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原子力損害賠償紛争審査会(第17回) 議事録

1.日時

平成23年11月25日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省旧文部省庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 自主的避難等について
  2. その他

4.出席者

委員

能見会長、大塚委員、草間委員、高橋委員、田中委員、中島委員、野村委員、米倉委員

文部科学省

神本文部科学大臣政務官、清水文部科学事務次官、森口文部科学審議官、篠崎原子力損害賠償対策室次長、田口原子力損害賠償対策室次長

5.議事録

【能見会長】  それでは、時間になりましたので、第17回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。本日も、お忙しいところお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
 はじめに事務局から、配付資料の確認をいたしますので、お願いします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  事務局から、まず配付資料の確認をさせていただきます。議事次第のほかに、本日は、資料1といたしまして、中間指針追補(自主的避難等に係る損害関係)のイメージ(案)という資料を用意してございます。これがメーンの資料になります。それから、資料2といたしまして、慰謝料の金額に係る裁判例についてということで、資料を用意させていただいております。そのほかに、前回の議事録が参考1、さらに、前回の資料でお配りいたしました、自主的避難関連データというのを、これは範囲の議論等の参考になると思いますので、用意させていただいております。
 それから、本日は、鎌田委員がご欠席で、それ以外の委員の方は皆さん出席されていますが、鎌田委員からは、先ほど別途意見のメモをいただいておりますので、後ほど事務局のほうから読み上げて、紹介をさせていただきたいと思います。
 それから、文部科学省事務局側は、神本政務官はじめ若干おくれておりますが、後ほど到着する予定でございます。
 以上でございます。

【能見会長】  それでは、本日の議題に入ります。
 自主的避難等についてということですが、前回の審査会で、自主的避難の論点につきましては、かなりご議論いただきました。論点もかなり深まってまいりまして、そこで、前回、ある程度共通の認識を得られたということ、あるいは、その部分を前提にいたしまして、本日の指針のイメージ案といいますか、そういうものをつくりました。ただ、当然のことながら、前回すべての問題について議論していただいたわけではありませんし、いろいろたくさん残っているところがございます。大きい問題については、選択肢が幾つか示されるような形に今日の案はできております。それから、仮に選択肢の形で書かれていなくて、むしろ何か方向性が出ているような項目につきましても、もちろん、これは皆様またご意見があって、修正の必要があるということであれば、その旨ご議論いただきたいと思っています。あるいは、私も若干事前に資料を見直しまして、もしかしたらここまでは合意がなかったかもしれないというところが幾つかないわけではないので、そんな点も含めてご議論いただければと思います。いずれにせよ、本日もご自由にご議論いただきたいと思います。
 それでは、資料について、事務局から説明をお願いします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  まず、資料1でございます。指針のイメージ(案)ということでできてございます。
 まず、「はじめに」のところの中に、(1)で自主的避難等の現状等とございますが、ここで幾つか言葉の定義といたしまして、政府による避難等の指示等を「避難指示等」というという話、それから、同じく、「避難指示等対象区域」ということで、政府の指示の範囲の区域を定義してございます。
 それから、2つ目の丸の次のところですが、自主的避難に至った主な類型として、丸1にございます、本件事故当初の時期に、自らの置かれている状況について十分な情報がない中で、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の水素爆発が発生したことなどから、大量の放射性物質の放出による放射線被曝への恐怖や不安を抱き、その危険を回避しようと考えて避難を選択した場合、それから、丸2といたしまして、本件事故後しばらく経過した後、生活圏内の空間放射線量や放射線被曝による影響等に関する情報がある程度入手できるようになった状況下で、放射線被曝や未確認の放射性物質の存在への不安や恐怖を抱き、その危険を回避しようと考えて避難を選択した場合と、2つの類型を考えられるとしてございます。
 さらに、3つ目の丸でございますが、当該地域の住民は、そのほとんどが自主的避難をせずにそれまでの住居に滞在し続けていたこと、それから、これら避難をしなかった者が抱き続けたであろう上記の恐怖や不安を無視することはできないこと等も確認されたということが書いてございます。
 それで、(2)の基本的な考え方といたしまして、まず、中間指針の対象となった避難指示等によって避難等を余儀なくされた場合以外の損害として、自主的避難者及び滞在者(以下、これを「自主的避難者等」と表現させていただきますが)に係る損害についてあわせて示すこととする。
 さらに、本件事故と自主的避難者等の被害との相当因果関係は、最終的には個々の事案ごとに判断すべきものであるが、本中間指針追補では、本件事故に係る紛争解決に資するため、避難指示等を受けこれまで賠償の対象となっているもの以外で賠償が認められるべき一定の範囲を示すとともに、この際に共通に認められるべき損害項目・金額を示すこととする。
 ここで1つ青い字で注が入ってございますが、ここまでの書き方は、避難指示等を受けて避難等をした者について、既に精神的損害の賠償対象となっている場合、この対象とするかしないかという問題がございます。
 それから、最後のところでは、したがって、本中間指針追補で明示していない損害であっても、個別具体的な事情によっては、賠償すべき損害と認められることがあり得るということでございます。
 具体的に、第2から、対象区域等について記述してございます。
 まず対象区域につきましては、前回、市町村単位ということがございましたので、ここで「自主的避難等対象区域」という言葉を使わせていただいてございますが、ここで具体的な市町村名を記述することとしてはどうかと考えてございます。
 ここの考え方のところが全部で3つ書いてございます。
 「第1 はじめに」で示したように、本件事故を受けて自主的避難に至った主な類型は2種類考えられるが、いずれの場合もこのような恐怖や不安は、東電福島第一原子力発電所の状況が安定していない状況下で、同発電所や避難指示等対象区域からの距離、政府や地方公共団体から公表された放射線量に関する情報、居住地域の他の住民の自主的避難の状況等の要素が複合的に関連して生じていると考えられる。以上の要素を総合的に勘案すると、少なくとも自主的避難等対象区域においては、住民が放射線被曝への相当程度の恐怖や不安を抱いたことには相当の理由があり、また、それに基づき自主的避難を行ったことについてもやむを得ない面がある。
 2)といたしまして、自主的避難者等の事情は個別に異なり、損害の内容も多様であるが、本中間指針追補では、自主的避難等の対象者全員に公平かつ等しく賠償すること、及び可能な限り広くかつ早期に救済するとの観点から、一定の自主的避難等対象区域を設定した上で、同対象区域に居住していた者に少なくとも共通に生じた損害を示すこととするということでございます。
 3)のところで、それ以外の地域についても、個別具体的な事情に応じて、賠償の対象となる場合を排除するものではない。これは対象区域のところでございます。
 続きまして、対象者でございますが、今回の自主的避難等の損害賠償の対象者は、本件事故発生時点において自主的避難等対象区域内に生活の本拠としての住居があった者(ただし、これらの者が避難指示等による避難等対象者として既に精神的損害の賠償対象とされている場合を除く)――これは先ほどの2ページ目の上のところと同じ話になりますが――とするか否かということがございます。
 考え方といたしまして、損害賠償請求権は個々人につき発生するものであるから、損害の賠償についても、世帯単位ではなく、個々人に対してなされるという、中間指針の考え方を一応書いてございます。
 上記対象者以外の者についても、個別具体的な事情に応じて、賠償の対象となる場合を排除するものではない。
 (3)といたしまして、損害項目と損害額でございます。
 ア)といたしまして、自主的避難者等が受けた損害のうち、以下のものが一定の範囲で賠償すべき損害と認められるのではないか。ただし、個別の事情によっては、この他の損害項目も認められ得ることとしてはどうかということで、まず丸1といたしまして、放射線被曝への恐怖や不安により自主的避難を行った場合における以下のものということで、まず、自主的避難による生活費の増加費用、それから、自主的避難により、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり相当程度阻害されたために生じた精神的苦痛、さらには、避難及び帰宅に要した移動費用。  丸2といたしまして、滞在者でございますが、放射線被曝への恐怖や不安を抱きながら自主的避難等対象区域内の住居に滞在を続けた場合における以下のものということで、放射線被曝への恐怖や不安、これに伴う行動の自由の制限等により正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり相当程度阻害されたために生じた精神的苦痛、2といたしまして、放射線被曝への恐怖や不安、これに伴う行動の自由の制限等により生活費が増加した分があれば、その増加費用ということでございます。
 イ)といたしまして、上記のア)の丸1、丸2に係る損害額とともに、これらを合算した額を同額として算定するのが、公平かつ合理的な算定方法と認められるのではないかということでございます。
 ここで、損害項目と算定方法に関して、どのように考えるかということで、案1と案2という形で示してございます。
 案1は、自主的避難者も滞在者も、同様の苦痛等を受けていたと評価し得るのであり、自主的避難者と滞在者で、避難費用の負担の有無等個々の事情は異なるにせよ、両者同額の賠償とする。また、実際に、だれがどの時点で「自主的避難」を行ったのかを認定するのは困難ということでございます。
 それから、4ページに参りまして、案2でございます。自主的避難者も滞在者も、同様の苦痛等を受けていたが、自主的避難者には実際に避難費用が生じているので、避難者については例えば往復の交通費(合理的な範囲の実費あるいは定額)を加算した賠償としてはどうかという2つの案が併記してございます。
 さらに、ウ)といたしまして、それらを踏まえて、具体的な損害額の算定に当たっては、対象者のうち子ども及び妊婦については一人幾ら、その他については一人幾らを目安とするという書き方としてはいかがかということでございます。ここは、具体的な損害額はまだ示してございません。
 それから、考え方といたしまして、1)から4)までございます。
 1)といたしまして、本件事故において自主的避難を行った者は、主として自宅以外での生活による生活費の増加並びに避難及び帰宅に要して移動費用が生じ、あわせてこうした避難生活によって一定の精神的苦痛をこうむっていることから、少なくともこれらについては賠償すべき損害と観念することが可能である。また、自主的避難等対象区域内の住居の滞在者は、主として放射線被曝への恐怖や不安、これらに伴う行動の自由の制限等を余儀なくされていることによる精神的苦痛をこうむっており、あわせてこうした不安等によって生活費の増加も生じていることが考えられることから、少なくともこれらについては賠償すべき損害と観念することが可能であるという基本的な考え方です。
 2)といたしまして、賠償すべき損害額については、自主的避難が、避難指示等により避難等を余儀なくされた場合とは異なるため、これに係る損害について避難指示等の場合(ア)丸1 1)及び丸2 2)の生活費増加分を除き実費が損害額)と同じ扱いとすることは、必ずしも公平かつ合理的ではない。
 一方、自主的避難者と滞在者とでは、現実にこうむった精神的苦痛の内容及び程度並びに現実に負担した費用の内容及び額に差があることは否定できないものの、いずれも自主的避難等対象区域内の住居に滞在することに伴う放射線被曝への恐怖や不安に起因して発生したものであること、当該滞在に伴う精神的苦痛等は自主的避難によって解消される一方で、新たに避難生活に伴う生活費増加等が生じるという相関関係があること、自主的避難等対象区域の住民の中には諸般の事情により滞在を余儀なくされた者もいるであろうこと、広範囲に居住する多数の居住者につき、自主的避難者と滞在者を区別し、個別に自主的避難の有無及び期間等を認定することは実際上極めて困難であり、早期の救済が妨げられること等を考慮し、自主的避難の有無によりできるだけ金額に差を設けないことが公平かつ合理的である。
 こうした事情を考慮して、精神的損害と避難費用等を一括して一定額を算定するとともに、自主的避難者と滞在者の損害額については、基本的に同額とすることが妥当と判断した。
 3)といたしまして、対象者の属性との関係については、特に本件事故発生当初において、大量の放射性物質の放出による放射線被曝への恐怖や不安を抱くことについては、年齢・性別を問わず一定の合理性を認めることができる。その後においても、少なくとも子ども・妊婦の場合は、放射線への感受性が高い可能性があるとされていることから、比較的低線量とはいえ通常時より相当程度高い放射線量による放射線被曝への不安を抱くことについては、人口移動により推測される自主的避難の実態からも、一定の合理性を認めることが可能である。
 このため、子ども・妊婦については、少なくとも本件事故発生後○○――これが以下の論点のところに、いつまでとするかというのがございますが――までの分を、また、その他の対象者については、少なくとも本件事故発生当初の時期の分を、それぞれ賠償の対象期間として算定することが妥当と判断した。
 4)といたしまして、ア)からウ)については、個別具体的な事情に応じて、これ以外の損害項目が賠償の対象となる場合や異なる賠償額が算定される場合を排除するものではないということでございます。
 ここで案が幾つか示してございますが、まず子どもや妊婦が自主的避難した際の同伴者の損害をどう考えるかという問題でございます。
 案1といたしましては、損害は個々人に生じるものであり、子どもや妊婦を対象として損害を認める以上、同伴者の損害を認める必要はない。仮に認めれば、滞在者との関係で不公平が生じる。
 案2でございますが、子どもや妊婦が避難する場合、同伴者が同行するのが通常であり、同伴者の損害を認めてよい。滞在者には同伴者の損害は生じないのだから、差が生じてもやむを得ない。
 案3といたしまして、同伴者の損害は子どもや妊婦の損害に伴って生じるものとして一応観念できるが、実際には子どもや妊婦の生活費増加分に含まれると評価することができ、金額として加算する必要はないという3つを書かせていただいてございます。
 それから、いつまでの損害額として算定して、指針で示すかということでございますが、案1は、9月末に若干の期間を加えた期間ということで、9月末に緊急時避難準備区域が解除されたことから、その時点以降は、その外の区域に滞在することに不安を持つのが合理的とは言いがたいというのが案1でございます。
 それから、案2は、本中間指針追補の策定時点までということで、損害賠償は過去の事象について判断するものであり、将来の状況が不明な中、将来分の賠償も認めるべきではないというものでございます。
 それから、案3は、12月末まででございます。ステップ2の年内終了が見込まれており、原子力発電所の状況もある程度安定すると考えられる。また、少なくとも12月末までであれば、本中間指針追補策定時から確実な将来として見通すことができる期間として賠償対象としても不合理ではない。
 それから、案4といたしまして、来年3月10日まで。事故後1年という一つの区切りである(避難指示等による避難等の賠償における精神的損害の第2期の終期でもあり、整合性がとれる)。また、そのころ以降には、今後の状況の改善により、現在の不安は一定程度解消していることも考えられるという4つの案でございます。
 以上が、今回用意させていただいております指針のイメージの案でございます。
 引き続きまして、資料2でございますが、慰謝料の金額に係る裁判例ということで、とりあえず探せるものを、類似というか、本件に比較的近いというか、ここに書いてございますが、参考として用意をさせてございます。全部で19件用意させていただいてございますが、1件目から5件目は、空港あるいは基地の騒音でございます。
 まず1番目は、これは横田基地、横田飛行場の周辺住民が提訴したものでございまして、結果といたしましては、一番右側のところについて、騒音に対する慰謝料というのが、W値という騒音の指標に基づきまして、一番右にございます丸1のW値75~80で3,000円から、90以上の1万2,000円、これは月額でございますが、こういった判決が、これは東京地裁の八王子支部でございますが、あるいは、東京高裁でも同様の判断が出ております。
 それから、同じW値であっても、赤字で書いてございますが、類型1の地域というのは、住宅地でございます。それから、類型2の地域というのは、商業地、工業地でございます。それによって金額を若干変えているということでございます。
 その下の名古屋高裁金沢支部の小松飛行場の例でございますが、これも金額のところを見ていただきますと、W値と金額の関係は、ほぼ同じような格好になってございます。
 それから、次の2ページ目をあけていただきますと、一番上が、福岡高裁の那覇支部ということで、これは嘉手納基地の訴訟でございますが、これも一番右のところを見ていただきますと、さらに前の2つの例よりも騒音の高いW値95以上というのがございまして、ここが月額1万8,000円ということが出てございます。
 それから、その下のところは、最高裁の横田飛行場の件でございますが、金額は前と同様の形になっていますが、ここでは、高裁の判決で、口頭弁論終了後、判決日までの将来の請求を高裁で認めていたものを、最高裁で棄却して、口頭弁論の終結日をもって終期としたという例でございます。
 それから、下の5の福岡高裁の福岡空港、これにつきましては、右側の金額を見ますと、従前のものに比べると若干低い額が出てございますが、そこの赤字で、慰謝料の減額事由というようなことで、危険への接近とか住宅防音工事、あるいは、受忍限度を超える地域内へ転入した者は2割減とするといったような、そういった減額の事由が示されているような例でございます。
 それから、次の3ページに参りますと、ここから道路の騒音とか排気ガスのものが、6、7となってございます。
 6番目は、最高裁の平成7年の判決でございますが、国道43号線の周辺ということで、50メートル以内に居住している住民が提訴してございますが、判決のほうは、右を見ていただきますと、排ガスについては20メートル以内、それから、騒音については、ある一定のレベルを超える騒音について、右のような月額の慰謝料を認めているという例でございます。
 それから、その下は、地下鉄工事の騒音でございますが、こちらにつきましては、右にございますが、成人について、これは一日当たりになりますが、200円、未成年者と区別したような事例でございます。
 それから、その下は、マンションの工事による慰謝料ということで、これは工事期間の全体の額として、月額ではなく、総額で示されているというものでございます。
 それから、次の4ページでございますが、これはマンションの住人で、上の階の十人が防音措置のないフローリングの工事をして、それによって階下の居住者が訴えた例でございますが、これにつきましても、総額という形で、上の住人が工事をしてからこの提訴するまえの2年半という期間について、総額で慰謝料が示されている例でございます。
 それから、その下は、スーパーマーケットの室外機の騒音による損害ということで、ここにつきましては、一日当たりということで、これは各居住者の状況を見て、単価がそれぞれ変わっているという例でございます。
 それから、5ページに参りますと、これは平成21年のさいたま地裁の解体工事の騒音ということで、ここも工事期間中の総額という形で示されている例でございますが、これも上のほうに85デシベル、あるいは85メートルと書いてありますが、騒音のレベルで線を引いて、慰謝料を認めた例でございます。
 その下は、犬による騒音と悪臭ということでございますが、これにつきましても、ある一定期間を総額という形で、右のような慰謝料を認めた例がございます。
 それから、次の6ページに参りますと、ここからは悪臭になってございますが、13番の下水の悪臭、横浜地裁でございますが、これにつきましては、下水の排水設備の関係で、近所の住人が被害を受けているということで、これも原因となった工事が行われて以降、その原因となった配水管が撤去するまでの期間について、月額という形でこれは示されてございます。
 それから、その下につきましては、産廃でございます。高松の件でございますが、これにつきましては、総額という格好で、慰謝料各5万円となってございますが、示されている例でございます。
 次の7ページも、悪臭が2つございますが、上のほうは新潟の、昭和43年、昭和54年、少し昔になりますが、豚舎の悪臭について、これは4カ月分というのが総額で示されている例でございます。
 それから、その下は、工場の悪臭ということで、これにつきましては、工場からの距離に応じて、その金額のレベルを決めているという格好になってございます。
 それから、8ページ目でございますが、17番は、養鶏場の虫害ということで、平成13年の熊本地裁の例でございますが、これについては、原告それぞれについて、慰謝料2万円、6万円、これも総額で示されているような形になってございます。
 それから、18番は、日照権でございますが、これにつきましても、問題となった建物が建ったところからの月額ということで、1万円、それとは別に、財産的価値の下落というのも別途示されているということでございます。
 それから、 9ページの、最後の産業廃棄物火災でございますが、これにつきましては、周辺住民が、一時的ではございますが、避難をしている例でございますが、避難をしたことについて、10万円、それから、その後、火災が鎮火した後も煙が出て被害があったということで、その後の被害について、20万円というような例がございます。
 資料2の説明は以上でございます。
 それから、あと、参考資料2といたしまして、前回ご説明いたしました自主的避難の関連データがついていますので、適宜ご参照いただければと思います。
 以上です。

