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原子力損害賠償紛争審査会(第6回) 議事録

1.日時

平成23年5月31日(火曜日)12時30分~14時30分

2.場所

文部科学省(中央合同庁舎7号館東館)3階講堂

3.議題

  1. 被害等の現状について
  2. 第二次指針(案)について
  3. その他

4.出席者

委員

能見会長、大塚委員、鎌田委員、草間委員、高橋委員、田中委員、中島委員、山下委員、米倉委員

文部科学省

笹木文部科学副大臣、林文部科学大臣政務官、清水文部科学事務次官、森口文部科学審議官、藤木研究開発局長、田中原子力損害賠償対策室長、篠崎原子力損害賠償対策室次長、田口原子力損害賠償対策室次長

内閣官房

加藤 原子力発電所事故による経済被害対応室審議官、川上 原子力発電所事故による経済被害対応室審議官

説明者

菅野飯舘村長、橋本茨城県知事、佐藤栃木県副知事

5.議事録

【能見会長】  それでは、時間になりましたので、第6回原子力損害賠償紛争審査会を開催したいと思います。
 本日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
 初めに、事務局から配付資料の確認をいたします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 議事次第の1枚紙がございます。そこに配付資料で出ておりますが、資料1-1から1-3といたしまして、資料1-1が飯舘村からの資料でございます。それから資料1-2、これは1枚紙ですが、茨城県からの資料でございます。それから1-3、栃木県からの資料でございます。それから、資料2といたしまして、第二次指針の案をお手元に配付してございます。それから、さらに参考資料といたしまして、第5回の紛争審査会の議事録が配付されてございます。不足等ございましたら、お申し出いただきたいと思います。
 以上です。
 なお、すいません。本日、文部科学省から笹木副大臣、ご出席いただいておりますが、ちょっと国会の関係で、途中、出入りをさせていただくことがあることを、あらかじめお知らせしたいと思います。

【能見会長】  それでは、まず第1の議題、被害等の現状についてから審議することにいたします。
 本日は、飯舘村の村長、それから茨城県知事、栃木県の副知事にお越しいただいております。被害の状況などについて、ご説明をいただきたいと思います。
 それでは、最初に飯舘村の菅野村長からお願いいたします。

【菅野飯舘村村長】  座ってよろしいですか。

【能見会長】  はい。そのままでお願いいたします。どうぞ。

【菅野飯舘村村長】  失礼いたしました。飯舘村長を仰せつかっております菅野典雄といいます。まずもって、このような機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。
 まず、飯舘村ですが、阿武隈山系にあります6,200人ぐらいの村であります。二十数年前は冷害ということぐらいでしか紹介されなかった村でありますけれども、ないものねだりをしてもしようがないと。あるもの探し、あるもの生かしをしようということで、ここ20年間、必死に村づくり、特に自主自立の考え方、あるいは地域のコミュニティをもとにやってきたところであります。
 特にここ10年は、いわゆるスローライフを「までいライフ」という言葉に置きかえて、村づくりをやってきました。「までい」というのは方言でありますが、辞書の語源は、「真実」の「真」に「手」と書いて「真手」、これがなまった言葉ということでありまして、いわゆる辞書には両手、つまりお茶を出すのにも両手で出すのがほんとうですよという話のところから、丁寧に、大切に、念入りに、手間暇惜しまず、心を込めて、慎ましく、もったいないと、このような形で進めてきた村であります。したがって、非常にみんなで手づくりで進めてきた村でありまして、実はこの災害と同時に『までいの力』ということで本が出まして、本来ならば、までいを紹介するはずだったのが、このような村をなくしていいのかと、こういう形になってしまったということであります。
 ご存じのように、3月11日の地震以来、私の村は、3月12日の、いわゆる原発の事故以来、目に見えない災害との戦いをずっと強いられてきたということであります。当時、ほかの市町村からの避難の方を1,200人ほど預からせていただきまして、職員、住民ともども、一生懸命、約10日間ぐらいでありますけれども、対応させていただいたわけでありますが、その対応をしている間に、後になってわかったわけでありますけれども、今となっては放射線を浴びながら来たということではないかなという気がします。
 4月11日に計画避難のお話が出まして、4月12日、4月22日に指示ということでありまして、いわゆる3月、4月、そして今、避難を進めております5月と、この3カ月間、ある意味では、放射能の中にさらされてきたと、こういうことでありまして、こういうものに対して、我々はやはりなかなかわかりませんので、健康に対する不安というものを、やはり一生持ち続けていかなければならないということではないか。その精神的苦痛というのは、とてつもなく、やっぱり大きいなというふうに思っておりまして、そういうものに対する今後の対応の仕方、特にまた継続的な健診なども含めて必要ではないかと、このように思っています。
 自分のことだけならいざ知らず、自分の子ども、孫までも、やはりはかり知れないような不安がある中での対応ということでありますから、ぜひ、その辺を評価をしていただければなと、このように思っているところであります。
 さらに全村避難。計画的避難という言葉の全村避難でありまして、この言葉に内在するリスクの大きさ、深さ、重さというのは意外にわかっていただけないんではないかというふうに思っています。300年、400年、まさに動かないできた方たちが避難生活をするという、この精神的苦痛は、とてもはかり知れないものがあるんではないか。特に、この放射能は先が見えません。いつまで続くのかというのもわからない中での避難生活でありますから、当然、そのリスクに対する考え方というものは、しっかり持っていただかなければならないなという気がいたします。
 補償の話で、体育館と仮設住宅とホテルが、それぞれ単価が違うみたいな話があるんですが、確かに最初の体育館のところはあるかもしれませんけれども、決して、今話しましたように、生活のめどが立てられないような状況で、やはり避難生活に入るわけでありますから、そういうところよりは、むしろ、どれだけ長く入るかという長さでないと、なかなか大変ではないかというふうに思っております。現実に、今、仮設住宅をつくっても、体育館から、なかなか大変なので、そちらには移らないという、仮設が余るというようなことも出てきていると、こういうことのようであります。
 一方、農村でありますから、当然、田んぼ、畑、草地、山林、つまり土地を荒らしたという補償は一体どういうふうになるのかということであります。
 さらに、それは個人的なことなり何なりでありますけれども、村としても、まさに先ほど、こつこつと村民がつくり上げてきた村が、今は飯舘村は、まさに別な意味で世界の飯舘村になってしまいました。毎日のように週刊誌や何かに出るような形でありますから、そういう意味で、まさに村としての失ったものもかなり大きいということであります。
 特に飯舘村は、和牛、飯舘牛ということのブランドを、30年から40年、お金にして、それこそ何十億というふうにかけてつくってきたものが、今回によって、まさに崩れていくということであります。したがって、飯舘牛ブランドが、将来、仮にいくらか何とか戻ってきて、そこからスタートするということになったとしても、かなりやっぱりそれはかかっていくという話になるんではないか。そういう一過性でない物の考え方を考えていただかないと、とてもやはり、我々、今までの努力に報いる形にはならないんではないか、このように思っているところであります。
 そのほか、今申しましたのは計画避難という言葉の中に軽さを考えていただいたんでは、とても我々はやり切れない。むしろ突発的にといいますか、一時的に、一番先に避難したというよりも、かなり大変な思いをしながら、ここを進めていると、こういうことであります。
 なお、あまり時間もありませんけども、農業、商工業。農業のほうは、農水省などに、かなりいろいろなお話をいただいておりますが、商工業の休廃業など、あるいは移転などに対するのが、ほとんどまだ出てきていない、こういうことでありまして、今、なかなか、そこが村のほうで進め切れない、あるいは避難が進まないと、こういうことであります。
 いずれにいたしましても、これから非常に、やっぱり長期化するということも考えますと、一体、期間も明らかでないという中での各自の生活設計というものが、なかなか立てにくいという中でのこと。したがって、なかなか解除ができないということであれば、土地収用に準ずる制度というものもできないのかどうかということであります。
 解除がいつになるのか、私たちは一日でも早い解除を求めて、段階的な解除もお願いしたいという話をしておりますし、また、一日も早く帰って、またもとの村づくりをみんなでしたいと、このように思っているところでありますけれども。
 いずれにいたしましても、非常に難しいのは、山古志村、三宅島、何年か後に帰ったときに、どれだけ戻るかといいますと、約6割だそうであります。いろいろ勉強させていただきましたけれども。そうすると、私たちの村は、私としては7割でも8割でも9割でも、こういう目標を掲げたいというふうに思ってますけども、少なくとも、その相手というものが放射能だということになりますと、特に若い人たちが、果たして自分たちの子どもや何かを考えますと、解除になったから、すぐ帰るかという話には、やっぱりならないのではないかというふうに思っています。非常にそこに危惧を感じているところであります。したがって、そう考えますと、やはり次の若者をどういうふうに、この避難の間につなぎとめる、あるいは帰ってくる状況をつくるかということになりますと、今、農水省さんにお願いをしているところは、やっぱり土壌の改良について、国家プロジェクトをお願いをしたいというお話もしてありますし、また、やはり、この避難中に次の若い人たちを育てるという制度もしっかりとつくっていくということでもないか。あるいは若い人たちが戻ってきて、仕事ができるような、そのときに放射能という形でないようなところでの仕事というものも考えていかなければならないんではないか。それは、例えば、今、自然エネルギーとか、あるいは水耕栽培とか、いろいろなことが考えられるんではないかなという気がしますが、やはりそういうものに対しての考え方など、補償なり、あるいは事業展開を、ぜひしていただかなければならないな、このように思っているところであります。
 なかなか短い時間では思ったことが話せませんが、村の一端、今の考えているようなことをお話しをさせていただいて、私からのお話を終わらせていただきます。どうもありがとうございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 委員の皆様の中で、質問、あるいはお聞きになりたいということがあれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【山下委員】  ただいま飯舘村のご説明を受けましたけども、「までい村」という、まさに誇るべき村が、こういう状況に陥ったという中で、最もご心配になっている点の1つは健康問題と。ただいま6,200人の飯舘村の人口に対して、よそから1,200名の避難民を10日間受け入れたと。これはそのとき、おそらく被ばくをしたであろうという方々ですが、行政機能の観点から、この方々のフォロー、追跡については、どのような現状にありますでしょうか。

【菅野飯舘村村長】  今のところ、特別はなかなかできる状況ではございません。ただ、村としては非常に大切なことだということで、今、線量の高い地区の方、700人ぐらいを対象にして、約300人ぐらいでありましたけども、問診を中心に、健康の健診を、大学の研究スタッフにお願いをしているところで、終わったところであります。
 その結果は、今のところ、精神的な不安、あるいは屋内に退避をしていたための健康、いわゆる運動ができないと、そういうようなところのほうが、むしろ大きいんではないかという話はあるんですが、まだ1回のことですから、いわゆる内部というようなところは、まだこれからであります。やはり継続的にというふうに思っております。

