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原子力損害賠償紛争審査会(第12回) 議事録

1.日時

平成23年7月29日(金曜日)13時00分~16時00分

2.場所

文部科学省旧文部省庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 牛肉・稲わらからのセシウムの検出に関する状況について
  2. 中間指針(案)について
  3. 原子力損害の賠償に関する紛争の和解の仲介について
  4. その他

4. 出席者

委員

能見会長、大塚委員、鎌田委員、草間委員、高橋委員、田中委員、中島委員、野村委員

文部科学省

林文部科学大臣政務官、清水文部科学事務次官、森口文部科学審議官、藤木研究開発局長、田中原子力損害賠償対策室長、篠崎原子力損害賠償対策室次長、田口原子力損害賠償対策室次長、早川原子力損害賠償対策室次長

内閣官房

加藤 原子力発電所事故による経済被害対応室審議官

説明者

原田農林水産省畜産企画課長、松尾農林水産省農業環境対策課長、佐南谷農林水産省食料安保課長

5. 議事録

【能見会長】  それでは、時間になりましたので、第12回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。本日は、お忙しいところお集まりいただきまして大変ありがとうございました。
 それでは、最初に事務局から配付資料の説明をお願いします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  お手元の議事次第に配付資料がございます。資料1といたしまして、「牛肉・稲わらからの暫定規制値を超えるセシウムの検出に関する状況について」ということで、資料1がございます。それから、資料2といたしまして「中間指針(案)のイメージ」でございます。それから、資料3といたしまして、「原子力損害賠償紛争審査会の組織等に関する政令の一部改正について」というのがございます。それから、参考資料といたしましては前回の議事録(案)をお手元に配付してございます。それから、あと、引き続き専門委員の調査報告書を皆様の机上に置かせていただいてございます。
 それから、申しわけございませんが、高橋委員と林政務官が途中で退席をすることになってございますので、ご了承願います。
 以上です。

【能見会長】  高橋委員がきょうは早目に退席されるということですが、高橋委員のご専門と密接に関係する問題がございますので、この点について、ご退席される前に高橋委員のコメントを伺いたいと考えております。それは、資料2の一番最後の地方公共団体の財産的な損害という部分についてでございます。ここには財産的な損害ということで、財物と事業に関するもののみが書いてありますけれども、これ以外にも地方公共団体の損害というのがあり得ると思いますが、果たしてそのような損害について、この指針で扱うべきなのかどうかという点につきまして、高橋委員からコメントをお願いしたいと思います。

【高橋委員】  すみません、終盤の大変な重要なときに何回も中座してしまいましてご迷惑をおかけしますことをおわびいたします。その上で会長のご指名でございますので、今、問題になっています地方公共団体の財産的損害について、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 最初の回に、申し上げましたように、地方公共団体の損害というのも、財産性が認められる限りにおいては、積極的に、私人の場合と同様に認められるべきであるということは私の基本的な立場であります。したがいまして、原案に書いてあります、例えば、水道事業とか、自治体の財産等については、相当因果関係にあるものは基本的にすべて認められるべきであると思います。ただ、その一方、その対極にございますものとして、例えば税収の問題というのがございます。税収の問題というのは、これは行政法上もいろいろ議論がございますが、財産性があるという点では不法行為の対象にはなると思いますので、一律には排除できないと思います。しかし、他方で、法律に基づいて一方的に賦課徴収するという点では、通常の債権とはかなり性格が違います。
 さらには、税収減の性格でございますが、当初の見積もりというのは、あくまでも期待額でございまして、景気変動その他でその期待額が大きく変動するというのも、税収の特徴でございます。このような2つの性格から見る限りは、純粋な財産的損害の対極にあるという点において、指針で正面から救済の対象として損害として挙げるというのはなかなか難しい、というのが私の考え方でございます。
 加えて、いろいろな形態の損害について賠償という形で補償金等々お支払いするわけですが、これについても理論上は特別の措置をしない限りは課税の対象になります。したがって、究極的にどれだけの範囲のものが税収減になるかというのは、長期的なサイクルから見ないと分からないところがございます。そういう意味でも、相当因果関係の範囲としてどれだけのものを減収として純粋に計上できるかというのは非常に難しい問題でございます。その意味からも、税収減の項目については今回の指針から除外しておくというのが適当ではないか、というのが私の見解でございます。
 以上でございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 この点につきまして、皆様から何かご意見があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

【大塚委員】  この場ぐらいしかないかと思いますので、個人的な見解を申し上げさせていただきたいのですが、税の話は今、高橋先生がおっしゃるとおりでいいと思っているのですけれども、自治体とか国とかが、例えば今後、しゅんせつとかをした場合に、その費用を賠償の中に入れるのかどうかというのは一応考えておいたほうがいいと思います。今のだと、これがどこに入るかよく分からないところがございまして、第8の、いわゆる間接損害の備考の3にあるいは入るかもしれませんが、これ、被害者支援だけになってしまっているものですから、そういう、例えばウィーン条約なんかでは賠償の対象に入っているものをどう扱うかという問題が、日本はウィーン条約に入っていませんけれども、一応議論しておいたほうがいいと思って発言させていただきます。
 趣旨として申し上げておきたいのは、例えば自治体とかがしゅんせつとかをした場合に、その費用を賠償請求できないということになると、実際はしゅんせつ等をしなくなるという結果にならないかどうかが、私の多少気になるところでございます。

【能見会長】  ほかにいかがでしょうか。
 私も、税はこの賠償指針の対象に取り上げるのは必ずしも適当でないと思うのですけれども、やはり理由づけとしてどう考えたらいいかというところをもうちょっと検討したほうがいいかなと思っております。高橋委員のようなお考えも、それも一つの考え方だと思いますし、私もまだよく調べてはいないのですけれども、税収みたいなものが不法行為のそもそも対象になるのかどうかということもあまりはっきりしていないような気もしますので、その点も含めて少し検討してみたいと思います。
 それから、大塚委員が言われたしゅんせつというのは、要するに被害者の賠償の肩がわりではないような、自治体としての固有の出費というのがあり得て、そういうものについて賠償すべきではないかというお話ですね。これも伺っていてもっともだなという気がいたしますけれども、同時に、何か行政として本来、固有にやらなくてはいけないようなものというものもあるかもしれないので、そこら辺はどういうふうに考えるかですね。本来、自治体等の税金でもってやるべき行政的なサービスというのがあって、それを超える範囲というものが賠償対象になるという考えですか。

【大塚委員】  必ずしもまとまった意見をもっているわけではないのですけれども、通常のサービスを超える部分というふうに私も考えております。通常だとやらなくてもいいことをやらなければいけなくなっているということをどう見るかということだと思いますし、例えば、しゅんせつをいつやるかというのもそもそも大問題ですし、やるべきかどうかという問題もありますので、一般論として申し上げているだけですが、必要な費用であり合理的な費用であると考えられる場合だけということにはもちろんなると思いますけれども、賠償の対象にしていいのではないかと個人的には思っております。

【能見会長】  結論に反対というわけではなくて、限界的な事例がこれから出てくるかもしれないので、その際、基本的な考え方を明らかにしておくことで実際に入るか入らないかという判断をしたほうがいいだろうというふうに思った次第です。
 高橋委員、どうぞ。

【高橋委員】  大塚委員のご見解に反対というわけではないのですが、今回の指針では純然たる財産的損害については認めましょうという方向が示されています。他方で、その対極にある税収については難しいだろうということに大体意見が一致したのだと思うのですが、それでは、その間に位置する形態の不利益をどう取り扱うかというのは、これは難しい問題です。ここで、さあ、行政法学的に仕切りをつけろと言われても、難しい問題というのが感想です。ですから、ここで中間領域をどこまで明らかにしてしまうのが適当なのかどうかというのは、慎重に考えておいたほうがいい、と私は思います。

【能見会長】  恐らく指針の性格とも関係するんでしょうね。指針というものが賠償の対象にしていいものということで全員の合意ができて、また、類型化ができるというものを対象としておりますけれども、限界的領域の問題で賠償の対象にしていいかどうか自体がいろいろ議論されるという領域については、指針で取り上げるよりは、個別に対応してもらうという方法もあり得るということですね。
 ほかにこの点についてご意見があれば。中島委員、どうぞ。

【中島委員】  方針としては今の方針で異存ないのですが、できるだけ今後の課題であるとして、具体的な例をここで少し挙げておいたほうがいいのかなとも思うので、さっき大塚委員のおっしゃったものをもう少し具体的にこちらでイメージしたものがあるのですけど、例えば公立学校の校庭の除染、それから公園の除染、一級河川、二級河川、県と国の管理する河川敷の除染、それからさらには国有林の除染などの費用を、本来の国や自治体がやるべき事務として賠償の対象から外すのか、それを超えるものとして賠償の範囲に入れるのかが検討の具体例としてちょっとあるのではないかと思いました。

【能見会長】  野村委員、どうぞ。

【野村委員】  先ほど会長がまとめられたことに、大体皆さんも同じ意見だと思いますが、先ほどちょっと大塚委員から条約の話がありましたように、条約も中核的な損害、例えば、生命・身体の損害みたいなものは当然、損害賠償の範囲に入るということで、環境汚染みたいなものについては、その国が国内法で認めているかどうかということがたしか条件になっていると思います。条約によって多少違うと思いますけれども、そういう意味で、両方の考え方が十分成り立ち得ると思いますので、もうちょっと慎重に議論したほうがいいのかなというようには思います。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 ウィーン条約の趣旨も少しもう1回検討してみたいと思います。
 ほかはご意見よろしいでしょうか。それでは、先ほど出たようなご意見を参考にしながら、もう少しこの点、詰めていきたいと思います。恐らく中島委員がおっしゃったように、具体的にいろいろ想定される問題があると思いますので、そういうものも材料にしながら検討していきたいと思います。
 以上が前回の積み残しの問題で、前回、高橋委員のご意見を伺っていなかったので、今回、高橋委員のご意見を伺った上で全員で議論したということでございます。
 それでは、本来の議題1に入りたいと思いますけれども、牛肉・稲わらからのセシウムの検出に関する状況についてというものでございます。これにつきましては、この問題は非常に重要な問題だと考えておりまして、審査会としても、この問題をできるだけ中間指針には反映させたいと考えております。そういうこともありまして、少し慎重な議論をしたいわけですが、きょうは農林水産省から現状についての調査報告があるということですので、まず、それをお願いしたいと思います。

