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原子力損害賠償紛争審査会(第19回) 議事録

1.日時

平成23年12月21日(水曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省(中央合同庁舎7号館東館)3階講堂

3.議題

  1. ステップ2の終了について
  2. 避難指示区域の見直しについて
  3. 双葉郡の避難者へのアンケート調査結果について
  4. その他

4.出席者

委員

能見会長、大塚委員、鎌田委員、田中委員、中島委員、野村委員、米倉委員

文部科学省

奥村文部科学副大臣、神本文部科学大臣政務官、清水文部科学事務次官、森口文部科学審議官、藤木研究開発局長、田中原子力損害賠償対策室長、篠崎原子力損害賠償対策室次長、田口原子力損害賠償対策室次長

内閣官房

加藤 原子力発電所事故による経済被害対応室審議官

説明者

氏原原子力安全・保安院企画調整課東京電力福島第一原子力発電所事故対策室課長補佐、松永内閣府原子力被災者生活支援チーム参事官、丹波福島大学行政政策学類准教授

5.議事録

【能見会長】  それでは、時間になりましたので、第19回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。本日はお忙しいところお集まりいただきまして、大変ありがとうございました。
 はじめに、事務局から本日の配付資料の確認をしてください。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  それでは、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第のほかにですが、まず資料1といたしまして、これは原災本部の資料でございますが、ステップ2完了の資料でございます。それから、資料2といたしまして、警戒区域、避難指示区域の見直しの方針案(骨子)という資料がございます。それから、資料3といたしまして、福島大学からご提供されたものですが、双葉8か町村災害復興実態調査の報告書がございます。それから、本日は参考資料といたしまして、議事録のほかに、前回まで毎回お配りしていた自主的避難の関連データを参考資料2で、それから、参考資料3といたしまして、前回の中間指針追補で決定いたしました対象区域の地図、参考3がございます。それから、参考4といたしまして、後ほどご説明することになろうかと思いますが、自主的避難関連データ整理表ということで、参考2のデータを概略簡単に表でまとめた資料を用意させていただいてございます。資料に不足等ございましたら、お申し出いただきたいと思います。
 以上です。

【能見会長】  それでは、今日の議題に入りたいと思いますが、今日、ここの議題には、ステップ2の終了についてというのが1になっておりますけれども、実は前回、指針の追補ということで、自主的避難区域、それから、自主的な避難等についての賠償についての追補の指針を、この審査会でもってお認めいただきましたが、前回決定したこの指針につきましては、対象区域、あるいは賠償の額等につきまして、いろいろご批判など、あるいはご意見などをいただいております。そこで、今日は、本日のメーンの議題といいますか、あとの4つの議題の前に、前回の自主的な避難についての賠償について、特に区域の線引きにつきまして、少しご説明を申し上げるとともに、これについて委員の皆様にご議論をいただければと思っている次第でございます。
 前回の指針では、相双、いわき、県北、県中の市町村を対象として、これは避難指示当区域は除きますけれども、今申し上げた地域の市町村につきまして、これを対象区域として指定しております。これに対して、対象にならなかった市町村等が当然あるわけですが、この線引きが果たして適切であったのかどうかということについてのいろいろご意見をいただいているところでございます。
 そこで、まず、この指針でどういう考え方に基づいてこの線引きをしたのかというのを、最初に説明しておく必要があるのではないかと思いました。前回、どういう地域が指定の対象になるということだけを申し上げて、一般論として、どういう要素が考慮されるかということは、当然ご説明申し上げましたが、あまり詳しい説明はなかったということもありましたので、今日はもう少しデータもそろえて、少し説明したいと考えている次第でございます。
 具体的にその話に入る前に、この指針の性格ということについても、一言、ここでご確認をいただきたいと思いますが、この自主的避難に関するものだけでなく、今までの中間指針で対象となったものについても同じなんですけれども、特に今回について言えば、この自主的避難等の対象区域に含まれなかった地域において、賠償というものが認められないというふうに考えているわけではなくて、むしろそこは個別的な賠償が認められ得るのだということを前提としております。特に一定量の放射線量が高いといったことがありますと、これは個別的に賠償の対象になり得ると考えております。
 では、なぜその地域は対象にしないのかといいますと、これはまた後でご説明申し上げますが、今回、地域といいますか、市町村でもって一定の広がりを持っていて、一定量以上の放射線量があるという地域は、全体として指定して、そのために、その指定された区域の中で、市町村の中で、ある部分は高いけれども、ある部分は低いということが生じています。低いところは、かなり低いという場合もあり得る。にもかかわらず、そういうものも含めて、全体として指定をして、その中では差を設けないで賠償の対象にしているということがございます。こういうふうに、市町村をすべて指定する以上は、全体を賠償の対象にする、そこに住んでいる人たち全員について賠償の対象にするということを行うために、あまり放射線の被曝されている地域が限定されている、広がりを持っていないという場合には、これは個別的な対応をしていただき、放射線量があまりないところまで含めて全体を指定するということは、しないほうがいいのではないかと考えている次第でございます。
 そういう前提のもとで指定されますと、区域全体が賠償の対象になりますけれども、指定されなかった場合にも、賠償の対象にならないのではなくて、放射線量等が高いところでは、個別の賠償の対象になるということでございます。
 さて、そういう前提のもとで、今回の賠償の対象となる区域の線引きでございます。
 すみません、もう一つ前提がありまして、今回の賠償というのは、これは何度もこの審査会でもご確認いただきましたが、放射線に対する不安とか恐怖、こういったものが中心になっている賠償でございます。これと違って、例えば、福島県全体の復興のために必要なんだとか、あるいは、一種の県民感情といったものを考慮して、賠償してほしいというご意見もありますけれども、これは損害賠償の問題というよりは、政策の問題と言ったらいいんでしょうか、そういうものになりますので、これはやはりこの審査会の対象ではないので、審査会としては、放射線量に対する不安とか恐怖というものが慰謝料の対象になり得るということで、これを今回の自主的避難等についての賠償の中心に据えているというものでございます。
 さて、以上のような前提のもとで、この中間指針追補でもって決定した対象区域につきましては、今回、資料をつけておりますけれども、これについてのことで、またもう少し詳しい説明、あるいはご議論いただきたいと思いますけれども、このデータ、あるいは資料について、最初に事務局から簡単な説明をしていただきまして、その後、私からもう少し補足の説明、それから、ご議論いただきたいと思っております。
 では、最初に、事務局から。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  それでは、参考2から参考4になります。
 まず参考2につきましては、これまで審査会の中でお配りもして、ご説明しているものでございまして、それぞれ自主的避難者の割合であるとか、あるいは、その後の人口動態、それから、ヨウ素剤の配布だとか、放射線のモニタリングの状況、こういったものをいろいろ入れてございます。
 それから、参考3でございますが、これは前回の指針の決定を受けまして、今回、中間指針追補の中で、自主的避難等対象区域とした部分を、青、水色で塗ってございます。黄色の部分は、既に政府指示等による避難対象区域となっている部分でございます。これを見ていただきますと、県北、県中、相双、いわきの各市町村が、今回の中間指針追補の対象区域となっているということでございます。
 それから、参考4でございますが、参考2の中のデータを整理した格好で、ここに自主的避難関連データ整理表ということで、比較的わかりやすくというか、抜き出して整理をした格好になってございます。すべての市町村は書いてございませんが、左側にいわき市から南会津町までございますが、これは避難指示等区域外で、福島県のいわき地域、相双地域、県中地域、県北地域、県南地域、会津地域、南会津地域、それぞれの主要都市を書いてございまして、その都市についての原発からの距離、あるいは、放射線量につきましては、まず左側の23年9月~10月の線量の高い地点というのを、下の注にも書いてございますが、参考2の放射線量のデータの21ページのデータを、これは学校等のモニタリング調査でございますが、この中から、ここの左の市町村ごとに、上から高い線量を10地点抜き出して書いているものでございます。それから、その右側の23年8月~9月の線量の高い地点の部分につきましては、その後ろの22ページ以降にマップがございますが、これの8月、9月、27ページ、28ページのデータに相当するものを、これはもともと福島県のホームページからの情報でございますが、この図のもとになった数値のデータから、やはり線量の高い地点を10地点、順番に書き出しているものでございます。あと、自主的避難者数、あるいは、5~8月の人口移動、ヨウ素剤配布の有無、ここにつきましても、この資料の中にあるものをここに書き出したという格好になってございます。
 それで、右半分が、地域別にそれをやってございまして、いわき地域から南会津地域まで、原発からの距離、これは最短から最長まで幅がございます。それから、避難区域との隣接の有無につきましても、いわきは、地域として全体が隣接しているということでございますが、相双、県中、県北の部分は、市町村によっては隣接していないものもありますし、ないものもあるということでございます。それから、地域毎の自主的避難者数も、この3月15日のもの、あるいは5~8月の人口移動、先ほどの参考2のほうから抜き出して、数字にしたものでございます。ヨウ素剤の配布も同じでございます。
 それで、今回の区域の範囲になっている部分について、網かけでそれぞれ都市の名前、それから地域の名前、色分けをしているということでございます。
 資料の説明は以上です。

