平成24年2月17日(金曜日)14時00分~16時30分
文部科学省(中央合同庁舎7号館東館)3階講堂
能見会長、大塚委員、鎌田委員、高橋委員、田中委員、中島委員、野村委員
神本文部科学大臣政務官、森口文部科学事務次官、藤木文部科学審議官、戸谷研究開発局長、田中総括審議官、加藤原子力損害賠償対策室長、篠崎原子力損害賠償対策室総括次長、田口原子力損害賠償対策室次長、野山原子力損害賠償紛争和解仲介室(原子力損害賠償紛争解決センター)室長
【能見会長】 どうもすみません、少しおくれまして。
それでは、時間になりましたので、第23回の原子力損害賠償紛争審査会を開催したいと思います。本日もお忙しいところ、お集まりいただきまして、大変ありがとうございました。
最初に、事務局から資料の確認をお願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 資料の確認をさせていただきます。
配付資料といたしまして、議事次第のほかに、資料1-1から1-5までが、「紛争解決センターの活動状況について」という議題で、紛争解決センターのほうから提出されている資料でございます。それから、資料2といたしまして、避難指示区域の見直し等に伴う論点とその対応の方向性についてということで、これは今日ご議論いただく資料になってございます。
それから、参考資料といたしまして、前回の議事録をおつけしております。それのほかに、委員の皆様には、前回参考資料としてお配りしたものを、もう一度紙ファイルにとじて机の上に置かせていただいております。その中で、1つ、原子力災害対策本部のほうからの資料が抜けておりましたので、後でお配りいたしたいと思います。
以上でございます。
【能見会長】 それでは、本日の議題に入りたいと思います。第1の議題は、原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況についてのご報告をいただくということでございます。この審査会においては、損害賠償の指針を設定するだけでなくて、原子力損害賠償が迅速に行われるようにということも役割の一つにしております。しかし、後者の問題につきましては、審査会そのものが直接動くということが実際上難しいので、これは原子力損害賠償紛争解決センターというのが設けられて、そこで和解の仲介などをしているものでございます。
本日は、これまでの和解の仲介の状況につきまして、紛争解決センターの野山室長よりご説明をお願いしたいと思っております。それでは、お願いいたします。
【原子力損害賠償紛争解決センター(野山室長)】 紛争解決センターの野山でございます。よろしくお願いいたします。座ったまま説明させていただきます。
今回取りまとめましたのは、資料1-3の17ページに及ぶ、昨年9月から12月までの活動報告でございまして、説明は、資料1-1及び資料1-2に従いまして、概略版でさせていただきたいと思います。
まず冒頭の部分は、1枚めくっていただきました資料1-2で、報告書作成以後、昨日あるいは本日午前中までの情報を交えながらご説明させていただきたいと思います。まずは資料1-2に沿って説明させていただきます。
まず申立件数でございますが、昨年9月1日に申立ての受付を開始してから、12月28日まで4カ月が経過いたしまして、12月28日までの申立件数は、521件。月別には、9月38、10月80、11月143、12月260ということで、昨年の申立件数の半数は12月にあるという、非常に申立件数が加速度的に増加した状況でございます。
下の注にありますとおり、今年の1月は248件、おおむね横ばいでございました。2月は、2月16日までで194件でございます。したがいまして、また12月を超える勢いかなと思います。昨日までの受付総数は、963件でございます。
申立ての特徴というところに行きますと、個人が8割、法人が2割でございます。それから、本人申立てが8割で、弁護士代理は全体のわずか2割という状況でございます。非常に弁護士代理の割合が予想より低かったという状況があります。
2項目ほど飛ばしまして、2ページの上のほうに参ります。請求されている損害項目としてどのようなものが多いかということですが、避難費用が約50%の事件で申し立てられております。精神的損害が約53%の事件で申し立てられております。営業損害が約36%、就労不能損害が約29%、財物価値喪失等が約29%の事件で申し立てられているという状況でございます。
2の申立事件の処理状況というところに移ります。報告書記載の12月28日までの和解成立件数は2件、それから、取下げ件数が4件、その余の事件は、12月28日の時点でいまだ継続中と、こういうことでございます。和解成立までの目標審理期間3カ月ということでスタートしたわけですが、これはまだちょっとできていないという状況でございます。
昨日までの数は、その下の注にありますとおり、和解成立件数が5件でございます。本日午前中にさらに2件できたという報告がありますので、今現在では7件になっております。
それから、この和解成立件数という統計のとり方なんですが、実質的な合意が成立した後、和解契約書案を作成し、東電に郵送し、記名押印をもらい、申立人に郵送し、記名押印をもらい、そういう完成したものの写しを当センターが認識した時点で、和解成立ということに統計的にカウントすることになっております。契約書は未完成ですが、実質合意に達したという事件のレベルでいきますと、既に10件を超えております。おおむね14件であるという報告を受けております。
引き続きまして、未済事件のうち、和解案が提案されていたのは、12月28日まででは5件でございます。今月末までに約50件程度和解案が提示できるのではないかという見込みを持っておりまして、昨日現在では、おおむね30件が提案できている。月末まで50件近くいくのではないかという見込みを持っております。
ここまでは最新の情報もあわせてご説明したほうがいいと思いまして、資料1-2で説明いたしましたが、ここから後は資料1-1に戻らせていただきたいと思います。資料1-1の1ページ目の部分を既に大体説明を終えたことになりますので、2ページ目の上、和解成立が遅延している要因というところに行きたいと思います。これはセンター側の要因、東京電力側の要因と双方ございますが、重要なところですので、今度は資料1-3の報告書本体の10ページの下のほう、【分析】とあるところからしばらく読み上げていきたいと思います。
12月28日までの申立件数が521件であるのに対して、和解成立件数が2件であり、ごく僅かにとどまっており、申立てから和解成立までの目標審理期間は実現できていない。
これについては、初期段階がパイロット期間であったため慎重に審理が進められたこと、複数の弁護士が関与する期日の指定のための日程調整が難航して期日間の間隔が容易に狭まらなかったこと、申立書の記載が極めて簡単で証拠も十分整理されておらず、申立人の言い分の確認や仲介委員による事実認定のための調査に当初予定し得なかったほど膨大な時間を要したことに加えて、東京電力が財物価値喪失等や中間指針で類型化されていない事項の賠償請求についてその支払いを拒むなど直接交渉におけるのと同様の態度で、当センターにおける手続においても具体的な和解協議に入ることに消極的な態度をとり続け、中間指針において目安とされた金額の増額や生活費増加分の賠償になかなか応じないこと等が原因であると考えられる。
具体的には、東京電力は、主に、財物価値の喪失等の損害や観光業の風評被害等に関する損害について、事実の主張や法律上の主張に関する認否を留保したり、中間指針について東京電力の解釈に沿わない立場を受け入れないなどの頑なな対応がみられ、こうした中間指針の解釈態度が審理の空転や遅延につながっている。
したがって、関係当事者に対し、迅速な審理及び解決に向けた積極的な協力を求める必要がある。ということになっております。
3につきましては、以上の読み上げをもって報告とさせていただきまして、引き続きまして、4.課題解決に向けた取組みでございます。あちこち飛んで恐縮ですが、資料1-1の2ページ目に戻らせていただきます。
4.課題解決に向けた取組みですが、まず1つ目の大きな白い丸、大量の案件を処理するための手続の工夫ということでございます。
まず仲介委員、調査官、当事者が協議する期日。センターの中だけでの打ち合わせの期日、あるいは当事者を呼んだ口頭審理の期日、これを早期に設定するということがまずございます。
それから、2つ目が、パネル間協議による共通論点の整理。パネルごとの合議体の中にとどまらないで、複数のパネルの間で積極的に議論をしていくことによって、議論が深まり、お互いの共通認識も深まって、解決も早くなるということでございます。
次が、「総括基準」の策定・公表ということでございまして、中間指針を個別の和解仲介事件に適用するに当たり、仲介委員の参照となる基準を、具体的な事件に基づきまして、一般的な基準となるものをどんどんつくっていって、さらに、これを公表することによって、仲介委員の判断の促進にもつながり、また、当事者の主張立証のポイントを明確化し、あるいは和解案の予測可能性を高める、このようなことをしていこうということでございます。
それから、次の「一部和解」、「仮払い」の促進でございます。我が国の民事法律実務では、全部の事項が合意に達しないと和解契約書をつくらないというような運用のほうが主流であったと思いますが、今回の原子力損害につきましては、合意ができる項目ができれば、一部でも和解を成立させ、その部分の支払いをどんどん進めていくということが被害者救済のために大事だということで、一部和解を積極的に促進する。それから、仮払いにつきましても、東京電力の見解によれば、おおむね争わないだろうと思われる金額が出てくる事件が結構ございますので、それにつきまして、現在、手元の生活資金や事業資金に困っているという申立人がおられる場合には、全体の解決前に、そういう部分の仮払い和解案を手続の早期に提案するということをしていこうと、こういうことでございます。
それから、次の単独体審理。これは3人で1件やるより、1人で1件をやるほうがスピードが3倍上がる、こういうことでございます。
それから、集団申立てに対する対応。1件で100人とか、そういう非常に多くの方が1つの申立書で申立てをしてくる場合に、代表案件先行処理方式と書いてございますが、数件の代表案件を選定し、代表案件についてまず和解案を提案して、代表案件について和解を成立させるとともに、その和解の考え方の基礎となった考え方を同時に提示しまして、他の案件については、当事者間でまずこの提示された考え方に従って相対交渉で解決できないかということを、まず相対交渉でやっていただく、こういうことによる省力化を図ろうということでございます。もちろん、相対交渉でできなった論点については、最終的には仲介委員が和解案を提案いたします。
それから、次の大きい丸、東京電力、弁護団に対する協力の要請ということで、弁護士会、あるいは支援機構、円滑化会議等と連携して、いろいろ協力を要請していこうということでございます。
センターの体制の強化ということで、昨年12月28日時点の人員は、ここに書いてあるとおりでございますが、増員が喫緊の課題ということでございます。これにつきましては、またあちこち飛んで恐縮ですが、資料1-2の5ページ目の真ん中辺、5.まとめとあるののすぐ上の部分、(4)の最後の部分の注に、増員の予定が書いてございます。このあたりも参考にしていただきたいと思います。
また資料1-1に戻りますが、一番下に【基本的な方向性】とございまして、私どもの考え方は、一件一件丁寧に処理するということは当たり前のことでございますが、一件一件をただ処理するにとどまらず、和解実例を公表したり、総括基準を策定・公表したりしていくことによって、同種の論点について当センターでの審議も進む、あるいは、相対交渉でそれらの基準が適用され、申し立てられない多くの事件も解決されていくようにしたいということを考えております。
そして、今回、賠償案件が、自主的避難等も含めますと、もう150万件を上回る非常に膨大な件数があり、そのうち紛争性のある賠償案件の件数というのが何件あるかは分からないんですが、おそらく最低でも数万件、もし多ければ10万件を超える、そういうおびただしい紛争性のある案件があろうかと思います。このような案件につきまして、もし今回の原子力損害の紛争が将来のどこかの時点であらかた解決したなと言える時点が仮に来たとして、その時点から振り返ってみたときに、我が国の民事司法のキャパシティを考えますと、準司法機関である私ども、あるいは、司法機関である裁判所が解決できる件数は、これはおのずと限りがあると思います。十数万件全部を解決できる容量はございません。これは、別に我が国の容量が低いというわけではなく、他の先進国で同様の大量の賠償案件があったとしても、同じだろうと思います。私どもは、私どものところに来た案件だけを解決するというよりは、そういう紛争性のある案件全体の解決に責任を持ちたい。そのために、実例の公表とか総括基準の策定・公表等も推し進め、それらが被害者と東京電力の相対交渉における基準になっていくという、そういう姿、それによって10万件以上の紛争案件が解決される、そのような姿を最終的に目指しているということでございます。
以上が活動状況報告書の説明でございます。
引き続きまして、昨日公表いたしました総括基準、これを簡単にご説明したいと思います。資料1-4でございます。資料1-5に総括基準本体はございますが、1-4の要点というところで簡潔に説明していきたいと思います。
