平成23年5月23日(月曜日)15時00分~18時00分
文部科学省(中央合同庁舎7号館東館)3階講堂
能見会長、大塚委員、鎌田委員、草間委員、高橋委員、田中委員、中島委員、山下委員
笹木文部科学副大臣、林文部科学大臣政務官、森口文部科学審議官、藤木研究開発局長、田中原子力損害賠償対策室長、田口原子力損害賠償対策室次長
加藤 原子力発電所事故による経済被害対応室審議官、川上 原子力発電所事故による経済被害対応室審議官
園田農林水産物等輸出促進全国協議会部長、花澤食品産業センター専務理事、佐藤全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会会長、菅野福島県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長、定保株式会社帝国ホテル取締役、島崎全国旅行業協会専務理事、藤井日本バス協会理事長、谷口日本旅客船協会理事長、押田全国建設業協会専務理事、富田全国建設業協会技術顧問、高木福島県建設業協会専務理事、市川全国宅地建物取引業協会連合会専務理事、辻岡定期航空協会理事長、篠辺定期航空協会企画委員長、石山全国空港ビル協会常務理事、高橋成田国際空港株式会社取締役常務執行役員、新谷日本労働組合総連合会総合労働局長、小宮山全国生活衛生同業組合中央会専務理事、横倉日本医師会副会長、安藤全日本病院協会理事長、川井全国社会福祉協議会常務理事
【能見会長】 それでは、時間になりましたので、第5回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、大変ありがとうございました。
初めに、事務局から配付資料の説明をしてもらいます。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 お手元、1枚紙の議事次第がございまして、そこに議題と配付資料が書いてございます。配付資料のほう、資料1-1-1から1-3-5まで、若干項目が多くなってございますが、さまざまな事業関係のヒアリングの資料ということでございます。1回1回資料を引用いたしますので、もし不足の場合は、事務局のほうにお申し出いただきたいと思います。
それから、資料2として、第二次指針作成に向けた主な論点ということで、前回の資料の若干修正を加えたものがございます。
それから、参考資料といたしまして、前回の議事録(案)をつけてございます。
以上でございます。
【能見会長】 それでは、本日の議題に入ります。
まず、議題の1.被害等の現状についてでございます。本日は、食品関係、建設・旅行業界、労働関係、医療・福祉関係の諸団体の方からお話を伺いたいと思っております。適宜質疑も挟みながらご説明を伺いたいと思います。
それではまず、農林水産物等輸出促進全国協議会からお願いいたします。
【農林水産物等輸出促進全国協議会(園田部長)】 ご紹介いただきました、農林水産物等輸出促進全国協議会でございます。早速説明に入らせていただきます。
1ページ目をごらんください。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 資料は1-1-1でございます。
【農林水産物等輸出促進全国協議会(園田部長)】 私たち農林水産物等輸出促進全国協議会は、我が国の高品質で安全な農林水産物・食品の輸出を促進するため、平成17年4月に設立されました。
農林水産物・食品の輸出にかかわる業界団体と全都道府県で構成されており、全146団体となっております。私たち日本の農林水産物・食品輸出の促進のため、各種業者の支援をしてまいりました。
2ページ目をごらんください。我が国の農林水産物・食品の輸出額について、平成29年までに1兆円の水準を目指すという目標が掲げられております。平成19年までは輸出額は順調に伸びておりましたが、リーマンショックの影響から、平成20年、21年と一時減少に転じましたが、22年には前年比プラス10.5%と大きく伸び、現在の輸出額は4,920億円となっております。
右側の輸出実績をごらんいただきますと、地域としましては、アジアが4分の3と大きくなっておりますが、国別で見ますと、2位となる米国、6位となるEUなどを含め、全世界に対して輸出が行われていることがわかります。
3ページ目をごらんください。3月に起きた福島原発の事故を受け、加工食品、野菜、果実、水産物などの我が国の食品輸出に対して、輸出先38カ国・地域が輸入停止、放射性物質検査証明の要求、または検査強化といった規制を導入してきました。左の表のとおり、輸入規制措置の内容は国により異なりますが、原発周辺地域のすべての食品・飼料を輸入停止の対象としている国、検査証明を要求している国もあり、これらの国向けの輸出は、規制措置の導入以降、ほぼ全面的に停止、または激減している状況です。
他方、米国のように、日本の輸出制限措置と連動して規制が適用される地域や品目を限定している国もあります。これらの政府規制が緩和、撤廃されたとしても、日本産食品の安全に対する信頼は大きく損なわれており、輸出の急減により、輸出を行う農林漁業者、関連事業者に大きな被害をもたらしています。
4ページ目のグラフをごらんください。台湾向けのリンゴの輸出については、原発事故以前は前年を大きく上回るペースで推移しておりましたけれども、事故以降につきましては、輸出量が急減しており、4月は輸出がほとんどゼロに近づいているということがわかります。現地では、原発事故以前に輸入されたリンゴについても消費者が敬遠するようになってきており、需要が急減をしております。
5ページ目をごらんください。こちらは、イチゴの輸出についてでございますが、リンゴと同様、原発事故以前は前年を上回るペースで推移しておりましたが、原発事故以降は輸出量が急減しております。
先ほどご紹介した諸外国の規制措置が始まったのは3月末ころからであり、3月中は輸出ができていた国も、4月には輸出が激減しております。また、4月の貿易統計はまだ発表されておりませんが、輸出減が多くの農林水産、食品であらわれていると想定されております。
6ページをごらんください。ここからは協議会の事務局が商社や食品製造業者などから収集した被害の実例を紹介いたします。
まず、我が国から原発事故前、または輸入規制の発出前に発送された食品が、現地での検査不合格や取引先による受け取り拒否などのため、廃棄されるケースが発生しています。例えば香港向けのホウレンソウから香港の基準を上回る放射線が検出され、通関不可となった事例や、米国向けの野菜が到着後の検査に日数を要し、検査に合格はしたものの、腐敗して廃棄した事例があります。
これら検査不合格、または取引先に拒否されて廃棄となった事例などにつきましても、商品の価格が補償されるよう指針に位置づけることが必要と考えております。
7ページ目をごらんください。我が国が原発事故前、または輸入規制の発出前に製造された食品が輸入規制の導入や取引先の受け取り拒否のため、転売もできないまま意図せざる在庫となったり、やむを得ず廃棄するような事例が発生しております。スイス向けの小口輸出では、商品にそれぞれステッカーが張られているため転売できず、廃棄したというような事例がございます。
8ページ目をごらんください。これは、EUの輸入規制が発生する前にコンテナ積みされたものがコンテナ20本ほどあったわけですが、検査証明が求められ、日本の港で滞留しております。特定のラベルが張られている商品や小口の輸出で検査証明の取得費用がかさむため、出荷を断念せざるを得ないような商品がコンテナで四、五本分あるということで、転売できず廃棄になるようなおそれもあります。
また、輸出先国向けに特注したパッケージの食品は、その国の特定のスーパーでしか販売できないといったようなことがございます。輸入が再開されない限り、このような食品は廃棄となります。
このような事例には、既に被害が発生しているものもございますし、また、今後さらに被害が拡大することは想定されております。
9ページ目をごらんください。輸入停止などにより、安値での転売を強いられるような事例が発生しております。例えば日本から輸出された冷凍サバが、エジプトによる輸入停止を受けて通関できず、返送となった事例では、商品が小サバであったために、日本では養殖のエサ用の需要しかなく、返送に要した船賃や転売による価格の下落の被害が発生しております。
また、輸出向けに製造し、パック詰めの商品について、輸出ができなくなったために包装から取り出して転売したというような事例もございます。
このような事例のように、転売を強いられ、減収が生じたものについても、その損害を補償していただきたく、指針に位置づける必要があると考えております。
10ページ目をごらんください。損害額としては一番大きいと思われる機会損失についてです。輸入規制や取引拒否などにより、現在、輸出先国の需要は大幅に低下しております。これにより、輸出業者や食品製造者は、輸出部分の売り上げが大きく低下している状況です。例えば、輸出のシェアが7割以上を占める食品製造業者は、海外の需要急減により製造ラインを休止せざるを得ない状況にあります。国内向けの新規の市場開拓はすぐにはできないため、輸出に力を入れてきた食品製造業は大変苦しんでいます。
また、商社では、4月以降のEU向けの取引がゼロになったというケースもございます。
11ページをごらんください。検査費用は大変な負担で、輸出に大きな影響を与えています。相手国や取引相手から検査証明を求められるケースが増えていますが、特に小ロットの輸出の場合、品目ごとに証明書を求められることから、検査費用が多額になり、大きな負担となっているのが現状です。
例えばインドネシアに発送した食品について、相手国の政府が検査費用を要求するような事例がございます。この事例では、10検体で31万円の検査費用が要求されています。
また、あらかじめ輸出先国の政府が検査証明を要求する事例もございます。コンテナ当たり100から200の検査証明、つまり、100万円単位の検査費用を求められるというケースもございます。