【能見会長】  こういう資料がもとになって線引きをしたわけでございますが、いろいろ考慮すべき要素として、今の説明の中にもありましたけれども、原子力発電所からの距離ですとか、あるいは放射線量、そして自主的避難の状況などを総合的に考慮したというものでございます。
 例えば、距離につきましては、今回対象となった地域といいますか、区域というのは、ほとんどが原子力発電所から50キロ圏にかかるようなところであり、ヨウ素剤の配布市町村とほぼ同じ範囲になっております。これは、特に自主的な避難をする際に、やはり距離が近いということであれば、不安を感じる要素が高いであろうということで、これが1つの要素になっております。
 もちろん、これだけではなくて、次に述べる放射線量――私は放射線量というのは、ある意味で一番重要だと思っておりますが、放射線量につきましては、これはなかなかどの地点をはかるかとか、いろんな難しい問題はあるんですけれども、概略的なことを言えば、相双、県北、県中、いわきのそれぞれの地域では、ほかの対象区域外と比べますと、高い放射線量が観測されております。
 ただ、個別的に見ますと、いろいろ自分のところの地域と、今度対象となった地域と比較して、自分たちのほうが放射線量が高いではないかというような批判ももちろん考えられます。例えば、対象区域外のある場所、例えば白河市などにつきまして、いわき市の南のほうと比べると、それは白河市のほうが多いではないかというような批判も考えられるところでございます。
 ただ、これはいろんな問題があって、また議論していただきたいと思いますけど、先ほども前提として申し上げましたように、いわき市の北のほうは、これは30キロ圏にもかかっているし、線量も高いところがあるわけですが、そういう意味で、いわき市はやはり全体として対象になるべきだという判断をし、その結果として、いわき市の南のほうは線量としては低いかもしれないけれども、全体として対象に入ってしまうということでございます。そうすると、南のほうと比べて、例えば白河市などと比べると、白河市のすべてではないかもしれませんけれども、白河市と比べるといわき市のほうが低く、白河市のほうが高いという状態が生じます。しかし、これは先ほど述べた前提をとるために、こういうことになるわけでございまして、これはある意味でやむを得ない、前提自体を全部覆していくというのであれば別ですけれども、その市内では区域全体として賠償対象にするという方針をとる以上は、やむを得ないと思います。また、後で関連して、いろいろご議論いただきたいと思いますが。
 それから、自主的避難の状況につきましては、これはほんとうにいろいろでございますけれども、参考資料4をごらんいただきますと、自主的避難者の数、割合等が出ておりますように、やはり今回対象となった区域というのは、相対的にはほかの区域よりは高い数値を示しており、それだけ不安を感じる人が多かったということでございます。
 もちろん、この避難した数というのは、避難したいけれどもできなかったという人は当然いるわけで、そういう意味では、自主的な避難者数というのは、それほど重要なメルクマールではないのではないかという考え方もあり得ますけれども、ただ、相対的に比較したときに、ある地域においては、今回対象となった地域においては、相対的には避難者数が多いということは、これは言えるわけで、その地域のほうがほかの地域よりも不安を感じる人が多かったということを間接的に示す資料であろうと思います。
 ということで、距離、それから放射線量、そして自主的避難の状況につきまして、これを総合的に考慮した結果、線引きというものが行われたというのが、今回の資料をもとにしての説明でございます。
 こういうことで、どこかで線引きをしますと、どうしてもいろんな不公平といいますか、差が出てくるわけですけれども、これは最初に申し上げましたように、仮に今回対象区域外にされた地域でありましても、相当な放射線量があるというところについては、これは個別の賠償の対象になり得るというふうに考えております。
 すべてについて説明しきれたかどうかわかりませんけれども、今のような説明について、何かご意見があれば伺いたいと思います。
 それと、もう1点補足して。なかなかこの資料だけ見ても、すぐにはわからないかもしれませんけれども、今回対象となった区域の中には、これは市町村単位、それから村、町等の単位で考えたときに、そんなに放射線量が多くないというところも含まれております。ただ、これは県中地域にちょっとあるわけですが、これは、この地域というんでしょうか、今日、行政法の先生はおられませんけれども、福島県でいわき地域、相双地域、県中地域、県北地域、県南地域等々、地域として、ある種の生活圏というのを想定しておりまして、そこの中では比較的・一体的に生活環境、住居等についての生活が形成されているということを考慮して、地域の中のほかのほとんどの地域は指定の対象になるというときに、多少例外的ではありますが、放射線量が低くても対象区域に指定したという事情がございます。
 そういうところと比較すると、また少し線量の高いところからすれば、あそこは自分たちよりは線量が低いのに、向こうは指定されて、こっちは指定されていないのはどうしてかという疑問が生じるのは当然だと思いますけれども、これは、今申し上げたように、この地域というものが生活圏を形成していて、そこはできるだけ一体的に考えたほうがいいだろうという要素が少し加わっているということでございます。
 いかがでしょうか。
 これも、皆様からご質問は出ていないかもしれませんけど、私のほうで気がついていて、あえてここで言わないというのは不誠実だと思いますので、申し上げますと、個別の賠償をするということは、この地域外であっても認められるということですが、それでまた、一定の放射線量が認められるところでは、区域外であっても賠償の対象にしていいだろうということなんですけど、じゃ、そこでどのぐらいの放射線量があれば賠償の対象になるのかというのが、おそらく個別の賠償の場面、あるいはADRの場面で問題になるんだろうと思います。
 これは、しかし、なかなか難しい問題で、5ミリシーベルトだとか、3ミリシーベルトだとか、そういう具体的な数値をなかなかこの審査会では申し上げることはできない。ただ、考え方としては、これは私の個人的な考え方ですが、今回、対象区域になった地域においては、少なくとも一定範囲において高い放射線量が認められるというところが対象になっておりますので、そこでの放射線量が相当あるという範囲が一定の広がりを持っているという、その部分における放射線量というのが参考値になるだろうと思います。これも、それだけでは、具体的に幾らかというのはわかりませんけれども、そこは少しいろいろ個別事情もまた考慮される可能性もあるので、個別の賠償の請求、あるいは、それを受けたADRの中で審理していただければというふうに思っている次第です。
 今の点についても、いかがでしょう。よろしいでしょうか。
これも先ほど前提で申し上げた点ですけれども、例えば、放射線量が、指定される市町村の単位で考えたときに、スポット的に高いところがあるというだけで、すべてを指定するということはやはり適当でない。なぜならば、これは高くないところもすべて含めて賠償の対象にすることになりますので、そういう意味で、高いところがやっぱり一定の広がりを持って存在するというのが、おそらく指定のための前提なんだろうと思いますが。そういう意味で、一定の広がりがあるのかどうか、スポット的に高いところはいろいろあると思いますけれども、そういう判断を前提にしているということになります。
 もし今のような理解でよろしいということであれば、前回の議論の少し補足をしたというふうに位置づけたいと思います。
 どうぞ。

【中島委員】  個人的な感想で恐縮ですが。
 データによりますと、白河市は、確かに結果的に線量が高いんですけれども、白河市から避難した人の特徴としては、早い時点で避難した人が多いようなんですが、早い時点とは、どういう要素が重点として加味されるべきかということを考えますと、早い時点ではデータがなかったということも考えると、原発からの距離というのが、白河の場合はやっぱり大きいのではないかと考えますと、白河は避難区域と隣接している地域ではないということも考えますと、コアな部分の賠償の指針という意味での指針として、白河は外すということも、1つの理屈としてはあり得るのではないかと思います。

【能見会長】  この審査会でもって、個別の、ここはこうでということを言うのが果たして適当かどうかわかりませんけれども、今、参考資料4の数値は、高いところを上から順にとっているんですか。これが地域的にどこら辺に分布していたかというのが、もし説明ができればお願いしたいと思いますが。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  それにつきましては、参考2の31ページが比較的、これは5月のデータでございますが、その後も大きな傾向は変わってございません。一回、原子力発電所から北西方向に出たものが、中通り沿いに、これは南西方向に流れてきているということで、したがって、白河市の北西部分が比較的高くなっておりますのと、若干、下のほうにスポット的に線量の高い地域がございますが、この10点のうちの8点が、左の、ちょうど青い色が着いているところで8点、それから、その下のほうの、ちょっと丸がついているところでそれぞれ1点ずつで、合計10点が今とられてございます。

【能見会長】  そういうことで、この高い数値で示す地域が、白河市という単位で見たときに、一定の広がりを持っているかどうか。これをもし、どこのほかのところもそうなんですけれども、指定すると、線量が高くないところも含めて、すべてこれはもう一律、前回決めていただいた金額は最低限のものとして賠償されることになりますので、そういう線量が非常に少なくて、だれも自主的避難を――だれもと言うとあれですけど、自主的な避難を考える人があまり多くないという場合にも、そして、滞在者も含めて、すべて賠償するということになりますので、線量が少ないところもそういう賠償でいいんだという判断をするためには、やはりその市町村において一定の広がりを持って放射線量等の一定量があるというのが、やはり1つの前提になるのであろうと思います。白河市などについて、そういうことが言えるかどうかということがポイントなのではないだろうかと思います。
 ただ、この地図だけでは必ずしもよくわかりませんけれども、人口の分布でありますとか、そういうことも当然関係してくると思います。
 この人口の分布についても、もし何か事務局のほうで。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  今のちょうど北西部につきましては、白河市で大信地域と言われているところでございますが、ここの人口が大体四、五千人ぐらいでございます。白河市の人口が6万4,000人でございます。

【能見会長】  そういう人口分布も考えて、一定の広がりを持ったところが相当量の汚染を受けているかという判断をしたということですね。したといいますか、結論的には、一定の広がりという意味で、少し少ないのではないかという判断をしているということです。
 ただ、そういうふうに言いますと、これも一応疑問として出てくるのは、例えば、いわき市は非常に広いけれども、そこでもって放射線量の高いのはごく一部ではないかという批判といいますか、というのも当然出てくるだろうと思います。ただ、いわき市の場合には、これはもちろん原子力発電所に非常に近くて、30キロ圏内にもかかっているわけですし、そういう意味では、いわき市において避難する、また、かなりの数避難しているということからもわかりますように、避難するということについての合理性は高い地域だろうと思います。特に北のほうで高いだろうと。したがって、これはまた相当な人口もありますので、これはやはり指定して、全体として区域に含めて考えるのが適当だったのではないだろうかということで、これも以上のような判断から、指定対象になるという判断でございます。

【田中委員】  先ほどの中島委員の意見にも少し似ているんですけれども、今回の自主避難を認めるというそもそものところは、政府の指示が当初においてはっきりしていなかった、その時期が4月22日と一応考えて、そこまでの期間についての避難については、ある程度やむを得ないだろうというところがあったと思うんですね。それで、その後、だから、それプラス、引き続き、妊婦とか子供については、ある程度長期に避難していることについても認めましょうということで、金額もそれなりにそこは厚目に見たということかと思うんです。それで、そういうことを考えますと、現時点とか最近の線量のところで判断するというのも、無視していいというわけではないですけれども、必ずしもそれが今回の判断のすべてのベースになっているわけではないんだと思っています。
 それで、不安ですけれども、この不安というのはなかなか定量化できなくて、今、資料2の5ページを見ているんですが、川俣町というのは、わずか1人しか自主避難していないんですね。川俣町というのは、山木屋地区というのは、4月22日に計画的避難準備区域にされて、町の半分近くが皆さん強制的に避難するような事態になっても、自主避難の人は1人しかいないというような状況があるわけで、そこがある程度そこのところで、そういうことで割り切ればいいと思いますし、いわきの場合は、私も正直言って、距離が近いですから、当初の不安定な時期においては、多くの人が自主的に避難したということはある程度やむを得ないと思うんです。逆に言うと、後で避難をすることになった飯舘村とか、特定避難勧奨地点というようなところは、十分私たちは離れているから大丈夫だと思っていたんだけれどもという意見がありますように、やっぱり距離のファクターというのは当初において相当大きいんだというふうに私は思いますので、前回決めたことで私はよろしいのではないかと思うんですが。