【農林水産省原田畜産企画課長】  よろしいでしょうか。

【能見会長】  お願いします。

【農林水産省原田畜産企画課長】  失礼します。お時間をいただきましてまことにありがとうございます。農林水産省でございます。今、ご指示のありました牛肉・稲わらからの暫定規制値を超えるセシウムの検出に関する状況について農林水産省からご説明申し上げます。お手元の資料(審12)の資料1でございます。
 1枚めくっていただきまして本文でございますが、まず、経緯等から簡単にご説明したいと思います。3月11日の原発事故発生の後、12日に水素爆発がございました。17日に食品に関する暫定規制値が設定されました。19日に早速福島県が、県内の農場から採取した原乳──牛の乳でございます──から暫定規制値を超える放射性物質、このときは放射性ヨウ素でございましたが、検出した旨を発表しております。農水省としましては、東北・関東の各県に対して通知を出しました。これは大気中の放射線量が通常よりも高いレベルで検出された地域においては、事故後に刈り取った乾牧草の給与や放牧を制限するということでございます。牛の基本的なえさであります粗飼料につきましては、これを経由して放射性物質が牛の体内に取り込まれないようにということで制限をいたしました。
 21日には原子力災害特別措置法に基づく初の出荷制限がかかりまして、福島県産の原乳、その他野菜の出荷制限指示が出されました。22日に、これは19日に先ほど説明した農水省の通知を受けて、福島県は関係団体に、事故後に刈り取った乾牧草の給与や放牧を制限するよう通知を発出しました。通常、国が通知を出せば、県が、県の事情を踏まえて、さらに具体的な通知を発していただきます。さらに、29日には、農業技術情報(第5報)として周知を徹底していただいています。この中でも、事故発生前に刈り取った飼料で、倉庫など屋内で保管された飼料を利用すること、あるいは、開放された保管場所では、乾草や稲わら等をシートで覆うなどして保管すること等、具体的な指導を農家さん等にさせていただいています。
 そういう中で、24日には、半径20~30キロ圏内の屋内退避指示がでました。後ほどお話しします、牛肉では初めて放射性セシウムが検出された農家の方は、この屋内退避指示の地域の農家の方でいらっしゃいます。
 4月に入りまして、順次、原乳の出荷制限等が解除されていきましたが、その中で、14日でございますが、牧草、粗飼料を通して放射性物質が食品に残留しないように、粗飼料における放射性物質の目安、暫定許容値と申しておりますが、これを設定いたしまして、乳用牛、肉用牛、その他の牛用ということで、各種ごとに設定しております。乳用牛、肉用牛は、どちらかというと早く人間の食用に生乳や肉として直接消費されるということで、設定値は低目になっておりまして、その他の牛というのは、子供を産む雌牛ですとか、育成牛、子牛などでございます。このような形で暫定許容値を設定いたしまして、各都道府県等に通知をしてございます。
 さらに1枚めくっていただきまして2ページでございますが、5月22日には、そうした粗飼料の暫定許容値を上回る地域につきましては、粗飼料を早く刈り取って保管をしてくださいということでございます。4月の末から牧草のモニタリングが始まっておりまして、一部の地域ではかなり高い放射性物質が検出されておりますので、こういったところでは、その牧草を使わないように、保管しておくようにということで指示をしてございます。
 6月8日でございます。こうして保管しておいたものにつきまして、農水省から東北・関東の各県に対しまして、その牧草につきましては牛の給与の制限は新たに確認した上で、処分方法について指示してございます。そうした形で牧草、粗飼料の制限等をしている中で、7月8日に東京都の検査の結果、福島県産、南相馬市の牛肉から暫定規制値を超える放射線セシウムを検出いたしました。このときの牛肉につきましては、1頭から検出された後、全部調べたのですが、市場からは出ておりません。市場にとめおいたままで、11頭分についてはおいております。ただ、調査の過程で、既にこの農場から6頭がそれ以前に出荷され、屠畜されていまして、そのうちサンプルを入手した3頭については暫定基準値を超過という事実が判明いたしました。
 福島県は南相馬市に対しまして、食用に供する牛の移動、出荷自粛を要請いたしまして、また、県内の肉用牛農家全部に対して飼養管理状況の再点検をしております。これは、例えば沢の水を飲ませていないとか、放牧をしていないとか、事故後に刈り取った牧草をあげていないとか、こういった飼養管理の点検をしてございます。
 また、厚生労働省は、保健所を通じて、暫定許容値を超える稲わらを給与した疑いのある農家から出荷された牛の肉、これは識別番号で追跡ができますので、これについて検査するよう指示をしていただいています。
 9日ですけれども、こういった事態を受けまして農林省からは、改めて東北・関東の各県に対して、家畜の適正な飼養管理に関する通知を再通知してございます。
 また飛んで、14日ですけれども、福島県の稲わらを受けて、各県に汚染された稲わら、すなわち事故前に刈り取られて、冬の間、たんぼ等に放置されて、春に収集されて牛に給与された可能性のある稲わらにつきまして、各県に調査を依頼したところ、順次、こういった稲わらを給与した肉用牛の存在が明らかになりまして、稲わら、あるいは牛肉からもセシウムを検出するということが、この14日以降、順次できております。この際、稲わらを給与した農家には、牛の出荷の自粛を要請しておりますが、「また」以下にありますように、地域の農協におきましては、県庁とも相談した上で、しばらくの間、検査体制が整うまでの間、出荷を自粛するという、団体ごとの動きも見えております。
 次のページ、3ページ目でございますが、そうした中で、19日でございます。原災本部による福島県産牛、生きている牛の移動・出荷制限が指示されました。農林水産省からも各都道府県に対して、稲作農家も含めて、稲わらを供給している実態調査を行っております。これは、宮城県産の事故後に収集した稲わらから放射性セシウムが検出されまして、それをかなり広域な県で使っている事態が判明しまして、そうしたことを受けて、全国的な調査対象を広げたものでございます。
 7月26日現在の状況でございますが、そうした形で稲わらの利用調査をいたしました。この結果、現在までに16道県で、170戸の農家が汚染された稲わらを給与しているということを確認いたしました。これらの農家から、170戸のうち、実際に牛を出荷した農家が130戸でございました。130戸が2,965頭の牛を出荷してございました。これをトレーサビリティーを使って捕捉しまして、流通段階で393頭分を検査いたしました。そのところ、31頭が暫定規制値を超過しているということが現時点で確認できております。米印にその16道県の名称を書いてございますが、この中で自家産稲わらで放射性セシウムが確認されていますのは、岩手県、宮城県、福島県、栃木県の4県でございます。印がなくて失礼します。4県が自家産でございます。ほかの県は基本的に宮城県の稲わらを利用した農家のいらっしゃる県ということになります。
 下の米印に書いてございますが、震災直後、日本の、特に関東以北のえさ工場が震災、津波の直接的被害で大打撃を受けまして、この時期、関東・東北では農家の方が飼料、特に配合飼料、穀物飼料を手に入れるのが大変困難になっていました。粗飼料につきましても、自分の農場の蓄えているものがどんどんなくなっていく中で、粗飼料も含めたえさを手に入れるっていうことが極めて切実な問題でございまして、震災直後のこの大変な状況の中に、この東北・関東の農家の方はあったということも事実でございます。
 続きまして2でございます。こうした東京電力福島第一原発事故に起因する畜産物の被害を軽減するために、国や県がどのような取り組みをしたかということでまず最初、掲げてございます。国や県は、最初の水素爆発で、広く大気中に放出された放射性物質、こうしたものが特にえさ、水を通して畜産物へ被害が至らないように、それを軽減するために、その時点で入手できた情報をもとに、以下のような予防的措置をとってまいりました。この結果、原乳は出荷制限指示がかかりましたが、福島県、茨城県、2県だけにとどまっております。また、4月以降には両県における原乳の出荷制限も順次解除されまして、国、県、もちろん農家さんも含めてですが、こういった放射性物質を畜産物に残留させないように、さまざまな段階で努力、取り組みをしてまいりました。
 7月8日以降の現状は先ほどお話ししたとおりでございますが、特に(1)といたしますと、3月19日に農水省から東北・関東の16都県に対しまして事故後に刈り取った乾牧草の給与や放牧を制限するという通知を発出しまして、先ほどお話ししましたように、この通知を受けた福島県は22日、29日と、きめ細かい指導通知を出していただいているところでございます。
 次のページ、4ページでございます。(2)から(9)は、先ほどのお話と重複しますので、割愛させていただきます。このように順次、国と県とでさまざまな指導をさせていただいていると。状況が刻一刻変化してまいりましたので、たび重なる指導になっておりますけれども、このような形でやってまいりました。
 3が損害の発生状況でございます。そうした中で、どのような損害を今、農家の方々、関係利用者の方々がこうむっているかということを整理いたしました。
 まず、(1)でございます。政府等による出荷制限指示による損害でございます。マル1出荷制限指示等に係る損害ということで、政府による出荷制限指示がかかっておりまして、7月19日に福島県に対して牛の移動・出荷の停止を指示してございます。農林省がそれにあわせまして、計画的避難区域等から移動した家畜につきまして、これは既に移動済みの家畜ですが、同様に留意するように、出荷を自粛するように各県を通じて飼養者を指導しています。また、直近で言えば、7月28日に宮城県に対しまして福島県と同様の牛の移動・出荷を停止する指示が出てございます。印刷が間に合わなくて失礼しましたが、7月28日に宮城県に対して同様の指示が出ております。
 次の地方公共団体による出荷自粛要請でございます。8日以降、16都県で暫定許容値を超える汚染稲わらの給与が判明した農家等に対して、まず、農家個別に出荷自粛の要請をしてございます。
 その上で次のページ、5ページでございますが、生産者団体みずからが出荷自粛要請をするということで、JA栃木中央会、あるいはJA全農みやぎなどが検査体制が整うまでの間、出荷自粛をしております。また、このほか、岩手県内の団体も出荷を自粛しております。このように、政府の出荷制限指示もございますし、県あるいは農協等の出荷制限の指導、自粛により、畜産物の出荷の断念を余儀なくされて、大幅な減収が発生してございます。また、出荷できなくても、家畜は日々、えさを食べ、管理経費が必要ですので、家畜の飼養を継続するための追加的費用が発生してございます。また、肉を買い取った加工業者においても、放射性セシウムで汚染された恐れのある食肉加工品につきましては、納入・出荷停止を行いました。こうしたことによる減収が発生しておりますし、さらに、回収、保管、廃棄等、追加費用が発生してございます。
 マル2でございます。畜産農家だけではなくて、畜産農家へ稲わらを供給した耕種農家の損害もございます。先ほどご説明しました一連の農林水産省の給与指導制限に係る指導によりまして、従来、畜産農家に稲わらを販売しておりました耕種農家や飼料販売業者については、販売を断念するということで損害が発生してございます。また、圃場に置かれている放射性物質が付着したままの稲わらや、倉庫にあるものも含めて、この処分には今後、追加的費用が相当発生すると見込まれております。
 マル3でございます。東北、関東甲信越、静岡において、堆肥の施用・生産・流通の自粛に係る損害が生じてございます。牛は、えさを食べ、排泄物を排出し、それが堆肥等になって循環する畜産、耕種等の農業を築いております。今回、えさにセシウムがあったということで、当然、ふん尿につきましても、セシウムで汚染されている可能性がありますので、7月25日に堆肥等の施用・生産・流通を自粛するよう、関係業者、関係農家に指導してございます。こうした中で、これは、今後これ以上、汚染された稲わらを家畜が食べることで、あるいは、既に汚染されている堆肥を耕種農家が使うことで、新たな農産物の放射性セシウム汚染が発生しないようにするための予防的な措置と考えてございます。ただ、こうした予防的な措置のために、農家や関係業者では事故発生後に17都県で生じた堆肥等の施用・販売等の断念を余儀なくされております。これによって減収も生じますし、代替堆肥の購入費用や処分につきましても追加的費用が発生いたします。
 マル4でございます。民間団体による支援対策に係る損害についてでございます。これは実は7月26日に農林水産省として、この事案に関連しまして、以下の取り組みを緊急的な取り組みの一環として公表いたしました。3点ございまして、1点目は、放射性セシウムに汚染された稲わらが給与されたことで、暫定規制値を超過した牛肉、これは市中に出回っている牛肉を民間団体に買い上げていただいて、これは検査の結果、黒のものについては焼却をしていただくという事業でございますが、それが1点でございます。この場合、保健所に肉を届けて、検査をしながら仕分けをしていくという作業になります。
 2番目でございますが、価格が低下したり、出荷が制限されている肉用牛肥育農家につきましては、収入が一切ない中で費用ばかりかかるという状況が続いております。こういうことで、事業実施主体から一定額を損害賠償の立てかえ払いとして交付する取り組みをこれから始めようとしてございます。
 また、3につきましては、使用できなくなった稲わら、牧草、多数ございますので、代替飼料を畜産農家に現物供給するという事業を組んでいまして、次のページ、6ページ目でございますが、この3件とも損害賠償の対象になることを前提にして、損害を事業実施主体が被害者にかわって請求するというスキームになってございます。
 続きまして、いわゆる風評被害と称するものについての説明でございます。
 マル1風評被害の周辺県への広がりでございますが、7月8日以降、牛肉価格の動向を見ますと、放射性セシウムで汚染された可能性のある稲わらの流通が確認されたと言われる17道県、下に書いてございますが、ここにおきましては取引価格の大幅な下落、あるいは取引数量の減少が確認されておりまして、キャンセルや取引拒否が発生しているということも確認されてございます。括弧の中を見ていただきたいのですが、ここでは各県産の牛肉、去勢A4とございますが、比較的高級な和牛の牛肉でございます。1キログラム当たりの価格として、各県ごとに違いますけれども、最大5割以上、70%ぐらいの価格になっていると。例えば申しますと、上から4番目ぐらいにあります秋田県産、宮城県産、この辺は、宮城県産ですと556円、福島県産は401円ということで、401円と申しますのは豚肉価格より安いというような水準になっておりまして、大変な損害になってございます。比較的遠いところでも、岐阜でも2割、静岡でも2割というような下落幅になってございます。価格が下がっているだけではなくて、これは取引量が減った上でこの価格でございますので、P掛けるQで考えますと、収入という意味では相当な下落になってございます。
 中ほど下の部分をご説明いたします。東京市場以外の市場についても、全国の主要市場ごとに取引状況の別途資料がございますが、こうしたものを見ても、大変な下落になっておりまして、東北・関東の市場ほど大きな価格の下落になってございます。しかしながら、セシウムの暫定規制値を超えた牛肉価格の問題は、残念ながらいまだ完全には収束していない現状でございます。したがいまして、この地域以外にも風評被害が発生する可能性が考えられます。また、取引価格の低下が見られた地域におきましては、取引先の要求に応じるために、最近、業者の方が個々に検査体制を整備するというようなことが求められておりまして、地方公共団体も含めて、この検査費用がかなり大きくなっていくのではないかということが確認されてございます。
 マル2でございます。加工・流通業者における損害でございます。今、お話ししたような形で、肉の価格そのものの下落が認められた県産牛肉に関しましては、その県産牛肉を取り扱う加工・流通業者、小売りや外食販売も含めて次のような損害が発生してございます。7ページ以下でございます。例えば、加工・流通業者は、仕入れた肉の取引ができないということで不良在庫化となっておりまして、また、販売価格が低下することで減収、また、売れない肉を処分するための保管・処分費用がかかってございます。牛を殺処分して肉に加工する屠畜場でございますが、これも出荷制限等によりまして、牛の入荷が全くない、あるいは大幅に減少しているということで、手数料収入の減収や、返品などの保管・処分費用がかかってございます。また、解体処理業者につきましても、屠畜頭数の減少による収入減少が起きてございます。
 このようなさまざまな損害が生じておりますが、マル3でございますけれども、このような中で、委員の方々には留意しておいていただきたい事項として2点掲げてございます。1つ目は、牛肉の産地表示ということでございます。牛肉につきましては、国産牛の場合は「国産」という表示で制度上は足りるのでございますが、各県が具体的に「○○県産牛肉」という県のブランドを最近、次々つくってまいりまして、基本的には消費者の方は何々県産というのはそういった表示を見ればかなりの部分わかるようになってございます。こうした中で、こういった「○○県産」と書いた牛肉を特定県については忌避するという状況が生じておりまして、スーパーや小売店では他地域産の販売を行わざるを得ない状況が発生してございます。
 また、牛のトレーサビリティーでございますが、今回も市場に流通した牛肉を追うために、大変有効でございまして、そうした牛肉の回収・検査に力を発揮してございますが、消費者の関心が大変高くて、これについてもアクセスが多数ございます。また、トレーサビリティーを使っていることで、ある意味逆にはっきりとした履歴がわかりますので、確実に放射性物質に汚染された肉が出ていない地域においても、その他地域、放射性セシウムの稲わらを食べたような情報がない地域に取引がシフトしているというようなことで、実際の放射性セシウムの牛肉の検出状況、あるいは稲わらの検出状況以上に、いろいろな面での損害が生じているということでございます。
 当方からは以上でございます。ありがとうございました。

【能見会長】  それでは、委員の皆さんの質問、あるいはご意見をお願いいたします。私が説明を伺っていても、いろいろな論点が出てきて、論点があまり行き来すると混乱するかもしれないので、若干整理させていただきたいと思います。整理の仕方自体についてご意見があれば議論しますが、一つは、今回の稲わらの汚染の原因のところですね。原因というのは、どこのどういう稲わらが実際に汚染されたのかということです。今、伺っていても、事故前に刈り取った稲わらの場合と、それから、事故後の稲わらとでいろいろな違う状況があるんじゃないかと思いますが、それから、畜産農家に供給される経緯のあたりの部分。これを広く原因の部分というふうに呼びたいと思います。
 それから、2番目は、どんな損害が生じたかということで、いろいろご説明いただきました。畜産農家に生じたもの、あるいは稲わらの販売業者とか、さらにはその他に、損害がどこに生じているかという問題。
 それから、3番目としては、立てかえ払いをするということですが、これも立てかえ払いで救済することはもちろん合理的な政策だと思いますけれども、この指針との関係でどういう問題が生じるのかということを、指針は恐らく指針として、賠償の対象になる損害というのが先にあって、それについての立てかえ払いについては全く問題はないと思うのですけれども、それを超えるような立てかえ払いがされたときにどのようになるのかという問題。
 それから、4番目は、風評被害の問題。これも非常に広い範囲にわたって、今回、風評被害生じているという説明などがありました。
 ということで、少し整理いたしましたけれども、これに入らないものについてのご意見、ご質問でも結構ですけれども、委員の皆さんから質問、ご意見をお願いしたいと思います。
 では、まず先に田中委員。

【田中委員】  ちょっと基本的なことなんですけれども、暫定基準値が300ベクレル/キログラムですね、稲わらとか、こういうもの。これは実際上見ると、私の感じでは、いろいろな測定値を見ますと、相当広いところまで広がっていると思います。30キロ、40キロじゃなくて、もっと100キロを超えるかもしれない。下手すると茨城県全域とか、その辺はきちんとつかまれているのでしょうか。まず1点。
 それから、いろいろそういうふうになってきますと、牛を飼う上では、要するに、私は素人ですけれども、食料が要りますよね。稲わらも重要なその一つだと思いますし、草がほとんど全部そうだとすると、牛が今後飼えなくなるんじゃないかというのが一つある。前者の最初の質問からいきますと、今、暫定基準値でキログラム5,000ベクレル以下のところは田植えされていますね。それが今後、来年も再来年もそれが吸い上げて300を超える自体というのはどのように考えておられるのでしょうか。ちょっとそのあたりのところを教えていただけますか。

【農林水産省原田畜産企画課長】  ありがとうございます。田中委員のご質問にお答えいたします。
 まず、粗飼料におけます暫定許容値でございます。これは、この300ベクレルまで残った放射性セシウムが、乳牛で言えば牛乳にどこまで出てくるか、肉牛で言えば牛肉にどこまで残るかということで、残らない水準として示してございますが、そのために牧草のモニタリング調査を4月の下旬からずっと行っております。その結果、一番広い地域では、岩手の北まで、あるいは関東ですと栃木、埼玉、千葉まで、1回目の検査では特にヨウ素が基準を超えるということがございました。牧草は、これは春に1回伸びます。それを一番草と申しますが、それを牛にあげるんですけれども、それを刈った後、また二場草という形で伸びてまいります。3回ぐらい伸びてくるんですね。ですから、最初に刈った一番草で基準を超えたところは、その一番草は取っておいて、保管して、処分をすると。牛にはあげないというふうになっていまして、一番草の段階でかなりヨウ素が高い地域がありましたので、ヨウ素ですので、ある意味、すぐに抜けていきますが、二番草となりますと、ほとんどの地域で300を下回って、使えるような牧草になってございます。今でも牧草が300を上回って使えない地域は、福島県のほぼ全域と、栃木の一部の地域、那須塩原あたりの地域でございます。それと、岩手、宮城のごく一部の地域。いわゆるホットスポット的になっているところが、牧草のモニタリングでもデータが出ていまして、そういったところにつきましては、今でも使用自粛をかけてございますが、暫定許容値を下回った地域につきましては、開示をして使えるようにしてございます。
 こういった使えない牧草がございますが、二次指針でもお示ししていただいたように、代替牧草について、輸入も含めて手当をすることで、きれいな牧草を牛に給与するということについては、農家のほうにも指導してございまして、日本全国で、あるいは北関東、東北で、今でも広い地域で牧草が使えないということではなく、それはモニタリングをしながら確認をしてございます。
 そういった意味では、牛が飼えなくなるというのは、今回の稲わらのこともございますので、再度、使用管理の徹底をしていますし、堆肥についてもその農場から出さないで、農場内で処理するなり、保管するなり、利用するなりしていまして、広がりをできるだけ抑えるという意味では、耕種側、畜産側、どちらも今、努力をしていただいて、点のレベル、発生した地域のレベルで抑えていくということにしてございます。
 最後にご質問のあった稲作との関係でございますが、基本的に牧草地はほとんど田んぼと違うところで、かなり傾斜のあるところで牧草をつくっていて、米がつくれないところで牧草をつくるという形で畜産は発展してまいりましたので、米との直接の関係はないのでございますが、今、稲わらで高度に出ているところにつきましては注意が必要かなと思ってございます。
 お米についてはちょっと補足していただきます。

