平成23年7月14日(木曜日)12時30分~15時00分
文部科学省(中央合同庁舎7号館東館)3階講堂
能見会長、大塚委員、草間委員、田中委員、中島委員、野村委員、米倉委員
林文部科学大臣政務官、清水文部科学事務次官、森口文部科学審議官、藤木研究開発局長、田中原子力損害賠償対策室長、田口原子力損害賠償対策室次長
加藤 原子力発電所事故による経済被害対応室審議官
【能見会長】 それでは、時間になりましたので、第10回原子力損害賠償紛争審査会を開催したいと思います。本日は、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました。
はじめに、事務局から配付資料の確認をお願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 資料の確認をさせていただきます。
本日の議事次第の下に配付資料として、資料1-1から資料5-2まで配付させていただいてございます。さらに参考資料といたしまして、委員の皆様の机上には、専門委員の調査報告書、これは3分冊にわたってございますが、これを配付させていただいております。それと前回の議事録でございます。
なお、専門委員の調査報告書につきましては大部にわたりますため、これは後ほどCD-ROM版等をつくって、皆様にお送りしようと思いますが、一方で、文部科学省のホームページに本日の会議が終わった後、掲載をする予定になってございます。現在、作業をやっているところでございますので、しばらくお待ちいただきたいと思ってございます。
それから、本日、国会が開会中ということもございまして、出席いただいています林政務官あるいは事務局の人間も途中出たり入ったりすることがあるかもしれませんが、ご容赦いただきたいと思います。
以上でございます。
【能見会長】 それでは、第1の議題から「専門委員による調査の結果について」でございます。今、説明がありましたように、専門委員によるこの調査の報告書というのがまとまりました。その報告を本来であれば個々の専門員にお願いするのがよろしいかと思いますけれども、何分大部にわたりますので、これを要約した形でもって事務局からその概要を説明してもらいたいと思います。
それでは、お願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、お手元の資料1でございます。「原子力損害賠償紛争審査会専門委員調査報告書【概要】」でございます。表紙の下のところに注書きが書いてございますが、この報告書の中には損害あるいは被害といった言葉がいろいろ使われてございますが、これは指針で示します原子力損害に該当するかどうかということをこの報告書の中で判断しているものではございませんで、これの内容、この専門調査、この調査の内容で報告されているものが損害に当たるかどうかというのはこれから策定される中間指針で判断されるという位置づけでございます。
1枚めくっていただきますと目次がございます。全部で大きく17分野にわたる報告でございますが、第1分冊、第2分冊、第3分冊にそれぞれ分かれてございます。
次をめくっていただきますと、第1分冊のほうは、農林漁業と食品、さらにはその輸出の関係でございます。農林漁業につきましては、これまでヒアリングで報告があったものも含めて、1ページ目は、これは避難等の対象地域に係る損害ということで、避難指示あるいは出荷制限指示に係る実際の被害の調査をしてございます。1ページの下のほうからは、損害の項目といたしまして、下のほうにそれぞれのものについて、その損害の内容、項目が記してございます。
2ページ目、ここは詳細は時間もございませんので、説明を省略させていただきますが、今まで出てこなかったものとして、2ページ目の上のところに、これは下水の汚泥処理に関連して、集落の排水事業者、こういったものにも同様の損害が出ている。あるいは6.のところは、政府指示に伴う損害の算定方法ということで、そこにAからEまで、農地あるいはその農林水産業の機械、施設、家畜、果樹、森林、それぞれについてその損害の算定方法について検討がされてございます。
それから、その下の避難指示に伴うものにつきましても、農業事業者の追加的費用であるとか、移転に伴う損害、こういったものについて記載がございます。
それから、3ページの右の上のところには、廃業・倒産の場合の損害の算定方法というのがございますが、これは本日の後ほどの議題にもございますが、さらなる検討が必要ということで、専門委員のほうからも報告が出ているということでございます。
それから、3ページのローマ数字2のところからは、政府指示等の対象地域外に係る損害として、まず、いわゆる風評被害についての分析がございます。そこにございます丸1から丸6までそれぞれの品目について調査をしていただいて、それぞれ取引停止であるとか、あるいは価格の下落、そういったものがあった範囲を報告書の中で取りまとめていただいてございます。
それから、3ページの一番下のところからは、いわゆる間接損害に当たるものでございますが、4ページをめくっていただきますと、いわゆる商圏が避難地域にあるような場合としまして、農業あるいは漁業に関して、肥料・農薬、あるいは製氷、冷蔵あるいは水産物の加工、そういったところまで被害が及んでいるということが報告をされてございます。
その他、飼料の輸入船舶の寄港拒否であるとか、あるいはJAをはじめといたします団体の被害についても書かれてございます。それから、その共通項目といたしましては、これも後ほどの議題になってまいりますが、終期の判断でございますとか、あるいは地震、津波の考慮、あるいは合理的な損害の証明方法や算定方法ということについて記載がございます。
それから、4ページの下からは、食品関係でございますが、これも農業と同様に、政府指示等の対象地域に係るもの、それから、地域外に係るものに分けて報告がございます。
5ページの上のところでは、これは水道水の摂取制限に係りましても、食品加工において影響が出ているという話がございます。それから、いわゆる風評被害につきましても、これは食品製造業者の事業所の所在地に由来するもの、それから、原材料の農林水産物に由来するもの、あるいは生鮮食品に係るもの、あるいは水道水の摂取制限に由来する水の検査費用が損害として挙げられてございます。
その他といたしまして、6ページにございますが、観光あるいは海外工場、こういったところについてに関する被害もあるということでございます。
それから、飛ばさせていただいて、その6ページの中ほどからは、これは食品、これは農林水産物、食品加工物に関する輸出に係る損害としまして、これは外国政府による輸入規制の調査をやっていただいた上で、それに伴ってどういった損害が発生しているのか。それから、その時間的な要素も分析していただいていまして、多くが事故発生直後あるいは規制導入後に集中しているということでございます。
それから、右の7ページのところは輸入規制以外の、これはいわゆる買い控えのたぐい、風評被害になるわけでございますが、ここにございますように、日本産の食品に関して危機感が高まって、結果として輸出が減っているということでございます。それらをまとめた形で、輸出実績の推移についてデータをまとめていただいております。
続きまして、ここまでのところが第1分冊の数百ページ、400ページを超える形でデータも含めて報告としてまとめられてございます。
それから、第2分冊に参りますが、こちらのほうは、建設、不動産、製造、上・下水道、情報通信、運輸・物流の関係が書いてございます。8ページは、建設業の関係でございますが、建設業につきましては、いくつか最初に特徴が書かれてございまして、その中で比較的ほかと比べて大きな特徴としましては、技術者の固定費ということで、これに係るものが他に比べて際立っているような形になってございます。こちらにつきましても、避難等の対象区域に係る損害関係、8ページからございます。
それから、9ページの下から、対象区域外に係る損害がありますが、いずれにせよ、その建設業の場合、事業所の位置というよりも実際仕事をしている場所ということで、工事をしている場所ということで、対象区域内外の事業所の位置が内外にかかわらず、損害が発生しているということでございます。その中で、9ページにございますが、いくつかリースの機材であるとか、あるいは建築中の物件、こういったものについての損害について考慮すべき点があるということが書かれてございます。
それから、すみません。ちょっと前後いたしますが、8ページの3のところにございますが、東北全般で、復旧・復興の工事需要というのがやはりかなり出ていて、それに参入できないということについての影響というのも報告をされてございます。
それから9ページの一番下のところでございます。風評被害も一部報告されてございますが、一般については、現時点ではまだ統計データが出そろっていないので、今後、分析の必要があるということでございます。
続きまして、10ページの不動産の関係でございますが、不動産につきましても、対象地域、それから、対象地域外に係る損害をそれぞれまとめていただいております。
営業の損害の関係でございますと、逸失利益、いわゆる不動産市場への取引の減少ということで、その影響。あるいは2.にございますが、賃貸住宅などの管理のための追加的負担、あるいは財物価値の喪失・減少につきましては、評価について適切な扱いが必要だということでございます。
さらに、その3の(3)のところにございますが、現段階での評価額の算定はなかなか難しくて、今後、検討が必要であるということが報告されてございます。
それから、11ページでございますが、対象地域外の不動産でございますが、ここにつきましても、取引のキャンセル等が発生しているというふうに報告をされております。さらには、風評被害といたしまして、そこの3の(1)から(6)で報告されているような検査費用も含めて、対象区域外でも負担が出てきているということでございます。
その他、4.のところで今後明らかになるだろうということで、不動産の価値の下落であるとか、人口減に伴う市場の縮小ということが報告されてございます。
それから、次の11ページの下のところからは製造業の関係でございます。製造業につきましては、最初のところで、損害、被害の累計として、製品そのものに係るもの、それから、2として検査の費用、それから、3といたしまして、いわゆるサプライチェーンで避難区域の中の工場等が操業停止になったことに伴う損害、あるいは事業継続に要する追加費用、こういった形で大きくまとめていただきまして、それぞれ政府の避難対象地域内の損害、対象地域外の損害というのをまとめていただいてございます。
大きく共通事項として、検査費用のところを特記されてございます。12ページの下のところにございますが、計測機器の購入であるとか、あるいはその委託、あるいは証明書の発行、そういったことで幅広く負担が生じているということでございます。
それから、13ページに参りますと、先ほど、最初に出てきましたサプライチェーンにおける間接損害でございますが、これについて、製品供給元企業の操業停止に伴う、これを代替することができないことによる生産停止、あるいは代替生産を依頼した場合の追加費用、そういったものが報告をされてございます。
それから、その他といたしまして、(1)から(6)にあるような廃棄物の保管であるとか、あるいは外国人労働者の帰国とか、そういった個別のものがございます。製造業につきましてはさまざまな業種がございますので、共通的なものをまとめていただいた上で、そこにある業種別の報告というのが別途添付されている形になってございます。
続きまして、上水道でございますが、上水につきましては、まず放射性物質対策の実施状況ということで、主として厚労省関係の指導、あるいは通知、そういったものをまとめていただいた上で、水道事業者に対してアンケート調査という形で調査をしていただいていますが、避難地域の中には、12市町村に上水8事業、簡易水道13事業、専用水道18カ所とありまして、こういったところで避難に伴う料金収入減少、それから、今後、事業を再開するに当たっての復旧費用等が必要であろうという報告が出てございます。
それから、14ページでございますが、避難対象地域外におきましても、国の指導によりモニタリングを1都10県で行っておりまして、それに加えまして、予防措置といたしまして、活性炭処理であるとか、あるいはシートの設置、そういったことを行っているということでございます。
続きまして、下水道でございますが、下水道につきましては、避難等の対象地域、ここにつきましては、基本的には今サービスの停止、あるいは大幅な縮小ということでございまして、そのための営業損害が出ています。それから、対象地域外におきましても、これも報道されてございますが、汚泥の処理ということで、これも政府で共通の指示を出しておりますが、それに基づいて行う措置に関して追加的な経費がかかっている。あるいは汚泥の再利用をする際、セメント業者等にそういったものを売れないというような風評被害も生じているということでございます。