【能見会長】  どうもありがとうございます。いろいろご意見いただいて。
 今の距離の問題は、私も十分うまく説明できなかったんですけれども、今回、初期といいますか、当初のと、それから、その後のというのを截然とは分けないで、区域の指定をしておりますので、そういう意味では、そこで避難したことの合理性、あるいは、不安を感じることの合理性というのは、おそらく2つの要素があって、今おっしゃったように、当初において近いということから不安を感じるという、その不安と、それから、ある程度落ちついてから、それなりに線量があるということで感じる不安と、やっぱり両方の要素があるんでしょうね。どちらをどの程度ウエートを高く見るか、ここは微妙な差があるかもしれませんけど、両方の要素があって、距離というのは、特に当初において不安を感じることの合理性というものを示すファクターであったということで、ここでも取り上げられているということでございます。したがって、それを考慮の要素の1つとして考えると、いわき市などについては、これはやはり対象区域になるべきであるということで、入っているということだと思います。
 どうぞ。

【田中委員】  もう1点つけ加えますと、ヨウ素剤の配布というのが、ちょうど今回、この賠償の範囲に入ったところとほぼ全部合っていると思うんですが、一、二町村がちょっと違うところはありますけれども、ヨウ素剤の配布というのは、何も知らない立場でそれを配布されると、ヨウ素が飛んできて危険なんだという、その不安はより大きくなると思うんですね。それも、3月中にそういうふうな行政の対応がされていますので、それを受けた住民の方は、中には不安を感じて自主避難したという要素もあるのかなとちょっと想像します。そういう意味では、ヨウ素配布という領域と合っているというのは、私はリーズナブルではないかと思いますが。

【能見会長】  ほかにご意見等ございますか。
 それでは、住民の中にはいろいろまだご不満は残ると思いますけれども、区域の指定については、一応それなりに合理性のある区域の指定であるというふうに判断したいと思います。その上で、また再度繰り返しますけれども、区域外の住民の方も、自分の住んでいる場所における放射線量が高いという場合には、これは個別的に賠償の対象になるんだということを改めて強調したいと思います。
 それでは、次の、ステップ2の終了についてということでございます。このステップ2の終了については、原子力安全・保安院より説明を伺うことにいたします。
 では、お願いいたします。

【原子力安全・保安院(氏原課長補佐)】  それでは、原子力安全・保安院東京電力福島第一原子力発電所事故対策室の氏原と申します。お手元の資料1を使いまして、ステップ2完了のポイントについてご説明をさせていただきたいと思います。
 ステップ2、7月19日からステップ2のほうに道筋が移行いたしまして、今月の12月16日まで、冷却、抑制等の各取組が進められてまいりました。ステップ2では、放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられているということをその目標といたしまして、ずっと取り組んできております。
 この目標を確認するために、原子炉について、「冷温停止状態」という考え方を導入しております。これは、その要件として、3つの要件を立てておりまして、1つは、燃料の冷却について、燃料がどのように冷えているのかというものを確認するために、圧力容器の底部、そして、燃料がどこにあるか正確には把握できていないという状況がございますので、そうした場合に、格納容器のほうに燃料があるという場合でも、その燃料が冷えているということを確認するために、あわせて格納容器内の温度も確認してございます。これが100℃以下になっていること。そして、放射性物質の放出については、その時点での放出量、追加の放出量を敷地境界における被曝線量に換算いたしまして、これが年間あたり1ミリシーベルト以下というものを目標として取り組んできております。そして、そういった状態を維持して、次のステップ2の後の3年間の期間、廃炉の準備を進めていく間、こうしたものを支える循環注水冷却システム、この安全性が確保されているかということを評価してきております。
 それぞれの要件につきましては、まず圧力容器底部、そして格納容器内の温度については、12月15日の段階で、それぞれ各号機、高いところでも70℃以下となっていることを確認してございます。
 次に、格納容器からの放射性物質の放出につきましては、これを敷地境界における被曝線量に換算いたしまして、年間あたり0.1ミリシーベルト、これが現時点で格納容器から放出されている放射性物質の量であると評価をしております。
 そして、もう一つ、循環注水冷却システムの中期的安全性につきましては、こちらの資料に掲げております、その3点について確認しております。
 1つは、設備が、故障や事故に備えてバックアップ体制、多重化がされているかどうかということ、これによりその信頼性が確保されているかということも確認してございます。
 もう1点は、異常が検知でき、設備の停止時に復旧する手段、そして、代替の手段が確保されているかという点を確認してございます。
 もう一つ、万一事故が発生した場合、敷地境界における被曝線量が十分低いことを確認するということで、1つ前に挙げました設備の停止時の復旧措置、代替手段、これが講じられるまでに十分な時間が確保されているかということを確認してまいりました。
 この3つの要件について確認をし、満たされているということをもちまして、ステップ2については16日に完了ということで、ご報告をさせていただいております。
 今後は、ステップ2の完了後、新たに中長期のためのロードマップを決定いたしまして、各参画機関連携して、廃炉に向けた作業の取組ということを行ってまいる予定になってございます。
 それでは、資料を1枚めくっていただきまして、特に中期的安全確保について、どういった点を確認してきているのかということをご説明させていただきます。
 まず、こちらの資料の「はじめに」のところですが、先ほどご説明させていただいた内容と重複しておりますので、それについては割愛させていただきます。
 そして、循環注水冷却システムの中期的安全性の確認につきましては、まず注水設備の信頼性ということで、圧力容器、格納容器への注水設備、これが多重化されていること、そして、こうした仮設で設置した設備、これがすべて使用不可能となった場合に、構内の消防車を用意してございます。これによる注水再開が3時間程度で可能であるということを確認してございます。
 また、水素爆発の防止のために、現在、窒素封入設備を取り付けてございますが、こちらは1台の窒素製造設備から現在注入のほうを行っておりますが、これも、そのバックアップとして複数台設置をいたしまして、専用の発電機を用意し、停電にも備えられる体制がとってございます。
 そして、原子炉注水設備が使用できなくなった場合の安全評価につきましては、使用不可能となった場合、3時間程度で注水再開が可能ということではございますが、より厳しい条件を設定いたしまして、1号機から3号機、この注水がすべて同時に停止いたしまして、注水が12時間止まってしまった場合、その外部への影響について評価をしてございます。その結果、敷地境界の実効線量が年間1ミリシーベルトを下回ることを確認してございます。
 次に、資料を1枚めくっていただきまして、原子炉における臨界防止についての確認のポイントについてご説明をさせていただきます。
 現在、原子炉に存在する核燃料、これは臨界に適した形状から大きく崩れておりまして、再臨界の可能性は非常に考えにくいものというふうに評価してございます。しかしながら、保守的に考えまして、再臨界が発生した場合に、これを止め得る手段がきちんと講じられているのかという点を確認してございます。
 このために、ホウ酸水の注入設備を備えつけておりまして、こちらについても、タンクを複数設置するなどの多重化が行われております。
 また、臨界を検知するための手段についても講じられていること。
 そして、再臨界が生じた場合に、ホウ酸水の注入設備が起動しなかった場合、この場合は、新たに仮設プールを設置いたしまして、そこからホウ酸水を注入するということを想定してございます。これについても、厳しい条件ということで、再臨界が発生後に22時間ホウ酸水が注入できなかった、回復までにそのぐらい時間がかかったという状況において、事故時における敷地境界の線量を評価してございます。こちらは、0.54ミリシーベルトということで、こちらも年間あたり1ミリシーベルトを下回っていることを確認してございます。
 そして、使用済燃料プールにつきましても、冷却設備については、一次系、二次系ともに、熱交換器、そして空冷の熱交換のための塔ですとか、こういったもの、多重化されていることを確認してございまして、それとともに、発災時に応急措置として海水を注入してございますので、これが腐食しないように、塩分の除去装置等を取り付けてあるということを確認してございます。
 また、使用済燃料プールの冷却システムが止まってしまった場合に、ポンプ、電源すべて止まってしまった場合にも、16日程度の余裕があることを確認してございます。この間に、再注水のための修理を行う。また、コンクリートポンプ車が構内に準備されておりますので、こういったもので再注入を行うということが手段として講じられております。
 続きまして、資料をまた1枚めくっていただきまして、高レベル放射性汚染水の処理についての安全確認でございます。
 こちらについては、津波や炉心冷却水の流入等によって、現在のところ、高レベル放射性汚染水が滞留しておりますので、こちらを処理して、その水を再注入に使っているという状況にございます。こちらも、処理設備については多重化を行っておりまして、こういった設備が壊れてしまった場合についても、一月程度で設備の再構築が可能であることを確認してございます。
 こうした冷却に必要な各設備について、設備の多重化、そして代替手段の措置、そして、そういった手段を講じるまでの十分な時間的余裕があるということを確認いたしまして、中期的な冷却の安全性が確保されているというふうに評価してございます。
 以上で、ステップ2の完了についてのご説明でございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、これについてご質問等があればお願いしたいと思いますが、我々は、原子力損害賠償の審査をするというところですので、今のステップ2の終了というのが、どういう形でこちらの問題に関係してくるのかというようなところについて、もしご質問等があればお願いしたいと思います。
 私から一言ご質問したいんですが、例の国際放射線防護委員会でしたっけ、あれで緊急時というのと、それから、その次に何と言いましたっけ、今、名前を忘れたけど。要するに、緊急時と、それから、緊急時が終了して、次の段階になったところでもって、公衆が被曝する放射線量の目標値というのが違うのが設定されていると思いますが、このステップ2というのが終わったというのは、その緊急時が終わったということと同じことというふうに理解してよろしいんでしょうか。

【原子力安全・保安院(氏原課長補佐)】  必ずしも線量のところと直結するわけではございませんが、今後の流れといたしましては、このステップ2完了、これを契機といたしまして、避難区域についての議論、こういったものを行っていく予定となっております。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  では、ちょっと事務局のほうから。
 先ほど能見先生おっしゃったのは、残存被曝、ICRPで言っておりますが、1ミリから20ミリの話だと思いますが、あれは事故のサイトの話というよりも、その汚染状況のことを言っていると思いますので。

【能見会長】  そうですね。田中先生、補足していただければ。

【田中委員】  今ちょっとお話ありましたけれども、サイトの中の状態が不安定だということで、今まで避難をしてきた区域が20キロ圏ということであったわけですが、それに、今回の場合は、不幸にして放射能が外に漏れて、放射線量が高いという地域があって、その2つの尺度で、今、住民の避難が行われていると思うんですね。前者のほうが、今回のことで、それを解除する1つの段階にきたというふうに私は理解していて。というのは、20キロ圏の中が立入禁止とか、そういう警戒区域になっていると、20キロ圏の復興というのが全然手を着けられないとなかなかということがあって、これはいずれある段階で安定になったところで、その解除をされていくんだろうと私も想像はしていたんで、それが今回そういう準備がほぼできてきつつあるというふうに理解してよろしいんでしょうか。

