平成24年3月8日(木曜日)14時00分~16時50分
文部科学省旧文部省庁舎6階 第2講堂
能見会長、鎌田委員、高橋委員、田中委員、中島委員、米倉委員
奥村文部科学副大臣、神本文部科学大臣政務官、藤木文部科学審議官、戸谷研究開発局長、田中総括審議官、加藤原子力損害賠償対策室長、篠崎原子力損害賠償対策室総括次長、田口原子力損害賠償対策室次長
【能見会長】 それでは、時間になりましたので、第25回原子力損害賠償紛争審査会を開催したいと思います。本日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
はじめに、事務局から配付資料の確認をしてください。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、資料の確認をさせていただきます。
1枚の議事次第のほかに、資料が2つ、まずございます。資料1といたしまして、今回検討しております中間指針の第二次追補という名前にしてございますが、それの素案が資料1でございます。それから、資料2といたしまして、この「政府による避難区域等の見直しに係る中間指針第二次追補のイメージ(案)」についての意見ということで、このイメージ案というのは、前回の審査会の資料でございますが、それに対しての意見という形で、原子力損害賠償紛争解決センターの総括委員会の名前で意見が提出されてございます。これは後ほどご紹介させていただきます。
そのほかに、参考資料といたしまして、参考資料1は、前回の議事録でございます。それから、参考資料2と参考資料3が、雇用の関係の資料ということで、参考2が、福島県の雇用情勢について、参考3が、各種のアンケート調査結果をまとめたものをつけてございます。それから、参考4といたしまして、これは慰謝料の参考資料ということで、死亡慰謝料をはじめ、後遺症慰謝料について、これは日弁連の交通事故相談センターがつくっている基準を、ご参考までにお配りしてございます。
それから、1枚、これは委員の机の上だけでございますが、本日ご欠席の大塚委員から、意見が書面で提出されてございます。これにつきましても、後ほど議論の中で私のほうから紹介させていただきます。
資料の確認は以上でございます。
【能見会長】 それでは、早速議題1に入りたいと思います。
その前に、議題は議題なんですけれども、本日は、この素案というのをもとにしてご議論いただきまして、できるだけ指針の中身を詰めていきたいと考えているところでございます。
その指針の具体的中身に入る前、今紹介がありました、紛争解決センター――ちょっと名前を省略して言いましたけれども――の総括委員会からの意見というのが出ておりまして、これについて、どういう形で議論し、また、指針の中に反映させるかということについて、ご議論を簡単にしていただき、また後で、具体的な中身のところで、反映のさせ方についても議論してもらいたいと思っております。
その前に、この総括委員会の意見について、簡単に概要を紹介してください。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、資料2でございます。
紛争解決センター総括委員会からの意見ということで、まず1番目でございますが、避難指示解除準備区域及び旧緊急時避難準備区域についての避難費用及び慰謝料の終期ということで、避難費用及び慰謝料の終期を現時点で定めることには、反対である。
避難費用及び慰謝料の終期は、自宅に居住可能になるだけでなく、そこで必要な収入を得られる状態になることを基本に考えるべきである。
避難指示解除準備区域の住民は、現段階では、どこで事業の再開又は就職をするのが適当か、決断できない状況にある。自宅に居住可能になっただけでは、そこで収入が確保できるかどうか分からないからである。また、避難指示解除準備区域の避難解除の発令が、どのような状況下で行われるかも、現段階では予測し難い。このような状況の下で一律の終期を定めると、将来、当センターにおいて、法律の趣旨に沿った適切な和解案を示せなくなることが危惧される。
旧緊急時避難準備区域の現状は、当センターへの申立事件からうかがわれるところによれば、次のとおりである。原発事故が原因で、人口が十分に回復しておらず、物流が悪化し、隣接する旧警戒区域のかなりの部分が今後も無人のエリアとなるため、商圏の十分な回復や経済活動の活発化は期待できない状況にある。求人は十分でない。長期入院が困難で、分娩施設や小児科がないなど、医療体制への不安が強く、弁護士がおらず、在宅介護が貧弱で、重度の要介護者の受入れ施設はないなど、高齢者、妊婦や子供がいる世帯で自宅に戻りづらい。要介護者のうち寝たきり患者は、避難したままの状態である。放射線リスクに対する不安も強い。このような事情によれば、今後も避難を続けざるを得ない者が相当数いる。このような状況の下で一律の終期を定めると、将来、当センターにおいて、法律の趣旨に沿った適切な和解案を示せなくなることが危惧される。これが1つ目でございます。
2つ目は、慰謝料の額でございます。避難指示解除準備区域及び旧緊急時避難準備区域の第3期の慰謝料は、当面は、第2期と同様とするのが相当である。当センターへの申立事件からうかがわれるところによれば、避難中の被害者は、自宅に戻っても従前と同様の収入が獲得できるのか分からないのが現状であり、原発事故に起因する将来の生活への不安は減少していないからである。また、避難指示解除準備区域に指定されただけでは、避難指示解除の時期がいつになるのか不明であり、将来の計画が立てられない状態にあるからである。
裏で、3つ目でございます。就労不能等に伴う損害。1及び2に記載したのと同様の理由から、現時点において、終期を「原則として、本件事故発生から○年」と定めることには、反対である。案2に賛成する。
4番目が、一括金について。帰還困難区域の住民に対する今後の慰謝料を一括金で定める場合には、最低でも、従来の月額10万円の慰謝料の5~10年分程度の額が必要である。本件事故による居住不可能な地域の発生は、過去に例のない大規模なもので、従前の居住地と全く離れた地域への移住を余儀なくされ、従前のコミュニティや商圏の復活も困難となるなど、巨大かつ過酷な被害である。このような事情を考慮すると、避難生活から新たな生活に踏み出し、新たな生活を軌道にのせるためには、通常は5年前後の期間が必要であり、さらに新たな生活基盤を作るためにまとまった多額の資金が必要となるのが通例であるからである。最高裁判例や下級審裁判例の中には、本件事故と同程度の巨大かつ過酷な被害を取り扱ったものは存在せず、参照すべき適切な先例はないと言わざるを得ない。
なお、近年の低金利状態を考慮すると、被害者に一括金の適切な運用を期待することは無理であるから、いわゆる中間利息控除はすべきではない。
以上でございます。
【能見会長】 先ほど申し上げましたように、この総括委員会の意見というのは、法律の専門家の集まりである総括委員会の中から出てきた意見であり、また、個別の申立ての案件の中から、それの分析によって得られた意見だということもありまして、私としては、十分尊重したい内容であると思っております。ただ、具体的にどういう形で、この指針の中に取り入れていくかということについては、またご議論いただきたいと思っていますけれども、個別の論点ごとに取り上げていくほうがよろしいかと思いますが、もしここで全体的な視点から、何かこの総括委員会の意見書の扱い方についてご意見があれば、伺っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、私が今申し上げたような方針でよろしいということかと思いますので、後で関連するところで具体的に検討していきたいと思います。
それでは、本日のこの素案というのをもとにして議論していきたいと思いますが、前回もそうでしたが、全体を全部まとめて説明を聞いてから議論するというのは、少し長過ぎるので、これもまた区切って議論していきたいと思っております。最初に、全体の構成と「第1 はじめに」の部分について、簡単な説明をした後、ご意見、ご質問等を伺いたいと思います。
では、ここの部分についての説明をお願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 まず、全体の構成と「はじめに」の部分でございます。
全体の構成でございますが、前回のイメージ案とは若干変えてございまして、最初の「はじめに」の中で、現状と基本的考え方、ここは変わってございません。そのあと、第2のところからでございますが、政府による避難指示等に係る損害についてということで、ここを大きく4つの部分に分けてございます。1が、2ページから始まります避難費用及び精神的損害、2が、7ページから始まります営業損害、3が、その次のページの下からですが、就労不能等に伴う損害、4が、財物価値の喪失又は減少、これが避難指示に係る損害の部分でございます。それから、11ページに、それに加えまして、自主的避難等に係る損害、それから、除染等に係る損害があるという構成になってございます。
それで、「はじめに」の部分でございますが、基本的な書いてあることは、字句の修正はございますが、1の現状のところは、同様でございます。
それから、2の基本的考え方のところも同様でございますが、前回ご議論いただきました、基本的考え方の最後の部分をご確認いただきたいと思います。2ページの上のところの最後のパラグラフの「その際」以下の4行でございます。一応読み上げさせていただきますと、その際、これらの指針に明記されていない損害についても、個別の事例又は類型毎に、これらの指針の趣旨を踏まえ、かつ、当該損害の内容に応じて、その全部又は一定の範囲を賠償の対象とする等、東京電力株式会社には合理的かつ柔軟な対応が求められる。若干字句を修正してございますが、趣旨は前回のものと変わってございません。
説明はとりあえずここまでになります。
【能見会長】 それでは、ここまでの範囲でご意見等ございますでしょうか。
もしなければ、私から少しコメントといいますか。今、最後に読み上げた「その際」以下の、あるいは、もう一つ前の「なお」の中間指針云々というところからのほうがいいかもしれませんが、要するに、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得るということですが、意外とこれが重要な意味をこれから大分持つようになってくると。特に指針では、ある意味、共通の損害というのを指針で認めていくわけですが、その共通ではない、ある種個別的な事情に基づく損害というものも認められることがあると。これは、紛争解決センター、ADRのほうでもって、個別的な事情を調査し、判断していただくということになるわけですが、これが、今申し上げましたように、私の感じでは非常に重要性を持つということがあると思います。
総論自体はこれでいいんだと思いますけれども、特にその個別的な事情に応じて損害を認めていく必要が高い損害項目というのは、これから幾つか出てくると思いますので、そういうところについては、この総論の趣旨を、くどいかもしれませんけど、それぞれの損害項目のところでもう一度確認する、あるいは、そこでブレークダウンする形で書いていくということがいいのではないかと思います。
これは総論そのものの問題ではなくて、やっぱり後の個別の損害のところでもう一度議論するということになると思いますけれども、そういうことをちょっと注意してごらんいただけるといいのではないかと思います。
ほかに何かご意見ございますか。また総論の問題、実は後で、ちょっと私が気になっている点もありますので、後で個別具体的なところでご議論いただくことにしたいと思いますが。
よければ、次の区分ということで、第2の、政府による避難指示等に係る損害についてのうち、これも長いので、それの1、避難費用及び精神的損害の部分について説明をお願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、2ページからの、避難費用及び精神的損害でございますが、ここはまず大きく3つに分かれてございまして、2ページから始まります(1)の避難指示区域、5ページから始まります(2)の旧緊急時避難準備区域に関すること、それから、6ページから始まる(3)の特定避難勧奨地点に関する記述の3つの部分からなってございます。
まず避難指示区域でございますが、2ページ目の下半分のところは、これは新たに設定される避難指示区域、3つの指示区域の簡単な定義が書いてございます。それから、これが24年3月末を一つの目途に、新たに設定する方針であるということでございます。
3ページのところに、指針の案として書いてございますが、まず1つ目でございます。避難指示区域内に住居があった者については、中間指針第3の[損害項目]の6――これは精神的損害の部分でございます――の「第2期」を避難指示区域見直しの時点まで延長し、当該時点から終期までの期間を「第3期」とする。
それから、2つ目でございますが、第3期において賠償すべき避難費用及び精神的損害並びにそれらの損害額の算定方法は、原則として、引き続き中間指針第3の[損害項目]の2及び6――これは精神的損害の部分でございます――で示したとおりとする。さらに、そのあと、ブラケットで囲ってございますが、【但し、宿泊費等が賠償される額及び期間には限りがあることに留意する必要がある。】という文言をブラケットで入れてございます。
それから、3つ目でございますが、第3期における精神的損害の具体的な損害額――これは避難費用のうち通常の範囲の生活費の増加費用を含むということでございますが――の算定に当たっては、本件事故発生時の住居の所在地に応じて、以下のとおりとするということで、丸1が避難指示解除準備区域でございまして、これについては、今ここでは、一人月額【○万円】を目安とするという形になってございます。それから、丸2の居住制限区域につきましては、概ね【○年分】として一人【○万円】を目安とする。但し、避難指示解除までの期間が長期化した場合は、総額が下記丸3の額を超えない範囲で、賠償の対象となる期間に応じて追加する。それから、丸3の帰還困難区域につきましては、一人【○万円】を目安とするということで、一括の書き方に今なってございます。
それから、4番目の部分でございますが、避難指示の解除後の「相当期間」についてでございますが、避難指示区域については、【○カ月間】を当面の目安とするということを素案として書かせていただいてございます。
備考のところは、それぞれの今の指針の項目の説明になってまいります。
まず備考1)については、これは中間指針で「第1期」「第2期」を、それぞれ事故発生から6カ月、6カ月という形で切ってきましたが、必要に応じて中間指針で見直すとしてございましたが、これはまさに今回の避難指示区域の見直しの時期と、「2期」「3期」の境目をここにするということが、説明で書いてございます。