【農林水産省松尾農業環境対策課長】  稲の作付制限につきましては、御存じのとおり、5,000ベクレルで、0.1の移行係数ということで、500ベクレルをクリアするという形で作付制限をさせていただいています。稲わらにつきましては、今回のセシウムの汚染につながった稲わらは、明らかに水素爆発によって放射性物質として降下したものでございますので、今後、23年産、今年のお米につきましては、稲わらの部分にどの程度セシウムが今度は地中から移行するかといったことをちゃんと見極めまして、使えるか使えないかといったことを判断していくということになると思います。

【田中委員】  被害を小さくするという意味では、相当きちっとこれからフォローしないと、どこでどういう状況が起こるかわからないんじゃないかなと、ちょっと私は気にしています。牧草地は一番草とか二番草を取っても、結局、汚染しているのがその下なんですね。地面のところが汚染しているんですね。草の根のあたりとか。ですから、上のほうしか食べないっていうのだったら、それはそれで一つの解決策かもしれないけれども、それから、ヨウ素は確かにもう物理的にないから、ヨウ素のことを今、議論する必要は全くなくて、今後、セシウムの汚染がどういうふうに広がるかということについては、相当システマチックに役所のほうで考えていただかないと、被害が今後どこまで広がるのか予測できないなというのが懸念しているところです。

【農林水産省原田畜産企画課長】  失礼しました。言葉足らずでございましたが、一番草は最初にフォールアウトしたものが多うございますけれども、二番草は下から吸うもので多うございまして、二番草でもセシウムが検出されているところ、基準を超えているところはかなり減ってきておりまして、ご指摘のとおり、そういった監視は今後もしっかり続けていきたいと思います。

【能見会長】  よろしいですか。
 ある意味で、稲わらというのはどういう形で汚染されるかという、その仕組み自体の問題だと思いますけれども、何かこの点について、ほかの委員でご意見があれば。中島委員、どうぞ。

【中島委員】  質問なんですけど、今、一番出回った宮城県産の稲わらが牛のために出荷された時点では、これが汚染されているということはどの程度、畜産農家にはわかっていたんでしょうか。

【農林水産省原田畜産企画課長】  お答えします。ほとんどわかっていらっしゃらなかったと思います。宮城の、今回は登米地域の稲わらが汚染されていたとわかったのは、福島県のほうの調査をしている中で、福島県で牛肉に放射性セシウムが残留された農家さんを調べたら、宮城県産の稲わらを使っていたということがわかりまして、そこで宮城県産から販売先を追っていく過程の中で、販売先で稲わらが汚染されていると。場合によっては牛肉も汚染されているということがわかってまいりました。
 正直、登米地域あたりは相当の距離がございます。当時の情報の中で、あのあたりに稲わらをそれほど汚染させるような放射性物質が降下しているということは我々も承知しておりませんでしたし、農家の方ももちろん承知していないというふうに考えておりまして、その稲わらが販売された時点で、それをまさに買う農家の方がそういったことを情報として得ることはまず無理だったと思います。

【能見会長】  物理的な意味での、あるいは事実の問題として、どういうところが汚染して、それがどういうふうに畜産農家の牛のところに至ったのか、それから、それぞれの過程においてどういう関与が農家あるいは国の規制の仕方等があったのかという問題だと思いますけれども、この点につきまして、ほかの委員でご意見があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。大塚委員。

【大塚委員】  今の点との関係で1点お伺いしますけれども、宮城県の稲わらについて今のようなお話だと思いますが、もう少し福島に近いところの稲わらを使うことに関しては、汚染に関してある程度認識はあり得たかどうかということ、畜産農家の方についてもある程度認識があり得たかどうかということは、とりあえず問題になるとは思いますけれども、他方で3ページに書いてあるように、牛の飼料がそもそもないということだと、恐らく、牛が餓死しないためにはほかに方法がないということもあるいはあったのかと思いますが、その辺の事情についてお伺いしたいというのが1点ございます。
 それから、もう1点お伺いしたいのは、現在、出荷制限指示が出ているのは、4ページにあるように福島県だけだと思うんですけれども、多くのところは、自粛という形にしているわけですが、これは今後ともこのまま続けていくような感じになるのでしょうか。あるいは、出荷制限指示が増える可能性があるのでしょうかということをちょっとお伺いしたいと思います。

【農林水産省原田畜産企画課長】  最初の点でございますが、関東・東北、震災から5月の連休明けぐらいまでは、配合飼料が従前に比べますとなかなか届かないという中で、大変苦労いたしまして、九州や北海道からえさをピストン輸送で東北・関東の工場に運んでいくということで、その間にも餓死をする家畜が次々出るというような状況でございました。粗飼料はがさが張るものですから、農家の方も大きな倉庫がない限り、なかなか収納できないもので、やはり2週間から1カ月に一遍ぐらい、粗飼料も運搬してもらうというような農家の方が、特に肉用牛肥育の農家の方は規模が大きいので、そういう場面が多うございます。小さい農家の方は、自家産の稲わらも使いますけれども、購入稲わらが多いというのは、まさにそういった農家の方で、当時の状況の中では、配合飼料も粗飼料も、農家の方にとっては相当入手が困難であったことは間違いない事実だと思われます。
 2点目でございますが、出荷制限指示は、28日付で宮城が追加されまして、宮城県全域も出荷制限指示がかかってございます。まだこの事案は収束してございませんので、今後、厚労省の方針では、1つの県内で複数の市町村で放射性セシウムに汚染された牛肉が産出された場合には、県全域を出荷制限かけることもあり得るということでございますので、まだないとは申し上げられません。
 農協の方々、あるいは県の方々が自粛しておりますのは、消費者の要望にこたえるために、できるだけ検査頭数を増やす。よく全頭検査と言っていますが、全頭検査に近い形で体制をつくり直した上で、消費者の方に安全な牛肉を食べていただくという体制を目指しておりまして、そういたところにつきましては、当面自粛というような対応を取らざるを得ないという状況があるやに聞いております。検査体制の充実につきましては、厚労省、我々も、地元の声を聞きながら、消費者に安全な牛肉を届けるための協力はしっかりやってまいりたいと思っております。

【能見会長】  私からも質問してよろしいですか。資料の1ページにある、農林水産省から東北・関東の各県に対して通知ということですが、これは事故後に刈り取った乾牧草の給与の制限ですね。これは具体的な判断はそれぞれの県でやれということなんですか。それとも、農林水産省である程度指導するものなんですか。

【農林水産省原田畜産企画課長】  農林水産省、特に農業サイドは、一般的な技術指導という形で通知をよく発出いたします。台風が来る前には台風についての注意事項ですとか、そういった際には基本的に、まず全般的な注意事項につきまして農水省では示します。地域によっていろいろな事情がございますので、例えば作物が違うとか、作付時期が違うとか、そういったことについては地域で情報を付加していただいて、さらに市町村や農協さんや農家さんへおろしていただくということが通常のスタイルだと思っております。

【能見会長】  そして、同じく1ページの資料ですけれども、22日、これは福島県はこういった制限に関する通知を出して、今、問題となっている宮城県については、県レベルではそういう通知を出さなかったと、そういうことですね。

【農林水産省原田畜産企画課長】  福島県のようなものではありませんが、やはり宮城の場合は福島に比べますと、当時の情報では、放射性物質があれほど離れた地域でそれほど降下しているという認識といいますか、情報は少なかったかに思います。

【能見会長】  それから、牛に、汚染された稲わらが到達するということですけれども、今、問題となっている宮城県からの稲わらですが、牛自身の汚染の原因は、この宮城県の稲わらだけなんですか。今わかっている範囲では。それとも、福島県からの稲わらも何らかの形で入ってきているのか。そこら辺はどうなんでしょうか。

【農林水産省原田畜産企画課長】  宮城県産の稲わらはかなり広域に流通していますが、他県で出ているものでは宮城県産稲わらが原因と言っていますけれども、例えば、福島県では自県産の稲わらも使い、宮城県産稲わらも使い、栃木もそうだったかな、そういった複数県産を使用している例はございますが、広く流通しているという意味では宮城県産稲わらが共通のものでございます。

【能見会長】  それから、もう1点だけ。稲わら自身が汚染されているというときに、さっき、爆発によって大気を通じて汚染されたという話でしたけれども、それは事故後に刈り取った稲わらについて、そういうふうに汚染があったということなのだと思いますが、事故前に刈り取って保管されていたものについても汚染はあったということなんでしょうか。

【農林水産省原田畜産企画課長】  お答えします。福島県の場合、両方の稲わらが農家に保管されていましたので、県内の調査をしたときに、秋のうちに刈り取って小屋に収納した稲わらと、秋は刈っただけで、春まで田んぼに置いておいて、事故後に収納した稲わらと、2つを調べました。基本的には、秋に刈り取って収納した稲わらは、放射性物質が残っていても、それは非常に薄いです。それは、むしろ収納した後に、いわゆる外から粉じんなんかでついたものではないかということで、濃度は全然違いまして、やはり秋のうちに刈っておいて、春に収納した稲わらの放射線セシウムの濃度が大変高うございまして、そこは区別があろうかと思います。

【能見会長】  ほかに皆さん、いかがでしょうか。
 特にご意見がなければ、どういう損害が生じて、それがこの指針で賠償の対象になるかどうかにつきましては、きょうの資料などをもとにしながら、恐らく次回、この審査会で議論することになると思いますけれども、今、それを判断する上で何か聞いておかなくてはいけなという点があればお願いしたいと思います。
野村委員。

【野村委員】  民間団体が支援して、損害賠償を立てかえて後から請求するという場合ですけれども、これは直接請求する場合とどのように違ってくるのかというのが重要だと思うのです。特に、例えば買い取り価格についても、その民間団体が買い上げをしたときに、損害賠償として請求できるのは現実に買い上げた価格であるとすると、買い上げ価格がどう決まるかによってかなり違ってくるんじゃないかと思うのです。それから、5ページの3なんですけれども、これも稲わらが不足しているときに、それを現物で供給して、それを損害賠償として取れるというのがどういう意味なのか、なかなかわからないところがあります。本来ならば売れるべき時期に売れないので、やむを得ず牛を養っているということであれば、それはいいのかもしれないのですけれども、事故がなくても、牛を飼い続けていたような状況における飼料代については、どうでしょうか。その辺、全体として、本来、直接損害を請求したらどうなるのかということと、こういう団体を介在させると、どうなるのかということとの比較が必要ではないかと思います。
 それから、もう一つは、指針としては、むしろ直接請求する場合だけを想定して書いておけば、それで中間者を介在させた場合も解決できるのなら、それも一つの方法かなというように思っています。

【能見会長】  はい。それは、先ほどもちょっと私が申し上げたように、こういう民間団体からの立てかえ払いがただちに指針による賠償の対象に入るわけではなくて、理論的には恐らく先に指針で賠償の対象というのが決まっていて、それを立てかえ払いしたときに、賠償としてその団体が請求できると。そういう構造になると思いますので、今、野村委員が言われたような視点で基本的には考えることになろうとは思います。
 ほかに何か。

【田中委員】  これはこの問題に限ったことじゃないのですが、放射性物質の付着した稲わら等の処分とか、牛がどの程度なっているかに、レベルによると思うんですが、この処分についての追加的費用が発生するっていうことになっているんですが、そもそもがどういうふうに処分するかっていうこともわかっていないと思いますし、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。

【能見会長】  これは、あるいは農水省だけの問題じゃないのかもしれないですが、いかがですか。

【農林水産省原田畜産企画課長】  今の点に限ってお答えしますと、稲わらも、放射性物質が付着した災害ごみと同じ扱いをされますので、一定の汚染以上、8,000ベクレルで灰になるような状況ですと、それまでは一般焼却施設で焼却ができるのですが、がさが多いものですから、具体的にどういうふうに焼却していくかという問題もございます。埋却する場合の問題もございます。今回の稲わらでは、50万ベクレルですとか、69万ベクレルというような高濃度の稲わらも出ていまして、こういったものはほんとうにどういうふうに処理をするのかというのは、関係省庁と相談をしながら進めていく必要があるかと思います。
 牛自体は、30キロ圏内から牛を移動するときに、外部被曝はすべて計測したのですが、最大で1万6,000CPMぐらいで、ほとんどは1万CPM以下でございまして、外部被曝という意味では30キロ圏内にいた牛でもそれほど大きなものはなかったのですけれども、屠畜場で牛を屠畜して解体したときに、例えば肉から5,000ベクレル出ますと、内臓ですとか皮ですとか、いろいろなものがその屠畜場でごみとして処理されます。これもしっかりとした放射性物質の処理をいたしますと、濃度が低ければ一般焼却できるのですけれども、万が一、高くなりますと、これもかなり難しくなるところで、一般的な放射性物質の災害ごみと同じような処理を、わらでも、家畜の残渣でも、しなければいけないということで、まだまだこの辺については、かなり流動的と申しますか、これから整理が必要かと思っております。

【中島委員】  先ほど、野村委員が質問された同じ箇所なんですけれども、民間団体で支援する5ページの一番下のほうですけれども、稲わら等の不足に基づいてということなんですが、稲わらが不足した原因として、地震や津波の影響というのはないんですか。

【農林水産省原田畜産企画課長】  地震や津波で畜舎が倒壊してしまった、それによって稲わらが使い物にならなかったというものはあるかもしれませんけれども、今回のこの事業の対象としましては、基本的に放射性物質が検出された地域、あるいは検出された稲わらというふうに整理してございます。

【能見会長】  よろしいですか。
 この問題についてはもちろん、もっともっと議論すべき点がたくさんあると思いますけれども、制限するつもりではございません。全体にわたってご議論があればお願いしたいと思います。どうぞ、大塚委員。

【大塚委員】  5ページの、民間団体の支援というお話ですけれども、今回、国が買い上げるとかという話も一時期出て、結果的にこういうふうにまとまったのだと思うんですけれども、これは民間団体の支援といっても、背後に国とか県が何か関与しているということはあるかどうかですけれども、つまり、単なる立てかえ払いというふうに考えていいのかどうかというところが、このケースに関してはよくわからないものですから、その点についてお伺いしたいと思います。
 具体的には、先ほど野村委員が気にされたように、買い取り価格をすべて賠償対象にするのかという問題が一応あると思いますので、それは合理的な範囲でということになるのかもしれませんけれども、もし国とか県とかが何らかのかかわりを持っているのであれば、恐らく合理的な価格だということに大体なりそうなものですから、その辺との関係で、これが民間団体等の支援といっても、どういう意味を持っているのかというのをお伺いしたいと思います。