いずれにしましても、検査費用を払わないと輸出が継続できません。我々が開拓してきた海外市場の販売店の棚が、このままでは別の国の食品に奪われてしまい、たとえ後で輸出が再開したとしても、一度失った棚を取り戻すのは非常に困難です。早期に検査費用について指針に位置づけていただくようお願いいたします。
私たち、これまで国の方針でもある農林水産物、食品の輸出促進に努めてまいりました。額としては、いまだ大きくありませんが、今般の原発事故による損害は、国内での影響よりも長期に及ぶことを懸念しております。ぜひとも指針に、輸出に関する損害を早急に位置づけていただき、特に検査費用の賠償など、輸出先の要求する検査証明書を迅速に提出することによって、海外市場での信頼を回復するなど、農林水産物・食品の輸出にかかわる関係者が一刻も早く輸出促進の取り組みを再開できるよう、委員の皆様のご検討をお願いいたします。
以上でございます。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
では、続いて、農林関係の方。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 食品産業センター、お願いします。資料は1-1-2でございます。
【食品産業センター(花澤専務理事)】 食品産業センターの花澤と申します。よろしくお願いいたします。
私どもの資料は、資料1-1-2というものでございます。食品産業、今の海外の輸出の問題含めて、特に、1番に書きましたように、食品は食べ物ということで、国内外を含めて、消費者、販売者、関係者から、非常に安全性について極めて敏感な商品であります。したがいまして、今般の原子力発電所事故により、避難区域の設定とか、あるいは出荷制限指示に伴う損害のみならず、いわゆる風評被害を含めてさまざまな問題が業種横断的に生じているところでございます。
なお、私ども食品産業センターというのは、食品業界は、全体として言えば、製造業の1割を占める業界でありますが、さらに細分化されていまして、例えば乳製品とかハム・ソーセージとか、パンとか、調味料類とか、冷凍食品とかたくさんございまして、私ども食品産業センターは、そういった食品業界共通の課題について活動している団体でございます。
それで、今般、ここに参上する前に、私ども、センターは財団法人ではありますが、大手会員企業、あるいは被災地の中小事業者に状況を聞いてみましたところ、まず、今般の原発関係の事故で、経営に影響があるといった企業が大体6割ございます。これは、被災地はもうほとんどですが、被災地以外の企業も聞きましたので、全国ベースで言うと6割ぐらいというところでしょうか。 ところが、特に輸出、あるいは海外で工場を展開しているような大手は皆さんそうですが、大手では逆に8割というふうに非常に大きな影響を被っております。
さらに、じゃ、具体的にどういう項目でということになりますと、一番大きいのが放射能の検査証明、あるいは安全証明を求められること、これが5割ぐらいの企業がそういうことでございます。
それから、2つ目は輸出ができなくなったことでございます。これは全体では4割ぐらいですが、特に大手は、食品企業といっても、海外依存率がだんだん高まってきておりまして、6割ぐらいの企業がそういった影響を受けていると。
それから、3番目が、範囲が広いんですが、風評被害でございまして、全体で3分の1、中小では特に被災地の企業が多いので、8割強はそういった影響を受けているというようなことでございまして、総論として大変大きな損害を受けているという状況でございます。
それでは、また紙に戻りまして、1の(1)から若干敷衍したいと思います。
まず、(1)ですが、放射能検査に係る機器の購入費、あるいは人件費、検査証明取得費等のコストの増大でございます。これにつきましては、直接の食品以外でも、特に食品に関係が深い水の問題、出荷制限等の対象食品以外でも、工場所在地域で水道水から放射性物質が検出されたということで、摂取制限等が行われたところの周辺では、直ちに水、それから、その水を使った製品についての検査を求められて、検査設備を導入せざるを得ないというような例が幾つも出ております。
それから、(2)としましては、いわゆる原材料の調達先の変更に伴うコストの増大、あるいは生産の停滞でございます。例えば惣菜関係のあるメーカーでは、出荷制限の影響で、野菜、乳製品が調達できずに、メニューを全面的に見直さなければならなかったとか、あるいは食品業界は非常に農業との結びつきが当然強くて、いわゆる契約栽培で農家から原料を購入している、そういったところにつきましては、どうしても今回の事故に伴って、契約栽培を1年間ストップしなきゃいけないというような事態、それに対して、農家への補償措置、さらには調達先を、今まで例えば福島県産キュウリというのを使っていたものを変えなきゃいけないので、そうしますと、パッケージを全面的に変えなきゃいけないというような包装資材の変更等、いろいろなコスト増が伴っています。漬け物とか果汁とかいろいろな業界でそういう状況が生じております。
それからもう一つ、これは日本の国産の農産物を応援しようという形で、福島県産のキュウリを使っていますよとかいう強調表示をパッケージにしているんですが、これが使えなくなってしまって、変えなきゃいけないということで、これも大きな問題です。
それから、さらに大きなのは、今回、契約栽培等で、今年はやめましたけれども、来年以降、果たして収穫されたものが安全であり、かつ消費者から受け入れていただけるのか、この辺が十分見通せないというのがこれからの問題として大きな問題であります。
それから、(3)として、取引先からの製品、原材料に加えて、包装資材とかキャップの放射能の安全証明書の提示要求等による負担増というのも大きくなっています。
それから、(4)は節電対策によると書いてありますが、計画停電が非常に大きかったのですが、要するに、特に数時間以上の発酵工程を要するような製造ラインというのは、例えばヨーグルトでいいますと、6時間ずっと動いていないといけないわけで、途中で計画停電でとまってしまうと発酵がストップして、もう一回やろうと思っても、そのものが使えないということで、例えば納豆ですと2日間48時間ぐらいかかりますし、パンですと10時間ぐらいかかるということで、どっかで計画停電でとめられると、そこで全部動いていたものがストップせざるを得ないということで、大変な生産のロスが生じたわけでございます。
それから、後は自家発電導入に伴ういろいろなコスト増がございます。
それから、海外原料の輸入のおくれ。特に、貨物船が海外から、例えばトウモロコシにしても小麦にしてもいろいろなものを入れてきますが、その貨物船が日本の寄港を忌避する、要するに、乗組員が放射能汚染をおそれて、日本には寄港したくないというようなことで、これは今現実に、配合飼料――トウモロコシですが、これの船が東北沿岸に来なくなって、大変大きな問題になっております。今後、小麦なんかがもし仮にこうなってきますと、またまた大きな問題になると思われます。
それから、7番目といたしましては、加工食品の原材料とか包装資材の輸出停止に伴って、海外で日本企業は工場を展開していますが、そこの海外の工場の、例えば下に書いてございます調味料とか、あるいは容器のキャップとか、こういったものについて相手国が輸入規制しておりまして、例えば中国にあるいろいろな工場では、代替品がすぐは手に入りません。特に調味料なんかは、非常に微妙な配合をしているものですから、なかなか代替品がございません。したがいまして、もう間もなく在庫が切れてしまって、この操業が困難になるというような状況がございます。
あと、通常皆さんご案内の、輸出のキャンセル、返品による大きな問題。それから、シップバック損害、この辺は先ほどお話がありました。
それから、(10)としましては、いわゆる青果物、水産物等の生鮮食料品等を取り扱います卸・仲卸業者においては、返品、契約破棄、取引の不成立ということ、さらには、市場価格の低落、そして、返品に伴う廃棄処分等に要する追加的費用の発生等が生じております。これが全体としての状況でございます。
2.といたしまして、今後見込まれる食品産業への影響ということで、(1)として、この災害が収束せずに長期化すれば、生産コストの増大、売り上げ、雇用等に非常に大きな影響を及ぼすということ。
それから、(2)として、電力の使用制限によりまして、生産性の低下、工程のロスの発生、固定費の増大による原価上昇が大変懸念されます。
あるいは再三申し上げましたような安全性証明のコスト増の問題、それから、今後大きいものは、仮に原子力災害問題が収束したとしても、当該地域産品への風評被害は継続する可能性があること。さらに、海外におきましては、風評被害による海外市場の日本食離れが大変心配でありまして、日本食レストランの客足の低下とか、そのレストランを顧客とする日本の製造業の売り上げ減が予想されるというようなことでございます。
最後に、いろいろございますが、特に強調してお願いしておきたいのが3.でございます。まず、繰り返しになりますが、(1)でございます。現在、放射能検査は各企業が負担しておりますが、本来、事故がなければ発生しない負担でございますので、放射能検査に係る機器の購入費、人件費等を含めた検査に係る費用は賠償の対象となる損害に認定していただきたいこと。
2つ目、出荷制限あるいは出荷自粛要請に伴いまして、原料の調達先の変更を余儀なくされた場合の製造コストの増大分、あるいはいろいろな販売、生産が停滞したことに伴います減収分、これについては、当該出荷制限指示等により、通常生ずるべき損害として損害の対象に認定していただきたいということ。
3番目ですが、輸出先国の通関停止とか原料調達先の変更に伴って実質的に損害を受けた金額等につきましては、各企業それぞれ取引関係書類等を保管しておりますので、そういったもとで明確になるものにつきましては、賠償の対象に認定していただきたいこと。