【能見会長】  それでは、ご議論いただく前に、この資料について、もし質問等がございましたら、先にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。何かございますか。
 どうぞ、中島委員。

【中島委員】  このイメージの案には論点としては入っていないようなんですが、たしか避難指示等に基づく、強制的に避難させられた人の慰謝料とのバランスということも、1つ論点になっていたと思うんですが。

【能見会長】  それは少し実質的な議論になるかもしれませんので、後で議論させていただいてよろしいでしょうか。この資料についての不明な点とか、幾つかもし質問があれば、先にお願いしたいと思います。
 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  本質的なことでは必ずしもないかもしれませんが、2ページの第2の(1)で、対象区域を○○ということで決めることになると思うんですけれども、これを決めるときの要素は、前にも議論していたので、書いておいたほうがいいのではないかと。1つだけということではもちろんないんですけど、4つとか5つとかあると思いましたが、それはおそらく書いておいたほうがいいんじゃないかということで、質問か意見かよくわかりませんけど、お伺いのようなことでございます。

【能見会長】  何かございますか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  2ページの考え方の1のところに、距離であるとか、放射線量に関する情報といったことは、一応書かせてはいただいておりますが、ちょっと足りないというご指摘はもっともかと思います。

【大塚委員】  書き方の問題だと思います。

【能見会長】  単なる書き方だけではないかもしれませんので、少し実質的な問題に既に入っているように思いますので、それでは、質問には限定しないで、むしろこの指針の案といいますか、イメージについてのご意見を伺うことにしたいと思います。
 それでは、改めて最初から、どこからでもいいんですけれども、あまり議論がいろいろ錯綜するといけないので、一応順番に従ってご議論いただきたいと思いますが、最初に、第ローマ数字1の「はじめに」というところで、現状はともかく、基本的な考え方、ここら辺からいかがでしょうか。あるいは、中島委員の先ほどのご意見は、ここに関連しますでしょうか。