【農林水産省原田畜産企画課長】  ありがとうございます。基本的に3本の事業とも、例えば、一番上の買い取り事業につきましては、買い取り価格の上限というのを、牛の種類、あるいは部位ですね。ロースですとか、ももですとかありますが、そういったものにつきまして上限を定めてガイドラインは国のほうで定めたいと思います。それは、過去のそういったものの価格を前提に定めていきたいと。わらなんかについてもそうでございますが、この3本の事業の立てかえ払いの趣旨は、農家個々の方が、個々ばらばらに、あるいは事業者の方は今まで何とか県賠償請求協議会みたいなところに全然かかわっていない方が多いので、そのかわりに業界団体としてまとめて整理をしていくと。各県の協議会と同じような役割を団体に担っていただきながら、速やかな賠償を実現できるようにしたいという趣旨でございます。それに国として必要な助言ですとかガイドラインを設けて指導していきたいということでございます。

【能見会長】  よろしいですか。ほかの委員はよろしいでしょうか。
 きょうのお話を伺っていますと、大体は今までの営業損害とか、あるいは風評損害の基準で、問題なく入るもの、入らないものの基準ができるのだと思います。もう少し具体的に検討する中で、風評損害あたりが一番問題かもしれませんが、その抽象的な基準などについても一応再検討しなくちゃいけないところが出てくるかもしれません。いずれにせよ次回、全体について、汚染された牛の問題を含めて審査会としては議論したいと思います。
 もしほかに特にご意見がなければ、このぐらいにしたいと思いますが、よろしいですか。それでは、どうもありがとうございました。

【農林水産省】  ありがとうございました。

【能見会長】  それでは、第2の議題、中間指針の案についてご議論をお願いしたいと思います。今まで何回かにわたりまして、この中間指針のいろいろな論点につきましてはご議論いただきました。難しい論点については、特にそれを取り出してご議論いただいたところでございます。本来であれば、一応、この7月中に中間指針というものがまとまるということを目標にしてきたわけですけれども、この牛の問題なども出てまいりまして、今日までに指針の全体をまとめられないことになりました。この点につきましては、私からお詫びしたいと思います。いずれにつきましても、今日、この中間指針の枠組みでございまが、これにつきましてさらにご議論をいただきたいと思います。今日お出ししている案はあまり具体的なところが出ていなくて大変申しわけないと思うのですが、特に風評損害とかいうところにつきましては、今まである程度は議論してまいりましたけれども、ここには抽象的な形でしか書いていないので、少しご議論がしにくいのではないかと思いますが、お気づきの点、改善すべき点につきまして、ご意見があればお願いしたいと思います。
 この中間指針の案につきましても、かなり大部でございますので、一応、全体についての説明を事務局からいたしますが、部分部分に区切って議論していきたいと思っております。それでは、資料につきまして説明をお願いします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  それでは、資料2でございます。中間指針(案)のイメージということで、これまでの第一次指針、第二次指針、それから第二次指針の追補、それに前回の資料でございます、論点の整理、これを1つに合わせた形で、この中間指針(案)のイメージというのを作成してございます。
 まず「はじめに」でございますが、これは何らかの前書きが来るということで、空欄になってございます。
 それから、第1といたしまして、指針の位置づけについてでございますが、これは前回の資料を少し詳しく書き砕いた格好になってございますが、最初の1のところはこれまでの経緯が書いてございます。それから、2のところは、この中間指針全体で示す項目の類型につきまして、マル1から⑨の類型を示して、ここに箇条書きにしてございます。それから、3のところでございますが、これは事故の収束がまだない中、この段階で一定の類型から可能な損害項目を示したということで、3の最後のところにございますが、今後、事故の収束、避難区域等の見直し等の状況の変化に伴い、必要に応じて改めて指針で示すべき事項について検討するということが書いてございます。それから、4のところで、2ページのほうにわたって書いてございますが、ここにつきましては、当然、その指針に明記されないものもあるわけでございますので、そういったものが賠償の対象にならないということではないということを確認的に書いてございます。
 それから、第2といたしまして、各損害項目に共通する考え方についてということで、これは第一次指針のところであった項目でございますが、これに2つの項目を追加した格好になってございます。その追加してございますのは、一つは2でございます。損害項目のうち「避難費用」「営業損害」「就労不能等に伴う損害」など、継続的に発生し得る損害については、終期をどう判断するかという困難な問題があるが、この点については現時点で考え方を示すことが可能なものは示すこととし、そうでないものは今後、事態の進捗を踏まえつつ、必要に応じて検討するということでございます。それから、3ページの4のところでは、これは地震、津波との関係についての考え方が書いてございます。5、6につきましては、これは第一次指針と同じ内容になってございます。
 それから、3ページの一番下の行から、第3といたしまして、政府による避難等の指示等に係る損害について書いてございます。まず、4ページからは、これは若干長くなりますが、対象区域といたしまして、(1)の避難区域から、次の(6)のところまで、ここで対象といたします区域を一つ一つ説明をしてございます。ここにつきましては、原子力災害対策本部のほうに確認を取った内容が、ここに記載してございますが、これまでの指針に対してここで追加されている項目としまして、5ページの特定避難勧奨地点、(5)でございます。それから、(6)の地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域として、これは南相馬市全域から、上の(1)から(4)を除いた部分ということで定義がしてございます。それから、5ページの下からは避難等対象者について書いてございますが、ここにつきましては、基本的に第一次指針から同じような概念になって、新しい、先ほどの(5)(6)の区域の住民が加えてあるという格好になってございます。6ページにそれについての備考がございますが、ここの備考3)、6ページの下のところで、これは前回、前々回の審査会の議論を踏まえまして、損害項目、賠償の対象者として項目によっては、区域内に滞在した者も含まれるということがここに書いてございまして、7ページの1の検査費用等がこれに当たるということで、検査費用につきましては、対象区域内の滞在者も含まれる形でここに記載をしてございます。
 以下、7ページから8ページに関しては避難費用に関してでございますが、ここにつきましては、指針の3のところでございます。8ページの真ん中辺でございますが、避難指示等の解除等から相当期間経過後に生じた避難費用は、特段の事情がある場合を除き、賠償の対象とならないということを、第一次指針で備考に書いてあったことでございますが、これを指針のほうに明記をしてございます。
 それから、以下、備考のところは、第二次指針の追補の内容が主として書いてございますが、10ページに、今の指針の3に対応します備考が書いてございまして、これまで対象区域で、既に指定あるいは指示の解除があったとみなされる区域につきましての終期についての期日が10ページにございます。
 それから続きまして、一時立入費用、それから次のページの帰宅費用、さらに生命・身体的損害、ここにつきましては、基本的にこれまでの指針のとおりでございます。
 それから、12ページの精神的損害についても同様でございます。第二次指針の追補の内容が、この12ページから16ページ、17ページまで書いてございます。ただし、ここのところでは、新しく対象区域となりました特定避難勧奨地点に関して、特別の記述があって、避難をした日から損害の対象となるということが書いてございます。
 それから、17ページの上の11のところで、これは精神的損害のその他のものが個別の事情によっては賠償の対象と認められ得るということが確認的に書いてございます。
 それから、7から営業損害に入ってまいりますが、ここにつきましては、指針の1のところの後半になりますが、第一次指針と若干表現が変わってございます。ここは逸失利益の定義の部分でございますが、減収分は原則として、本件事故が得られたであろう収益と実際に得られた収益との差額から、本件事故がなければ負担していたであろう費用と実際に負担した費用との差額(本件事故により負担を免れた費用)を控除した額(以下「逸失利益」という)とするという形になってございます。ここにつきましては、18ページの備考の5)のところに、ただいま読み上げました減収分の記述は、第一次指針、第3の5の1)@減収分」の記述と異なるが、これは意味を明確化するために修正を加えたものであり、実質的な内容は異ならないということで、第一次指針では比較的単純な売上高から売上原価を控除するという、粗利の考え方を書いてございましたが、今回の被害の場合は、長期休業などになってまいりますと、一般管理経費といったもの、あるいは営業利益全体というものを考えなければいけないということで、このような表現にしてございます。
 それから、そこのところを18ページの備考2)、3)のところで、収益あるいは費用というのをここで説明をさせていただいてございます。それから、営業損害に関しましては、前回までの審査会で議論をしていただいた、終期などの話が、この備考の7)から10)までのところに書いてございます。7)は、終期の一般的な話でございますが、この審査会でもご議論がありましたので、3行目ぐらいからですが、本件事故により生じた減収分がある期間を含め、どの時期までを賠償の対象とするかについては、現時点ですべてを示すことは困難であるため、改めて検討することとすると。ただし、検討に当たっては、拠点の移転、転業等の可能性があることから、一定の限度があることや、早期に転業する等、特別の努力を行った者が存在することに留意する必要があるということでございます。
 続きまして、備考の8)と9)には、これは終期と関連をいたしますが、倒産・廃業した場合、それから拠点を移転または転業した場合について書いてございます。倒産・廃業の場合は、営業資産の価値が喪失または減少した部分、減価分、これと一定期間の逸失利益、さらには倒産・廃業に伴う追加的経費を賠償すべき損害とすることが考えられるということでございます。
 それから、移転・転業の場合は、8)と同じ、営業資産の減価分、それから事業拠点の移転または転業に至るまでの期間における逸失利益、それと移転または転業後の一定期間における従来収益との差額、それに移転に伴う追加的費用、これを加えたものが賠償すべき損害とすることが考えられるということでございます。8)、9)それぞれに一定期間というものが、ここが終期と関係するわけでございますが、そこを決められない関係上、一定期間の検討に当たっての考慮事項といたしまして、転職が困難な場合や、特別な努力を講じた場合には、特別の考慮をすることとするということで、10)にその旨が書いてございます。
 それから、19ページ、その後の就労不能等に伴う損害でございますが、ここも終期の問題がございまして、20ページの一番下の8)のところに書いてございます。ここも基本的には営業損害のところと似たような書き方になってございますが、どの時期までを賠償の対象とするかについて、その具体的な時期等を現時点で見通すことは困難であるため、改めて検討することとするということでございます。ただし、その検討に当たっては、一般的に就労不能等に対しては転職等によって対応する可能性があると考えられることから、期間に一定の限度があることや、早期の転職や臨時の就労等、特別の努力を行った者が存在することに留意する必要があるというただし書きをつけてございます。
 続きまして、21ページの物の検査費用、あるいは財物価値の喪失または減少等のこれまでの指針と内容的には同じでございますが、備考の23ページのところでございますが、これは前回までの審査会でご議論いただいたところでございますが、4のところでございます。修理、除染等の費用は当該財物の価値の範囲内のものというのが原則でございますが、文化財、農地等、代替性がない財物については例外的にそれを超えるような範囲での賠償も認められ得るということを備考で書かせていただいてございます。
 さらに6)のところには、不動産価格の下落、さらには不動産の取引に関する契約についての考え方が書いてございまして、ここにつきましては、契約が成立していたとの確実性が認められる場合は、合理的な範囲で認められるというようなことが書いてございまして、後段の「また」以下のところには、不動産を担保とする融資の拒絶についてでございますが、あるいは不動産の賃貸借における賃料の減額、これにつきましては、融資の拒絶や賃料の減額等に相当の理由が認められる場合には、合理的な範囲で賠償すべき損害と認められるという書き方としてあります。
 それから、第4の、政府による航行危険区域及び飛行禁止区域でございますが、これは第一次指針に、飛行禁止区域を加えた格好になってございます。そこの営業損害、就労不能等に伴う損害は書き方は一緒でございます。
 続きまして25ページに、第5の、政府等による農林水産物の出荷制限指示等に係る損害についてということで、基本的には一時指針の出荷制限指示の損害、それに二次指針で追加をいたしましたもの、さらには備考1)のところにございますが、出荷制限指示に加えまして、さらに食品衛生法上の規定に基づく販売禁止であるとか、いわゆる法定あるいは原災法に基づきます政府支持などの各種の指示等が幅広く読めるような形にしてございます。
 それから、備考の2)のところ、3)のところには、これはこれまでの指針と同じでございますが、地方公共団体が合理的な理由に基づき行うもの、あるいは生産者団体が政府または地方公共団体の関与のもとで合理的理由に基づき行うもの、これについての説明が書いてございます。
 ここにつきまして営業損害等々、就労不能、検査費用、それぞれ、基本的には従前のとおりでございます。
 それから、27ページ、第6のところでございますが、その他の政府支持等に係る損害ということで、前回までの審査会の資料の中で、政府指示等に伴う損害として、水道に係る摂取制限の指導、あるいは汚泥の取り扱いに係る指導について該当するという資料をお出ししてございますが、それが書いてございます。備考のところに、これ以外にどういうものがあるかということについて、引き続き整理中でございます。
 続きまして、29ページから、いわゆる風評被害についてということで、第二次指針で決定いたしました一般基準が29ページから、備考も含めまして31ページまでの間に書いてございます。ここにつきましては、基本的に第二次指針の内容と同じでございます。
 32ページからが、農林漁業・食品産業の風評被害ということでございますが、指針の1のところは、以下に掲げる損害について1、3)マル1の類型というのは、原則として相当因果関係を認める類型でございますが、ここにつきまして、マル1からマル3、農林漁業、それから農林水産物の加工業及び食品製造業、それから、農林水産物・食費の流通業、この3つの大きな類型に分けた上で、それぞれどのような範囲で認めるかということについて、ただいま引き続き整理中でございます。
 それから、指針の2と3のところは、これは第二次指針の内容と同じでございまして、自粛あるいは検査にかかわるものが書いてございます。
 続きまして33ページの下から観光業の風評被害が書いてございます。ここにつきましても、前のところと同じく、観光業の風評被害の範囲、それから次の2)のところの外国人観光客に関する記述、それぞれについてただいま整理中でございます。3)はただし書きでございまして、これは最初の共通項目の中にもございましたが、震災との関係について、影響の蓋然性も認められることから、損害額の算定に当たっては、その検討が必要である旨を3)に記述してございます。備考のところは観光業の特徴等が書いてございます。
 35ページからは、4といたしまして、製造業、サービス業等の風評被害ということで、ここはこれまで出てきました業種以外のものを、基本的にはすべて包含するという形で書いて、整理をさせていただいております。これも指針といたしまして、このマル1からマル4の事業ごとの類型を整理してございますが、その中で特にマル1マル2につきまして、いわゆる製造業あるいはサービスを提供する業種、あるいはマル2のところでサービスを提供する事業者が来訪しないことによる損害、こういった類型につきましては、どの範囲で風評被害が生じているかということについて引き続き整理中でございます。それから、マル3につきましては、先ほどの第6のその他の政府指示の中で汚泥の処理に関するものがございましたが、この中で、実際、汚泥の再利用に当たっての引き取り拒否、それから、再利用して製造した製品に係る買い控え等がマル3で類型として示してございます。それから、マル4につきましては、水道水の摂取制限に係る風評被害ということで類型化をしてございます。
 それから、指針の2のところにつきましては、これは外国人が来訪して提供するサービスについての風評被害の範囲について記載する予定でございますが、これも引き続き整理中ということでございます。
 3のただし書きにつきましては、前の観光業と同じでございます。
 それから、その下のところから輸出に係る風評被害ということで、36ページに指針といたしまして、今、2つの項目で整理をしようとしてございますが、まず、1の部分でございますが、これは検査費用、あるいは各種証明書の発行費用ということで、当面の間、本件事故との相当因果関係が認められるという形で1は整理させていただいております。2のほうにつきましては、引き続きどの範囲で相当因果関係を認めるかということについて整理中でございます。
 それから、その下のところ、36ページの一番下から、いわゆる間接被害についてということで、37ページのところで、前回の論点の整理の資料の内容をそのまま記載してございます。指針といたしましては、1のところで、この指針の間接被害の定義をさせていただいてございます。指針の中でこれまで損害が認められる類型としてきた損害、これを第一次被害と定義しますが、これが生じたことにより、第一次被害を受けた者と一定の経済的関係にあった第三者に生じた被害を言うということで、ここでの間接被害を定義してございます。
 2のところでは、この間接費害については、間接被害を受けた者の事業の性格上、第一次被害者との取引に代替性がない場合には、本件事故との相当因果関係のある損害と認められると。その具体的な類型としてはということで、3つの類型を挙げさせていただいてございます。マル1とマル2は、いずれも販売先、あるいは調達先が地域的に限られている事業者の被害についてでございます。マル1が販売先が第一次被害者である場合、マル2が調達先が第一次被害者である場合でございます。それから、マル3につきましては、これは地域性ということではなくて、原材料やサービスの性質上、調達先が限られている事業者の被害ということでございます。
 それから、3の損害項目は営業損害、就労不能等に伴う損害ということで書いてございます。
 それから、備考のところで、1)、2)は前のところの説明でございますが、2)のところにマル3の類型について前回のご議論も踏まえまして、事業者には一般に、取引におけるリスクを分散する取り組みをあらかじめ講じておくことが期待されるため、この調達先が限られている場合とは、そのような事前のリスク分散がおよそ不可能な場合。例えば、ある製品に不可欠な原材料が特殊な製法等を用いて第一次被害者で生産されているため、同種の原材料を他の事業者から調達することがおよそ不可能な場合などが考えらえるということを解説として書いてございます。
 それから、3)のところは、ここで定義いたします間接被害には当たらないものの、通常、間接被害として考えられている、いわゆる、肩がわり損害。本来は第一次被害者、または加害者が負担すべき費用をかわって負担した場合、これは賠償の対象となるということでございますが、この場合の中に、括弧書きで、国または地方公共団体等が被害者支援等のために負担した場合を含むということを確認的に記述してございます。
 第9の放射線被曝による損害についてでございますが、ここについては、放射線被曝による急性または晩発性の放射線障害により、傷害、健康状態が悪化し、疾病あるいは死亡、これについての損害を認めるということが書いてございます。
 それから、第10、その他でございますが、まず、その他の中の1項目目といたしまして、被害者への各種給付金等と損害賠償金との調整でございます。39ページに指針の案がございますが、これはある意味では当然のことが書いてございまして、本件事故による原子力損害をこうむった者が同時に本件事故に起因して損害と当該利益との間に同質性がある利益を受けたと認められる場合には、その利益の額を損害額から控除すべきであるということで、具体的には備考の中で、それぞれ損益相殺がされるもの、あるいは控除がされるものについて、主な制度について整理をされたものを具体的に記載させていただいてございます。
 2)のところは、これは損益相殺をして、損害額から控除されるものといたしまして、マル1の労災保険、あるいはマル2の公務員災害補償法に基づく各種給付を挙げてございます。
 それから、3)、ちょっとこれ、インデントがずれてございますが、損益相殺の対象にはならないんだけれども、損害額からは控除されるものとして、損害保険等がマル3からマル5の損保を含む費用が書いてございます。
 それから、40ページの4)のところでは、これは損害額からは控除されないものとして、生命保険金や各種義援金まで、ここに主なものについて具体的に記載をしてございます。
 さらに、備考の5)のほうでは、賠償金を実際に支払う際に、控除ができるのは、そこの確実性というのがある場合だけであるということが書いてございます。
 それから、最後のところは地方公共団体の財産的損害でございまして、冒頭に議論があったとおりでございます。
 資料の説明は以上でございます。

