平成24年1月27日(金曜日)11時00分~16時20分
ホテルハマツ(福島県郡山市)3階「右近・桜・中央の間」
能見会長、草間委員、田中委員、中島委員、野村委員
奥村文部科学副大臣、神本文部科学大臣政務官、藤木文部科学審議官、田中総括審議官、戸谷研究開発局長、田口原子力損害賠償対策室次長
山田広野町長、草野楢葉町長、遠藤富岡町長、遠藤川内村長、渡辺大熊町長、井戸川双葉町長、馬場浪江町長、松本葛尾村長、冨塚田村市長、桜井南相馬市長、佐藤川俣町原子力災害対策課長補佐、菅野飯舘村長、佐藤福島県知事
【能見会長】 それでは、時間になりましたので、第21回原子力損害賠償紛争審査会を開会いたします。本日は、こちらにご着席の双葉8町村をはじめ、避難指示区域に関係する地方公共団体の方々から、ご出席をいただいております。
この審査会における今後の重要な課題は、避難指示区域の見直しが行われることになりましたので、それに関連して賠償というのはどうなっていくのかということを議論することにあると考えております。そこで、本日は、この政府の避難指示区域の見直しの方針を踏まえまして、住民の皆様の生活再建、あるいは地域のコミュニティの復旧・復興の状況、見通し、こういったものについての皆様のご意見、見通しを伺い、また、賠償等についてどういうご要望があるか、そういうことも伺い、本日の議論をもとにして、審査会で今後の賠償についての指針を考えていきたい、それが本日の審査会の目的でございます。
開会にあたりまして、まず奥村文部科学副大臣から、ごあいさつをいただきます。では、よろしくお願いします。
【奥村文部科学副大臣】 どうも、皆さん、おはようございます。
今、会長からごあいさつがございましたように、各町長さん方、ほんとうにもう日々ご苦労いただいているさなかでございます。そうした中、こうして時間をお割きいただきまして、いろいろとまた実情をお話しいただける機会をつくらせていただきまして、ほんとうにご参加ありがとうございます。今後、この審査会のいろいろご意見を賜りながら、見直し等、ひとつまた進めていきたいと思っておりますので、今日は忌憚のないご意見を賜りまして、今後の指針にさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
また、会長はじめ、先生方、大変お忙しいところ、ご遠路、どうも大変ご苦労さまでございます。21回目を迎えたわけでございますが、どうぞひとつよろしくお願いいたしたいと思います。どうも、ほんとうにありがとうございます。
【能見会長】 それでは、事務局より資料の確認をお願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、配付資料でございますが、座席表、議事次第のほかに、資料1といたしまして、大熊町からの提出資料、資料2といたしまして、葛尾村からの提出資料、資料3といたしまして、これは飯舘村長さんの名前の資料、資料4といたしまして、福島県からの現状説明に関する資料、それに、前回、第20回の議事録が参考でついてございます。以上でございます。
本日欠席の委員もいらっしゃいますが、速記録に起こしまして、直ちに内容はご欠席の委員にお送りし、ごらんいただくことになってございます。
以上でございます。
【能見会長】 それでは、早速議題に入りたいと思いますが、今日は、先ほど申し上げましたように、双葉地方8町村からおいでいただきまして、それぞれ現状、見通し、ご要望、そういうことについてのご説明、お話をいただきたいと考えております。本日のやり方でございますけれども、双葉地方8町村の町長、村長さんのお話をまず順次伺い、そして、その後、まとめて質疑応答の時間を設けたいと考えております。予定としましては、続けてといいましても、やはり長くなりますので、途中でちょっと休憩が入るかもしれませんけれども、今申し上げましたように、先にご説明を順次伺い、その後でまとめて質疑応答の時間を設けたいと考えております。
それでは、早速でございますけれども、まず広野町の山田町長からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【山田広野町長】 広野町です。よろしくお願いします。
それでは、検討事項といいますか、私のほうでは、5項目、ひとつお願いしたいと思います。
まず1点目、親戚縁者宅への避難所への対応でありますが、避難先が公設避難所以外――これは親戚縁者宅になります――の場合、そこで要した費用が賠償の対象となっていない。そして、ホテル・旅館と違い、明確な経費を算出することは不可能だが、その期間中、一定の経費を要していることは明確であることから、その費用を賠償の対象とすべきであると思っております。
2項目め、屋内退避をしていた者に対する補償でありますが、緊急時避難準備区域における精神的損害については、同区域内に生活の本拠としての住居がある者については認められていない。しかしながら、ほとんどの住民が避難し、食料、その他生活資材が思うように入手できない中、やむを得ない事情により屋内で避難していた者の精神的損害は、仮設住宅等での避難生活者と何ら変わらないものである。同等の補償をすべきであると思います。
3項目め、精神的損害の終期の明確化。中間指針では、避難指示などの解除などから相当期間経過などに生じた避難費用は、特段の事情がある場合を除き賠償の対象にはならないとしていますが、緊急時避難準備区域の解除後の相当期間について、具体的に示してほしいことであります。また、精神的損害の期間及び損害額についても、同等の期間とするのかについても、明確にしていただきたい。
4項目め、財物価値の喪失または減少に対する補償。中間指針においては、原発事故での風評被害による財物価値の喪失または減少に対する補償については、明記されていない。財物価値の補償について、補償範囲、補償内容などについて、早急に決定をしていただきたい。
5項目め、農産物の作付に対する補償。緊急時避難準備区域の解除に伴い、本年度は、稲作をはじめとする農作物の作付を検討しているが、含有放射線量の有無にかかわらず、風評被害による価格の下落、販売数量の落ち込みが予想される。こうした被害に対する補償はもちろんのこと、放射能汚染を危惧し、自主的に作付を断念した場合においても、補償の対象としていただきたい。
以上5項目を述べさせていただきます。よろしくお願いします。以上であります。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、次に、楢葉町の草野町長からお願いいたします。
【草野楢葉町長】 では、楢葉町の町長の草野でございます。
では、私のほうからは、町民の今現在の避難の状況等を勘案しますと、いわき市に我々町民が8,100おったんですが、その約2,900世帯、これが避難された状況でございまして、今現在は、いわき市に5,200ほどの住民が避難しておるところでございまして、それから、会津方面に約800人、そして、県外にやはり2割程度のことですから、千七、八百の方々が、これは県外に今避難している状況でございますが、その避難状況も、親戚・縁戚関係にお世話になっている方々が多いわけでございますが、その方々の補償問題等は、やはり仮設生活とは異なったことでございまして、親戚・縁戚にほんとうに三食までお世話になっておる状況でございますが、そのようなことで、補償指針が、思ったようなことの補償が出ていないということの声がございます。その点はつぶさにして観察しまして、補償対象にしていただきたいと、このように考えているところでございます。
それから、家屋の損害、これは地震ですが、その他、避難されて以来、その地震で崩壊された家屋等の瓦、この辺がほとんど損壊されている家屋が80%近い家屋でございます。それから、雨水によって、放射能を含んでいるかどうかは、まだこの検証が進んでいませんが、おそらくは放射能を含んで、そのまま浸透しまして、うちの中へ浸透して腐りが入っているというような状況でございますが、そのような方法で、これから除染にあたるについては、その家屋の崩壊されたものが全然まだ直しておりませんので、そこを除染するというわけにはいかないので、これは直してから除染をしていただくように、この直すについても、我々は20キロ圏内で、皆が避難している状況で、家屋の損害も、応急手当てもできなかったということが多いので、その補償もひとつ頼みたいというような考えでございます。
それから、今、除染等のことでちょっとお願いしたいことは、まず除染にしても、その除染した廃棄物の置き場がないというような、今、状況でございます。我々もどんどん除染をしなければ帰還もできないというような状況でございますので、住民の方々も一日も早くふるさとに帰りたいという心情は、まず皆同じでございますが、その中身については、非常に考え方が、除染すればするほど置き場に困るような、今、状況でございまして、その置き場をどうして確保するかというようなことでございます。
県と国のほうでも、仮置き場、中間貯蔵をできるまでは、臨時置き場を使用して、そして保管していただきたいというようなことを、いつまでこんなにしておくんだというようなことですから、中間貯蔵できるまでは3年以上の期間になるのではないか。そんなに置かれたのでは、我々も帰っても生活できないような状況になるおそれがあるので、それは早く、生活しても差し支えないような置き場を早い時期に町のほうでも保管していただきたいというような町民からの要望でございますので、これは私ども、中へ入って、その工事にあたるということもできないような、今、状況でございますので、この辺はどうも後手後手に回っているような状況でございます。
これから先、除染はもちろんのことですが、がれきの処分、そうしたもろもろの廃棄物がどんどん出てくる要素があるわけでございますから、これを早い時期に、その場所を確保していただきたい。こういうような状況でございますので、この辺もひとつ政府のほうで、我々、町村に対しても、アドバイスしながら、その財源等も確保していただきたいなというようなことでございますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
いろいろ話せば長いこととなりますから、これから機会あるごとに皆さんにお願いをしながらやっていきたいと思いますが、当面はそういうことで、町のほうの対応が今後手に回っている状況でございますので、ご理解のほどお願いを申し上げたいと思います。
以上です。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、次に、富岡町の遠藤町長、お願いします。
【遠藤富岡町長】 富岡町長の遠藤でございます。
問題提起6つほどございますが、その前に、今まで10カ月以上の震災後の住民の方々の問題指摘等々につきまして、集約しますと、これも6つあろうと思います。
1つは、帰還のめど、これを知りたいというのが、もう一番多いんです。いつ帰れるんだ、これがもうどこの集会に行っても、そういう問いが多いですね。この帰還のめど。
さらには、それに連動する除染。除染しないと帰還できないという。しかしながら、この除染の仕組みとか、そういう方法について、ほんとうにそういうロードマップのとおりできるのか。その辺の疑問、不信がもうほとんどです。世界で初めてのような、このような原発事故を起こしての、今までの過去の実績も成果もない中での今後のロードマップ、それが、我々が、国が示しているものをほんとうに信じていいのか、これが2つ目でございます。
さらにまた、3つ目は、これは仕事です。雇用。帰っても仕事がない、これをどうしてくれるんだ。今まで原発に共存してきた、共生してきた、そういう中で、約一万数千人の雇用が創出されていました。これがもうほんとうに廃炉、あるいは冷温停止の中での、今後は10基全部が廃炉にという方向づけをするとなると、我々の仕事、戻っても仕事はない、この辺についての問題提起です。
4つ目は、これから長期間の避難生活の中での生活の資金の問題。これは精神的損害賠償等々に関連するんですが、この問題も多いわけです。
さらに、5つ目は、健康問題です。健康についての、いわゆる民間の被曝線量が20ミリシーベルト未満、あるいは1ミリシーベルト未満、これが昨年の国の、この2つがひとり歩きして、もう住民はどちらを信用していいかわからない。それが我々のいろいろな町民、住民の意見交換集会で、これがものすごい考え方に差があって、揺れ動いています。この問題についてのしっかりとした健康に対しての安全・安心を与えるような、そういうものをきちっと示してほしいですね。国際放射線防護委員会で、年間20ミリシーベルト以下については、全く健康に異常はありませんということを示されましたが、しかし、それが果たしてそういうことを信じていいのか、それもありますし、これはもうほんとうに昨年の国の2つの点についての学者の異論がありましたが、これをしっかりと今後住民に意識づけしていただきたい。これ、限りなく1ミリが一番間違いないだろうと思いますけれども、これが5つ目の問題です。
さらに、最後の6つ目は、やっぱり賠償です。この賠償をどうしてくれるんだ。
この6つを、今までのこの10カ月の中で、各地区の住民との意見集会等々、これについてのものすごい激論、我々行政はほんとうに対応できないところがたくさん出てきています。これを踏まえて、この6つを申し上げますが、1点は、精神的損害賠償金額の見直しということでございます。これについては、9月以降、5万円から10万円に見直していただきました。これについて、3月以降どうなんだと。3月以降についてのお示しがございません。しっかりとこれについては早急にお示ししていただいて、安心感を与えていただきたいと思います。
2つ目は、財物等も含めた補償の考え方を早急に提示していただきたい。先ほどもいろいろお話ありましたとおり、過般、福島の復興再生協議会でも野田総理に申し上げましたが、土地・建物の財物補償については、そろそろ指針を示してほしいと申し上げました。これによって、それぞれが帰れるのか、あるいは、帰る希望を与えてくれるのか、これは大きな要因になりますので、しっかりと土地の評価の大幅な減、あるいは、建物がもう原発事故で、地震でやられても修理できなかったために、すべて汚染されちゃった、そういうことについての賠償、これを示していただきたいと思います。
それから、3つ目は、東電の仮払金、これが100万円、あるいは75円というのを見ました。これは当然見舞金として取り扱ってもらわないと、住民は納得しません。いわゆる交通事故の賠償に準じてやられたということであれば、これは当然見舞金というものは交通事故でも出ているわけでありますから、これについてもしっかりと見舞金という取り扱いに見直していただきたい。
それから、4つ目は、区域の見直しでございます。いわゆる居住困難区域、制限区域、あるいは避難準備区域、それぞれの賠償の考え方をやはりしっかりと示していただかないとまずいと思うんですね。これについてもひとつお願いしたいと思います。
5つ目は、緊急時避難準備区域と警戒区域との精神的損害額の差についての不公平感。これもいろいろ出ています。我々は警戒区域は、もう立ち入ることは一時帰宅だけですから、そういう中でのいわゆる精神的な不安というか、苦しみというか、それについても格差があるんだろうと思いますが、そういう声もたくさんございます。これが5点目に挙げておきました。
それから、最後の6点目については、働いている人と働いていない人との賠償金算定の不公平感についてということでございます。これは、働いている人については、賠償金のいわゆる差額の問題が出てきますし、働くことによっての、そういうような減収というか、算定にそういうものがあるんで、働かないほうがかえって満額いただけるという、そのような考え方が大変多いんです。これは避難者の自立心といわゆる労働意欲の低下につながっているということでございますので、ひとつこれについてもご検討いただきたいと思います。
以上であります。よろしくお願いします。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、次に、川内村の遠藤村長、お願いします。
【遠藤川内村長】 川内村です。
今、帰村のための準備をしております。ですから、そのための懇談会も、実は14日から10日間にわたりまして、10カ所で懇談会をしてきました。その中で、さまざまな住民からの要望もありました。補償問題、それから損害賠償についても、やはりいろんな不安を持っています。例えば、先ほど広野町長や富岡町長からもありましたけれども、1つは、帰村したらば精神的な補償が打ち切られるのではないかというような不安があります。ですから、村の立場としては、ぜひ戻ったからとしても、3.11以前のような生活はできない、当分の間できませんので、ぜひ継続をしていただきたいと思います。
それから、この精神的補償についても、やはりある程度基準は必要だと思います。それは、いつまでなのかという、当分の間と思いますけれども、それをスタートさせる基準日は必要だと思います。例えば、緊急時避難準備区域が解除された9月30日を基準日にするのか、あるいは、今回、僕らのように帰村するよという、そのときを基準日にするのか、それから、さまざまな地域のインフラの整備が整ったときを基準日にするのか、こういったところをぜひ明確に示していただいて、その期間もできればお示しをしていただきたいなと思います。
戻った人が損をしない、それから、今まで既に戻った人たちもいます。先ほどの屋内退避をされている方への補償も、十分検討していただきたいと思います。
それから、準備区域が解除されまして、それぞれ帰還に向けた準備をしています。ということは、川内村だけではありません。広野や田村市の都路町なんかもあります。こういったところとの自治体の整合性も、ぜひ検討してほしいと思います。
それから、除染を今進めていますが、かなり多くの課題があります。その一つに、財物補償ということも絡んできています。これは、それぞれの家屋だけではありません。例えば、家屋の周りにある樹木とか、そういったものについて、それを取り除かなければ除染の効果がないというようなことが、その現場でも既に判明しています。こういったところでの財物補償をどうしていくのかということも、ぜひ検討していただければなと思います。
それから、もう一つ、財物補償の中で、今後、森林への、木材への補償をどうしていくのかというところも、ぜひご検討していただければなと思います。
それから、富岡町長の最後の部分でありましたけれども、労働意欲の減退につながるような補償は、やはりすべきではないのかなと思いますね。現に、私のところにも、除染への雇用の創出、さらには、製造業への雇用の確保なども進めていますが、ほんとうに働いていないといっても、なかなか手を挙げてもらえる住民がやはりいません。それの一つの要因は、今言われたような、雇用保険をもらいながら補償ももらっている、こういう現実があるからではないのかなと。すべてではありませんが、そういう一面もあるのかなと思っています。ご検討いただきたいなと思います。
以上です。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
では、次に、大熊町の渡辺町長からお願いします。
【渡辺大熊町長】 大熊町です。
大熊町の現状について若干申し上げますと、町内全体が警戒区域でありまして、町民1万1,500人全員が町外に避難している状況でございます。その内訳といたしましては、町民の7割が福島県内、3割が県外。県外というのは、40都道府県に居住しております。現状は、いつになったら戻れるのか、いつまでこのような生活が続くのかと、不安は、仮設等への入居の落ちつきとは別に、日ごとに高まっているような状況にございます。町民へは、ブログ、ホームページで月2回の広報などで情報の周知に努めておりますが、顔が見えない、会話を伴わない不安や不満の声が日ごとに高まっているような状況でございます。
賠償問題で政府・審査会に求めたいことというのは、ただいままで話された首長さんと内容的には重複するところが多いですが、一応まとめてきたものを述べさせていただきます。
今回の事故によって避難を余儀なくされ、そのことによって受けた合理的理由のある損害を基本的には賠償することなんだと私は考えております。
1つ目といたしましては、財物に関する方針、基準を早く示していただきたいと思っております。
それから、2番目としては、1年以上も居住せず、管理しない家、地震で傷んだ家というものは、実際にはそのまま住むことはできませんので、その辺も十分考慮した賠償にすべきだと考えております。
また、車は私たちの足であります。線量が高くて持ち出せず、基準が決まると中古車を買う補償もないのでは、町民から不満が出てくるのは、これは当然のことだなと、そんなふうに考えております。
それから、賠償の点ですが、やっぱり合理的理由の具体性が乏しいのではないかと、そういう声が町民から多く出ております。今後、考えられる賠償をより具体的事例でわかりやすく示すことが、避難者の安心と信頼につながっていくものと考えております。
それから、私たちの町は、避難が長引くということを思わないで、着のみ着のままで避難した町民がほとんどでございます。戻ることを禁じておりましたので、避難中に貴重品あるいは貴金属等をはじめとした盗難が、町内だけでも160件以上も出ております。これはなかなか難しいところだと今言われておりますが、きちっとこれらについても補償されるべきと私たちは考えております。
賠償によって、将来の担保が具体的に避難者に示されますと、関心は原子力発電所の収束、廃炉、今後の復興について、電気事業者、あるいは国との信頼・協力関係が生まれると思いますので、町民のいろいろな要望について、誠意ある賠償をぜひお願いしたいと思っています。
以上です。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
では、続きまして、双葉町の井戸川町長、お願いします。
【井戸川双葉町長】 双葉町の井戸川でございます。
委員の皆さんの正しい判断のもと、私たち被害者の立場を理解され、前向きな指針作成にご尽力いただき、御礼を申し上げます。本日は、このような機会を設けていただき、ありがとうございます。委員の皆様には、ご存じのように、今度の事故は、原因と責任が明確にされていない中で、賠償の積算をしなければならないために、その根拠を求めるのは大変なことだと、心情をお察し申し上げます。
私は常に、今度の事故の起承転結は公平・公正の大原則で、後の世、後世に伝えたいと考えております。この考えのもと、以下について質問と提言を申し上げます。なお、事故はいまだに収束しておりません。宣言は間違いだと思っております。
質問事項について。
指針の参考事例を、交通事故事例を引用していますが、同等ととらえた根拠に問題がないでしょうか。
次に、どうして我々は一般災害と同等に扱われるのでしょうか。
次、原因者の東京電力がつくった請求書に応じることは、今後の賠償事案がすべてこのようになってしまうおそれがあります。世界にこのような前例をつくってしまうことをどう思われますか。私たちに事故の責任がありますか。
次に、この事故で待機中に病気を悪化させ死亡した人たちの無念さが反映されておりますか。
次に、子どもたちは最大の被害者です。心の痛手は生涯です。どう評価されますか。
次に、原賠法第18条、「紛争が生じた場合」とありますが、いまだ起きていないと私は思っております。指針づくりをどうして先にやられたんでしょうか。
それから、次に、事故の性質上、簡単な判断はできないと考えられます。したがって、立証の責任は我々被害者には存在しません。
次に、被害の予測は不可能な状態にあります。したがって、前例にならうことはできません。完全賠償には簡単ではないと思っております。立地を許し、営業させ、その結果、相当の利益を上げたものと東京電力は判断します。したがって、善良な私たちを一かけらのものとして仮住まいを強要することなく、お客として扱うべきであります。全国の発電所を有している国民に、よき前例として示すのか、または、危険を感じさせ運転停止を求める悪例として片づけてしまうのか、今度の解決の仕方が問われております。世界中で注目をしております。
次に、7・8号機増設に伴う、請戸漁協にかつて補償された実例があります。参考にしていただきたいと思います。
提言、要望に移ります。
紛争審査会を、中立性を考え、第三者機関に移管をしていただきたいと思います。双葉郡の総決起大会で、私が、当時出席されていた政務官に、委員に私たちの代表を参加させていただきたいとお願いしました。そのとき、「持ち帰って検討する」と言われました。ぜひ参加をさせていただきたいと思います。
このたびに起きた事故は前例がない。したがって、交通事故を前例にすることをやめていただきたい。前例がないので、積み上げ方式でやっていただきたいと思います。賠償が決着するには相当の時間がかかります。毎月、生活費として一定額を支払っていただきたい。二次・三次被害者が発生してしまうのを防止するためであります。ぜひ東電に指導をしていただきたいと思います。
次に、日本人でよかったと思えるような解決を望みます。