さらに、4番目といたしましては、国内の出荷制限、あるいは出荷自粛要請等が行われたことによりまして、対象区域、対象品目以外にも、周辺県あるいは同一県内の他の品目等につきまして、返品、契約破棄、取引の不成立、あるいは価格下落等の損害が発生しておりまして、この4番目につきましても、ぜひ賠償の対象となるよう認定をお願いしたいと思います。
最後、次の4ページに書いてございますのは、先ほど申し上げました検査機器導入に当たっていろいろお金がかかっていること、あるいは節電に対応した発電施設の整備にお金がかかっているような実態を表にしてまとめたものでございます。
以上でございます。ありがとうございました。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 若干補足をさせていただきますが、お手元に1-1-3という農林水産省の資料がございます。こちらは既に農水省からは2回こちらで説明していただいたんですが、それらも含んだ資料を新しく作成していただいています。今日、説明はございませんが、お手元にお配りしてございます。
【能見会長】 それでは、ここまでが農林関係でございますので、一たん、質疑応答のための時間をとりたいと思います。委員の皆様で何かご質問があれば、あるいはご議論があればお願いします。
【鎌田委員】 食品産業センターさんの報告で、すでに説明があったのかもしれませんけれども、ここで言う食品産業にはどこまでの範囲が入っているのかについて、簡単にご説明いただきたいと思います。
【食品産業センター(花澤専務理事)】 私どもが言っている食品産業というのは、広い意味では外食とか流通まで入りますが、私ども食品産業センターの守備範囲は、メーカー、食品製造業でございます。ただし、食品製造業といっても、当然、流通、外食との関係が深いものでございますから、先ほど卸売市場の問題とか、そういうことも付言させていただきましたが、主としては、メーカー、食品製造業でございます。
【能見会長】 はい、どうぞ。
【高橋委員】 食品産業センターの方にお聞きします。今まで、るる事実上の影響としてどれだけ被害を受けたかということをご説明いただいたんですが、3ページの最後に損害の範囲ということで、特に特記事項を認定していただく必要があると考えると書いていただいています。そうすると、最後のご主張の趣旨は、指針に具体的に入れていただきたい項目はこういうものがあると、こういうご主張だというふうに受け取ってよろしいでしょうか。
【食品産業センター(花澤専務理事)】 はい。そうでございます。
【高橋委員】 どうもありがとうございました。
【能見会長】 田中委員、どうぞ。
【田中委員】 ちょっと確認させていただきたいんですが、各メーカーがゲルマニウムとかNaIとか、こういったものを購入しているようですけれども、これによって、独自に測定したことで、その後はこの証明か何かで問題なくなっているんですか。きちっとこれをはかることによって、何かつけることによって、その後の影響というのはどういうふうになっているんでしょうか。
【食品産業センター(花澤専務理事)】 まず、メーカーですから、当然、流通業、小売、卸から求められますので、まず、そういったデータを流通関係者に提供して、それぞれの商品については、安全ですということをご説明する。
それから、特に流通のほうから安全性を示したデータを示してくれとよく言われますので、それについてお示ししているということでありまして、データを示すことによって、流通のほうからもご理解いただいていると考えております。
【能見会長】 ほか、いかがですか。
【草間委員】 よろしいでしょうか。
【能見会長】 はい、どうぞ。
【草間委員】 今のに関連して、検査費用という形で、しかもそれは証明書が必要という形ですよね。検査は、検査機器があれば測定できるというものじゃないような気がするのです。どういう測定方法で、どのような結果が安全かという判断が必要です。安全か危険かという問題ではありませんが、機器があれば測定できるというものじゃないような気がするんですが、機器を購入して測定して、例えばNaIの測定値はこうでしたと言えば、それが証明書にもなるわけですか。
【食品産業センター(花澤専務理事)】 まず、この機器は、比較的取り扱い自身はそんなに難しいものではありません。それで、技術を習熟するために企業の人がそんなに時間をかけるというほどのものでありませんので、すぐ測定自体は、技術はできます。それで、それぞれの流通業者に対して、その測定データを示すことによって、安全であるということを、安全証明と俗に言いますけれども、そのデータを提示して、ご理解いただいているというところでございます。
【能見会長】 よろしいですか。
ちょっと1点だけ伺いたいのですが。輸出関係に関連してですけれども、日本で安全証明、あるいは検査をして安全証明がとれると、これは海外では大体パスするものですか。それとも、海外はそれだけで安心しないで、独自の要求をしたり、検査したりすることがあるんでしょうか。
【農林水産物等輸出促進全国協議会(園田部長)】 米国の場合は日本からの証明書の提出は要求されない。ただし、現地で必要な検査・分析をする、あるいはFDAのほうで自主的に検査・分析をするというケースはございます。
そのほかの場合は、日本から外国の要求に応じて証明書を提出する。さらに、その証明には、産地証明が必要な場合が多々ありますので、そういったものについては、都道府県が証明を出すということで、手間はかかりますけれども、そういう形で対応しているということです。
【能見会長】 ほかはよろしいでしょうか。そうしたら、一たんここで農林水産の関係を終わることにいたします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは続きまして、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会様、お願いします。資料は1-2-1になります。
【全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(佐藤会長)】 それでは、私のほうから、旅館・ホテル被害の概況につきまして説明をさせていただきます。
福島原発事故に伴う放射能汚染の風評被害が福島県を中心に全国規模で拡大しており、全国各地の旅館・ホテルが大変厳しい経営環境に直面しております。
それは大きく分けて3つあると思います。1つ目は、福島県の風評被害、これについては、福島県の理事長が来ておりますので、後ほど説明させていただきます。
2番目、福島県隣県での風評被害。福島原発事故の被害は、野菜、牛乳、魚介類の出荷停止のあった北関東、茨城、栃木、群馬等においても発生しており、宿泊客の減少が大きい。茨城県の施設でも休業となっていたり、5月のゴールデンウイークでさえも、売り上げが昨年の5割となっている。栃木県では、風評被害による老舗大型旅館の倒産も発生している。また、震災の被害が少ない山形、秋田でも、前年売り上げの5割にも満たない施設が多い。これも原発の影響だと思っております。
3番目、全国規模での風評被害。これについては、外国人のお客様が多いので、後ほどホテル協会さんのほうから説明させていただきます。
この原発の被害が広がった理由として我々が考えていますのは、3つあると思います。その1つが、震災後、1カ月も過ぎてから、これまでと一変して、国際原子力事象評価尺度をチェルノブイリ並みの最悪のレベル7と発表したこと。2つ目は、東電が福島第一原発の安定に6カ月から9カ月かかると発表した。しかし、この計画も難しく、放射能漏れの恐ろしさがますます強まっている。そして3番目には、日本政府が福島第一原発から20キロを避難区域としておりましたけれども、アメリカをはじめ諸外国では80キロを避難区域としており、そごが生じ、国民に疑心暗鬼が生まれたこと。その結果、福島原発から60キロメートルにある東北新幹線、東北自動車道などを通過して東北に来たくないというお客様も出てきております。
次のページにありますけれども、ゴールデンウイークでは、一時的に宿泊客が戻ってきた温泉地もありますが、それは福島県の原発から少しでも離れて休息したいという隣県のお客様であり、親戚、知人の安否確認を除き、わざわざ東京から原発に近づいて休息したいと思うお客様はいなかったと思います。また、旅行業者からは、数カ月先の大口団体を予約した場合、もし福島原発でさらなる事故が発生したらすべてキャンセルになるので、今年は西の観光地に行くと言われております。
こういった被害がたくさん発生しておりますので、ぜひこれも補償していただきたいと思います。
3番目につきましては、ホテル協会のほうから説明させていただきます。
1番については、福島県の菅野理事長から説明をお願いします。
【福島県旅館ホテル生活衛生同業組合(菅野理事長)】 私は、福島県旅館ホテル生活衛生同業組合の理事長で、菅野豊と申します。福島県は、東北の玄関口として、人口205万5,000人、面積は1万3,702平方キロメートルを持ち、会津、中通り、浜通りの地域に分かれ、東北最大の観光地であります。
平成21年度の総観光入り込み客数5,622万5,000人の利用があり、そのうち観光宿泊者は712万人、外国人は5万6,870人となっています。
私の住む郡山市磐梯熱海温泉は福島県の中央に位置し、福島第一原発より直線距離約70キロの場所にあり、旅館数26軒で、観光入り込み客数は82万人の利用がありますが、その中で経営する当社は240室規模で、年間18万人の宿泊利用客があり、30億円ほどの売り上げを上げております。
今回の地震が起きた3月11日の翌日から原発が爆発するとの情報が飛び交い、新潟県に抜ける49号線はいわきナンバーの車で大停滞をし、このころから当社にも原発による観光客のキャンセルが出始めました。当社では、大震災の3月11日から4月15日までの約1カ月間のキャンセルは1,763件、2万8,485人となり、キャンセルの売り上げ減は約4億3,000万となってしまいました。今日は、予約台帳をお持ちしました。これは3日間の数字でございます。3日間のカードだけです。
