと考えております。
この案も長いので、区切ってご議論いただきたいと思いますけれども、最初に、事務局から、全体に関することについての説明をしてもらい、さらに、その後で、項目ごとに分けて議論を行いたいと考えております。
それでは、どうぞ。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、説明は、指針を一通り説明させていただきたいと思ってございます。それでは、お手元の資料1でございます。指針の案でございます。
1ページ目に「はじめに」がございまして、ここは前回の素案と同じ記述になってございますので、説明は省略させていただきます。
それから、2ページの基本的考え方も変わってございませんが、一応最後の5行を確認のために読ませていただきたいと思います。「その際」以下でございますが、これらの指針に明記されていない損害についても、個別の事例又は類型毎に、これらの指針の趣旨を踏まえ、かつ、当該指針の内容に応じて、その全部又は一定の範囲を賠償の対象とする等、東京電力株式会社には合理的かつ柔軟な対応が求められる。ここが従来の指針に比べて、新しく加わったところになります。
それから、2ページの下から、政府による避難指示等に係る損害ということで、まず避難費用と精神的損害でございます。2ページの一番下から、避難指示区域について記述がございます。3ページの半ばぐらいまでは説明でございまして、これも前回の素案と変わってございません。
それで、指針の部分が、3ページの下3分の1ぐらいのところでございます。
まず、指針の1つ目でございますが、期間に関するものでございまして、中間指針で示しておりました「第2期」を、これは事故後1年までとしてございましたが、避難指示区域見直しの時点まで延長し、当該時点から終期までの期間を「第3期」とするというのが指針のローマ数字1)でございます。
それから、指針のローマ数字2)は、算定方法でございまして、基本的に最初の文章は、中間指針で示したとおりとするということでございますが、但し書きが後半にございまして、但し、宿泊費等が賠償の対象となる額及び期間には限りがあることに留意する必要がある。ここにつきましては、前回ご議論がございまして、備考のところとセットでごらんいただきたいと思います。
次の5ページの備考3)でございます。ここについては、前回の議論を踏まえて修正をさせていただいておりまして、宿泊費等は必要かつ合理的な範囲で賠償されるものであり、その額は、例えば従前の住居が借家であった者については、当面は宿泊費等の全額とし、一定期間経過後は従前の家賃より増額の負担を余儀なくされた場合の当該増額分とすることが考えられる。また、宿泊費等が賠償の対象となる期間は、避難指示の解除後相当期間経過までとするのが原則であるが、例えば従前の住居が持ち家であった者の居住していた不動産の価値が全損となった場合については、その全額賠償を受けることが可能となった時期までを目安とすることが考えられるとしてございます。
それで、4ページの指針のローマ数字3)でございますが、ここは損害額の具体的な額を示した部分でございまして、丸1は避難指示解除準備区域、一人月額【○万円】を目安とするという形になってございます。
それから、丸2は居住制限区域、ここにつきましては、前回と少し表現方法を変えてございますが、一人月額【○万円】を目安とした上、これは前回のご議論で、概ね【2年分】としてまとめて一人【○万円】の請求をすることができるものとする。但し、避難指示解除までの期間が長期化した場合は、賠償の対象となる期間に応じて追加する。これが居住制限区域でございます。
それから、丸3の期間困難区域につきましては、一人【○万円】を目安とするという格好にしてございます。
それから、指針のローマ数字4)でございますが、中間指針において解除後の相当期間、これについては、案が2つ示してございます。案1:【6カ月間】を当面の目安とする。案2:今後の状況を踏まえて判断されるべきものとする。ここにつきましては、案1、案2とも、備考とセットでごらんになっていただきたいと思いますが、次の6ページの下のところの備考6)でございます。
これは案1の【6カ月間】を当面の目安とするという場合は、備考につきましては、6ページの下からでございますが、案1でございます。そこに書いてございます丸1、丸2、丸3の3つのこと等を考慮した。それから、さらに7ページの上に行きますが、但し、現時点で実際に解除された区域はないことから、あくまでも当面の目安として示すものであり、実際には解除後の地域の状況等も考慮した上で判断することが適当であるということで、6カ月を示した場合も、このようなことを備考に書くという案になってございます。
それから、案2で、今後の状況を踏まえて判断されるべきものとすると指針でした場合は、7ページの5行目からの表現に備考はなります。避難指示区域は、現時点で実際に解除された区域がないこと等から、少なくとも現時点で具体的な相当期間を示すことは困難と判断した。
さらに、ここに関する備考がもう一つ、7)がございまして、7)の頭の1行ちょっとは、これは案2の場合だけ、【相当期間を具体的に定めない場合であっても、】というのがつきますが、以下は、案1、案2共通でございます。当該期間経過後の「特段の事情がある場合」についてはということで、具体的に、医療・介護が必要な者、あるいは、子供に関しては通学先の学校の状況等、柔軟に判断することが適当であるという表現。それから、最後の5行につきましては、これは帰還時期を問わずに一律に損害額を算定することが合理的であるということが書いてございます。
以下、4ページに戻っていただきまして、備考の残りの部分でございますが、備考1)については、先ほどの中間指針では、事故後1年までを2期としていたということが書いてございます。
それから、備考2)、これ全体は、中間指針における損害項目の算定方法について記述した部分でございます。
備考3)は、先ほど宿泊費に関連してご説明申し上げました。
それから、備考4)につきましては、これも前回の素案と基本的に同じでございますが、今回の場合は、最初2行目に書いてございますが、帰還を断念し移住しようとする場合にはということで、避難費用あるいは精神的損害に関して、避難のみならず、移住の場合の読みかえを、ここの備考4)で書いてございます。
それから、備考5)につきましては、これは先ほどの金額の算定の根拠というか、理由になってございます。まず頭のところで、避難の長期化に伴う「いつ自宅に戻れるか分からないという不安な状態が続くことによる精神的苦痛」の増大等を考慮したという表現を、まず入れさせていただいてございます。以下、それぞれの区域についての記述でございますが、4行目から、避難指示解除準備区域、これは月単位で算定、それから、そのあと、「一方」の後でございますが、帰還困難区域は、今後5年以上帰還できない状態が続くと見込まれることから、こうした長期にわたって帰還できないことによる損害額を一括して、実際の避難指示解除までの帰還を問わず一律に算定することとしたが、この額はあくまでも目安であり、帰還できない期間が長期化する等の個別具体的な事情によりこれを上回る額が認められ得るということが書いてございます。それから、居住制限区域については、「また」以下でございますが、具体的な期間が不明であるものの、ある程度長期化すると見込まれることを踏まえて、基本的には月単位で算定することとしつつ、被害者救済の観点から、当面の損害額として一定期間分を想定した一括の支払いを受けることができるものとすることが適当であるということでございます。さらに、居住制限区域については、なお書きがございまして、最後の2行でございますが、長期化して、最大でも帰還困難区域における損害額までを概ねの目安とすることが考えられるということでございます。
それから、備考6)と7)については、先ほどご説明いたしましたので、次に参ります。
7ページの真ん中よりちょっと下から、旧緊急時避難準備区域でございます。こちらについては、まず指針のローマ数字1)で、これは、先ほどと同じ算定方法で、引き続き算定方法は中間指針のとおりとするということでございます。
それから、指針のローマ数字2)でございますが、ここは中間指針の第3期と書いてございます。具体的には、次の8ページの備考1)に具体的に書いてございますが、先ほどの避難指示区域と異なりまして、こちらのほうは、第2期を、中間指針のとおり、事故後1年までとしまして、平成24年3月11日から終期までの期間を第3期とするということが、指針ローマ数字2)でございます。
それで、8ページの上のところに、その第3期の算定について、一人月額【○万円】を目安とするということを、指針のローマ数字2)で書いてございます。
それから、指針のローマ数字3)は、解除後の相当期間でございますが、下から4行目のところに、これまでのご議論も踏まえまして、平成24年8月末までを目安とする。それから、但し書きは、これは解除後も特に帰還を求められていない楢葉町の区域について、例外をすることが書いてございます。
それで、こちらのほうの備考でございますが、備考1)は、先ほどご説明いたしました。
それから、備考2)について、これは、先ほどの避難区域と同じでございますが、「いつ自宅に戻れるか分からないという不安な状態が続くことによる精神的苦痛」の増大等を考慮したという表現が入ってございます。
それから、備考3)相当期間に関してでございますが、ここも、丸1、丸2、丸3の要素を考慮したとしてございますが、そのあとで但し書きで、現時点でこれらの事情を前提に目安として示すものであり、今後、当該事情に変更が生じた場合は、実際の状況を考慮して柔軟に判断することが適当であるとした上で、さらに、「また」以下では、これは、先ほどご説明いたしました7ページの備考7)でございます。特段の事情について、医療・福祉体制、あるいは学校の状況、そういうことを考慮して柔軟に判断することが適当であるということについては、ここも旧緊急時避難準備区域については同じだということでございます。
備考4)は、楢葉町に関する記述。
それから、備考5)は、指針のローマ数字3)に関するものでございますが、これも先ほどの避難指示区域と同様、9ページの上の2行目からございますが、原則として、個々の避難者が実際にどの時点で帰還したかを問わず、当該期間経過の時点を一律の終期として損害額を算定することが合理的である。さらに、なお書きといたしまして、第1期又は第2期において帰還した場合や本件事故発生当初から避難せずにこの区域に滞在し続けた場合は、個別具体的な事情に応じて賠償の対象となり得るとしてございます。
それから、次が、特定避難勧奨地点でございまして、ここは、指針ローマ数字1)は、前の2つと同じで、中間指針と同じ算定方法、それから、ローマ数字2)のところで、一人月額【○万円】、それから、ローマ数字3)のところで、解除後の相当期間でございますが、これは【3カ月】というのを、事前に皆様にいただいた意見から入れてございます。
それから、備考につきましては、備考1)は、先ほどの緊急時避難準備区域と同様に、第3期は事故後1年後ということが書いてございます。
それから、備考2)につきましては、前の2つと同じように、「不安な状態が続くことによる精神的苦痛」の増大等を考慮したという表現を入れてございます。
それから、備考3)でございますが、特定避難勧奨地点の解除に当たってはということで、3つの要素が書いてございますが、ここにつきましては、前回、少し事務局としてご質問にお答えできないことがございまして、ここにございます「地方公共団体と十分な協議が行われる予定である」ということにつきましては、ここはまだ政府として公式な文書で公開されたものはございませんが、本指針の検討に当たって、原子力災害対策本部のほうに公式に照会をしてございまして、その回答といたしまして、まず、昨年12月26日の原子力災害対策本部決定において、避難指示区域外において現在設定されている特定避難勧奨地点についても、その解除に向けた検討を開始するとされていると。それで、具体的には、特定避難勧奨地点及びその周辺について、1年間の積算線量が20ミリシーベルトを下回る水準まで線量が下がっていることが確認できた場合、県、市町村と協議を行った上で、実際の解除がなされることになりますという公式の回答を、原子力災害対策本部からいただいてございます。それを、備考3)の丸1のところに書かせていただいてございます。
備考3)の後半の但し書きにつきましては、これは、避難指示区域と同じようなことが書いてございます。現時点で実際に解除された地点はないことから、当面の目安として示すものであると。「また」以下につきましては、先ほどの備考7)と同じでございまして、医療等の状況、あるいは学校の状況等を考慮して柔軟に判断するということでございます。
それから、備考4)でございますが、これも早期帰宅者・滞在者の記述でございまして、先ほどの避難指示区域の備考と同様であるということが書いてございます。
それから、10ページから営業損害になります。営業損害の指針のローマ数字1)は終期でございますが、個別具体的な事情に応じて合理的に判断するものとするというのがローマ数字1)。
それから、ローマ数字2)は、特別の努力についてでございますが、特別の努力と認められる場合には、かかる努力により得た利益や給与等を損害額から控除しない等の合理的かつ柔軟な対応が必要である。
それで、備考につきましては、備考1)と2)で、その終期の話について書いてございます。
備考1)につきましては、前半のところで、本件事故の特殊性、あるいは、損害を被った事業者の多様性にかんがみると、少なくとも現時点で具体的な目安を一律に示すことは困難であり、当面は個別具体的な事情に応じて合理的に判断することが適当である。さらに、なお書きのところで、この営業損害の終期は、専らこの指針、個別具体的な事情により判断されるべきものであって、これとは別に、避難指示等の解除、同解除後相当期間の経過、避難指示等の対象区域への帰還等によって到来するものではないということで、若干前の避難区域の避難指示の終期と誤解のないように、念のため確認の記述が書いてございます。
それから、備考2)につきましては、ここは終期の判断に当たって、丸1、丸2とございますが、基本的には中間指針でも示してあることを確認的に書いてございます。その上で、真ん中よりちょっと下の「また」でございますが、ここで、公共用地の取得に伴う損失補償基準等を当該判断の参考にすることも考えられるがということで、その場合には、本件事故については、土地収用等とは異なる特殊性があることにも留意する必要があるという記述が入ってございます。