【能見会長】  それでは、この指針の案についてご議論いただきたいと思いますけれども、何分大部ですので、幾つかに分けていきたいと思います。最初に第1、指針の位置づけについて、それから、第2の各損害項目に共通する考え方について、これは全体のいわばすべてのほかの項目にも当たる共通部分ですので、ここを先にご議論いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 3ページの6のところ、ちょっと誤解がないようにということで、私としては発言しておきたいと思いますけれども、ここでは賠償金の支払方法について、最終的な損害の全額が確定する前であっても月ごとに、例えば営業損害などを賠償したり、あるいは請求金額の一部を支払するということなど、そういう柔軟な対応が東京電力に対しては求められるということで、これはこれでいいわけですけれども、誤解がないようにというのは、この6というのは、東電が一部の仮払いをするということが行われているようですけれども、その一部の仮払いでいいんだということを正当化するものでは決してないということを確認しておきたいと思います。東電がどうして一部の仮払いしかしないかという理由については、私のほうは推測するしかないわけですけれども、仮に例えばある損害項目について、ある月の営業損害が大体このぐらいの額だというふうに決まったというときに、その請求に対して仮払いとして半分しか賠償しないというのは、仮払いであっても必ずしも私は適当ではないというふうに考えております。
 そういうような、東電がもし一部の仮払いをしているということであったときに、それをこの6というのは正当化するものではなくて、あくまでここで言っていることは、損害全額が確定して賠償するというのが本来の扱いであるけれども、しかし、全額確定する前に月ごとに賠償したり、あるいは全額確定する前に一部の損害がはっきりしているときに、その一部を支払うというのは、東電に対して柔軟な対応として求めたいという趣旨でございます。特に誤解はないと思いますけれども、考え方についての説明でございます。
 ほかに共通するところについて何かご意見ありませんか。はい、草間委員、どうぞ。

【草間委員】  この指針の位置づけですけれども、今まで第一次指針、第二次指針、そして追補が出されています。この中間指針が出た段階で、第一次指針、第二次指針、追補の扱いをどうするかというのは書いておいたほうがいいんじゃないかなと思ったんです。先ほどのご説明の中でも、第一次指針ではこう書いてあったんですけど、こう変えましたというようなのがあったので、この中間指針をもって第一次、第二次、追補はこちらに変えるとか、何かそういったのが要るんじゃないかなと思ったのですが、いかがでしょうか。

【能見会長】  これは基本的には第一次指針、第二次指針を取り入れて、この最終的な中間指針にしてあるという位置づけですけれども、微妙に変わっている部分がありますので、そういう点についてわかりやすく明記しておくということは必要かもしれませんね。もちろん、前のはこれに吸収されて、前のがそのまま生きるというわけではありません。

【草間委員】  ええ。その辺、ちょっと明記しておいたほうがいいかなと思ったんです。

【能見会長】  そうですね。
 ほか、よろしいですか。
 それでは、総論について、後からお気づきの点があればいつでもご発言いただくとして、次の第3の政府による避難等の指示等に係る損害、これは23ページまで続きますが、23ページに第4というのが出てきますので、その第4の前までというところでお願いしたいと思います。先ほどの説明の中にもありましたように、特定避難勧奨地点などが追加されたと。それから、避難に伴う損害についての終期などの問題についても議論が難しい点があります。そんな点について、もちろんそれ以外の点でも構いませんけれども、ご議論いただければと思います。いかがでしょうか。

【能見会長】  よろしいですか。どうぞ、草間委員。

【草間委員】  7ページの検査の費用の人の部分ですけれども、検査費用については人と物とが出てくるわけですけれども、物の場合は、要するに放射性物質による汚染があったかどうかという形の検査だと思うんです。人の検査については、例えばホールボディカウンター等で、あるいは体表面汚染があったかどうかというようなことの検査のほかに、健康診査なども入るかどうかというのは、ちょっと明記しておいていただいたほうがよいと思いますが。ここに言っている検査の費用というのは、あくまでも内部被曝等を含めました放射線に関連した検査なのか、あるいは、健康影響に不安を持った方が受けた健康診査をした場合のお金等も入るのかどうかというのは、ちょっとこれでは、わかりにくいので、はっきりしておいていただきたいと思います。

【能見会長】  はい。これは何度か議論したと思います。そんなに集中的には議論しなかったかもしれませんけれども、今、草間委員が言われた後者の健康診査、ある意味で一般的な心配を背景にしたような健康診査ということになるんでしょうか。

【草間委員】  そうですね。

【能見会長】  これも、どこまでそういうものが入るのか。ごく日常的な定期的にやる健康診査であれば、恐らく入らないと思いますので、不安を前提としてという意味じゃなくて、ごく一般的なのは当然入らないので、ですから、不安を前提とした健康診査というのがどの程度入ってくるのかという問題ですね。
 私としては、その不安というものが、ある程度合理的な根拠のある不安、抽象的に言うと、そういう前提が必要なのではないかという気がいたします。けれども、あくまでそれは抽象的な言い方なので、具体的にそういう健康診査を受けたときに、それが入るのか入らないのかというのを判断するのは、今の抽象的な基準だけではわかりにくいかもしれませ。私としては、何か、そういう合理性のあるものというふうに考えておりますが、草間委員としてはいかがでしょうか。

【草間委員】  私も、この前ご説明いただいた報告書等でも、例えば、特殊検診を増やしましたとか、そういったのがあったわけですよね。そこで人の検査の費用というのは、物の検査とは若干違う形で記載していただいたほうが、もちろんすべての健康診査が入るわけじゃないんですけど、一応、合理的な理由があって行った場合には入るような形にしていただいたほうがいいかと思いますので。

【能見会長】  わかりました。
 今の点で、もしよければ。はい、どうぞ。まず、田中委員が先に手を挙げたので、田中委員。

【田中委員】  これは入るのかどうかわかりませんけど、福島県のほうは、甲状腺の検査をやるって具体的に決めましたよね。子供については。詳しいことは忘れましたけど。そういったものは損害賠償に入るのか、それとも別の枠組みでやるのか、ちょっとよくわからないのですが、長期にわたってその検査をやっていく、フォローするということを決めているんですけれども。

【草間委員】  そういったのも含めて入れたほうがよいと思ったのですけど。この検査の費用というのは、どちらかというと物と同じような形の検査の費用という形で書かれているので。例えば甲状腺だとヨウ素があるかどうかということの検査というような形でしか読めない可能性があるので、例えば甲状腺の影響を心配して、具体的にはエコーをするわけですよね。そういったエコーの検査とか、そういったものも人については入れておいていただく必要があるんじゃないかと思って発言させていただいたんです。

【能見会長】  繰り返しになりますけど、そういう合理的な不安を前提とした検査であれば入るのだろうと思いますけれども、今お話のあった福島県の甲状腺というのは、ちょっと論点がずれてしまいますけれども、費用は県がもつという前提なんですか。

【田中委員】  その辺、よくわからないんですが。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  今の健康調査につきましては、国と、これは東電が拠出して基金をつくって実施するというふうに、すみません、私、今、資料がないのですが、そのように記憶してございます。

【能見会長】  恐らく今のようなカテゴリーもあるのだと思いますが、損害の賠償そのもののカテゴリーとオーバーラップする部分、重なる部分もありますけど、今後の健康対策、政策そのものの問題としてどういうことをやっていくのかという、今のはそういう取り組みの一つなんだろうと思いますね。
 繰り返しになりますけど、しかし、そういうものの費用は、今の仕組みの中で費用が捻出される仕組みが別途できていると、恐らく損害賠償の問題には入ってこないかもしれませんけれども、それ以外のものとして個別に検査などをした場合に、合理的なものについては入ってくるということなんじゃないでしょうか。
 野村委員、どうぞ。

【野村委員】  結論はそれでよろしいのですけれども、もう一方で、11ページに生命・身体的損害の指針の中に、2というのがありますよね。ここでも入ってくる場合もあるのかなと。その振り分けが難しいのかもしれないとは思いますが。

【能見会長】  はい、確かに。

【野村委員】  ですから、ある程度、そのどちらになるのかわかりませんけれども、合理的なものは、損害賠償として、認められるということではないかと思います。

【能見会長】  そうですね。検査みたいなものの振り分けが、確かに、何とも言えない。どっちにも入りそうな感じですが。
 どうぞ、鎌田委員。

【鎌田委員】  11ページの5に書いてあることは、素直に読むと、本件事故により避難等を余儀なくされたために生じた傷害、疾病ということであって、放射線の影響によるものというふうには、この文章からは読みにくいので、先ほどの草間委員のご意見について、これはこの場での思いつきですから、もうちょっと詰めていかなければいけないと思うのですけれども、7ページの検査費用に、現在は放射性物質への曝露の有無等を確認する目的というふうに、目的が限定されているんですけれども、これに放射性物質への曝露による影響の有無・程度みたいなものを付け足して、これも、その調査目的の範囲に含まれるということではいかがかと思います。全体の趣旨に問題がなければ、そういった方向で、この検査費用の範囲を拡張することで草間委員のご趣旨はカバーできそうな気もするので、その可能性についてご検討いただければと思います。

【能見会長】  ほかの委員の方、いかがですか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  事務局から補足させていただいてよろしいですか。
 11ページの生命・身体的損害のところは、これは一次指針からそのままここに持ってきてございます。それで、一次指針のときの生命・身体的損害は、これは避難途中に体のぐあいが悪くなって亡くなった方もいらっしゃるということで、放射線によるものではないという整理は、一次指針のときにさせていただいたと記憶してございます。

【能見会長】  鎌田委員の言われたとおりの整理でよろしいかと思います。ですから、入れるとすると、先ほど、草間委員が問題にしているのは、7ページのところの検査費用に入れるかどうかということで、この文章、鎌田委員が言われたように、このままだとこの目的が狭いので、草間委員のような意見を入れるとなると、少し文章を変えなくちゃいけないかもしれない。その前に、今のような検査を含めていいかどうか、そのための費用を損害の対象として含めていいかという実質的な問題についてのご意見を伺えればと思います。

【大塚委員】  先ほど会長がおっしゃったように、不安を感じることについて合理的な、抽象的な危険がある場合というのが大事だと思うんですけれども、それは7ページの1の指針のほうの下の備考の1)に、少なくとも、避難等対象者のうち云々というところで書いてあるんですけど、これだけでいいかどうか、これは「少なくとも」なので、限定しているので、これだけに限らないと思うんですけれども、これでいいかどうかということが、恐らく先ほどの草間委員のご指摘との関係では問題になると思います。

【能見会長】  なるほど。これだと草間委員の考えておられるような検査というのは、少し狭そうですか。

【草間委員】  このままだと狭い感じですね。

【能見会長】  少し狭いというご意見ですね。

【草間委員】  ええ。

【鎌田委員】  ここの指針で書かれているので十分かどうかという点については、備考よりも7ページの指針そのものが、「避難対象者のうち」っていうふうに、まず対象となる人が最初から限定されている。大きいくくりの中でも、「政府による避難等の指示等に係る損害」という大くくりの中でこれが置かれているわけですから、この枠から外れている人についての検査というものについては、ここの7ページで処理するのではなくて、全体の枠組みをどう組み立てるかという問題なんだと思います。ここの中で、この項目だけ範囲を変えてしまうと、それは全体の組み立てがおかしなことになるだろうと思います。

【能見会長】  これはなかなか大きな問題になって発展してきましたけれども、恐らく草間委員は、少なくとも避難指示等の対象のものに限定してというご趣旨だったと思うのですけれども、もっと広い一般論があり得て、そうなると、これは第9に関連するというのでしょうか、これは被曝そのものがあったという場合を前提にしておりますけれども、この指針の中では、避難対象者と別に、放射線による被曝、あるいはその恐れに関連する項目が取り上げられていないんですね。ですから、今、鎌田委員がおっしゃったような方向で取り扱うべきだとなると、恐らく第9のところに関連して扱うのだろうと思いますけれども。