1が、避難者の第2期慰謝料ということでございまして、理由の丸3が、要するにどういうことかということが一番端的に書いてあるんですが、避難等対象者の第2期の精神的損害の目安の合計額が、第1期と同額の一人月額10万円又は12万円となるというのが、この総括基準の結論でございまして、これは中間指針策定後、避難の長期化、それから、いつ帰れるかなかなか分からないという状態が非常に続くことがどんどん明らかになってきたということで、第2期についても、さらに追加の慰謝料を定める必要があるのではないかと考えた結果でございます。
2の、精神的損害の増額事由に参ります。第1期の10万円、12万円という指針の定めも、一応目安として定められたものであり、そうしますと、目安と違う額を定められるのはどういう場合か、特に増額できるのがどういう場合かというものを定めたものでございます。具体的には、総括基準の本文を見ていただければと思いますが、まず客観的な事情として、避難生活が通常の避難者の方より困難があっただろうなと思われるような客観的な事情があることを1つ目の要件とし、それから、2つ目として、現実に精神的苦痛が通常の避難者より大きかったと認定できること、これを2つ目の要件といたしまして、そのような場合は増額ができるんだという基準を示し、増額幅につきましては、各仲介委員の自由な裁量でやっていただければいいと、そういう内容になってございます。
3が、自主的避難を実行した者がいる場合の細目ということでございます。これは、中間指針追補で目安として決められた40万、8万以外の額の賠償が、事情によってはできないわけではないというふうに定められている部分の細目を埋めるものでございます。現在、当センターへの申立ては、自主的避難を実際に実行した方々からの申立てばかりがあるという状態ですので、滞在者についての細目というのは、まだ私ども、具体的な事件に基づいて検討することができておりませんので、実行した者がいる場合の細目というものを定めたということです。ただ、これも、基準自体は非常に分かりにくくなっておりますが、民事法に詳しい方はご案内のとおり、あんまり細かく基準をつくってしまいますと、具体的な事案に適用しようとしたときに、逆にその基準に拘束されて、適当な結論が導けないということもございますので、考慮要素を書き出すということで、それぞれの考慮要素の意味を各仲介委員の方々においてよく検討された上で、賠償内容として積算するのが、適当な実費をはじき出し、それに慰謝料の額を加算した額が、中間指針追補記載の額を上回る場合は、上回る額を賠償額とする、こういう内容でございます。
それから、4、資料1-4の裏に行きまして、避難等対象区域内の財物損害の賠償時期ということでございます。これはもう基本的に中間指針を出るものではございませんが、東京電力のほうで、昨年の9月以降、ずっと動産も不動産も賠償の対象から見送るということを続けておられ、最近に至っても、動産については自動車ぐらいしか話題に上がってこない、このような状況下で、当センターは、昨年9月以降、動産であれ、不動産であれ、申立てがあれば、これは中間指針に従って賠償額を確定し、和解案を提案するという方針で審理を続けてまいりました。そのことを、現在のそういう状況を踏まえまして、明らかにしたものでございます。先ほど、一部和解案の活用ということがございました。確かに、損害の全容を把握することが困難な事案が中には存在することは予想されますが、そのような場合でも、最低限このぐらいの損害額が出ていることは確実だということが認定できれば、その金額についての一部和解を進めるとか、そのようなことで被害者救済を積極的に進めていきたいという内容でございます。
説明は以上でございます。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、委員の皆様から、ご質問あるいはご意見等がございましたら、お願いします。
中島委員。
【中島委員】 先ほどのご報告の中で、中間指針に具体的に列挙されていない損害項目については、東電側が審理に対して消極的であるという報告であったんですけれども、前回の廣瀬常務のお話では、そこも現在積極的にやろうとしているという報告でもあったんですが、この点は、今どのように感じておられますでしょうか。
【原子力損害賠償紛争解決センター(野山室長)】 昨年の9月以来を歴史的にと言うとオーバーですが、時系列的に見てみますと、東電基準が発表された当初、東京電力の賠償の末端の現場、被害者の方々と直接接触がある現場では、「中間指針に具体的に書いていないことを賠償することは、中間指針に反するんだ。だから賠償はできないんだ」と、このような説明が、東京電力の賠償の末端の方々から話されていたということを、福島県のいろんな方々からのお話とか、当方のコールセンターにかかってくる電話から、そうであったのではないかと、私どもは推定いたしております。
私どもの理解するところでは、中間指針というのは、原子力事故と相当因果関係のある損害は全部賠償するんだ、そういう相当因果関係があるという大きな丸があり、その中でさらに、賠償を促進するために、昨年の8月5日までに認識された主要な損害類型が個別に、大きな丸の中でさらに小さな丸として書き込まれている。しかし、大きな丸の中に入っていれば、小さな丸の中に入っていなくても賠償の対象になるんだと、当センターはずっとそういう方針でやってきました。しかしながら、先ほどの東京電力の末端の説明によりますと、大きい丸に入っていても、小さい丸に入っていないものは賠償しないと、こういう結論になりますので、非常に問題だなと思っております。中間指針というものはそう読むのではないのだということを、当センターのいろんな人が、福島県にいろんな機会に出張するたびに説明を続けてきた、こういう経過がございます。
それで、最近、具体的に書いていないものの賠償も進めておられるようですが、私どもから見ていますと、まだまだ不十分なのではないか。いろいろ聞くところによりますと、やはりいろんな事業者が、こういう類型の損害の賠償をということで東京電力に話をすると、それは中間指針に具体的に書いていないから賠償の対象にならないという対応をされるという話は、今でもわりかし日常的に聞きますし、一体実態はどうなんだろうということで、非常に私ども、不安に思っておるところでございます。
新聞報道などによりますと、千葉県や山形県の観光業が、東京電力と各県の観光業の団体の団体交渉のようになっておるようですが、個別に原子力事故との因果関係があるのかということが検討の対象になっているというよりは、条件を出し合ってせめぎ合っているような、何かそのような状況のようでして、まだ改善が十分ではないのではないかという懸念を持っておるところです。
【能見会長】 ほかにいかがですか。
大塚委員。
【大塚委員】 3点ございます。
1点は、今の点とも若干関係するんですが、ちょっとまた違いますが、前回、廣瀬さんがいらっしゃったときにお伺いしたところで、就労不能損害とか営業損害については、かなり適切に払っているというようなご発言があったんですけれども、それについては、センターのほうでは何か把握しておられることがないかというのが、1点伺いたいところでございます。
それから、2つ目ですけれども、資料1-3の11ページで、観光業の風評被害等に関する損害についてもかなり問題があったということですが、これは千葉県の話とかは新聞報道で伺っていますけど、ほかにも何かございましたら、教えていただけるとありがたいと思います。
それから、3点目ですが、資料1-4の総括基準の要点の1ですが、先ほどのお話ですと、結局、これは10万円ということにされているということなんですけれども、この丸1のところは月額5万円になっていますが、ここは多分問題ないと思うんですけど、その数字の違いを説明していただけるとありがたいということです。
以上です。
【原子力損害賠償紛争解決センター(野山室長)】 就労不能損害とか営業損害ですが、もちろん、きちんと証拠が出ればそこそこの対応をしているんだとは思いますが、前回も話題になったアルバイトによる収入とか、仮設店舗などによる収入があったときに、すぐ控除しようとするような問題、それから、やはり資料を十分集められない被害者の方が非常に多いのに、とにかく資料を要求して、資料がないとなかなか相対交渉に応じないようなこと、それから、ちょっと卑近な言い方ですけど、何かすきがあったらすぐ減額しようとするような態度が見られる、そういう問題があるんだろうと思います。
観光業につきましては、例えば、東京電力の当センターに対する主張書面で、個別の人のことが出てこない一般論の部分で、概略を読み上げてみてもいいんですが、例えば観光業ですね。国内対象4県、福島、茨城、栃木、群馬ですか。中間指針は、その対象4県以外の地域においては、本件事故後の観光客の減少について、本件事故との相当因果関係を原則として否定するものの、外国人観光客の予約キャンセルに限定して、例外的に相当因果関係を肯定しようとするものという主張があったり、外国人観光客に対する風評被害につきましては、本件事故当時、既に予約が成立していたもので、かつ平成23年5月末までに通常の解約率を上回る解約がなされたものに損害を限るというのが中間指針の内容である、こういう主張が出てきます。したがいまして、具体的に書いていないものはもう賠償の対象ではないんだというような内容でございまして、私どもは、そこの外国人観光客の平成23年6月以降の分とか、あるいは、国内観光業の対象4県以外の被害は、個別立証の問題であって、個別に検討して、原子力損害との相当因果関係があれば賠償の対象になるという審理態度なんですが、まずそういう一般論からして食い違っているというようなこともございます。山形県なども、なかなか関西からスキー・修学旅行に来てくれないなどという声もあるようですが、あのあたりもどうなっていくのか、ちょっと懸念しておるところです。
それから、3点目が総括基準ですね。まず中間指針の第2期の避難者慰謝料が、月額5万円があるという前提に立ちまして、資料1-4の1の要旨丸1ですが、それに加えて、「今後の生活の見通しへの不安に対する慰謝料」を一人目安が月額5万円。中間指針の5万円と、ここの要旨丸1に書いてある5万円を足しますと、結論として一人月額10万円になります。
それから、さらに、避難所等への避難をされている方、双葉町の方が埼玉県の高校の避難所になお避難されている方が相当数おられるようですが、このような方々については、中間指針の第2期の目安額一人5万円を、なお避難所生活を続けているというのは、やはり避難者の一部の方に特有の苦痛でございますから、2万円増額して7万円にする。そうすると、中間指針の第2期が7万円になり、さらに、丸1の5万円を足すと12万円になる。こういうことで、第1期と同額の提案を、現在、当センターでは行っておるところです。
【大塚委員】 今の最後のところは、今後の生活の見通しへの不安というのは、中間指針にも入ってはいたのかもしれませんけど、そこは見方がこういうことでよろしいかと思いますので、結構だと思いますけれども。分かりました。
【能見会長】 今の部分は、不安という要素も考慮はされていたけれども、戻れない生活が長期化することによって、不安の要素が予想以上に大きいということですね。
【大塚委員】 そういうことですね。
【能見会長】 ほかに何かご質問はございますか。
中島委員、どうぞ。
【中島委員】 今までの審理過程を通じて、この審査会、あるいは中間指針、それから、今後、避難区域の変更に伴って、これから議論される指針の策定にあたって、何か解決センターのほうから審査会に対して希望される、あるいは、困っておられるようなことはございませんでしょうか。
【原子力損害賠償紛争解決センター(野山室長)】 私ども、必ず何名かが毎回傍聴に来ていまして、審理の動向を見て、それに基づいて、何か当センターとしても検討することがないかということは、日々チェックしておるところです。
今ちょっと気になる点をセンターとしてまとめようとして、主要な仲介委員の方々とか総括委員の方々にいろいろ意見を聞いておるところなんですが。ですから、それがまとまった段階で、できれば意見を聞いてほしいということはございます。何が話題に上っているかということだけをちょっと申し上げておきますと、なぜ避難区域の再設定がされるタイミングで、いろんなものの終期その他の見直しの議論が始まらないといけないのかというところがちょっとよく分からないという声などがございます。
と言いますのは、私どもが中間指針を読んでいますと、解除後相当期間賠償するというような記述があったところがあろうかと思いますが、そのときのイメージというのは、解除イコール、除染の必要も何もなく、解除されたら直ちに全員が帰還できるという、そういうイメージで昨年の8月の中間指針は読めるわけです。しかしながら、その後の事態の推移は、緊急時避難準備区域の解除もそうでしたけど、解除イコール帰還ではない。解除イコール帰還計画の立案開始なわけですね。そうしますと、それで、前々回でしたか、内閣官房の方の説明を聞きましても、やはり今回も区域の再編成イコール計画の見直しの開始であると。そうすると、解除準備区域一つとっても、これから除染とかライフラインの復旧を行って、できるだけ速やかに帰還を促すということですけど、これ、多分、被害者の方々から見ると、計画がつくられても、除染が成功した実績というのは、まだ我が国には存在しないわけですから、その計画のとおり除染が進むのかどうかも分からないということで、やはりいつ帰れるのか分からない不安は続きますし、それから、例えば、多くの方が借上げ住宅に居住して、家賃負担なしで居住しておられますが、その制度が避難が必要な期間ずっと続くという保証もないような状況で、そういうところも不安に思われている。そういう中で、今後の生活に対する不安があまり変わらないのにというか、被害者から見たら、平成24年4月に区域が再設定されても、何かが明るくなるかというと、ほとんど明るくならないのではないかと思われるのに、何でこういう時期に見直しが始まるんだろうかという、まず非常に素朴な疑問が結構上がっております。