それから、営業損害の備考3)でございますが、これは指針ローマ数字2)の特別の努力の部分でございます。ここについては、まず最初のところで、事故後の営業・就労によって得られた利益や給与等があれば、これらの営業・就労が本件事故がなければ従前の事業活動に仕向けられていたものである限り、損害額から控除するのが原則と考えられるとした上で、しかしながらといたしまして、本件事故には突然かつ広範囲に多数の者の生活や事業等に被害が生じたという特殊性があり、被害者が営業・就労を行うことが通常より困難な場合があり得る。さらに、また、営業・就労によって得られた利益や給与等を一律に全て控除すると、こうした営業・就労をあえて行わない者の損害額は減少しない一方、こうした営業・就労を行うほど賠償される損害額は減少することになる。このため、当該利益や給与等について、一定の期間又は一定の額の範囲を「特別の努力」によるものとして損害額から控除しない等の「合理的かつ柔軟な対応」が必要である。ということで、指針のローマ数字2)の解説を備考で書いてございます。
それから、3の就労不能に伴う損害でございますが、基本的にこれは、営業損害と同じことが書いてございます。
12ページの下から、財物価値の喪失又は減少でございますが、こちらのほうは、まず冒頭で、13ページの上でございますが、中間指針で示したもののほかということで、次のとおりとする。指針のローマ数字1)でございますが、帰還困難区域の不動産については、全損と推進する。2番目の居住制限区域と避難指示解除準備区域内の不動産につきましては、避難指示解除までの期間等を考慮して、本件事故発生直前の価値を基準として本件事故により一定程度減少したものと推認するという指針になってございます。
備考1)のところにおいては、まず中間指針の「現実に価値を喪失し又は減少した部分」を賠償すべき損害と認めているということを書いた上で、帰還困難区域の不動産について、5年以上の長期間にわたり立入りが制限され使用ができない等の特別の事情ということで、全損を推認するということが書いてございます。
それから、備考2)は、指針ローマ数字2)に関するものでございますが、居住制限区域と避難指示解除準備区域についても、帰還困難区域内の不動産に準じということで、価値減少分を客観的に推認するということが書いてございます。
それから、備考3)につきましては、「本件事故直前の価値」について、居住用の建物にあっては同等の建物を取得できるような価格とすることに配慮する等、個別具体的な事情に応じて合理的に評価するものとするということで、これまでのご議論を踏まえた格好になってございます。
それから、備考4)につきましては、東電の費用負担による除染、修理等によって価値が回復した場合には、当事者間の合意によりその価値回復分を清算することが考えられるということも、念のため入れてございます。
さらに、備考の5)につきましては、地震・津波による損害は賠償の対象ではございませんが、区別が判然としない場合もあることから、合理的な範囲で、「原子力損害」に該当するか否か及びその損害額を推認することが考えられるとともに、東京電力には合理的かつ柔軟な対応が求められるということが、確認的に書いてございます。
それから、14ページから、第3の、自主的避難等に係る損害でございますが、ここについては、指針ローマ数字1)の部分につきましては、前回のご議論を踏まえまして、真ん中からちょっと下ですが、その危険を回避するために自主的避難を行うような心理が、平均的・一般的な人を基準として合理性を有していると認められる場合には、賠償の対象となるということが書いてございます。
この指針のローマ数字1)に対応いたしまして、備考の1)がございますが、この指針の第一次追補では、自主的避難等に係る損害について、一定の区域を設定した上で、同区域に居住していた者に少なくとも共通に認められる損害を示した。これは、原発の状況が安定していない等の状況下で、本件事故発生時から12月末までを対象期間として算定したものであって、その際、平成24年以降については、今後検討することとしたという経緯が書いてございまして、第二次追補では、丸1といたしまして、前提となる状況が全般的に異なる、丸2他方、少なくとも子供及び妊婦の場合は、放射線への感受性が高い可能性があることが一般に認識されていると考えられることから、第一次追補の内容はそのまま適用しないが、個別の事例又は類型によって、これらの者が放射線被曝への相当程度の恐怖や不安を抱き、また、危険を回避するために自主的避難を行うような心理が、平均的・一般的な人を基準として合理性を有していると認められる場合には賠償の対象とすることとするという形で、備考が書かれてございます。
最後、第4の、除染等に係る損害でございますが、ここについては、前回の素案と同じでございますので、説明は省略させていただきます。
以上です。
【能見会長】 それでは、先ほど言いましたように、これ、全体を一遍に議論するには少し長いので、区切って議論していきたいと思いますが。
最初に、第1の「はじめに」のところはいかがでしょうか。ここは前回もあまりご意見、ご異論もなかったかと思いますけれども、もし改めて読まれた結果、何か議論が必要であるということであれば、お願いいたします。
よろしいですか。それでは、ほかに議論が多く出そうな先のほうに進むことにいたしましょう。
第2の、政府による避難指示等に係る損害についてのうち、1、避難費用及び精神的損害、それのさらに(1)避難指示区域について、ここまででいかがでしょうか。これは7ページの半分より少し下のところ、(2)の旧緊急時避難準備区域が始まる、そこの手前のところまでということでございます。ここはたくさん議論があるところでございます。
特に、幾つか○で空欄になっているところがございますが、こういったところは、具体的な金額を埋めていかなくてはいけないというところでございます。それから、相当な期間というのを具体的に示すかどうかといったところも、大きな争点の一つであると思います。こういったところについてのご意見、ご議論をいただければと思います。いかがでしょうか。
ちなみに、今の問題の幾つかにつきましては、前回も紹介いたしましたけれども、紛争解決センターのほうからご意見が出ておりまして、これはまた後で適宜ご紹介したいと思いますけれども、前回のご意見がほぼもう一度主張されているというふうにご理解いただければと思います。
それでは、この部分についていかがでしょうか。
全体的ないろんな考え方そのものについてもいろいろあると思いますけれども、前回ある程度は議論しましたので、残っている具体的な金額等について議論していただけると、あるいは、一番議論がしやすいところから。一番で、かえってしにくいのかもしれませんが。
例えば、4ページの指針のローマ数字3)になりますが、それの丸1のところですと、避難指示区域見直しに伴い避難指示解除準備区域に設定された地域について、ここは月額でいこうということについては、大体ご了解いただいていると思いますが、一体幾らぐらいでいくのが望ましいのかということについてのご意見をいただければと思います。
前回もこの会議で、どういう形で原案をつくるかということについて少しお話をいたしましたが、事前に皆さんには、意見が分かれそうなところについては、各委員の意見を照会し、どういう意見が多数であるかということをある程度踏まえて、原則としてそれを原案にしております。ただ、この金額の問題につきましては、これも多数あるいは少数の意見、いろいろあるわけですけれども、ここには原案という形で金額は書いてあるわけではございませんけれども、多数のご意見は、10万円でよろしいのではないかというご意見だったと思います。
あるいは、その金額等については、これは10万円というのは、ここは避難指示区域の見直しに伴って生じる避難指示解除準備区域ということですが、従来、東電においても、中間指針の5万円と、それから、上乗せの5万を払っているということもあり、それを踏まえて。ただ、踏まえるといっても、どういう形で踏まえるかということについては意見が多少分かれていて、いや、中間指針の5万はそのままで、あとは実際上ADRの指針、あるいは、東電がそれに応じて払うという自主的な支払いを考えればいいのではないか、そう考えても、実質的に10万円だからいいだろうというご意見と、いや、今まで実質上10万円払われてきたのであれば、それが適切だという考え方をするのであれば、この際、この指針においても、正面から10万円と書いたほうがいいのではないか、そういうご意見が2つあったというところです。
金額については、両者とも、そういう意味では一致しているわけですが、ベースになっている考え方が少し違うというところでございました。今の2つのベースになっている考え方の違いについては、ほぼ半数ずつぐらいであったというふうにご紹介したいと思います。
高橋委員。
【高橋委員】 前回は、私は5万ということを前提にして、実際上ADRのほうにゆだねればいいじゃないかという話をしたと思います。ただ、これから議論する帰還困難区域等の話を議論する上で、最終的に10万という数字が、出てこざるを得ないのではないかと私自身思っています。したがいまして、それとのバランスからいっても、正面から10万を認めるのが適切ではないかなと思うにいたりました。そのような経緯にて、意見を変えた、ということを申し上げたいと思います。
【能見会長】 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ、鎌田委員。
【鎌田委員】 私も基本的には5万のほうが筋が通るだろうというふうに考えています。ただし、実際に10万払うというのは、これは被害者の救済にも役に立つことですから、そのことに対して反対するわけではないんですけれども。
ただ、この指針と第一次追補、第二次追補というのを後世見ると、期間がたって、しかも、解除準備区域になった途端に、従来の第2期よりも慰謝料額が上がるということは、ある意味で違和感がある。なぜ上がるのか。精神的苦痛がそこで増大したわけではないんだと思うんですね。実質的な考慮が、現実に10万円払われているのを、それを減額する必要はないんだから、10万円という指針を掲げさせることになったのだと思うのですが、私は、望むらくは、なぜここで上がったのかということの説明が書かれていたほうがいいかと思っているんです。
ただ、確かに、これ、なぜ上がったのかをどう書くのかというのは大変悩ましい。現実の支払状況を踏まえて10万とする。あるいは、今、高橋委員が言われたように、居住制限区域等とのある種のなだらかな移行みたいなことを考えると、額がそろっていたほうが対応がしやすい。そういう実際の考慮から10万とすることに、結論には全然反対するものではないんですけれども。少なくとも、この議事録もあわせて読んでいただければ、なぜなのかが分かるという状況であるというご認識であれば、それはそれで結構だと思います。
【能見会長】 ほかにいかがでしょうか。中島委員。
【中島委員】 今、鎌田先生のおっしゃられた、後世、この指針を読んだときに、事故直後が5万なのに、時間がたったら10万円になっているのはなぜかという説明が必要だろうということでしたので、その1つの説明として考えられるのは、最初の段階の5万をこの審査会で想定したときに考えた考慮要素以外の考慮要素が、その後のADRとの話し合いの中でさらに発見されて、それが加わることによって5万円増額、もう少し増やしたほうがいいという考慮要素が増えて、発見されてといいますか、ということによって、東電側も柔軟にそれに対応し、その想定していなかった新たな考慮要素を入れようという評価替えが行われたというふうに考えてはいかがでしょうか。
【能見会長】 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ、野村委員。
【野村委員】 単純に、東電が10万円払っているという実態を考慮して、10万円にするということで、それについて、その後精神的な損害が拡大し、現実に金銭で評価すると5万円から10万円に増えたというようなことは書かなければいいのではないかと個人的には思います。
【能見会長】 この部分は、そもそも避難している人の避難の慰謝料というものがどういうものであるかということから出発して、私の理解では、いろんな要素がありますけれども、その中の大きな要素は、自分の自宅から離れて、不便なところに長期間居住しなくてはいけないということによる苦痛というのが、少なくとも当初、中間指針等を考えるときには一番大きな要素であった。そういう考え方をしたために、しばらく仮設住宅であれ、あるいは、その後借家とか、いろんなところに移ってきて、ある程度生活が安定すると、その不便だということによる苦痛というものは減るだろうということで、月額5万という慰謝料にしているわけですが、しかし、今、中島委員が言われたように、実際には、不便ということによる苦痛よりも、だんだんと、いつ戻れるか分からない、戻れない状態が長期化すること自体による将来の不安というものが大きくなってきて、それを考慮する。これは中間指針でもある程度は考慮していたわけですけれど、それがウエートとしてどのぐらい大きいかということについては、必ずしも中間指針は十分に検討していないところがあり、ADR等の個別のいろんな案件の審査の中で、そういう要素が非常に大きいということが言われてきて、そのために、5万プラス5万という指針が出、東電もそれに応じているという状態です。
これを審査会としてどう見るかということ自体が本来は問題で、私は、端的に言って、審査会の考え方は、そこまで十分検討していなかったので、後から中間指針自体を変えるということもあっていいと思いますけれども、そこまでしなくても、この際、今申し上げたような、将来がどうなるかという不安の状態が続くことによる精神的苦痛というものが増大しているということを一応確認して、この指針としては、5万ではなくて、10万そのものを精神的損害として指針に書くということは、あり得る選択肢だと思っております。