次に、憲法に保障された解決を望みます。私は、先祖から引き継いだ双葉町を、引き継いだときのようにして子どもたちに引き継ぎたいと考えております。
次に、委員の皆様には、八正道の心で判断されることをお願いします。
次に、勝ち負けなしで、事故前のように仲よく東京電力とつき合えるような解決を希望いたします。
除染作業者の保障制度を設けていただきたいと思います。
最後に、これからもこのような会を開催していただきたいと思います。
よろしくお願いします。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、次に、浪江町の馬場町長からお願いいたします。
【馬場浪江町長】 浪江町の馬場と申します。
審査会の皆さんに一言苦言を呈したいと存じます。と申しますのは、中間指針を取りまとめるときに、やはり我々の、被災者の声を聞かないで指針をまとめるということは、先ほど来から話が出ております公平性、中立性からいって、これはちょっと問題かなというようなことを申し上げて、今、各町村長からいろいろお話がございまして、重複する場面があると思いますけれども、ご了承賜りたいと存じます。
私のほうからは、15項目にわたって、これからの指針に盛り込む項目をぜひ足していただきたい。と申しますのは、東京電力の今の賠償の在り方は、中間指針にないから支払わないと、今後の推移を見守ってお支払いするということが、すべての団体にわたっての要望についての回答書なんです。中間指針に載っていないからということで、支払いをすることを考えていないということなんですね。ぜひ審査会の皆様方におかれましては、スピード感を持ってまとめ上げていただきたいということでございます。
それでは、15項目でありますけれども、1つは、先ほど出ております精神的損害の算定根拠の見直しをしていただきたい。先ほど来から話がありまして、交通事故の自賠責保険による慰謝料ということで、最低限の賠償額を中間指針では出しておりました。私どもはいつ戻れるかわからない、将来の不安を抱えているわけです。そういうような形で、病気が、交通事故は時間がたてばたつほどよくなっていくんだという考え方ではないんですよ。これは先ほど話がございましたように、自然災害とは違うんです。原発災害なんですよ。我々は目に見えない放射能と闘っているんです。そういう状況の中で、このような安易な判例と申しますか、そういうものを持ち出して、こういうような形で金額を出してきた。大変理解ができないところであります。したがって、交通事故を参考にするのであれば、民事交通事故の訴訟、損害賠償額算定基準の2008年というのがあります。その中での通院一ケ月分28万円を参考に算定していただきたい、このようにお願いしたいと思います。
それから、2つ目でありますけれども、生活費の増加分の賠償を精神的被害に含めず、避難費用として算定していただきたいということを項目に挙げていただきたいと思います。生活費の増加分は、本来、精神的損害の慰謝料とは別の損害であります。避難前の農家であれば、かなり自給自足的な生活を営んでおりまして、都市生活にはすべて購入していかなければなりません。この増加分は、別な基準で賠償すべきであると考えております。さらにまた、この避難状態が、借り上げの仮設住宅、あるいは応急的な仮設住宅に、狭いところにおりますから、2世帯、3世帯分の所帯が分離を余儀なくされる状況になってきております。光熱水費が大幅に増加しておりますので、そういう避難費用を算定項目に挙げていただきたい、お願いしたいと思います。
それから、避難指示に伴う精神的損害以外でこうむった精神的損害を、指針に盛り込んでいただきたいということであります。私ども、津波被害で183名の方がお亡くなりになっております。現在、6名の方がまだ行方不明になっております。3月11日に大地震が来まして、それで、3月12日に原発事故が起きました。その中で我々は、生きている命も救えないで、皆さんに大変申しわけないなということで、事故を起こしたところから10キロ圏外、あるいは20キロ圏外、30キロ圏外と出ていきました。その中で、皆さん、津波で亡くなった方々が助けを求めていたんです。3月11日の夜、助けてくれという声があって、私どもの消防団が助け上げてきた命、7名ほどおりました。ところが、この原発事故によって、助ける命も助けられないで避難してしまった。そういうことで、私ども、避難をして、そして、捜索活動が始まったのが4月15日ですよ。1カ月過ぎているんです。1カ月過ぎると、亡くなった遺体というのは、もう身元がわからない。183名の方全員、今、DNA鑑定ですよ。そういう形の中で、ほんとうに自分のお父さん、お母さん、子どもさん、その顔がわからない状況の中で、DNA鑑定をやった。遺体に対しても、尊厳があるんです。遺体に対しても、尊厳があるんですよ。したがって、そういうような精神的損害というのもあるわけでありますから、ひとつ項目に挙げていただきたい、このように考えております。
それから、損害賠償請求に関する弁護士等への委託料の賠償を対象としていただきたいと考えております。今、個人では請求がなかなか難しい状況になっておりますので、その弁護士への委託料の賠償をひとつお願いしたいということでございます。
それから、5項目でありますけれども、先ほど話がございましたように、早期に就労、事業を開始した者への賠償の配慮をしていただきたい。先ほどお話が出ていましたように、今、就労していない者との不公平感が出てきております。やはり避難生活が、大変厳しい状況の中で、早期に事業を開始した方もおります。そういう中で、今、一生懸命立ち上がろうとしておる状況でありますので、そういう形の不公平感がない形で賠償をすべきであると考えております。
それから、6項目であります。これは、避難民がもとの生活に戻るまで賠償の期間を確保していただきたい。これは先ほど来から話がございました。我々、区域の見直しの中で、3区域に分かれるような状況になってくると思います。そういう中で、やはり町を分断するわけにはいきません。さらに、もとの生活に戻るためには、相当なる期間が生じてまいります。そういう中で、できれば3月11日の日々の平穏な暮らしとなりわいを私どもは返していただきたいと思っています。やはりそういう状況が戻るまで賠償の期間は設定すべきであると考えております。
それから、7項目であります。財物価値の損失と減少に伴う損害の具体的な、そして詳細な類型化を早期に提示して、検査項目に加えるべきであると思っています。これも先ほど来からお話がございました。多くは語りませんけれども、今、やはり相当な財物の価値が減少しております。我々の評価額で言えば、ゼロです。ゼロの状況です。そういう状況を、やっぱり3.11以前の財物のもとに戻すような形の基準をひとつ設けていただきたい、このように思っています。
それから、8つ目です。地方公共団体の税収減と本件事故により実施した事業の賠償を対象にしていただきたいということです。我々、避難によりまして、税収が減少し、そして、手数料も減少しております。それで、我々は役場機能を避難した地域に、今、8カ町村、すべて役場機能を移転しております。その中でかかっている費用、相当な金額です。私どもの町で、例えば、2万1,000名に対して広報紙を配布する、あるいは町からの発信するお知らせ版、あるいは、いろいろな通知、そういうものをやるために、7,000万ほど郵送料なりかかっているんです。普通の年ですと、3,000万で済んだんです。それが7,000万もかかっているんです。そういうように、目に見えない支出が地方自治体にはあります。そういうことで、その地方公共団体の事業の賠償、あるいは税収減の賠償、それを検討項目に入れていただきたいと思っています。
それから、9番目であります。私からしますと、原子力紛争解決センター、これは現在の状況で、もう機能不全に陥っているんです。その強化・改善を図っていただきたい。このセンターが発足してから4カ月になりますけれども、約600件の申し立てに、3件しか和解が成立していないんです。そういう状況なんです。やっぱり今後も申し立てが増加するということになれば、ますます解決に向けて時間を要すると思われますので、センターの強化・改善を求めていきたいと存じます。
それから、先ほどちょっと話に出ました、10項目でありますけれども、この審査会は、被災地域の現状把握と意見交換のために、皆さん方が定期的に被災地に入って、どういう実情なのか見ていただきたいと思うんです。これは相当苦しいですよ。机上の理論では出せませんから、その実体験をしている被災地に来ていただいて、それを見ていただきたい、このように考えています。したがって、このような委員会を定期的に開催することを望みたいと思います。
それから、11項目です。先ほど話がございました、警戒区域等の見直しによる賠償にあたって、賠償の平等性を確保することを望みます。これは、やはりこの区域見直しが行われたときに、帰還困難な区域が出てきた場合、あるいは居住制限区域が出てくる、そして避難準備区域というような形の中で、一時は帰れるかもしれないという、そこには不平等が生じてきます。したがって、警戒区域の見直しによって、不平等性が生じないように賠償を確保していただきたい、このように思っています。
それから、先ほど井戸川町長からございました、この審査にあたっては、被災者の参考人制度、各階層、各年代から導入して、参考人制度を取り入れたらどうかということを提案したいと思っています。
それから、13項目めです。家畜による財物損害の賠償をすることを検査項目に入れていただきたいと思います。今、この家畜、大変な状況になっています。現状、中に入っていただくとわかりますけれども、そういう家畜よる建物価値喪失の賠償も検討項目に入れていただきたいと思います。
それから、14項目めです。除染作業に伴う財物の賠償を項目に入れていただきたい。今、私ども、除染のモデル事業をやっております。しかし、見ていますと、やはりいろんなところに財物がありまして、その財物は除染しないんです。要するに、壊れたらどうするんだろう、その責任はどうしたらいいのかということで、除染する作業員が気を使って、その財物価値に対しての思いが作業員にあるんです。思い切った作業ができないというような声も聞いておりますので、その除染作業に対しての財物の賠償も項目に取り入れていただきたい、このように考えています。
それから、最後になりますけれども、やはり我々、なりわいを営んできた商店街、この商店街の役割というのは非常に大切なんです。皆さんとのきずなを深める場所、そして、にぎわいをつくる場所、そして、地域のコミュニティをつくる場所なんですね。それをすべてばらばらにされちゃったんです。崩壊されてしまったんです。そういう中で、営々と築き上げてきたのれんとか、そういうものをやはり認めていくような賠償基準も設けていただくようにお願いをしたい。これはほんとうに、なりわいを持っていた方々は、お得意さんも喪失しましたし、それから、営々と築き上げてきた今ののれんがだめになってしまう。もうほんとうに100年、150年とやってきた商店が、すべてマイナスゼロになってしまった。そういう状況の中でありますので、ひとつそれののれん、あるいは商圏、そういうものを考えた賠償をも検討項目に入れていただきたいということをお願い申し上げて、要望にかえさせていただきたいと思います。
よろしくお願いします。
【能見会長】 いろいろご意見いただきまして、ありがとうございました。
次に、葛尾村の松本村長から、お願いいたします。
【松本葛尾村長】 葛尾村でございます。
我が村の現状は、20キロ圏内及び放射線量の高い北東部の一部を含む地域を警戒区域、残り全地域を計画的避難区域として指定されております。本村の放射線量の状況から見ますと、国から示された避難指示解除準備区域、居住制限区域、帰還困難地域の3地区に該当します。そしてまた、村の7割の地域は、避難解除準備地域、残り3割が居住制限地域、また帰還困難地域と、このように想定されるわけですが、地域コミュニティが分断されるため、今後、行政区の指定をしていただきたいと、行政区単位での指定をお願いしたいということでございます。
また、これまで指針に示された損害に関しては、避難による苦痛は期間が長くなるほど増していくものでありまして、いえていくものではないわけでございます。このことから、引き続き、村へ帰還できるまで継続して補償をしていただきたいということ。
また、財物の価値の減少につきましては、建物はもちろんのこと、農地や山林は、汚染により価値がゼロに等しくなっております。このようなことから、指針を早急に示していただきたいと思います。
また、先ほど浪江さんからも話がございましたが、生活費の増分ですね。私のところは飲料水は地下水とか湧水を利用して、それぞれ個人に引き水で水を使っておったわけで、今まで水道料がかからない、そういった生活をしておりました。こういった分を東電に請求しますと、それは精神的損害の中に含まれているとか、そういった返答のようでございますが、これは精神的損害とは全く別な問題だと思います。そしてまた、私のところなんかは2世帯同居、3世帯同居という、そういう同居の中で、仮設に行きますと、あるいは、借り上げ住宅と生活が分断されまして、そういった生活費の増加分、そういったのも、おそらく請求しますと、それは既に精神的な損害の中に含まれているという、そういうような回答のようでございますが、その辺は増分として請求できるように、ひとつお願いしたいと思っております。
それから、区域の見直しによる今後の課題ですが、長期帰還困難となると、生活の根本を失うことになり、生活再建に力点を置いた損害の認定を早急に示してほしいということ。
また、建物については、評価額でなく、再建築を考慮した損害の補償、また、土地につきましても、評価額でなく、再取得を考慮した損害の補償をと。
また、家の損害ですが、農業などは、農業の基盤である農地を失うため、根本的な十分な損害補償がされるべきだと考えておりますので、その辺につきましても、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
ただいま、順次ご説明、あるいはご要望をお聞きいたしまして、これから質疑応答といいますか、いろいろ議論していきたいと思いますけれども、時間の予定としましては、2時ちょっとぐらいまで十分時間はとれると思いますので、その間、いろんな角度から、ただいまのお話をもとにしながら議論していきたいと思います。ただ、2時まで休憩しないというのも、少し長すぎるかもしれませんので、議論の途中になるかもしれませんけれども、適宜10分ぐらいの休憩を入れて議論していきたいと考えております。
それでは、少しこちらからいろいろ、今のお話を伺ったことについての、またさらにこちらからのいろんな考え方、あるいは意見、あるいは質問等があれば議論していきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
いかがでしょうかといっても、いろいろ今日たくさん論点が出てまいりましたので、少し私のほうで論点を整理したほうがいいかと思いますので、その論点から少し落ちているものもあるかもしれませんけれども、幾つかの大きなグルーピングをしたいと思います。
第1は、避難に伴う生活費増加分というんですかね。通常の生活費については今まで慰謝料の中に含められていて、それを超えるものが実はたくさんあるんだという、最後のお話もそうだったと思いますし、それから、途中でもそういう話を伺ったと思います。そういう意味で、避難に伴う損害、特に生活費、あるいは宿泊も含めてですが、これについて果たして十分な賠償になっているのかということについての問題点があったと思います。
それから、2番目は、精神的損害の問題でして、多く、何人の方からも、額が途中で減るのはおかしいというご意見であり、それからまた、精神的損害についての項目、何を対象とした精神的な損害なのかというときに、新しい精神的損害というのが認められるべきではないだろうかというお話もございました。これは、特にまた後でご議論、追加でまた補足があれば、ご説明いただきたいと思いますけれども、戻ってからの後も、いろいろと従来と同じような生活にはすぐには戻れないということからくる賠償というんでしょうか、これも精神的損害の賠償としてするのか、あるいは、また違った項目なのか、それも含めて、大きな意味では精神的損害についての問題だろうというふうに思いました。
それから、3番目は、財産的な損害というんでしょうか、これもいろんな問題点がございましたけれども、この財産的な損害の中で、私が今重要だと思いましたのは、最後にご指摘いただきましたけれども、ものが汚染されて、家屋・土地が汚染されて、その交換価値というんでしょうか、今まで事故前に持っていた価値を賠償するというのが一応賠償の基本的な考え方ですけれども、おそらくそれでは十分でないというご指摘があったんだと思います。特に、そこにもう一回住みたいという場合に、新たにそこに建てるための費用というのは、交換価値とは少し違う要素もありますので、そういったものをどう考えるかと。それ以外にも問題点はご指摘いただきましたが、広い意味での財産的損害、賠償というのをどうしたらいいかということでございます。
それから、あとは期間といいますか、この賠償は一体いつまで認められるかという終期の問題でして、これも精神的損害の場合が一番重要な問題だと思いますけれども、これも精神的損害として賠償する対象が、今まで避難に伴う生活の不便というものから、将来に対する不安とか、あるいは、今日はあまりお話に出てきませんでしたが、放射線被曝による、そういう健康に対する不安、いろんな精神的損害の対象が微妙に時期とともに変わってきていると思いますので、それも含めて、終期というものをどう考えたらいいのか。
それから、この精神的損害に関連して、これも賠償の公平という問題ですが、賠償をもらえる人ともらえない人がどうしても出てくる可能性があるわけですけれども、その間の不公平というものをできるだけ少なくしてほしいということであったと思います。
それから、同じように、今の幾つかの項目にまたオーバーラップしますけれども、区域の見直しに伴って生じる賠償、これも、どういう賠償指針を設けるかによって不公平がないようにということですが、ここら辺はまだ現実に生じていない、これからの区域の区分に伴う賠償なので、多少まだ抽象的な問題ですけれども、そんな点もあったかと思いました。
もちろん、今のもの以外にもいろんな論点はございましたけれども、大きく分けると、今、私が5つぐらいに分けて整理してみましたけれども、もしこの整理の仕方、議論する上で、この点もやはり共通して大きな問題だということがあれば、最初にご指摘いただけるとありがたいんですが。あるいは、そちら側からも、この分は足りないじゃないかということがあれば、どうぞご発言いただいて結構でございます。
どうぞ。
【井戸川双葉町長】 双葉町長です。
再度繰り返しになりますけれども、中間指針ということが、いつの間にか作業されておりましたけれども、その中間指針を出すにあたって、現状、我々の事情、それから、いろいろな包括的に、その判断基準というのはあったと思うんですけれども、単純に交通事故の事例を持っていったということなんでしょうか。それとも、十分な調査のもとに、あの中間指針は出されたんでしょうか。
今、問題となっている10万円の問題ですね。これは以下はない、以上ということになっていますけれども、私たち首長の立場で言うと、国にかわって、いろんな住民からの苦情を受け付けして毎日いるわけですね。そうしますと、その部分で、国に全部上げていなくて、国にかわって解決している部分も相当数あるんですね。そういうことも踏まえて、この苦労をどういうふうに評価されるのか。なければ、こんな思いしなくてもよかったんですよ。もうほんとうに毎日苦情を受け付けています。
また、苦情を受け付けるということは、住民には苦情がそれだけあったということなんですよ。先ほど申し上げましたけれども、一かけらのもののようにと私は極端な話で表現しましたけれども、そんな感じもいたします。仮設に入ることが、我々はそういうことでよかったのかということもありますので、常識の世界で言うと、加害者があった場合には、まず十分な謝罪をします。謝罪を受け入れてもらうまで謝罪をします。そして、どうしてほしいかという話を聞きます。そして、合意に至ったら、そのようにします。それで、完全にその合意の成果が出たときに、確認を求めます。これでいいでしょうかと。そこで、いいですよと、そういうことで物事は通常は解決しております。しかし、今回については、非常に我慢を強いられているというふうに、私どもは一様に感じておりますので、我慢の代償というのは我々がすべき立場なのかどうか、これもやはり判断していただかなければならないと思います。
通常の常識的な加害者と被害者の間では、当然、見舞い行為も行います。いろんな意味で、その謝罪を誠心誠意尽くして、初めて合意がなって、そして完成をして、通常にまたおつき合いをするというのが一般事例でございますが、今回の事象に関しては、全くそういうことが反映されておりません。要するに、中間指針のないものは東京電力は対応しません、10万です、それ以上はありません。これは二次被害ですね。あるいは、今後またこのような状態が続くとすれば、三次、四次、五次、永遠に被害が続きます。この部分も、多くを望むわけではございません。損害を認めていただいて、損害を賠償してもらえば、それで結構です。その積み上げは損害分だけで結構なんですが、損害を1円でも我々はこうむる理由があるものなのかどうかということもお考えいただいて、この賠償問題には取りかかっていただきたいと思います。
それから、賠償の判断というのは個人差がございます。私はこういうことを感じたので、ここまで請求したいというふうになると思いますので、その限界を第三者が果たして決めてしまっていいんだろうかと。当事者が自己責任の中で限界を決めるべきではないだろうかと、そんなふうに思うんですが、いかがでしょうか。
【能見会長】 今、おそらくこの審査会の役割、あるいは、指針というものの性質、そういうものについての疑問、ご意見があったと思います。これはかなり根本的な問題ですので、私の考えている限りのことをお話しいたしますけれども。
この審査会のそもそもの役割といいますのは、おそらく、この事故は、本来であれば、当事者、責任を負うであろう原子力事業者と被災者、被害を受けた人たちの間の本来個別的な損害賠償の問題ですが、被害が非常に多数、広くわたっているときに、迅速に賠償するということも非常に重要なことですので、そういう意味で、この審査会というものが賠償の指針というのを設けて、特にその指針というのは、裁判でいけば認められるであろうという賠償を一応念頭に置きながら、しかし、多数いろんな個別事情はあって、いろいろみんなばらばらですので、賠償する東電も納得して、迅速に支払ってくれるような、そういう意味で、共通の損害みたいなものを指針の中で取り出して、中間指針とか、あるいは、その補足の指針として出してきているというものでございます。
そういう意味で、これを前提として、指針に書いていないから賠償しないという考え方は、もともとおかしい。東電がそういう言い方をしているということは、私も聞き知っておりますけれども、それについては毎回毎回、審査会としても、この指針の性質というものは、そういうものではなくて、個別の事情に基づいて生じる損害については、指針が上限になるものではなくて、それ以上の損害賠償というものは認められるというのが大原則でございます。
その上で、賠償の問題をもう一回考えますと、なかなか指針と実際の被害との間の差で難しいのは、これが財産的損害とか、あるいは治療費とか、そういうものであれば、これは実際にかかった損害というものをすべて賠償するということで済むわけですが、ただこれは、しかし、個々の人によってそれぞれ損害が違うので、審査会としては、できるだけ共通なものはくくり出して、賠償がスムーズにいくようにしているつもりですけれども、どうしてもやっぱり個別に対応しないと難しいところがある。これは指針に基づいて、ADRが個別の申し立てを受けて、和解が成立するようにあっせんをするという場でもって、個別の事情に基づくプラスアルファの損害というものが認められていくというふうに考えております。そういう仕組みでございます。
先ほどから交通事故との比較というのが出てまいりましたが、指針といいますか、審査会としては、この原子力損害というものが交通事故と同じであるということは一言も考えておりません。ただ、慰謝料を決めるときに、こういうふうには考えました。それは、慰謝料って、もちろんいろんな慰謝料があるんですけれども、まずは避難されている方の、自宅から切り離されて、コミュニティから切り離されて、仮設住宅だとか、あるいは不便な場所で生活をすることによって生じる、そういう意味での不便さ、これはまず慰謝料の対象になるであろうと。ただ、この不便さによる慰謝料というのは、これはどんどん大きくなるよりは、大体同じか、少し低減する可能性がある。そういう意味で、10万から5万に減っているというのがそういう考え。ただし、不便さのほうは多少緩和されるにしても、長期に戻れないという状態が続くことによって、将来に対する不安というのはかえって高まることもあるだろうし、これは別途といいますか、そちらの様子を考慮して慰謝料を増やしていくということは、あるいは、増やすといいますか、それを考慮して慰謝料を考えていくということは当然のことであり、ADRが今5万円を追加して10万円支払っているのは、その部分を考慮しているからということでございます。ということで、交通事故と同じように考えているわけではございません。