それから、内閣官房の避難区域の再編成というのは、帰還イコール自宅に戻れることだけなわけですが、損害賠償の議論をするときに、帰還イコール自宅に戻れることという考え方をベースに進めていいのだろうかと。これについては、反対論が圧倒的に多数でございまして、帰還イコール自宅に戻れることに加えて収入が確保できて、生活が維持できることという考え方が多数でございます。自宅に帰れただけでも、例えば農地が使えない、それから、自営業者の方ですと、従来の商圏の方々は帰還困難区域に多数いて、売上が上がらない。あるいは、帰還困難区域に分断されて、例えば浜通りの南部に営業の拠点があったけど、浜通りの北部まで従来の商圏であったという事業者は、浜通りの北部が事実上商圏として使えない。常磐道回復なんていうことも、内閣官房の資料には書いていましたけど、一体いつ回復するのか分からない。常磐線はなかなか復旧しないだろう。こういう状態の中で、生活基盤全般の復旧ということをしっかり見据えないと、避難区域の再編成の考え方にそのまま乗ったのでは危ないのではないかみたいなことが言われています。それから、中間指針で述べられたいろんな終期のことが論点に挙がっていますけれども、原発の近くのエリアの全域が、もとのとおり復旧できるのではないことが確定した。原発を中心とする一定のエリアは長期間帰れない。そういうことによる、地域が変貌したことによって、皆さんの生活基盤も毀損されている。そういうことについて、今後申立てとしてそういう損害が予想されてくるのではないか、そのあたりをどう考えるのかというようなことですね。
全般的に言えますのは、避難中というのは、損害項目のパターン化が容易だったと思うんですけど、帰還が前提になりますと、それぞれの方の個別性がものすごく強くなってくるのに、あんまり安易に数値基準をつくりますと、先ほども申し上げましたが、東京電力は、書かれたこと以上のことは賠償しようとしないという傾向が非常に強いので、指針として成功するのかどうか、我々の負担が非常にまた増えるだけで、大変なことになるのではないか、そんなことがいろいろ言われております。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
今おっしゃったことは、この後、今後の状況のもとでどういう賠償をすべきなのかというところで、審査会としては議論したいと考えておるところでございます。なかなか一般的な指針と、個別性が強いものというのを、どういうふうに調和と言うと変ですけれども、指針の中で各部分と、それから、個別性が強いところは、もしかするとADR、そちらのほうで対応していただく部分が多いのではないかというふうに思いますけれども、審査会としては、とにかく全体としてうまく機能するように考えていきたいと思っております。
今のことともちょっと関係するのかもしれませんが、この総括基準の点について、1点だけ私のほうから質問したいのは、中身のよし悪しという問題ではなくて、この2番目の、精神的損害の増額事由ですけれども、これはどの程度そういうのが申立ての中であるのか、あるいは予想されているのかということについて、もし現在のご感触があれば、教えていただければと思います。
【原子力損害賠償紛争解決センター(野山室長)】 申立ての状況ということで言いますと、被害者の方は、被害感情が非常に強いので、まず中間指針の10万円とか12万円というのをベースにしないで、おれたちの被害はもっともっとこんなに大きいんだということで、非常に大きな額を請求してくるという傾向がございます。
それから、各地で原発被害者弁護団などが結成されておられますが、そういう弁護団などは、現在、月額35万円を基礎的な金額とすべきだというようなことが言われております。私どもは、あくまで指針は10万、12万がベースですので、10万、12万をベースに、そういう非常に高額な主張をなさる方に、どのような事情があったんですかということを丁寧に調べながら、ここに列挙されたような事由に当てはまるか、それから、ここに列挙された事由の最後には、バスケット条項といたしまして、避難生活への適応が困難な客観的事情であって、上記の事情と同程度以上の困難さがあるものがあったことということで、やはり大変なことは全部拾えるようにしておりますので、そのような大変な事情があれば、それぞれの事情に応じて、10万円、12万円を増額していく、あるいは、別途一時金を提案していく、こういうことでございます。
実例といたしましては、例えば、身体障害のある方がおられて、従前の自宅は、自分の身体障害に適応するように、いろいろなバリアフリー仕様をして、自宅で暮らす分には通常の方とほぼ同様の生活ができたんですが、今回、強制的に避難ということになり、避難所ではバリアフリー仕様もなければということで、やっぱり普通の人よりものすごく大変だったと、例えば、そういうようなご事情の方に、通常の額より増額した慰謝料提案をする、こういうような事例がございます。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、どうもありがとうございました。今のご報告、それから、いろんなご意見にわたりまして、また参考にしたいと思います。よろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。
それでは、次の議題、第2の議題として、指針策定に向けた論点についてということでございます。前回も既にある程度ご議論いただいたわけでございますが、それを踏まえまして、さらに議論していただくべき論点を整理いたしました、そういう資料を用意いたしましたので、それに基づいて議論をいただければと思います。
それでは、この資料については、事務局のほうから説明をいたしますので。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、資料2を説明させていただきます。本資料は、前回の資料の論点部分をさらにブレークダウンしたものでございます。
まず1でございますが、政府による避難等の指示等に係る損害関係ということで、避難費用及び精神的損害についてということで、前回2つの項目だったのを、1つにまとめてございますが、まず旧緊急時避難準備区域の場合ということでございます。これにつきましては、前回、原子力被災者支援チームから説明がございまして、その資料を先ほどもう一度お配りしておりますが、緊急時避難準備区域の解除後の状況でございます。昨年の9月30日に解除されまして、その後どうするかということでございます。中間指針では、避難指示等の解除等から相当期間経過後に生じた避難費用は、特段の事情がある場合を除き、賠償の対象にならないということで、その「相当期間」をいつまでとするかということが問題になるわけでございます。
それで、1のところでございますが、具体的に何月までとするのかという話、それから、「また」以下のところに書いてございますが、その際、旧緊急時避難準備区域、複数の市町村にまたがってございますが、同じ日に指定されて、同じ日に解除されております。さらに、原子力被災者支援チームからは、インフラの復旧状況も、大体3月末ごろにはおおむね復旧する見込みという説明資料が前回提出されてございます。そういう中で、解除後の相当期間も区域の中で同様にするのか、それとも、帰還に向けた取組状況等に応じて、市町村ごとに異なる期間とするのかという問題でございます。括弧内で確認のため書いてございますが、楢葉町につきましては、まず帰還が求められていないというのもございます。町域のほとんどが避難指示区域である等の特別の事情があることから、他の市町村とは異なる期間とするかということでいいかという確認でございます。
それから、2つ目でございますが、これは前々回の審査会で市町村からヒアリングをした際に、複数の市町村から出てございましたが、「解除後相当期間」内、早期に帰還した避難者についてどう考えるかということでございます。相当期間内に避難住民が帰還した場合には、避難を続けるとは言えませんので、帰還以降は避難費用及び避難に伴う精神的損害の賠償対象にはならないと考えざるを得ないわけでございますが、これでいいのか。一方、帰還時点から相当期間経過までの間は、これは区域の人口もまだ少なく、生活環境も整備の途上であるなどの問題がございます。そういう中で、別途何らかの賠償を認めることが考えられるかというのが、2つ目の論点でございます。
それから、イのほうに行きますが、終期までの損害額の算定方法ということで、まず1番目でございますが、中間指針では、避難費用のうち通常の範囲の生活費増加分は、精神的損害と合算するということで金額を示してございました。括弧内でございますが、特に高額の生活費増加分については、別途、実費を賠償対象とするというふうに記されてございます。そういうものについて、引き続き、そういう考え方でよいかという話と、その他の避難費用、これは宿泊費、移動費等でございますが、引き続き、必要かつ合理的な範囲の実費ということで、中間指針どおりとすることでよいかというのが、まず1つ目でございます。
それから、2つ目としまして、この緊急時避難準備区域について、終期までの具体的な精神的損害の額をどのように考えるかということでございます。中間指針では、先ほどもございましたが、第1期は月額10万円、第2期は月額5万円という目安が示されているわけでございますが、現在、東京電力は、事故後1年間は10万円ということで、実際賠償が行われているものでございます。
以上が、旧緊急時避難準備区域に関してでございます。
それから、丸2といたしまして、今度は避難指示区域の場合ということで、現時点でも避難指示が続いている区域でございますが、これにつきまして、第3期の損害額の算定方法はどうなるかということでございます。これも、これまでに説明をさせていただきましたが、本年3月末を目途に、現行の警戒区域、計画的避難区域を見直しまして、「避難指示解除準備区域」、「居住制限区域」、「帰還困難区域」、この3つに分けられるという基本方針が、昨年の末に原子力災害対策本部の決定で示されてございます。中間指針では、精神的損害の「第2期」といたしまして、事故後1年ということでございましたが、これは状況に応じて見直すということになっていましたが、こういった避難区域の見直しが3月末に行われることから、そこまで第2期を延長して、区域の見直しにあわせて、「第3期」の精神的損害を考えてはどうかということで、それでよろしいかというのが、第1点でございます。
それから、2つ目の論点でございますが、これは先ほどの旧緊急時避難準備区域と同じでございますが、生活費の増加分について、中間指針と同じような考え方でよいか。また、避難費用についても、引き続き、実費ということでよいかどうかということでございます。
それから、3つ目でございますが、これは具体的な金額を、それぞれの区域についてどのように考えるかということでございます。この際、中間指針では、これも先ほど話題になりましたが、精神的苦痛の要素として、「引き続き自宅以外での不便な生活を余儀なくされていることによる精神的苦痛」、それから、「いつ自宅に戻れるか分からないという不安な状態が続くことによる精神的苦痛」というのを中心に考えてございましたが、ここのところが変わってくるのかどうなのかということが、3つ目の論点でございます。
それから、4つ目でございますが、これは現在の第2期の精神的損害は月額で示されておりますが、それで引き続きよろしいのかという論点でございます。「帰還困難区域」については、少なくとも5年間は帰還できないという考え方でございますので、例えば、区域設定後5年間の分までは、一括した賠償も可能とするかどうか。あるいは、5年を超える分も含めて一括した賠償も可能とできるのか。さらに、「居住制限区域」についても、一定の帰還困難時期が想定できるようであれば、一定期間分の一括賠償を可能とするかどうかという論点がございます。
続きまして、終期についてでございますが、これは、今の帰還困難区域と居住制限区域につきましては、この後、こちらの避難指示解除準備区域に移行してから解除ということでございますので、具体的終期は、避難指示解除準備区域についてのを考えればいいということでございますが、これにつきまして、帰還ができる条件が整うと見込まれるまでの期間、これをどう考えるかということでございますが、ここにつきましても、先ほどちょっと議論にございましたが、旧緊急時避難準備区域につきましては、まず区域の解除がございまして、その後、インフラの整備とか除染をやるという計画でございましたが、昨年末に示された基本的考え方でございますと、この避難指示解除準備区域については、解除前にインフラの整備、除染等、帰還の準備を行って、その後で解除するという考え方になってございます。その解除後に、ここに平均的・一般的な人を基準として実際に帰還が可能となるまでの期間として、「解除後相当期間」をどういうふうに考えるかということでございます。現時点で一律に示すのか、それとも、個々の地域ごとに状況を見ながら検討の上で示すのかという論点でございます。
それから、2つ目の論点でございますが、これも旧緊急時避難準備区域と共通の問題でございますが、この「相当期間」内に避難住民が早い段階で帰還した場合、その住民に対する賠償の扱いというのが、先ほどの旧緊急時避難準備区域の場合と同様に考えてよいかどうかという問題でございます。
それから、3つ目の論点といたしまして、避難者が帰還をせずに移住を希望する場合、移住した場合をどう扱うかという問題でございます。これを、帰還を前提として避難を継続する場合と比べて、損害の額であるとか、あるいは支払いの方法等に違いがあるのかどうかということでございます。括弧内では、避難の終期として、移住を決断した時点を避難の終期とすることも考えられますが、そもそも避難なのか移住なのかというのを客観的に認定することができるかどうかという問題もございます。