これに関連するところは、備考の5)で、6ページのところですけれども、今申し上げた全く完全に同じというわけではありません。私のほうが少し踏み込んで説明しましたが、ここに書いてありますように、ローマ数字3)について、具体的な損害額の算定に当たっては、避難の長期化に伴う「いつ自宅に戻れるか分からないという不安な状態が続くことによる精神的苦痛」、これ自体は中間指針にも言及されているわけですが、これが増大している。あるいは、増大だけではなくて、質的な変化があるかもしれませんが、増大しているというようなことを考慮して、この精神的損害の額を考えようと。この場合、確かに、避難指示解除準備区域については、比較的近い将来、避難指示の解除が見込まれるということはありますけれども、その前提となっている状況については、こういう不安な状態が続くことによる精神的苦痛が増大しているというような認識がここには書いてあるわけでございます。これが、ある意味で、あまり正面から、これが原因で10万にするということまでは書いてありませんけれども、1つの考え方ということですね。
いろんなご意見があって、結論として10万円は構わないけれども、本来5万円であるべきだというご意見もあるので、今言いましたように、どういう原因で10万になるかということは、この文章からはそれほどはっきりとは分からないというような書き方になっていますけれども、この指針としては、これは私の意見ですけれども、10万ということで、結論として10万で構わないというご意見であれば、学者としてのというか、あるいは審査会としてのいろいろな、後世から見られたときのある種のメンツなのかもしれませんが、そういうことよりは、実質を確保したほうがいいのではないかということで、あまり理由は踏み込まないで書いてあります。
あと、もう一つは、ADRの指針、それから、東電が自主的に賠償するということは、もちろん指針に書かなくても続くであろうとは思いますけれども、避難指示解除準備区域についての話ですが、しかし、これは指針で書くよりは、少しあいまいな部分を残しますので、10万円がよろしいというのであれば、それは正面から指針に書いたらどうかという意見が1つあり、先ほど来申し上げておりますように、5万プラス、実質上5万で構わないと。それを、しかし、理由としてはっきり書くというのは、また書きにくいところがあって、現状がこうだから、これでいこうというのも、そちらはあまり書いていないという状況ですね。
何かほかにご意見があれば。
今のような2つの、あるいは野村委員のご意見からして、結論はもうこれでいいということだと思いますけれども、先ほどの備考の5)あたりというのは気にされますか。
【野村委員】 いえ、特に意見はないのですけれども。
【能見会長】 あるいは、鎌田委員。
【野村委員】 おそらく、前回の指針の時から状況が変わったというように見るということではないかと思うのですね。今、東電のほうの損害賠償の実際が進んでいますが、それがないときに我々が議論して作成されたのが最初の指針ということではないかと思います。
【能見会長】 はい。
【鎌田委員】 私、今のような議論がきちんと議事録に記録されるわけですから、もうそれで結構でございます。
【能見会長】 はい。
じゃ、この備考も含めて、こういうような書き方でよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【能見会長】 それでは、この金額のところは、10万円ということを埋めるということにしたいと思います。
次の、同じく4ページの指針ローマ数字3)のところの丸2避難指示区域見直しに伴い居住制限区域に設定された地域についてどうするかということでございます。これも月額を目安にして金額を算定するけれども、前回のご議論を踏まえて、2年分ぐらいをまとめて請求できるということにしたらどうかということでございました。これは、居住制限区域の方の中でも、ほかの場所でもって新しい生活を始めたいという方もおられる。そのときに、帰還困難区域の金額までは賠償としては認めにくいんですけれども、毎月の金額をもとにして2年分、これも法律の理論としてぎりぎり詰めると、ほんとうにできるかというところはいろいろ議論があるかもしれませんが、生活再建の手段ともなればということで、2年分ぐらいまとめて支払うという請求を認める。しかし、その前提となる月額を幾らぐらいにするかという問題がございます。
これも皆さんに意見を伺いましたが、こちらについては、ほぼ皆さん、大体10万円でいいのではないかということだったと思いますので、これはこの際10万円にさせていただきたいと思います。
そうなると、2年分というところもいろいろご意見がありましたが、前回、ご意見はそんなにたくさん出ませんでしたけど、出てきたご意見は、1年では少し短いのではないか、2年分ぐらいでどうかというご意見だったと思います。この2年分も、もしご異論がなければ、ブラケットを外して、その後、自動的に、次のまとめて請求できる金額は240万円ということになると思いますので、そこまではそうさせていただければと思います。
なお、若干、そこまではいいとして、この指針の中身として、これが居住制限区域というものが長期化した場合にどうなるかという問題があって、ここでは賠償の対象となる期間に応じて追加するというふうにさらっと書いてありますけれども、ここは必ずしも指針としては、明確な形では詰めてございません。私は私なりに、こういうふうにすればいいという考え方はありますけれども、もし皆さんのほうで何かご意見があれば。ここは、今言いましたように、指針としてまだ明確には書いていない部分で、書かなくてもいいのだろうとは思いますけど、もし何かご意見があれば。
具体的には、2年を超えて3年になったときどうなるかとか、さらに、一番微妙なのは、5年を超えてくるとどうかと。丸3の帰還困難区域というのは、大体5年分ぐらいを目安にすると幾らとか、前回中島委員は10年分ぐらいを目安にすると幾らという金額が決まってきますので、居住制限区域が、これはだんだん線量が減るという前提ですけれど、減ってくるということが前提だとしますと、そんなに長く続かないのかもしれませんが、しかし、除染などがうまくいかなくて、かなり長期化するということも考えられるということで、2年を超える、あるいは5年を超えるという場合が出てくる可能性はゼロではない。
2年を超えるほうはもっと考えられると思いますが、これも指針には明確には書かないけれども、私はおそらく、ここは月額10万円で計算していますので、2年を超えた段階で、その超えた期間がまた月額10万円に戻るんだろうなというふうに思います。さらに、もう一回まとめて何年分というのが請求できるのかできないのかというのは、ここでははっきり書いていない。しかし、ここらは、まだいろんなことがよく分からない現在の段階で決めることですので、あまり明確に書く必要もないのかなというふうに思いますが、皆さんのご意見があればお願いいたします。
どうぞ、高橋委員。
【高橋委員】 指針としては、将来予測があまり明確でないものについては、この程度の言及でよろしいのではないかと思います。
【能見会長】 どうもありがとうございます。
それでは、丸2のところは以上にいたしまして、丸3の、今度は帰還困難区域に設定された地域について、一人どのぐらいにするかという問題でございます。前回、一人600万、大体5年分ということで600万というご意見と、10年分ということで、これは若干いろんな減額要素を考慮して、800万というご意見がありました。ここについてもいろいろご意見を伺ったところですが、単純に多数かどうかという点で言いますと、一人600万というご意見が多数でございました。ただ、600万にするか、あるいは、もっと大きい金額にするか、金額の問題もありますけど、おそらくより重要なのは、600万というふうに考えた方は、それが帰還困難区域の人たちに対する精神的損害賠償の出発点といいますか、目安だというふうにさっき書いてありましたっけ、出発点みたいなもので、もっと長期化することが当然に予想されるという地域になりますと、その精神的損害の賠償は増額されていくと。これも一体どのぐらい増額されていくのかとか、あるいは、上限がどこかにあるかということについては、我々ももちろん理論的には興味があるところで――興味といいますか、決めなくてはいけないという意味での関心があるところですけれども、しかし、やはりなかなか現在、上限まで決めるということは難しいのではないかということで、もし仮に600万というほうをとると、それがだんだん上がっていくことはあるけれども、どこが頭打ちになるかということまでは書かない。
他方、前回中島委員は、もうこれで5年帰れない人であれば、10年だろうが20年だろうが、いろんな人がいるけれども、もう800万で決めてしまおうというご意見だったと思いますので、そういうふうに決めてしまうのか、あるいは、追加的なのがあり得るというふうに考えるか、それが大きな対立点かと思いますね。今も言いましたように、600万で増えていくことがあり得るという意見が多数ではあったということです。
中島委員。
【中島委員】 前回は、10年分としまして、中間利息を控除して800万くらい、そのかわり、それで打ち切りという意見を出させていただいたんですが。先ほど会長からもご指摘ありましたように、丸2の地域と丸3の地域が相対的であって、丸2が延びて丸3と実質的には同じになるところも出てくる。そういうことも考えますと、やはり基準としては、丸2と丸3があまり差が出ては、かえって不公平になってしまうということも考えますと、丸3についても、5年分を前提として600万ということで、私も意見を変えさせていただきたいと思います。
ただ、その場合、この丸3の表現のままですと、600万で払い切りのように誤解されますので、この丸3についても、丸2の但し書きと同じような、5年を超えた場合には、賠償とする期間に応じて追加するという但し書きが必要ではないでしょうか。
【能見会長】 これは備考のほうには書いてあるんですが。
【中島委員】 失礼しました。
【能見会長】 6ページの備考の5)で、6行目ぐらいから、帰還困難区域はというのがありますが、今後5年以上帰還できない状態が続くと見込まれることから、一括して、一律に算定することとしたが、この額はあくまでも目安であり、帰還できない期間が長期化する等の個別的な事情によってこれを上回る額が認められ得るということで、おそらく中島委員のご意見は、ここに反映されていると思います。
【中島委員】 ありがとうございます。もうそれで結構でございます。
【能見会長】 はい。
一応指針そのものの本体のほうは、丸3のところで、一人【○万円】を目安とするという言葉を使っていて、目安という言葉はあんまりはっきりしないかもしれませんが、この目安ということの具体的な意味を、今の備考のところで書いてあるということで、上回る金額があり得るということでございます。
ここも、では、その上回る金額というのは、どういう場合にどのぐらいあり得るのかという問題がありますが、これもまだ現在の段階でなかなか予想できない問題であり、また、この審査会が、これがもうほんとうに上限ですよという意味での上限というのを決めることがそもそもできるのかということについて、私は個人的に少し疑問を持っておりまして、こういった問題は、やっぱり最後は裁判所で決めればいいことだと思いますが。そういう意味で、この増額される場合どうなるかということは、当然、関心事ではありますけれども、これも先ほど高橋委員が言われたように、将来の不確定ないろんな問題があるので、ここでは記載しないということで、さらっと一人幾らを目安とすると。今の中島委員が600万円で構わないということであれば、600万円というのが多数意見だということでございます。
何か、もしここについてご意見があれば。
これは、私、指針で書く必要はないと思うんですけれども、この600万というのは、5年分なんだという言い方をするのか、そこがちょっと微妙で、5年分なのか、とにかく、少なくとも5年は帰れないということで、5年分あたりを目安にして一括賠償しているけれども、単純に毎月毎月のを加算していって600万になるというふうに考えるのか、そこら辺がおそらく将来問題になって。ということは、例えば、5年を過ぎて6年になったと。6年になったときに、当然に、毎月10万の割でもって、あと1年分追加されるのか。120万。そういうふうに自動的に増えていくのか、それとも、先ほど備考に書いてありますように、帰還できない期間が長期化する等の個別具体的な事情によって、これを上回ることはあり得るとは書いてありますけれども、そこはそう毎月毎月のベースで考えていくわけではなくて、例えばの話ですが、5年、6年ぐらいの場合には、まだ600万だけども、もうちょっと過ぎると、次、800万とか、いろんな考え方はあるかもしれませんね。でも、そこも、この指針でそこまではどうも書けそうもないので、書いていないというのが現状でございます。
何か、今の点も含めて、ご意見があれば。
よろしいですか。
(「異議なし」の声あり)
【能見会長】 それじゃ、これも600万を目安とするということで決めさせていただければと思います。
次が、ある意味で一番意見が分かれているところでございますが、解除準備区域について、相当な期間というものを定めるかどうかということでございます。案1というのが、定めるという考え方を前提にして、しかし、大体定めるというご意見の方は、あまり短い期間、短いといいますか、例えば3カ月とかいう期間は適当ではないということで、大体6カ月ぐらいだったので、ここでは第1案というのは、6カ月間を当面の目安とする。これも目安という言葉が入っていますので、また事情によっては変わり得るということが示されておりますけれども、いずれにせよ示すという案。それから、案2というのは、やっぱり現状では、まだだれも戻ってきていないので、どういうふうになるか分からないということを考えると、現在は相当な期間というのを定めるに機が熟していないという考え方で、案2ということです。これについても、ご意見を伺えればと思いますが。
大塚委員。
【大塚委員】 案1と案2は、今会長がおっしゃったように、考え方が若干違ってはいるんですが、ただ、案1は、当面の目安とするというだけで、流動的だということは認めていますので、そういう意味では、そんなに違いはないのかなというふうに私自身は思っています。折衷案で恐縮ですが、「6カ月を下回らないものとし、今後の状況を踏まえて判断する」とか、そういうのを新しくつくることを意見として申し上げたいと思います。全く何も書かないというのは、紛争審査会としてどうなのかなという気も一方でしないわけでもないですから、何らかの取っかかりだけをつけて、ただ、今後の状況を踏まえて判断するということにはしておくという考え方を、折衷案で恐縮ですけれども、提案したいと思います。
【能見会長】 審査会としては、別に定めないということについて、特に支障があるとは思いませんけど、今、大塚委員が言われた、問題があるというのはどういうことでしょうか。