【中島委員】  そうかもしれないです。

【能見会長】  もう一度、申しわけありませんが、質問のご趣旨、あるいは、ご意見の趣旨を簡単におっしゃっていただけるとありがたいと思います。

【中島委員】  2ページ目の上から4行目に、青い字で指摘されている論点にも絡むかもしれませんけれども。報道とかによりますと、避難指示等に基づいて避難している、いわば強制的に避難させられた人の精神的慰謝料、精神的苦痛に関しては、中間指針では7カ月目から半額という指針になっておりますが、どうも東電の回答、意見では、それをしばらく半額にしないというような報道もされていますし、聞くところによりますと、同じ趣旨の調停も申し立てが既にされているということですので、強制的に避難させられた人とのバランスということを考えると、これは自主避難の人の金額にちょっと影響するのではないかということが1つと、この青い字に書いてある論点にも絡みますが、その半分にしないことにする理由がよくわからないんですが。
 おそらく強制的に避難させられている人も、精神的苦痛の性質がだんだん変わってきて、いわば自主的避難者の精神的苦痛と性質が似てきたもの、いわばその損害項目が重なり合うような性質として、半額にしないという事情がもしあるなら、この青い字で書かれた部分については、強制的に避難させられた人も半額にしない部分は、いわば自主的避難者の精神的苦痛と重なり合うものとして、そこに包接されるといいますか、具体的に言いますと、強制的に避難させられた人が自主的避難の対象区域に入ったとしても、別個に自主的避難者として賠償の対象にいれるかという問題については、消極になるのではないか。しかし、自主的避難者固有の人の金額については、逆に上がる方向で影響が出るのではないか。そういういろんなことを言いまして申しわけありませんが、少しそういう感じがいたします。

【能見会長】  今の中島委員の質問の、あるいはご意見の趣旨はおわかりいただけたと思いますけれども、中間指針のもとでもって、7カ月目以降、10万円から5万円に減っているというのが、今、和解レベルというんでしょうか、そこで増額される可能性があって、10万になるのかどうかわかりませんけれども、増額される可能性があるということと、今これから議論しようとする自主避難、あるいは滞在者の賠償の問題と多少関係があるのではないかというご意見だったと思います。
 これについても、私はそれなりに意見はありますけれども、先に皆様のほうで何かご意見があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  直接関係しないことになってしまうかもしれませんけど、今、中島委員がおっしゃったこと、私は100%話がわかったわけでは必ずしもないんですけれども、2ページの4行目の問題というのは、理論的には、強制的に避難指示等を受けて避難した方が、新しく今回の対象区域に入られた場合に、新しくまた賠償しなくてはいけないということになるのではないかとは思うんですけれども。問題になる別の点としては、避難指示等を受けて避難した方がどこにお住まいになるかということについて、もしある程度自由があるとすると、それをどう考えるかという問題も、また別の観点からあると思っていますので、今の中島委員のおっしゃったこととはまた別の観点の問題点もあるということを一応申し上げておきたいと思います。

【能見会長】  2ページの上のほうの青く書いてある、米印がついているところの問題点そのものは、これはそのものとして議論した上で、中島委員が言われた問題点、仮に中間指針の7カ月以降を5万円から増額されたときに、これに影響するかどうかというのを、関連する問題として議論する。だけど、先に※印のところは、それ自体として議論したほうがわかりやすいのではないかと思います。
 あまり先走って私のほうからご意見申し上げるのはよくないかもしれませんけれども、やはり中島委員が言われた問題というのは、また賠償の根拠というか、対象といいますか、それが一体何なのかと。それから、中間指針の5万円が仮に増額されるときに、一体何がそこで増額されるのか。今回の自主的な避難、あるいは滞在者の賠償というのは、いろんな要素は挙げられていますけれども、その中の何が一番中心的な問題なのか。そういうことと関係して、例えば1つの考え方としては、今まで中間指針がそもそも対象にしていた損害、皆様の間でもって多少ニュアンスは違うかもしれませんが、私の理解は、これは避難をしたことで、今までのコミュニティから切り離され、滞在先でもいろいろ不便であって、特に体育館等に滞在しなくてはいけなかったというのを典型としますけれども、そういう避難先での不便をこうむるというのが一番賠償の中心だったように思います。
 中島委員が先ほど言われたお話の中で、そういうのが今までの中間指針で対象であったけれども、だんだんと避難が長期化することによって、将来への不安とか、そういうものがだんだんと大きなウエートを占めてきたので、そういうものの賠償として、5万円から増額されるということが和解のレベルであるのではないかというようなお話だったように思います。
 ですから、問題点はいろいろあると思うんですけれども、そういう和解で賠償額が増額されるということを、中間指針そのものとの関係でどう考えるか。これと矛盾するものと考えるのか、あるいは、中間指針とは違った考え方に基づく、つまり、中間指針は、さっきのように滞在先での不便というのが中心だとすると、将来の不安というのが賠償の対象になるということ自体は中間指針とは矛盾しないことだと思いますので、そういう考え方をとるかというのが、まず最初の問題点だろうと思います。
 今日、この点について、必ずしも私自身も、あるいは事務局も資料として準備しているわけではないので、あまり踏み込んでは議論できないと思いますけれども、今、仮に私の理解を示しましたけれども、何か違ったご理解、あるいは考え方をお持ちの方があれば、お聞かせいただきたいと思います。
 先ほどの大塚委員のは、どういうご意見だったのかな。今のに関しては。

【大塚委員】  今、中島委員のご意見に対してではなくて、先ほど能見先生がおっしゃった、もともとこの問題自体にある問題、本来的な論点があるということを申し上げたかっただけです。
 中島委員のご意見については、私、まだよくわからないんですけど、自主的避難者の苦痛というのは、必ずしも将来への不安ということだけではなくて、やっぱり生活の拠点を奪われたとか、新しいところに住むことになっていろんな疎外感があるとか、それに伴ういろんな精神的とか、新しく生活費が増加したとかというようなことがあると思います。

【能見会長】  そこは私が中島委員の意見を補充するわけでも何でもないんだけれども、おそらく自主的避難については、あるいは滞在者も含めて、まさに今日ご議論いただくわけですが、そこでの賠償というのは一体何なのかと。今日の案は、例えば自主的避難された人が、滞在先での不便というものも考慮要素になってはいるんですけれども、一番の大もとは、これは初期という言葉を使ってはいけないのかもしれないんですが、比較的事故が起きて当初、それから、しばらくたってからと、多少違う要素がありますけれども、放射線被曝に対する恐怖とか不安というのが幾つかの要素の中では大きな要素になっていて、これが自主的避難、あるいは滞在者の賠償の中心になるだろうと。
 そうなると、もう既に早い時期に強制的に避難していて、その人たちの生活が避難先で長期化しているというときの増額要素である、それを私は先ほど、長期化して将来の生活がどうなるかということを見通しがつかなくなる不安、これがだんだん大きくなっているというふうに考えると、そうすると中島委員のとは少し違うかもしれませんが、ここで問題にする自主的避難者の賠償とは少し違った要素があって、あるとなると、2ページ目の※印に戻ってきますけれども、そこで重複して賠償してもいいという考え方になるかもしれないし、先ほど中島委員は、自主的避難の賠償と7カ月目の増額分というのが似たようなものになるというふうに仮に考えると、重複というのはおかしいという、そういうご意見だったと思いますね。
 野村委員、どうぞ。

【野村委員】  損害が何を考慮して算定されているかという観点からすると、重なっているか重なっていないかといえば、基本的に損害項目は重なっていると思うのですけれども、中間指針を策定していたときに、自主避難のことについては今後に先送りするということで、そういう問題があるということは一応考慮には入っていたと思うのですけれども、自主避難者にある程度具体的にどういう損害を認めるべきかという議論が進んできた段階で、レトロスペクティブに過去を振り返ると、本来避難者に滞在していたところでの生活の部分でどう考えるのかというのを若干修正する余地があるのかなという気がしていまして、そうすると、先ほど中島委員の言われていたような考え方もあり得るのかなと思ったのです。もっとも、中間指針を変更するということは考えておりません。

【能見会長】  状況というのはどんどん変わるわけですから、前の議論に固執する必要はなくて、新しい状況のもとで改めて考え直して、中間指針とのすり合わせといいますか、整合性も見直してみるということは、当然あってしかるべきだと思いますので、今の野村委員の意見もよろしいのではないかと思います。
 高橋委員、どうぞ。

【高橋委員】  現在の中間指針をとったときの考え方というのがあって、それで一応半年ということと、それ以降の減額という方針を示していました。実際の当事者の互譲の場面で、新しい考え方が出てきたわけですが、それを今なし崩し的に取り入れるのは、指針の考え方を崩しかねない、という危惧があります。もしそれをされるのであれば、そこは議論されて、整理をされたほうが良い、と私は思います。
 私自身は、これは当事者の互譲の結果なので、審査会の考え方と違っても、ある種、当事者が合意したものですから、審査会はそれに異を唱える必要もないと思います。特に、増額されているわけですし、問題はないと思います。
 ただ、これをとらえて、考え方を積極的に変えるのであれば、そこはきちんと議論して変えないといけません。将来的に判断枠組みが崩れてしまうおそれがあるので、もしそういう考え方を新たにとられるのであれば、次回、きちんと議論していただいたほうがいいかなと私は思っています。
 それから、今回のものについては、確かにいろいろと違った見方ができるかもしれませんけれども、避難指示でされた方のある種の苦痛というのは大きいものがあったということで、我々も積極的に認めたものです。したがって、その場合、自主避難をされた方の不安とある種違うということは認めざるを得ないだろう。その意味では、包接関係にあると私はとらえていて、そのような考え方に立てば、この問いについては基本的には否定的な考え方を私はとっているということを、申し上げたいと思います。