15ページからは情報通信でございます。情報通信関係につきましては、電気通信、それから、民放、さらには郵政の関係に分けて報告をしていただいております。
電気通信に関しましては、固定網におけます通信サービス、これについて避難地域の中につきましては、そもそもサービスが停止あるいは今後の復旧に要する費用、こういったものを被害損害として出ていますが、ここにつきまして、地震による被害との関係というものの考え方について示されてございます。
それから、これは事業者ではございませんが、報告としましては、固定通信が減っているんですが、避難者の携帯電話利用の支払い額が増加しているというような報告もいただいてございます。
それから、避難の対象地域外におきましては、むしろ避難地域への支援のための各種措置、無料公衆電話の設置であるとか移動電源車とか衛星携帯搭載車両の貸出、こういったものについて負担が生じているということでございます。
それから、民放の関係でございますが、民放関係につきましては、政府指示等の対象地域外に係る損害といたしまして、避難地域内に立地する企業から、CMの取りやめであるとか、あるいは16ページになりますが、イベントの中止、こういったことで被害が出ているという報告が出てございます。
それから、郵政関係でございますが、これは他の金融とか、あるいはその後の観光などとも関係いたしますが、そこにございますように、警戒区域内、計画的避難区域内、あるいは緊急時の避難準備区域内に郵便局あるいは周辺にかんぽの宿がございまして、こういったところで営業の損害が出ているという報告でございます。
それから、17ページに参ります。17ページから運輸・物流関係でございます。
まず旅客輸送でございますが、具体的にはバス・タクシー事業でございますが、まず特徴としまして、地域密着型、それから、他の需要から来る派生需要、そういった特徴があるということが書かれてございます。
政府による避難指示に係る損害といたしまして、実際その避難区域内の事業所につきまして、その車両あるいは設備が使用不能になっているということでございます。それから、区域外でいわゆる風評被害でございますが、貸切バスにつきましては、観光の被害と同じでございます。あるいは空港アクセスバスについても同様でございますが、そこにございます高速バス、一般路線バス、タクシーにつきましては、東北新幹線の運休等もありまして、一部には特需が、特別な需要が発生しているということもございます。それも踏まえて損害の分析が必要だという報告でございます。
それから、従業員につきまして、こういったタクシーの乗務員等は、歩合制が多く採用されてございますので、給与を会社のほうで負担しても、その分の従業員の給与の減少が出ているということでございます。さらには、バスの場合、行政からの補助あるいは委託による運行をやっている場合、こういった補助金の支給を受けられなくなるということについても大きな影響が出ているということでございます。
それから、19ページでございますが、算定方法、根拠資料のところでございますが、避難区域内に事業所がある事業者につきましては、やはり証拠書類等が事業所のほうに置いたままになっているということで、そういった算定根拠が示されない場合の対応というのを考えなくてはいけないという話、あるいは先ほどの真ん中辺のところにございますが、先ほどの特別な需要による収入との相殺について、相殺をしてしまうと、そういった需要に応じる努力をしてもしなくても同じということになってしまって、不合理ではないかというような報告も入ってございます。
いずれにせよ、大部分が中小企業でございますので、最後のところでございますが、業界団体における仕組みの構築など一定の配慮が必要ではないかということでございます。
それから、19ページの真ん中からは、トラック輸送関係でございます。トラック輸送関係におきましては、これも中小・零細が多くて、かつ荷主等の関係では基本的に弱い立場に置かれているということでございます。
こちらにつきましても、政府指示等の対象地域外に係る損害ということで報告が出てございますが、これまでもヒアリング等でございましたように、そもそも輸送料が減少することによる収入減、それから、風評被害といたしましては、そもそも福島ナンバーによる車両の利用の拒否等の報告が出てございます。あるいは警戒区域、計画区域等を迂回することによる運送コストの増ということも報告されてございます。
それから、20ページ、整備の関係でございますが、整備につきましては、これは特に住民の避難に伴いまして非常にユーザーと整備工場の間で特別な関係と密接な関係がございます。信頼関係が必要でございますので、これをなかなかほかで代替していくというのが困難であって、損害が出ているということでございます。
それから、20ページの下のところからは、利用運送ということで、この利用運送による国際フォワーディング業務ということで調査をしていただいてございますが、21ページの上のところにその業務の内容が書いてございますが、ここにつきましては、現在のところ、損害事例は出ていないんですが、こういった一貫した輸送業務の中で、検査の費用あるいはその積み替えの費用というのがこういった利用運送事業者が負担しているケースが一部見られるということでございます。
それから、次の倉庫の関係でございますが、倉庫の関係につきましては、これも出荷停止あるいは避難区域であれば操業停止、こういったことによりまして、地元の中小倉庫業者、こういったところが非常に大きな影響を受けているということでございます。
それから、22ページ、ここからは海運になりますが、まず航行危険区域の設定に伴いまして、そこを迂回するということで、迂回状況あるいはそのための追加コストというのを報告していただいてございます。
それから、風評被害といたしましては、やはり旅客数が減っているということで、22ページの1.の下のほうに書いてございますが、前年比3割以下という報告がございます。さらには検査費用もかかっていると。
それから、23ページは、これは外航海運でございます。ここにつきましても、航行危険区域の迂回がございます。それから、そのほか23ページの下のところから、外国政府による放射線検査の実施、あるいは国内における検査費用、さらには海外における入港拒否、さらには24ページにございますが、外国の船主が、船が日本への寄港拒否をしていると、こういったことによる損害をまとめていただいてございます。
それから、24ページ、航空関係でございますが、航空関係につきましても、飛行禁止区域設定がされたことによる迂回費用、さらには24ページの一番下でございますが、機内放射線量検査の実施、あるいは外国人のパイロットが帰任できないことによる便の欠航、さらには旅客数の減少といった被害が出ている。さらには空港そのものの営業収入も減少しているということでございます。
続きまして、26ページからは第3分冊になります。第3分冊では、中小企業、それから、卸売・小売、金融、サービス業、観光、それから、学校・スポーツ・文化関係、さらに医療・福祉関係、最後に地方公共団体ということでまとめてございます。
まず中小企業につきましては、まず廃業や倒産の場合の損害の算定方法について検討していただいてございまして、例えば他の地域に新たに事業所を開設する場合でも、旧事業所の事業については廃業として算定をしなければいけないのではないかであるとか、あるいは損害の算定方法についての事業用資産の損害、あるいは営業損害、これの考え方についてまとめていただいてございます。
それから、政府指示の対象地域外に係る損害ということで、これも観光、これは縦横の関係になりますので、ほかのところでも報告されているとおりでございますが、観光業、食品製造販売業など、非常に幅広い範囲に及んでいるということで、損害の算定方法についても、業績の回復が見込まれる場合、あるいは見込みがもうないのではないかという場合で分けて考えてはどうかというような考え方が示されてございます。
それから、ここからは消費流通ということでございます。
まず小売につきましては、避難等区域内の店舗の数、そこで生じた損害の項目はそこにまとめてございます。
さらには、27ページの下にございますが、避難に係るものだけではなく、出荷制限、これにかかる損害、さらには風評被害、これによる損害というのが生じているということでございます。風評被害につきましても、食品関係だけではございませんで、観光で、観光客相手の小売業、こういったところについても観光の風評被害の影響が出ているということでございます。
さらに28ページには、雑貨卸売、そういったところにも影響が出ているということでございます。ここではそれぞれ通信販売業界、それから、訪問販売業界、それから、医薬品・医療機器の卸売、小売というのを別添で別途まとめていただいてございます。
それから、卸売・小売業の石油製品につきましては、別途報告が出てございまして、ヒアリングでもございましたが、計画的避難区域、避難区域内あるいは周辺のサービスステーションの減収が生じているということでございます。
さらには29ページにございますが、今回の事故に伴って、検査をはじめとする費用が発生しているということでございます。
それから、金融でございますが、金融につきましても、避難等の対象地域に係る損害ということで、貸付債権あるいは役務取引、損害防止費用あるいは店舗の閉鎖、こういったことで損害が生じているということでございます。
それから、29ページからはサービス業でございます。サービス業につきましては、営業損害としてコンサート事業関係あるいは印刷事業関係、リース業関係が報告されてございますが、30ページにございますように、避難の対象地域外におきましても、近隣住民が避難したことによる商圏の喪失であるとか、いわゆる風評被害としまして、コンサートでアーティストが来ないであるとか、あるいはゴルフ場のようなレジャー関連の産業あるいは印刷業につきましてはそもそも風評で発注がないというようなことが生じているということでございます。
ここにつきましても、個別業種ごとにゴルフ場、学習塾、コンサート事業、それから、印刷関連産業、リース業について、別添の報告がついてございます。
それから、30ページの下からは、観光でございますが、ここにつきまして、まず避難等区域の中にこれだけのホテル、旅館等、あるいは旅行業者があるということでございます。それから、その対象地域外の損害といたしまして、風評被害、これが地震による影響を超えて、広範な地域で発生しているという報告がございます。
それから、31ページでございますが、31ページの共通項目のところでございますが、ホテル・旅館、旅行業あるいは観光関連施設、それから、国際会議、こういったところで大きな被害が出ているということでございます。
留意事項といたしましては、その観光分野自体は大変幅広いわけでございますが、今回は時間がないこともございまして、ホテル、旅館、それから、旅行、観光関連施設、国際会議、まだここに限った調査となっているということでございます。
それから、31ページからは、学校関係でございます。学校につきましては、避難区域につきましては、そもそも移転あるいは休校、休園による損害が出ているということでございます。さらには、避難等の対象地域外でも空間線量率等が増加していることによって、校庭の土壌対策であるとか、あるいは空調設備の費用、あるいはモニタリングの費用、あるいはプールに係る費用、あるいはスクールバスの確保、こういったことに追加の費用あるいは損害が生じているということでございます。
さらには、一部風評被害と考えられますが、日本人の学生も含めて、日本人の学生あるいは留学生、これが入学を辞退あるいは退学した、こういうことに係る損害も報告されてございます。
続きまして、真ん中から下は芸術文化・社会教育関係でございますが、ここについては大きく2つに分けてございまして、対象地域内外、これは同じものでございますが、建物、施設、財物、そういったものを所有する者の損害、それから、そういったものを利用して、イベントあるいは公演、こういったものをやる者の損害、これがそれぞれ発生しているということでございます。
続きまして、33ページでございますが、文化財につきましても、避難対象地域にある文化財については、管理不能状態になってございまして、今後、汚染であるとか、あるいは除染も含めた財物価値の喪失、こういったものが想定されるということでございます。
それから、33ページからは医療施設の関係でございますが、ここにつきましても、まず対象地域内ということでございますが、そこでいくつか挙げられておりますような損害が発生しているということでございます。
それから、34ページに参りますと、これは医療機関に特有の面でございますが、入院患者の搬送あるいはこれは医療関係の養成所、こういったところも避難等地域の中においては影響が出ているということでございます。