【大塚委員】 この避難指示解除準備区域にいつ帰ろうかというようなことを予想して、そろそろ準備を始めるかとかいうことに関して、避難者の方が大体少しずつ帰る方向に向かってプランを立てるというようなことを例えば考えたときに、いつ相当期間が終わるかというのが全く分からない状況というのは、私は必ずしも望ましいとは思っておりませんので、そういう趣旨で申し上げました。
【能見会長】 いつ帰るかどうかは、おそらく自治体の取組とか、いろいろ実際の計画みたいなものが示されると思いますけれども、この審査会での考え方は、そういった政策ももちろん頭には入れるけれども、それと賠償とは連動しない、賠償のほうは、必要な賠償はするという考え方だと思いますので、あまり今大塚委員が言われたことを危惧する必要はないと思いますけどね。しかし、そういうご意見であれば、そういうご意見として伺いますが。
ほかにいかがでしょうか。
【高橋委員】 私は専門が行政法なので、指針の紛争解決機能ということを重視するならば、示せるものについては、基本的に基準を示すのがよろしいのではないかと思います。そのような意味では、これまで一律に地区を基準にして線引きしてきたものですから、6カ月というような、ある程度余裕を持った基準を示した上で、さらに特別な事情の備考7)で、特別な事情については、そこは基準から外れるようなものについては、さらに救済はできるという点に言及した上で、基準を明示したほうが、紛争解決に資するのではないかと思います。よって、私は案1でよろしいのではないかと思っております。
【能見会長】 そういう意味で、紛争解決センターのご意見をさらっと紹介いたしましたが、紛争解決センターからは、この点については強く反対するという意見が出ているところであります。
前回も、私は、個人的な意見として、この解除準備区域というのは、まだだれも戻ってきていない区域なので、旧緊急時避難準備区域のように、かなりの人たちがそこに住んでいて、それで、相当な期間というのを判断するのとは状況が違う。一応抽象的には、解除準備区域について、どういう場合に解除されるかということを、先ほど備考にも書いてありましたように、インフラが整って、また、住民の協議等を踏まえてということでありますけれども、これはとにかく抽象的な基準としてはもちろんそれなりに妥当だと思いますけれども、実際、どう機能するかは全く今は分からない状況なので、そういう意味では、相当な期間を定めるのは時期尚早であるというふうに私は思いますけれども、先ほど言いましたように。そういう意味では、会長の立場というのを離れて、個人的な意見として、定めないというほうの立場を主張いたしますけれども、ここは皆さんのご意見をいろいろ伺いたいと思います。
【鎌田委員】 私は個人的には、もともと、不確定な将来の賠償について、一律に認めていいことにあまり賛成ではなかったんですけれども。ただ、この中間指針が、そういうものを前提して、できるだけ予測できる範囲内では将来のものも支払わせるという前提で、いろんな指針ができてきたわけですよね。そういう中で、この相当期間に対する考慮もつけ加わった。
そうなると、論理的にはどっちも成り立ちうると思いますが、個人的な考え方から言えば、損害賠償というのは、事後的にきちんと具体的な事情に応じて、実際生じた損害を賠償するんだから、個別の事情ごとに判断するというほうが筋は通るとは思うんですけれども、しかし、同時に、この指針は、大量な事件を迅速に処理するという使命も持っているので、その点も考慮したものと理解します。論理的には、どっちでもそんなに大差ないとは思うんですけれども。
逆に、大塚委員は、一人一人の被害者がどう行動するかというお話もされたんですけれども、解除する側といいますか、あるいは、解除の協議に応ずる自治体が、解除した後どうなるかということについての一定の予測のもとで交渉ができたほうがいいのではないか。あるところでは、解除したら途端に終わるという判断がされ、あるところでは、解除しても随分先まで慰謝料がもらえるというふうなことだと、多分、解除してもいいというふうに踏み切る手がかりがない。
それから、最終的には個別の事情に応じて、ここで判断することになるんですかね。
【能見会長】 どんなところを?
【鎌田委員】 この地域の相当期間はこれだけですというのは。
【能見会長】 それは、相当期間をばらばらに判断しようということになれば、そういうふうに。それはもちろん構わない。
【鎌田委員】 例えば、案2になった場合、今後の状況を踏まえて判断されるというのは、我々が判断するのか、あるいは、ADRなり裁判所なりで判断してくださいというふうにするのか。
【能見会長】 それは、もちろん、どちらも可能です。
【鎌田委員】 どっちも可能。
【能見会長】 はい。
【鎌田委員】 そのときに、私は一定の目安があって、それに基づいて、いろんな個別事情を反映させていくというほうが、全くのフリーハンドよりは、実務上、比較的対処しやすいのかなという、それぐらいの実際的考慮です。理論的には、私はどっちも十分にあり得て、むしろ理論を重視するなら、案2のほうが、何でも対応できるというふうになるんだろうと思うけど。この指針の特色からいくと、案1のような考え方で、一応6カ月というめどを立てて、それを前提に解除の在り方を考えていっていただくというのは十分あり得て、実際的な便宜にも資する部分があるのかなというふうに思っています。その意味で、たしか事前に提出した意見では、案1と書いたように記憶します。
【能見会長】 米倉委員。
【米倉委員】 私は、鎌田委員の意見はよく分かるんですが、この場合はちょっと例外じゃないかなと思うのは、全く予測がつかない状況で、実際にどういう形で解除されるかということを、皆さん手探りの状況である。そういうことから考えると、今、たとえ目安といえ、何らかの期間を決めるというのは非常に難しい。何で6カ月なんだということを言われたときに、なかなか、これこれのこういう理由で6カ月ですということが言いにくいということから考えると、やはり私は案2かなというふうに思います。
【能見会長】 中島委員。
【中島委員】 私は、紛争解決機能という点では、案1に傾いていたんですが、今、議論を伺って、特に米倉委員のご意見を聞きまして、案2のほうに賛成することにしたいんですが。
その理由としては、案1と案2は、相当期間の長さという量的な違いではなくて、案1は、避難指示の解除という行政処分に賠償額をリンクさせる、案2は、個別の事情に応じて賠償額を決めるという、案1と案2では質的な違いがあるように思います。
さらに言うと、ADRの強い反対の根拠となっているところは、今、米倉委員が示唆されましたように、おそらく行政としては、試験的に、あるいは、少し行政判断的に、先行して解除する場合もあるんじゃないか。もしそうだとしたら、個別事情の損害とは少し違う観点で解除されることがあり得るから、そこを賠償額の基準とリンクするのは少し疑問ではないかと。こういうふうに私なりに理解しますと、案2のほうが、とりあえずは今の時点では合理的で、あとは、ADRと東電との間の話し合いで決めてはどうかというふうに考えます。
【能見会長】 ほかの委員はいかがでしょうか。
これは、そこまで審査会で考慮しなくていいと思いますけれども、各自治体と、あるいは、この地区を指定されたところが、解除をどうしようかというふうに考えたときに、案2というのは、解除は解除で淡々と条件が整ったらやってくださいと。今、中島委員が言われたように、少し先行的にといいますか、解除するということもあるのかもしれませんが、解除は解除で淡々とやってください。賠償は、直ちに解除には結びつきませんから、解除の条件が満たされることをもって解除をするということについて、少なくとも賠償は中立的な立場をとると。
それに対して、案1というのは、解除すれば、もう賠償は6カ月で――当面の目安ではありますけれども――切りますよということなので、賠償の問題は、やっぱり解除するかしないかの問題にも微妙に影響するということですね。
その点も、私も個人的には考えたところですけれども。さらに、まだご発言のない委員も含めて、ご意見があれば伺いたいと思いますが。
どうぞ、田中委員。
【田中委員】 私だけまだ発言していないんですが、期間を決めないということ、どっちも私は成り立つのかなと思いますけれども、案2の場合は、場合によっては、先ほど大塚委員は、6カ月を最短としてというようなことを言っていましたけど、状況によっては、それより短くなることだってあり得るということですよね。
それで、これは、1つは、避難している人たちが、6カ月以上避難しないで、もう解除になったんだから、帰る努力をしようということを促すかどうかということに、かなりこの期間というのは影響するような気がするんですが、それは賠償とは違うよということであれば、私は素人だからよく分からないんですが、そのあたりが、実際の、基本的には国の判断よりは、各市町村の単位での判断が、帰るか帰らないかを大きく左右するように思いますので、あいまいな言い方ですけれども、どっちがいいのかというのは、実は今いろいろ意見を聞いていて分からなくなってきたところです。すみません。
【能見会長】 案2の場合に、具体的にどうなるかということにも意味が出たのかもしれませんが、これはもちろん、今後の状況を踏まえて、どの程度の人たちが実際に解除されたときに戻ってきているのかとか、あるいは、ほんとうにどの程度のインフラが整備されているのかとか、そういうことを踏まえて、かつ、これも一律にほんとうに決められるのか。さっき鎌田委員言われたように、それぞれの地域によって、かなり状況にばらつきが出る可能性もあると思いますので、ほんとうに一律に決められるかということもあります。そういう意味では、案2のときに、ほんとうに一律に決めるのではなくて、それぞれ少し違った事情を考慮してなんていうこともあるのかもしれません。いずれにせよ、それもすべて現段階で何か言えるということではないので、そういう意味で、今後の状況を踏まえて判断されるべきものだということ。
それから、最低6カ月とかいうところも、これもちょっと分からないけれども、それがうまく機能するかどうか分からないというのが1つと、それから、おそらく旧緊急時避難準備区域の場合も、解除されてから相当期間がたっていて、やっぱり6カ月ぐらいで切るということができない状況だったと思うんですね。そういう意味では、案2の場合も、解除準備区域の場合の相当な期間の定め方――もちろん、前提条件はいろいろ違いますけれども、一応抽象的にはインフラが整ってから解除するということなので、大分違うわけですけれども、しかし、旧緊急時避難準備区域の場合なども参考にしながら、どのぐらいの期間、それから、もちろん当該自治体、その地域の回復状況はどのぐらいかというのを踏まえ、決めていくと思いますので、私なんかは、そんな3カ月とか、短い期間にはやっぱりならないんだろうというふうには思いますけれども、これもとにかく推測なので分かりません。
高橋委員。
【高橋委員】 これでの議論のように、私はかなり明確な案1派だったわけです。けれども、前提としては、決められる条件があればという話だったわけで、今までのご意見をいろいろ聞いていますと、状況が各自治体で違うということ、解除の仕方についてもいろいろあり得るということが、明確になってきた訳でございますので、指針を決める条件がない、具体的な数を決める、6カ月間という期間を定められる条件がないということであれば、案2を採用することに私は異論はありません。
【能見会長】 野村委員。
【野村委員】 最初は、避難指示が解除される条件について、もう従前と同じ生活ができるというときに初めて解除されるというように考えていましたので、引っ越しに必要な非常に短い期間でもいいのではないかと思っていたのですけれども、皆さんの意見をいろいろ伺うと、どういう状況で解除されるかは、必ずしもまだ明確ではないということのようなので、そうだとすれば、やはり案2のほうがいいのかなと今は思っています。
【能見会長】 どうぞ。
【鎌田委員】 案2は、どんな状態にでも対応できるわけですから、積極的にこれに反対するつもりはないんですけど。ただ、今の議論を伺っていて、私が1点気になるのは、空理空論かもしれないんですけれど、これは、地域全体について決める期間ですよね。個人の事情は、それにつけ加えて、また個別に判断する。そうすると、地域全体が半年も1年も帰れない状態で解除するなんていうことを想定する議論をしていいのかなと思います。私はやっぱりそうじゃなくて、一定の期間、要するに、その場合の損害賠償をする根拠は何なのかというと、それまでは帰れないからという根拠だったですよね。だから、解除された後は、しかし、すぐに帰れと言われても帰れないんだから、一定の期間は猶予しなければいけないという、その猶予期間がやっぱり避難生活を強いられているのと同じ状態だからというのだったんですけど、それが、解除されてもとても帰れないという状態がうんと長く続く、それでも解除されるんですというふうなことをほんとうに想定しちゃっていいのかなというのが若干気にはなる。ただし、実際にやってみたらそうだったというときには、それはもうそれでしょうがないんで、そういう場合にも対応できる指針として、これを設けるとしたら、もう案2以外にはあり得ない。
ただ、それをだれが、この地域の相当期間は幾らですよと、どう決めていくのかということについては、白紙よりは、それは書かなくてもいいですけれども、大体こんなふうにしてやっていくというふうな話があったほうが、混乱しないのではないかなというふうに思います。そういう意味で、大勢がそうであるのであれば、案2でも構わないけれども、前提と事後処理だけはそれなりのコンセンサスがあったほうがいいんじゃないかなという気はします。
【能見会長】 中島委員。
【中島委員】 今の鎌田先生の点についてなんですが、1つの、イメージとして、根拠になるかと思うんですが、例えばの話ですが、山間部と平野部の両方にまたがった市町村が、インフラの整った平野部を基準にして、行政的な観点から市全体を解除したとした場合、どうしてもおれは山間部に住みたいんだ、しかし、山間部はまだそういうインフラの整備された状況にないというときに、山間部に住んでいる人に、平野部を基準にして行政が解除した前提で戻ることを強制してよいのかということです。その場合、備考で列挙されている特別の事情には吸い上げられていないような、そういう事情が考えられる。特に福島の市町村は、山と平野の両方にまたがったところが多いようですので、同じ市全体で一律に解除をする可能性があるというところに、やはりちょっと危惧を感じるということでいかがでしょうか。
