平成23年7月19日(火曜日)15時00分~17時00分
文部科学省旧文部省庁舎6階 第2講堂
能見会長、大塚委員、鎌田委員、高橋委員、田中委員、中島委員、野村委員、米倉委員
清水文部科学事務次官、森口文部科学審議官、藤木研究開発局長、田中原子力損害賠償対策室長、田口原子力損害賠償対策室次長
加藤 原子力発電所事故による経済被害対応室審議官
【能見会長】 それでは、時間になりましたので、第11回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして大変ありがとうございました。
それでは、初めに、事務局から配付資料の確認をいたします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 配付資料の確認をさせていただきます。
お手元の第11回原子力損害賠償紛争審査会議事次第がございますが、配付資料といたしまして、資料1、中間指針の論点の整理(案)、資料2といたしまして、いわゆる風評被害の事例を用意させていただいております。そのほか、参考資料といたしまして、参考1の前回の議事録(案)、それから、参考2から参考4までは、前回の審査会でお配りした営業損害の終期に関する資料、外国人に関する資料、それから、間接損害に関する資料を、同じものを配付させていただいております。資料、不足があったら、申し出をいただきたいと思います。
それから、大塚委員が15分ほどおくれていらっしゃる予定でございます。
以上でございます。
【能見会長】 それでは、本日の議題に入ります。
第1の議題、中間指針の論点についてでございます。これにつきましては、前回、前々回と中間指針の論点(案)につきまして、事務局の用意した資料をもとに議論してまいりました。
本日は、これまでの議論を踏まえまして、今までの論点を中間指針に盛り込む形で整理した資料というのを準備いたしました。これが中間指針の論点整理(案)でございます。中間指針の策定につきましては、順次議論がまとまり次第、結論を出していきたいと思っております。そういう意味で、ご協力をいただければと思います。
それでは、この資料につきまして、事務局から説明をお願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、資料1について説明をさせていただきます。中間指針の論点の整理(案)でございます。注書きのところで、これはあくまでも事務局のほうで用意させていただいた資料ということで書いてございますが、内容は、中間指針の最後の仕上がりの姿もある程度イメージした、既に第一次指針、第二次指針で決まっているもの、それから、新しく追加したもの、それを合わせて記述をしてございます。
まず最初の第1の指針の位置づけのところでございますが、これは前回お示しした資料とほぼ同じでございますが、大きく3点ございまして、まず1点目は、一次指針を始めこれまでに既に決定・公表したものに今後の検討事項を加えて、損害の類型というのを示したものであるということでございます。2のところは、中間指針では、当面の被害のうち、類型化が可能で賠償すべき損害について示すが、今後、事故の収束、あるいは新たな被害の判明等の状況の変化に伴って、必要に応じて改めて指針で示すべき事項について検討を行う。それから、3点目といたしまして、中間指針で類型として示されなかったものが賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められ得るということが書いてございます。
それから、第2の各損害項目に共通する考え方、これも前回、前々回ご説明いたしましたように、基本的には第一次指針で書かれたこと、それに3番目の、地震・津波による損害のことを加えたものでございます。
第3から具体的な内容に入ってまいります。まず、政府による避難等の指示等に係る損害ということでございます。2ページ目に参りますが、まず最初に、対象区域といたしまして、避難区域(警戒区域)、屋内退避区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域、それに、今回つけ加えることを検討していただいてございます特定避難勧奨地点、さらには、具体的には南相馬市の北部でございますが、一部の地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域というのを対象区域としてございます。
それで、この後でございますが、前回のご議論で、対象区域にとどまった方々の損害について議論があったと思いますので、ここでは、まず避難をした方、それから、避難をしなかった方に分けて記述をしてございます。この対象区域の中で、まずAといたしまして、避難をした者に係る損害ということで、損害項目を示してございます。
まず1番目、検査費用、これは人に係る検査費用でございます。放射性物質への曝露の有無等を確認する目的で必要かつ合理的な範囲で受けた検査ということでございますが、これにつきましては、一次指針のとおりでございます。
続きまして、避難費用でございます。避難等対象者といたしまして、括弧書きで書いてございますが、避難指示の解除等以降に避難を開始した者、あるいは、二次指針の追補のところで、6月20日以降に緊急時避難準備区域から同区域外に避難を開始した者のうち子ども、妊婦、要介護者、入院患者以外の者、これらを除いた範囲で負担した以下の費用が、賠償すべき損害と認められるということでございまして、以下の内容は、第一次指針と同じでございます。まず避難費用といたしまして、「交通費」、あるいは「家財道具の移動費」、それから「宿泊費」、「生活費の増加費用」ということでございます。それぞれの避難費用の算定方法といたしまして、これは第二次指針、あるいは第二次指針の追補で決定をした内容でございますが、避難費用のうちの「交通費」、「家財道具」云々のところ、1)のところは、これは実費をということでございます。それから、2ページの下のほうで、他方とございますが、「生活費の増加費用」については、精神的損害の額に加算をするということでございます。それから、3ページの上のところに、一次指針に書いてある内容でございますが、避難指示の解除等から「相当期間」経過後に生じた避難費用は賠償の対象とはならないということが、一応確認的に書いてございます。
それから、他の損害項目といたしまして、一時立入費用、帰宅費用、生命・身体的損害、精神的損害、これについては、いずれも第一次指針、あるいは第二次指針、第二次指針の追補で決定された内容が、そのまま書いてございます。
4ページに参ります。4ページのところで、今回対象区域に追加いたします特定避難勧奨地点、ここについての始期が4ページの下のほうに青字で書いてございます。特定避難勧奨地点から避難した者については、当該者が実際に避難した日を始期とするということでございます。さらに、終期につきましても、確認的に、第二次指針の追補では、基本的には対象者が対象区域内の住居に戻ることが可能となった日とすることが合理的であると書いてございましたが、ここに、この「可能となった日」というのを、先ほどの避難費用とあわせまして、避難指示の解除等から「相当期間」経過後ということで、解説を加えてございます。
続きまして、5ページでございます。5ページにつきましては、営業損害について少し詳しく書いてございます。最初の部分、対象区域内で事業の全部又は一部を営んでいた者が、政府による避難等の指示があったことにより云々のところで、ここでございますが、ここは第一次指針と同じでございます。さらに、上記減収分は「逸失利益」とするというところも、基本的には同じでございますが、ここの表現のところは、「本件事故がなければ得られたであろう収益から、本件事故による負担を免れた費用を控除した額」ということで、長期の休業の場合の一般管理費等々も、この費用に含まれるような形で書いてございます。青字のポツのところに書いてございますが、「収益」には、商品やサービスの売上のほか、事業の実施に伴って得られたであろう交付金等、これは例えば、農業における個別所得補償交付金、あるいは医療事業の診療報酬、あるいは私立学校における私学助成、こういったものも含まれること、あるいは、「費用」には、商品やサービスの売上原価のほか、販売費・一般管理費が含まれるということが明記してございます。
それから、丸2のところは、追加的費用でございまして、これは第一次指針と同じでございます。
それから、丸3の避難指示の解除後に発生する損害、これにつきましても、従前の指針と同じでございます。
それから、5ページの下の丸4でございますが、ここにつきましては、前回、前々回でご議論いただいたわけでございますが、このような表現にしてございます。終期は、基本的には対象者が従来と同じ又は同等の営業活動を営むことが可能となった日とすることが合理的であるが、本件事故により生じた減収分がある期間を含め、どの時期までを賠償の対象とするかについては、現時点で全てを示すことは困難であるため、下記丸5、丸6に掲げる部分以外については、改めて検討するということでございます。ただし、その検討に当たっては、一般的には事業拠点の移転や転業等の可能性があることから、終期には一定の限度があることや、早期に転業する等特別の努力を行った者が存在することに留意する必要があるということでございます。
丸5と丸6でございますが、丸5は、倒産・廃業の場合でございます。さらに、丸6につきましては、事業拠点の移転又は転業の場合でございます。倒産・廃業した場合でございますが、営業資産の価値が喪失又は減少した部分(減価分)、それから一定期間の逸失利益、さらには倒産・廃業に伴う追加的費用を損害とするということでございます。資産の減価分につきましては、この後ろに10で財物価値の減少のところがございますので、その例により、さらに、無形資産に関しては、有形資産と独立に取引される慣習があるものについては、その通常の取引価格とするということでございます。