また、当社の従業員は、震災以前300名ほどおりましたが、3月末で半分となってしまいました。これは、ほんとうに地域に与える影響は深刻なものがございます。また、私が加盟している福島県旅館ホテル生活衛生同業組合の会員数は614施設です。4月現在、浜通りで70%が休業、中通りでは30%が休業、会津では10%の休業となっており、このたび組合員を対象に損害調査をしたところ、回答件数298施設から返答があり、平成23年3月11日から平成24年3月10日までの今年度総売り上げの損害見込額は約360億円、前年度売り上げの約51%減となっています。
ちなみに、福島県全体の宿泊旅館ホテル数2,300軒で、福島県旅館ホテル生活衛生同業組合員も含め、組合員の調査をもとに算出した損害見込額は約1,500億に上るものと推測されます。
原発は常に安全だと信じ、福島県民は今、原発、津波、地震、風評被害の四重苦にさいなまれております。観光客は、いまだに福島県は放射能があり危険だからとか、車も福島、いわきナンバーは中古車では引き取りがないとか、たまに予約の電話が入ると、被災者はおるのですかと聞かれ、被災者がいると旅館には泊まりたくないという心理が働くせいか、電話を切られ、今も予約ゼロの状態が続いております。原発が収束しない限り、この状態はまだまだ続くのだと思います。
このような状況のもとでは、観光客はもう戻ってこないのではないかという不安でいっぱいです。既に県内で25軒の旅館が廃業に追い込まれ、これからの旅館経営を維持できなくなっているのは明らかであります。一日も早い原発の収束を祈ると同時に、以上の事情を考慮に入れ、原発による宿泊施設の損害に対し、原子力損害に基づく賠償措置を講じていただきますよう強く要望します。
【全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(佐藤会長)】 あとホテル協会さんのほうから。
【帝国ホテル(定保取締役)】 日本ホテル協会を代表いたしまして、簡単にご説明させていただきます。私、帝国ホテルの定保英弥と申します。よろしくお願い申し上げます。
ご存じのように、ホテルの場合は、大きく分けますと、客室部門、宴会、レストランと3つの大きな事業に分かれますけれども、特に客室部門の減収が大変大きく、経営に影響を及ぼしているという状況でございます。
ホテル協会加盟の主要ホテルの現時点での状況によりますと、3月から5月、これは見込みでございますが、特に収益率の高い客室部門の売り上げは、前年比にいたしますと46.5%、約半減となる状況でございます。
震災が起きまして、私ども帝国ホテルの場合でも、3月いっぱいだけで1万3,000室の客室のキャンセルがございました。やはり原発の風評被害の影響による外国人の来日がぱたっととまり、4月に入りまして、私ども帝国ホテルの場合、客室の稼働率が33.8%ということで、前年比49.9ポイント、約50ポイント下がってしまいました。やはり大きな理由は、外国人のお客様が前年に対して82%宿泊客数が落ちてしまったことです。大体4月でございますと、私どもの場合、平均500名近く外国人のお客様がご宿泊されるのですが、今年の場合は、約80名前後ということで、大きく激減をしました。これは、都内の主要ホテルを見ましても、平均34.4%の稼働率、前年比43ポイントのマイナスということでございますので、都内主要ホテルはどこも同じような状況という現時点での状況でございます。
また、宴会、それからレストラン、こちらのほうにつきましても、やはり宿泊の客数、特に外国人のお客様が減りますと、レストランならびに宴会の利用が減り、大変大きな影響を及ぼしております。この先の予約状況の中でも、観光庁を中心に、ホテル協会、それからメンバーホテルと一緒に推進してきましたMICEという、ぜひ日本にいらっしゃる外国人のお客様を増やしていこうという運動をしてきたのでございますが、その中の1つ例を申し上げますと、6月に受注しておりました流通業界の国際ネットワークの大きな国際会議。1週間で延べ2,500室の宿泊が予定されておりましたが、これはやはり残念ながら、今回、東京での開催を見送るということが起きております。
現時点では、営業所の縮小、営業時間の短縮などによりまして、いろいろと対応いたしております。原発の事故のなかなか先が見えない中、これが収束したということであっても、我々ホテルの場合は、その後大体半年たってようやく通常の営業に戻れるという過去の経験から、今回の場合はまだまだ、半年のみならず1年、1年以上かかるのではないかという危機感を持っております。その辺も含めまして、ひとつご検討のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 以上でございます。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 続きまして、資料1-2-2になりますが、全国旅行業協会様、お願いします。
【全国旅行業協会(島崎専務理事)】 全国旅行業協会でございます。今日は、こういう機会を設けていただきまして、大変ありがとうございます。それでは、座らせていただいてご説明をさせていただきます。
資料1-2-2でございます。まず、1ページめくっていただきまして、旅行業というのは、皆様方ご承知だと思いますけれども、私どもの協会はここに書いてございますように、旅行業の中でも中小零細の旅行業でございまして、全国に5,500ほどの会員がございまして、地域に密着したような形で旅行業を営んでいるというところでございます。会員の規模は、100人以下の企業が90%ということでございまして、地元と密着しながら商売をしているというところでございます。この前の東日本大震災に引き続く原発の事故によりまして、特に東北地方、福島県を中心に非常に大きな被害が出ております。
2ページで、福島県の被害状況というのを書かせていただいておりますが、東北の各県との比較でございます。必ずしも全会員が回答したということでもございませんし、県によって会員数も違いますが、福島県のキャンセル件数が一番多く、人数、それから旅行代金においても非常に大きいというところでございます。
これもご承知かと思いますが、旅行業の場合、いわゆるパッケージツアーみたいな主催旅行、お客さんからの依頼を受けての手配旅行、それから、外国人が日本に来られるときの、いわゆるインバウンドと言っている旅行、こうしたものがございます。それから旅行会社としては、特に私どもの会員の場合は、それぞれの地域において事業を営んでおりますので、地域のお客さんをほかの地域へ送り出すという仕事、それから、他の地域からそうしたお客さん方を受け入れるという仕事、インバウンドもそういう意味では、広い意味でのそうした受け入れ、着地型の旅行と言っておりますけれども、そういうものに該当するかと思いますが、今回の原子力事故によって、非常に大きな痛手を被っております。特に、被災地のみならず、全国的に非常に風評被害というようなことがございまして、ご承知のように、日本は危なくて来ないんだというのでインバウンドなんかも非常に減っているわけでございますけれども、そうした形で非常に大きな影響が出ているということでございます。
3月11日に震災がございまして、それからほどなくして原子力の問題が出てまいりまして、3月11日以降はほとんどの旅行業者に、電話が鳴ればキャンセルの電話ばかりだというような状況になっておるところでございまして、そうした意味で、旅行業者もそうしたキャンセルによる、それから、その後仕事が入ってこないことによる、いわゆる得べかりし利益の部分、これについて、ぜひよろしく補償の道を開いていただきたいと思うわけでございます。
3ページ目のところでございまして、これは私どもで共済制度というのをやっておりまして、旅行会社が自分のところで掛け金を払って、旅行していただくお客さんに対して、保険もあるんですけれども、共済というのは、不幸にして旅行中に死亡されたというようなときに見舞金の出る制度でございまして、これは大体同じような旅行会社が同じようなベースでこの共済にかけておりますので、これを見ていただくと、昨年との対比でどれぐらい旅行が減っているかということをご理解していただくのにいい資料だということでこれをお持ちしております。
それで、3月、4月、それから5月は半月ほどでございますけれども、これを前年と比べますと一目瞭然でございますけれども、やはり福島県が非常に落ち込んでいるという状況でございます。これは、5月は半月分でございますので、1カ月で見るときは倍ほどにして見ていただければありがたいんですけれども、福島県がやはり回復の度合いが非常に遅いということで、福島県は地震の被害もございますけれども、それにプラスして原子力の被害が及んでいるということで、それがなかなか回復できないということでございます。
それから、問題点は、先ほどからもございましたけれども、将来的にもこの原子力の問題というのは、その問題が解決しないとお客様が帰ってこないし、地域の人も旅行しないということで、その影響がかなり長時間続くんじゃないかということがあろうかと思います。阪神・淡路大震災のときに、やはり私ども旅行業者も、兵庫県を中心に被害を被ったわけでございます。そのときには、大体半年ぐらいして、ようやくお客さんが戻ってきたかなというような状況がございましたけれども、今回の原発の被害の場合は、そうしためどが全く立たないということで、福島県の数字なんかを見ておりますと、むしろ6月以降もかなりの水準でキャンセル、絶対額が出ておりますし、先の予約なんかほとんど入ってこないというようなことがございます。