【能見会長】 先ほど問題となった、今のにも少し関係しますけれども、6ページの備考6)のところで、案1の考え方は、おそらく鎌田委員の意見に比較的近いことかもしれませんが、一応解除する条件として、インフラや生活関連サービスが概ね普及し云々、住民との協議を踏まえた上で解除される見込みであると。これをそこまで疑っていいのかということなのかもしれませんが、私も別にこれを疑うとかいうことではないけれども、しかし、100%これが履行されるとも限らないところもあるので、賠償としては、現実に解除される状況というのを見て判断してからでも遅くはないのではないかという意見ですね。
その後で、実際にいろんな地域、先ほど中島委員が言われたように、山間部と平地は少し違うだろう。あるいは、この解除準備区域も、市町村ごとに今度設定されるわけではなくて、もっと小さい単位で設定されますから。ただ、それを解除するときには、もしかしたら……。ここは決まっているんですか。解除するときは市町村単位で解除するということは。例えば、ある市町村の中でもって、字とか、いろんな単位でもって避難指示解除準備区域というのは定められますよね。では、これを解除しようというときには、これはその市町村全体で解除する、それとも、字ごととかいうことがあり得るんですか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 特にそこは決まってございませんので、それぞれの市町村の判断もございますかと思います。
【鎌田委員】 ちょっといいですか。
もう案2が大勢であれば、それで結構なんですが。ただ、誤解を避けるために言っておくと、私の理解する案1で言えば、例えば、市町村全体について解除されたって、その市町村のうちのここは6カ月、こっちは9カ月というふうに、これは全部自動的に6カ月になるわけではなくて、6カ月を目安にして、それぞれの地域について決めていく。決めるときの目安がないと困りませんかという、それだけの話です。7ページの上のほうにも、実際には解除後の地域の状況等を判断した上で判断すると書いてある。私の理解では、こういう提案をする以上は、ここが基本的に判断する主体になるのかなというふうに思っていましたし、仮にそれをほかの機関にゆだねる場合でも、6カ月を目安にして、それを長引かせなければいけない要素があるから長引かすとか、短くしてもいい要素があるから短くするとか、こういうふうな判断をしないと、100%フリーハンドで、何カ月ぐらいかは勝手に決めてくださいと言われたときに判断の手がかりがなさ過ぎるんじゃないかなという、そういうふうな意味で、案1を理解して、先ほどのような意見を申し述べさせていただいたということだけ、念のためにつけ加えさせていただきます。
【能見会長】 そういうご意見だと、むしろ2のほうにほんとうは近くて、案1は、そこまで柔軟に6カ月を運用するという考え方とは必ずしも同じではない。
【鎌田委員】 はい。
【能見会長】 大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 鎌田先生の今のお考えに近いので、今のは、私の意見だったら、多分、鎌田先生のご説明とフィットすると思います。ただ、先ほど会長がおっしゃったように、緊急時避難準備区域は6カ月よりも長くなっていますので、6カ月は最低限というつもりだったので、別にそれでもいいんですけれども、6カ月という数字が適当かと考えますと、必ずしも自信はなくなってきますので、そういう意味では、案2でも結構です。どのみち、6カ月を最低限として、今後の状況を踏まえてということでしたので、私の案は別に案1というわけではなくて、むしろ案2も当然含んでいたんですけれども、それは案2にしていただいて構いませんので。
【能見会長】 そのほかに何か考慮すべき点があれば、あるいはご意見があれば。
今いろいろご意見をいただきまして、もしかしたら必ずしも完全にはご了解いただけない点もあるかもしれませんけれども、少しはオーバーラップするという意味では、案2でも構わないというご意見の方もおられる。1のほうがベストかもしれないけれども、案2でも許容できるというご意見の方もおられたということを考慮すると、案2でここはいくということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、あとほかに、自動的にこれに伴って、備考のところの説明が、6ページ、7ページのところが決まってきますね。それで、備考の7)は、案2の場合に、これは相当な期間は当面は定められないわけですが、そういう場合であっても、これは文章は分かりやすい文章かどうかは、読み直してみて少し気にはなっていますけれども、そういう場合であっても、将来、相当な期間が定められたときに、その期間経過後については、こういった特段の事情でもって救済されることがあるという中身でございます。それから、相当な期間が定められた場合に、その相当な期間経過前に帰還した者、早く帰った者と遅く戻った者で特に差を設けないということも、この備考の7)には書いてあるところでございます。
ここら辺は、中身としてはご了解されているかと思いますので、よろしいでしょうか。
【鎌田委員】 文章上の工夫は会長に一任します。これは今のままだとちょっと変なので。
【能見会長】 今のところね。ちょっと変ですね、この文章。もう少し適当にさせてください。直させてください。
あとはいかがでしょうか。
それでは、これでブラケットといいますか、決めていないところは全部やったかな。落としたところはないですね。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 大丈夫です。
【能見会長】 それでは、(2)の旧緊急時避難準備区域についてはいかがでしょうか。
これも、8ページのところで、月額幾らにするというところがあります。これはまさに旧緊急時避難準備区域の部分なわけですけれども、ここは避難されている方については、10万円払っているんでしたっけ。5万円?
【田口原子力損害賠償対策室次長】 中間指針上は5万円になりますが、現実には10万円払われていて。
【能見会長】 さっきのと同じなんですね。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 はい。
【能見会長】 さっきと同じ状態で、中間指針の5万と、それから、東電が上乗せしている5万円が実際に払われているという部分です。ですから、さっきの問題とちょっと似た問題があるわけですが、旧緊急時避難準備区域だというのと、それから、先ほどご議論いただきましたのは、新たに避難指示区域の中の解除準備区域の問題ですので、若干は違いがありますけれども、こちらについてもどういうふうにしたらいいかということで。
ちなみに、金額的には、こちらは実質の金額のほうも若干差がありまして、従来の5万プラス、東電の実質的に払っている5万円を上乗せして、10万円という金額でいいという考え方の方と、それから、金額的にはここは少し下げてもいいという考え方が両方同じぐらいの数がいるというところです。
これもほんとうに、下げる場合にも、5万にまで下げるのではなくて、中間的なというご意見もありました。しかし、10万ではなくて、少し下げるというご意見と、10万というのが対立しているという形でご理解いただくのが一番分かりやすいのではないでしょうか。
どの意見というのはなかなかおっしゃりにくいかもしれませんが、もし何かあればどうぞ。
大塚委員。
【大塚委員】 いろいろ考えて、10万円でいいと思っているんですが。そのときに、備考のところは多少変えていただいたほうがいいかなとは思っています。さっき野村委員が、避難指示準備区域について言われたことが、こちらではほんとうに問題になってくるかなとは思いまして、これをこのまま、いつ戻れるか分からない不安な状態の増大と書くのは、解除されているので、ちょっと難しいかなという気もします。ここはむしろ、第2期で10万円払われていることなので、それを切り下げる理由がないとか、あるいは、3月末で特に変更する理由はないとか、そういう理由になるのかなと思いまして、意見を申し上げます。
【能見会長】 それはあり得る考え方ですね。
ほかのご意見はいかがですか。
もし特になければ、今の大塚委員のご意見、それから、先ほど解除準備区域のところでご議論いただいた意見から多少そんたくして、こういうご意見であろうということも少し考えると、今大塚委員が言われたように、備考の2)のところを少し説明を変えて、どういう文章にするかはご一任いただきたいと思いますけれども、金額としては、10万円ということでいかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【能見会長】 では、それはそういうふうにさせていただきたいと思います。
次、旧緊急時避難準備区域についても、同じく相当期間をどのぐらいにするか、こっちはもう解除されているわけですから、相当期間がどのぐらいかということについての問題ですが、これもいろいろ皆さん委員のご意見を集約したところ、こちらは8月末までというのが多数意見でございました。それより長い方もおられましたが、それよりももっと短い期間という方も複数おられて、そういう意味では、8月末というのが一応多数であり、それを超える期間の方が1名、より短い期間というのが複数、具体的には2名おられたという構成です。ですから、多数ということで言えば、8月末というのが多数でございました。
これもいろいろご議論があるとは思いますけれども、おそらく決め手はないと思いますので――決め手はないという言い方はあれですが、どちらについても、おそらくそれぞれ根拠があり、8月末で構わないという意見は、これは8月末で相当な期間というのが到来するけれども、特別な事情があるという場合については、個別の賠償を認めるということで、特に病気であるとか、介護が必要であるという方で、医療設備等が必ずしも整っていないとか、それだけが特別な事情に該当するわけではありませんが、ほかにもあり得ますが、この特別な事情については、先ほどの7ページ、これは議論する順番の関係で、解除準備区域のところの備考として書いてありますけれども、これがあとのほうでも当てはまりますので、7ページの備考の7)当該期間経過後の「特段の事情がある場合」について、例えば――これもあくまで例えばですが――一定の医療・介護等を必要とする者に関しては解除後の地域の医療・福祉体制を考慮し、子供に関しては通学先の学校の状況を考慮する等、個別具体的な事情に応じて柔軟に判断するということですので、8月で一応相当な期間というのは来るけれども、こういう事情の下で個別的な賠償というものは行われると。これは判断のほうは、ADRのほうでしていただくということになります。
これが一応多数意見だったと思いますので、何か注意すべき点があればお願いしたいと思いますが、特にほかになければ、これはそういうことで結論としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【能見会長】 それでは、ここは8月までということにさせていただければと思います。
次に、特定避難勧奨地点のところはいかがでしょうか。これも9ページのところの指針のローマ数字2)のところで、一人月額幾らという問題であります。
これもいろいろ金額等が分かれているところでございますが、先ほどとちょっとパターンは似ておりまして、10万円にするというのと、それよりも少ない金額でという考え方の方がおられます。ほぼ半数ずつで拮抗しているという感じですね。
一方の意見だけを代表するのは適当ではないのかもしれませんが、10万円というほうは、これが、現在避難されている方については、これは先ほどの東電の上乗せのあれですか。ちょっと現状を説明していただいたほうが。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 ここにつきましては、東京電力のほうは、月当たり10万円を一人にお支払いしているという状況でございます。
【能見会長】 ここは、不安が継続するとかいう問題とは少し違う問題かもしれません。そういう意味では、先ほど大塚委員が言われたように、東電が実際上上乗せして10万円払っているので、それを減額する理由があるのかどうかという問題だと思いますので、これも両方分かれてはおりますけれども、積極的に減額しなくてはいけないという理由があればともかくですが、もし特にそういうご意見がなければ、ここは10万円でよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【能見会長】 次は、指針のローマ数字3)のところで、特定避難勧奨地点についての相当な期間ですけれども、これもいろいろ意見が分かれましたが、3カ月というのが多数でありましたので、3カ月というのを書いてございます。3カ月というのは、ほかの今まで議論してきたところと比べると、期間が短いようではありますけれども、これは何度もこの場でも議論されましたが、特定避難勧奨地点というのは、別にインフラが崩壊しているというのとは違って、スポット的にある家庭単位で避難されるということなので、戻ってくることについての、インフラ関係での問題というのはそうないだろうということで、3カ月という期間が多数意見だったということでございます。
これも特にご意見がなければ、3カ月ということにしたいと思います。ただ、前回も私は申し上げましたが、この3カ月ということで、それ自体は構わないと思いますけれども、これは一応年間20ミリシーベルトを超えるか超えないかぐらいのところでもって、ホットスポットということで避難勧奨がされているわけで、これがそれを下回るようになってくるということで解除されるというわけですが、しかし、20ミリシーベルトから少し下がったといっても、まだ相当な放射線量がある可能性もあり、これはまた後の議論になりますけれども、自主的避難の問題とやはり連動する問題があるということだけは、私の個人的な意見として述べておきたいと思います。
ここまでで、ほかに何かご意見があれば。よろしいでしょうか。
それでは、営業損害のほうはいかがでしょうか。これは営業損害、就労不能損害は、まとめてご議論いただければと思いますが、財物価値の前のところまでで。
【鎌田委員】 営業損害でいいですか。
【能見会長】 はい。営業損害のところ。
【鎌田委員】 就労不能もあわせてですか。営業損害だけ?