それから、丸6が、事業拠点の移転あるいは転業の場合でございますが、営業資産の減価分、これは前の丸5と同じでございます。それから、事業拠点移転又は転業に至るまでの期間における逸失利益、さらには、事業拠点移転又は転業後の一定期間における従来収益との差額分、さらには、丸2に掲げるというのは移転のための追加費用でございますが、それが賠償の対象となる。さらに、対象区域内の拠点を閉鎖せずに、一時的に移転又は転業した場合、これは戻る場合でございますが、移転又は転業に至るまでの期間における逸失利益、事業拠点移転又は転業後の一定期間における従来収益との差額分、さらには、丸3に掲げる移転の追加費用等が賠償の対象となるということでございます。ここの「等」につきましては、前のところで明記してございました、事業資産の減価分、これもあり得るということで、「等」の中にここでは含ませてございます。
それから、営業損害と対になるものといたしまして、就労不能等による損害というのがございますが、丸1は、これは第一次指針と同じ内容でございます。丸2のところで、終期について記述してございます。基本的には対象者が従来と同じ又は同等の就労活動を営むことが可能となった日とすることが合理的であるが、本件事故により生じた減収分がある期間を含め、どの時期までを賠償の対象とするかについて、その具体的な時期等を現時点で見通すことは困難であるため、改めて検討することとするということでございます。ただし書きといたしまして、検討に当たっては、一般的には、就労不能等に対しては転職等により対応する可能性があると考えられることから、終期には一定の限度があることや、早期の転職や臨時の就労等特別の努力を行った者が存在することに留意する必要があるということでございます。
続きまして、次の損害項目として、検査費用、これにつきましては、第一次指針と同じでございます。
それから、7ページに参りますが、財物価値の喪失又は減少ということで、基本的には一次指針と同じ内容が書いてございます。対象区域内に所有していた財物の管理が不能等となったため、当該財物の価値の全部又は一部が失われたと認められる場合には、現実に価値を喪失し又は減少した部分及びこれに伴う必要かつ合理的な範囲の追加的費用について、賠償すべき損害と認められるということでございます。
さらに、丸2といたしまして、丸1のほか、財物の価値を喪失又は減少させる程度の量の放射性物質に曝露した場合、又は、これには該当しないものの、平均的・一般的な人の認識を基準として、当該財物の価値の全部又は一部が失われたと認められる場合、この場合には、価値を喪失又は減少した部分及びこれに伴う必要かつ合理的な範囲の追加的費用(具体的には除染でございますが)について賠償すべき損害と認められるということでございます。ここまでについては、一次指針と同じ内容でございます。
さらに、下に追記してございます。上記の丸1と丸2について、除染や修理に係る費用は、原則として当該財物の客観的価値の範囲内のものとするが、文化財、農地など代替性のない又は低い財物については、必ずしも交換価値の賠償が妥当な場合のみだとは考えられないため、当該価値を超えたとしても必要かつ合理的な範囲内で賠償すべき損害と認められ得るということでございます。
それから、2つ目のところは、賠償の基準となる財物の価値についてでございますが、時価の算出が困難である場合には、合理的な額の簿価を基準として算出することも認められるということで、確認的に書いてございます。
それから、最後、「また」のところは、不動産関連でございますが、不動産関連の契約に係る損害については、その契約成立の確実性及び契約等の理由の相当性から判断して、合理的な範囲で損害が認められるということでございます。
それから、丸3といたしましては、これは放射性物質の曝露等の、価値の喪失あるいは減少を予防するための措置、これも賠償すべき損害と認められるということが記述してございます。
それから、この次のところから、対象区域内に滞在している者に係る損害ということで整理をしてございます。8ページでございますが、検査費用、これについては、内容は避難者と同じでございます。「避難等をしなかった者が」というところだけ変えてございます。それから、避難費用、一時立入費用、帰宅費用、生命・身体的損害、ここについては、基本的には発生をしない。それから、6の精神的損害については、ご議論があったところではございますが、今後の健康管理調査等を踏まえてということと理解してございます。それから、7の営業損害につきましても、区域内と同じでございます。避難をして減収があっただけではなくて、周りの住民等が避難したことによっても減収等の損害が生じるということでございます。それと、就労不能がセットになってございます。
それから、9ページに参りまして、9の検査費用、10の財物価値の喪失又は減少、ここのところも、ここで対象としておりますものは、もともと避難区域のものでございますので、避難をしたかしなかったかにかかわらず対象となるということでございます。
以上が避難に係る損害ということでございます。
それから、9ページからは、政府指示等による損害のところになりますが、まず第4といたしまして、これは前回、前々回にも申し上げているとおり、船の航行危険区域のほかに、飛行禁止区域も設定されてございますので、10ページになりますが、ここで航空運送事業を営んでいる者の損害というのを記述してございます。
それから、10ページの第5でございます。政府等による農林水産物の出荷制限指示等に係る損害についてということで、ここでは、第一次指針では限られた出荷制限指示について対象としてあったわけでございますが、10ページの真ん中のあたりに青字で書いてございますが、出荷制限指示、作付制限指示のほか、放牧あるいは牧草等の給与制限指導、あるいは暫定規制値を超える放射性物質が検出された食品についての食品衛生法による出荷、使用等の禁止、こういったものを含む形で、ここの損害について記述をしてございます。
損害項目といたしましては、具体的には、営業損害に係るものとして、指示に係る行為の断念を余儀なくされる等、その事業に支障が生じたために、現実に減収があった場合、あるいは追加的費用、あるいは、そういった対象品目を仕入れ又は加工した加工・流通業者における損害、あるいは、その指示の解除後の損害というのが、内容として含まれてございます。さらには、それと対になる就労不能等による損害、あるいは物に対する、製品に対する検査費用というのがございます。
それから、第6、ここは新しく加える項目でございますが、その他の政府指示等に係る損害についてということで、前に掲げられた政府指示の他、括弧の中でございますが、水道水の摂取制限指導、あるいは放射性物質が検出された上下水処理等副次産物(汚泥でございますが)の取扱いに関する指導等に伴う損害を対象とするということで、営業損害として現実に減収のあった分、それから廃棄費用等の追加費用、それから、12ページに参りますが、水道で言えば代替水の提供であるとか除染の費用、こういったものが、合理的な範囲で賠償すべき損害と認められるということが書いてございます。それから、丸3につきましては、指示の解除後の費用ということでございます。ここにつきましても、営業損害に加えまして、就労不能に伴う損害、それから検査費用というのが、損害項目として記述してございます。
それから、12ページからは、いわゆる風評被害についてでございます。ここの一般基準の丸1、丸2、丸3は、第二次指針の内容のとおりでございます。
13ページに参ります。13ページのところでは、項目だけ今示してございます。2といたしまして、農林漁業・食品産業の風評被害、3といたしまして、観光業の風評被害、4といたしまして、製造業その他の風評被害、5といたしまして、輸出に係る風評被害でございます。それで、風評被害の事例につきましては、資料2に、「いわゆる風評被害の事例」として、専門委員の調査報告の中から事例を抜粋して、まとめてございます。ここの具体的な記述につきましては、専門委員の報告の内容も今分析しながら、さらに精査中でございまして、次回にお諮りさせていただければと思ってございますが、5の輸出に係る風評被害のところでございますが、今参考3で用意させていただいてございますが、前回の資料の4-1といたしまして、「外国人が介在する被害について」という資料を用意させていただいてございます。その中のA案、B案とあるわけでございますが、今ここでは、これは今の論点整理の紙でございますが、我が国の輸出品等に係る被害については、損害項目及び時期を考慮して一定の範囲に限定しつつ、国内取引よりは広く賠償対象と認めるという方向で、現在整理をさせていただいているところでございます。具体的には、ほかの風評被害とあわせて、次回の審査会でお諮りをしたいと考えてございます。
続きまして、13ページの下、第8、いわゆる間接被害についてでございます。ここの一般基準のところは、前回既にお示ししていますが、一応定義をまず書かせていただいてございます。この指針で「間接被害」とは、本件事故により第3ないし第7で賠償の対象と認められる損害が生じたことにより、一次被害を受けた者以外の者において第一次被害者と一定の関係にあったことにより生じた被害を意味するものとするということで、ここでの定義を書かせていただいております。
それから、「間接被害」については、間接被害者の事業等の性格上、第一次被害者との取引に代替性がない場合には、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。具体的な類型としては、例えば次のようなものが挙げられる。ということで、3つの類型を挙げさせていただいてございます。
まず1つ目といたしまして、事業の性質上、販売先が地域的に限られている事業者の被害であって、販売先である第一次被害者の避難、事業休止等に伴って必然的に生じたもの、これが1つでございます。売り先が第一次被害者ということでございます。