続きまして、3つ目は、特定避難勧奨地点についてでございます。これも前の2つと重なるところがございますが、まず終期につきまして、この特定避難勧奨地点も、年末の避難区域の見直しの考え方の中では、今後、解除に向けた検討を開始するとされてございますので、ここが解除された後の「相当期間」を具体的にどうするのかというのが、1つ目でございます。
2つ目は、その「相当期間」内で早目に帰った場合、どうなるかという同様の問題。
それから、具体的な損害額につきましてが、イのところでございます。
以上が、避難費用、それから、精神的損害に係るものでございます。
それから、3ページの下のところから、営業損害の関係になります。営業損害でございますが、これについて、中間指針ではどのように書いてございますかというと、お手元の中間指針でございますと、23ページになりますが、損害の終期は、基本的には、対象者が従来と同じ又は同等の営業活動を営むことが可能となった日とすることが合理的であるが、本件事故により生じた減収分がある期間を含め、どの時期までを賠償の対象とするかについては、現時点ではすべてを示すことは困難であるため、改めて検討することとするということで、中間指針で宿題となっていたものでございます。それにつきまして、論点ペーパーの資料の4ページ目に戻りますが、具体的に何年と示すことができるのかどうかというのが、1つ目の論点でございます。
示す場合の話でございますが、2つ目、3つ目に書いてございますが、2つ目のところは、これは中間指針策定の前にも一度ご説明をさせていただきましたが、土地収用における損失補償基準を参考にすることも考えられますが、土地収用と本件事故との違いというのが当然あるわけでございまして、そこをどういうふうに考えるかという論点でございます。
それから、3つ目の「また」のところは、終期を仮に具体的に示す場合でも、事業所の移転、転業、あるいは廃業・倒産、それぞれによって、そういうのは変わってくるものなのか、あるいは、帰還して従前の営業を再開した場合に生じる損害というのもございます。こういったものを、それぞれ終期を別々に考えるのかどうかという問題もございます。
それから、営業損害に関連しまして、大きな2つ目の点は、イでございますが、転業・転職、臨時の営業・就労からの利益の扱いということでございます。これも先ほど野山室長からのお話にございましたが、この転業・転職、臨時の営業・就労等で得た利益を損害額から控除するのか、あるいは、一定の場合は「特別な努力」を行ったものとして、控除をしなくてよいと考えるかという問題でございます。
この場合でも、転業・転職、あるいは臨時の営業・就労、そういったものを区別するのか。あるいは、もとの営業に戻って再開した場合、これも扱いは別なのか、同じなのかという問題が、2つ目の論点に書いてございます。
それから、4ページの下からは、就労不能等に伴う損害の終期ということで、これも基本的には営業損害と同じ問題でございます。大きな論点として、まず終期についてというのがございまして、1のところで、具体的に期間を示せるのかという話。
それから、就労不能の場合は、先ほどの損失補償基準に加えまして、雇用保険制度も参考になると思われますが、これらにつきましても、当然のことながら、今回の不法行為による損害と異なるわけでございまして、そこをどういうふうに考えるかということでございます。
さらに、就労不能につきましては、営業損害の場合、いろんな営業形態というのがあるわけでございますが、同じく、いろいろな雇用形態、これによって違って、異なる終期を考えるのかどうかという問題がございます。
大きな2つ目の論点として、これも、転職、臨時の就労からの収入の扱いということで、損害額からこれらを控除するのか、それとも、一定の場合は「特別な努力」を行ったものとして、控除しなくてよいと考えるかという大きな問題がございます。
この控除の有無の検討にあたりましても、その下にございますが、転職と臨時の就労を区別するかとか、前の就労に戻った場合、これも区別するのかどうかという問題がございます。
それから、4つ目でございますが、財物価値の喪失又は減少についてということで、論点を3つ挙げさせていただいております。
まず1つ目といたしましては、価値の変動する不動産に関して、実際に売買できなくても請求時点で客観的に価値が下落していれば、請求時点の価値減少分が賠償の対象と考えてよいのかどうか。
2つ目でございますが、そうやって賠償した場合、賠償後に除染等によって当該不動産の価値が回復した場合、その価値回復分を精算する必要はないのかという問題。
さらに、3つ目でございますが、避難指示区域ごとに、当該区域内の不動産を、一律に一定の減価率を推認するようなことが可能かどうか。あるいは、暫定的に避難指示区域ごとに一律に一定の減価率を推認した上で、後日の事情、これは括弧の中に書いてございますが、除染等による価値の回復であるとか、これも同じ区域の中でも様々な線量の場所があるわけでございますが、それによっては精算する余地を残すような取扱いが可能かどうかというのが、3つ目の論点でございます。
それから、最後の6ページになりますが、これは自主的避難に係る損害関係ということでございます。
1つ目の大きな論点といたしまして、12月5日に出ました中間指針追補で精神的損害の賠償対象とされた者につきまして、これは12月末までの損害を中間指針追補で示してございましたので、本年1月以降の損害の有無をどう考えるか。1月以降、ステップ2の終了でございますとか、あるいは、こういった区域の見直しが進んでいる中で、どう考えていくかという問題でございます。
それから、2つ目でございますが、これまでに説明してきました旧緊急時避難準備区域から特定避難勧奨地点まで、それぞれ帰還後に、その住民の帰還場所によっては、同じような自主的避難等に係る損害、こういうものが認められるのかどうかという点がございます。
それで、3のところは、2つをまとめてございますが、それぞれについて、賠償の対象とする範囲を指針で示すことができるのかどうかということでございます。例えば、線量等で一定の基準を設けることができるのか。あるいは、線量の推移なども踏まえて、追って検討することにするのか。あるいは、線量の状況等に応じて当事者同士の協議等により個別具体的に判断することとするかというようなことが考えられますが、ご検討いただきたいと思います。
それから、最後でございますが、除染等に係る損害。これにつきましては、前回の審査会で、環境省から、特措法、除染全般の状況について説明を受けたところでございますが、ここに、1つ目の論点でございます。既に特措法の運用の中で国の予算がございまして、被災者への手当が順次進められていることから、特措法との関係で本審査会が整理すべき事項は生じていないと考えてよいのかどうか。
それから、2つ目でございますが、特措法の運用、あるいは、状況にかかわらず、必要かつ合理的な範囲の除染等を行うことに伴って必然的に生じた損害、こういったものは、除染等に伴う財物損壊や営業損害を含め、賠償の対象と考えてよいかということでございます。
以上、論点を説明させていただきました。
【能見会長】 それでは、論点を整理したこの資料に基づきまして、ご議論いただきたいと思いますが、論点は幾つかに分かれておりますので、議論しやすさ、あるいは、緊急性、重要性、いろんなことを考えますと、最初の1ページ目から、政府の避難等の指示に係る損害関係のうち、3ページの営業損害の終期の前までのところ、これを1つのまとまりとし、それから、営業損害と就労不能に伴う損害というのは、類似の問題点がありますので、これを2番目の大きな問題とし、財物価値の喪失・減少の問題を3番目、あと、論点はもちろん違いますので、自主避難を1つ、それから、汚染除去に係る損害というのを最後の問題というふうに分けて、順次議論をしていただければと思います。
それでは、最初に、政府による避難等の指示に係る損害ということで、避難費用、それから精神的な損害等に関係する問題点についてのご議論をお願いできればと思います。いかがでしょうか。順番にやっていくのがよろしいかと思いますので。ある程度共通するもの、全く同じではありませんけれども、似たような問題が後のほうに出てきたりしていますけれども、最初に、この旧緊急時避難準備区域の場合の終期というんでしょうか、解除はされているわけですが、その後、「相当期間」については、まだ審査会として考え方を示していない。しかし、場所について、どういう形で考え方を示すのかという点についての問題が最初にございます。これについて、もう少し踏み込んで議論いただければと思いますが、いかがでしょうか。
大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 2つほど議論があったと思うんですけれども、1つは、各自治体に関して、インフラの整備がなされる時期が違うので、それぞれ分けるべきだというお考えと、それから、もう一つの考え方としては、わりと遅いほうの時期に合わせて、自治体ごとに特に区別をせずに「相当期間」というのを決めたらどうかという、おそらくその2つぐらいの考え方があったかなと思っていまして、そこは少し考え方は分かれるかもしれませんが、遅い時期にすれば、全部同じにしても、あまり実害はないのかなというふうには思っておりました。
【能見会長】 基本的な問題として、今、大塚委員の言われたように、自治体の間で相当な期間について差を設けないという考え方と、いや、それぞれ事情が違うんだから、差があって当然だという考え方、そこが1つの大きな分かれ道。ただ、大塚委員が言われたように、一番遅いほうに合わせれば、実際上同じ時期に設定できるということで、そういう考え方も、3番目の考え方として十分あり得るんだろうという気がいたしますね。
これはなかなか、ちょっとコメントとして申しわけございませんけど、損害賠償の問題としては難しい問題を提起していると思っておりますけれども。本来、この審査会というのは、損害の賠償についての審査会なわけですが、一律に市町村の間でできるだけ差を設けないでほしいという一方での考え方というのもあり得るわけですが、多少政策的な要素がそこにはどうしても入ってきて、賠償の問題と政策の問題というのは、やっぱり本来違う。審査会は、政策を無視するわけではないけれども、賠償を中心に考えるので、そういう兼ね合いをどうしたらいいかということが、大きな問題として背後に1つあると思います。
ただ、同じように扱うべきだという考え方がおかしいというわけではなくて、賠償の問題としても、この審査会は、個々の個別の賠償を一々決めていくというよりは、大多数の人たちに当てはまる基準というのを定めていますので、そういう意味では、公平性とか、あるいは同じような基準で一律に考えていくということ自体、そんなにおかしなわけではないわけですね。しかし、いずれにせよ、根本の問題としては、賠償であれば、本来個別でばらばらでいいんだけれども、どうするかということが背後にはあると思います。ちょっとコメントで、申しわけございませんが。ほかにご意見がありましたら。
田中委員。
【田中委員】 今の問題に関係するんですが、今、内閣府のほうは、先ほどの説明でも、ここにも書いてありますが、2ページの下から、インフラ整備、除染等の帰還への準備が一定程度終了してから解除されるということですが、市町村によって、インフラの回復というのはどこまでをいうのか、除染をどこまでいうのかというのは、ものすごく差が出てくると思うんですね。
川内村なんかは、3月に帰るということを言っているんですが、海岸のほうとか、そういうところの場合は、インフラが相当ひどい状況になっているところもあって、その辺を、今、大塚委員がおっしゃいましたが、最後のほうに合わせればということですが、ここはもうひょっとしたら何年も差が出るかもしれないという気がするんですが、そのあたりをどう判断するかというのは非常に難しいのではないかと思うんですが。
【能見会長】 今のは、特に避難指示解除準備区域の場合ですね。
【田中委員】 はい。
【能見会長】 今、先に、旧緊急時避難準備区域のほうの話を少ししていたわけですけれども、しかし、ベースに同じような問題が背後にあることは、おっしゃるとおりだと思います。両方を兼ねてご議論いただいて、もちろん結構ですから。
大塚委員、何かございますか。
【大塚委員】 田中委員がおっしゃるような懸念というのは、もちろんあると思うんですけれど、旧緊急時避難準備区域については、広野町とかが、学校が最後に開き始めるのが9月ぐらいだと思うんですけれども、多分、ほかのところはもう全部学校は始まっていると思いますので、その辺に合わせれば問題が少ないのではないかという事情はどうもあるようです。もちろん学校だけではないので、いろんなことを考えなくてはいけないと思いますけれども。
【能見会長】 どうぞ。
【高橋委員】 私も基本的に大塚委員の意見に賛成ですが。
ただ、先ほどの説明ですと、インフラの復旧そのものは、そんなに大きな差がないというご説明をいただいたような気もします。この地域については。そこはいかがなのでしょうか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 これはあくまでも資料ベースでございますが、前回の原子力被災者支援チームからの資料2でございますが、これの4ページのところに、緊急時避難準備区域におけるインフラ復旧は、本年3月末までにおおむね完了する見通しということで、緊急時避難準備区域全体の話について、このような説明が前回あったということでございます。
【能見会長】 よろしいですか。