【原子力安全・保安院(氏原課長補佐)】  解除については、また次にご説明があるかと思いますが、プラント内の状況といたしましては、これで安定して冷却ができているという状態に達しておりますので、再び避難が必要になるような状態は脱しているというふうに考えております。

【能見会長】  今、田中委員が言われましたように、ここで賠償の対象にしているもの、特に今の自主的避難も関係しますけれども、そこでは、また原子力発電所が放射能を大量に放出するような事故といいますか、収束しないで、そういう大量に放出するような事態が生じるかもしれないという意味での不安と、それから、もう既に大気中に相当程度放出されていて、その放射能による不安の問題と、2つがあるということですよね。その前者のほうがこのサイトの問題ということで言えば、一応収束したという判断をそちらでしているということですよね。ですから、後者の問題はまた別の問題と。

【原子力安全・保安院(氏原課長補佐)】  そのようにご理解いただいてよいかと思います。

【能見会長】  米倉委員、どうぞ。

【米倉委員】  関連した質問をさせていただきます。
 いろんな方策をとることによって、万が一、それぞれの場所でのトラブルが起こったとしても、年間1ミリシーベルト以下に抑えられるだろうという線量の評価をされているんですが、この中には、内部被曝による被曝線量が含まれているのかどうかというのが第1点。
 それから、最悪のシナリオとして、これらのものがすべて同時に起こった、例えば、前と同じような津波が来て、すべてが壊れたとしても、そのときの最大の予測線量というんですか、そういったものの評価というのはされているのかどうか。
 2点お願いします。

【原子力安全・保安院(氏原課長補佐)】  被曝の評価については、内部被曝も含めて評価されております。
 次に、後者の質問ですが、事象は段階的に進んでまいりますので、まずはすべて同時に起こってしまったとすると、燃料の温度が上昇して、冷却が止まってしまうということが先に起こります。そういった、故障が同時に起こったとしても、事象が同時に進展するわけではございませんので、これは、こちらに出ているような被曝線量を大きく超えることはないかと思います。

【能見会長】  ほかにいかがでしょうか。
 よろしいですか。それでは、どうも、説明、ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移りますが、避難指示区域の見直しについてということで、これは内閣府の原子力被災者生活支援チームから説明をお願いします。

【内閣府原子力被災者生活支援チーム(松永参事官)】  原子力被災者生活支援チームの松永です。どうぞよろしくお願いいたします。私のほうからは、資料2にあります、「警戒区域及び避難指示区域の見直しの方針案」という資料に基づきましてご説明をさせていただきます。
 先ほどのご議論にもありましたように、現在、避難指示区域は、2つの種類というか、2つの地域に対して出されております。1つは、3月の事故発生以来、再度大きな事故が起こり、急速に高いレベルの放射線を浴びるリスクがあるということで、発電所から半径20キロメートルという半円形で設定させていただいている避難指示区域で、事故当初の半径5キロメートルの範囲が、次いで10キロメートル、20キロメートルと拡大されております。4月22日の時点で、この範囲を警戒区域として、立ち入り制限の措置をさせていただいております。もう一つは、その同じ4月22日ですが、3月の発災以来、放出されてしまった放射性物質によって汚染をされ、線量が年間20ミリシーベルト超となる地域について、計画的避難という避難指示をお願いした地域となります。先ほどご議論いただいたとおり、この2つの避難指示区域について、今後の取扱いをどう考えるかということの議論を今回開始させていただいたところです。
 もともと8月9日に、原子力災害対策本部では、「避難区域の見直しに関する考え方」を出させていただきました。これは、今回はステップ2ですが、ステップ1が完了したことに伴い、緊急時避難準備区域として半径30キロメートルのところに引かせていただいた線、これをどう解除するのかということに示したものですが、同時に、警戒区域、計画的避難区域の解除にどう対応するのかについても示させていただいておりました。そこでは、ステップ2が完了した時点で、警戒区域の縮小の可否及び計画的避難区域の見直しについて検討を行うこととされており、したがって、今ご説明がありましたように、ステップ2の完了という事態に至りましたので、警戒区域、計画的避難区域などの避難指示区域の見直しについて検討を開始したということです。
 また、今回、長期間にわたって帰還が困難な区域を指定することとなりますが、8月9日の決定におきましても、「相当長期にわたって帰還が困難な区域の存在も明らかとなる」ことから、「こうした区域においては、地方自治体と長期的な復興対策の在り方について十分相談し、長期的な対応策を検討したい」と示させていただいたところですので、今回この点についても検討を始めさせていただいているところです。
 お手元の資料ですが、ここでは「方針案(骨子)」となっておりますが、この内容は、福島県、市町村等に提示させていただいた、たたき台としての案です。今後、区域の見直しの基本方針や段取りについては、早期に決定し、他方、具体的な区域見直しの線引きですとか、あるいは区域の運用、支援の内容などについては、福島県、それから関係市町村と綿密に調整をさせていただいて、まとめていきたいと考えています。
 資料のご説明に移らせていただきます。
 資料の1ページですが、1ポツは、今ご説明がありました安全性の評価ですので、割愛させていただきますが、ステップ2が終了することにより、警戒区域、避難指示区域の見直しに向けての具体的な検討に入りたいということです。
 2ポツの警戒区域ですが、今申しましたように、事故の状況が予断を許さないということで、短時間に極めて高いレベルの放射線が炉から放出されるというリスクを考慮して、半径20キロメートルで線を引き、それを警戒区域ということで、罰則で担保された立入禁止措置の対象となる地域として線引きをしておりました。先ほど保安院のほうから説明がありましたように、ステップ2が終了したというところで、そのリスクが解消されたということですので、これは解除することが基本となると考えております。
 しかしながら、半径20キロメートルで線を引き、今も立ち入りを禁止している土地ですので、安全に帰還するためには、インフラの状況あるいは、治安の問題なども考えなければなりません。そこで、インフラの安全確認ですとか、治安対策といった措置が済んだ段階、早ければ年度内にそういう措置を済ませて4月1日、あるいは、そこから大きく遅れない一定期間経過後に解除をすることを目指したいと考えております。
 それから、避難指示区域の再設定です。このように、炉の状況が安定したという前提で申しますと、今ある区域が見直されて、2ページ目にありますように、3つの地域に区分して、それぞれの対応を考えていく必要があるのではないかと考えております。1つは、避難指示解除準備区域です。2つ目が、居住制限区域です。そして、居住制限区域の中で、帰還が困難な区域として、3つ目の帰還困難区域です。この3つの区域を設定し、それぞれについての対応策を考えていく必要があるのではないかと考えております。
 避難指示自体は、先ほど申し上げましたように、現在年間20ミリシーベルトを超えるおそれのある地域を計画的避難区域と設定させていただいておりまして、今後も同様に、20ミリシーベルトを超える区域につきましては、居住制限ということを維持せざるを得ないと考えております。
 他方、年間20ミリシーベルトを下回る区域につきましては、これは8月4日に原子力安全委員会から、解除に対する考え方が出されており、避難指示を解除する基準として解除日以降、年間20ミリシーベルト以下となることが確実であるか否かを用いることが妥当であるとされておりますので、この基準を用いることとしたいと考えております。
 もちろん、年間20ミリシーベルト以下の地域だから解除をするということで、それで終わるということではありません。解除した区域については、引き続き放射線を低減する努力をしっかりとやって、できるだけ線量を低減していく必要があると、これも原子力安全委員会から指摘されているところです。
 その上で、避難指示解除準備区域として、年間20ミリシーベルト未満の地域を設定します。なぜ避難指示解除準備区域かと言いますと、避難指示は当面維持した上で、帰還のために必要な準備を整える地域ということで設定を行うからです。当面は避難指示を維持するわけですが、住民の早期の帰還に向けまして、例えば、上下水道、生活道路など生活インフラの復旧、それから、子供の生活圏の除染などを進捗させ、さらには、丸2等に書いておりますが、雇用対策など、復興・復旧に向けた支援策を早急に行う。そして、これらの進捗を踏まえた上で、段階的に解除していくという方針を示させていただいております。
 避難指示準備区域は、避難指示の解除に向けた作業を加速する必要がある地域だと考えております。したがって、例えば、通過交通ですとか、住民の一時帰宅ですとか、今までは一時帰宅もかなり制限的にさせていただきましたが、そういった措置、あるいは復旧作業のための立ち入り等々を柔軟にし、あるいは事業再開も一部認めるなど、弾力的に運用を行うことが可能ではないかと考えております。
 それから、先ほども申し上げましたが、解除したといっても、それですべて終わるわけではありません。継続的な線量低減の努力は必ず行わなければならないと考えており、子供さんや妊婦の皆様方の円滑な帰還に向けた施策、例えば、学校の再開に当たっては、しっかりとした除染を行うといったことを進めてまいりたいと考えております。
 続きまして、居住制限区域です。これは年間20ミリシーベルト以上の区域について設定することを考えておりまして、今の計画的避難区域と同等の運用になると考えております。
 この区域は、避難指示は続けなければならない区域である一方、区域の性格としては、住民の帰還、コミュニティ再建を目指して、除染やインフラ復旧などを計画的に実施する必要がある区域と考えております。 そのため、基幹道路、ごみ焼却施設などの整備のための除染や立ち入りは、特に迅速に実施をすることとなります。先ほど申しましたように、半径20キロメートル圏内の警戒区域は、現在、一時立入のみを許可するという形で、立ち入りを制限しております。他方で、計画的避難区域については、一時的な立入は比較的自由にやっているところですので、それと同等の措置で、住民の一時帰宅、あるいは、道路の通過交通などを認めることになるのではないかと考えているところです。
 3つ目が、帰還困難区域です。これは、3月の発災以来、既に9カ月がたち、非常に厳しい避難生活をお願いしている方々に対して大変に申し上げづらいことですが、やはり居住制限区域の一部の地域に、放射性物質の汚染レベルが極めて高いがゆえに、避難指示の解除までに要する期間が相当長期にならざるを得ない地域が存在することは否めない事実です。政府といたしましては、この厳しい現実をしっかりと受けとめて、自治体や住民の皆さん方のご要望を伺いながら、長期化する避難生活、それから生活再建の在り方、さらには、自治体の機能をどう維持するか等々について、国としてもしっかりとした責任を持って対応していかなければならないと考えております。
 この区域について、政府部内でも検討を進めてきたところですが、ここでは、丸1にありますように、居住制限区域のうち、5年経過してもなお、年間20ミリシーベルトを下回らない区域、これを現時点の線量に換算し、年間50ミリシーベルト以上の地域を、帰還が困難な区域として特定する必要があるのではないかと考えております。
 帰還困難区域につきましては、将来にわたって居住を制限することを原則として、少なくとも5年間はこの区域を維持し、その間見直すことはしないという方向で、市町村等とご相談をさせていただきたいと考えております。
 丸3にありますように、そういった場合には、その区域内の土地はどうなるのかという問題があります。これは各市町村がどのような復興再生プランをつくるのか等々を踏まえまして、その復興再生プランに応じた復興支援パッケージを考えていく中で、その不動産、土地等をどう扱うのかという議論になると考えております。この問題についても、区域の線引きを大体3月いっぱいで行いたいと考えておりますので、住民の皆様方ですとか、市町村、県とよく相談をした上で、3月末、4月の前までに基本的な方向性について議論を行い、合意を目指したいと考えております。
 帰還困難区域ですが、除染については、やはり線量が高いということもありますので、モデル事業を継続するという扱いになろうかと思います。インフラについて、必須の応急復旧は必要ですが、それ以外については、やはり難しいだろうと考えております。
 また、帰還困難区域は線量が高いということですので、防護や治安維持の観点から、やはり原則立入禁止とせざるを得ないと考えております。区域境界におきましては、例えば柵を設置するなど、物理的な防護措置も講じざるを得ないのではないかと考えております。他方、ここに書いておりますが、一時立入については、住民の意向を最大限に配慮した上で、現在と同様に柔軟に行っていきたいと考えております。
 以上、各区域の線引きは、3月末を1つの目途に、合意を得ることを目的として、自治体や住民の方々と議論をさせていただきたいと考えております。
 4ポツは、各区域の住民及び市町村に対して、どのような支援を実施するかということです。この区域、大体9万人ぐらいの方がお住みになっていた区域でして、それが今、避難をされています。地域の汚染の状況や、地震や津波などによる被害もある中、個々の住民の皆様によって、事情はさまざまに異なっていると思いますが、それぞれにつきまして、状況に応じて、避難から帰還、それから、帰還が長期にわたる場合の措置、そして、生活再建をどうするか、こういったところを切れ目なく支援をしていきたいと考えております。
 避難指示解除準備区域については、すぐに帰還をいただく地域ですので、居住、産業活動の再開に向けた準備を早急に進めるということになりますし、居住制限区域については、やはり当面はご帰宅、帰還いただくことができない地域ですので、まずは被災状況の基礎的な調査をした上で、被災して避難していただいている方への生活支援をどうするのかということを考えていきたいと考えております。
 それから、帰還困難区域ですと、これは先ほど5年間と申し上げましたけれども、避難が特に長期化をするということですので、住民の方々への雇用の提供、住宅の確保等々の必要な施策について、市町村の皆様方と相談しながら実施したいと考えております。
 最後、損害賠償ということで書かせていただいております。区域の見直しが行われますと、この区域から避難されている皆様方の中には、今申し上げましたように、避難生活からすぐにご帰還いただける方々もおります一方で、当面は避難を継続される方々、あるいは、今後はやはり新たな場所での新生活を検討されている方々など、いろいろな方々がおり、それぞれがいろいろなご判断というか、お悩みを持っていらっしゃると思います。政府による支援策についても、どのような対応がされるのかという関心も持たれているかと思いますが、賠償についても、やはり避難されている皆様方にとっては、今後どのようになるのか関心が非常に高く、我々のチームに対しても、いろいろな問い合わせがあります。したがって、区域の見直しに関連しまして、賠償の取扱いについても、紛争審査会でご検討いただける部分については、早急にご検討いただきたいということです。
 (1)に書いてありますのは、今の損害賠償の中間指針の中で示されている項目です。それに加えて、どのようなことを住民の皆様方から問い合わせを受けているかということですが、例えば、避難費用、精神損害等々について、いつまで支払いをいただけるのだろうかということ。それから、一括払いは可能かということ。それから、不動産や動産は価値が減殺していると考えられますが、その損害額はどのように算定をするのかということ。それから、特に帰還困難区域で関係すると思いますが、長期に避難生活を送らざるを得ないということがありますので、そういった場合に、営業損害とか就労不能はどう扱われ、その一括払いというのがあるのかどうかということ。それから、今、精神的苦痛というのは、厳しい避難生活を送ることに対する精神的損害を考えておりますが、特に帰還が困難になったということで、ふるさとや住みなれた土地を離れざるを得ないということの精神的苦痛というものはどのように扱うものなのかということ。今回の区域見直しに当たって、こういったさまざまな新たな問題が出てくるのではないかと考えております。
 それから、不動産について言いますと、繰り返しになりますが、長期間使えないということが明らかになりますので、滅失と言うとちょっと言い過ぎなのかもしれませんが、それと同等ということもあるのではないかという議論もありました。
 もちろん、今申し上げた論点は、ここでも書いてありますように、紛争審査会だけでの論点ではありませんし、関係機関において決めていかなければならないという問題も多々あります。審査会の議論になじむもの、なじまないもの、いろいろあることと思います。しかしながら、いずれも自治体、住民の方からよく問い合わせを受ける問題であり、住民の皆様も真摯に悩んでいらっしゃる問題だと思いますので、審査会の議論の対象になじむものについては、ぜひ速やかにご議論をいただき、ご判断をいただければ幸いです。
 以上で、私からのご説明とさせていただきます。