それから、2つ目といたしまして、事業の性質上、調達先が地域的に限られている事業者の被害であって、調達先である第一次被害者の避難、事業休止等に伴って必然的に生じたものということでございます。これは、従来仕入れをしていた先が第一次被害者になっているものがございます。
それから、それと若干似てはおりますが、これは地域的に限られていることではなくて、原材料やサービスの性質上、調達先が限られている事業者の被害であって、調達先である一次被害者の避難、事業休止等に伴って必然的に生じたもの、この3つの類型の中で、代替性をツールとして相当因果関係を判断していってはいかがかということでございます。
さらに、備考といたしまして、ここに挙げた類型以外にも、間接被害者に生じた被害を個別に検証し、一次被害者との取引に代替性がない場合は、相当因果関係が認められるのではないか。「例えば」と書いてございますが、取引自体が法令によって義務づけられているような場合については、認められるのではないかということでございます。さらに、なお書きでございますが、間接被害のうち、本来は一次被害者又は加害者が負担すべき費用を代わって負担した場合(いわゆる肩代わり損害でございますが)、これは従前の例からいたしましても、当然に賠償の対象となるのではないかということでございます。損害項目といたしましては、営業損害、それから、就労不能等に伴う損害というのがあるということでございます。
続きまして、第9の、放射線被ばくによる損害についてでございます。これは前回、あるいは前々回でしたか、労災との関係についてご質問がございましたが、労災でカバーされない部分についてということでございまして、原子力発電所作業員、自衛官、消防隊員、警察官又は住民その他の者が、本件事故に係る放射線被ばくによる急性又は晩発性の放射線障害により、治療を要する程度に障害を負い、健康状態が悪化し、疾病あるいは死亡により生じた逸失利益、治療費、薬代、精神的損害等は、賠償すべき損害と認められると書かせていただいております。
最後に、第10の、その他でございますが、2つございます。
1つは、被害者への各種給付金等と損害賠償金との調整でございます。最初のところは一般論が書いてございまして、本件事故による損害を被った者が、同時に本件事故に起因して一定の利益を受けたと評価できる場合には、損害と利益との間に同質性が認められる限り、その利益の額を損害額から控除すべきであるというものでございます。1つ目のポツのところでは、それの内容を若干詳しく説明してございます。
2つ目のポツでございますが、具体的にどのような利益が損害から控除されるべきかについては、個々の利益毎に損害との同質性の有無を判断していくほかないが、少なくとも、現時点で明確に整理できるものについては例示をするということで、今回は例示のほうの整理が間に合いませんでしたが、これは具体的には、例えば災害救助法等で、主に地方公共団体から被害者に給付されているものがあるわけでございますが、こういったものについて、現在、事務局のほうで整理をさせていただいてございますので、次回、できれば、ここの例示の部分についてお示しをしたいと思ってございます。
それから、最後、地方公共団体の財産的損害でございますが、これは一部上のほうの1に含まれるものがございます。それ以外のものについて書かせていただいてございますが、地方公共団体が所有する財物に関する損害、あるいは地方公共団体が民間事業者と同様の立場で行う事業、例えば、上下水道の事業でございますとか、病院事業、あるいは地方公共団体の経営する企業等の事業、これに関する損害については、本指針に示された事業者等に関する基準に照らして賠償すべき損害の範囲を判断することが適当であるというものでございます。
今回、事務局のほうで、会長の指示のもとに、これまでの論点の整理をさせていただいた資料でございます。説明は以上でございます。
【能見会長】 それでは、この論点の整理(案)について議論していただきたいと思いますけれども、何分大部なものでございますので、適当に切っていきたいと思いますが、これまでの議論の多かった場所なども考えながら、例えば、第1、第2、第3のAのところ、対象区域に係る避難等をした者に係る損害のところまで、これもちょっと長いので、Aの中の6まで。7以下は営業損害で、議論が多いと思いますので、したがって、この資料で言いますと、5ページの7、営業損害の上のところ、丸5と書いてあるところ、ここまでを一まとめにして議論していただければと思います。
それでは、皆さん、いかがでしょうか。
【鎌田委員】 よろしいですか。これは質問というよりも、ある意味での確認です。とりわけ第一次指針のときにはかなり議論の対象になったことなんですけれども、ここではある程度類型的に把握しやすいタイプのものから取り上げてきたわけです。それで、例えば資料1の第3では、政府による避難等の指示等に係る損害についてということで、まず対象区域で対象の範囲というのは明確に区切れる。こういうふうな形で、賠償されるべき損害の範囲が、だれが見ても納得できるものであり、実際に適用するときにも、かなり形式的・画一的に適用の範囲を確定できる。そういうふうな形で指針がつくられてきたわけですけれども。
第一次指針のときには、ともかく緊急に指針の出せるものからというのが非常に強調されていて、その裏腹で、第一次指針の最初のほうでは、ここに入っていないものも賠償されるべき損害の範囲から外れるわけではありませんよということが、比較的詳しく説明がされていたわけであります。その性格は、薄まったと言ってもいいのかもしれませんけれども、中間指針においても基本的には変わらないということで、この「第1 指針の位置づけ」で、2、3というのがつけ加わっているのであって、例えば、対象区域が限定されていると、そこに隣接しているけれども区域から外れている人は一切損害賠償が受けられないのかというような疑問が提起されることがあります。あるいは、同じ区域内の中でも、4ページの下のほうに緊急時避難準備区域または特定避難勧奨地点であって、6月20日以降に避難した人というふうに、区域の中には入っているけれども、期間が限定され、さらに、その場合でも子ども、妊婦、要介護者、入院患者等に限られて、それ以外の人は外されるというふうな、こういう限定がつくタイプとか、何通りかあると思うんですけれども、そういう中間指針の適用対象から外れるものについては、やはりこの「第1 指針の位置づけ」の2または3に従って、個別の事情に応じて、相当因果関係の範囲内で救済を受けられるんだということが当然の前提になっていると理解をしているんですけれども、それで間違いがないかということについてだけ確認をしたいということでございます。
【能見会長】 これは、皆様、ほかの委員からも時々質問といいますか、ご意見があったところだと思います。この指針で類型的に賠償の対象になるものと、それから、その周辺のものですね。周辺のものについても、2種類ぐらいあるのかもしれませんが、現在はまだ類型化されていないけれども、将来類型化される可能性があるというものですよね。これは第1の指針の位置づけのところに書いてある、2に相当するものです。それから、なかなか類型化はしにくくて、個別的な事情のもとでのみ賠償対象になり得るというもの、これは個別的にやはり賠償の対象になるんだということを被災者のほうで主張しなくてはいけないことになると思いますけれども、これは3のところになるんでしょうか。そういう2種類ありますけれども、そういうものがあるんだということ、これは一応この第1の総則的な指針の位置づけのところに書いてありますけれども、この点は全く重要な点で、この総則に書いてあるだけでなく、場合によっては、この中のいろんな項目の中で、特にもう一度メンションしたほうがいいものというのがあり得るかもしれないので、そこでもメンションするということが、1つ書き方としてはあり得るかもしれません。いずれにせよ、そもそも指針の理解について、今、鎌田委員が言われたようなことにつきまして、ほかの委員の皆さんもご意見があれば、お願いしたいと思います。
私が今最後につけ加えた点は、もしかしたら、皆さん、ぴんと来なかったかもしれませんが、この総則のところで、第1のところで書いてあれば、これで十分なのかもしれませんけれども、例えば、今日は議論の対象になりませんけれども、8ページの6の精神的損害というのがありますが、これは避難しないで残った人についての精神的損害ですけれども、例えばホットスポットみたいなところで、そこに指定された世帯は、避難することが推奨されるけれども、避難しないということもできるというんでしょうか。実際には、だから、避難する人としない人が1つの家族の中で分かれてしまうかもしれない。例えば、高齢者などを抱えていて、なかなか動きにくいというので、高齢者だけが残されてしまうかもしれない。そういうふうにして、ある意味で引き裂かれた世帯というのは、残った人にもそれなりに精神的な苦痛が生じますので、そういうものについての賠償などは、私は個人的には精神的損害賠償してもいいんだと思いますけれども、これは類型的にそういうのを認めるというよりは、それぞれの世帯の個別的な事情のもとで認められるものかもしれないと思うんですね。
これは個別的な損害だから、わざわざここにもう書かなくていい、第1の指針の2、3のところに書いてあるんだから、それで読めばいいんじゃないかという考え方もあり得ますけれども、さっきの8ページの6みたいなところで、例えばですけど、個別的に、精神的苦痛が大きいと思われる者については、精神的損害の賠償をするというような書き方をして、それ自体も結局個別に判断しなくてはいけないんですけれども、わざわざメンションする、そんなこともできるかもしれないと思っております。
鎌田委員のご発言の趣旨から少し先走って、先のほうまで行ってしまいましたけれども、ほかの皆さん、いかがでしょうか。
【大塚委員】 鎌田委員が言われたように、第1の2とか3に当たるということを、ここで確認させていただければよろしいのではないかと思っております。