あと、この審査会にどういうメンバーが参加して意見を述べるべきかというのも、何人かの町村長さんからご指摘がございました。これは私がどうこう言うべき問題ではなくて、こういう制度が組み立てられていることについてどう考えるかということですけれども、私の理解では、おそらくこの審査会というのは、最大の目的は、やはり賠償がスムーズに行われて、被災者の皆様がその賠償を受けられるようにということを最大の目的にしているわけですけれども、その際に、やはり中立的な立場で指針を設けることによって、被災者のご意見を聞くことはもちろん当然ですけれども、あるいは、その実情を調べるのは当然ですけれども、東電の側も、この指針ならば率先して賠償しようということで、賠償が迅速化されるというところに1つのメリットがあると思います。
ただ、実際には、被災者と東電の間では、事故を起こした責任者と、それから被害者ということで、当然対立はたくさんあるわけで、この対立が先鋭な部分について、審査会というのは、これははっきり言いまして、なかなか踏み込みにくいところがございます。これはなぜかと言えば、もし、例えば慰謝料の額についても、東電が明らかに反対して賠償を渋るだろうというような額は、なかなかこれは東電がスムーズに払わないということになってしまって、かえって結局指針が機能しなくなる。指針というのは、東電を縛るものではなくて、これはあくまで東電が自主的にその指針に基づいて賠償するものですから、結局、東電がどうしても嫌だと言われてしまうと動かなくなってしまう。じゃ、東電の意向を聞くのかというと、別にそういうことではなくて、これはもちろん普通の損害賠償の場合であればどうであるかというのを調べた上で、東電側としてもそう反対しにくい賠償というものを決めていくというのが指針の役割であると思っております。
繰り返しになりますが、今のような形で決めると、これは被災者の皆様からすると、自分はもっと損害がある、もっと精神的苦痛をこうむっているということがどうしても出てまいりますが、これは先ほど言いましたように、個別的な事情というものを整理して、ADRでまた和解に持っていく。そこでもうまくいかないところは、残念ながら訴訟にいかざるを得ないんですが、できるだけそこにいかないように、いろんなステップ、特に指針ではスムーズに賠償がされるということを目指して、その中身を決めているということでございます。そういう意味で、不満を感じられるのは私も当然だと思うんですけれども、なかなかそこは痛しかゆしといいますか、迅速な賠償ということからの制約というのがございます。
それから、もう一つ、この審査会、この際お話ししておきたいことは、審査会というのは、やはり原賠法で決まっている原子力損害というものの賠償についての指針、それプラス若干アルファがあって、今のように迅速化するために指針を少し設けることもできますが、基本は損害賠償ということで、裁判であれば認められるような賠償というのが基本的な考え方です。ところが、この間にもいろいろ、損害賠償だとほんとうは無理なんだけれども、政策としていろいろ補償というのは考えられるという問題も大分出てきておりまして、ここの線引きは審査会として非常に難しい問題だと考えています。審査会自身は、政策について踏み込むことが、これは権限の問題としてもできないということで、政策――いろいろこの賠償の問題の中には、今日も幾つかあったと思いますけれども、賠償というよりはむしろ政策の問題だというのもあるんですが、これは申し上げましたように、審査会としては入れないところもございますので、そういう意味では、審査会の限界というふうにお考えいただけるとありがたいと思います。
総論的なことで、今ご意見がございました点について、とりあえず私からのお答えでございます。もしさらに何かご意見があればどうぞ。
【井戸川双葉町長】 ありがとうございました。
各論に入らせていただきます。先ほど、賠償事例ではなくて、補償事例として、実例として、請戸漁協の問題があります。これは7・8号機増設に絡む漁業補償だと思いますが、詳しくまだわからないところがありますので、わかっている分だけ話しますけれども。
これは、船を持って漁業を営んでいる方には一律5,000万円という補償をされております。そして、船に乗っている方は3,000万円の補償がされました。これは、どちらも、船も壊れていません。海域で魚がとれなくなる場合の補償だと思います。したがって、家族も壊れていません。そして、住居もコミュニティもすべてあって、毎日日常生活できる状態の補償で5,000万円ということがされております。これは馬場町長さんのほうが詳しくわかっていますけれども、そういう実例、東京電力が払った実例もございますので、これはぜひ参考にしていただきたいと思います。お願いします。
【能見会長】 はい。
【井戸川双葉町長】 答えはあれですけれども、参考実例にしていただきたいと思います。
【能見会長】 これは調べた上で、参考にしたいと思います。
【井戸川双葉町長】 ありがとうございます。
【能見会長】 どうぞ。
【馬場浪江町長】 先ほどの委員長さんのお話なんですけれども、先ほど話しましたように、東京電力そのものが、いわゆる紛争審査会の中間指針に載っていないから賠償できないということなんですよね。要するに、お墨つきのような感じでものを言ってくるわけです。福島県のいわゆる損害対策協議会、220団体以上ありますけれども、その団体がすべて要望書を出したのは、皆さんの審査会の指針に織り込まれていないからお支払いすることはできないということの回答なんです。もうすべての回答がそうなんです。中間指針にないから、中間指針にうたっていないからということなんですね。
そうなりますと、委員長さんの立場ではどう言われるかはわかりませんけれども、やっぱりこの委員会の中で真剣になってその項目をいろいろ検討して、そして、早くその指針の項目に追加をしていただかないと、いつまでたっても解決できないんです。ですから、私どもは、この紛争審査会が、先ほどADRの話も出ましたけれども、これ、申し立てしたって、3件しか和解していないですよ。600件申請して。ですから、これがやっぱり審査会がきちっと項目を出していただければ、これは動き出すと思うんです。その辺、どうでしょうか。委員長さんが答えられなかったら、別な委員の方でも結構ですんで。
【能見会長】 一般論として申し上げますと、先ほども言いましたように、この審査会というのは、指針として出しますから、その指針に当てはまらない人が賠償を請求するというのは適当ではない、どうしてもやっぱりある程度一般的に皆さんに見られる損害というのを、まずは指針の中身にしております。
ただ、そうすると、個別的にはそこに入ってこないものがあって、じゃ、それはどうなるのかというと、これは先ほどの繰り返しになりますけれども、一般的な基準を出しているので、そこには個別的に書かれていないものがあっても賠償の対象にならないということを指針は言っているわけではなくて、それは東電がどういう対応をしているかについては調査をしたいと思っていますけれども、指針に書いていないからそれは一切賠償の対象にならないという意味で東電がもし答えているのであれば、それはまず答えの仕方が間違っている。これは個別の賠償、損害があれば、その賠償を、証明がどこまで出るかという問題はありますけれども、個別の賠償を指針は否定するものではなくて、むしろそれは個別に賠償されるべきものであるというのを、指針の中でも何度も繰り返しておりまして、したがって、指針そのものが問題というよりは、東電の対応の仕方の問題であると思いますので、そこはまた審査会でどの程度調査できるかわかりませんけれども、ADRも含めて調査したいと思っています。
その上で、さらに今日いろいろ何点か具体的に、こういう損害項目を追加してほしいというご要望がございました。これについては、逐一検討して、指針として書けるかどうかについては、検討した上で、審査会としてのちゃんと答えを出したいと思います。
どうぞ。
【遠藤川内村長】 田中先生もいらっしゃるんですけれども、実は、今、除染への作業工程、ロードマップが示されました。それぞれの町村で置かれている状況が違いますけれども、進んでいくんだろうと思いますが。先ほどの財物補償の問題で、例えば、少し時間がかかるような財物補償への判断基準と、今、除染によって即示さなければいけない判断基準があるんだろうと思います。例えば、里山なんかも、除染していくと、その樹木への財物補償、それから植木なんかの財物補償、こういったものは、やはり短期的なもの、それから長期的なものに分けて、早目にその指針を出すということがいかがなんでしょうか。
【田中委員】 除染についての、そういった今ご指摘の問題はあるというのは認識しているんですが、賠償審査会ではまだ一回もその辺について議論していないので、今日いろいろご指摘ありました、先ほど会長がまとめていましたけれども、財物、いろいろな種類があると思いますが、それをどういうふうに扱うかというのは、今後、この審査会でも議論すべきことかと私は思います。
【松本葛尾村長】 よろしいですか。
【能見会長】 ちょっと待ってください。今の点、もうちょっと詳しくお話を伺ってよろしいですか。長期的、短期的という。
審査会としてはまだ十分議論をしておりませんので、私の単なる意見ですけれども、森林とか、里山とか、これもだれかの所有物である場合と、公共の所有物である場合があるかもしれませんが、こういうところにおける汚染、それから、それに対する除染などをすれば、当然また費用がかかりますし、その賠償であるとか、あるいは、その価値の減少による賠償とか、これは財産である以上は、原則的には賠償の対象になるものだと考えております。
ただ、早急に賠償すべきものと、それから長期的なものとの区分けという部分が、まだ必ずしも私はよく理解していないところがありますので、その点、ちょっと補足でご説明いただけるとありがたいんですが。
【遠藤川内村長】 現実的に効率的な除染を進める上で、立ち木、樹木が汚染されて、これはもう枝を落とすよりも、伐倒したほうが、倒しちゃったほうがいいよ、そのほうが効率的だよという場面が現実に報告されています。こういった部分が、実は財物補償の問題と重なって、判断ができないのが現場です。ですから、こういった問題については、早目にその結論を出してもよろしいのではないでしょうかということです。
【能見会長】 わかりました。要するに、除染するために財産を毀損するといいますか、それによって財産、木を伐採すれば、木全体の損害ということになるわけですが、それが賠償として発生する、あるいは、その所有者に損害として発生することを考えると、なかなか除染自体が進まないという問題がある、そういうことですね。わかりました。これはちょっと検討させてください。
どうぞ。
【松本葛尾村長】 今の件に関してですけれども、これが山林から20メートルを除染するというような、そういう形でモデル実施しましてね。モデル実施しても、やっぱりそのことが問題になって、例えば、私有地であれば、自分の土地ですから、自分の山ですから、それはわりと簡単にけりのつく話なんですけれども、おそらく他人の山という、そういう箇所が結構多いんですね。自分の家のすぐそば、20メートル圏内にしても、そういった箇所が結構多いわけですよ。ですから、今後、除染を進める上で、そういった部分がはっきりしていないと、除染も中途半端になっちゃって進まない。あるいは、やっても効果が出ないという、そういうケースがありますので、やはりそういう部分をきちっとやって。ほんとうはモデルからそれでやってほしかったんだけれども、その期間がない、中途半端になっちゃったという部分があるわけで、そういった対物補償について、きちっとした指針の中で出してもらわないと、なかなか今後の除染を進める上でも大変なことになってくるんだというふうに思います。
【能見会長】 除染に関連しては、審査会で出せることというのは、その除染に伴って、先ほど、伐採して財産的損害が生じれば、それを賠償の対象とするかどうかとか、あるいは、除染の費用をどうするかとか、あくまで損害賠償の部分ですので、どうやって除染をするかという大方針について何か言えるというわけではございませんけれども、賠償に関連する範囲で、十分問題点を整理した上で、対応を考えていきたいと思います。
先ほど申し上げましたように、この後まだ時間があるわけですけれども、もしよろしければ10分ぐらい休憩して、またその後再開するというのはいかがでしょうか。
(「はい」の声あり)
【能見会長】 じゃ、これから10分休憩ということで、45分から再開と。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、ただいまから12時45分まで休憩に入りたいと思います。
傍聴者の方でございますが、一回ここを出ていただく際に、再入場の際に必要な登録証をお渡しいたしますので、それを忘れずにご退席をいただきたいと思います。12時45分にご着席いただければと思います。
以上です。
( 休憩 )
【能見会長】 それでは、再開したいと思います。議論の続きをしたいと思います。
まず、先ほど少し審査会の性質とか、あるいは指針の性質、指針に書いていないということがどういう意味を持つのか、あるいは逆に、書いてあることはどういう意味を持つのか、そういうことから幾つかの議論がなされたということでございます。
もうちょっと具体的なレベルで、先ほど私がまとめましたように、例えば、避難を続けている間の生活費の補償が足りないのではないか。日常の通常の生活費分は慰謝料の中に含まれると仮にしたとしても――指針はそういう立場をとっているわけでございますが、それを超える生活費の増加分というのがたくさんあって、そういうものの賠償というものをきちんと指針でもって扱ってほしいということでございました。
あるいは、精神的損害の額の問題、精神的な損害の中身の問題、ここら辺はもう少しご議論いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
どうぞ。
【井戸川双葉町長】 先ほども申し上げましたけれども、我々首長は、町村民の皆さんの苦情を一手に引き受けているわけですね。ほんとうにつらい、そして、答えることのできないことを聞かれるわけですね。ほんとうに心を痛めながら対応しているわけですけれども。そういう感覚から行くと、さきの野田総理の面前でも申し上げましたけれど、私の例で言うと、私はもう1日10万ぐらいが妥当かなという話をさせていただきました。これは私の考えであります。それぞれの皆さんが、やはり受けなければならない、あるいは、受けなくてもよかったことが、今受けるということで、苦情を受けるという、そういう対応を迫られるということは、本来受けるべきでないものを受けるためには、それぞれ10万というのは、1カ月10万の方、あるいは1日10万、あるいは1カ月50万、100万、いろいろあるかと思います。ここをやはりうまく整理をしていただいて、なかなかいい方法というのはないかもしれませんけれども、正当に判断できるようなものが、そういう事例が示されるといいのかなと、そんなふうに思っております。
【能見会長】 今の市町村長の立場で対応されるときの苦労といいますか、難しさというのは、私としては理解できるつもりでございます。これは審査会としても同じような悩みを抱えているわけでございまして、被災者の方はほんとうに千差万別といいますか、いろいろ違うので、それぞれに対してきちんと対応はしたいけれども、ある人に当てはまることは、こちらの別な人には当てはまらないということがあったり、そういう意味で、この審査会としての基準の出し方の難しさ。例えば、これは言わずもがなかもしれませんが、仮に、1人毎月50万の慰謝料を出そうという指針を出したといたします。そうしますと、もちろん、そのぐらいの損害をこうむっている方、あるいは精神的な苦痛をこうむっている方ももちろんたくさんおられると思いますけれども、どういう範囲の人たちにそれだけの慰謝料を認めるかというときに、仮に、これも安全をとって、非常に広い範囲でもしそれを認めると、そうすると、中には、自分たちは放射線の被害をもろに受けて、実はもっと大変なんだ、向こうの人はそんなに被害を受けてもいないし、ほとんど影響も受けていないにもかかわらず50万円もらっていて、自分たちはこれでは足りない、というような不公平感というのが生じてくると、これはどう対応したらいいのか。
金額をただ多くすればいいという問題でもなくて、これは前に言いましたように、やはりこれは損害賠償ですので、東電が納得してといいますか、合理的に考えれば納得して、賠償として支払うという金額を定めることになりますので、そういう意味で、ただ金額を多くすればいいというものでもない。また、多くしたとしても、実際に損害をこうむっている方と、それほどでもない方の間の不公平の問題はやはり残って、そこら辺がなかなか指針の難しさで、おそらく市町村長さんの皆様方が対応するときも、同じような問題を抱えておられるんだろうと思います。しかし、できるだけご意見を伺って、できるだけ望ましい形の指針をつくりたいと考えている次第です。
どうぞ。
【井戸川双葉町長】 ただいま申し上げたのは、1つの実例として申し上げて、私どもがそういうものを望んでいるのではなくて、そういういろいろあるあろうと、立場においてですね。そういう意味で申し上げているんで、これは避難されている住民の皆さん、被害を受けている皆さんに誤解されると困りますので、1つの実例を申し上げました。
【能見会長】 わかりました。
【井戸川双葉町長】 だから、最終的には個人の価値判断の自己申告になるかと思いますので、そういう中で今日私の意見はとらえていただきたいと思います。
【能見会長】 はい。
【井戸川双葉町長】 なお、今、被曝の問題が出ました。これは私の考えなんですが、被曝については、自然界にある放射能においてさらされることは、被曝ということは言葉にならないんだろうと思います。したがって、今回の事故によって被曝することは、すべて被曝だと、そんなふうに考えております。被曝の濃度が高いとか、低いとか、あるいは、何年後に発症するとかしないとかというのを、今だれかが言うようですけれども、これはあってはならないことだと思うんですね。それぞれ個々人の事情が違ってきますので。ただ、言えることは、被曝をしてしまったことは、これは事実でありますので、この事実は絶対認めていかないと、その被曝をさせられた方の権利というか、被曝させられて、いや応なしに住んでいなければならない人たちが精神的な苦痛を抱えながらいることは、これは大変許されないことだと思いますので、この辺もだんだんと整理していかなければ、我々もいかなければならないなと、そんなふうに考えております。よろしくお願いします。
【能見会長】 どうもありがとうございます。
どうぞ。
【遠藤川内村長】 置かれている町村の被害状況によって、大分違ってきます。ひょっとしたら、こんなことを言うと、ほかの首長さんに怒られるかもしれませんが、実際、先ほどの賠償問題ですよね。これが住民の気持ちをどうなえさせていくかということも、やはり考えてほしいと思いますね。つまり、その賠償づけによって、働く意欲とか、耕作意欲とか、そういったものがなえていくということも、これはそれぞれの町村で違います。ですから、すべてのものがお金で解決できるかというと、そうではないような気がしてなりません。確かに国や東京電力が最終的にはきちんと補償をもって責任を負うということは必要だと思いますが、これが未来永劫にということになれば、これはもう人間そのもの、住民そのものをやはりだめにしてしまう、そういう要因もあるのではないかということを、僕は今少しずつ感じています。ふるさとに戻ろうとか、何とかひとり立ちして、働いて、労働の対価としてお金をいただこうというのは、これは自然だと思いますが、そういう気持ちまで、ひょっとしたら賠償づけによってなえてしまうということをとても怖がっています。
僕、1時になったら出なくてはいけないんですが、1つだけお願いしたいのは、今、自営業とか、会社なんかをやられて、実はその損害賠償額をもらって、それでも自分たちで営業をやっていくと。そうすると、営業利益が出たときに、賠償額から引かれると。そうすると、何とか地元で営業をやろうと思っていても、そういう気持ちまでなくしてしまうというようなことを聞いています。ですから、この辺は、動機づけのために、こういう非常時ですから、自分で働いて利益が出たということは、その賠償額から引くようなことのないようなことも必要ではないでしょうか。
【能見会長】 今の点は審査会でも議論をしておりまして、営業の場合、それから、個人の就労の場合も同じかもしれませんけれども、単純に損害賠償の理論をただ形式的に当てはめると、今のように、営業利益が出たり、あるいは、就労して収入を得ると、その分は損害賠償額からは控除するというのがおそらく一般的なんだと思います。しかし、審査会としては、問題意識を同じように共有しておりまして、やはり実際に生活を再建する努力をされている方が不利益をこうむらないようにということで、今、いろいろ検討しているところでございます。
では、どうぞ、お先に。
【馬場浪江町長】 先ほど、将来の健康不安に対する影響、そのお話がございました。私どもの町は、いわゆる原発の事故が起こしたところから隣接地なんですよ。それで、避難した経過が、一切国からも、東京電力からも、原発事故が起きているよと連絡がなくて、テレビを見て、そして避難していったんです。やはり当時は、事故を起こした地域から離れれば離れるほどいいということで、私どもの頭の心理としては、遠くに出ていこうということで避難していったんですね。それは皆さんご存じだと思いますけれども、避難していった先々が、SPEEDIの公開がなかったために、放射能が拡散していったところに逃げていったんですよ。ですから、先ほど井戸川町長が話ししていました、この8カ町村、皆さんもう被曝しているということなんですね。ですから、私どものほんとうに子どもさん、特に子どもさん、20代から30代、そして今の学生さん、その健康が心配なんです。私どもで今考えているのは、健康手帳、被曝手帳、そういうものをつくりながら、何らかのチッソ病、あるいは水俣病にならないようにやっていきたいと今考えております。そういうことも、やはりこの精神的損害に加わってくるのではないかと思います。
さらに、私どもの、どこでもそうなんですけれども、小中学生の子供が1,700名おりまして、その中の900名が県外に出ているんです。親御さんの話を聞きますと、戻りたい、昔の同級生に会いたいというようなことが、子どもにとって精神的に非常につらい判断をしているなというような感じがするんです。戻れないんですね。放射能が濃いですから。やっぱり親御さんにとってみれば、放射線量が低いところで普通の学校生活を送っていただきたいということを今やっているんですけれども、ただ、子ども自身にとってみれば、やっぱり昔の級友に会いたいとか、昔の先生に習いたいとか、そういうことが非常に私ども行政には来るんですよ。「町長さん、ほんとうに戻れるんですか。戻れないですよね」というような話になりまして、ほんとうに心詰まるんですけれども。やっぱりそういうことまでも含めて、教育についての損害賠償的なものも、やっぱり考えていただいたらなと思っています。
以上です。
【能見会長】 精神的損害の対象となる苦痛というものをどういうふうに見るか。先ほど言いましたように、単に避難していて、避難先で不便な生活をしているというものから、だんだんと将来の不安、健康不安、いろんなものに、今、精神的損害の対象となり得るというものが徐々に明らかにになってきたといいますか、いろいろ変わりつつあるという状況だと思っております。
それに対しては、審査会としても、調査、ご意見を伺う、それから、理論的な検討も含めて、今、検討している最中でございます。ただ、審査会は審査会として、賠償として十分なものをもちろん指針に盛り込みたいと思っておりますけれども、同時に、今のお話なんかを伺っておりますと、やはり実際に生活がもとどおりに戻れるのであれば、そのための施策、そういうのを伴っていかないと、ほんとうの意味での救済にならないなという感じはいたしますね。これは審査会のマターではないかもしれませんけれども、そういうものをにらみながら、賠償としてできるのは何かというのを考えたい。
ただ、あくまでやはり損害賠償ですので、そこで、最初に申し上げたように、政策であれば、財源の問題はありますけれども、あまり賠償ということにとらわれないで、いろんなことができるんですけど、審査会はやっぱりそこまではいけないので、そういう悩みも抱えているということもご理解いただいた上で、しかし、皆様のご意見を十分反映できるような検討をしたいと考えている次第です。