【能見会長】 就労不能も似たような問題ですから、一緒にご議論いただいて結構だと思います。どうぞ。
【鎌田委員】 これは意見というよりも、むしろ質問なんですけど、営業損害の指針のローマ数字2)、それについても備考もあります。それから、就労不能についても、指針のローマ数字2)、それぞれ早期の転業・転職というのが例示されているんですけれども、この「早期の」がくっついている意味が前からいま一つよく分からないところがあります。1つは、避難所に行っていて、普通の人はとても働ける状況でないのに、生活を維持するためにやむを得ず働いているような状況を想定しているのか、それとも、一定の期間がたっちゃったら、もうそれは転職・転業するのは普通のことなんだから、賠償の際には考慮されないという意味で「早期の」がくっついているのか。これ、実際に適用するときに、なぜ「早期の」がくっついているのかの考え方によって、大分違うんじゃないかなというふうにも思うんですね。
私は個人的には、特別の努力と認められるか、やむを得ないものと考慮するのが妥当であるかどうかということ、その判断基準一つでいいのであって、ここにわざわざ「早期の転業・転職」と入れますと、何カ月もたって、半年もたってから転業・転職したのは、指針は賠償の範囲には入れてませんよとかいう、こういう無用の議論を引き起こすことになるだけじゃないかなという感じが前からちょっとしているので、ここはなぜ「早期の」というのが入っているのかということの意味をとりあえず教えていただいて、それに意味があれば、このままで結構だと思います。
【能見会長】 これは、指針の案も、基本的にはこの審査会で練ってきて、できているものですので、我々の中でどう考えるかということで決めなくてはいけないことだと思いますが。私の理解では、早期にこういう転業・転職などをした人たちは、やはり特に苦労したので、そういう意味では、こういうものが特別の努力の典型であったということで単に入っているだけで、「早期の」ということを入れることによって、相当な期間がたつと、それは特別の努力とは認められないという効果が出てくることをねらったものではないというふうに思います。そういう意味では、かえって入ることによって、特別の努力が認められる範囲が狭くなるという懸念があるのであれば、私もそれは適当ではないと思いますが、「早期」というのは削っていいのではないかと思いますけれども。
中島委員。
【中島委員】 私も鎌田先生のご意見に賛成で、営業損害と就労不能に伴う損害の指針のローマ数字2)から「早期の」は、かえって削ったほうがいいように思います。
おそらく会長のおっしゃるように、早期の場合には特別の努力と推定されるというような意味合いだったのかもしれないんですけど、逆の誤解も出ても困ると思いますので、「早期の」を削ったほうがよいのではないかと思います。
【能見会長】 あと、僕は指針のローマ数字1)を改めて読んでいて少し気になったんですけれども、少なくとも私がこの審査会で議論して、指針ローマ数字1)として理解していたのは、簡単に言えば、当面は終期は定めないということなので、この「当面は」という言葉は、当面は終期は定めないものとするというふうにつながらないとおかしくて、「当面は」というのは、当面は個別具体的な事情に応じて合理的に判断するというだけだと、これも言葉についての揚げ足取りですけれども、個別的に判断した結果、もう直ちにこれは終期ですという結論になりかねないので、そういうことを意味しているわけではないので、ここも、中身についてご異論があれば別ですが、ご異論がなければ、文章としては少し修正したほうがいいのではないかと思っています。
ほかの点はいかがでしょうか。
【高橋委員】 すみません、「早期の」を取ると、どういう文章になるんでしょうか。ちょっとそこが私は理解できません。
【能見会長】 特別の努力というものを……。これはかなり個別的な判断をせざるを得ないことになりますが、早期かどうかに関係なく、転業、就職、臨時の就労等が、それこそ鎌田委員が先ほど言われたように、特別の努力というふうに認定できるかどうかということにただかかわると。この「早期の」というのがなくても、早期のはもちろん特別な努力とおそらく推定されるでしょうし、相当時間がたってくると、それなりに特別の努力と認められる可能性が少し薄れることもあり得ると。
【高橋委員】 あくまでも例示だということを明示するためには、「等のように」で点を入れて、特別な事情があったと認められる場合にはという表現にすると良いと思います。それですと、例示だということがあって、別にほかの場合でも認められるという理解ができるのではないでしょうか。
【能見会長】 ごめんなさい。「のように」というのはどこに。
【高橋委員】 早期の転業・転職や臨時の就労等のように、特別な事情があったと。
【能見会長】 例示であるということを明確にするという意味でね。
【高橋委員】 はい。
【鎌田委員】 おっしゃるように、「早期の」を取ると、何となく日本語的に落ちつきが悪い。それで、「やむを得ない転業・転職」とか、そういうふうな言葉も考えたんですけれども、言葉探しに一生懸命になることはあまり意味がないんで、ここでこの議論をして、「早期の」は、遅くなったらもうだめだというふうな趣旨でくっついているのではなくて、さっきご趣旨が説明されたようなものであるという理解は議事録を見れば明らかだということになれば、文章までは改めていただかなくても結構でございます。
【能見会長】 大塚委員。
【大塚委員】 私は、さっき中島委員が言われたように、「早期の」は取ったほうがいいかなと思います。鎌田委員が最初におっしゃったように、誤解を招く可能性がありますので、「早期の」を取るのが適当だと思います。それで意味は通じると思うんですけど。
あと、「特別の努力」という言葉は、いろいろ毀誉褒貶はあるかとは思っているんですけど、一応民法で使ってきている言葉ではあるので、これはなかなか外しにくいという趣旨ではないかなとは推察しています。
【能見会長】 中島委員。
【中島委員】 「早期の」というのは、この指針のローマ数字1)とローマ数字2)を比較しますと、終期が決まる前のという趣旨ではないかと思うんですけど。終期というのは、もう営業損害を認める必要がないときに終期を決めるということですから、終期が決まる前の転業や転職は、早期であろうが何だろうが、特別な努力と推定されるのではないかと。というのは、まだ終期が決められていないんですから。そこまでは言わないにしても、少なくとも終期が決まる前ということであれば、この「早期の」で例示として限定するのは、かえって誤解が生じるのかなという気がしますけど。
【能見会長】 終期は、今、当面は決めないけど、どこかで決めるとなると、ある程度やっぱり一律に決まるんだと思います。だけど、その終期の前に行われた転業・転職の中にも、やっぱり特別な努力によって行われたものと判断していいものと、それから、これはもう完全にそういうものとは違うというふうになるのと、両方あり得ると思いますので、終期前に生じる問題だということは全くそのとおりなんですけれども、それから先が、いろんな場合があるので、こういう記述が必要になってくるのではないかということですね。
それも、いずれも特別な努力という要件のもとで判断するということになって、この指針自体は、その特別な努力の認定はかなり個別性があるかもしれないので、こちらでは判断しないで、紛争解決センターなり、そちらで判断してもらうということなのではないでしょうか。
そういう理解のもとで議論するのであれば、「早期の」というのは一応例示として理解するということで、それが直ちに特別の努力というものを逆に切るという作用はすべきではないという理解であれば、言葉は残すということ自体は、もしかしたら問題ない。あるいは、大塚委員は、ちょっと気になる?
【大塚委員】 やっぱり私は。
【能見会長】 削っても、別に構わないと思いますけれども。
【大塚委員】 いや、そんなに気にならないですけど。むしろ高橋委員が言われたように、例だと思うんですね。だけど、これは例で、臨時の営業・就労等のほうは、例というか、やはり特別の努力がある場合に限っているので、そういう意味では、その2つがよく分からない形でただ並んでいるというのが、私の印象です。
【能見会長】 分かりました。
【大塚委員】 すみません。
【能見会長】 それでは、いろんなご意見があるかもしれませんけれども、多数のご意見は、削ったほうがいいのではないかという。いや、そうでもないのか。多数でもないのかな。半々ぐらいなのかな。
ただ、おそらくそんなに実害があるとは思いませんので、ここがどれほど、どちらの意見が強い主張なのかということによるかもしれませんけれども。それもそんなに強くないのかな、どっちも。
【高橋委員】 これ、「早期の」を取るということは、転業・転職まで取るということですか。
【能見会長】 そうではありません。
【鎌田委員】 「早期の」という修飾語が要らない。
【能見会長】 そうそう。
【高橋委員】 「早期の」だけを取るということですか。
【鎌田委員】 そういう意味です。
【能見会長】 はい。
【高橋委員】 分かりました。
【能見会長】 じゃ、これは、「早期の」という言葉を取りましょうか。それで運用がきちんと行われると思います。
私が言ったように、指針ローマ数字1)のところは、先ほどの趣旨でよろしいですか。これは当面は終期は定めないということであって、この当面は、個別の事情に応じて判断する。当面というのは、そこにかかるのは何か変な感じがするので。
【鎌田委員】 当面これを定めず、個別の事情に応じて合理的に判断するものと。
【能見会長】 そうですね。それでよければ、そういう修文にして直したいと思います。
就労不能についても、同じですので、同じ扱いをするということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【能見会長】 じゃ、次に、財物価値の喪失・減少についてはいかがでしょうか。
どうぞ、中島委員。
【中島委員】 備考の2)の3行目なんですけれども、居住制限区域、避難指示解除準備区域の不動産の減損分、財産価値の減少分について、この考慮要素が、「一定期間使用ができないこと等」となっていますが、この一定期間使用できないという、時間的に使用ができない期間があることや、それに類するものだけが考慮要素になっているように見えますので、前回、高橋委員がおっしゃったように、例えば、そうなったことによるスティグマ、レッテル化といいますか、前ここの土地はそういう制限区域だったんだということによって地価が下がる、一種の風評損害と言ってもいいかもしれませんが、そういうことによる価値の減少も考慮しなくていいんでしょうか。これだけですと、一定期間使用できないことがメーンの考慮要素になっているように見えるんですが。
【能見会長】 それは考慮してはいけないということではもちろんなくて、ただ、うまい言葉も、スティグマという言葉も、指針に書くには少しこなれていないところがあって、書きにくいので、「一定期間使用できないこと等」という形の中にほんわかと入れているわけですが、もし今のようなご理解について異論がなければ、文章は必ずしも直さなくても、そういう理解のもとでこれを運用するということでいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【能見会長】 では、一通りやった後、もしまたご意見があれば戻りますけれども、次の、第3、自主的避難等に係る損害についての部分でございます。
これもいろいろ意見が対立しているところでございますが、比較的多数の方が支持されているということで、この指針では、14ページに指針ローマ数字1)という形で、今まで幾つもあった意見の中から、これに集約させていただきました。少なくとも子供及び妊婦については、個別の事例又は類型毎に、放射線量に関する客観的情報、避難指示区域との近接性等を勘案して、放射線被曝への相当程度の恐怖や不安を抱き、また、その危険を回避するために自主的避難を行うような心理が、平均的・一般的な人を基準として合理性を有していると認められる場合には、賠償の対象とするというようにまとめたわけでございますが、これについてもご意見があればと思います。
それから、前回説明いたしましたように、今回は線引きをするわけではありませんので、この基準でもって、前回、自主的避難については、市町村ごとに線引きをしましたけれども、その外であっても賠償の対象にはなり得ると。また、前回の線引きの中であっても、賠償の対象にならないというところは出てくるということです。
その具体的な判断は、かなり個別性を必要としますので、これは紛争解決センターのほうでもって判断してもらうということになるかと思います。でも、少なくとも指針としては、そういうものが賠償の対象になるということははっきりと宣言するというところに意味があるかと思います。
賠償の額等については、考え方は前回の第一次追補の考え方と共通というふうに考えると思いますが、紛争解決センターのほうでもって、その金額について、個別的な事情のもとで適切でない、上乗せすべきであるという事情があれば、これももちろん構わないという趣旨ですね。
これが今回の指針の中身ですが、これについていかがでしょうか。