ついでにですけれども、あまり問題を広げたくないものの、現在、避難区域の境界がどういう意味を持つのかというのは、既に国のほうからもご説明いただいているとは思いますけど、そこをはっきりさせていただく必要が、こういう問題に関しては特にあると思っています。つまり、かなり安全側に立って境界を決めているのか、それとも、必ずしもそうではないのかということです。それによって状況が変わってくると思いますので、境界の意味というのをきっちり説明していただく必要が高いと思っています。
【能見会長】 それは、だれに説明を求めるということですか。この審査会自体で、そこは判断はしにくいと思うんですが。
【大塚委員】 そこは事務局だと思います。今申し上げた第1のところの2とか3で判断するとかいうことを確認することは、今の話とは直接関係しませんので、それは審査会で確認していただけることだと思いますけど、できれば、境界の意味というのは、別にこの審査会でなくて結構なんですけれども、はっきりさせていただくことを、国に対してお願いしたいということです。
【能見会長】 それは、事務局のほうで客観的な説明ができるのであれば、お願いしたいと思いますけど。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 今、この場で、なかなかちゃんとした資料も持っていないので困難でございますが、例えば、次回にお示しする指針案の中に、そういった政府としてのきちんとした位置づけというのを記述するようにしたいとは思いますが、それでいかがでございましょうか。
【能見会長】 それで結構だと思いますね。いいですね。よろしいですか。
【大塚委員】 はい。
【能見会長】 この原案作成には、もちろん私も関与しているんですが、今、この第1の指針の位置づけのところを改めて見ていて、1、2、3、基本的にこれでよろしいんですが、3の最後のところに、中間指針で明示されないものについても、東京電力によって、迅速、公平かつ適正な賠償が行われることを期待すると。これは3の前半の部分といわばセットになっていて、もちろん、この原案でもいいのかもしれませんが、東電の賠償が迅速に行われることというのは、指針に書かれたものについても必要な指摘であるという気がいたします。私は個人的にはそう思うんですが。これは指針で示されたものについても、いろんな理由から、半分の仮払いとか、場合によっては、仮払いも少し後回しにされるとか、いろんなことがありますので、適正に迅速に賠償が行われることを期待するという文章が全体にかかるように、例えば、3を、「中間指針で明示されたものについても」という文章の前のところで切って、例えば、4として、言葉はこなれていないんですが、「中間指針で示された損害についてはもちろん、中間指針で明示されないものについても、東京電力によって云々」というふうに分けるのはどうかと思ったんですが、いかがでしょうか。かえってあいまいになるでしょうか。
【大塚委員】 賛成です。
【能見会長】 内容的には、同じことなんですけどね。
【野村委員】 中間指針に明示されたものについて、公平かつ適正な賠償が行われることを期待するというのは、むしろ、今3に書かれていることよりも前にないと、少し論理的におかしいのかなと思います。
【能見会長】 1、2の後にという意味ですか。
【野村委員】 もし両方のことを書くのであれば、順序を考えなければならないということです。
【能見会長】 ちょっとそれはくどいと思ったので、1、2、3は指針に関連する問題で、賠償に関する問題は、一応取り出して、ただ、3の前に持っていっちゃうというわけにはいかないので、特に3にかかっている問題ですから、3以降、4のところで今のような文章はどうかと思ったわけですけれども。順番としておかしいでしょうか。
今ここで決める必要はありませんけど、ちょっと意見として申し上げておきたいと思います。
それでは、先ほどの鎌田委員のご発言に対する、ほかの委員の皆さんのご意見は、よろしいですか。理解としては、皆さん共通だと思いますので。
それでは、ほかの点、3のさっきのA、対象区域に係る避難等をした者に係る損害の中の6のところまでについてはいかがでしょうか。
幾つか追加された、あるいは、従来と表現が違うということで、青でもってわかるように書かれているところがあると思いますけれども、大体これでよろしいですか。
【高橋委員】 新しく青で入った3ページの3と、4ページの丸4の2)のところです。相当の期間という文言の意味が、私には、いま一つよくわからないところがあります。前の指針でも、備考などで、期間の相当性という概念についてはどのような視点から見るのかということ等につきは、説明があったと思います。今後、指針を完成させる際には、何をもって相当性の判断の基準になるのかというところを示すべきだと思います。具体的な紛争の解決の指針になるわけですから、この点、遺漏がないようにしていただければと思っています。注文になりますが、よろしくお願いします。
【能見会長】 これはいろんなことを想定すると結構難しい問題だと思いますが、将来、新聞などでは、緊急時避難準備区域の指定の解除がそろそろ予定されているなどと書いてありますけれども、そういうものが解除されたときに、避難している人たちが戻ってくる。それには相当な時間等もかかるでしょうし、また、戻ってくる場所についても、戻ってきて生活に支障ないように、そういう意味で、環境が整備されるまでにいろいろ時間がかかると考えられます。そういうものを見越して、指定の解除から直ちに避難費用等、精神的損害も含めて、そういうものの賠償は打ち切られるのではなくて、相当な期間が経過するまでの間は避難費用が賠償されるというのが基本的な考え方なんですが、今、高橋委員がおっしゃったように、ではそのときに、どういう要素を考えながら、その相当期間というのを考えるのかというのは、結構難しい問題なんだろうと想定しております。
問題は、今、その相当期間の具体的な判断要素を判断するだけの、あるいは議論するだけの材料があるのかないのか、抽象的には今申し上げたような議論ができるんですけれども、具体的などんなことを考えたらいいかというのがなかなか難しい現在、そこまで議論できるだろうかということで、ここにはあまり踏み込んで書いてありません。
【高橋委員】 相当性の判断については、最初、私が文章を拝見したときには、帰宅のための準備期間と受け取っていました。今の会長のご説明からは、いろいろな要素を組み込んで、直ちに支給を打ち切ることなく、個々の事情を見ながら、被害者救済の観点から相当性を考えていく、こういうお考えであると承りました。このようなお考えを備考に示されればよろしいのではないかなと思います。
【能見会長】 ほかにご意見ございませんか。
【田中委員】 まだ国のほうがよくわからないと思うんですけど、この避難解除の条件というのは、まだ明確にはなっていないですよね。ですから、そこが明らかにならないと、今会長がおっしゃったようなところも、なかなか決めがたいところがあるんじゃないかと思うので、それがわかってきた段階で、ここをもう少し詳しく述べる、議論するということではいかがなんでしょうか。
【能見会長】 私も、そういう情報が入ってからでないと、なかなか議論はしにくいと思いますけれども、基本的な考え方は、先ほど申し上げたとおりであります。
何かご意見ございますか。よろしいですか。
それでは、ほかの論点について、よろしければ、少し先に行きたいと思いますが。では、5ページの7の営業損害のところから、7ページの終わりといいますか、Bに入る前までのところ、B、対象区域内に滞在している者に係る損害については、また次に議論するとして、ここの手前のところまでで、いかがでしょうか。
【大塚委員】 質問で恐縮なんですけど、前回議論になって、どなたもあまり発言がなかったところですが、6ページの丸5と丸6のところなんですけれども、まず倒産・廃業の場合の、倒産・廃業に伴う追加的費用というのは何かというのが必ずしもはっきりしないので、お伺いしたいというのと、それから、事業拠点を移転した場合に、残る資産をどうするか、あるいは、新規投資を損害賠償に含めるかというような問題が残っていたと思うんですけど、その辺が、この書き方だと必ずしもはっきりしないので、追加的費用の中に入るかどうかをここで議論しておいたほうがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
【能見会長】 もし事務局のほうで追加説明があれば。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 まず、追加的費用のほうでございますが、ここにつきましては、登記などの手続きの費用とか、そういったものを想定してございます。
それから、移転の場合の残った資産につきましては、今丸6のところに書いてございますが、営業資産の減価分を賠償の対象としてございますので、残った資産は、引き続き自分のものとして残っているということを前提に今書いています。それを処分するなり何なりは、また別の話だという整理でございます。
【大塚委員】 新規の投資というのが追加的費用に入るかどうかなんですけど、私は、ほかのものと重なるのではないかという気もしてはいるんですが。
【能見会長】 新規投資は、追加的な費用というふうに考えるのか、そういう項目に入るかどうかというよりは、そもそもそういうものを賠償対象にしていいかどうかということから議論しなくてはいけないんだろうと思います。ここでは、そういう言葉を使いませんで、それが入るか入らないかについてはあまり触れておりませんけれども、議論すべきであるということであれば、どうお考えかというのも、もし言っていただけるとありがたいと思います。
【大塚委員】 残存資産のほうは、残るものと扱っていることとの関係で見ると、新規投資をそのまま追加的費用にするのはちょっとどうかというところが残念ながらあると思います。ここの書き方には異存がありませんが。
