平成23年12月6日(火曜日)15時00分~17時00分
文部科学省旧文部省庁舎6階 第2講堂
能見会長、大塚委員、高橋委員、田中委員、野村委員、米倉委員
奥村文部科学副大臣、神本文部科学大臣政務官、清水文部科学事務次官、森口文部科学審議官、藤木研究開発局長、田中原子力損害賠償対策室長、篠崎原子力損害賠償対策室次長、田口原子力損害賠償対策室次長
加藤 原子力発電所事故による経済被害対応室審議官
【能見会長】 それでは、時間になりましたので、第18回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
はじめに事務局から、配付資料の確認をしてください。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 配付資料でございますが、議事次第のほかに、資料といたしまして、資料1が、今回の指針(案)でございます。それから、資料2が、中間指針追補(案)の賠償対象についてということで、後ほど説明させていただきます。それから、参考資料といたしまして、前回の議事録、それに加えまして、前回、前々回もお配りしたものでございますが、自主的避難の関連データが参考2、それから、参考3といたしまして、裁判例をお配りしております。不足等ございましたら、お申し出ください。
それから、本日は、中島委員、鎌田委員、草間委員がご欠席でございますが、中島委員からは、先ほどメールで意見のメモというのが届いておりますので、後ほど、読み上げて紹介をさせていただきたいと思ってございます。
以上でございます。
【能見会長】 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
第1の議題であります、自主的避難等についてでございます。前回の審査会で、「指針案のイメージ」というのをお示しして、それについてご議論いただきました。そこでかなりの問題については、ある種の方向性が出たと思いました。そういう意味では、ある程度共通認識を得ることができました。ただ、他方で、幾つかの問題については、まだ委員の間でもって意見が分かれている部分も幾つかございます。
そこで、今日は、前回の議論を踏まえまして、指針案というものを一応用意いたしましたけれども、前回委員の意見が必ずしも一致していない部分につきましては、空欄にしてあったり、あるいはブラケットとして、後でここでの議論によって決めたいと考えております。そして、こういった点をすべて議論した上で、意見がまとまったということであれば、本日中に指針を決定したいと考えております。
それでは、はじめに、この指針案をはじめ、その他の資料につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、資料1と資料2の説明をさせていただきますが、指針案の説明の前に、まず資料2のほうから説明させていただきたいと思います。
資料1の中間指針追補案の賠償対象についてということで、今回、対象区域とか対象者の部分が、政府指示の避難区域等との関係で若干わかりにくい面がございますので、資料2のほうで整理をしてございます。今回の指針案の中では、「自主的避難等対象区域」というのを定義してございますが、それが資料2の1ポツのところでございますが、これと、今回の指針の対象になる区域といたしまして、2ポツの「避難指示等対象区域」、既に中間指針で賠償の対象となっている区域の部分と、それから、1ポツの、今回新しく「自主的避難等対象区域」として区域を設定する部分、この2つに分けた形にしてございます。1ポツの自主的避難等対象区域内、ここに自宅があった者につきましては、書いてございますが、中間指針の精神的損害では賠償の対象となっておらず、今回の指針で新たに対象とされるものでございます。そこにつきましては、今の指針案の中では、避難したか、あるいは滞在したかを問わず今回の指針の対象になるということで、子供・妊婦につきましては【12月末】までの分、それから、それ以外につきましては事故発生当初の時期の分というのが今回賠償の対象になるというのが、指針案の内容になってございます。そこに例として、実際どういう方がいらっしゃるかということが書いてございますが、ここにつきましては、事故後避難した人、あるいは自宅に滞在し続けた人、あるいは事故前に一時的に外にいて、そのまま外にいた方、あるいは帰ってきた方、こういう方がすべて対象になるということでございます。
一方で、中間指針の対象でございました避難指示等対象区域内に自宅があった者については、2つのタイプに今回の指針案の中では分かれます。1つは、1ページ目の(1)にございますが、中間指針の精神的損害について賠償対象となっていない期間、その期間について、今回の指針で新たに対象になるというのが1つでございます。例えば、丸1でございますが、子供・妊婦の場合は、これもブラケットで、後ほど議論いただくことになると思いますが、【12月末】までの分が賠償対象となるということで、具体的に申し上げますと、特定避難勧奨地点に滞在し続けた方、それから、例2)でございますが、緊急時避難準備区域に滞在し続けた者の4月23日以降の部分。これは4月22日までは緊急時避難準備区域の部分は屋内退避区域になっておりましたので、4月22日までは屋内退避区域の賠償が中間指針で認められていますので、その後の期間というのが今回の指針で対象になるわけでございます。
それから、その他の方々につきましては、事故発生当初の時期分ということで、これも例示が書いてございますが、例えば、計画的避難区域に4月22日になったわけでございますが、そこに滞在し続けた方、これは計画的避難区域の方につきましては、中間指針では、避難をすれば対象になったわけでございますが、滞在し続けた方については対象となっていませんでしたので、対象となるということでございます。次のページの2ページでございますが、例2)でございますが、これは特定避難勧奨地点から避難した方の避難前の部分ということで、特定避難勧奨地点につきましては、中間指針では、避難を開始したときから賠償の対象となるということでございましたので、その避難前の部分の、これは子供・妊婦以外の方でございますから、当初の部分というのが今回の指針で対象となるということになります。
それから、避難指示等対象区域に自宅があった方で、それ以外のパターンでございますが、これが前回もご議論いただいた部分になりますが、中間指針の精神的損害を賠償されている期間で、さらに、新しい指針の対象として追加的に賠償される場合というのが、今の指針案の中では、子供及び妊婦が自主的避難等対象区域内に避難した期間、これで当初の時期以外で12月までという、若干複雑になってございますが、具体的に申し上げますと、例が2つ書いてございますが、例1)といたしまして、警戒区域から自主的避難等対象区域に避難した方ということでございます。これは、一回警戒区域から避難した場合は、参考に書いてございますが、事故発生日にさかのぼって賠償の対象になりますが、その対象となっている期間について、さらに今回の自主的避難等対象区域に避難した場合は、今回の指針で決める新たな滞在者としての損害が認められる、あるいは、認められない、そこが今日ご議論いただくところだと思いますが、そういうパターン。それから、例2)のほうは、緊急時避難準備区域で6月20日以降に避難した、これは子供・妊婦に限るわけでございますが、それや、それから、特定避難勧奨地点から自主的避難等対象区域に避難した方、ここのところは、緊急時避難準備区域につきましても、特定避難勧奨地点にいたしましても、実際に避難した日から中間指針の対象になるパターンでございますので、その避難した自主的避難等対象区域にいる間というのが対象になるということでございます。
若干複雑になってはございますが、全体といたしまして、まず今まで中間指針では全く対象になっていなかった区域というのが、1の自主的避難等対象区域ということでございます。それとは別に、中間指針で既に何がしかの賠償の対象になっていた避難指示等対象区域の方については、1ページの(1)の中間指針で対象となっていなかった期間について賠償の対象になる場合と、さらに、ここはまだブラケットになってございますが、中間指針の対象になって避難をしているんだけれども、避難先が自主的避難等対象区域だったので重ねて賠償される、この2つのパターンがあるということでございます。
3ページ目に地図をつけてございますが、ここの色で塗った部分が1から4、さらに特定避難勧奨地点は、これは地点ということなので、緑色の丸で示してございますが、ここの方々というのは、基本的に自主的避難等対象区域ではないけれども今回の指針の対象になるということでございます。そこを頭に入れた上で、指針案、資料1のほうの説明を聞いていただければと思います。
それでは、資料1でございます。今回の指針の名称でございますが、書いてございますように、「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針追補(自主的避難等に係る損害について)」ということでございます。
「はじめに」のところでございますが、まず自主的避難等の現状ということで、最初のパラグラフと2つ目のパラグラフまではこれまでの経緯が書いてございますので、そこはちょっと飛ばさせていただきまして、3つ目のパラグラフから参ります。
自主的避難に至った主な類型としては、丸1本件事故発生当初の時期に、自らの置かれている状況について十分な情報がない中で、発電所の原子炉建屋において水素爆発が発生したことなどから、大量の放射性物質の放出による放射線被曝への恐怖や不安を抱き、その危険を回避しようと考えて避難を選択した場合、それから、もう一つが、丸2でございますが、本件事故発生からしばらく経過した後、生活圏内の空間放射線量や放射線被曝による影響等に関する情報がある程度入手できるようになった状況下で、放射線被曝への恐怖や不安を抱き、その危険を回避しようと考えて避難を選択した場合が考えられるということでございます。
同時に、当該地域の住民は、そのほとんどが自主的避難をせずにそれまでの住居に滞在し続けており、これら避難をしなかった者が抱き続けたであろう上記の恐怖や不安も無視することはできないと考えられる。ここで、自主的避難、それから、避難せずに滞在することを併せて、この指針の中で「自主的避難等」という形で言葉を定義させていただいてございます。
それから、次に、基本的考え方といたしまして、上記の自主的避難等の現状を踏まえて、この度の中間指針追補においては、中間指針の対象となった避難指示等に係る損害以外の損害として、自主的避難等に係る損害について示すこととする。