さらには、5.で特記してございますが、入院患者の搬送等に伴っては、そもそも医療機関の責任の有無というのが論点になってくるのではないかというようなことも報告をされてございます。
それから、医師会におきまして、それぞれ福島県あるいは郡山の医師会で、今回の災害対応ということで追加経費がかかっている、あるいはレセプト・コンピュータ販売・情報サービス等、医療機関の関係事業において損害が発生しているということでございます。
それから、政府指示等の対象地域外におきましても、基本的には患者数等が減少してございまして、あるいは入院患者の搬送、こういったものもやはり地域内と同じように生じているということでございます。さらには、医師の派遣等に係る影響も出ているということでございます。
共通項目で損害の終期の考え方、それから、賠償金の仮払いについて書いてございまして、終期は柔軟に判断すべきということなのでございますが、医療機関もやはり、いわゆる営業損害的なものが発生しておりまして、早期の仮払いの実施が望まれると。そういうことが報告されてございます。
それから、次が薬局関係でございますが、薬局関係につきまして、基本的には他の小売等の営業損害と同じで、避難等に伴いまして、処方箋の受付件数が減っているということでございます。その他、薬剤師の派遣、これをした薬局の営業損害が見られたという報告もございます。
それから、35ページの真ん中からは社会福祉施設関係ということで、これにつきましても、利用者の減少等に伴う営業損害あるいはその利用者が移転したことによって、移動の費用が余計にかかるとか、あるいは重症化を予防するための費用、こういったものがかかっているということでございます。その他、職員につきましても、移転先への移動に要した費用とかそういったことが報告をされてございます。
それから、36ページからは生活衛生関係、これは下のほうにございますが、クリーニング業等でございますが、ここにつきましても、避難地域の中につきましては、そもそも機械、設備の除染、汚染状況等に応じて必要な処理が出てくる。あるいはお客様からの預かり物ですね。こういったものに関する損害もあるだろうと。
それから、対象地域外におきましても、いわゆる風評被害というものは発生しているということでございます。さらには、例えばクリーニングサービスでございますが、こういったものは観光あるいは飲食業、こういったものと相互依存関係にあるということで、いわゆる間接損害が発生していることが見て取れるということでございます。
それから、36ページ下からは、勤労者に係るものでございますが、ここについては、勤労者の定義、範囲というものをきちんと書いていただいた上で、37ページから勤労者の損害の類型ということで、必ずしも第一次指針で明示されていないものについて、そこにあるようなものを挙げていただいてございます。
それから、損害額の算定方法につきましても一般的な考え方を書いていただいてございます。
それから、原発作業員についても同様に損害の類型あるいは算定方法について報告をしていただいてございます。
それから、37ページの下からは、対象地域外ということでございますが、ここにつきましても、対象地域内と一部同様な損害の類型を報告していただいています。
さらに、38ページでございますが、損害発生の終期の考え方についても報告をいただいてございます。
最後に、地方公共団体でございますが、地方公共団体につきましては、最初に、初めに、ここにございますような留意すべきポイントを挙げていただいた上で、38ページの一番下からでございますが、既に生じている損害、これは避難指示区域内でございますが、そこで生じている損害。これは各種の措置になるわけでございますが、あるいは庁舎移転、こういったものでございますが、避難等の指示があった区域外、内外の共通の問題というものを、これは原子力災害に固有に発生しているもの、それから、原子力災害と地震、津波、それ以外の要因、一体となって生じているものに分けて報告をしていただいております。
すみません。短い時間の中でなかなか要領よく説明ができませんでしたが、詳細は、詳細というか、具体的な中身はこちらの3分冊のほうに入ってございます。本日の資料でも一部、ここの内容を使って資料のほうを作成させていただいていますので、今後の審議の参考というよりは、そのベースといたしましてご活用いただきたいと思います。
説明は以上でございます。
【能見会長】 ということでございまして、この膨大な資料ですけれども、これをベースにして今後具体的な指針づくりに反映させたいと考えておりますが、ただいまの報告につきまして何か皆様のほうからご意見、ご質問があればお願いいたします。大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 質問ですけれども、地震、津波と原子力損害との関係についての指摘が結構多かったと思いますが、ひとつお伺いしたいんですが、15ページの情報通信のところの電気通信関係の営業損害等のところで、この2つは分ける考え方が示されていますけれども、完全には理解できていないので、もう少し詳しく教えていただけますか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 これは今こういう書き方が実際報告としてあるんですが、これの意味するところは、おそらく避難解除後の損傷の設備の復旧というのは、そもそも設備の破損自体は地震あるいは津波で起きたものなので、それを復旧する部分は原子力損害ではなくて、地震、津波の損害としてやるべきであろうと。
一方で、この対象期間分の減価償却費というのは、これは結局、通信事業でございますので、設備投資をしてございますので、住民が避難をして、そこが使えなくなった期間の減価償却が、いわゆる損害に当たるという考え方に立って、避難して、その設備を使わなくなった対象期間を、これは本来、地震、津波だけであればすぐに復旧して使えるようになるのにということで、原子力損害、いわゆる避難に伴う損害ということで考えてはどうかということで書かれてございます。
【大塚委員】 これ以外には何か損害になるものは何か。その両方のどちらかわからないような損害というのは何か考えられないでしょうか。いや、ちょっとお伺いしているだけなので、今お答えになれなければ別に結構です。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 中身ではもう少し詳しく損害の項目に書いたかと思いますが、特に地震と原子力損害の関係について、具体的に書いたものというのは、全体としては、留意はしなきゃいけないということですが、具体的に書かれているものはそんなにいっぱいなかったので、ここだけちょっと抜粋をさせていただいたということでございます。
【大塚委員】 ありがとうございました。
【能見会長】 いいですか。草間委員、どうぞ。
【草間委員】 短時間に大変膨大な資料をつくっていただきまして、このアクティビティにすごいなと思っています。これはまだ細かく見せていただいていないので、よくわからないんですけど、例えば医療・福祉等のところですと、訪問看護ステーション等の損害等は取り扱われていないとか、あるいは健康診断等につきましても、ある業種については健康診断あるいは電離則の健康診断が書かれていたりして、健康診断ひとつとってもどういう業種が必要で、どういったところが必要ないかというような判断がないまま、やったか、やらなかったかという報告じゃないかと思います。
そこで、この専門委員会がもし私どもがこれを見させていただいて、もう少しこういう調査をお願いしたいと言えば、今後継続してやっていただけるものなのか。この専門委員会の報告書としては、これでファイナルなのか、その辺のことをちょっとお伺いしたいんですけれども。
【能見会長】 一般論で言えば、これは今後調査が必要であれば続けて調査をするというのが基本的な考え方です。ですから、事務局のほうでも何か。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 現在、専門委員の皆様、あるいはそれに協力をしていただいた関係省庁の皆様には、当面、今のこの報告書の取りまとめを明示的にはお願いしていますが、今後、今、草間先生がおっしゃったようなことを改めてお願いしようというふうに考えてございます。
【能見会長】 ほかによろしいでしょうか。
この報告書の中身については、おそらくもうちょっとちゃんと時間をとって見てからじゃないと、十分議論に反映できないところがあるかもしれませんので、ぜひこれを検討していただいて、次回以降、またご議論いただければと思います。しかし、現在の時点で今の報告の範囲内で気がついた点で、今のように追加の調査をしたほうがいい点があるとか、あるいはここに書いてあることで疑問等があるということであればお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、この報告書についての質疑応答はここで一たん打ち切りたいと思います。
続きまして、議題2ということで、「中間指針の論点について」、ご議論いただきたいと思います。中間指針に向けましては、主な議題といたしまして、前回にもある程度議論していただきましたが、何分難しい問題がたくさん残っており、しかし、時間もあまりないので、できればいろんな論点について明確な結論まで出なくても方向性などが明確になるような議論をしていただければありがたいと思います。
そういうことでまずこの中間指針全体につきまして、前回の議論も踏まえて今回まとめ直した論点がございますので、それを事務局から説明してもらうことにしたいと思います。あとでまた個別に、特に難しい論点につきましては議論の時間を用意しております。これについてはまたあとで申し上げます。
それでは、全体についての説明をお願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 前回の審査会でお出しした資料をさらに詳細化した形で中間指針の論点をまとめさせていただいてございます。
まず1ページでございますが、指針の位置づけ、それから、損害項目に共通する考え方、ここにつきましては既に一次指針の前文で書いてある部分、それから、前回お出ししている内容と変わりませんので、説明は省略をさせていただきます。
その前に、大変申しわけございませんが、これ全体は今までの一次指針、二次指針、さらには二次指針の追補、それをすべて取り込んだ形で最終的な中間指針のたてつけをイメージしてつくってございます。
それで、第3のところから中身に入りますが、まず政府による避難等の指示に係る損害ということで、対象区域、ここについては、一次指針で明示したものでございますので、これに加えまして、この青字で書いてあるところが論点と考えてございますが、2ページの上のところでございますが、前々回の審査会で政府のほうから説明をいただいた特定避難勧奨地点、さらには、これは調査をしますと、一部の地方公共団体で、地方公共団体の要請で一時的に避難をしているところがございます。ここについて対象に追加することとしてよいかというところでございます。
ここにつきましては、具体的にはこの避難区域に隣接するところということで、南相馬市が、現在、警戒区域、それから、緊急時避難準備区域になっているところの外側、一番北側のところでございますが、ここにつきましても、事故後に市によって一時避難を市民に呼びかけてございまして、これはバスなども用意して、あるいは避難先も用意した上で、避難をしているという状況がございます。
基本的には、4月22日の、これは警戒区域、それから、緊急時避難準備区域の設定の政府指示がございますが、この後からは、市のほうは帰宅等を呼びかけてございます。したがって、事故直後、1カ月少しの間、そういった市のほうで独自に避難を呼びかけて、それに応じた市民、避難者がいるということでございます。ここについて、最近設定いたしました特定避難勧奨地点と同様に、新たに避難費用等も損害の対象にしてもよろしいかというところでございます。
それから、続きまして、その避難に係る損害項目のところに参ります。まず検査費用でございますが、ここにつきましては、論点といたしまして、特定避難勧奨地点で避難を選択しなかった者の検査費用あるいはそれの付随費用、これを賠償の対象とすべきかどうかということでございます。
特定避難勧奨地点につきましては、比較的高い線量が測定されている地点ということで、政府のほうで、政府のモニタリングの結果に応じて特定をしてございます。避難される方につきましては、検査費用とした上で対象となれば認められるわけでございますが、とどまる方についての検査費用をどうするかということでございます。