それから、全国から、先ほども申し上げましたように、福島県へ送り出すほう、これもなかなか難しいというところがございます。ちょっと一番後ろの6枚目の資料を見ていただきますと、全国の会員の被害状況というのを、先ほど申し上げました共済制度の数字を使って見たものでございます。これもごらんいただくと一目瞭然でございますが、やはり東北の数字が圧倒的に低い。全国的に今回の震災、それから原子力の事故で、旅行業界はご承知のように、観光産業というのは、こういう事故等がございますと、真っ先に影響を受ける業界でございまして、旅行の自粛があったり、あるいは風評被害等から、もう旅行をやめてしまうということになるわけでございまして、これを見ていただくと、全国的にも被害が出ているんですが、東北を中心に、東北、関東、京浜、北海道、北信越と、福島を中心に、福島に近い地域が非常に影響が大きいというような状況にございまして、そうしたことから、この原子力の被害は非常に大きいというところでございます。
福島の会員に聞きましたら、4ページのところから挙げさせていただいておりますけれども、震災以降、ほとんど旅行需要がないので、開店休業だと。従業員も解雇している。それから、営業は再開したけれども、原発の問題が収束しないと、全く営業ができないというようなことですとか、中学生のスポーツ大会が、原発を理由に他県に行ってしまったとか、それから、1ページめくっていただきますと、5ページで、ひどいのは、旅行先で福島県ナンバーの車だったら、コンビニの中入ってくれるなというようなことを言われているというようなことで、そんな状況から考えますと、もう福島県に旅行に行こうかというような気持ちには、お客さんがならないというような状況でございます。
そうしたものが、福島だけではなくて、その周りの地域にも生じている。例えば関東だとか、周りの近県にも生じているというような状況になっておりまして、そうしたことから、まさにこれからどう旅行需要が回復するまで食いつないでいこうかというあたりをほんとうに心配しているというような状況でございます。そうしたことから、ぜひ旅行業界のキャンセル、風評被害等々に基づきます得べかりし利益、この部分をぜひ補償していただけるようによろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 続きまして、日本バス協会様、お願いします。資料は1-2-3になります。
【日本バス協会(藤井理事長)】 日本バス協会理事長の藤井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
資料1-2-3に基づきまして、バス関係の被害状況及び今後のこの被害に対する賠償の考え方を申し上げます。
バス事業でございますけれども、外観を一言だけお知りおきいただきたいと思いますが、ご承知のように、日々生活輸送、あるいは高速バスといったことで、定期の時刻表をもって運行しております乗り合いバス、これが大体1年間で43億人ぐらいを全国で輸送いたしております。9,900億ぐらいの営業収入。
一方、先ほど旅行業界のほうのお話もございましたけれども、主として観光需要、これに応じながら、あるいは地域の団体旅行でございますとか、こういった福島のあたりでございますとか、いろいろな行事で雇われているチャーターされるバス、これが貸し切りバスでございます。これが大体4,000億強の1年間収入を上げておるというような状況でございます。
今回は、福島の事例を中心に申し上げます。
福島では、乗り合いと貸し切り事業を両方やっている事業者が私どもの加盟でございますが、9事業者、全部で1,274両という状況でございます。また、比較的小規模の貸し切りバス、これは地域密着型で、その地域のまさに貸し切りとして、いろいろな団体行事、レクリエーション、こういったものを含めて、あるいは市町村のご要望に応じたさまざまな輸送をチャーターでやっております貸し切りバス専業、これが16事業者326両、私どもの協会に加盟しておるところでございます。
今回の被害状況でございますが、まず、警戒区域として20キロ圏内、これが今設定されておるところでございます。当初は、30キロ圏内とかいろいろな形で対応がされておりますが、だんだんと変わってきておりますが、この一番コアとなっております20キロ圏内に営業基盤を置いております事業者はおるわけでございます。乗り合いバスでございますと、そこに書いてございますような新常磐交通、こういったところは営業所を現にこの中で抱えておりまして、これらの事業所に、乗り合いで19両、貸し切りで32両が、とりにも行けず、復旧もできず、路線も営業も全くできない、こういう状況になっておるわけでございます。
さらにまた、周辺部を含めたバス会社、福島交通さんの状況、あるいは先ほどのいわきを基盤としております新常磐交通さんのヒアリングによりますと、この30キロ圏内、当初はこんなのは、30キロと20キロの取り扱いについてさまざまな問題が発生して、南相馬市長の非常に世界的なメッセージが伝えられました。ここでも乗り合いバスは全く入れない。安全性を持って運行ができなくなってしまったということで、当初は30キロ内も入れないというような状況でございました。現実を見ていただきますと、道路の復旧工事もなされておりません。ほとんどそのまま。かつ、線路もそのまま。全く時間がこの2カ月余、徒過しているというような状況でございます。
また、周辺部の運行中のバス、これも多くの避難者、あるいはまた、さまざまに、通常でありましたら、ちょうど旅行シーズンの大変いい時期でございます。貸し切りバスも乗り合いバスもいっぱい、花が開く時期に来るのに、旅行業者の方々等一緒になって、ちょうど盛り上がる時期でございますが、避難の方々の厳しい状況、また、みずから受けたさまざまな被害の状況、そしてまた、風評被害、旅行に対する差し控え、こういった状況からほとんど、どの事業者も大幅な減収を余儀なくされているという状況でございます。
先ほど来、ホテルや旅館や旅行業の方々からのお話もございましたけれども、これは福島県のみにとどまらず、北海道から沖縄まで及んでいると言って過言ではないということでございまして、早く収束していただきたいというのが切なる願いでございます。このまま放置しておれば、さらに損害額の拡大がおそれられるところでございます。
したがいまして、また、このような状況が続いていく中で、早く賠償措置をとりあえず講じていただく。このままほうっておけば、どんどんどんどん地域の旅行を支えるバスとか、それはもう倒れていきます。その点も、法制度もあろうかと思いますけれども、適切な対応も求められるところでございます。
何より世界的にもチェルノブイリ並みと言われるレベル7ということが報道され、今はインターネットの時代でございますから、若い方も、これは当初から大変な事件として世界で報道されたわけでございまして、一人、福島県内のみならず大変な影響を受けているわけでございます。
さらに先ほど来お話があった食品や水が安全でなくて、その地へ訪れる、バスに乗って行こうという方はおらないわけでございます。
それから、学校に通う子供たち、スクールバスをどうするかとか、そういったものも、企業だって生産をすべてストップする、あるいは減産する、こういったことでありますと、バスの需要というのは極めて減少していると、こういうことでございます。
これは先ほど来申し上げますように全国的な状況もございまして、3ページにございますが、貸し切りバスのキャンセル状況をサンプルでお示ししているわけでございます。最大はやっぱり福島でございまして、統計的には4事業者の70%がキャンセルされてしまったと。全国レベルで見て、やはり福島の周辺域が50%以上、このような状況になっております。
例えば東京で今、修学旅行でおいでになっている学生さんは、いつもならたくさんいらっしゃるのに、今の時期、この霞が関のあたりまでいたお客さんも修学旅行の皆さん、どこもいませんよ。東京も危ない。修学旅行は、みんな東京は外しております。そういう状況になっております。東北だけでなくて、そういうように周辺の域まで原子力の風評被害というのが及んでいるわけでございます。
そういった状況でございますので、私ども、これからさらに被害額といった面での調査を進めますけれども、こういった営業収入の減、また、今後の事業再開がどういう形でなされていくか、あるいは需要がどういう形で復旧していくか、もとに戻っていくか、こういうことをよく調査していただきながら、この点についての適切な賠償措置を指針に盛り込んでいただくようにお願い申し上げるところでございます。
以上でございます。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 ありがとうございました。
続きまして、日本旅客船協会様、お願いします。資料は1-2-4でございます。
【日本旅客船協会(谷口理事長)】 日本旅客船協会の理事長をしております谷口でございます。では、お手元の資料1-2-4に従いまして、ご説明をさせていただきます。
旅客船事業というのは、資料の1ページにございますように、旅客定員が13人以上の旅客船で旅客を運んでいる事業を旅客船事業と言っております。フェリーなどの車を一緒に運んでいるものも、こうした中に入るわけでございます。旅客船については非常に業態が多岐にわたっておりまして、風評被害ということを言う場合に最も似つかわしい遊覧船であるといったような観光船だけではなくて、クルーズ船とか、あるいは大型の中長距離を走るようなフェリー、あるいは短距離の沿岸のフェリー、離島航路を走る旅客船、特異な例としましては港の中で沖合に停泊する貨物船と岸壁との間を乗組員その他、関係する人を運ぶ港内交通船といったようなもの、そういった非常に多様な業態のものがございます。
こうした中で風評被害についてでございますが、3点ほど申し上げたいと思っております。
1つは、風評被害のエリアの問題でございます。風評被害の被害状況につきましては、これまでも旅行業や旅館の業界の方々からもご説明がございましたように、福島県内や、あるいは近県というところで実際に旅客船のお客さんが減っているというのは非常に顕著でございます。福島県内であれば予約はすべてキャンセルされて、事業の継続が困難になる可能性があるということもございますし、福島県を通って東京などから行かざるを得ない山形県などでも非常に大きな減少をしているわけですが、こうしたものとは別に、もっと広いエリアで旅客の減少が発生をしております。