本件事故と自主的避難等に係る損害との相当因果関係の有無は、最終的には個々の事案毎に判断すべきものであるが、中間指針追補では、本件事故に係る損害賠償の紛争解決を促すため、賠償が認められるべき一定の範囲を示すこととする。
さらに、なお書きといたしまして、中間指針追補で対象とされなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る。以上が「はじめに」の部分でございます。
次の、第2の実際の指針の内容につきましては、まずタイトルといたしまして、自主的避難等に係る損害についてということで、一番はじめに、先ほど申し上げました自主的避難等対象区域、これを示す形になってございます。
下記の福島県内の市町村のうち避難指示等対象区域を除く区域(以下「自主的避難等対象区域」という。)とするということでございます。ここの具体的な市町村名につきましては、後ほど会長のほうから紹介がございます。
それから、3ページ、備考のところでございますが、ここには今の対象区域の解説が書いてございますが、「はじめに」で示したように、本件事故を受けて自主的避難に至った主な類型は2種類考えられるが、いずれの場合もこのような恐怖や不安は、原子力発電所の状況が安定していない等の状況下で、同発電所からの距離、避難指示等対象区域との近接性、政府や地方公共団体から公表された放射線量に関する情報、自己の居住する市町村の自主的避難の状況(自主的避難者の多寡など)等の要素が複合的に関連して生じたと考えられる。以上の要素を総合的に勘案すると、少なくとも中間指針追補の対象となる自主的避難等対象区域においては、住民が放射線被曝への相当程度の恐怖や不安を抱いたことには相当の理由があり、また、その危険を回避するために自主的避難を行ったことについてもやむを得ない面がある。
自主的避難等の事情は個別に異なり、損害の内容も多様であると考えられるが、中間指針追補では、下記の対象者に対し公平に賠償すること、及び可能な限り広くかつ早期に救済するとの観点から、一定の自主的避難等対象区域を設定した上で、同対象区域に居住していた者に少なくとも共通に生じた損害を示すこととする。
さらに、上記自主的避難等対象区域以外の地域についても、下記の対象者に掲げる場合には賠償の対象と認められ、さらに、それ以外の場合においても個別具体的な事情に応じて賠償の対象と認められ得る。
この下記の対象者でございますが、本件事故発生時に自主的避難等対象区域内に生活の本拠としての住居があった者(本件事故発生後に当該住居から自主的避難を行った場合、あるいは、本件事故発生時に自主的避難等対象区域外に居り引き続き同区域外に滞在した場合、当該住居に滞在を続けた場合等を問わない。以下「自主的避難等対象者」という。)とする。
さらに、避難区域については、また、本件事故発生時に避難指示等対象区域内に住居があった者についても、中間指針の第3の損害項目の6の精神的損害の賠償対象とされていない期間、それから、ここはブラケットでございますが、【並びに子供及び妊婦が自主的避難等対象区域内に避難して滞在した期間(本件事故発生当初の時期を除く。)】は、自主的避難等対象者の場合に準じて賠償の対象とする。これが対象者でございます。
対象者の備考といたしまして、まず、はじめに、損害賠償請求権は個々人につき発生するものであるから、損害の賠償についても、個々人に対してなされるべきである。ここは中間指針と同じ考え方でございます。
それから、2)でございますが、本件事故発生時に避難等対象区域内に住居があった者についても、自主的避難等対象者と同様の損害を被っていると認められる場合には、同様に賠償の対象とすべきと考えられる。この場合、中間指針による賠償と重複しない限りにおいて中間指針追補による賠償の対象とすべきであるから、中間指針第3の損害項目の6の精神的損害の賠償対象とされていない期間(例えば、23年4月22日の緊急時避難準備区域の指定以降、同区域から避難せずに滞在した期間や、同区域の指定解除後に帰還した後の期間)が対象となる。以下はブラケットの部分になります。【一方、避難等対象区域内に居住していた者が、本件事故に起因して自主的避難等対象区域内に避難し、同区域内に引き続き長期間滞在した場合、当該期間については中間指針で精神的損害の賠償対象とされているが、これは避難生活等を長期間余儀なくされたことによる精神的損害であり、自主的避難等対象区域内の住居に滞在し続ける者としての精神的損害とは質的に異なる面があるから、中間指針追補の対象ともすべきである(具体的には、自主的避難等対象区域内に避難して滞在した子供及び妊婦が該当する。】ということでございます。
それから、3)といたしまして、上記の対象者以外についても、個別具体的な事情に応じて賠償の対象と認められ得るということが、念のため書いてございます。
続きまして、損害項目でございますが、ここはかなり前回の指針のイメージのところと同じ記述になってございます。
指針といたしまして、まずローマ数字1)で、自主的避難等対象者が受けた損害のうち、以下のものが一定の範囲で賠償すべき損害と認められる。
まず丸1は、自主的避難を行った場合でございます。1)から3)まででございますが、自主的避難によって生じた生活費の増加費用、自主的避難により、正常な日常生活の維持・継続が相当程度阻害されたために生じた精神的苦痛、避難及び帰宅に要した移動費用。
次の丸2が、滞在を続けた場合でございます。1)といたしまして、放射線被曝への恐怖や不安、これに伴う行動の自由の制限等により、正常な日常生活の維持・継続が相当程度阻害されたために生じた精神的苦痛、2)といたしまして、放射線被曝への恐怖や不安、これに伴う行動の自由の制限等により生活費が増加した分があれば、その増加費用でございます。
指針のローマ数字2)といたしまして、ローマ数字1)の丸1の1)から3)に係る損害額並びに丸2の1)と2)に係る損害額については、いずれもこれらを合算した額を同額として算定するのが、公平かつ合理的な算定方法と認められる。
さらに、ローマ数字3)といたしまして、その具体的な損害額の算定に当たっては、丸1自主的避難等対象者のうち子供及び妊婦については、本件事故発生から、ここもブラケットにしてございますが、【平成23年12月末】までの損害として、一人○○円――これは後ほど会長から具体的な金額をご議論していただくことになると思います。それから、丸2その他の自主的避難等対象者については、本件事故発生当初の時期の損害として1人○○円を目安とするという形で、ここに具体的な金額が書き込まれるという形にしてございます。
それから、ローマ数字4)といたしまして、本件事故発生時に避難等対象区域内に住居があった者については、賠償すべき損害は自主的避難等対象者の場合に準じるものとして、具体的な損害額の算定に当たっては、以下のとおりとする。
ということで、まず丸1といたしまして、中間指針の精神的損害の賠償対象とされていない期間については、上のローマ数字3)に定める金額がローマ数字3)の丸1、丸2における対象期間に応じた目安であることを勘案した金額とする。ということで、期間に応じてということが書いてございます。
それから、丸2でございますが、【子供及び妊婦が自主的避難等対象区域内に避難して滞在した期間については、本件事故発生から平成23年12月末までの損害として1人○○円――これは別途重ねて賠償する部分を、金額を具体的に記載するという形になります――を目安としつつ、これらの者が中間指針追補の対象となる期間に応じた金額とする。】この丸2全体が、先ほどの避難指示等対象区域の2つ目のパターンとして、全体がブラケットになっているということでございます。
備考でございますが、まず1)といたしまして、本件事故に起因して自主的避難等対象区域内の住居から自主的避難を行った者は、主として自宅以外での生活による生活費の増加費用並びに避難及び帰宅に要した移動費用が生じ、併せてこうした避難生活によって一定の精神的苦痛を被っていると考えられることから、少なくともこれらについては賠償すべき損害と観念することが可能である。また、滞在者でございますが、主として放射線被曝への恐怖や不安やこれに伴う行動の自由の制限等を余儀なくされることによる精神的苦痛を被っており、併せてこうした不安等によって生活費の増加費用も生じている場合があると考えられることから、少なくともこれらについては賠償すべき損害と観念することが可能である。
備考の2つ目でございますが、賠償すべき損害額については、自主的避難が、避難指示等により余儀なくされた避難とは異なることから、これに係る損害について避難指示等の場合と同じ扱いとすることは、必ずしも公平かつ合理的ではない。
一方、自主的避難者と滞在者とでは、現実に被った精神的苦痛の内容及び程度並びに現実に負担した費用の内容及び額に差があることは否定できないものの、いずれも自主的避難等対象区域内の住居に滞在することに伴う放射線被曝への恐怖や不安に起因して発生したものであること、2つ目でございますが、当該滞在に伴う精神的苦痛は自主的避難によって解消されるのに対し、新たに避難生活に伴う生活費増加等が生じるという相関関係があること、3つ目は、自主的避難等対象区域内の住民の中には諸般の事情により滞在を余儀なくされた者もいるであろうことと、さらに4つ目になりますが、広範囲に居住する多数の自主的避難等対象者につき、自主的避難者と滞在者を区別し、個別に自主的避難の有無及び期間等を認定することは実際上極めて困難であり、早期の救済が妨げられるおそれがあること、以上等を考慮すれば、自主的避難者か滞在者かの違いにより金額に差を設けることは公平かつ合理的とは言い難い。
こうした事情を考慮して、精神的損害と生活費の増加費用等を一括して一定額を算定するとともに、自主的避難者と滞在者の損害額については同額とすることが妥当と判断した。
備考の3)でございます。自主的避難等対象者の属性との関係については、特に本件事故発生当初において、大量の放射性物質の放出による放射線被曝への恐怖や不安を抱くことは、年齢等を問わず一定の合理性を認めることができる。その後においても、少なくとも子供及び妊婦の場合は、放射線への感受性が高い可能性があることが一般に認識されていること等から、比較的低線量とはいえ通常時より相当程度高い放射線量による放射線被曝への恐怖や不安を抱くことについては、人口移動により推測される自主的避難の実態からも、一定の合理性を認めることができる。
このため、自主的避難等対象者のうち子供及び妊婦については、本件事故発生から【平成23年12月末】までの分を、また、その他の自主的避難等対象者については、本件事故発生当初の時期の分を、それぞれ賠償の対象期間として算定することが妥当と判断した。なお書きのところはブラケットになっていますが、先ほどの12月との関係で、【なお、平成24年1月以降の分に関しては、今後、必要に応じて検討することとする。】