大塚委員。
【大塚委員】 前回休んだので。ただ、もうだんだん議論が絞られてきていますので、あまりここで蒸し返しをする気はないのですが。私、前回の案の3のほうがむしろいいと思っていますが、ただ、皆さん、これがいいと思われているようですので、これにのっとってだけお話をします。
「心理が、平均的・一般的な人を基準として」というところを、「平均的・一般的な人を基準としつつ、科学的知見を考慮して」とかいうのはやはり入れないと、これだけだと非常に振れが大きいかなという感じはいたしました。
もう一つ別の点があるんですけど、一応この指針のローマ数字1)については、そういうようなことを思いました。
【能見会長】 田中委員、どうぞ。
【田中委員】 今の大塚委員の意見につながるんですけれども、この基準というのが、平均的・一般的な人だけだと、私も、だれが一般的な人なのか、平均的な人なのかというのが分からないので、その前に、提案なんですが、「放射線防護に関する知見や基準を参照にしつつ」というような言葉を入れていただけると、かなりそこは科学的な、この場合は、多分、放射線防護基準ということだと思いますので、そういうことを入れていただいたらいいんじゃないかというのを1点、提案したいと思います。
それから、今、平均的・一般的な人という場合に、だれを指すのかなというふうに、これは確認しておきたいんですが、やはり自主避難をした人から何か請求があったときに、その人が住んでいる地域の人、避難していない人も大勢いますので、大部分は避難していないわけですけれども、そういう人たちを指すことと理解してよろしいのかどうかという。
【能見会長】 これは皆さんご議論いただきたいと思いますけれども、2つ点があって、第1点は、大塚委員の意見と共通するところもあるんでしょうか、ちょっとよく分からない。
【大塚委員】 考えていることは多分違うんですけれど、ここに関しては、表現は大体収束できるかなと思います。
【能見会長】 ここは、おそらく実質的にかなり対立する部分で、平均的なほうはそんな大きな問題ではないと思うんですけれども、第一次追補と第二次追補というのは、確かに12月までと1月以降は、第一次追補のほうは、原子力事故が起きた当初のことも考えて追補をつくったという点で、第二次追補の状況とはやっぱり違うんですけれども、ただ、第一次追補のもとでも、放射線量のどのぐらいのところがあそこで拾われていたかということは、これはおそらく今回もやはり参考になると私は思います。したがって、もし田中委員が放射線防護の基準というのでどのぐらいのことを考えておられるかなんですが、もし20ミリシーベルトを切れば、それはもうここで自主的避難の対象にはならないという趣旨であるとすると、おそらく私が考えているのとは違うし、基本的にはそこら辺の基準は、私は、この案が出てきたときも、第一次追補のときの大体放射線量の基準、あるいは、そこは放射線量だけではありませんけれども、そういうものがここでも承継されるというので、もしかしたら、田中委員が考えている放射線防護の基準というのと大分違ってくるのではないかと思います。
大塚委員の科学的知見というのは、どこを意味しているのかは、よく分かりませんけれども、あわせてご議論いただければと思います。
【田中委員】 ちょっとよろしいですか。
そこのところを幾らというと、いろいろ議論が出てくると思うんですね。今の会長がおっしゃったようなことも含めて、やや漠然とした言い方ですが、だから、「基準を参照にしつつ」というのは、そういうことなんです。
そこで、次に大事なのが、平均的・一般的な人を基準としてというときの、その平均的・一般的というときに、その地域、当該自主的避難されている人が住んでいる地域とを比較してというような、そういう言い方が正しいかどうか分かりませんけど、そういう縛りで大体判断をしていただくということで、多分、これ、個別にいずれ判断されるのかなと思いますので、そういう意味で理解、提案させていただいています。
【能見会長】 これは、いずれにせよ線引きをするわけではないので、ADRのもとでもって個別に判断する。ただ、その際にも、ADRとしては、一体どういう判断したらいいかというのが全く分からないというのは、やはり指針としても適当ではないと思いますので、そういう意味で、ここの指針というのは、第一次追補のときに大体、あれはちょっと広目にとっているところがあるのかもしれませんけれども、あるいは狭いところもありますけれども、あそこで線引きをしたときの基準というのは、大体今回も基準にはやっぱりなりますよというのが1つ。それは、したがって、繰り返しになりますが、田中委員のいう放射線防護の基準というのを参考にしてというのと同じことになっていいのかどうかというのが1つですね。前回の自主的避難のときには、いろいろ地域によって若干ばらつきはありますけれども、20ミリシーベルトを下回って、10ミリシーベルトも下回って、5ミリシーベルトとか、1ミリシーベルトに近いところも拾っていたりしていますので、そういう基準で構わないけれども、放射線防護の基準を参考にしてという言葉を入れてほしいということであれば、それは私もそれほどありませんけれども、中身の実質的な部分が違うんだということであれば、また対立があるのかもしれません。
それが1つと、それから、平均的・一般的なというのは、これも法律なんかではよく使う言葉かもしれませんが、ちょっとぬえ的ではありますけれども、その避難した人の判断というのが、非常にその人にとって特殊なものではだめですよ、その人だけが感じるような特殊なものではだめですよということで、そういう意味で、一般的・平均的なんですが、ただ、自主的避難をされている方は、今田中委員が言われたように、やはり少数派ですから、その地域の多数から判断したときには、自主的避難という合理性がないという判断がされるのは困る、それは適当ではない。少数派であっても相当数がいれば、それは平均的・一般的な人を基準としても合理性はあるというふうに私は思いますけれども、そこら辺の考え方ですね。
【鎌田委員】 考え方としては、今、会長がおっしゃったようなことだと思うんですけれども。ほかの人たちがどうなのかということが考慮の対象になるんじゃないかという田中委員のお話なんですけど、これは、確認も含むんですけれども、この自主的避難者に係る損害は、第一次追補の場合と同じように、実際に自主的避難をした人がいる。これはもうやむを得ないねというふうに判断されると、それと同じ状況に置かれている人は、自主的避難していなくても賠償の対象のなるんですよね。だから、その地域の人で自主的避難した人は1人しかいない。ほかの人はみんなそこにいるじゃないかという場合でも、みんな不安なんですと言って、それがやむを得ない合理的理由はあるということになると、その地域のそこに住んでいる人たちも、みんな自主的避難者に準じて賠償を受けるということですから、単純に自主的避難した人の数が多いか少ないかというのとは違う考え方をここはとっておりますね。ただ、実際の判断に当たっては、それは99%の人はそれほど心配していないのに、1人だけが非常に過敏になっているというふうな事情が認定されれば、それはそれで重要な判断要素になると思います。
私は、指針のローマ数字1)の「心理が」というのにものすごい違和感があるんですけれども、ここは「自主的避難したことが」とか書かないで、「心理が」というふうに書いているのは、自主的避難していようがしていまいが、みんな賠償しますということを表現しようとして、この基準の表現になっているんだというふうに理解したんですけど、それはそれで間違いないですね。
【能見会長】 はい。
【田中委員】 そういう理解は私はしていなかったんで、そういうことであれば、それで結構だと思いますけど。
【能見会長】 というのは、平均的・一般的なという基準については、それで了解されたということでよろしいですか。
【田中委員】 はい。
【能見会長】 問題は、むしろ放射線防護のほうの基準の話ということになりますかね。
【田中委員】 はい。それはあまりぎりぎり詰めると、なかなか結論の出にくいところですから、こういうことで個別具体的に判断をしていただければいいんじゃないかと。そのときに、平均的・一般的なという、会長がおっしゃったようなことが1つの尺度になるんだろうと思いますし、その結果として、仮に認められた場合は、その地域全体が鎌田委員のおっしゃったようなことであれば、私はそれで結構だと思います。
【能見会長】 米倉委員、どうぞ。
【米倉委員】 この問題は、一次の追補をしたときの議論の中で、2つのファクターを考えたと思うんです。1つは線量、もう一つは、どれぐらいの方が避難したか。これがまさに今議論している2つの項目になると思うので、あのときの考え方をそのまま踏襲するというのであれば、私はそれでいいと思っています。
あと、今後問題となっていくのは、まさにこの特定避難勧奨地点が解除された後に、そこに戻ってくる人たちの中に子供さんがいたり、そういう線量の高いところに対する配慮ということを考えますと、やはりその2つのファクターを、一次の追補をつくったときの考え方に基づいているということを踏襲すれば、私はこの案でもいいと思っています。
【能見会長】 大塚委員。
【大塚委員】 米倉委員のおっしゃることは、私もそのとおりだと思っているんですけれど、そうでしたら、前回の案3の表現のままでいいと思いますが、あまりここでそういうことを言うと、いろんなものをひっくり返すことになるので、申し上げにくいんですが、どうして変えなくちゃいけないのかなと個人的にはちょっと思っております。
【能見会長】 どれが。ごめんなさい。
【大塚委員】 前回のときの案の3の、「相当な理由があり」とか、「自主的避難を行ったことについて、やむを得ないと認められる場合には」ということで、私は全然構わないと思っていまして、やむを得ないというのは、オートマチックにと思われるかもしれませんけど、これは法的にやむを得ないということを言っているだけですので、そこは別にそれほど大きな意味があったわけではないと思っております。
【能見会長】 これは、僕は記憶ははっきりしていないけど、前回2と3の案の2つ並立していたときに、これは集約……。私は、どちらかというと2が多かったような気もしましたけど、どうでしたっけ。
【大塚委員】 2が多かったみたいですね。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 前回の議論の流れでは、2のほうにということで、こういう案に。
【大塚委員】 そのときに、「やむを得ない」というのがちょっと気になるというご趣旨のことが議論されていたと思うんですけれども、「やむを得ない」というのは、法的にやむを得ないという意味なので、そんなに気にされることではなかったのではないかと個人的には思いますが。今からこんなことを申し上げて申しわけありません。
【能見会長】 結局は同じ問題に行き着くのでしょうけれども、合理性をどうやって判断するかというところで、避難、あるいは避難できない、残っている方たちも不安を感じるというものが合理性があるかどうかという、それを判断する際に……。ただ、「やむを得ない」という言葉を使うと、やっぱりちょっと強い感じはしますけどね。
【大塚委員】 もう一つ、よろしいですか。
今の案を残すのであれば、その合理性のところに、放射線防護に関する知見が入るということでしたら、私は田中委員と同じことを考えているわけでは全然ないんですけれども、このままでも構わないかなとは思いますが、その合理性というのが何かということは、ほんとうは考えておいたほうがいいかなとは思いますけれども。
【能見会長】 前回の一次追補のときも、少し玉虫色ではあったんですが。指針の言葉としては書いていないけれども、これを運用されるADRのもとで、多少科学的知見ないし放射線防護の基準というのを考慮しながら判断されるのもあり得るし、しかし、それを正面からどのぐらいということはどっちみち言えないので、そういうことも考慮するけれども、実際上は、むしろ合理性があるかどうかのところでただ判断されるだけだと。
ということで、もしこの言葉でも特に違和感がなければ、田中委員もいかがですかということになりますが。あるいは、あえてこちらから事前のというか、場合によっては、科学的知見を考慮してという大塚委員の言葉を――それをどう理解するとはちょっと玉虫色ですけれど、それを入れてということはあり得るかもしれない。
【高橋委員】 2行目に、放射線量に関する客観的な情報というのを入れていただいたのは、そういう趣旨だったと私は理解していのですが。
【能見会長】 そうですね。
【高橋委員】 それを勘案した上で、合理的かどうかという話なので、そこの表現にこれまでのご発言の趣旨はに入っているのではないか、と私自身は今まで思っていました。
【能見会長】 あんまり私も記憶ははっきりしていませんけれども、どの程度議論したかということについては記憶はありませんが、ここにある程度そういうものを読み込むことは可能かもしれません。だけど、繰り返しになりますけれども、一次指針追補のときとそれほど大きな違いを設けるという趣旨ではないというのが、この案です。ただし、線引きはしないで、個別的に事実的に判断すると。
ご意見ありますか?
