ここからサイトの主なメニューです

原子力損害賠償紛争審査会(第13回) 議事録

1.日時

平成23年8月5日(金曜日)14時00分~16時30分

2.場所

文部科学省旧文部省庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 審査会要領について
  2. 中間指針(案)について
  3. 自主避難について
  4. その他

4.出席者

委員

能見会長、大塚委員、鎌田委員、草間委員、田中委員、中島委員、米倉委員

文部科学省

髙木文部科学大臣、林文部科学大臣政務官、清水文部科学事務次官、森口文部科学審議官、土屋大臣官房長、藤木研究開発局長、田中原子力損害賠償対策室長、篠崎原子力損害賠償対策室次長、田口原子力損害賠償対策室次長、早川原子力損害賠償対策室次長

内閣官房

加藤 原子力発電所事故による経済被害対応室審議官

5.議事録

【能見会長】  それでは、時間になりましたので、第13回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、大変ありがとうございました。
 はじめに事務局から、配付資料の説明をいたします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  お手元の議事次第に、配付資料として、資料1-1から資料3、それから、参考資料が書いてございます。1-1から1-4は、この後の紛争審査会の規則に関するものでございます。資料2といたしまして、中間指針(案)、資料3といたしまして、1枚紙でございますが、自主避難に関する論点、参考資料として、前回の議事録案が配付されてございます。落丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。
 なお、事務局から1点お願いがございます。傍聴の方々へのお願いなんですが、前回の審査会で若干ルールを守っていただけなかったことがございますので、そこを傍聴の方には、ぜひルールを守って傍聴していただくようお願いしたいと思います。前回退場をお願いした方も、今後ルールを守っていただくという約束で入場を許可させていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、髙木大臣、国会の合い間を縫って出席していただく予定になってございます。それから、林政務官におかれては、逆に、国会等公務で途中退席をされます。それから、草間委員、20分おくれてこちらに到着すると連絡を受けてございます。それから、高橋委員、野村委員は、ご多忙のため、本日は欠席でございます。
 以上でございます。

【能見会長】  それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 第1の議題、審査会要領についてでございます。前回の審査会において事務局から説明がありましたように、本審査会の任務の一つである和解の仲介ということがございますが、これについては、体制を整える必要があるということで、政令の改正が行われました。そして、仲介機能の強化が図られることになっております。これを受けて、本審査会でも審査会の規則を改正する必要があります。そこで、今日はその規則の改正の案というものを用意いたしましたので、これについてご審議をお願いしたいと思います。
 それでは、改正点についての説明をお願いします。

【早川原子力損害賠償対策室次長】  それでは、和解の仲介に係る審査会の新しい要領などにつきまして、ご説明をいたします。
 最初に、資料1-1の図をごらんいただきたいと思います。和解の仲介を行います体制の全体像を簡単にご説明いたします。
 ポイントは3点ございます。
 1つ目は、総括委員会の設置ということでございます。前回の審査会でご説明をいたしましたとおり、政令の改正によりまして、和解の仲介の手続は、委員又は特別委員のうちから指名される「仲介委員」が実施いたします。イメージといたしましては、この資料の一番下にございますとおり、和解仲介パネルという審議体を複数置きまして、そこに仲介委員が事件ごとに1名から3名配属されまして、和解の仲介を進めていくということでございます。その際、今後予想されます和解の仲介事案につきましては、全て同じ原発事故に起因するという共通性を持っておりますので、個々の事案の処理や結果につきまして、不合理な差異が生じないようにする必要がございます。しかしながら、個々の仲介委員では、担当する事案を超えまして和解案の内容などについて横断的な調整はなかなかやりきれないということで、大所高所から司令塔としての役割をどこかに担わせるというのが適当であろうと考えられます。現在、審査会のほうは9人の委員の先生方で構成されておりますけれども、多数の案件に対応して機動的に動くというのは、なかなか難しいのではないか。また、指針の策定というルールづくりと、そのルールを踏まえた和解の仲介、これは運用上、別の主体が実施するほうが、より中立的、また第三者的な立場で仲介が期待できるのではないかという議論などもございます。こういったことを踏まえまして、審査会のもとに、そこに書いてございますが、裁判官の経験者や弁護士や学者といった委員または特別委員からなります少人数の総括委員会というものを置きまして、和解の仲介の司令塔として機動的に動いていただく、これが1点目でございます。
 次の2点目でございますが、この和解の仲介を支える事務局の体制の強化でございます。和解の仲介に関する専門の事務局といたしまして、文科省のもとに原子力損害賠償紛争和解仲介室というものを新たに設置いたします。そして、法務省や最高裁や日弁連といった法曹界の協力を得まして、室長に裁判官を配置いたしますほか、そこにございます次長や室長補佐といったところに弁護士などの実務法曹を配置した体制を整備していきたいと考えております。
 次に、3つ目が、今お話しした事務局であります仲介室につきましては、東京に設置いたしますほか、福島県内にも福島事務所というものを置くということでございます。
 以上のような体制を念頭に、原子力損害賠償紛争審査会の組織等に関する整理に基づきまして、この審査会として、和解の仲介に関して新たに基本的な事項を定めたものが、お手元にお配りしております資料1-2の原子力損害賠償紛争審査会の和解の仲介の申立の処理等に関する要領でございます。
 第1条は、見出しにございますとおり、総括委員会の設置に関する規定でございます。第1項は、審査会に総括委員会を設置すること。第2項は、総括委員会のメンバーは、委員又は特別委員のうちから会長が指名するとしております。また、第3項は、総括委員会に委員長を置きまして、会長が指名すること。第4項は、委員長は、総括委員会の事務を掌理すると規定しております。次の第5項は、総括委員会の運営等に関する事項は、委員長が総括委員会に諮って定めると規定しておりまして、今後、和解の仲介のさらに具体的な手続やルールなどを、この総括委員会において決めていくという形にしております。
 次に、第2条と第3条は、総括委員会と仲介委員の守備範囲を定める規定でございます。
 第2条は、総括委員会の業務の規定でございまして、1つ目が、第1項の、政令7条に規定する業務。これは、和解の仲介の開始に係る業務でございます。これにつきましては、時系列的に見まして、仲介委員が指名される以前の話でございますので、総括委員会が実施するとしております。それから、2つ目が、第2項の、仲介委員の指名。3つ目が、仲介委員が実施する業務を総括するというバスケットクローズを置いております。次に、第4項は、総括委員会と審査会との関係についての規定でございます。総括委員会が和解の仲介の司令塔となると申し上げましたが、さはさりながら、審査会が知らないままに和解の仲介の処理等がなされることのないよう、総括委員会は、審査会に適時和解の仲介の状況報告をするということにしております。
 次に、第3条でございますが、こちらは仲介委員の業務を規定しております。1つ目が、第1項の、和解案の提示。2つ目が、第2項の関係で、政令の第8条から11条までに規定する業務、これは、例えば利害関係を有する第三者の仲介手続への参加を認めるかどうか、こういった判断などでございますが、これは仲介委員が指名された後の手続でございますので、当該事案を担当する仲介委員の判断を尊重いたしまして、仲介委員が実施するということにしております。その他、およそ和解の仲介の手続に必要な業務は、仲介委員が実施するということにいたしております。ただし、総括委員会が司令塔としてうまくワークするように、仲介委員による業務は、そこにございますとおり、総括委員会が定めるところによるといたしまして、今後、総括委員会において、必要に応じまして一定の統一的な方針などを決めていくということになろうかと思います。次に、第3項でございますけれども、第3項は、和解の仲介手続の中でも、和解の仲介の打ち切りという特に重大な判断を要する事柄につきましては、慎重を期して、総括委員会に報告させるということにいたしております。次に、第4項は、これも総括委員会が個々の事案の状況を把握して、うまくワークできるように、仲介委員は、その求めに応じまして、和解の仲介の状況を速やかに総括委員会に報告するということにいたしております。
 次に、第4条でございますが、4条は、和解の仲介の手続の非公開等に関する規定でございます。第1項では、和解の仲介の手続は、公開しないということにしております。ただし、総括委員会の定めるところによりまして、当事者が同意をして、仲介委員が相当と認める場合には、和解の仲介の手続を公開することができるといたしております。和解の仲介の手続につきましては、一般的には非公開が基本でございますけれども、両当事者が同意している場合には、一定の条件のもとで公開する道も開いておくというものでございます。
 次に、第2項は、和解の仲介の手続が終了した後に、総括委員会が定めるところによりまして、その結果の概要等を公表することができるといたしております。これは、例えば、当事者が合意した和解結果の内容を、ある程度類型化いたしまして、プライバシーに十分配慮の上、抽象化を行いまして、それを公表することによって、賠償交渉や紛争解決の迅速化につながるということを期待しての規定でございます。なお、これも、公表の条件などにつきましては、今後、総括委員会において検討し、決めていくということになります。
 次に、第5条でございますが、5条は、和解の仲介の場所に関する規定でございまして、原則として東京都又は福島県で実施するといたしております。これは、和解の仲介を行うスペースを確保いたしました事務局、これが東京都と福島県に置かれるということから、こう書いておりますが、ただし、そこのただし書きにございますとおり、当事者の希望によりまして、仲介委員が必要と認めるときは、その他の道府県で実施することができるといたしております。
 次に、第6条でございますが、6条は、和解の仲介の手続を実施する組織を原子力損害賠償紛争解決センターと呼称するものとしております。これは、利用者にとってわかりやすい呼称を使うことが適当だろうということで、こういう規定を置いたものでございます。
 それから、第7条でございますけれども、事務局に関する規定で、今回、和解の仲介に関する専門の事務局として仲介室を置きますので、念のため、明確に位置づけるものでございます。
 以上が、和解の仲介に係る新しい審査会の要領についてのご説明でございますが、これにあわせまして、今年の4月15日にこの審査会でお決めいただきました、現行の審査会の要領などにつきまして、技術的な修正を行っておりますので、簡単にご説明いたしたいと思います。資料1-3でございます。ごらんいただきたいと思います。
 原子力損害賠償紛争審査会の運営に関する要領(案)でございます。この資料、1ページから3ページまでは、改正後の溶け込み版ということでございます。5ページから7ページまでが見え消し版でございまして、改正箇所がわかりやすい赤字の入ったこちらの見え消し版のほうでご説明したいと思います。
 5ページをごらんいただきたいと思います。5ページの頭のところに、見え消し前の名称といたしまして、原子力損害賠償紛争審査会の運営及び和解の申立ての処理等に関する要領と書いてございます。これからもおわかりのとおり、現行の要領の内容は、審査会の運営と和解の申立ての処理等にわたっております。今回、和解の仲介の手続に関する部分は、先ほどご説明いたしました新しい要領のほうで定めますので、こちらの現行の赤字でございますけれども、1条、2条、3条といった仲介手続に関する規定は削除するものでございます。
 次に、6ページをごらんください。6ページの一番上でございます。現行の6条、改正後の3条でございますけれども、これは現行では、審査会の会議は、公開して行う。ただし、和解の仲介の手続を行う場合には、非公開とすることができるとしております。
これも、和解の仲介の手続の公開・非公開につきましては、新しい要領で定めますので、削除いたしております。ただし、審査会も、和解の仲介に関する会議を行う場合がございます。例えば、これは、和解の仲介の結果につきまして、先ほど説明いたしました、総括委員会から状況報告を受けまして質疑が行われるといった場合でございます。こういった場合は、内容に応じて非公開とすることができると改めたものでございます。
 次に、資料1-4をごらんいただきたいと思います。原子力損害賠償紛争審査会の公開の手続きについての案でございます。これも、1ページから2ページが改正後の文案でございまして、3ページから4ページが見え消し版でございます。3ページをごらんいただきたいと思います。
 3ページの前文のところで、3行にございますとおり、この文章は、先ほどご説明いたしました、現行の審査会の運営と和解の申立ての処理等に関する要領の第6条の2項というところに、審査会の公開に関し必要な事項は、別に会長が審査会に諮って定めるとされているのを受けまして、定められているものでございます。この資料を見ますと、前文のところ、それから、1条、3条、4条と改正がなされておりますが、改正に理由につきましては、先ほどお話ししたものと同じでございますので、省略させていただきたいと思います。
 なお、今回、和解の仲介に関する新しい審査会の要領を定めることに伴いまして、公開・非公開に係る規定の削除とか文言の整理等を行っておりますが、これによって公開・非公開の範囲が実質的に変わるというものではございませんので、念のため、申し上げておきたいと思います。
 事務局から説明は以上でございます。