先ほど、中島委員ですか、何かもし。
【中島委員】 帰られましたけど、川内村の遠藤村長のご指摘の、働いているとかえってその収入分が賠償から減らされるという点ですが、特別の努力をして、その収入が入った場合には、引かなくていいという解釈がされているので、この非常時で特別な努力で利益を上げているんだという解釈をなるべく弾力的にすることによって、賠償額から引かないという解釈も可能ではないかということは1つ言えると思います。
もう1点は、戻ってからの大変なご苦労もあって、慰謝料がまだ指針に盛り込まれていない項目があるというご指摘については、もう一つは、まだ物的な損害についての指針が出ていないところもあって、その賠償が進むことによって、少しカバーされるところもあるかもしれないと思うんですけれど。
この2点を指摘したいと思います。
【能見会長】 どうぞ。
【遠藤富岡町長】 ただいまのお話なんですけど、発災後1カ月なら1カ月営業を停止した、せざるを得ない。その後、もうこれは必要不可欠のために、業種によっては、これは再開しなければもう復興できない、そういう業種がたまたまありました。そこで、今回の賠償の中で、ご指摘のように、利益が出て、利益が出たために、その間の差っ引きで、その間の1カ月なら1カ月の休業の補償も出てこない。そういうことを私のほうにも問題提起しましたので、さっきの川内の村長のお話にございます。これはしっかりと、ただいまのご回答、これは見直していただきたいと、こういうふうに思います。
それから、あと、これは10カ月半もたちまして、ますます避難住民の心がもう最高限度に達しています。そのために、我々行政も非常に対応に苦慮しています。先ほど委員長が、自動車事故に対する中で、時間が経過すればある程度精神的な障害が緩和されると。そういう意味で、9月以降は5万円という形にしたのかと私は思いますが、我々は、今、逆です。もう時間がたてばたつほど、避難町民もそうですし、我々も、どんどんと苦痛というか、精神的なものがもうパニック状態になっているということを踏まえまして、これは3月以降についての精神による賠償についてはお示しがないわけでありますから、これはしっかりと、速やかにこれを提示していただかないと、ますます住民の不安というか、そういうもの、あるいは不信というものについて、もう限度に達すると思いますので、これについてはお答えいただきたいと思います。
さらにまた、仮払金の100万円とか、そういう話の中で、これは見舞金という話が今たくさん出てきております。本払いにおいて、例えば、精神的な損害賠償ということで、月10万が8月いっぱいまで60万になるわけですね。仮払金から差っ引くと、マイナス40万というケースがたくさん出てきました。正月迎えられないという状況の中での、そういうような不合理が出てきたんですよね。これは、私、直接東電の本店にお伺いしまして、これについて改定、見直しをさせていただきました。ですから、こういうことがいろいろな盲点というか、形式的な社会的な考え方をされると、そのようなケースがたくさん出てきます。ですから、この辺も踏まえて、住民の考え方に対してのそういうご理解を賜りたいと思っております。
【能見会長】 今のはいろんな論点に関連しているわけですけれども、1つは、やはり財産的損害とか、あるいは、収入を失った、仕事を失ったことに対する賠償というのはまだ進んでいなくて、今のところ、慰謝料頼みみたいなところがあるわけですね。慰謝料は、これは一律に賠償しますから、あんまりああだこうだ言わなくても東電は賠償に応じてくれるわけですが、それ以外のものについては、証明がないとか、損害がないとかいうことで、いろいろ拒まれたりして、やっぱりなかなかそっちの財産的損害の賠償は進んでいないと。
そういう中で、慰謝料というものがある意味で重要性を持っているわけですけれども、そこに多少過大な役割を慰謝料が今持たされているところもちょっとある。それは慰謝料をどうこうするという問題ではなくて、現実の問題としてそういう状況があると思います。
そういう意味では、私、もともとこの指針を考える際も、なかなか財産的損害とか、収入を失った損害というのは、証明を伴ったりすると賠償は進まないだろうと。そういう中で、やっぱり慰謝料というのをできるだけ――これは前のJCOの事故のときは、慰謝料は原則賠償しないという方針でしたけれども、今回はやっぱり慰謝料というのは非常に大きな意味を持つというふうに考えて、慰謝料を1つの柱にいたしました。ただ、その金額については、いろいろご不満もあるということは、もちろんわかっております。したがって、今後も慰謝料というものが持つ意味というのは、理論的な意味で重要であるだけではなくて、実際にもそれを頼りにせざるを得ないところがあるので、その重要性は十分踏まえた上で慰謝料を考えていきたいと思っております。
3月以降どうなるかという問題、これはご関心がおありだと思いますが、これはまだ審査会でもやっと議論を少し始めたところで、これから集中的にするところですけれども、これもいろんなケースがあるので簡単に一般化できませんけれども、今度、区域の線引きといいますか、区分けの仕方が変わってきて、それで、20ミリシーベルト以下の放射線量になっているところで、インフラ整備が整うと――その整うというのは、どの程度のことをいうかがまた問題ですけれども、指定が解除されて戻れる地域、それから、居住が困難、帰還困難という3つのタイプがあるわけですが、それぞれに応じて慰謝料というものについては、少なくとも戻れない時期については、そのまま続きますし、それから、もう一つ問題は、避難指示が解除されて、それで、戻れるときに、本来はインフラがちゃんと整備されて戻るというのは理想にしていますけれども、しかし、なかなかそうは簡単にいかないであろうと。そうすると、戻った後も、その戻った人についても、やはりそれなりに不便というのは続くかもしれないので、これについても賠償はどういうふうに考えたらいいかというようなことも、今、理論的には考えているところでございます。ただ、なかなかこれは、今簡単に、それは当然賠償の対象になりますよとも、ここで今お約束ができるわけではなくて、そういう問題意識を持ちながらちゃんと検討はしておりますけれども、それについてさらにまたご意見があれば伺い、それを考慮しながら検討するということをしたいと思っております。今言いましたように、解除されて戻った後の賠償がどうなるかというのは、1つのほんとうに大きな問題だというふうに理解しております。
どうぞ。
【野村委員】 先ほど浪江町の町長さんは、たしか、新しい3つの区域が分けられたときに、損害賠償について、平等性を確保してほしいという、お話をなさったと思うのですが、その平等性というのは、どのような意味でしょうか。それぞれの区域ごとに損害を個別に考えていくと、金額に差が出る可能性もあるかなと思うのですけれども、少なくとも、例えば現実に戻れるまでの間は、その3つの区域のどこにあるかにかかわらず、同じような基準によるべき(したがって同じ金額によるべき)だというお話なのか、それとも、それぞれの個別の地域によって個別に考えて、たまたまその結果として、区域によって、損害賠償の金額が違ってもいいのか、その辺、ちょっとお話を聞かせていただければと思います。
【馬場浪江町長】 実際に、こういうことがあったんです。私どもの地域は30キロまでありまして、30キロ圏内の方と、それから、30キロ圏外に住んでいる方もいらっしゃったんです。それで、補償の問題、賠償の問題で、その30キロで、ほんとうに隣なんです。葛尾の村長さん、こちらにいますけれども、私と隣で、こちらには出ない、こちらには出るというような状況が出ましたので、これはおかしいんじゃないかと。同じ浪江町の方々で、隣の方がいただいて、隣の方がもらえないというような状況では、これは不平等だろうと。もし政府としてできないならば、これは義援金の話です。それでやった場合には、私どもの町で負担しましょうというような形にしたんですね。
ですから、例えば、今の3区域に分かれた場合に、そういうような状況が出てくる場合もあるんです。例えば、いわゆる20ミリシーベルト以下の中にもスポットがありまして、こちらのほうは戻れない、こちらのほうは戻れると、ほんとうに隣近所の方が分断されてしまうという状況の中で、そういうことで、やっぱり平等に公平に扱っていくためには、賠償の問題についても、やっぱり区域を見直して、差別をしてはだめでしょうということなんです。
そういうことで、ひとつこれから今後区域の見直しがされた場合に、非常な決断をしなければならない問題も出てくるということでありますので、ひとつご理解をお願い申し上げたいと思います。
【能見会長】 いいですか。
【野村委員】 結構です。
【能見会長】 今のような線引きといいますか、戻れる人と戻れない人があって、戻れない人については、避難を続けているということの賠償が続くのが原則ですけれども、戻れる人については、避難しているということについての賠償は、当然、そこで終わりになるというので、その差が合理的かということと、それから、今のように差が生じると、ほんとうは戻れる人も、戻るインセンティブを欠くので、結局、市町村の復興に役立たないことが生じる、そういう問題点があるんだろうと思います。
できるだけそういうような波及効果というんでしょうか、賠償がもたらす予想外の効果というものについては、そういうものが生じないように慎重に考えたいと思いますけれども、ただ、戻れた場合に、これはまだ検討もしてないので、私の個人的な意見ですけれども、先ほども言いましたように、仮に戻れた場合にも、そこがそれなりにインフラ等が十分に整備されていないということになると、金額は同じかどうかわかりませんけれども、そういうことによる賠償みたいなものは理論的にはあり得るかもしれないとは考えております。ただ、完全に同じにできるかどうかというのは、これはもうちょっと検討してみないとよくわからにところはありますが、ただ、問題意識は十分理解したつもりでございます。
では、どうぞ。
【田中委員】 ちょっとよろしいですか。
【能見会長】 じゃ、先に伺って、その後でいいですか。
では、どうぞ。
【渡辺大熊町長】 先ほどお話ししたように、私たちの大熊町というのは、全町が警戒区域でございます。それで、賠償に関してもいろんな意見があるのは、これは当然だと思いますけれども、特に今度は範囲がだんだん広くなっていますし、それはそれで評価できるんですけれども、逆に、私たちの3キロ区域というのは、もう一時立ち入りも最後までできなかった。そして、全体として800人くらいですから、声としては小さいんですが、その人たちの苦痛というものもやっぱりしっかり考えていただきたいと思っています。
先ほど言われたように、お金を出せばいいのかというと、確かにそうではないんですけれども、不公平感とかなんか、いろんなところから見ると、原発の基地ですから、大変な苦痛なんです。それで、これからも区域の見直し等が図られると思うんですけれども、その辺の人たちというのは、もう帰れないのかなというようなあきらめにいったり、いろんな計画的な避難区域とかなんかとは違って、ものすごい苦痛というものを感じております。人数が少ないので、なかなか声としてあらわしにくいんですけれども、その辺も、今後の区域の見直しについては、十分考慮していただきたい、そんなふうに思っています。
それから、賠償問題というのは、我々の町の復興計画にも大きな影響を与えます。ですから、ある程度もう帰れない人というのは、もう早く賠償とかなんかについて、スピード感を持って対応してくれと。そうすると、もう次に自分たちはどういう生活をするかですとか、人生設計というものを立てやすい。ですから、大変人数も多いし、いろんな多岐にわたって大変だと思いますけれども、ある程度スピード感を持って賠償については対応していただきたい、そんなふうに思っています。
【能見会長】 はい。
どうぞ。
【田中委員】 今、大熊の町長さんからもあったんですが、先ほど浪江の町長さんからもありましたけれど、区域割りはここのマターではないんですけれども、特定避難勧奨地点というような区域のやり方をやったことによって、その対象地域の行政区とかがばらばらになっちゃったということがありますので、私のほうから国のほうにお願いすることは、区域のそういった指定というのは、あんまり線量率とかなどで、それだけではなくて、やはり行政のいろんな状況を踏まえた区域割りをしていただかないと、今度は賠償のほうの議論にも非常に影響があるなということを思いましたので、ぜひこの場をかりてお願いしておきたいと思います。
【能見会長】 それから、今直前に話がありました、原発の近くで、帰還困難といっても、ほんとうに10年、20年、あるいは、もっと長くかかって、現実にはほとんど戻れないに等しいようなところというのは、私も素人ですけれども、直感的にはそういうのがあるだろうと思うんですね。そういう場所についての、あるいは、そこに住んでおられる方についての賠償というものも、やはり早く、どういう形の賠償があり得るかということを、この審査会では検討したいと考えております。
例えば、今までは、慰謝料などについても、毎月幾らというような形で賠償を認める指針を出してきましたけれども、これはいずれは戻れるという前提のもとで、そういうときの賠償として考えてきたわけでございまして、もしこれがほんとうに、どのぐらいの期間をもって戻れないと考えるかは、これはまた慎重に考えなくてはいけませんけれども、もし20年も戻れないということになると、毎月毎月その賠償をしているという方式自体が必ずしも適当ではなくて、これは新しい生活を再建することを目指そうと考えている人たちからも、おそらく毎月毎月では何も新しいことはできない、むしろ一括してすべての分を賠償してもらいたいという要望も、当然あり得るんだろうと思うんですね。そういうことも、この審査会では検討したいと思っております。
ただ、なかなか難しいのは、それは住民の皆さん一人一人がおそらく違う考え方を持っておられて、ある人は一括賠償してもらいたいという人もいるでしょうし、いや、自分はやっぱり何十年たっても戻りたいので、一括賠償ではなくて違う形の賠償のほうがありがたいという方もおられるでしょうし、そういうときにどうしたらいいんだろうかということを、審査会としても悩んでいるところでございます。
これはもうちょっと議論が煮詰まるといいますか、こちらでも議論が進み、また、そちらのご意見も伺うということになると思いますけれども、人によってそれぞれ違う賠償の仕方をとるということが、また住民間で違う選択肢をとるということになって、自治体の中ではまた困難が生じるかもしれないので、そんなところが問題点であるということを意識しながら、ほんとうに戻れない人たちに対する賠償というのをどうするかを、今これから検討しようというところでございます。
【山田広野町長】 先ほど委員長のほうから、戻れた場合とか、戻った場合の補償とか、そういう話が出ましたが、今後、どのぐらいの期間で戻れるのか。広野の場合は、緊急時避難準備区域も解除されました。役場も、役場の機能も3月には戻そうというような格好に今頑張っているところなんですが、しかし、町民の方が戻るといっても、田畑の作付もできない、そういうようなところに戻って何をするんだ、何をして我々稼いでいくんだと。3.11前は、じいちゃん、ばあちゃんらは畑で野菜をつくって、直売場に出して、そして、自分の小遣い、若い夫婦は会社に勤めて、そしてやってきた。ところが、こうなって、じいちゃん、ばあちゃん、高齢者といいますか、そういう方の稼ぎが全くなくなっているというようなことで、昨日かな、環境省の方にもお願いしたんですが、とにかく作付もできないようなところに帰れ、帰還しなさい、帰還して何かやりなさいというようなことは、全く私は言語道断かなというように考えているんですよ。
だから、私は、作付は絶対今年はさせなくてはならないなという考えでいるんですが、これは国は全く、つくってもつくらなくても補償してくれると一言言ってくれればいいんですが、一切それが、もう12月から言っているんですが、いまだかつて返事がない。そういうような中で、帰還に向けていろんなことを考えていこうかなと思ってやっているんですが、まず、先ほどほんとうに苦情処理というようなことで、我々はそれでもう目いっぱいになっているような状況にもあると。
だから、結論は、3.11以前に近くなるような生活ができるまで補償はしていただかないと、これから、解除しましたら、これは外します、解除しましたから、これは補償しません、そういうことは私はまかりならんということなので、国とよく打ち合わせをして、そして、我々の気持ちをくんで、ただただお金の問題ではなくて、戻って生活をしたいということが強く町民は持っているということを考えていただきたい。だから、私は、何年たっても、3.11に戻らない限り、補償は国は続けるべきだろうと、こういうふうに考えておりますので、その辺も委員会で厳しくひとつお願いしたいと思います。
あとは、我々には水道企業団は5つの構成町でやっていますが、これもダムをつくって起債を起こしたまま、支払わないで、もう職員の給料も払えないような、負担金も出せないような状況になっている。そういうものも何らかの手当てをしていただかないと。それから、広域圏組合の件もそうですが、そういうことに関して、それとこれとは別だと言われるかわかりませんが、何とか国に、この各広域圏組合なども、水道企業団なども、職員を抱えてやっていますので、給料を払わないと。職員もみんな避難しているんですよ。非常に大変な生活をしているんです。だから、そういうことも考えて、補償はきっちり、賠償はきっちりしていただきたいと。
東電云々といいますが、国策でやっているんですから、国が当然すべて補償すべきだろうと私は思っておりますので、その辺も加味していただいて、いい補償になるようにお願いしたいと思います。
【能見会長】 今のご意見も非常に重要なご意見であるというふうに私はもちろん考えておりますけれども、最初にも申し上げましたように、審査会自体は、賠償を対象とする審査会ですので、それを超えるところまではいけません。そういう意味では、どこかに限界はありますが、ただ、今のご指摘が非常に重要な点は、こういうことにあると思います。
今まで区域の指定などが解除されて、戻っていいという、そういう意味での解除がされている。しかしながら、実際には、インフラの整備とか、あるいは、今のように作付ができない状況、これも、どういう意味で具体的にできないかというのは、いろんな意味があるのかもしれませんが、作付ができないような状況で、生業をそこで営むことができない。そういう状況が続いているときには、これは戻ったとしても生活ができないという意味での損害が生じているので、そういう損害というものは賠償の対象にしていいのではないかと、そういうものとして、審査会としては受けとめたいと考えております。これは避難をしないで営業されていて、つまり、避難指示区域外の話ですけれども、そこで風評があるために収入が得られないのと、ある意味同じ問題が、そこで戻っても生じているということなので、そういう賠償の問題として、この審査会では検討したいと考えます。
【山田広野町長】 よろしくお願いします。
【能見会長】 どうぞ。
【中島委員】 今の広野町の町長さんのご指摘について、参考までに質問させていただきたいんですけど。この作付ができない理由なんですけれども、それは田んぼの農地の除染が進んでいないからですか。
【山田広野町長】 はい。それは当然、農地の除染も進んでいません。それと、風評被害も出るだろうと。そういうことで、つくっても、なかなか流通は不可能であると。
ただ、私は、農業はやっておりませんので、農地のほうのあれはわかりませんが、先輩方らに聞きますと、収穫終わりまして、11月からはうなって、そして、一冬、除菌といいますか、凍らせて、しみらせて、そして、来春に向けて、4月に向けて田植えをできるようにつくると、相当な時間がかかるということなんですよ。それで、除染もできない、そして、風評被害もあるという中での作付を私はさせたいというのは、まず3年なら3年、稲をつくって、そして稲にわらに吸い上げらせて、そして、またそれを処理して、そしてまたつくって、作付して、そしてまた吸い上げらせてと、そういう方法でないと、私は、除染といっても、農地の除染は、反転とか、ゼオライトとか、そういうものをまいてできるのかもわかりませんが、その前に、やっぱり水は上から全部流れてきますので、人の田んぼを通って、そして、水もらいますよと言って、次の田んぼに行くわけですよ。必ず水が川から自分の田んぼにだけ上げるわけではないんですよ。こういう水路がありまして、すべて上から流れてきているんですよね。そうすると、自然と、放射能は流れませんよといっても、何らかのあれで流れてきた場合には、一番下の田んぼまでいくわけですよね。だから、そういうようなことを考えると、私は、除染は非常に不可能なのかなという考えを持っていますので、作付をしてもらって、そして、それを3年なら3年やって、線量をはかりながら、測定しながら、そして、これは大丈夫ですよというようなことをしてもらい、それを国は補償していただけませんかと。つくった分、作付した分と、それから、農地がつくれなかった人の分もやっぱり入れて補償してくれるのが、私は国の役目ではないのかなということで、先ほど話しさせていただきました。
【能見会長】 よろしいですか。
今、生活費、精神的損害、作付等になりますと、少し財産的な損害にも入ってまいりましたが。先ほどご指摘いただいたご意見の中の1つに、財産的損害についての問題点を指摘されるご意見が何件かございました。必ずしも私が十分理解したかどうかわかりませんけれど、その中の1つの問題として、財産的損害を、単に交換価値だけを賠償したのでは足りないと。もう一度そこに戻って住んだりするためには、再調達価格というんでしょうか、修繕で済むという場合には、その修繕費、除染も含めれば、その除染の費用、そういうものを賠償してくれないと困るというご意見があったと思います。
これについても、多少は審査会でも議論したんですが、今ほどその点が焦点になっていないために、まだ十分議論していない点がございますけれども、どういう賠償をするかというのは、まず基本的な考え方は、本来は交換価値といいますか、そのものが持っていた価値が今回の事故でもって失われたというので、以前持っていた価値を賠償するというのが基本ではありますけれども、ただ、前の価値を賠償しただけでは足りない分というのは、やっぱりあり得るわけですね。これは放置したために修繕しなくてはいけない。あるいは、除染のためにも相当な費用がかかると。こういう修繕とか除染のための費用のほうが、かえって交換価値よりも高くなるという場合も想定されるわけでして、そういうときにどういう賠償をしたらいいかという問題点がございます。
これも今の段階では一般論しか申し上げませんけれども、本来は交換価値の賠償ですが、ただ、農地であるとか、住んでいた宅地であるとか、ある意味では代替性がないというんでしょうか、皆さんはやっぱりそこに住みたい、もとのところに住みたいというご希望でしょうから、そういう意味では代替性のない財産が毀損、汚染されているときには、修繕などにかかって、それが交換価値を超える場合であっても賠償になる、損害賠償の対象になるという考え方ができるように思われます。そういうことで、財産的価値の一般的な賠償の仕方については、皆様のご心配をちゃんと受けとめまして、考え方を明らかにしたいと思っています。
ただ、それ以外にも、もうちょっと複雑ないろんな、先ほど幾つかご意見がございまして、必ずしもよく私も理解しなかった点もございますので、財産的損害についての賠償で、さらに何かご要望があれば、お聞きして検討したいと考えておりますが。
どうぞ。
【井戸川双葉町長】 2つほど。
損害というのは、知らされなかったために発生した損害というのもあるんですね。これはこれから整理して、何がそれに当たるかということをしていきたいと思います。まず、情報が後出しになってしまった、後出しにしてしまった、これが私にとっては非常に不愉快な話であります。もう一つ不愉快なのは、大事な会議の会議録がなかった、つけなかったという、これは仕事をしていなかったということに値しますので、これは国民に対する背任行為であるというふうに私は思って、大変国民をばかにした言動だなと思っております。これらについての損害があれば、またお話をしたいと思います。
もう一つ、賠償支援機構法ができることについて、私はよかったなと。一企業が対応できる額ではないんで、これでもって我々も不自由しなく、正当な損害請求できるなというふうに期待していました。しかし、あの目的を見たときにがっかりしました。原子力発電所の安定運転に資することを目的とするということにくくっているんですね。何なんだと。賠償に使うためにということなのに、原子力発電所の安定運転に資すること、これは何だ、問題はちょっとずれているのではないだろうかと、そんなふうに思いました。
