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原子力損害賠償紛争審査会(第7回) 議事録

1.日時

平成23年6月9日(木曜日)13時00分~15時30分

2.場所

文部科学省旧文部省庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 被害等の現状について
  2. 専門委員による調査について
  3. 精神的損害額の算定方法について
  4. 中間指針に向けた今後の検討項目について
  5. その他

4.出席者

委員

能見会長、大塚委員、鎌田委員、草間委員、高橋委員、田中委員、中島委員、野村委員、米倉委員

文部科学省

笹木文部科学副大臣、林文部科学大臣政務官、清水文部科学事務次官、森口文部科学審議官、藤木研究開発局長、田中原子力損害賠償対策室長、田口原子力損害賠償対策室次長

内閣官房

加藤 原子力発電所事故による経済被害対応室審議官

説明者

渡邉あぶくま信用金庫専務理事、小此木全国信用金庫協常務理事、江尻いわき信用組合理事長、倉澤全国信用組合中央協会専務理事、小出全私学連合事務局長、関口全私学連合代表者会議員、関社団法人福島県全私立幼稚園協会理事長、志賀社団法人福島県全私立幼稚園協会副理事長

5.議事録

【能見会長】  それでは、時間になりましたので、第7回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。
 本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
 本日は、初めに事務局から報告事項があります。その報告に引き続きまして、配付資料の確認をいたします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  本日は、まず事務局より委員の辞任ついてご報告がございます。
 山下委員におかれましては、今後、福島県における業務が常勤化する予定ということでございます。このため前回の審査会の終了後、山下委員ご本人から、福島県での業務の内容によっては本件、原子力損害賠償に関し利害関係者となる恐れがあるということで、中立性の観点から紛争審査会の委員を辞任したい旨の申し出がございました。このため手続を進め、昨日付で辞任されたことになってございます。
 なお、後任の委員については検討中でございます。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
 議事次第がございますが、本日議題として大きく4つございます。それぞれの配付資料で資料1-1から1-4として、今回の被害等の現状についてご説明をいただく全国信金協会、信組協会、それから私学連合、幼稚園連合会の資料がございます。それから、資料2といたしまして、若干厚目の資料で専門委員による調査についてという資料がございます。それから、資料3は精神的損害額算定方法に関する論点、1枚紙表裏でございます。それから、資料4として中間指針策定に向けた今後の検討項目(案)でございます。それから、参考資料といたしまして前回の議事録(案)がついてございます。
 なお、本日、笹木副大臣、文部科学省から出席予定でございますが、国会で30分ほど遅れてまいります。それから、高橋委員がやはり15分ぐらい遅れて到着されるということでございます。
 それから、本日、皆さんにお願いしたいのは、会場の音響が前回、前々回に比べると若干よくないということで、できるだけマイクに近づいてご発言をいただくようお願いしたいと思います。
 以上でございます。

【能見会長】  それでは、早速、第1の議題に入ります。被害等の現状についてでございます。
 本日は、金融及び学校の関係の団体にお越しいただいております。それぞれの分野に関してご説明をお願いしたいと思います。
 まず、全国信用金庫協会と全国信用組合中央協会からお願いします。

【全国信金協会(渡邉あぶくま信用金庫専務理事)】  あぶくま信用金庫の専務の渡邉でございます。本日は、このような席を設けていただきまして、まことにありがとうございます。着座のまま説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、早速始めさせていただきますが、内容等につきましては、信用金庫は営業地域が限定されておりますことから、営業基盤をほかの地区に移すことができないという信用金庫の特性を踏まえまして、お話をさせていただきたいと思います。
 初めに、信用金庫の特性・役割につきまして、簡単にご説明させていただきたいと思います。
 まず、資料の2ページをごらん願います。信用金庫の特性・役割についてでございますが、ただいま申し上げましたとおり、事業を営む地域が限定されていること。また、貸し出しの取引は地域の中小企業や住民に限定されていること。そして、地域の経済社会と運命共同体の関係にあるという点をご認識いただきまして、今回の原発事故により経営に重大な影響を及ぼしている現状を十分にご理解いただきたいと思います。
 当金庫の現状につきましては、3ページ目に事業地区、すなわち営業地域を記載してございますが、あわせて4ページ目もごらんいただきますと、信用金庫の営業地域と原発事故の対象区域が具体的にわかると思います。ほとんどの店舗が対象区域内となっております。
 次に、5ページ目をごらん願いたいと思います。当金庫の営業店舗数は、出張所2カ所を含めまして16店舗ございます。対象区域内には12店舗ございまして、原発事故の影響を受けずに営業しているのは4店舗のみでございます。対象区域内の12店舗のうち、警戒区域内の6店舗につきましては営業を休止しております。ほかの6店舗につきましても住民の多くの方々が避難し、会社関係も休業している先が多く、通常の営業からはほど遠い状況でございます。
 また、役職員数は、パート職員を含めまして現在は159名でございますが、6店舗の営業を休止いたしております関係上、現在の職員数143名のうち14名の職員を自宅待機といたしております。
 6ページ目になりますが、過去5年間の預金と貸出金の推移でございまして、おおむね順調に増加いたしております。今後につきましては、予測ができない状況でございまして、原発事故の早期の収束を願ってやまないものでございます。
 また、政府の避難指示などによりまして避難されたお客様の多くが当金庫の営業エリア外に避難しているため、営業に大きな影響が出ております。7ページ目には、遠方に避難されたお客様に対する対応状況の記載がありますが、避難者に対する預金の払い戻しや、あるいは支払い差しとめなどの事故届けへの対応が、ごらんのとおり多数ございました。
 次に、8ページ目をごらんいただきたいと思います。各避難所等へは、当金庫の職員が定期的に出向いております。遠くは埼玉県加須市まで訪ね、週1回の割合で相談窓口等を設置し、お客様の要望を受け付けておる状況でございます。このようにお客様の対応につきましては、相当な時間と労力を費やしておるのが現状でございます。
 現状についていろいろご説明してまいりましたが、9ページをごらんいただきたいと思います。
 損害賠償について、審査会の皆様のご検討並びに指針の策定に対しまして、当金庫が強く要望するのは、次の5つの項目でございます。
 まず、4の(1)の第1には、信用金庫の特性については再三お話し申し上げましたが、定められた地域でしか営業できないことを考えた場合、たとえ原発事故が収束したとしても、地域住民の方々や事業者などが、これまでどおりの状態に戻ることは難しいのではないかとも考えられます。
 例えば子供の健康を考えれば、幼稚園や小学校、中学校などの教育施設は再開できるものなのか、甚だ疑問でございます。また、多くの企業の撤退が予想されております。それにより雇用の喪失につながるなど、いろいろを考えますと、地域経済がこれまでのような状況に復旧・復興できるまでには相当な時間を要するものと思われます。
 よって、当金庫が60年間の歴史の中で積み上げてきた経営基盤そのものを滅失する可能性がございます。将来にわたって得られたであろう地域金融による利益が得られなくなるものと思われます。したがって、この逸失利益の補償に係る考え方についても指針にご明記していただきたいと思います。
 2番目は、同じく9ページの4の(2)になりますが、同時に10ページをごらん願いたいと思います。預金におきましては、原発事故の対象区域内の店舗の預金は1,021億円でございまして、全体の82.4%を占めております。同じく貸出金につきましては370億円で、全体の61.5%を占めております。
 事故発生後の預金残高の増減につきましては、当然のことでございますが、休業店舗の預金の落ち込みが大きくなっております。また、休業店舗以外の対象区域内で営業している6店舗については、預金全体では増加しているものの、定期性預金で見ますと減少いたしております。これは、原発事故により6店舗が休業しているために、お客様が当金庫の経営に対して懸念し、少なからず風評被害が出ており、当金庫の定期性預金の残高に影響を及ぼしているのが実情でございます。また、休業店舗では、営業できない状況にあることから、新規の貸し出しによる貸出金利息の収入や、各種手数料収入が得られない状況でございます。
 そこで、営業損失につきましては、休業している6店舗のみならず、他の対象区域内にある店舗につきましても大きな影響を受けておりますことをご理解いただきまして、風評被害を含めた営業損失の補償の考え方についても指針にご明記いただければと思います。
 3番目は、同じく9ページにお戻りいただきまして、4の(3)についてでございますが、貸し倒れ損失に係る補償についてでございます。原発事故の対象区域で事業を営み、また業務に従事し、生活していた貸出先が、今後は事業者の事業の廃止の検討や、あるいは企業の撤退などにより職を失う住民の方々が数多く出てくることが予想されております。貸し倒れ損失の発生も懸念されておるところでございます。
 この貸し倒れ損失については、貸出先が原発事故の影響により返済不能になった結果、二次的に貸し倒れが発生するわけでございますが、このような貸し倒れ損失に対する補償の考え等につきましても指針に明記していただきたいと願っております。
 4番目として、また9ページの4の(4)になりますが、平成22年3月に、私どもあぶくま信用金庫富岡支店を新店舗に移転し、そして22年10月には大熊支店を開設いたしております。この2店舗、並びに対象区域内にある店舗の土地、建物について財産価値の減少という観点から補償の対象としていただきたいとも思っております。
 最後になりますが、9ページの4の(5)につきましてでございます。先ほどご説明申し上げましたとおり、原発事故によって発生したお客様対応等への営業費用についてもご検討をお願いしたいと思います。
 あぶくま信用金庫は、原発事故発生後、直ちに地方銀行などが店舗を閉鎖している中、窓口営業をいち早く再開し、お客様の要望にこたえてまいりました。今後も当金庫と運命共同体である浜通り地区の経済を支え、一生懸命頑張りたいと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

【能見会長】  どうもありがとうございました。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  続きまして、信組協会様です。