【中島委員】 この表現は、前回、前から委員の中でかなり意見が分かれていたところを、あえて、科学性に疑問を持たれている田中委員にも賛成していただくために、風評被害的な心理を強調した案2として提案させていただいて、田中委員もこれだったらよいということで、この表現に落ちついたという経緯があるということと、第一次指針で、自主避難を出した、最初に認めたときの表現とあえて変えることによって、もう一度仕切り直しであるという意味もあるのではないかということで、そういう表現の違いが出てきたという経緯があったと思います。
【能見会長】 大塚委員。
【大塚委員】 それは議事録を見させていただいていますので、分かっています。ただ、田中委員も、ここは私と同じように、ちょっと疑問を呈しておられるので、それだけではおさまらなかったということだと思いますけれども。「基準として」というのを、「基準としつつ」としていただければ、私はそれで構いません。つまり、平均人・一般人を基準とする話と、合理性を有しているというのと、実は2つのことが書いてあるわけですけれども、そこがよく分からないことになっているところが、ちょっと気になるということです。
ただ、これは理論的な話ですので、あまり具体的な何かに響くというようなことでは必ずしもないと思います。
【能見会長】 確かに平均的・一般人を基準にするというのと、合理性の中身の問題は違うので、すぐつながる問題ではないんですが、平均的・一般的な人を基準としつつ……。しかし、あまり文章は変わらないような気もするけど、それはそうでもないですか。
【大塚委員】 合理性のほうが別にあるんだということにはなるということです。
【能見会長】 この文章でもそうならない? 無理ですか。
【大塚委員】 これだと、やっぱり平均人・一般人基準というのが非常に強調されているような感じはいたしました。すみません、私が個人的にそう読んでいるだけかもしれませんが。
【能見会長】 独立させて、平均的・一般人を基準とする基準というのは、先ほど言ったような中身でいいんですか、中身は。先ほど鎌田委員や私が言ったような中身で。
【大塚委員】 はい。それはそうです。だから、科学的知見とかというのを、ほんとうは入れたいんですけれども、要らぬご議論になると思いますので、もし問題があるとすれば、一般人・平均人を基準とする話と、合理性を有する話と、2つがあるんだということは示していただいたほうが、理論的にはいいかなという程度の趣旨でございます。すみません。
【能見会長】 それでもし納得されるのであれば、私は構いませんけど。
田中委員としても、合理性の中身はここでははっきりと議論していないけれども、そういう田中委員のような……。
【田中委員】 今、議論していただいて、いろいろ議事録にも載ることだし、合理性というのはいろんな読み方ができる広い意味を持っているということで解釈すれば、このままでもいいことで納得します。
【能見会長】 それでは、今、議論の結果、「基準としつつ」に直して、合理性を独立の基準であることを明確にした上で、「賠償の対象となる」という文章につなげるということで了解が得られたというふうにしたいと思います。
それでは、大分時間が超過しているかもしれませんが、第4の除染等に係る損害について。
【大塚委員】 備考の2)のところの丸1のところですけれども、「前提となる状況が全般的に異なる」というのは、このままでいいのかどうかというのは多少気にはなっていまして、あまり変わっていないじゃないかというご意見もあるものですから、ここはそのままでいいかどうか、ちょっとおうかがいします。
【能見会長】 これは、文章が、私も改めて読み直してみて、今、大塚委員と同じような感想を持ちますけれども、例えば、冷温提示状態の話とか、それから、放射線量が、これはだんだんは下がってはいるんでしょうけれども、大分下がったんだとか、そういうことを意味するつもりではない。ただ、一次指針追補の場合には、事故直後から12月までの期間というのをとったことによって、そこでの自主的避難の賠償というのを考えたのに対して、あのときも議論しましたけれども、後半は、すぐ爆発するという危険ではなくて、放射線量そのものに対する危惧というものが中心になってきているということの違いですかね。それの違いのことを意味しているのであって、前提となる状況が全般的に異なるというのは、今大塚委員が危惧したような意味にとられるとすると、それは違うことなので、ここも何か適切な文章がありますかね。
少なくとも今のような理解であるということで、文章も少し直させていただきたいと思います。
ほかになければ、次の除染のところについてはいかがでしょうか。ここは、今まではそれほどご議論はなくて、大体これでよろしいということだったと思いますけれども。
田中委員、ご意見があるということで、お願いします。
【田中委員】 もう時間が過ぎているのに恐縮ですけれども、1つ、ぜひ追加していただきたいと思いますのは、放射線・放射能対策にかかわる損害についてということなんです。それで、今の自主避難とも非常にかかわるんですけれども、実際に住んでいる住民というのは、日常的な放射線や放射能に対して非常に不安とか恐怖を抱いていまして、各市町村は、住民のそういった不安を緩和するというために、いろんな取組を行っています。具体的には、1つは、いわゆるリスクコミュニケーションですね。いろんな専門家を呼び、それから、パンフレットをつくったり、それから、子供を中心とした外部被曝線量の測定とか、ホールボディカウンターによる内部被曝測定とか、それから、特に今度食物摂取基準が厳しくなりましたし、前々からもそうですが、家庭菜園というか、農村部においては、自家菜園とか、自分のところで野菜等をつくって食べる例が多くて、そういったものの放射能検査とかの要求もかなり強い。そういったいろんな健康相談もそうですけど、こういったことは、かなりの市町村で取り組んでいます。
今の状況を見ますと、これはみんな市町村の独自予算でやらざるを得ないというような状況になっているわけで、そうすると、その予算のないところは、そういったことができないと。例えば、飯舘村の子供たちが川俣町に学校に通っているんですが、川俣の子供たちは個人被曝線量を測って対応しているんだけれども、飯舘の子供たちは、それも測ることができないというような状況があります。こういうのはあまりよろしくないことでありますし、こういった住民の不安とか恐怖を軽減する取組というのは、これから非常に大事になってくると思いますので、こういったことに必要なお金というのは、やっぱり賠償の範囲として認めてあげることによって、よりそういった取組が前へ進むし、各市町村の財政状況によらないで、公平にできるようになるのではないかと思います。
それで、実は物品とか人の検査費用とかというのは、前の指針でも認めていただいているんですが、もう少し幅広く認めていただければということで、とりあえず提案させていただきます。
【能見会長】 それでは、これについてご議論いただければと思います。いかがでしょうか。
何かご意見ありますか。どうぞ。
【高橋委員】 これは、要するに、中間指針の二ではカバーできないというご趣旨でご提案されたということでしょうか。
【田中委員】 はい、そうです。
【能見会長】 関連する箇所は、中間指針のどこですか。
【鎌田委員】 60ページじゃないかと思うんですが、60ページのところで。
【高橋委員】 一応そういうことを頭に置きながら、60ページのことを議論していたような気がするんですけれども。これではカバーできないということでしょうか?
【田中委員】 60ページは全然意味が違うと思うんですね。検査のために必要な、例えば、検査機器ですね。放射能の測定器とか、個人の内部被曝を測るためのホールボディカウンターとか、そういうものを購入する費用になりますので、少し意味が違いますね。
【高橋委員】 分かりました。
【能見会長】 大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 健康被害との関係で最も重要な点だと思いますし、今回の事故がなければ全く必要がなかった費用だと思いますので。さらに、除染等については特措法で認めているというようなこととの関係を考えると、お認めしたほうがよろしいのではないかと思います。
【能見会長】 中身としては、これはすべてが相当因果関係が認められるかどうかは、もう少し適切な表現に変えなくてはいけないかもしれませんが。
【高橋委員】 すいません。別に、趣旨は全く賛同しますが、指針の「支援のために負担すべき費用」というのには入らない?
【大塚委員】 これは、代わって加害者が。
【高橋委員】 代わって?
【大塚委員】 自治体がということでしょうか。
【高橋委員】 いや、加害者が負担をすべき費用には入らないということだと。
【大塚委員】 いや、自治体が住民サービスのためにやるわけですから、これにはちょっと当たりにくいのではないでしょうか。
【能見会長】 分かりました。
いずれにせよ、ある意味でつまらないところで議論してもしょうがないので、これは実質について特にご反対がなければ、この場所がここでいいのかどうか分かりませんけれども、やっぱり除染等に絡む、関係するテーマでもありますので、指針の項目を1つ追加して、入れるというのでいかがでしょうか。
言葉は、これはこのままではまだ指針にはならないかもしれませんので、少し……。
【田中委員】 それは会長にお任せしたいと思います。
【能見会長】 言葉を少し修正をさせていただくかもしれません。
ほかの関連する場所もいろいろあるかもしれませんけど、現在の第二追補の中で書くとすれば、ここが一番近いかもしれないので、ここに書くということでいかがでしょうか。よろしいですか。じゃ、そういうふうにさせてください。
どうぞ、中島委員。
【中島委員】 時間が遅くなっているのに恐縮ですが、例えば、これ、市町村でなくて、同じように、除染区域外であっても、私立学校や幼稚園とか、あるいは農家が、風評被害を避けるために、あるいはPTAの不安を避けるために、同じような検査機器を買ってやっているという場合は、やはりこれに含まれてくるのではないかなというふうにも思うんですが、そこはどうなりますでしょうか。
【能見会長】 これも相当因果関係というものに入る範囲と入らないものとあるかもしれませんが、入る限りでは賠償の対象になって構わないと思いますので、今、精査していませんけれども、ほかの項目でカバーされるところがあるのかもしれませんけれども、少し浸透してオーバーラップすることがあっても、ここで一緒に、今の田中委員の意見とあわせて記載するというのでいかがですか。
(「異議なし」の声あり)
【能見会長】 じゃ、文案は任せていただくとして、そうさせてください。
少し文案のところが残っておりますけれども、ほかにご意見等はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、いろいろご意見いただきまして、この修正を施し、かつ、今の追加をし、この二次追補、指針をこれでご議論され、確定したというふうにしたいと思います。
本日は、委員の皆様におかれましては、ほんとうにお忙しい中、また、精力的にこれまで長時間ご議論いただきまして、大変ありがとうございました。
ある意味で一つの節目でございますので、ここで奥村文部科学副大臣からごあいさつをいただきたいと思います。
【奥村文部科学副大臣】 各先生方には、大変お忙しいところ、こうしてお集まりをいただいて、協議をお持ちいただきまして、ほんとうにありがとうございました。
昨年の4月15日のスタートだったと思いますが、精力的に審議を重ねていただき、また、福島のほうにもお出かけをいただいたり、大変ご苦労いただきました。そしてまた、8月5日には中間指針、そして、12月6日には中間指針の追補、そして、本日、新たな指針を策定していただくことができたわけでございます。ここに厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。
今回の事故は、ご案内のとおり、周辺住民の皆さんをはじめとする国民全体に広範な被害をもたらしているという点で、我が国の損害賠償の歴史上、類を見ないものというように思います。社会的にも大きな関心が示される中で、指針の作成に当たっていただいた能見会長をはじめ、委員の皆様方に、ほんとうに重ねて厚く御礼を申し上げ、いろいろ見識とご英断をいただいたことにも、ほんとうに敬意を表したいと思います。
本日ご決定いただいた指針につきましては、避難地域の見直しが予定されているわけでございますが、被害者の方々のさまざまな事情を考慮していかなければならないということも思っております。非常に難しいものがあったと思いますが、ほんとうにご苦労をかけました。
我々文科省といたしましても、先生方のいろんなご示唆いただいたことをしっかり受けとめさせていただいて、今後は迅速に公平で適正な賠償が行われるように、関係省庁とも連携をとりながら、協力して頑張っていきたいと思っております。
言葉は整っておりませんが、心から皆様方に御礼を申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。ほんとうにどうもありがとうございました。
【能見会長】 奥村副大臣、どうもありがとうございました。
それでは、事務局から、本指針の今後の扱い方について説明してください。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 若干大きく修正もございますので、なるべく早く指針の文言を会長にご了解いただいた上で、なるべく早く文部科学省のホームページに掲載をさせていただきたいと思います。現在のところ、週明け、月曜日の朝にはホームページに掲載されているように努力をしたいと思っております。
以上でございます。
【能見会長】 それでは、これで閉会いたします。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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