したがって、今、東京電力の一部社員の話ですが、大変資金繰りに苦労しているというふうに聞いております。そして、何でかというと、今やっている修繕費用に大変お金がかかって苦労しているという話を聞いておりますので、当然、賠償に回るお金がないのではないだろうかというふうに思っております。だから、支援機構法の法のもとに、どう機能しているのか。これがもし機能していないとすれば、当然に我々の賠償が遅延を起こす原因なのかと。この辺、ちょっと調べようがないものですから、ここをひとつお調べをいただいて、何が原因で賠償が遅延しているのかという、ここも大事な要素だと思いますので、よろしくお願いします。
【能見会長】 審査会としても、賠償がスムーズに進むということについて、重大な関心を持っておりますので、調べたいと思います。
ほかに。どうぞ。
【草野楢葉町長】 楢葉なんですが、このたびの20キロ圏内見直しの中で、帰宅できるだろうという予想で今いるわけなんですが、特にこの予想が、3月以降に入れるということになりますと、どんどん入る予定が、皆さんが一日も早く家に帰ってというような気持ちがあるんですが、我々行政から言いますと、がれきの処分もさることながら、今、除染のことも手いっぱいなことで、おそらくは1年そこそこ、2年もかかるんじゃないかと。これからインフラ整備に入りますね。そうすると、もう2年以上は、中へ入って生活の基盤ができないのではないかというような考えなんですよね。だから、そういう意味では、我々行政も、いろいろ交付金もなくなっているわけなんで、それにかわる財源というものが、まだ担保なっていないわけなんですね。そういうようなことで、帰宅できる住民の方々の、入ってもいいよというような状態になっても、二、三年は、これ、おそらくはインフラ整備が完了するまでは入れないと思うんですね。その間の補償、これが担保できるのかどうかというようなことを、住民の方々も大分心配しているんですよね。
そういうようなことで、帰っても若い者が職場もないというようなことですから、当然、この補償をもって生計を立てる以外に方法はないんじゃないかなというようなことですから、とにかく行政としても、一日も早く若い者が帰れる職場をつくらなきゃならん。こういうふうなことでございますので、先生のほうも、これは生活のための雇用の場ですから、これは当然我々の要請にどういうようにこたえてくれるかというようなことは、ほんとうにむちゃくちゃなことを言うようなこともあろうかと思います。これは生活のために、皆さんが一生懸命ふるさとをつくろうという考え方でございますから、その基盤づくりは政府のほうで担保していただきたい、こういうような、私は考えなんですね。これから先、住民がふるさとへ帰って、安心・安全に、またふるさと再生のために一生懸命やろうというような考えを起こすには、やはり職場がないと、これ、どうにもならないことなんで。我々の若い者の勤め先というと、ほとんどが原子力関係に勤めた方が多いんですよ。そんな関係で、今、原子力が止まっているという状態でございますから、これから先は、原子力の雇用にかわった雇用の場、これを選択していかなきゃならないことだと思うんですよ。そういうようなことで、そろそろ政府と我々と、4月にはこれ、一時帰宅はできるんじゃないかという見通しなわけですから、この方向性を早く見出していただきたい。こういうようなことでございますから、この補償と、それから、その間の雇用の場の確保のために、政府のほうも一生懸命取り組んでいただきたいなと、このように考えているところでございます。
それから、水道のことは広野町長のほうからもちょっと出ましたが、我々も、できるところから、水道も大分破壊されている状態で、インフラ整備なんかも非常に問題点があると思います。そういうようなことで、この事業推進のためにも、財源的に、水道企業団そのものも、今、容易でないということでございます。だから、そういうようなことですから、その方向の事業費への補償といいますか、そういうものも援助していただきたいなと。我々も、どうもむだ遣いにならないような方法で、できるところから、インフラ整備と並行しまして、水道を引っ張らなければならない。これは生活に欠かすことのできない水道ですから、これはどうしてもやらなければならない事業でございますから、政府のほうも、これを町のほうにはバックアップしていただきたいなと。これは水道企業団負担ではできないんですよ。町のほうの負担でやらなければならないと思うんで、その辺を我々も計画を組んで、これからあるだろう仮設住宅で、各部落、津波のために家屋が消滅されているわけでございますから、その方向づけが、今まで住んでいた場所とかかわった高みに、そういうところを選択していかなきゃならない状態でございますから、そういうところに水道も何も引っ張っていないんですよ。そういう事業をこれから推進しなければならないことと、それから、仮設住宅建設のために、そういう事業費もかかるんで、それは町のほうに極力バックアップしまして、そして、住民の住みやすい環境づくりに協力していただきたいなと。
我々も、これ、何十年も国のエネルギー政策に協力してきたわけですから、ここへきて、ぽんと、これはだめだ、あれはだめだということを政府のほうから言われても、これ、やりようがなくなっちゃうんですよ。我々行政としても。これ、我々も生きなきゃならない使命感があるわけでございますから、当然、お国のため今まで協力してきた我々の地域を目線で見ないように、ひとつご協力のほどをお願いしたいというような考えでございますので、この点も強く要請していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【能見会長】 今のお話もなかなか難しい問題をたくさん抱えておりまして、ご要望はよくわかりますが、審査会自身は、何度も繰り返すように、損害の賠償の指針をつくるところで、また、審査会自身は文科大臣の下にはありますけれども、政府の機関として指針を決めているわけではなくて、独立な意見を出しているところでございます。そういう意味で、今のご要望は、おそらく審査会に対するご要望と、それから、政府そのものに対する要望と、両方入っていたというふうに理解いたします。
その上で、今の話も関連するし、前にほかの町村長さんからもお話を伺いましたが、自治体自体がこうむっている損害というんですか、先ほど税の収入という話もありましたし、自治体自体がこうむっている損害、これは審査会でも一応議論はしたんですが、必ずしも徹底的に十分したとも言えないところもあるので、これはひとつ今日ご提案といいますか、ご意見の中に出てきた問題として、検討したいというふうには考えております。ただ、これもちょっとお約束はできませんが、自治体がこうむる損害というのは一体何なのか、一体どこまでが賠償という形で対象になり得るのかということについては、今日はそういう方面の専門家は欠席しておりますけれども、いろいろ議論がございましたので、とにかく問題点として受けとめた上で、また審査会で引き続き検討したいと思っております。
【草野楢葉町長】 よろしくお願いしますよ。よろしくね。
【能見会長】 はい。
どうぞ。
【馬場浪江町長】 営業損害の補償の関係なんですけど、紛争審査会においては、基本的には従来と同じ、または従来と同等の営業活動を営むことが可能となった日とするということが述べられていますね。
【能見会長】 はい。
【馬場浪江町長】 いわゆるもとの生活、もとの事業活動が展開できる状態までということなんですけれども。
【能見会長】 そうですね。
【馬場浪江町長】 これ、先ほど来から話が出ていますように、もとの状態にまで戻れるということですね。これは3.11以前ということになると思うんですけれども、この判断が非常に難しいと思うんですね。要するに、先ほども話しましたけれども、8カ町村全部、もう県外に出たり、もうばらばらになってしまっています。したがって、営業を開始するのにも、お得意さんがもういない。それから、商圏ももうみんなばらばらになってしまった。という中で、営業がもとに戻るというのは、なかなか容易ではないんですね。ですから、そこの判断がこの審査会でも非常に難しい判断になると思うんですけれども、現在、その営業損害については、どのような指針で臨んでおるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思うんですけれども。
【能見会長】 今、その部分について、現在、審査会で議論しているわけではございませんが、指針をつくった際に、その点は検討いたしまして、抽象的には、もとの状態に戻ったときが、少なくとも営業損害の賠償の終期といいますか、終わりであるというのは、おそらく一般的にはそうなんだろうと思います。ただ、完全にすべての条件が同じになるわけはないので、どうしてもそれは今までと全く同じにはおそらくならないんだろうと思うんですね。そうしますと、じゃ、一体いつまで続くのかということになって、なかなかその判断は難しいんですが。
私、これはまだ個人的な意見ですけれども、例えば、従来と比べて50%ぐらい、あるいは60%ぐらい収入が復活するという状態もあるでしょうし、なかなか100%までは戻らないだろう。そういうときに、しばらくはこの差額分、従来のを基準にして、その減収分というのが営業損害として賠償されると思いますが、ただ、今言いましたように、この原子力発電所の事故もあり、環境も全部変わり、そういう意味で、全く完全に同じにはならないというときに、いつまでも、ある意味でその差額分を細々と賠償していくのか、やっぱりあるときに、これはほかの理由でもって営業を失う場合も同じですが、営業を失ったということで、今までの営業分についての一括した賠償というんでしょうか、それをするということで、またその賠償金をきっかけにして少し営業形態を変えたり、あるいは違うことを考えたり、そういうことのできるようなことを考えるということも、1つの賠償の仕方だろうと思っております。
おっしゃったように、いつまで営業損害についての賠償をするのか。これは就業というか、職を失った賠償も全く同じなんですが、この点は、今後といいますか、これから次に検討しなくてはいけない重要な課題だと思っております。ちょっと抽象的ですけれども、以上です。
大変長くご議論いただいて、いろいろ審査会としてはありがたいご意見、それから、耳の痛いご意見ございました。これらはすべて真摯に受けとめて検討したいと思います。
次の予定もございますので、一応このぐらいにしたいと思いますが、もし最後に何かおっしゃりたいことがあれば。よろしゅうございますか。では、今日はほんとうにいろいろ貴重なご意見、ありがとうございました。審査会で検討したいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、ちょっとここでまた。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 ここでまた少し休憩をとらせていただきます。傍聴者の方、先ほどと同じ手順でございます。今から10分強、2時5分にご着席、席にお戻りいただくようにお願いいたします。
以上です。
【山田広野町長】 よろしくお願いします。
【草野楢葉町長】 では、どうも、よろしくお願いします。
( 休憩 )
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、休憩を終了しまして、次のセッションに入らせていただきたいと思います。
それで、議事次第のほうでは、この後、川俣町長は、永田副町長がご出席の予定でございましたが、議会の関係でどうしても来られないということで、代理といたしまして、原子力災害対策課の佐藤課長補佐からご説明をいただくことになってございます。
それから、あと、午後でございますが、16時までを予定してございますが、16時を過ぎた段階で、能見会長が所用でご退席しなければならないので、4時を過ぎて延長された場合は、中島委員に進行を代理でやっていただくということになってございます。
それでは、能見先生、お願いします。
【能見会長】 そういうことで、4時になると失礼いたしますけれども、議論自体は活発にしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
それでは、最初に、田村市の冨塚市長よりご説明をお願いいたします。
【冨塚田村市長】 田村市長の冨塚宥暻と申します。
田村市の現状について。現在、田村市の都路古道の一部、20キロ圏内の警戒区域がございます。121世帯、約274名の方が、今、避難を余儀なくされております。その30キロ圏内については、昨年の9月30日に解除されておりますが、学校関係がどうしても再開できず、今、田村市内の2カ所において、古道小学校と岩井沢小学校という小学校が都路に2校あります。それが1カ所の学校で勉学に励んでいる。さらに、中学校も、小学校の校舎を使用して勉学に励んでいるところであります。じゃ、これから、昨年の9月30日解除されても、学校が再開されませんと、移動ができない。そういう中で、1カ所、診療所がございます。これは市の経営でありまして、都路診療所、これは再開しておりますし、さらには、警察、郵便局、JAたむら等々についても、すべて開業しておりますが、学校が再開しておりませんので、これについては、住民の方々が戻るか戻らないか、今、いろんな調べをしておりますが、なかなか学校が再開しないのではということであります。もちろん、幼稚園、保育所も当然でありますが。そして、田村市内に住んでいる方々すべてではありませんので、郡山へスクールバスを出して、三春を通って、田村のほうに入っている状況にあります。
そこで、我々、この紛争審査会でありますが、いろんな住民から、確かな情報かどうかわかりませんが、9月30日に解除されて戻った場合、賠償額が出ないと。となると、応急仮設住宅、あるいはアパート、親族のほうにいたほうがいいだろうということが聞かされます。正直者がばかを見ると。そうなれば、私は、帰還された方、戻られた方には、アパートが仮に6万円払っていますよ。ならば、戻った方には、3万円月々払います。いてもらったより、国も我々も得ですよね。相手もそうだと思います。そこで、いつまでにこの賠償を補償するのかという住民の切なる願いもあります。
いつまでかという話であり、そして、一番今困っているのは、同じ市民でありながら、一方では100万、さらには40万、最初ですね。そして、今度は20数万、そして、今回は8万と40万という。その方々は、税は負担ゼロです。医療費もゼロです。この同じ市民でありながら、一方ではゼロ、しかし、同じ仲間ですから、家族ですから、それは認めているものでありますが、しかし、田村市民の中の12~13%の方が避難、そして、今解除されておりますから、わずかです。その人のために我々も協力しているけれども、同じ原子力発電所の原発事故、放射能、あるいは放射線というなら、市として我々にどういう健康問題、あるいは補償問題、ゼロであります。そこに大きな格差ができて、お金にまつわると、当然ぎくしゃくします。コミュニティが壊れてくる。
もちろん私は、30キロ圏内のときに、私の指示で、同じコミュニティですから、一部を、30キロを超えたところで、緊急時避難準備区域にさせていただいております。じゃ、その隣の方は、地域は、いまだにどうしてですかという声が聞かされ、また、私のところに来ております。じゃ、その同じ、放射線がそこでストップするならいいけど、同じ田村市民で、放射線量の値がそれほど格差がないんです。なのに、そうなるとどうしますかということがあります。そういう意味では、早く帰還できるのにもかかわらず、それを阻害しているのが今の賠償の在り方がということにつながるかもしれません。
そしてまた、今度は20キロ圏内、今、今年の4月をめどに解除されるというお話で伺っております。これ、同じパターンをまた繰り返すことになります。ですから、今、一時立ち入り、明日、明後日、私のほうも入ります。ちょうど雪が降って、なかなか難しいものでありますが、すべて除雪をして、1軒の住宅の方にも入れるように、細い道もやっております。そういう状況下の中で、雪も少し降っておりますが、29日、無事にと思っておりますが、そういう方々の願いと、それから、別な角度というと、ぎくしゃくしてまいるというのがあります。
これ、一時帰宅の方々が4月に同じく解除された場合に、もう早目に、これは紛争審査会には関係ないかもしれませんが、早目に言っていただかないと、住宅の破損、どのくらい壊れているかというのは、自分の目では確認できません。確認できたとしても、水道管とか、あるいは屋根とか、畳とか、そこがどこまでいっているかというのは、業者に見てもらわなければなりませんし、そのときに業者というのは、解除になった後にしか入れませんよね。そうすると、また新築、いわゆる改築せざるを得ない方は、1年以上もかかってしまう。じゃ、そのときの補償はどうするのか。さらには半壊、あるいは一部修繕等々においても、いろいろと、どういう補償がされるのか。さらには、いつまでこの応急仮設住宅にいられるのか、目標は2年とか言いますが、果たしてそれで大丈夫なのかどうか。そしてまた、アパートにいる人と、親族のところにいる人と、あるいは市の外、市外と県外といったところに、どういう。いわゆる県外に出ている方々については、我々、遠くにいる。知らない地域で生活している。同じ田村市民で田村市内にいる方は、まだ地理的条件がわかっていいでしょう。私は他県に行って、周りの人もわからない、あるいは、子どもさんの教育、いじめに遭っているかもしれない等々の声が寄せられます。
そこで、本来ですと、人間の心と心のきずなです。本来は。しかし、今はお金によってそのきずなが崩壊されている。これは現実にあると思っています。人間まで、その心の豊かさ、それを貧しくして、あるいは、働きたいと思っても働けない。そして、生活保護の人も同じ。さらには、介護施設、今まで在宅でしておりましたが、他の地域に行った場合に、在宅を受けられない。その補償はどうしますか。さらには、我が田村市は、3歳、4歳、5歳、保育料、幼稚園、すべて無料です。無料にしております。でも、他のほうから来た方々については、市町村の条例によって、ほかから来た方は、保育料、幼稚園料、それをすべてゼロにしなさいと。でも、我々は、そうなった場合に、市としてのあらゆる公器以外、国から与えられた以外に、相当な財政支出をしております。じゃ、これをいつの段階でどのようにまとめていくかというと、それもまとめたとしても、出してあったとしても、いつ来るのか、それもわからないというふうな状況下にあります。
そして、戻った場合、帰還した場合に、田村市の場合に、農業が今年できるのかどうか、いまだに示されていない。そういう状況下の中で、戻ったはいいけれども、仕事ができない。会社も同じであります。しかし、農業が大半でありますから、林業、畜産等々においても、同じような声が叫ばれております。じゃ、そのときに生活の補償、いつまで、何年までこの補償をするのか、これらが明確でないということにおいて、我々は幾ら補償しますということができない市町村の立場であります。
ですから、説明の中では、東京電力も来て説明したことが、ちょっと我々と、この国から示されたものとまた違うところが数多く見受けられるところもあります。ですから、その辺は一本化していただきたいし、そして、警戒区域、あるいは緊急時避難準備区域が、今度は警戒区域が名称が変わります。名称が変わっても、20キロは20キロなんです。ですから、ころころ変わっていくと、紛争審査会のほうでは、こういう警戒区域は幾ら。でも、警戒区域の方々は、もう解除されている人と我々が何で同じなんですかという、仮設住宅にいても、アパートにいても同じですかという声が聞かされます。そういうことを公平、公正ということがあるでしょうが、なかなか難しいと思いますが、しかし、今、現に住んでいる方と、応急仮設住宅なりアパート、親族等々にいる方と、0対100です。そしてまた、同じ避難された方でも、帰宅できた方とできない、その格差は同じであります。
これをどうするかということで、ほんとうにこの補償については大変難しい問題だと思っております。それは課題としては。でも、同じ福島県内下でも、我々、市長会で、一方はいただけない、一方はいただける、賛同していただきたい。当然です。しかし、それがどこまでいくのかというと、最後になった場合に、せっかく国民から、あるいは海外から支援、義援金、物資の支援とか、あるいは叱咤激励の言葉を受けたのにかかわらず、いつまでもこれが長引くと、福島県は何だ、金のためか、県民が。これはあってはならないことだと思っておりますので。しかし、いずれにしましても、広島県と長崎県が、あの戦後の見事な復興をされ、今、世界に誇れる広島県であり、長崎県であります。福島県もそのように絶対なると思って、その礎と土台を築くのが我々であって、若い世代に、あるいは、その次の世代に、新たな母屋をつくって、日本の最高の観光地、あるいは県民性を発揮し、全世界にそれを発信していくべく、課題と思っておりますので、そういう紛争審査会なり、あるいは我々のほうで、一本だけということはなかなか難しいところはありますが、ご配慮いただきたいと思っております。
以上です。
【能見会長】 どうもありがとうございました。深刻な問題であるというふうに考えております。
それでは、少し質疑応答といいますか、意見交換をしたいと思いますが、委員の皆さん、いかがでしょうか。
一番気にされて、いろんな点がもちろん問題なんでしょうけれども、やはり賠償を受けられる人と受けられない人が同じ市内に分かれるということの問題を指摘されたというふうに理解しました。その中にも、さらにいろんな、どういう損害についての賠償を受けられる人、受けられない人、それぞれ損害ごとにいろいろ違った問題点があるんでしょうけれども。現在といいますか、あるいは、これから問題が先鋭化してくるであろうというのは、いろんな区域の指定が解除されて、あるいは、解除されないところもあるかもしれませんが、解除されて戻れる人と、戻れない地域にいる人、それから、戻れるという地域であっても、現実に戻る人と戻らない人、こういうところの差ですかね。
これも何度も申し上げていることですが、審査会は、実際に生じる損害の賠償についての指針をつくるところで、そういう意味で、できるだけ皆さんに公平に、差がないようにという理念は一方で十分理解しつつも、損害がない人の場合には、やはり賠償はできない、損害がある人についての賠償はするというのが、一応基本原則でございます。
その上で、しかし、戻れる人と戻れない人でどれほど差があるのかというのは、もう一度検討したいと思っています。例えば、避難している間の賠償というのは、これは避難をやめて戻れば、避難していることによる損害というのはやはりそこでなくなるので、避難していることによる賠償というのをそのまま続けることはできないけれども、ただ、戻れるといって戻っても、まだ生活の環境が十分整っていないことによる不便というのはあるかもしれないし。ということで、今そこは議論している最中なので、結論はどうなるかということはお約束できませんけれども、戻った人についても、不便が現実にあるのであれば、そういうものの賠償というのは検討の余地があるというふうに考えております。
それから、さらに、これも先ほどの前半部分でも出てきたことなんですが、戻っても仕事、生業がない、農業ができない、そういうことによる損害というのは、これはもともと避難したか、避難しないかに関係なく、原子力事故によって生じた営業に対する損害であると考えて、戻ってこられた方が前の仕事ができないというときには、仕事を失ったことによる損害というものが、これは永久に続くというわけではありませんが、一定の期間は続くというふうに考えております。
ということで、その差、アンバランスというのはできるだけ緩和したいと考えていますけれども、100%緩和できるかどうかというのは、実はなかなか審査会としても悩みの多いところで、難しいところがあるという認識です。ちょっと抽象的なお答えしか今しておりませんけれども、さらに何かご意見があれば引き続き、あるいは、ほかの委員からも回答があるかと思います。
今、これは田村市の場合には、今まで緊急時避難準備区域に一部が入っているという形ですね。
【冨塚田村市長】 緊急時避難準備区域は、昨年の9月30日に解除された。20キロ圏内、120世帯が。
【能見会長】 20キロ圏も入っているんですね。3つあるんですね、そうすると。
【冨塚田村市長】 そうです。ですから、わかっているようで非常にわかりにくい。
【能見会長】 なるほど、わかりました。どうも失礼しました。そうですね。警戒区域のところも入っていますね。この警戒区域の見直しがあって、そこもどうなるかがまだわからないわけですから、その中でも、戻れる人、戻れない人、あるいは居住制限といいますか、それから帰還困難、いろいろなものがあり得るということですね。
特にこの警戒区域の見直しによって、田村市の一部がどこに組み込まれるのか、3つの区域になるのかは、私どもの権限外の問題ですが、ただ、居住困難、それから帰還困難というのが続く限りにおいては、その人たちについては、避難による賠償というものはそのまま続くというのが、おそらく原則になります。原則というか、原則になります。
問題は、解除準備区域になりますと、これはインフラが整ったという段階で実際に解除されることになると思いますので、そこは戻ることができる地域になって、そこの地域において、また実際に住民の皆さんが戻るのか戻らないのかで差が出てきて、そこが一番賠償の仕方の難しいところだなというふうに私も認識しております。