【能見会長】 移転の場合にも、一定の期間というんですか、従来の収益との差額分等が賠償の対象になるというふうに考えて、そこまでは賠償範囲に入るけれども、移転・転業する場合の新規投資分丸々というのは、なかなか損害賠償に入るとまでは言いにくいところがあるだろうというのは、確かにこの前提になっております。
【大塚委員】 もう一ついいですか。残った資産のほうの算定の仕方も、しかし、これはかなり長い間使えない可能性があるので、そんなに額としては高く想定するわけには多分いかないと思うんですけど、この文言で問題ないと思うんですけれども、その辺は考慮していただけるんですよね。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 この文章自体は、そういったものも含めて、今書けるのはここまでであろうということでの表現になっていると理解してございます。
【能見会長】 残った資産の価値といいますか、これは財産的価値という問題で、ほかでも共通する問題でもありますし、ここで特別に政策的な観点を入れるというものではないんだと思います。
実際には難しい問題を含んでいるんだと思いますけれども、これは、仮に移転の場合、転業の場合を考えますと、仮に農家の転業というのを考えると、なかなか戻れそうもないので、どこかほかでもって新たな事業ないし、土地が見つかれば農業を引き続きほかのところでやりたい、そういう人たちが移転ないし転業をしていく場合を考えますと、今までの農家経営による営業上の利益というのは、これは一定期間分、損害賠償という形で賠償されると。
問題は農地の部分ですけれども、これは自分の農地を残したままで――残したままでというのは、自分の所有物として残したままで転業するときに、農地の価値が下がった分は損害賠償としてもらえるんだと思いますけれども、必ずしもそう多額な賠償にならない可能性があるわけですね。そうすると、営業上の収益の賠償は一定期間分もらえるけれども、それプラス、農地の価格が下がった分の賠償、それでもって新しいところに移転して、新たな転業をしようというときに、必ずしも十分な資金、転業のための資金が手元にないという事態も考えられて、そこでさっきの大塚委員が言われた、新規投資のための費用というのが賠償範囲に入っていいかどうかという問題が出てくるということなんですが、新規投資の分というのは、なかなか損害賠償として入れにくい側面もあるので、今のところ、あんまりはっきりとは言っていませんけれども、そこまでは含めないニュアンスで書いてあります。ただ、そうすると、今言ったように、なかなか転業といっても十分な賠償が得られないかもしれないという問題があるというのが、この背景にはあります。そこで、一定期間の収入を賠償するというときにも、どのぐらいの期間のものを賠償するのかというようなことが結構重要な争点になってくるんだろうなと思いますね。
ほかに、ほかの論点を含めて、いかがでしょうか。
よろしいですか。何度か議論した点だと思います。
いずれにせよ、どういう期間でというようなことが重要な争点になってくるということを改めて申し上げたいと思います。
それでは、ここまでのところはよろしいでしょうか。
それでは、次の、7ページの一番下のBのところから9ページの第4の前のところまで、ここまででいかがでしょうか。要するに、対象区域内に滞在している者の係る損害というところですが。
これも私も随分自分で関与していて、理解していないのかもしれません。9ページの10の財物価値の喪失又は減少等、これが、避難した者の所有する財物の場合と、当然、微妙に違うわけですが、避難した人たちは、その財産を管理できないという状態があるので、そういう状態が、しかし、残っている人の場合については、一応管理はできるということから、書き方がいろいろ違うところは当然出てまいりますけれども。
ただ、9ページの10の丸1の1ポツと2ポツがあって、ここは7ページの避難した人の場合のと、基本的には対応していますね。ただ、7ページのところのポツでもって、これは説明文章なのかもしれませんが、上記丸1、丸2の除染、修理に係る費用が云々というのは、これは9ページのところには抜けているのは、これはあまり理由がないんだろうと思いますけれども、何か理由がありましたでしょうか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 すいません、そこはもう同様ということです。
【能見会長】 ということですね。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 はい。
【能見会長】 それで省略されているのかもしれませんが、説明としては同様のものが入るということでございます。
ほか、よろしいですか。精神的損害については、先ほどちょっと申し上げたとおりでございます。
それでは、もしご議論がなければ、先に行きまして、もし後でもってご議論があれば、また戻っても結構ですけれども。次に、今度は少しまとめて、第4の、政府による航行危険区域設定等に係る損害、それから、第5、政府等による農林水産物の出荷制限指示等に係る損害について、それから、第6、その他の政府指示等に係る損害について、ここまで、したがって、12ページの第7の、いわゆる風評被害の前のところまで、ここまでを一まとめにして、いかがでしょうか。
例えば、若干注意していただきたい点としては、例えば10ページの第5のところで、政府等による農林水産物の出荷制限指示等に係る損害についてというのがございますが、これは、例えば茶葉などについては、範囲を限定して、地域を限定しての出荷制限指示等があったわけですが、こういったものは当然ここに入ってくるということになります。10ページの第5のところの対象、それから、ここにも青でもって追加の説明がございますが、こんなところが1つのポイントかと思います。ただ、これは特に異論はないと思いますので、そういう点だけを注意して、ご理解いただければと思います。
この辺はもうよろしいでしょうか。あんまり問題はないところかと思いますので。
なければ、その次の、第7の、いわゆる風評被害についてに移りたいと思います。これ自体、1つの問題で、今日はあまり資料が出ておりませんけれども、1つの重要な問題なので、13ページの第8の、いわゆる間接被害の前のところ、第7のいわゆる風評被害についてだけを取り出して、ここを議論いただければと思います。
議論しろと言っても、資料が十分出ていないので、議論しにくいのかもしれませんけれども、一般的な考え方としていかがでしょうか。
これは、私ばっかり発言して申しわけございませんけれども、今日はいろいろ具体的な内容が書いておりませんけれども、やはりここで重要な視点は、専門委員の調査というのが行われたと思いますので、私もまだ十分見ていないところがあるんですけれども、この専門委員の調査が行われた理由の重要な1つの理由というのは、こういった風評被害について、どういう損害が生じているか、そういうものを調査してもらうということにありました。そういう意味では、この調査をもとにして、次回、用意される風評被害で賠償の対象となるものの範囲というものが、十分この専門委員の調査に基づいて適切にカバーされているかどうかというのが、大きなポイントになるだろうと思います。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 もしよろしければ、資料2を用意させていただいておりますので、簡単に説明をさせていただきたいと思います。
資料2といたしまして、専門委員の調査報告書の中から、いわゆる風評被害と思われるものを抜粋してございます。まず1ページ目からでございますが、これは商品への消費者等の懸念による被害ということで、いわゆる風評被害の定義に一番ぴったりしたものでございますが、1ページ目に農林漁業、それから食品産業がございます。
農林漁業のほうでございますが、減収として、幾つか品目毎に調査をしていただいてございます。例えば、一番上の「野菜、きのこ」でございますと、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、埼玉等で価格の下落、あるいは取引数量の減少というのが見られてございます。これは品目別に、「花き」、「お茶」、「畜産物」、さらには、真ん中のところに「林産物」とございますが、これは食品だけではなくて、木材、あるいは木炭といったものも、返品等の損害が出ているということでございます。さらに、「水産物」におきましては、第二次指針では福島、茨城を対象といたしましたが、千葉におきましても、価格の下落等が見られているということでございます。右にほうに、それに伴う風評の防止のための検査費用等が、これも農林産物、木材も含めて行われておるということでございます。
それから、食品産業につきましても、やはり出荷制限が出されたことのある区域のところを中心に、製造された食品の取引拒否、あるいはキャンセルといったものがございます。これも、ここにははっきりと書いてございませんが、工場自体がこういった地域にある場合、あるいは本社がこういった地域にある場合、さまざまな場合がございます。それから、さらに、右のほうの検査費用のところに少し書いてございますが、これは、原料の一部でございます水道水につきまして、摂取制限が出されたようなところでも、やはり風評被害と呼ばれるようなものが発生しているということでございます。
続きまして、2ページでございますが、こちらのほうは、農林水産物、あるいは食品だけではなくて、他の製品でございますが、一番上の製造業でございますが、ここにつきましても、例えば洋服とか、あるいは、食品を包装するような容器、包装類、こういったものに対して取引拒否の例が報告されてございます。あるいは、それのみならず、例えば中古車であるとか、セメント、こういったものについても、取引拒否の例が報告されてございます。右のほうを見ていただきますと、取引拒否がないような場合でも、測定・検査のための費用がいろいろ生じているということでございます。