それから、2番目のところは、指針のローマ数字2)に対応したものでございますが、算定方法について、ここに3つ書いてございますが、避難費用でございます。「対象区域から避難するために負担した交通費、家財道具の移動費用」、それから、「対象区域外に滞在することを余儀なくされたことにより負担した宿泊費及びこの宿泊に付随した負担した費用」、それから、3番目として、「生活費の増加費用」、これについて、必要かつ合理的な範囲で賠償すべき費用と認めているという中間指針の説明でございます。それから、中間指針の精神的損害のところで認めている精神的損害の内容についても、ここでもう一度触れてございます。1つは、「自宅以外で生活を長期間余儀なくされ、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたために生じた精神的苦痛」、それから、「いつ自宅に戻れるか分からないという不安な状態が続くことによる精神的苦痛」、これらが賠償すべき損害と中間指針で認められてございまして、さらに、この場合といたしまして、丸1と丸2は、これは避難費用の部分でございますが、宿泊費、移動費用、これは実費を、丸3の生活費増加は、精神的損害と合算した一定の金額をもってというのが、中間指針の説明でございます。
それから、備考3)のところでございますが、ここは先ほどの指針の案の2番目の但し書きに対応するものでございますが、宿泊費の額は、例えば従前の住居が借家であった者については、従前の家賃からの増額分が損害となる。それから、持ち家であった者については、不動産の価値が全損となった場合について、その全額賠償を受けることが可能となった時期までが目安となるということを、ローマ数字2)の後半の但し書きの具体例として、備考に書いてございます。
それから、4番目もローマ数字2)に関するものでございますが、これは、今回避難が長期化して、帰還を断念して移住する場合の指針の読み替えの規定のようなものになってございます。帰還を断念し移住しようとする場合には、これに伴う移動費用、生活費の増加費用等は、避難費用、帰宅費用に準じて賠償すべき損害と認められるという記述を入れてございます。それから、帰還困難区域について、特に、長年住み慣れた住居及び地域における生活の断念を余儀なくされたために生じた精神的苦痛が認められるということを書いてございます。その他のところについては、中間指針に示された精神的苦痛に準じてということでございます。それから、最後のなお書きでございますが、避難を継続する者と移住しようとする者との間で、損害額及び支払方法に差を設けないことが適当である。ここまでが4)でございます。
それから、備考5)でございますが、これは先ほどの指針のローマ数字3)の部分でございますので、それぞれの算定額とセットの記述になってまいりますので、今のは仮置きでございますが、3行目から、それぞれの区域に応じた記述がございます。まず避難指示解除準備区域につきましては、比較的近い将来に避難指示の解除が見込まれることから、これまでと同様に月単位で算定するという考え方、それから、帰還困難区域については今後5年以上、また、居住制限区域も相当期間、帰還できない状態が続くと見込まれることから、その間の損害額を一括して算定することとした。ということで、ここは今、居住制限区域につきまして、その下にございますが、最後の2行でございます。現時点で解除までの具体的な期間が不明なことから、当面の損害額として少なくとも概ね【○年間】は帰還することが困難であると想定して算定したという記述を入れてございますが、一応事務局のほうで、事務的に原子力災害対策本部のほうに確認をいたしましたところ、ここは比較的早く帰れるというケースも想定されるということで、1年ぐらいではないかというような、これは必ずしも公式の意見ではございませんが、少なくともこれぐらいは帰れないというのは、1年ぐらいではないかというようなことを聞いてございます。それから、5ページの上のところに行きますが、居住制限区域におきまして、この【○年】という時期を超えた場合には損害額を追加することが考えられるが、その場合であっても、総額は帰還困難区域の損害額を超えないものとするのが合理的である。
それから、備考の6番目につきましては、ローマ数字4)の相当期間に関するものが、備考6)と備考7)でございます。まず備考6)につきましては、そこに丸1、丸2、丸3で、それぞれ考慮要素を書いてございます。インフラ、生活関連サービス、それから、広い地域が一律に避難指示が出されている、あるいは、避難者が従前の住居に戻るための準備に一定の期間が必要である、こういったことを考慮する。但しとして書いてございますが、これは、現時点では実際に解除された区域はないことから、あくまでも当面の目安として示すものであり、実際には解除後の地域の状況等も考慮した上で判断することが適当であるということを書いてございます。
それから、備考の7番目につきましては、多数の避難者に対して速やかかつ公平に賠償するため、原則として以下がポイントでございますが、個々の避難者が実際にどの時点で帰還したかを問わず、当該期間経過の時点を一律の終期として損害額を算定することが合理的であるという記述を入れてございます。
以上が避難指示区域でございます。
それから、(2)が、既に9月30日に解除されてございます旧緊急時避難準備区域に関してでございます。まず、指針案といたしまして、1つ目は、避難費用と精神的損害の損害額の算定方法は、引き続き中間指針で示したとおりとするというのが1つ目でございます。
それから、2つ目は、中間指針の第3期における精神的損害――この中間指針の第3期というのは、事故後1年後以降という意味でございます。それは後で備考で出てまいります――の具体的な損害額の算定に当たっては、一人月額【○万円】を目安とする。
3番目といたしまして、中間指針において言っております「相当期間」についてでございますが、ここについては、今、旧緊急時避難準備区域については平成24年【○月末】までとするという表現としてございます。但しとして、これは原子力災害対策本部のほうからも説明がございましたが、楢葉町については、帰還を求められていないということで、同町の避難指示区域について解除、これは、先ほどの避難指示区域のところと同じでございますが、その時点までとするということでございます。
6ページの備考の中で、一つずつ指針の解説をしてございますが、備考案1)は、旧緊急時避難準備区域の第2期の終了、それから、第3期の始まりというのは、中間指針で示した事故後1年ということとする。
それから、2番目、備考案2)につきましては、これは9月30日に当該区域が解除されているということを考慮する必要があるのではないかということで、2番目の備考が入ってございます。
それから、3番目につきましては、これは既に解除されてございますが、相当期間の検討の要素として、インフラ復旧が平成24年3月末までに概ね完了する見通しである。それから、2番目といたしまして、【生活環境の整備には一定の期間を要する見込みであるものの平成24年度2学期が始まる9月までには全ての関係市町村において、自宅から同市町村内の学校に通学できる環境が整う予定である】と、ここもブラケットにしてございます。それから、3番目として、先ほどの、従前の住居に戻るための準備期間が必要で、こういったことを考慮した。楢葉町については、例外であるということでございます。
それから、備考の4番目でございますが、ここも先ほどの避難指示区域と同様、原則として、個々の避難者が実際にどの時点で帰還したかを問わず、当該期間経過の時点を一律の終期として損害額を算定することが合理的であるとしてございます。但し、3期の以前でございます。第1期又は第2期において帰還した場合や当初から避難せず同区域に滞在し続けた場合は、個別具体的な事情に応じて賠償の対象となり得るという記述を入れてございます。
それから、3番目は、特定避難勧奨地点でございます。ここにつきましては、指針案のほうは、ローマ数字1)は、旧緊急時避難準備区域と同様、中間指針の第3と同じ算定方法とするということ。
それから、2番目も、損害額の算定でございますが、一人月額【○万円】を目安とする。
それから、3番目につきましては、先ほどの「相当期間」について、【○カ月間】を当面の目安とするというのが、指針の素案の内容でございます。
備考といたしまして、それぞれの解説が、旧緊急時避難準備区域と同様についてございますが、1)は、第3期が事故後1年からということ。
それから、2番目については、指針のローマ数字2)でございますが、月額ということの算定については、特定避難勧奨地点の解除に向けた検討が進められていることを考慮したという話。
それから、指針のローマ数字3)につきましては、相当期間の考え方でございますが、解除に当たっては地方公共団体と十分な協議が行われるであるとか、それから、2番目は、これは地点で指定をされているということ、それから、最後は、ほかと一緒でございますが、準備に一定期間が必要であるということを考慮して、相当期間を目安として示すということが書いてございます。
それから、4番目につきましては、これも避難指示区域と同様に、個々の避難者が実際にどの時点で帰還したかを問わず、終期を一律として損害を算定することが合理的である。さらに、ここは旧緊急時避難準備区域と同様のなお書きが入ってございます。
避難費用及び精神的損害に関する部分は、以上でございます。
【能見会長】 それでは、この部分をご議論いただきたいと思いますけれども、先ほどの紛争解決センターからの意見がありましたように、相当な期間というのを設けること自体が適当なのかどうかということも含めて、改めてご議論いただきたいと思います。
議論自体は、いろいろ問題があっちへ行ったりこっちへ行ったりするかもしれませんけれども、一応一通り議論したいと思いますので、2ページ、3ページ、3ページのところに指針の案が出てまいりますけれども、ここら辺からご議論いただきたいと思います。ただ、今言いましたように、相当な期間につきましては、避難指示解除準備区域の場合の相当期間と、それから、旧緊急時避難準備区域の場合にも相当期間の問題があって、両方、中身は少し違うものがあると思いますけれども、関連いたしますので、そこは両方あわせてご議論いただいても結構かと思います。どなたからでもご意見があれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
必ずしも一番重要な問題というわけではありませんけど、この指針案のローマ数字1)、ローマ数字2)、ローマ数字3)、ローマ数字4)とありますので、そこから順番に、ご意見があれば伺いたいと思います。きょう、最後の結論が出るところまでは議論できないかもしれません。たくさん議論が。そういう場合には、また改めてご意見をお寄せいただくなりして、また次回までに合意ができるような案をつくっていきたいと思いますので、この際、忌憚なくご意見をお願いしたいと思います。
少しこれは分かりにくいかもしれません。ローマ数字1)は、こんなところでいいと思いますけど、ローマ数字2)の宿泊費のブラケットがあるところですが、【但し、宿泊費等が賠償される額及び帰還には限りがあることに留意する必要がある。】というのは、今、ブラケットに入っています。これはブラケットに入っているということは、こういうことを書きますかという、書くほうがいいですか、それとも、また別な対応をしますかということですので、ご議論、ご意見を伺わせていただければと思います。
この部分は、次の4ページの、先ほども説明にありました備考の3)というところと関連してまいりまして、完全に全く同じというわけではないかもしれませんが、備考の3)のところでは、借家などに避難している場合に、その借家の費用が賠償額になるわけですが、ただ、それがいつまで賠償に対象になるかという観点から、持ち家を持っていて、しかし、それが使えないために借家を借りているという人の場合と、それから、もともと借家を借りていて、その借家が使えないで、別なところで借家を借りて、そこで住んでいるという場合と書き分けてあるところがあります。
備考3)は分かりにくいかもしれませんが、もう一回その部分を読みますと、【ローマ数字2)について、宿泊費等の額は、例えば従前の住居が借家であった者については、特段の事情がない限り、従前の家賃より増額の負担を余儀なくされた場合の当該増額部分が損害となる。】という書き方がしてあります。「また」以下は、今度は持ち家を持っている人が借家を借りていた場合の、その借家のためにかかる費用という損害がいつまで賠償の対象になるかということなんですが、ここら辺は少し分かりにくいかと思いますので、もしご意見があれば。
現在は、借家については、賠償がそんなに申し立てられているわけでもないという認識をしていますけれども。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 今、かなりの避難をされている方、もちろん、ご自分で借家を借りて生活されている方もいらっしゃると思いますが、災害復興用の仮設住宅、あるいは借上げの仮設住宅というのが自治体から提供されてございますので、実質的に避難者に負担がない場合が比較的多いということと認識してございます。
【能見会長】 ですから、現在はすぐに問題にならないのかもしれませんけれども、今のような借家というか、仮設住宅の場合はもちろん入らなくていいわけですけれども、そういう支援がなくなった段階で、借家についての損害というのが現実化してくるということがあります。
また、3ページのローマ数字2)の指針案のほうに戻りますと、そういった宿泊費についても、一定の限度がありますということが書いてあります。賠償される額について限度があるという意味は、これは、例えばホテルみたいに、少し高いところでもって避難生活をしている方については、それは緊急時においてはやむを得ないことがあるかもしれないけれども、長期にわたる場合には、リーズナブルな額の借家等に引っ越してもらうという意味で、額についても若干の上限がありますよという考え方が示されているということです。
期間のほうについては、これが備考3)と関係してくるわけですが、先ほど言いましたように、持ち家のほうがその点ははっきり書いてあるわけですけど、持ち家があるけれども、そこに住めないために、ほかに借りているという人について、持ち家についての全額の賠償をいたしますと、観念的には、その賠償額の中に居住のための費用というのは入るので、そういう意味で、全額賠償を受けることが可能となった時期というのが、持ち家を持っている人の借家についての賠償の期間的な制限になるのではないかということが書いてあります。
それに対して、借家をもともと借りていて、そこに住めないので、避難した先でまた借家を借りているという方については、期間の話があまりここには書いていない。これは、どう考えたらいいかが少し難しい問題もありそうなので、うまく書いていないわけですが、ただ、借家の場合は、原則は差額分ですよということが書いてある。ただ、具体的な問題としては、今後2年ぐらい、というのは、先ほど言った家賃の補助みたいなのはなくなって、従前から借家を借りていた方が、相変わらず避難先でもって借家を借りていて、そのときにどういう賠償がされるのかという問題になり、ちょっと私が気になっているのは、持ち家の方については、全額賠償を受ける時期というのが、一応理論的だろうとは思いますけれども、もともと借家の方は、一体いつまで避難先の借家にかかる費用が賠償の対象になるんだろうか。また、その場合の賠償額というのは、従前の借りていた家賃を超える部分だけになってしまうのか。あるいは、もし当面は差額分ではなくて、借りている分全額払うとすると、一体いつまでなのか。そこら辺が、この指針では明確にされていませんので、何かいいご意見があれば伺いたいという感じがいたします。少し細かい問題ですけれども、もし何かあれば。少し法律的な問題かもしれませんので。後でももちろんご意見は結構ですけれども。
中島先生、何かございますか。