【全国信用組合中央協会(江尻いわき信用組合理事長)】  いわき信用組合の理事長を務めております江尻でございます。本日は、信用組合業界がこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 原発事故につきまして、休業店舗があるのを余儀なくされております当組合と、そして相双信用組合を代表してご説明させていただきます。座って説明させていただきます。よろしくお願いします。
 まず、信用組合についてごく簡単に説明させていただきます。
 1ページは信用組合の特性でございます。1ページをご覧ください。
 信用組合は、中小零細事業者や生活者が金融利便を享受するための協同組合組織による金融機関、すなわち銀行の金融サービスが行き渡りにくい立場にある者が組合員となり、相互扶助の理念に基づき、組合員一人ひとりが預金し合い、必要なときに融資を受けられることを使命としております。また、信用組合は、利益を追求することを目的とした金融機関ではなく、地域・業域・職域の組合員の発展を目的とした金融機関であり、最後の拠り所と言われる所以でございます。
 次に、2ページをご覧願います。信用組合の制度でございます。
 ただいま説明された信用金庫と同様、信用組合も国の認可により、限られた地域内において事業活動を展開しております。そういう意味では、信用金庫の只今のご説明と重複する部分が相当あろうかと存じます。
 信用組合は、信用金庫以上に協同組織性が強く、組合員の資格要件が地区内の中小零細事業者又は生活者等に限定されており、このことは信用組合が、地域から離れられない、まさに地域と運命共同体の関係にあると言えるわけでございます。
 また、信用組合の預金、貸出金は、原則として組合員に限定されており、自己資本は、こうした組合員からの出資と長年にわたって積み立てられてきました内部留保しかないのが実態でございます。
 次の3ページは、全国の信用組合の概要でございます。全国に158の信用組合がございますが、説明は省略させていただきます。
 次の4ページは、福島第一原発地域を営業基盤とするいわき信用組合と相双信用組合の概況でございます。
 いわき信用組合は、原発の南に位置するいわき市に本店を構え、地域内に19店舗を擁しており、うち1店舗が警戒区域の楢葉町に店舗を構えております。また、相双信用組合は、原発の北に位置する相馬市に本店を構え、8店舗を擁しており、うち3店舗が警戒区域内に、1店舗が緊急時避難準備区域内に店舗を構えております。
 次の5、6ページは、いわき信用組合、相双信用組合の過去10年間の預金・貸出金残高の推移でございます。ご覧のとおり、両組合とも順調に預金、貸出金を伸ばしてきたところでございます。
 次の7ページ、8ページでございますが、20キロ圏内の4店舗、30キロ圏内の1店舗の概況でございます。預金、貸出金、取引先等はご覧のとおりでございまして、相双信用組合においては20キロ圏内と30キロ圏内の4店舗の預金の合計が信用組合全体の45%、そして、貸出金が48%を占めている状況にございます。
 次に、9ページをご覧願います。信用組合の現状と課題でございます。
 相双信用組合では、会津若松市に集団避難している大熊町の取引先のために、独自の会津若松相談所と、二本松市に集団避難している浪江町、富岡町の取引先のために二本松相談所をいち早く開設して、営業休止の3店舗の取引先の対応に当たっているほか、いわき信用組合においても、避難した楢葉支店の取引先に迅速に対応するため、避難当初より各避難所に職員を派遣したほか、臨時店舗を開設しております。
 今後の信用組合の課題は、第一は、原発の収束の長期化、避難の長期化に伴いまして、取引先は事業の休業や失業に追い込まれることが予想され、当然ながら弁済財源が喪失し、結果的に貸出債権の劣化、すなわち回収不能債権が増加する懸念がございます。
 第二は、地域からの離脱により、預金が流出し、結果として運用資金が減少することも避けられない状況にございます。
 第三は、現時点で取引を継続しているお客様であっても、避難地域が福島県外や福島県内の中通り、会津地域などでありまして、それらの地域に営業エリアを持たない私ども信用組合との今後の取引継続が困難になると言わざるを得ません。
 次に、10ページをご覧願います。原発事故に係る損害賠償についてでございます。
 先ほど申しましたが、原発事故の収束の長期化は避難の長期化となりまして、特に警戒区域内の4店舗、緊急時避難区域内の1店舗の営業損失は計り知れません。相双信用組合が会津若松市と二本松市に設置した独自の2カ所の相談所開設費用や、その他諸々の費用、そして営業損害と捉えられる収益、これは主に貸出金利息でございますが、この減少、更には預金の流失や貸出債権の回収不能に伴う損害などが懸念され、これらは人的災害である原発事故に係る損害賠償に当たるものと考えます。
 特に、マスコミ等により広く報道されました被災地の現状及びこれに伴う過剰反応等によりまして、30キロ外の事業者の方でも水産加工業、農産物、工業製品等までの買い控え、取引停止、一部においては出荷制限の措置がとられており、このような状況の中、信用組合の取引先である中小零細事業者や個人事業者の経営悪化が危惧され、原発事故の収束の長期化は貸出債権の不良化につながってくるものと懸念しております。
 このような状況の中、私ども限定された地域で事業を行う信用組合などの協同組織金融機関は、原発事故が収束するまで他の地域に移り、収束後に地元での営業を再開するというビジネスモデルが描けず、何よりもまして風評に伴う人、物などの生産機能の地域離れが最も懸念されるところでございます。
 最後に、11ページをご覧願います。損失補償に係る考え方でございます。
 只今も申し上げましたとおり、特定の地域を事業地区とする協同組織金融機関である信用組合は、福島県内全域に支店を有する銀行のように県内、例えば、会津や福島で金融事業、あるいはサービスを続けることは不可能でございます。したがいまして、信用組合等の協同組織金融機関のように、国の認可に基づいて特定の地域を営業基盤として長年にわたり事業活動を行ってきた者が、地域という代替不能な根源的資産を滅失したことに伴い、将来にわたって得られたであろう地域金融の機会損失の補償に係る考え方についても、ぜひ指針に明記していただくよう要望するものでございます。
 以上で私の説明は終わりにさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、委員の皆さんからご質問等がございましたら、お願いします。よろしいですか。信用組合、信用金庫、いずれもその地域でしか営業できないということからくる特殊性とか、そのような特殊性のもとでの営業損害、あるいは風評損害も含めてですが、こうした点について私としては理解が深まったと思います。これを参考にして、さらに検討したいと思います。どうもありがとうございました。
 では続いて、全私学連合と全日本私立幼稚園連合会からお願いいたします。

【全私学連合(小出事務局長)】  全私学連合でございます。かような機会をおつくりいただいたことに御礼を申し上げます。
 幼稚園から大学までの私立学校の団体が全私学連合でございます。今日は、特に幼稚園の諸問題にかかわりましては香川会長さん、山口からお出ましをいただかれて、お話をしていただくということでございます。大学から短期大学、それから高等学校、中学校、小学校にかかわる問題につきましては、全私学連合を代表されまして福島県の郡山から学校法人郡山開成学園理事長で郡山女子大学長の関口修先生にお出ましをいただきましたので、関口先生からお話をさせていただくということで、ご了解をちょうだいしたいと思っております。
 早速でございますが、状況をご報告させていただきます。

【能見会長】  どうぞ。お座りのままお願いします。

【関口全私学連合代表者会議員】  それでは、私のほうから小学校から大学に至るまで、分野がちょっと広うございまして5分野にわたりますので、資料をごらんいただきながらとも思いますが、それぞれの内容が具体的に記されておりますので、大変恐れ入りますけれども、資料をお読み取りいただきたいと思っております。限られた時間の中で5項目すべてについてご説明することはいささか時間がありませんので、私どもが切実に思っております小学校から大学に至ります問題についてお話をさせていただければと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 まずもって御礼を申し上げなければなりませんことは、この専門委員会によります調査として、それぞれの求めております内容について事細かに調べられておられるということについて敬意を表したいと思います。
 しかしながら、私どもが今当面しております問題は、経済的な問題ということもありますけれども、小学生から大学生に至りますまで心のケアをいかにしていくかということ。これは、意外とお金がかからなそうで、かかっていく問題でもございます。と申しますのは、それぞれの学校にしかるべきカウンセラーを採用しなければならない、常駐していただかなければならない。この問題については、割合と小さそうでいて、この人件費等のことを考えますと大きな問題になってくるのではないかと思います。
 なぜ私がこのようなことを申し上げるか説明させていただきますが、3月13日の日に私どもの大学は避難所になっておりました。当然のことながら、その避難所に学生も避難しておりましたけれども、そのご父兄も避難してまいりました。どのような状況なんですかということを親御さんたちにも聞きましたし、学生にも聞きました。学生がほんとうに心の底からというんでしょうか、とても大変な顔をして、私の顔を見ながら涙をこぼしつつ、私たちの故郷はもうなくなったんです。この一言で私は話す言葉を失いました。自分たちの故郷を失うということがどういうことなのか。そのご父兄をはじめとして、原発から20キロ圏、あるいは10キロ圏にお住まいの方々、ほんとうにつらい思いをして避難をしてこられたんだなということがつくづくわかりました。
 それらの学生に対する私どもの支援をいかにしていくかということをまず考えなければならなかった。この支援のあり方、地震で津波にさらわれたこともさることながら、心に傷を負った。これは、地震においても津波においても、いろんな問題においても同様のことが言えるかと思いますけれども、さらにその上に原子力災害ということで、東京電力が福島県全体にとばかりは言えませんけれども、まき散らしたほこり、放射線、放射性物質、言葉は大変とげがあるかもしれませんけれども、これを拾いに来ていただきたい。
 なぜこういうことが起きたんだ。大変申し上げにくいことかもしれませんけれども、福島県それ自体がといいますか、ご承知のように福島県は浜通り、中通り、会津とございます。浜通りのほうでは、もう十数年も前から月に1回とか、2カ月に1回とか、それぞれ地震が起きておりましたので、私ども、それぞれ学生の命が一番大事でございますので、学生、生徒に対応するために耐震の工事をしておりましたがゆえに、福島県内においても幸いなことにだれ一人として命を失うことがなかったということがございます。本学においても6年計画で耐震の取り組みをいたしました。同様なことが、なぜ東京電力でできなかったんでしょうか。これは、まさに私どもの声も足りなかったという反省もございますけれども、国民全体がこのことに対してというか、原子力災害に対する安全性の神話に埋没してしまっていたのではないかという思いがしております。
 しかし、現実に返ってみますというと、福島県の現状において小学校から大学に至るまで、それぞれの学校種において入学を決定した後に入学辞退を申し出ている学生数、生徒数、それから幼稚園のほうはもっとひどいと思いますけれども、それぞれにおいて大変な数になってきております。
 と同時に、福島県から県外に避難している学生数、あるいは先般も実際に本学で起こりましたけども、学生本人はこの大学で勉強したい、勉強を続けたいと。しかし、親御さんがあらわれて、ご両親で無理やり娘の手を引いておうちへ連れて帰る、このような事態も発生しております。まさに何と申したらいいかわかりませんけれども、大変な事態が生じているんだなということ。今まで日本の学校教育の中で、こういうことがあり得たでしょうか。とてもとても信じられない事態が日々起ころうとしておりますし、それの収束を願うばかりであります。
 被害金額等々のことも申し上げなければなりませんけれども、その前に福島県から移転いたしました小・中・高校生の数、9,998名、これは5月1日現在で文科省で調べていただいた数でございます。この数がまだ増えております。他県と比較いたしましても、宮城県の場合、他県に移動したのは1,494名、岩手県が237名、この数のすごさ、違いをごらんいただきますというと、明確にその数がおわかりいただけると思います。福島県において移動した小学生の数は5,785名、中学校において2,014名、高校生が1,129名、その他の学校の生徒を含め、合計9,998名、約1万名の数でございます。
 こういう中で、私どもは学生の体外被ばくといいましょうか、外部被ばくを防ぐという観点もありましょうけれども、学生の内部被ばくを守っていかなければなりません。内部被ばくは、常に外部被ばくとの関係において増加していくということについてはご承知のとおりだろうと思いますので、あれこれと説明は控えさせていただきますけども、そのような中で日本の将来を担っていく子供たち。ご承知のように福島県は、いささか冗漫になろうかと思いますが、日本の各県の中で移住したい県に3年連続日本一に選ばれている。それほど風光明媚な土地なんです。その風光明媚な土地柄、そして人間性あふれる、まさに福島県のよさを継承していこうとする若い人たちがいなくなっていく。それを育成してきたのが福島県内の高等教育機関をはじめとした私立学校なんです。そのよさを失わせてしまうということについては、我々は甚だ忍びないものがございます。
 と同時に、福島県内の各私立の大学を調べてみますと、短大も同様でありますけれども、県外から多くて5割を超える人たちが、福島県の大学で学びたいということで学生たちが集まっているんです。また、高等学校においても県外からの者が結構増えてきた。そういう状況の中で、まさに今、私たちは、平成24年度の学生募集に向かおうとしておりますけれども、学生確保自体が極めて危うい。先ほど申し上げた約1,000名以上の高校生がいなくなってくるということの中で、どうやって次年度からの学生確保に力を注いでいったらいいのか。これは高等学校も同様でございます。
 と同時に、福島県全体の経済は、まさに史上最悪といいましょうか、これまでだれもが経験したことのないような経済状態に落ち込もうとしております。先ほどいわき信用金庫の皆さんがお訴えをいただきましたように、これはひとえにいわき地区の信金だけの問題ではなくて、福島県全体の経済の問題でもあります。私たち教育界に身を置くものとして常に思っておりますことは、就職も大変大きな要因でございます。高等学校からの就職、それぞれ大変でございます。
 そのような中で、今後、お調べいただいたようなさまざまな課題に取り組もうとする場合に、この経済的な負担をどのようにしていったらいいのか。しかも、地震による災害によってほとんどの大学、大変失礼でございますけども、私どもの大学で7億円近い被害が出ております。それは激甚災害での補償もございましょうけれども、それだけではとてもとても足りません。
 また、各小学校から高等学校におきましても、同様に校舎の地震による被害も大きいものがございます。そして退学をしていく。小学校から中学校、高等学校、大学、短大、その数もまさに流動的ではありますけれども、2割~3割程度のところでおさまればよろしいんでございますが、ある小学校においては半数がいなくなってしまった。こういう状況も見られる。では、どうやって学校経営をしていけばいいのか。学校の運営は永続性を持たなければなりません。特に私立ではありますけれども、学校教育法に示されておりますように、国または地方公共団体と学校法人のみにこれが許されている。その公的な役割を十分に果たさなければならないという私どもの役割は、どうやって果たしていけばいいのか。まさに先が見えない状況に今置かれているということでございます。
 そういう観点から申し上げますと、後ほどまた数字的なものにつきましてはご担当のほうに全私学連合を通してお届けさせていただきますけれども、とにかく大学関係で7億を超える実害が今出ております。被害というよりもお金を使っているわけです。実害です。
 それから、高等学校においてもさまざまな取り組みをしておりますけれども、表土をはがす、除染をするということの取り組みの中で、地域からのクレームが十分に処理されない。同時に、日々地域のクレーム処理をしていかなければならない。そういう状況に置かれております。また、30キロ圏内にありました高等学校が生徒を休学させざるを得ないということで、まさに1校、あまり大きな高等学校ではございませんけれども、その地域で果たしてきた役割の中で、1つの高等学校が消え去ろうとしております。
 中学校においても、ご承知かと思いますけれども、福島県の浜通り、中通り、会津、3つの地域に分かれておりますが、会津地区についてはほとんど被害はございません。しかし、中学校、それぞれ他県に転出をしていった数、これ等もゆるがせにできない数でございます。
 極めて先の見えない話というか、漠然とした話ばかりで恐縮ではございますけれども、このような現状にあることをぜひご高察をいただきまして、さまざまな観点からのご支援、お調べをいただいた内容、特に今、私どもが大学から小学校において当面しておりますのは除染の問題です。その土をどうするんだと。その処理についてしかるべき指針を文科省から一度お出しいただきましたけれども、土を学校の敷地内に置いておくということについては、保護者からのクレームは物すごいものがございます。この土の処分についてどのような方策がよろしいのか、適切なご指導をちょうだいしたいと思っております。土地が広いところはよろしゅうございますけれども、ほとんどの小学校、中学校の土地の狭さは、ご承知のとおりかと思います。
 そういう意味で、福島県の私立中高がこうむりました財政的な被害は概算で3億5,000万円を超えようというところの数字が今出ようとしております。さらにまたお金がかかるというような状況にございます。
 このような中にございますので、私から甚だ幼稚な提案かもしれませんけれども、福島県をできれば特区にしていただいて、その取り扱いについては特区に適応するような法律をつくっていただかなければ、これから先、何年かかるか全く先の見えない東京電力の対応に対して、私どもは安心して住める、人間らしい生活ができるという保証は全くできませんし、学生、生徒、児童、それぞれに昨年と比較して元気のない姿が私どもの目の前に日々展開されているということを見るつらさ、これもご理解いただかなければならない課題かと思います。
 るる申し上げましたけれども、ご質問もあろうかと思いますので、甚だ冗漫ではございますが、私の説明を、この辺で失礼させていただきます。ご清聴ありがとうございました。