それがはっきりいたしますのは外国人の旅行客でございまして、外国人の旅客船のお客さんというのは、北海道の知床、函館というようなところ、あるいは首都圏の箱根とか東京というようなところ、あるいは神戸のレストラン船、さらには瀬戸内海を走るような中長距離フェリーといったところにまで旅客の減少、原発によるキャンセルというのが発生して広がっております。非常に広いエリアで発生をしておりますので、風評被害について考えるに当たっても、こうしたことについてのご配慮をお願いいたしたいと思っております。
それから、風評被害の対象となる旅客船事業者でございますけれども、遊覧船事業者という典型的な観光関係の業態の旅客船事業だけではなくて、先ほども申し上げましたように、外国人では非常に多様なフェリーなどについてもキャンセルが発生をしておりますし、あるいは東京湾のクルーズ船というようなものでは、原発事故というものを理由に修学旅行客が非常に大量にキャンセルされるということが起きております。
あるいは、茨城県の日立港におきましては、岸壁等がかなり復旧をして、後背地の工場も稼働しているにもかかわらず、外国船が入港してこないということで、外国船をユーザーとする港内交通船が休業状態になっているということがございます。こうしたことから幅広い業態の旅客船事業者について風評被害の対象として考えていただきたいというのが2点目でございます。
次に3点目でございますけれども、風評被害の範囲でございますが、乗客が減少いたしまして営業上の損害が発生をしたというケースだけではなくて、乗客減を避けるために支出をせざるを得なかった経費などについても考慮いただきたいと思っております。具体的な例といたしましては、福島県の沖合を航行する長距離フェリーがございます。こうした長距離フェリーにつきましては、福島県の沖合を迂回するような形で離れて航行を現在しておりますが、やはりお客の不安ということがございまして、放射線量の検査などをお客さんに求められて、せざるを得ないということで、それに伴うコスト増が発生しているということもあるようでございますので、こうした点についてのご配慮もお願いをいたしたいと思っております。
以上でございます。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 じゃ、ここでちょっと切っていただいて。
【能見会長】 ここでちょっと切りましょう。大体ホテル、旅行関係ということですが、委員の皆さん、ご質問ございましたら、お願いします。中島委員。
【中島委員】 今までの各業界の方が報告された損害の中で、まことに言いにくいことであるんですが、津波や地震による自粛ムードによる損害分というのは原子力損害とは関係ないわけですから、それを除いた損害が今回のここでのご報告の趣旨であると理解しなければいけないと思うんですが、今までのお話に出た中で、津波等による自粛ムードによる損害とは関係なく、原子力事故による損害であるとおっしゃられた根拠が今まで3つ出てきたように思いますので、それでよろしいか確認をしたいと思います。
1つは、キャンセルした客が西へ行くと言ったと、これは明らかに自粛ムードとは関係ないはずだと。2つ目は、客層の問題として外国人が減ったことによる損害。さらに、自粛ムードとは関係ない客層として、例えば修学旅行の客が関東に来なくなったこと、これも自粛ムードとは関係ないはずだ。3つ目の根拠としては時期の問題で、自粛ムードが解消後も客足が回復しない、これも自粛ムードとは関係ないはずだと。以上の3つの根拠と範囲が津波による損害とは関係なく、むしろ原子力事故による損害であるとおっしゃられる根拠であると理解してよろしいでしょうか。
【能見会長】 もしどなたかコメントがあれば。
【全国旅行業協会(島崎専務理事)】 そこはキャンセルの理由というのは、お客さんが例えばこういうツアーをキャンセルしたときに、これこれこういう理由だということ、何にも理由がなくてということはないので、こういう理由ですということをおっしゃるケースが大半だと思うんですけど、その中でやはり原発が心配だとか、そういうことが具体的に出ているケースは、やっぱりそういうことで扱っていただければと思いますけど。
【全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(佐藤会長)】 被災県以外でも原発から80キロ圏内、先ほどお話しましたけれども、新幹線、高速道路を通って東北のほうに来たくないというようなお客様も今現在あります。これはやっぱりチェルノブイリのようにレベル7のような大きい原発が発生したということで、原発が怖いと、放射能が怖いということで来ないというお客様もたくさんいらっしゃいますので、そういった意味も補償に入れていただけるんでしょうか。
【能見会長】 今ここで、どういうものが賠償の対象に入るかということについては、即答はしかねますけど、後でこの委員会で検討すべき問題として聞かせていただきました。
ほかにいかがでしょうか。私からもちょっと旅行とかホテル等の業種における損害についてのコメントですが、これも中島委員が指摘されたことと少し関係するんですが、この分野は原子力事故に起因する損害と、地震による自粛ムードによる損害とがなかなか截然と分けにくい領域で、資料もなかなかつくりにくいと思いますけど、追加の調査をして、さらに精密な資料を出していただければありがたいと思ってます。
はい、どうぞ。
【福島県旅館ホテル生活衛生同業組合(菅野理事長)】 福島県の理事長の菅野です。
先ほどキャンセルのお話をさせていただきましたけれども、すべてが原子力による損害のキャンセルでございます。よろしくお取り計らいをお願い申し上げたいと思います。
【能見会長】 私も福島県に関してはほとんどが、ほとんどといいますか、100%と言っていいかもしれませんけれども、100%というのはあまり科学的な表現ではないので、ほとんどがという言葉を使いますけれども、キャンセルは原子力に起因するものだと容易に想像できます。ただ問題は、ホテル業、あるいは旅行業で、福島県以外のいろいろな県にもキャンセルが出ているときに、一体どこまでが自粛ムードによるもので、どこまでが原子力によるものかという判断がなかなか難しいなという、そういう感想を申し上げましたわけです。
【帝国ホテル(定保取締役)】 一言だけよろしいですか。日本ホテル協会なんですけれども、外国人のお客様、さっきおっしゃっていただいて、ありがとうございます。商用のお客様もそうなんですが、特にやはり観光客、海外からいらっしゃる観光目的のお客様はパッタリ、今とまっている状況でございます。当然、海外の渡航制限等もいろいろあったかと思いますけれども、少しずつ緩やかにはなってきているとは思いますが、東京のみならず全国にわたって海外からのお客様、特に観光目的のお客様がとまっているというところにつきましては、やはり原発の事故による風評被害の影響というように我々は考えております。その点につきましては、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
以上です。すいません。
【能見会長】 この審査会は完全に公開しており、傍聴を認め、ここでの議論はすべてわかるようにしているわけでございますけれども、傍聴の皆様にご意見を伺うという形の会議ではございません。今、業界の関係の方々には損害の状況などを伺ったわけですけれども、一般の傍聴の方には審議会の中でご発言いただくというようなことにはなっておりません。いろいろご意見がおありの方がおられると思いますけれども、そういう方はしかるべき方法で、例えばこの事務局にご意見をお寄せいただくとかいう形をとっていただければ、それをご意見として参考にしたいと思います。
それでは、説明、どうもありがとうございました。資料等を、私どもも拝見し、検討したいと思います。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 続きまして、全国建設業協会様、お願いいたします。資料は1-2-5になります。
【全国建設業協会】 全国建設業協会でございます。原子力損害に関しまして、私ども建設業界の実情をお聞きいただく機会を設けていただきまして、ありがとうございました。大変貴重な機会でございますので、本日は全建の本部、それから現地の福島県の福島県建設業協会の専務さん、それから実際に福島県の浪江地区で被災をしておられます私どもの会員企業の社長さんをお連れしまして、お話を伺うことにしております。よろしくお願いいたします。
それでは、資料に従いまして、ご説明申し上げます。
1ページ目をごらんいただきたいと思いますが、私ども全国建設業協会でございますけれども、全国47都道府県に協会がございまして、それが集結している組織でございます。会員企業でございますが、主に公共事業の元請を主にやっている企業でございます。現在、約2万1,000社の会員企業があるわけでございます。そのうち、この資料の下にございますが、組織図が載ってございますけれども、今回、原発事故の影響を受けておりますのは福島県協会の双葉地区の全域、それから相馬支部の一部という区域であるわけでございます。
2ページ目をごらんいただきたいと思います。建設企業の現状でございますけれども、30キロ圏内では会員企業以外も含めまして推定、約845社ございます。年間完工高につきましては約1,000億でございます。
避難企業の現状でございますけれども、避難する際に当たりましては、経営者、役員、従業員それぞればらばらに避難所、親戚・知人宅等に避難しているところでございます。しかし、地元企業でございますので、使命感に燃え、避難が長期化したこともございまして、半分程度はアパート等を借りて出勤するケースが出てきているところでございます。
また、従業員等におきましても、経営者が先行きを見通して解雇した場合、あるいは、みずからやめていった従業員もおります。また、従業員や経営者の中には、精神的な病に陥ったという報告も受けているところでございます。