その他、製造業のほかに、卸売・小売の場合も同じような状況がございますし、トラックのところを見ていただきますと、貨物の受け取り拒否であるとか、あるいは、福島ナンバー自体を拒否するというような例が報告されてございます。上水道に関しましても、これは摂取制限が出ていないところにつきましても、やはり対策が求められたり、あるいは、地方公共団体におきましては、県産品の風評被害防止のための経費がかかっているということでございます。
それから、2ページの下のほうからは、これは買い控えとはちょっと違いますが、来訪、滞在への懸念ということで、卸売・小売、サービス、一番代表的なものは観光でございますが、それだけでなくて、例えば、運送業で旅客が減少するであるとか、あるいは港湾につきましては寄港拒否といったような被害の事例が報告されてございます。さらには、3ページの下のほうにございますが、学校関係でも、これは入学の辞退、あるいは退学、転学ということがございますし、あるいは、福島県内等の学校では放射線のモニタリング、これをさまざまなところで求められているということでございます。
それから、最後、商品・サービスの売り手に係るものということで、これは、逆に、買ってくれないのではなくて、運送業者が運送業務を拒否したことによって損害が発生しているとか、あるいは、一番下のところにございますが、外国人のみならず、邦人演奏家が東北地区に来なくなって、公演が中止になったというような例が報告されてございます。
ちょっと前後しますが、観光業につきましては、特に外国人関係でございますが、全国的な被害が発生している。あるいは、地震との関係でございますが、やはり福島、隣接県において、これは真ん中辺に書いてございますが、売上の回復が鈍いといったようなことが報告されてございます。
こういったことを全体的にまとめて、現在、この後に議論になります外国人の話も含めて、整理をさせていただいているところでございます。
【能見会長】 この資料も参考に、ご議論いただければと思いますが。
例えば、ちょっと細かいことですけれど、おそらく皆さんもお気づきになった点としては、例えば農林漁業については、今までの指針でも風評被害のところで大分ご議論いただきましたので、そこの議論をちょっと思い出していただきたいと思いますけれども。今までの指針では、いろんな出荷制限等がされた地域、地域という言い方は正確ではないかもしれませんが、県単位でなされたり、あるいは、もうちょっと狭い範囲でなされたときに、ある農産物について出荷制限等がされますと、その地域、県単位でもって出荷制限されれば、もちろん県全体の中のほかの農産物についても、それらの売れ行きが下がったということが、風評損害として賠償の対象に入るとされてまいりました。それから、県単位ではなくて、もっと狭い地域で出荷制限された場合については、その当該地域のほかの農産物について、風評損害としての賠償を認めるということになっていたと思います。
そのときは、そういうふうにすることで、これは相当因果関係として問題がない風評損害であるという理解のもとで、多少範囲を制限していたわけですが、そのときにも議論して、あるいは資料に出ていると思いますけれども、それ以外に、風評損害について相当因果関係を認めていいような類型が今後あらわれれば、それはまた類型的に賠償対象なるものとして追加するという扱いをしてまいりました。今回、この風評損害について、専門委員による調査の中で、いろいろと従来の指針で認めてきたよりも少し広い範囲でもって類型的に損害が生じているものがあるということが幾つか出てきているというのが、この資料でございます。
この資料は今簡単にまとめてありますので、どこまでこの資料から読み取っていいのか、少し注意しなくてはいけないと思いますけれども、例えば、お茶のところなんかを見ていただきますと、これこれのお茶の各県産の価格の下落、取引数量の減少と書いてあって、あるいは、私の理解の仕方が正しくないのかもしれませんけれども、この資料は、例えば、静岡だったら、静岡における、ある地域における茶葉の出荷制限がされている場合であっても、ほかの静岡全県にわたる茶葉の取引数量の減少が見られるので、そういう意味では、範囲を全県にわたって考える、あるいは、べきだということが、この調査報告であるというふうに理解してよろしいですか。そういうことですね。そんなところがちょっと従来と違うところですので、ご注意いただければと思います。
あるいは、花であるとか、林産物、これは食品ではないわけですけれども、こういうものについても取引の減少が見られるというようなところも、この調査報告書の中から出てきているものでございます。
今、農林漁業について限定したことしか申し上げませんでしたが、そんな点などをいろいろごらんいただきまして、何か今の段階でご注意、あるいはご議論いただける点があれば、お願いしたいと思います。
【中島委員】 6月から、農産物の出荷制限の単位が、市町村よりさらに小さくなって、検査ロット単位とか、そういうものを単位に出荷制限される場合があるようですけれども、検査ロットというのは、流通のプロが見ればロット番号でわかるんでしょうけれども、一般には、ある地域のある特定の検査ロットで出荷制限が出たとしても、市町村のような行政区画単位で出荷制限されるよりも、かえって分かりにくく、消費者の萎縮というか、懸念がその県全体に広がる可能性があるということが、この背景にあるのではないかなと感じるんですが。
【能見会長】 なるほど。今のご発言の中には、いろんなことを含蓄といいますか、含意があったのかもしれませんけれども。
出荷制限等の規制というのは、確かに、細かくやると、そのロットごとにできるのかもしれないけれども、その情報の提供の仕方として、どういうものが適切なのか。これは賠償の範囲の問題とは直接関係がありませんけれども、そういうような問題にもつながっていくのかもしれませんね。
それから、今のような背景のもとで、消費者としては、結局、あまり細かい範囲では消費者はもともと考えることはできないので、わかりやすい大きい単位としての、県であるとか、そういうところで風評損害の地域的な枠というものを考えたほうがいいんだということが含まれているのかと思います。
ほかに、関連してのご意見があれば。
様々なほかの業種については、もう少しいろいろ見なくてはいけないのかもしれませんけれども、また次回、もうちょっとまとまった資料をお出ししますけれども、よろしいでしょうか。
それでは、風評損害につきましては、輸出に係る風評損害についても、もし何かまたご意見があればと思いますが。ここでも中間指針の案では、13ページの5のところで、先ほど事務局から説明がありましたように、前回のA・B案のうちのB案を軸に書いてございますけれども、A・B案どちらがいいかということについては、多少意見も割れていたかもしれません。正確にどういうふうに分布していたか掌握しておりませんけれども、改めてもしご意見があれば、お願いしたいと思います。たしか大塚委員が、少しB案については懸念を表明されていたようにも思いますけれども。
【大塚委員】 もうここで懸念を表明するつもりはないんですけれども、一定の範囲に限定しつつということであればいいと思います。ただ、この「国内取引よりは広く賠償対象と認める」というのは、もともとは、平均的・一般的な人というのをちょっと別に考える、一定の範囲に限っては別に考えるということだと思うんですけれども、具体的には、例えば、対象となる品目が増えるとか、そういうことになるんでしょうか。賠償対象が増えるということの具体的なイメージがよくわからないところもあるんですけれども。
【能見会長】 私の理解を申し上げますと、例えば、日本国内ですと、福島県その他、近隣の県の農産物等について、国内で放射能の被害があるのではないかということで、消費者がそれを買い控えするというのは、それなりに理解できる行動であるということで、それが風評損害に入ってくると。しかしながら、外国の場合には、必ずしもそういった地域的な限定というものが十分理解されていなかったりしていて、したがって、ほかの都道府県のものも全て入ってくるという意味で、具体的に言うと、この、国内取引よりは広い賠償対象が生じるということであります。品目としても若干広がるところがあるかもしれませんけれども、一番わかりやすいのは、今のような例かと思います。
ただ、そうなると全国ですので、若干ほかの限定をしたほうがいいかと。
【高橋委員】 例えば、参考3にいろいろと例が出ております。私も、外国政府の、日本政府よりも広い産品規制のやり方については、自国民の安全を考える責務がある以上、合理的な範囲で広げてもいいと思っています。大塚委員もよくご存じの、予防原則という国際法上の原則もありますので、外国政府の措置はこの観点からも合理化されるのではないかと思います。ただ、逆に、余りにも不合理な、日本全土の産品をすべて対象にするとか、そういう極端なやり方は外国政府としてもどうなのかなという気がしております。そこは、国際的に見て合理的な線引きというのは要るのではないかなと思います。これが第1点です。
あと、民間の方についても、確かに地理的によくわからないという事情はあると思いますので、そこは広目に見るというのは当然だと思います。しかしながら、九州とかまで輸入を拒否する、そういう行為がほんとうに合理的なものかという点については、もう少し議論してみたほうがいいのではないかなという気がしております。日本全国すべてをカバーするかどうかという点については、私は決意ができていないというところがありますので、引き続きご議論頂きたい、と思います。
以上です。
【能見会長】 これは、何か日本全国の産品を拒否したり輸入制限をした国というのは幾つかあったように思います。今、手元に直ちに資料がないんですけれども、何か記憶している点があれば。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 すいません、UAをはじめとして、比較的中東の諸国が多かったと思いますが、食品等全部というのがございましたし、逆に、品目をかなり日本に近い形で制限しているところもございました。