【香川私立幼稚園連合会会長】  それでは、全国の幼稚園連合会の会長でございます香川でございます。
 今日は、損害賠償紛争ということですけれども、私どもでは紛争というどころか、今の子供たちをどのように救済してやればいいのか。多くの被災地で家にランドセルを置いて津波で亡くなった子供たちを、たくさん家に見舞ってまいりました。その中に、この原子力のこと、言葉になりません。団体としても、幼稚園は学校教育法の第1条で、学校とは幼稚園、小学校、中学校というふうに最初に規定された学校種ですけれども、他の小学校、中学校と違いまして、幼稚園は80%~85%を私立が担っております。それでいち早く文部科学省のほうにも原発の問題については要望書を出しておりますけれども、大変失礼な言い方ですが、一項目ずつお読みいただいているかどうかということ、これをもう一度お願いしたいというふうに思っております。
 公立の小学校に対するケアが出たときに、どうしても幼稚園、私立が二番手、三番手になっていくんです。またお願いに行かなきゃいけない。これをいち早く団体としてご要望を出している中で、お読みいただいているんだろうかということを、私は今日、命をかけてお訴えしたいと思います。
 次に、この問題は福島のみならず、近隣の茨城、宮城、栃木、たくさんの県からもこのことは要望が寄せられております。今日、福島県の団体長が来ておりますけれども、150の幼稚園、1万9,000人の子供たちがいますけれども、当初、3,000人、4,000人の子供が移動してまいりました。日本を担う80%以上の子供たちが幼稚園を通して、あすの日本を担うわけです。どうか私立幼稚園ということ、決して私はエゴを申しておるのではありません。同じように公立とも、そして、この損害に対してどのように見てくださるのか。このことを私は切実に訴えておきたいと思います。
 今日は福島県の団体長のほうから詳しく説明させていただきます。

【関福島県全私立幼稚園協会理事長】  福島県全私立幼稚園協会理事長を仰せつかっております関と申します。よろしくお願いします。
 資料1-4のところに経過はいろいろ書いてございますので、時間がございませんので、後ほど目をお通しいただければ幸いかなというふうに思っております。
 私のほうからは、福島県には150の私立幼稚園がございまして、そのうちの147園が私どもの団体に加盟しております。福島県の私学におきまして幼児教育の就園率といいますのは、全国でもベスト5、ベスト3に入ります。東北の田舎と思われている福島県におきまして、なぜこのように就園率が高いのかと申しますと、1世紀以上前、戊辰戦争がございました。その後に、これから国を背負って立つのは教育だということで、140年ほど前に日本でもほんとうに古い幼稚園が生まれました。そこから福島県全体に、浜通り、中通りそれぞれの地区に多くの幼稚園が展開してきたのが現状でございます。
 私どもは、先ほど全日本の会長から話がありましたけれども、小学校に入る前の、就学前の幼児教育を担っているわけでございますが、この原発の事故によりまして10の幼稚園、1,343人の子供が県外を中心に、県内でも比較的安全な会津地区のほうに避難しております。4月6日の時点では、いわき方部から千数百名避難していたんですけれども、少し収束したというふうな状況の中で戻りつつありますが、それでも5月19日現在では相双方部の10園の子供たちを含めまして、三千数百名の子供が県外に出ております。これは、福島県民が3万7,000人ほど県外避難している1割でございます。
 まずもって問題なのは、3月15日、私がいろんなところに働きかけてお願いしてきたことは、いわゆる月謝、保育料が入ってこない。それから、職員の給与は4月以降、定期的に出ていく。それから、そのような10園のために公費助成を昨年度の概算払いでいいからということでお願いしてまいりましたけれども、授業の実績がないというふうなことで断られております。いまだに出ておりません。10園の園長先生の中には祖父の代から始めていたり、そういったことがございますけれども、原発が収束しても一般の放射性レベルの問題ではないということで、自分たちはどこに帰ればいいんだろうかと。この辺が大きな問題になってまいります。
 それから、幼児期、また教育は心身の育ちというふうにギリシャ時代言われておりますけれども、この心身の育ち、それを育てていく内側の環境、建物であったり、クラスであったり。外側の環境、園庭、庭、そうしたところです。3月、4月以来、子供たちをはぐくむ光、空気、風、それから、それぞれの園の樹木、花壇、そういったことに子供たちは触れることができません。放射性物質が漂っている中で教師たちは、保育、教育の展開に制限を大きく加えられております。心身ということが切り離せないと同様に、物理的な環境としての外の環境が今使えない状態にあります。遠足をはじめ園外保育、あるいは国のほうで奨励しておりますけれども食育活動、園内での身近な野菜の栽培、そうしたこともすべからくゼロの状態になっております。
 私どもの幼稚園では、毎年6月に体力測定をしております。子供たち一人一人、あるいはトータルの体力を見ながら、どこを援助すれば伸びていくだろうかというふうなことで、6月の体力測定が終わったばかりなんですけども、完全に走力の面で昨年度、一昨年度、過去の子供たちよりも落ちておりました。
 このような状況の中で、原発下30キロ圏内にあります10園以外に、中通りと言われる阿武隈山系に沿った地区では風評の被害が大きく出ておりまして、資料に出したこと以外に昨日も郡山地区で80名の退園、休園者が出ております。これは、保護者の不安感。資料の最後に日経新聞はじめ地元の民報、民友新聞のそういった記事が書いてございますけれども、そういったことが新聞に載る。それから、テレビのニュースで報道される。その都度、安全でなくて安心の面で、保護者の若いお母さんのそういった心が揺らいで、翌日それぞれの幼稚園に来て退園いたしますとか、あるいは一時山形に避難して、郡山と山形の両方の家賃を払うのは大変だから退園いたしますとか、そういう状況が大きく出てきております。
 この保護者の不安、葛藤、現場の保育者自身もそういう保育の展開を制限された中で、よりよい子供たちの育ち、教育の展開はどうなんだろうかというふうに147の幼稚園で考えておりますけれども、保護者の不安もそれ以上でありまして、まず土の入れかえを早くお願いしたい。それからエアコン。一部の幼稚園、小学校では空気の入れかえ、あるいは密室状態になるので、もうインフルエンザがはやり始めております。それから扇風機、そういったものを早く配布していただきたいということ。
 それから、先日、線量計の配布があるというふうなことで期待して待っておりましたけども、これは線量計ではございませんで、モニターの集計用の機器でありました。ですから、それぞれの学校におきまして教師が腰のところに下げて、1カ月、2カ月、そういった単位ではかっていくものでありまして、毎朝、毎夕、部屋、あるいは部屋の外、いろんな場所で、その日の物質濃度がきちっとはかれるような、そういう線量計の配布を各幼稚園に行き渡るようなスムーズな対応をお願いしたいと思います。
 やはりそれぞれの幼稚園、これから生きていくかどうなるかという瀬戸際でございまして、もう一度改めて申し上げますけども、収入がゼロで、支出は毎月出ていくというふうな、学校法人としても一幼稚園、一法人という非常に弱い学校法人でありますので、その辺のところ、特段の配慮をお願いしたい。これからの復興とともに国を支えていく子供たちのためにも、その辺の配慮をよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 では、委員の中でご質問ございましたら、お願いします。

【中島委員】  今、幼稚園の方から補助金は授業実績がないと出ないんだというお話でしたけど、それは小学校、中学、大学も全部、大学は少し特殊かもしれませんけど、中学、高校も同じなんでしょうか。