【能見会長】  ほかにいかがでしょうか。

【中島委員】  先ほど、仮設住宅が用意されたけれども、体育館から移ることを希望しない方が結構おられるというお話でしたけれども、その理由はどういうところに。

【菅野飯舘村村長】  ええ。仮設住宅、もちろん、以前は大変だったと思いますけど、どんどん改善されて、それぞれの地区で、やはりしっかりとフォローしていただいているということでありますけども、いわゆる三食つきになるわけでありますし、ある程度状況もよくなっている。ところが仮設に行きますと、やっぱり自立をしなければならないということ。ところが、自立をするといっても、そこに何の生活の糧もないということであります。ですから、私は健康のために避難はもうやむを得ないという、当然、大前提ですけれども、私の村の大前提は、できるだけ、やっぱり生活のリスクを少なくしながら避難をさせないと、絶対にこれはだめだと、こういうことで、例えば、1時間以内ぐらいのところの後発のいわゆる避難でしたから、探す場所は全くなかったわけでありますけれども、国からは、どこの県にいくらあるというような話がありましたけども、とてもそれではだめだ。1時間以内というところに、必死になって役場の職員などが探して、今それを割り当てながら進めているところです。
 1時間以内ということは、つまり、やはり全員とは言いませんけれども、仕事ができるということでありますね。通勤はある程度延びますけどもできる。あるいは、子どもたちも、すべてあちこちに転校させないでできる。こういうことでありますから、何となく、やっぱり健康のために避難というのは、もうだれも疑いようないことでありますけれども、その一人一人の全く違った形の生活のリスクということを全く考えないということ、そこを考えるということが、補償額を私は少なくすることでもあるんではないかというふうに思っていますが、何かそうでないような感じがして、私は、いろいろ言われましたけれども、精いっぱい、そこのところをしっかりとやってきましたが、いずれにしても生活が変化するということは、特に農村の人間にとってはとてつもない大変なリスクなんだということですから、せめて村の長としては、少なくとも、そこら辺のリスクを少しでも少なくするためには、やっぱり生活の糧あたりが少しでもできるようにとか、あるいは子どもたちに大変な思いをさせないようにということになるのかなというふうに思っています。

【能見会長】  ほかの委員はいかがでしょうか。

【田中委員】  1点、この賠償の問題とは少し違うのかもしれませんけれども、長期化する場合に、やはり生活設計をどう立てるかというのは非常に重要な問題だと思うんです。その上で、かつ、いつ戻れるかということの展望がないと、生活設計もできないという、この2点をどうするかということについては、これは村長さんが考えるというよりは、もう少し国のほうが真剣になって、早く戻れる対策を立てるということが大事だと思うんです。
 農水省が田畑のそういう除染を始めましたけれども、実際には山林、屋敷、道路、みんな汚染してますので、そういうことを含めて、やはり総合的にプロジェクトとして取り組まないと、この見通しが得られないということで、そういうプロジェクトを組むときには、ぜひ村の方も一緒になって、それに取り組むというようなことで、1つの労働の機会を持っていくとか、そういうことも大事なんじゃないかなと思っているんですが。

【菅野飯舘村村長】  実は私はこのように考えております。復興構想会議というのもありますけれども、多分、一番の復興のもとは、そこに住んでいる方の知恵とか、情熱とか、努力とか、あるいは自分のふるさとに対する思い、農地に対する、動物に対する、家族に対する、そういう思いを、できるだけやっぱりうまく活用していくということが、私は一番の復興の源ではないかというふうに思っています。ですから、そういうものをうまく活用したほうが、私は国も楽ですし、私たちも助かるし、補償だって少なくなる可能性だってあるんではないかというふうに思います。ですから、そういう意味で、もう少し、やっぱり各自治体に、もちろん国としての責任はしっかり守っていただかなければなりませんけれども、各自治体に、ある程度の裁量権を与えていくということが大切なことではないかというふうに思います。
 そのときに、例えば、先ほどお話をいただきましたように、先が見えないというのは大変な苦痛でありますから、場合によっては、私は先を読んでといいますか、私なりに数字を示させていただいてもいいのではないかというふうに思っていますけれども、やはりそういうときに、それ以外でもそうですけれども、何となく、ちょっと大変かなと思っても、国のほうは、その自治体なり、あるいは村民なり住民が、市民がやろうとしているんだから、少し期限を切って見てやろうじゃないかという懐の広さ、深さというものが国にはあって私はいいんではないかというふうに思います。それをすべて国がということになりますと、何となく画一的な形になって、それぞれのところにそれぞれの不満が積もるということになるんではないか、このように私は思っています。

【能見会長】  ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、どうも、今日はありがとうございました。
 賠償という形でもって皆さんの生活を支援するのは、支援全体の中のごくごく一部の側面だと思いますけれども、今日のお話を伺いながら、適切な賠償の枠組みを考えたいと思います。どうもありがとうございました。

【菅野飯舘村村長】  はい。どうもありがとうございました。

【能見会長】  では、次は茨城県の橋本知事にお願いいたします。

【橋本茨城県知事】  今日はこういう機会を与えていただきまして、ありがとうございます。そしてまた、今日の私どもの資料は、実は損害の現状を説明しろということだったものですから、そちらのほうを中心に書いてございまして、今の村長さんの話とは若干次元が異なるようなことがあると思いますけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 まず、本県の被害の状況、ここに書いてありますように、野菜とかの出荷停止、出荷自粛、操業自粛、さらには風評被害といったことによる減収が、農業、畜産業者、漁業者等に生じておるところでございまして、これはもう、スーパーさんあたりが取り扱いやめたとかいうと、突然、全スーパーさんが、それについては扱ってくれないということで、例えば、本県の場合でも、ミズナが普通、七、八十円するものが、1束1円になったというケースもございますし、一般的に、チンゲンサイとか、そういうものも2割前後になってしまいました。そして、そのほか、例えば、昨年収穫して倉庫に保管しておりますサツマイモ、甘薯まで売れなくなってしまうとか、いろいろ大変な状況になったところでございます。
 本県の場合には、ホウレンソウ、カキナ、パセリが出荷停止、あるいはまた原乳も出荷停止を受けたところでございます。こういったものにつきましては、我々も一生懸命PR等を行ってきておるところでございますけれども、依然として平年の約3分の2程度までしか価格は回復しておりません。
 そして、そのほか、この下のほうに書いてございますけれども、外国人研修生の帰国による生産減というのがございますけれども、全国でも有数の生産地であります鉾田市というところだけでも250人ほど外国人が帰ってしまっておりまして、そのために、これまでどおりの農業を続けられないようなところも出てきております。また、最近では生茶葉の出荷の自粛を要請しておるところでございます。
 また、漁業につきましては、コウナゴというのがちょうど漁期であったわけですけれども、これにつきましては、宮城の沖で生まれて、福島のわきを通って、茨城県へ来るということで、これは大分高い数値が出てしまいまして、その結果、今年のコウナゴについては全く休漁を余儀なくされてしまったところでございます。
 そのほか、底魚といいますか、そういったものについても、ほかの県の漁港へ水揚げしようとしたら拒否されたとか、あるいはまた、仲買さんが、今日は全然買ってくれないという情報が入り、出漁途中で戻ってきたとか、いろんな被害が出ておるところでございます。
 また、内水面のほうにつきましても同じように、例えば、霞ヶ浦のシラウオというのが半値から3分の1ぐらいの値段に下がってきておるところでございます。
 また、この下に水産加工業者と書いてございますけれども、これも昨年とって冷凍庫で保管していたもの、あるいはまた輸入水産物を加工して出そうとしても、こういったものも風評被害という状況にございます。
 その次の交通関係でございますけれども、これちょっと本県特殊でありますが、韓国便と中国便がございます。中国便、上海便につきましては、3月27日からこれまでの週3便だったのを週5便にするという予定でスケジュールが組んであったんですけれども、残念ながら韓国便は10月29日まで休止ということになってしまいましたし、また上海便につきましても、現在月7便ということで、週5便の予定が大分減ってしまっております。
 これに伴いまして、ハンドリング事業者というのはご存じだと思いますけれども、例えば、タラップを移動させたりするとか、あるいはまた受け付けをしたりする業者でございます。あるいは燃料給油事業者、あるいは小売業者、飲食業者等々、ターミナルビル全体に大変大きな影響が出ております。また、旅客取扱施設手数料というものも、これも毎月数百万単位で入ってくるものですけれども、これも入ってこなくなってしまっております。そのほか、航空機のエンジン部品がいっとき放射能を浴びたんではないかというので、洗浄、点検なども行っておるところでございまして、こういったもろもろの経費が、特に本県独自のものとして出てきておるところであります。今でも飛行機は、福島の上を飛ばないようにというので、太平洋沖のほうを飛んできて、利根川のほうまで来て、こちらへ入ってきているようでございます。
 そのほか、商工関係につきましては、もうご承知のとおり、ほかのところからもお聞きしたと思いますけれども、ゴールデンウイークなどは、海沿いの施設というものは、極端にお客さんが減ってきております。せいぜい5割ぐらいでございまして、この損害。それから、これから海水浴になるわけですけれども、この影響を私ども大変に心配をしておるところであります。
 また、外国人が随分、本県に来るのをやめております。特につくばあたりでは、大きな国際会議が大分予定をされておったんですけれども、そういう国際会議が軒並み取りやめになっておるところでございまして、それに伴ってキャンセルが続出をしておる状況にございます。
 あるいは、あの地域に外国人研究者、外国人留学生、たくさん来ておるわけですけれども、この入学辞退、帰国といった例も、筑波大学等々でたくさん見られますし、地元におきますインターナショナルスクールの学生、教師も帰ってしまったとかいうこともございます。
 そして、最後に、その他というところでございますけれども、地域のイメージダウンという点で、随分、私どもは大きなものがあるなと思っております。これにつきましては、実は、JCOのときには、全体として、どういうふうな対応策とるかということの中で、最終的に100億ほど地域のイメージアップに使ったらどうかということで、国のほうから交付金をいただいたことなどもございます。
 それから企業誘致、これももう決まっておったところが、立地を断念してしまったというところもございまして、いろいろな点で、放射線、福島第一原発事故による影響を受けておるところでございます。
 そういったことについては、もう皆さん方、いろいろ、ほかの団体等からお聞き及びだと思いますけれども、今日は私、わざわざ出てまいりましたのは、2ページ目の補償についての基本的考え方ということについて申し上げたくて、出てまいった次第でございます。
 これは、実はJCOの事故のときに、私ども最終的にどうするかということで、JCOと県とで協議を進めてきまして、確認書を交わして、仕事を続けてきたことがございます。その中で、「被害者に対して本件事故と相当因果関係が認められる被害については適切な補償を行う」という条項を入れております。これは、そのほか、もう一つ、確認書了解事項ということで書いてあるのをお聞きいただきたいと思うんですけれども、「補償に当たっては、区域、期間の制限を設けない」、それからもう一つは、「補償基準を策定せず、相当因果関係の有無を個別に判断すること。そして、対外的に『基準』という言葉は用いないこと」ということを、実はJCOのほうと取り交わして、私ども補償の実務を支援したところでございます。
 これはどういう意味かといいますと、例えば、我々として、今度の事故による被害については、本来、そんなことがなければ、平穏にそれなりの収入を得ていたわけでありますから、逆に慰謝料的なものも含めて十分な補償をすべきだという考えを持っております。そして、JCOのときにも申し上げたんですけれども、いろいろ請求したいけども請求してない人もたくさんいる。請求していいのかどうかもわからない人もいる。そういう人も含めれば、請求できているのは、ごく一部じゃないかと。それだったら全面的に、先ほど申し上げたように、慰謝料的なものも含めて補償してやればいいんじゃないかという発想でございます。
 例えば、国際会議が大分取りやめになったということを申し上げました。こういうところで、例えば、通訳さん、こういう仕事なくなるわけであります。そしてパーティーが開かれなければコンパニオンさん、こういった人も仕事なくなってまいります。しかし、多分、多くの人は、これは補償を求めていってないと思います。そういう人なども含めると、補償に出てきているのはごく一部の人だと。それだったら、もうこの部分を全部前向きに認めていくべきじゃないかということで、これを一律に取り上げることができない。どんな基準をつくっても、例えば、今申し上げた通訳さんとかコンパニオンさん、なかなか入ってまいりません。そういったことについては、先ほど申し上げましたように、相当因果関係があるものは、すべて認めるべきじゃないかということで、私どもはJCOとの交渉に当たったことがございます。そういったことも含めて、ぜひ、出てきてないものも出ていっていいんだなと思わせるような補償基準というものを、私はつくっていただきたいと思っております。その点では、この会の名前が損害賠償紛争審査会ということでありますが、審査という観点じゃなくて、どういうところにほんとうに被害があるのかということを見つけ出すような基準というものをつくってもらえればありがたいなと思っておるところでございます。
 それから、補償金の支払いに当たりまして、ぜひ……。今日から本県の場合、畜産と、それから漁業関係で補償が仮払いが行われるようでございますけれども、早いことが一番でございますので、迅速に行うということと、それから都道府県と提携をしてはどうか、あるいはまた、業界団体をもっと活用してはどうかということがございます。JCOのときには、実は20万までについては、郵送で申請書を出してもらって、それで払ってしまう。20万から100万については県が窓口になる。100万以上の大口については、それはJCOが担当してくださいということでやりましたですけども、そのときに、例えば、私ども間に入りましてやった経験から、今回も農畜産物損害賠償対策茨城県協議会というものを既に立ち上げております。ここに本県から3人ほど人を送り込みまして、前回の事例なども中心にして、どういうものが請求できるのか、どういうものは難しいのかといったことについて、業界団体との協議をしながら、請求書をまとめておるところでございます。都道府県との連携ということにつきましては、ぜひとも、これから、ものすごい膨大な量が予測されるところでありますので、少し手伝わせてもらったほうがスムーズにいくんではないかなということを強く感じておるところであります。
 また、かなり長期にわたっていくことになると思いますので、そういった点についての配慮というものも、ぜひお願いしたいと思います。
 以上です。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、県知事に対するご質問等ございましたら、お願いいたします。
 ただいま知事は、基準ということに対する危惧の念を表明されたと思いますけれども、この審査会では、その基準というものをつくることになっております。ただ、そこで言う基準というのは、これも県知事、十分ご承知だと思いますけれども、そこに記載されていないものが賠償から排除されるという趣旨の基準ではなくて、基準に書かれているものは、より迅速に賠償が進む対象である、というものです。言い換えますと、賠償が簡単に進むであろうというものを、まず基準として取り上げて、東電のほうには、仮払いという形であれ、被害者との合意という形であれ、賠償をどんどん進めてもらうと。そこに書いていない損害というのも、確かにたくさん出てくると思いますけれども、これらについては、指針の中でも十分、そういうものが賠償から排除されているものではないということを、繰り返し明記し、誤解がないようにしていくつもりでございます。そういう意味では、基準ということに対しては、ご心配なさらないでいただきたいと思います。