【能見会長】  以上のとおり、この新しい規則の制定、それから、従来の規則の改正をご提案したいと思いますが、いかがでしょうか。ご質問等はございますか。
 よろしいですか。それでは、ただいま説明があったとおり、この資料のとおり、新しい規則を定め、これまでの規則を改正するということを決定したいと思います。
 第1の議題は以上でございます。
 第2の議題に入ります。第2の議題は、中間指針の案についてでございます。本日は、これまでの審査会での議論、それから、専門委員による調査などを踏まえまして、中間指針の案というものを準備いたしました。この指針の案の内容につきまして、皆様からご議論いただき、その内容を確認し、必要であれば、修正を加え、もし内容がこれでいい、あるいは、修正を加えた上で、これでいいということになりましたら、できれば本日、中間指針を決定したいと考えております。
 それから、中間指針と密接に関係がある問題ですが、実は議題の第3のところで、自主避難についての問題をあげてあります。
これは、前回も、少しご議論いただきました。前回、この自主避難につきまして、それに伴う損害の賠償などについてどう考えたらいいかということについて若干ご議論いただきましたが、私としては、この問題は非常に重要であり、しかし、いろいろ難しい問題も含まれているので、指針の中に取り込んで議論するよりも、もちろんそれもあり得る選択肢なんですが、別に議論した方がよいのではないかと考えました。指針の中に取り込むについては、もっと議論しなくてはいけない点がありそうなので、今ここにある中間指針の案は、自主避難については取り込んだ形になっておりません。その理由は、今言いましたように、自主避難に関する問題はいろいろ深い、難しい問題がありますので、それを議論したが合意に至らないために、中間指針自体が遅れるということは望ましくないので、できれば、これまで議論してきた中間指針については、ここでご決定いただき、自主避難については、別に議論し、そして、どういうふうに扱うべきかということを、今日ご議論いただくということにしたいと思っております。
 そういうことで、この中間指針案には、自主避難の部分が入っておりませんが、そもそもそういう扱いでいいのかどうか、中間指針の中に取り込んで議論したほうがいいというご意見があれば、ここでまずご議論いただきたいと思っております。いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。おそらく皆さんも、自主避難の問題については、いろいろ難しい、しかし、重要な問題が含まれているというご認識だと思いますが。
 それでは、私がご提案しましたように、自主避難の問題につきましては、別途扱うことにし、中間指針、それ以外の問題についてご議論いただくということにしたいと思います。
 それでは、この中間指針の案につきまして、事務局から要点の説明をお願いします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  それでは、資料2でございます。説明をさせていただきたいと思います。
 まず、表の、今までの指針と異なりますのは、表紙、目次をつけてございますが、2枚めくっていただいて、「はじめに」のところでございます。ここは今回初めて皆様の前に文章を出すという格好になってございますが、最初のパラグラフ、次のパラグラフのところは、事故、あるいは、事故に伴う被害の経緯が書いてございます。2つ目のパラグラフでは、被害もいまだ収束するに至っていないという現状認識が書いてございます。3つ目のパラグラフのところでは、被害者を迅速、公正かつ適正に救済する必要があるという認識が書かれてございます。1ページの下のところは、紛争審査会の法的位置づけも含めまして、この指針を策定することに至った理由が書いてございまして、2ページの一番上のところでございますが、原子力損害に該当する蓋然性の高いものから、順次指針として提示することとし、可能な限り早期の被害者救済を図ることとしたというようにございます。それから、最後のパラグラフのところでは、この中間指針は、本件事故による原子力損害の当面の全体像を示すものであるが、今後、被害者と東京電力との間における円滑な話し合いと合意形成に寄与することが望まれるとともに、中間指針に明記されない個別の損害が賠償されないということのないよう留意されることが必要である。さらには、そのあとに、東京電力に対する期待が書いてございます。
 それから、2ページ目の、第1、中間指針の位置づけ、それから、右側の、第2の、各損害項目に共通する考え方につきましては、前回の資料でお出ししたものと基本的に変わってございませんが、幾つか重要な点を紹介させていただきますと、まず1のところは、これは指針策定の経緯でございます。それから、2のところは、この中間指針の中の項目が書いてございます。3のところに、ここは前回ご議論があったと思いますが、今まで出た指針というのが、この中間指針の中に取り込まれて、最終的には、この中間指針が今までの指針全てを代表するということが書いてございます。それから、3ページの4でございますが、中間指針で対象とされなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る。さらに、また、今後、本件事故の収束、避難区域等の見直し等の状況の変化に伴い、必要に応じて改めて指針で示すべき事項について検討するということを明示してございます。
 それから、第2の、各損害項目に共通する考え方、ここにつきましては、何回かご紹介させていただきましたように、一次指針で書いてあることに加えて、5ページの4でございます、東北地方太平洋沖地震、これに伴う津波、そことの関係について、1つパラグラフが追加されている格好になってございます。
 6ページから、第3といたしまして、政府による避難等の指示等に係る損害についてということで、ここは基本的には一次指針で決めたものでございますが、7ページの左下からですが、(5)の特定避難勧奨地点、それから、8ページ、(6)にございます、地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域、具体的には南相馬市の北部でございますが、ここについて、対象区域に追加をしているということでございます。対象者につきましては、基本的に対象区域の住民ということでございますが、9ページの備考でございますが、備考の2)の後半のほうに、この地方公共団体独自の判断による一時避難の要請についても、それが本件事故発生直後であり、順次、同地方公共団体の大半の区域が避難区域や屋内退避区域に指定がなされていた状況下における一時避難の要請であったという当時の具体的な状況に照らせば、その判断は不合理ではないと認められるということを書いてございます。
 それから、10ページでございますが、10ページの、前から続いている備考の3)の部分につきまして、これまでの指針に加えまして、避難しなかった者の損害も含まれるというのを備考で明示した上で、そのあとの検査費用等がそれに当たることが、それぞれの項目で書いてございます。
 それから、10ページの検査費用のところでございますが、まだ草間委員がいらっしゃっていないんですが、前回、草間委員からのコメントがございまして、放射線への曝露の有無に加えまして、「又はそれが健康に及ぼす影響」という語句を入れてございます。あとは、前回の資料と変わってございません。
 損害項目といたしまして、そのあと、11ページの避難費用がございます。ここのところでは、12ページの、この指針の3番目の項目になりますが、避難指示等の解除等から相当期間経過後に生じた避難費用は、特段の事情がある場合を除き、賠償の対象とはならないということがございます。
 これに対応いたしまして、14ページでございます。14ページの備考の4)のところでございます。今の指針にございました、特段の事情がある場合とは、避難中に健康を害し自宅以外の避難先等での療養の継続が必要なため帰宅できない場合などをいう。またとしまして、具体的に、屋内退避区域の指定が解除され避難指示等の対象外となった区域、さらには、先ほどの対象区域の(6)、この区域については、4月22日から相当期間経過後は、賠償の対象とはならないということで、この相当期間は、この場合は、公共施設の復旧状況等を踏まえ、解除等期日から住居に戻るまでに通常必要となると思われる準備期間を考慮し、7月末までを目安とする。ただし、これらの区域に所在する学校等に通っていた児童・生徒等が避難を余儀なくされている場合は、8月末までを目安とするという記述を追加してございます。
 それから、損害項目が続きますが、一時立入費用、帰宅費用、ここは基本的には第二次指針のとおりでございます。それから、生命・身体的損害、精神的損害につきましても、第二次指針、あるいは、第二次指針追補と同様でございますが、18ページの下から5行目のところ、マル1の最後のところでございますが、ここに、特定避難勧奨地点から避難した者については、当該者が実際に避難した日を始期とするということで、この損害発生の開始日について、特定避難勧奨地点について明記してございます。その他は、第二次指針の追補と同じ内容が、20ページ、21ページ、22ページ、23ページまで続きます。
 23ページから、営業損害になりますが、ここの指針の部分の後半でございますが、もともとは第一次指針で書いてあった内容でございますが、表現を変えてございます。減収分の説明でございますが、上記減収分は、原則として、本件事故がなければ得られたであろう収益と実際に得られた収益との差額から、本件事故がなければ負担していたであろう費用と実際に負担した費用との差額を控除した額とするということで、より一般的な厳密な表現に直してございます。
 それに対する解説が、25ページの備考5)のところにございます。ただいまの減収分の記述でございますが、第一次指針の「減収分」の記述と異なるが、これは意味を明確化するために修正を加えたものであり、実質的な内容は異ならないということが書いてございます。さらには、備考5)の上のところに、備考2)と備考3)で、先ほどの減収分の説明に対する、「収益」の説明、それから、「費用」の説明が書いてございます。
 それから、営業損害につきましては、追加がまだございまして、25ページの下の7)のところでございますが、営業損害の終期について、これは何回か審査会でご議論いたしましたが、結論としては、この真ん中辺にございますが、現時点で全てを示すことは困難であるため、改めて検討することとするということでございます。ただし書きのところで、移転や転業の可能性であるとか、次のページになりますが、特別の努力を行った者に対する留意というのが書いてございます。さらには、8)と9)のところで、「倒産・廃業した場合」、それから、これは一時的な移転・転業も含んだ「移転又は転業した場合」についての損害の算定の基本的な考え方が書いてございます。さらには、10)のところで、8)、9)のところにございます「一定期間」の検討に当たっての考え方というのを書いてございます。
 それから、26ページの、次の、就労不能等に伴う損害のところでございます。これも基本的には第一次指針の内容でございますが、28ページの8)に、就労不能に伴う損害の終期ということで、ここは営業損害と同様の部分がございますが、具体的な時期等を現時点で見通すことは困難であるため、改めて検討することとする。さらには、ただし書きで、期間に一定の限度があることや、特別の努力を行った者が存在することに留意する必要があるという記述を加えてございます。
 続きまして、検査費用、それから、財物価値の喪失又は減少のところでございますが、ここにつきましては、先ほどの検査と同様、避難しなかった者も含まれる部分でございますが、30ページのローマ数字3)というのが、第一次指針に比べて追加になってございます。これは、価値の減少の予防措置ということでございます。
 それから、備考のところで幾つかございますのは、1つ目は、4)のところで、修理、除染の費用の場合でございますが、これも何回かここでご紹介させていただきましたが、財物の客観的価値の範囲内のものとすることが原則でございますが、文化財、農地等代替性がない財物については、例外的に、それを超える金額の賠償が認められ得る。さらには、その下の6)のところには不動産関係の売買ないしは、その賃貸の契約についての記述がございますが、これも前回の資料に書いてあることと同様でございます。
 続きまして、32ページからは、避難の指示から、今度は、政府による航行危険区域等の指示、設定に係る損害ということで、第一次指針で船、航行危険区域に関するものが書いてございましたが、ここで飛行禁止区域につきましても同様の損害に関する記述を入れているというのが、32ページ、33ページでございます。
 続きまして、34ページでございます。第5の、政府等による農林水産物の出荷制限指示に係る損害ということでございますが、ここは第一次指針、第二次指針までは、農林水産物、いわゆる生ものだけでございましたが、ここでは、最初の対象のところに書いてございますが、加工品を含むという形で記述がされてございますのと、さらには、その出荷制限指示のみならず、備考のところに書いてございますが、食品衛生法の規定に基づく販売禁止等も含まれた格好になってございます。
 その後ろの営業損害、あるいは就労不能に伴う損害の記述につきましては、細かいところは表現ぶりが変わってございますが、基本的には、内容は第一次指針、第二次指針と同様でございます。
 それから、37ページから、その他の政府指示等に係る損害についてということで、対象のところは一般的に書いてございますが、備考のところで、具体的に例示をしてございます。水に係る摂取制限指導、それから、水に係る放射性物質検査の指導、あるいは、放射性物質が検出された上下水処理等副次産物の取扱いに関する指導、さらには、今回新しく追記させていただいてございますが、学校等の校舎・校庭等の利用判断に関する指導等をいうということで、具体的なものを例示させていただいてございます。
 前回お出しした資料に比べまして、最後の学校が追加してございますが、そこにつきましては、38ページに備考の3)がございます。学校の除染については、前回の審査会でご議論があったと思いますが、それを受けまして、このような表現にしてございます。これについては、少なくとも、それが政府又は地方公共団体による調査結果に基づくものであり、かつ、政府が放射線量を低減するための措置費用の一部を支援する場合には、学校等の設置者が負担した当該措置に係る追加的費用は、必要かつ合理的な範囲で賠償すべき損害と認められるという形に書いてございます。
 それから、39ページの下のほうから、風評被害が始まります。この一般基準のところは、第二次指針と同様でございますが、念のため、後で出てまいりますので、40ページの指針の部分のローマ数字3)のマル1というのを確認していただければと思います。ここが、風評被害の一般的な基準として、後で何回か引用されてまいります。
 41ページ、42ページ、ここはもう第二次指針と同じことが書いてございまして、43ページの農林漁業・食品産業の風評被害、ここから今回初めてご紹介する内容が出てまいります。冒頭能見会長からもございましたように、これまでのご議論、それから、専門委員の調査の結果を踏まえまして、まずは、ここの農林漁業におけるそれぞれの品目の、先ほどのマル1の類型として、原則として賠償すべき損害として認められる範囲について、具体的に記述してございます。
 これは、お茶、畜産物を除く食用の農林産物につきましては、福島、茨城、栃木、群馬、千葉及び埼玉の各県において産出されたもの。それから、お茶につきましては、今申し上げました各県に加えまして、神奈川県及び静岡の各県において産出されたもの。次に参りまして、畜産物――食用の畜産物でございますが、それから、花きにつきましては、福島、茨城及び栃木の各県で産出されたもの。水産物につきましては、第二次指針では福島、茨城のみでございましたが、それに加えまして、栃木、群馬、千葉の各県において産出されたもの。それから、その他の農林水産物については、福島県において産出されたもの。さらには、その下で、これまで述べました農林水産物を主な原材料とする加工品、これを、先ほどの一般的基準の中の1 ローマ数字3)マル1の類型として、原則として賠償すべき損害と認められるとしてございます。
 それから、マル2のところは、前回、農水省からご報告をいただきました、セシウムによる牛肉の汚染の問題でございますが、ここにつきましては、そこに挙げてございます17道県において産出された牛肉、牛肉を主な原材料とする加工品並びに食用に供される牛について、先ほどのローマ数字3)のマル1の類型と認められるということでございます。
 それから、マル3でございますが、ここにつきましては、農林水産物の加工業及び食品製造業ということで、3つのことが書いてございます。1つは、加工又は製造した事業者の主たる事務所又は工場が福島県に存在するもの。それから、主たる原材料が、先ほど出てきましたマル1の農林水産物又はマル2の牛肉であるもの。それから、これは水道水の摂取制限措置が講じられている水を原料として使用している食品。この3つを、食品製造業・加工業の中で、風評被害を原則として認める類型としてございます。
 それから、マル4でございますが、ここにつきましては、これは流通業におきまして、買い控え等の被害を受けているところも、今までご紹介してきた産品を継続的に取り扱った事業者が、当該産品を仕入れた場合、これも同様に、原則として風評被害の認められる類型としようということでございます。
 ローマ数字2)、ローマ数字3)のところは、これを受けまして、作付等を断念した場合、あるいは、検査に経費がかかった場合、それが損害の項目となるということを書いてございます。
 それから、44ページの一番下の行から、ローマ数字4)でございますが、ここには、一般論、今まで出てきていない場合でありましても、農林漁業、農林水産物の加工業及び食品製造業、農林水産物云々におきまして、ここに幾つか、当該産品の特徴、あるいは産地の特徴、そういったものが例示してございますが、こういったものを考慮して、それが平均的・一般的な人を基準として、合理性を有していると認められる場合には、相当因果関係が認められ、賠償の対象になるということで、類型として挙げましたもの以外をどう考えるかというときの判断基準を一般論として書いてございます。
 それから、備考のところは、今の申し述べたことを書いてございますので、飛ばさせていただいて、48ページの、観光業の風評被害でございます。ここは、指針は大きく3つに分かれてございます。
 まず指針のローマ数字1のところでは、本件発生県である福島県のほか、茨城県、栃木県及び群馬県に営業の拠点がある観光業については、一番下まで飛ばさせていただきますが、先ほどの1 ローマ数字3)マル1の類型と認められるというのが1つ目でございます。
 2つ目の指針でございますが、ここは外国人観光客に関してでございます。我が国に営業の拠点がある観光業ということで、日本全国を対象といたしまして、事故の前に予約が既に入っていた場合であって、少なくとも23年5月末までに通常の解約率を上回る解約が行われたことにより発生した減収については、これも、先ほどのローマ数字3)のマル1の類型と認められるということでございます。
 それから、ローマ数字3)のところでございますが、これは、観光業におきましては、地震・津波の影響も相当程度認められますので、その点の検討が必要だということが書いてございます。
 それから、次の、備考のところでございますが、備考の3)というのがございますが、これの特に後ろのほうを新しく書き加えさせていただいてございます。備考の3)の前半のところは、先ほどの農林水産物と同様で、今まで申し上げました類型に属さないものでも、個別具体的な事情で相当因果関係が認められ得るということが書いてございますが、最後のところで、最後の5行目からでございますが、例えば、ローマ数字1)の――ローマ数字1)というのは、先ほどの4県でございますが――地域以外に営業の拠点がある観光業であっても、福島県との地理的近接性や当該観光業の活用する観光資源の特徴等の個別具体的な事情によっては、本件事故を理由とする解約・予約控え等による減収等が生じていた事実が認められれば、相当因果関係のある損害として認められ得ると、さらに具体的に判断する際の考え方を書いてございます。
 それから、51ページは、その他の事業ということで、これは製造業、サービス業等と書いてございますが、これにつきましては、マル1からマル4が書いてございますが、一般的なものはマル1とマル2でございます。1つは、福島県に所在する拠点で製造、販売を行う物品又はサービス等、これが当該拠点において発生したもの。それから、2番目でございますが、これはサービス等を提供する事業者が来訪を拒否することによって発生したもの、これも福島県に所在する拠点における当該サービス等に係るものということでございます。それから、マル3とマル4は若干個別の話になりますが、マル3は、いわゆる汚泥の取扱いの際の、これは汚泥のリサイクルをする場合、汚泥処理業者が、例えばセメント等になるわけでございますが、引き取り拒否を受けたとか、あるいは、それを引き取って副次産物をつくった業者が風評被害に遭うといったようなケースでございます。それから、マル4は、それと同様に、水の関係で、同じようなケースの風評を書いてございます。
 それから、51ページの下のところは、いわゆる外国人が日本に来て講演等をやる場合、あるいは、外国船舶が日本への寄港を拒否することに伴って生じた損害でございますが、これは先ほどの観光と同様、既に契約がなされた場合で、少なくとも5月末までに解約が行われたものを対象として、先ほどのローマ数字3)マル1の類型として認められるということでございます。ここにつきましても、今の52ページの次のところに書いてございますが、地震の程度、これもこれの検討が必要だということが書いてございます。
 それから、右側に行きまして、53ページ、輸出に係る風評被害でございます。ここにつきましては、指針が2つに分かれてございますが、1つ目のところの検査につきましては、前回の資料でもこのように書かせていただいておりました。ローマ数字2)のところで、我が国の輸出品についてということで、我が国全体でございますが、本件事故以降に輸出先国の輸入拒否がされた時点において、既に当該輸出国向けに輸出され又は生産・製造されたもの(途中のものを含む)に限り、当該輸入拒否によって現実に廃棄、転売又は生産・製造の断念を余儀なくされたため生じた減収分及び必要かつ合理的な範囲の追加的費用は、先ほどのローマ数字3)マル1の類型と認められるということでございます。
 それから、53ページから4ページに、備考のところで、これまでの審査会でも議論された、これに対する考え方が書いてございますが、2)のところで、日本人の消費者又は取引先を想定した場合と同じ範囲で「風評被害」を認めることを基本として考えることが適当である。しかしながら、一般に海外に在住する外国人には情報の格差があること、あるいは、政府の輸入規制など国内取引とは異なる事情があることから、輸出に係る被害については、一定の損害項目や時期に限定して、国内取引よりは広く賠償の対象と認めることが適当である。このような考え方で、先ほどの指針ができてございます。
 それから、右に行きまして、55ページの、第8の、いわゆる間接被害についてでございますが、ここは前回ご議論いただいた資料と内容的にはほとんど変わってございませんが、ただし、55ページの下から、マル1からマル3の類型が書いてございますが、マル3の類型に関する解説の部分で、56ページの備考の2)でございます。ここにつきまして、取引におけるリスクを分散する取組みをあらかじめ講じておくことが期待されるためということで、その下のところで、事前のリスク分散が「不可能又は著しく困難な場合」ということで、前回までは「およそ不可能な場合」というふうに、ちょっと狭すぎるのではないかということで、修正をしてございます。さらには、その次のところに、この例として、例えば、ある製品において云々という具体的なこの類型のイメージが書いてございまして、さらには、最後のところに、一定の事件が経過すれば、被害の回復を図ることが可能であると考えられるため、賠償対象となるべき期間には限度があると考えられるということが書いてございます。
 それから、57ページの次の、備考の3)でございますが、ここのところは、前回お出しした資料では、一番下の「代わって負担した場合」のあとに、これは「政府又は地方公共団体が負担した場合を含む」ということが書いてあったわけでございますが、ここにつきましては、一番最後の60ページのところにその部分を移動してございますので、実質的には内容は変わってございませんが、見かけ上変わってございます。
 57ページの、9の、放射線被曝による損害については、これは従前のとおりでございます。
 それから、第10の、その他でございますが、各種給付金との調整ということで、これも前回ご説明した資料と同様の内容が書いてございます。
 一番最後の項目になりますが、59ページの2でございますが、地方公共団体等の財産的損害ということで、従前書いてございました、事業に関する損害、あるいは財産に関する損害につきましては、他の事業者等に関する基準に照らして、賠償の対象になるというのが書いてございますが、最後の2行半のところに、地方公共団体等が被害者支援等のために、加害者が負担する費用を代わって負担した場合も、賠償の対象になるということで、先ほどの間接被害の備考の最後の部分をここに移動してございます。
 それから、備考のところ、備考の1)は、これは従前の表現、前回お出しした資料と同じ表現でございますが、2)のところは、高橋委員のコメントを踏まえまして、あの後、高橋委員からもご指導をいただきまして、新しく追加をしてございます。読ませていただきますと、他方、本件事故に起因する地方公共団体等の税収の減少については、法律・条例に基づいて権力的に賦課、徴収されるという公法的な特殊性がある上、いわば税収に関する期待権が損なわれたにとどまることから、地方公共団体等が所有する財物及び地方公共団体等が民間事業者と同様の立場で行う事業に関する損害等と同視することはできない。これに加え、地方公共団体等が現に有する租税債権は本件事故により直接消滅することはなく、租税債務者である住民や事業者等が本件事故による損害賠償金を受け取れば原則としてそこに担税力が発生すること等にもかんがみれば、特段の事情がある場合を除き、賠償すべき損害とは認められないという表現を追加してございます。
 以上が、中間指針案の全体の内容でございます。