それから、その損害項目のところの避難費用、一時立入費用、帰宅費用、生命・身体的損害、ここについては前回までの議論から特に、第一次、第二次指針のところから大きく追加したところはございませんが、ひとつ申し上げますと、生命・身体的損害のところで、これは前回も申し上げましたが、2ページの一番下の行でございます。健康状態の悪化、ここのところに(精神的な障害を含む。)ということで、一次指針には、これを検討するかどうかということがございましたが、既にその後の審査会の議論の中で含まれてよろしいのではないかということで、ここでは特に青字にはしてございませんが、(精神的障害を含む。)ということを書いてございます。
それから、3ページの精神的な損害のところでございますが、ここについては、第二次指針の追補で出したところでございますが、先ほどの対象区域を追加することによって、そこの精神的損害の算定方法をどうするかというのが一つの論点になってまいります。
さらには、営業損害のところでございますが、営業損害につきましては、そこの青字で書いた部分ございます。「本件事故がなければ得られたであろう収益から、本件事故により負担を免れた費用を控除した額としてよいか」ということでございます。これは第一次指針では、ここは「収益」が「売上」という言葉になってございました。さらにその「費用」のところも「売上原価」という言葉になってございました。通常の損害賠償の場合はこれでよろしいわけでございますが、今回は非常に避難によって長期の休業等が出てございまして、単に商品の売上高とその売上原価だけではなくて、そもそも事業者の間接経費なども含めた営業損害全体を計算するということになりますと、収益、そこに定義が書いてございますが、およそ得られる収入のすべてということでございますが、それと実際にかかった経費、これは商品をつくるために直後要した費用だけではなくて、事業所の維持費とか間接費とかそういったものも含まれるという形で定義をしてございます。
それから、丸2のところは、これは今までの指針と同じでございまして、丸3のところにこの「対象区域内で避難等指示後も事業の全部又は一部を営んでいる者が政府による指示等により生じた営業、取引等の減収分及び追加的費用」ということで、加えさせていただいてございます。すみません。ここは緊急時避難準備区域でとどまって事業をしていた者の損害ということで今まで明示してございませんでしたので、明記をしているということでございます。
それから、その下のところに、これは後ほどの大きな論点として別途資料を用意させてございますが、「廃業や倒産の場合の損害の算定方法、営業損害の終期について、どのように扱うか」、これはまた後ほど資料をご説明したいと思います。
それから、4ページでございますが、就労不能に伴う損害でございますが、これも前の営業損害と同様に、終期についての問題がございます。
それから、4ページの下で、財物価値の喪失又は減収のところでございますが、ここについて丸3、丸4、丸5、丸6を追加してございます。丸4につきましては、管理不能の話でございますが、「対象区域内に所有又は管理する財物の管理が不能等となり、又は放射性物質に曝露することにより、その価値が喪失又は減少することを予防するため、必要かつ合理的な範囲内で所有者等が支出した費用」ということで、予防措置についての費用を明示させていただいてございます。
それから、丸4のところでございますが、「賠償の基準となる財物の価値は、原則として、本件事故発生時点における財物の時価に相当する額とすべきであるが、時価の算出が困難である場合には、合理的な額の簿価を基準として算出することも認められるのか」ということでございます。
これも個別の問題になりますが、それをさらには、前回も議論していただきました「除染や修理に係る費用は、原則として当該財物の客観的価値の範囲内のものとするが、代替性のない財物等については、当該価値を超えたとしても必要かつ合理的な範囲内で賠償すべき損害と認められ得るか」ということでございます。
それから、不動産につきましては、以下の損害については、その契約成立の確実性及び解約等の理由から相当性を判断して、合理的な範囲で損害が認められるとしてよいかということで、不動産の売買契約あるいは賃貸借契約の解約による損害、あるいは不動産を担保とする融資の拒絶による損害、それから、売却予定価格の値下げによる損害、賃貸契約における賃料の減額を行ったことによる損害というのを挙げてございます。
それから、次のところは、航行危険区域設定等に係る損害ということで、飛行禁止区域を追加してございます。
続きまして、6ページでございます。6ページは、5ページから始まっている出荷制限指示に係る損害のところでございますが、ここについては特段のこの時点での追加等はございません。6ページの下のところからその他の政府指示に係る損害ということで、これは前回もお出しをしてございますが、水道水の摂取制限、それから、上・下水道処理の副産物、いわゆる汚泥の取り扱いのための費用について、この損害項目として類型を追加してはどうかということでございます。損害項目としては、営業損害、就労不能等による損害、それから、検査費用というものがございます。
それから、7ページ、いわゆる風評被害のところでございますが、ここはまず第二次指針で策定いたしました一般基準について書いた上で、8ページでございますが、ここには今、第二次指針と同じ内容になってございまして、農林漁業の風評被害、観光業の風評被害、その他の風評被害ございますが、ここにつきましては、この専門委員の調査報告書も踏まえまして、次回の審査会でここの内容の追加についてお諮りをさせていただきたいというふうに考えてございます。ただし、そこの※の2つ目にございますように、食品等の輸入規制、したがって輸出の問題でございます。あるいは外国人観光客の減少、こういった外国人が関与するものにつきましては、別紙を用意して、またご議論をいただきたいと思ってございます。
それから、第9が放射線被ばくによる損害ということでございますが、これは第一次指針の前書きのところで、今後検討することになってございますが、住民も含めまして、放射線の被ばくによって急性または晩発性の放射線障害による被害というものを書かせていただいてよろしいかということでございます。
ここで前回の議論で、この精神的損害の話、特に住民の話がご議論ございましたが、ここにつきましては、住民の被ばくに関して、福島県、県民の健康調査、これを行うことと、行う予定と聞いてございますので、それの結果が出た後で改めて検討してはどうかということで、ここには今、明示をしてございません。
それから、その他といたしまして、被害者への各種給付金等と損害賠償金との調整ということで、丸1には基本原則が書いてございます。「本件事故により原子力損害を被った者が、同時に本件事故に起因して一定の利益を受けたと評価できる場合には、損害と当該利益との間に同質性が認められる限り、公平の見地から、その利益の額を損害額から控除することとして良いか」。丸2でございますが、「同質性の認められる各種逸失利益の金額から控除される、又は損害額から控除されるべきではない給付金等として、いくつかの給付金等を例示する必要があるか」ということでございます。これは具体的には、災害救助法に基づく給付金でございますとか、あるいは労災の給付金でございますとか、いくつかのものがございます。こういったものについて必ずしもすべてがきちんと整理されるわけではございませんが、整理されるものについては指針の中にできれば書き込めればよいのではないかということでございます。
最後に、地方公共団体の財産的損害というのがございますが、ここにつきましては、地方公共団体が民間事業者と同様の立場で行う事業、例えば水道事業であるとか下水道事業、病院事業、その他公益企業がございますが、これに関しては、この指針の中の事業者に関する損害ということで、賠償すべき損害の範囲を判断することとしてよいかということでございます。
それから、最後のところに、これは別の紙がございますが、いわゆる間接損害について、これは特に地方公共団体に関係するというよりは全体に関係するところでございますが、間接損害については別途論点ペーパーを用意してございますので、後ほどご説明した上で、議論していただければと思います。
説明は以上でございます。
【能見会長】 それでは、あとでまた特に取り出して議論する3つの問題、すなわち営業損害の終期の問題、外国人、それから、間接損害についてはあとでまた資料の説明とともに、その後ご議論いただきますので、最初にそれを除いた全体についてのご議論をしていただきたいというふうに思います。
もちろんいずれも難しい問題ですけど、先ほど申し上げたように、ある程度方向性が合意できればありがたいと思いますので、順番に先のほうからやっていきたいと思います。
青く追加していない部分も含めて、まず最初に、第一、第二のところはこれでよろしいかどうかということを確認したいと思いますが、まずここはいかがでしょうか。
大体これは合意いただいている問題かと思いますけれども、第二の各損害項目に共通する考え方の3のところ、これは時々この審査会でも何度か議論されておりましたけれども、地震、津波による損害と、それから、原子力損害との間の区分けといいますか、区別についての問題の一つです。その両者の区分けがはっきりしないというときに、合意的な範囲でもって原子力損害に該当するか否か、あるいは損害額を推定する、推認するということが考えられるわけですけれども、そういうことでいいかということです。よろしいでしょうか。
それでは、もし特にご異論がなければ、第3のほうに移りますが、政府の避難等の指示にかかわる損害ということで、先ほど説明をしてもらったところを中心にご議論いただければと思います。草間委員、どうぞ。
【草間委員】 今、2ページのところの検査費用というところで、これは前々回に米倉委員からたしか発言があったと思うんですけれども、この避難等の対象区域から避難しなかった人達をどうするかという議論も必要と思います。本日の資料では、特定避難勧奨地点で避難を選択しなかった人達について対象とすべきかについて書いてあるんですけれども、もともと避難等の対象区域であったにもかかわらず、残っている方たちが何人かいるわけですので、そういう方たちの検査費用等をどう取り扱うかというのはやっぱりはっきりさせて、おく必要があるのではないかなというふうに思ったんですけど。
それともう一つ、先ほどこの専門委員会の、専門委員調査報告書でお示ししていただいた中に健康診断の費用というのが結構あったわけですけれども、その健康診断の費用というのは、検査費用のほうに入れるのか、あるいは生命・身体的損害のほうに入れるのか、どちらなんでしょうか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 今、事務局としては、健康診断の費用は検査費用で整理をして、議論をしていると理解をしておりますが。
【草間委員】 それはきっちりしておいていただいたほうがいいかなと思います。というのは、2ページの下のほうで、「負担が増加した検査費」とありますけれども、検査費だと、何々の検査をしましたという検査の費用だけですけれども、要するに、診断、評価をするということが大変重要ですので、だから、2の最後のほうは、これは診断費用のような表現が良いのではと思います。健康診断は診療報酬からは出ないので、そうすると、1のほうに入れるというふうに考えてよろしいわけですね。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 そういうことになります。
【草間委員】 なりますよね。
【能見会長】 なかなか限界が難しいところはあるのかもしれませんけど、抽象的な説明では、例えば今ご指摘のあった2ページの5の丸1の2)のところの検査費用ですか。
【草間委員】 この検査費は、これは検査費というよりも診断費、要するに、診断のための費用という形で検査を含む診断にして、それで、健康診断についてはどちらかというと、上の1のほうに入れるわけですよね。1の検査費のほうに。この表現だと、どちらかというと、被ばくに関係した検査のように読めるので、ここの中に、例えば安心のために行った健康診断等は含むと書いていただいたほうがわかりやすいかなと思ったんです。というのは、今日のご説明の中に、健康診断の費用というのは結構入っていましたよね。だから、それをどこに入れるかというのを明記していただいたほうがはっきりすると思います。
【能見会長】 まだ私も十分この区分けが理解できていないかもしれませんけれども、何か具体的に病状が悪化するとか、そういう懸念があって、それを防止するために健康診断を受けたり、検査をするというのは一つのカテゴリーであり、そういうものが具体的には、非常に抽象的、漠然とはあるのかもしれませんけれども、とにかく安心のためにと言うんでしょうか、検査をするというのは、さっきのように健康の悪化を防止するための検査とはカテゴリーが違って、それが独立の検査費用として取り上げられている、そういうことですよね。
【草間委員】 そうですね。