【関福島県全私立幼稚園協会理事長】  幼稚園の場合は、私学振興助成法によりまして運営費補助、一般補助がございます。高等学校等もあるんですけども、これが年にメーンは6、7月、いわゆるボーナスの出る時期、それから12月、年度末というふうに3回に分けて出ておりますが、ほかの百数十の幼稚園は5月13日現在出ておりましたけども、問題の10園につきましては出てこない。担当の先生が県のほうに問い合わせしたところ、授業実績がないからだめですと。その写しを私はもらって、文科省のほうにも伝えてありますけれども、そういう状態です。

【能見会長】  どうぞ。

【関口全私学連合代表者会議員】  大学につきましては、定員割れ5割になりますと補助金が一切いただけないということになりますが、私ども大学関係者は定員が50%は割れるであろうという今の予測を立てざるを得ないというのが現状でございます。
 また、私学振興助成法でございますが、議員の先生方はご承知かと思いますけど、5割まで補助することができるということを示してありながら、今までいただいた補助金については、能見先生も私学の先生でございますのでご承知かと思いますが、もう10%台を割ろうとしております。このような状況の中で、我々は苦労ばかりというか、国が苦しいんだから当たり前だといいながら一生懸命協力し、学生に対するよりよい教育のために力を注いできております。しかし、5割を割ったら福島県内の私学、ほとんどが消えざるを得ない状況にあることをご承知いただきたいと思います。

【関福島県全私立幼稚園協会理事長】  1つ加えさせてください。私どもの加盟幼稚園、148園のうちの1園が3月31日をもって廃園になりました。休園ではなく廃園。少子化の中というふうな時代の趨勢に取り残された感がありますけれども、この原発下の10園におきましても少子化ではなくして、このような状況で廃園せざるを得ないというふうなことを大きく危惧しております。
 まず、年寄りは生まれ育ったところに戻りたい。しかし、その娘、息子夫婦は、4歳、5歳の子供、そういったふうに汚染された土地で育てたくない。園舎を新しく建てたとしても、子供が来なければ不可能でございまして、そうしたことで浜通りにおきましては私立幼稚園ゼロ地帯になるんではないかなということを私は大きく心配しております。
 以上でございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。今の問題も今後、専門委員を通じてさらに調査することになっていると思いますので、一層ご協力をいただければと思います。
 ほかの委員、いかがでしょうか。どうぞ。

【草間委員】  先ほど学生の確保等が大変問題であるということで、地方の場合は、私も大分で地方なんですけども、特に高校、大学等は国立、あるいは公立を選択したいという保護者の希望が大変大きいんだろうと思います。そういう意味では、全国で国公私立がどれぐらいかという割合は多分ここでお示しいただいているかと思いますけども、福島県で大学と高校について、国立、公立、私立の割合がどうか。特に大学、高校の場合は少子化という形で学生の確保が難しくなっていくと思いますので、そういった全体の学生の中で絶対数よりも相対的な割合というのが大変重要だと思いますので、私学の割合がどのくらいかというのをお示しいただいたほうがいいんじゃないかなと思います。

【関口全私学連合代表者会議員】  ありがとうございます。私どもにとって大変ありがたい質問をいただきまして、ありがとうございます。
 まず大学でございますけれども、大学、短期大学で私立が両方合わせて10校、短期大学が4校で、大学が6校ございます。国立の福島大学のほか、公立として福島医大と会津大学ということと、それから国立では福島の高専が1校ございます。
 というような状況にございますけれども、割合からいたしますというと私学が7割をカバーしている。高等学校で申しますというと私学が15%程度であろうと思いますけども、明確な数字は今持ち得ておりませんので、大変恐縮でありますが、今までの実態から申しますと15%程度であるということでございます。
 それから、小学校は3校でありますけれども、総収容人数にして1学年、約百四、五十名になりましょうか。中学校は、このごろ中高一貫という形に変わってきておりますので、その数から申し上げますと1学年、680人だそうでございます。
 ありがとうございました。

【能見会長】  ほかによろしいでしょうか。
 それでは、今日はどうもありがとうございました。先ほど申し上げましたように、今後、専門委員等による調査がございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に移ります。専門委員による調査についてです。
 今回、審査会において中間指針の内容を検討するに当たりまして、専門委員を任命して詳細な調査・分析を行う必要があるということは第4回の審査会で皆様にお諮りをいたしました。文科省における専門委員の任命手続が終了したようですので、各分野の調査項目とともに事務局から報告してもらいます。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  それでは、お手元の資料2、専門委員による調査についてをご説明させていただきます。
 まず、表紙に目次がございますが、ページをめくっていただきますと、3ページにわたりまして分野ごとの専門委員、これは昨日までに全員任命手続が終わってございますが、一覧になってございます。それぞれの分野、これは第4回の審査会でもご説明を申し上げましたが、若干関係団体等の方々も入ってございます。ここは損害の範囲が大変広いということで、利害関係者を完全に除くと逆に調査そのものができなくなるということで、そういう関係団体の方も含めた専門委員の任命ということになってございます。専門委員につきましては、事実関係を調査・分析するということで、損害の範囲等の判断はこの審査会本体でやるという整理でございます。
 5ページ以降に各分野の調査項目の概要を表にしてございますので、簡単にご紹介したいと思います。
 まず、5ページからは農林水産業分野ということで、既に一部審査会で議論してございますが、風評被害に関する算定方法、あるいはマル2のところで価格・所得安定制度等と賠償との関係、3以降で財産価値の減少、あるいは除染、それから廃業、倒産、移転に係る損害。それから、マル5はいわゆる間接損害の部分でございます。それから、マル6といたしまして政府指示に係る損害で、第一次、第二次指針に明記していない事項についても調べていただく。それから、輸出に係る損害といったところが主な調査項目になってございます。
 6ページにまいりますと建設・不動産分野における調査事項がございます。こちらにつきましては、いわゆる逸失利益としての営業損害に係る算定方法等に関する調査があるわけでございますが、風評被害といたしましては、例えば建設機械等のリースに係るような損害が発生しているようでございますので、本分野特有の損害項目について調査していただくということでございます。
 6ページの後半から製造業分野における調査事項ということで、まず指示、制限区域内、いわゆる避難区域、あるいは出荷制限区域内の損害ということで、直接損害、間接損害、それから7ページにまいりますと風評被害ということで調査項目を設定してございます。
 それから、食品産業分野における調査事項ということで、これも先ほどの農林水産と同じように、いわゆる風評被害のところの調査、それからマル2のところにございますが、出荷制限指示等によって原料調達ができなくなった損害、あるいは政府指示に係る損害で第一次、第二次指針に明記していないものを主な調査項目として挙げてございます。また、農林水産業と同じように輸出に係る損害というのもございます。
 8ページのところでございますが、上水道に関しましては、まず避難区域の中で水道事業を行っている者についての損害。それから、実際水道の摂取制限が出た地域における損害。さらに、いわゆる風評被害に相当しますが、摂取制限の対象外地域における損害。それぞれ検査の費用であるとか、あるいは活性炭等による除染の費用とか、そういったものが調査項目として挙げられてございます。
 9ページ、下水道の分野における調査事項として大きなものとしては汚泥の処理、処分、あるいは有効利用も含めた、こういったことにかかわる損害の調査。
 それから、情報通信分野もございます。
 それから、運輸・物流に関しましては、まず9ページの下のほうから陸運の関係でございます。これもいわゆる営業損害、風評被害、あるいは営業資産に対する損害というものが損害項目として今のところ考えられます。それから、海運・港湾が10ページから11ページにかけてでございます。11ページには航空分野もございます。
 11ページの下のほうからは中小企業分野ということで、業種としてはいろいろあるわけでございますが、中小企業ということで業種横断的に中小企業の特性に配慮して損害の調査をするということでございます。
 12ページは小売・卸売業ということで、避難区域内に係る営業損害、それから風評被害。さらには管理不能になったことによる盗難であるとか、損壊ということも調査の項目としてございます。
 その下に金融分野の調査事項がございますが、これは先ほどご説明があったようなことを背景にして、金融機関特有の損害、あるいは算定方法について調査を行うということでございます。
 13ページはサービス産業分野でございますが、これも避難等区域に係る営業損害と風評損害。それから、ここでもリース物件等の問題が生じてございます。
 それから、観光分野における調査といたしましては、マル1、マル2、マル3で過去の観光に関する風評被害などと比較しながら、今回の観光関連産業の特に風評被害における損害の範囲、あるいは算定方法を調査するということでございます。
 14ページからは学校、あるいは文化の関係でございます。まず14ページは学校でございますが、ただいまご説明がありましたようなことにつきまして、マル1は学校自体の損害、マル2につきましては在学生や保護者に関する調査でございます。
 15ページにつきましては、これもご説明がありましたが、校庭の除染の費用、あるいはマル2のところは児童、生徒等の減少に伴う損害ということでございます。
 16ページからは文化関係がございますが、避難指示等に係る公演、イベント等の営業損害、あるいは施設そのものが使えなくことによる損害。16ページ、2のところは若干特殊でございますが、住民の避難所となったことによって、そもそもの事業ができなくなったことによる損害、それから風評被害というものが項目として挙げられてございます。
 17ページには医療・福祉、勤労者分野ということで、まず医療分野がございますが、これも若干特徴的には域外に搬送された入院患者、同行者の移動費、滞在費。あるいは患者さんとして遠方の医療機関を利用しなければいけなくなったものに関する時間的、金銭的コスト、受診機会の低下に伴う症状の悪化ということに関する被害を調べるということでございます。
 18ページから19ページに関しましては、各圏内、20キロ、あるいは20~30キロ等につきまして、それぞれ病院の経営的な損害に関する調査項目が並べてございます。19ページの下からは医療関係でも薬局に関するものがございます。これが19ページから20ページでございます。
 20ページの後半からは福祉分野になりますが、まず児童関係ということで保育所等の事業者、職員に関する被害の調査。それから、障害者、老人、健康福祉に関するものが21ページにございます。21ページの下は生活衛生分野ということで、生活衛生関係の営業損害というのが22ページにかけて。これも県内の営業損害、あるいは風評被害、さらには技術者の離職に伴う被害ということを調査項目として挙げてございます。
 22ページは勤労者の分野でございまして、ここにつきましては、そもそも就労不能等に伴う損害の立証、算定に係る方法の調査、それから精神的損害。さらにはマル4にございますが、原発の作業員の関係の損害というものを調査項目としてございます。
 最後に、23ページ、地方公共団体が受けた損害の範囲に関する調査というのを挙げてございます。
 全部でその他も入れますと17でございますが、表にございますように農林漁業から地方公共団体まで16の分野に分けて、これから関係省庁の協力を得ながら専門委員に調査を行っていただく予定で、もう既に一部の調査は開始されてございます。
 資料の説明は以上です。

【能見会長】  それでは、ただいまの資料に関連してご質問等がございましたら、お願いいたします。どうぞ。

【草間委員】  17ページの医療・福祉、勤労者分野のところでぜひお願いしたいのは、医療施設、どちらかというと病院とか診療所、クリニックは入っているんですけども、全国に現在7,000の訪問看護ステーションがありまして、既に福島でも原発の関係で廃業しなければいけなくなった訪問看護ステーションもあります。訪問看護ステーション、医療保険で支払われる分と介護保険で支払われる分と両方ありますので、訪問看護ステーションを忘れずにちゃんと入れていただくというふうに、文書にしていただくようにお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  承知いたしました。