【能見会長】  ご説明、どうもありがとうございました。
 それでは、委員の皆様のほうでご質問、あるいはご意見がございましたらお願いいたします。
 今までの区域の指定というのが、今度違った形で組み替えられるというんでしょうか、ある意味で、放射線の量に応じた組み替えということになるということですかね。

【内閣府原子力被災者生活支援チーム(松永参事官)】  ご指摘のとおりで、炉の安定でございますね。それから、放射線量ということになります。

【能見会長】  そうですね。ということで、賠償の問題も微妙に違ってくるところがあるかもしれません。
 本格的に議論するのは次回以降になると思いますが、今の段階で何かお気づきの点がございましたら。
 僕は、今のお話を伺っていて、一番最後のところにあります、帰還困難区域の住民に対する賠償の中の、営業損害とか就労不能の損害については、これは、もちろん難しい問題ではあるんですけれども、ここの審査会でもって十分議論によって詰めることはできると思うんですけれども、その次の精神的被害についての賠償というのは、もちろん、そういう被害の賠償はすべきだという前提ではありますけれども、では、この指針でもってどのぐらいの額というのが出せるのかというのが、これがこの審査会の権限、性質の関係で、できるのかどうかというのは、ちょっと危惧を持っていまして。これは裁判所などでもっていろいろ先例などがあって、ある種の基準が出ていれば、それに従って判断をするというのは、この審査会で十分できるんですけれども、おそらく前例のないものだと思うんですね。そういうものについての精神的被害の賠償というのは、審査会でどう決めていいのか、ここでまたご議論いただきたいと思いますけれども、悩ましい問題ではないかと思います。いずれにせよ、かなり難しい問題の一つのような気がしますね。
 それから、もう一つは、今度、避難指示区域というんでしょうか、あるいは警戒区域などが解除されて、新たに居住制限区域には組み込まれなければ、結局、戻ってくることができるというときに、今までの避難をしていることによる損害という枠組みは、これは切り替わることになる。どの程度前の枠組みを続けるかというのは、これは相当な期間の問題ですけれども、いずれにせよ、避難によって生じている損害の賠償という枠組みは、今後切り替わるわけですけれども、この戻ってくる地域というのが、戻ってきてもいいですよという地域であって、まさに今日最初に問題とした自主的避難の問題と関係してきて、今回指定したような地域の放射線量と比べると、それと比較してもまだ高い地域ではありますので、少なくとも自主的避難の賠償の枠組みはそこで切り替わって適用されるのではないか。そうすべきかどうかという問題。それから、それよりも放射線量が高いということを考えると、賠償額などの点についても、自主的避難の場合と同じでいいのかどうか、あるいは、少し上乗せしなくてはいけない問題があるのではないかというようなことを、今、この場でお話を伺っていて感じましたけれど、そんな点をご議論いただくことになるのではないかと思います。
 何かもしほかの委員のご意見があれば。
 どうぞ、またそちらのほうで。

【内閣府原子力被災者生活支援チーム(松永参事官)】  今のご示唆のありました点ですが、避難指示区域の中でも、居住制限区域ですとか、あるいは、その中で特に帰還困難区域というのは、放射線が非常に高い区域です。他方、線量マップなどを見ますと、場所によっては非常に線量が低い区域があります。したがって、難しい問題であるのは、警戒区域の中でも、比較的線量が高い地域だけではなく、線量が非常に低廉で、区域外の地域よりも低い地域もあるわけです。
 他方、この区域はずっと警戒区域であり、居住を制限して、立ち入りも、一時立入を除き行わないでくださいという区域でした。したがって、住居も畑も放置されており、そこにお戻りいただくには、やはりいろいろな障害がある地域ということであり、非常に難しい問題が多々あるかと思います。

【能見会長】  おっしゃるとおりかもしれません。一律に解除されて戻れるといっても、同じではなくて、放射線量などがかなり低いところと、やはりそれなりに高いところとあると思いますので、そういうことにも差を設けるという言い方は変かもしれませんけれども、そういった違いにも配慮しながら、賠償の問題を考えなくてはいけないのかなという気がいたしますね。
 何かほかに。
 もう一つ、居住制限区域というのも、帰還困難区域というのは、少なくとも5年はだめだという、戻れないという状況の区域ですから、居住制限区域というのは、年間20ミリシーベルトであるけれども、5年ぐらいの間には戻れる可能性が高いというぐらいですか。そこら辺のニュアンスは。

【内閣府原子力被災者生活支援チーム(松永参事官)】  居住制限区域は5年間の間に戻ることが可能と考えられる区域です。帰還困難区域の基準である年間50ミリシーベルトというのも、私どもとしましては、保守的に見た数字ですので、年間20ミリシーベルトのきわのところは、自然減衰等により、短期間で、例えば1年後には戻れる可能性のある区域もありますし、例えば年間50mSvに近いところですと、やはり長い期間帰れないという地域になります。