【能見会長】  それでは、この中間指針の案についてご議論いただきたいと思いますけれども、いつものように、幾つかに区切ってご議論いただければと思います。最初に、「はじめに」から始まって、第2の、各損害項目に共通する考え方まで、ここまででいかがでしょうか。これは全体にわたりますので、まずここで区切りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 ここは何度か案が前にも出ていて、少し違った点も、この「はじめに」というところに追加されましたけれども、問題がなければ、先に進みますけれども、よろしいですか。
 それでは、次に、第3の、政府による避難等の指示等に係る損害についてということで、これはいろいろあるんですけれども、大きくこの第3のところをまとめますと、32ページまでですね。そこまででいかがでしょうか。
 この中で、以前に少しは議論したんですけど、十分に議論していないかもしれない問題が、指定が解除された後の問題です。指定が解除されて、住民が戻るようになるわけですが、しかし、相当な期間は、戻るべき地域の環境も整備されていない、あるいは、避難した先でのいろんな事情から、すぐには帰れないということも考えられます。そこで、指定解除後も相当な期間はなお避難費用等を賠償するという考え方を一般論としてとっております。そして、現に避難指示等が解除された地域が既にございまして、そういう所についてどうするかというような問題が書かれております。これは、具体的には、避難費用のところ、11ページからですが、12ページの指針ローマ数字3)の部分ですね。これは抽象的には前から書いてあることですけれども、相当な期間経過後に生じた避難費用は、賠償の対象にならない、特段の事情があれば賠償の対象となる、という考え方が書いてあります。
 これについての備考が、14ページの4)に出てまいります。ここには、今言いましたように、自治体による避難勧告が解除された南相馬市、それから、屋内退避区域の指定が解除されて避難指示等の対象外となった区域というのがあって、この2つについて相当な期間というのはどのくらいかということが、この備考の4)に書いてあります。この点についてご意見を伺えればと思います。
 私自身この部分を読んでみますと、中味というよりは書き方の点で気になったところがあります。備考の4)のところで、ローマ数字3)のところの「特段の事情」というのは何かということが書いてあるんですが、それによると、特段の事情がある場合とは、避難中に健康を害し自宅以外の避難先等で療養の継続が必要なため帰宅できない場合などをいうとあります。これは3の備考として、もちろんそれでいいわけですけれども、実は、そのあとに書いてある「また」以下の文章が相当な期間は何かということとの関係で重要です。そこで、この「また」以下の文章を独立させて、これを4)の備考の冒頭に持ってくる方がよいのではないかと思います。原案の文章は、理論的には、相当な期間がこれぐらいだというふうに決まった後、特段の事情があって、相当な期間内に戻れない人をどうするかということが問題となるので、備考5)というのを新設して、そこで特段の事情について説明するというほうが理論的な感じがします。さっき説明を聞きながら感じたことだけなので、十分詰めて考えていないところがありますが、どうでしょうか。よろしいですか。もし以上のように構成を変更することについてご異論がなければ、そうさせていただくとして、この部分を変更することで他のほうで整合性がとれなくなるかどうかというところまでは検討していないのですが、整合性の点について事務局としては、どうですか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  今の部分は、もうそのとおりに修正させていただきたいと思います。