【能見会長】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【高橋委員】  いろいろな分野について項目が挙がっているんですが、横並びで見せていただきますと、多少ばらばらになっているような形の印象があります。例えば12ページなどでは、申請方法という形で算定方法の話が横並びで出てくるんですが、ほかのところだといわゆる請求方法という形で出ているところもあったりします。これから横並びで比較しながら考えていく場合に、項目があまりばらばらしていますと見にくくなりますので、そこは事務局で同じようなものについては同じような項目をきちんと整理していただきたいということが第1点ございます。
 それから、疑問になったのは19ページの医療の分野で薬局のところに患者さんの個人の損害の調査項目があります。これは薬局で調べると調べやすいということで、こちらの項目に挙がっているという理解でよろしいんでしょうか。

【能見会長】  よろしいですか。では、事務局のほうから。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  まず1点目でございますが、実を言いますと先ほどの申請方法のところはすべて請求方法に統一したつもりだったんでございますが、ちょっとチェック漏れがあったようでございます。12ページの申請方法は請求方法ということでございます。
 2つ目の質問については、今、事務局としてはそのように理解してございます。

【高橋委員】  すいません、最初のところをもうちょっと。ですから、風評被害についての算定方法とか、そういう特出しの仕方をしているところもあれば、営業損害の算定方法としているところもあって、そこは統一がとれてないので、そこはもう一回見直していただければと思います。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  今、各専門委員と関係省庁の間で相談して、最低限の横並びはとってやってございますが、今こういう項目になってございます。最終的には調査結果としてまとめるときに、整合性をとるようにする予定でございます。

【能見会長】  どうぞ、田中委員。

【田中委員】  除染とか、いわゆる放射線に関係するところが学校とか幾つかのところでメンションされているんですけれども、線量計の購入とか検査とか、こういうのはかなり明確だと思うのですが、除染というのはどういう方法で、どこまでやるかということによってなかなか特定できないし、今後大きな問題になりそうなので、ここだけで扱うというのはちょっと難しいんじゃないかなという気がするのですが、その辺はどういうふうに考えているのでしょうか。

【能見会長】  よろしいですか。では、それも、今の段階で何か考えていることがあれば、事務局から説明してください。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  とりあえず事務局からよろしゅうございますか。ここは調査項目でございますので、まだ決まってないところもあるかもしれませんが、それぞれの分野で実際にどういう形で除染に費用をかけたかということを調査することになります。最終的に、それが損害賠償の対象になるかどうかについては、その調査結果をもとに、この審査会のほうで判断していただくということでございまして、後ほどの議題の中間指針に向けた今後の検討項目という中にも入れてございます。

【能見会長】  一般論としては、今説明があったとおりで、私は方法は詳しくありませんけども、除染のための費用がどのぐらいかかるかというのはおそらく方法によって随分違い、また、そのかかる費用が膨大であるときに、簡単に言うと、対象となる財産の市場価格を超えるような汚染の除去費用がかかる場合もあるわけですよね。そういうときに、一体どういうものが損害であり、原子力損害賠償法の賠償の範囲に入るのかというのは難しい理論的な問題があります。
 何が損害かという法的な問題はこの審査会で検討し、その前提となるいろんな調査をやらせてもらうということです。しかし、どういうところに注目して調査をしたらいいかということについては、委員皆様のご意見を承れれば、それを事務局のほうで集約すると思います。
 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。これは最初のページにも書いてありますように、ここに書いてある調査項目、あるいは内容というものは、当然、今後の調査の過程の中で変更されたり、追加されたり、まだ流動的なものでございます。また、皆様のほうでお気づきの点があれば事務局のほうに伝えていただければ、迅速に調査項目に反映いたしますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、ほかにご意見がなければ次の議題3に移りたいと思います。精神的な損害額の算定方法についてでございます。
 第二次指針で引き続き検討するということにいたしました精神的損害の額の算定方法についてでございますが、これまでのご議論、あるいはヒアリングの結果などを踏まえまして、多少論点を整理して皆様とご議論しなくてはいけないのではないかということで、今日はその論点整理を出させていただきました。
 ごらんになりますと、あるいはご議論の中でだんだんと明確になってくると思いますけど、なかなか難しい問題がございますので、ぜひ委員の皆様のご意見を伺いたいと思います。
 それでは、資料について、まず事務局から説明をお願いします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  本日は、資料3といたしまして、これ、タイトルは、「避難生活等を余儀なくされたことによる精神的損害の損害額算定方法に関する論点」ということで紙をつくらせていただいております。
 まず、1ポツのところでございますが、避難場所等による算定ということで、先般の第二次指針でございますが、ここにおきましては、そこに書いてございますように、マル1避難所・体育館・公民館、マル2アパート・借家・公営住宅・仮設住宅・実家・親戚方、知人方等、マル3ホテル・旅館等の3つの類型に分け、段階的に金額の差を設けること、さらに、マル4屋内退避を長期間余儀なくされた者については、マル3の金額を超えない範囲で損害額を算定することが考えられるが、なお引き続き検討することとした。これが第二次指針の内容でございます。
 2ポツといたしまして、一方、長期間の避難等を余儀なくされた者は、「正常な日常生活の維持・継続を長期間にわたり著しく阻害されている」という点では全員共通した精神的苦痛をこうむっていること、また、マル2、マル3については、個別の生活条件を考えれば一概には類型間の生活条件に明らかな差があるとは言えないとも考えられることから、マル1、マル2及びマル3について、一律の算定を行い、プライバシー確保等の点で相対的に過酷な避難生活が認められるマル1についてのみ、事故後一定期間は、マル1への滞在期間に応じて一定金額を加算することとしてはどうか。
 さらに、3ポツといたしまして、また、マル4屋内退避につきましては、二次指針で示されているように、マル3の金額を超えない範囲で損害額を算定することとしてよいか。なお、屋内退避指示が出ていた期間は約40日間であり、同指示期間内に自主避難した者及び同指示解除まで区域内で屋内退避を継続した者がいる。
 それから、2つ目としまして、対象者でございます。1ポツのところは、いわゆる避難費用の対象者と同じでございます。本件事故が発生した後、避難または対象区域外滞在を余儀なくされたことに伴い、正常な日常生活の維持・継続を長期間にわたり著しく阻害された者、マル2は、屋内退避を余儀なくされたことに伴い、長期間にわたり著しく阻害された者ということでございます。
 2ポツでございますが、上記マル1またはマル2に該当する者であれば、その年齢や世帯の人数等にかかわらず、避難等をした者個々人が賠償の対象となると考えてよいかという論点でございます。
 それから、3つ目は、算定期間についてでございます。損害額の算定に当たっては、その算定期間を複数の段階に分けることが考えられるが、差し当たっては、次の2つの期間について金額を算定することとしてはどうか。
 1つ目でございますが、事故後6カ月程度は、地域コミュニティが広範囲にわたって突然喪失し自宅を離れることを強いられるなど、これまでの平穏な日常生活を奪われ、帰宅の見通しもつかない不安の中、避難場所の選択をはじめとして避難生活のためのさまざまな対応が求められるなど、最も精神的苦痛の大きい期間と言えるのではないか。特に当初の期間は、食料や日用品等の不足による生活環境・利便性の低さやプライバシー確保の困難さから、とりわけ体育館等の避難所等に避難した者は過酷な避難生活を余儀なくされ、そのこうむった精神的苦痛も特に大きいのではないか。
 2つ目でございます。上記1の期間を過ぎた後は、希望すれば体育館等の避難所から仮設住宅等への移住が可能となると考えられるが、少なくとも警戒区域の解除等の見通しがつくまでは、多くの住民が、いつ自宅に戻れるかわからないという不安な状態が続くため、苦しい避難生活を余儀なくされる期間ではないか。
 4つ目といたしまして、考慮すべき事項として、2点書いてございます。1つ目は、本件精神的損害の要素として、マル1平穏な日常生活の喪失、マル2自宅に帰れない苦痛、マル3避難生活の不便さ、マル4先の見通しがつかない不安などが考えられるのではないか。括弧でございますが、各要素は避難生活の長期化に伴ってそれぞれその程度に変化が生じ得るのではないかと。
 2つ目といたしまして、損害の終期については、基本的には対象者が対象区域内の自宅に戻ることが可能となった日とすることが考えられるが、対象者の具体的な帰宅の時期等を現時点で見通すことは困難であるため、その見通しがついた時点で改めて検討することとしてはどうかということでございます。
 以上でございます。

【能見会長】  それでは、ただいまの資料に基づきましてご議論いただきたいと思いますけれども、何分ちょっと抽象的な形で書かれておりますので、あるいはわかりにくい点があるかもしれませんので、ご質問という形で質問されても結構でございます。
 少し議論しやすいように、私からどういうところが問題か補足いたします。読めば、どういうところが問題となっているかおわかりいただけると思いますけれども、1つは、1ポツのところの避難場所等による算定というところで、従来、このマル1、マル2、マル3、マル4の4つのカテゴリーで分けた上で、慰謝料の額に段階的に差を設けるというのはどうかということでご議論いただいてまいりました。しかし、マル1、マル2、マル3等で段階的に慰謝料額に差を付けるというのは適当ではないのではないかというご意見を、特に被災地の関係者などからいただいております。そこで、従来の案で示した方針を少し見直すという観点がこの1には書いてあります。
 どういう形で見直すかということについては、避難している方々の、平均的なというんでしょうか、精神的な苦痛を想定して、慰謝料を考えて、ただ、特に過酷な状況のもとで避難生活を続けておられる、マル1に属するような方についてのみ、若干、平均的な慰謝料にプラスアルファをするという考え方はどうだろうかというのが1でございます。
 それから、対象者については、今まで必ずしも十分まだご議論いただいていないのは、対象者の中の2のところです。2のところで、年齢や世帯の人数にかかわらず、個々人が賠償の対象となるという考え方でいいかどうかということでございます。
 これも背景はやっぱりご理解いただいたほうがよろしいと思いますので、私からご説明申し上げます。仮に1人当たり幾らという形で慰謝料を決めますと、当然のことながら、世帯構成員の数が多くなれば、1人当たりの慰謝料をその人数分掛けていくということになり、4人家族であれば4人分、6人家族であれば6人分ということで、世帯全体としては慰謝料の額が増えていくということになります。
 ただ他方で、理論的に考えると、慰謝料というのは各人の慰謝料なんだからそれでいいじゃないかという考え方もございますけれども、しかし、世帯全体で慰謝料はこのぐらいという考え方をすることもあながち不合理ではない。そこで、慰謝料は個人単位で考えるのか、世帯という考え方をとる、あるいは世帯という視点も考慮するかという問題です。
 年齢についても問題があります。対象者としては成人、子供、幼児などいろいろな年齢の者がいるわけですが、慰謝料額においては年齢の差を考えないのか、それとも成年を基準としての慰謝料と、子供や幼児などでは少し差をつけるのか、そういう問題が2のところにあるわけでございます。
 それから、算定期間、ローマ数字の3のところですが、ここにも書いてありますように、慰謝料の額といっても、やっぱり時間がたつにつれて少しずつ変わってくるのではないだろうかということです。事故直後の一定期間は、精神的苦痛が非常に大きいので、それに相応して慰謝料の額も大きくなってしかるべきですが、最初の厳しい状況を過ぎた後は、多少慰謝料の額が減るという考え方はどうだろうかということでございます。それはローマ数字3のところでございます。
 以上のいろいろな論点と関連して、慰謝料をどう考えるか、一体、慰謝料の対象となる精神的苦痛は何なのだということで、精神的損害の要素ということで考慮すべき事項をローマ数字の4ポツのところに書いてあるというのが、この表の論点ペーパーの大ざっぱな内容でございます。
 ということで、皆様のご意見を伺えればと思いますが、いかがでしょうか。はい、野村委員。