また、これらの状況下でございますが、多くの地元会員企業におきましては、区域外に仮事務所を開設いたしまして、がれきの撤去等の作業に積極的に参加し始めているところでございます。
緊急的に避難したために、企業経営に必要な事務機器、あるいは社印までも忘れていると聞いてございます。営業再開には新たな出費がかさんでおります。請求手続の簡素化と早期の仮払いを早くしていただきたいということを望むところでございます。
3枚目をごらんいただきたいと思います。営業上の被害でございますが、建設業の特徴といたしましては、単品受注生産でございまして、営業エリアに本支店、営業所を構えて、さまざまな社会貢献活動を行いながら、地域社会の信頼を得た上で営業が成り立っているところでございます。現在避難しておりまして受注工事がゼロでも、人件費、減価償却費、金利などの固定費は必要でございます。営業利益を現場管理費及び一般管理費も含めて補償していただければと思うところでございます。
また、今まで育ててきた技術者が先行きの不安を感じまして遠方に避難、あるいはストレスによって退社するなど、企業にとって一番重要な、貴重な人的財産の損失があるわけでございます。今後、技術者の維持や新規採用に要する追加的費用についても補償のほうをよろしくお願いできればと思うところでございます。
4ページ目でございますが、避難企業は避難先においては、やはり「よそ者」扱いをされているところでございます。したがいまして、従前と同程度の工事受注確保は難しい状況にございます。したがいまして、拠点を移すことによる顧客の逸失補償も認めていただければと思うところでございます。
また、4番目に、復旧・復興の期間につきましては工事量も短期的には集中すると思われますが、その先は工事量が激減することが予想されるわけでございます。地元企業は地元行政機関と防災協定等を締結いたしまして信頼関係の上に成り立っているということでございますが、避難中、この関係が保たれないということもございまして、先行きを心配し、廃業・転業を余儀なくされる企業もございます。廃業・転業補償につきましては、営業利益だけではなくて、保有する建設機械、資材等も補償の対象にしていただきたいと思います。
5ページ目に間接(風評)被害でございます。
1つ目でございますが、区域内に存置した放射能汚染が予想される建設機械類でございます。リースの建設機械等となっておりますが、これは仮設材も入ります。これについては買取請求、あるいは永久リースが求められるケースが発生してございます。また、各企業の保有する機械については、再使用に当たりましては除染や点検等の費用もかさんでまいるところでございます。
2番目でございますが、造園業におきましては、福島産の苗木が放射能汚染を理由に出荷停止を受けていることもございます。
また、3番目にございますように、福島県内の下水処理場から発生する汚泥のリサイクル品(セメント、あるいはコンクリート二次製品等)の出荷、販売制限のおそれも現に発生しているわけでございます。これは報道等もございましたが、郡山市の下水処理場で汚泥と汚泥を焼却した溶解スラグから高濃度の放射性セシウムが検出ということで、これらを原料にしたセメント会社の工場等で出荷停止の現状があるということでございます。
6ページ目に、その他の被害でございますが、被災直後から県警本部・地元市町村からの要請を受けまして人命救助などの作業に参加したところでございますが、建設業の作業員にも自衛隊等と同等な特別手当の支給が図られるべきだと思っております。また、これらの作業員が被ばくした場合の身体的損害や精神的損害についても、具体的内容を早急に検討していただきたいと思っているところでございます。
2番目に、発注者と連絡がつかず、工事代金や材料費が回収できないというケースでございます。官工事は大半が処理済みでございますけれども、民民においてはそういうケースが見られるということでございます。
3番目に、避難企業の多くは再び地元へ戻り、企業経営を願っているところでございますが、戻れる時期までの一定の補償及び仮事務所から現地へ戻るための帰還費用についても今後検討ということになってございますが、この辺についても十分ご配慮願いたいと思います。避難先地で営業を始めますと、解除といったからって、すぐ帰れるものではございませんので、その辺のご配慮もよろしくお願いしたいと思います。
4番目に、今後、一時帰宅等によりまして新たな被害が発生する可能性もございますので、その辺については逐次またご要望を申し上げていきたいと、このように考えているところでございます。
以上でございます。
【全国建設業協会】 ちょっと現地のほうから若干ご説明させていただきたいと思うんですが、先ほど商工リサーチ調べで管内企業の完成工事高というか、請負高が1,025億という話がありました。その中で具体的な被害額という形で算定いたしますと、具体的に全国ベースの営業利益額というものが1.6%ぐらいあるということ。それから、先ほども説明の中でありましたように、固定経費等々は必ずその中で見込まれる経費としてプラスされるものですから、そういうものをもろもろ入れますと、マックスですね、マキシマムの被害額として約500億ぐらいが考えられるであろうと考えております。
具体的に、年度末、3月11日以降の原発災害でございますので、我々建設業といたしましては、官工事といたしまして、年度末、それから年度当初において、その管内におきまして約3割程度の受注を受けております。一般的にですね。それが先ほど言ったように今は全くゼロでございます。そういう形を考えますと、会社経営そのものに相当行き詰まりを感じているといったところでございますので、早急なる仮払いというのをお願いしたいと思っております。
以上でございます。
【全国建設業協会】 私は原子力発電所から10キロ以内のところに位置しているものでございます。地震・津波の当日、通行どめの箇所がないか、いろいろパトロールしながら、その解消のためにいろいろ動いていたところに、翌朝、防災無線と、そして役所のほうから原子力発電所が危ないので至急避難するようにという指示がありまして、何も持たずに避難をしたわけでございます。途中、大変な混雑の中で避難したわけでありますけれども、その途中で1号機の爆発をラジオで聞きまして、これは大変なことになるなということで、社員に連絡をとりながら、いろいろ避難したのでありますけれども、現在、社員は県内・県外、約半々ぐらい、家族単位で避難しているのが現状でございます。
現在、遺体捜査で警察、自衛隊ともどもに現地に行って遺体捜査をしているところでございます。それも近くに行けませんので、2時間前後かけて通勤をしております。それにはアパートを借りたり、仮事務所を借りておいたりして、そこに社員を呼んで、そこに住んで、そこから通勤をしているのが現状であります。大変なところで避難しましたので、現在は本人が病気になったり、家族がそんな状態になったりして、なかなか社員が集まらないので苦労しているのが現状でございます。
現在、仮にいつ戻れるのかということの不安が一番多いんですね。それで、仮に戻れたとしても、果たして人口がどれぐらいになるんだか。子供を持っている家庭、そして若い人たちはおそらく戻らないだろうと想像しておりまして、人口が半減する、または3分の1以下に減るのではないかということで大変な危惧をしておりまして、町の構成にならないのではないかということで心配しております。
それで、地震・津波で、ここ四、五年は公共工事は多くなると思います。その後はかなり減ると予想されますし、また、町の形態にならなくなるわけでありますから、民間工事はほとんどゼロに近いんじゃないかと。そんな状態で、この先、大変心配をしている状態であります。
あと、各社とも連絡をとり合っているのでありますけれども、我々は受注産業でありますので、先ほどお話あったように、現在、約20キロ圏内ぐらいが営業エリアでありますので、よそに行っては現在の状態ではなかなか営業できないということで、今はほとんどゼロでございます。ゼロの企業には金融は融資もなかなかしてくれないので、その辺は大変困難になっておりまして、実際戻れる状態のときには果たして企業として存続できるのかという、そんな危惧も抱いているのが現状でございます。
いろいろな面で早く収束をして戻って、またあそこで営業したいのでありますけれども、現状では不安のほうが多くて、なかなか大変な状態が続いているのが現状でございます。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 ありがとうございました。
続きまして、全国宅地建物取引業協会連合会様、お願いします。資料は1-2-6でございます。
【全国宅地建物取引業協会連合会(市川専務理事)】 全宅連――全国宅地建物取引業協会連合会の専務理事をいたしております市川でございます。よろしくお願いを申し上げます。着席をして報告、そしてお願い事でございます。よろしくお願いをいたします。
まず、全宅連という団体でございますが、これは皆さん方、宅地建物取引業という業種の中で、全国的に私ども47都道府県にそれぞれ、今、特例民法法人になっております宅建協会というものを傘下に置いている団体であるわけでございます。ここからまず業として宅地あるいは建物の売買・媒介行為、それから土地建物の賃貸及び媒介、こういったものがこの業種の中に含まれるわけでございます。もう一つは管理という、これはまたその延長線にある業務を行う団体、そういう社の集まりの団体であるということでご認識をいただければと思います。
それでは、まず、2ページ目をお開きをいただきたいと思いますが、今回の福島県内の宅建業者の現状ということでございます。先ほど申し上げましたように、全国の宅建業者、宅地建物取引業者の数というのは、およそ13万社と言われております。この13万社のうち、本会に所属する都道府県の宅建協会の会員は、今、およそ10万を少し超えたところであるということの中で、全体の宅建業者の80%が私どもの会員。その中で福島県の宅建協会に所属する会員は、現在のところ1,032社ほどあります。この業者の皆さん方の資本の業態の部分につきましては、円グラフの中に書かせていただきました。5,000万以下の中小・零細と言われる資本のところが個人業者を含めて大体85%ぐらいということで、中小・零細な業者の集まりであるということになります。