【能見会長】  よろしいですか。そのほうが理論的な感じがするので。
 では、以上のように構成を変更するとして、ここで書いてある中身についてはいかがでしょうか。
 南相馬市については、少し前の文章で、対象区域の(6)のところで、具体的に言及されていますけれども、「屋内退避区域の指定が解除され避難指示等の対象外となった区域」というのも、実際にはその対象が特定されています。それがどの場所なのかは、関係者は当然わかっていることなんだと思いますけれども、これを関係のない一般の人が読むと、少しわかりにくいかなと思ったんですが。具体的に書いた方がよいのか、あまり具体的なことは書かないほうがいいのか、という問題である。
 これは中間指針でどう書くかということと、審査会で我々が十分に理解するために具体的に特定の地域に言及して議論することは別の問題で、今はまずは議論ですから、具体的に地域の名前を出してもよいと思いますが、これに相当するのは、いわき市の一部ということだそうですが。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  いわき市の一部でございまして、4月22日に解除、指定がなくなったというところは、基本的にはここしかございませんので、そういう意味では、住民の特定はできるということでございます。

【能見会長】  屋内退避区域の指定が解除されるということは、現時点ではそもそも屋内退避区域というものがなくなっているので、今後その指定が解除されるということも生じることはないので、そういう意味では、ここに書いてあることは、これ以上増えるというものはなくて、特定された地域の話です。
 ただ、相当な期間というのは何かということは、このあと、これはこの文章の下から6行目に書いてありますように、この相当な期間は、「これらの区域における公共施設の復旧状況等を踏まえて」決められる。公共施設が完全に復旧された、とまでは書いてありませんが、復旧状況を踏まえるということは、生活に支障がない程度に普及したということだと思いますが、そうした状況を作り出すのに必要な期間が経過したのを、相当な期間の経過と考える。そして、この地域については、それを原則として7月末までとする、ただし、これらの区域において所在する学校等に通っていた児童・生徒等が避難を余儀なくされている場合は、8月末までを目安にする、そういう内容でございます。この文章、背景を知らないでこれだけを読むとわかりにくいかもしれませんので、私から少し説明をいたしました。この部分については、いかがでしょうか。

【田中委員】  これは、この4月22日に解除された分だけについて当てはまる記述と。もちろんそうなんでしょうけど、今後、これからいろんな形で解除が進むと思いますので、それについても、これでは3カ月とちょっとと決められているのですが、そのあたりがほぼ1つの目安になるかもしれないというふうにも理解してよろしいんでしょうか。そこは、必ずしもそこまでは言っていないということでよろしいんでしょうか。

【能見会長】  これは皆様がどう考えるべきかということによって決まる問題だと思いますけれども、私自身は、個人的には、これは3カ月というのが今後も適用される基準というわけではなくて、むしろ一般的な考え方は、戻ってくるための環境が整備されている、ここで言うと、公共施設の復旧状況等が、そういう戻ってくるための環境として十分整っているということが、抽象的な基準ですけれども、相当な期間というものを決める基準になるのではないかと思います。
 したがって、例えば、今後、避難準備区域でしたか、そういうものの比較的広い範囲のものが指定を解除されて、そのときの相当な期間というのはどうなるかということになりますと、こういった公共施設の復旧などは、広い範囲であるがために、そう簡単ではないかもしれない。これはほんとうに仮定の話ですけれども。そうなると、3カ月ではなくて、もっと長くなるという可能性ももちろんあるんだろうと思います。
 そういうふうに、今私が述べたように理解していいのか、あるいは、何カ月というように限定ないし確定したほうがいいのかというのは、ここで皆様ご議論いただき、考え方についての合意が得られれば、それに従うことになると思います。けれども、繰り返しになりますが、ここで用意している案は、一般的に相当な期間を3カ月に限定するというものではありません。
 ほかに何かご意見、鎌田委員、どうぞ。

【鎌田委員】  これは全く書き方の問題でしかないんですけれども、今のような理解であれば、14ページの4)の3行目の「また」のあとに、平成23年4月22日に行われた退避区域の指定が解除され云々という書き方にしておいたほうが、誤解がない。この文章、「また」以下の文章だけを読むと、屋内退避区域の指定が解除され避難指示等の対象外となった区域というのは、これから解除される区域も含めて一般的に全部妥当する表現ですね。それで、その文章の末尾は、相当期間経過後は、賠償の対象にならないという、これは一般原則をうたっているということになっている。そういう読み方をしてしまうと、その次の、この「相当期間は」が、今度は何カ月とかいうのではなくて、何月何日というふうな書き方になるんで、全体としてわかりにくい。できるだけ誤解のないようにする。しかも、ここでは、今の会長のお話で言えば、ここで掲げられている具体的な2つの区域についてだけの原則であって、今後解除されるものについてはブランクだということであれば、くどいかもしれませんけれども、いつ解除されたかということをはっきりここへ書いておくほうが、混乱がないのではないかと思います。

【能見会長】  はい。その通りだと思います。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 そうしましたら、文章としてどう書くべきかはともかくとして、事務局と私に任せていただきたいと思いますけど、今、ご発言があった趣旨の文章に変更するということでお願いしたいと思います。
 先ほどの私が申し上げた、備考4)のところに今の相当期間の話を書いて、備考5)のところで特段の事情、あるいは、特段の事情は、4)のあとで、後半の別な段落で、別な文章でもいいのかもしれませんが、そういう書き方をするということについてもよろしいですか。では、それもそういうふうにさせていただければと思います。
 ほかの点はいかがでしょうか。

【鎌田委員】  すいません、大変細かいことを言って恐縮なんですけれども、前回の発言と関連するので、あえて申し上げさせていただきますと、31ページの下の、不動産担保融資の拒絶云々のところで、下から2行目、「融資の拒絶や賃料の減額等に合理性が認められる場合」となっています。これは、前回、「相当性」というところをもうちょっとわかりやすくしたほうがいいという趣旨で私が発言したのを受けて、こういう書き方になったと思うんですけれども。こういう例が適切かどうかわからないんですが、不動産担保融資を決めておいた、しかし、その事業計画が違法なものであったとか、事業見通しが全くでたらめだったから融資をやめた。これは、融資を拒絶することについて、合理性があるんですね。そういうものを救済しようという趣旨ではないんで、ここで重要なことは、本件事故に起因するものであり、かつ、それに相当性あるいは合理性が認められるということです。本件事故との関連性がこの項目だけ抜けているのは、当然のことだということで書かれているんだろうと思いますけれど、そこをはっきりさせたほうがいい。上の6)の第1パラグラフと第2パラグラフは、いずれにしろ、本件事故がなければそういう損害はなかったということを定義にいれているのに、ここだけちょっとトーンが変わっている。だれが見ても当たり前だからあえて書いていないと言えばそうなんですけれども、誤解を招いたりひとり歩きしないようにするためには、そこははっきりさせたほうがいい。あるいは、今、この段階になって表現を改めるよりは、そういったことが議事録上に書かれていることで、誤解が避けられるということであれば、その点を確認しておいていただければ、それ以上はこだわりません。

【能見会長】  今のご意見は、内容的には全くそのとおりだと思いますので、これも、今のご趣旨を踏まえて、おそらく簡単な言葉をつけ加えればできると思いますので、直すようにします。
 ほかの点はいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、第3、政府による避難等の指示に係る損害につきましては、一応以上にいたしまして、次に、第4、政府による航行危険区域等及び飛行禁止区域の設定に係る損害について、それから、第5、政府等による農林水産物の出荷制限指示等に係る損害、それから、第6の、その他の政府指示等に係る損害について、33ページから40ページにわたりますが、ここまでをまとめてご議論いただければと思います。
 よろしいですか。ここはあまり今までもそれほど異論がなかったところかと思いますので。どうぞ、大塚委員。

【大塚委員】  これも議事録に残していただきたいので申し上げるわけですが、38ページの校庭・園庭の除染の話ですけれども、このままで結構だと思っていますが、国とか自治体の調査結果に基づかずに除染してしまった学校はあるようです。そちらはおそらく補助でやっていただけることになると思いますので、とりあえず問題ないと思いますし、これは「少なくとも」ということだから、これでよろしいかと思っております、ということだけ申し上げておきます。

【能見会長】  はい。そうですね。この部分は、先ほど説明の中にもありましたように、つけ加わった部分でございますけれども、政府が支援するという場合には、もう一つ条件がついていますが、「政府又は地方公共団体による調査結果に基づくものであって、かつ、政府が放射線量を低減するための措置費用の一部を支援する場合には」という要件のもとですけれども、これは大塚委員が言われたように、少なくともこれは賠償の対象になる。それ以外も、賠償の対象になることはあり得るという前提です。よろしいでしょうか。
 それでは、先ほどちょっとページ数を間違えましたが、次に、第7の、いわゆる風評被害の部分でございます。39ページから。
ここについてはいかがでしょうか。
 中島委員、どうぞ。

【中島委員】  48ページの3に、観光業の風評被害がありまして、さらに、そのあと、51ページの4に、製造業、サービス業等の風評被害とありまして、この両方にまたがるためにちょっと抜け落ちているんじゃないかと思われるものが、専門委員の調査報告では、第3分冊に出ているんですが、例えば、銀座のデパートにある免税店などは、免税店の性質上、ほとんど外国人客を相手にしていた小売業であるために、見方によっては、外国人相手ですから、観光業と見れなくもないんですけれども、これを観光業に入れてしまいますと、外国人相手の観光業は、5月末までのキャンセル分に限りますので、小売店の性質上、予約をするという業態ではないものですから、そこに入ってこない。かといって、このサービス業等を見ますと、一部、サービス業の中でも、コンサートとかの、外国人が来るコンサートについては、同じように、5月末までのキャンセル分までとなっていますので、そうすると、免税店、特に福島とか周辺県以外の、例えば都心のデパートの免税店などの、しかも、免税店の性質上、外国人がお客さんですが、この売上減少が、専門委員の指摘はありながら、載っていないということになりますので、指針はこれ以上遅れるのはまずいと思いますので、議事メモに入れておいていただければいいと思うんですが、この部分も、一般的な、それで合理的な風評被害と認められるものであれば、これは当然、一般的な証明によって賠償の対象とされる性質のものであるというふうなことは、皆さんの反対がなければ、そのような解釈をとってよいのではないかと思うんですが、いかがでございましょうか。

【能見会長】  いかがでしょうか、今の問題提起につきましては。

【中島委員】  あえて言いますと、49ページの備考の1)のマル1の本文の3行目を見ますと、観光地での飲食業や小売業も観光業に含まれていることになるんですが、観光地での小売業はここに入るんですけれども、都心のデパートの免税店などは、そうしますと入らないことになりまして、そのあたりが抜けているような感じがいたします。これは一般的な証明で対象とされるとは思いますけれども、あえてここで議事メモに残しておいていただければと思います。

【能見会長】  何かご意見がありますか、大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  先ほど中島委員も言われていたことだと思いますけれど、48ページの3の指針のローマ数字2)におそらく近い問題ではないかと思います。これは日本全国なものですから。これが、先ほどお話しがあったように、解約率しか書いていないので、解約率の問題ではないだろうということでして、確かにそのとおりだと思いますので、ここのところに何か、今はちょっと難しいかもしれませんけど、追加するか、又は、確かに解約率はないけれども、減収をここにあてると考えるかという問題と思って伺いました。

【能見会長】  これは、事故発生県、あるいは近隣の県と違って、東京みたいなところで、今議論されたのは、小売業ですけれども、売上減という影響を受けた。ただ、外国人に関連して生じた風評損害ということであれば、地域を限定しないで、外国人に関連しては全国に広げて風評損害を救済対象とするけれども、その代わり、解約分に限定しており、何らかの限定はしているわけです。つまり、外国人客により解約がされた場合に限ってその解約分についての減収を賠償する扱いをするということになっています。そもそも外国人観光客が来なくて、予約をしなかった、そのために生じる減収、予約控えというんですか、それは対象にしていない。そうなると、中島委員の上げられた場合では、その減収全部が入るとなると、外国人客によって風評損害を被った観光業における賠償指針とのバランスがどうなるかという点が気になります。中島委員、もしご見解があれば。

【中島委員】  大塚委員のご指摘もそこを示唆されているんだと思うんですけど、例えば、5月末までの減収というようなことであればですね。この5月末の根拠が、そのころまでには海外で渡航制限が解除されたという、わりと安全なんだということが海外でも認識されたということが根拠になっていたと思いますので、そうなりますと、外国人客相手の予約をとらない小売業の5月末までの減収分ということは考えられるのではないかと思います。

【能見会長】  その場合に、もし小売業についてそういう扱いをすると、観光業についても、では純粋に減収分、外国人がどのぐらい一般には来るかというのを調べるのは大変かもしれないけど、予約をして解約したのではなくて、そもそも来なかったという分を観光業についても含めるかという、それをどうするかということなんだと思いますね、それはあり得る考えですけれども、ほかとのバランスをとる必要があるという気がしましたが。
 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  あまりいい答えは考えていないんですけれども、一般的には、普通のホテルとかだと、解約というのは通常もあることなので、その解約率と比べた解約率の差を出しているということだと思うんですけど、今の免税店などですと、そういう解約率という概念がそもそも出てこないものですから、そういう場合には、減収分で測るしかない、見るしかないのかなというぐらいの意見をもっています。会長のご趣旨にちゃんと沿った意見ではないかもしれませんが、解約率があるものは解約率を使って、ないものは減収分で見るほかないのではないかということを、一応意見として申し上げておきたいと思います。