【野村委員】  財産的損害の場合には、指針の中で、算定の基礎となる考え方を示せば、それを具体的に当てはめていけば損害の金額が出てくるということだと思うのです。ところが、精神的損害の場合には、今ここに出てきているような考え方だけを示しても、単位的な数字で出てこないと損害額の計算ができないというところがすごく難しいところだと思います。基本的な損害賠償の枠組みとしては、個別の損害項目が原子力事故との相当因果関係の中に入っているかどうかということで考えていくということなので、不法行為における精神的損害の賠償額について、従来の裁判例がどうなっているのか、どういう金額を出しているのかというのをある程度調べていただいたほうがいいのではないかと思います。
 ただ、難しいのは、日常生活の維持・継続が阻害されているというようなケースが実際に今まで裁判例としてあるのかというのは、なかなか難しいなということと、それからもう1つは、慰謝料を期間単位で算定しているという例がどの程度あるのかということですね。その辺を考えないといけないのかなと思っています。
 もう1つは、日常生活の維持・継続の阻害というと、避難しているということが1つの例なのですけれども、不法行為に基づく損害賠償でない場合に、住民が避難している例として、自然災害などが考えられるのではないかと思います。ただ、その場合には、不法行為ではないので、損害賠償ということが問題にならないので、場合によっては、災害対策として何らかの給付がなされているというときに、そこの中で精神的損害みたいなものがどの程度考慮されているのかということも明らかにできれば、それも参考になるのではないかと考えられます。もっとも、これは推測で申し上げているので、今の段階で非常に漠然とした話にとどまり、少し思いつきみたいなところもありますけれども、私の発言は以上です。

【能見会長】  もし、今のご意見に関連して、他の委員はいかがでしょうか。もちろん新たな論点でも結構です。大塚委員。

【大塚委員】  野村委員がおっしゃって下さったように、金額に関して過去の判例を調べるとか、例えば交通事故の関係の赤本とかを、もちろん違いはあると思いますので、違いを考えながら若干参照するということは必要だと思います。
 もう1つ、野村委員が今おっしゃって下さったように、過去の慰謝料は、この手のものについても一括金というのがほとんどだったので、今回も、考慮すべき事項として2ページの4のところに挙げていただいているマル1からマル4に関しても、こういうまとめ方をすると全部月額ということになりそうですが、一括金のような性質のものも多分入っていると思いますので、その辺をどうするのかというのも議論の対象になるかなと思います。
 具体的には、例えば生活の基盤を失ったというようなのはマル2とかの中に入ってくるんだと思うんですけれども、とらえようによっては一括金のようなことになるものです。ただ、私がこのことを申し上げているのは、3の算定期間の1、2を分けることに反対しているわけではなくて、これでいいと思うんですけれども、1と2で金額の算定を変えるというのは、1つの大きな理由としては、一括金みたいなので算定すべき要素がおそらくあって、それを1のところに入れてしまうとすると、2のところでは額が下がるというようなことが出てくるのではないかという趣旨で申し上げているということでございます。
 あと、少し細かいことでお伺いしたいところがございます。この間、二次指針で、生活費の増加について精神的損害の中に含めるということが書かれていたと思いますが、これは、そうすると、考慮すべき要素のマル4のほかにももう1つあるのかなということです。これはほんとうの意味での精神的損額ではないですが、そこの部分だけ包括的慰謝料のようなことになってしまうかもしれません。 生活費の増加は、これも私は一括金ということが基本なのかなと思いますけれども、3の1と2のように分けるのであれば、3の1のほうに入れてしまっていいのではないかと思いました。
 それからもう1つ細かいことで、4の1のマル1の平穏の日常生活の損失というのは、先ほど、私立大学の方とか幼稚園の先生がおっしゃってくださったような、子供が屋外に出にくいとか、スポーツがしにくいとか、そういうのも入っているんですよね。その辺を確認させていただいておいたほうがいいかなと思いました。とりあえず以上です。

【能見会長】  今、お二方のご意見の中で触れられた論点として少し議論したほうがよろしいかなと思いましたのは、慰謝料の要素の中に一括金という形で賠償されるものがあるのかないのか、それが期間毎で慰謝料額を決める場合にどう関係するか、算定期間をどのように取るかとおそらく密接に関連しているんだと思いますね。一応、論点としてローマ数字のIIIのところに出てきていますのは、慰謝料の算定期間を複数の段階に分けると。一応ここでは2つに分けるという案が出ておりますけれども、これは必ずしも2つである必要は必然的ではなくて、3つに分けるというのもあるのかもしれませんけれども、いずれにせよ、幾つかの段階に分け、それぞれの期間で慰謝料の額が異なるという考え方が示されています。この点をどう考えるかという問題があります。
 これはいろいろな問題とも関係しているのですけれども、現在まだ原子力事故が収束していない、そういう段階でもって慰謝料を払う必用がある、賠償を認めていこうという立場をとると、賠償期間とその期間における慰謝料額をどうするかということはどうしても生じてくる問題です。事故が収束してから慰謝料を払うというのであれば、これはすべて一括金で済む話なんですけれども、まだ事態が進行中であり、その進行の程度も、あるいは進行している最中での精神的な苦痛も、時間とともにいろいろ変わるという状況の中で、慰謝料を段階に分けて賠償していくというのはどうかという案でございます。確かに、大塚委員も言われたように、一括金で対応すべき、あるいはできる問題もあるのかもしれませんけれども、今申し上げたように、避難せざるを得ない事態が続いているという状況のもとで、一括金という形では対応できないのがあるのではないかという感想を持っています。
 それから、これは期間の問題とは直接関係ありませんけれども、過去にあった長期避難の例としては、地滑りなどがあって、相当長期に、それこそ数年にわたって自宅に戻れないという状況が続いたときの精神的損害の賠償を問題にした裁判例などがございまして、これが比較的今回の事故による避難の事例に近いと思います。しかし、その地滑りの事例と、今回の原子力損害によって避難せざるを得ない状況ができているというのと、果たして同じかどうか、かなり違う点もあるかと思いますので、参考にはなるけれども、直ちに地滑りの裁判例に依拠するというわけにはいかない可能性もございます。これも資料としていずれ審査会の議論の場にお出ししたいと思います。
 それから、大塚委員が触れられたように、これは過去の裁判例だけでなく、自賠責だとか、あるいは日弁連などでも慰謝料についての一定の基準を示しておりますので、そういうものを参考にしたらどうかというようなことも内々議論をしております。
 重要なことは、慰謝料の額というのは、いろいろな要素が考慮され、このぐらいでいいだろうとか、このぐらいだろうという形で簡単に決められないところがございます。そういう意味では何かやはりよりどころになるものが欲しいということで、今日の論点ペーパーには出ておりませんけれども、交通事故などで入院した場合の慰謝料についての自賠責などの基準がございますので、そんなものを参考にしながら議論するというのはどうかと私などは個人的には思っております。
 ただ、自賠責で総体している慰謝料は、けがをして、自由に動けないという状態で入院している、身体的な障害を伴う場合の慰謝料ですので、それと比べると、たとえ不自由な生活で避難しているとはいえ、行動自体は一応は自由であるという場合の精神的苦痛とは同じではないので、おそらく自賠責よりは少ない額になるのではないかとも考えています。
 そのような問題ですとか、それから、これも論点ペーパーにあまりはっきり書いてございませんけれども、自賠責関係の慰謝料の額も時間とともにだんだん低減するという要素がありますので、今回の避難に伴う慰謝料の場合もそういった低減の要素を考慮するのか否か、考慮するとすればどういう形で考慮したらいいかというような問題がございます。算定期間を2段階ないし複数の段階に分けて、最初の一定期間は精神的苦痛が大きいが、その次の段階になると少し状況が変わってきて、最初の段階ほどではなくなるということで、この論点ペーパーにも慰謝料の額は低減するという考え方が出ています。こういう考え方でよいのかどうかをご義論いただきたいと思います。
 はい、大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  生活費の増加については?

【能見会長】  生活費の増加はここに書いてありませんけれども、生活費の通常の増加分というのは慰謝料の中に含めて考えるということでしたので、取り出しては扱っていますう。マル5として独立させるのかどうか問題となりえます。生活費の問題は、精神的損害とは違うものでありながら、一緒に扱っていますが、慰謝料の要素とはちょっと違うものかもしれないので、これは後でまた検討したいと思います。しかし、生活費の増加分も一緒に扱われているということはおっしゃるとおりです。
 高橋委員、どうぞ。

【高橋委員】  基本的にはこの方針に賛成です。その上で、今の一括払いの話とも関連するんですが、1の表現について教えていただきたのです。3の1です。「特に当初の期間は」ということで、特に大きいと書いてあるんですが、この「当初の期間」というのは、最初の6カ月とは違う、最初の一、二カ月とか、当初の期間を想定されているのかということを聞きしたいのです。一括払いとかなり近い議論になりますので。その点は事務局はどういうふうにお考えなのかお聞かせ下さい。

【能見会長】  では、まず事務局から。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  一応この紙をつくる段階では、ここの当初の期間は、6カ月と同じ場合もあるし、違う場合もあるという認識のもとでつくっております。ただ、6カ月を超えるということはないという認識です。

【能見会長】  厳密に、当初の最も大変だった時期はどれだけなのかというのはなかなか客観的には議論できない問題で、ただ、抽象的に言うと、やっぱり一定期間、当初の大変な時期というのがあるだろうと思います。もちろんこれを3カ月程度というふうに見ることも可能だと思います。しかし、ここでは、少し広目にとって6カ月ぐらいということで、最初の6カ月は少し慰謝料の額が多いという考え方はどうかという案です。

【高橋委員】  そうすると、大体、当初の6カ月程度と同じ期間ということを意味していると理解してよろしいですか。

【能見会長】  厳密に言うと、2つ違うレベルで使い分けているかもしれませんけれども、ほんとうに大変だった時期というのは、もしかすると3カ月あるいは4カ月ぐらいなのかもしれませんけれども、その期間を厳密には確定できませんので、その期間に限って高めの慰謝料にするというのではなく、たとえ大変な時期は3カ月程度であったとしても、それを直ちに慰謝料の額および期間に反映させるのではなくて、今言ったように、ある意味で少し広目にとって、6カ月分という区切りをして、その中には避難生活が特に大変だった時期が含まれるので、慰謝料算定の際に考慮するというのはどうかということです。

【高橋委員】  それからもう1点ございます。この指針は、現段階における考え方としてはいいと思うんですけれども、今後の推移がわからない段階で、将来的に事態がもうちょっと推移した場合については、また別様の考え方が出てくるかもしれないと思います。例えば、水俣の待たせ賃訴訟が有名ですが、いろいろな形で不安定な状態が非常に長期に続いた場合というような話になると、また精神的な損害の話の性格が変わってくるとかという議論もございます。そこで、これはやはり現時点においてということでの考え方であるということで理解してよろしいでしょうか、ということをお聞かせ願えればと思います。