ただ、繰り返しになりますけれども、居住制限、それから帰還困難については、いつまで続くかはまた別問題として、当分は、戻れない間は賠償は続きますので、ここは、そういう意味では、賠償に関しては大きく状況が変わるものではない。
この警戒区域の中で、避難指示解除準備区域ということで、一定の段階でその避難指示が実際に解除される状況が生じたときに、そういう区域がもう田村市に生じるというふうになった場合についての何か具体的なご懸念というのはございますか。先ほどのように、解除されても戻れる人と戻れない人がいるかもしれないとか。
【冨塚田村市長】 1つは、20キロ圏内、あるいは、その解除された地域もですが、例えば、住宅がかなりの大損壊をしていると、改築に1年余とか。
【能見会長】 かなりかかるかもしれませんね。
【冨塚田村市長】 かかるという場合、その場合には、仮設住宅も、市としては考えております。
それよりも、今言った20キロ圏内の方が、これから解除されたときに、その地域、ほとんどが農業なんですね。会社は合併前の旧都路村なんですが、3社企業があって、その3社はすべて他のほうに行っておりますね。
それから、もう一つは、我々のほうでちょうど都路地域に雇用の創出で、地権者の方のご理解を得て、測量に入ったんですよ。その会社が来る予定で。ところが、この3月11日でそういうふうになって、延びてしまったというのがあります。そういう場合に、補償がどうなるのかというのも、雇用の創出に一生懸命取り組んできて、約200名くらいの雇用の創出というふうになっているわけだったんですが、まだその会社が、放射能という関係で、今ちょっと見合わせていると。そこまで場所まで決まって。じゃ、それは結果論として、ほんとうに会社が来るか来ないかは決まっていないんだから、補償の対象にしません。
もう一つは、同じ地域、都路の地域で経営しているものが、同じ市内で移動したときに、新築して建物をつくるのは、これは補償にならないというふうなことになってくると、なかなかこれは難しいところがあって、復旧はもとの場所で復旧するんですといっても、その場所が警戒区域の隣ですから、そうなると、これは別な角度からというのもあります。
今、市としてやるというのは、田村市の場合、インフラはほとんどすべてが修理をしております。ですから、先ほど言ったように、警察官も、郵便局も、すべて宅配も来るようになっております。でも、20キロ圏内があるために、そこからは入れないというあれですね。
じゃ、どういう、市としてやるのかというと、1市2町で構成している田村福祉会というのがあります。そこに施設が仮に行ったとしても、働く人が今度はそこに戻りたくないという人もかなりいるそうであります。それをどうするかという。そういうときに、これ、1市2町の構成ですから、広域ですね。広域ですから、これからの課題としては、募集をかけてとなるんでしょうが、ただ、即集まって、こういう場所に来てくれるかという大きな課題が生まれてまいります。
それから、お医者さんの問題。もし仮にこういうところに来てくれないお医者さんがいたとすると困るなというふうなことで、今募集をかけておりまして、今2名の方が来てもいいですというお話を受けています。ですから、ありがたいこともあるわけですが。
ただ、インフラとか、すべてが整ってはおります。ただ、あとは問題は、住民の心の問題ですね。じゃ、行くか、行っても、お店屋さん、燃料屋さん、そういうのは大丈夫かと。そうすると、私は避難指示は楽だったと思います。戻ってくださいというと、今度は心の問題になりますね。そこが難しくて、どう対応していくかということでありますが。ただ、除染が先行してしまっているわけですね。除染。
【能見会長】 そうですね。
【冨塚田村市長】 どこまでかというと。
もう一つは、福島県内で生産していいと思うんです、私は。で、消費者に出荷する場合には、この値。ですから、お米でも、牛でも、林業でも、すべていいとならないと、またこの分野でだめ、今、米のところ、ここがだめとか、いいとか、こういう、もうそんな調査ばっかりで。だから、そうじゃなくて、つくっていいですよ。米として販売する、流通させる場合。ただ、自分でつくったやつが、兄弟とか友達に差し上げるときは、それは信用問題ですから、それは別であって、だから、国家体制できちっとした検査体制が、食品だとか、あるいは製造されたものも、そういうのがきちっとなっていれば。そうでないと、福島県がいつまでも汚染された地域とみなされますよ。だって、除染が終わるのはいつでしょうか、では。何十年かかりますか、これ。これ、一言でほんとうに除染除染と言うけど。
ですから、これだけの農地があり、そして山林があり、住宅があり、道路があり、すべてというのはなかなか難しい。あれだけやったとしても。我々も責任あると思うのは、市民に対して、どの辺までの放射線量ならば認めてもらえますかという問いただしをしたことはないですよね。みんなゼロだと思っている。ゼロなんて不可能です。そうすると、面積が広いから、除染したら戻りますと、今度は言われます。じゃ、どこが除染できるかですね。相当な年数がかかると思います。そうすると、そこにまた賠償の問題が絡んでくるわけですね。除染しないから戻れないんだよ、だから、ここにいるんです。じゃ、仕事場が、職場がないと言えば、いつまでというと、これもまた相手から言うと、仕事があったのに、その生活の糧を失わせたのはだれですかと言われた場合に、我々としては、雇用の創出でいろいろやっておりますが、じゃ、いつまでこれが続くのかという課題もあり、その財源はどこから出すのかということも出てきますよね。
その辺で、いろんな面で、市としても、健康管理とかホールボディカウンターとか、あるいは心のケアとか、あと、学校にもそういう心のケアとか、さらには、お医者さんにお願いして心のケアとかやっておりますが、ただ、これも、じゃ、来年、再来年、何年やれるんですかということも出てまいります。ですから、その辺でもなかなか難しい。
そして、1つだけ気になっているのが、これも赤ちゃんとか子どもさんに悪いというふうに報道されていますね。もちろん国もそうですが。じゃ、ほんとうに子どもさんに与える影響と高齢者に与える、ま、同じ人間ですね。年齢が違う。そこによって紛争審査会のほうでは8万円と40万円と出た根拠だけ、1つだけ教えていただければと思います。今言われている8万円と40万円。よろしいでしょうか。
【能見会長】 これは、私も放射線そのものの専門家ではございませんけれども、低線量の放射線の影響というときに、年間20ミリシーベルト以下の低線量の放射能の被曝の場合については、明確にどの程度の影響があるかということについては、現在、証明はされていない、しかし、そこは完全に安全だとも言っていない。そういう状況のもとで、子ども、妊婦は一般的に被曝に対して感受性が強いというのか、影響を受けやすいので、そういう意味で、子どもと妊婦についてはほぼ異論がないだろうということで、そこが賠償の対象になっている。ところが、それ以外の人になりますと、先ほど言いましたように、いろんな専門家のご意見があって、影響がないという意見もあるし、わからないという意見もあるし、影響はあるというご意見もあるかもしれませんが、意見がまとまらないので、そこは審査会がまとめきれない、意見が違う。だけど、みんなが大体認める線は、子ども、妊婦であろうというので、そこで線を引いているということでございます。
かつ、相当広い範囲にわたって認めますので、地域というのもかなり広い範囲について賠償の対象にしましたので、なおさらそこで子ども、妊婦に限らないでやる場合について、賠償の対象にするということについては、ほんとうに損害があるかどうかわからないときに、そこまで賠償できるのかという批判も考えられるので、審査会としてはそこで線を引いた。
ただし、審査会はそれ以上のことは何も言っていなくて、放射線量が相当に高いというところがあれば、これはまた個別に、例えば、子どもでなくても賠償の対象にはなる可能性はある、それを否定しているわけではない。ただ、これは線量の問題もあるし、個別的にADRのほうでもって審査をお願いしたいと、そんな立場でございます。そういう意味では、あまり異論のないところで線を引いているというところの問題なのかもしれません。
それから、先ほどのお話の中でも、また繰り返しになりますけれども、戻ってこようにも、職がないので戻れないという方、これは放射線の汚染というか、被曝の危険があるから戻らないというのとは違って、仕事がないから戻れないというカテゴリーの方がこれから大分出てくる可能性があるというのを、前半のご意見の中でも、また、今のご意見の中でも感じました。これをどう扱うかというのは、やっぱり1つ大きな問題だと思いますので、今直ちにどういう結論になるかは私もまだわかりませんけれども、重要な問題提起として、審査会で検討して、しっかりと答えを出していきたいと思います。
【冨塚田村市長】 戻れるか戻れないか、職があるかないかでなくて、それは確かにそうですよね。私は、今までいた会社に勤務された方が、その会社が遠くのほうに行ってしまったとか、あるいは休業した、それは補償になると思うんですね、実際は。これから就職しようとするのは、そこに職がないかというのは、運不運もあるでしょうが。ですから、今まで現実に農業を営んでいた方、そしてまた企業で働いていた方、その方々が、今あったものがなくなる、失われたというときには、それは補償の対象になると思いますよね。
【能見会長】 そうです。
【冨塚田村市長】 それがいつまでするかと。これはほんとうに運不運があると思いますよ。二十歳で勤めた人が、一気にこれから別なと言われても、なかなか難しい。これ、失礼な話ですが、定年が60歳になったときに、ちょうど60のときに迎えた人もあれば、年金をもらう65歳、この人がちょうど年金をいただいて。そういう見方をすると、一方ではそれだけいただいているのに、一方でいただかない。だから、そこに運不運というのがつきまとうということで、そこからいろんな話が出てくるわけですね。一方でいただいているのにかかわらず、一方では、働く場というのは、働いていたんだけれども、その職を失ってしまっている。しかし、その人をどこに就職させたらいいのかというと、またこれも難しい問題がありますよね。
【能見会長】 特に、これからどのぐらいの期間、そういう対応をするかという、期間の問題と関係して、難しい問題と考えています。
【冨塚田村市長】 いろいろとあるのはあるんですが、ただ、長くなりますと、働く意欲、それから、心の、いわゆる純粋な心が別なほうにいってしまうんじゃないかという、そういう危惧がされますので、いつまでにこの補償ができるのかというのと、そういうことも早目に決定していただければと思っております。
これは紛争審査会と、除染とか放射能というのは、それはどこまでやるかは別でありますが、それに基づいて、紛争審査会の委員の皆さんにおかれましては、状況を判断しての立場でやっていると思いますが、そういう立場もあるということもご理解いただいて、取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。
【能見会長】 どうもありがとうございました。ただいまのご意見もまた十分検討して、審査会で議論したいと思います。どうも今日はありがとうございました。
それでは、次に、南相馬市の桜井市長からご説明、あるいは、ご意見をいただきたいと思います。
【桜井南相馬市長】 南相馬市長の桜井勝延でございます。よろしくお願いいたします。
【能見会長】 よろしくお願いします。
【桜井南相馬市長】 先生方には、お疲れのところでありますけれども、若干経緯からお話をさせていただきます。
と申しますのは、3月12日に原発事故が起こりましたけれども、3月11日のあの大震災、大津波の中で、南相馬市は、県内で一番でかい被災面積、犠牲者も出しております。その翌日の12日に避難指示が出されましたが、ここに、後ほど警戒区域になる20キロ圏内に1万4,000人住んでいるわけですけれども、残念ながら、避難指示の文書はいつになっても南相馬市に届きませんでしたし、南相馬市という文字がそこから外されていました。なぜなのか、これはいずれ調査していただかなければなりませんが。南相馬市と国が最初に連絡がとれたのは3月17日でございますので、その間、国との連絡は一切ないということでございます。
その中で、3月15日には20キロから30キロ屋内退避指示が出されるわけでありますけれども、1号機から3号機まで連続して爆発事故が起きて、また、4号炉も同じような形になっていく中で、先ほどの状況に加えて、3号炉が爆発した14日には、自衛隊が役所から公共施設にほとんど入ってきて、100キロ避難指示ということを言って、役所が崩壊状態に近いところまで追い込まれました。
そういう中で、南相馬市は20キロ、30キロ、そして、30キロ圏外というふうに、最初に3つに分断をされました。この中で、最初30キロ圏内はいろんな意味で対象にされましたけれども、30キロ圏外については一切対応しないということで、当時、私が3月15日から自主的に市民を避難誘導いたしました。結果として、おかげさまで先生方の努力をいただいて、7月には一部の自治体、8月5日の指針の中では南相馬市と明確に書いていただきましたが、4月の区域見直しに伴って、4つの区域になってしまいました。緊急時避難準備区域、計画的避難区域、警戒区域、そして30キロ圏外、加えて、7月には特定避難勧奨地点ということで、5つの地域、地点になってしまいました。7万1,000人いた南相馬市民が、一時期1万人を割るというところまで避難に追い込まれて、役所自体もずたずたになりましたけど、一方で、全国各地に避難した多くの避難民の4人に1人が南相馬市民です。
この結果、南相馬市は思わぬ世界から注目されるほど有名にはなってしまいましたが、一方で、市民にとっては、もうずたずたにされたという思いで、区域ごとに対応が違うことで、市民の思惑がほんとうに違っております。津波で捜索できない家族もいれば、一方で、原発の放射能被害で、自分たちがほんとうにひどい被害をこうむっているという住民から含めると、区域ごとに違う対応を迫られました。このことによって、家族がばらばらにされ、そして、少なくとも5人家族で3カ所に分かれて住んでいるというのが実態ですので、2カ所に住んでいれば幸運なほうですので、多くの住民はばらばらになってきているんです。
今回、区域の見直し、警戒区域の解除という道筋が出されておりますけれども、警戒区域に一度だけでもいいですので、南相馬市に入ってみてください。どれほどインフラがずたずたになったままで、農地が荒れ放題になっていて、火がつけられると火事が起きてしまうほど、ましてや、ここの中で当初、4月21日までの間に出入りは自由にして、退避指示区域とはいいながら、盗難は相次ぎましたし、避難したところから自分たちの財産を持ち逃げされてしまっている家屋が圧倒的に多いです。私のところも市民と同等な位置にあるものですから、3回ほど立ち入れておりますけど、全く同じような状況で、今回対象になっていない財物価値の損失という言葉がありますけれども、入って10カ月以上になって、住めるということは全くございません。一時期、地震で被災した対応についても、雨漏りは全然手入れされない状況でしたので、家屋がずたずたになっている上に、ひどいところでは、中にキノコまで生えているというような状況ですので、この状況について、やっぱり目にしてもらえれば明確にわかるかなというふうに思います。
南相馬市、放射線の問題で、先ほどの5つの地域に加えて、今回、また避難指示解除準備区域と居住制限区域及び帰宅困難区域、つまり、20ミリ、50ミリという線引きの中で、警戒区域でさえも、またさらに3つに分断される可能性があるわけで、我々としては、1つの扱いをしてくださいと。つまり、どういうことかと申し上げますと、計画的避難区域の飯舘村のようなところは、自由に立ち入りができるわけですね。企業も操業できます。ただ、南相馬市の警戒区域内の約6割強については、飯舘村の10分の1近い線量です。にもかかわらず、避難指示が出され、警戒区域が設定されたがために、一切立ち入りできません。一時立ち入りのみです。この結果として、操業はゼロになりました。病院はパンクしました。我々、南相馬市、1,000床以上あった入院病棟が、一時期ゼロになりましたので、ここから避難を余儀なくされた人たちは、今、持って帰れない。それは弱者だけが帰れない。帰れる人は帰っています。6万人避難して、今現在、4万3,300人まで戻りましたけれども、警戒区域外にそれだけの人口が今戻っています。
高齢化率は高まっております。高齢化率が高まる理由は、先ほどのように、若者とか若い子どもたち、幼い子どもたちを持つ親たちが戻ってきません。学校、おかげさまで再開していただきましたけれども、30キロ圏外、緊急時避難準備区域解除されてからは、そこに今8つの小中学校を再開いたしましたけれども、ここでもまだまだ戻れておりません。今、40%台の小中学生しか戻っておりません。
このように、区域を設定されることで、また、放射線の危険があることで、一時、あの状態から避難した人は、幾ら我々が除染をしても、除染をして、ほぼ警戒区域外は年間1ミリシーベルト以下の0.2以下に抑えていますけれども、子どもたちを持つ親は、戻そうとしておりません。今、プールの除染もするようにしていますが、それでも夏には泳がせたくないというふうな恐怖感なんですね。ここに対するケア。
また、今日私が強調したいのは、当時避難をしたくても避難することができなかった人たちが約1万人弱います。これは役所職員、消防団、警察、公共的な責務を負う人たちのほかに、弱者で、どうしても家から離れることができなかった、手段もなかった人たちなんですね。ここに対する精神的ケアについては、今まで賠償については書かれておりません。ですので、我々を含めて、政府の指示もなく、あの爆発が連続する中で、どれほど痛めつけられてきたことか。
役所が孤立して、その責任を役所が負わなければならなくなって、今、たった10カ月間の間に、また3月までの1年間の間に、職員が110名も早期退職を余儀なくされております。これは、先日政府が発表した収束という言葉がありますけれども、我々は先日、衆議院の先生方にもお話し申し上げましたけれども、今、我々の自治体で起きていることはメルトダウンなんだと。職員がこういうふうに離脱していったときに、市民を支える職員が離脱していったときに、どういうふうに補給をしていくか、全く我々にとって手段がないような状況です。
看護師もいなければ、専門職で、特に幹部職員なんかが離脱していきます。これは、介護施設がない。家族がばらばらになって、親が介護状態に陥って、自分と親しかいない、こういう生活になっているんです。入所施設がないがために、彼らは家族を支えなきゃいけない。仕事は、もう今まで以上に増えている。休む場がないので、つまり、もう休みたいということなんですよ。こういうふうな精神的な病を抱えている圧倒的な役所職員がございます。
ですので、こういうところに対する見方もしっかりしていただきたいなと思いますし、同じ自治体、18年1月1日に合併した自治体でありながら、地域によって、小高区が警戒区域に入り、原町区が避難準備区域に入り、鹿島区が30キロ圏外ということで、合併を離脱するという運動まで一時期起きました。おかげさまで、先ほど申し上げましたように、手当てしてもらったことで、若干落ちついてはいても、今、例えば、国民健康保険であるとか、介護保険であるとか、固定資産税の問題とかいうのは、30キロ圏外は全く、これは総務省の問題も厚生労働省の問題もそうなんですけれど、そこはこの紛争審査会の結論と別個だというふうな見方をしています。そのことで、また大騒ぎになりつつあります。また来年の課税やなんかの問題で。こういうことに対するケア。
そして、今、約40%しか警戒区域内の住民は市内に戻れておりません。小学校については、20%以下です。これほどやっぱり警戒区域を設定されたことの打撃が大きいんですね。ですので、先生方も先ほどおっしゃいましたけれども、インフラを整備してから、区域見直しが入っても、解除はその後になるという話でしたけれども、南相馬市の警戒区域内、特に地盤が弱かったこともあって、原発事故の影響もあったこともあって、ずたずたになったままなので、ここでのインフラを最終的に整えていくのにはかなりの時間が必要とされますので、こういったことも踏まえて、ぜひ損害賠償の今後の見直しにあたっては、財物価値のみならず、とどまっていた人たちの精神的な補償、また、家族がばらばらといっても、もう離散している状況になっています。あちこちに分散しながら。離婚こそしていないにしても、嫁さんが戻らないというようなことを宣言されていて、そこの親御さんたちは、仮設住宅から警戒区域に戻って私は自殺をすると言う人たちまでいます。
こういうことに対する現場感覚というのをしっかりと踏まえていただきたいと思いますし、最後に、私が加えて申し上げたいのは、おかげさまで、先生方に中間指針なんかで書いていただいている内容については、それぞれの含みを持っているというふうにおっしゃっていただきました。ところが、東電に行くと、東電は、文科省の審査会がこういうふうに書いたんだから、それに応じて対応すると、全く対応が違います。国のほうがまともに誠実に、その部分を含みを持たせてくれているんだと思いますけれども、東電は全く違いますので、ここのギャップがあります。我々としても、市民を救うために弁護団を組織せざるを得ないという状況もありますけれども、ただ、この状況を、解決センターも含めて、しっかりと現実を見た、それぞれの自治体ごとの対応というのは違ってくるんだと。拡大して補償範囲を広げていただいたことはそうですけれども、一方で、現場で全く進まない、避難ととどまった人たちの関係も踏まえて、しっかり対応していただきたいなと思ってございます。
時間的にはあまり余裕がないようなので、私のほうから申し上げながら、先生方の質疑に応じたいと思います。よろしくお願いいたします。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、もし皆さんほうからご意見、ご質問があれば。
この南相馬市の、既に一部の地域については解除されて、人々が戻れるようになってはいるけれども、必ずしもやはりインフラ整備はそう簡単ではないというご意見だったと思いますけれども。南相馬市のほかの警戒区域が仮に今後解除された場合は、もっと時間がかかるかもしれないということですけれども、どのぐらい、これ、予想はそう簡単にできないと思いますけれども、少し何か見通しみたいなものをお話しいただけるとありがたいんですが。
【桜井南相馬市長】 海岸が破壊されました。今、警戒区域内で250町歩が水没しています。湛水防除が回復されておりませんので、津波で消失した集落は、もう全然ありません。回復するという見通しはありません。新しくどこかにつくっていくしかありません。
一方で、町の中について言えば、地震によって倒壊しなかったところも、余震が続いたことで、ずたずたになってきています。これで片づけることさえもできません。今、水道やなんかの調査を少しずつ始めていますけれども、どこが漏水をして、下水はどこがだめで、ましてや高い地域では、井戸水で生活している世帯がかなり警戒区域内の場合はあります。そういうところに対する手当ては、今後どれぐらいの時間がかかるのかは、正直言って、予想ができません。ただ、片づけるのには1年では済まないだろうと。片づけるだけで。海岸の破壊された堤防を築くのには、おそらく5年なんかいうレベルでは全く届かないだろうと思いますね。
ですので、復旧、一般的に10年とかいう見通しを立てていますけれども、それはあくまでも机上の理屈であって、現実的には、この放射線の問題もあって、我々、30キロ圏外もなかなか進まなかった。それから、今日お話し申し上げましたけれど、物流が一時期ゼロになりましたので、そういうことが結果して、レッドゾーン、イエローゾーンが描かれたことで、南相馬が、例えば福島より線量が低くても、今でも同じくお医者さんが来ません。こういうことなんです。一度描かれてしまうと。東京に行くと、今でも「南相馬市に入っていいんですか」と言う人もいますよ。こういうマイナスイメージを簡単には払拭できません。先ほども多分あったかと思いますけど、大波地区で米が安全宣言以降出てから、福島米は戻されていますので、風評被害というのはとどまることがありません。ですので、見通しの時間については、どれほどかかるかは、正直言って、私は簡単ではないと思います。
【能見会長】 インフラ整備というときにも、いろんな整備があるんだと思いますけど、公共施設等は、少なくとも建物とか、基本的なサービスみたいなのは、比較的やろうと思えばできなくはないかもしれないけど、例えば商店とか、それぞれの人々の個人的な判断が介入するものについては、単なる想像ですけれども、そう簡単ではないだろうという気もしているんですけれども。