【能見会長】  なるほど。
 いかがでしょうか。鎌田委員、どうぞ。

【鎌田委員】  それぞれごもっともなご議論だと思うんですけれども、中間指針を取りまとめるこの段階で、免税店の外国人客のものだけを、独立した項目として、ここに入れるための工夫をしなければいけないのかどうかということについては、私はちょっと疑問があります。それを排除しているのではないことは、39ページの一番下の一般的基準というのは、43ページまで続くんでしょうか、そこの中で、例えば、40ページの下のほうに、取引数量の減少又は取引価格の低下等は損害項目に入ってくるということがあるし、41ページの下のほうにも、「風評被害」には農林水産物や食品に限らず、動産・不動産といった商品一般、あるいは、商品以外の無形のサービスに係るものも含まれる等々の、こういった一般原則があって、この一般原則の中には含まれているわけで、特定の項目として挙げるとしたら、では、ほかにもこれが落ちているのではというふうな話は次々出てき得るので、類型的に非常に確定していて、算定も非常に容易である、定型的に対応できるし、救済の必要性も極めて強いということであれば、あえてそういった工夫をすることもやぶさかではありませんけれども、先ほどの自主避難等と同様に、これで全部終わったわけではないのですから、今日、この段階での追加に時間を費やしてまで対応するのはいかがなものかということを、個人的には感じております。

【能見会長】  中島委員、どうぞ。

【中島委員】  今までの議論と今の鎌田委員のコメントで十分だと思います。いわば自主避難も同様の問題ですので、それと同じように考えて、ここでの議論が、そのまま今後の、あるいは和解交渉での解釈指針となればいいと考えますので、それで結構でございます。

【能見会長】  それでは、今の点は、そう扱いたいと思いますけど、ただ、私としては、この中間指針の原案を出すタイミングにもっと気をつかうべきであったと反省しています。今議論していただいたような問題、すなわち通常の解約率を上回る解約が行われたときに、その減収分だけは賠償の対象とするとか、5月末までに限って賠償の対象とするというような具体的な案が、今日初めて出てきているので、十分議論していただく時間が短すぎると思います。本来は、案が出て、議論して、その場でまとまらなければ、次の審査会でもう一回議論できるチャンスがあるというのが、ほんとうは望ましいと思っております。そういう意味で、一回早く指針の具体的な案を出せなかったことをおわびしたいと思います。そういうわけで、原理原則にかかわる修正意見であれば、ここで時間をかけてでも議論してよいと思います。例えば、別に私の提案というわけではありませんけれども、この減収分について、通常の解約率を上回る解約分だけを減収として認めるという考え方自体がいいのかどうか、もっと広く、予約が入らなかったことによる減収分というものも含めたほうがいいという修正意見であれば、これは重要かつ大きな変更ですから、このような議論はここで十分議論を尽くしたいと思います。けれども、予約控えによる損害も賠償対象にすべきであるというのは私の提案ではなく、ただ例として挙げているだけです。もしこれに類するような、重要点についてのご議論があれば、お願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
 では、ほかの点はいかがでしょうか。大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  これも、議事録にとどめておいていただければいいことですので、修正の提案ではございませんが、43ページの下のマル2のところは、この間も議論された牛肉の問題ですけれども、そこでも最後の辺でちょっとお話しさせていただいて、議論させていただいたように、この問題は、原因競合、複数のものが関与しているという特色もございますので、これはこれでもちろんいいと思っているんですけれども、後からの求償の問題、東電からほかの関与者に対する求償の問題というのは発生し得るとは思いますので、その点は、ほかのものとは、多少性質が違う複数の関与者がかかわっていることが明らかな事例だということだけ申し上げておきたいと思います。

【能見会長】  それは、ここでそういう議論があったということの記録でいいですね。

【大塚委員】  ええ、それだけで。

【能見会長】  原案を用意しておいて、私からいろいろ申し上げるのは、ほんとうは筋違いかもしれないけれども、43ページの農林漁業のマル1のローマ数字1)からローマ数字2)までの整理の仕方が若干理論的ではないのではないかと思いました。ローマ数字3)のところの畜産物(食用に限る。)及び花きについては、福島、茨城、栃木の各県において産出されたものとされています。これは、畜産物と花きについて、いずれも結果的に対象地域が福島、茨城、栃木の各県になったので、両者をまとめたというふうに考えられるのですけれども、畜産物のほうは食用であり、花きのほうは食用ではないので、むしろこれは、結果は同じであっても分けて記載した方がよいのではないかと思います。そう考えると、次のローマ数字4)のところは水産物で、これは食用及び飼料ですけれども、これは食用なので、この順番で、この場所にそのまま置いておき、花きはむしろ食用ではないということからすると、今の花きは、ローマ数字4)とローマ数字5)の間に来るのでしょうか。こういう整理のほうがよろしいのではないかと思いますが、これも私のほうからご提案ですけど。

【大塚委員】  賛成です。

【能見会長】  よろしいですか。

【草間委員】  今のような考え方だと、ローマ数字7)じゃないですか。食べ物がまず来て、それで、花きは観賞用ですよね。

【能見会長】  ええ、花きは、水産物の次に独立に、もう一つ項目を設けて。

【草間委員】  だから、ローマ数字7)という形のほうがいいんじゃないですか。

【能見会長】  ええ、1つ増えますね。全体で1つ増えますのでローマ数字7)ができます。もうちょっとはっきり言いますと、ローマ数字3)は畜産物、ローマ数字4)は水産物で、ローマ数字5)として花きというのが来て、花きについては、福島、茨城、栃木の各県において産出されたものということになり、そして、現在のローマ数字5)がローマ数字6)になって、その他の農林水産物については、福島、そして、最後の現在のローマ数字5)iポツは、ローマ数字7)になるということになります。

【草間委員】  最初に食べ物が来て、今、このローマ数字5)、ローマ数字6)というのは食べ物ですよね。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  ローマ数字5)は食べ物ではございません。

【草間委員】  では、それで結構です。

【能見会長】  ローマ数字5)のその他の農林水産物は、材木などで、食べ物でないので、私の提案ではローマ数字5)とローマ数字6)に食べ物ではないものが2つ並んで、これらについてはちょっと扱いが違うというところが出てきます。

【草間委員】  わかりました。

【能見会長】  よろしいでしょうか。
 もし備考について、本体の修正に対応する修正が必要であれば、事務局のほうで考えておいてください。
 ほかに、風評被害についてはいかがでしょうか。
 よろしいですか。また、後で気がつかれたら、戻っても結構です。
 このセシウムの牛の件で、43ページ、北海道を入れて、合計で17道県について、産出された牛肉、牛肉を主な原材料とする加工云々というものが書かれていますけど、前回の農水省の説明で、千葉についてはちょっと特殊な説明があったような記憶がありましたが、どのようなものでしたでしょうか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  農水省からの資料にこの17道県が出ていて、いずれも価格の下落等が認められているという中で、基本的にはこれらの道県は、放射性の稲わらが流通した部分でございますが、ただし、千葉につきましては、現実には基準値を超える稲わらが流通しているというよりは、そういう報道が一部なされたということで、結果的に下落しているというような説明だったと記憶してございます。

【能見会長】  ただいまの説明のように、千葉についてはちょっと状況の違う点もあるですが、しかし、汚染稲わらを契機として、風評損害が生じたということについては、特に千葉は東北地方にも近いということもあって、現実に風評損害も大きなものが生じているということなので、つけ加えるということでございます。この点についても何かご意見はございますか。
 中島委員、どうぞ。

【中島委員】  今ご指摘のあった千葉と似た性質のもので、今回、政府指示の中に食品衛生法の規制も含まれましたけれども、今、この食品衛生法上の検査対象に、新しく長野県が入ったようですけど、それはちょっとはっきりしませんが、もし長野県で同じような、検査対象になったというだけでもし風評被害があったとしたら、似たような性質になるのではないかと思いますが、これもここでの議事メモに入れていただければ、それだけで結構でございます。

【能見会長】  わかりました。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  ちょっとよろしゅうございますか。
 すいません、先ほど説明をするときに飛ばしてしまったのですが、今の中島委員のようなご指摘をある程度受けられるものとして、46ページから47ページにかけての備考3)でございますが、特に47ページの右の上のところから見ていただきたいんですが、先ほどの17道県でございますが、これは、7月29日までに報告されたものでありまして、これ以外についても、同様の状況であることが確認された場合は、同様に扱われるべきであるというのを備考であらかじめ追加をさせていただいております。これは説明するのを失念しておりました。

【能見会長】  わかりました。では、これで対応できますね。
 それでは、ほかの点について、この風評被害関係で特にご議論がなければ、最後のところに参りますが、いわゆる間接損害から、10のその他のところまで、そこで何かご議論があれば、お願いいたします。
 これも前回少しご議論がありました、第9の放射線被曝による損害について、私は十分情報を得ておりませんけれども、作業等に従事した方で、健康被害等がどの程度生じているのか、あるいは生じていないのかということについて、現時点で何か調査がありますか。何か、もし聞いていることがあれば、教えて下さい。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  実際に健康状態の悪化云々の報告は、今までないと承知してございます。それから、晩発性につきましては、まだ調査に関してはございません。

【能見会長】  現実には、今はまだ生じていないけれども、将来、健康被害が生じた場合には、当然、賠償の対象になるということで、確認的なものですね。
 その他の10のところも若干ご議論はあったと思いますけれども、前回と内容は同じでございます。10の2のところは少し違いますが。
 よろしいでしょうか。全体にわたって、改めて、何かご指摘があれば。よろしいですか。
 それでは、ただいまご議論いただきましたように、中間指針として直すべき点につきましては、ご議論いただいたような修正を施して、中間指針として確定したいと思います。
 中間指針については以上でございますが、この内容と、それから、修正分を含めて決定したいと思います。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  修正すべき点をちょっと確認させていただければと思いますが。

【能見会長】  どうぞ。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  14ページの備考の部分で、これはまず2つに分けさせていただいて、「特段」のほうを5にしてということでございます。さらには、鎌田委員からのコメントで、この4月22日に解除された部分だということを明確にするような表現にするということでございます。
 それから、31ページについて、下から2行目のところの、合理性というよりも、本件事故との関連性についての記述をきちんと入れると、鎌田委員からのコメントでございます。
 それから、43ページの、今の項目分けとその順番について、論理的に整理するということで、もし備考のほうを直すところがあればということでございます。
 それから、あと、念のため申し上げておきますが、これは今、案という形で、ざっと今までお出ししていたものに表紙と目次をつけただけになっておりますが、例えば、指針の部分を四角で囲む等の、ちょっとわかりやすくするような工夫は別途させていただきたいと思いますので、その点、ご了承いただきたいと思います。
 以上でございます。

【能見会長】  草間委員、どうぞ。

【草間委員】  修正の部分で、14ページのところで、公共施設の復旧状況等という、この公共施設というのは、具体的に何を考えておられるか。というのは、特段の事情というのが、要するに、療養等が必要だから戻れませんよというような例を挙げていただいているわけですよね。だから、この場合の公共の施設というのは、病院等を考えているというふうに考えてよろしいですか。
あるいは、学校等を考えているのか。この辺ははっきりさせておいていただかないと、先ほど田中委員からありましたように、今後、これが前例になる可能性があるわけですよね。だから、そういう意味では、公共の施設というのは、例示との関係で、はっきりさせておいていただいたほうがいいかなと思います。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  医療機関とか学校などを考えて、そう想定して書いてございます。この後の避難区域の解除等に当たっても、おそらく市町村のほうでは、そういうことがまず最初に問題なる、検討されるのではないかという認識のもとで、そういうふうに考えております。

【草間委員】  わかりました。

【能見会長】  この文章はなかなか扱いが厄介な文章で、先ほどまでの議論で、これはいわき市の一部と南相馬市という、2つの特定された地域について、「相当な期間」の考え方を当てはめる問題なんですが、ただ、相当期間の一般的な考え方についても触れられており、今、草間委員が確認されたように、公共施設の中には学校とか病院とか、それ以外にもあり得るかもしれませんが、そういう公共的な施設の復旧状況というものを考えるということになっています。それが一般論なんですが、ただ問題は、そのあとの文章のただし書きのところにあります。「但し、これらの区域に所在する学校等に通っていた児童・生徒等が避難を余儀なくされている場合は」とあり、ここは「学校等」とあり、いろいろな公共施設が考えられるわけですけれど、ここの文章では学校を主に考えています。なぜかというと、今回、具体的に「相当の期間」の基準が当てはめられる地域において実際に問題となっている施設が学校であるために、学校を例示的に挙げたというわけです。しかし、一般論としては、学校だけでなく、病院なども当然に入ってまいります。