備考の4つ目でございますが、今の3)の期間の損害額の算定に当たっては、身体的損害を伴わない慰謝料に関する裁判例等を参考にした上で、精神的苦痛並びに子供及び妊婦の場合の同伴者や保護者分も含めた生活費の増加費用等について、一定程度勘案することとした。
それから、備考の5)については、全体がブラケットになってございます。重ねて賠償する分でございます。【本件事故発生時に避難等対象区域内に住居があった者のうち、子供及び妊婦が自主的避難等対象区域内に避難して滞在した期間の損害額の算定に当たっては、これらの者は、避難している期間について既に中間指針の精神的損害の賠償対象とされており、両者の損害の内容に一部重複すると考えられる部分があることを勘案することとした。】
備考の6)でございますが、ローマ数字1)からローマ数字4)につきましては、個別具体的な事情に応じて、これら以外の損害項目が賠償の対象となる場合や異なる賠償額が算定される場合が認められ得る。
以上が指針案の内容でございます。
【能見会長】 それでは、これからこの指針案について議論をいただきたいと思いますけれども、最初に、資料1、資料2、両方を含めまして、全体的なご質問があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
もし全体的な総論的な質問あるいはご意見がなければ、具体的な指針の中身に沿ってこれから議論していきたいと思いますけれども、最初に、第1の部分ということで、「はじめに」という部分ですけれども、ここで基本的な考え方、自主的避難の現状等についてと、それから、基本的な考え方というのが出ていますが、ここについてのご意見、あるいはご質問があればお願いしたいと思います。
よろしいですか。ここに書いてあることは、おそらくそんなに皆さんご異論がないと思いますので、後でまたご意見があれば伺いますが、それでは、もうちょっと先に行くということで。
それでは、指針の本体でもあります、第2の自主的避難等に係る損害についてというところに移ります。この中にはいろんな問題がまとめて全部議論されていますので、これも少し区切りまして、最初に、対象区域についてご議論いただきたいと思います。2ページ目にあります、自主的避難等に係る損害について、その下に、自主的避難等対象区域というのがございます。先ほど事務局から説明がありましたように、ちょっとわかりにくいんですけれども、避難等対象区域、これは一応自主的避難対象区域から除いてございます。これは避難指示等対象区域については、一定の賠償がなされていることもあり、それとの調整と少し違った考え方をせざるを得ないところがありますので、そこで分けているわけですが、ここからその地域を除外しているということで、賠償の対象にしないという考え方が述べられているわけではなくて、今言いましたように、賠償の額等の考え方について少し調整をしなくてはいけないということから、除いてあるということでございます。
そこで、まずご議論いただきたいのは、ここの定義にありますように、自主的避難等対象区域ということで、前回も市町村単位で示したほうがいいだろうというご意見だったので、いろんな要素、前回も挙げられましたような、原発からの距離であるとか、あるいは避難指示区域との近接性とか、あるいは放射線量についての情報、それから避難の状況などを総合的に考慮して、一定の範囲を確定しなくてはいけない、確定すべきであるということが、前回議論されて大体大まかな合意が得られたと思います。そこで、具体的な市町村ということで、具体的な名前を挙げたいと思いますけれども、ここまででよろしいでしょうか。
それでは、具体的な市町村の名前、今、委員の皆様には紙が配られたと思いますけれども、数等が多いので、間違いがあるといけませんので、これは事務局のほうから読み上げてもらうことにいたします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、市町村名を読み上げたいと思いますが、地理的な関係につきましては、参考2の1ページ目に地図がございますので、それを参考にしていただければと思います。
それでは、読み上げさせていただきますが、まず県北地域、これは全市町村になりますが、福島市、二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村、県北地域の全市町村です。
【能見会長】 ゆっくり、もう一回。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 よろしゅうございますか。
福島市、二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村。
続きまして、県中地域の、これもすべての市町村になりますが、郡山市、須賀川市、田村市、鏡石町、天栄村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町でございます。
それから、続きまして、相双地域でございますが、相馬市、新地町でございます。
それから、いわき地域のいわき市、以上でございます。
ちなみに、冒頭ご説明いたしましたように、相双地域につきましては、ほかの10市町村につきましては、政府指示による避難等対象区域になってございますので、それを除いた自主的避難等対象区域としては、ここには入っていないということでございます。
以上になります。
【能見会長】 今読み上げられた市町村が、一応自主的避難等の対象区域ということになるわけでございますが、基本的には福島県が条例で定めた行政管区である、相双、いわき、県北及び県中の各市町村が対象になるということでございます。
今の対象地域について、何かご意見があればお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
それでは、これはいろんな要素を考慮してではありますけれども、先ほどご説明いたしました、前回もご議論いただきました幾つかの要素を主として考慮して対象を決めたということでございます。この点についても、また後でご議論があればお戻りいただくとして、もし対象区域についてのご質問、ご意見がなければ、次、対象者に移りたいと思います。
対象者につきましては、3ページ、4ページにわたって書いてございますが、ここはちょっとわかりにくいかもしれませんけれども、対象者といいましても、2つのカテゴリーが実際にはあるわけでして、2つといいますか、まず大きく対象区域との関係で、今読み上げた対象区域内に生活の本拠として居住していた者というのが対象者のいわば中心的な考え方、中心的な内容になりますけれども、いわゆる避難区域等に住んでおられた方については、これは先ほど地域的な対象区域からは除外を一たんいたしましたけれども、しかし、3ページの備考の、対象者の直前に書いてありますように、上記自主的避難等対象区域以外の地域についても、下記の対象者に掲げる場合には賠償の対象になるということで、今ごらんいただくこの対象者というのをごらんいただきますと、2番目の大きなカテゴリーとして、これは4ページのほうに入りますけれども、また、本件事故発生時に避難指示等対象区域内に住居があった者についても賠償の対象にしようと。ただ、ここは幾つか議論していただかなくてはいけない点がありますので、その細かい中身についてはまたご議論いただきますけれども、まずはこういうふうに大きく2つ分かれているということをご理解いただきたいと思います。
前者については特に問題はないと思いますけれども、後者についていかがでしょうか。あるいは、もちろん、前者についても何かご意見があればお願いしたいと思います。
特にこのブラケットの部分については、これは今日ご議論いただいて、お決めいただかなくてはいけない部分ですので、この部分について、ぜひご意見をお聞かせいただければと思います。
ここも、先ほどの説明で尽きているんですけれども、改めて注意喚起をいたしますと、4ページの上の「また」以下ですが、避難指示等対象区域内に住居があった者につきましては、中間指針でもって一応賠償の対象となっているわけですが、すべての人が全期間にわたって賠償の対象になっているわけではなくて、中間指針においても一定期間までしか賠償されない、あるいは、逆に、計画的避難区域に関しては、一定の時期以降だけが賠償の対象になっていて、それ以前が賠償の対象となっていないという場合もありまして、そういう意味では、中間指針が賠償の対象としている期間を除いた、それ以外の期間について、終期については、また後でご議論いただきますけれども、その終期までの賠償を認めようというのが、ここでのまず考え方でございます。
わかりやすい例を挙げますと、屋内退避区域、あるいは緊急時避難準備区域でしたか、そこにずっと滞在されていた方は、初期の段階では屋内退避に伴って精神的損害込みの賠償がされていますけれども、4月の一定日以降は賠償の対象になっていないというので、その賠償の対象となっていない期間について、今回の追補の賠償の対象にしようというのが、ここに書いてある考え方でございます。
基本的には考え方は、これはよろしいですか。後でどういうふうに賠償額を決めるかという問題が少しあって、今回、自主的な避難ということで賠償される、あるいは残っている人も含めてですが、その区域について対象者と該当することで賠償されることになる方たちは、これは中間指針で賠償されていませんから、全期間にわたって、事故時から終期までの期間全体にわたっての賠償として幾らということをお決めいただきますが、今問題にしているところの避難指示等の対象区域内に居住のあった人については、そのうちの一定期間は賠償を受けていますので、残り、中間指針で賠償を受けなかった期間についての賠償というのはどういうふうに決めるのかということで、ちょっと細かい話ではありますけれども、賠償の額の決め方というのが後でまた問題になるかもしれません。
それはまた賠償の額の決め方のところでご議論いただくとして、考え方としては、中間指針で賠償されなかった期間について賠償するということについては、ご異論がないということでよろしいでしょうか。
それでは、今度はブラケットの中でございますが、これは避難指示等対象区域内に居住していた者であって、避難した結果、その避難先が今度は自主的な避難対象区域内に当たったという場合に、こういう人たちについては賠償するのかどうかという問題で、一見すると重複して賠償するようにも見えますけれども、中間指針によって賠償するのは、自分の住んでいた場所を離れて、自分の生活の基盤のないよその場所で暮らさなくてはいけないことによる不便、そういうものが中心であるというふうに考えてまいりましたので。しかし、今回の自主避難等に対する賠償というのは、生活の不便というよりは、先ほど説明もありましたけれども、低放射線量ではあっても、そういうものに対する不安といったものが中心になっている賠償ですので、賠償の中身が違うので、重複して賠償してもおかしくはないのではないかという前回ご議論が多数であったと思います。ただ、それに対してはご異論もありまして、そこで、中島委員の意見をここでちょっとご紹介いたしましょうか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、中島委員からは3点意見をいただいてございますが、その1点目は、読み上げさせていただきます。