【能見会長】  今のご意見も、一体中間指針が何を賠償の対象にしていたかということに関係していると思いまして、この点について、現在の問題が出てくる以前においては、一体そこで何を損害として考えていたというのをぎりぎり詰めることはしなかったわけですけど、今、改めて新しい状況が出てきて、新しい問題が出てくるとなると、やっぱり中間指針のときの考え方は何であったか――これは別にそれを修正するというのではなくて、何であったかということは、ある程度議論したほうがいいのかなという気はいたします。私も、なし崩し的に変えるということは適当ではないと思いますので、その点、高橋委員と全く同じご意見です。
 ただ、中間指針のもとでの賠償が何であったかというのは、先ほど言いましたように、人によってニュアンスが少し違うかもしれませんけど、私は、これは特に10万円、5万円というふうに下げた理由などを考えてみますと、当初においては、避難生活が体育館であるとか、非常に不便なところで生活をせざるを得なかった。それがある程度、仮設住宅などに移ることもでき、その不便さというものが解消されてくるということで、そういう不便さという観点から考えると、減額してもいいのではないかというのが、おそらく一番中心的な考え方であったのではないかと思います。これは交通事故なんかの場合の考え方なども少し参考にして、あれも病院に滞在していても、しばらくたつと多少不便さは解消するので、減額するという考え方、それを参考にしながら、この部分はちょっと評判は悪いわけですけれども、しかし、今のような不便さという観点からすれば、7カ月以降が減額されるというのはあり得る考え方であったと思います。
 それが中間指針の考え方だとすると、中島委員の言われた、増額分についてどうするかというのは、ここではあまり本格的には議論しないでいきたいと思いますけれども、増額分については、その不便さの問題ではなくて、やはり長期間たっても一向に先行きが見えないということによる不安さというものがだんだんこっちは増大してくるというので、それをどうするかという問題と考えることができる。これだけかどうかわかりません。
 それから、自主避難のほうは、これは不便さの問題ではなくて、今日まさに、さっき言ったように、ご議論いただきますけれども、一定量の放射線などを浴びるという状況のもとでの不安ですね。ですから、これも不便さとは違う問題が中心になりますので、私は3つとも全部ほんとうは違うと思うんですけれども、いずれにせよ、今日ご議論いただきたいと思います。
 対象を少し話しすぎたかもしれませんが、ほかのご意見の方はいかがでしょうか。
 そして、最低限、これは高橋委員が言われたように、東電のほうが賠償額の増額に応じるということで、増額する分について、こちらの審査会でもって――積極的に中間指針と矛盾しているということであれば、また別ですけれども、そういうわけでは必ずしもないということであれば、これを否定する必要はないと思いますので、最低限どういう賠償かということは詰めないでも、そこまでご了解いただければ、この話についてはもうちょっと情報等が集まってから、さらに議論することはあるにしても、この会としては、それについて、これ以上は問題にしないというのはいかがでしょうか。よろしいですか。
 では、この点については、この辺にさせていただきまして、今日のこの資料に基づく論点について、さらにご議論いただければと思います。
 先ほどの2ページの上の※印のところが、増額分と関係しないとはいっても、少し関係するところがあるというのは確かですけれども、※印自体の問題として、ご議論いただければと思います。
 簡単に言いますと、これは、例えば20キロ圏、あるいは飯舘村等、計画的避難区域から避難された方が、例えば福島市などに避難されていて、今回、もしこの福島市というのがこの対象区域になって、そこでの滞在者に対しても賠償するということになると、今まで避難指示で避難した人たちに対する中間指針での賠償というのは、一方で既に与えられているわけですが、それプラス今回の自主的避難者等、滞在者を含む人たちに対する賠償というのを加算していいのか、それとも加算すべきではないのかという問題ですね。ということで、いかがでしょうか。
 大塚委員の、この部分についての先ほどのご意見、必ずしもよくわからなかったんですけれども、加算して構わないというご意見だったんですか。

【大塚委員】  ええ。理論的には、福島市もある程度線量が高かったり、ほかの要素で、この滞在者の区域に入るとすると、賠償すべきだということになると思うんですけれども。他方で、別の要素として一応考慮しなくてはいけないこともあるかとは思いまして、それも一応申し上げておきますと、強制的に避難された方がどこに移るかということについて、ある程度自由であったとすると、それをどう考えるべきかという論点と、それから、強制的に避難させられた人でも、例えば、会津に移られた方と福島市に移られた方では違ってきてしまうことになりますが、その間の公平性はどう考える必要があるのかどうかという問題、今の2つの問題はちょっと考慮せざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。私は、だから、払うということでいいと思っていますけれども、今の2つの問題は考えざるを得ないということも同時に申し上げておきたいと思います。

【能見会長】  避難した先がどこであるかによって、もしこれを重ねて賠償するというときに、違ったことになってくるというのは、ちょっと嫌なところではありますけれども。ただ、賠償する根拠というのが、もし放射線量に対する不安だということになると、これだけではないんですけれども、こういうものが中心だということになると、そうすると、大塚委員のご意見はどうなるんですか。つまり、今、具体的な、会津が外れるかどうかは別として、仮に自主的避難者等の賠償の対象区域にならない、滞在者の賠償区域にならないというときに、そこに避難された方は対象にならないということは、放射線量に対する不安というのはそれほど心配ないものだということですから、差があってもしょうがないのかなという気もするんですけれども。

【大塚委員】  もう一つの問題は、どこに移られるかに関して、ある程度自由があったかとか、最初から滞在者のように、この区域に住んでいらっしゃる方に比べると、移動しやすいかとか、そういう事情をどう考慮するかという問題もあるかとは思います。

【能見会長】  そっちはちょっとあるかもしれませんね。
 いかがでしょうか。
 今、発言していて自分で気がついたんですけれども、例えば、20キロ圏内から避難された方の賠償の対象は、避難した先での不便というのが中心であり、かつ、そこでの生活費の増加分もたしか入っていましたよね。そういう一応平均的なものは。そうなると、慰謝料部分はともかくですけど、そういう生活費増加分というのは、福島市に避難して、そこでの放射線量に対する不安を中心とした慰謝料部分はいいけれども、そこでの生活費の増加分も入るとなると、そこの生活費の増加分はもしかしたら重複しているかもしれないという気がします。
 米倉委員、どうぞ。

【米倉委員】  今まさにおっしゃられたことを今感じていたんですけれども、最初の中間指針の段階で含まれていた項目と、今回出てきた項目に、重複が明らかに一部あるのではないかなと。そうすると、たとえ加算するにしても、同額というのは、やはりちょっと納得がいかないのではないかなという気がして。

【能見会長】  なるほど。重なる部分というのは、今私が申し上げたようなことをお感じですか。

【米倉委員】  そうですね。

【能見会長】  ほかにいかがでしょうか。
 では、中島委員、野村委員の順番でよろしいですか。

【中島委員】  私はむしろ先ほど高橋先生がおっしゃられたように、すべて重複しているとみなして、加算すべきではないというふうに考えるんですけれども。それは、今の時点になってみると、強制的に避難させられた人も、自主的に避難している人も、生活費増加分も重複していますし、精神的苦痛という面では、やや性質が違う面はあるかもしれないけれども、類似した性質になってきていて、これはやはり両方が重なり合っているとむしろ見たほうが実際的なのではないか。
 あと、先ほど大塚委員がおっしゃられたように、強制的に避難させられた人が、どこに避難したかによって金額が変わってくるということでのアンバランスも考えますと、重複して支払うべきではないのではないかと思うんですけど。

【能見会長】  今のご意見の前提は、しかし、先ほどおっしゃっていたと思いますけれども、7カ月以降の5万円だったのが、10万円に増額されたという前提の話ですよね。

【中島委員】  はい。増額されるという前提です。

【能見会長】  ですね。

【野村委員】  損害項目が重なっているとすれば、もちろん二重になっているということになると思いますが、精神的損害の部分で、紛争審査会で何が損害賠償を認める根拠かということについて議論しているときは、そういう根拠として議論していますけれども、現実に被害者が請求する時点になれば、そこに居住しているかどうかという客観的な事実だけでおそらく決まってくるわけですよね。その人が不安を感じているか感じていないかとかかわらず損害賠償を請求できることになります。そうだとすると、命令に従った避難者であっても、その部分は少なくとも滞在者として評価されてもいいのかなと思います。特に、損害賠償の最終的な時期がよくわからないのですけれども、強制的な避難の避難者としての損害賠償が終わった時点から先の部分に自主避難の部分がずれ込んでいるんだとすると、その部分は少なくとも滞在者として認めてもいいのではないかというふうに思っています。

【能見会長】  なるほど。基本的には重複してということですね、そうすると。

【野村委員】  はい、そうです。

【能見会長】  ほかに、もしご意見があれば。
 草間委員、どうぞ。

【草間委員】  私も、生活費の増加分は別として、精神的な苦痛に対するものは、強制的に行政の指示に従って避難した場合と、今回の自主避難とは違うと思います。そういう意味では、精神的負担に関しては、重複、すなわち、別個に支払ってもいいのではないかなと思っています。ただ、生活費の増加分は重複しないようにする。
 それに関連しまして、3ページの損害項目のところで、特に丸1の書き方ですけれども、最初に、特に自主避難した方たちについては、生活費の増加分があり、次に精神的な負担とされています。私は、もし生活費の増加分の保障という形でいくと、今日、例えば騒音とか悪臭に関する慰謝料をご説明いただいたわけですけれども、この金額からもっとかけ離れたお金になるわけですよね。今回、自主避難にしましても、滞在する方たちに対しても、いずれにしても放射線に対する不安に対する精神的な苦痛というのがまず最初にくるのではないかと思うので、丸1の1)、2)、これは書き方として逆にすべきではないかなと思うんですけれども。順序設定は一定の意味があると思いますので、精神的な苦痛を中心にやる。そのことが滞在者も認めることになると思いますので、この1)、2)というのは、順番を入れかえていただいたほうがいいのではないかなと思いました。
 いずれにしても、精神的負担に関しては、中間指針で決めました、行政の指示に従って避難した場合と今回の場合では若干ニュアンスが違うので、独立に考えるべきではないかなというのが私の意見です。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 ほかに、今の点についていかがでしょうか。
 どうぞ、大塚委員。

【大塚委員】  私の意見は先ほど申し上げたとおりですが、ちょっと事務局に確認したいんですけど、強制的に避難させられた方たちは、どこに移るかに関してどのぐらい自由度があったかということについて、ご説明いただけると参考になるかと思うんですけど、いかがでしょうか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  今、この場で全く正確なことは、なかなか申し上げられる資料を持ってございませんが、一般的に言って、仮設住宅、避難所等、ある程度の選択の余地はあったかと思いますけれども、仮設住宅なんかは、ある場所が、少なくとも最初の段階ではそんなに選ぶ余地が少なかったのではないかと考えられます。

【大塚委員】  どうもありがとうございました。

【能見会長】  ただいまの議論は、先ほど2ページ目の上のところの範囲を超えて、もう第2の自主的避難者等の損害についてに入っていますけれども、どうぞ、ここまでを射程に含めて、ご議論いただければと思います。
 先ほど草間委員が問題提起された3ページの(3)の丸1、これは自主的避難をされた人たちの損害項目、あるいは損害についての基本的な考え方、それから、丸2が滞在を続けた場合における考え方。私も草間委員と似たような考え方で、基本的にはこれは放射線被曝への恐怖、不安というのが基礎にあり、かつ、それが損害の中心的なものであるというふうに考えております。だから、両者とも同じような賠償をしたらどうかということですが、ただ、いろんな要素を考えたときに、これは前回のインタビューといいますか、自主的避難された人たちのお話なども聞き、あるいは、また理論的にも考えたときに、生活費の増加分というのが、これは現実にはやっぱり人によってさまざまなので、多い人もいるし、少ない人もいるので、なかなか言いにくいんですけれども、当初、この案をつくって、私もこれでいいと思ったのは、自主的避難をされた方は、生活費の増加分というのが金額的にはやっぱり多そうなので、それに比べると、避難した後での放射線被曝への不安というのは、結局、避難されていますから、その分は低下して、金額的には精神的苦痛の部分が少し少ないかもしれないと。金額的な問題ですけれども。ということで、順番がこうなっていますけれども、おっしゃったように、理論的というか、実質的に考えると、金額の多寡の問題よりも、何が損害の中心なのかという考え方からすると、逆のほうがいいという考え方は十分あり得るなと思います。
 大塚委員。