【草間委員】  はい。

【能見会長】  それでは、今までご議論で修正をすることになった部分については、修正箇所を確認いたしましたが、その修正を中間指針の案に反映させて、それでこの中間指針を確定するということでよろしゅうございますか。
 それでは、以上のような内容でもって中間指針を本審査会として決定したことにしたいと思います。どうもありがとうございました。非常に短い時間の中でいろいろご議論いただきまして、あるいは、まだ十分議論が尽くされていないと思われる点もあるかもしれませんけれども、ほんとうにありがとうございました。なお、中間指針が決定されても、先ほどから議論になっておりますように、今後も必要なものについては、審査会で適宜、議論がなされるということになると思います。
 それでは、この中間指針の扱いにつきまして、ホームページ等で公表するということですけど、事務局から説明をお願いします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  これからちょっと手直しをさせていただいていきますが、その後、なるべく早く、おそらく本日の夜には、文部科学省のホームページに掲載できることになると思います。

【能見会長】  はい。
 それでは、次の議題3に移りたいと思います。先ほど途中で申し上げましたように、この自主避難に関連する問題というのは、いろいろ広がりもあり、深みもあり、重要であり、かつ難しい問題を含んでおりますので、私としては、今日の審査会でその扱い方について合意ができるのであれば、もちろん中間指針の中に含めてもいいと思っていたのですが、そう簡単にはいかないだろうと思いましたので、中間指針とは切り離して、ここで別に時間をとって議論していただきたいと思った次第です。
 前回も、ほんとうに短い時間でしたけれども、ご議論いただきまして、少し議論が出ましたので、そのときの議論などをも参考にしながら、自主避難に関する論点を整理したペーパーを用意しました。では、このペーパーについて、事務局から説明をお願いできますか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  短いものでございますので、そのまま読ませていただきます。資料3でございます。
 自主避難に関する論点といたしまして、紛争審査会が策定する指針は、賠償すべき損害と認められる一定の類型の損害の範囲を示すもので、被災者の迅速な救済を図るという観点から、相当因果関係が認められ、賠償すべき損害として整理可能なものから順次指針として策定してきた。中間指針では、現段階で明らかになっている原子力損害の全体像として、避難に係る損害については、年間20ミリシーベルトを超える被曝のおそれのある区域・地点や今後起こり得る緊急時に避難が求められる区域など、政府の避難指示等の有無を基準として、避難をする合理性が認められるものを指針の対象とすることとした。
 2でございますが、一方、これ以外にも、避難等の対象区域外に住居があって、自主避難をしている方が多数いると考えられ、これらの者の避難費用等が賠償すべき損害と認められるか否かの問題がある。
 3でございますが、一般的には、指針の対象区域に居住する者ではなくとも、被曝の危険を回避するための避難行動が社会通念上合理的であると認められる場合には、その避難費用等は、賠償すべき損害となり得る。このような避難の合理性を判断するための基準としては、例えば、本件事故直後では原子力発電所からの距離等を基準に、それから、その後においては一般的には放射線量等を基準とすることが考えられるが、政府が避難指示等の措置を何ら講じない地点において、自主的な避難をすることが合理的か否かについて判断するための適切な基準があるかどうかが問題である。
 4でございます。政府は、年間20ミリシーベルトを計画的避難の指示や特定避難勧奨地点の指定の際の基準として用いており、これを上回るおそれのある地域・地点については、避難指示等の措置を講じることとしている。このような政府の基準は下回るが、相当量の放射線量率が観測された場合などにおいて、放射能の危険を懸念して自主的に避難することの合理性が認め得るか否かについては、いわゆる風評被害の場合と類似した点もある。また、妊婦、子供等対象者の範囲、検査費用、避難費用等損害項目の範囲、避難指示等が解除された区域との整合性など考慮すべき事項がある、ということでございます。
 申しわけございませんが、大臣にいらしていただきましたので、先ほどちょうど中間指針をおまとめいただいたところでございますので、髙木大臣のほうからですね。

【能見会長】  そうですね。では、第3の議題に入る前に、髙木大臣がお見えですので、先ほど中間指針が決定されたことをご報告申し上げ、大臣には、一言ごあいさつをいただければと思います。

【髙木文部科学大臣】  髙木義明でございます。
 能見会長はじめ、委員の皆様方には、4月15日の第1回開催以来、大変ご多忙中の中で精力的にご審議を重ねていただきましたこと、そして、本日、中間取りまとめをいただいたこと、厚くお礼を申し上げます。ありがとうございます。
 ご承知のとおり、国会におきましても、被害者早期救済法、いわゆる政府仮払い法、そして賠償支援機構法が成立いたしました。被災者の早期救済を図るために、損害賠償を円滑に進める枠組みが整ったわけでございます。文部科学省といたしましては、関係省庁と連携をしながら、この指針に沿って、迅速に公正かつ適正な賠償が行われるように最大限の努力をしてまいります。
 今回の事故は、周辺住民の皆さんはもとより、極めて広範囲、そして、さまざまな被害をもたらしました。そういう意味において、我が国において例のない大変厳しいものでございました。したがって、国民、社会的にも大きな関心が示される中で、指針の取りまとめにおきましては、大変な難しい判断もおありであったのではないかと思っております。多岐にわたって検討をしていただきました会長をはじめ、委員の皆さん方に、改めて皆様方のご見識、ご尽力に敬意を表する次第でございます。
 一方、事故はまだ収束への途上にあります。今後も新たな被害が生じる可能性は排除できません。また、避難区域の解除後における損害賠償の考え方など、今後も指針の追加とか、あるいは改訂をする必要が生じることが考えられます。したがいまして、大変なご労苦の中で、またご多忙の中で、精力的にこれまで審議をいただきましたが、引き続き委員の皆様におかれましては、お知恵を拝借できますように、今後とものご協力をお願いを申し上げます。
 改めて、会長をはじめ、委員の皆さん方に、心からお礼を申し上げます。ほんとうにありがとうございました。

【能見会長】  大臣、どうもありがとうございました。
 それでは、第3の議題についてご議論いただきたいと思います。これは、先ほども言いましたように、非常に多くの問題点が関連しておりまして、難しい問題で、本来であれば、私から若干整理してお話したほうがいいのかもしれませんけど、あえてそれはしないで、皆様に自由なご議論をしていただきたいと思います。その上で、もし必要であれば、若干議論の整理をしたいと思います。そういうことですので、皆様のほうから、どなたでもご議論をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 中島委員、どうぞ。

【中島委員】  この自主避難に関する論点の第4の段落を前提にしますと、この自主避難の問題は、異質な2つの問題が含まれているように思われます。1つは、第4の段落の最初の3行に関するんですが、政府は、国際防護委員会の基準に従って、20ミリから100ミリの間の中の一番の安全値である20ミリを基準に、この避難の地点・範囲を指示されておりますけれども、瞬間的には20ミリの毎時に換算した値が出ているけれども、その後収束したために避難地域に入っていない区域がある。
 そうしますと、瞬間的に、このままだと20ミリになりそうだという値が出たときに避難したけれども、結果的に政府の指示の区域に入っていない地域、例を挙げますと、福島市がそうですけれども、福島県の公表されているものを見ますと、20ミリシーベルト、これは年間20ミリですから、毎時に直しますと、単純に割りますと2.8マイクロシーベルトですが、文科省の基準で言いますと、外に出る時間が1日8時間だとして計算しますと、3.幾つのマイクロシーベルトが基準になると思うんですが、瞬間的には福島市では、福島県のホームページから見ますと、事故直後は8とか9マイクロシーベルトの値が1週間ほど続いておりまして、専門家に聞きましたら、おそらく半減期が8日間のヨウ素ではないかと。というお話もありますが、しかし、一般の人はわかりませんので、この値からいくと、もう当然、政府指示の20ミリになると思って避難したけれども、結果的に福島は現在も警戒区域にも入っておりませんし、避難等の区域に入っておりません。
 このように、政府の基準に満ちている、瞬間的にはそうなる可能性もあったけれども、避難区域に入っていない地域をどうするかという問題と、さらにその下に風評被害と類似した点があるという指摘がありますが、さらに、そこに至らないけれども、何らかの危険を感じて、もう少し別の基準もあるようですので、当時はいろんな流言飛語もあったと思いますけれども、インターネット等で、国際的な基準から見ると危ないといううわさも流れていたりして、それに基づいて、妊婦や乳幼児を持っている、放射線感受性の高い家族のある人は、予防的に避難した人もいる。その場合に、政府の基準20ミリには達しないけれども、それに達しない基準で逃げた人の判断は不合理だったのかどうか。合理性があったのではないかという、この2つの問題、異質な問題があるように思います。
 この適切な基準があるかどうかが難しいというのは、風評被害の政府の20ミリに満たない基準でも逃げた、避難した場合はどうかというほうの問題ではないかと思うんですが、瞬間的には20ミリに達する、これは計算してみますと、3.8マイクロシーベルトを超えていた地域というのは、当時、政府の避難指示以外にもあったわけで、それに基づいて逃げた、避難した人は、当然、これは含まれてよいのではないかと思いますし、それ以下の基準でも、国際的にはいろんな説もあるようですが、それに近い値で危険を感じて逃げた場合はどうかというところがあると思います。
 これに関しては、問題の指摘のほかに意見も申し上げたいんですが。

【能見会長】  どうぞ、結構です。

【中島委員】  この20ミリより下のラインについてはどうかと、ここが大変難しいところかと思いますが、前回、草間委員が示唆されましたのは、労災の基準があるじゃないかとおっしゃられたものですから、労災認定基準をちょっと調べてみたんですが、昭和51年11月8日の労働省の通達では、白血病の認定基準では、年間5ミリシーベルトの被曝があった場合には、業務起因性を認めると。要するに、被曝との因果関係を認めるという基準になっている。
 この5ミリという値は、ちょうど、近い数字としては、放射線管理区域、これは文科省のQ&Aでは、観点が違うというふうになっていますけれども、放射線を扱う施設内では、5.2ミリという基準だったと思いますが、それに近い数字になっている。偶然なのか、付合している。このあたりも、1つの手がかりになるのではないかと思っております。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 基準のどれが適切かという問題のほかに、まず2つを分けて考えるべきではないかということを今議論されたわけですが、こういった点について、ほかの委員はどういうふうにお考えでしょうか。
 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  今、中島委員が言われた2つというのは、すみません、ちょっと確認させてください。2つというのは、何と何ですか。

【中島委員】  年間20ミリシーベルトに相当する値に達していたけれども、その瞬間は達していたけれども、その記録が、その観測が続かなかったために、その後、結局、特定避難勧奨地点に入っていないところがあると。しかし、瞬間的に高い数値が出たために避難した場合と、そこに至らないけれども避難した人というのは、少し異質なのではないかという問題です。

【大塚委員】  わかりました。すみません。
 私も2つに分けたほうがいいと思っていたんですけど、中島委員の意見とわりと近いとは思いますが、事故直後に、3月中に不安を感じて避難をした方について、合理的な行動であれば避難費用を出してもいいと考えますけれども、少なくとも避難費用は出したほうがいいと思いますけれども、そこで、どこで区切るかというのはちょっと問題になってしまいますので、今、中島委員が言われたのを、幾つかの基準を出していただいたので、それが基準になるかなと思いますし、当時は、アメリカは80キロと言っていたので、何を信ずるかというのは多分わからない中で行動された方がいらっしゃることは事実だと思いますので、そのどこまでを合理的と見るかというのを考えなくてはいけないと思っています。
 中島委員の意見と多少別の観点で申しますと、この問題は、何が合理的かということはもちろん私も大事だと思っているんですけれども、コアになる問題というのは、むしろ不安だと思うんですね。不安で行動したことをどう見るかとか、あるいは、今でも20ミリシーベルトはいっていないけれども、避難区域のそばに住んでいる方も含めて、不安に感じておられる方をどう見るかという、避難されることをどう見るかということだと思います。これは下級審の判決で幾つか出ていて、別に固まっているわけではないですけれども、平穏生活権の問題というのが幾つか認められたものがございますので、廃棄物処分場のそばで井戸水を飲んでいる方とかですけれども、それと同じような問題ではないかと思います。
 ただ、単に不安を感じているから直ちに賠償を払うということには、残念ながらなりませんので、ある程度やはり合理性とか合理的な基準というのは必要にはなってくると思います。単に通常人だったら不安に感じるというだけで賠償するわけにはいかないと思いますけれども、その合理的な基準が何かというのは、検討する必要があると思いまして、今、中島委員が言われたものは、その中の幾つかの例ということになるのではないかと思います。
 私自身も2つ分けたほうがいいと思っているんですけど、さっきの中島委員の議論とは多少違いますけれども、事故直後、3月中に不安を感じて出ていかれた、避難された方と、それ以降に避難した方とか、避難はされていないけれども不安を感じていらっしゃる方というのは、ちょっと区別したほうがいいかなと思っています。3月中に水素爆発が起こったので、びっくりして避難した方というのは、より強い保護に値するのではないかという感じはいたします。後者のほうも、もちろん、ある程度精神的損害を感じておられるので、それはやはりある程度の合理的な基準は必要だと思いますし、払っていいが、かなり限られた額になるかとは思いますが、それらの2種類の区分けができるのではないかと考えております。
 いずれにしても、20ミリシーベルトを超えるところに住んでおられた方で避難された方に比べると、リスクは小さいことは小さいので、全額を払うとかという話には残念ながらならないとは思いますので、賠償額は限定されることにはなると思うということも、追加して申し上げておきたいところでございます。
 それから、あと、特に子どもですね。子どもと妊婦の方が、特に払う必要があるのではないかと思います。