【鎌田委員】  あえて言うなら、相当程度の放射線被曝を受けて健康被害について客観的に見て、ある程度リスクがあるということであれば、第9の話になってくるんだと思うんですけれども、より一般的に言えば、健康被害だけじゃなくて、もうちょっとさまざまなものについて、この中間指針では、基本的にまず地域・対象者の限定をして、これも客観的に、この範囲内であれば、個別の判断をしなくても損害を認定できるという損害項目について、とりあえず指針を出すという形の指針であって、この対象区域外であって合理的不安を抱いているとか、あるいは避難をすべき合理的理由が認められるというのは、とりあえずこの指針に書かれている具体的項目とは、外の話として処理するというのが、これまでの一次指針、二次指針から、この中間指針までを通じての基本的な枠組みだったんじゃないかなと思うので、ここで言っている地域・対象者の限定の外での項目について、どう考えるかという、もうちょっと一般的な話の中で処理しないといけないのではないかなと思う。そういう趣旨でございます。

【能見会長】  今の点について、一応、今回の枠組みというのは、避難指示等に係る損害ということで、一定の区域が指示指定されていて、その範囲に入る人についての避難にかかわった損害、あるいは精神的損害、それから健康診査等の損害も入ってくるわけですが、そういうもので区切っておりまして、恐らく大きな問題としては、今、鎌田委員も言われましたし、あるいは前回もそういうご趣旨だったのかもしれませんが、その外で生じる損害、具体的には、指定された区域外で避難した人の、いわゆる自主避難というふうに一般的に言われているようですが、そういう人たちの避難のためにかかった損害、あるいは精神的損害、その他の損害、こういうものをどうするかという大きな問題があるわけですね。これはぜひ皆さんのご意見を聞きたいと思って、この指針はそういうところまで今は踏み込んでいないわけですが、ぜひご意見を聞きたいと思っていた点でございます。
 ちょっとその問題に移りましたので、少し時間をとるかもしれませんけれども、ぜひ皆さんのご意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。中島委員、どうぞ。

【中島委員】  この指針の構造が、全体として人と物を分けて、人については避難指示、物については出荷制限、そういう公的な何らかの制限に基づいて、それに基づく賠償を支払うという構造になっていますけれども、ただ、物については、出荷制限のほかに風評被害を認めて、食品の表示の方法などの観点から、実際に出荷制限のあるものより少し外側の部分まで、損害賠償の対象に広げているわけですけれども、人については広げていないというところが根本的な問題の所在だと思うんですが、もし農産物なんかの風評損害と同じように、その回避行動が合理的であると見られる場合には、物の風評損害と同じような考えで、人の、大塚先生のご専門の予防原則のような考えで、その回避行動、自主的な避難行動が合理的と見られる場合には、風評損害と同じ理屈で、賠償の対象に入れるかどうかということかと思うんですが。
 ただ、そうなると、物の場合は、食品表示が県単位であるとか、いろいろな観点で、わりと合理的な範囲の線引きをしやすかったんですけれども、人の、どこまでの自主避難が合理的な、あるいは予防原則で言うなら、賢明なる回避行動として合理的な範囲と言えるかというのが、その線を引く範囲が大変難しいように思うんです。そこに、やはり、この指針になかなか入れにくいという問題があるように思うんですけれども。
 例えば、牧草に放射性物質がかかっている県全部となりますと、埼玉とかもみんな入ってしまう。そうすると、埼玉県の人がさらに避難したら、その費用も入るのかということになると大変難しい。その線引きの基準なりをつくるのが非常に難しい。
 さらにもっと言うと、科学的な根拠に基づいて、どの範囲の避難行動が合理的と。もっと言うと、後発的な晩発被害を防ぐための行動として合理的と言えるのかというのが、線引きを表現するのが難しいように思うので、そこに問題があるように思います。

【能見会長】  ほかに。田中委員から、先にどうぞ。

【田中委員】  1つのロジックの組み立てを整理したいと思うんですが、今、20ミリシーベルト以下はいろいろな考えがあって、国際的なICRPの勧告を受けて、その場で住み続けるという判断を国がしたわけですね。ただし、それは今後できるだけ低くする努力をするということも前提になっているかと思うんですが、そういうことで、今、国がとっているのは20ミリを超えるか、超えないかというところで避難という、ある種の強制的な避難を出しているんですが、20以下で、限りなく低いところでも、限りなくと言ったらおかしいけれども、通常よりは少し高いんですけれども、私が住んでいる茨城県の水戸近くでも、もう通常より三、四倍高いわけですから、そういうところまで全部入れるのかということになると、ほんとうに今度はロジックですね。20ミリで住むというところの国の放射線被曝についての考え方を根本から考え直さなきゃいけないのかもしれないという気がするんですね。だから、どこかで線は引かなきゃいけないんじゃないかというのが、私の率直な印象です。
 だから、特定避難勧奨地点って、最近出たところは、隣同士で避難したり、避難しなかったりというところがあって、そういう今のような問題が逆にかなり厳しく、コミュニティーの中で問題になっているんですが、その辺は微妙に難しいところはあるんですけれども、基本は、やっぱり20ミリを超えるか超えないかというところかと思うんですけどね。
 それで、当然、国なり何なりが低くする努力はすべきということではないかと思うので、あんまり広げたら、先ほど中島委員が言ったように、今、東京の人とかでも、避難している人がおられますから、きりがないなという感じはします。

【能見会長】  大塚委員。

【大塚委員】  中島委員や田中委員が言われたことと基本的に同じ方向性の議論をしたいと思っているんですけれども、おそらく、この避難区域のすぐそばに住んでいらっしゃる方は、お子さんとかがいらっしゃれば、避難したほうがいいと思う気持ちは非常によくわかるところなものですから、それをどう扱うかという問題かと思っています。
 あまりほかの例を挙げると、ちょっとご迷惑かもしれないんですけれども、水俣病の救済に関して、結構、長い間紛糾してきたという歴史が環境法のほうではございますけれども、その1つの大きな原因が、1,600万から1,800万という補償協定にあたる人だけを認定して、それ以外の人は基本的には救済しなかったということが、ごく部分的な救済はしていたんですけれども、基本的には救済しなかったということが、結構、問題を長引かせてきた一つの大きな理由になっていたわけですけれども、今回、20ミリシーベルトのところで切って、そのすぐそばの人は、ちょっとでも外れれば全く何も払わないということをすると、似たような結果にならないかどうかを個人的には危惧しているところがございます。
 ただ、その考え方は、どんどん広げればいいということには必ずしもならなくて、先ほど、中島委員や田中委員が気にされていたように、今ある20ミリシーベルトの範囲のちょっと外にもう少し広い範囲の、何ミリシーベルトかは科学的に決めなければいけませんから、私が申し上げられるようなことでもございませんが、例えば範囲を決めて、その部分については、例えば全額ではなくて、一定の額を出すというような方向性の議論が、水俣病に関しては、早くからやっておけば大分よかったなというところもございまして、一律に、ここからは切ってここからはゼロという、オール・オア・ナッシングの議論というのは、必ずしも良くないのではないかという問題はあるかと思います。
 ただ、20ミリシーベルトより少し少ない何ミリシーベルトという値を考えて、その範囲を決定するというようなことが、この審査会ができることかどうかよくわかりませんので、それは政府にお願いをするということになってしまうのではないかと思いますが。
 問題を少し広げてしまって大変恐縮なんですけれども、私の意見としては、そんなことを考えております。

【能見会長】  ほかに何かご意見ございますか。鎌田委員、どうぞ。

【鎌田委員】  明確な方針を出せるわけではないんですけれども、今の議論の中には、大きく2つの要素が含まれていると思うんです。どこまでが賠償されるべき損害の範囲かという問題については、この「はじめに」の「指針の位置づけ」の中にも書いてあるし、たびたび確認もさせていただいているんですけれども、この指針の中で、具体的に賠償されるべき損害の範囲として摘示されなかったものは、賠償されるべき損害の範囲から外れているんだというわけではないということ、つまり、どこまでが賠償されるべき損害の範囲かということのすべてを決めるのが、この指針の役割ではないということが大前提だと思うんですね。
 その上で、しかし、できるだけ指針の中できめ細かく、漏れなく決まっていたほうが、被害者救済はより円滑になるだろうと思いますけれども、今議論があるような、かなり微妙なところまで全部決まらないと指針が出せないということになれば、それだけ、この指針に従った迅速な救済というのが遅れていくので、もともと第一次指針のときから、少なくとも最低限、だれが見てもこれだけは必ず賠償されるべきだという疑問のないところから順に拾い上げていきましょう。しかも、運用するたびに、一見、指針で賠償されるべきものとされているようだけれども、個別に審査しなければいけないというものでないところから、決められるところから決めていけば、少なくとも、その部分からは早く救済されるということで、一次指針、二次指針、そして、この中間指針というふうにきたんだと理解しています。
 だから、ここに書かれていないものは賠償しないというふうな宣言をしているという読まれ方はされては困るというのが大前提であって、その上で、ここではっきりとさせにくいものについて、この中間指針の段階でどう取り扱うか。あるいは、今後、中間指針の次に、どういうふうなステップを歩んでいくかということで、この中にも、たしか指針の位置づけの3にも、そういう趣旨で書いてあったというふうに記憶するんですけれども、ここで直ちに明確な答えが出せないものであっても、今後のさまざまな調査、あるいは知見の集積によって、あるものについては類型的に、これは賠償の範囲にはいるということが固まってくれば、類型的に指針を追加していけばいいし、そこまで類型化できないし、非常に個別的な判断に依拠せざるを得ないものというのは、やっぱりこの審査会、あるいはそのもとに今後できるところでの和解の仲介でしたでしょうか、そういうふうなものを通じて、個別的な判断をしながら、それぞれの事案に応じた解決をしていく。それを積み上げていく中で、また一定の類型的な指針ができれば、指針の追加をしていくというふうに、賠償されるべき損害の範囲、イコール指針に書かれて、具体的に損害項目として挙げられたものだという考えを大前提にしないで、できるものから迅速に。そして、できる限り、明確化できるものは、逐次明確化していくという形で進めていかれるのがよろしいと思っています。
 今の問題については、じゃ、どうかと言われると、今この時点では、ちょっと明確な答えを私自身も持ち合わせておりませんけれども、少なくとも、今のこの中間指針の対象範囲に入っている中では、健康調査的な検査費用を対象に入れるということには、全く異存はございません。

【能見会長】  今、いろいろな委員から議論が出てまいりましたけれども、やっぱり幾つかの問題点があると思うんですけれども、一般論としては、今、鎌田委員が言われたように、ここで書いていないものについても、相当因果関係がある損害というのは当然あり得るので、その賠償を否定するものではないということは当然だと思うんですが、今、問題となっている自主避難等については、全く個別的な事情の問題かというと、そうではなくて、おそらく一定の基準があるんだろうと思うんですね。
 基準といいますと、今、20ミリシーベルトというのが、少なくとも政府の策定した指針といいますか、避難のための指針だと、それが避難をすることを求めるといいますか、あるいは避難をすることが合理的だという基準として政府がつくっている基準というのがあると。今、自主避難している人たちが問題にしているのは、そこに至らない、20ミリシーベルト以下であっても、不安を感じる合理的な程度の汚染というのがあるんだと。したがって、そういう20ミリシーベルト以下であっても避難したという場合について、それは賠償対象に入るべきだという主張だと思いますので、そういう意味では、全く個別的ではなくて、何か一定の基準が必要になってくるというところが難しい問題だと思っております。
 この20ミリシーベルト以下のどういう基準がいいのか。10ミリシーベルトなのか、あるいは5なのか、そういう問題については、これはこの審査会自身がその基準を決めるということは難しい。これは大塚委員が言われたとおりだと思います。
 ちょっと何か責任逃れするような言い方かもしれませんが、これはやはり政府が責任を持って考えるべき問題であって、審査委員会というのは、いろいろなそういう周辺の状況が、避難のための基準だとか、今のどのぐらいの汚染の場合に避難するということがおかしくない、合理的な行動だという判断をするための指針自体は、繰り返しになりますけれども、この審査会ではなかなかつくれなくて、その指針が、あるいはその基準がつくられれば、審査会としては、そういう程度の汚染のときに避難したり、あるいは、それ以外の損害が生じた場合に、それを賠償の対象にするということが言えるという構造になっているところに、この審査会の、残念ながら限界であると同時に、難しさがあるように思います。
 したがって、私としては、この問題については、どういう形で扱うかはちょっと別として、指針の中で、あるいは付記をすることも可能かもしれないし、あるいは、ここで議論することで、議事録に残すということでも構わないと思いますけれども、何らかの形で、この審査会としての意見、考え方は明確に示しておきたいと思います。その中身自体、まだ、今いろいろなニュアンスのある、違う考え方があったと思いますけれども、今回、もうちょっと議論して、さらに次回、引き続き、議論することになると思いますけれども、今までの意見につけ加えて、あるいはさらにご意見があればお願いしたいと思います。どうぞ、草間委員。

【草間委員】  大変難しい問題ですけれども、一応、第一次指針から追補まで含めまして、できるだけ早く迅速に対応しましょうという基本的な考え方のもとで、今まで来たんだろうと思います。だから、自主避難をどうするかについては、今、会長が言われたように、20ミリがいいかどうかという議論というのは、ここで扱う課題ではないので、迅速に損害に対してここで審査しましょうということになりますと、今、人に関する問題としては、とりあえず屋内待避とか、避難等にかかわる損害をということです。具体的には、慰謝料を含めまして、避難にかかわる費用とか、そういったものに関しては、ここの中間指針の中では、20ミリという形で国、あるいは地方自治体等が指示を出したものについて補償しますということなんだろうと思います。
 先ほど水俣のお話がありましたけれども、その後、具体的な健康被害に対してどうするかという問題ですけれども、これは第9のところにもありますように、これから、仮に問題になる健康被害というのは、要するに晩発影響でして、がんが問題になってくるんだろうと思いますけれども、そのときはリスクという形で考えていかなければなりません。これから問題になる晩発影響に関しましては潜伏期間があって、最低でも2年、あるいは10年の最小潜伏期を経ないと出てこないので、そういった健康被害等については、第9にあります「放射線被曝による損害について」という形で、晩発影響についてはどこまでそのリスクを補償するかというのは、これからの大きな課題になるだろうと思いますので、今回はとりあえず、国、あるいは地方自治体が20ミリシーベルトという形で対応した、その人たちを対象にという形でやることが、やっぱり迅速にこの指針を出すということにつながるんじゃないかと思います。

【能見会長】  何人かの委員のご意見は、当面、少なくとも避難に関する費用、損害等については、国が20ミリシーベルト、これは避難準備区域とか、あるいは警戒区域というのは、ちょっと違った観点から円が描かれていると思いますけれども、計画的避難区域、あるいはホットスポットに関しては、20ミリシーベルトという考え方が明確に出ていて、それが避難のための基準、避難をすべきだ、あるいは推奨されるという基準であるというのが、おそらく今の、一応、政府がつくっている基準であると思います。そういう意味では、避難に関連する費用の賠償は、繰り返しになりますが、当面これを基準にしながら、この中間指針というのはつくるけれども、ただ、20ミリシーベルト以下であっても、それなりにいろいろな合理的な危険性があるので、その危険に対応するための措置というのが必要なんだという考え方が示されれば、これは、その危険に応じた損害というものの賠償というものは考えられる。
 ただ、これも繰り返しになりますけれども、現在の指針そのものでは、なかなか今、扱えない。けれども、今の基本的な考え方は、できれば指針のどこかに付記する形で、あるいはこれに接続する形で、別な意見の表明になるかもしれませんけれども、審査会としての考え方は示すということは、ぜひしたいと思います。
 また、これは非常に大きな問題だと思いますので、次回も引き続き議論したいと思いますけれども、決して、こういう問題について、私としては審査会でネグレクトしていい問題であるというふうには思っておりません。何かほかに、ご意見がございますか。田中委員、どうぞ。