【能見会長】 それでよろしいんじゃないでしょうか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 では、そこははっきりわかるように書き方は工夫させていただきたいと思います。
【草間委員】 もう一つよろしいですか。
【能見会長】 はい。どうぞ。
【草間委員】 3ページのところもいいでしょうか。
【能見会長】 3ページも構いません。
【草間委員】 営業損害の中で、このブルーの字で医療事業における診療報酬とありますよね。これは先ほどのご説明にもありましたように、医療事業だけじゃなくて、介護施設あるいは社会福祉施設等もあるわけです。そこで医療事業は、医療、社会福祉あるいは介護事業というような形にしていただいて、診療報酬だけじゃなくて、介護保険からあらわれるというのもあるかと思いますので、介護報酬も書いていただいたほうがいいかと思いますけど、いかがでしょうか。
【能見会長】 それでよろしいんじゃないでしょうか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 一言申し上げさせていただくと、今は例示で書いてございますので、今、委員がおっしゃったようなことは当然含まれるという認識で書いてございます。
【能見会長】 あと質問等で、これでよいかという形で書いてある点はいかがでしょうか。ちょっとまた戻りますけど、2ページの一番上のほうの特定避難勧奨地点及び一部の地方公共団体の要請による一時避難に対し、これを対象に加えていいかということですが。
【草間委員】 よろしいでしょうか。この前、前々回に特定避難勧奨地点から避難するかどうかというのは、この前のご説明ではあまりはっきりしなかったんですけれども、でも、いずれにしましても、この地点に指定されたということだとすれば、やっぱり対象に入れるべきじゃないかなと思います。
【能見会長】 はい。ほかの皆さんもそれでよろしいですか。田中委員、どうぞ。
【田中委員】 これはかなり実態が複雑で、お隣同士で、隣が避難の地点になって、その隣が避難勧告されていないというような、それから、避難勧告されても自主判断に任されていて、六、七割ぐらいが避難するというような答えを出しているとかですね。若干複雑で、残っているほうが逆に、避難勧告を受けていないほうが不安が大きいなど社会的な問題になっているというところがありまして、今までの一括した避難区域と少し様子が、実態が違うので、あんまり一律じゃないほうがいいような気もします。あんまり軽々に補償のことを決めてしまうと、そこの社会、コミュ二テイ自体が非常に混乱に陥るというか、そんな感じを受けています。だから、そこをどうするか、私も結論はよくわからない。原則はもちろん避難勧告を出したのだから補償するんでしょうけども、いろんな問題がまだ十分に社会的には整理されていないような気がするものですから、少し様子を見てから決めてもいいのかなという感じもします。いや、これは難しいと思います。
【能見会長】 草間委員、どうぞ。
【草間委員】 いずれにしても、国がもう特定避難勧奨地点というふうに決めたわけです。このお宅は避難したほうが良いですよと言われて避難した方に対しては、これはもう少し待ってというんじゃなくて、やっぱりここの中に書き込むべきなんだろうと思います。その後、勧奨地点になったけれども、避難しなかった人はどうするかということについては、先ほども避難区域、警戒区域等でも残っている人たちもいるわけですので、そういう人たちをどう扱うかというのはまた別途考えることにして、いずれにしても、地点というふうに指定された方で、もう避難を実施した方には、この中間指針の中で書き込むべきじゃないかなという意味で発言させていただいたんですけれども。
【田中委員】 原則はそれでいいと思いますが、それだけで全部いいかどうかというところが若干私は疑問が残るというか、問題を残すかもしれないということだけはここで考慮しておいたほうがいいかもしれないと思いますね。ここはなかなか難しいんですけど。
【能見会長】 この特定避難勧奨地点において、世帯ごとにこの指定と言うんでしょうか、該当するところとしないところが出てきて、少なくとも草間委員が言われたように、該当するところで、そういう意味で、該当した以上は避難するということが勧奨されるわけで、それについての行政的な支援もあるわけですが、そういうところで避難した人については、避難指示があって、避難した人と大体同じ扱いをしていいだろうということでしたよね。問題はやっぱり、避難するか、しないかはある程度自由なので、そこで残る人についてどういう扱いをしたらいいかというのはやっぱり難しい問題で、これは慎重に考えて、この指針の中でもあんまり明確にはそこは書いてなくて、今、検査費用のところだけ避難を選択しなかったものの検査費用という形で出てきていますけれども、ほかにもいろんな問題があって、そういう意味で残る人についてもうちょっと検討するというのはどうかというのはひとつ考えなければいけないですね。
この点につきましていかがでしょうか。なかなかこれは難しい問題を含んでいると思いますけれども。野村委員、どうぞ。
【野村委員】 ただいま会長のまとめられたことでよろしいと思います。避難区域に全く指定されていないけれども、自主的に避難している人をどう扱うかというのはまだ議論していないわけですよね。検査費用に関するいまの問題の延長上にその問題があると思うのです。今はとりあえず避難したことが合理的な行動かどうかということからすれば、勧奨されているか、もうちょっと強制力が強いかという違いなので、とりあえず避難している人については同じに扱うということでよろしいのではないかと思っています。
【能見会長】 ほかの皆さん、よろしいでしょうか。
そういうことで、残る人についてどうするかというのはもうちょっと議論したいと思いますが、もし意見がまとまらなければもうちょっと先に延ばすということになりますけれども、いろんな問題点の一つがこの残らなかった人の検査費用であるとか、あるいは特定避難勧奨地点というのも一定のレベル以上の放射能に曝露するという地点ではありますので、そういう地点において、家族の一部が避難し、一部が残るというような状態が生じ得て、そういうときに残った人というのはどうなるかという問題もあるように思います。
そういうものについての検査費用以外の、それこそその場合も家族が引き裂かれたという意味での精神的損害というのも考えられるかもしれませんし、いろんな問題がたくさんありますので、これは後回しにさせていただくということにしたいと思います。
それでは、今の特定避難勧奨地点、それから、この一部の地方公共団体の要請によるというのも、これも含めていいでしょうかということですが、今、野村委員が言われた言葉を使わせていただくと、そこにいる住民としては、たとえ国からでなくても、地方自治体から避難というものが要請されれば、やっぱりそれに従うというのが合理的な行動だと思いますので、これは追加していいのではないかと。いや、私があんまりリードしてはいけませんけど、と思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。じゃ、これはこれとしましょう。
それでは、検査費用については、これは先ほど草間委員が言われたように、本来避難すべきであるけど、残っている人についてどうするかというものと一緒に検討すべきであるということで、今必ずしも十分、議論があればお願いしたいと思いますけど、なければ次回回しにさせていただければと思いますが。
【田中委員】 1点だけ。
【能見会長】 はい。田中委員、どうぞ。
【田中委員】 2ページの5のほうは、明らかにこれは疾病とか何かがあって病院に行っているということだから、これはいいと思うんですけれども、今、特定避難勧奨地点だけじゃなくて、安心のため検査を受けたいということを認めてしまうと、もうみんな受け始めるんじゃないかという気がするんですが、そのこと自体が悪いということではないんですけれども、それをどういう内容の検査を受けるべきか、安心のための検査というのは一体何だというところになってくるとかなりあいまいになってくるので、そこのあたりを何か尺度を本来決めて、それについては国が補償してやりますよとかと言わないと、個人がいろんな検査を勝手に受けて、それを全部補償するということになると、ややこしいなという感じがするんですが、草間先生とかはどう思われますか。
【草間委員】 JCOのときもそうだったと思うんですけれども、JCOの事故の場合は2つ委員会ができて、1つはJCOの作業者をどうするかというのと、もう1つは住民の健康管理をどうするかという委員会2つができました。住民の健康管理に関しては、線量がいいかどうかは別として、ある線量以上の住民に対しては、健康診断を定期的に実施するという形の指針というかスタンダードができたわけです。だから、いずれにしてもそういう形でやらないと、だれでも健康診断をやったら対象ですよということではないと思うんですね。だから、いずれにしても、今、国のほうがあまり統一されていないでばらばらになっているんですけれども、住民のフォローをどうするかというのは、厚労省なりできっちり1つの指針をつくっていかなければならないのではないかと思いますけども、そういう対象になった方たちのという意味の健康診断だと思います。
住民の不安を解消するためには、健康診断云々よりも、まず被ばく線量がどうだったかということが優先して検査されるべきです。だから、だれでもが健康診断やったら対象というのではないと思います。
ただ、先ほどもありましたように、この報告書の中の健康診断は、電離則、あるいは労安法に基づく健康診断ですけれども、そういったものを追加でやったりしていますよね。だから、そういったものを含むという形の意味の健康診断のつもりで言ったんですけど。
【能見会長】 今、草間委員が言われたように、一定の基準で線引きをされるんだろうと思いますけど、その基準をもうちょっと議論しようということですね。
よろしいでしょうか。
【草間委員】 多分、その基準はここではなくて、別なところできっちりしないといけないと思います。そうすることが、住民の不安を解消することになると思いますので、こことは別に、そういったものをきっちりやっていただくということ、大事だと思います。
【能見会長】 よろしいですか。
2ページ目の下から2行目の「治療費を要する程度」というのは「治療を要する」の誤植ですか。はい。
それでは、あとは3ページのほうの特定避難勧奨地点から避難した者、これは先ほどのように、避難すること自体は一応合理的な行動であるという前提で考えるわけですが、その精神的損害の算定方法をどうするかということでございます。
いかがでしょうか。1つの考え方としては、避難指示等によって避難した人と同じように考えていくということだと思いますけれども、起算点であるとかそういうものなどは少し議論しなくてはいけない問題があるかもしれませんね。大体こういう方向で、こういう方向というのは、含まれることはいいけれども、細かい、いろんな関連する問題をもうちょっと詰めるということでよければ、先に行きたいと思います。
営業損害、先ほども議論がありましたが、ここら辺はいかがでしょうか。
これも大体よさそうでしょうか。
それでは、4ページの財産価値の喪失等のところですけれども、3、4、5、6、4つほど青で追加されているところがあります。私が、気がついた点では、5の汚染除去や修理に係る費用というのは、原則として当該財物の客観的価値の範囲内のものとするけれども、つまり、それを超えるような修繕費用というのは、本来そのものが持っている交換価値を超える額になるので、そういうものまで賠償させるのは例外的にすべきだということで、代替性のない財物に限定されるという考え方です。
おそらく問題になりそうなのは、代替性のない財物とは一体何かということで、これはもうちょっと具体的に書いたほうがいいのかなと思いますけれども、文化財みたいなものはもちろん代替性のない財物であると。しかし、これはそんなに大きな争点ではないと思いますが、問題は、土地であるとか、建物が入るかどうかあたりが微妙かもしれませんね。土地全体が入るというのであれば問題ないし、土地すべてが入るわけではないということになると、農地とか、土地の種類によって少し分けなくてはいけないかもしれないし、そんな問題が少し残されているかなと思います。
ほかの4から6まで含めて、よろしいでしょうか。
どうぞ、大塚委員。
【大塚委員】 5の、基本的に財物の客観的価値の範囲内のものとするというのは私も賛成なんですけれども、これは、理由は一応示しておかなくてよろしいんでしょうか。土壌汚染についてドイツの連邦憲法裁判所の判決がこういう考え方を示していることは承知していますが、何かこの議事録に残しておいたほうがいいかなと思いまして、おうかがいします。