【能見会長】  先に、米倉委員、どうぞ。

【米倉委員】  線量に関してはちょっと置いておきまして、違う視点で少し議論を出させていただきたいと思います。それは、この中間指針で今まで見てきたものが、基本的には、政府が決めた避難ということによって、避難を余儀なくされたという方、あるいは、出荷制限ということによって損害を受けた、あるいは、若干違うと思うんですが、風評被害ということで、これもある意味で第三者が関与して、こういう被害を受けたということに今までなってきたわけです。そこに限られてきたので、この論点の1番目の一番下にある、「政府の避難指示等の有無を基準として」というふうに書かれてはいますけれども、そこで、この審査会で議論してきたところは、やむを得ず避難を強制されたというところに対する損害賠償をするという、そういう基準になっているかと思います。
 自主避難ということになりますと、これは本人が動いたことということで、別の視点が入ってきているように思いますので、ここまで広めるのであれば、それにかかわるようなかなり広い範囲のものも一緒に考える必要があるだろうというふうに考えています。
 先ほど幾つか議論があった中で、では年間20ミリシーベルトというのに対してどのように考えるかということがあるんですけれども、中島委員が言われたように、実際に住民の方々がそこで持っている情報は、年間20ミリシーベルトではなくて、ある地点の線量率が幾らであったかということなので、もし何らかの基準を認めるとすれば、そのときそのときの線量率、これが1つ基準になるかなと。それから、水素爆発等によって、それなりの恐怖心を感じられたということ。それから、先ほどから話があるように、お子さんがいらっしゃるときに、放射線に対する不安を感じられた。そういう幾つかのファクターが出てくるので、そういうものを勘案して、何か基準を決めていくということになるのかなというように感じています。

【能見会長】  では、草間委員、どうぞ。

【草間委員】  まず、自主避難に関してですけれども、中間指針の中で、4月22日に一応解除になっても、とりあえず残っている方たちについて、7月末日まで認めましょうと。これは、ある意味、ちょっと逆の考え方をすれば、自主避難をしているということになると思うんですね。だから、これを認めたということになると、今議論になっている自主避難についても、何らかの形で認めざるを得ないんじゃないかなと思います。だから、自主避難について認めるということは賛成なんですけれども、ここでその基準を決めるということは大変難しいと思うんですね。
 だから、先ほど、4月22日の取扱いについて、特段の理由がある場合にという形だったと思うんです。だから、特段の理由の中に、例えば線量率の高いところとか、そういったような形で認識することにしないと、ここで数値的な基準を決めますと、さまざまな、ただでさえダブルスタンダートが問題になっているときに、ダブルスタンダートになる可能性もあるので、私は1つの基準というよりも、特段の理由のときに、例えば線量率が高いとか、そういったことを入れるような形が1つあるのかなと思っています。
 それと、先ほど、子どもとか妊婦がいるから云々という話ですけれども、ICRPも含めまして、20から100というのは、緊急時の公衆の避難等の措置をするときに、20から100の巾の中でということなんですけれども、限度も含めまして、ICRPは、公衆の限度等を決めるときに、なぜ職業人より低くしているか。もちろん、直接的な利益があるかないかというのもですけれども、公衆の中には子どもや妊婦がいるということで、低くしているんですね。だから、20ミリというのは、子どもも妊婦も含めて、一応20から100の間で考えたらどうでしょうということですので、そういうふうにご理解いただきたいと思います。
 なぜ公衆の限度を低くしているかということにつきましては、ICRPがPublication9を出したときに、そういったことをきっちり明示しております。ICRP勧告というのは、2007年勧告が最新ですけれども、一応ずっと継続性を持って勧告をしてきているので、ぜひその辺はお考えいただきたいと思います。
 いずれにしましても、ここで基準を決めるということではなくて、特段の理由のときに、先ほどあったような数値を用いるということをお考えいただいたらどうかなと思います。
 それと、先ほどの労災のことですけれども、誤解があるといけないんですけれども、5ミリシーベルト掛ける業務年数という形です。それで、5ミリシーベルトというのは、先ほどお話ありましたように、昭和51年の基発810号すなわち基準局通達で出されているんですけれども、そのときの5ミリというのは、当時、職業人の限度が今でいう50ミリだったんですね。それで、その10分の1というのと、当時は――今は公衆の限度というのは1ミリシーベルトですけれども、この1ミリというのは、1980年のICRPのパリ声明で1ミリというのが出たんですけれども、それまでは公衆の限度というのは1年間に5ミリだったんですね。一応管理区域が云々ではなくて、職業人の10分の1、あるいは、公衆の限度の今でいう5ミリ、そういったのが参考になったのではないかと考えております。

【能見会長】  ほかにいかがでしょうか。
 今、草間委員から、この審査会で基準を設けることは難しいというお話があったのですが、基準という場合に、おそらく分けて考えなくてはいけない問題があると思うのですが、これは大塚委員の意見とも少し関係するところですが、この審査会で安全性の基準そのものを決めることは当然できないし、この審査会の権限の範囲内でもない。ここの審査会で考えることは、何らかの安全の基準がありうるのであれば、それが決まっていなくても、それを横目でにらみながらといいますか、それを想定しながらも、その安全性の基準そのものとはそれとは別に、いわば独自に、避難等をするのが合理的な状況なのかどうかを決めること、その基準を決めることだろうと思うのです。この判断自体もなかなか難しいということは、おっしゃるとおりだと思います。まずはっきりさせておきたいことは、われわれが議論するのは安全基準そのものとはやはり違うということです。自主避難が合理性があるといえる基準は何かを考えたらいい。
 この問題については、この審査会では必ずしも最初から課題として正面にこれを据えて議論してきていないので、十分な議論もなされてないし、また、十分な調査もされておりません。ICRPの勧告についても検討しなければならないと思いますが、そのようなことをここで議論すべきかどうかも、はっきりしません。ともかくも検討しなければならない問題が多いが、どれも十分に検討していない状況です。そこで、放射線について全くの門外漢である私などは疑問がたくさんあって、それを1つ1つ解明していきたいと思っています。
 先ほど中島委員が、爆発直後にとにかく危ないと思って逃げるという問題と、それから、もうちょっと落ちついてというか、少し長期的な視野のもとで――中島委員は長期的な視野とはおっしゃらなかったかもしれないけど、1ミリシーベルトから20ミリシーベルトの間の問題をどう考えるというのは、一応別に考えたいということでした。
 前者のほうは、私はそれなりに何か基準が出せそうな気がするのですが、後者の1から20ミリシーベルトの問題については、これも専門の先生方がおられるので、いろいろ伺いたいのですけれども、そもそもICRPの緊急時の、20から100ミリシーベルトという基準ですか、その基準と、それから、現状被曝状況というのでしょうか、ある程度落ちつくという状況のもとでの1から20ミリシーベルトという基準があると思いますけれども、一体どっちでそもそも考えるべきなのかわかっておりません。これは安全性の基準の問題で、先ほどこの審査会で判断すべきだと言った風評の問題とは違いますけれども、いろいろな判断をする上での前提問題として、ICRPの勧告を当てはめた場合に、現状をどのように考えたらよいのか、そもそも私にはよくわからないところがあり、それも1つ勉強したいと思っております。
 それから、もう一つは、危険を感じるといいますか、不安を感じるということについてですが――大塚委員は、先ほど、ごみ焼却場の場合の平穏生活権の話をされましたが、今回の原子力事故の場合は、放射線量が1ミリシーベルトから20ミリシーベルトまでの間であっても、おそらく単なる不安の問題ではなくて、ある種の健康の危険というものがあるけれども、それがどのぐらいかわからないという状況での不安ではないかと思うので、ごみ焼却場の近隣で平穏生活が害されるというのとは違うのではないかと思います。では1から20ミリシーベルトの放射線の危険というのはどの程度のものなのか。私、素人の考え方ですけれども、間違っていたら指摘していただきたいんですが、仮に年間10ミリシーベルトという状況で、それが時間とともにだんだん減るのかもしれませんけど、仮にその年間被曝量が10年間続くと、合計では100ミリシーベルトになる。100ミリシーベルトというのは、一般的にはがんの発生する有意な差をもたらす値であると言われているのではないかと思います。そこで、10年間とかより長期の時間的スパンを考えると、現在の放射線量の危険というのはどうなのかという問題があります。子どもですと、10年間ここで暮らしていると危ないんじゃないかと考えるというのが不合理なのか合理的な心配なのか、というような問題があるような気がするのです。こうした問題もこの審査会で議論して決着がつくという問題ではないかもしれませんが、審査会では十分議論して、それなりに我々が納得できる考え方を出していきたいと思います。
 今、直ちにこの場で答えいただくのが難しければ、また後で十分資料をそろえてからでも結構なんですが、先ほどのICRPの勧告でいう20から100ミリシーベルトという基準と1から20ミリシーベルトという基準では、どっちがどういう場面で適用されるか。これはどういうふうに考えたらよろしいんですか。

【草間委員】  ICRPは3つのバンドをつくっているわけですね。1ミリ以下と、1から20と、20から100。
 20から100というのは、いわゆる緊急時の公衆の被曝の上限です。緊急時被曝というのは、いろいろ定義の仕方があると思うんですけれども、1つの定義の仕方として、線源が全くコントロールされていない状況での被曝です。だから、福島原子力発電所の場合を考えますと、今3つのステップに分けて安定化をしましょうという形で考えているわけですけれども、とりあえずステップ1の段階までは線源がコントロールされていないというふうに考えていいのではないでしょうか。これを国がどう考えるかの問題ですけれども、緊急時というのは、いわゆる線源がコントロールされていない状態での被曝というわけですので、どこまでを緊急時と考えるかなんですね。
 それで、1から20というのは、緊急時以外の残存汚染に適用されるものです。今、事故による汚染は、特にセシウムのように半減期の長いものですので、残存汚染という形で残るわけですので。だから、緊急時と残存汚染というポイントをどこで分けるかというところに大きく関係してくるんだろうと思うんですね。

【能見会長】  原子炉自体は、今の状況だと完全にコントロールはされていないかもしれないけど、新たな爆発が生じるという状況ではなくて、そういう意味では、各地の線量も少しずつ減る状況で、そういう状況というのは、緊急時ではなくて、もう既に次の段階だというふうには言えないんですか。

【草間委員】  個人的な考えですけれども、私は、原子炉収束を3つのステップで考えましょうと、保安院等が言っております。第1ステップまでは、まだ原子炉が水素爆発を起こすかもしれないという形で、すごく不安定だったわけですけれども、とりあえず第1ステップは完了しましたということをもうきっちり言っておられるので、だから、第1ステップが終わった段階では、もう1から20のところで考えるということに移行していいのではないかなと思っています。
 防災指針等では、この前田中委員が言ったように、外部被曝では一応50ミリと決められているのですけれども、今回の事故では20ミリを判断の基準とした。これは妥当な判断だったんだろうと思っています。しかし、現在は次の段階に移行したほうがよいと思っております。

【能見会長】  田中委員、どうぞ。

【田中委員】  少し整理してみたいと思うんですが、我が国の防災指針では、予測が50ミリシーベルトを超えるようなときは避難をさせるということになっていて、それは、今、20キロ圏内がそれに該当していると思います。20から50ミリの予測がある場合には屋内退避、今は避難準備区域というんですか、そういうことになると思います。
 今回の事故の特徴は、その外側に実際に20ミリを超えるような汚染区域が出てきたということで、これが計画的避難区域になっています。実際には、当初は日本政府は、防災指針を適用して、住民の避難とか屋内退避を指示していました。その後しばらくたって、ICRPのこの事故に関しての勧告が出てきて、それを日本政府が検討して、それで、20ミリを境界として避難させるとか、避難させないというところが出てきたので、先ほど中島委員が言いましたように、当初の予測という意味では、50ミリだった。当初から20ミリが基準になっていたということはないんだと思います。
 ですから、計画的避難区域の指示が出たのは、4月の半ばぐらいでしたでしたか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  22日です。

【田中委員】  22日ですかね。その時点で20ミリという値が非常に明確に出て、そこからはもう20ミリの上か下かという議論になってきているので。だから、先ほど中島委員のおっしゃったように、実際に空間の線量率がある程度わかってきたのは、多分、3月の20日過ぎぐらいだと思いますので、それまではほとんど国民はよくわからない状態にあって、避難されたんだと思います。
 そこのあたりをどう見るかなんですが、非常に難しい問題ですけれども、私もある程度、あるレベル以上、ある種の認定的なことが必要になるのかもしれませんけれども、自主避難について、ある程度そういうことを踏まえて、国の基準もいろいろ動いたというか、必ずしもアプリオリに決まっていなかったし、その情報が国民に正確に伝わっていなかったという意味において、ある程度そこは配慮する必要があるのではないか。特に子どもについての不安というのは、いまだに消えていませんので、そういう点はあるかなと思いますけれども、今、どこにどうすべきかというのは、私自身は考えあぐねているところです。