【高橋委員】 そういうことでありますと、基本的には、一律に終期を決める。終期にするということはあり得るのではないかと思います。その場合には、大塚委員がおっしゃったように、学校の話もあるだろうと思いますので、8月末というのが1つの考え方になると、私は思います。
【田中委員】 私も、これであれば異議はありません。それでいいと思います。
【能見会長】 ほかに。中島委員。
【中島委員】 インフラ整備は、ある程度政策的に一律に進めることはできるかもしれないんですが、問題は、除染の効果が上がるかどうかについては、地形の影響が大きいと思いますので、そういう意味では、地形の違いを考えますと、一律というよりは、やはり市町村ごとの状況を確認した上でのほうがいいように思うんですけれども。
【能見会長】 ほかに。野村委員。
【野村委員】 基本的な考え方は、多分、客観的に見て帰れる状況になったということでよいと思います。その時期を、すべての地域について、後ろのほうに合わせるのかという問題があると思います。今の状況では、大体インフラの整備はほぼ同じようなペースで進んでいるということなので、どこかで合わせるということができるように思います。具体的には、除染のことを除けば、遅いところに合わせるということでいいのかと思います。そして、指針としては、やっぱり基本的な考え方を示したほうがいいんのではないかと考えています。また、いきなり8月という結論が出てくるのではなく、なぜ8月なのかということを説明したほうがいいのではないかということも考えています。
それから、もう一つは、その後、個々の避難者(家族)が実際に帰る時期は、ばらばらになる可能性があると思います。そうすると、そのばらばらになったことをどう考えるのかというのが多分あると思います。そうすると、たとえば、今述べた帰還が可能になった時期から2カ月というように、避難しているところから帰るために必要な期間として、ある程度一律に扱うということも必要なのかなと思います。
【能見会長】 今、現実にはおそらくばらばらに戻ってくるということになるんでしょうけれども、そういう場合の、この審査会との関係で言うと、賠償の仕方ですよね。まだ相当な期間内で戻らない人の場合には、避難費用の賠償というのになるし、戻った人は、次の問題にも入ってきますけれども、早く戻った人については、避難の賠償ではないけれど、何か別な形の賠償というのがあり得るのかという問題とも関係する。
それから、これは少し違う論点に入りますけど、相当な期間というのが設定されて、先ほど言いましたように、ここでの指針というのは、一々個別の事情を考慮しないで、特に慰謝料については一律に賠償しますから、そういう一律の賠償の問題というのは、相当な期間で終わるかもしれないけれども、相当期間後であっても、個別の事情によって、やはりその人については生活が困難であるというようなことがあると、それはまた賠償の対象にはなり得るので、そういうふうに対応すれば、どこかで相当な期間を設けると。すべて同じでいいかどうかは、もうちょっと詰めて議論したいと思いますけれども、どこかで相当な期間というのを設けるということは十分考えられることですね。
それから、相当な期間といっても、今のように、個別の賠償の問題とか、あるいは、中島委員が心配された汚染の問題というのは、これは自主避難の問題とも少し関係するかもしれませんが、それなりに汚染の状況が――これは反対の委員もおられますけれども――それなりに残っているときには、自主避難についての賠償の仕方の考え方を当てはめるということも考えられ、そういう形で、相当な期間の問題とは別個に扱うということもあるかもしれません。いろんな問題と関連しているので、どういうふうに処理したらいいかについては、慎重に検討したらと思いますが。
どうぞ、中島委員。
【中島委員】 今、会長のおっしゃられたような留保がつくということであれば、大塚委員や高橋委員のおっしゃられるように、まず8月末あたりで切って、しかし、事後的な修正の余地を残すということでもよろしいように思います。
【能見会長】 今日ここですぐ結論を出すわけではないので、慎重にさらにご議論いただきたいと思いますけれども、少なくとも今日はいろいろフリーといいますか、あっちへ飛んだりこっちへ飛んだり、いろんなことを考慮しながら議論していただける自由な時間ですので、関連することも含めて、ご議論いただければと思います。
鎌田委員。
【鎌田委員】 自由にものを考えていいということなので、少し発言させてください。基本的に、先ほども議論になったところではありますけれども、ここで指針によって一定の基準を出しても、それは大量な被害を迅速に救済するための一応の指針であって、最終的には、個別の事情に応じて、個別の損害認定の余地を認めていくことになる。そうだとすると、ここで指針で賠償を認めていくときの基本的な考え方をはっきりさせておいたほうが、個々の事案で指針から外れているのか外れていないのか、例外的な救済を認めるのか、ということを考える上で、参考になると思うんです。
ここでの議論で、解除後相当期間は賠償するのはなぜなのかというところの考え方に多様なものが含まれているのではないかという印象を持っているといいますか、私自身の中で十分整理がついていないので、その辺についてもご意見を伺えればと思います。
もともとの指針のときに、解除後相当期間というふうなことを、終期に関連して説示したのは、推測するに、といいますか、そのときの私の理解では、避難指示が解除されたから帰れと言われたって、そんなに簡単に帰れるものではないから、実際に帰れるようになるとか、あるいは、もう避難を心配しなくて生活できるようになる、もとの生活に戻るまでには相当の期間がかかる。あるいは、避難先から帰ってくるには、相当な期間が必然的に必要なんだから、解除後相当期間は賠償の範囲に含めていこうと、こういう考え方だったと思うんです。
そうだとすると、今ここで議論されている中で、これから通常の生活に戻りなさいと言われても、インフラが未整備ではないですかとか、あるいは、子どもがいるのに学校が開いていないじゃないですかという、こういうことだと、解除されたからすぐもとに生活にというふうにはならないので、普通の生活に戻れるまでの期間を、インフラ整備などと照らし合わせながら考えていくというのは、1つのありうる考え方だと思うんです。
他方で、しかし、そうはいっても、避難している人もいれば、避難していない人もいるとか、早く帰った人もいれば、遅く帰った人もいて、こういう人の間にはなるべく差異をつけないほうがいいというふうな考え方も一方であるとすると、必ずしも実損的な考え方だけではなくて、やっぱりある程度の危険、不安、あるいは大変な不便というのがあって、それから逃げるためにいわば自主的避難行動をする人もいれば、その不安を耐え忍んで、そこで生活をする人もいて、両方とも等しく一定の損害を受けているという観点から、損害の賠償をするということも、ある程度考えなければならない。自主的避難者の場合には、そういう考え方に近い考え方をとっていたと思うんですけれども、緊急時避難準備区域が解除された後は、そういうタイプのものに非常に近づいていくんだと考えると、平穏な生活の継続に対する不安とか不便とかいうものを中心にして、それがどの辺で解消されていくんだろうかという観点で、相当期間というのを考えていくことにもなったりするのではないかと思うのです。そうなると、どこまでを損害賠償の内容として面倒を見るのかということとも連動してきて、かえって議論を錯綜させることになるのかもしれませんけれども、そもそもこの相当期間というのはどういう考え方に基づいて、どういう人に対して相当期間の賠償を与えていくのかということの、基本的なところを整理する必要があるように感じました。まだ印象論でございますので、その点は、私自身もまたもっと詰めて考えていきたいと思います。
【能見会長】 ただいまも重要なご指摘があったと思いますけれども、今の点について、何かほかの委員でご意見があれば。
大塚委員。
【大塚委員】 非常に重要なご指摘だったと思いますけれども、私自身も鎌田先生のお考えと似ていて、解除後相当期間というのは、今までは各避難された方が帰ってくるまで、すぐに帰ってきてくださいというわけにはいかないので、一定の期間が要るだろうという趣旨だったと思いますし、今回は特にインフラの整備という要素がそれに追加されているというふうに理解しています。
除染のことも関係しているんですけれど、除染のことは、もし20ミリシーベルト未満ということであれば、むしろ自主的避難者と同じ扱いとして賠償するかどうかということを別に考えていいのではないかというふうに私は思っています。ですから、私自身の考えは、帰るまでの一定の期間がかかるという、その人のご事情と、それから、インフラ整備の2点ではないかと思っています。
もう一つ、滞在者との関係の問題が先ほどから出てきていて、そちらのほうも議論しなくてはいけないと思っていますが、もしそれを認めるとすると、生活の不便を滞在していても受けているということで、賠償するということになるかと思いますが、その場合に、自主的避難者等のところで議論した、滞在者の放射線リスクとか放射線との関係での不安での滞在者の賠償との関係をちょっと考えなくてはいけなくなります。それとは違う、生活の不便だけの賠償というのを考えるということになるとすると、この区域から外に避難された方と、滞在した人の額を同じにするというような考え方は、今回とりにくいか、自主避難等の賠償も含めて全体として考えなくてはいけないかとかいうことを検討しなくてはいけないかと思いましたけれども、基本的には鎌田先生のおっしゃるとおりだと私も思っています。
【能見会長】 議論がどんどん広がって、当然広がっていていいわけですけれども、広がってきていますので、ちょっと整理させていただきますと、緊急時避難準備区域について言えば、指示が解除されて、しかし、すぐには戻れないだろうから、その分の避難中の賠償のという問題がやっぱり残るだろうという、先ほどから議論している相当な期間が問題ですけど、その基礎にある考え方というのをもうちょっと明らかにしたほうがいいというのが、先ほど鎌田委員のご意見だったと思います。
大塚委員からは、その問題にももちろん関連しての話ですが、ただ、今までの議論の中に出てこなかった問題が入ったのは、避難していて早く戻った人と、それから、すぐには戻らなかった人の間の扱いを同じようにするのかどうかという問題と同時に、緊急時避難準備区域なので、ずっと最初から残っておられた方がいて、避難して早く戻ってきた人について一定の賠償をするのであれば、最初からずっとおられた方についての同じような賠償の問題が生じるのではないかという問題だったと思います。これはこれで、また検討しなくてはいけない問題だと思いますけれど、どういうところに議論が今進んだかということをちょっと整理させてもらいました。
高橋委員。
【高橋委員】 私は終期の問題は、センターのご紹介にもありましたけれども、さあ、解除されたからすぐ帰れというわけではなくて、必要な期間については、きちんと合理的な避難の期間として算定して、それは避難費用の支払いの対象にすべきであると思います。この考え方は、基本的には崩すべきではないのではないかなと思っています。確かにこれまでおられた方の例えば精神的な被害をどう考えるかということもあるかとは思います。しかしお聞きしますと、大分線量が低い地域もあるというお話もあったようでありまして、そういう意味では、全地域を対象にして、これまでと同じような形での不安ということをお払いすることで、これまでとの実務の整合性をどう考えるかという問題が多分あると思います。
また、私はむしろ避難というものがほんとうに帰還と区別できるのかという点に疑問をもちます。やはり一たん戻られても、場合によっては、旧の避難先のところに戻られたり、頻繁に往復されたり、いろいろなケースがあって、必ずしもそれを捕捉できる話ではないと思います。そういう捕捉可能性の点から言っても、行ったり来たりされるのは当然のことだと考えれば、そこは早く帰られた方のことは考えずに、指針として画一的に考えて、あとの特殊なケースは個別的な交渉に任せたほうがいいのではないかな、というふうに思っています。
【能見会長】 野村委員。
【野村委員】 先ほど期間を2つに分けて考えたほうがいいと申し上げたのですけれども、前半はインフラ整備の問題だと思うんですね。後半のほうは、被害者が帰るための準備の期間ということだと思うので、1カ月とか2カ月とか、比較的短い期間でいいと思います。その短い期間の中で、早く帰った人と遅く帰った人は、同じに扱うというほうがいいのではないか。つまり、2カ月なら2カ月と決めたら、1カ月目で戻ってきた人は、もう2カ月目に戻ってきた人も同じ金額になるというほうがいいのではないかと思っています。
【能見会長】 基本的には高橋委員のご意見と同じような考え方と。
なかなかこれも基本的な問題で、難しい問題を含んでいますけれども、もう少し明らかにしておきたい点は、なぜ相当な期間が必要なのかという点についての幾つかのご意見がありましたけれども、大体共通している1つは、やはり基本的なインフラというものが整備されなければ、幾ら解除されても戻れないので、そういう意味で、インフラの整備というものがやっぱり整って、戻ろうと思えば戻ってそれなりの生活ができるということが最低の条件であろうということです。
その際に、除染の状況の問題については、別途考えることも可能かもしれないし、一緒に考えるべきかもしれませんけれども、別途考えることもできるかもしれない。