【桜井南相馬市長】 旧役場としての支所、区役所として小高区役所はつくったばかりでしたので、それはダメージは少ないんですけれども、小高区自体が地盤が弱いがために、もう下が液状化しています。倒壊していますので、ここのインフラを、上もそうですけれども、下の水道から下水から含めて、我々、ハードの部分だけを立て直すのでも非常に時間がかかると思っています。これは原町区とか鹿島区とは全く違う現象ですね。
【能見会長】 なるほどね。今のお話もそうですけど、印象的だったのは、単に放射能の問題だけではなくて、地震そのものによる破壊というのが影響が大きいので、そういう意味で、仮に放射能の観点からは戻れますよと言われても、インフラはそう簡単に整備できない、そういうことで理解としてはよろしいでしょうか。
【桜井南相馬市長】 そうですね。南相馬が今のインフラ整備にかかる実態は全くそのとおりなんですけれども、放射能汚染ということに対して、つまり、津波で破壊されて、家族がばらばらにされて、捜索ができなかったという、この事実については、もう精神的なダメージを今さら回復できるなんていうレベルではないんです。時間がたてばたつほど、あのとき放射能事故さえなければ、原発事故さえなければ家族を救えたのにもかかわらず、もう家族と今ばらばら、死んでしまった家族とも、今、捜索しようとしても捜索できない人もいれば、20キロ圏外で、いまだかつて捜索している人もいますよ、毎朝。こういう実態なんですよ。もう生きているはずがおそらくないとは思うけれども、それでも捜索をしていたり、捜索さえもできない人たちのこの精神的なダメージというのは、もうほんとうに想像できません。
ですので、加えてあれですけれども、私は彼らに寄り添うために、朝、毎日、あのがれきの中を走っているんですよ。彼らの気持ちに少なくとも同じく寄り添いたいということで。だから、この放射能から発生した精神的なダメージについては、おそらく長い長い年月をかけても修復は厳しいのかなというふうに思います。だから、ここについては、しっかりと今後ともダメージ手当てをしていただくようにしてもらわないと、職員も浜辺で家をなくし、家族をなくし、その中で、あの災害の中で市民を支えて、今、そのダメージでリタイアしていくという職員たちがいるんです。ぜひこの実態を踏まえて、彼らの部分も――彼らは逃げられなかった、避難できなかったんですよ。そういうことの実態をぜひ書いていただければなと思います。
【能見会長】 逃げたくても逃げられなかったという方々のお話は、ほかにも自主的避難の方々のお話を聞くときにもあったお話でございますけれども、それが南相馬市の場合には、ある意味で、規模的にも大きいものがあったという理解でよろしいでしょうか。それとも。
【桜井南相馬市長】 全国に、アメリカも含めて世界に避難をしてしまって、今、2万7,000人戻っていませんが、この人たちをずっと支え続けてきたんですよね。支え続けてきたというのは、言葉はいいんですけれども、叱責される毎日だったんです、すべてが。「何やってんだ」、「役所は何をやってんだ」という、叱責され続ける毎日でした。
一方で、先ほど言ったように、国からは、当時は17日に初めて津川政務官が私のところにやってきたのが最初ですよ。そういう状況の中で職員が対応してきたということもあって、大変なダメージを受けているということでございます。よろしくお願いいたします。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
ほかに、皆さんのほうで何かございますか。
じゃ、今日のお話をまた参考にして、さらに検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
【桜井南相馬市長】 失礼いたします。ありがとうございました。
【能見会長】 では、次に、川俣町の佐藤課長補佐、よろしくお願いいたします。では、もしよろしければ、現状、それから、ご要望等、お話しいただければと思います。
【佐藤川俣町課長補佐】 川俣町の佐藤と申します。本来でありますと、古川川俣町長が来てお話をあげるところでございますが、いかんせん、今日、町の臨時議会がございまして、延長していますので、急遽、私に行ってこいということになりましたので、大変軽い職ではありますが、務めさせていただきたいと思います。どうかお許しをいただきたいと思います。
【能見会長】 よろしくお願いします。
【佐藤川俣町課長補佐】 それでは、川俣町の現状についてお話をしたいと思います。
昨年3月11日、震災の日、当時私も役場におりまして、震度6弱の強い揺れに遭いまして、役場が半壊をするような状況になりました。その日は、保健センターのほうに役場の職員ともども避難をしまして、町内の被災状況の調査等を行ってきております。
翌日、12日になりますと、今度、原発事故の関係で、双葉町から避難をさせていただきたいという連絡がありまして、急遽、町内の13カ所の小中学校、公共施設を開放しまして、17日まで、延べ6,500人の、双葉町をはじめ、浪江町、南相馬市の方々の避難の受け入れをしたところであります。
そういったことがずっと1カ月近く続きまして、その後、国のほうから4月22日に計画的避難区域の指示ということで、大慌てで今度は住民対策。計画的避難区域になったところは、山木屋地区といって、人口が1,252名、世帯数が354世帯の山村の地区であります。その地区が計画的避難区域ということで指示をされまして、避難に至ったところでございます。現在、町内に7割の方、町外に3割の方が避難をしまして、今、生活をしております。町内の7割の方については、そのうち6割の方が町内につくった仮設住宅のほうに入居しまして、それ以外の方については、県の借上げ住宅に入っております。あと、小学校1校、幼稚園1校、中学校1校が山木屋地区にありまして、いち早く小中学校、幼稚園については、町内の別の小中学校、幼稚園を使いながら、今、元気よく通学をしているところであります。
以上が経過であります。今後、住民の生活再建に向けたお願いをしたいと思います。
まず1点目は、帰還する者、帰還しない者という区分は、現時点では考えておりません。一緒に避難をしていただきましたので、一緒に戻るということで考えていきたいと思っております。そのためには、何よりも山木屋地区の除染をいち早くやっていただきたいということが最大の課題であります。その山木屋地区全域が除染後にどの程度の線量になっているかが大きな問題でありまして、国としても、帰還する放射線量の基準を早期に示していただきたいということで、昨日、ロードマップが発表されております。ですが、その中には、具体的にどの線量なら帰還する、どの線量ならだめだよというような細かい基準はございませんので、今後、環境省とその内容を詰めていきたいと思っています。
次に、除染とあわせて、生活面において、居住していない家屋が1年ほどたっております。今後、除染に2年というような資料が出ておりますので、2年家を放置した場合、かなり修繕等が出てくると思っております。きめ細かな対応が今後必要とされておりまして、例えば、水まわり、畳、壁など、あらゆるところが傷んでおりますので、そういった現状を調査する必要が出てくると思っております。この修繕は、きめ細かな対応についても、そもそもの原因が原発事故であることを十分認識して、それも賠償に含めていただきたい、賠償に含める必要があると考えております。
あと、この修繕にあたりまして、さまざまな視点について、お一人お一人から、どのような条件が整えば生活再建に結びつき、帰還できる環境となるかについて、時期を見ながら、個々に調査をしていく必要が再度出てくるかなと思っております。
あと、帰還にあたって、生活できる環境整備とあわせて、仕事をいかに確保していただくかが課題であります。皆さんご存じのとおり、山木屋地区は農林業が中心で、花やたばこ、稲作が主であります。そういった農作物については、放射線によってすべてが影響を受けております。今後もまだ風評被害等々に悩まされながら耕作を続けなければならなくなっておりますので、その点も重要な補償・賠償の世界には入ってくるのかなと思っております。
また、文科省ではなくて、食品衛生法に基づいて、暫定基準が見直されます。その基準が、今の暫定基準よりはるかに厳しい数字になります。食品が今の500ベクレルから100ベクレルに下がります。あと、飲料水が200ベクレルから10ベクレルに下がりますので、農業に対しての基準がさらに厳しくなるということもありますので、そういった基準を下げるということに対しても、賠償の必要性が出てくるのではないかと思っております。
続いて、山木屋地区については、沢水を山の中断でせきとめて、それに井川を入れて、そこに水をためて、そこからホースで引っ張ってくる引き水が主流なんです。そういった引き水を利用している者にとって、うんと山の除染が進まないと、そういう汚れた水が入って、汚れた水には当然セシウムがついていますから、それを飲料水として使うということがとても不安であります。そういった水道の明確な基準も、帰還にあたっては必要ではないかなということが言われております。
あと、計画区域の見直しにあったとしても、当面、避難者の状況、家屋の状況については、変化はございません。まして、ステップ2の終了で事故収束という状況は、現実と乖離している状況にありますので、その点も踏まえて、今後、2月までは賠償が決まっています。その後については、2月までは10万という金額が決まっているんですが、2月、3月以降は、全然国のほうなり、東電のほうから明示がございませんから、早期に明示をしていただきたいと思っております。また、たとえ山木屋に帰ったとしても、金額は云々あると思いますが、今までさまざまな苦労、心労をかけていたということを考えますと、山木屋に帰ったとしても、賠償の対象の期間は続くのではないかということで、町のほうでは考えておる次第でございます。
続いて、産業や地域コミュニティの復旧を含めた損害の現状についてお話をしたいと思います。山木屋地区については、計画的避難区域ということで、2社が通勤操業で業務を継続しております。そのほか、60程度の事業所が休業または移転して継続をしている状況にあります。休業している事業所は、一般家庭と同様、今後、帰還すれば修繕等が必要になってきますし、事業再開にかかる対応も、賠償のほうに影響が出てくると考えられます。農林業については、耕作していないものの、設備投資にかかる負債についても大きな損害となります。トラクター500万のを1台持っていても、償還が進まないので、それも損害になってくるというところでございます。この区域の見直しによって、現在制限されている部分がたとえ緩和されたとしても、帰還に向けた準備を進めることは可能。このような準備を、除染とあわせて実施する必要が今後あると考えております。
次に、コミュニティについては、仮設住宅の入居の際、行政区単位で計画的に避難をしてきた経過がございます。ある程度、今の現状でも、地域コミュニティについては維持をされ、仮設住宅内にも自治会組織が立ち上がって、人と人のつながりを維持しております。また、借上げ住宅の住民も含め、盆踊りや芋煮会などの行事を行って、コミュニティの維持を継続させているような状況もございます。
元来354世帯あった世帯が、現在は借上げ住宅、仮設住宅に分散をしていることによって、550世帯に分散されております。家族の中でも、2世帯、3世帯と、ばらばらに生活をしている状況がございますから、これまでに発生していない生活費の増加分も、今後、今までになかった負担になっておることは事実であります。
あと、地域の伝統文化として、山木屋地区には、山木屋太鼓という太鼓のグループがございます。現在もさまざまなイベントに参加し、継続しております。伝統文化は、その地域の歴史と文化にはぐくまれて、これまでに至って育っております。これを継続することが、まさにコミュニティの維持につながるもの、こうした伝統文化活動を別の地域で維持しなければならないことも、損害の対象にはなるのではないかと思っております。
今までの産業の復旧とあわせ、新しい産業を創出し、復旧のきっかけにする必要が今後あると考えております。農林業は、作付制限等によりすべてストップし、区域見直しがあっても、放射能の基準内という状況になっても、風評被害を払拭するには相当の時間を要します。そういった大きな損害も生じてくることは事実でありますので、ご認識をお願いしたいと思います。
あと、大きな3点目で、今後の見通しであります。まず、最初に言ったように、まずは除染によって、放射性物質に汚染された生活環境がどのように改善するのかを確認していくこととなります。国には2年で全域を除染してほしいと要望しており、除染の工程表を早期に策定をお願いをし、その上で、帰還に向けたスケジュールを立てていく考えであります。除染にあわせ、産業、農林業の再開の準備も必要になると考えております。何をどの順番でと詳細に詰めているものではないんですが、農業は前段に準備が必要であり、今後、いつ取りかかるかを相談していく必要があると思っております。
最後になりますが、課題について、2点ほどお話をしたいと思います。
除染によって生活環境の改善、放射線量がどのように低減するか、除染の目標値は年間1ミリシーベルトと言っております。山木屋の避難者も、この1ミリシーベルトが基準になっているのが現状であります。1ミリシーベルトというと、毎時0.23マイクロシーベルトであります。ですから、郡山市さんのここらあたりは0.5くらいはあると思うんです。その半分にしろということなので、かなり住民ニーズと現場のほうは乖離をしているのではないかということがちょっと課題になっております。
あと、今後、もう1点、国、県において、一定の基準の範囲内になったのだから、帰還できる、作付できるということを言われるかもしれません。そういった場合、地域の実情を反映したものではないということをご認識をお願いしたい。その基準は、国で示す基準は安全であろうと思いますが、住民にとっての安心の確保ではないということを、皆さん、ご認識をお願いしたいと思います。そのためには、十分な説明も必要でありますし、個々のニーズに応じた対応も必要であります。避難者の要望にこたえるべく、相当の期間の賠償について制度化をしていただきたいというのが、川俣町のお願いであります。
これにて意見のほうの発表にかえさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、何かこちらから質問すべき点があればと思いますが、いかがでしょうか。
相当な期間の賠償なのか、補償なのかですが、その中には、精神的損害とか、あるいは仕事がない、あるいは農作物が売れないということによる賠償、一種の風評損害というものがあるかもしれませんが、いろんなカテゴリーがあり得ると思いますけれども、今の2つぐらいが一番大きな柱になりますでしょうか。
【佐藤川俣町課長補佐】 はい。時がたてば、放射能という汚染をまき散らかした原因者である国と東電がどういった対応をするかわかりませんが、だんだん国民の感情も薄れてくるかなと思われます。その薄れてくるという状況を見出されては、かなり風化をしてしまいますので、やはりセシウム137が30年であれば、30年は検討すべきではないかなと、私、個人的には思っております。
【能見会長】 今のは放射線の被曝による健康被害の不安というのが1つの基礎だと思いますけれども、その際、何かご検討されたときに、放射線量の基準というんでしょうか、このぐらい以上あると不安を感じて当然ではないかというのは、何か検討されたことはございますか。それとも、そこは特に具体的には検討しないけど、一般的にそういう問題があるだろうということか。もし検討されていることがあれば、教えていただければと思います。
【佐藤川俣町課長補佐】 検討はしていませんが、マスコミ等の報道番組等を見ますと、お医者さんの世界でも、いいと言う先生もいれば、悪いと言う先生もいる。医学界でも統一されない見解でありますので、何とか統一しろと言っても無理かなと思われます。やはりどこに安全の基準があるんだということが明確にならないと、私らも住民に対しての説明責任ができないというところもありますので、大変ここが苦慮しているところであります。
【能見会長】 審査会も同じ苦労を感じているわけですが。指定等が解除されて、戻ることはできますよと。ただし、人々によっては、まだ不安を感じる方も当然おられて、そういう健康の不安というものが合理的だろうというときには、今までも賠償の対象にしてきたわけですね。自主的避難の賠償というのは、そういうものとして認めてきたわけです。今後問題になってくる論点というのは、今までの自主的避難というのは、指定の解除というのとは直接関係ありませんが、今後は、指定の解除がされて、戻れるようになってきて、戻ることはできるんだけれども、それはやっぱり不安を感じるので戻れない、あるいは、戻ったとしてもやっぱり不安を感じている、そういう人たちに対する賠償をどうするか。認めるか、認めないか、認めるにしたら、どんな基準で認めたらいいか。そういうのを審査会としては一応問題意識を持って検討しているというところです。基準はやっぱりなかなか難しいので、まさにどうしたらいいかというので、ある種共通の問題、関心と悩みを持っているというふうに理解いたしました。
それから、ほかの市町村でも同じですけれども、戻ってきて、農業が中心かと思いますけれども、作付等ができないということで、戻ってきてもやはりそれなりに被害があるというのをどうするかというのも大きい問題だというふうに理解いたしました。
あと、いろんな点についてのご意見、ご指摘いただきましたので、審査会としては、それぞれについてきちんと検討して、すべてがご要望になるというわけではありませんけれども、きちんと検討はして考えたいというふうに思っています。
ほかに、皆さん、いかがですか。よろしいですか。
それから、今日ご意見いただいた中の幾つかの問題は、おそらく現在の中間指針のもとでも賠償の対象になるものがいろいろ含まれていたと思います。例えば、戻る場合に、家の修復が必要であるとか、また、調査が必要であるとか、それをしないと戻れないというときのそういう損害は、これは現在の中間指針でも賠償の対象になると思いますので、これも、しかし、わかりにくい点がありますので、今後、いよいよ戻る方がいろいろ出てくる場面を想定して、わかりやすい形で指針としてはまとめたいと思います。
よろしいですか。いいですか。
では、今日はどうもありがとうございました。
【佐藤川俣町課長補佐】 ありがとうございます。
【能見会長】 それでは、次に、飯舘村の菅野村長よりご説明、あるいはご意見を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
【菅野飯舘村長】 ただいまご紹介いただきました、飯舘村長を仰せつかっております菅野であります。このような機会を設けていただきまして、ほんとうにありがとうございます。4つ、5つ、整理をしてお話をさせていただきたいと思います。
まず第1点は、私は災害に甲乙、重い軽いというのはないと思います。どんなのも、ほんとうに災害に遭った者は、大変な思いをするわけであります。もし仮に重いということになれば、今回、津波などで家を失ったり、あるいは家族を失ったりという方、ほんとうに私の身近な人もいますけれども、大変だなという思いであります。もう言葉もないです。ただ、ほとんどの災害は、涙を流して悔しんで、悲しんで、つらい思いをして、ある程度の時間がたてば、「さあ、天災だし、しょうがないな。ゼロからスタートしよう」という気持ちに必ずなるはずです。しかし、放射能の災害は全く別だということです。我々はゼロからスタートはできない。ゼロに向かって、これから何年も世代を超えて不安と闘いながら、生活苦と闘いながらやっていかなきゃならないんだという話を、私はできるだけしています。そうすると、ほとんどの人は、「ああ、そう言われればそうだね」なんです。その認識しか持っていない方が非常に多いのではないかなという気がします。放射能の災害は、重い軽いとか、そういうものでもなく、特別なんだという認識を、私は、特に国会の先生なり、皆さん方にもぜひよろしくお願いしたいというのが第1点であります。
それから、一生懸命、国なり、あるいは賠償審査会の皆さん方も、この難局を乗り切ろうと思ってやっていただいているんだろうというふうには思いますが、特に国の制度は空回りしています。つまり、例えば今回も、多分皆さん方は、今回20ミリ以下の地域と、20から50、あるいは50以上と、こういうことで、それに対してどうするかというのも1つの大きな課題だったんだろうと思いますが、全くこれは国が勝手に数字と机だけで決めてきた話であります。それによって、どういうふうに我々がなるかということであります。今、どこの自治体も、避難をしているところは、何とか同じ方向をみんなで向いて頑張ろうなという思いをしているんですが、国が出している政策は、そういうものをすべて逆に向かせているということではないかなという気がします。
先ほど放射能の特殊性というお話させていただきましたが、一番問題は、人間の心を病ませているということなんですね。つまり、線量の高いところと低いところ、戻りたい人、戻りたくない人、あるいは若い人と年配の人、場合によっては夫と妻も、しかも、放射能からということで、賠償金が入っていますから、だんだんと「生活、このままでいいや」、意欲を失うという話です。そういう状況ですから、そこを何とかしようと思って、各自治体の長なり役場なりが必死にやっているんですが、国がやっていることは、それを全く逆にしているということであります。
例えば、20ミリで出なさいという話をしながら、いろいろ騒がれた結果、1という話を一気にしてしまいました。それで、結局は、苦しくなって、今、よりもどしの10とか5とかという話にしているわけであります。除染がすべてのすべてだと言いながら、1週間も過ぎないうちに、買い上げますよという話であります。今回も、我々にも何の相談もなく、20、50という3つの区域を分けると言われます。それによって、すべて住民たちが不安になり、あるいは、いろいろなことの問題が起きてくる。我々が必死に住民の人たちに同じ方向に向かってもらいたいな、あるいは、帰る帰らないは別にしても、何とか村民あるいは住民の心を保ちたいなと思っているのを、その都度その都度国が出すやり方は、そこを逆行させている、こういうことなんですね。ですから、今さらそれを言うつもりはありません。
ですから、今回の20ミリ以下、20から50、50から先と、こういうことであります。そうすると、私の村も3つに分かれます。当然、村民たちの気持ちは揺れ動くし、不安になりますし、また、いろいろな意見が出て、一生懸命我々がやっているのが、またつらくなるという話であります。ですから、私は、こういう制度を出すときに、まず我々といろいろ話し合ってから考えたらいかがと言っても、ほとんど次々と矢継ぎ早であります。今度の除染計画を昨日出したのも、全くそのとおりだなというふうに思っているところであります。したがって、それぞれ出しながら、言葉では、それぞれの自治体の相談をしますと、こういうふうに言いますが、いまだかつて、説明には来ますけれども、その話を聞いて改善したということはないなという気がします。ここでぜひひとつ提案をしますので、お願いをしたいなと。皆さん方のほうからも、制度としてつくっていただきたいなと思います。
例えば、そうやって20、50という話の中で区分けをされるわけでありますけれども、まずもって、自治体によって違いますが、私の村は、もう全くその区分けに乗るわけにはいきません。少なくともみんなで戻ると、こういうことでありますけれども、だからといって、すべて全部一気に戻れる話ではありませんから、そういう20ミリ、50の3つの区域を出すときには、私は、ソフトランディング的な、そういう制度をあわせて出す。つまり、賠償のそのものを出すということが大切ではないかなという気がします。
例を挙げます。例えば、どこかで私の村も解除ということになります。そのときに、今、借上げ住宅などに入っている方、非常に悩むと思います。特に子どもを持っている若いお父さん、お母さんは、悩むところなはずですね。そのときに、戻りたくとも戻れないなという方は、そこで借上げ住宅の七、八万の住宅を、自分で生活をしていかなければならない、払っていかなければならないということになると、全くこれは大変です。これほど苦しんでいる、大変な避難生活をさせられている人たちを、またそこで踏み絵を踏めという話になるわけです。ですから、2年になるか、3年になるか、全額とは言わなくても、8割ぐらいのとりあえず猶予期間というものを置きますよというのがあっていいでしょうと私は思います。
さらに、今度は、戻る方は戻ったで、先ほどからお話がありましたように、つまり、農地が荒らされて、そこから収穫がつくれない、とれない、とっても売れないという話だったらば、どうやって生活なさるんでしょうかねということであります。農機具も使えなくなっているかもしれません。そうすると、そこにやっぱり何らかのソフト的な指針というものがあってしかるべきだろうというふうに思います。先ほど家の問題もありました。リフォームという問題もあります。当然、1カ月、2カ月も過ぎてしまえば、カビが生えたり何だりで、なかなか大変だということがありますから、そういうリフォームというのもあるでしょう。