【橋本茨城県知事】  最後に「相当因果関係が認められるもの」とかいうものを入れておいてくれると、全部救えることになってくるんですけれどもですね。

【能見会長】  そういう方針でございます。
 よろしいでしょうか。
 それでは、ただいまの補償についてのご意見も参考にしながら、さらに検討したいと思います。どうもありがとうございました。

【橋本茨城県知事】  はい。

【能見会長】  それでは、次に、栃木県の佐藤副知事にお願いいたします。

【佐藤栃木県副知事】  栃木県の副知事の佐藤と申します。どうぞよろしくお願いします。まずもって、こういう説明の機会いただいたこと、大変ありがたく思います。栃木県につきまして、若干お話ししたいと思いますけれども。
 栃木県でも、今回の震災によりまして、人的被害や、全壊、半壊、一部損壊等含めて5万戸以上にわたる住宅被害のほか、公共インフラ施設や多くの企業が被害を受けております。一方では、福島県からの避難民、これを受け入れているという支援県でもあります。二面性を持っていることを、委員の先生方には、1度、頭の中に入れておいていただきたいと存じます。
 本県の被害の状況と、本県のものについて説明していきたいと思います。資料1-3をお願いします。
 栃木県は、生産量42年連続日本一のイチゴや、北海道に次ぐ全国第2の生乳の生産県でもあります。また、豊かな農地と水資源を生かして、多彩で高品質な農作物の生産が営まれておりまして、平成21年の農業産出額では全国9位という農業県でもございます。また、日光、那須、世界遺産等もございますけれども、有名な観光地を擁する観光立県でもございます。また一方では、製造品出荷額が全国13位というものづくり県でもあります。こうした本県の基幹となる産業が、今回の原子力発電所事故に伴う放射性物質の放出により生じている損害について、ご説明させていただきます。
 まず、資料をお開きいただきたいと存じます。
 農業の損害についてでございますが、出荷制限は既に解除されたホウレンソウやカキナ、シュンギクは自粛ということでございますけれども、5月19日には、新たに2地区の生茶葉ですね。これについて出荷の自粛や、既に出荷された商品の回収が行われてきたところでございます。ホウレンソウやカキナ、シュンギクについては既に出荷制限が解除されておりますが、解除後も圃場や作物の管理作業等、1ページに写真で載っておりますけれども、直ちに出荷できない状況も生じておりまして、制限期間はもちろん、再開までの期間についても、本来得られるべき利益を逸しているという状況がございます。
 また、牧草についてでございますけれども、3月19日付の国の指導により、放牧及び牧草等の給与制限がなされましたが、その後、モニタリング調査の結果、一部の地域では制限が解除されたものの、その他の地域では、制限から2カ月を経過した現在においても給与できない状況が続いておりまして、今後、給与できない牧草の処分、1ページに写真等ございますが、これが日増しに増えていきます。また、代替の飼料購入経費、牧草の5倍から6倍になると言われておりますが、こういった経費がかさんできますと、まさに畜産経営を圧迫していくということになります。こうした牧草の給与制限の長期化が風評被害を助長するおそれがありまして、大変に厳しい状況でございます。
 次に、風評被害につきまして、原発事故による本県への影響として、空間放射線量は3月15日に平時を大きく上回り、農産物だけではなく、飲料水や土壌からも検出されました。これによって、本県の出荷制限を受けていない農産物や観光業などにおいて、価格低下や客足が遠のくなど、明らかに放射能の影響が生じておりまして、これらは風評被害というよりも、まさに放射能による実害と考えてございます。農産物への販売の影響は、本県を代表する農産物でありますイチゴの単価。2ページをごらんになっていただければおわかりになるかと思いますけれども、過去2年の平均や、他の競合主産県と比較いたしまして、著しく低下をしてございます。これは事故発生後ということでございます。イチゴにつきましては3月から5月が最盛期ということでありますので、まさにイチゴにとっては大きな打撃となってございます。そのほかのニラやネギ、レタス等も全く同様の傾向でございます。
 また、農産物直売所とか農村レストラン、観光いちご園、こういったところも大きく客足が減少してございます。売り上げが80%とか、団体バスが来ないといった等々によりまして、観光いちご園では入場料収入が30%に減少している等々がございます。
 このほかに、イチゴ等や牛肉等の輸出の停止、それから、これから梅雨の時期、解禁となりますアユやヒメマスなどの内水面漁業等につきましても、一部放射性物質が検出されまして、今後、河川でのアユ釣りが本格化するわけですけれども、これも観光資源の一つですが、アユ釣り等への影響が懸念されております。
 観光分野についてでございますけれども、全体的な状況、震災直後でございますけれども、震災そのものとか、また交通網の寸断、ガソリン不足等の影響があったかと思いますけれども、本県の場合には、日光や那須といった県北部に位置する観光地につきましては、幸いにも直接的な被害は免れました。しかしながら、外国人の客が全く見当たらない。今回の原子力事故の風評被害によって、まさに外国人が来なくなった。本県産業にとっては大きな被害をこうむっておりまして、大変な観光業者の苦労が続いております。一部聞き取り調査でございますけれども、ある旅館では、外国人の宿泊数が前年比でマイナス95%というような状況になっているところもございます。
 地区別の状況、マル3で書いてございますけれども、アの那須、塩原地区では、予約が前年比マイナス90%等々になっておりまして、今後もホテルや旅館などの営業損害というのは、ますます拡大していくと。こういった地区につきましては、倒産に加えまして、休業を余儀なくされている旅館では、従業員の雇用調整、解雇等々で当座の危機をしのいでいるところでございます。
 イの鬼怒川・川治温泉地区につきましても、5月から6月の宿泊予約が対前年比マイナス30から70%に落ち込んでございます。
 ウの板室温泉地区では、湯治客が原子力発電所に近いという理由から、一部、何も子どもを連れて、そんなところへ行かなくてもいいんではないかというような理由から、栃木県を避けているというお話もございます。
 エの馬頭温泉地区につきましては、日光や那須といった観光地から離れているものの、5月の宿泊予約は対前年比マイナス85%となっておりまして、本県全域にわたって、観光客が激減している状況になってございます。
 今後の見通しでございますけれども、ゴールデンウイーク、この間につきましては、栃木県民は栃木県内に泊まりましょう。1家族1旅行をやりましょうということで、一部、客数の落ち込みに歯どめがかかりましたけれども、ゴールデンウイーク以降は再び観光客が落ち込み、予約が前年比マイナス90%になっている地域もございます。
 風評被害は、ただただ原子力発電所の動向にかかわってございますけれども、その収束が見えない中、いつまで続いていくのか。ホテル、旅館業、バス、タクシーなどの交通産業、飲食・小売業にかかわる観光関連業者は厳しい状況が続いていくということで、地域経済に対するダメージ、これがさらに深刻になるのではないかと懸念しております。原子炉のメルトダウンということがありますけれども、本県観光地、地域全体が観光で食べているところもございますので、そこが崩壊していくというような懸念も生じているというところでございます。
 続いて、その他の業種でございますけれども、輸入制限等につきましては、輸出先の各国によって、本県産の加工食品や工業製品の輸入停止が行われているほか、放射性物質の検査証明書などを求められるなど、企業にとって大変厳しい状況となってございます。
 輸出先各国による輸入制限につきましては、事例に示したとおり、本県内でも「飲料」と書いてございますが、本当は品目を言いたいんですが、風評を懸念して、企業のほうでは言っては困るということで「飲料」と記してございます。これがノルウェーに1万4,000ドルを輸出できなかったとか、加工野菜、これも品目を申し上げたいんですが、詳しい品目を申し上げられないと。同じく調味料というものもございますけれども、調味料については、3月から5月の輸出額が対前年比マイナス40%となっているということで、各企業さんも品名を出さないでくれというような要請がございまして、この場では具体的品名を申し上げられないという苦悩がございます。
 輸出先各国によって、各種証明書等の要請につきましては、企業にとって検査費用に係る支出が増えることはもちろんでございますけれども、検査を受けるまでの間に出荷の機会を失うという損害もございます。以上のように、出荷量の減少に伴う減収や検査に付随するコストなど、相当な被害が、実害が生じてございます。
 マル2の今後の見通しにつきましては、輸入制限等による減収や検査コストの増などの損害が継続するおそれがあると考えてございます。県においても、各種証明や放射線量測定書を交付するなど、支援に努めてございますけれども、検査需要の増加に対応できないような状況が続いてございます。毎日毎日やっているわけでございますけれども、8月からは新しい測定機器、これも早目に発注しましたが、なかなか納入されないということで、8月からは新たに測定機器が入るということで、食品や飲料などの内容物の検査も開始することとしてございます。
 さらに、その他の被害といたしましては、下水道や下水汚泥等からも放射性物質が検出されましたため、放射性物質や汚染物の厳重な保管・管理を行うなど、安全性を考慮して対応を行っておりますが、調査そのものや汚染物の適正な保管・管理など、何の指針も示されておりませんので、非常に困難な対応を求めておりまして、非常に苦慮しているというようなところでございます。
 以上が被害状況についての説明でございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 それでは委員の皆様、ご質問等ございましたら、お願いします。