【大塚委員】  非常に理論的な話になってしまって申しわけないんですけれども。私が考えているのは、自主的に避難した方は、避難する前は滞在者として不安を感じておられて、丸2の1)と同じことを感じておられて、それが損害だったんですけど、避難した後は、精神的苦痛というのは、むしろ生活の拠点が失われたとかということのほうが中心になってしまって、不安ということ自体が精神的苦痛では多分なくなっていくと思うので、そういう意味では、生活費の増加のほうが多くはなってしまって、損害賠償の議論をすると、権利侵害のところは不安が中心で――でも、平穏生活権侵害だと私は思っていますが、不安が中心なんですけど、その後の損害額のほうの話をするときは、滞在者と自主避難者は大分違ってきて、自主避難者は、その後は生活費の増加のほうがメーンになるという整理なのかなと思っていました。
 もとが不安であることは事実で、草間委員のおっしゃったとおりで、私も非常にシンパシーを感じているんですけど、額のほうの損害としては、順序はどちらでもいいんですけれども、生活費のほうが増えるのかなという整理ではないかと思ってはいたんですけれども。

【能見会長】  もちろん、そういう考え方に基づいて、損害額のことを特に考えて、この1)、2)というのが置かれていると思いますけど、これについての説明というのが、4ページの考え方の(2)のところに出ておりまして、避難された方と滞在した人たちの間では、損害額を構成する主な要素というのは、両方とも共通な要素はあるけれども、どっちにウエートがあるかというときに、多少ウエートが違っていて、避難された方は、今大塚委員が言われたように、精神的苦痛のほうは少し減っている、だけども、生活費の増加分というのは増えているので、滞在者のほうは、生活費の増加分のほうはそんなにない。それに対して、不安のほうが大きいと。どんぶり勘定ですけれども、今のように考えると、両方とも大体同じぐらいな額になっておかしくないのではないかというのが、4ページの(2)に書いてある考え方です。
 今、4ページの(2)のところに行き当たりましたけれども、前回の議論でも、滞在者と自主的避難者については、同額でいいのではないかというご意見もいただいたと思いますし、私もそういう考え方を持っておりましたが、ただ、必ずしも皆さんの合意がそこまで得られたわけではなくて、生活費の部分が大きいのであれば、その部分は加算するような形の解決というのもあり得るのではないかというご意見も言われた。たしか大塚委員がそうでしたかね。

【大塚委員】  私は交通費ですけど。

【能見会長】  交通費ですか。

【高橋委員】  私です。

【能見会長】  高橋委員ですか。交通費ないし、そうすると、生活費については加算するという考え方もあり得るということですので、ここはもしかしたら差を設けないのが合理的であるというのは、少し踏み込み過ぎていますので、ここについては、さらに差があったほうがいいというご意見があれば、そういうふうに修正いたしますので、どうぞ、ご意見があればお願いしたいと思います。
 高橋委員。

【高橋委員】  私は、生活費の増加を見て差し上げるのがいいのかなと思っていました。ただ、3ページの案1にもありますが、避難されたことの認定、また、期間、そういう事実の認定がかなり複雑になるおそれがあります。いろいろな動き方もされている場合があるとお聞きしておりますので、なかなか難しい。そういう意味で、行政指針として、実行可能性を考えるのであれば、あえて同額ということにすることに異論はない、と申し上げておきます。

【能見会長】  では、大塚委員。

【大塚委員】  私は、3ページの(3)のア)の丸1と丸2にまさに出ていると思うんですけれども、包括慰謝料という発想をとることには賛成なんですが、自主的避難者の人は、滞在者の人に比べて、1)と2)は同じ、まとめてしまってもいいかと思うんですけれども、3)はどうしても滞在者にはない費用なので、これは一括金として別に払ってもいいかなと思っていまして、具体的には案2ということになりますが、往復の交通費は別に自主避難者だけ払うということにしてもいいのではないかと思います。
 これは結局、報道のしていただき方にもよるかもしれませんけれども、一カ月当たりの額としては、例えば、包括慰謝料としては、滞在者の方と自主避難者の方と同じにして、ちょっとはみ出した交通費のようなものを自主避難者だけに払うということで、全部の合計額を報道されてしまうと多分違ってきますので、違うということにされてしまうことになるかもしれませんが、一括金を別にして、月額幾らのところはそろえるという整理はあり得るのかなと、個人的には思っております。

【能見会長】  今のご意見の前提は、1)、2)のところはむしろ月額で決めて、3)を一括というふうにおっしゃったんですか。

【大塚委員】  はい、そうです。

【能見会長】  この1)、2)の精神的苦痛とか生活費の増加分というのを月額で決めていくかどうかというのは、またほかの論点にも関連してきて、一体いつまでという時期の問題につながってくるので、そこまでお考えの上で、どちらがいいかということをご判断いただければと思います。
 例えば、今この案の前提になっているのは、子ども・妊婦については、終期はいつまでかというのはともかくとして、全期間にわたっての賠償になりますが、それ以外の人については、初期の一定期間部分ということになって、月額でいくと、その部分が何カ月分なのかとかいう問題になってくるんですね。ですから、大塚委員の意見とは正反対の考え方になるかもしれませんが、むしろ1)と2)のほうはもう一括で、仮に3)を別立てにするにしても、1)、2)のほうはすべて全期間を通じて幾らという計算をして、3)だけ月額とか、あるいは、3)を含めてもやっぱり総額でと、いろんな考え、選択肢があり得るのではないかと思います。
 ここら辺についてさらにいかがでしょうか。中島委員。

【中島委員】  自主避難した人と滞在した人の差を、移動費用を加算するかどうかという点に絞られているかと思うんですけれども。実際の支払いの実務のことをちょっと考えますと、おそらくこの自主避難の人の数は、今までの避難指示に基づく方の一けたから、下手をすると二けた人数が多くなる可能性がある。その場合の支払いの実際、実務的なスムーズな支払いということを考えますと、果たしてこの人が自主避難した人なのか、滞在した人なのか、その証明を求める、金額が違うのであれば証明を求めることになると思うんですが、その証明の手続、それから、避難費用は概算でやるとしても、避難者か滞在者かの区別の証明のところで引っかかって、全体として支払いがかえって遅れて、救済が遅れるということにはならないかというところが少し引っかかるところでして、むしろ、まことに大ざっぱかもしれませんけど、完全に同額にしてしまったほうが、避難者か滞在者かの区別の証明が必要なくなるという意味では、支払いが迅速に行われることになって、かえって救済が早まるのではないかというような気がするんですが、いかがでございましょうか。

【能見会長】  これは、避難者の数が具体的に幾らだったか、もう一回、後で事務局に確認してもらいたいと思いますけど、もしかしたら避難者の数はそんなに多くないかもしれないけれども、賠償の対象になる全体数が多いので、その中で避難した人なのか、滞在者なのかというのを一々確認するのは大変なのかと思いますけど、避難者はどのぐらいでしたっけ。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  参考資料2のところに、最初のページをめくっていただきますと、県による推計がございます。これで9月のデータで、自主避難をされている方は5万人というデータがございますが、これも全部拾えているかどうかはわからないと。県のほうの調査でも、確かになかなか自主避難者自体を特定するのが難しいということは聞いてございます。

【能見会長】  ですから、中島委員が心配された、避難者であるかどうかを特定することの難しさというのはあるということですよね。
 大塚委員。

【大塚委員】  そこら辺は一応考えてはみましたが、例えば、夏休みだけ避難された方もいらっしゃるでしょうから、そういう方をどうするかというような問題もおそらく出てくるんだろうと思います。自主的避難者をそんなに限定して、例えば住民票を移した方だけとかということにするわけにもいかないと思いますので、結局、交通費に関しては、申請していただくということで、実費をお支払いするということなのではないかと思っています。そこは、絶対にこの方は滞在者で、この人は自主的避難者だとかとか、そういうことまでは実務上はやることは無理だと思いますので、やり方としては、そういう交通費の申請をしていただくということだろうと考えています。

【能見会長】  わかりました。
 では、先に田中委員、どうぞ。

【田中委員】  ちょっと変な意見になるかもしれませんが、私は、結論から言うと、差をつけないということのほうがいいと思います。その理由は、3ページに書いてある理由というのも、生活費の増加といっても、これをここに幾ら増加した、それが交通費だから切符でわかるけど、生活費が幾ら増加したかというのは、避難しているから増加したとか、避難していないから増加したというのは、これもばらばらだと思うんですね。
 それから、精神的苦痛というのも、実はずっともともとの原点は放射線の被曝なんですけれども、それによって、今この時期まできますと、避難している人、避難していない人、いろんな精神的苦痛がいっぱい重なり合っているわけですね。そういうことを全部包含して、差を一つ一つ個別にやることは難しいということで私は理解していまして、それをある程度丸めて、一つの理解として、生活費の増加とか、精神的苦痛と、それは個々には随分違うけれども、それを丸めて、差をつけないというほうが、私は、変な言い方ですが、おさまりがいいというのか。
 というのは、ここに一度、いつだったか、現地から自主避難している人とか、福島の市長なんかにおいでいただいた話を聞いても、あんまりそこに差をつけると、逆に、社会的な混乱が起こるのではないかという気もしますので、私は、結論は、あまりそこは、ある種の根拠は要ると思いますけれども、丸めて同じにしていただきたいなと思います。

【能見会長】  ほかの皆さん、この点について、何かご意見はございますか。
 高橋委員、どうぞ。

【高橋委員】  交通費を仮にお認めする場合も、実費という話になるのかは疑問です。いろんな判断でいろんなところに避難された方がいらっしゃいまして、その際、費用にもかなり差があります。そのとき、申しわけないのですが、沖縄にいらっしゃった方に実費なのかというと、そこは、避難に必要な合理的な距離に移られた方に対する包括的・定額をお支払する話になると思います。またさらに、大変申しわけないのですが、そうであれば、この費用は包括的な合算の対象にもなり得る性格のものであって、先ほど中島委員がおっしゃいましたけれども、行政上の取り扱いとして、円滑な支払いを推進するという立場から言うと、私は意見を変えたということになりますが、ここは一括してすべてに同額をお払いするというのが適当なのではないか、と思います。
 以上です。

【能見会長】  米倉委員。

【米倉委員】  私も基本的にその考えでよろしいのではないかなと思っています。特に、先ほど来、強制的に避難させられた方々が、実際に新たな地域に入ってきて滞在者となったというお話があったと思うんですけれども、同じように、自主避難された方も、移った先がやはりそういう線量の高いところであるということも当然あり得るわけで、いろんなパターンが入ってくるであろう。そうすると、自主避難と滞在者というのは明確に区別することが非常に難しくなってくる。そういうことを考えれば、もうある一定の範囲内について網かけをしてしまって、わかりやすい何らかの一定の基準にしたほうがいいのかなと思っています。