それから、先ほど私の村はという話はしましたけれども、残念ながら、やっぱり50以上のところがあります。じゃ、その方は、国のほうから借上げとかという話で、戻れませんよという話は、我々、顔の見える、声の行政をやっている中では、そんな簡単にできるわけではありません。そうすると、例えば、線量の低いところに、復興住宅というよりは、むしろエコビレッジ、スマートビレッジみたいなものをつくって、そこで二、三年一緒になって、除染をして戻っていく。それで、そこのあいたところは、人口が少なくなった次のステップにうまく使っていく。そういう案があり、提案なりがあって、初めて20、50の区分けで何とかお願いしますよという話に私はなるのではないかなと。
そういうソフトランディング的なことをやっぱりあわせてやっていくということをしないと、机と数字だけで物事を決めていって、そこに心が入らないと、一生懸命やっても、どうしてもやっぱり我々は、国のやることはという話になりますから、ぜひこの賠償審査委員会のほうから、そういう案を出させていただいて、ただただ一方的にやるということではない形にして、そういうソフト的な、あるいはソフトランディング的な、あるいは猶予期間的な、避難している人たちの心に幾らかでも寄り添えるような、それとあわせてやっぱり出していくということが大切ではないかなと、このように思っているところであります。
それから、除染であります。なかなか除染が、今回の工程表も、相変わらず20、50というようなことで出てきております。24年度、25年度で、2年で終了しますみたいな記事が出て、非常にびっくりしています。そんな乱暴なことができるはずはないと思っています。私たちは、とりあえず住むところが2年程度、田畑は5年程度まで、山林は20年と、これで一つでも前に近づく努力をやっぱりしていこうと、こういう計画を立てていますし、今、いわゆる除染の工程表も、どこからどういうふうにやるかというのもでき上がったところであります。そういうことでありますので、そういうものを進められるような対応ということが必要なんだろうと思いますが。
まずすぐにぶつかったことは、立ち木の補償が全くないということであります。随分前から言っているんですが、多分、11月ぐらい、モデル事業が入った時点で、これじゃ進まないでしょうと言ったんですが、いまだかつて、2カ月ぐらい過ぎても、何らそれはないということであります。一軒一軒を少しでも除染を進めていこうということになれば、周りの立ち木であったり、庭木であったり、そういうものはぜひやっぱり必要になってくる。そこをどういうふうにするかによって、一軒一軒の了解がもらえるという話になるはずであります。それが、今、昨日の話ですと、一軒一軒の了解をもらうのには時間がかかりますから、今度の除染は7月以降になりますというようなお話がありましたけれども、全くおかしな話であります。
復興の原点は、私は、そこに住む人がふるさとを思う気持ち、あるいは、家族を大切にする気持ち、あるいは、自分の生計や子どもの教育を担ってもらった田畑や、あるいは家畜を思う気持ち、そこから出てくる、何とかしなきゃならないな、努力しなきゃ、情熱を傾けなきゃ、知恵を出さなきゃ、そういうものをうまく利用したり、活用したり、生かしていくということが復興の原点だと思っています。そこをうまく利用する、活用するということではないか。そのほうが、国も楽ですし、我々も助かる。場合によっては、賠償金が少なくて済むということだってあるんですが、今、国がやっていることは、全くその逆というようなふうに私は考えています。何か一生懸命やりながら、空回りしているのではないかという気がしてなりません。ですから、そういう意味からすると、もう少し私たちに裁量権を与えたらいかがですか。裁量権を与えるというのは、権限と財源だけではなくて、我々も住民と一緒になって向き合って苦しんで、いろいろな反対意見も出るかもしれませんけれども、苦労しないと自分たちのふるさとはもうやはりもとには戻らないということではないのかなという気がします。
例えば、今、飯舘村に限らず、今日来ていただくところの大方は、国が責任を持って除染します、こういう話です。非常に聞きはいいです。ありがたいです。しかし、非常に問題です。というのは、もう除染について、口をあいて待っていればいいという話になってくる。我々はそこに、何らそこの住民と一緒に何かをやろうという動きはできないということであります。ですから、今やっているのは、原子力何とかとかというのに落として、それから大手企業が入って、孫請け、ひご請けと、こうやってやっているわけでありますから、あんなことでできるはずは、あれはあれで、私は絶対大切だと思いますから、もう一つ別なルートで、直接全体の除染費の1割あるいは2割ぐらいでも、直接こちらにお金が来て、その住民の自分のふるさとを何とかしようという思いを奮起させるような事業にやっぱりルートをつくるということではないのかと思っているところであります。
2年ぐらいでできるというのは、多分、黙っていれば40%ぐらい下がるよという、他力本願的な考えから出てきているんだろうと思います。やっぱり国の責任として、汚した責任として、しっかりと、やはり自然の成り行きを待っているのではなくて、一生懸命除染をしますよ、どうしても除染ができないところは、それはそれなりにという考え方を持つということが大切ではないのかなというのが、3つ目の話であります。
時間が来ましたので、あと早口で申し上げますけれども、三宅島と山古志の村長さんの話を聞きました。どちらも70%がいいとこの帰村率です。そうすると、6,000人の村は4,000人になる可能性は十分にある。いや、もっと戻るかなという気はいたしますけれども、残念ながら、相手が放射能であります。若い人たちがそう簡単に戻るとは限らない。場合によっては、50%台になるかもしれないなと。そこで、どういう村づくりをするかということになりますと、当然、先ほど皆さん方がおっしゃった、いわゆる雇用の話であったり、あるいは、農業基盤を使ってどういうことをやるかというものを、これから長い目で見ていただくということが、私は賠償の大切なことではないのかなと、このように思っているところであります。
さらに、村の補償はいかがなものなのか。資料にもまだまだ賠償の対象というものを書かせていただきましたので、それは後で読んでいただければと思いますが、私たちは、例えば、6,000人の村に3,000頭の和牛なりを置いて、飯舘牛ブランドということで、30年、40年かけて、ものすごいお金をかけて、やっと開花し始まったというところが、全頭牛を放しました。そうしますと、これは村にとってとてつもない損害であります。個人個人の補償はしていただいたというふうに思っていますが、村として動きがとれないということであります。今、9億、10億あった財調基金は、もう2億ぐらいになって、底をつきそうであります。そうすると、これから自治体のそういう補償、いわゆる飯舘牛ブランドというブランドが積み重ねてきたものはどうするのかというところも、やっぱり真剣に考えていただかないといけないというふうに思っているところであります。
いずれにいたしましても、私たちは確かに責任は東電と国だというふうには思っていますが、それだけを言っていて済むものではないということで、ありとあらゆる提言をしてきました。今、会社も避難先から通って、幾らか残させていただいて、その会社は上場もしました。防犯パトロールもやって、泥棒もつかまえました。あるいは、二重の住民票も、総務大臣に、当時の片山大臣について、法律もつくらせていただきました。その都度その都度、私らは提案をしながら、必死にふるさとをもう一度という思いでやっています。ですから、先ほど言いましたように、20、50という住民のところを分断するようなことは、やっぱり早計にすべきではないし、自治体と相談すべきだし、そのときには、必ず先ほど言ったソフトランディングのような、そういう政策をあわせて出す。それが、避難している大変な国民に寄り添った、心のある政治であり、賠償だと、私はそういうふうに思っています。
ぜひスピード感を持ってお願いしたいと思っています。なぜか。先ほど言いましたように、人の心がどんどんと荒廃しているということであります。ですから、急いでここ一、二年に集中して、いろいろな施策をスピード感を持ってやるということが絶対に大切だと。ただ、一、二年がすべてではありません。これから長い間の闘いでありますけれども、特にここ一、二年、私に言わせれば、もう道路に金をかけているような時代では、そんな年ではない。徹底的にやはり除染などに、あるいは、人の心に寄り添うところにやっぱり賠償なり何なりをやっていくべきである、そのように思っているということであります。
ちょっといろいろなきついお話をしたかもしれませんけれども、6,000人の村、1,700世帯が、今2,700世帯になって苦しんでいます。そういう中からの思いを伝えさせていただきました。以上であります。
【能見会長】 大変どうもありがとうございました。
賠償に関連して、いろいろご提言もいただきましたし、特に、例えば、指定が解除されたり、あるいは、この3つの区分に分けられたような場合におけるソフトランディングとしての賠償の役割というものについて、大変貴重なお話を伺いましたので、そういうものがどの程度できるかということを含めまして、真剣に考えたいと思います。どうもありがとうございました。
【菅野飯舘村長】 どうもありがとうございました。
【能見会長】 それでは、最後になりますけれども、福島県の佐藤知事から、ご説明、それから、ご要望等の話を伺いたいと思います。では、どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤福島県知事】 ご紹介いただきました、福島県の佐藤雄平でございます。今日は、紛争審査会をまさに地元福島県でこうして開催をしていただいたこと、心から感謝を申し上げます。
県内をずっと歩いておりますと、何で東京でばっかり審査会やっているのかなと。それぞれの委員の皆さんにも、福島県に来て、現地、現場、この場でやっていただくと、一層福島県の災害被害の状況がわかるんじゃないかと、そんな声も何度か県民から聞いてまいりました。それが、今日実現して、能見会長はじめ、ほんとうに連日ご苦労さんでございます。
今日も12の市町村長からそれぞれお話があったと思います。まさにそれをしっかりと受けていただいて、次のそれぞれの指針に対応していただくということ、これが福島のそれぞれの町村の復興・再生の大前提になる、極めて重要な話であると思っております。
発災から300日が過ぎました。福島県の県庁の中の災害対策会議、約250回続いております。そのほとんどが原発事故対応であります。これは皆さん方もご承知かと思いますけれども、原乳の出荷制限から始まって、そして、学校の表土の問題、下水道の汚泥の問題、米の問題、もう毎回毎回、新局面を迎えて、それに対応して、まさか砕石のコンクリートまでとは私どもも考えもつかなかったところもありますけれども、それぐらい原発災害は広範囲にわたっているということと、それから、将来にわたってどれぐらい時間がかかるかなというのが、まさに今の福島県の現況であり、それぞれ市町村がお話をしたことと思いますし、全体的に私自身考えると、福島県の全体的なイメージが非常に打撃を受けている。まさに福島ブランドが大きな打撃を受けており、それは浜通り、中通り、会津と、すべてに影響が及んでいるということもご承知おきいただきたいと思います。そういうふうな中で、今後の指針に十分反映をしていただくということを、冒頭まずお願いをしておきたいと思います。
今日は、そういうふうな中で、4項目、これは福島県の被害の現況について、それから、今日、主たるものは、避難指示等区域の見直しについて、それで、住民の帰還について、財物の賠償等についてということのお話を、それぞれ時間内にさせていただきたいと思います。これからは座らせて話をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず、福島県の被害の現況についてでございます。これはもう既にご承知かと思いますけれども、皆さんのところにお配りしている表1、この中で、現在も16万人の県民が県内外に避難をしているというのが現況で、私どもからすると、最もつらいのは、そのうちの6万2,000人が北海道から沖縄、全国にそれぞれ避難をしている、そういうつらさがございます。と同時に、県内に残っている人は、この300日間、毎日線量を気にしながらも生活しているというのが現況であります。先日、1月から12月までの人口の減少状況を見ましたら、実は昨年1年間で4万4,000人減少しておりまして、これも表2にありますけれども、この中の詳細を見ると、実は福島県のある程度全域に及んでいるケースがありまして、これは私は、まさに原発災害が全域に及んでいるという1つの証左であろうかなとも思っております。
次に、子どもと妊婦のことについて申し上げたいと思います。放射能、これはもう目に見えないものでありまして、非常に不安なものであります。特に子を持つ親、非常に心配、そしてまた、お母さん、妊婦は不安で、非常に苦痛が続いているということであります。そういうふうな中で、お母さんたちは、避難しようかな、しかし、子どもも知らない土地へ行くのもと言って、とどまるかなと非常に苦しんでおるというのが実態でありまして、その避難しようかしないかということでも、新たな悩みが生じているというのも現況でございます。そういう中で、また避難の話になりますけれども、子どもたちが実は約1万2,000人、県外に転校しているというのが実態でございまして、その中でも、小中学校、幼稚園、この子どもたちが非常に多いというのが、私どもにとって、将来の社会基盤についても心配するところで、これは同じ被災の中でも、岩手県の40倍、宮城県の7倍に相当する人数であるということで、それは表6に示されております。
そういうふうな中でも、今、福島県の子どもたち、元気にそれぞれ私どものつくった政策で、県内でもどんどん遊んでもらおうと思って、会津地方とか県南のほうに遊びに行かせている施策がありますが、その中で元気に活動して、最近は校庭にも出ているケースがありますけれども、しかしながら、相当制約された中で野外活動をしているということであります。
そういう中でも、今度は高校の話になりますけれども、相双地区、福島県の浜通り、いわゆる原発の所在の相双地区なんですけれども、ここの高校では、実はこの被害によって避難で、サテライトという中で学習しているのが現況でありまして、その学校は全部で10校に及んでおります。こういうふうなことになると、やっぱり親と離れて寄宿をせざるを得ない。それによって、食費、また、親のもとに週末帰るときの経済的な負担と、精神的な負担、さまざまな負担を強いられているというのが現況でございます。
そのような中で、今度は出産率、これが昨年の4月~6月の平均出産率が全国で最悪の状況になりまして、最大の減少というふうなことになっております。そのようなことが、今のそれぞれの福島県の避難状況に伴った現況であります。
それと、あと、私どもがちょっと気になるのが、福島は、当初、避難したとき、どうしても「あんた、福島か」ということで、いわれなき迫害とは言いませんけれども、福島出身はちょっと嫌われたようなことがあって、例えば、車がスタンドに入るときに、福島ナンバーはちょっと遠慮とか、そういうふうな話を聞いておりますけれども、これはやっぱり人権問題でございますので、この点はしっかり、ちょうどそれぞれ副大臣、大臣政務官、来ておられますけれども、正確な知識の中でのきちんとした教育、これをしていただいて、そのようなことがないように、しっかりお願いしたいと思います。
続いて、就労の状況をお話しさせていただきます。その就労については、今、実は働いていない人の割合61%、これはもちろん避難している方でありますけれども、震災前と比べると、働いている、働いていない人の割合が実は逆転しておりまして、そういうふうな中で、避難者の生活再建には、将来を見据えた就労が不可欠である。しかし、損害賠償の見通しが立たない中で、なかなかみずから就労のところに踏み出せないというのが現況であります。
それから、農林水産業、これについては、農地、漁場を失って労働に従事できなくなったということなどによって、就労の意欲の減退、それから低下、これはちょっと私ども心配なところで、何とか意欲を持ってもらうということで、農林水産業について、県として、また国にもそれぞれご相談しながら、できる限りの対応というか、この意欲だけは何とか持ってもらわなければいけないというふうなことで、今、対応しているところであります。
それから、医療・福祉・介護について話をさせていただきます。避難指示区域の医療体制は、これはもう極めて低く、低下しております。警戒区域内の7つの病院、これは全く今再開のめどが立っておりません。その近隣でも、避難等によって医療従事者の流出が深刻になっておりまして、震災後、県内の病院における常勤医師が実は71人減少して、その中でも、医療人の中でも、看護師さんが170人減少して、医療従事者の確保というのが、今、我が県の大きな1つの課題になっております。
それから、商工業、これは避難区域の事業者のうち、移転先で事業の再開ができているというのは、商工会の話も皆さんお聞きになったと思いますけれども、会員の36%、ですから、もう6割以上の方が事業の再開ができないというのが現況でありまして、それはもう当然のことながら、みずからの商圏、それから取引先、従業員等の営業の基盤が喪失して、これも、損失の賠償なくして事故前の経営状況に回復させることはできないような状況でありますので、ひとつお含みをお願いしたいと思います。
次に、避難指示区域の見直しについてであります。この避難指示区域の見直し、これは話があったかと思いますけれども、ほんとうに住民にとってはもう大変重い話になります。それは、それぞれの区ごと、それから町村ごと、場合によっては個人ごとで、置かれている状況というのはそれぞれまちまちでありますので、区域の見直し、これに伴う指針の策定にあたっては、それぞれの町、それぞれの地区、それぞれの各人の状況を十分話をして、話を聞いていただいて、住民に大きな混乱、そして不公平感を生じさせないような細心の配慮をぜひお願いしたいと思います。
次に、この見直しによって、帰還を希望する住民、また、新たな地域で生活を希望する住民、それぞれみずからの将来の生活設計、この手助けとなるような新たな賠償の在り方について検討いただければと思っております。
それから、就労不能等に伴う損害、これはそれぞれ早期の転職、臨時の就労には、資格取得の費用など、新たな経済的な負担が生じ、避難者の自立、生活再建には、一定の期間が私は必要だと思います。そういうふうな中で、事故により職を失った方が就労することは、私は極めて大事だと思うし、それがまず第一歩であろうと思っておりますので、就労を促して、早期の生活再建を果たす必要があるので、その生活の再建に向けては、みずからの努力で職を得て、新たな収入を得ることができた者については、その収入を賠償対象額から控除すべきではないと考えております。これは会長のほうからもお話があったと聞いておりますけれども、アルバイトなど、緊急的に臨時の就労をした者が得た収入については、審査会において、控除されるべきでないとの話があったのは、私は、これも当然に賠償対象額から控除されるべきでないという、会長の話のとおりであろうと。まずみずからが自立、それから就労ということ、これは極めてこれから大事なことであると思いますので、この辺についての賠償についても、指針の中でしっかりお願いできればと思っております。
それから、3番目に、住民の帰還についてお話をさせていただきます。避難等指示の解除後も、安心して帰還するための道路等の生活インフラ、それから、医療・福祉・教育、これらの公共サービス等の復旧、あと、雇用の確保など、必要な生活環境が整うには、一定の期間を要すると思います。そういうことですから、帰還後、直ちに日常の生活に移行できるものではない。被災者それぞれの生活や事業の再建を完全に果たすことができるようになるまで、長期的な視点に立って、十分な賠償の期間を確保していただきたいと思っております。
また、帰還後も、特に子どもや妊婦を抱える家庭では、放射線に対する不安は消えるわけではありませんので、除染の実施などによって、その不安がなくなるまで十分な賠償をお願いしたいと思います。
そういうふうな中でも、緊急時避難準備区域の解除、これが9月30日に解除されました。今日もお話があったかとも思いますけれども、その中で、その当該市町村では、復旧計画に基づいて、帰還の住民に対してさまざまな対策を講じておりますけれども、精神的な損害については、帰還すると賠償の対象外となるということは、これは私は問題であるなと思っております。帰還した住民も、インフラなど必要な生活環境が整備されない中で生活するには、大変な精神的な苦痛を伴うということでありますので、生活不安が完全になくなるまで、確実にその対応をお願いしたいと思っております。
さらに、商工業、農業においては、事業を再開した後であっても、地域コミュニティの復興がなければ、それぞれの商売も、商工業、場合によっては農業も再生されませんので、事故前の状況に完全に復活するまでには、私は時間がかかると。その対応ということで、お願いしたいと思います。
続いて、財物の賠償等についてのお願いであります。5点ほどあります。
財物の被害には、さまざまなケースが想定されます。財物の価値の喪失、減少については、中間指針で賠償の対象とされておりますけれども、残念ながらというか、もう10カ月たっておりますけれども、まだ東京電力による賠償が進んでいない。今後、避難指示区域の見直しにあたって、長期間帰還が困難な場合、その対応など、大きな問題が出てくるので、これについては、ぜひ国が前面に出ていただきたいと思っておりますし、審査会、それと国において、早期の生活再建が可能となる救済の役割分担を明確にしていただければ、ことは進んでいくのかなとも思っております。
次に、避難指示等区域の財物については、事故以来10カ月以上放置されたままになっております。ですから、現地のさまざまな話、私自身も行ってまいりましたけれども、家に大量のカビが生えたり、それから、家畜に家が荒らされたり、盗難被害に遭うなど、長期の避難に伴い、管理不能な状況になっているというのが現実であります。そういうふうな中で、財物の価値はすべて喪失していると言ってもいいぐらいの状況になっているというのが現況であります。
さらに、農地、森林、河川、これについては、除染による放射線の低減に長期間を要することから、将来にわたって、広範囲における長期の不耕作によって、農地等の荒廃が懸念されております。
住宅、土地を含む財物の賠償については、個人の賠償額全体に及ぼす影響が非常に大きいことから、早急な請求受付の開始と支払いが行われるように、しっかりと対応していただきたいと思っております。
今日、それぞれ市町村長からお話があったと思います。繰り返しますけれども、もうほんとうに切実な、極めて緊急性も要しているものもあり、ぜひ今後の指針の中に反映させていただきますよう心からお願いいたします。
12月に我が県の復興計画をつくらせていただきました。そのときに、県内の高校生を中心に、アンケートをとりました。ありがたいことにというか、高校生、若い者が、2年前に総合計画をつくったとき以上に、福島県に対する愛着を感じ、そして、みずからが福島県の再生・復興に尽力していきたいと、大きな夢を語っておりまして、その率が3年前より5%ほど延びておりました。その子どもたちに、ほんとうに住んでよかった、生まれてよかったというような福島県を再生・復興するために、全力で私どもも頑張ってまいりますので、どうぞ皆さん、それぞれ会長をはじめ、委員の皆さんに、また政府の皆さんにもご理解いただいて、一層のご支援を、またご理解をお願いして、ごあいさつをかえさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
ただいまのお話、いずれも具体的であり、かつ、非常に深く掘り下げた分析に基づくご指摘でありまして、審査会としましても、これらを真摯に受けとめて検討したいと考えます。非常に参考になりました。ありがとうございました。
それでは、もし皆様のほうから何かご質問があれば。よろしいですか。非常に参考になるお話でございました。
それでは、本日の審査会はこれで終了したいと思います。今日は、各市町村長からのご説明、それから、ただいまの福島県知事のお話、ご意見、いずれも貴重なご意見でございましたので、審査会として、これを持ち帰って議論したいと思います。ほんとうにどうもありがとうございました。これで本日の会議を終了したいと思います。
では、あと、事務的なことを。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 次回は、2月9日を予定してございますが、日時、場所については、改めてご連絡いたします。
以上です。
―― 了 ――
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