【佐藤栃木県副知事】  私のほうから追加で、要望について申し上げてよろしいでしょうか。

【能見会長】  お願いします。

【佐藤栃木県副知事】  今回の原子力事故によって被害を受けたすべての方が、正当な賠償等を受けること及び地方公共団体に係る負担を少しでも取り除いてもらいたいということを切に願っております。原子力損害賠償紛争審査会の指針策定に向けて、こういった要望をさせていただきたいと思います。
 時間の都合上、幾つか申し上げますけれども、国の指導によって家畜への放牧及び牧草等の給与制限によって生じた損害というのは、出荷制限等の指示と同等の損害として位置づけ、早急に指針の明示をお願い申し上げます。
 それから、いわゆる風評被害についてでございますけれども、農産物の価格低下は言うまでもなく、農業者等が営む農産物直売所、それから農村レストラン、観光農園等についても、原発事故が大きく影響していることは明らかでございます。これらは客数の減少でありまして、震災後の消費マインドの低下など、ほかの要素も関係していると思われますけれども、放射能とこれらの区分を明確に立証するというのが非常に困難でございます。しかしながら、放射能により客足が遠のいたのは明らかでございます。前年の収益との差額の一定率を合理的な被害として認定するなど、簡便な算定基準についても指針への明示をお願いしたいと思います。
 それから、農産物そのものだけでなく、これらを利用した加工食品についても損害の対象として指針の明示をお願いしたいと思います。
 加えまして、外国人旅行客のキャンセル、それから輸入制限など、観光業をはじめとする県内産業が受けた風評被害につきましては、確実かつ早期に補償が行われますよう、損害の算定方法、早期に指針の明示をお願い申し上げます。
 なお、その際でございますけれども、何度も申し上げますが、風評被害と自粛による影響を厳密に区別するというのは極めて困難であると考えておりますことから、風評被害による損害につきましては、幅広く、かつ簡便な方法によることを認めていただきたいと思います。
 風評被害の被害者が損害賠償請求を行いやすいよう、算定例にも示したように、過去数年の平均売上高と風評被害を受けたと考えられる期間の売上高を比較して、その差額を賠償の対象とするといった方法の明示をお願いしたいと存じます。
 また、地方公共団体の賠償等につきましては、現在検討されている財産的被害に加えまして、今回の原子力事故対策に要したすべての費用を対象とし、指針への明示をお願いしたいと思います。
 本県が長年にわたって築き上げてきました栃木ブランド、観光につきましても、イチゴ等につきましても、そういったブランドが非常に傷ついてございます。風評被害払拭のためのキャンペーンなどを実施したり、イメージ回復に力を注ぎ込んでいるところでございますが、本県が再起するためには、被害者全員の一日も早い仮払いと完全な補償が不可欠でありますので、審査会の皆様にも、一日も早い指針策定をよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 別添、要望書をつけてございますが、本日、内閣府等に対して、かような要望をしてございますので、参考までに添付させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

【能見会長】  それでは、ただ今のこの審査会に対するご要望という点も含めまして、もし、委員の皆さん、何かご意見ございましたら、あるいは質問等ございましたら、お願いします。
 今、追加でご説明いただいた、いろいろ、損害の賠償の仕方についてのご要望、これはすべてがそのとおりになるかどうかわかりませんけど、順次、今、検討している最中でございます。賠償の方法、特に証明を簡易にするとか、それは非常に重要なご提案だと思いますので、真摯に受けとめて、検討したいと思っております。

【佐藤栃木県副知事】  ありがとうございます。

【能見会長】  委員の皆さんから何かあるでしょうか。よろしいですか。
 どうもありがとうございました。それでは今後の指針づくりに、ご意見を十分参考にさせていただきたいと思います。