あと、インフラというときに、さらに何を考えるか。公共施設とか、学校とか、病院とか、そういうものはインフラが整ったということで、そんな問題なく判断できるでしょうし、おそらく既にかなりそれは整っているんだと思いますけれども、それ以外のいろんな生活の基盤みたいなものはどうなのかというのはよくわからないところで、これはちょっと調査もしてもらいたいと思っていますけれども。買い物なんかにしても、商店だとか、生活物資を調達するところが近くに戻っていないと、やはり生活はそれなりに不便があるので。ただ、これは避難している人が戻ってきて、そこで商店を開くということですので、ちょっと堂々めぐりみたいなところはありますが、しかし、そういうものもインフラの中にはほんとうは入るのではないかという気がいたします。
他方で、そこから除外して考えて――これは私の個人的な意見ですけど、さっきの除染の問題は除外して、別途扱うべきだろうと思いますが、もう一つ、議論の中で出てきて、この間も市町村長のご意見の中で出てきたので、帰っても生活の基盤、就労の話かもしれませんが、これがないので、戻りたくても戻れないんだという話があって、これをどう考えるかというのは、1つの大きな問題だと思っています。
ただ、理論的に言うと、これは慰謝料等で扱うべき問題なのか、あるいは、就労不能だということで、就労不能の損害賠償の問題として正面から扱うべき問題なのかという論点があって、いずれにせよ、こういう点はどう考えたらいいかということがあるのかなという気がいたします。
ほかに、もし、少しずつ論点をずらしていってといいますか、今、緊急時避難準備区域の話をしていますけど、ちょっと途中を飛ばすことになるかもしれませんが、解除準備区域ですか、こちらは同じではないんだと思いますが、似たような問題があるので、そちらの議論との比較などをご議論いただいても結構でございます。
一応、旧緊急時避難準備区域の相当性については、もうちょっと詰めるとしても、ある程度ご意見は皆さん出されたということで、よろしいですか。
じゃ、この点は、さらに今のような議論を整理し、問題点を明確にして、もう一度議論していただくということにしたいと思います。
【大塚委員】 そうですね。そうすると、イのところは、もう終わったということですか。1ページのイのところ。
【能見会長】 いや、別に終わったということではなくて、関連するので、もしあとのほうの問題も一緒に議論したければどうぞということです。ですけど、今、まだ緊急時避難準備区域の問題についてすべて議論したわけではありませんので、今のアが終わって、イの問題があると思いますので、それについてご意見があればお願いします。
【大塚委員】 イについては、できるだけほんとうは生活費の増加は別にしたいという考え方が一方であると思うんですけれども、他方で、これを実費として完全に別立てにしてしまうのが、迅速な賠償という点からどうなのかという議論もありまして、それを考えると、必要かつ合理的な範囲の実費は、精神的損害とも一体にしつつ、それを超えるものは実費として賠償できるということは、以前から中間指針にあったんですけれども、その点をちょっと強調するような形でまとめてはどうかというふうに、この間の議論を踏まえて、私自身が考えているところでございます。
【能見会長】 これ、一応高額な生活費増加分はというふうに書いてありますけれど、何が高額かという、そこの解釈で、いろんな今までかかっていなかったような生活費というのが、額はそんな多くなくても、かかるようになったなんていうことがあれば、これは一般の慰謝料と一緒にして賠償する中には入っていないという考え方はできると思いますので、柔軟な対応をお願いしたいという気がしますね。
よろしいでしょうか。ほかに、この点について。どうぞ。
【田中委員】 ちょっと確認みたいなものですけれども、この緊急時避難準備区域というのは、もともと線量は低いんだけれども、事故がおさまっていないということで、ですから、まず現地にすぐに避難命令が出たときには、避難できる人は帰ってもいいけれども、子どもとか老人とか病人は避難していてくださいというような指示だったと思うんですね。ですから、これから3月末に指定されるであろう帰還準備区域と、対象となる人とか形が違ってくるような気がしますね。
だから、緊急時避難準備区域に関しては、もともと線量の問題で言えば、いわゆる現存被曝状況と同じ状況にあるわけですから、そこはちょっと別で、私はインフラだけが問題になるのかなというふうに先ほどちょっと理解したんですが。
【能見会長】 おそらく、これは争点の1つだと思いますけれども、そういう意味では、確かに緊急時避難準備区域自体は線量はそれほど多くないわけですが、おそらく自主避難の扱いとのバランスみたいなものなのではないかという気がいたします。ですから、そんなに高い線量ではないかもしれないけれども、20ミリシーベルト以下の線量のもとで自主避難の場合には賠償を認めるという扱いをしており、その扱いをここでも継続するかどうかという問題と関係するのではないでしょうか。
【田中委員】 前回ちょっと確認させていただいたと思うんだけれども、ここにおられる人たちは、前回の自主避難の8万円、40万円というのは適用されたというふうにお聞きしたんですけれども。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 緊急時避難準備区域は、自主的避難も賠償の対象となってございます。ただ、最初の8万円の分につきましては、4月22日までは、この緊急時避難準備区域は屋内退避区域でございましたので、そちらのほうで中間指針で10万円の賠償の対象になっていますので、その分は控除するという格好になります。
【田中委員】 ということは、自主避難と今の状況と同じという。
【能見会長】 今は同じですが、今後続けるかどうかという形で。
【田中委員】 特別にそこの地域とか。
【能見会長】 特別なのか、あるいは、自主避難についての扱いを同じ基準ですれば、ここも同じような扱いは続くということ。
【田中委員】 それは、後の議論との。
【能見会長】 ええ、後の議論との関係ですね。
【田中委員】 わかりました。
【能見会長】 それでは、旧緊急時避難準備区域についての問題をひとまず終えまして、避難指示区域の場合についてのご議論、いかがでしょうか。
これもいろいろ問題点が多いのですが、第2期の延長という考え方を、区域の見直しが行われる4月以降は第3期としていいかということについて、これは既に前回もある程度議論されて、大体共通のご了解があって、それでいいということだったと思います。
第2期も延長がありますけど、そこでの賠償の仕方と、それから、第3期というふうに4月以降をした場合の賠償の仕方。第3期というのは、新たに3つに区域が分かれますので、そういうものについてどういう賠償をするのかという問題ですね。これはさらに月額でいくのか、あるいは、特に帰還困難区域などに関して言いますと、5年は帰れないということが明らかだと。おそらくといいますか、相当な期間さらに帰れないということもあるので、そういうところについては、むしろ一括で賠償するというのはどうかというご議論も既にされたというふうに理解しておりますが、ここに改めてもう一度ご議論いただければと思います。終期についても、もちろん一緒にご議論いただいても結構でございます。ここはたくさんの問題点があるので、なかなか大変ですけれども、どなたでもお願いできればと。
大塚委員。
【大塚委員】 特に4のところが関係してくると思いますけれども、帰還困難区域については、5年間は帰還できないということなので、一括した賠償をしてはどうかというご意見は結構強かったかと思っています。私自身もそう思っていますが。
ただ、これを考えるときに、さらに議論は分かれるところが、仮にその考え方が通ったとしても分かれるところがあって、5年分だけ払うのか、5年分よりも多目に払うのかとかいうところが問題になりますし、5年後にさらにまた考えるかどうかということも含めて、検討をしておかなければいけない点だと思います。
それから、居住制限区域についても、一括賠償でもいいのではないかという意見も結構強かったと思いますけれども、その場合に、何年分一括賠償で払うことを考えるかという問題がございますし、居住制限区域については、一括賠償でなくて定期金賠償のような形でいくという考え方もあるかとは思いますけれども、私は一括賠償でいいかなと個人的には思っていますが、それも何年分にするのかという問題があって、4年分なのか、3年分なのか、その辺の議論が出てくるのではないかと思うんですけれども、その辺を検討しなければいけないかなと思っています。
議論するときに、1つ、最初考えておいたほうがいい、この間の自治体の方々のご指摘などとの関係での問題がございますけれども、今回ここで指針で決めていく賠償が、いろんな新しい事業をしたり、労働をしたりすることの意欲を阻害したりしないようにしたほうがいいというような問題も、これも政策の問題で、先ほど会長が言われた話と関係しますので、主か従かと言えば、従だと思うんですけれども、どこかで少しは考えなくてはいけないのかなということもございまして、いろんなことを考慮しながら決めていく必要があるのかなと思っております。
【能見会長】 ここはほんとうに、どういう順で議論したらいいかもなかなか難しいところがあって、今、大塚委員が半分ぐらいは触れられたのかもしれませんが、あまりはっきりとまではおっしゃらなかったけれども、仮にこの帰還困難区域というのが、一応5年は戻れないということですが、10年、あるいは20年、もっと長い期間戻れないかもしれない。そういう区域になりますと、これは毎月毎月にではなくて、おそらくもう、ちょっと言葉はよくないかもしれませんけれども、戻れないという前提で、もうすべて一括の慰謝料というのが決まるということは十分理論的には考えられる。その額がある意味で上限になるかもしれないので、そういう上限の額というのを考えながら、逆に、例えば居住制限区域だとか、そういうところについても月額でいくのか、5年分まとめてもらえるということも選択できるようにするのかとか、いろんな問題を考えていくこともできるのかもしれません。今言いましたように、これ、どっちのほうから考えていくのがいいのか。毎月毎月このぐらいの金額の賠償だろうということで、そっちから考えていくのか、今のように、もう戻れないという前提のもとで、これはそういう場合はいろいろ裁判などでもあるわけですが、そういう場合を考えながら、一括の慰謝料というものを考えていくのか、そこから逆にいくのかというようなことが、議論の仕方としてはあり得るかもしれないと。
どうぞ、高橋委員。
【高橋委員】 ⅲ)のところ、前回も実は申し上げたのですけれども、帰還困難区域については、もはや避難という観念でとらえるべき問題なのかなと思っています。むしろ損失補償で言えば、面的な収用があったと同じ状態であると。ただ、当然、収用の場合とは違って、違法行為ですので、救済の範囲は広げるべきであろうと私は思っています。
そして、この場合、最近、損失補償では、生活保障みたいな考え方があって、営業損害とか目に見える損害だけではなくて、従来生活してきたものが一挙に変わったことによって、様々な不利益が出たものについて、ある種政策的な――これは、要するに、損失補償ですから、政策補償と言っていますが、損害賠償理論でも拾えるような保護領域だろうというふうに思っています。そういう観点から認めれば、これはまさにもともと月別に払うようなものではない。一括して、、5年なら5年、10年なら10年という新しい生活を同じように続けるために必要なものについて、そして、営業損害で拾えないようなものについて算定してお出しするというのは、特に帰還困難区域についてはあり得ると思います。かつ、私は、居住制限区域についても、ある程度似たような考え方が半分とれるのではないかと思っていますが、以上、一応行政法的なところからの類推で考えたところを申し上げさせて頂きました。
【能見会長】 今の高橋委員の考え方というのは、私もそういう考え方はあり得ると思っているんですけど、まだ自分で十分整理できていないのは、一応避難を余儀なくされたことによる慰謝料という形で、生活費も入っていますけど、慰謝料という形に今のところ考えているんですが、実際に戻れなくなってしまうという住民の方々について言えば、そこの財産の問題と、就労不能の問題とあって、それぞれ一応別個の損害項目として今まで考えてきて、そういうときに、今高橋委員が言われたのは、財産そのものの損害と、就労不能などの損害は、一応これはまだ別立てで考えて、やっぱり慰謝料的な部分というか、今まで慰謝料的な部分として言ってきたものだけ、これを生活保障のような形に変えるということですね。
【高橋委員】 そういうことです。
【能見会長】 大塚委員。
【大塚委員】 その点は前回も議論したところも若干あるんですけれども、ほんとうに生活保障という考え方もあり得ると思うんですけれども、もしそうだと、慰謝料だけではなくて、営業損害とか就労不能損害とか財産損害も含めて――財産損害はちょっと別かもしれませんが、就労不能とか営業損害も含めた形での生活保障の額を考えるということもあるいはあるかもしれなくて、それも1つの方法かもしれない。特に帰還困難者に関しては、1つの方法かもしれないというふうに思っています。
【能見会長】 算定の根拠などは少し違ってくるかもしれません。加算要素になるのかもしれませんが。
ほかに、いかがでしょうか。これは損害の額を具体的にどうするかという問題と関係してきますので、非常に難しい問題だと思いますけれども、基本的な考え方ということで、今日はご意見を伺えればと。
【田中委員】 その場合、原則は今のご意見でいいような気がするんですが、それでもやっぱり戻りたいという人も少なからずおられると思います。その場合をどういうふうに扱うかというのは、そういう方たちは、いつか戻れるんだということで、毎月のように生活保障をしてもらったほうがいいとか、そういう要求も出てくる可能性もあるかなと思いますが、その辺も含めて、少し柔軟な方針を出したほうがいいような気もするんですが、そういうことは可能でしょうか?