【中島委員】 借家権を失ったことの補償という問題になると思うんですけれども。借地の場合と違って……。
【能見会長】 借地だと、借地権というのがね。
【中島委員】 はい。借地権は強いんですけど、借家になりますと、どういう基準でそこを補償するか、実務的に確立された方法があるのかとか。あえて和解で、家を建て替えるときにテナントに出ていってもらうような場合は、その場合は営業補償ということになると思いますが、一定期間というのは払うことはありますが、個人としての借家を失うことの補償というのが定型的に何かあるかと言われると、ちょっと確立された方法はないように思うんですが。
【能見会長】 どうぞ。
【高橋委員】 民法の専門家ではないので、自信をもった意見ではありません。この点、発言権があるかどうか分かりませんが。
【能見会長】 もちろんあります。
【高橋委員】 個別的な事情を考えざるを得ないと思います。避難に伴って借家に住み、その賃料が非常に高い場合に、それを当然今までお払いしてきたわけです。しかし、この点について、ずっとお払いするかどうかというのは、ある意味では個別的な事情があると思います。行き先の家賃の平均額等があると思います。したがって、このような点について、個別的に判断して、家賃の増額分について、合理的な範囲についてはお払いする、そういう考え方を示すことで良いのではないかと私は思います。
【能見会長】 なるほど。
鎌田委員、どうぞ。
【鎌田委員】 借地権それ自体に対する補償というのは、私はちょっとなじみにくいかなという気がしているんですけれども。例えば、権利金が一括した家賃の前払いの性格を持っていて、一定期間の利用を前提していたのに、それが中途で途絶えたときには、その未消化部分についての償還というのはあり得るだろうし、営業用借家で営業権がくっついていて、それが喪失したというと、これは営業補償の一部になるのかどうか分かりませんが、そういうのへの補償はあり得るのかなというふうに思いますけれども。一般的に居住用借家で、別のところへ住みかえて、そこで新たに借家権を取得している場合に、古いほうの借家権の補償というのはない。避難を余儀なくされたことに対する補償というのは別にされているわけですから、それと経済的負担が増えたことについての補償もされるわけですから、それ以上には、よほど特殊な事情がない限り、補償は想定しにくいような気がしています。
ただ、このローマ数字2)全体に関して言うと、私はローマ数字2)に関しては、ブラケットに入っている部分も、民法上の原則に反するわけでも何でもないんで、こんな細かいことまで書かなくていいというご意見があれば別ですけれども、書いたって構わないと思っています。
ただ、あえて気になることを言えば、額及び期間の具体的説明を能見会長されたわけですけれども、備考3)と1対1の対応があるというふうに私は最初に読んだんですけれども、会長のご説明の中には備考3)に書いていないことも含まれている。例えば、額については、合理的な範囲に限られますよというのは、たしか、これはもともとの中間指針の最初の柱書きのところでそれは書いてあるわけなので、わざわざ書かなくても、当然含まれてはいることなんですけれども、どうなんでしょう。備考3)の中身にはそれほど異論もないんですが、これだけが抜き書きされていると、先ほど会長の説明とは違って、ローマ数字2)で言っているのはこれだけですよというふうな読まれ方をしたりして、理解に食い違いが生まれるとかえって混乱のもとになるかもしれないなというのが、1つ気になったことです。
それから、もう一つは、備考3)のほうで、これも非常に細かい表現ですけれども、「その全額賠償を受けることが可能となった時期」というのは、何か微妙な言い回しで、そういう請求権が発生すれば、実際に支払ってもらえなくてもそこでおしまいということなのかというと、経済的に言えば、現実に支払ってもらった時がおしまいの時期なんだろうというふうに思うんで、全額賠償を受けた時と言ったほうがかえってすっきりしやしないかなという気がします。
それから、賃料の差額の賠償の終期のご議論も会長から出されたんですけれども、それがここのテーマとも関連するんですけれども、今まで住んでいたところと別のところへ住まざるを得ないことによる精神的苦痛についての慰謝料というのが一方であって、それには終期の観念がかぶってくるんですよね。
【能見会長】 それは慰謝料の終期の問題としてね。
【鎌田委員】 ですよね。だから、そこで、もうここで不都合はなくなったという時期が一方でありながら、しかし、賃料の差額だけはずっと賠償し続けてもらいますというのは、矛盾してはいないだろうか。やっぱりある時期までくると、そこでいわば新たな生活の本拠が確立したんだという、そういう発想になったほうが整合性がとれるのかなという気が一方ではします。ただし、今まで住んでいたところのような相場では全然住めないところへ行かされてしまって、継続的に余計な出費がこれからも続いていくというときには、慰謝料とは違う考え方で、いつまで賠償すべきかということを考えたほうが合理的だということであれば、ここについて独自の終期を考えなければいけないということになろうかと思いますけれども、そんなに極端な差が類型的にあるのでなければ、基本的には慰謝料の終期とここでの終期は、一致するのが分かりやすいかなというのが、今、伺った限りでの印象です。
【能見会長】 今の、慰謝料の終期と合わせたほうがいいのではないかというのは、実は私も個人的には少しそういう考え方なんですが。例えば、避難を続けて、居住制限区域あるいは解除準備区域についても、避難がずっと続いている間は、当然、慰謝料の対象にもなり、また、解除準備区域について、またさらに相当な期間もあるわけですけれども、避難が続いている間は慰謝料のほうは賠償が出るし、その間に、宿泊費等についての賠償だけが先に終期が来るというのは適当ではないので、少なくとも慰謝料が続いている間はそろえたほうがいいだろうというように、個人的には鎌田委員の意見と同様に思っております。
ただ、微妙なのは、持ち家の方について、賠償を受けたときはというのは、例えば、帰還困難区域の住民の場合には、全額の賠償というのは、5年よりももっと早く賠償というのは現実に生じてくる可能性があって――これはまだ分かりません。当然、対応とか、いろんなことが関係するでしょう。したがって、5年以内にそれが来るということがあるんですね。それはそれでいい。借家の場合とちょっと違うけど、構わないと割り切れば、借家のほうについては、ずっと続けると。続けるときに、さらに、その差額部分なのか全額賠償するのかという、もう一つ問題があるということが問題があるかと思います。
それから、先ほど鎌田委員が、賠償を受けることが可能になった時期までが目安となるという表現が、あいまいで分かりにくいではないかと。私も、現実に賠償を受けたときが、現実に家屋についての全額賠償を受けたので、その家屋の賠償の中には、住むということについての賠償部分も入ってくるので、それが理論的にはいいと思うんですが。ただ、今度は、当然、これは人によって全部違ってくる。賠償をいつ受けるかというのは、人によって違ってきて、中には、賠償を受けないで借家を続けるという方ももちろんおられるし――借家を続けるかどうかは別かな。全額賠償はしばらく請求しないという方もおられるし、人によってばらばらになるときに、賠償が受けられるということが体制として整ったときというふうにするかどうかという問題ですね。
差額のほうはどうですか。借家についての賠償というものは、もともと借家を借りていた人が、借家についての賠償を受けるというときにも、とにかく避難が続いている間は、慰謝料は賠償されるときは、期間は、借家についての賠償もされるけれども、その額は、差額に限るべきなのか、それとも、もう全額でいいかと。
【鎌田委員】 それは、私は差額だけでいいように思います。
【能見会長】 差額だけですか、それは。
【鎌田委員】 はい。
【能見会長】 ほかは、いかがでしょうか。
これ、理論的にはおそらく差額なのかもしれないんですが、これ、既に実費で一部払っているのもあるんですか、借家部分というのは。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 正確な数字はちょっと把握しておりませんが、少なくとも、今、そういうことで、さらに言えば、親戚宅とかに泊まった場合も、東電は最近、一人分月6万円とかいう基準を出していますので、そういう点も……。
【能見会長】 おそらく、そのときに差額にはしていないんですよね。しているんですか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 そこは差額になっておりません、今のは。
【能見会長】 なっていないんですね。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 はい。
【能見会長】 ですから、今のところ、もともと借家だという方についても、従前の借家と今借りている借家の差額にするという扱いをするわけではなくて、ですから、事実上、全額借家分についての賠償というのは続いていると。数は少ないかもしれないけど。しかし、原則的な考え方は差額分ですよということになると、じゃ、いつまでその全額賠償というのを続けますかということになって、これも当然、私なんかは続けていいんじゃないかとは思いますけど、理論的にはなかなか説明しにくいところもあるし、徹底すると、いや、今までもらいすぎなんだ、だから返せということになるのは、やっぱり適当ではないと思うので、そういう意味で、差額にしますか、全額にしますかというのが、期間の問題とも非常に関係があると。
ちょっと細かい問題ですけれども、問題点が少し分かりにくいかと思いましたので、少し踏み込んで、私の個人的見解も踏まえてご説明申し上げましたが、今、この際、何かご意見があれば、ご意見いただくとして、もしもうちょっとよく考えてみたいということであれば、ぜひご意見をお寄せいただくという形にしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
【鎌田委員】 一言だけ。
民法の一般理論から言うと、多分、差額だけというのが筋なんだろうと思うんですけど、ただ、こういう緊急事態で、もともと借家があって、やむを得ずほかのところで借家をしているけれども、しかし、常にもとの借家へ帰るということを念頭に置いているとすると、筋から言えば、もとの借家のほうにも家賃を払っているべきところを、何らかの事情で払わないで済ませてもらっているという、そういうような状態のときには、もとの借家の家賃を払うのか、払わないのかは、もとの借家のほうの個別事情によるだけなのだということで、新たに借りているところの家賃は全額が追加出費という考え方はあり得ると思いますので、会長が言われたように、発災直後から相当期間が経過するまでについては、いろんな事情があるだろうけど、個別にあんまり細かいことは言わないで、全部丸々余計にかかった人の扱いをしてもいいと思います。
ただし、ある程度落ちついてきたときに、さあどうするのかというのは、別の考え方がありえて、原則のほうへだんだん戻っていくし、さらに長くなって、これはもう転居して新しい本拠が確定したという段階になる。これをどう評価するかはいろいろ問題が残りますけど、そういう意味では、おっしゃることは……。
【能見会長】 そういう問題なんだと思います。当面だから、全額借家部分について賠償するのに、どのぐらいにしましょうかということについてのさらに判断が必要ですけど、今ここですぐにそれについての、これだといういい考え方が直ちに出るわけではないかもしれませんので、これについては各委員のほうで少しお考えいただいて、ご意見をお寄せいただくということにしたらいいかなと思いますが。
もし何かほかに、こういう点を考慮すべきだという点があれば、ご意見を伺いたいと思いますけれども。
どうぞ、中島委員。
【中島委員】 先ほど、もしこれを借家権を失ったことによる補償と考える場合、確立した方法がないんじゃないかと申し上げましたけど、1つ目安としては、期間の定めのない借家権を解約する際に、家主が正当な理由を基礎づけるために立ち退き料を払う。その立ち退き料相場というものは、もしその家が類型化できて、そういう相場というものが何らかの形で調査できるなら、それも1つの方法かと思いますが。それは差額分ではありませんので、それは、もしかして、この相当期間のほうの考え方になるのかもしれませんけれども、参考にはなるかなと思って。
【能見会長】 分かりました。
それでは、次の問題に移りたいと思いますが、こちらのほうがより深刻な問題が多いかと思いますけれども、指針案のローマ数字3)ないしローマ数字4)のところでご議論いただきたいと思います。
ローマ数字3)のほうは、具体的な金額についても、もしこれもこの審査会でもって全く意見が出ないで、最後はえいやっと決めるというのはあまり適当ではないと思いますので、最終的にその金額になるかどうかは別として、何か皆さんの考え方があれば、ご意見をおっしゃっていただきたいと思います。
それから、特にローマ数字3)丸2のところですけれども、居住制限区域に設定された地域については、概ね【○年分】として一人幾らぐらいを目安とすると。この幾らのほうは、丸3の帰還困難区域に設定された地域についての賠償額とある意味で連動、関連する部分ですので、丸3のほうをにらみながら決めなくてはいけないことなわけですけれども、概ね【○年分】というところについては、少し考え方をお聞かせいただければと思います。先ほど、1年ぐらいでどうのと言ったのは、政府のどこの意見。賠償についての意見ではありませんけれども。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 内閣府の被災者支援チームのことです。
【能見会長】 そこは1年ぐらいで、早ければということですか。早ければ。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 むしろ、少なくとも何年は戻れないといったときに、1年ぐらいになるのではないかと。
【能見会長】 少なくともというのは、それがね。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 はい。
【能見会長】 だから、少なくとも1年は戻れない。ということですけれども、その1年というのを、この賠償のほうの1年分に直ちに連動させるべきなのかどうかということがポイントであります。
これについても、何かご意見があれば伺いたいと思うんですが。
中島委員。
【中島委員】 仮に今の丸2のところにその1年を反映させるとすると、この3つの類型としては、丸1が月払い、丸2が年払い、丸3が一括払い、こういうようなイメージ。
【能見会長】 1年で幾らと決めて、それ以上の期間長期化したときには、その次、また1年で考えるのか、まだ少し残された問題がありますけど、考え方としては、そういう考え方かもしれませんね。
【中島委員】 そういうイメージで前提としますと、丸3が1つの上限みたいにもなってくるかとも思いますので、丸3のほうの考え方を今ちょっと述べさせていただきたいと思うんですけれども。