【能見会長】  大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  自主的避難者が滞在者と同じ区域の中に移ってしまったら、それはまた滞在者として扱うだけだと思いますし、高橋委員がさっき言われたことも、沖縄に行った人にも私は交通費は払っていいと思っていますが、合理的な距離についての上限をつけるというのは、また別にもちろん考えればいいことだと思いますので、はみ出しを少しでも認めるかどうかというところですね。
 私は包括慰謝料というのを考えたときに、滞在者については絶対に出てこない移動費用というのを、自主避難者にしか出てこない移動費用というのを、同じように丸めるのはちょっと無理ではないかと思っているということで、そんなに大した考え方の違いというほどではないとは思っていますけれども、一応申し上げておきます。

【能見会長】  例えば、考え方として、避難、帰宅に要した移動費用のところを、大塚委員は、簡単に言うと、3)をここから外せということ、こっちは別立てにということだと思いますけれども、仮にこのまま残して、ここは通常要するような移動費用というのはやっぱりここに入るというふうにしておいて、その上で、これは指針の一般的な性質の問題でもありますけれども、特に合理的な避難費用が証明できる個別的な場合には、これは、ここの問題とは別に、別途請求できるというふうにしておくと、それは大塚委員の考え方をある程度……。

【大塚委員】  そうとも考えられます。

【能見会長】  そういう考え方でもよろしいですか。
 そうしますと、基本的な考え方としては、ここで考える包括慰謝料の金額そのものは、これらの要素を考慮した上で――順番はまた再度考えたいと思いますが、両方とも、自主避難も滞在者も同額にするという考え方で基本的にいこうということが改めて確認されたということでよろしいでしょうか。
 それでは、ほかの論点等についてはいかがでしょうか。この賠償額幾らかというのも、もちろんご議論いただいてもよろしいんですけれども、これは一番最後に回させていただいて、時間があれば議論したいと思いますが、ほかの点はいかがでしょうか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  能見先生、もしよろしければ、鎌田先生の意見のメモを。

【能見会長】  そうそう、鎌田さんのメモを先に。ほんとうは議論の始まる前にご紹介しようと思ったんですけど、ちょっと忘れていました。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  鎌田委員から、なかなか総長としての業務がお忙しくて出席できないということで、意見のメモを先ほどいただきましたので、実を言うと、会場にはお配りできなかったので、読み上げて紹介させていただきます。
 まず対象者についてということで、避難区域以外の一定範囲の住民が一定の状態、すなわち事故によって自主的避難をすることが相当であると認められる程度の恐怖・不安を抱かざるを得なかったという状態に置かれたことをもって、損害と考えるべきであり、その点で、自主的避難をした住民も、その地域にとどまり続けた住民も、同じ損害をこうむったものと考える。
 また、今回の追加指針は、これまで賠償対象となっている避難区域からの避難以外の部分を救済することが目的であり、既に中間指針で賠償の対象となっている部分とは独立に取り扱うことが適当である。ただし、既に中間指針で賠償の対象となっている者の避難先が追加指針の賠償対象区域内である場合については、追加指針による賠償の対象となる損害は中間指針による賠償の範囲内に包摂されており、追加的な賠償は受けられないと考える。
 賠償項目についてということで、自主的避難に関する賠償も、本来、一人一人の個別事情に基づき行われるべきであるところ、今回の追加指針は、多くの被害者がかかわる紛争について迅速な救済を図るため、あえて一定の対象地域を設定して賠償項目等を示そうというものである。したがって、追加指針においては対象地域内の全住民に共通して認められるべき賠償項目と金額を示すこととし、これを超える損害の賠償を認めるべき特段の事情のある場合には、これを個別の請求にゆだねることとせざるを得ない。
 避難費用等については、避難に至った事情、避難の状況、経費の詳細等は個々の避難者ごとに極めて多様であり、それらを個別的に精査することは困難であること、自主的避難者と滞在者は同種の被害をこうむっており、その被害への対応に多様性があると考えることも可能であること、多数の被害者に迅速な救済を与える必要があること等を勘案すると、避難費用等も含めた包括的慰謝料とし、自主的避難者も滞在者も一律の額として示した上で、特段の事情のある場合には個別の請求を許容するものとすることが妥当であろうと考える。
 なお、乳幼児等の避難には同伴者のあることが通常であり、実際の避難費用は同伴者において支出するのが一般であろうと思われるので、同伴者の避難費用については、避難者に対する賠償額にこれが包摂されていると考えるのが相当であると思われる。
 追加指針の対象時期については、損害賠償の基本的な考え方に照らすならば、過去のある時点について、その時々の状況に照らして、対象区域に滞在することに著しい恐怖・不安を抱くことが原発事故と相当因果関係のある損害と認められるか否かを評価するのが原則であり、将来についても損害賠償を認めるか否かは、この状態が続くことに高度の蓋然性のある場合に限られる。審査会には、避難に関する新たな行動指針や安全性に関する新たな基準を策定する権限も能力も欠けていることをも考慮に入れて、慎重に検討されるべきものと考える。
 以上でございます。

【能見会長】  まだ議論していない論点についてのご意見も入っていたと思いますけれども、今まで議論した中で言いますと、避難指示に従って避難した人が、今回賠償の対象となる地域に避難してきた人に重複して賠償するかどうかということについて、今の鎌田委員は否定的な意見だったということですね。先ほど何人かのご意見はいただきましたが、中島委員は、条件つきで、5万が10万に上がったらという前提のもとだと思いますけれども、そうでない場合には重複で構わないけれどもということも含まれているんでしょうか。5万円のままの場合は。そこは。

【中島委員】  そうですね。

【能見会長】  よろしいですか。
 ですから、今のところ、ほかにまだご意見をおっしゃっていない方もおられるかもしれませんが、ここの場でのご議論の中では、やっぱり賠償の対象が違うので、重複の方向で考えたらどうかというのが、今のところ大勢ではある。しかし、これについても、さらにご意見があればお伺いいたしますけれども、まだ全員一致ではないので、議論をもうちょっと詰めてみたいとは考えております。
 まだ議論されていない部分について、いかがでしょうか。今の鎌田委員の意見の中でも出てまいりましたけれども、同伴者についてどう考えるかというのも、これもかなり難しい問題かと思いますので、この点についてご意見があれば伺いたいと思いますが。
 鎌田委員のメモをきっかけにして議論するのは、本人がいなくて申しわけないけど、子どもや妊婦については、同伴者がついているのが普通だから、だから、子どもの賠償の中にその部分も含めて、子ども一人分についての賠償額を決めればいいという、そういう意見ですかね。おそらくそういうようなご意見ですかね。
 これは単価というのか、その分も考慮して、少し増えることになるというふうに考えると、同伴者を一人分計算するのと同じようなことにはなるんだろうと思いますが。
 どうぞ、野村委員。

【野村委員】  年齢をどう考えるかということがあると思います。未成年者全部を対象とするというようなことだったら、一人だけ行っているというのもあり得ると思うのですけれども、乳幼児みたいに、親がついていなければいられないような年齢であれば――それが多いんだと思うのですが――同伴者もその中にカウントされていると考えることも十分可能だと思います。
 ただ、もう一方で、滞在していれば滞在者として評価されるのに、子どもと一緒に避難先に行くと、例えば、二人分が一人分になるという結果になりますが、そこをどう考えるかということではないかと思うのです。それが、行ったことで、必ずしもカウントされないことになると……。同額だという議論で今やっていますから、カウントはされないわけですよね。

【能見会長】  滞在していれば滞在者のほうで計算されるから、同じものなんですかね。どっちかで計算すれば、金額が同じであれば、同じことなんですね。

【野村委員】  だから、一人分になってしまうのではないかということなるのです。

【大塚委員】  滞在者のほうについては、子ども・妊婦というふうに、5ページの上のほうに、3)のところで書いてありますから、自主的避難者の場合に同伴者の分を増やすかどうかという話だと思います。私は増やしたほうがいいと思っていますけど、そういう前提の議論です。

【能見会長】  そうそう。人数分が増えることではないけど、同伴して避難しているという考え方のもとで、子どもと同じように避難している以上、やっぱり生活費の増加分とかいうのがあるので、それを考慮すると、完全に一人分増加なのかどうかわかりませんけれども、全期間を通じての多少増加分があると。
 今ちょっと言いかけたことですけど、同伴者の場合、これが子ども・妊婦以外のカテゴリーの人だとすると、そもそも今まで議論してきたたてつけの中では、そういう子ども・妊婦以外の同伴者の場合には、本来であれば賠償額が初期の分ということで額が減る、全期間通じて精神的損害を多大にこうむっているというカテゴリーとは違って、賠償額が本来減る人間なんですね。この人が一緒についていくと、確かに生活費の増加分はあるんですけれども、例えば、放射線被曝の恐れを感じるのが合理的なので慰謝料を賠償しますというときの、その説明の仕方が、同伴者について当てはまるのかというと、そこはちょっと気になるところではあって。
 どうぞ、高橋委員。

【高橋委員】  私、この問題設定自体がちょっとミスリーディングかなと思っています。滞在した方にも、当然、子どもや妊婦さんのケアをする方がいらっしゃって、そういう方について、例えば、何がしかのものが、自主避難した際のある種必要が出てくるような慰謝料とか生活費用と同じようなものは、やっぱり滞在されていても発生するはずだと私は思います。そういった意味では、これを滞在者の方の同伴者の方との、あえて区別した形で自主避難した形の同伴者というのをカテゴリーとして考えるというのはどうか、という意見であります。その意味では、案3と結論は同じなのですけれども、そういったようなものを見込んだ上での妊婦や子どもの損害というふうに見れば、それで済むのではないかと私は思います。ですから、鎌田先生の意見と私は基本的に同じ意見です。
 以上です。

【能見会長】  どうぞ、まず草間委員、その後、大塚委員。

【草間委員】  全然別の視点かもしれないんですけれども、私も、どちらかというと、案3でいいかなと思うんです。例えば、子どもの場合は、ずっと子どもというか、終期をどこで考えるかは別としまして、子どもですけれども、妊婦の場合は、もし同伴者を考えると、どこかの時点で産まれた後、二人になるわけです。だから、そういった煩雑なこと等を考えると、もう鎌田委員が言うように、対象者の中に同伴者は含まれるというような形で考えるのが一番単純だし、混乱がないのではないかなと思います。

【能見会長】  なるほど。
 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  高橋委員がおっしゃる生活費の増加というのは、滞在者の生活費の増加に関して、同伴者が受けるのと、それから、自主的避難をしたときに受けるのとは大分違うと思いますので、さっき能見先生がおっしゃったこととの関係では、確かに同伴者は、自分が受ける被曝のリスクとの関係での合理性から動くというわけではなくて、乳児とか子どもが動くときに、一緒についていかざるを得ないからという、だから、そこまで相当因果関係の範囲に入ると私は思いますけれども、という説明になりますけれども、そういう理解で考えればいいのではないかなと思います。
 鎌田先生がおっしゃっていることのお考えというのも、もちろんあり得ると思いますが、子どもの損害の中に含めるというのは、私は実際には難しいのかなと思っていて、それはそれなりの額になればまたいいのかもしれませんけれども、実際にはなかなか難しい面もあるのかなと思います。