【田中委員】  会長の言うことで、私も同意なんですが、20ミリでいいということを、20ミリだから避難することが唯一の方法かというと、ICRPなんかが言っていることはそうではないんですね。だから、これはこの委員会のミッションではないと思いますけれども、そのことを踏まえて、やはり20ミリシーベルト以下でも不安に思っている方もいるし、事実、そういう具体的な例もいっぱい出ていますから、それについては、政府のほうで、そういうことを踏まえて何か対応策を考えていただくということで、私は会長の言うようなことでよろしいんじゃないかと思います。
 直ちにと言った言葉が適当ではないですが、すぐ20ミリシーベルトという積算線量になるという状況にはないわけですしね。今、政府の基準も、来年3月までを積算して、20ミリになるかもしれないというところで線を引いていますから、そういう意味では、まだ時間的にも、もう少し余裕がありますので、そういうことで、避難だけが唯一じゃないんだということを付記していただきたい。

【能見会長】  今のご指摘とも関係しますけれども、避難以外の損害、先ほど、最初のきっかけになったのは検査のあれですけれども、場合によっては、こういうものは20ミリシーベルトに関係なく認めるという考え方もあり得るのかもしれませんね。
 ただ、指針の枠組みとして、そういうのを扱うときに、どこで扱うかという問題にまた戻ってまいりますけれども。どうぞ、中島委員。

【中島委員】  議事録に残していただくために、これは田中委員から教わったことなので確認したいんですけれども、今、田中委員がおっしゃったことをもう少し確認したいんですが。以前、教わったんですが、国際的な基準では、20ミリシーベルトから100ミリシーベルトの間で、社会的な環境などを考慮して、避難の基準を決めなさいとなっているところを、日本政府は一番安全な20ミリシーベルトをとったんだというふうに、たしか田中委員から教わったんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

【田中委員】  私はそういうふうに理解しています。原子力防災基準では、50ミリのおそれがあるところ、これはさっき会長がおっしゃった20キロ圏ですね。だから、計画的避難区域と少し違うというのはそこですね。実際に計画的避難区域は、もう放射能があるので、来年までいると20ミリを超えるかもしれないということで避難になっていますので、そこは少し様子が違うと。そのとおりだと思います。

【能見会長】  よろしいですか。それでは、今日のご意見も踏まえて、取り扱いの仕方も含めてどうするかを、また次回、検討させていただければと思います。
 それ以外、第3のところについてはよろしいでしょうか。

【草間委員】  何ページまでですか。

【能見会長】  第3「政府による避難等の指示等に係る損害」、3ページから23ページまでの間ですが。

【草間委員】  18ページの営業損害の備考の1)で、営業損害という形で、ここで農林水産業、製造業、建設業云々と挙げていただいているわけですけれども、この中で、ヒアリング等でもお話を伺ったりしている例えば学校とか、幼稚園等でも、かなり子供が減ってしまったとか、あるいは、老健施設等でも、入居者が減ってしまったという形もあるので、その他の事業一般と書いておくのがいいのか、あるいはその中で、学校とか、医療介護施設とか、こういったものは、例示で入れていただいたほうがいいんじゃないかと思ったんですけれども、いかがでしょうか。

【能見会長】  これは実際に避難をしたことで、対象地域内に事業があるということで、営業が行われていないことで生じる損害ですね。その中に学校があれば、もちろんそれも入るでしょうし、医療、介護施設の収入が減るということも、もちろん入ります。具体的な事例を幾つか入れることは、もちもん構わないんですけれども、何かその2つだけが入るとなると、営業一般というか、いろいろな、ほかの営業について、どうしたらいいかということも問題になりますので、もし例示を幾つか挙げるのであれば、代表的な例を幾つか入れるということは考えられるかもしれません。ちょっと検討させていただければと思います。

【草間委員】  はい、お願いします。

【能見会長】  入れることが、別にだめだということではありませんので。

【草間委員】  はい。

【能見会長】  ほかにいかがでしょうか。大塚委員。

【大塚委員】  非常に小さいことで恐縮ですが、23ページの第4のすぐ上の不動産賃貸借における賃料の減額の話が出ているんですが、これは、そもそも賃借人がつかなくなってしまったというケースは、この賃料の減額を行ったことによる損害等の「等」に入っていると考えてよろしいんでしょうかということを、ちょっと議事録に残させていただければと思うんですけれども。
 営業損害にも入るのかもしれないですけれども、わざわざここで書かれているので、ここに入るのかなと、一応、思っているんですけれども、お伺いしておきたいと思います。

【能見会長】  23ページのどこですか。

【大塚委員】  第4のすぐ上の6)の最後のあたりですけれども、減額のことが書いてあるんですけれども、そもそも賃借人がつかなくなってしまった場合は、ここに入るのでしょうか。「等」のところに入るのでしょうか。

【能見会長】  ここで入ることも入るでしょうし。ただ、営業みたいなのを行っているんだと見ると、営業損害でもありますよね。

【大塚委員】  ええ。

【能見会長】  ちょっと、どっちで整理したほうがいいかというのは検討させていただければと思います。

【大塚委員】  はい、どうもありがとうございます。

【能見会長】  どっちかに入るんだと思いますので。よろしいですか。どうぞ、鎌田委員。

【鎌田委員】  今の項目が出ましたので、大変細かいことで恐縮なんですけれども、今の賃料減額等のところで、「融資の拒絶や賃料の減額等に相当の理由が認められる場合」というのは、表現としてはあまり適切ではありません。これはやっぱり本件事故に起因するもの、相当因果関係の範囲内にあると認められることが重要なので、融資拒絶や賃料減額それ自体の相当の理由とは違うんだろうと思います。ここは表現の問題ですので、ご検討いただければと思います。

【能見会長】  もう合理的な範囲だけで十分だということですか。

【草間委員】  同じような意見で、17ページの7の「営業損害」の上の11)のところで、「その他の本件事故による精神的苦痛についても、個別の事情によっては」とありますので、これも合理的とか、若干制限するような言葉をつけておいていただいたほうがいいんじゃないかと思ったんですけれども、いかがでしょうか。

【能見会長】  はい。ほんとうはもうちょっと何か例示みたいなのを挙げられたら、そのほうがいいと思っているんですけれども、ただ、また例示も例示で、なかなかうまい例示が書きにくかったので、こういう形になっていますけれども。

【草間委員】  例えば合理的に認められるとか、相当因果関係ですか。

【能見会長】  基本的には、そういう考え方に基づいています。

【草間委員】  そうですね。

【能見会長】  ええ。ちょっと今「合理的な範囲」という言葉が、どういう形で使われているのかを少し精査して、賠償範囲について限定というわけじゃないんですけれども、相当因果関係によって賠償範囲が決まるという一般論をただ述べているだけなんですけれども、すべての場合について合理的な範囲ということで使っているわけでもないので、その言葉を使うことによるインパクトというのがある可能性があるので、むやみには使いたくない感じがするんですね。
 ただ、この精神的損害については、具体的なことが書いていなくて、非常に抽象的であるがために注意した方がよいということですね。では、その表現も少し検討させてください。

【草間委員】  はい。

【能見会長】  また次回、どういう原案が出ても、もう一回、ご議論いただいて、削除なり、追加なりできると思いますので。ほかに。大塚委員。

【大塚委員】  別の点で、すみません。6ページの下から2行目のところなんですけれども、ここは避難しなかった、対象区域に滞在している方についての損害なんですが、「損害項目」のところで括弧して(検査費用等)と書いてあるんですが、「等」だから、たくさん入るんですけれども、これは前回、ここで審議されたように、検査費用のほかに、営業損害とか財産価値の喪失、または減少等が入るので、これは書いていただいたほうがいいのかなと思います。「検査費用等」だと、検査費用以外は、何か入るかもしれないけど、ちょっとよくわからないということになってしまうので、営業損害とか、あと就労不能等に伴う損害とか、財産価値の喪失または減少等というのは、入れておいたほうがいいのではないかと思いました。

【能見会長】  はい。それはよさそうな気がいたしますけれども、いかがですか。おそらく、限定する趣旨の議論は今までなかったと思いますので、入れる方向で原案を作成してみたいと思います。その段階でもし問題があれば、またご議論いただいて、決定をお願いしたいと思います。ほかはよろしいでしょうか。
 もしよろしければ、次の第4から第6ということで、23ページの第4から、出荷制限など政府の指示に係る損害ということで、23ページから29ページまでをまとめていかがでしょうか。風評損害の前のところまでです。
 ここでは、政府等による農水産物の出荷制限指示等に係る損害については、先ほど農水省から説明がありました、セシウムで汚染された牛の問題が扱われることになります。具体的なことは、まだ書いてありませんけれども、そういうものが扱われることになるという前提で、この抽象的な基準についていかがでしょうかという質問です。よろしいでしょうか。これは出荷制限がされたという場合の話ですから、おそらく、あまり異論はないところだと思いますけれども。
 先ほど農水省のご説明で、ある県の中で2カ所以上出荷制限がされたときに、全県を出荷制限するというご説明でしたか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  はい。

【能見会長】  そういうことですね。じゃ、それも全県が出荷制限になりますから、そういう意味では、この項目の中に、第5のところで扱われることになりますね。
 はい、どうぞ、草間委員。

【草間委員】  先ほど中島委員から、最後の地方自治体の財産的損害のところで、学校の校庭の問題なんかがあったと思うんですけれども、学校は、必ずしも地方公共団体の学校だけじゃなく、私立の学校等もあるわけですね。だから、そういったものを含めると、例えば第6のところで、政府の指示等による損害で、今、上下水道の云々と例示されておりますが、校庭の土壌の問題を、記載するというのも一つの案じゃないかと思ったんですけれども、いかがでしょうか。27ページです。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  一応、補足的に事務局から情報提供させていただきますと、学校の校庭に関しても、減災本部、あるいは文部科学省のほうから、これは指示というよりは、指導とか要請に近いものだと思いますが、文書が出てございますので、先ほど説明のときに追加を検討しているといったものの中に含まれてございます。

【能見会長】  政府指示がどういうものであるかということにも関連してきて、ただ、対象として排除するものではないので、学校等についてはまた検討して、もうちょっと具体的な案を提示したいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、第7のいわゆる風評損害のところについて、いかがでしょうか。これも先ほどセシウムの汚染された牛の場合にも、出荷制限の対象になったものと、それから、対象にならないものは、こちらの風評損害のほうの問題になりますので、そういう点も念頭に置きながら、ご議論いただければと思います。
 抽象的な基準は、何度かご議論いただいておりますので、おそらく、そんなには問題がないのかと思いますが、いずれにせよ、いかがでしょうか。

【中島委員】  先ほどのセシウムの稲わらの風評損害もここに入るということですね。

【能見会長】  そうですね、あれも風評損害ですから、すべてではなくて、その一部が出荷制限の対象の場合はですが。

【中島委員】  特に指針に入れて、一般的な基準でかぶると思いますので、議論の記録として残しておいていただければいいのかと思いますけれども、牛の今回のセシウムの問題については、牛については、個体識別番号がついていて、確かにスーパーで見ますと、ちょっと意味のわからない番号が全部、枝肉のパックにもついているんですが、今は携帯で、その番号を入れると、どこ産出の牛かもわかるようになっているんですが、それを見てみますと、飼育された県までは表示されているんですけれども、どの飼育場で育った牛かというところまでは、見れる部分と見れない部分があって、最小限、出産県――出産というのは変ですけれども、県までは、どうも出るようなんです。
 しかし、その県が出ても、その牛が、果たして、その稲わらを食べた牛かどうかというのはわからないわけですので、そうなると、牛の価格が豚肉並みに下がっているとか、さっきありましたけれども、少なくとも、そうしますと、汚染された稲わらが出た県から産出された牛だということがわかれば、多分、スーパーや消費者は買うことを敬遠するだろうというふうに考えますと、ただ、そこよりほかのところも出ているかもしれないんですが、少なくとも、稲わらにそういうものが出た県の牛については、全くまっさらな牛であっても、その価格が下がった分というのは、この指針の基準、表現で言うと、市場の回避行動は合理的と見て、賠償の対象にすべきではないかというふうに、大ざっぱですけれども、感じるんですが、いかがでしょうか。

【能見会長】  これは風評損害の問題ですから、実際には汚染されていなくても、その地域で汚染された牛があったということで、買い控え等が生じるということがあれば、それは今までの審査会の考え方からしても、県全体の牛が売れないことの損害というのは、風評損害の中に入るという考え方が、おそらくできるんだろうと思います。
 ただ、やはり牛と、今までの農林水産物と違うかもしれないと思うのは、今まで農林水産物は、大体、この福島県を中心として、その周辺の地域だったわけですが、稲わらを介してということなので、仮定の話ですけれども、遠くの地域の県でもって、そういう牛が出たということが報道などされますと、そうすると、その県全体についても風評損害になるのかという問題が、一応、あることはあるんだろうと思います。そこは、今までの風評損害とは違って、非常に広範囲に風評損害が広がっていくところがあり、先ほどの農水省の資料は、そういうことを示していたんだと思います。
 これはまさに皆さんにご議論いただきたい点ですけれども、牛の場合はそういうことでいいんだということであれば、それは入るべきだということになります。どの県に限らず、汚染された牛が出た県があれば、その県の牛の価格の下落、あるいは売れ行きの下落、全体が風評損害になるんだということでいいかどうかということなんですね。何かこの点について、もしご意見があれば。どうぞ。

【中島委員】  今回の牛の件は、農産物と違って、自然現象で上から降ってきたことが原因なのではなくて、取り引きによって広がったというところが違いますので、そうすると、ある県について出たとしても、それは風に乗ってそこの牛にかかったわけではないとなりますと、西のある県で出たとしても、そこの県全部の価格下落まで及ぼしていいかどうかというのは、ちょっと引っかかるところです。

【能見会長】  まさに悩ましい点ですけれども、今、中島委員が言われたように、消費者からすると、何々県産の牛というところまでしか追及できないというところから来る問題なんだろうと思いますね。それについてどう判断するかということをお聞きしたいというふうに思います。大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  前回、これは間接被害なのか、直接被害なのかということの議論もさせていただいたところですが、それともちょっと関係する話ではありますけれども、確かに取り引きによって広がったんですけれども、現在、牛がそういう状況になってしまっているという意味では同じなので、私は、これは特に区別して扱う必要は必ずしもなくて、そもそも出荷停止の指示をする可能性もございますけれども、風評被害も同じように考えていっていいんじゃないかと思いますけれども。

【能見会長】  はい。ほかにもしご意見があれば。よろしいですか。
 それでは、今のご意見を参考にしながら、次回、もうちょっと具体的に案を提示したいと思います。ほかに、この風評被害についてはいかがでしょうか。
 いずれも、ちょっと抽象的な基準しか書いていないので、それ自体については、あまりご異論がないかもしれないので。もし特にご意見がなければ、次の間接被害のところですが、これは第8、36ページから、第9の前のところ、38ページまで、ここまででいかがでしょうか。これも具体的な例は書いてなく、あるいは、具体的な例を書くこと自体が、なかなか難しいと思いますけれども。

【大塚委員】  38ページの上のほうについてですが、5行目の2)のところは、ローマ数字の1ではなくて、おそらくローマ数字の2だと思いますので、これは単純な修正をしていただければと思います。
 3)のところなんですけれども、これは文章を変えていただいていますので、これで大変結構だと思いますけれども、やはり立替払いというのは、普通の間接被害とはちょっと性質が違うので、37ページの指針のほうに書いてあることは、ほとんど、この立替払いの話は関係がなくて、例えば、代替性が問題になるかどうかという話も、立替払いでは特に問題にならないと思いますので、そういう意味では、38ページの備考の3に書いてあることは、ほかの間接被害とは大分意味が違うと思います。だから、必ずしも、指針1で定義する間接被害には当たらないがというふうに書いていただいて、大変よかったと思いますけれども、そういうものとしてご理解いただけるように、議事録に残していただければと思います。
 個人的には、この立替払いのところは、別の項目にしたり、あるいは、特に国、自治体等が支援等をした場合については、国とか自治体というのは、ある種、公益的な判断をしてやっておられることになると思いますので、私は第10の「その他」のほうに回したほうがいいかなと個人的には思っていますけれども、そこはあまり強くこだわるつもりはございません。とにかく、この「必ずしも通常の間接被害には当たらないが」というところは、理論的には非常に重要だということを申し上げさせていただきたいと思います。