丸3としては、1つの全くの感覚ですが、800万から900万ではどうかと考えました。その根拠、考え方なんですけれども、それは、ADRの委員会の意見もありますが、この期間は、政府の見込みとしては、5年帰れないと。しかし、5年で帰れるかどうか分からないから、もしかして延びるかもしれない、こういう期間だということになっておりますので。そうすると、最小限を単位にすると、5年かもしれないんですが、この一括払い、例えば800万という数字は、10年を考える。10年の補償であると考えまして、その10年、これが3期であるということを考慮して、今、1年で120万払われているとしまして、これを仮にざっくりと年100万であるとして計算しまして、中間利息の控除の係数でありますライプニッツ係数を見ますと、10年というのは、7.7年に相当すると。10年のライプニッツ係数、7.72になっておりますので、10年分の逸失利益といいますか、逸失利益的な慰謝料の計算方法として、10年分の慰謝料であるとすると、仮に年100万としますと、770万、これで10年分になる。今、120万もらっていますから、それをもう少し膨らますと、800万ぐらい。そして、10年たつと、これが慰謝料であるということを考えますと、10年でこの精神的苦痛というのは慰謝されるとみなして、10年分を一括払いで800万。現状の年120万を基準にしますと、おそらく900万ちょっとになるかと思いますが、これをもう一括払いとして、これで全額の慰謝料であると。その根拠は、今の中間利息控除を前提とした10年分であるという考え方は1ついかがでございましょうか。
【能見会長】 少し確認ですけど、10年分という形で計算されるけれども、もうそれは、これがおよそすべての上限で、例えば、20年戻れないという場合も、30年戻れないという場合も、同じように、もうこれはとにかく一切故郷を失ったということに対する慰謝料であるという考え方をするということでしょうか。
【中島委員】 少なくともこの精神損害の損害費目としての、将来、先が見えないことの苦痛と、それから、避難先の苦痛、この2つの苦痛を根拠とする慰謝料としては、これでいいのではないかという。
【能見会長】 ほかにいかがでしょうか。具体的な金額でなくても、あるいは考え方でも結構ですけれども。
【高橋委員】 10年というのは、仮に5年で帰れた場合にどうなのかなというところがあります。他方、5年で帰れないという区域がはっきりしているものですから、それよりも多少余裕を持って、6年ぐらいを考える。それ以上予測を超えて戻れないということがある地域が出れば、それは、その段階でさらに分割払いをしたところの不利益を考えて上乗せをするという考え方をすべきでしょう10年というと、私自身は、率直に言うと、長いなという気がしています。
それから、前にも申し上げましたが、指針の追補では、確かに従来の不安を前提にしています。他方、今回の案では、一括払いという点で新しい生活を生み出すための一括のお支払いの仕方ということで合意がとれたというふうに考えることができるならば、私の考え方でも支持できますので、私はもうこれ以上何も言いません。そして、額についてですが、収入減について他の視点から補償されたときに、では、新しい生活を踏み出せるためにどれぐらい要るのかという形で考えるのが適当なのではないかなというふうに思います。額については、まだ具体的にはご容赦下さい。
【能見会長】 考え方の問題としてですね。
今のように、ある意味で、慰謝料を最低限というと変だけど、最低5年分はもちろん慰謝料の中身になるけど、それにプラスアルファした金額で、それを超える場合には追加を認めるという形のと、それから、もう追加は認めないけど一定の金額、それなりに少し高目の金額をもう決めたらどうかという、そういう考え方の2つが今提示されているところであります。
具体的な金額がもし言及しにくければ、考え方の問題としてどういうのがいいかということについて、ほかにご意見があれば。
それでは、これはおそらくまだもうちょっと詰めなくてはいけないと思いますので、さらに詰めたいと思いますが、丸3との連動で、丸2のほうをどう考えるかということについてはいかがでしょうか。この居住制限区域というのは、実態はまだよく分からないところがありますけれども、どのぐらいの期間、先ほどの説明ですと、被災者支援チームのほうでは、一番早いところでは1年ぐらいで戻れるところもあるかもしれないけれども、しかし、どのぐらい続くかという長いほうは、おそらくまだ分からないという状況なんでしょう。そういうところについての賠償をどうするか。
先ほど中島委員の質問に対して、1年超えればまた1年という年単位の賠償という、そういう考え方があり得るということを私、申し上げましたけれども、この丸2で書いてある何年分ということがブランクになっているというのは、場合によっては2年分とか3年分とか、帰還困難区域については、最低でも5年分、あるいは、中島委員のように10年分という賠償をするにしても、居住制限区域については、年ごとというよりは、もう少し多目に一括賠償をする、だけど丸3ほどではないという考え方に基づいているものです。ですから、この【○年分】というところの○が空欄になっていて、これは最低でも1年だと、一番短いので1年だと思いますけれども、これを2年分にしたり3年分にしたりするということがあり得るという、そういう案です。
これについても、何かご意見があれば。
【田中委員】 ちょっと確認でよろしいですか。
今、月々10万円払っていますね。そうすると、ここでもし仮に1年とすると、120万ということになるということでよいのでしょうか。
【能見会長】 そうです。
【田中委員】 あともう一つは、ここの前の議論に……。
【能見会長】 ごめんなさい、大体そういうふうに計算していたんですけれども、現実には。
【田中委員】 目安としてそういうことかなという理解でよろしいでしょうかということなんですが。
【能見会長】 はい。
【田中委員】 それから、ここの居住制限区域というのは、個人によって選択肢がいろいろ出てくるような。その場合に、1年ごと延びた場合に、1年ずつまとめてもらうほうがいいという方、月々もらうほうがいいという場合もあるし、いや、もう戻らないから帰還困難区域と同じようにしてくださいという、類型的に言うと、そんなのに分かれる可能性があるかなと思うんですが、そういったものに対して、これだけの記述だと全部対応できるのかどうかというのがちょっと分からないのですが。
【能見会長】 前の案では、月ごとのもここには残っていて、田中委員は、たしか多様な対応ができるようにというご意見を前にもおっしゃったと思いましたので、月ごとにというのは、また復活して考えるということももちろん可能です。その選択肢はなお残しておくというのも考えられます。
ただ、そういう場合には、月ごとで請求したい人、年ごとで請求したい人、それから、一番最後の、いや、もう自分は帰らないので帰還困難区域と同じように一括で全部賠償してくれというのも、希望としてはあるかもしれませんけれども、一番最後の選択肢は、居住制限区域というのが――これはもちろん分かりません。分かりませんけれども、5年以内でもって戻れる可能性も相当あることを考えると、例えば、先ほどの1年で戻れることもあるかもしれないというときに、いや、帰還困難区域と同じように800万の慰謝料を請求して、それが認められるということになるのかというと、少しそこは理論的に苦しいところがあるので。そこで、例えば、丸3ほど全額は取れないけれども、2年分ぐらいを一括の賠償で認めるというのは、あるいは3年でもいいのかもしれませんが、そういう考え方はあるかもしれません。それによって、居住制限区域の方で、新たに別途新しい生活を始めたいという方について、丸3ほどの額ではないかもしれないけれども、それなりに一定のまとまった金額が入ると。そういう方についても、私の個人的な考え方としては、その方が戻らないという選択をされても、その方の居住制限区域というのが長期化して、2年を超えていくと、その超えた部分については、また追加の慰謝料というのが入ってくるということになるんだろうと思います。
【高橋委員】 この考え方は、実は今までとってきた、解除に伴った相当な期間というのがまだ入っていないと思います。
【能見会長】 そうです。
【高橋委員】 そうであるならば、まず、1年という期間を前提とする。地域の切りかえについては、まず、1年だというふうに、多分、考えられるとすれば、それから、ほんとうに帰るのに相当な期間がどれだけなのかという話が当然に出てきます。そういう意味では、会長が今ちょっとご言及された2年とか3年――3年というのは多い、私は2年ぐらいがいいと思いますが――、2年程度のものをまずはとにかく定型的にお支払いして、それ以上延びた場合については、さらに考えていくというのが1つの考え方なのかなと思っています。
【能見会長】 ほかに。鎌田委員。
【鎌田委員】 私、1つは、1年で仮に解除されたからといって、1年分ではなくて、やっぱり相当期間の考え方を加えるべきであるから、1年で解除されるのが一番最短だとしたら、1.5とか2年とかという数字になっていいと思うんですけど。その基本となる考え方は必ずしも今整理がついていないような気がしていて、私が理解していたことは、ここで概ね何年分を支払うというのは、これまでの1カ月10万円という基準を仮に維持するとすると、その1カ月10万円ずつ1年も2年も3年も月払いでもらっているよりも、生活の再建、あるいは生活の改善をするためには、少なくとも1年か2年は解除されないんだから、その分をまとめてお支払いして、それを生活再建に役立てていただいたほうが、はるかに全体の福祉にかなうと、そういう考え方であって、丸めて支払うことによって額の定め方を変えていくというのでは必ずしもないのではないかというふうに私は思っていたんです。
ですから、仮にここで2年と言って、その後解除されて、プラス相当期間によって2.6カ月というときに、いや、2年を超えたから3年分あげようじゃなくて、やっぱりそれは支払い済みの2年分にプラスして6カ月を後で追加払いというようになる。あくまで考え方の基本は、今までの延長線上にあって、支払い方法について、被害者に便利であると同時に、大量処理をより迅速・円滑にするためにも、1年なり2年なりずっと月払いを続けるよりも、一括で払ったほうがいいという、そういう発想でこれは出ているんだというふうに理解したんですけれども、そういうわけではないんでしょうか。
【能見会長】 これはちょっとバラ色といいますか、いろんな考え方があるものです。今のように、むしろ毎月分幾らということで出発して、その積み上げみたいな考え方で、しかし、毎月ではなくて、1年分とか2年分払うという考え方から説明することももちろん可能ですし、むしろ丸3のほうで、もうおよそ帰れない人については、これだけなので、居住制限区域ということで、絶対に帰らないわけではないけど、帰れない期間も相当長いというものについては、逆に、帰還困難区域に設定された人の慰謝料から、ほんとうだったら、それの割合的な賠償、そういう考え方で丸2を説明するというのも、両方あり得て、ここではどっちかと考えると、そう明確には出しておりません。
ただ、従来選択肢でもって毎月幾らというのが残っていたときに、それがあると、何となくそれの何年分という考え方で説明がしやすいんですけれども、必ずしもそれが唯一の考え方ではなくて、ここでどちらでも皆さんのご意見の中で、ふさわしいと思う考え方をとったらいいのではないかということで、両方からの説明が可能だというのが前提です。
米倉委員。
【米倉委員】 私は、そこのところは、今までの原則をそのまま置いておきながら、今回の前文のところで出した合理的かつ柔軟な対応という中で、一括払いとは言わないで、長期間の分について、1年分であったり、5年分であったり、それを支払えるような仕組みをつくっておく。あとは、それを請求される方の生活の戻し方によって取れるようにしておくというぐらいでもいいのかなと感じました。
【能見会長】 田中委員のご意見に少し近いかもしれませんね。毎月で請求したい人は、それも残すということですかね。
考え方はもう幾つかに収れんされてきていると思いますけれども。じゃ、もう一度、ここは多様な環境にあるところなので、多様な考え方に対応できるような案というのをもう少し詰めてみることにいたしましょう。
【鎌田委員】 1つだけ、事実だけ。私が、具体的にこの居住制限区域というのが運用されていったときのイメージを誤解しているといけないので。
居住制限区域の解除というのは、早いところもあれば、うんと遅いところもあるということで、早いところがあって、それが避難指示解除準備区域とどれぐらい連動性を持つのかなということです。そこで、考え方ががらっとある線で変わってしまうということが大丈夫なのかなというふうに一方で考えるし、この居住制限区域も長引いていくと、帰還困難区域と実態においてそんなに変わらない部分が出てくると、これも丸2と丸3で全然違う理解になりますと、どこかで劇的な転換、考え方の変化が起きちゃうんでしょうね。実態としてはそんなに違わないのに、発想の方向ががらっと変わるというようなことが起きてしまう。そういうことを少し気にしていています。
だから、基本的には同じ考え方で処理するけれども、一括払いにするときには、中間利息控除的な考え方が入っているから、額の計算の仕方に少し違いがあるんですよというと、考え方としては、あまり劇的な変化なしで処理できそうだというふうに思って、先ほどのような話をさせていただいたんですけど、そのところ、実態としては、見込みだろうと思いますけれども、どんなことになりそうなのか、ちょっと教えていただけますか。
【能見会長】 案についてではなくて、実態についてということで。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 実態はまだございませんので、昨年度末の原子力災害対策本部の決定に沿って申し上げますと、それぞれの区域の境界というのは、そこの定義、2ページに書いてございますが、基本的には線量で引いていこうということでございますので。もちろん、いろいろ、どの部分の線量だとか、字単位でやるとかなんとか、いろいろ難しいところはありますけれども、基本的な考え方は線量ということになっていて、その中で、避難指示解除準備区域と居住制限区域というのは、20ミリシーベルトというところでどうするかというだけでございますので、したがって、居住制限区域も、基本的には避難指示解除準備区域に移行して解除されるというのが基本的な考え方でございます。
あと、帰還困難区域との間も、50ミリシーベルトで切られるわけでございますが、若干、その運用において、今の基本的考え方においては、帰還困難区域については、除染をやらず5年間その区域設定を、線量が仮に50より下がったとしても、固定するというふうに書いてございますので、若干そこは表面上はちょっと違う。解除準備区域と居住制限区域は、20のところでむしろ云々しているというような決定の内容にはなってございます。
ただ、もちろん、それぞれについて、今の5年間についても、基本的考え方の中には例外規定のようなことが書いてございますので、実際の運用は、多分、個別に、必ずしも機械的な対応でない可能性が高いということだと思います。
【鎌田委員】 ありがとうございました。
【能見会長】 連続性がどのぐらいあるかというのは、なかなか難しい問題で、私なんかも、丸2と丸3との間の連続性というのは、先ほど幾つかいろんな案が出てきましたけれども、そこはうまくいくのかどうかというのは、もうちょっと詰めて考えなくてはいけない。