中間指針で既に精神的損害を賠償されている者について、中間指針追補の賠償対象者に該当する場合に、指針と追補の重複の賠償を認めるべきかについてということで、東京電力が指針に基づく精神的損害について、7カ月目以降も減額せず、従前の賠償額の支払いをするのであれば、重複の賠償を認める必要はないと考える。
指針の精神的損害の根拠は、「避難先の不便」に重点が置かれており、追補の損害の根拠である「低線量被曝の健康への不安」とは性質が異なることから、重複して支払うべきであるとの考え方もあり得ると思われる。
しかし、既に賠償対象として東京電力が把握している者について、その内訳を、指針による精神損害と追補による精神損害に仕分けした上で証明手続をさせることは、追補の賠償対象者が膨大であることに照らすと、賠償手続に支障を来し、かえって他の賠償対象者の救済が遅れるおそれがあると思われる。
理論的にも、指針の賠償の対象者の精神的苦痛の性質は、現時点では、「先のめどの立たないことの不安」に変化していると考えられ、追補の賠償対象者の精神的損害と同じ性質のものと解することもできなくはない。
以上の観点から、上記問題については、重複支払いは避けたほうが実際的であると考える、ということでございます。
2は、また後でということで。
【能見会長】 ええ、またその議論のときにいたしましょう。
では、今の中島委員、前回もご発言がありましたけれども、重複して賠償していいかどうかについてのご意見を改めてまとめたものだと理解しております。ここについて、ご意見があればお願いしたいと思いますが。
大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 前回も議論があったところかと思いますけれども、この審査会において出した指針に関しては、今のところ変更していませんので、東京電力がこういうふうにお支払いになるのは全くいいと思うんですけれども、これから出す指針との関係では、従来の指針をおそらく変えないのであれば、従来の指針を前提にして議論せざるを得ないのかなというふうに考えております。
【能見会長】 高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】 私は、精神的損害について、重複してお払いするのはどうかという考え方を常々持ってきたわけですが、子供や妊婦の方については、ご不安があって、その不安というのは性格がこれまでのものとは違うものであるということになれば、性格上、別個お払いせざるを得ないと考えるにいたりました。よって、意見を変えます。
また、中島委員のご意見については、大塚委員と同じであります。指針を変えていない段階で、正式に指針を変えるなら別なんですが、今までの考え方に基づいてまず整理すべきと思います。その上で、当事者の方がそれを踏まえてどのようなお支払いをされるかというのは、当事者にお任せするべきお話だと思います。我々としては、今までの考え方に立った上で、あとは東京電力と当事者の方に、しっかりこれを踏まえて、実際の払い方をお考えいただくというのが良いのではないかと思います。
以上です。
【能見会長】 ほかの委員はいかがでしょうか。
これは、中島委員が、賠償の支払い事務が滞るのではないかということをちょっと触れられていたけれども、必ずしもその意味はよくわかりませんでしたが。仮に重複の賠償を認めても、その重複賠償が認められることになる避難指示等対象区域から避難してきた人たちについて、実費で賠償を認めるわけではないので、おそらく一定の、もう決まった金額を賠償するだけですので、そういう意味では、そんなに手続が滞るということはないのだろうというふうに、聞いていて思いましたけれども。
それから、東電が5万円減額しないで賠償するということの関係については、今お二人の委員がご発言されました。
ということで、この委員会としては、多数のご意見は、重複して賠償するということで構わないというふうに理解してよろしいでしょうか。
どうぞ、大塚委員。
【大塚委員】 高橋委員が意見を変えていただいて大変よかった、ありがたかったと思います。
前回も事務局にも伺ったように、もし避難指示をされた区域から自主的避難等対象区域に移るのが完全に自由なことであれば、どこに移るかということが完全に自由であれば、重複の賠償をしなくていいということになるかもしれませんけど、そこの自由度は必ずしも高くないというご説明でしたので、その観点からも、重複賠償していいのではないかと思っております。
【能見会長】 賠償していいということの理由づけのあたりは、各委員で微妙に違うんだと思いますけれども、結論として、賠償していいだろうということであれば、この委員会としてはそういうふうに決めたいと思いますが、よろしいでしょうか。
では、そういうことにしたいと思います。
4ページの記載を改めてもう一回注意喚起をしたいと思いますが、このブラケットの中ですが、【並びに子供・妊婦が自主的避難等の対象区域内に避難して滞在した期間】は、賠償の対象になると。この期間のところのあとに、括弧書きで、(本件事故発生当初の時期を除く。)というふうにございます。これはちょっとわかりにくいと思いますが、これは、例えば、避難区域から避難されてきた方の、あるいは屋内退避区域でもいいんですが、当初の状況における避難は、ある意味で今回の追補でもって――今回の追補は、当初と、それから終期までの全体の賠償を認めますけれども、2類型があるということで、当初の時期は情報もあまり十分ではない中でもって、どういう爆発が起きるかわからない、そういう不安を中心とした賠償がなされるんだと。具体的にどこの時期までということは決めませんけれども、そういうものが中心になって、一定量放射線量についての情報があると、今度は少し性質が変わってきて、そういった低線量に対する被曝への不安といったものが要素としては中心になってくると、そういう整理をしていますが、当初の部分については、おそらく中間指針で賠償の対象になっている人たちが受けた賠償というのと、それから、今これから自主的避難の対象者について、その初期分として考える賠償というものが、かなり性質が似通っているので、そこで、この部分だけは除いたらどうかということでございます。
具体的に言いますと、期間は、しかし、あまりはっきりいたしませんけれども。屋内退避の人については、4月何日でしたっけ。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 4月22日でございますが、ここは特に全体を対象にしておりませんので、そういう意味では、4月22日とかというかっきりした期間には必ずしもならないです。
【能見会長】 ないですね。大ざっぱな話ですね。そういうものを考慮して最終的に金額を決めるということで、具体的にいつまでということまではここで言う必要はないわけですけれども、初期部分については、とにかく今回の賠償の考え方と、あるいは、そのもとでなされる賠償と、中間指針のもとで初期部分について、3月、4月ぐらいについての賠償というのは性質が似ているので、ここだけはちょっと重複が目立ちすぎるので、これは控除したらどうかという考え方でございます。あるいは、ちょっと私の説明がごたごたしてわかりにくかったかもしれませんけれども、いかがでしょうか。
大塚委員、よろしいですか。理論的に一番いろいろ詰めておられますので。
【大塚委員】 いや、構わないと思いますけど。
【能見会長】 構わないというのは。
【大塚委員】 いや、このままで結構だと思いますが、ちょっとだけ意見を言わせていただきますと、精神的損害は確かに重なっているんですけど、生活費の増加のところは、全く同じなのかどうか、ちょっとよくわからないところもありますけど、先生がおっしゃるように、滞在者については、自主的避難対象区域にいる方については、精神的損害のほうが中心だとすると、そのように考えていいのではないかと思いました。
【能見会長】 今大塚委員が言われた、生活費の分が重なっているというのは、期間の問題というのとは違って、仮に終期までの生活費と精神的損害を一括した慰謝料というものを賠償したときに、中間指針のもとでも慰謝料の中には生活費がある程度入っているし、それから、今回の自主的避難等対象者に対しての賠償の中にも精神的損害と生活費が入っているので、その生活費の部分が少し重複するから、そこで、この重複については、金額として若干調整する必要があるのではないかという前回ご意見があったと思います。これはこれで、また後でもう一回具体的に損害賠償額を考える際にご検討いただきたいと思っておりますけれども、今、このブラケットの中の括弧部分というのは、生活費が重複するというのではなくて、初期の時期の賠償というのは、中間指針の賠償と、それから、今回問題にしている自主的避難等対象者に対する賠償と、性質が似ているのではないかということから、重複部分があるので、これは除いたらどうだろうかという考え方です。よろしいですか。
どうぞ、田中委員。
【田中委員】 考え方の説明、私の理解が正しいかどうかわかりませんけれども。この避難指示区域の方たちは、当初は確かに情報としてはみんな共通によくわからなかったけど、避難指示の方たちは、それによって避難をさせられていますね、当初は。この指針で、2番目の一定時期を過ぎた後は、低線量の被曝ということで、今回自主的避難を認めているんで、私はこれでいいんじゃないかというふうに思います。
【能見会長】 おそらく私と大体同じような考え方だと思います、その点に関して。
それでは、この点につきましても、括弧で初期の時期分は除くという考え方でいくということで、お認めいただいたというふうに考えたいと思います。
それでは、次に、損害項目についてですが、ここでは、全体の考え方については、先ほど説明をいたしましたが、具体的にお決めいただかなくてはいけない点は、1つは、本指針でもって対象とする期間でございます。いろんなところでブラケットで、【平成23年12月末】までというような書き方がされておりますが、そういう意味で、いつまでを対象としてこの指針が扱うかという問題でございます。
それから、もう一つは、具体的に賠償の目安となる金額でございます。これはなかなか複雑でございます。