【能見会長】 なかなか難しいですよね、合理的な理由というのは。これも損害賠償というものをどう考えるかという根本的な問題に関係するので、交換価値さえ賠償すればいいんだというのが1つの考え方であり、もう1つは、損害というのは元の状態に戻すということが損害の賠償の精神なんだということで、原状回復するということこそが賠償の原則だというふうに考えると、汚染の除去のため、土壌汚染の除去なども含めて、そういうことをさせて、元の状態に戻すことが損害の賠償だという考え方になり得る。
日本は、原状回復という考え方を必ずしもすべての場面にとっているわけではなくて、例外的に幾つかの法律で認めていますが、原則は、現状回復というよりは交換価値の賠償であるというのが基本的な考え方なので、それが原則であるけれども、例外的に現状回復させる場合があると、そういうことを書けという趣旨ですか。
【大塚委員】 どうもありがとうございました。
【能見会長】 それ自体はよろしいかと思います。向こうは異論があるかもしれませんが。ただ問題は、どういうときに例外的な、原状回復的な賠償、汚染の除去などの費用などを賠償させるかということにあるかと思います。
ただ、もう1つよくわからないのは、土地などの、農地などの汚染を除去しなくちゃいけないということになると、これは個人レベルで行われるものではなくて、行政的なレベルで行われる可能性があるので、それもちょっと見通しをつけておかないと、最終的に、抽象論はこれでいいと思いますけれども、具体的にどういうふうにこの基準が機能するかというときに、十分判断できないことが生じるかもしれません。
よろしいですか。中島委員、どうぞ。
【中島委員】 今の点なんですけど、会長おっしゃいましたように、農地なんかは時価が大変低く抑えられていますので、それを上限にしますと、ほとんど除去費用が出ないということになってしまいますので、そうすると、代替性のない財物と言えるかというところも少し問題になりますので、ここは少し議論の余地を残して、例えば公共性の高いものとか、何らかのそういう別個の要素も入れたほうが、より機能するように思うんですが。
【能見会長】 今のような考え方も少し検討してみたいというふうに思います。
よろしいでしょうか。
それでは、第4に移って、飛行禁止区域の設定による費用の増加分等については、これはよさそうな気がしますけれども、第5の出荷制限、これは今までどおりですけれども、第6のその他の政府指針に係る損害について。先ほど、水道の摂取制限の話がありました。それから7ページのところ。よければもう少し先へいって、いわゆる風評被害については、これは先ほど説明がありましたように、もう少し調査の、報告書を踏まえて検討したいということですので、次回まわしにしていただければと思います。
それから第9、これも先ほど説明があったとおりですが、住民等の、ある程度被ばくをしているけれども、健康障害にまで至っていないというときの精神的損害などについては、現在している調査をもうちょっと踏まえて判断したほうがいいということでございます。
それ以外は特にありますでしょうか。
【草間委員】 第9でもよろしいでしょうか。
【能見会長】 どうぞ、草間委員。第9でも構いません。
【草間委員】 第9のところで、本件事故により放出された放射性物質によるとなっておりますが、外部被ばくもあったりするわけですから、放射線による被ばくという表現ではだめなんですか。放出されなくて原子炉そのものにある放射性物質からの外部被ばくもあるわけですよね。今、これだと放出された放射性物質とあるので。
いずれにしても、放射線被ばくによるというのはきっちりしておかないといけません。これから問題になる健康影響は晩発生のものです。急性の放射線障害というのは、出るとすればもう4カ月たっているので出ちゃっているはずなんですね。急性障害というのは数週間以内に出る障害を言いますので。これから問題になる晩発障害の場合は、その障害が放射線に特異的な症状ではないので、放射線被ばくによる晩発性の健康障害であるということを明記しておかないといけません。放射線被ばくに起因したというのをどう判断するかというのはまた別なところできっちり基準をつくらなきゃいけないかと思いますけれども、それはしておかないと大変混乱すると思います。
それと、原子力発電所の作業者と自衛官とか消防署の方々とか、こういった方たちは労災補償、または公務災害補償の対象になるわけですので、ここに書く必要があるのかどうかというのはちょっと疑問なんですけれども、原賠法は、そういった労災補償も補償するという形でしょうか。
【能見会長】 ちゃんとそれは書いてあります。労災との関係は書いてあります。
【草間委員】 少なくとも作業に伴う、業務に伴う放射線障害だとすれば、労災補償、あるいは公務災害が補償の対象になるはずです。判断は厚労省等の委員会で行われますので、原賠法の対象にするのかどうかというのは区別したほうがいいと思います。
【能見会長】 ちょっと専門的なこともあるので、事務局のほうから説明したほうがいいかもしれないですね。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 最初の放射線、それから放射線被ばくのほうは、事務局としては、一応、外部被ばくも含めて放射性物質によるものだという理解でここに書きましたが、先生のおっしゃるとおり、そもそも障害との関係では被ばくによるという書き方にさせていただくことが適当だということでございますので、そういうふうに直させていただきたいと思ってございます。
それから、2つ目の労災との関係でございますが、これは先生もおっしゃるように、労災でカバーされる分については、いわゆる原子力損害賠償法の損害賠償からは控除されるわけでございますが、必ずしも損害すべてがカバーされるわけではない。例えば、精神的損害等について、必ずしも労災ですべてカバーされないということですので、改めて書いてあるということでございます。これはたしかJCOのときの研究会の報告書にも、やはり同じような書き方がしてあったというふうに理解してございます。
【能見会長】 よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。
今の点とも少し関係しますけど、10まで移りましょうか。その他のところ、各種給付金等と損害賠償金との調整。これもなかなか悩ましい点で、各種の給付金というのがどういう趣旨で支払われるのかというのは明確じゃない場合もありまして、損害賠償として払われる、あるいはそういう要素を持っているということであれば、全額かはともかくとして、損害賠償と二重どりになるのはまずいので、損害賠償の額からは控除されるという扱いが、判例などでは認められているところであります。
ところが、各種の給付金というのがどういう趣旨で払われているのかというのが明確でないものが多いので、そういうときにどうするかということも含めて、この第10では一定の考え方を示しているというところです。
先ほど事務局から説明があった、一番重なるところが大きそうなのは、災害救助法による給付ですか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 そういうふうに理解しております。ほかにも各種、大きいものから小さいものまでいろいろございますが。
【能見会長】 そういう意味では、もちろんすべてについて明確にできればいいんでしょうけれども、災害救助法による何金というのかわかりませんけれども、そこの給付との関係は明確にしておいたほうが言いいかもしれませんね。この作業はまた引き続きしたいと思いますけれども、何か今の段階でご意見があれば。よろしいでしょうか。
それ以外の点はいかがでしょうか。地方公共団体の財産的損害についても。
これは高橋委員がおられれば、また高橋委員のご意見があったかもしれませんけれども、地方公共団体が民間事業者と同様の立場でもって事業を行うという場合に関しては、本指針に基づいて判断すればいいということで、おそらく、それ以外のいろんな損害があるというのが高橋委員のご意見だったと思いますけれども、それはとりあえず、今ここでは触れていないということでございます。
これについても、高橋委員がご意見があるかもしれません。それを踏まえて、次回以降、修正が必要であれば修正する。必要なければこのままでいくということでよろしいでしょうか。
ちょっと時間をとってしまいましたけれども、それでは、個別の論点で重要な問題について、幾つか分けてご議論いただきたいと思いますので、これに移りたいと思います。
では、これについての説明をお願いいたします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 まず、一番最初は資料3-1、3-2でございます。警戒区域等における営業損害の終期について、あるいは他収入の控除についてということで、パワーポイントを縦に集約したものの2枚紙になってございます。
まず、一番最初でございますが、営業損害の終期ということで、警戒区域の中で避難したことによって営業損害が発生しているA社というものがあるわけですが、基本的には、この営業損害の期間をいつまで認めていくかということでございます。検討すべき論点のところに書いてございます。1として、一般的には、事業者・労働者は、転業による対応が可能でございますが、その補償に期限を設けなくてよいか。といいますのも、裁判実務では合理的な期間を定めているのが通例でございます。裁判例につきましては、資料3-2に書いてございます。
逆に、現在の事故の状況の中、最終的には戻りたいという希望が多い中で、企業が設けることそのものが問題ではないかという考え方がございます。
それから、将来の見直しという観点では、むしろ終期を示したほうがよいかという考え方もございます。被害者の予見可能性を高める、あるいは補償金の支払いの可能性、これを特に早い段階で支払われるということで、有益ではないかということでございますが、これにつきましても、先ほど同じように事故が継続中であるということで、前回も議論がございましたが、今の段階ではなかなか難しいという考え方もあるということでございます。
さらに、終期について一般的に示すのか、それとも具体的な期限を示すのか、さらには業種等について差を設けていくのかという論点がございます。
それから、終期の問題と若干関係が出てきますのが、他収入の控除についてということでございまして、ここの下のところでは、A社という、途中で避難をした後、他の収入を得た場合です。ここ、例として自警団に参加しというのがございますが、B社のほうは、特に新たな収入は発生せずに、営業損害をこうむっているという状態でございます。ここについて、損害賠償、次のページのところに検討すべき論点というのがございますが、新たな収入を控除すると、A社の収入とB社の収入は同じになって、これは先ほど専門委員のほうからも一部ございましたが、努力したA社が報われないのではないかと。逆に、A社の新たな収入分まで補償することがほんとうに適切かと。逆に新たな収入を得れば、全く補償する必要はないかというような論点がございます。
いずれの案をとるにせよ、終期がいつまでかという問題がございます。あるいは、新たな収入を得る場合とそうでない場合で、終期は同じなのか違うのかという問題もございます。
それから、その下のところでは、移転に係る問題が出てございます。ここではA社のほうは避難区域へ警戒区域から移転をして、新たに事業を始める場合を想定してございますが、そのまま残る場合に、B社でございますが、営業損害が続くのと、それから移転をすることによって、移転に伴う費用、さらにはその後の従来利益との差分、これについてどう考えるかという問題がございます。
その次のページのところに論点が書いてございますが、これまでの論点に加え、移転に伴う新規投資が損害賠償の対象となるのかということ。あるいは移転をした場合に、もとの場所に残っている資産をどう考えるかという問題がございます。これ、参考までに公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の営業休止をした場合ということで、そこに書いてございますが、休業等による一時的に得意を喪失することによって通常生ずる損失額というのは、損失として認めているということでございます。
それから、次は倒産・廃業に伴う損害でございますが、倒産・廃業した場合の損失をどう算定するかと。既に例が発生していると考えられます。営業損害というのを、倒産の後の営業損害、あるいはその終期をどうするかという問題がございます。ここにつきましても、参考といたしまして、公共用地の取得に伴う損失補償基準という例を挙げてございます。
裁判例のほうは、先ほどそれぞれのところで引いてございますが、1つは、裁判例で終期を定めている例が、この1ページのところでございますが、ポイントのところに書いてございますが、1年7カ月後であるとか、あるいは3カ月のみであるとか、3年の程度で認めるという判例がございます。それぞれ場所によって違うわけでございますが、それから、2ページのところでは、これも2年、あるいは1カ月半という格好で判例が出てございます。