【能見会長】  今のご質問は2つの問題に関係すると思います。1つは、おっしゃるとおり、これはもちろん現時点における考え方でして、この不安定な状態が非常に長期に続きますと、先の見通しがつかない不安というものが精神的苦痛の中でかなり大きなウエートを占め、考慮すべき事項のところのマル4ですけれども、こういうものの慰謝料が問題となってくると思います。これが非常に大きなウエートを占めるようになったときに、現在のこの枠組みで考えるのではなくて、もう1回枠組み自体から考え直すということはあり得ることだと思います。
 それから、ローマ数字の4の2のところですけれども、ここには抽象的にしか書いてありませんが、長期にいろいろ不安定な状態が続くとしても、どこかの段階でもってある程度見通しがつく時点というのがいずれ来るであろう。その見通しというのは、これは避難されている方それぞれにとって若干違うわけですけれども、ある程度戻れるという見通しがつく方と、場合によっては、戻れるという見通しがもう当分つかない、ある意味では戻れない可能性のほうが高いという場合もあり得るわけですね。そういう意味で、戻れるというのと、戻れない、まあ、グレーゾーンもありますけれども、そういう見通しがある程度ついた段階では、やはりもう1回、避難に伴う精神的苦痛についての慰謝料は、どのように支払われるべきか、見直す必要があるだろうと思っています。
 もうちょっとはっきり言いますと、仮に戻る見通しがつかないということになりますと、これは避難していることによる慰謝料をその後ずっと毎月毎月賠償していくというスキームはもはや適当ではなくなり、ちょうど交通事故などで、後遺症が残る形で症状が固定するという状態がありますけれども、その症状を固定した後の後遺症に対する賠償みたいなものが生じて、そういうものを考えざるを得ない時期がどこかでは想定されるということになるのではないでしょうか。

【高橋委員】  どうもありがとうございました。

【能見会長】  ほかにいかがでしょうか。中島委員。

【中島委員】  3の算定期間で、最初の見込みがつく期間を6カ月とする考え方については賛成でございます。あまり参考にはならないかもしれないんですが、借地借家法では、借家人が突然追い出されることになったときには、猶予期間が6カ月になっています。これはやっぱり次の生活のめどの段取りをつけるのに6カ月ぐらい要るという考え方が背後にあるとするならば、その考え方はここにも一応参考になるのではないかと。としますと、6カ月というのは一区切りと考えるのは整合性があるのではないかと思います。

【能見会長】  どうもありがとうございました。今まで気がつかない論点でございました。
 他にいかがでしょうか。皆様のご感触を伺いたい点のうち、今の算定期間についてはいろいろご意見をいただきましたけれども、ローマ数字2のところの対象者の2のところで、年齢とか世帯の人数というものを考慮すべきかどうかという点です。ちょっと議論しにくいテーマかもしれませんけれども、もし何かご意見があればお願いしたいと思います。
 公開の審査会ですし、何が論点になっているかということを明らかにしたほうがいいと思いますので、あえて私から申し上げますが、仮に、全くの仮の話ですけれども、計算しやすいためにあえて1つの数字で、これはほんとうにひとり歩きしては困る数字ですけれども、例えば1人10万円の慰謝料だというときに、先ほど言いましたように、8人家族ということになると、その一家では毎月80万円が慰謝料で入ってくるということになります。
 個人単位で見れば何らおかしな点はありませんが、世帯全体で見たときにかなり多額になりますので、ほんとうにそういうものでいいのかどうかというような論点があるかと思います。それから、家族の構成員がまだ小さい幼児であるというときに、その幼児についても大人と同じような金額でいいのかどうかということも論点になります。これももうちょっと裁判例等を調べてとは思うのですが、なかなか適切な裁判例があるわけでもないので、ご意見がもしおありであれば伺いたいと思います。いかがでしょうか。
 高橋委員、どうぞ。

【高橋委員】 行政的な指針でもありますので、行政的な観点からいいますと、個人の方にお払いするので私はいいのではないかと思います。年齢としますと、どこでどういうふうに差をつけるかという問題もあります。一番わかりやすい、国民の皆様に理解しやすい形であれば、個々の方にお払いするのが一番画一的でわかりやすい基準ではないかと思います。
 逆に世帯で基準を下げるということになりますと、またこれが被災者の方の個々の行動に変なインセンティブを与える可能性もあります。そこはきちんとした個々の判断を妨げないという点では、個人にお払いするのがいいのではないかと私は思います。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
中島委員、どうぞ。

【中島委員】  会長のおっしゃられるご趣旨を、私なりにかみ砕いて、例を挙げて考えてみたのですが、例えばまだ小さな乳幼児を考えますと、乳幼児が大人と同じぐらいに生活を奪われたことによる苦痛を感じているかどうかと考えますと、少し違うかもしれないと。しかし、逆にその分母親の負担が大きいかもしれないとなりますと、その乳幼児分減った分が母親に加算されるとなりますと、平均して計算するのがかえって簡潔かなとも思います。
 もう1つは、世帯単位で考えた場合、その世帯をどこと見るかというのが1つ問題になると思います。どうも東北の家庭では、息子夫婦が都会に出ても、住民票を出していない家庭があるようなんです。そうしますと、普通、社会保険給付なんかは、所帯というと住民票の所帯単位のようなんですが、住民票を所帯の単位と考えますと、そういう不都合が、実際の生活単位とは少し一致していない場合がどうもあるとしますと、もし所帯が一緒にいることによって精神的苦痛が少し緩和されているから、所帯単位で1つまとめて考えるという場合には、住民票上の所帯ではなく、例えば1つの例ですが、過失相殺のときに被害者側というのをどこで線を引くかの基準に関しては、身分上、生活関係上一体となっている者を1つと見ると。もっとわかりやすく言うと、財布を共同にしている者を一体と見るという考え方もありますので、それを1つの考えと見るのは1つ実質的かもしれませんが、しかし、それを認定するのが大変難しいということになると、いろいろ考えますと、やはり個人単位で均一としたほうがいいのではないかというところに行き着くんではないかと考えます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 では、大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  結論は中島委員と同じです。民法のほうから考えると悩ましいところはあるんですけれども、財布の共同というふうに考えれば、世帯という発想はあり得るとは思います。ただ、今回は、この精神的損害というのは、あまり財産と関係ない、全く人格的な利益の問題になっているので、そう考えると、世帯という考え方を最後まで突き通すというのは難しいかなという感じはいたします。
 そうすると、やっぱり1人当たりで考えなければいけないということになります。公害の判決などで子供の慰謝料を半額にしたものはあります。そういう考え方は全くとれないわけではないとは思いますが、そうすると、もし実質的に考えるとすると、この考慮すべき事項で考えていくことになると思いますけれども、おそらく子供の場合、マル2とかマル3とかは大人の場合よりも少ないかもしれません。ただ、マル1のほうは、おそらく今までいろいろ言われていることからすると、より大きいんじゃないかと思われますので、実質的に考えてみても、1人当たり一律ということで結局いいのかなというのが私の印象でございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 どうぞ、米倉委員。

【米倉委員】  法律は全く専門外ですので、一般的な視点から見たとき、やはり1人当たりという考え方が最もわかりやすいだろうなと思いました。精神的損害ということですから、やはりお一人お一人が受けたダメージをどういうふうに考えるかという話になるのですが、では小さなお子さんはどうか、という話になると、先ほどあったように、お母さんなりご両親がそれを負担していると考えると、そこがやっぱり私も一番わかりやすいかなと、全く素人としてそういうふうに感じました。

【能見会長】  どうもありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。鎌田委員。

【鎌田委員】  少し話を戻してしまうことになるかもしれないのですけれども、私、前回までの議論の中では、今の資料3でいくと、ローマ数字1の避難場所等による算定のところで段階づけがあってもいいというふうな発言をしてきましたが、今日は、むしろそこの段階づけをしないようにしようという方向でのご議論がなされています。

【能見会長】  完全になくすというわけではないのかもしれませんが、特に過酷なところは加算するという考え方は維持しています。

【鎌田委員】  ええ。そこのところについて少し図式的にいえば、これは私なりの理解ですけれども、こういう場合のというか、もうちょっと抽象的に、損害賠償の考え方には大きく2つのタイプがあるというふうに考えます。
 例えば、例はわかりやすさのための例であって、実際に現在問題になっているものとは関係ないということで聞いていていただかないと、そこで誤解されるといけないのですが、例えば交通事故の物損事故があったときに、自動車が壊れました。これは普通に修理すると10万円かかりますというときには、10万円の損害賠償を払っているんです。しかし、その10万円をもらった人は、10万円を使って修理をしてもいいし、10万円をもらって、修理しないまま使っていてもいいんですね。逆に20万円かけてもっとピカピカにしてもいい。つまり、実際に幾ら支出したかということと損害賠償は幾らが相当かということとの間には違いがあって、相当な損害額を支払うという、これは1つの考え方としてあり得ると思うんですね。
 もう1つは、人身損害なんかのときには、実際に幾ら治療費がかかったか、実際に幾ら収入を喪失したかというように、こういう実損害額を積み上げていって、さらに精神的な損害があったら、慰謝料がつくという、こういうふうな形で損害賠償額を決めていくという考え方もあり得る。
 この場合の避難費用の賠償については、避難先がいろいろなタイプのものがあるのですが、私は、どちらかというと、第1のほうの考え方というのはとり得る考え方であると思っていました。それでいけば、公民館等にいて一銭も払わない人も、あるいは、一定の額を払ってどこかに宿泊していた人も、理論的には均一の額で賠償していくというのが1つの考え方としてあり得る。
 そのときに、例えば相当額1万のところを、自治体が5,000円を補助しているから5,000円を払っているというふうなときには、1万円が相当額だとすると、5,000円を払った自治体は、ある意味で事務管理とか賠償者代位の考え方で求償ができる。5,000円は避難した住民に、5,000円は自治体にと、こういう配分をしていく。一銭もだれも負担していないときには、丸々避難民の手元に行く、そういうふうな考え方があり得る。
 しかし、避難費用を実際に支出した人について、相当額との差額を自己負担させるのは妥当でないので、実額を賠償していくということで、実費主義的な説明を一方ですると、他方で、一銭も払っていない人は実損がないから払えないということになるはずだけど、それはおかしいので、そこを慰謝料という名目で払う。事務局案はそういうふうな考え方をとっているという理解で今までの議論を私はしてきました。そういう意味で、慰謝料が果たす機能というのは相当額と実損との間を埋めるようなものだから、人によってその額は違ってきてもいいという、こういうことでタイプごとに違う慰謝料額という考え方があり得るという、そういうふうな発言をさせていただきました。
 しかし、今日のご議論では、むしろ逆に、ここではやっぱり純粋に精神的な損害の賠償であると考えられていることが分かりました。要するに、避難に伴う財産損害については、実費主義でいきます。そして、ここで言う慰謝料は、これは純粋に精神損害のてん補という考え方をとりましょうと、これが基本の考え方になっているように伺いました。
 前者の考え方でいくと、これは世帯ごとの避難に幾らの経費がかかると考えるのが相当かということですから、世帯ごとの算定のほうがむしろなじむ。しかし、後者の考え方でいくと、一人一人の精神的損害の問題ですから、個人ごとで考えていったほうがいいし、それから、避難場所による差異というのは、先ほどの前者のような考え方のように、極端な大きな差はつかない。多くの場合、均等である。それから、額も多分小さくなるし、差があったとしても、その差はそんなに大きな決定的な額の差になってあらわれてこないと、こういうふうなことになるだろうと思います。
 だたし、慰謝料というのは、何か精神的な不安とか苦痛があったら何でも面倒を見ますという、少しでもそういったことがあれば全部お金を払いますというのが民事裁判の現実でもないわけですから、細かい項目をつけ足していけば必ずそれに伴ってどんどん上がっていくというふうな考え方が必ずしもとられているわけでもないですし、同時に、損害賠償における当事者間の公平の理念を実現するために、慰謝料に加算されている部分というのもあります。そういう意味で、理論的に、個人ごとに払うほうが筋は通っているというふうに思いますけれども、現実のいろいろな要素を考えていけば、そこに世帯的な考え方をまぜながら、被害者間の公平とかそういうふうな考慮を入れてくることも、現実にこれまでの損害賠償法の実務の中で果たしてきた慰謝料の機能に照らしていえば、おかしいことではないと思います。