例えば、丸2について、1年分とか、月ごとでいくと、仮に1年でいくと、1年分として1年分賠償する。しかし、まだ居住制限区域が解除準備区域に移行できない状態なので、さらにまた続いている。それで、毎年毎年続いていて、5年ぐらいたつと、5年の段階で、じゃ、丸3になるのかというと、どうも必ずしもそういうわけではないと思うんですね。これもそういうことが書いてあるわけではなくて、丸3の額を超えない賠償が追加されると思いますけれども、5年たった段階で、いや、これはもう帰還困難区域と同じなので、先ほどの例えば600万とか800万というのは、いきなり賠償額になるわけではないんだと思う。そういう意味で、鎌田委員のご意見についての私なりの理解です。
問題点はある程度明らかになってきたとは思いますけれども、今のような積み上げ方式というんでしょうか、毎月のほうから考えていくという案。一応前回は、どちらかというと、こちらも一括でというのが多かったかもしれないと思ったので、一括の案にしていますけれども、もう一度毎月の案というのが考えられて、技術的にうまくそれが可能なのかどうかということを詰めて考えてみたいと思います。
もしほかにご意見がなければ、ローマ数字4)の相当の期間、これは紛争解決センターから特に強いご意見が出ているところですので、これについてご意見を伺えればと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。
【高橋委員】 総括委員会から出た意見として、非常に重く受けとめなければいけないと私も思うわけです。ただ、ご意見について、ここで拝見していますと収入の話というのを基本的には理由にされておられるようです。しかし、収入の話については、また別個、きちんと別の形でいろいろと対応することになっています。したがって、基本的には、、損害賠償紛争審査会の指針として、紛争の迅速な解決に資する指針作りといった意味でも、ある程度の期間というのは出していくべきであると思います。
ただ、ご意見では、個別的にいろいろな事情が書かれている部分もあります。そこは先ほど会長がおっしゃいましたように、個別の事情で、帰還が遅れたことについてお支払いすべき部分が残るんだということであれば、その部分はきちんと残りますということを、確認的に書いておくということで――ということは、もう既に書いてあると考えても良いかもしれませんが――いいのではないかと思います。
以上です。
【能見会長】 ほかにご意見いかがでしょうか。
では、田中委員からどうぞ。
【田中委員】 今の問題にも関係するんですけれども、このADRのほうの、必要な収入を得られる状態になるというのは、一体どういう状況かというのは、私にはよく分からないんですね。それを賠償という枠組みでやるのか。いろんなところを災害復興とかということで、新たな産業をつくるとか、いろんなことをやっていると思うんですけれども、そういうこととの関係がどうも私の頭の中では整理がつかないんで。収入が得られる状態までというと、帰還が下手するといつになっちゃうのかというか、要するに、終期がないような賠償になるような気がするので、どこかでけじめをつけたほうが、かえって復興の努力というのも目指すことができるのではないかと、ちょっと誤解されると困るんですが、そういう感じがします。
【能見会長】 では、中島委員、どうぞ。
【中島委員】 今の田中委員の疑問に対応することでもあるんですけれども。おそらくこのADRの疑問というのは、そもそもこの解除というのが慎重な手続でなされるという前提で、その解除という行政処分と賠償をリンクさせようという考え方ですけれども、その解除という行政処分の手続には、一定のインフラが整備されて、住民の意見を聞くということが慎重な手続を踏むことにはなっているけれども、そのインフラというのが果たして、社会的なインフラは整ったけれども、経済的なインフラである就職先を含む企業、あるいは、農家であれば、耕す、収入が確保できるだけの農地が戻る、そういうことまで含めての手続なんだろうかという疑問があるのではないかと思われます。
さらに、その疑問の根拠としては、仮に一世代以上入れない区域がぽっかりとここにできるとしますと、この地域は昔から仙台と江戸を結ぶ要衝の街道地域として経済的に発展してきたところが、真ん中がぽっかりと海になるのに等しくなる。その地形の変形が起きたと同じ状態になったときに、果たして企業活動、経済活動がもとどおりになるだろうかと、そういう疑問が根本的にあるのではないかと。さらに、この地形を見ますと、迂回すればいいとも思われるんですが、阿武隈山系で道路の整備が難しい。ですから、迂回は非常に難しくて、一たん仙台なりに戻ってから大消費地に運ばなければいけないとなると、物流がほんとうに回復するんだろうか。そういう根本的な疑問があって、社会インフラの整備だけで解除されたときに、そこを起点にして相当期間を起算するということで、それに当てはまらない世代、特に、年金生活者はいいかもしれませんけれども、企業なりで働く世代が果たして帰還を強制できるだろうか、こういう考え方が根本的にあるように思うんですが。
だとしますと、この相当期間を一応決めた上で、解除の前提となったインフラの整備が当てはまらない人には例外を認める、何かそういうことはできないか。その例外部分について、ADRで個別に解決してもらうというようなことは、折衷案ですが、いかがでしょうか。
【能見会長】 これは、今は一応解除準備区域について話をしているということですけれども、もちろん緊急時避難準備区域についても多かれ少なかれ当てはまる問題なんですが。今の中島委員のご意見も、おそらく、すべての地域について同じように、同じ困難があるというわけではないかもしれないけれども、困難なところもあるであろうというご意見だと思いますが。おそらく根本的な問題は、この委員会でも、場所によって、地域によって、インフラ整備の状況だとか、あるいは、どの程度インフラが回復するのかというのも、いろいろ違う可能性があって、本来であれば、別々に考えるということができれば――考えるとしても、難しい問題はたくさん残りますけれども、ほんとは地域ごとに考えたほうがいいのかもしれないという問題があります。
それから、地域だけではなくて、さらに個人ごとに事情は違うので、個人ごとに、戻れるような状況なのかどうかというのをほんとうは判断する必要があるのではないかという気が、やっぱり根には私なんかも持っています。
他方で、完全にばらばらというのは、自治体の間でも、それは困るというような意見もあって、それもある種の政策ですので、審査会としては、政策を直ちにこちらへ反映させるわけではないということで、考慮しないということももちろんあり得ますけれども、自治体も復活に向けて努力しているときに、完全にそれが困るというような状態はやっぱりつくりたくないという要素もあります。
そういう両方の板挟みの中で賠償の問題を考えていきたいと思うわけですけれども。そういう意味で、なかなか難しい問題ですけれども、私なんかも、今の中島委員のように、相当な期間というのは、これはあとのほうの備考などの考慮要素などを見ると、緊急時避難準備区域のほうの備考で、これは学校の再開ということが書いてあるので、いかにも8月末というのが前提になっているような備考になっていますけれども。
いずれにせよ、相当な期間というのが仮に定められていても、おそらくその地域、個人によって事情は違うかもしれないので、やはりそれは考慮できるようにしたほうがいいだろうということで、あまり指針のほうでは、少なくともADRの活動が阻害されないような形でもって、自由度を与えるような指針というのができれば、それが個別性にも対応できるし、いいのではないかというように、私は個人的に思いますけれども。
その際に、私は、先ほど2ページの上のほうの総論というか、基本的な考え方のところの「なお」以下の文章のところで、この「なお」の文章は、個別具体的な事情に応じてということで、こちらはこれでいいんですけれども、3ページの、これは中間指針でこういう言葉を使ってしまったからかもしれませんが、中間指針においては、特段の事情がある場合を除いて賠償の対象にならない、ちょっときつい言葉を使っているので、この特段の事情というのは、個別的な事情ということと同じだというふうに理解すればいいのかもしれませんけれども、私としては、そういうふうに理解した上で、個別的な事情が考慮できるように、相当な期間後も、そういう個別的な事情のもとで賠償は認められる――文章はまだ練っておりませんけれども、そういう案ができるというのは1つの策かなと思います。
ただ、その問題と、さらに、そういう個別の事情に関係なく、一定期間は、その相当期間内は一律に賠償しますので、その一律に賠償する相当な期間をどのぐらいにするかという問題は、なお残された問題で、ここで検討しなくてはいけない。また、この期間は、もしかすると、緊急時避難準備区域の場合と解除準備区域では、少し違う問題があるのではないかというふうにも思います。
ほんとうに個人的な意見ですけれども、あまり私が申し上げるのも……。ほかのご意見があれば伺いたいと思いますけれども。
【高橋委員】 先ほど申し上げましたように、基本的に今の会長のご意見に賛成させていただきたいと思います。
具体的な期間につきましては、これは前にも申し上げましたけれども、ある程度一律に決めたほうがいいのかなということがあります。かつ、地域の回復という点では、学校の話が一番大きいと思いますので、学校が始まる時期までを考えて、今から、指針の策定から逆算して、何カ月間というふうに決めれば良いと思います。
【能見会長】 今のは緊急時避難準備区域の場合ですね。特に学校が問題となるのは。こっちも同じような問題が生じますか。解除準備区域について。それだけの問題ではないのかもしれないけれども。解除準備区域の場合には、学校等、病院だとか、そういうものの整備はされた上で解除されるということにおそらくなるんだと思いますが。
【高橋委員】 そうですよね。
【能見会長】 ええ。
【高橋委員】 された上で?
【能見会長】 インフラが整備されて、住民の。
【田中委員】 協議の上で。
【能見会長】 協議の上、解除されると。
【高橋委員】 そうですね。
【能見会長】 ですから、そういうところが、緊急時避難準備区域と解除準備区域とではちょっと違う要素があって、解除準備区域のほうは、これはまだ将来の話で、まだ解除されていないわけですが。
【高橋委員】 すいません、そうですね。それは確かにそのとおりですね。
【能見会長】 ですから、今のご意見は、旧緊急時避難準備区域についてのご意見ということで。
【高橋委員】 そうですね。申し訳ありません。では、仕切り直しをしまして。基本的に旧緊急時避難区域について、今でもお支払いしているという現状はございます。そこら辺も勘案して、他方で、既に前例もあり、慎重に解除の手続がとられているという事情もある。したがって半年であるとか、その程度の長さを考えてみていいのではないかと思います。
【能見会長】 はい。
ほかにご意見はございますか。
田中委員。
【田中委員】 だんだん分からなくなって、難しくなってきたんですけれども。
この3つの区域の緊急時避難準備区域、ここのところは、南相馬とかは、かなりの人数がおりまして、そこはもうほとんど学校も再開するというような状況になっていて、住民も相当戻ってきているのではないかと思うんですね。実態としてはそういうふうになっているんですが、これから解除準備区域と居住制限区域と帰還困難区域ですが、これが下手すると1つの市町村の中がモザイク的になってくる可能性があるんですね。そういう状況で、それでは、その地域がどうやって復興に戻れるかというか、個人の賠償の問題とは少し違うと思いますが、そこをうまく整合をとっておかないと、今度、内部で混乱を起こすような気がするんですよね。
言葉としては分かるんですけど、実態として、先ほどもありましたけれども、今、区域の状況が全然見えていない、頭だけの産物としてあるようなところがあるんで、ここの詰め方が非常に難しいなと、改めて今感じています。
【能見会長】 私もその点は全く同感なんですが、ここで、これは解除準備区域の話ですが、相当な期間というのを仮に定めるにしても、おそらくそれはほんとうに当面の目安で、考え方をただ示すだけの問題で、この審査会としても、やはりその期間が適当でないという状況が分かれば、それはすぐに修正するなり、そういう柔軟な対応をすべき期間ではないかと思います。
それ以前に、この相当な期間をどうするか以前に、ここはもうパッチワーク的に、1つの自治体の中でも字単位ぐらいでばらばらになって、それは直ちにですけれども、相当な期間というのがかぶってくれば、直ちには賠償の差にはつながらないで、当面、しばらくは賠償は続く、少なくとも相当な期間については続く。それから、それを超えた期間については、先ほどのご意見の1つをとれば、紛争審査会のほうでもって個別的に認定して、必要な賠償は認めていくという方向で、そういうものと組み合わせると、ある程度ソフトランディングはできるのかなというふうに思います。なかなかここは難しいところだという認識は、全く同じように考えております。
解除準備区域のほうはいかがですか。これも紛争審査会のほうでは強い問題意識を持ってはいるわけですが。ごめんなさい、解除準備区域じゃない、緊急時避難準備区域のほうについて。これはまだ先のほうですけれども、相当な期間に関連しては、ある程度共通の問題でありますので、あわせてここでご議論いただければ。
【鎌田委員】 すみません、私自身が十分整理できていないということでしかないんですけれども。
避難指示解除準備区域については、資料1では、5ページの6)、7)に備考が書いてあって、6)に書いてあることは、基本的に一定の期間を設定するけれども、それは当面の目安でしかなくて、それぞれの地域に応じて、この地域ではどうするということを、具体的な判断をすることになりますよというのが、備考6)に書いてあることですよね。これはあくまで地域についての判断であり、そして、7)では、その中で個別の事情を考慮するときに、その相当期間経過前に帰ったって、相当期間いっぱいまでは賠償の対象にしますよと、こういう発想で書かれていると理解しています。
具体的な事情によって、その地域全体としては一定の帰ることができる状況になっている。これがとても帰れない状況で解除されるということを想定した議論は、私はしないほうがいいと思うんです。地域全体としては帰る状況ができているけれども、この人についてはちょっと無理な事情がある、そういう個別的に延ばさざるを得ないという部分については、これは備考のほうには書いていないけれども、本文の中の「特段の事情」で、それは読み込まれているということですね。
ですから、全体として一応の基準はつくるけれども、地域ごとにそれとは違う基準の設定があり、そして、さらにその上に、個人の事情によって早く帰ってくる場合と遅くせざるを得ない事情があって、これは全部カバーされているということだと思うのですが、備考で書くんだったら、一覧性があるように書いてあったほうがいいのかなというふうに思ったということですが、その理解が間違いなければ、分かりやすく書いたほうが今後の役に立つのではないかなと思いましたので。