【能見会長】  あんまりここで不法行為の議論をしたくはないけれども、例えば、大塚委員が心配されているのは、子どもに対するある種の不法行為であって、その子どもにかかる経費であると。同伴者がいなくてはいけないというのは、その子どもにかかる経費みたいなもので、したがって、子ども自身が同伴者の生活費分も含めて損害をこうむっているというふうに考えると、そうすると、同伴者の経費分というのを子どもの損害のときに考慮して、少し額をその分はちゃんと考える。単に要素として入れるというのではなくて、同伴者もいるというので、かかる生活費を考慮して、しかし、それは同伴者固有の損害というのではなくて、子どもの損害と考える。ということで考えれば、実質は同じようになりそうな気がしますけどね。

【大塚委員】  その分、増額をすることになると思うんですけれども。

【能見会長】  ええ、増額はせざるを得ないのかなと。今まで子ども一人でこのぐらいだと、精神的損害、あるいは、それ以外のいろんな生活費の損害分についてはこのぐらいだと考えていた額というのがもし仮にあったとすると、やはり同伴者分についての生活費の増加分というのは、そこで考慮して加算するので、若干はやっぱり上げざるを得ないのではないですかね。
 鎌田委員の自身も、そういうのを否定するという趣旨ではないと思いますので。草間委員もおそらくそうですよね。

【草間委員】  そうです。

【能見会長】  ほかに。私もいろいろ複雑な問題を考えると、同伴者分の損害は、そこで加算すればいいのかなという気もしますけれど、もしほかのご意見があれば。
 これは、高橋委員もそれでよろしいですか。

【高橋委員】  私は、ですから、やっぱり滞在者だって、ある意味では、子どもと一緒に生活されている方はいるはずですよね。

【能見会長】  そうです。

【高橋委員】  その場合に、子どもがそういうところにいるところによる、ある種の精神的な不安というのは当然持っていらっしゃると思います、その親御さんというのは。そういうのも見なくていいというのは、どうなのかなと。という意味では、私は別に、つまり、一緒に行ったからということでプラスアルファという話にはならないのではないかなと。特に精神的な損害については。

【能見会長】  ええ、精神的損害は、むしろ加算要素にはしないほうだと思います。むしろ、一人分、どこかよその場所でもって、子どもだけではなくて、もう一人同伴者もそこで生活しなくてはいけないということからくる生活費の増加分が一番問題なんだろうと思いますけど。それは、滞在する場合には、そういう問題が生じないので、その分は、しかし、どこで調整するかという、滞在者と避難者とでもって同じように考慮するとなると、金額の調整が少し面倒くさいなという感じはしますけれども。

【高橋委員】  ただ、その同伴者の方というのは、行動の自由というのは、ある種免れるわけですよね。制約というのは。

【能見会長】  行動の不自由ですか。

【高橋委員】  ええ、そうですね。それによる不利益というのは免れるわけです。

【能見会長】  避難された人についていく同伴者の。

【高橋委員】  そうですね。ただ、あんまりそこをプラスアルファいろいろと細かく見ることが必要なのかどうか、私は民法の専門ではないので、次回、もう少し民法の先生方にその点をお教えいただければなと思いました。行政法学者として、知見がなく、大変申しわけないんですが、その辺も教えていただければありがたいと思っています。

【能見会長】  今おそらく問題は、避難した人と滞在者との間でもって、先ほど金額を同じにしたほうがいいだろうという前提、大枠があって、しかし、この同伴者分というのを一人分としてカウントするのではなくて、子ども・妊婦のこうむる損害、自主避難をする人の生活費増加分の中で考慮すればいいということなんですかね。

【草間委員】  ちょっとよろしいですか。私、ちょっとわからなくなってきたんですが。
 要するに、子どもとか妊婦を考えましょうというのは、時期を2つに分けることが前提ですよね。

【能見会長】  そうです。実質的にはね。

【草間委員】  実質的には。だから、そうなりますと、初期、どこで第一期にするかは別としまして、第一期に関しても、自主避難者と滞在者は全ての人々を対象に同じにしましょうとしたわけですので、第二期は、子どもと妊婦という形になると、同じように、自主避難者も滞在者も同じにしましょうという考え方のほうがすっきりすると思うのですが。だから、自主避難者は同伴者がいる、だけど、滞在者は同伴者がいないからというような形ではなく、やっぱり今この分けた前提で、第二期に子どもと妊婦ということだったので、だから、そうなりますと、第一期が自主避難者と滞在者と同じように考えたと同じ考え方で、第二期も、自主避難も滞在者も同じに考えるという形でやったらいいのではないかなと思いました。

【能見会長】  おそらく高橋委員の意見もそういうことになるんだと思いますね。ちょっと私は誤解したかもしれないけど、滞在した子ども・妊婦についても、これは全期間にわたって放射線の被曝の影響が、そういうのが大きいという不安を持つのは合理性があるということで、賠償対象になり、その人たちについても、実質上、同伴者分というか、プラスアルファ部分が考慮されるとすれば、滞在者も避難者も同じように考慮される、そこでは金額は差はない、そういうふうにまとめればよろしいですかね。
 どうぞ、大塚委員。

【大塚委員】  だから、簡単に言えば、宿泊費と日々の生活費の増加とは全然違うということですよ。高橋先生が気にされていることについては。一言で言えば、そういうことだと思います。
 ただ、それをどう見るかという問題も考えていただいたほうがいいと思いますけれども、それは同伴者はやっぱり一人分増えることは増えるので、そこをどういうふうに、とにかく額をできるだけ近づけようとするときに、どういうふうに調整するかという話ですかね。

【能見会長】  どっちに近づけるかですね。

【大塚委員】  生活費増加という形で同じだ同じだと言っていても、それは多分全然違う額にはなるわけですよね。

【能見会長】  ということで、具体的な……。
 どうぞ、米倉委員。

【米倉委員】  今のお話に関して、確かに生活費の増加というのは同じではないかもしれないですけど、逆に、滞在された方々のお子さんに対する不安感というのは、さらに大きいわけですし、しかも、それに伴って、多分、いろんなことをされていると思うので、それによる増加分というのも出てくるから、そうすると、精神的な損害とこういうものを入れると、一緒にしてしまうというのがやっぱりわかりやすいかなと思います。

【能見会長】  なるほどね。今の考え方もわかりやすいですね。
 もしかしたら、これは大塚委員の先ほどの避難費用と共通する問題が少しあるのかもしれませんね。特別にプラスアルファの部分というのを認める余地を残しておいたほうがいいという問題と、それから、実際にこれを幾らの金額にするかという問題ともおそらく関係してくるんでしょうね。金額の問題は、今日はそこまではできないと思いますけれども。

【大塚委員】  もう一ついいですか。
 根本的な問題としてほんとうはあると思うのは、結局、滞在者と自主的避難者の包括的慰謝料を全く同じ額にとにかくしたほうがいいという要請があることは私も認識はしていて、できるだけそちらにそろえたいと私も思ってはいるんですけれども、さっきの交通費もそうですが、ここも同伴者の話はそういうところがあると思いますけれども、それを結局、別扱いにするかどうかということだと思います。ただ、紛争の解決という点からして、全く同額にしてしまってほんとうにいいのかという気はしています。

【能見会長】  単純な別枠というわけにはいかないかもしれない。一応それも考慮して、子どもの損害の中で計算するという前提をとる以上は、ただ同伴者がいますというだけでもって、別枠で請求できるというわけではないかもしれないね。
 わかりました。ここは皆さんのご意見はある程度大体の方向は決まってきたと思いますけれども、なお若干違う考え方もあり、少し調整をさせていただきますけれども、また大塚委員にはさらにもうちょっと詰めた表現を後で伺いたいと思います。時間の関係もありますので。

【高橋委員】  私、次の会議のため早退しなければいけなくて、大変申しわけありません。そこで、最後の点ですが、終期の問題についてですけれども、意見だけ申し上げたいと思います。議論を始めたときからもう既に3カ月たっておりますので、そういう意味では3カ月議論がずれるはずです。そういう意味では、もはや来年3月10日までは、実は確定的に将来を見通せる時期になっているのではないかと、もう12月ですから、そういうふうに私は思っております。
 以上でございます。失礼しました。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ほかの皆さんも、終期についていかがでしょうか。
 ここに幾つかの案が出ていて、かなり違う、単に終期の差だけではなくて、考え方の違いもいろいろあるように思いますけれども。例えば、9月末プラスアルファというのは、これは単に9月末で一たん切って、また考えましょうというのとは違って、9月で切って、もうそれで一切おしまいですという案のように見えますので、それと比べると、第2案というのは、一応中間指針追補の策定時まで、つまり、将来分は認めないけれども、過去分を認めるということで、追補の策定時までということですけれども、将来分を、例えば来年3月になったら、もう一回過去にさかのぼって、もう一回考えるかどうかという部分については、オープンといいますか、否定するわけではないという案になっていると思います。ですから、第1案というのは、これは単に表現がそういうふうになってしまったからかもしれませんけれども、9月で打ち切ってしまうというような案に対して、第2、第3、第4というのは、企画を区切って、そこまでで当面考えてということですね。第4は将来ですから、ちょっとまた違った考え方ですけれども。
 ということで、どういう考えが適当だとお考えかということをお聞かせいただければと思います。
 田中委員、どうぞ。

【田中委員】  前回だったか、申し上げたと思いますけれども、緊急時避難準備区域の解除って、一回、4月22日にされていますね。それに対して、本審査会は、一応7月末ないしは、子どもがいれば8月末というところまで帰宅の期間を猶予して賠償を決めたと思うんですね。そういうことを考えると、9月にしろ、12月にしろ、いずれもこれはずっと後ろにきているんですが、そことの関係はどういうふうに整理したらいいのかというのは、もし教えていただけたらと思いますが。

【能見会長】  おそらく4月で解除したときにも、避難されている方、その人たちが戻ってこれるような状態になったので、戻ってくるとしても時間がかかる場合があるので、そこで、直ちに4月で切るわけではなくて、一定の猶予期間があるという考え方だったと思いますけれども。
 今回のは、おそらくそれとは違った考え方で、仮に自主的避難の根拠になるのが一定の放射線量に対する不安ということであると、その状態が続く間は賠償するということになると。だけど、その続くというのが、過去部分については続いてきたという判断ができるけれども、将来については続かないかもしれないという未確定要素があるので、そこで一体どこら辺で切るのがいいだろうかというので、ちょっと要素が違うのではないかと思います。あるいは、それでまた田中委員のご質問の趣旨と少しずれたんでしょうか。

【田中委員】  そこで賠償したところと、今回のケースとの整合性がとれていれば、理屈の上ではいいんですけれども、そうすると、その時点で、20キロ、30キロに戻って滞在している人たちについては、今回はもちろん対象になるんでしょうけれども、別の賠償の考え方だということになるわけですね。