【能見会長】  どうもありがとうございました。今、鎌田委員が言われたように、避難に伴う実費については、これはいろいろあるわけですけれども、これはもう実損害の賠償というほうでやるということになりましたので、残っているのは、ほんとうに精神的な損害の部分で、そこで差があるのかないのかという問題になってきているわけですね。
 これも慰謝料、精神的損害の要素をどういうものと考えるかによって、あるいは差があったり、なかったりすることはあり得るのだと思いますけれども、それほど大きな差はないのではないか。もちろん非常に不便なところに避難しているという場合にはあり得るかもしれませんけれども、これは加算要素ということで対応し、それ以外の場合にはそんなに大きな差はないのではないかということについて、今、鎌田委員もご賛同いただいたと理解いたしました。
 いろいろ伺っていて、皆様のご意見としては、かなり共通する部分もあるように思いますので、今日ご議論いただいたところをもとにして、さらに案を練るということでよろしいでしょうか。
はい、どうぞ、大塚委員。

【大塚委員】  最初に質問したところで、事務局にまだちゃんとお答えいただいていないところで、さっきうなずいてはいただけましたが、考慮すべき事項のマル1の平穏な日常生活の損失の中に、子供の場合に、屋外で活動できないというようなのが入るんだろうと思います。
 それ以外に、最初の1カ月ぐらいの間の、何が起きるかわからないというような、近くに住んでいた方の精神的ショックみたいなものもおそらくマル1の中に入っているんだと思います。それをどういうふうに考えるかというのは結構問題があるとは思いますが、私は考慮しても合理的かなと思っています。その辺は一応は議論はしておかないとまずいかと思いますので、私はマル1の中に入っているというふうに考えていいと思っているんですけれども、ちょっと申し上げておきます。

【能見会長】  私も、例えば子供に関していえば、大塚委員が言われたような要素も大きいのだろうと思います。反面、マル2とか、マル3などは、多少子供のほうが順応性があったりして、低い場合があるかもしれません。したがって、マル1のところに、そういった、今の子供の屋外で遊べないという要素が加わったとしても、慰謝料の額に直ちに差が出てくるというものではないのではと思います。

【大塚委員】  はい、そういうわけではないです。精神的ショックのほうは多分、大人も子供もあると思います。

【能見会長】  そちらは同じようなものじゃないでしょうか。

【大塚委員】  それはマル1に入っているんですか。

【能見会長】  それも読みようはいろいろあるかもしれませんけれども、私としては、そういうものもマル1に入ると考えたいと思っています。
 はい、草間委員、どうぞ。

【草間委員】  1点質問させていただいてよろしいでしょうか。確認させていただきたいんですけれども、今日、先ほど全国私学協会の方からご説明いただいたような形で、学校のお子さんたちの心のケアが大切ですというお話だったと思うのですけれども、今、私どもがここで議論しているのは、避難生活を余儀なくされたことによる精神的苦痛です。「避難生活等」の「等」というのは、私の理解では、多分、屋内退避が入っていると理解しております。したがって、学校のお子さんたちが校庭で自由に遊べませんとか、そういったのというのはこれとは別のように……。

【能見会長】  別です。

【草間委員】  そうしておかないと、大変混乱してしまうので。それはあくまでも避難生活あるいは屋内退避に伴う精神的苦痛で、それに伴ってどうというんだったらいいんですけれども、今日の私学の方からご説明いただいた分はちょっと違うと理解しているんですけれども、それでよろしいですよね。

【能見会長】  おっしゃるとおりです。
 よろしゅうございますか。はい、大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  先ほどの私の質問がどうかということに結局なると思うんですけれども、それは全く別に考えることになってしまうのでしょうか。

【能見会長】  例えば、別に避難しているわけでもないけれども、校庭で遊べない子供たちがいて、そういうものの精神的苦痛というのはもちろんここでの避難に伴う問題ではないと考えています。

【大塚委員】  ただ、避難生活をされている方が、小学校に行って、今の、屋外活動ができないという話とか、それから、最初の1カ月ぐらいに精神的ショックを受けられたとかいうのは、マル1には入らなくてよろしいんですか。

【能見会長】  それは避難することによって、そのときに前の環境と同じではなくて、それで、遊ぶ場もなくて屋外でも遊べないとか、そういうのは避難に伴うものですから入りますけれども、先ほどの学校関係者から言われた、子供たちのストレスというか、精神的ケアで問題となっているのは、一部オーバーラップする部分があるかもしれませんが、もっと広い、別に避難とは関係ないところでも生じる問題ですよね。それはここには入ってきません。

【大塚委員】  そうですか。ちょっと一部オーバーラップする可能性はあるかなとちょっと思いまして。

【能見会長】  オーバーラップするということの意味は、あくまでここは避難に伴う精神的損害ですから、避難しているということが、ある意味で前提となるとなるのではないでしょうか。

【大塚委員】  もちろんそれはそうなんですけど。ありがとうございます。

【能見会長】  よろしいですか。さらに練り直したいと思っていますけれども、次回の委員会までの間であっても、皆様のほうからご意見があれば、ぜひお寄せいただければ、作業が迅速に進むと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、これはこのぐらいにさせていただきまして、次の議題4、中間指針に向けた今後の検討項目についてでございます。7月中に、その時点でのということですけれども、原子力損害全体を対象とする中間指針を作成したいということを前々から申し上げてまいりましたが、そのためには、専門委員による調査なども必要であり、その調査が並行して行われ、その中で審査会全体としての検討も行っていくということになるかと思います。
 その中間指針の中で一体どういう論点を取り上げたらいいのかということについての、今日はたたき台、まあ、本日だけじゃなくて、これから何度も検討していただくということになりますけれども、その資料を用意しましたので、これについて、事務局から説明をお願いします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  資料4の1枚紙でございます。「中間指針策定に向けた今後の検討項目(案)」ということで、今回の資料は、第一次指針あるいは第二次指針で今後検討することとして示されているものを中心に、簡単に項目として挙げさせていただいております。
 1番目としまして、政府による避難等の対象地域に係る損害ということで、1つは、放射線障害、放射線被ばくに伴う生命・身体的損害、それから、第一次指針の中では、PTSD等の話がございました。それから、現在議論しております精神的損害の対象となっていない精神的損害、それから、営業損害の中では、廃業や倒産の場合の算定方法等、これが第一次指針で宿題になってございます。それから、財物価値の損失または減少につきましては、立ち入りができないことによって確認ができない場合はどうするかという話、それから、先ほど話が出ました除染の話、それから、不動産に係る損害、そういったものがこれまでの指針で今後検討するとされております。
 それから、2つ目といたしまして、政府指示等の対象地域外に係る損害ということで、避難関係で申し上げますと、これまでの避難等対象区域外の住民の避難費用、検査費用、こういったものをどうするか。それから、対象区域でございますが、通過者の検査費用などをどうするかという話がございます。
 それから、営業損害の関係といたしましては、これは専門調査員の調査結果によるところが大きいと考えてございますが、いわゆる風評被害に関するものでございます。それから、代替性のない部品等の仕入れが不能となった取引先等のいわゆる間接損害、これは第一次指針でも宿題としております。
 それから、共通的な項目として幾つか挙げてございます。一部、二次指針で書かれてございますが、政府指示等が解除された後に発生する損害、あるいは、その下にございますが、終期の問題。それから、被害者への各種給付金等と損害賠償金との関係、これは損益相殺の可否等でございます。それから、地方公共団体の財産的被害、その他、必要に応じて合理的な損害の証明方法や損害額の算定方法など、風評被害とか営業損害に係るものとして今後出てくる可能性があるということでございます。
 とりあえず簡単に箇条書きにしたものを本日は用意させていただきました。

【能見会長】  それでは、これについてご議論いただければと思いますが、いかがでしょうか。はい、草間委員。

【草間委員】  まず最初の、生命・身体の損害の中で、特に原子力発電所の作業者あるいは自衛隊、こういった方たちの放射線被害等に係る被害とありますけれども、これは労災補償で補償されるもの以外のものと考えてよろしいんでしょうか。

【能見会長】  事務局から説明してください。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  はい。事務局としては、そのように考えてここを書いてございます。

【草間委員】  もしそうだとすると、労災補償が現物支給になっていますよね。だから、それ以外のものというような形で明記しておいたほうがいいのかなと思ったのですけれども、それは必要ないでしょうか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  そこは正確に申し上げれば、そういうことかもしれません。今後の論点の整理では、そういう点を明確にしたいと思います。

【能見会長】  ほかにいかがでしょうか。
 ここで取り上げるべき項目は、ここに書いてあること自体でそれほど問題はないと皆様お思いだと思います。おそらくそういうことなのですが、中間指針策定ということの意味も少し考えておかなくてはいけないのかなという気がします。
 7月に中間指針ということで、一応その段階での全体的な像として、どういうものが賠償の範囲に入るかということについての議論をするわけですけれども、当然、そこには入らない問題で、引き続き検討しなければいけない問題など、かなり積み残しが生じるだろうと思います。あるいは、ここに書いてあっても、7月にやっぱり間に合わないで落ちるということも出てくるかもしれません。そういうものは、中間指針が出た後も引き続き検討し、それらの問題についての審査会の見解がどこかの時点でまとまれば、また中間指針以降の指針がつくられることになるのだろうと思います。
 いろいろ難しい問題で、私もここで気がついた問題としては、例えば前々から議論になっていますけれども、損害賠償のある意味で前提問題なんでしょうけれども、津波・地震による被害と原子力損害との関係とか、そういう問題もどこかではやっぱり明らかにしなければいけないんだろうという気がするんですね。それをこの中間指針でするのか、あるいはまた別なところでするのか、そんな問題がありそうな気がいたします。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。はい、どうぞ。

【大塚委員】  2のところの下から2行目のところにはちょっと出てきているような気がします。

【能見会長】  ええ、少し関連するものは出ていますけれども、おそらくもうちょっと正面から議論しなくてはいけないのかなという気がします。

【大塚委員】  はい。

【能見会長】  それでは、中間指針の策定に向けた今後の検討項目ということについては、引き続きまたこの審査会で検討いたしますので、とりあえず今日はこういうことでよろしいでしょうか。
 それでは、今日皆様からいただいたご意見を参考にいたしまして、また次回以降の検討課題を整理したいと思います。おそらく慰謝料の問題が大きな問題として、次回、さらに練った案をご議論いただきたいと思います。
 それでは、本日の議事はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。
 次回の日程について、事務局から説明をお願いします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  次回は6月20日の月曜日を予定しております。時間、場所が決定され次第、また正式に発表させていただきたいと思います。以上でございます。

【能見会長】  それでは、これで閉会いたします。長時間にわたり、ありがとうございました。

―― 了 ――

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(研究開発局原子力損害賠償対策室)