【能見会長】  ほかに。では、まず大塚委員、どうそ。次に、鎌田委員、お願いします。

【大塚委員】  2つほど申し上げておきたいんですけれども、自主的に避難することが合理的であったかというのは、その時点で考えなければいけないので、今からさかのぼって考えるようなことでは多分ないと思うんですよね。今、20ミリかどうかが基準として用いられているからと言って、当時の行動の合理性について一定の基準に照らして厳密に考えなければいけないことかどうかというのは、そもそも問題があるとは思います。ただ、だからといって、対象者がものすごく広がっていくことは、もちろん問題があるので、限定をしなくてはいけないとは思っていますが、合理的かどうかというのは、ほんとうにぎりぎり、今考えて詰めることかというと、やっぱり当時合理的だったかどうかということを考えなくてはいけないのではないかなというのが1点ございます。
 もう1点ですけれども、会長がおっしゃったように、廃棄物処分場のケースと違って、こちらのほうが健康に危険がある場合とも言えると確かに思うんですけれども、ただ、聞くところによると、100ミリシーベルトでも0.5パーセントがんの確率が上がるということだそうなので、その下については、そもそもよくわからない、残念ながらしきい値がないという話は伺っていますので、そういう意味では、損害賠償からみたときに法的に健康への危険があると言い切れるかはなかなか難しく、不安の問題だと思うんです。不安というのは法的に扱いにくいものですから、私も不安を取り上げたいと特に思っているわけではないのですけれど、やっぱりある程度不安ということを考えざるを得ないのかなというふうに、私自身は考えております。

【能見会長】  では、鎌田委員、どうぞ。

【鎌田委員】  これまでの各委員のご意見でも、自主避難について、一応一定の配慮をしなければいけないという点では、おおむねコンセンサスがあるんだろうと思うんですね。しかし、どの範囲まで相当因果関係の範囲内にあるものと認めるべきかということを考えるのは、実際、非常に難しいんだと思います。客観的な基準があれば、この指針の基本的な考え方の上に乗っていきやすくなるんですけれども、その基準も、安全基準を定める、あるいは安全基準の合理性について判断する能力は、この審査会には基本的にはないということ。
 それから、自主避難することが適切かどうかと、今大塚委員がおっしゃられたことと共通なのかどうか、自信はありませんけれども、今はこういう状態だったら自主避難したほうがいいとか悪いとかという、こういう行動指針的な基準をつくるのも、ここの役割ではないわけです。
損害賠償の観点から言えば、過去の自主避難について、どこまでが相当因果関係の範囲内であったか。これが行政的な措置によって避難を余儀なくされているわけではないということで言えば、合理的な回避行動として認められるかどうかというのが基準になるんだろうと思います。そのときには、やっぱりその時点時点でどうであったかですから、時期と場所と、それから、幼児、妊婦その他であるかどうかという人の属性とで見ていかなければいけないんだと思いますし、同時に、一般に言われる安全基準の考え方、あるいは、その時々に公表されていたデータや情報との関連というので、かなりきめ細かく見ていかなければいけない。こういう点についても、多分、一般原則では大方のコンセンサスがあるんだろうと思いますので、そういうふうな基本的な考え方の中で、どこまで中身を詰めていけるかという作業を、私はこの審査会で少し詰めて議論をして、合理的な指針の基準ができていけば、それはつくっていくべきではないかなと思います。
 同時に、この資料の中にも書いてありますけれども、自主避難というのは1つの象徴的な事柄で、避難はしていないけれども、避難等の対象区域の隣接地域の人たちの検査費用等も、今の基準、指針からは明示的には挙げられていなくて、一般基準の中で判断してくださいと言われているわけですけど、これは問題の性質としてはほぼ同等でありますから、そういった関連した問題とのバランス等も考えながら、第一弾として出した中間指針の周辺部にあって、合理的に救済をしなければいけないというふうに皆さんが考えることについて、第2段階での指針づくりという作業を始めてはいかがかと考えております。

【能見会長】  どうぞ、田中委員。

【田中委員】  現実に自主避難だけが今取り上げられていますけれども、実際にこの地域のほとんど95パーセントから99パーセントぐらいの人が、避難したくてもできないから、そのまま生活しているという実態も、自主避難の人の救済をする場合には、少しそこも配慮しないといけないのではないかという感じがするので、その辺もぜひご議論いただければと思います。

【能見会長】  今ご指摘の点も非常に重要な観点で、この問題は、従来のこの指針で扱っていた枠組みとやっぱり違う切り口なんですね。20キロ圏、30キロ圏は、それなりにある程度予想される放射線被曝線量を前提にはしていたのかもしれませんけれども、ある意味で単純に距離でもって切っていて、具体的にどの程度の汚染があったかというのとは違う観点から切った範囲です。それに対して、今問題となっているのは、放射線の被曝そのものに関連する――そのものではないかもしれないけれども、それをもとにしての不安ということです。そうなってきますと、今おっしゃったように、自主避難だけが問題ではなくて、そこに残っている人たちのほうが、相変わらず放射線の被曝は続くわけですから、被曝量が多くなり、そういう人たちについてはどう考えるのかという問題も関係してくる。その人たちの健康、健診とか検査の問題とか、場合によっては、その地に残らざるを得なくて、ずっと被曝を続けているため、それが一定の量以上だと、そのような状況のもとでの精神的な損害というものもあるかもしれない。非常に問題の範囲が広くて、そういう意味で、先ほど鎌田委員が言われたように、なかなか簡単には、今すぐには決めにくい。しかし、自主避難についても、この審査会で取り組もうということになっても、どういう観点から、どういうことを検討したらいいか、それからそのためにはま、いろんな必要な調査なども必要になってくると思います。何をしたらいいのか、議論のためにはどんな準備をしたらよいのか、そんな点についても少し議論を進めていただければと思いますが、いかがでしょうか。
 米倉委員、どうぞ。

【米倉委員】  少し関連した話になるかもしれないんですが、最初に私がお話ししたように、もともとこの最初の指針、今回の中間指針というのが、ある意味で、政府によって決められた、強制された、それに対する損害賠償という形で始まっているのに対して、今回の事故によって起こった被害という視点ではあまり議論がされてこなかったように思います。自主避難というのは、その1つの例だと思うんですけれども、例えば、幾つか抜けている視点があるように思います。今回、一時立入でいろんな方が協力しておられるのですが、その方々が健康被害を起こしたり、放射線ではなくて、熱中症、あるいはいろいろな病気で倒れられる。
一時立入の住民の方々は、これはおそらく避難地域の方なので、そちらでみられると思うんですけれども、その作業に従事している方、これはボランタリーで来ておられる方もたくさんいらっしゃるので、そういう中での被害というのをどんなふうにみていくのとか、幾つかそういうものがあるような気がしますので、全体として今回中間指針で見た、その周辺部にあるような、放射線あるいは原発事故による被害の中で、それに近い部分というのは、もう一度取りまとめて、何か議論するということをしないと、これだけを取り上げるというのはどうなのかなということを感じます。
 それから、もう1点、先ほど言われたように、まさにそのとおりで、最初の避難地域においても避難できなかった方の問題を取り上げたんですけれども、同じように、自主避難されて、すぐ近くにおられる方というのは非常に不安を持っていらっしゃる。そういう方々に対しても、やはり何らかの検査費用等の補てんはしてあげなくてはいけない。そういうことも含めて、いろいろ幅広い議論が要るかなというふうに感じました。

【能見会長】  はい。
 ほかにいかがでしょうか。
 いろいろなご意見が出まして、先ほど鎌田委員がある程度整理をしてくださいましたが、私も、皆さんの大体のご意見の方向として、この自主避難の問題については、その範囲とか基準はともかくとして、賠償の対象になり得る損害がある可能性がある。それを議論しよう、とそういうところは大体皆さん共通したご意見だったように思います。そして議論するとして、取り上げる問題ないし視点は、自主避難だけか、もうちょっと広い視点で、中間指針では落ちている問題を拾うべきか――中間指針は中間指針で、早急にまとめなくてはいけなかったことで、これは当然必要かつ合理的な作業だったわけですが、難しくてすぐに議論できないために中間指針の対象から落ちているものがあります。そういう問題も取り上げて、自主避難の問題と一緒に今後議論する。そういうことが皆さんの共通のご意見であったように思います。
 ただ、今後、一体どういうことを調べた上でどのように議論したらいいのか、あるいは、自主避難の基準についてはなかなか難しいんですけど、何か基準を考える上で参考になるような考え方があるのかないのか、こうした点についても、少し議論を続けていきたいと思っております。今日、そういう結論といいますか、今後作業を続けていくということのご了解が得られるのであれば、今後少し必要な資料を集め、調べても見ようと思います、ただ、こうした作業ということになると、おそらく来週やるというわけにはいかなくて、いろいろ調べなくてはいけないものがたくさんあると思いますので、今後議論を継続する時期については少し検討させていただければと思います。必ずこの審査会でもう一度、適切な時期に取り上げてご議論いただくということでいかがでしょうか。
 どうぞ、大塚委員。

【大塚委員】  今のおまとめで全く異論ないんですけれども、ひょっとしたら委員の方の中でも多少ニュアンスの違いがあると思うんですけど、私が多少違っているのは、広く関連したものをいろいろ取り上げることは非常に重要だともちろん思っているんですけれども、おそらく自主避難を3月中にされた方というのは、ほかの方に比べて、やはり考えなくてはいけない度合いは高いのではないかなというふうに私自身は思っていまして、濃淡が多少あるのかなというふうに思います。それは「合理的に行動したというふうに考えられれば」ということではありますが、私はそういう意見を持っているということだけちょっと申し上げます。

【能見会長】  この点も若干ニュアンスの差があって、私は、大塚委員が爆発直後にすぐに避難された方と、それから――そちらのほうが保護の程度が強いのではないかというご意見だったと思いますけれども、どちらが保護の程度が高いのか、私はまだ判断しかねていますけれども、しばらくたって、やっぱり放射線量が相当あるというので避難されるという方も、それもそれなりに合理的な、かえってある程度の情報をもとにしての行動なので、合理的な行動と言いやすい側面もあり、一概にどちらがということは言いにくいような気もします。その点も含めて、もうちょっと検討させていただければと思います。
 鎌田委員、どうぞ。

【鎌田委員】  一言。
 先ほど、損害の性質と時期と地域によって、かなりきめ細かく見なければいけないということと、それから、自主避難だけに限らないというふうに申し上げましたけれども、逆に、自主避難も含めて、審査会が議論の対象にしたということは、何でも幅広く全部賠償するという姿勢を示したということでは決してないわけで、やっぱり相当因果関係の範囲というのが基本にあって、それの中で類型的にとらえられるものから順番にやってきた。それは、明らかに抜け落ちているものがあるのは、最初から承知の上なんですけれども、そういうものの中で、特別に判断の基準を明示していったほうが、今後の展開の上で、被害者の救済を迅速かつ適正に進める上で合理的であり望ましいというものについては、可能な範囲で拾い上げていこうということで、無限に拡大しようというふうな趣旨で申し上げたということではありませんので、念のため申し上げます。

【能見会長】  今の点は全くおっしゃるとおりで、ここで賠償の対象とするのは、あくまでやはり原子力損害というカテゴリーのものであり、かつまた、相当因果関係の範囲内のものということですので、当然、おのずから限度があるということでございます。
 これは私の個人的な感想ですけれども、今までこの審査会でもって、避難費用をはじめとして、医療損害、それから、風評損害も含めて、それなりに幅広く実際に生じた損害というのを賠償の対象としてまいりまして、そういう意味では、指針として十分寄与するものだというふうに思います。しかし、改めて今この問題を考えてみますと、人の健康そのものに関連する被害、健康の被害のおそれがあるので逃げるというものを含めてですが、そちらについては、今日の議論があったように難しい問題があるために、十分扱ってこなかったなという感想を持っております。そういうことで、この自主避難の問題、関連する問題を含めて、人の健康そのものに関わる問題について、もっと切り込んで議論する、十分資料を集めて議論できればということでございます。
 一応私のまとめとしては、そういうことですけれども、ほかに何かご意見があればお願いします。よろしゅうございますか。
 それでは、まだ今後も大変な作業が続くことになりますが、とりあえず今日の審議はこのくらいにしたいと思います。次回の日程ということは特に今確定的には申し上げられないのですが、事務局のほうから何か補足できますか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  会長のお言葉もありましたように、何を調査すべきか、あるいは、議論のためのどういうものを準備するかというものも含めて、会長と相談させていただいた上で、委員の皆様と日程を調整させていただきたいと思います。

【能見会長】  以上で今日の審査会を終わりたいと思います。どうも今日は長い時間ありがとうございました。これで閉会します。

―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局原子力損害賠償対策室

(研究開発局原子力損害賠償対策室)