それから、若干ここで書いてありますのは、ちょっと説明が不十分でしたが、今、ここの5の輸出に係る風評被害のところと、それから、外国人に係る風評被害でございますが、ここにつきましては、5で、輸出のみ外国関係で拾い出してございます。その他、観光のところは、別途観光の中で扱おうということを今考えて、整理をしているところでございます。
【能見会長】 そのような状況でございます。今、最後に観光のことが説明がありましたが、ホテル業などは、外国人観光客が来ないということで、それなりに損害を被ったわけですが、そういう観光業の風評被害については、3の中で、外国観光客が減ったという場合について、どう扱うかということについても、今、資料、あるいは原案の作成準備中でございます。
この原案も、その骨子も全く示されていない段階で、ご意見を伺うのは難しいかもしれませんけれども、もし何かご意見がございましたら、お願いいたします。
【中島委員】 観光業につきましては、地震・津波による損害と原子力事故による損害との切り分けが必要になってくるのではないかと思うんですが、専門委員の報告書の中で、ボストン・コンサルティングの調査結果が添付されておりまして、これは日本に来る外国人上位5カ国の旅行者のアンケート調査をした数字が出ていますけれども、放射性物質が怖いから来なくなったという人が、86%、苦しんでいる地震や津波の被災者に対する遠慮、あるいは不謹慎であると感じて来なくなった人が49%という数字が出ています。35%の人は両方の理由が重なり合っているわけですけれども、仮にその中間をとるとしますと、68%になります。乱暴な議論であることを承知で申し上げますと、例えば、外国人のお客さんの客足が遠のいたことによる損害のうちの68%は原発事故によるものだと推定するというようなことはできないだろうかと思います。随分乱暴な議論であることは分かっているのですけれども、ある程度定量的な数字を出さないと指針にならないような気もしますので、このような考え方もできるのではないかと。
以上は外国客についてですが、国内客の落ち込みについても、地震・津波の被災者への配慮からの自粛と放射性物質の両方が考えられるんですが、この切り分けの手掛かりについては、専門委員の報告書の中で唯一あるのが、過去の阪神淡路大震災のときの、兵庫県内のゴルフ場の客の落ち込みが約6カ月で回復したというデータがございます。これもまた随分乱暴な議論であることを承知で申し上げるのですが、6カ月たっても回復しない国内客の損害は原発事故によるものであると推定するということも、1つ、推定規定としては考えられるのではないか。乱暴な議論で恐縮なのですが、今ある定量的な数字としては、このくらいが考えられるのではないか。この切り分けとしては考えられるのではないかと思いまして。
【能見会長】 どうもありがとうございます。どういうふうに限定をするのかしないかも含めて、限定をするのであれば、どういうふうに限定するかというのは非常に難しい問題で、何らかの根拠があれば一番いいと思いますので、今の中島委員のような考え方は十分あり得るのではないかとも思います。これは、今後の作業に、うまくそれでいけるかどうかということを含めて、検討させていただければと思います。
ほかに、よろしいでしょうか。それでは、ご議論がなければ、少し先に行きたいと思いますが。
今度は第8の、いわゆる間接被害についてでございます。これも参考資料4というのがございますので、これをまた参考にしながら、ご意見を伺わせていただければと思います。これは、先ほど説明がありましたように、前回の資料ですね。
基本的には代替性があるかないか、代替性のない取引であったという場合には、ほかから調達したり、あるいは、被災地が売り込み先であった場合、ほかに売るということが容易にはできないので、間接被害についても賠償範囲に入る、そういう考え方がここに基本的には示されているわけでございます。
これももう少し具体性がないとわかりにくいのかもしれませんけれど、私がちょっと思ったのは、代替性というのは、時間との関係もあるので、おそらく期間が長くなれば代替性がだんだん弱くなってくるというような要素があるかもしれませんので、そんなことも加味して考える必要がおそらくあるのかもしれませんね。しかし、基本的にこういう考え方でよろしいかどうかということについてのご意見を伺わせてもらえばと思います。
これ、ちょっと具体例がないとわかりにくいんですけど、さっきの14ページの1ポツ、2ポツ、3ポツとありますが、1)2)、3)ですけれども、1)と2)、これは抽象的にもわかりやすいと思いますけど、具体的な例はともかくとして、3)について何かわかりやすい例というのは、何か用意していますか。この「原材料やサービスの性質上、調達先が限られている事業者の被害であって、調達先である一次被害者の避難、事業休止等に伴って必然的に生じたもの」ということについて。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 これは具体的には、工業製品等でも、ここでしかつくっていないようなものでございますね。具体的には、例えば、固体用のロケットの燃料とかをつくっている会社があったとして、なかなかほかのところで調達しようとしてもできないようなもの、それが上の地域性とは違って、日本全国、あるいは、場合によっては世界中どこでも調達できないような、そういったものを想定してございます。
【能見会長】 ということで、これは結構範囲が広がる可能性があり得るということでございます。
【鎌田委員】 間接被害という概念も、意外とわかりにくいのかもしれないことなんですけれども、最近話題になっている、例えば、稲わらが汚染されて、それを買って食べた牛が内部被ばくをして、牛肉が汚染されましたというケース。これは間接被害なんですか。仮に間接被害だとすると、この基準でいくと、避難区域外で起きているものについては、稲わらの取引は禁止されていませんから、これは賠償されるべき間接被害に当てはまらない。今提案されている中間指針だと当てはまらないということになるんですけれども、こういうのは間接被害になるのか、それとも直接、直線的に被ばくの因果の流れの中で牛肉の汚染というのが起きた直接被害なのかというふうなところの区別が、裏から間接被害ということを説明してもらうということになると思うんですけれども、どうでしょう、大塚先生。
【能見会長】 専門家として、大塚委員、お願いします。
【大塚委員】 私も今のは間接被害に入らないと思っていまして、稲わらをつくっている方は、別にとりあえず被害を受けているわけではないので、中に放射性物質が入ってしまってはいたんですけど、それを摂取した牛が、放射性物質が、セシウムが入ってしまったということなんで、農家の方が直接被害者というふうに、私はその事例については考えていいのではないかと思っています。
もし稲わらをつくった人が損害を受けて、その結果として、何か派生的に損害が発生すれば、間接損害ということになりますけど、今のケースは、稲わらをつくっている人は、別にとりあえず損害は受けていないのではないかと思います。
【能見会長】 飼料を専門として、そういうのを販売しているような人がいると、そうすると間接損害にもなり得るのかもしれませんね。
【大塚委員】 ただ、間接損害を受けている人は、多分、畜産の農家さんのところではなくて、何か別の方ですよね。
【能見会長】 間接損害というのは、なかなかわかりにくい概念で、まず第一次的被害者というのが存在する。それが今回ですと、第一次被害者の範囲もちょっとわかりにくいところがあるんですけど、基本的には出荷制限を受けるような耕作者、あるいは、この地域に避難指示等が出ていて仕事ができない、そういう営業者、こういうものが第一次被害者としてまず存在して、それから、それとの取引関係にあって、さらに損害を被る者と。
ですから、今の牛なんかの例も、もし、大塚委員が言われたように、飼料、稲わら、そういうものを独立に扱う業者等がいて、それ自体が本来出荷すべきでないのに出荷しているというような事態があれば、そこにもまずは出荷すべきでない。出荷しているということは、ちょっと余計な話ですが、規制がかかっているような、売ってはいけないものであるということになると、それを売ることを商売としていた人が第一次的損害を被る。そして、牛にと……。
【大塚委員】 それは第一次的損害によって発生する損害ではないですよね。牛の農家の方の損害は、別の損害ですよね。
【能見会長】 そうですね。
【大塚委員】 最初の稲わらの人の損害によって何か派生する損害というのは、また別に何かあるかもしれませんけど。
【能見会長】 牛は違うかもしれないですね。
【大塚委員】 ええ。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 ちょっとよろしゅうございますか。
事務局として説明が不足しているところもあるかもしれませんが、13ページの間接損害の一般基準の定義をしてございますが、この指針で「間接被害」とはと言って、第3から第7で賠償の対象と認められるということで、先ほど能見先生からもお話がありましたように、避難をしたであるとか、あるいは出荷制限があるとか、そういったところを第一次被害者とした上で、そこから間接的に被害を受けるということで整理をしてございます。
牛の稲わらの件については、今、事実関係そのものを政府全体として調べる、あるいは、今後指示が出されるというような報道もされてございますが、それはそれでちょっと置いておきまして、これまでの風評被害も含めて、これまでの損害として対象となったところに対して、間接的に出てくるものを、ここではとりあえず「間接損害」として定義をしてございます。