【能見会長】  それでは、議題の2に移りたいと思いますが、第二次指針(案)についてでございます。
 第二次指針の策定に向けましては、前回、それから前々回、指針で取り上げるべき論点につきましてご議論をいただきました。本日は、その議論を踏まえまして、さらに本日の議論のために第二次指針の案を用意させていただきました。この中身につきまして、これからご議論いただきたいと思いますけれども、皆様方のご意見を十分踏まえてつくったものでございます。
 できますれば、この指針が早く確定するということが、賠償が早く進む上でも重要でございますので、そういう意味では、第二次指針を、今日、可能であれば決定したいというふうに考えております。もちろん、いろんなご疑問があって難しいということであれば、次回に持ち越すということもあり得ますけれども、まだ十分時間があると思いますので、ご議論いただければと思います。
 それから、この具体的な中身に入ります前に、これをごらんいただきますと、今まで議論してきたこととちょっと違う部分があるのではないかという感想をお持ちになられる方があるかもしれません。それは、今までは精神的な損害の額につきまして、避難に伴って発生する精神的苦痛についての精神的損害ですが、これについては具体的な金額を示すことが重要であろうと考えまして、私も事務局も、そういうふうな作業をするということで進めてまいりました。しかしながら、そもそも、この精神的損害について、前回までは4段階ぐらいに分けるという案が出ていたと思いますけれども、その枠組み自体につきまして、若干、特に被災地の皆様の中から、そういうふうに分けるのは、必ずしも適当ではないのではないかという意見などもありまして、それからまた、今日も飯舘村の村長からお話がございましたように、やはり時間的に、一体いつまで非難の必要な事態が続くのか見通しがつかないときに、いつまでというのをはっきり書くことは難しいんですけれども、ある程度の時間の流れを意識しながら考えなくてはいけない要素などもあり、そういう幾つかの理由から、本日は具体的な金額を示すところまではできませんでした。今言いましたように、精神的損害の賠償を認める場合の枠組みそのものも含めまして、さらにご議論いただきたいという趣旨で、引き続き検討することにしたいというふうに考えております。しかし、この部分は、重要でございますので、ぜひ、皆様からはご意見をいただきたいと思います。
 それでは、この指針の概要につきまして、これを事務局のほうから説明をお願いします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  それでは、お手元の資料2でございます。第二次指針の案でございます。
 1ページ目、まず前書きでございます。4月28日に第一次指針が決定、公表されたことを受けまして、この第二次指針について、この2のところにございますマル1からマル4、政府の避難等の指示に係る損害、それからマル2、政府等による出荷制限指示等に係る損害、それからマル3、政府等による作付制限指示等に係る損害、マル4、いわゆる風評被害を対象としているということが記されてございます。
 3のところには、先ほどもございましたが、本指針と、対象とされなかったものが、賠償すべき損害から除外されるものではないということを、改めて記載してございます。
 2ページでございます。2ページから、具体的な指針の中身に入ります。
 まず、政府による避難等の指示に係る損害ということで、損害項目が3項目示されてございます。
 まず1、一時立入り費用でございます。指針のところ、読ませていただきます。政府の指示により避難等した者のうち、警戒区域(避難区域でもある。以下同じ。)内に住居を有する者が、市町村が政府及び県の支援を得て実施する「一時立入り」に参加するために自己負担した交通費、家財道具移動費用、除染費用等(前泊や後泊が不可欠な場合の宿泊費等も含む。以下同じ。)は、必要かつ合理的な範囲内において、賠償の対象となる。
 備考として3項目書いてございまして、1のところが、一時立入りの概要について書いてございまして、2のところで、さらに集合場所があるわけでございますが、そこから避難している住居地区までの交通費等が発生する可能性があるということが書いてございます。それから備考の3のところでは、損害額の算定方法につきましては、この後出てまいります5ページの損害額の算定方法の1に同じということで、後ほどご説明いたします。
 それから、2番目の項目として、帰宅費用がございます。指針は、本件事故により避難等を余儀なくされた者が、対象区域内の住居に戻るために負担した交通費、家財道具の移動費用は、必要かつ合理的な範囲内において、賠償すべき損害となる。
 ここで備考で2項目示させていただいてございます。1)のところは、そこに第一次指針の第3の2というのが引用してございますが、避難費用と同様に対象となるということが書いてございまして、2)の算定方法は、先ほどと同じで、後述ということでございます。
 それから、3つ目の項目といたしまして、精神的損害(避難生活等を余儀なくされたことによる精神的損害)でございます。
 指針といたしましては、まず1、本件事故により避難及びこれに引き続く対象区域外滞在を余儀なくされた者が、自宅以外での生活を長期間余儀なくされ、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたために生じた精神的苦痛の部分については、賠償すべき損害と認められる。
 2、同様に、本件事故により屋内退避を余儀なくされた者が、行動の自由の制限等を余儀なくされ、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたために生じた精神的苦痛の部分については、賠償すべき損害と認められる。
 ここ、備考として、2つの2項目挙げてございます。その1のところに書いてございます、自宅以外での生活を長期間余儀なくされ、あるいはマル2でございますが、行動の自由の制限等を長期間余儀なくされるなど、避難等による長期間の精神的苦痛をこうむっており、これが精神的損害と観念することが可能であるということでございまして、この算定方法につきましては、5ページの上のところでございますが、これも後述になります。
 それから、2)といたしましては、その他の精神的損害については、今後、引き続き検討するということでございます。
 5ページの中ほどから、損害額の算定方法ということで、2つの項目が書いてございます。
 まず1つ目が、避難費用の損害額算定方法ということで、指針の内容は、避難費用のうち「交通費」、「家財道具移動費用」、「宿泊費等」については、避難等した者が現実に自己負担した費用が賠償の対象となり、その実費を損害額とするのが合理的な算定方法と認められる。
 但し、領収書等による損害額の立証が困難な場合には、客観的な統計データ等を用いて推計することにより損害額を立証することも認められるべきである。
 2、他方、避難費用のうち「生活費の増加費用」については、原則として、避難生活等を余儀なくされたことによる精神的損害の額に加算し、その加算後の一定額をもって両者の損害額とするのが合理的な算定方法と認められる。
 その具体的な方法については、後記[損害額算定方法]の2のとおりであるということでございます。
 備考として、3項目書いてございます。1の1)、備考の1は、一次指針に書いてあった内容が書いてございます。
 2)のところで、「しかしながら」ということで、前々回の指針の議論でございました。説明がございましたように、交通費については、避難先が全国に、あるいは交通手段が多様化しているということで、平均的な額というのをです。すいません。失礼いたしました。
 交通費等につきましては、自己で負担していないもの、あるいは全国さまざまなところに避難されているということで、その金額に相当の差がある。あるいは宿泊費等につきましても、宿泊場所に応じて相当の差異もございますし、地方公共団体が負担している場合もあるということで、平均的金額を損害額として、平均的損害額として賠償するという方法が適当でないということが書いてございます。
 6ページの下のところからは、その推計ということの妥当性が一応書いてございまして、7ページの真ん中辺のところに、以上のことから、この計算については、原則どおり、上記各損害項目を自己負担した者のみが合理的な範囲内において、その実費の賠償を受けるのが、公平かつ合理的であるという説明をしてございます。
 3)は、避難費用のうちの「生活費の増加費用」については、真ん中あたりにございますが、さほど高額ではないが、その反面、実費を厳密に算定することが非常に難しいということで、立証が困難だということで、生活費の増加分と精神的損害を合わせて算定すると。ただし書きとして、7ページから8ページの上のところにございますが、「生活費の増加費用」の中でも、特に高額のものにつきましては、別途、合理的な範囲において、その実費の賠償が認められるということが明記してございます。
 2項目めの精神的損害の算定方法でございますが、ここは、指針のところは、これまでの論点の議論が書いてございます。避難生活等を余儀なくされたことによる精神的損害の損害額については、前期[損害額算定方法]の1の「生活費の増加費用」と合算した一定の金額をもって、両者の損害額と算定するのが合理的な算定方法と認められる。
 また、具体的な算定に当たっては、宿泊場所等によって生活環境、利便性、プライバシー確保の点から見て、精神的苦痛の程度は異なると考えられるため、以下の順序で段階的に金額の差を設けることが考えられるが、なお引き続き検討するということでございます。
 マル1からマル3がございまして、3として、また、屋内退避を長期間余儀なくされた者については、自宅で生活しているという点では、上記マル1ないしマル3のきような精神的苦痛は観念できないが、他方で外出等行動の自由を制限されていることなどを考慮し、上記マル3の金額を超えない範囲で損害額を算定することが考えられるが、なお引き続き検討するということでございます。
 9ページに、この指針の備考として、2項目が書いてございます。備考の1は、第一次指針における記述を再掲してございまして、1の後半のところで、「しかしながら」ということで、この精神的損害を別途計算することの妥当性について書いてございます。
 「生活費の増加費用」については、前掲のとおりでございます。
 また、金額の算定方法については、一番下にございますが、1カ月当たりの金額で算定する方法が考えられるが、なお引き続き検討するということでございます。
 10ページからは、第3といたしまして、政府等による出荷制限指示等に係る損害ということで、一番初めが、出荷制限指示等の対象品目の作付断念に係る損害でございます。
 指針といたしましては、農林業者が政府等による出荷制限指示等により、同指示等に係る対象品目の作付けの全部又は一部の断念を余儀なくされ、これによって減収が生じた場合には、その減収分が賠償すべき損害と認められる。
 また、上記作付けの断念により生じた追加的費用も、合理的な範囲内において賠償すべき損害と認められる。
 2番目といたしまして、政府等による出荷制限指示等により、同指示等に係る対象品目の作付けの全部又は一部の断念を余儀なくされ、これにより農林業者の経営状態が悪化したため、そこで勤務していた勤労者が就労不能等を余儀なくされた場合には、かかる勤労者について、給与等の減収が賠償すべき損害と認められるでございます。
 備考としては、2項目ございますが、説明は省略させていただきます。
 続きまして、出荷制限指示等の解除後の損害でございます。
 指針といたしまして、農林漁業者が、政府等による出荷制限指示等により、同指示等に係る対象品目の出荷、操業又は作付けの断念を余儀なくされ、同指示等の解除後においても、これによって減収が生じた場合には、その減収分も賠償すべき損害と認められる。
 2番目といたしまして、また、同指示等の解除後において、上記の出荷、操業又は作付けの再開のために必要な追加的費用も、合理的な範囲内において、賠償すべき損害と認められるということでございます。
 備考としては、減収分の算定方法、前も同じでございますが、第一次指針の営業損害と同じであることを書いてございます。
 それから、第4でございますが、政府等による作付制限指示等に係る損害ということで、対象区域及び品目が、まず12ページの上に書かれてございます。
 政府による作付制限指示、放牧及び牧草等の給与制限指示等又は地方公共団体が本件事故に関し合理的理由に基づき行う作付けその他の営農に関する自粛要請等、これらを政府等による作付制限指示等ということで、それがあった区域及び、その対象品目に係る損害が対象でございます。
 損害項目といたしまして、まず初めに、営業損害がございます。
 ここで指針といたしまして、農業者が、政府等による作付制限指示等により、同指示等に係る対象品目の作付け、放牧、牧草等の給与その他の営農に関する行為の全部又は一部の断念を余儀なくされ、これによって減収が生じた場合には、その減収分が賠償すべき損害と認められる。
 2といたしまして、また、作付け等の断念により生じた追加的費用も合理的な範囲内において賠償すべき損害と認められるということでございます。
 備考としては2項目ございますが、減収分の算定方法等、前と同じでございます。
 それから、損害項目の2つ目といたしまして「就労不能等に伴う損害」ということで、指針、政府等による作付制限指示等により、対象品目を生産する農業者の経営状態が悪化したため、そこで勤務していた勤労者が就労不能等を余儀なくされた場合には、かかる勤労者について、給与等の減収が賠償すべき損害と認められる。
 備考は、第一次指針の第3の6と書いてございますが、これは解雇等を含む、あるいは就労予定、就労不能にかかる、損害にかかる記述をここで引用してございます。
 それから、第5でございますが、「いわゆる風評被害」でございます。
 まず、1としまして「一般基準」を指針として記してございます。
 1番目といたしまして、いわゆる風評被害については確立した定義はないものの、この指針で「風評被害」とは、報道等により広く知られた事実によって、商品又はサービスに関する放射性物質による汚染の危険性を懸念し、消費者又は取引先が当該商品又はサービスの買い控え、取引停止等を行ったために生じた被害を意味するものとする。
 2)といたしまして、「風評被害」についても、本件事故と相当因果関係のあるものであれば賠償の対象とする。その一般的な基準としては、消費者又は取引先が、商品又はサービスについて、本件事故による放射性物質による汚染の危険性を懸念し、敬遠したくなる心理が、ここに両論併記でA案とB案になってございます。A案は、平均的・一般的な人を基準として合理性を有していると認められる場合とする。B案は、一般に是認できる程度の合理性を有していると認められる場合とする。
 3つ目といたしまして、具体的にどのような「風評被害」が本件事故と相当因果関係のある損害と認められるかは、業種毎の特徴等を踏まえ、営業や品目の内容、地域、損害項目等により類型化した上で、次のように考えるものとする。
 マル1といたしまして、一定の範囲の類型については、本件事故以降に現実に生じた買い控え等による被害は(4)に相当する被害をいう。以下同じ。)は、原則として本件事故との相当因果関係が認められるものとする。
 マル2でございますが、マル1以外の類型については、本件事故以降に現実に生じた買い控え等による被害を個別に検証し、2の一般的な基準に照らして、本件事故との相当因果関係を判断するものとする。その判断の際に考慮すべき事項については、この指針又は今後作成される指針において示すこととする。
 4つ目といたしまして、損害項目としては、消費者又は取引先が商品又はサービスの買い控え、取引停止等を行ったために生じた次のものとするということで、マル1、営業損害、マル2、就労不能等に伴う損害、マル3、検査費用でございます。
 備考としては全部で9項目ございます。基本的には、この指針の内容の解説で論点の整理にあったものでございますので、説明は省略をさせていただきます。
 17ページの風評被害の2つ目の項目、「農林漁業の『風評被害』」でございます。
 指針といたしまして、1)農林漁業において、本件事故以降、現実に生じた買い控え等による被害のうち、少なくとも次に掲げる産品に係るものについては、1、3)、マル1の類型として、原則として本件事故との相当因果関係が認められる。
 マル1、農林産物(畜産物を除く。)に係る政府等による出荷制限指示等(平成23年4月までのものに限る。)が出されたことがある区域(県又は市町村単位。以下同じ。)において産出された全ての農林産物(畜産物を除き、食用に限る。)
 マル2、畜産物に係る政府等による出荷制限指示等(同年4月までのものに限る。)が出されたことがある区域において産出された全ての畜産物(食用に限る。)
 マル3、水産物に係る政府等による出荷制限指示等(同年4月までのものに限る。)が出されたことがある地域において産出された全ての水産物(食用に限る。)
 2)といたしまして、1)の産品について、農林漁業者が買い控え等による被害を懸念し、事前に自らの出荷、操業又は作付けの全部又は一部を断念したことによって生じた被害も、かかる判断がやむを得ないものと認められる場合には、原則として本件事故との相当因果関係が認められる。
 18ページから備考が3項目ございます。1つ目は農林漁業の特徴が書いてございます。2番目は、それに照らした相当因果関係の判断が書いてございまして、3)のところが、最後の3行でございますが、今回提示をいたしました1)以外の産品については、引き続き市場動向等の調査、分析等を行った上で、今後検討するということでございます。
 続きまして、風評被害の3つ目の項目、「観光業の『風評被害』」でございます。
 指針は、本件事故以降、現実に生じた観光業に関する解約・予約控え等による被害のうち、少なくとも本件事故発生県に営業の拠点がある観光業については、本件事故及びその後の広範囲にわたる放射性物質の放出が原因で、消費者等による解約・予約控え等があった蓋然性が高いことから、本件事故後に観光業に関する解約・予約控え等に減収が生じていた事実が認められれば、1、3)、マル1の類型として、原則として本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。但し、観光業における減収については、東日本大震災自体による消費マインドの落ち込みという理由による蓋然性も相当程度認められるから、損害の有無の認定及び損害額の算定に当たってはその点についての検討も必要である。
 備考として4項目ございます。1項目め、19ページのところは、観光業がさまざまな業態がある。それから、20ページの2)のところは、先ほどの農業と同じような特徴、足を運ぶこと、あるいは日常的な消費を必要とする物ではない等とのことが書いてございます。3番目につきましては、それに照らしまして、相当因果関係の判断が書いてございまして、3)の終わりほう、21ページの上のほうでございますが、「しかし」からございますが、必ずしも「風評被害」の実態が判明していない現時点においては、差し当たって、本件事故発生県に営業拠点を有する観光業という類型を提示することとし、これ以外のものについては、引き続き市場動向等の調査、分析等を行った上で、今後検討することとした。
 それから、さらに最後でございますが、4)といたしまして、観光業については、東日本大震災自体による消費マインドの落ち込みという理由から観光業に関する解約・予約控え等に至った蓋然性も相当認められるとした上で、このような他原因が影響を与えている蓋然性も相当程度あることから、その損害の有無の認定及び具体的な損害額の算定等に当たっては、他地域との比較を行うなどの検討が必要であるとしてございます。
 指針の案は以上でございます。