それから、紛争解決センターのご提言は、実態を踏まえてのものですから、重く受けとめなければいけないと思っています。その中で、一律の終期を画一的に定めると困るんだという指摘については、今の話である程度対応ができていると思うんですけれども。もうちょっと考慮しなければいけないとされている要素の中で、必要な収入を得られる状態になることというのを強調されているところには、若干違和感があって、やっぱりここはあくまで慰謝料の問題であって、正常な日常生活の維持・継続が阻害されていることによる精神的苦痛に対する賠償というのが、ここでの眼目なのであって、帰ってしまえば収入がないから帰れないというのは考慮要素になるとは思うんですけれども、収入が十分に得られるかどうかということを直接に考慮要素にするべきだという主張では多分ないんだと思います。その辺のところを十分整理をつけておかないと、ここで収入がないから慰謝料がもらえますということにして、この後、営業損害は営業損害でまたもらいますという、こういう扱いに、収入がないということだけで直ちになるというふうには、これは考えられないわけですよね。慰謝料のほうは、もとへ戻れないということによる精神的苦痛に由来するもので、戻れない理由には、戻ったら全く経済的に成り立たなくなるからという、これは考慮には入ると思うんですけど、そこら辺のところも整理をもう一つつけおいて議論したほうがいいのではないかなと思いました。
【能見会長】 今のご意見は、もちろん、私もそのとおりに思っていますけれども、指針でどこまでぎりぎり書いて、紛争審査会での活動範囲というのを狭めるかというのは、また別な問題なので、今のような議論は、ここではするけれども、あとは紛争センターのほうにある程度お任せするというほうがよろしいのではないかと思います。
それから、今、鎌田委員が、6)とか7)あたりについての、備考の書き方をもうちょっと整理して、分かりやすくしたほうがいいということについては、さらに分かりやすくしたほうがいいだろうと思います。
それから、紛争解決センターの総括委員会のご意見というのは、まだこの案には全然反映されていませんので、これから今議論された中身を反映して、備考等については、あるいは指針についても、少し書き直しをするということになるということでございます。
そこまではある程度合意ができたのかもしれませんが、相変わらず期間をどのぐらいにするかという問題はなお残っておりますので、これについてもしご意見があれば。先ほど高橋委員は、旧緊急時避難準備区域については、やはり学校のことを考慮して、8月末ぐらいまでというご意見がありましたが、ほかに何かご意見があれば。
これは、相当な期間にいたしますと、少なくとも現在の指針のつくりだと、そこは早く帰った方も帰らなかった方もすべて一律に賠償するという、そういう期間ということになるわけでして、その点も考慮しながら、どのぐらいがいいのかという。
私は別に個人的に支持している案というわけではありませんけれど、少しいろんな要素を考慮して、相当な期間というのは若干延ばすということは、あり得る選択肢かもしれません。それと個別的な対応というのを組み合わせるというのも、あり得るかもしれない。
【田中委員】 この緊急時避難準備区域については、これまでは、ここにいてもいい人は、子どもとか、妊婦とか、自分で動けない人はここから出てくださいという形になっていたんですが、今度はそういうことではなくて、もうあくまでも全員、言うなれば、避難指示解除準備区域も避難解除区域と同等になるわけですね。
【能見会長】 同等ということの意味が。
【田中委員】 準備でなくて、もう解除された地域になるという意味なんですけど。
【能見会長】 もちろん、ご承知のように、緊急時避難準備区域については、もう既に解除され、それから、解除準備区域については、どこかの段階で解除されて、それで相当な期間が始まると。
【田中委員】 ええ。ただ、完全解除ではなかったんですよね、今までは。だれでも帰れるという状況ではなかったから、どうしても家族が状況によって、特別の事情で避難しているということもあります。
【能見会長】 そうです。避難が続けられたんですね。
【田中委員】 事情があったと思うんですが、今度はそういう縛りがなくなりますので、当然、ここは社会インフラを、学校を含めて、整備した上で、帰ってきつつあると思いますけれども。そういうことで、あまり長くする必要はなくて、やっぱり適当な期間で、例えば、学校の事情があれば、夏休みの終わりぐらいとか、学校の再開とか、そういうところを考えて適当な期間を決めていただいたほうが。先ほど高橋委員もおっしゃったように、7月とか、そういうのが1つの目安になるような気がしますが。
【能見会長】 それはまた緊急時避難準備区域の話ですか。
【田中委員】 そうです。旧緊急時避難準備区域。そのぐらいまでは延ばしてもいいような気がしているんですけれども。
【能見会長】 また改めてここでもって問題を私のほうから質問するのも変かもしれないけれども、この緊急時避難準備区域については、先ほど、楢葉町についてはちょっと別扱いをするけれども、ほかについては、状況というのは同じだというふうに理解していいんですか。それとも、多少インフラの整備が早く進みそうなところ、それから、そうではないところ、あるいは、また地域によっては、先ほど中島委員が言われたように、生活圏、商圏等の失われ方との関係で、なかなか回復がしにくいところで、それほどでもないところ、いろいろそれなりに差があるようには思いますけれども、そこら辺、どういう。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 前々回でしたか、被災者支援チームのほうから資料を提出していただいて、それが今の参考資料で机上に配付されているやつの丸5に出てございます。ページでいきますと、真ん中よりちょっと後ろぐらいのパワーポイント、第22回の審査会の資料2でございますが。「緊急時避難準備区域解除後の現状について」と、横のパワーポイントの資料になってございます。
この中の4ページに、ここに今後の帰還の見通しについてということで、緊急時避難準備区域におけるインフラ復旧は、本年3月末までに概ね完了する見通しと。それから、インフラ復旧に伴い、今後は各市町村の学校の再開にあわせて順次帰還が進む見通しであるが、帰還した後も住民向けサービスの本格的な再開や除染など、生活環境の整備には一定の期間を要する見込みというのがございまして、ここのインフラのところの実際の復旧状況というのは、前のところになりますが、2ページのところに、帰還状況についてということで、下半分に、復旧計画における各市町村の帰還目途及び学校再開時期というのが書いてございます。それから、その次のページの3ページのところには、病院、あるいは福祉施設、インフラの状況について、これは第22回のときですか、2月になりますが、報告があったところでございまして、今のところ、この情報というのが、この審査会として得ている情報ということになってまいります。
【能見会長】 先ほど紛争解決センターのほうの、これは個別の申立委員会の情報等に基づくんだと思いますけれども、病院関係についても十分インフラが整っていないのではないかというような意見に基づいて書かれていたというわけですけれども、病院関係はもう大丈夫だという前提でよろしいんですか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 3ページでございますが、南相馬市の5病院、広野町の1病院が再開、南相馬市の1病院は、外来診療のみ再開。これは2月の時点でございますが。それから、特養3施設等々ということで書いてございます。
別途、病院のほうも、医療スタッフ等の不足というのもあるようでございまして、これについては、国のほうでもそういった看護師をはじめとする確保のための施策を講じているところと聞いております。
【能見会長】 おそらく各地で必ずしも同じではない状況だと思いますが、3月末で大体インフラが復旧する見込みであるというのも、ほぼ3月ですけど、そこら辺についての新しい情報というのは何か入っているんでしょうか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 特にこの3月末の見込みというのが変わったという話は聞いてございません。ときどき被災者支援チームのほうから情報収集しておりますが、この状況に変わりはないという理解でございます。
【能見会長】 これも審査会として、どういう事実をもとにして判断するかということにかかわるわけですけれども。
【高橋委員】 今のご説明を前提とした指針であるということを、ここで確認すればよろしいのではないでしょうか。
【能見会長】 ですから、それが正しいという前提でね。
【高橋委員】 はい。それと違うことがあれば、それは指針から外れる特段の取扱いをしていいということの意味であるというふうに整理すれば、それでよろしいような気がします。
【能見会長】 なるほど。
ほかにいかがでしょうか。
では、そういう前提で、いつごろにするかという話で、先ほどから8月末でいいのではないかというご意見もあったと思いますが、もしほかのご意見があれば。
どうぞ、中島委員。
【中島委員】 少し気になりますのは、今の資料の4ページあたりでは、除染作業と並行して、生活圏の除染をして帰還する市町村などがあると。生活環境の整備には一定の期間を要する見込みとあるんですけれども、これが8月末までに済むという前提でいいのかどうかがちょっと気になるところです。
【能見会長】 これ、全部見込みですから、実際にどうなるかというのはよく分からないところがあって。そういう意味では、先ほどの高橋委員のように、こういうのがすべて整うということが前提で、もし整っていないということが確認できれば、この相当期間というものも、解除準備区域についての場合と同じように、1つの目安であるので――同じような意味での目安ではないかもしれませんが、整っていない状況というのがあれば、やはりそれを見直すということはあるんだという考え方というのはいかがですかね。その上で、とにかく相当な期間が経過しても、先ほどの紛争解決センターによる個別の救済というものを上乗せする。
まだ今日ご欠席の委員もおられますので、そういう委員のご意見も伺いたいと思いますけれども、1つの考え方として、ある程度収れんしてきたところがあるかと思います。
それでは、大分時間も経過しておりますけれども、ほかの点についてはいかがでしょうか。
それから、まだ議論していない点、途中まで議論がいって、最後まだ決めていませんけれども、解除準備区域について、仮に当面の目安であれ、どのぐらいを目安にするかというところも、これもえいやっと決めるには重要な問題なので、ご感触を伺いたいと思いますけれども。今、比較的短くていいのではないかというご意見もありますけれども、私なんかは、これはまだよく分からない地域なので、あんまり短いというのもちょっと心配であると思います。どのぐらいがいいかというのは一概に言えませんけれども。
【高橋委員】 3ページのローマ数字4)という話でございますよね。先ほどちょっと混乱したことを申し上げたことをお詫びします。その上で、インフラとかが整備して、それで、住民合意が成り立つということは、例えば、もう解除されるときには学校も始まっていると見て良いのでしょうか。
【能見会長】 一応学校ぐらいは始まっているでしょうね。
【高橋委員】 学校も始まっているし、インフラも基本的に整備されている状態であるということは、もう前提としてよろしいということですか。これは事務局にも聞きたいのですが。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 解除される瞬間に学校が始まっているのか、あるいは、解除されることをもって学校が始まることになるのかというのはあるんだと思いますが、そこの解除のための条件につきましては、今後具体的に決まっていくということで、今の段階で云々申し上げることはできないと思いますが。ただ、1つ重要なポイントは、地元の住民も含めた協議を踏まえてという形になってございますので、そんなに大きなぶれは出てこないのではないかということは、それが実現する限りにおいては、そういうふうに考えてよろしいのではないかということとも考えます。
【田中委員】 よろしいですか。
先ほどの資料の2ページにもありますように、南相馬、田村、川内は、この3月に、今もう既に帰り始めていて、どんどん帰っているんですね。それで、広野は少し役場機能が戻りまして、これから12月までに順次帰還するというような方針になっていまして。
ですから、若干市町村によって戻り方は違いますけれども、そういう意味で、逆に、一律に幾らと決めるのも少し難しいんですけど、やたら長くするということは、必ずしも妥当ではないのではないか。
【能見会長】 こっちですね。ただ、これは緊急時避難準備区域の話ですよね。
【田中委員】 あ、そうか。失礼いたしました。
【能見会長】 だから、まだ解除準備区域については、戻っている状態ではないわけで、はっきり言うと、どういう状態になるかというのは、今の段階では予想できない。ただ、抽象的な基準としては、インフラ、生活関連が、サービスが概ね復旧し、それから、住民との協議を踏まえて解除されるという基準が設けられていると。
【田中委員】 ちょっと確認ですが、この解除準備区域も一緒ですよね。例えば、川内村は緊急時避難準備区域だけではなく。田村とか、違いましたっけ。この資料の書き方だと。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 そこも、地図はございますが、例えば、田村であれば、旧緊急時避難準備区域のほか、20キロ圏内に入っているところがございますので、そこについて、これから解除準備区域になるのか、それとも居住制限区域になるのかとかいう問題は、まさにこれから具体的な線引きがされるところでございまして、田村、川内、葛尾――すみません、葛尾は計画的避難区域なので。それから、楢葉はちょっと例外扱いしますと、南相馬市、田村市、川内村、それにつきましては、緊急時避難準備区域だけではなくて、これから新しく設定される3つの区域ができるということなので、避難指示解除準備区域も設定される可能性はあるということでございます。
【能見会長】 ここは緊急時避難準備区域とおそらく違って、まだ戻っていないわけですから、僕は、やっぱり戻る戻らないについても、混乱が生じる可能性というのはある。かなり多数の人がそんなに簡単に戻らないという可能性もあって、そういう中で、十分な住民との協議というのも、どういう形で――これは、もちろん全員の合意というのは得られるはずはないので、それなりに多数だと思われる人が賛同しているときに解除はするんだと思いますけど、相当な人はまだ戻れないという判断をしたりするので、結構これは混乱というか、住民の間の対立も大きい可能性もあるというところなので、個人的には少し慎重にしたほうがいいんだろうと思っていますけど。
どうぞ、米倉委員。
【米倉委員】 私も会長の意見に賛成です。前に議論した緊急時避難準備区域が1つの参考にはなるのですが、こちらのほうは、もともと残っておられた方がいらっしゃるわけで、そういう意味ではかなり状況も違います。それでも一応8月末というのを1つのメルクマールにしているわけですが、今問題としている地域は、全く人がいない状況から戻していくということになると、その実態を見てみないと、実際にどういうプロセスで行えるのかもよく分からない。だから、解除された時点で、どれぐらいの方々が戻っていくのかというのにも随分依存するように思います。やはりそこで大多数の人が戻って、コミュニティがもう一度形成される時期というのが、1つの目安になるのだとすると、ここに関しては、非常に不確定な要素が多いのかなということを感じています。今の時点で何カ月というように決めるのはなかなか難しいと思います。