【能見会長】  ここの賠償というのがどうなるかというのも、居住制限区域ですから、もちろん制限がかかっている間は戻れないということですね。

【内閣府原子力被災者生活支援チーム(松永参事官)】  はい。避難指示を続けさせていただくことになります。

【能見会長】  続けるということですね。ですから、避難が続く状態ということで、今までの枠組みと同じように考えればいいのかもしれませんけれども、ただ、5年ぐらいは戻れないというので、帰還困難区域ほどではないにしても、かなりの期間戻れないということになりますので、これは今までこの賠償審査会でもって、第3期についてはどういうふうに賠償を認めていったらいいのかという問題を議論してきましたけれども、いよいよある程度この年限というのが明確になってきて、居住制限区域であれば、5年ぐらいでは戻れるけれども、しかし、なお5年ぐらいは戻れないところも出てくるので、ここら辺の賠償の仕方も、今までは自分の住みなれない地域において、不便な生活をしているということの賠償が中心であったわけですけれども、ここにきて、やはり将来の問題、将来、戻れない可能性が5年ぐらいはあるというのが居住制限区域であり、帰還困難となると、5年以上だめだということになるので、そこら辺の賠償の仕方がやはり微妙に変わってくるのではないかという気もしております。
 こんな点をいろいろこれから詰めて議論していきたいと思いますが、ほかに、皆様のほうで何かお気づきの点とか質問等がございましたら。
 ごめんなさい、もう一つだけ。この帰還困難区域のところで、丸3のところ、売却希望の不動産の買取りについても検討とありますけれども、これはもちろん帰還困難なので、新しい生活をしたいという人は、もう不動産も買い取ってもらって、そして、新しいところでの新しい生活を始めたいという人がこういうことを考えると思いますけれども、これは希望者にということで理解してよろしいんですか。

【内閣府原子力被災者生活支援チーム(松永参事官)】  ここの不動産の問題につきましては、まだ方向性が全く決まっておりません。今後、市町村などとよく協議をしまして、それから、復興プラン自体をどう作っていくかということと、土地の問題は非常に密接に絡みますので、これから市町村と詰めていきたいということです。
 したがって、買取を行うのがどういう主体なのか、どういう対象の不動産を買うのか、それは全部買うのか、希望者からだけなのか、こういうことも含めて、市町村などとよく話し合って、あるいは、住民のご希望なども聞きながら検討させていただきたいと考えております。

【能見会長】  そうすると、要するに、ここの買取りについては、まだ決まっていないということですね。簡単に言うと。

【内閣府原子力被災者生活支援チーム(松永参事官)】  はい。

【能見会長】  わかりました。
 もしほかにご意見がなければ。
 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  来たばかりで申しわけございません。
 ご説明を伺っていませんので、大ざっぱなことで申しわけありませんが、今、会長がお聞きになったこととの関係で、借上げという話も前に出ていたかと思いますけれど、それは検討対象からもう外れたんですか。

【内閣府原子力被災者生活支援チーム(松永参事官)】  そういった買上げなのか、借上げなのか、どういう扱いにするのかも含め、さまざまな問題について、市町村とこれから議論をしていきたいと考えております。

【能見会長】  それでは、ほかにご意見がなければ、とりあえずこのぐらいにしたいと思いますけど、よろしいですか。
 では、説明、どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題といたしまして、双葉郡の避難者へのアンケート調査の結果についてでございます。これは福島大学が双葉郡の避難者に対して詳細なアンケート調査を実施しているということでございます。その結果、分析の状況につきまして、丹波先生からご説明をいただけるということでございます。
 では、丹波先生、よろしくお願いします。