期間と金額を議論する前に、損害項目のこの記述の仕方、あるいは、備考の部分の算定の考え方そのものについて、考え方として適当かどうかについてご議論をいただければと思いますが、具体的な期間、金額に入る前に、ここに書いてある考え方について、まずご議論ください。
5ページの指針のローマ数字1)のところは、前回もお出ししたものと同じで、草間委員から若干1)、2)、3)の順番についてご意見がありましたが、その後、これでもよろしいというご意見だったので、変えてございません。ここは、では、よろしいですか。
それから、ローマ数字2)のところも、これも前回と変わっておりません。こういったいろんな幾つかの項目を合算した金額とするということでどうかということでございます。若干ご異論もございましたが、前回、一応こういう方向でもいいのではないかという、少し緩い合意かもしれませんけれども。
問題はローマ数字3)のところになります。先ほど言いましたように、この【平成23年12月末】までという終期で考えるということでいいのかどうか。前回は、9月、12月、それから3月までと、3つほど考え方が示されたと思いますけれども、改めて今日これはお決めいただきたいと思いますので、ご意見があればお願いしたいと思います。
高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】 私は3月説をとっていました。3月は、実質的に事故後1年です。事故後1年ということであれば、きちんとした区切りであります。実際上、状況に大きな変化があり得るとは考えられませんので、3月までのものをお支払いすると書いたほうが良いとおもっていました。ただ、12月までということが、ご意見多数のようですので、そこは私見にはこだわりません。
ただし、1月以降については、ある時期に、きちんと状況に応じてお支払いすると、そこをはっきり明記していただきたいと思います。冒頭に――多分、どこかに明記してあると思うんですが、前のところにしっかり出していただきたい。より具体的には、時期が最初に出てくるところにその旨を明示していただければ、それで結構だと思います。
以上です。
【能見会長】 今、高橋委員が言われたのは、これもまだ今ブラケットになっていますが、7ページから8ページにかけてですかね。
【高橋委員】 8ページ。
【能見会長】 8ページですかね。
ほかの委員はいかがでしょうか。
これは、いろんな考え方ができると思いますけれども、後でご提示する金額との関係もあるかもしれませんが、仮に12月であれば、12月までの金額として幾らかという提案をここですることになります。それから、3月であれば、3月までの金額で幾らかということになり、これまでの議論でもって、月ごとに幾らという計算をするわけではないので、全体で幾らという金額を提示することになりますので、12月の場合と3月の場合とで若干金額を変えなくてはいけないのかもしれないという問題が出てくるというのが1つ。
それから、今高橋委員が言われたことは重要だと思いますけれども、仮に12月というので切った場合でも、これはあくまでそこまでの賠償を今回は追補の中で示すというだけで、それ以後の賠償については、むしろ同じような状況が続くのであれば、同じような賠償の対象になるという含意のもとで、そのことは明記したほうがいいというのが高橋委員のご意見だったわけですが。そういうことで、12月以降については、これをいつ、また次、この審査会で議論するかは、その時期についてはいろいろ検討しなくてはいけないと思いますが、そういう考え方とするということですかね。
大塚委員。
【大塚委員】 私も高橋委員と同じ意見です。3月まででも私もいいかなと思っているところもあるんですけれども、前回事務局から示していただいた最高裁の判決によると、口頭弁論終結時までというのが一応最高裁の判例ですので、12月末が大体それに近いと思いますので、一応そういう考え方をして、ただ、それ以後については、必要に応じてと書いてありますけど、ぜひ検討するということをはっきり書いていただけるといいと思いました。
【能見会長】 ほかに。米倉委員、どうぞ。
【米倉委員】 私は前回のときには、今の状況がそんなに大きく変わらないのであれば、比較的長い目にとっておけばいいのではないかということをご意見申し上げて、具体的な時期についてはお話ししませんでした。ということで、先ほど来お二人の委員の考え方とそんなに大きく変わるわけではありませんので、12月末ということであれば、それ以降については再度検討することはあるということで、了解したいと思います。
【能見会長】 ほかに、よろしいですか。田中委員。
【田中委員】 私は少し違った意見を持っていまして、放射線被曝の今の現況というのは、急に変わることはありませんので、終期もどこまでいくかというところがあります。それで、低線量被曝に対するこの不安は、人によって非常に千差万別で、いろいろ違います。ただ、国としては一応基準を出しているわけですから、そのことを踏まえると、いつまでもこれがずっとどこまでも低線量の被曝の不安が続く限り賠償の対象にするというのは、必ずしも住民にとっても、私は、ほんとうに金額だけでその不安が解消されるかという観点から見ると、必ずしも同意できないところがあります。
ですから、それはそれとして、もっと別の対策を立てるべきだろうというふうに私は思いますので、とりあえずここを12月末ということで、私は一回切ってよろしいのではないかと思います。
【能見会長】 田中委員は、少し根拠は違うかもしれませんけれども、12月末までの賠償ということであれば、とりあえずといいますか、構わないと。
野村委員、いかがでしょうか。
【野村委員】 私も12月末でよろしいと思います。一応今までの状況を踏まえて指針を出すということなので、今後しばらくの間、事実上はあまり変わらないかもしれないのですけれども、先ほど大塚委員から口頭弁論終結時という話がありましたように、現在の段階で判断をするということで、よいと思います。そして、これから先のところは、将来なお検討するという余地を残しておくということが重要ではないかなと思います。原案どおりで結構です。
【能見会長】 これは別に原案というわけではございません。議論していただくということで。
皆さん、少しずつ微妙にニュアンスは違いますけれども、どうも12月末という結論については合意が得られそうだということですので、12月末までの損害として幾らということを決めたいと思います。
問題は、その12月末までに区切るというところの理由づけのところはいろいろ違いますが、これはもちろんさらに議論してもよろしいんですけれども、対立点がむしろ明確になるだけかもしれませんので、この点についてはあまり踏み込みませんけれども、最低限、これもご議論で決めていただかなくてはいけないのは、先ほどの8ページのブラケットのところの、【なお】のところですね。これもちょっと連動いたしますので。8ページの3行目のところにありますが、【平成24年1月以降の分に関しては、今後、必要に応じて検討することとする】という部分でございます。
これもおそらく高橋委員のご意見と、高橋あるいは大塚委員のご意見と少し違うんだと思いますけれども。私が一番踏み込んで言ってしまいましたから、状況が変わらないのであれば、1月以降も賠償の対象になるというのが、おそらく一番強い表現かと思いますけれども、今のところ、田中委員は、そこまでいくのは少し異論があるということだったと思います。ここに書いてある表現ぐらいであれば構わないということでしょうか。
【田中委員】 はい。
【能見会長】 それでは、このブラケットの部分も、なお、24年1月以降の分に関しては、今後、必要に応じて検討することとする。その「必要に応じて」という部分が少しあいまいですけれども、私の理解としては、状況が変わらなければ、少なくとも検討はする。その結論は、またいろんなご意見があるかもしれませんけれども。その検討をいつするかということについて、それが来年の3月になるのか、あるいはもうちょっと先なのか、あるいはもっと手前になるのか、そこはいつ議論するかということは、必要性に応じて判断しようと。そういう意味としてここを理解したいと思いますが、何かほかに。
【野村委員】 ちょっとよろしいですか。
【能見会長】 どうぞ。
【野村委員】 中身ではなくて、表現の問題ですけれども、前のページから、「平成23年12月末までの分」という表現になっていますよね。これがずっと気になっています。これは、その分を対象期間として算定するということのようですけれども、「分」という表現が少し、気になります。
【能見会長】 洗練されていない。
【野村委員】 月単位で損害賠償額を計算するようなニュアンスがあるように感じました。前のところはいいのかもしれないのですが、今ブラケットで囲まれているところについては、「なお、平成24年1月以降に関しては」ということでもいいのかなというふうに思ったりもしています。これにはあまりこだわりませんが。
【能見会長】 わかりました。これは、別に「分」という言葉を使う必要は必ずしもないので、前の7ページから続いているわけですよね。12月末までの分ということと、いわばセットになっていますからね。ということでしょう。
【野村委員】 はい。
【能見会長】 本件事故発生から平成23年12月末までの……。いろんなところでも「分」というのが出てくるのかな。
【野村委員】 ええ。
【能見会長】 わかりました。これはたくさん「分」という言葉が出てくるかもしれないので、ここだけではなくて、全体を見なくてはいけないかもしれません。これは字句の問題として検討させていただければと思います。よろしいですか、それで。
【野村委員】 はい。
【能見会長】 高橋委員。
【高橋委員】 田中委員も、別に12月終わればすべてが必要なくなるというご意見ではないと思います。除染とか、放射の自然の低減の分であるとかいうことで、支払いの前提が変わってくる可能性があると、こういうことをおっしゃりたかったと私は受け取りました。そういう意味では、1月以降も賠償すべき部分があるんだ、残るんだということについては、ご否定なさっていないと思います。そして、私は、この文章だと、12月で切ってしまうという表現になりかねない部分があることを危惧しています。そういう意味では、必要に応じて賠償の範囲について検討するという表現にし、範囲はどうするかは別にして、賠償すべきものは賠償しますということをニュアンスとして出したほうがいい、と私は思いました。以上が、具体的な文言修正の提案です。
【能見会長】 田中委員、いかがですか。
【田中委員】 必要に応じてということですし、どういう状況になるかわかりませんので、それはそれで結構だと思います。表現としては。
【能見会長】 表現としてはというのは、仮に賠償の範囲について、必要に応じてという。そこも入っていいのかな。「必要に応じて」というのは、ないほうがいい?