【能見会長】 ほかにご意見ございますか。ここはなかなか難しい問題だと思うんですね。
いろんな選択肢といいますか、考え方があって、目安であっても決めないというのと、それから、あくまで目安としてで、これは柔軟に対応するというもとで、ただ、自治体等が行動しやすいようにということも考慮して、一応当面の目安として、しかし、あまり短い期間ではなくて、少し長目にとった期間を設けるというのもあるし、それから、先ほどから出ているご意見の中でも、これはもうインフラが整備された後なのだから、住民の協議も経ているんだから、短い期間でもいいという、類型化すると、考え方としては3つぐらいがあるんでしょうか。
ここは、私としては、やっぱり重要な問題だと思いますので、ぜひ委員の皆さん、なかなか今すぐ決断はできないと思いますので、これはぜひ持ち帰って、また検討していただくというのがよろしいのではないかと思います。その間にも、ご意見があれば、ぜひお寄せいただくということにしたらどうでしょうか。
それでは、大分時間をとっていますけど、重要な問題なので、そういうことですが。5ページの緊急時避難準備区域についての指針案のローマ数字3)は既にご議論いただいたわけですが、ローマ数字1)とかローマ数字2)についてはいかがでしょうか。
ローマ数字1)はおそらくそれほどご異論はないかと思いますが、ローマ数字2)については、金額をどうするか。これも金額の問題で、今日直ちに決めるというわけではありませんけど、考え方として、もしご意見があれば伺いたいと思います。
現実には、指針で5万円で、それから、今、東電が払うと言っている5万円が上乗せされ、紛争解決センターのあっせんも、5万円上乗せするということで、現実には10万円払うという部分で。
これも、内訳はともかくとして、あえて金額を減らすということまでは必要ないかもしれないので、場合によっては、指針は5万円のままであっても、やはり上乗せ部分を続けてもらうという解決の仕方もあるかな。
【高橋委員】 今の会長のご意見に賛成です。指針を変える必要はなくて、ただ、実際上の当事者の交渉の中で、さらに上乗せすることを継続するというのであれば、それにあえて別に、審査会としてそれは諒とするというのはよろしいのではないかと思います。
【能見会長】 それでは、少し先のほうもご議論いただきたいと思いますが、いずれも関連しますので、特定避難勧奨地点についてはいかがでしょうか。
ここでも問題となるのは、金額と、それから、こちらでも相当な期間ですね。特定避難勧奨地点については、またそれの特殊性がありますので、これも前から田中委員がこの委員会でも発言されていたことですが、家族単位みたいなところで、家単位で指定されているというようなこともあって、あるいは、地域全体は別にそれほどインフラが壊れているというわけではないので、少し事情が違うのではないかということであります。
ただ、これは確認ですけれども、解除する主体はどこですか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 これは、そもそも最初の指定が原子力災害対策本部でやってございますので、同じく国の原子力災害対策本部ということになります。
【能見会長】 解除をするに当たっては、地方公共団体と十分な協議が行われ――地方公共団体は、もちろん、そこの地域全体をカバーしているわけですから、それはそうなんでしょうが、こちらは住民との協議というのは入っていないんですか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 ここについても、年末の原子力災害対策本部の決定の中に書いてございまして、これは前にお配りしたので、委員の皆様の先ほどの資料集の中に入ってございますが、具体的には、4つ目の資料に入ってございますが、ちょっとお待ちください。
【能見会長】 私の個人的な意見を言えば、最大の利害関係者である住民の――これも、住民との協議ということの中身がなかなか難しいけど、住民との協議は経た上で解除されるのが望ましいとは思いますけれども。これは解除どうするかの問題なので、原災本部のことになるかもしれない。見つかりましたか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 申しわけございません。まず9ページのところに、避難指示区域の見直しとあわせて、なお書きで、特定避難勧奨地点についても、その解除に向けた検討を開始するという形になっているのが、原災本部の決定でございます。
先ほどの協議のところは、少々お待ちください。
すみません、ここについては、文章がございませんで、こちら事務局のほうで、被災者支援チームのほうから聞き取った情報ということで書かせていただいてございます。申しわけございません。
【能見会長】 そうですか。
【田中委員】 実際には、指示されたからといって、全部が地点に指定されたからって避難しているかというと、そうでもないんです。それはもう任意ですね、これは。それから、任意だということで、一家のうちに、例えば、おじいさんとおばあさんが残っていて、子どもとか若夫婦が避難している状況とか、それから、その地域の学校は今使われていますので、避難しても学校に毎日通うとか、ここの地点は、今そういう状況になっているんですね。ですから、線量が下がって、そこの部分の地点が解除された時点で、私はもう即戻っていただいていいという感じで。とは言っても、今日や明日というわけにはいかないでしょうけれども、1カ月とか、そのぐらいでよろしいのではないかと思いますけど。
【能見会長】 これは田中委員と私と少し意見が違う、前から違っている部分ですけれども。もともと放射線量は20ミリシーベルトを超えそうか、あるいは部分的に超えているということで、特定避難勧奨地点として指定され、避難等が行われているわけですが。そうなると、逆に、今度解除されるときにも、それなりにまだ放射線量があるという場合も考えられるわけですね。そういうときには解除されないんだということであれば問題ないんでしょうけれども、例えば、10ミリシーベルトとか20ミリシーベルトの間ぐらいで、そういうのはもう解除されないんですか。そういうことではないでしょう。20ミリ切るのであれば、もうこれも解除の対象になるんですよね。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 基本的にはそうでございますが、もともとお子さんのいるところとか、ちょっと広目に、ちょっと低いところでも拾ったりとか、それこそはかる場所によっても大分変わったりすることもございますので、そういうきっちりしたラインというのがほんとうにあるかというと、必ずしもそうでもないと。
【能見会長】 だから、こっちはまた問題が違って、インフラとかの整備がどうのという問題よりも、おそらく放射線量が問題で、こだわって戻らないという人が出てくる可能性がないだろうかという。
【田中委員】 それはもう後で議論する自主避難みたいな話になりまして、現実には半分以上、さらにもっと多くの人がそこに現在住んでいるところですから、その地域の除染というのをやって、線量を下げる努力はすると思いますけれども、基本的には、建前的な言い方をすれば、20ミリシーベルトを下がったというところで解除になる。実質的にはもう少し下がるんだと思いますけど。
【能見会長】 いずれにせよ、問題としては、もし問題にするのであれば、そっちの問題だということですね。
【田中委員】 はい。
【能見会長】 ということで、具体的な期間等については、これももし今意見がなければ、今議論があったようなことを考慮して決めるということになりますが、これもぜひ皆さんのほうでご感触をお伝えいただければと思います。
この際、ここで審査会の在り方について申し上げますけど、やっぱりなかなかこの時間内で全部議論することができなくて、ご意見を伺って、それをまた集約して原案が出てきますけれども、そうすると、何か密室でといいますか、公開の場で審議されないで中身が決まってしまうという印象を持たれると困る、私としてもそれは不本意で、例えば、仮に原案がこうなったというふうに決まったときに、どういう意見がどの程度出ていて、多数の合意できそうな意見というものを原案にしたという、そのプロセスを説明したいと思います。そういう意味で、先ほどから幾つか決まらない問題についても、ぜひご意見をお寄せいただき、それを集計して、こんな状態だということを紹介した上で、こういうふうに決めるのはどうですかというようにするといいかと思います。ですから、この期間についても、同じように扱いをしたいと思います。個別の意見は、だれがだれというところまではしませんけどね。
【高橋委員】 期間については、全体としてのバランスの中で決めないといけないので、一個一個1カ月とか6カ月というのは、なかなか今の時点では言いにくいところがあります。ただ、田中委員がおっしゃいましたように、かつ、特定避難勧奨地点の性格からすると、これはほかの地域の場合よりも相当期間は短いという基本的な考え方自体はよいと思います。
【能見会長】 分かりました。
それでは、次の営業損害のほうに移りたいと思いますが、指針案のローマ数字1)終期を設けるということについての問題、それから、臨時の収入というんでしょうか、就労・営業等によって得られた収入というのを賠償額から控除するのかどうかということについての指針、ローマ数字1)とローマ数字2)についてですけど、これについていかがでしょうか。
ローマ数字1)については、前回も、あまり集中的な議論はなかったかと思いますけれども、ある程度ご意見いただいた中では、現在直ちにまだ終期を定めるというような状況ではないだろうというご意見が強かったと思いますので、ローマ数字1)についてはあまり問題がない。
ローマ数字2)については、その控除するかどうかについての話ですが、特別な努力と認められる場合には、かかる努力によって得た利益や給与を控除しないという扱いをするのはどうかという中身でございます。
おそらく大ざっぱな中身自身はそれほどご異論がないのかもしれませんけれども、何を特別な努力として認めるのか認めないのかというところに争いが生じたときに、被災者のほうで厳密な証明をして、特別な努力と認められるような事情を証明しなくてはいけないということになると、そうすると、なかなか、こういうふうに書いてあっても抽象的には使えないことになるので、そこは配慮する必要があるだろうというふうに私などは思います。そういう意味では、文言としてはこういうものかもしれないけれども、その精神といいますか、もうちょっと何かうまく表現で備考等に書ければ、書き込みたいと思いますけれども。そういうあまり厳密な証明を要求するわけではないというようなニュアンスを含めるというのはいかがでしょうか。これは就労不能損害についても同じ問題ですね。
それから、就労不能損害のほうについては、ローマ数字1)、ローマ数字2)のところで、扱っている項目は同じですが、終期については、前回の論点ペーパーを引き継いでおりまして、案1と案2ということで、一応今のところ2つ併記されていますけれども、これについても、どちらがよろしいかということについて、ご意見をいただければと思いますが。
特にご意見がなければ、申しわけないけど、私の意見としては、こちらも現在終期を定めるというような状況にはおそらくないのではないかと思いますが。案2のほうを中心に考えるということで。
【中島委員】 そうしますと、就労不能について、会長のご意見、案2ということで賛成なんですが。
その場合、営業損害と共通の問題ですが、現在、どうも賠償の現場では、就労不能損害はまだ支払いがなされていないようなんです。その根拠としては、東電側は、全体像が分からないと一時払いができないという考え方のようなので、仮に終期が決まらないと全額が決まらないということになり、その結果、賠償の支払いがなされないという実際の運用がなされても困りますので、先ほどの総論にもありましたように、終期が決まらなくても一定の範囲の一時払いをするようにという、当面の一時払いを促進するという何らかの文言を入れるということではいかがでしょうか。
【能見会長】 これ、終期が決まらないと賠償できなくというのは、もう終期が来ているんだという前提で考えるとそうかもしれないけど、まだ終期が来ていなくて、いつごろが終期かは、まだ将来の問題で分からないという程度だと、賠償を拒むという理由はないような気がしますけどね。
今のような一案が出ていますが、もしご意見があれば。
【高橋委員】 そこは、賠償の現場を確認しないと何とも言えないのではないかと思います。次回までには、そこは東電にちゃんと確認して頂きたいと思います。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 就労不能につきましては、前々回か、廣瀬常務が説明に来た際に、就労不能についてはあまり問題は生じていないということでしたので、その後、事務局のほうから東電に照会して、その時点で就労不能損害で幾ら賠償金が支払われているのかというのを聞いてみたところ、大体200億円弱ぐらい。そうしますと、一方で、精神的損害の額ではもうちょっと大きな、最初のところで500億、それから、その後300億円、800億円ぐらい払われて。それに比べると確かに少なくなっていて、以前審査会でご議論ありましたように、精神的損害、慰謝料が生活費になっているというような実態は若干出ていて、それと廣瀬常務の話を合わせると、あまり請求がまだされていないのではないかということが若干うかがわれるところがございます。
【能見会長】 さらに調べることができれば、調べて。
それで、僕はさっき案の2のほうがいいとは思ったんですけど、1つは、案2の文面というのは、個別具体的な事情に応じて合理的に判断するというのは、これだと、もう既に終期が来ている場合もあるかのような文面になるので、そういう趣旨にとられると困るので。案1と案2の違いというのは、案1は、目安としてとにかく2年ぐらいを書くというのと、案2は、それも書かないという案ですので、もう個別判断によって到来しているんだというのではないということを明確にするような案のほうがよろしいのではないかと思いますが。
ほかの皆さんの意見はいかがですか。
【高橋委員】 ちょっと別の箇所でよろしいでしょうか。
【能見会長】 どうぞ。
【高橋委員】 先ほど会長がおっしゃっていただいた、立証を軽減するために、柔軟な対応を行うことを考えるというのが両方に入っているわけです。しかし、「一定の場合」という文言が入っているのですが、この文言が入っていると、何がその「一定の場合」なのかというのがかなり悩ましい話になってくるのではないかと思います。そういう意味では、「特段の事情がない限りは」の程度で、こういう状況の中では、特段の事情がない限りは合理的な対応で扱うことが妥当だというほうがよろしいのではないか、と私は思っております。ご検討いただければと思います。
【能見会長】 それも十分考えられると思いますので、一応検討しましょう。
じゃ、営業損害、就労不能損害については、よろしいでしょうか。
財物価値の喪失・減少等についてはいかがでしょうか。ローマ数字1)のほうは全損の場合で、ローマ数字2)のほうが居住制限区域、解除準備区域内の不動産ということですけど、中島委員、どうぞ。
【中島委員】 この具体的算定方法については、大塚委員の意見が出ておりますけれども、この大塚委員の意見は、備考案の3)に関するコメントかと思われます。