【福島大学(丹波准教授)】  福島大の丹波です。よろしくお願いします。座って報告させていただきます。
 3月の震災直後に福島大学で災害復興研究所を立ち上げて、福島の復興に向けて、自治体等と協力しながら取組を進めてまいりました。今日は、その一端をご紹介させていただきたいと思います。資料3をごらんいただけたらと思います。
 まず調査の結果についてですけれども、震災から半年たった9月に、原発周辺の自治体の双葉8か町村のすべての住民を対象にした実態調査を行いました。この地域に住む約2万6,000世帯が対象となっていますが、3ページをごらんいただくとわかるように、実際には震災後、家族がばらばらに生活をしているケースも多く、発送数は、自治体の広報紙に同封するような形になりましたが、2万8,184世帯に発送しました。回収率は、約半分の48.2%、約1万3,500世帯から回答を得ています。
 ちなみに、4ページの回収率のところに若者票というふうに書いてありますが、これは、比較的若い世代がほんとうにふるさとに帰ってきていただけるのかということを非常に心配している声が多いものですから、今回の調査では、13歳から39歳までの若い世代を対象に、自由記述という形で書いていただきました。その回答数ということになります。
 この調査は、南相馬、飯舘村などの他の区域設定された地域は、今回の調査の対象になっておりません。それから、区域外で県外に避難されている、先ほどからも随分議論ありました、いわゆる自主避難者の方々については、対象となっていないということです。
 国がステップ2の解除をされまして、今後、帰還に向けた施策を講じていくことになろうかと思いますけれども、まず申し上げたいのは、県内外に避難生活を余儀なくされている15万人以上の被災者の方々、さらには、県外に6万人以上の避難生活を送られています県外避難者、その全体の実態が十分踏まえられて、この帰還が検討されるべきだろうというふうに思っています。国も、警戒区域等の住民に対して意向調査を進めるというふうに聞いておりますが、まだ自主避難者についても、推計値でだと思いますけれども、きちんとした実態把握に努めて、国や県が、避難生活を余儀なくされている方々に対して、やはり「見捨てていませんよ」というメッセージをきちんと送っていただきたいと思っております。
 特に自主避難の方々については、自治体から十分なサービスを受けられずに、非常に孤立感を深めています。そういったことも踏まえて、ぜひご検討いただきたいと思っています。
 さらに、今回、原子力賠償紛争審査会に呼んでいただきましたけれども、この賠償という問題も、それぞれの人や家族がもとの生活を取り戻して、それぞれの場所で生活の再建ができるものになっていかなければいけないだろうと思っております。
 そのうえで、まず調査の結果について、ポイントを簡単にご紹介したいと思っております。
 7ページをごらんください。地域別の居住年数です。約7割の方々が、この地域に20年以上生活をされてきた方々です。その方々自身が、今回、この原発事故によってふるさとを奪われたということです。
 8ページです。地域別の自宅の被災状況です。地震や津波の被害も大きくありますが、自宅が全壊したのは全体では6%ほどです。これは地域差がありますけど、ほとんどの場合は一部損壊ということになっています。多くの方々は、自宅は残っていながら、そこに住むことができないということです。先ほどの話でもありましたけれども、長期間にわたって避難生活を余儀なくされると、建物が傷んできますので、この辺の問題もきちんと検討する必要があるだろうと思っています。
 9ページ、10ページをごらんください。今回の原発災害は、避難先を何度も変えなければならない、広域避難というのが1つの特徴であります。3回、4回、避難先を変えたという人は多く、全体の8割以上が3回以上避難先を変えています。県内、県外、さまざまなところに避難先を転々とせざるを得なかったというのが、この被災者の状況からもわかります。現在、避難先は、県内だけでなく、46都道府県すべてに避難しているということも言えます。中には、10回以上避難先をこの半年間で変えたという方もいらっしゃいます。
 続けて、12ページ、13ページをごらんください。現在の居住形態ですが、よく被災者支援というと、応急仮設住宅が想定されるんですが、全体としては約2割ほどしかありません。最も多いのは、アパートなどの民間借り上げ住宅です。この借り上げ住宅に入るのは、若年層ほどその傾向が高いという特徴が、13のところにもよくあらわれていると思っております。自由記述の回答を見て、今日、自由記述は持ってきたんですけど、これはまだ未定稿ですけれども、かなり膨大な量の自由記述を書いていただきましたが、仮設住宅が狭かったり、仕事や学校の関係から、家族がばらばらに生活せざるを得ないという実態が、ここで見てとれるかなと思っております。
 それから、15というところをごらんいただきたいんですが、ちょっと早口で申しわけありません。ここは大事なポイントだと思っているんですけれども、震災後の家族の離散という問題です。3月からこの半年間の間に、家族がどれだけばらばらになったかということです。ごらんいただければわかるように、97.9%の人が、震災後、家族がばらばらになっています。ほとんどの人が、もと住んでいた家族と離れ離れにならざるを得ない状況にあるということをよくご理解いただきたいと思っています。ちなみに、これは、現在一緒にいるかどうかということではないということも、ちょっと注意が必要です。
 それから、自由記述を見ると、ほんとうに皆さん、家族も地域もばらばらになって、困難な生活を余儀なくされていることがわかります。
 例えば、避難期間中に親を亡くして、四十九日が過ぎてもお墓をつくることもできず、納骨すらできない方がいます。
 避難先で奥さんが精神的ショックによってパニックになって、介護にご自身が心労を重ねていらっしゃる方がいます。
 一日も早く家族と一緒に生活したいと願い、毎日、家族の夢を見て泣いている方がいらっしゃいます。
 家族がばらばらになり、普通の会話もできず、毎日の生活のリズムが崩れ、生活が困窮されている方もいます。
 震災から1カ月ほど、仕事の関係で夫とも子供とも離れ離れに暮らさなければならず、非常時に子供のそばにいてあげられなかったと、母親失格だと自分を責めている方がいます。
 原発事故後、別々の生活を余儀なくされ、家族の意思疎通もままならず、離婚調停をしている方もいます。
 ここに持ってきたこの自由記述は、紹介しきれないほどたくさんの自由記述が書かれていますけれども、そのどれもが、この原発事故さえなければ、こんなばらばらになり苦労することがなかったという思いがあふれています。
 続けて、16ページから21ページは、震災前後の仕事の変化を見たものです。特に特徴的なものとして、20ページをごらんください。震災前後で仕事を失った人ですが、職種で見ると、会社員の方が震災後無職になったというケースは32.4%ですが、自営業については60.6%、パート・アルバイトに至っては、76.4%が、この震災後、仕事を失っているという状況にあります。
 次に、帰還の意志というところですけれども、これは22ページ、23ページ、24ページというところをごらんいただきながら聞いていただきたいんですが。22ページですけれども、「すぐにでも」と書いてある一番下のところですが、「国が示す安全なレベルまで放射線量が下がれば、すぐにでも戻る」というふうに答えた方は4.4%しかいません。「放射線量が下がり、上下水道、ガス、電気等の生活インフラが整備されてから戻る」と答えた方は16.2%。「除染計画後」と書いてあるところですけれども、その前の2つに加えて、「国や自治体による十分な除染計画が策定・実施されれば戻る」と答えた方が20.8%。さらに、先ほどの3つを加えて、「他の町民の人々がある程度戻ったら戻る」と答えた方が25.5%となっていて、全体としては、7割の人たちが、いずれ戻りたいというふうに回答しているという点です。この点はよくご確認いただきたいと思っています。ただ、一方で、「戻る気はない」と答えた方も、4人に1人ぐらいの割合でいます。この点は、世帯内でも意見の相違が非常に激しい点だろうと思っています。
 ちなみに、23ページをごらんいただきたいんですが、23ページは、世代別・年代別の帰還の意志を確認していますけれども、若年層ほど「戻る気がない」と答えている割合が高く、半数近くがそう答えています。ただ、この数字だけがひとり歩きしないようにしていただきたいんですが、自由記述を丁寧に見てみると、「ほんとうは、戻れるものなら戻り合い」、「家族ともとのふるさとで生活をしたい」という声が多くあります。数字だけではなかなかあらわれない部分も、よくご理解いただけたらと思っています。
 では、なぜ戻れないというふうに答えているかと言えば、これは24ページですけれども、「放射能汚染の除染が困難」、あるいは、「国の安全宣言のレベルが信用できない」、「原発の事故収束に期待できない」というのが圧倒的に多いということです。
 それから、一方で、戻りたいと答えている方々は、これは25ページになりますが、「暮らしてきた町に愛着がある」、「先祖代々の土地・家・墓がある」といったことを理由にしている方が多くいらっしゃるということです。
 それから、26ページですが、これは今後のステップ2解除、その後の帰還に向けての政策課題というふうなことを考える場合にも大事な点だと思いますが、全体で見ると、約7割強の方々が、帰還までに待てる年数を「3年以内」と答えています。今後、除染、復旧・復興の取組が進められていくと思いますけれども、こういったふるさとに帰りたいという被災者の方々の意志をきちんと受けとめた計画にしていただきたいと思っております。
 28ページをごらんください。先ほど3区分されて、帰還困難区域や制限地域というふうなことで、3つに区域設定がされたという話がありましたが、戻る前に当面の希望する居住地はどこに置きたいかということを質問していますが、一番多いのは、約4割が、「双葉郡に隣接する自治体」、これはいわき市等ということになるかもしれませんけれども、そういうふうに答えています。帰還困難区域は、先日、それが示されましたけれども、今、仮設住宅だとか民間借り上げの仮住まいだけではなくて、できるだけふるさとに近い場所で生活をしたいとふうに回答されている方が多いという点も、今後の施策を考える上で大事な観点だと思っています。
 それから、31ページです。31ページは、津波の被害ということです。今回の東日本大震災は、地震・津波の被害が大きくあらわれましたが、今回の双葉郡の住民実態調査を見てみますと、地域によって多少の差はありますが、全体を見れば、9割以上が津波の被害がないというふうに回答しています。先ほどの自宅の損壊状況を含めて見ると、今回、避難生活を余儀なくされていることの原因は、地震や津波による被害ということは多くなく、むしろ原発事故によるものだということが言えるだろうと思います。
 次に、現在の生活と今後の生活再建についてです。35ページをごらんください。現在、生活設計を何でされていますかという質問に対して、約8割の方――これは複数回答ですけれども、「義援金と東京電力の賠償金で賄っている」と答えています。
 さらに、37をごらんいただきたいんですが、全体としては、44.8%、約半数の方々が、今後中心となる生活設計について、「義援金と賠償金で賄っていきたい」と答えています。
 さらに、38ページでは、これを世代別・年代別に見てみますと、その特徴がよくわかりまして、34歳以下については約3割の方々が、それから、50代から64歳までは約半数の方々が、今後中心となる生活設計を、「義援金と賠償金」というふうに答えています。若年層については、「事業や正規の仕事」というのが4割ほどありますし、その他というふうに19.6%で回答している自由記述を見ますと、「今現在も仕事をしているので、そのまま勤労収入で生活していきたい」と答えているのが、その他の項目に多く含まれているので、実際には多くの方々が、「仕事や事業で生活を再建していきたい」と考えているというふうにも読み取れます。ただ、一方で、少なくない層は、今後中心となる生活設計を、「義援金と賠償金」というふうに答えている点は、重く受けとめなければいけないだろうと思っています。
 現在、国や自治体も、被災者の生活再建に向けて、例えば、緊急雇用なんかの仕事づくりに取り組んでいますが、その多くが3カ月から10カ月程度の有期雇用で、しかも、建設業だとか、そういった仕事が多く、もともとしていた仕事とのミスマッチというのがあります。ホワイトカラーで、職場でも責任のある立場の方々が、急に仕事を失い、明日から土木作業をしろと言われても、なかなか難しいというのが現状です。ある日突然仕事も家も失い、家族や地域もばらばらになって、明日から土木現場に働きに行きなさいといっても、なかなかそれが難しい。そのために、仕事を通じた生活再建になかなか結びついていないという問題があります。
 それから、もう一つは、今回、今の賠償のスキームが、仕事をすれば賠償金が減らされるという構図になっているために、仕事の意欲を損ないかねないという状況にあることもご理解いただきたいと思っております。
 多くの方々は、ふるさとを奪われ、仕事を奪われ、家族や地域もばらばらになった状況で、行き先の見えない避難生活に苦しんでいます。39ページを見ていただくとわかりますが、最近二週間の健康状態という項目を見てみると、「意欲的で活動的に過ごした」、あるいは、「日常生活の中に、興味があることがたくさんあった」という設問では、「全くない」という人が3割を超えているというのは、深刻な数字だと思っております。つまり、これまで培ってきた生活や仕事、家族が奪われて、誇りが奪われてしまっているというのが現状だろうと思っています。
 ちょっと長くなりましたが、最後に、調査を踏まえて、私の意見を述べさせていただきたいと思います。今回の原発事故は、家族や地域が引き裂かれ、放射能の不安に日々悩まされ、いつ戻れるかわからない、行き先の見えない避難生活というのが特徴です。この行き先の見通せなさというのが、被災者の生活再建を難しくしています。ステップ2が解除され、帰還に向けた取組が今後進んでいきますが、少なくない人たちは、政府が帰れますよと言っても、帰れない、戻れないというふうに感じています。
 しかし、もとの場所に戻ることだけが復興ではないように感じています。戻る人も、戻らない人も、それぞれが仕事や学校、住居、健康、きちんとそれぞれの場所で生活が再建できるようにしていくということが大事で、この賠償の制度も、ぜひそれを後押ししていくものであるようにしていただきたいと願っております。
 住民の不安を顧みず、ただ帰るということも正しくありませんし、長期にわたって帰還が困難といっても、そのための別の手だてや生活の再建のめどが示されないのでは正しくありません。誇りを持って仕事ができる環境、家族が一緒になって生活できる環境、地域のつながりが切れない環境を取り戻すことが、何よりも大事だろうと思っています。
 さらに言えば、区域の設定と賠償は分けて考えるべきで、新たな線引きによって、住民同士が無用なあつれきを生むことがないように、ぜひご配慮いただきたいと思っております。
 3つの区域設定で賠償が切れるのではないかと感じていて、不安に思っている方々もいらっしゃいます。丁寧に説明をしていただきたいと思っています。
 最後の最後になりましたが、今回調査をしてみて感じたことは、ほんとうにたくさんの自由記述を書いていただき、皆さんが話をしたい、きちんと自分の意見を言いたいという強い意志が感じられました。一方で、放射能の健康に対する影響の不安、除染や帰還が困難な課題、そういった前に心が折れそうになっている様子がよくわかります。
 皆さんに考えていただきたいのは、原発を立地して、再稼働する際には、タウンミーティングなど盛んに行われるわけですけれども、なぜふるさとに帰れず苦悩している被災者の方々の声に率直に耳を傾けるような場が十分ではないのかということです。
 帰還をしていくのも、今後の原発事故から復興していくのも、そこに住んでいらっしゃる方々、住民自身だというふうに思っております。住民の人たち自身が、自分たちのふるさとを取り戻したいと思うようにならなければ、今後の復興にはつながっていきません。そのために、政府や関係する機関は、もっと被災された住民の方々の声に耳を傾けていただきたいと思っております。子供の健康を考えて避難を余儀なくされたり、ふるさとを奪われて戻れないと思っている方々の悩みに寄り添っていただきたい。
 さらにつけ加えれば、この審査会も、これはちょっと耳ざわりなことを言うかもしれませんが、東京ばかりで議論されるのではなく、ぜひ一度福島に来ていただいて、皆さんの声をしっかり聞いていただきたいと思っております。
 多くの人たちは、ただお金が欲しいということではないと思っております。家族が今までのように一緒に暮らし、団らんができ、子供たちが伸び伸びと外で遊ぶことができるもとの生活を取り戻してほしいだけだと思っております。
 避難生活が長期化すれば、子供たちは、その避難先になじんでしまいます。長期化すれば長期化するほど、帰還の意志はなえていくでしょう。でも、子供たちの多くは、現実をしっかり受けとめて、しなやかにその現実に対応しています。今は困難な状況に置かれていても、それぞれの場所で頑張り、いつかもとのふるさとで仲間と再会できる日を願っています。そうした思いにこたえるのは、我々大人たちの責任ではないかと感じています。自然豊かな福島の地を子供たちに引き継ぐために、我々大人が責任ある行動と努力をすべきだろうと思っております。
 原賠審の場で議論するようなことかどうかはわかりませんけれども、この双葉8か町村の調査を通じて感じたことを報告させていただきました。ちょっと長くなりました。ありがとうございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 この審査会は、もちろん、いろんな今のような情報といいますか、実態についてのお話、そういうものを十分踏まえて対応する場所でございます。ただ、これも十分ご理解いただきたいのは、ここはやはり損害の賠償についての指針をつくる場所ですので、しかし、迅速な賠償を図りたいという観点から、若干、本来の裁判所などで行う賠償よりは違った要素が入ってきて検討している場でございますけれども、政策そのものをここで決める場所ではありませんので、そういう意味では、限界があるということもご理解をいただきたいと思います。しかし、今のようなお話を伺うと、こういう点も考慮しなくてはいけないとか、いろんな点はわかるものですから、非常に貴重なご報告だったと思います。
 さて、今の調査についての結果、分析等について、何か皆さんのほうからご質問等があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 ある程度はもちろん想像はしていましたけど、1つは、家族がばらばらになるという、これはもちろん仕事の関係とか、学校の関係でもってばらばらになるんだろうと思いますけれども、このばらばらになる原因について、多少、こういうのが多いんだというのが、もし典型的なのがあれば、記憶されている限りで結構ですけれども、教えていただけますでしょうか。