【能見会長】 帰還困難区域の方々については、もちろん、将来、相当たってから戻れるような状況になって、戻りたいという方がおられたときに、「いや、もうあなたが出ていったことを前提にして賠償したんだから、戻れません」なんてことはあり得ないので、これはもちろん戻れる。
ただ、多少難しいのは、やっぱり居住制限区域ぐらいですかね。ここで、もう自分は戻らないという前提で一括の賠償をもらうという選択肢を仮に認めると、しかし、これも同じなのかな。しかし、それで3年か4年後ぐらいに、5年たつ前に戻れるような状況になって、それで戻るときにどうなるかなんていう問題は少しあるかもしれません。
ですから、これは住民の方のある種の選択を認めて、戻るという前提のもとで賠償も続けてもらいたい、それから、もうどこかに新しい生活を築くので、やっぱり毎月毎月では、その新しい生活を築くための賠償としては少ないので、一括の賠償をもらいたい、それは選択が認められると今委員が言われたように、選択が認められるといいのではないかと思います。
問題は、その後、選択をした結果、どっちかのほうが算定上有利になったりならなかったりすると、またこれは公平の問題をここで持ち出すことになりますが、あまり望ましくないかもしれないので、そこを少し気をつけなくてはいけないというところなんでしょうか。
【大塚委員】 私も選択の余地は認めたほうがいいと思っていますが、帰還困難区域ですと5年ということになるので、基本は一括賠償のほうに近づくのかなと思いますけれども、居住制限区域については、選択があるかなと思っていまして、田中委員がよく気にされているのは、結局、定期金賠償のほうがやはり使い込まないとかというようなメリットはないわけではないものですから、そこは考え方としてはどのぐらい重視するかというのがあると思うんですけど、要素としてはあるのかなと思ったりもします。
【能見会長】 先ほどから言っておりますが、これはなかなか難しい、いろんな可能性、いろんな選択肢、いろんな解決策があり得るので、さらに検討したいと思いますけど、何かまだご意見があれば。よろしいですか。
そうしたら、この終期の問題についても少しご議論いただければと思いますが、これはそんな遠くないうちに現実に問題になる可能性がありますので、ぜひご議論を詰めておいて、おそらく指針の中で考え方を示しておく必要があると思います。
避難指示解除準備区域については、この区域に指定されたといいますか、組み込まれた区域については、そんな遠くない時期にこの指示が解除されるということになり、解除されると、先ほどの相当な期間と似たような問題ですけれども、いつまで賠償が認められるのかということが問題となるということです。ただ、先ほどの旧緊急時避難準備区域と避難指示解除準備区域、これは用語がなかなか、十分理解したつもりですけど、言い間違えたりすることがあるかもしれませんが、その2つでは多少解除の仕方などが、先ほど説明の中にありましたように、違いますので、相当な期間についても少し違った考え方をとったほうがいいのか、それとも同じように考えるべきなのか、そんな点が問題としてあるということです。
野村委員。
【野村委員】 基本的には同じかなと思いますけれども。要するに、解除されたときには、一応もう戻って住める状況になっているということが前提で解除されるわけですから、あとは、帰るための準備にかかる期間を一般的に1カ月とみるのか、2カ月とみるのかということです。それから、個々の被害者の状況によって、何らかの理由によって、そう早く動けないという事情があれば、そこは個別に考えるということなのではないでしょうか。
【能見会長】 ほかにいかがでしょうか。
ちょっと私が危惧していますのは、この避難指示解除準備区域というのは、現在は居住制限区域で、結局、そこには人が入れない状態で、それから、仮にこの4月以降、避難指示解除準備区域に指定されて、そうすると、一時的な帰宅はできるんでしょうけれども、宿泊はできないということですので、そういう意味では、公的ないろんなインフラはそれでも進んでいくんでしょうけれども、一体どういうふうにいろんなインフラは進んでいくのかというのは、よくわからないところがあります。
ほんとうに解除されるのは、インフラが整備され、除染等の条件も整った後だというふうに、一応抽象的には言われているわけですけれども、やっぱり将来の話で、なかなか現在、どうなるのかというのが予想がつかないので、先ほどの旧緊急時避難準備区域のほうは、もう既にいろんなインフラが大体整っているとか、そういう報告もありますけれども、こちらのほうは、そこはどうなんだろうというのがちょっと気になるので、野村委員とは少し感触が違うんですけれども、こちらのほうは少し慎重にしたほうがいいのかなという感触を持っております。
あるいは、今後の、仮に大体の相当な期間の目安を示すにしても、あくまで目安ぐらいにとどめておいて、やっぱりインフラの整備の状況とか、ほんとうに戻れるような状況になっているのかどうかも少し考慮しながら、微調整ができるような期間の定め方のほうがいいのではないかというふうに思いますけれども、皆さんのご意見を伺えればと思いますが。
大塚委員。
【大塚委員】 今、会長が言われたことは、2ページの一番最後から3ページの1行目が、ほんとうにそうかということだと思いますので、そこは、その点を十分考慮した上で、相当期間をかなり長目にとるかどうかということを考えたほうがいいかなと思います。これは、事務局はさらにご説明いただくことはあるんでしょうか。
【能見会長】 ございますか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 繰り返しになりますが、前回、参考資料で配付させていただいていまして、今日も配付しています、12月26日の原子力災害対策本部の決定の8ページを見ていただきたいと思いますが。
8ページに、この避難指示区域の見直しの考え方の中の、丸1避難指示解除準備区域について、基本的考え方が書いてございます。ここの2ポツのほうでございますが、ここに解除の考え方が書いてございますが、「電気、ガス、上下水道、主要交通網、通信など日常生活に必須なインフラや医療・介護・郵便などの生活関連サービスがおおむね復旧し、子どもの生活環境を中心とする除染作業が十分に進捗した段階で」、さらに、「県、市町村、住民との十分な協議を踏まえ、避難指示を解除する」ということになってございます。もちろん、これはまだ今の時点の基本的考え方でございますので、実際にどうなるかわからないというところはあると思いますが、緊急時避難準備区域と大きく違いますのは、住民との協議も踏まえた上で解除をするというところになってございます。
【能見会長】 そういう意味で、ある種の安全弁があるので、そんなに心配しなくていいということももちろん言えるのかもしれません。
私が先ほど申し上げたのは、大塚委員がおっしゃったように、長目の期間を設けたほうがいいということとはちょっと違って、仮に、例えば3カ月とか短い期間でもいいんですけれども、やっぱりどうなるかわからないところがまだ現時点であるので、ある種の目安にとどめて、必ずしも十分にインフラが進まない――こういうことはあまり仮定してはいけないのかもしれないけれど、進まないにもかかわらず解除がされるようなことがあったときに、賠償の問題としてはまだ残りますよというような問題を、余地を残しておいたほうがいいのかなということです。
いずれにしろ、これも抽象的な意味での指針という考え方は示されているけれども、現実にどうなるかというのは、全く我々としては情報がない中で判断しなくてはいけないということになると、なかなかきちっとしたものが示せないかなという気がしますが。
ほかの点はいかがでしょうか。
特定避難勧奨地点についても、類似の問題がありますが、おそらくこれはインフラが――いや、これもちょっとわかりません、もしかしたら異論があるかもしれませんので、またさらにもう一度ちゃんと調査はしたいと思いますけれども、特定の地点ということなので、インフラがそんなに壊れているということはおそらくあまりなくて、したがって、解除されれば、こちらは比較的早期に帰還できるという状況なのかもしれません。しかし、さらに慎重に検討したいと思っています。
【田中委員】 この勧奨地点というのは、前から指摘してますように、一戸一戸の家に対して実施しているんですね。それで、しかも、命令ではなくて、指示ではなくて、勧奨しているだけで、一種の自主避難ですね。それを、じゃ、だれが解除するのか、解除の条件はどうするのかということについて、今、明確になっていないですね。これは賠償の問題とは少し違う問題ですが、その辺は政策的にも明確にしていただかないと、賠償のしようがないし、帰るときの条件ができないのではないかと思います。
インフラとしては、地域全体は今居住していますので、勧奨地点の家でも、お子さんとか、そういう方たちが避難しているというような状況が多いと思います。
【能見会長】 これについては、じゃ、今の点も含めて、さらに少し調査させていただきたいと思います。
どうぞ。
【高橋委員】 まず、避難指示区域の場合の、指示解除準備区域ですが、帰還の問題もあったと思いますが、これは先ほどと同じような考え方で、区別しなくてもいいのではないかということを思います。
あとは、今、特定避難勧奨地域については、お二人の先生方のおっしゃったように、比較的短い期間で結構なのかと思います。
【能見会長】 それでは、一通りご議論いただいたと思いますので、また次回続けて議論したいと思いますが、次に、営業損害の終期と、それから、就労不能の損害の終期について、これは共通の問題がありますので、あわせてご議論いただければと思います。この点についても、既に前回ある程度はご議論いただいたと思いますけれども、さらに何かあれば、ご議論いただければと思います。
前回のご議論でも、一応大体の共通のご意見として、言葉遣いは正確ではないかもしれませんが、「特別な努力」に基づいて営業の収入、あるいは就労による収入を得た場合には、これは営業損害、あるいは就労不能損害の中から控除しないということだったということだと思いますが。
どうぞ、高橋委員。
【高橋委員】 前回ちょっと申し上げて、私は行政法なので、すぐに行政法の制度に引きつけてものを考えてしまって、なかなか理解を得るためにうまく説明できなかったのですが、さらに、説明させて頂きます。臨時にいろいろと就業されたときの収入というのは、これはもう経験則的に付加的にはあり得る所得なので、そういう意味では、定型的に一定程度は控除の対象、捕捉の対象外と、もう機械的に決めてしまったほうがいいと私自身は思っています。そういう意味で、例えば、最低賃金との関係でも、15万円ぐらいは、これは捕捉の対象外とする。特に東電に対する申告制ですので、そこのところは対象外にし、それ以上のものについては、きちんと損害賠償理論に基づいて、相殺の対象にしていくというのも1つの考え方である、と思っております。
【能見会長】 なるほど。
【高橋委員】 特に就労の場合はそうなのではないかなと。
【能見会長】 一定のところまでは控除しないという考え方ですね。まだ十分、その最低賃金みたいな考え方がうまく当てはめられるのかどうかわかりませんが、1つの考え方として、十分あり得る考え方かもしれません。
ほかに、何か。中島委員。
【中島委員】 高橋先生が最後にちょっとおっしゃったように、就労不能に関しては、最低賃金というのは1つの目安かもしれませんが、営業損害については、なかなかその最低限の金額をどう決めるかというのはちょっと難しいような気がするんですけれども。
あとは、この営業損害と就労不能の損害については、終期については、慰謝料よりもさらにちょっと不確定な要素が多いように思いますので、終期を決めるということが可能かどうか、ちょっと疑問が、現時点では疑問があるように思います。
【能見会長】 そうですね。ちょっと終期も悩ましい問題ですね。この際、何かご意見があれば。
大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 高橋委員の話と似ていると思いますけれども、事故後一定期間については、収益は控除しないというようなことを例えば定めて、私は臨時でもそれ以外でも同等というのは、その区別ができないと思いますので、全部控除しないということでいいと思っているんですけれども、一定期間をどのぐらいにするかというのは、ちょっと問題になるかなと思いました。
それから、先ほど事務局からの説明でもあったように、前の事業に戻ったときにどうなるのかということなんですけれども、それも控除しないのかという問題があって、なかなか悩ましいんですが、一定期間をどのぐらいにするかにもよると思うんですけれども、その点を考えなくてはいけないかなと思っています。一定期間がそれほど長くなければ、別に控除しなくても構わないと思いますけど、そこを考えないといけないかなと思っています。
【能見会長】 そうですね。従来と同じ営業を続けて、しかし、従業員の確保だとか、材料、工場の稼働とかについて非常に苦労しながら収入を上げた。従来の収入に満たない部分については、あんまり問題ないでしょうけれども、収入を上げているので、その部分ですよね。
【大塚委員】 それで、結果的に、それを合わせたものが従来の2倍になったりしてしまうと、さすがに不公平ということになると思いますので、上限を決めないといけなくなるのかなと。だから、従来の20%増しまでとか、30%増しか、その辺もよくわかりませんけど、例えば、そういうことを考えるかどうかということを検討しなければいけないかもしれません。
【能見会長】 高橋先生の領域というか、ある種の政策的な、行政法的になると、このぐらいの基準でというふうに決めやすいのかもしれませんけど、これは損害賠償の問題だと言われると、なかなかその基準を、この基準でいいんだというのが説明がしにくいところがあるので、抽象的な考え方としてはおもしろいといいますか、十分あり得るけれども、具体的にうまく線が引けるのかどうか、今の大塚委員のと高橋委員のはまたちょっと違う考え方ですしね。もうちょっとこの点は検討させていただきたいと思います。
ある程度中心的な問題は、今ご議論いただいたと思いますが。
では、次の大きなカテゴリーである財産価値の喪失及び減少について。これは先ほどの東電の賠償の状況のご説明の中でも、なかなか賠償が進まない部分だということでもあり、そういうこともちょっとにらみながら、どういうふうに考えたらいいかということをご議論いただければと思います。
本来、これは不動産も含めてですけれども、動産も含めて、どれだけ価値が下がったのかについて、完全な賠償でないにしても、それなりの証明ができれば、当然、賠償の対象になっていいんだと思いますけれども、しかし、その点も含めて、何かご意見があれば。
じゃ、先に大塚委員、その後、高橋委員。
【大塚委員】 3のところの話になってしまうのかもしれませんが、帰還困難区域については、もう全損を払ってもらっていいということがこの間の議論でも結構出ていたと思いますから、推認だと思いますけれども、全損と推認するということはあると思います。
居住制限区域は、100%というわけにいかないかもしれないので、どこかで減価率をやはり推認するようなことを出して、もちろん、個別的事情に応じて、もっとそれより額が多いということもあると思いますので、それは個別的に対処していただくというようにしたほうが、迅速な解決という点ではよろしいのではないかと思います。