それから、最後の4ページでございますが、4ページの2つ目のところの、これは最高裁の判例の、この真ん中より下のところ、例えばというのを見ていただきたいんですが、例えば、事故の前後を通じて収入に変更がないことが本人において云々で、減収を回復すべく特別の努力をしているなどの収入については、これは控除しなくても認められるのではないかというようなことが、裁判の判示部分の中に書いてあるというような例がございます。ここについては、その他収入の控除のところの参考になるかと思ってございます。
資料の説明は以上でございます。
【能見会長】 なかなか難しい問題でございますが、いかがでしょうか。
出発点となるのは、この営業損害などは、現在、仮に避難指定地域でそこでの営業はできなくても、ほかのところでも営業ができないわけではないので、そういう意味では、永久に戻れない間、ずっと営業の遺失利益分を賠償させるということがいいのか、あるいは、それには一定の限度があるのかというところからご議論いただければと思いますけれども、前回も少し議論があって、大塚委員も判例を調べてほしいということでございましたけれども、今回、こういうふうに少し判例を調べてまいりました。
何かご意見があればと思うんですが。大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 別に考えがまとまっているわけでなくて恐縮なんですけれども、一定期間という考え方は、一般的にあり得るとは思っています。ただ、ここにも書いてあるように、今回、いつ戻れるかがわからないというところがあるものですから、戻ることに対する期待というのもおありになると思うので、そことの関係をどう見るかというところはまだ議論としては残ってしまうのかなと思っています。一般的に言えば、おそらく一定期間で区切るという考え方が、しかもそれは多分、業種によって違うと思いますけれども、あると思うんですけれども、戻ることに対する期待をどう考えるのかというところが、私自身も迷っているところでございます。
【能見会長】 そうですね。戻ることへの期待、私もまだ十分整理できていませんけれども、これは理論的な問題というよりは、多少、政策とまでは言わないけれども、そういう気持ちを尊重すると、理論の扱い方も少し変えてもいいかもしれないと、そういうところなんですかね。ちょっと理論的にどういうふうに考えていいか、私もよくわからないところがあるんですけれども、皆さんのご意見、あるいは単に感想でも結構ですけれども、言っていただければと思います。
おそらく出発点は、最初に申し上げたように、事業の場合には、これも農地であるのとか漁業とか、そういうものとまた一般の事業って違うんじゃないかと思いますけれども、ほかのところでもって事業をして生活の収入を得るということが十分可能であり、また、それが可能だとすると、元の場所で事業ができない間、ずっと何もしないで賠償だけに頼るというのが適切なのか、やっぱり被害者のほうにも、それなりに損害軽減義務というのが一般的にはありますので、それなりに収入を得る道を探ってもらうということが期待され、そういう観点からすると、補償の期間というものも一定の限度があるのではないかと、そういう考え方ですね。
そういう考え方としてはそんなにおかしくないんだと思いますけど、なかなか難しいのは、じゃあ一体どのぐらいで切るのかというのは、これはなかなか難しい問題で、裁判例もいろんな個別の事情はいろいろ考慮しているようで、いろんな期間が出てきております。ということで、なかなか期間を設ける、制限を設けるのはいいとしても、どのぐらいかというのが決めにくいと。そこで、公共用地の取得に伴う損失補償基準というのがあることはあるわけですけれども、これに基づいていいのかどうかというようなところが論点なのではないでしょうか。
なかなか難しい問題かもしれません。もしご意見があれば。中島委員、どうぞ。
【中島委員】 調べていただいた判例や公用収用の損失補償基準は、いずれもある一定時点から事故や収用によって財産が使用できなくなることを前提にして、その時点から起算して2年なり何年間の営業損害を賠償・補償の対象とするということをいっているわけです。ところが、今回の事故では、未だ事故自体というか、放射性物質の放出自体が未だ継続していて、その収束の工程表が出ているわけですから、少なくとも放射性物質の放出が工程表上、収束していないというのが建前だと思いますので、公用収用の起算点がまだ開始されていないと見たほうがよいのではないかと思うんです。
かといって、じゃあ、このままずるずるいつになるかわからないというのもはっきりしませんので、例えば、今、建前として出されている工程表によって放射性物質の放出が収束する時期には、企業なり、事業者としては、転業するなりの今後の方針を明確に選択すべきときであると考えて、そこから、損失補償基準にいう「転業に通常必要とする期間」がスタートすると考えたほうがよいのではないのかなと思うんですが。
【能見会長】 今のもまさに1つの論点でして、まだ、現在、そういう意味では、公用収用に相当する決断というんですか、もう、そこで従来の事業についての明確な見通し、戻れるか戻れないかも含めて、そういうのが明確でない段階での考え方としては、なかなか期限を区切るというのは難しいのではないかというご意見ですね。これは、あり得る1つの重要な考え方だと思います。
私も個人的には、一定の期間はあるんだろうなと思いますけれども、どの段階で据え置き期間を設定するかというのと、それから、どのぐらいの期間を設定するのか、両方がなかなか難しいと考えておりまして、そういう意味で、あるいは現在の時点で収用期間を設けるのは難しいなと考えております。
ただ、もう一つ、見通しがつかないけれども、現在、今の時点でもって見切りをつけて、新しい事業をしたいという人が出てきたときに、これは、ある意味で、その本人がそこで決断するわけです。そのときに、どういう補償が得られるのかと、そのときに、また同じ問題が出てきまして、そのときに、公共用地の収用が決定されたのと同じようなみずから自分であきらめて、新しい事業に移るという決定をしたときに、じゃあ、何年分ぐらいの補償というのがそのとき得られるかという問題があって、これもできれば解決しておきたいというのは、そういう人たちが1年ぐらいの間に実際に出てくるだろうと思うんです。ということで、そうなると、ある程度のその期間というのがもしあるのであれば、それが決められれば今のような人にとっては、現時点でもって補償、得られる金額の可能性がわかるのでありがたいということもありますけれども、中島委員が言われたように、まだ、ちょっと時点が早いんじゃないかというところもあって、なかなかここは悩ましいところだと思っております。
これは、おそらく、この場ですぐ考えて答えを出せというのはすごく難しいので、ある意味で宿題みたいになるかもしれませんけれども、もし、ご意見があれば伺って、また、審査会の終了後でも結構ですけれども、ぜひ、よいお知恵を拝借できればと思います。
田中委員、ぞうぞ。
【田中委員】 全くの素人的なんですけれども、警戒区域の解除というのは、今の時点ではおそらくいつからという、そもそもそのマイルストーンが全然国は、原発サイドの冷却についての一応目標は出していますけれども、その外側については、警戒区域とか、避難区域をどうやって解除するかということについては全く今出ていないんです。
一方では、住民の中では、子供を持っている若い人たちは、ここに戻るのをやめて新しい職業を求めようとか、そういう方もかなりおられるように聞いているんです。そういう人たちは、今、会長がおっしゃったようなその本人の申し出によって、何かそういうができるのかどうかというのをご検討いただいたほうがいい、現実には、その人たちの生活再建という意味でもいいのかなと今ちょっと思いましたので、法律とは全く関係ない意見ですが、そんな感じがしました。
【能見会長】 いろんな自立の道、いろんな可能性があるわけですけれども、その中の1つとして、従来の事業は継続しにくいだろうと判断して新しい事業に移りたいと、そのときにも、毎月毎月の営業損害というのはもちろんしばらくの間続くわけですけれども、新しい事業をやるとなるとそれなりに一時金が必要になってきますので、それを、先ほどありました新規投資というのが損害になるかという論点にも関係しますが、そういう考え方もあり得るし、営業損害を毎月毎月賠償してもらうというのを、一気に、いわば一時金という形でもって賠償を受けて、新しい事業のために使うというのも考えられるので、そのときに、一時金というのはどうやって算定するのかという問題になってくる点でございます。
野村委員、どうぞ。
【野村委員】 自分のほうから決断して事業をやめるとか、あるいは違う事業を始めるというときには、比較的算定がしやすいのかなと思わないでもないのです。例えば、その時点で、こういう状況でなければ、その企業がどれだけの経済的価値を持っていたのかという、M&Aの場合に考えられるような手法で計算が可能じゃないかなと思うのです。ただ、もう一方で、決断のつかない人は、ずっと得べかりし利益がもらえているという状況があると、なかなかそことのバランスをとることも難しいと思います。もっとも、僕も明確な結論が言えるわけではないのですけれども、このように考えています。原子力事故が2年ぐらいで収束するとか、3年で収束するというように、元に戻れることについて、ある程度の見通しがついていれば、そのこととのバランスというのも、企業の価値を考えるときに考慮の中に入れられるんだろうと思うのですけれども、そのほうがなかなか見込みがつかないとなると、ちょっと難しいのかなという気がします。
【能見会長】 比較して、どちらが有利かということを判断することは当然合理的な行動なわけで、その比較ができないというのは、新たな道に進もうというときにもその決断をちゅうちょさせてしまう可能性があるので、そういう意味で、今の資料の中にも書いてありますけれども、被害者にとっての予見可能性を高めたり、あるいは補償金を幾らぐらいもらえるかということも含めて、その可能性を高めるという方向は、それなりにおかしいことではないけれども、他方で、(2)にありますように、現状ではそうやって難しいという要素もあるので、なかなか難しいということでございます。
わかりました。皆様の幾つか貴重なご意見をいただきましたので、もうちょっとこれについては検討したいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、審査会の終了後でも結構ですから、ご意見があれば、お聞かせいただければと思います。
今のが基礎であって、これが、他の収入を控除とか、あるいは移転に伴う損失、それから倒産・廃業に伴う損失、いずれも関連する問題で、倒産・廃業に伴う損害についても、これも企業の価値をどういうふうに算定して賠償させるかという問題だと思いますので、関連する問題ですけれども、もし、今何かご示唆いただける点があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいですか。それでは、この点につきましては、今の意見を踏まえまして、もう少し検討させていただきたいと思います。
それでは、次の論点。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 次、資料4-1と4-2でございます。外国人が介在する被害についてということでございます。これにつきましても、前回の審査会で一通りご議論いただきましたので、この資料自体は、そのときの議論をまとめて問題点として整理したという位置づけでございます。
外国人が介在する損害につきまして、現状でございますように、広範に発生してございます。それで、風評被害ということにつきましては、2のこれまでの取り扱いのところにございますが、二次指針おきまして、そこにございますように、平均的・一般的な人を基準として合理性を有していると認められる場合というふうに整理してございます。
外国人につきまして、じゃあ、これを同じようにするのかしないのかというのが問題になるというのが取り扱い案のA案とB案でございます。A案では日本人と同じ範囲で風評被害を認めていくというもので、B案が日本人よりも広い範囲で風評被害を認めるということでございますが、その理由といたしましては、情報の量であるとか、あるいは選択の幅の範囲、こういったものが日本人と異なるだろうということでございます。
ただし、B案に関しましては、前回の審査会、前回の審査会の議論につきましては、裏のほうに5.で書いてございますが、日本に長期滞在している外国人はどうなんだとか、被害者側において被害を回避する可能性というのもあるのではないか、原因競合に似た面がある、あるいはそもそも輸出が持っているリスクを考えるべきなのではないかというような議論がございました。