【能見会長】  それでは、指針の内容について皆様からご意見を伺いたいと思います。第1、第2、第3と区切っていきたいと思いますけれども、「第1 はじめに」のところはいかがでしょうか。これはよろしいですか。
 それでは、「第2 政府による避難等の指示に係る損害」というところについて、ご議論をお願いしたいと思います。これは先ほどの精神的な損害も含めまして、9ページのところまでということでいかがでしょうか。はい、どうぞ、草間委員。

【草間委員】  ちょっと細かいことですけれども、指針の最後のところの「損害の対象となる」というのと、「何々と認められる」という、こういう書き方が2つあるんですけども、今この2ページの場合は「損害の対象となる」という書き方で、そのほかのところは、後のほうは、「何々と認められる」という、こういう書き方なんですけど、これはそれぞれ違うんでしょうか。「とする」というほうが随分強い感じがするんですけれども、この辺の違いを教えていただきたい。

【能見会長】  2ページ目の指針の文章の一番最後のところ、これは「賠償の対象となる」となっていますね。それから、認められるというのは、具体的にどこをごらんになっておられますか。何ページを。

【草間委員】  例えば3ページの帰宅は「損害となる」ですね。次、4ページにいきまして、精神的損害の場合は「賠償すべき損害と認められる」という形で、「賠償すべき損害とする」という形じゃないですね。だから、「とする」というのと「認められる」というのと違いがあるかどうかというのをお伺いしたいんですが。

【能見会長】  私の意見といいますか、私としては、その表現は、全体の文章の流れから自然なほうの言葉を使っているだけで、それによって特に違いをあらわすというつもりは全くありません。

【草間委員】  5ページの2)ですけれども、精神的苦痛の中で、「例えば相当量の放射性物質に曝露した」とあるんですけど、ここは「放射線」のほうが適切じゃないかと思うんですけども、いかがでしょうか。
 それと、その2行下で、「精神的苦痛など、様々なものが考えられるが」と書かれているんですけど、ここで「様々なものが考えられる」という、こういった言葉を入れる必要があるかどうかで、ちょっとあいまいになってしまうような感じがしますので、ここは「精神的苦痛など」という「など」があるので、「など、これらが賠償の」といって、「様々なものが考えられるが」というのはとったほうがいいんじゃないかなという印象を持ったんですけど、いかがでしょうか。

【能見会長】  最初の「放射性物質」を「放射線」に直したほうがいいということにつきましては、これは専門の委員のご意見に従いたいと思いますので、「放射線に曝露したため」というふうに修正したいと思います。
 それから、そもそもこの文章は「例えば」ということから始まって、2行下の「精神的苦痛など」と、ここは例が挙げられているわけで、それ以外にも「様々なものが考えられるが」と、そういう文章のつもりであります。「など」で切ってしまっても、これは例示ですから、ほかにもあり得るんだということはこの文章からわかると思いますけれども、この2)でもって言おうとしていることは、避難に伴う精神的な損害以外の精神的な苦痛を生じた場合に、その精神的損害というのも賠償するのかということについて、そういうものはこの審査会でまだ十分検討していないので、現段階で結論は出せないけれども、今後出てくる可能性のある避難に伴う精神的苦痛以外の精神的損害をこうむる場合をこの審査会で検討し、皆様のご意見で、そういうものが賠償の対象としてふさわしいという結論になれば、そういうものも賠償しましょうというのがここでの趣旨です。ただ、今のことをただ抽象的に書いたのでは意味がわかりにくいと思いましたので、避難によって生じている精神的苦痛以外にどんな精神的苦痛があり得るんだろうかということで、まず例として、「例えば相当量の放射線に曝露したため健康状態に対する具体的な不安を抱くことによる精神的苦痛」、こういうものがあり得るということについては想定もできますし、1つの例として挙げておくのが適当だろうということで、これを例として挙げました。だけど、これ以外にもさらに精神的苦痛が生じる場面というのはあり得るので、そういうものがほかにもあり得ますということをこの文章では示したわけです。そういう趣旨ならば、「など」で切ってしまってもいいのかもしれませんけども、もうちょっとほかのものがあるということを少し強くといいますか、示唆したいので、「様々なものが考えられる」という文言をつけ加えたのですけども、もしこの部分に内容的にご異論がなければ、私としては表現の問題としてはどちらでも文章としては構わないと思います。

【草間委員】  今発言させていただいたのは、精神的な苦痛というのは、大変、これからいろいろ議論になって、広いんだろうと思うんですね。今の時点でとりあえず考えられるのは、確かに放射線によるこういった不安については私も精神的な苦痛として認めるということは当然だろうと思うんですけど、それ以外に、多分、想像されることが何か具体的になかったらあまり、精神的な苦痛というのは黙っていても範囲が広がっていくので、ここにわざわざ「様々なもの」というふうに書く必要があるのかなという意味でご発言させていただいたんですけども。

【能見会長】  わかりました。そういう意味では、果してそういう精神的な苦痛というのかあるのかどうか十分わからない段階で、むしろあり得るというようなことが示唆するような文章はかえって適当ではないのではないか、というご意見ですね。

【田中委員】  先ほどもありましたけど、生活の不安とか、いろんな精神的苦痛があると思いますので、私は、そういうことを、ここでも随分いろんなことを、先ほども飯舘村の村長さんもおっしゃっていたし。だから、そういう意味では、会長がおっしゃるように、入れておいたほうがいいような気がするんですけど、いかがでしょうか。

【能見会長】  原案はそういう趣旨でできているつもりでございます。ただ、今後いろいろ議論していく中で、こういう精神的苦痛というのがあるじゃないかということでいろんなものが列挙されてくると思いますけれども、それがすべて賠償の対象としてふさわしい精神的苦痛かどうかということは全く別問題で、あるものは、指針で取り上げるかもしれないし、あるものは、そこまで賠償するのは適当ではないだろうということで指針からは外すこともあり得ます。そういう審査は今後きちんとやりますということで、そのことをあらわすために、この次の文章で、「これらが賠償の対象となる損害に該当するか否かを含め」となっているのは、そのことを強調した文章でございます。
 ほかの委員、ご意見ございますか。よろしいですか。もしそうであれば、ここで、草間委員のようなご意見もございましたけれども、一般的にはいろいろな精神的苦痛というのがあり得て、そういうものはここで一応検討しましょうという趣旨をあらわすために「様々なもの」という言葉を残しておいてもよろしゅうございますか。

【草間委員】  ええ。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ほかの点につきましていかがでしょうか。私のほうでもって精神的損害につきましては少し補足の説明を先ほどいたしましたけれども、避難場所等によって精神的損害賠償の額をそもそも分けることが適当なのかどうかということについて、若干、先ほど言いましたように、被災地の方から疑念などが表明されているということもあり、この点についてはさらに検討したいと考えますけれども、ただ、では、具体的にどうしたらいいかということについては、きょうはまだ原案ができておりません。しかし、何か委員の皆様のほうでご意見があれば、ぜひお聞かせいただければと思います。大塚委員。

【大塚委員】  今、会長が言われたこととの関係で簡単に一言だけ申し上げたいと思いますけども、この避難の仕方によって4つに分けること自体は問題なく、原案どおりでいいと思っていますが、先ほど来出てきた被ばくの曝露したことによる精神的苦痛とか、あるいは、それ以外どういうのを認めるか、これから議論するところだと思いますけども、先ほど来出ている、全く違う環境に住むことになったこととか、今後の生活の見通しが立たないことについては、これはおそらくすべての人が同じような精神的損害を受けている可能性があります。結局、そうすると4つの類型に分けるという部分が全体の精神的損害の中で占めるシェアが、今までこれが非常に重要だと思っていたんですけども、必ずしも全体の中では大きなシェアを占めるとは限らないというか、もう少し割合としては少ないのかもしれないというところが違ってくるだけで、基本的な考え方はこれでいいと思うんですけれども、それ以外にすべて避難した方が同じような精神的損害を受けている部分というのも実はあるのではないかという、そういうふうに受け取ればよいのかなというふうに思いました。

【能見会長】  ほかにございますでしょうか。どうぞ。

【鎌田委員】  私も今の大塚委員のご指摘と似たような印象を持っているんですけれども、もともと避難先に応じて段階をつけるという発想は、避難費用というものをどう賠償するかというところから始まった議論であって、実費主義をとったとすると、体育館、公民館その他に避難して実質宿泊費等を支払っていない人はゼロになっていいのかという問題が生ずる。ここのところを埋め合わせるために、考え方としては、1つは、相当な避難費用というのを想定するというのが1つの考え方ですけど、そうではなくて、慰謝料という形でそこを埋め合わせようというところからきたものだというふうに理解しています。そうだとすると、避難先に応じて段階づけられるというのは極めて合理的である。ただし、避難生活等を余儀なくされたことによる精神的損害という言葉の一般的な印象のほうに引きつけて考えていくと、避難先にかかわらず、みんな同じような精神的損害を受けているじゃないかという、こちらの議論がだんだん強くなってきているので、避難先による段階づけというものに対する疑問も提示されるようになったんだと思うのですけれども、現時点では、実質的な避難費用の賠償に代わるものとしての精神的損害の賠償を念頭に置いている。それにさらにつけ加えて、一般的な避難生活を余儀なくされたことによって普遍的にこうむる精神的損害と両方を賠償するんだということであれば、その点を意識して損害額の算定をしていくということでよろしいのではないかというふうに考えます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。はい、どうぞ、高橋委員。

【高橋委員】  私、法律学ですが、損害賠償法は専門ではありません。このような中間的な立場で申し上げると、精神的損害というふうにパッと出してしまいますと、一般の方は、誤解されやすいように思われます。その意味では、鎌田委員がおっしゃった趣旨を少しわかりやすくどこかに、見ればわかるんだろうと思いますけども、もうちょっとわかりやすくどこかにまとめて書いて頂きたいと思います。そのような説明があれば、精神的損害の趣旨が誤解されずに済むのかなと思いましたので、書き方を工夫していただければありがたいと思います。

【能見会長】  ほかに関連してご意見ございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、この点につきましては、今の皆様のご意見を踏まえまして、もう一度原案を練り直して、できるだけ早い機会、もちろんできれば次回に用意したいと思います。それでは、この第2のところは以上でよろしゅうございますか。
 そうしますと、次の第3、10ページからですが、「政府等による出荷制限指示等に係る損害」ということで、この部分についてのご意見をお願いいたします。これは次の第4も含めて一緒にやりましょうか、関連がありますので。13ページの風評被害の前のところまで、第3と第4をあわせてお願いいたします。ここは今までご議論いただいたものそのままでございまして、あまりご異論はなかった部分かと思いますが、もし何かご意見があれば。大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  細かい点で恐縮でございますが、11ページの2行目、3行目のところで、「その判断が不合理である場合を除き」というふうに書いてあるんですけども、これは備考のほうでございまして、指針のほうは、ローマ数字の1)のパラグラフ2つ目の「また」というところから始まっている2行目、「合理的な範囲内において」ということになっているところだと思いますが、これが対応していると思うんですが、法律家から見ると、証明責任を転換しているかどうかということを考えたときに、この表現が若干ずれているような気もしますので、11ページの2行目、3行目も「その判断が合理的である場合には」というふうにしたほうがいいと思いますけども、いかがでしょうか。