【高橋委員】 いやいや、結構でございます。
【能見会長】 「賠償の範囲について」という言葉が入ればいい?
【高橋委員】 はい。
【能見会長】 ということで、「必要に応じて」が入っていればよろしいですか。
【田中委員】 はい。
【能見会長】 ほかの委員は、よろしいですか。では、そういう字句を入れさせてもらうことにいたしましょう。どうもありがとうございました。
それでは、期間については、以上のように決めたいと思います。
そこで、次に、いよいよ金額ということですが、前回のご議論をもう一回思い出していただきますと、自主的避難をした方々で、全期間賠償の対象になるというのは子供・妊婦の場合でございますが、妊婦の場合と子供で分ける必要は必ずしもないといいますか、また分けるのは非常に複雑になりますけれども、同伴者についてどう考えるかということの議論があり、同伴者が必要な場合、子供については特に必ず必要であろうし、そういうときに同伴者の損害というのはどう考えるのか。これを別立てで、同伴者一人分の損害というふうに計算するのは、必ずしも適当でないというご意見が多かったと思います。むしろ同伴者が必要なことを考慮して、避難される方についての、あるいは子供・妊婦についての賠償額を決めればよろしいというご意見だったと思います。そういう要素も考慮し、そして、最終的には避難者と滞在者とを同額にするというような、もう一つの基本的な考え方も、前回合意をされました。
ということで、具体的にどんなぐらいの賠償額がよろしいでしょうかと、裁判例なども参考にしながら、いろんな要素を考慮して決めるということになりますけれども、まず子供・妊婦については、12月末までの全期間についての賠償ということですね。何かご意見があれば伺いたいと思いますけれども。
【大塚委員】 ちょっと前提の話で。
【能見会長】 どうぞ。
【大塚委員】 8ページの4)のところに、今能見先生がおっしゃったような、同伴者とか保護者分も含めた生活費の増加費用等についてと書いてあるんですけれども、これは考え方としては、自主的避難者と滞在者と両方に共通するという書き方になっているんですが、そのような理解でよろしいでしょうかというのがまず第一点です。
その上で、若干気になるのが、4ページの備考1)のところで、損害は個々人に対してなされるというふうに書いてあるんですけど、これとの関係もちょっと気になるところですが、そこはあまり気にせずに加算するというふうに考えればよいという趣旨だと考えればよろしいんでしょうか。
【能見会長】 加算するといっても、要素として考慮して金額を決めるということで、この文は、同伴者分が幾らだということまで具体的に示すわけではまずないということが1つの前提です。
その上で、避難された方と滞在者とでもって、同伴者分というのは同じように考えていいのか、共通の問題なのかというのが大塚委員のご質問ですね。
【大塚委員】 ええ。
【能見会長】 結論としては、そこは差を設けないで考えたらどうかというふうに思います。理屈の部分が若干難しいかもしれませんけれども、本来、政策は一切考慮しないで、賠償については、淡々と賠償の問題として考えたいところではありますけれども、今のところ、もし残った滞在者に関していいますと、同伴者分が増額要素として考慮されるというのは、理屈としてはなかなか説明しにくいところなんですね。しかし、これは単に1つの要素として考慮するということで、ほかのいろんな要素と一緒にして考えた場合には、差を設けないような方向で何とか決めることができるのではないかということで、結論としては、差がないようにするというのはどうだろうかということです。
個々人に対する賠償との関係というのも、これもなかなか損害賠償といいますか、不法行為の問題としては難しいところですけれども、これはあるいは前回少し触れましたが、避難の対象者とされる子供・妊婦、それから、滞在者についても子供・妊婦、そのそれぞれの個人についての損害の賠償をするということですけれども、いろいろその人たちにかかる経費というものは、対象者にいわば派生する損害であるということで、子供・妊婦の損害の中に含めて考えたらどうかということです。よろしいでしょうか。
【大塚委員】 はい。
【能見会長】 それでは、そういうことを考慮して、幾らぐらいがいいのかということでございます。
これ、理論的にはあんまり関連がないんですけど、避難指示によって避難されている方々の場合には、初期6カ月分が20万円でしたっけ。それで、その後5万円ということで、その場合には、12月までの金額というのは、そういう基準のもとで決まりますが、先ほど賠償の理由が少し違うという話をしたので、ちょっと矛盾しているかもしれませんけれども、一方で、そういう金額もにらみながら、自主避難、滞在者についての損害額というのもある程度考えなくてはいけないということもあるかもしれません。何か賠償額についての考え方というのがあれば。
これは月ごとに幾らという計算をするわけではないので、その点を根拠にしていろいろ議論するのもなかなか難しいところがあるんですけれども。私もこの金額でどうだという案を示すというわけではなくて、1つの考え方として、1つといいますか、このぐらいの金額というのがあるかという幾つかの選択肢をただ客観的に申し上げますと、12月末までだという前提で考えたときの子供・妊婦の損害賠償額全額として、低いほうで言えば全部で20万ぐらい、それから、大きいほうで言うと50万ぐらいというのがあり得るのかなという感じはいたします。もちろん、それ以上の額ということも当然考えられます。もし1つの手がかりということであれば、そんな金額を参考にしてお決めいただくというのはどうでしょうかということです。何かご意見があれば。
【高橋委員】 すいません、ちょっと質問です。
屋内退避の10万円というのは、どのような議論で決まった額だったんでしょうか。この1ページ、避難勧奨区域で屋内退避について10万というのは。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 屋内退避について、4月22日の緊急時避難準備区域の設定で解除されていますので、したがって、その4月22日までの期間として、中間指針では10万円の賠償の目安額というのが示されてございます。
【高橋委員】 40日間。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 約40日ということです。
【能見会長】 1カ月ちょっとですね。
【高橋委員】 1カ月ちょっと。
【能見会長】 はい。
いろんな考え方がありますけど、一月を目安にしないとは言いながら、考えやすいので申し上げますと、仮に例えば一月10万円ぐらいのもので、10カ月分で100万というのが一方であり得ますよね。それから、先ほどの避難された方については、最初の6カ月は10万円だとしても、5万円に減額されているので、こちらは仮に一月5万円ということで、10カ月分50万というのも考えられる。それから、当初この審査会でもっていろいろご議論ありましたけれども、自主的避難についての合理性といいますか、それについて多少割合的に考えたほうがいいというご意見もあったので、そういうのから考えますと、さらにいろいろ割合的に減額して、20万というのはちょっと低いと思いますけれど、20万ぐらいという金額も考えられないではないと。そんなところがいろんな金額でございます。
なかなか決めにくいし、いろいろ状況も流動的でもあり、この場でもって金額について、そんなに根拠が明確に詰められるわけでもないので、もし皆さんのほうからご意見が出なければ、それなりに皆様の意見をそんたくしてと言うと僭越かもしれませんけれども、ここら辺であったら消極的な人も積極的な人も合意できそうな額というので、私が一つ提案させていただくということも考えられます。
【大塚委員】 ちょっといいですか。額についてはなかなか申し上げにくいんですが、状況について、私が考えていることだけ申し上げたいと思いますけれども。
まず滞在者の方については、今まで議論があったように、精神的損害として、非常に不安が大きいというのがあると思いますし、生活費の増加としては、例えば、ガイガーカウンターを買うとか、家庭菜園ができなくなるとか、自主的に土壌に関しての暫定的な対応をするとか、マスクを買うとか、いろんなことが考えられると思いますけど、そういうような事情がおそらく出てくると思います。
私は割合的ということは前から申し上げているんですけれども、ただ、今、8ページの4)に書いてあるように、同伴者とか保護者分も含めるということが今回あるので、そこは割合的に考えたとしても、それなりの額をお支払いするということはあり得るのではないかと思っています。
それから、自主的避難者に関しては、おそらく実際には滞在者の方よりもお金がかかるとは思うので、それをとにかく今回はそろえるというご議論ですので、そこを何とかそろえるかということかと思います。
もう一つのほうの重複の場合の話もありますけど、それはまた後でお話ししますので、考え方として私が思っているところだけちょっと申し上げました。
【能見会長】 どうぞ、田中委員。