そういたしますと、要考慮事項のところでございますが、A案で例外を見ていく、あるいは逆にB案で次のような手法で損害の発生範囲を限定するというのが一案ではないかということでございます。時期、損害項目、対象品目、外国政府の措置の部分とそれ以外を分けるとか、あるいは競合と見て割合で認定していくというようなことが考えられるのではないかということでございます。
それで、参考資料といたしまして、資料の4-2には、外国人が介在する被害の例ということで、専門委員から報告があったものをまとめてございますが、これは、1ページ目のところは、日本からの輸出に関する被害ということで、食品関係と医薬品関係、さらにその他のものに分けてございます。
それから、2ページ、3ページのところは、日本への外国人来訪に係る被害という主に観光の関係でございますが、報告されている損害例を書いてございます。
さらに、4ページには、日本にいる外国人に係るものを書いてございます。ここにつきましては、先ほどの風評被害と同じように、これは、今回のペーパーは、前回の議論を整理したものということで、次回、風評被害と一緒に、この場でご意見をいただいた上で、整理を引き続きやっていきたいと考えてございます。
以上でございます。
【能見会長】 それでは、この点につきましていかがでしょうか。大きい論点は、今説明にありましたように、取り扱いの基本的な方針ということで、日本人と同じように考えて風評被害の範囲等を考えるというのと、B案、日本人の場合とは情報量とか、いろいろ違う点もあるので、少し広い範囲で風評被害を認めていくというのと、どっちがよろしいかということだと思います。
ただ、B案でもって広くなっても一定の限界というのはあり得るので、これは、裏の2ページ目のところにありますように、時期による限定であるとか、あるいは損害項目による限定等々、こういったものでもって限定していくというのはどうかという考え方が対比されているわけですが、これにつきましても、どちらのほうがよさそうだという程度でも結構です。今、議論的に詰めるというのはなかなか難しいと思いますので、ご感触をお聞かせいただければと思いますが、いかがでしょうか。
野村委員、どうぞ。
【野村委員】 質問なのですけれども、日本人と同じ範囲というのと、日本人よりも広い範囲という表現がうまくつかめていないのです。例えば、ある製品について、100%輸出している事業者と、100%国内で売っている事業者がいて、同じように買い控えがあるというときに、広いということは、外国人については、例えば、輸出が50%落ちたというときに、50%分を風評被害として認めるということになるが、同じように国内でも50%売れないというときには、風評被害の中には、合理的でないものも含まれていると考える意味なのかという質問です。この広い、同じというのはちょっとよくわからないので、次回も、まだ、議論は続くと思うのですけれども、そこのところをもうちょっとクリアにしていただければと思います。
【能見会長】 同じ程度に買い控えが行われたという場合に、しかし、日本の場合は、不合理な要素があったんであろうというふうに、不合理な要素といいますか、例えば、地震そのものとか、あるいは経済的な日本全国、全体的な落ち込みの要素があったんだろうということで、すべてが風評損害にならないという場合には、日本については50%ではなくて、もうちょっと少ない割合の部分が風評損害で、50%減収した分全部が風評損害ではないという結論におそらくなるんだろうと思います。
ただ、もうちょっと単純に考えると、日本では、風評損害、風評被害としての基準に入らないような、例えば、東北以外の他の都道府県の製品が、外国では日本の製品ということでもって買い控えをされてしまうと、それが一番わかりやすい例だと思いますけれども、そういうものも風評被害と認めていいかというのが、一番単純なわかりやすい例かと思います。
米倉委員、どうぞ。
【米倉委員】 先ほど来話がある風評被害としての感覚的な差というのもあるんですけれども、それ以上に、片や、これは外国から見た場合なんですけれども、国として輸入制限をしてしまうということになってくると、これは国内で言っている出荷制限をしたのとある意味で似通ったところもあるのかなと。そうすると、単なる風評被害とは違うという視点もあるのかなということを感じました。
【能見会長】 どうもありがとうございます。重要なご指摘かと思います。ほかに、何かご意見ございますでしょうか。どうぞ、中島委員。
【中島委員】 私としては、B案をとった上で時期などを限定するという考え方に魅力を感じるんです。その理由としては、風評被害の定義を、一般的、平均的な人を基準にするという表現に変更した際に、観念的な抽象人を基準にするのではなくて、例えば、妊婦さんは他の人より強い危惧感を持つというように類型ごとの一般人というものを観念するということが解釈指針として前提とされたと思うんです。そうだとしますと、市場がグローバル化していることを前提にすると、外国人も一つの類型としての一般人として想定して、海外の特別な反応というものもある程度リスクとして想定しておかなきゃいけないということも考えますと、日本人とは少し違う反応をするということも合理的な反応とみて、一定の範囲で賠償を認める、含めるというふうにした上で、時期的な限定をするということ基準に魅力を感じるのですが。
【能見会長】 どうもありがとうございます。そういうような感触でも結構でございます。どちらが多いか今の段階でよくわかりませんけれども、私も個人的にはB案ほうがよろしいのかなというふうに、中島委員のご意見に賛同いたしますけれども、次回もどっちかにまだ絞るということが、今の皆さんのご意見分布ではできないようであれば。
大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 B案に若干危惧があるのは、時期による限定をする場合に、前に配られた表ですと、まだ、外国政府の措置によって輸入制限をしているところが結構ありますので、実態として時期による限定ができるのかどうかは、ちょっと私はよくわからないところがございます。
損害による項目の限定は、これは、検査費用は当然払っていいんじゃないかと思うんですけど、B案をとった場合にどうするかということを考えないといけないかなと思っています。
【能見会長】 それも確かに重要な論点で、時期の限定に関しましては、私としては、たとえ、外国政府がまだ規制しているという場合であっても、輸出業者が常に別な売り込み先を簡単に開拓できるわけではないかもしれませんけれども、当初の一定期間と、それから、ある程度落ちついてから別な輸出先、あるいは国内販売の振り向けというのは、一定期間たつとある程度容易になってくるので、そういう意味では、外国政府が規制しているかどうかというのは、もちろん一要素ですけれども、それだけに影響するわけではないと考えます。
損害項目のほうは、検査費用などについてはもっと広い範囲でというときに、どこまで広くするかというのは、1つの確かに要検討事項です。
それでは、そんな点も、ほかにご意見がなければ、今、いただいたようなご意見を含めて、もう少し詰めたいと思います。
それでは、最後の論点についてお願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 資料5-1でございます。こちらも5-1と5-2を用意してございまして、資料5-2は、専門委員の報告の中から、いわゆる間接被害の事例と思われるものをピックアップしたものでございます。
資料5-1でございますが、1.は定義でございます。2でございますが、間接被害、これまでの裁判実務、裁判例では、加害者の予見可能性であるとか、あるいは一次被害者と間接被害者の経済的一体性、こういうものによって相当因果関係を判断してございますが、書いてございますように、結論としては、賠償が認められない場合が非常に多くなってございます。
一方で、本件の事故の場合は、本件事故のような裁判例というのは基本的になくて、本件事故については、下線でございますが、少なくとも一次被害者の損害と密接な関係にある間接損害について、相当因果関係のある損害と認められるものがあるのではないかということでございます。
具体的にはどうするかということでございますが、業種ごとに、実際に発生している間接被害と思われるものの事例を踏まえて、これらを類型化した上で、例えば、代替性であるとか、あるいは被害回避可能性、こういったものを判断基準として判断していってはどうかということでございます。
類型化に当たりましては、次のような分類が考えられますが、1つは、一次損害の種類ということで、これは、避難によるものなのか、出荷制限によるものなのか、あるいは風評被害によるものなのかという分類が考えられますが、それ以外に、一次被害者との取引関係による分類ということで、一次被害者が売り先である場合、例えば、スーパーマーケット等で、顧客が避難者で避難していなくなってしまったような場合でございます。「商圏の喪失」と書いてございます。
それから、2ページでございますが、今度は逆に、一次被害者が商品・サービスの供給元である場合、これも中小企業等の報告がございましたが、原材料が調達不能になった場合に、生産を停止せざるを得ないというようなものでございます。具体的には、そこにいろいろ書いてございます。
それから、その他、2つの類型に入らないものとしては、企業や団体が被害を受けた従業員に支援するようなケース、団体が加盟者の損害賠償請求を取りまとめるようなケース、あるいは医療機関で医師を派遣したようなケース、こういったものもございます。
その下に、それらのほか、ここに書いてございますように、地域としての一体性というんですか、同じ地域で事業をしているかどうかとか、継続的な取引関係があったか、あるいは一次、二次、三次で間接が2回続くような場合なのか、それとも二次被害者なのかと、そのような分類も考えられるのではないかということでございます。
5-2のほうは、先ほど、専門委員の調査報告でもあったような内容の事例が整理して記載されてございます。
説明は以上でございます。
【能見会長】 これもなかなか悩ましい問題ですけれども、これもご感触だけでも結構ですけれども、ご意見をいただければと思います。
大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 もうそろそろ行かなくちゃいけないので申しわけありません。簡単に申し上げますけれども、前回、会長がおっしゃったように、代替性のところを重視するというのが1つの考え方と思いますけれども、その場合に、(2)の丸1と丸2で若干の違いがあるのかなと思いました。丸2のほうが代替性がないことが多いと思いますけれども、もちろん丸1でも取引の重要な得意先だったような場合に、代替性がないということになるのではないかと思いました。
最後のところに出てきているように、第二次被害者という、再間接被害者というのは、代替性があるということが多くなってしまうのかなという気がしていまして、一般生活上のリスクに結構近づいていくのかと考えました。前回、裁判例が配布されたように、再間接被害者は除くという判決もあることはありますけど、そういうのをどう考えるかというのが問題になると思いました。
以上です。
【能見会長】 どうもありがとうございます。代替性で判断しても、微妙に第一被害者が顧客であると、商圏に属しているという場合と、そこから仕入れているという場合とでは、少し微妙な違いがあるというのはおっしゃるとおりであると私も思います。
再間接被害者もなかなか難しいですね。でも、代替性で判断するということに基本的にはなるんだろうと思います。
ほかにいかがでしょうか。もし特にご意見がなければ、これもなかなか直ちに判断しろといっても判断しにくいので、今日、資料にもついております間接被害の事例というものと比較、にらみ合わせながらさらに検討していただければと思います。
それでは、今日予定した議題は以上でございます。どうも長時間にわたりまして、ありがとうございました。次回以降の日程を確認お願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 次回でございますが、7月19日、15時から18時、場所につきましては、こちらではなくて、旧館の6階の第二講堂で開催を予定しております。正式には後でホームページに載せたいと思います。
それから、最初に申しましたように、専門委員の報告書につきましても、文部科学省のホームページに掲載するとともに、委員の皆様に対しまして、別途お送りさせていただきますので、本日お配りしているものをお持ち帰りいただく必要はございません。
以上でございます。
【能見会長】 どうもありがとうございました。これで閉会いたします。
―― 了 ――
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