それから、除染によって不動産の価値が回復した場合に精算する必要はないかというのは、これは、土壌汚染ではこういう問題は、実際にオランダとかでは法律の中にも入っている議論はあるんですけれども、理論的な話なのではないかと思ってはいるんですけれど、理論的にはあり得ないわけではないという程度のことであると個人的には思っております。
とりあえず以上です。
【能見会長】 理論的なところも重要だと思いますけれども、少なくとも賠償を請求する時点では、まだ除染自体は進んでいなくて、仮に一番単純に全損の評価ができると。だけど、将来、除染が進むと、価値が上がってくる可能性もあるというときに、現在の時点で、賠償請求の時点でゼロであれば賠償していいのかというのは、単純な理論的な問題だと思いますけれども、オランダでどうなっているかというのは。
【大塚委員】 オランダでは、土壌汚染の浄化をした場合で、土地の価格が上がったときは、不当利得として返還請求ができるというのが、土壌汚染関係の法律の規定の中に入ってはいまして。ただ、それは実際にはなかなか難しいことではないかと思っていますので、非常に理論的な問題ということかと思っております。
【能見会長】 そういう意味では、賠償の問題としては、賠償はできるけれども、後で不当利得になる可能性があるということですね。
【大塚委員】 はい。
【能見会長】 ほかに、財産的損害について、いかがでしょうか。
ごめんなさい、高橋委員、先ほど。
【高橋委員】 先ほどの議論の延長ですが、全損については、考え方を変えてしまって、財産的なものを含めた形で総トータルで、やはり生活再建のための必要なお金は不法行為の範囲だと言ってお払いする方式が良いと思います。その意味では、まさに全損という考え方で構わないと思います。
それから、それ以外の地域については、3年なら3年とか、もう既に事故が起きてから1年たっておりますが、3年という非常に長い期間の生活をどうするのかという話でございますので、そういう観点から、そこでまず切ってしまって、お払いする。そして、それ以上、もっと帰るのが長くなれば、さらにお支払する。先ほど東電のほうが一部支払いになかなか応じないというお話がありましたけれども、そこは審査会として、きちんとした一部支払いの慣行をつくっていただくということが重要なのではないかなというふうに思いました。
以上です。
【能見会長】 なるほど。
今の高橋委員は、生活保障的なというのは、財産損害的な部分については、もしかしたら将来回復するかもしれないし、戻れるかもしれないけれども、生活保障的な考え方をとって、この帰還困難区域などについては、特にもう全部を賠償しちゃうということですね。つまり、先ほど慰謝料の問題との関連を伺いましたけれども。
【高橋委員】 全部かどうかはちょっと。
【能見会長】 そうですか。
【高橋委員】 ある一部ということに。帰還困難区域ですか。
【能見会長】 ええ。
【高橋委員】 もう全部ですね。
【能見会長】 ここは全部ですね。
【高橋委員】 帰還困難区域はそうです。
【能見会長】 ですから、財産がある人といいますか、多く持っていて、多く失った人は、当然、その分多くなり、少なければ少ない。それは財産損害だからしょうがないということですね。
よろしいですか。それでは、この点についてもさらに検討はいたしますけれども、今いただいたご意見などを踏まえて、さらに論点を詰めていきたいと思います。
あと、自主避難等に係る損害について。これも以前からいろいろこの委員の中でも意見が必ずしも一致していない部分ですけれども、さらにご意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
大塚委員。
【大塚委員】 前にもちょっと申し上げたことがあるように、ここは意見が分かれるんですけれども、私自身は、線量の推移を見ながら、自主避難者等に関する損害を認めていくということだと思っています。
従来に比べて、12月までに比べて若干考えなくてはいけないのは、今までは市町村という比較的大きい単位で考えていたんですけれども、線量などを中心に考えるとすると、もう少し小さい行政区画を考えなくてはいけないかもしれません。何とか市なら全部とかというわけにはいかなくなるかもしれないと思っています。
【能見会長】 特に今まで決めた、12月までの自主避難等に係る損害については、初期と後の時期と明確には区別しない扱いをしましたけれども、全部一括して賠償額を決めているというようなところもあって、あまり狭い対象区域で線引きをするのではなくて、自治体ごとに決めたということがありますけれども。今後、1月以降の自主避難等についての損害賠償というのを考えるとなると、賠償の中身は一体何なのかということ、これについては、またいろんなご意見があるところですが、その賠償の中身としては、1つは、やはり線量――線量そのものが危険性を示すということでは必ずしもありませんが、一定の線量以上であれば、不安を感じる合理性はあるという、クッションが1つ入りますけれども、そういう賠償がやっぱり中心になってくるのではないかというふうに個人的には思いますけれども、そういう考え方でいいのかどうかということで、ここにもまとめて幾つか論点は書いてありますが、いろんな考え方があり得るということでございます。
高橋委員。
【高橋委員】 基本的に、もし仮にそういうものについて損害賠償をお支払いするのであれば、座長や大塚委員がおっしゃったように、低線量の問題になると思います。もっとも、事故から大分期間が過ぎてきて、一体線量の分布がどうなっているのかというのは、我々はまだきちんと把握できていないと思います。例えば、地域で指定することに合理性が現時点においてあるのかどうかということも含めて、事務局から実態をお示しいただいて議論したほうがいいのかなというふうに私自身は思っています。そういうことをお願いできるでしょうか。
【能見会長】 時期的な問題ですけど、次回までにはそろえられますか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 できる限り準備をしたいと思います。
【田中委員】 よろしいですか。
【能見会長】 はい。
【田中委員】 もともと私は、低線量の、国が出している20ミリシーベルト以下のところについて、線量でお金を払うというのはやるべきではないというのは、多分、私だけではなくて、ほかの委員でもそういう方がおられたと思うんですが、それは今でも同じだと思っています。それで、実際にそれでは今線量の状況をほんとうに捕捉できるかといったら、被曝線量を捕捉できるかといったら、できないと思います。非常に部分的・局所的に高いところがあったりします。だから、1つの町でも、5倍も6倍も一けたも違うところも出てきていますし、人によっても、行動パターンとかで違うんですよね。ですから、そういう意味で、そこまで国は捕捉していないし、20ミリシーベルト以下というのは、そもそもがそういう基準なんだから、そこを覆すことになると、新たな被曝線量に対する、国際的にはあまり考えられないような基準をここで打ち出すみたいなことになるので、私はやめるべきだと思います。
だから、前回も申し上げたんですが、もともと当初に12月までの分でお支払いしたのは、当初、避難指示とか、被曝線量の状況が分からないという中での避難ということについては認めたように思いますけれども、その後について、線量を被曝があるからということ、つまり、インプリシットにはもちろんあるわけですけれども、幾らだから払ったということではなかったように思っています。そういう意味で、範囲の自治体も限ったのも、大体ヨウ素剤を配布したような地域とか、緊急的な被曝低減化を図ったような、そういうところに限られているように私は理解しているんで、ぜひそういうことでお願いしたいと思います。
【能見会長】 前回の自主避難等に係る賠償の考え方自体についても、少し委員の間で理解の仕方が違っていたというのはそのとおりで、議事録の中にもおそらくそういうことは書いてあると思いますが。1つの考え方は、初期のころは、線量もわからないけど、とにかく爆発したということで、逃げるということについての合理性があるだろうと。だけど、ある程度落ちついてくると、それなりに線量が分かってくるので、その線量に対する不安というのがあって、避難されるという方、あるいは避難を継続される方もおられるので、その部分も後半にはあって、しかし、前半と後半とを特に分けないで、全体として慰謝料というのを考えたらどうかということではなかったかと思いますけれども、微妙な理解の差があったかもしれません。
【田中委員】 ですから、長く認めたのは、子どもについてということだったと思うんで、かなり限定的にそこはある程度みたということだと思うんですが。
だから、全く前回の指針で線量を無視していたかというと、インプリシットには確かにあるんですけれども、かといって、今後もずっとそれが続くのかどうかということになりますと、どこに基準を置いていいのかわからないということになるような気がします。
【能見会長】 これは前から折に触れてそういうご意見の委員が何人かおられて、審査会の中で必ずしも一致していない点だということは重々承知しております。したがって、そういう考え方の違いがある中で、どうしていくかということを検討させていただくということで、田中委員のご意見を無視するということではなくて、今後さらに検討していくということです。
ただ、ここでこういうことを言ってはいけないのかもしれませんけど、審査会として何か決定をするとき、今まで審査会としては全員一致で大体してきたところですけれども、場合によっては多数決ということもあるかもしれない。できるだけそういうことはしたくないと思っていますけれども、どうしても決まらない問題というのは今後出てくる可能性があって、そういうときに多数決ということがあるかもしれないということだけは、ここでも少しご理解いただければと思います。それを別に強行するということではございませんけれど。
自主的避難に関する問題については、さらにまた検討させていただきたいと思いますが。
【大塚委員】 ちょっと別のところで。
【能見会長】 どうぞ。
【大塚委員】 事務局にちょっとお伺いしたいんですけれども、12月までの自主的避難者の賠償を認めたときに、その後、白河市とか会津のほうではご議論があり、政府のほうで補償するという話があったかと思いますけど、そこの点は今どういうふうになっているかというのをちょっと教えていただけますか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 政府で補償するという話ではなくて、福島全県に対して、どのように政府として県の復興を図っていくかという形で、別途施策が検討されております。
それから、別途、中間指針のほうでも、対象区域外であっても、自主的避難の損害が個別の事情によって認められ得るということでございますので、それに従って、今、個別に東京電力のほうと交渉している地域はあるということでございます。
【能見会長】 よろしいですか。
【大塚委員】 はい。
【能見会長】 いずれにせよ、ここは非常に難しい問題が背後に控えているということですね。低線量の危険性の問題そのものも含めてですが。
最後の汚染除去等に係る損害については、これはいかがですか。これも既にある程度ご議論いただいたと思いますが。
【大塚委員】 1つ。最後に書いてあるところで、私の理解だと、除染等に伴う営業損害という、除染の間の営業損害ですね。除染の間、土地が使えない営業損害に関しては、必ずしも特措法の対象だったかどうか、この間、環境省のほうでは、そういうことは確定はしていないという話だったので、その部分だけは問題として残っているのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
【能見会長】 環境省のほうでどういう考え方をとっているかについては、前回説明があったんでしょうね。
【大塚委員】 はい、説明はありました。
【能見会長】 ただ、この審査会の問題としては……。
【大塚委員】 だから、そこだけは扱っておいたほうがいいのではないかという気もします。
【能見会長】 そういう可能性はもちろんあると思っております。除染等に伴って、その間のですかね。
【大塚委員】 はい、その間ですね。
【能見会長】 あるいは、それが行われたことによって、さらに派生的な……。
【大塚委員】 それは考えていなかったんですけど、それもあるかもしれません。
【能見会長】 営業損害についても、どんなものがあり得るかを含めて、もうちょっと整理したいと思います。
どうぞ。
【田中委員】 同じことですが、前回も環境省に申し上げたんですけれども、除染によって必ず、郡山でも、首長さんからもありましたけど、財物の損害とか営業損害というのが出てくるので、特に財物損害について補償してくださいということを申し上げました。逆に言うと、これをしないと除染が進まないですね。ですから、それは、特措法がそもそも原則として損害賠償の対象、その費用は含まれているんだから、それを含めて財物補償というのを、要するに、もとに戻すということなんですけれども、それはやったほうがよい。これを切り分けて、後で損害賠償という形で個別にやるのではないほうがいいのではないでしょうかということを申し上げたので、ぜひそういう方向で議論を進めていただければありがたいと思います。
【能見会長】 わかりました。
中島委員。
【中島委員】 この点、この前も議論になったと思うんですが。この特措法の予算の対象にするのはベストだと思うんですが、それは自治体や環境省で、今後の行政上の運用がはっきりしないところもあるので、そこで入ってこない分野があり得るから、それをカバーできるように、一応この必然的に生じた損害は賠償の対象にするという一般条項的なものを、指針の中に、やはりカバーできるように、入れておいたほうがいいように思います。
【能見会長】 おそらく特措法と矛盾しないし、両方相まって賠償が進むというふうに思いますけれども。田中委員が一番心配されているのは、とにかく除染に伴っていろいろ財物を毀損しなくてはいけないことがあって、そういうものの賠償がちゃんとされるようにということですよね。これは、この間の自治体のヒアリングの中では、樹木などについて聞きましたけど、家屋そのものとか、そういう話はありますか。場合によっては、極端な、家屋自体も……。
【田中委員】 先日もちょっと申し上げたので、例えば、トタン屋根なんかは、セシウムが着いちゃうと、ちょっとさびていると取れないとか、雨どいもそうですけれども、そんなのは新しいものに取りかえたほうが、はるかに安くできます。でも、それはだめだということを、今の環境省とか内閣府の判断でやっているもので、そこにかなり現場ではぎくしゃくしたところがあります。だから、そういうことのないようにしたほうが、コスト的にも安くなりますし、いろいろ問題が少ないんだろうと思います。
【能見会長】 はい。
いろいろご議論いただきまして、もちろん、まだ尽きることはないわけですが、本日はこのぐらいにして、次回、改めて今日のご議論を踏まえた上で、さらに議論を続けたいと思います。本日は、どうも長い時間ありがとうございました。
それでは、今後の日程について、事務局から説明をお願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 次回でございますが、ちょっと間は短いですが、2月23日木曜日、これは、時間は夜で恐縮でございますが、20時から22時を予定してございます。別途発表をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
―― 了 ――
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