【田中委員】 金額がどの程度が適当かというのは、なかなか申し上げにくいんですが、一応今避難指示を受けている方たちは、9月以降はこの指針では5万円ですね。仮にもしも50万円ということであると、これは10カ月分ですから、それと同じ額になるんですよね。そこはやっぱり避難されている方とのバランス上、いかがなものかなということがありますので、そこを少し考慮して決めていただきたいと思います。
【能見会長】 そういうご意見が今までにも何度か表明されておりました。したがって、先ほど言いましたけれども、ここで全員の方がそのぐらいの金額であれば合意できる金額というのが、私の感じでは、30万か、あるいは、同伴者というのを考慮して、もう少しというところですかね。
【高橋委員】 田中委員がおっしゃったように、5万円というのは1つの考え方だと思いますが、ただ、今会長がおっしゃったように、同伴者の方のこともあります。そこは1.5人分ぐらいのことは考えて差し上げるのがいいと私は思っております。多少50万円に近いほうにいっても良いと思っています。ただし、50万円にしろということではありません。
【能見会長】 米倉委員。
【米倉委員】 実際に避難をされた方と滞在者を同じにするというところで、なかなか難しい線引きにはなってきているんですが。避難をされた方の立場から言うと、やっぱり生活費のコストは、指示により避難された方と同程度はあるんじゃないかという考え方がありますし、それから、もう一つは、では残られた方の精神的損害というのをどれぐらい見るかというのは、これは非常に難しいところです。基本的には、先ほどから話があるように、月5万円という線があれば、それにかなり近い部分というのが合理的なのかなと思います。
【能見会長】 ほかに何かご意見。大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 私も50万円に近いところでいいと思っているんですけれども、さっきちょっと申し上げたのは、要するに、割合的賠償ということにはなると思いますけれども、同伴者とか保護者分というのは、避難指示を受けた方についてはなかったことなので、避難指示を受けた方は、一人一人について賠償したということですので、今回、同伴者とか保護者分を含めるのであれば、50万に近いような額であっても説明は十分に可能であると思います。
【能見会長】 今、皆様のご意見を伺いますと、例えばこういうのはどうかというふうに思いますが、田中委員のご意見も踏まえて、40万という金額はいかがでしょうか。
(会場からの発言などにより、一時中断)
【能見会長】 それでは、議事を続けたいと思いますけれども、これは先ほどから議論になっておりますように、12月末までということでの賠償額ということで、皆様の合意できる金額というのが40万くらいであろうということで、よろしいでしょうか。
今日の指針、何度も繰り返しておりますように、それから、2ページ目にもございますけれども、中間指針というのは、あくまでこれは共通の類型的に、皆さんに共通して賠償を認めていいであろうというものを類型的に認めるものでありまして、ここにおいて、これだけかかったものが個人的にはあるんだと、それについての相当性というのが説明できるときに、そういうものが賠償の対象になるということは、この指針は一切否定しておりませんので、そういう意味でもって、個別の賠償の額というのが個々人において変わるということはあり得るんだという前提のもとでお考えいただければと思います。
以上が、そうしますと、子供・妊婦についての、これは避難、それから滞在者両方についての賠償の基準額ということになるということでございます。
その他の方については、これも今までの議論の中で、初期分として、いつまでという期間は明確ではないにしても、初期分の賠償ということで幾らぐらいにするかというご議論も次にしていただくということになります。これもなかなか金額、何が具体的に適当なのかということは言いにくいわけですけれども、1つの考え方の目安になるのは、屋内退避をされた方、この場合には避難を必ずしもされたというわけではないわけですが、屋内退避された方の場合には、4月少しプラスアルファになりますが、それで10万円という金額であって、それと完全に連動するものではございませんけれども、金額として幾らぐらいのものが適当かという判断をするということになるかと思います。もし何かご意見があれば。
ご意見がなければ、ここもいろんな金額が考えられるところで、低いところでは、もちろん3万円とか低い額も考えられますが、もう少し屋内退避の額に近づけるとなると、10万円に近い金額というのが考えられるところでございます。これも田中委員が、あるいはほかの委員も指摘されたように、完全に屋内退避の場合の金額と同じでいいかというと、疑問を感じるというご意見もありましたので、そういうことを考慮すると、仮に10万に近いところで、8万とか。
いずれにせよ、ここでの基本的な考え方というのは、繰り返しになりますけれども、子供・妊婦については、低放射線量に対する不安というものを中心にして考えると。それから、それ以外の方については、これは初期分の情報が十分でなかった段階での、そういう意味での避難等についての賠償ということで、屋内退避の場合の賠償と、ある程度はそちらをにらみながら金額を決めるという考え方がとられているということです。あるいは、基本的な考え方自体について、何かご意見があれば。金額ではなくて。
高橋委員。
【高橋委員】 基本的に屋内退避を参照しながら、多少それよりも低い額というのは、避難者の方には申しわけないんですが、やむを得ないのではないかと思います。
【能見会長】 なかなか皆さんの判断が難しいと思うのは、やっぱり避難された方と残られた方との賠償額を同じにするというところから出発して――それも、議論をいろいろした結果、同じにしようというご意見だったので、ある意味でそこに縛られているところもあるわけですが、そういうことになると、屋内退避とのバランスというのはやむを得ないのかなという気がいたします。
それでは、こちらは8万円という金額でよろしいですか。
それでは、これについて、また後で補足のご意見等があれば伺うとして、期間と金額についての基本的な考え方は、以上述べたとおりでございます。
あと少しご意見を伺っておきたいのは、先ほどから問題にしております重複賠償という問題で、あるいは、この終期までの一定期間において、既に中間指針で賠償を得られている方で、しかし、すべての期間にわたって賠償が得られているわけではないので、残りの期間についてどうするかという問題と、それから、避難区域等から避難されてきて自主的避難等対象区域内において生活をされている人たちに対する重複的な賠償について、どういう考え方をするかということで、これが6ページのところでございます。
6ページローマ数字4)のところで、丸1のところは、終期までの一部期間についてしか中間指針では賠償を得られていないという人についての賠償ですが、これもいろんな考え方があるのかもしれませんが、賠償されている期間の残りの期間というのを、事故から終期までをいわば全体の期間と考えて、賠償されていない期間というものを計算して、割合的に決めてしまうというのが、一番、おそらく1つのわかりやすい考え方だろうと思います。
特にこの期間というのが、これは屋内退避の方が特にそうですが、ずっとそこにとどまっていたという方を考えますと、当初は屋内退避ということで賠償を受けていて、その後、屋内退避の賠償というのが切れた後、やはり30キロ圏内の以内のところに滞在されていて、これは賠償の対象にならないというのについて、今回の追補でもって賠償の対象になると。これは期間が一応計算はできますので、期間に応じた割合的というのが、繰り返しになりますけれども、1つの考え方と思われます。
あるいは、先ほどお決めいただいた金額というのがあるので、その全期間から当初の金額を引くというのも言えますけれども、ただ、そういう考え方をすると、先ほどちょっと、途中から賠償の対象になって、前のほうでもって賠償対象となっていないというのが、そういうカテゴリーもあって、ちょっと複雑なので、賠償の対象となっていない期間に応じて割合的に決めるというのが一番わかりやすいかなという感じがいたします。よろしいですか、それは。
そうしますと、今度は6ページのローマ数字4)の丸2の部分ですが、これは重複して賠償の対象になるという方でございます。これも、前のほうのページで、初期部分については、初期の賠償というのは、今回の追補による賠償で初期部分として賠償するのと対象がほぼ重なるので、初期の期間については除いた上で、生活費部分が、自主的避難等対象者に対する賠償――これも問題になるのは、避難された方そのものではなくて、むしろ滞在者ということになるわけですが、滞在されている方の賠償として、今回の追補による賠償の中にも生活費分というのがあり、それから、避難され続けている方の場合には、中間指針での賠償の中にも生活費部分があるので、それも考慮し、それから、初期の部分について、これも控除されるということにしたとき幾らぐらいが適当なのかというのが、ここでの丸2の問題です。