【能見会長】  そうですね。これが最初に申し上げたように、中間指針で賠償の対象になっていることと、今回の自主避難で賠償対象になる、あるいは考え方が違うという前提で、中間指針のほうは、避難すること、あるいは、商店だとか病院だとか、いろんなところが閉まってしまったりしている生活の不便というのが一応慰謝料などの根拠であり、それに対して、今回の自主避難のほうは、放射線の被曝等、それだけではないけれども、それを一番中心的な要素として考えたときの、その不安からくる避難、あるいは、滞在していることによって、不安がさらに続くということに対する賠償であるということで、賠償の対象が違うので、そこで、こういう期間を限定するときにも、少し違った考え方になってくるということなのではないかと思います。

【田中委員】  今日の議論とは少し違うんですけれども、9月末に緊急時避難準備区域が全面的に解除されましたので、これについての終期というのは、いずれまたどこかで議論されると思うんですが、それより長くなるということもあるんでしょうか。今、終期の議論は、これについてはやっていないと思うんですが。

【能見会長】  そうですね。それは、現在考えている相当な放射線量というのがずっと続くとなると、おそらくこちらの期間のほうが長くなるということもあり得るのではないかと思いますけどね、私自身は。
 ほかに何か、もし今のについて、私の理解と違うご理解をお持ちの方等がおられれば。

【草間委員】  自主的避難ということは、要するに、行政の指示による避難に対する自主的避難なんだろうと思うんですね。だから、そういうことを考えると、9月末に一応緊急時避難準備区域も解除されました。国はそういう1つの判断を下したわけですので、自主避難をいつまでも認めると、復興に向けての動きを遅らせることになるのではないかと思います。自主避難は、あくまでも行政の指示に従って避難をしていただいたわけではないことを考えると、一応9月の末に緊急時避難準備区域が解除されたことを考慮すると、9月末で、それとプラスアルファというのは、多分、少しその準備の期間というのも含めたプラスアルファなのではないかと思いますので、9月末プラスアルファというのも1つの考え方ではないかなと思うんですけれども。

【能見会長】  これはおそらく自主避難に対する賠償の根本論にまたさかのぼることになるんだと思いますが。

【草間委員】  ただ、放射線に対する、要するに不安、あるいは恐怖ということになると、多分、今回の事故に関係した不安等は、そんなに早速解消されるものではないだろうと思うんですね。だから、そういった放射線に対する不安、恐怖を1つの根拠にしているとすれば、国が出した1つの基準というのは、自主避難に対する精神的苦痛を打ち切る1つの参考になるのではないかなと思っているんですけれども。

【能見会長】  また改めて放射線量の問題に、あんまり入りたくはなかったんですけれども、また少し入らざるを得ない問題が出てきたという気がしますけれども。
 今、政府のほうで避難を指示するかどうかというのは、20ミリシーベルトというのを基準にして考えていると。したがって、それを切るような状態のところでは、避難を指示するということはしない。だけども、どのぐらいが相当かというのはともかくとして、5ミリシーベルト以上とか、あるいは10ミリシーベルトとか、いろいろそれなりの、20ミリは切るけれども相当な線量はあると考えられるために、そのために不安を感じるという人がいて、そういう人たちが避難するというのは、不合理ではないだろうという考え方をおそらくこれは前提にしていますので、もし今のように、非常に極論かもしれませんが、草間委員のご意見は、避難指示の基準で考えるべきだというのと大体同じになりますか。

【草間委員】  そういうことになります。

【能見会長】  そういうことになりますよね。そうなると、だから、20ミリシーベルト以下の放射線量でもって、それを不安視して逃げるのは合理性がないという意見になるんでしょうか。

【草間委員】  今実際に、解除されたから、20ミリという形で運用される可能性というのは多分ないわけですよね。

【能見会長】  そこは私もよくわかりませんけどね。

【草間委員】  多分、ここでは線量に踏み込まないで、行政が出した、こういった解除とか、そういったものを基準に。線量云々ではなくて、そういった行為に対して、1つの参考にしながらやるとしたら、1つの考え方ではないかなと思ったんです。それが、これからさまざまな土壌の入れかえとかいうのも、それぞれ基準があって、戻ってくるときに20ミリでということは、多分、あり得ない話なんだろうと思うんですね。だから、そういうことを考えると、国が1つの出したアクションに対して、それを参考にしてやるということも、1つの考え方だろうと思って、今のような発言をさせてもらったんですけれども。

【能見会長】  これは実際には、放射線量については、そう明確な基準を設けているのか設けていないのかよくわかりませんけれども、例えば、20キロ圏のところも将来解除されると、いろいろな問題が出てくると思いますけれども、解除するときに、そこでの放射線量はどのぐらいだという前提で考えているんですか。これは何かわかりますか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  もともと計画的避難区域は、1年で20ミリシーベルトを超えるおそれのあるところということで設定されておりますが、緊急時避難準備区域の場合は、必ずしも線量というよりは、炉内の状況との関係で、何か起こったときに逃げられるようにということで区域設定されていますので、したがって、緊急時避難準備区域と線量が直接リンクするということでは必ずしもございません。

【能見会長】  どうぞ、米倉委員。

【米倉委員】  実際に自主避難された方、あるいは、比較的高い線量のところにおられる方々に対する、こういう形での賠償というのを認めるという枠組みについて、この状況がいつになったら解けるのかということ自体、我々は現段階では回答を持っていないわけなので、そうすると、やはり現段階で考え得る比較的長い時間帯を決めておくしかないのかなというのが、私の率直な感想なんですが。
 その後どうなるかということまでは、現段階で予測できないということを考えると、どこで切るというのは難しいんだけれども、やはりどこか区切りのあるところで切るべきではないか。ただ、その場合には、わりに長い目にとっておいて、その次の事態に対して、次を考えるかどうかということを一度議論しておく必要があるかなということです。

【能見会長】  わかりました。
 その期間をどこまでとるかという問題と、それから、緊急時避難準備区域などが解除されて、それをどう考慮するかというのは、少し関係はしますけれども、一応は別な問題だと思いますが。先ほどから田中委員もあるいはそういうご意見だったと思いますけれども、草間委員のご意見というのは、やはり政府の避難指示等の解除とか、基本的には政府の指示に従ったのに、それと矛盾のないようにというぐらいの考え方ですかね。
 ただ、今の事務局の説明でも、緊急時避難準備地域が解除されても、そこでの放射線量がどのぐらいかということは、また一応別な問題で、そこでもし相当な放射線量があるというときに、戻ってきてそこで生活するという選択肢をとることは、もちろんそれであり得る選択肢であるけれども、しかし、いろいろ地域の中には相当な放射線量があるところがあって、そこでそれを不安に考える人がいるということも、それもまたあり得ることで、そういう人に対する賠償ということで、したがって、放射線量の相当量、その基準をどこで設定したらいいかということについては、ここではいろいろ科学的な論争に入り込んでしまうので、議論はしないけれども、相当な量というものがあるところであれば、賠償の対象としていいのではないかというのが、今までのこの自主避難についての一応基本ではありましたので、そこにもし適当でないということになると、もう一回そこを改めて議論しなくてはいけないのかなというふうには思います。

【田中委員】  会長の言ったことでいいと思うんですが、それは時期の問題もありますし、場所の問題もあるんですよね。

【能見会長】  時期とも関連するということですか。

【田中委員】  ええ。ですから、多分、時期を長くしたからといって、線量が急に減るということはないわけですね。私も草間先生と同じで、一種の政府の指示というのは、そこはきちっとしておかないと混乱すると思うんですが、なおかつ、自主避難については認めましょうというのが、会長のおっしゃったようなところですから、ある程度の線量のあるところについては、それを認めましょうということで、それはいいと思うんですが。あんまりそこをぎりぎり値をやりますと、今度、どこの場所とか、そういうところまで入ったりしますので、そこはある程度、ある種の、こういう判断をしているということで、あまりきちきちっと詰めていくと、もうどうしようもないような状況が生まれるので、そこはある程度折り合いをつけたところというか、あまり法律的にはよろしくないのかもしれませんけれども、そういうことかなと思っています。

【能見会長】  わかりました。
 そうしたら、もし草間委員も、田中委員が言われた程度の折り合いをつけるということは構わないということであれば、あるいは、当面、この期間の設定について、少しご両人のご意見というものもあるいは参考にすると、例えばですけれども、来年3月までではなくて、12月末ぐらいまでにとりあえず設定をしてという――この期間の問題と折り合いがつくのかどうかよくわからないけれども、ただ、仮に12月末までにするという考え方をとっても、もし今の状況が同じように来年3月まで続くとなると、12月以降はどうしますかという問題は、もう一回は議論しなくてはいけないことにはなるんですね。だから、それを否定するという趣旨ではなくて、もう一度議論するという前提のもとで、12月末までぐらいに設定しておいて、また来年以降ですけれども、おそらく中間指針での賠償対象である期間もそろそろきますので、そういうことの期間もあわせて、もう一度議論するということは考えられます。
 大塚委員。

【大塚委員】  さっき紹介していただいた最高裁の平成19年の5月29日のような考え方からしても、12月末でいいと私も思っています。だから、今会長がおっしゃったようなことでいいと考えております。12月末以降についてはまた議論するということで、私も異存ないですけれども、考え方としては、緊急時避難準備区域が9月に解除されて、相当期間たったときに、こちらのほうの賠償はなくなるんでしょうけれども、それとは別に、今、自主的避難者とか滞在者について考えていたのは、ある意味、グレーな領域ということになってしまう――言い方もなかなか難しいんですけど――のかもしれませんが、滞在していらっしゃることも合理的だけれども、避難することも合理的だという領域をある意味認めたということですから、それは緊急時避難準備区域解除の後、そちらのほうに戻った場合に、そこでまた滞在者としての扱いを受けることになるということは、理論的には十分あり得ることだと思います。結局、強制的に指示されるか、あるいは、政府の区域として指示されているか、任意で動くとか滞在するかという、そこの違いがあるものですから、グレーの領域ということになってしまうと思いますけれども、そういう領域を認めたということなので、それは、そういう前提で今後も議論していかないといけないのではないかと思います。
 ここら辺の悩ましいところは、私も理解をしているつもりではありますが、基本的にはそういうふうに理解しないといけないのではないかと思います。

【能見会長】  今、大塚委員がある程度まとめていただいて、私も同じような考え方を持っておりますけれども。それでは、この点は、終期の問題等も微妙に絡むということで、今日はここまでは意見は収れんしていないということで、もう一度終期も含め、基本的な考え方についても、もちろん皆様ご自由にお考えできることですので、一応この案はある考え方の前提に立っていますけれども、次回もその部分についてのご議論はなおできるように残した上で、本日はこのぐらいにさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございました。なかなか難しい議論ですので、ほんとうにありがとうございました。
 それでは、次回は、今日の議論を踏まえまして、さらに皆様のご同意が得られるような案の策定を努力したいと思います。
 それでは、今日の会議はこれで終わります。どうもありがとうございました。
 では、次回の予定について。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  次回、12月6日火曜日の開催を予定してございます。時間と場所につきましては、またおってお知らせしたいと思います。

―― 了 ――

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