【福島大学(丹波准教授)】  例えば、高校生の子供を持つ親は、例えば、いわきの高校にお子さんが通っている。だけども、その親も、例えば学校の先生であれば、別のところに行かざるを得ない。そういうふうにして、3人家族がばらばらに3カ所に生活するというケースもありますし、仮設住宅の場合には、居住スペースが限られていますので、一世帯が多い人数であると、やっぱり仕事の関係だとか、学校の関係で、避難先をそれぞればらばらにせざるを得ない。もう一つは、やはり放射能の問題で、若い世代は比較的原発から遠いところに避難して生活をしたいと思っている方もいらっしゃるということが、主な原因かなと思います。

【能見会長】  今、ご質問申し上げたのは、避難に伴って、いろいろ家族が離散するということは十分想定していたとは思いますけれども、こういうものについての精神的な苦痛というんですか、そういうものはもう少し考慮してもいいのかなという気はいたします。これは、おそらく個別のADRとか、そういうところで、そういう事情を強調することによって考慮されるということになるのであろうと思います。
 それから、もう一つお伺いしたかったのは、何回も居住場所を変更するというので、相当な回数というのが先ほどございましたね。何ページでしたっけ。

【福島大学(丹波准教授)】  9、10です。

【能見会長】  これも、仮設住宅のいろんな状況によるというのが想定できますけれども、これも回数が相当多いほうに関しては、例えば5回以上とか、こういうのは、また何か特別な原因というのは、もし記憶されているところがあれば、教えていただけませんか。

【福島大学(丹波准教授)】  原発の爆発した直後と、それから、長期に避難生活を余儀なくされている場合とで、また別の観点があるかなと思いますが。
 例えば、自由記述で、別々に家族が暮らしている状況の課題みたいなものを聞いていると、例えば、ある方は、最初は宮城県の登米市に行って、その後は福島市に行って、須賀川市に行って、南相馬の鹿島区に行って、いわきの四倉に行って、広野町に行って、もうどんどん転々としているという状況ですね。
 仕事の都合だとか、家族の事情だとか、いろんな理由によって転々としているというケースがあるわけですけれども、避難をしていく過程の中で家族がばらばらになっている。それが徐々に徐々に集まってきたり、そのままで残っていたりというようなケースが多いのかなと思いますけど。

【能見会長】  ある意味で、離散の問題と密接に関連しているところがあるのかもしれませんね。

【福島大学(丹波准教授)】  はい。

【能見会長】  ほかの点について、皆様のほうでご質問があれば。
 大塚委員。

【大塚委員】  今、会長が聞かれた2点について、私もちょっとお伺いしておきたかったんですけれども。大変貴重な報告、どうもありがとうございました。
 スライドの15ですけれども、先ほど、現在一緒になっているかどうかはちょっとわからないとおっしゃった点ですが、この離散ありというのは、どこかの時点で区切って調べられたということなんでしょうか。どういう数字と考えたらいいでしょうか。例えば、一回離散して、また一緒になるということもあるいはあるかもしれませんけど、そういう場合も入ることになりますか。

【福島大学(丹波准教授)】  調査票の枠組みの問題がありまして、震災前に世帯にどれだけの家族がいたのかということと、震災後、別のところに暮らしている方が何人いらっしゃいますかというふうな聞き方をして、そのときに、震災後、別のところに暮らしていた方の数が1人でもいれば、それは離散というふうにカウントしています。
 ただ、これもその後の状況に応じて変化をしてくるものですから、その9月の時点での状況ということでご理解いただけたらと思っております。

【大塚委員】  すみません、もう一つですけど、さっきの避難回数が多いものですけど、会長も最初言われた、仮設住宅に行かれた方で避難回数が多いということもあるんですか。もしそういう例があったら、どういうケースかというのを教えていただきたいんですが。

【福島大学(丹波准教授)】  これはやっぱり原発が爆発した直後に、例えば浪江町なんかは、津島地区に避難をされた。ここが高線量だったというのが後で問題になるわけですけど、その後、別の場所に、二本松だとか、幾つかのところに行かざるを得なくなるということで、自治体が用意したバスだとか、あるいは、自分で自家用車で行ったりとかということで、避難所に行かれるわけですけれども、そこをまた出ざるを得なくて、別のところに避難――漂流という言葉が当たっているかもしれませんけれども、そういうふうにして避難箇所を何カ所も変えざるを得ない。
 それから、双葉町なんかについては、さいたまスーパーアリーナに行って、その後、加須に行って、でも、その後、今はたしか600人もいないぐらいだと思いますけれども、県内に戻られた方々もいらっしゃいますので、そういった意味で、避難先を転々と変えているという方がいらっしゃるということだと思います。

【大塚委員】  その理由は、やっぱりいろんなことがあるだろうと思うんですけど、雇用との関係というのもおそらくあるんでしょうし、埼玉に行って戻ってこられるというのは非常によくわかるんですけど、いろんなケースがあるということでしょうか。

【福島大学(丹波准教授)】  そうですね。そこは自由記述等をよく分析してみないといけないかなと思いますけれども、仕事の都合、それから、学校の都合もあると思います。4月6日に学校が再開したということもありますので、そういったことも踏まえて、一時的に県外に避難していたけれども、県内に戻っていったという方も、中にはいらっしゃると思います。

【大塚委員】  ありがとうございました。

【能見会長】  ほかにいかがですか。
 私、現在の生活設計の、35ページという部分ですけれども、義援金、仮払補償金というものを大きな柱にしているというところは、こちらの審査会で、もちろん金額等についていろいろ批判があって、そんなに大きな金額ではないけれども、しかし、それでもやはりこういうところを頼りにせざるを得ないというところに、1つの問題点を感じますけれども。
 その1つの問題点というのは、例えば、収入を失ったというときの得べかりし利益というんでしょうか、そういうものの賠償というものが、それがやっぱりまだ進んでいないということなんですかね。この仮払補償金というのは、東電が最初にどんと出した仮払補償金と、それから、毎月の慰謝料みたいなものですけれども、中心はそれですよね。

【福島大学(丹波准教授)】  そうです。

【能見会長】  ですから、それ以外の損害の賠償というのが、これはまだ進んでいないというのがもう一つあるんでしょうか。

【福島大学(丹波准教授)】  それもあると思います。かなり膨大な量の資料を用意しなければいけなかったりしまして、そこは進んでいないということもありますが。
 ただ、やはり生活再建をするめどがない。要は、いつ戻れるのかわからないので、正規の仕事についていいのかどうかもわからないということで、そこが生活再建をしていく上でネックになっていて、義援金だとか補償金を当てにせざるを得ないというような事情になっているのかなと思います。

【能見会長】  どうぞ。

【田中委員】  先ほどちょっとだけご発言あったんですが、要するに、働いて、例えばアルバイト的なことをして収入を得られると、賠償金から減るんだというふうに思っていて、だから働かないんだという声を私は向こうへ行っていてよく聞くんですけれども、そのあたりはどう考えるかというのは、この審査会でも少し考え方を整理して発信しておいたほうがいいのではないかなと思いました。
 それから、あと、感想ですけれど、23ページから以降に、結局、戻る気がないというのと、戻らない理由というのと、これはもう審査会の問題ではないんだと思いますけれども、ここが今後コミュニティをどう構築するかという意味で、非常に大事なところでして、年配の方は、どうせ若いのは戻ってこないという、半ばあきらめみたいな声をたくさん聞くんですね。これをどういうふうにするかというのは、政策の問題だと思いますけれども、非常に重要で、行く行くはこれがまた賠償にもかかってくるのかもしれないんですが、このあたりは、このアンケートは率直にその辺をあらわしているのかなと思いました。

【能見会長】  先ほどの、アルバイトしたときの控除するかしないかというのは、中間指針のときに記載したんですけど、今、中間指針が手元にないので、細かいことは正確に言えないので、もしそちらのほうであれば。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  中間指針では、例えば、今の就労不能のところで申し上げますと、終期の議論をしたときに、終期というか、一定の期間を考えるときに、転職や臨時の就労等、特別の努力を行った者が存在することに留意する必要があるということで、そちらのほうの議論とあわせて、今後、具体化していくようなイメージで議論をしていたと。
 ただし、今おっしゃったように、そういうことが、努力をしたからといって、不公平が生じることがないようにという議論が審査会の中であったというふうに理解しております。

【能見会長】  すみません、今、やっぱり正確なことを言わなくてはいけないと思いますので、中間指針をもう一回確かめてから、正確なことはまた次回以降にお話ししますけれども、アルバイト等について、特別に努力した者というのは、それなりに評価されるべきで、その部分はやっぱり控除されるべきではないと思います。皆さんもたしかそういうふうにお考えだったと思いますので。

【福島大学(丹波准教授)】  わかりました。

【能見会長】  ただ、一般には、控除されてしまうのではないかという意識を持つということがあり得るということですね。

【福島大学(丹波准教授)】  そうです。

【能見会長】  その点は、しかし、改めて、きちんとこちらの考え方を示していきたいと思います。
 どうぞ、中島委員。

【中島委員】  おそらく、働くとその分控除されるというのは、損害賠償の差額説を機械的に考えて、そういう誤解が起きているのではないかと思うんですが。少なくとも今回の件については、避難がこれだけ転々として、家族も離散してということになると、そこで一時的なアルバイトをして働いても、それは特別な努力であって、それを賠償額から減らすべきではないということは、はっきり言えるのではないかと思うんですが。むしろ特別な努力であると推定されるというぐらいに考えるべきではないかと思いますが。

【福島大学(丹波准教授)】  福島に戻って、きちんと説明を私も重ねたいと思います。

【能見会長】  おそらく、審査会としてそういうふうにちゃんと考えているということを、再度明確にする必要があるかと思いますので、指針に書いてある考え方の説明のし直しではあるかもしれませんけれども、この会議の議事録等によって明らかにしたいと思います。
 ほかに、皆様のほうで何かございますか。よろしいですか。
 どうも、今日は貴重なお話、ありがとうございました。いろいろ今後に生かしたいと思います。どうもありがとうございました。

【福島大学(丹波准教授)】  どうもありがとうございました。

【能見会長】  それでは、今日用意した議題は、これでおしまいでございます。
 今後の日程につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  次回の開催は、年明け、1月17日を予定してございます。時間、場所については、後日、正確なものが決まり次第、お知らせをしたいと思います。
 以上でございます。

【能見会長】  それでは、これで閉会いたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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(研究開発局原子力損害賠償対策室)