これも人によっていろいろ差がありますので、簡単には決められないところがありますけれども。それから、追補による賠償自体が、低放射線量に対する不安の部分と生活費の増加部分というのを必ずしも厳密に分けているわけではないので、これは人によって違ってくるので、厳密には分けられないという前提のもとで考えていますので、減額するにしても、どのぐらい減額されるのかというのが、なかなか決め方が難しいところでございます。先ほど40万というのを基準にしたときに、どういうふうに考えたらいいかということですね。具体的な金額はともかくとして、何か考え方についてご意見があれば、お願いしたいと思いますが。
これは実際に問題になるのは、さっきも言いましたように、滞在している方についてということです。滞在しているけれども、他方で、中間指針でも賠償が得られて。さらに、これはまた理論的には違うので、あまり申し上げないほうがいいのかもしれませんが、仮に東電が減額しないということになると、5万円ではなくて、10万円の賠償が得られる方ということになります。
どうぞ、高橋委員。
【高橋委員】 もともと私は精神的な慰謝料については包接される性格のものではないかという意見を持っていました。ただ、かなり性質が違うのであれば、それについてお支払いするという話を申し上げていたので、多額の精神的な損害についてお払いするというのは、過去の制度とのバランスとかが生ずると思います。それなりの額ということで、数万円程度のものを月にお払いするというのが妥当な線なのではないかと思います。その数万円は幾らかというのは、先生方にお任せしたいと思います。
【能見会長】 この点につきましては、今日の中島委員のご意見、それから、鎌田委員の意見が、前回、消極的なご意見があったところでございます。
そういうことを考慮したときに、私も決め手があるわけではございませんけれども、さっきの控除要素というのを考えると、先ほど決めた額の、1つの考え方としては、50%というのはどうかと。あるいは、これでは多いというふうにお考えの方もおられるかもしれませんけれど。なかなかこれも決め手がないところですので。
大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 それで結構だと思いますけれども、精神的損害と生活費の増加と両方あると思いますので、生活費増加については、申しわけないですが、避難等指示のほうでもカウントされているというふうに考えれば、今、会長がおっしゃったようになるのではないかと思います。
【能見会長】 ほかの委員はいかがですか。よろしいでしょうか。
そうしたら、この丸2の部分については、12月までとして、一人40万円に対する50%ということで、金額を20万円に決めたいと思います。
これは非常に全体が複雑にできていて、おそらく予想しないような問題が出てくる可能性もあり、また、ここで議論した中で、まだ具体的に金額がそれでは算出できないという問題も出てくる可能性があるんですが、基本的な考え方については、今、皆さんの大体、結論の部分については同意ができたということで、今の考え方をもとにして指針の追補をつくるということにしたいと思います。
ごめんなさい。中島委員のほかのご意見を伺うのを忘れてました。それも、今、ある程度もう合意してしまった後ですけれども。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 中島委員のほかのご意見でございますが、2つ目は、避難者と滞在者を同額にすべきだということでございますので、もともと合意ができたところなので、省略させていただきます。
3番目も、指針の内容というよりは、この指針の追補で償いきれない特別損害の賠償について。稼働を始めたADR機関に申立てをしてもらい、ADR手続内で個別に特別事情を証明して支払いを進めることが現実的であると考える。
そのためには、ADRの手続において、追補を上回る賠償額を支払いすることは、指針及び追補に反するものではないことを、審査会において確認しておくことが有効であると考える。
以上でございます。
【能見会長】 この点は、先ほど私が申し上げたように、また、この追補の中でも2ページ目の基本的な考え方のところに書いてありますように、ADRのことは書いてありませんけれども、個別的な損害でもって相当性が証明できるものは賠償の対象にはなるんだという前提で考えておりますので、ADR等でそういう考え方が利用されるということを確認しておきたいと思います。
そういうことで、一応今日、基本的な考え方と、それから、重要な部分についての合意ができたので、これを追補としてさらに公表しなくてはいけないわけですが、若干、先ほどの野村委員の意見、それから、もう少し具体的な金額について、先ほど合意した金額はいじりませんけれども、はっきり出ていない部分についての考え方をもうちょっと明らかにするという作業がありますので、公表につきましては、これはちょっと時間がかかるといっても、そんなにかかるわけではありませんけれども、事務局の作業が少し必要になります。この点について、事務局のほうで説明してください。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 指針の本体でございますが、本日の議論を踏まえて、必要な修正を行って、能見先生の確認を経た上で、数日中には、どんなに遅くても金曜日までには文科省のホームページで公表するようにしたいと思います。一方、概要版については、おそらく作成できると思いますので、それについては、本日中の文科省のホームページで公表したいと思います。
以上です。
【能見会長】 ありがとうございました。皆さんには、どうもありがとうございました。
本日の審査会はこれで終了することにいたします。
どうぞ、大塚委員。
【大塚委員】 本質的な話ではなくて申しわけないんですけど、理論的な話だけで恐縮ですが、4ページの、さっきの8行目のところで、「本件事故発生当初の時期を除く」というところですが、誤解しているといけないので、おうかがいします。さっき会長がおっしゃった話だと、損害の性質が似ているのでというお話だったんですけど、そういう説明なのか、もう一つ別の説明は、低線量被曝との関係では、ある程度継続した場合に賠償を認めるべきだからという、そういうお考えということではないのでしょうか。性質が完全に重なるとか似ているというのは、似ているのかどうかはだんだんよくわからなくなったものですから。自主的避難の場合、必ずしも似ているとは思えないような気がしているんですが。
【能見会長】 初期の賠償は一体何なのかというのが、あんまり明確ではないところがあるために、今のような問題が生じているんだと思いますが、これはいろんな方々のご意見でも、初期の区分と後の区分というのは、損害の性質としても分けにくいというご意見もあったことはあったと思うんですね。しかし、あえて言えば、初期のころは、今大塚委員言われたように、情報のない中でもって混乱した生活をせざるを得なかった、それから、後のほうになると低線量被曝のほうが中心になってくると、なだらかな移行ですけれども、あると思いますので。そういうふうに考えたときに、初期のころの混乱という賠償であれば、これは中間指針で賠償を受けている方は、やっぱりそれはもう賠償を受けているので、そこで改めて、さらに追補でもってその部分を賠償ということになると、重複するのではないだろうかと。ですから、大塚委員の言われたこととあまり違わないと思います。
【大塚委員】 わかりました。
【能見会長】 田中委員、よろしいですか。どうぞ。
【田中委員】 先ほどの議論でも少し申し上げたんですけれども、今回の賠償に関して、少し私なりに頭を整理する意味でメモをつくりましたので、ちょっと読み上げさせていただきたいと思います。
本審査会では、自主的避難対象区域における自主避難者、滞在者に対する放射線被曝への恐怖や不安に対する賠償を認めることになりました。この背景には、事故当初において政府等による指示が適切に行われなかったこともありますが、より根源的なものとして、子供の放射線被曝に対する恐怖や不安を審査会が認めたということがあると認識しています。
一方、放射線被曝の恐怖と不安は、個人差も大きく、終期も特定できず、現在の福島県の放射能汚染状況を踏まえると、今後も長期にわたってこのような状況が継続することは避けられないと思います。しかし、これを今後も賠償という形で対応することが、不安や恐怖を克服する最も適切な方法であるとは、私は考えていません。
福島県民の放射線に対する不安やストレスは、事故から日を重ねるにつれて深刻さを増しており、速やかに長期的な対策を講じることは極めて重要であります。このためには、環境の放射線量を低減するための取組を促進するとともに、これに加えて、12年前のJCO事故の後にもとられた定期的な健康診断、健康相談、さらには個々人の被曝線量のモニタリング、あるいは、モニタリング結果を踏まえた放射線リスクコミュニケーション等の長期的・継続的な対策が有効であろうと考えています。低線量被曝に対する対策は、個人への賠償という形ではなく、多数の住民の不安や恐怖を軽減するための長期的な施策が優先的に講じられることを願うものです。
ありがとうございました。
【能見会長】 それでは、これで本日の審議会を終了いたします。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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