【能見会長】  ご指摘のとおり、この文章が証明責任との関連で議論されるということになると、書き方がどちらなのかということで違いが出てくる可能性があるので、そもそもどちらに証明責任があるかということから含めてご議論いただく必要があるかと思いますが、我々の原案自体、一応証明責任のことも考えておりましたけれども、時間の関係もあって実体的な中身を先に詰めることが重要であったために、証明責任が十分意識されていない部分もあるかもしれません。今改めてここで考えた場合に、どちらが適当なのかということですが、これはどちらがよろしいですか。

【大塚委員】  私の個人的な意見としては、「合理的な範囲内」でという指針のほうの文でいいと思っているんですけども、というのは、今まで既に作付けを断念した方については基本的に払うべきだと私も思っているんですけども、この損害賠償の指針が実際には、今後の行動指針として使われていく可能性があるということを考えると、あまり作付けの断念を促進するような書き方にしておくことはどうかなという感じもいたしますので、「合理的な範囲内において」の本文の書き方のほうがよろしいのではないかというふうに個人的には考えています。

【能見会長】  特殊法律的な問題かもしれませんけども、法律専門の皆さん、この証明責任まで考えたときにいかがでしょうか。中島委員が一番精通されておられると思いますが、いかがですか。あるいはこういうことを申し上げるのは今の段階で適当じゃないかもしれませんけども、証明責任のところまで十分考えてすべての文章がつくられているわけではないので、今ここで証明責任がどっちにあるのが適当かということまで確定するのは難しいかもしれないという気がするんですね。今、大塚委員は大塚委員でこの点についてご意見がございましたけれども、そういう意味では、この文章は証明責任のあり方まで決めたものではないという理解をしておくというのも1つの理解の仕方かもしれません。そして証明責任については後でもう1度検討するとすることも考えられます。けれども他方で、こういう文章を見たときに、法律家はすぐ証明責任を思いつくので、後回しにするのではなく、今ここで決めたほうがいいという考え方もありえます。ご意見をお願いします。

【大塚委員】  会長のご判断に委ねたいと思いますけども、もう一つ気になっているのは、この間も、前々回でしたか、前回でしたか、資料を出していただいたように、前のときは、最初に出荷制限指示が出たときは、これはもうだめだというふうに思われた方がたくさんいらっしゃったんだと思うんですけども、その後、解除している例はかなり出てきているわけですよね。そうすると、最初のときの印象と今の印象は大分違ってきているんじゃないかなというのが私自身の考えではあります。

【能見会長】  はい、鎌田委員。

【鎌田委員】  そもそも第3の1の指針が対象にしている範囲がどこまでかということが前提になっていて、私は、むしろ逆に、出荷制限指示対象品目の作付けの断念ということで、かなり狭いといいますか、出荷制限指示が生きている期間中に作付けを断念したものだけがここの第3の1の1)の対象になっているのだとすれば、どちらかといえば、作付けの断念をするのはやむを得ない。そういう意味では、「その判断が不合理である場合」というのは、例外的になるという理解の仕方はあり得るんじゃないかなと思います。そうなってくると、指針の本文と備考とで書き方が違うという問題が生じますけれども、備考のほうの書き方でもいいように思います。「合理的な範囲内において」という本文ですけれども、これは合理的な範囲内には2通りの意味があって、作付け断念自体が合理的かどうかという判断と、追加的費用であれば何でもカバーするかというと、これは当然、相当因果関係の範囲内ですから合理的な範囲内にという制限がかかってくるということと2通りの意味がある。指針の本文のほうは、私はむしろ、後者の意味で「合理的な範囲内において」という制限がかかっているというふうに読んでいます。そして、そもそも作付け断念自体が対象に含まれるかどうかという点については、基本的には含まれますが、不合理な場合は除きましょうというのが備考に書いてあることという読み方をしています。そういう理解でいくと、原文のままでいいのではないかと考えます。

【能見会長】  まず大塚委員、その後、中島委員、どうぞ。

【大塚委員】  ただ、指針のほうは、1)のほうの4行目で「断念を余儀なくされ」と書いてあるので、ここで合理的な範囲であることは入っているんじゃないかと思うんです。「また」のところでまた「合理的な範囲」というのは追加的費用の話で、その2つをあわせて備考のところで書いているということだと思うので、法律的にはずれているのかなという感じはしますけれども。気になっているのは、前回か何かで資料で出てきたように、出荷制限指示をした後で解除をしているものは結構増えているという状況をどう見るかということかなと思いますが、ちょっと細かい点ですのであまりこだわる気もないんですけども、一応申し上げておきたいというだけです。

【鎌田委員】  逆に大塚委員は、この第3の1の1)というのは、出荷制限解除後もずっと適用され続けると、そういうふうに読まれるわけですか。私は、出荷制限指示が生きている間の作付け断念だけに適用があるというふうに読んでいたんですけど。

【大塚委員】  それはそうなんですけども、その後、断念しちゃうと1年間は作付けしないという、例えばそういうことを全部損害に含めることになりますよね。それをどう見るかということだと思うんですけどね。

【能見会長】  それは、今大塚委員が言われたとおりです。それで断念して、1年間の間の営業収入が入らないということが損害になるというのはたしかですよね。確かにおっしゃったように、ここで文章がわかりにくいかもしれないのは、原案はあまり難しいことを考えているわけじゃなくて、賠償範囲の問題としておよそすべてのものが入るというわけではなくて、そういう意味では、合理的な範囲内のものが入りますということで、いわゆる相当因果関係のことを書こうとしただけなんですね。ただ、その問題と関連するといいますか、どう関連するかは若干難しい問題はありますけれども、そもそもこういった追加的な費用が発生した、あるいは発生させる行為自体が合理的な場合と合理的でない場合というのがあり得ると、これは鎌田委員が言われたように。そういうものについては、正面からはこの文章の中では触れていないと。大塚委員が言われたのは、むしろそちらのほうに関係する問題なんじゃないですか、賠償範囲そのものが問題というよりは。賠償範囲としては相当因果関係ということで構わないわけですよね。

【大塚委員】  ええ。両方です。

【能見会長】  ちょっと両方が混じっているんでしょうね。中島委員、いかがでしょうか。

【中島委員】  鎌田委員のご意見に賛成でして、確かに11ページの不合理の意味は、作付けを断念する判断が不合理である場合を除いているだけで、この作付け断念が合理的であれば、その追加的費用については、今度は合理的範囲で認めるという意味だとしますと、この11ページのほうは、証明責任の問題が加味されているとしても、このままのほうがむしろいいような気がいたします。

【能見会長】  そうですね。私もただ今ご発言いただいたような意味に思いますけれども、今のような理解だと、大塚委員とも、そんなにずれていないという理解になると思いますけども、よろしいですか。

【大塚委員】  はい、結構です。

【能見会長】  それでは、これは今ご意見がありましたように、指針そのものに書いてある「合理的な範囲内において」というのは、一応これは賠償範囲の問題についてのことで、11ページの2)の直前のところの、「その判断が不合理である場合を除き」というのは賠償範囲のことをいっているわけじゃなくて、作付けの断念自体の判断がどうかということをいっているので、文章としては、両者は対象が違うので矛盾があるわけではないと。また、証明責任のことを考えても、この書き方でおかしくはないということで一応ご了解を得たというふうに考えたいと思います。
 なお、証明責任等につきましてはもう一度精査したいと思いますけれども。

【高橋委員】  すいません、証明責任の議論が出おりますが、この点について申し上げたいことがございます。行政手続においても証明責任の議論が残るというのは、私は理解しているつもりですが、実際上は行政手続の場合には調査を行政がして合理的な範囲を決めることになっています。したがいまして、実際上、証明責任が大きな役割を果たすのかという点については、今までの先生方のご議論の中で私はよくわからなかったのです。その辺は、民法の先生はどういうふうにお考えなんでしょうか。

【能見会長】  この文章の書き方によって、裁判所等が基準をつくったときに、一体被害者のほう、請求する側に証明責任があるのか、あるいは加害者のほうに証明責任があるのかというのを、その文章を手がかりに判断する可能性がありますので、実際にそれが問題となるかどうかはともかくとして、文章としては、できれば、証明責任のことも考えながら文章を作成しておいたほうがいいことはいいんですが、ただ、今この指針の中でそこまで厳密にといいますか、時間も限られた中でもって十分検討できるかどうか、あるいはそのためにさらに時間をかけるべきかということになると、それはまた別な問題で、費用対効果の問題かもしれませんが、そういうことで今まで証明責任のことを意識して原案を作成してはおりますが、その点について徹底した議論まではしないで文章を作成してきたという経緯があります。少なくとも、私はそこまで十分意識して検討してきませんでした。ただ、今議論もありましたように、証明責任のことは、いざその点が問題となると、それについてどう考えるかということを明かにせざるを得ない。そういうことで今、多少議論があったわけです。
 それでは、もし特にほかにご意見がなければ、先ほど申し上げましたように、証明責任の観点から見ても耐え得るような文章にはしたいと思いますけれども、今問題となった点については、これで特に問題ないということでございますので、このままにさせていただければと思います。
 ほかに、この第3、第4のところに関してご意見があればお願いいたします。よろしいですか。
 それでは、この第3、第4のところは原案のままにさせていただくとしまして、「いわゆる風評被害」のところ、第5のところについてはいかがでしょうか。ここでは、先ほど事務局からの説明もありましたように、13ページのところにあるA案、B案というのがありますので、これも選択していただきたいと思いますけれども。大塚委員。

【大塚委員】  A案とB案は基本的に同じことだと思っているんですけれども、JCOのときにはA案のことも出ていたかと思いますが、敦賀の名古屋高裁の金沢支部の判決はB案の言葉がもともと書いてあるんですけれども、基本的には同一な内容だと思いますが、私がちょっと危惧しているのは、これからたくさんの方がこの指針を見て判断されるときに、判断の基準として、人によって判断が違ってくるようなことになることはできるだけ避けたほうがいいかなとは思っていまして、その観点からはA案のほうが、基準が何かというのがわかりやすいかなという気はします。B案だと「一般に是認できる程度の」で、「一般に」なので、そこをちゃんと読んでいただければいいんですけれども、一般に是認し得るかどうかを各人が判断するというふうに考えてしまう可能性が否定できないのかなというのが、私が心配しているところではございまして、その観点からはA案のほうがいいのではないかと思います。