ちょっと心配なのは、具体例としては、居住用の建物の算定方法だけが記載されるというところが少し心配でして、居住用の建物については、確かに大塚委員のおっしゃるとおり、原価法、再調達原価が基準かと思われますけれども、これが営業用の建物、あるいは事業用の土地、それから、おそらくこの地域の大部分を占めると思われる農地については、収益還元法で算定するのが普通かと思われます。そういうことを考えますと、普通の会計慣行、合理的な会計慣行、あるいは不動産鑑定の相場、合理的な算定方法をもう少し何らかの形で、一般論でいいのでちょっと入れたほうがいいのではないかと思われます。
例えば、農地、あるいは事業用の土地につきましては、収益還元法ですと、直近の平均収益を資本還元するわけです。資本還元の方法としては、金利で割る。収益を利息と見るわけですけど、金利で割るというのが普通の考え方だと思います。
そこで、今日の国債の金利をちょっと調べてきたんですが、40年物、一番東電にとっては有利な金利の高い40年物国際の今日の金利が、2.15%です。仮にこの一番金利の高い国債の金利を使って、これで資本還元しますと、ほぼ46年分になります。
例えば、農家などは、収益というのは非常に低い。それでなり手がないわけですけど、その収益に、所得補償の性質を持つ補助金も加えた収益をこの2.15%で割りますと、46年分、この46年という数字は、セシウムの半減期の1.5倍になります。絶妙な数字であると思うんですが。いずれにしろ、会計上合理的な慣行としては、むしろそういう計算方法がなされているということを、指針に入れなくても、議事録に残しておいていただいたほうがよいのではないかと思います。ちなみに、仮に法定利率である5%で資本還元して割りますと、20年分になります。
以上でございます。
【能見会長】 僕もあまりそういう会計のほうはよく分かりませんけど、今のように、収入をもとにして資本還元ということで、その財物の価値を出すというときは、収益の賠償をしているようにも思えるんですが、財産そのものの賠償と収益の賠償との関係は。
【中島委員】 その点はおっしゃるとおりかと思いますが、東電の意見としても、普通は全損で賠償すれば所有権が移るんですが、今回は所有権が移らないという前提ですので、収益性の賠償が、今回の全損の賠償と見て構わないのではないかと思います。
【能見会長】 鎌田委員。
【鎌田委員】 居住制限区域は、少なくとも5年以上にわたって利用できないし、仮に10年、15年後に利用できるようになったからといって、もとの市場価格を回復するとは通常考えられない。そういう状況のもとで不動産の交換価値100%賠償というのも、あり得る考え方かと思うんですけれども、ただ、ここでの指針は、損害賠償の一般法理に照らして説明できないことをそのときの勢いでやってしまったと事後的に評価されるのではやっぱりまずいので、それなりに理論的な説明はつけたほうがいいと思うんです。
不動産の正常価格を求めるときには、収益還元的な考え方と取引事例比較法等々、それから、将来の経済予測等、全部総合的に判断するので、原価法も含めて、どれか一本ということではないと思うんです。今、会長からご指摘ありましたように、収益喪失分を100%不動産価格で賠償するんだと一方でいい、他方で、現実の収益喪失分は営業損で全部賠償しますというと、それだけ聞くと、やっぱりこれは損害賠償の二重取りではないかという疑問が出てきます。その辺のところは、いや、そうはならないという説明は、やっぱりきちんとつけておかないと、政策的に損害賠償の範囲を決めてしまったというふうに言われるのは、この指針全体の信頼性も揺るがすことになると思うので、きちんと理論的に一定の説明はつくようにしないといけないというのは、会長のご指摘のとおりだと思います。
【能見会長】 どうぞ、中島委員。
【中島委員】 鎌田委員のご指摘ももっともかと思うんですが、そうすると、営業損害と収益還元法で算定した損害の関係ですけれども、営業損害は、文字どおり営業上の収益の損害ですが、収益還元法は、あくまで所有権喪失の損害の算定方法の一つですから、あくまで所有権の機能の一部が失われたと見て、その所有権が失われた機能の損害賠償の算定であって、企業としての営業損失とは違う性質のものだと言わざるを得ないのではないでしょうか。
おっしゃるとおり、不動産鑑定方法、4つぐらいあるうちの、その最も的確な手法を組み合わせて鑑定せよということになっていますが、少なくとも市場性のない土地については、再調達原価はちょっと採用できないのではないかと思います。
【能見会長】 これは少し調べた上で、中島委員のご意見、それから鎌田委員の意見、それから、私も収益の賠償と財物そのものの価値の賠償の関係がまだよく分かっていないところがあるので、少し整理させて、皆さんのご意見を伺いたいと思います。
ほかの点はいかがでしょうか。ローマ数字2)のところが、居住制限区域とか避難指示解除準備区域内の不動産の場合についての財物価値をどうしたらいいかという問題で、これは100%全損しているという場合であれば、賠償の問題はそんなに難しくないと思いますが、全損ではない、2年あるいは3年ぐらいに戻れて、直ちに使えるかどうか分かりませんけれども、全損ではないというときにどうしたらいいか。一方で、居住制限区域ぐらいになりますと、そういうものについての賠償をしてほしいという要望も多いやに聞いていますので、どうしたらいいかということでございます。いかに合理的に定めることができるか。
鎌田委員も先ほどちょっと言われましたけれども、これは賠償の議論をしていますので、賠償の考え方が明らかにおかしいというのは、やっぱりとれないと思いますが、ただ、何分、ほんとうに初めての大規模災害で、賠償の理論としても明確でないところもあるので、そういうところは最大限被災者にとって救済になるようなものが考えられるのであれば、考えたいというふうにも思います。ですから、その相克にあるわけですが。このローマ数字2)のようなものは、ある程度推認するということで、そこは調和しているわけですが。一定程度減価したものとして推認すると。どのぐらい減価しているかということは、これはまた、こういう難しい問題を紛争解決センターのほうにお願いするというのも恐縮ですけれども、そちらで判断してもらうというような心づもりで、ローマ数字2)という指針はできています。
これも、今、もし直ちにご意見がなければ、次回もう一回議論できると思いますので。
【高橋委員】 これ、ブラケットに入っているという意味はどのようなものでしょうか。
【能見会長】 これは、場合によっては落として、落としたから認めないという趣旨ではなくて、どういう基準で居住制限区域の場合について賠償を認めたらいいかが難しいので、指針には書かないけれども、それこそ個別の事情のもとで、紛争解決センターのほうでは対応してもらうというわけですね。
【高橋委員】 分かりました。
ただ、ちょっと議事録にはとどめていただきたいのですが、私、土壌汚染の問題も研究したことがございます。その場合、スティグマ効果がかなり大きいということが問題となっています。今回、放射能汚染ということで、通常よりも非常に大きなスティグマが発生する可能性があります。そういうこともあるのだということは、議事録のほうにとどめておいていただければありがたいと思います。
【能見会長】 はい。
それでは、これ、説明はまだしていなかったんだっけ。すみません、先にどんどんしちゃって申しわけない。それでは、説明しますか。もういいですね。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 もうあとは短い文章でございますので。
【能見会長】 自主的避難に係る損害について、前回から出ている幾つかの選択肢を書いてあるところですけれども、これについても何かご意見があれば。これも前に私は多数決で決めるなんて申し上げましたけれども、できればどこか、皆さんが最大限合意できるところで決めたいと思いますので、この際、ご意見があれば伺いたいと思います。
どうぞ、中島委員。
【中島委員】 この案2と案3は、ほとんど同じようにも見えますけど。前回私が述べたものを案2としていただいたのかと思うんですが。
【能見会長】 そうですね。
【中島委員】 あえて違いを述べますと、案3ですと、「やむを得ないと認められる」というところが、いわば科学的にやむを得ないと認められるというニュアンスが込められているのに対して、案2のほうは、どちらかというと心理に重点を置いているという意味では、科学性に疑問を持たれている田中委員のお考えを前提としても、案2であればよいのではないかということで、あえて案2の形を提案させていただきました。
【能見会長】 なるほど。
【中島委員】 もう一つは、案3が、今回の自主避難を認めたときの表現ですけれども、それと違う表現にするということも、1つの方法かなという、そういうニュアンスも込めて、案2というものを提案させていただきました。
【能見会長】 はい。
【田中委員】 一言。
【能見会長】 どうぞ、田中委員。
【田中委員】 基本的には、私は、案2でだったら、何とか私もよろしいかなというふうに今思っています。
案3は、やっぱり自主的避難を行ったことについて、やむを得ないというのは、あくまでも当初の期間だけをここで議論したと思いますが、案3ではなくて、案2であって、ここの平均的・一般的な人というのをどういうふうに見るのかなというのが1つあるんですが、今回はほんとうに自主的に避難している人だけを対象にするのか、前回は、そういう差別をすると非常に混乱を増すということで、区域を区切って全体的に同じような賠償をしたわけですけれども、そこのあたりの考え方はあるんですが、逆に言うと、自主的避難している人が、例えばADRのほうに個別に申し立てて、賠償を請求するということについては、私はそれは否定するということはしないでもいいかなというふうに思っています。
【能見会長】 どうぞ。
【高橋委員】 多分、案3は私の意見だと思いますが、別に案2と別案を出すつもりで発言したわけではなくて、中島委員のご発言を私なりに置きかえて、申し上げたつもりでした。よって、基準として指針に盛り込むのであれば、案2に全面的に賛成します。ですから、別に案3というふうに対置するつもりで発言をしたわけではないということをご理解いただければありがたいと思います。
以上です。
【能見会長】 鎌田委員。
【鎌田委員】 最終的に、平均的・一般的な人を基準として合理性を有しているというか、やむを得ないというか、それはある意味で、どちらでも全く結構だと思うんですけど、「自主的避難を行いたくなる心理が」ということで、実際に自主的避難を指定な場合もカバーしようということかもしれませんが、そういう気持ちをもつことが必要であり、それを持ちさえすれば賠償できるみたいに読まれるのはいかがなものかなという気もします。そういう誤解さえ別になければいいということと、あと、対象区域は別に第一次追補から変更しなくても問題ないんですか。緊急時避難準備区域が解除された後の、妊婦その他について……。
【能見会長】 それは、この案では書いてありません。
【鎌田委員】 第一次追補の対象区域から外れていますよね。
【能見会長】 これはもう、一方で広がる部分と狭くなる部分両方があり得ると。ある種、この基準のもとで個別的にといいますか、判断していくということなので。
【鎌田委員】 なるほど。じゃ、相当期間経過後は、個別判断でやるということに。
【能見会長】 相当期間経過後、このカテゴリーに当てはまる人については、もちろんこれを上乗せするという形になりますね。
微妙な問題として、自主的避難について、今まで地域割りで時期を指定してやってきたところがありますが、当然、その中の全員が必ずしも対象になるわけではないかもしれない。逆に、今までの地域の外にあって、しかし、こういう基準で当てはまるという人が出てくると、それは追加される可能性があると。というふうに、地域との関係で思いますけれども。
米倉委員。
【米倉委員】 前回のとき私は、放射線量で切るのは非常に難しいからということのお話をしたのですが、まさにそれが起こってくるのだと思います。特に今回、いろんな形で解除が行われたときに、そこに戻るかどうかというのは、まさにこれは自主的避難と同じ状況になってくると思います。そういう意味で、新たに加わってくる一つの基準としては、やはりそこには線量というのが多分出てくるけど、ただ、それだけではないというのは、これを決めるときに最初に議論した、そういう基準も参考にしていただくということになるのかなと思います。
【能見会長】 まさにおっしゃるとおりです。
実際に、これ、基準はこれでいいとしても、運用が実は結構難しい問題になると思いますけれども、先ほど言ったように、今までの自主的避難の地域に対して、相当強い批判もあり、一方で、宮城県のほうの丸森町とか、あるいは、福島県の中の白河市の一部の地域についても、放射線量についてはそれなりに高いという。ただ、今までの自主的避難の指針というのは、その地方公共団体といいますか、市町村全部を丸ごと対象にするかしないかでやってきましたけれども、今回は少し、基本的な対象とする人についての考え方は同じかもしれませんけれども、それを当てはめる結果、今言ったように、広くなるのと狭くなるところが出てくると。
【鎌田委員】 区域に関しては、第一次追補の枠にとらわれていないということなんですか。
【能見会長】 そうですね。
【鎌田委員】 そういうことなんですか。分かりました。
【能見会長】 それでは、これについても、またご意見をお寄せください。次回、また続きを議論したいと思います。
では、最後、すみません、除染のところは、何か説明で補足する点があれば。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 除染は、前回イメージ案で書いたものと全く同じ記述でございます。
【能見会長】 ということで、この指針案についていかがでしょう。
これも、前回もあまりご異論がなかったでしたかね。いろいろ微妙な問題はまだあるんだと思いますけれども、よろしいですか。別によろしいですかということは、意見がないから確定したということではありませんが、また次回、最終的に確認はいただきます。
それでは、大変長い時間をかけてご議論いただきまして、大変ありがとうございました。今日の議論を踏まえまして、また次回、案を出したいと思いますが、先ほど申し上げたように、途中で皆さんのご意見をお寄せいただき、それを集約するといいますか、どういう意見であったということを紹介しながら説明したいと思います。
それでは、本日の議論はこれまでといたします。
では、次回の日程等についてお願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 次回は、3月16日19時から21時、この場所を予定してございます。また別途発表いたします。
それから、委員の皆様にお願いでございますが、意見でございますが、もちろん追加は歓迎でございますが、当座はまず意見をできれば月曜日の朝までにいただければ、まずそこまででやって、その後追加も暫時お願いしたいと思いますが、まず主な意見をそこまでにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【能見会長】 それでは、今日はどうもありがとうございました。これで閉会いたします。
―― 了 ――
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