【能見会長】 大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 先ほどの鎌田先生の例だと、例えば、稲わらをつくる方が、規制を受けて、出荷制限指示を受けて、稲わらが売れなくなってしまって、その結果、畜産をしていらっしゃる農家の人が、えさがなくなって牛が餓死したとかということが例えば起きると、それは多分間接損害だと思うんですけれども、今回の場合、そうではなくて、放射性物質が入った稲わらがすり抜けて売られてしまっているので、稲わらの管理者という人は、別に何か損害を受けているわけではないので、その農家の畜産の方も別に間接損害ではなくて、直接損害と考えるということではないかと考えます。
【能見会長】 結論的には、私も、大塚委員が言われるのがよろしいのではないかと思います。
【野村委員】 先ほどの定義のところで、「一定の関係」という表現の意味が少し読み取りにくいと思います。
【能見会長】 そうですね。
【野村委員】 取引関係にあるということだけなのかというと、どうも必ずしもそうでもないように思います。例えば、避難区域のぎりぎり外側で、コンビニとかスーパーをやっている事業者について、避難区域の住民が避難していったために売上が減っているというような事例は、僕も、直接損害なのか、あるいは間接被害なのか、どっちなのかよくわからないところがあります。避難区域の中で事業をしている人は事業ができなくなるから、これは直接被害者なのですよね。避難区域内にあるコンビニがその例です。このことははっきりしているのですけれども、避難区域の外側だと、どっちなのかなという。
【能見会長】 一応ここでは、それは間接被害というふうに考えているんです。
【野村委員】 その辺も「一定の関係」ということばの中に読み込まれているわけですよね。
【能見会長】 ええ。ここを一番わかりやすくするためには、ここに「一定の取引関係にあったことによって」というような言葉を入れるとわかりやすいんですが、今の野村委員が言われたようなのは、取引関係が既にあるわけではなくて、単に顧客として潜在的に予定されていた人たちが避難してしまったために顧客を失ったといいますか、商圏を失ったというたぐいなんですね。これはまさに一定の関係としかなかなか表現がしにくいので、こういう言葉を使っているわけですが、ただ、こういうふうに一定の関係というのを使ってしまいますと、鎌田委員が挙げられた例のように、稲わらと牛との間にはやっぱり一定の関係があるじゃないかということで、そういうのも入ってきそうに思える。なかなかこの定義、あるいは、もうちょっと言葉をうまく、必要なものが入り、入るべきでないものを外せるような言葉があれば、ちょっと検討したいと思いますけれども。
【野村委員】 これは全然別の問題なのですけれども、14ページの3)、調達先が限られているというところです。これについて、意図的にといいますか、コストの削減などの理由から、限定して特定の人としか取引していないという場合に、その人に別に放射能でなくても、何かの障害が生じたら、全体の上のほうのメーカーの仕事がストップしてしまうということになります。調達元の事業者は、そういうリスクを常に抱えながらしていると考えられます。しかし、コストの削減のために、調達先を一つに限定している場合に、たまたまそれが止まったというときに、全部の損害を賠償責任者に負わせるのか、やっぱりそういうリスクに対するある程度の対応というのを事業者というのは考えなくてはいけないのか、なかなか難しい問題だなと思っているのですけれども。
【能見会長】 中島委員、どうぞ。
【中島委員】 今野村委員のおっしゃられた点ももっともだと思うんですが、専門委員の意見書で出てきた事例では、典型例としては学習塾が挙がっていまして、子どもが夜通える範囲として、10キロ程度が限度だというようなことが書いてありまして、そういうものが事業の性質上、地域的に限られているという典型例なのではないかなと思うんですけれども。そういう、事業の性質上限られているという表現が、この代替性がないという類型を示していると理解すれば、かなり絞られるのではないかと思うんですが。
【鎌田委員】 それは1)で、質問されているのは、サプライチェーンの問題。
【能見会長】 1)と2)のところは、いずれにせよ、地域的な限定というものも考慮されて、事業の性質ももちろんですけれども、そういう意味で、代替性の有無というのが判断されるというたぐいで、野村委員が言われたのは、むしろ3)ですね。調達先が限られているということを考える際に、コスト削減の関係から、経営上そことしか取引ができない、そういうような調達先が被害に遭ったときにどうなるかという問題ですね。これも今直ちに答え、私もどう答えたらいいかわかりませんけれども、そういうコストの関係から、調達先を限定しているというような場合には、費用を少し出せば、ほかのところからも調達できるという関係があるので、3)は、今のようなものは含まない趣旨で考えたほうがいいのではないかという気もしますけれども、これはまた議論していただきます。
【野村委員】 完全にゼロというのも、少し問題があるのではないかという気がしないでもありません。
【能見会長】 ええ、ほかから調達すると、費用が増えるわけですからね。だから、間接被害も結構難しいですね。
よろしいですか。それでは、次の、放射線被ばくによる損害、それから、その他も含めて、ここの部分についてはいかがでしょうか。
【大塚委員】 今、最初に会長がおっしゃったように、代替性の問題については、期間の問題が結構重要だと私も思いますので、さっき野村委員がおっしゃった例に関しても、認められるとしても、多分、かなり限定された期間ということになって、代替先を合理的に見つけられると考えられるまでの間の期間という整理をすればいいのかなと考えています。
それから、前回もちょっと申し上げたことですけど、再間接被害というのは、代替性がむしろあるということが一般的には多いと思いますけど、その辺は特に書かなくても、ここに入っているという趣旨でいらっしゃるんですよね。
【能見会長】 代替性のところで判断しようということですね。それは、一般的には、代替性がないということは言いにくくなると思います。
【大塚委員】 ありがとうございました。
【能見会長】 それでは、最後の部分ですが、9と10について、いかがでしょうか。
中島委員、どうぞ。
【中島委員】 この損益計算の相殺の対象となるお金なんですけど、たしか最高裁の判例では、損害保険がおりた場合は、損益相殺の対象にならない。生命保険はもちろん対象にならないけれども、損害保険も対象にならないというような判例だったと思うんですが、しかし、損害保険というのは、同質性が認められるようにも思うんですけれども、その考え方をこの場合も当てはめるのかどうか、ちょっと明確にしておいたほうがよいように思います。
【能見会長】 今はっきり記憶がないけど、損害保険の場合には、保険料を払っているからということではなかったでしょうか。だから、そちらの対価みたいなもので。もう一回確かめたいと思いますけれども。ここでおそらく問題となる多くは、そういう保険料の、もしかしたら、払っているのも若干あるかもしれませんが、被害者自身ではなくて、事業者が払っているとか、そういうのも含まれてくるかもしれませんね。
今、直ちに明確な答えを申し上げることはできませんが、ほかの委員、もし何か、今の点についてご意見があれば。
例えば、今の最高裁の判決の考え方が当てはまるような場合があれば、それはやはり同じような考え方をしていくんだろうとは思います。
どういう給付金が控除の対象になるかというのは、わかりにくいところがあって、これもまた、裁判で争われて、今のように保険金でさえ最高裁まで行って争うぐらいですから、結構争点になる問題なんですね。それを、この審査会では、判例があれば、それに従いますけれども、判例がないときに、一定の解釈というんでしょうか、給付金の根拠となっている法律の解釈等をして、それは、また運用している官庁があれば、そこの意見も参考にしながら判断していくわけですが、なかなかここ自体、審査会自体は裁判所ではないわけですから、判断に迷うところもあり、判断が十分できないものは、あまりそれを思い切って、どちらかというふうに分類しないほうがいいのだろうと思います。ですから、できるだけ調査等はいたしますけれども、明確にできるものは明確にしようというのが、ここのスタンスでございます。しかし、わからないようなものは、それはわからないというふうに整理するということです。これもよろしいですか。
ほかの論点等もございますけれども、これも前にお話ししたかもしれませんけれども、地方公共団体の財産的な損害、高橋委員が退席されてしまいましたけれども、基本的には、もしご意見があれば、後のほうの問題であってもおっしゃってくださいということを申し上げて、特にご意見がありませんでしたので、基本的にはご賛同いただけたのだろうと思います。よろしいでしょうか。
それでは、今日は以上でもって終えたいと思います。今日の議論を踏まえまして、次回には、もうちょっと風評損害とか、そういうところについては、さらに調査をした上で、中間指針の原案というものをできれば提示したいと考えております。
基本的には、もし特にご異論がなければ、次回でもって中間指針をご承認いただくということになりますが、ただ、いろいろ議論が出れば、これはあまり無理はしたくないとも思いますので、ぜひ皆様の活発なご意見をお願いしたいと思います。
それでは、次回の日程につきまして、事務局からお願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 次回は、7月29日金曜日を予定してございます。時間、場所につきましては、追って正式にご連絡をいたします。
以上でございます。
【能見会長】 それでは、これで閉会いたします。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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