【能見会長】  ほかにご意見ございますか。中島委員。

【中島委員】  私も大塚委員のご意見の賛成で、A案のほうが誤解もなく、同じ意味だと思いますけれども、より誤解のない表現としてはA案のほうがよいように思います。

【能見会長】  一般的には両者を同じものと理解する、あるいはそう理解してもらえると思いますけれども、A案をとる場合に次の点を確認しておきたい。それは、これは風評被害ということで、消費者とか取引先がこの文章を読みますと、「商品又はサービスについて、本件事故による放射性物質による汚染の危険性を懸念し、敬遠したくなる心理が」で、このA案では「平均的・一般的な人を基準として合理性を有していると認められる場合」、あるいはB案では「一般に是認できる程度の合理性を有していると認められる場合」とあり、確かにB案は少し一般的な表現で、少しぼやっとしている。それに対して、A案のほうが各人の個別の判断とは違って平均的・一般人を基準とするんだということで明確だと思うんです。ただ、こういうことがあるかと思うのですが、例えば消費者が母親であると、乳製品だとか、子どもにとって危険なものについては、男性よりは、あるいはほかの人よりは敏感に反応する。そういう意味では、平均的・一般的な人といっても、ほんとうに抽象的な人を考えるのではなくて、多少類型的な判断を許容すると考える必要があります。そういうような点を含めてこのA案を理解するのであれば構わないと思いますが、これは大塚委員も、あるいは中島委員も今のような理解でよろしいというお考えですね。何かご意見がほかにありますか。よろしいですか。そうしたら、A案を基準とするけど、今私が述べたような理解を前提とするということにさせていただきたいと思います。
 ほかの点はいかがでしょうか。はい、どうぞ。

【田中委員】  確認です。17ページですけれども、農林産物のところに「食用に限る」と括弧書きに書いてあるんですが、例えば汚染された木材とか、花なんかもどうもいろいろ風評被害に遭って出せないということも聞いているので、そういったものはどういうふうに、営業損害のほうで読むのでしょうか。

【能見会長】  今のような花、あるいは木材みたいなものは除外するという趣旨ですね、食用に限るという趣旨は。出荷制限などを受ければ、それに伴って売れないというのは典型的な営業損害ですが、ここはあくまで放射線による汚染を危惧して市場マーケットは買わないという場合の話ですので、その花等についての風評被害の問題であると。ところが、風評被害としては、今マル1のように、農林産物に係る政府等による出荷制限等の指示が出されたことがある区域において産出されたすべての農林産物であるが、今のような花とか木材は除外されるということになるので、ここでは取り上げられない。したがって、あとは19ページの備考3)、「1以外の産品については、引き続き市場動向等の調査、分析等を行った上で、今後検討する」ということで、ここについては、それこそ専門員を含めて市場等についてどんな動向であったかということを分析した上で判断したいということでございます。はい、鎌田委員。

【鎌田委員】  同じように、この17ページに関連して、確認のための質問ですけれども、マル1、マル2、マル3とも「農林水産物に係る政府等による出荷制限指示等」の後ろに括弧書きで「平成23年4月までのものに限る」という文言がついていることの意味なんですけれども、5月以降に出された指示というのは茶葉に関するものだけだと思うんですが、これは今の19ページの備考の3)の対象になって、今後の検討の対象であって、それは一切問題にしないというわけじゃないということの確認が1点と、それからもう一つは、これの読み方で、新聞記事などによっては、風評被害自体が23年4月までのものに限っていると読めるような記事の書き方になっているものがあったように思うんですけれども、これはあくまで出荷制限指示等の期間の限定であって、風評被害自体については期間の限定がないというふうに読むのがこの文章の素直な読み方のように思われるんですけど、それでよいかどうかという点についてのご確認をお願いしたいということでございます。

【能見会長】  少なくとも原案としてはそういうふうに考えております。それが適切かどうかということでのご意見は伺いたいと思いますが、第1点のほうの出荷制限指示等が平成23年4月まで出たものに限るという意味で、5月等に出た茶葉等につきましては、これは市町村単位というか、狭い範囲で出されたものですけれども、これにつきましては、さらに市場等の調査をしながらどういう状況にあるかを、まだ十分情報がないものですから、それを得た上で判断したいということです。
 それから、風評損害そのものの、ある意味で期間の問題、これは前回も少し問題となったと思いますが、現時点では、それについてどこまでの期間ということはまだ決められない状況かと思いますので、今のところは終わりのほうについての終点は、ここでは言及されていない。ただし、これはいずれちゃんとここでご議論しなくてはいけない問題なんだろうというふうに思います。

【鎌田委員】  そういうことを確認したという前提で、これはどこにお願いすればいいのかわからないんですけれども、現時点でも、こういう指針が出ることで、買い控えをしても生産者は賠償を受けられるということになりますが、逆に、そのことが根拠のない買い控えを促進することがないようにさせなければいけないということとワンセットで考えなきゃいけないと思いますので、文科省にお願いしても困るかもしれませんけれども、ぜひその点についてのご配慮を、関係機関にお願いしたいと思います。

【能見会長】  今、鎌田委員が触れられた点は難しい問題ですよね。ただ、現時点では、少なくともこの指針の中でも、その風評損害についての終期については、ここでは定めないという方針でございます。
 ほかにご意見ございますでしょうか。

【田中委員】  18ページのマル3の「放射線物質」とあるんですが、これは「放射性物質」ですね。

【能見会長】  そのように訂正いたします。
 ほかに。草間委員。

【草間委員】  15ページの上から3行目のところで、前回のこの審査会で出されたものでは、「むしろ必ずしも明確でない放射性物質」、これはすごくあいまいで、「必ずしも科学的に」というような言葉が入っていたと思うんですね。今回は「科学的な」というのをとられてしまっているんですけど、「必ずしも明確でない」って、何が明確でないかというのは、ちょっとこれはどこにかかるかというのもわからないような感じがするんです。だから、少なくとも、多分危険のほうにかかるんだろうと思いますので、「必ずしも科学的に明確でない」という、ここに「科学的」ときっちり入れていただいたほうがいいような気がするんですけれども、いかがでしょうか。

【能見会長】  確かにこのままの文章ですと、この「明確でない」は、何が明確でないのかはっきりしない、ちょっと変な文章ですね。これは「科学的に」という文章を入れていいんじゃないかと思いますが、ほかの委員はいかがですか。よろしいですか。そうしたら、そういう文章を入れさせてください。

【高橋委員】  先ほど鎌田委員がおっしゃったことについて、私も最初から、いわゆるこの委員会のミッションというのは、損害賠償の範囲を漏れなくきちんと迅速に確保できるようにするということだということを申し上げてきました。ただ、その一方で、損害賠償制度ではカバーできないような地域的な復興であるとか、損害を軽減する方策であるとか、その辺については政府にお願いするしかありません。他方、賠償についての指針を出させば、そのような政府の措置にも間接的に影響がありますから、そこのところはぜひ政府のほうと両輪をとって、あまり不合理なことにならないようにきっちりと全体として対処していただきたい、ということをお願いしたいと思います。

【能見会長】  どうもありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。

【中島委員】  先ほどこの二次案はもう一度、原案の一部修正をして次回というお話になったようにも伺ったんですが、きょうは確定しないということでしょうか。

【能見会長】  私が申し上げたのは、精神的損害の額につきましてはということです。

【鎌田委員】  私も同じようなことを申し上げようと思ったんですけど、先ほど高橋委員からのご指摘に関連して、少し修文をした上で次回に提示するというふうな趣旨で会長のご発言があったように思ったんですけれども、内容的には根本的な変更はないわけですし、迅速さも要求されているところですから、表現の修正については会長と事務局にお任せするということで、内容自体は今日決めてしまったほうがいいんではないかというご提案を申し上げようかと思います。

【能見会長】  できればそうしていただけるとありがたいんですが、中島委員、どうぞ。

【中島委員】  鎌田委員と全く同じ意見でございます。

【能見会長】  ほかの委員もよろしゅうございますか。それでは、先ほど具体的に文章として修正すべき点についてはこれを反映させ、第二次指針としてはこれを確定させていただければと思います。もうちょっと長期的に修文の必要な部分につきましては、またさらに検討させていただきたいと思います。確認する必要はありますか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  1点だけよろしゅうございますか。今まさに議論になった8ページと9ページの精神的損害の額の算定方法なんでございますが、多分、技術的には2つやり方がありまして、とりあえず今のお話のように、原案でこのまま第二次指針は決めさせていただいてという形と、もう一つは、先ほど検討されるということもございましたので、この2の「避難生活等を余儀なくされたことによる精神的損害の損害額算定方法」、この項目全体を落としてしまうというやり方もとりあえず今回はあるのではと思っておったんですが。

【能見会長】  いかがでしょうか。私は、できれば指針は、きょう確定できるのであればしたほうがいいだろうと思いますので、要するに慰謝料額のところだけ、若干、この文章は落ち着きが悪いので、本来、少し修文したほうがいいんだと思いますけども、そこだけ決まらない状態のまま、ほかのところはすべてこのままで確定するということでよろしいんじゃないでしょうか。

【鎌田委員】  今の事務当局のご説明は、8ページ、9ページにあるこの2全体を落とすというのも1つの方法だというご趣旨ですよね。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  はい。それで次に額と一緒にここも書き直して出すというやり方もあるかと思います。

【鎌田委員】  2の指針は引き続き検討するという趣旨で、中身はないですよね、ある意味では。いずれにしろ、引き続き検討するのですから、指針としてはここに書いておいて別に差し支えない。備考の中で、高橋委員がおっしゃったような趣旨が簡単に書き込めるようだったら、備考の中に書き込むことを会長と事務当局でご相談いただけないかなと思います。試みたけれども、なかなかうまく書けませんということであれば、それはそれでしようがないですよね、高橋委員。最終的な指針の確定は、次の段階以降でまた検討していくわけですから、その段階でもっと充実させることは可能だと思うので、落としてしまう必要はないのではないかなというふうに考えますが、いかがでしょうか。

【能見会長】  できれば、私としては、落とさないような形で残しておいたほうが、今鎌田委員が言われたように、引き続き検討するという形なので実害はないんですけど、ちょっと形が悪いので、もうちょっと修文ができればと思いますけれども、若干、そういう語尾といいますか、文章的な修文はお任せいただければ、形のいいようにまとめて、そこだけお任せいただいて、それ以外のところはすべてご承認いただくということで扱わせていただければありがたいと思いますが、よろしいですか。大変急がせて申しわけございません。やはりいろんな賠償などがどんどん進むという中で、できるだけ指針は迅速に出したいということもありまして、少しご無理を申し上げました。
 それでは、今のような扱いを第二指針についてはさせていただき、この内容でもって基本的に決定をいただいたという扱いをさせていただきたいと思います。
 それでは、今後の方針等も含めまして事務局からお願いいたします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  ただいま決定されました二次指針案でございますが、若干修文がございますので時間がかかるかもしれませんが、なるべく早く文部科学省のホームページに掲載したいと思います。
 それから、次回は6月9日木曜日の午後を予定してございますが、例によりまして、まだ場所等が確保できておりませんので、決定次第、事務局から正式に連絡をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。

【能見会長】  それでは、どうもありがとうございました。本日の議事はこれで終了いたします。

―― 了 ――

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(研究開発局原子力損害賠償対策室)

-- 登録:平成23年07月 --