【能見会長】  ちょっと位置づけも、場所も、もう一回、検討してみます。では、中島委員。

【中島委員】  38ページの上のほうの2)の部分なんですけれども、このもとになるものは、前のページのアラビア数字2のマル3だと思うんですが、これについて、かなり絞り込んだ表現になっておりまして、これが「事前のリスク分散がおよそ不可能な場合」をもって、ここで言う代替性のない取り引きというのだと、こういう絞り込みになっていますが、ここまで絞っていいかどうかというのが、ちょっと引っかかっておりまして、37ページのアラビア数字2のマル3というのは、いわゆるサプライチェーンの材料供給会社が福島や郡山あたりにあって、それが供給できなくなった場合の損害というのが典型例だと思うんですが、この代替性がないものに絞る、あるいは経済的一体性があるものだけが間接損害として認められるというのが、最高裁の判例がありますけれども、その事案は、会社の社長が交通事故に遭ったときに、その会社の受けた損害が、損害賠償の対象になるかという、かなり狭い特殊な事案の基準だと思うんですが、その場合、会社にとっては、社長が交通事故に遭うリスクというのは、かなり想定すべきリスクだという判断が、多分、前提にあると思うんです。
 ところが、今回、このサプライチェーン、福島や郡山あたりがITの基地だったようですけれども、そこの企業に特定の商品を依頼するチェーンをつくった会社が、地震や津波はリスクとして想定すべきかもしれないけれども、原子力事故をリスクとして想定すべきだったかどうかということになりますと、ちょっと引っかかる。交通事故ほどよく起きるリスクではないわけですので、少し絞り過ぎのような気がするんですけれども。
 かといって、じゃ、どこまでかというと、ちょっと代案が思いつかないんですが、むしろ、少し緩めにした上で、リスク分散の措置をとらなかった、仮に少し落ち度があったなら、過失相殺で処理してもいいのではないかとも思うんですが、いかがでしょうか。

【能見会長】  私も、「およそ不可能」というのは、実際上、想定する基準としては適当じゃないような気がします。少し絞り過ぎな感じが、私も個人的にはいたします。おそらく、普通の取り引き、すべての取り引きまで対象に入れるつもりはありませんけれども、かなり特殊な製品であって、もちろん、ほかから全然供給が受けられないわけではないけれども、そういう取り引きの場合であって、事故の直後なんていうのは、なかなか、代わりの取り引きということすら難しいと思いますし、ましてや、ここでは事前のリスク分配について、およそ不可能だということを要求しているのはちょっと狭いかなと思いますので、表現も含めて、あるいは考え方も含めて、再度、検討させてもらえればと思いますが。大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  今の件ですけれども、2点ほど申し上げておきたいことがございますが、この件は、前から議論していることですけれども、1つは、経済的一体性という議論は、要件としては外したことになっていると思うんですけれども、代替性があるかどうかというのは、今回の事故が今まで判例で出てきている交通事故のケースとかと違っていても必要なことであって、代替性がないのでなければ、そもそも損害が発生していないという整理になると思いますので、この点は、今回の原子力事故においても、大いに使える要件ではないかということが1点でございます。
 それから、もう1点は、「およそ不可能な」というのは、会長もおっしゃったように、強過ぎるかもしれませんが、もし、これが多少緩くなるとすると、これも先ほど会長が言われたように、あるいは前回の議論でもありましたように、時期の限定ということが問題になると思いますので、事故から一定の時期、時間については、代替性がないものを考えざるを得なくなるかもしれませんけれども、一定時間たった場合には、やはりリスク分散とは書けないかもしれませんが、ほかの方法を使うとか、ほかの原材料を使うとか、ほかの供給先を探すとか、そういうことをすることは、当然、必要になってくると思いますので、もし、ここを緩めるのであれば、時間的な限定というのが問題になってくると思います。

【能見会長】  はい。それでは、ほかに、この部分についてご意見がなければ、よろしいでしょうか。次の、これは最後のところまでいきたいと思いますが、第9、その他を含めていかがでしょうか。
 これは別に間違いではないんですけれども、40ページの「地方公共団体の財産的損害」の前のところにある5)のところの表現が、あるいは少しわかりにくいかもしれませんけれども、ここに書いてあることは、要するに二重取りはできない場合だけれども、どちらにでも請求して構わないと。あまり法律的な表現ではありませんけれども、どちらに請求しても構わないというときに、東電に請求した場合に、ほかの各種の給付金というものが控除されるかどうか。その控除というのは、具体的に給付がされたという場合に控除されるけれども、将来、給付がされるだろうというだけでは控除されないということなんですけれども、ちょっとこの表現が、私も読んでいて、特に2行目の「東電からの賠償金の支払いと各種給付金の支払いのいずれをも受けることができる場合」というのは、簡単に言えば、いずれに対しても請求できる場合なんだけれども、二重取りはできない、そういう場合の注ですね。その点、明確にしておいたほうがいいかと思います。
 ほかになければ。よろしゅうございますか。

【田中委員】  第9のところ、さっきの20ミリシーベルトも関係してくると思うんですが、指針に「晩発性の放射線障害により」と、さらっと書いているのですが、これはなかなか、今度備考のところで、「放射線に曝露したことが原因であれば」ということも書いてあるんですが、この因果関係というのは、おそらく、なかなか証明しきれないんじゃないかと思うんですが。これは指針として書いておくのは、別に反対ではないんですけれども、一々、何か全部の病気が適用になっちゃうような気もしないこともないんですが。基準がないということにおいて、少しあいまいかなという感じがするんですが、この辺はどう考えたらよろしいんでしょうか。

【能見会長】  これは具体的な基準はやっぱり書けないで、こういう考え方をとるんだということを明確にするということに最大の意味があると思います。あるいは、いろいろな個別の分野でもって、このぐらいの放射線の量を受けた場合には、その後、がんになったときには因果関係を推定するとかいう扱いが、もしかしたら、専門の領域なのでわかりませんけれども、労災だとか、そういうところで、もしかしたら幾つかの基準があるかもしれないし、ないかもしれません。いずれにせよ、ここでは、あまり具体的な基準のことではなくて、こういう考え方をとることが示されているということです。もうちょっと、いろいろな分野でどう扱っているかということがわかれば調べてみたいと思います。

【草間委員】  これは、これ以上のことを書くとなかなか難しくて、でも、具体的に、どういったもので行われているかというと、例えば電離放射線の労災認定等の場合には、一応、基準がいいか悪いかは別として、基発810号という形で、昭和52年に出された基準がありまして、とりあえず、白血病については示されております。労災補償等でも、さまざまながんが出てくるわけですけれども、一応、前列に重ねのような形で、一定の科学的な根拠のもとに補償するという形で、具体的にやっておりますので、多分、これは、ここで基準云々なんていうことは決してできることじゃなくて、こういった事例が出てきたときにどうするかということなんだろうと思うんですね。

【田中委員】  精神論として理解しておけばいいですね。

【草間委員】  精神論ではないです。被曝によるリスクはあるわけですので、どこまでのリスクを補償するかということの例として、原爆の補償等もあります。ここでは、私は精神論じゃないと思っておりますが、このくらいの記載しかできないんじゃないかなと思いますね。

【田中委員】  精神論というのはそういう意味ではなくて、意味がないという意味の精神論ではなくて、多分、私も書けないというのは、よくわかっているつもりではいるんですが、やはり、そのことをきちっとメンションしておくということです。個別については、今後いろいろ出てくるでしょうということでしょうかね。

【草間委員】  以前に発言して、直していただいていないんですけれども、本件事故により放出された放射性物質だけじゃなくて、例えば作業者の場合ですと、炉から来る直達放射線なんかもありますので、本件事故による放射線に曝露したというふうにしていただき、「放出された」というのを、ちょっと取っておいていただいたほうがいいと思うんですが。
 要するに、ここで本件事故によって放射線に被曝したことが原因であればということなんですね。外国等では、PC、probability of causation、原因確率に従ってどのくらい補償するかということが、既に行われているので、そういったことを参考にしていくんだろうと思うんですね。少なくとも、放射線に曝露したことが原因であればという、ここをきっちり書いておいていただければ、これ以上のことは、ここでは書けないんじゃないかと思います。

【能見会長】  どうもありがとうございました。じゃ、今の点、そういう理解のもとで、これは読む人には理解してもらいたいと思います。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  すいません、1点よろしゅうございますか。

【能見会長】  どうぞ。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  今、草間委員のご指摘でございますが、以前のご指摘を踏まえまして、指針本体のほうは直したんですが、備考のほうが直されていなかったので、訂正いたします。

【能見会長】  それでは、まだご意見があるかもしれませんが、次回も、ただ原案を示して、それでよろしいですかということではなくて、その原案そのものについて、いろいろなご意見をいただき、必要に応じて修正などもしたいと考えております。

【大塚委員】  さっきの私の発言に関して、申しわけないんですけれども、一言だけよろしいですか。

【能見会長】  はい。どうぞ。

【大塚委員】  さっきの牛の稲わらを食べてしまった、かなり離れたところの地域の牛に関しての風評被害の話で、先ほどの私の発言に補足をさせていただきたいんですが、申しわけありません。
 私は、この風評被害を賠償の対象としていいと思っていますけれども、ただ、途中の関係者とか、あるいは理論的には、政府は通知とか、よくやっておられると思いますけれども、政府とかの関係での、理論的には原因競合の問題もありますので、風評被害には入ると思いますけれども、原因競合の話が重要になってくるということだけ、ちょっと追加的に申し上げさせていただきたいと思います。

【能見会長】  はい。これはいろいろな原因競合があると思いますので。中島委員、どうぞ。

【中島委員】  その原因が加害者側であれば原因競合になるでしょうけれども、被害者側が関与した、あるいは畜産農家に少し落ち度があったということになると、むしろ過失相殺の問題になるのかなと思うので。

【大塚委員】  それもそうかもしれないし、ちょっと言いにくいですけれども、途中の方は被害者でもあり、加害者でもあるということになる可能性もあるわけですね。稲わらを売られた方が、場合によっては、原因競合に、それは賠償請求されるようなものかどうかはわかりませんけれども、理論的には原因競合になる可能性はあるわけですね。おっしゃるように、過失相殺の問題もあり得ると思います。

【能見会長】  一番単純な最後の牛、畜産農家で、よそから買ったものの場合ですと、これはおそらく被害者側ではなくて、加害の原因のところに、幾つか原因が考えられるということですね。問題は、別の原因も競合している場合に、東電の賠償の責任が減額されることがあるのかどうかということだと思いますが、おそらく、皆さんも一般の考え方からすると、それは加害者側の、ある種の共同不法行為といいますか、原因競合みたいな問題で、それを理由に、東電の責任が減額されることはないと。大塚委員も、それでいいんですか。あるいは、減額されることがあり得るということでしょうか?

【大塚委員】  それは能見先生のご専門の共同不法行為の議論との関係になりますが、関連共同性があるかどうかということだと思いますけれども。判例の理解だと、先生のおっしゃるように連帯責任になりますので、とりあえず、全額払ってもらってもいいということになると思います。

【能見会長】  この点は、また次回、必要であれば議論したいと思います。
 それでは、いろいろ時間をとりましたけれども、中間指針については、今日のご意見を踏まえまして、次回また議論のための案というものを出したいと考えております。もちろん、そこで合意が得られれば、そのときに確定したい。
 最後になりましたけれども、原子力損害賠償紛争審査委員会の組織に関する政令というものが改正されたということでございます。これについて説明をお願いします。

【早川原子力損害賠償対策室次長】  それでは、事務局のほうから、審査会の組織等に関する政令の一部改正につきまして、ご説明いたします。
 資料3をごらんいただきたいと思います。1枚おめくりいただきますと、1ページ目に「原子力損害賠償手続きの現状について」と書いたフロー図を載せております。その一番下に書いてございますとおり、原子力損害の賠償に関する法律では、審査会の役割といたしまして、現在ご審議いただいております一般的な指針の策定ということと、もう一つ、原子力損害の賠償に関する紛争についての和解の仲介を行うことを規定いたしております。
 今後、中間指針が策定されますと、被害者と東電の間で、これを踏まえて賠償交渉がなされることになります。そこで合意が成立すればよろしいわけでございますが、合意が不成立の場合には、被害者というところから波線が出ておりますように、直接、裁判所に提訴するほか、この審査会に和解の仲介を申し立てるという道がございます。そして、審査会に和解の仲介を申し立てて、その仲介の手続きの中で合意が成立すれば、紛争は解決する。しかしながら、ここでも合意が不成立の場合には、最終的には裁判所に提訴するという道がございます。
 以上が、基本的な流れになるわけでございますが、できる限り迅速な救済を図るということのためには、まずは指針の中で賠償の範囲や算定方法などにつきまして極力明確化して、その内容を当事者の方々によく理解していただけるように周知を図る。そして、被害者と東電の賠償交渉による合意が成立しやすいようにするということでございます。
 次に、当事者同士の交渉による合意が不成立になりましても、時間などのかかります裁判によることなくて、できるだけ迅速に紛争を解決できるように、そこに書いてございますとおり、実務法曹の参加のもとに、審査会の和解の仲介を行う体制を整備しようということで、今回、政令改正を行ったものでございます。
 資料の2ページをごらんいただきたいと思います。1の「背景」のところでございます。現在、審査会の委員の数は、政令で10人以内とされておりまして、先生方にご審議をいただいておるわけでございますけれども、今後、多数の和解の仲介の申し立てが行われる可能性がございます。今のままの体制でございますと、なかなか、これらに迅速に対応するのは困難だろうということでございます。
 そこで、内容的には単純でございますけれども、2の「改正の概要」のところにございますとおり、審査会に新たに特別委員というものを置きまして、専ら和解の仲介の手続きに参与させることができるようにいたしております。
 なお、この特別委員としては、基本的に弁護士さんを想定しております。その上で、和解の仲介の手続きは、審査会の定めるところにより、事件ごとに、委員または特別委員によって実施するということにいたしております。
 あわせて、この和解の仲介の手続きを実施する委員、または特別委員を「仲介委員」ということも規定をいたしております。今後、この仲介委員の指名など、和解の仲介の手続きの基本的な枠組みにつきましては、この「審査会で定めるところにより」とございますとおり、当審査会の規則のほうで定めることを想定いたしております。次回の審査会では、この和解の仲介の手続き等に関する審査会の規則についてもご審議いただきたいと考えております。
 なお、2ページ目の一番下のところにございますとおり、この政令改正につきましては、一昨日、7月27日に公布、施行されておるところでございます。
 あと、資料といたしまして、資料の3ページに、この政令のイメージのポンチ絵と、4ページのほうには、新旧対照表、対照条文をつけておりますので、ご参考にしていただければと思います。事務局からは、以上でございます。

【能見会長】  これは政令の改正ですから、審査会が何か言うということではなくて、審査会としては、これに基づいて、具体的な規則をつくるときに問題になるということですが、何かもしこの段階でご意見、ご質問があれば。よろしいですか。
 どうもありがとうございました。それでは、本日の議事は、これで終了いたします。次回の日程について、説明をお願いします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  はい。次回でございますが、8月5日を予定してございます。時間、場所につきましては、後ほど正式に広報したいと思います。以上でございます。

【能見会長】  それでは、これで閉会いたします。どうもありがとうございました。

 ―― 了 ――

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