1ページをめくっていただいて3ページ目でございます。これは業態をあらわした表でありますが、福島県内の宅建業者の1社当たりの平均の従業員数が約4名ほどということになります。それから、業種別の売り上げ比率ということでございますが、売買仲介、媒介というように置きかえれば、媒介が37%強、それから賃貸の仲介が21%強。その下の表を見ていただきますと、全国との比較が書いてございます。福島における部分は、左側から売買仲介業務、そして賃貸仲介業務、これを両方合わせますと大体58.4%ですから、60%ぐらいがこの2つの業務に集約されるということでございます。
4ページ目でございますが、「原発の避難地域周辺の営業状況」。これが非常に大事なところであるわけでございます。福島は先ほど1,032社というお話をさせていただきました。その中で原発の避難区域に該当する福島県の宅建協会、これは相双支部という支部があるんですが、現在、80社の会員が所属をいたしております。そのうち50社につきましては、避難のために現状、もう営業ができ得ない。当然、現地では避難命令が出ておりますから営業行為が行えない。残る30社につきましては避難準備区域という区域に所属する会員でございますので、無理して営業行為を行えば地元で営業行為ができるということでありますが、この状況下におきましては、もう開店休業という状況になっている。
そこから「営業への影響」というものがあります。4つほど挙げさせていただいているわけでございます。
1つ目は、震災以降、新規の売買はゼロ。売買ということは土地・建物の売買、みずからが売るという売買と仲介ということが両方含まれているんですが、この双方とも皆無、全くゼロであるということ。
それから、賃貸も例年であれば2月から4月というのは繁忙期になります。いずれにしても人口の移動に伴いまして賃貸というのは提供されるわけでございますから、ここにつきましては2月から4月が繁忙期になるわけでございますが、この時期としては全く営業的な行為が行われていない。要するに賃貸借契約が成約されていないということが今あります。
3番目でございますが、これは放射能における被害、これは風評被害も含めてですが、賃貸契約の解除が相次いでいる。後からまたお話を差し上げますが、この解約のための処理やクレーム対応。実際問題として、現在、私どもの福島の宅建協会は、現地にそれぞれ相談所を設けております。その相談所は福島県の協会の役員において相談相手をさせていただいているんですが、とても人数が足りない、手が回らないということで、全宅連として近隣の協会に呼びかけをいたしまして、相談員の派遣を今お願いするというところであります。
それから4番目、震災前に契約した案件がキャンセルとなって、手付金をどうするか、負担はだれが負うのか、こういうトラブルが発生しているということが現状の被害としてあります。
めくっていただいて5ページ目を見ていただきますと、これは深刻な状況ですから、それぞれの構成会員から現在こういう状況であるという状況を報告していただいている中の一例でございます。従来ですと3,290万ぐらいの売り上げがあるにもかかわらず、本年3月11日以降ということになると思いますが、を踏まえて3月の売上高は3分の1ほど減額をしているということで挙げさせていただきます。
また、この中の赤字のところのキャンセルは、これ以外のところで、なおかつキャンセルがこのように現実としてあるということを踏まえて6ページ目をご参照いただきたいと思います。
「不動産取引に係る原発事故による損害」ということ、これが今回お呼びをいただいた最も主たるところではないかなと思うんですが、直接キャンセルによる逸失利益に対する補償。これは宅建業者でございますから、先ほど来申し上げておりますように売買、仲介という媒介行為がございます。仲介という媒介行為は当然がごとく報酬料をいただいている業務でございますから、この報酬料をいただくという部分でのキャンセルにおける損害という、逸失というところが1点ございます。
それから、当面営業できないことに対する補償という。先ほど申し上げましたように80社のうち50社ほどは営業行為ができておりませんから、いつそこの現場に復帰をして再度営業活動ができるのかわかりませんが、その間の営業の移転、どこかに移転をして行わなければならないということでございます。前段の事例を挙げたところの方につきましては、今、千葉県に事務所を構えております。こういう要するに事務所を移転するのにも当然費用がかかってくるわけでございますから、この費用のご負担をどうするのか、どうしていただくのかということ。
それから、4つ目の黒ポツでございますが、これから下は契約の行為に伴う問題点、あるいは相談の中で一番多い問題点、そういったものを挙げさせていただきました。先ほど来申し上げておりますように、宅建業の中で、1つは宅建業務にかかわる部分の逸失、失われた部分。それと、これから一番大事になってきますのは財産・資産。これがこの後、どのように価値観として、本来あった財産価値、資産価値、そういったものに対する補償がされていくのか。放射能の原因によって汚染をされた土壌のもとで、この資産がどのように逸失されていくのか。そして、これがどのように補償されていくのか、補償していただけるのか。そういった点が、この黒ポツの4番目からであります。
不動産の売買について、買い主が原発事故を理由に契約を解除した、その場合の売り主の手付金返還等、原状回復に対する補償。これは現行法でいきますと、買い主側の契約解除に対する問題というのは、賠償問題として売り主側の賠償があるのか、あるいは買い主側に責任があるのか、これは現行法では定められております。契約約款も、その現行法に従って契約約款をつくっております。しかし、このような突発的な大災害、そして放射能の汚染という原発の事故、それに対して現行法が適用できるのかできないのか。できるとすればどうするのか、できないとすれば、どのように立法化していただくのか。その辺の問題点を含んで、今現在として相談業務は毎日、日々続いております。その中で相談員は回答に窮しております。その窮している回答の1つの問題点は、ここにあります。
その次でございます。避難区域内の賃貸物件で借り主から家賃を収受できない場合の家主、貸し主に対する補償。これも今申し上げたものと全く同じ範疇に入るのではないかと思います。
それから、先ほど来申し上げておりますが、原発事故によって土壌が汚染されたことによる資産価値の減少に対する補償。これは再三申し上げましたとおりでございます。これをどのようにしていただけるのかということが今後の大きな問題点だと思います。資産として、そして財産として、それぞれ失った者に対する補償、それから、それを取り扱う宅地建物取引業としての取り扱い、それから逸失、そういったものになると思います。
最後でございますが、赤いところで※を打たせていただきました。これは例えば宮城にしても岩手にしても、震災に伴う津波といったものに対しては災害救助法という法律のもとで各県が出動をしていただいて、国がそれをバックアップ態勢で補償していただくということになるんだろうと思いますが、ここ福島に関して言いますと、その災害救助法なのか、あるいは原発における損害賠償法という、この皆様方の委員会を開いていただいている中なのか、そこが相重なるところでございますので、ここのすみ分けといいますか、補償のすみ分けをどのようにされていくのか。それが非常に見えにくいところでもありますし、これからのお願い事でもあります。
非常に生意気なことで申しわけないと思うんですが、以上、よろしくお取り計らい方、お願いをいたしたいと思います。ありがとうございました。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 続きまして、定期航空協会様、お願いします。資料は1-2-7でございます。
【定期航空協会(篠辺企画委員長)】 定期航空協会の企画委員長の篠辺と申します。それでは、お手元の資料に従いまして、ご説明をいたします。定期航空協会ですけれども、国内の航空会社12社ほどで組織されております。
「はじめに」というところをあけていただきたいと思います。本日については、どんな影響があったのかということを中心にご説明をいたしたいと思います。
初めの四角ですけれども、特に原子力発電所の事故ということで、日本の国内及び国内と国外間において、人の移動については大変手控えられています。もちろん路線構成の違いから個社ごとでの度合いの差はありますけれども、いわゆる国内線旅客、国際線旅客ともに大幅な需要の落ち込みに見舞われています。後ほどのグラフの中でご説明いたします。
それから、特に国外においては、日本全体に対して原発事故による放射能の影響、放射線の影響を回避する反応や対応がなされました。これも後ほどの資料の中にあります。例として、多数の国が日本への渡航の自粛や規制を勧告しております。現在もまだ解除されてない国々もあります。それから、海外においては、日本の各地から到着した旅客や貨物に対して、機体も含めてですけれども、放射線の検査を実施している例もあります。
そのほかの原発事故に関連するものとして具体的な例を幾つかご用意したのですけれども、まず、原発周辺の上空迂回飛行をやっております。こうしたことで費用の増加が出ているということや、放射線の検査に係る諸費用が出ております。それから、外国人のパイロットや客室乗務員については乗務できないという方も出てまいりまして結果欠航した便も出ております。
航空においては、国の内外にわたる地域間輸送ということもありますので、例えば事故発生県、福島県に限定した状況よりも、もっと広範囲にいろいろな話が出てきているというのが特徴になってます。
具体的な数字を少しご紹介いたします。次のページでございます。東日本大震災と原発事故が発生して以来、具体的な数字について国内線・国際線が大幅に落ちているわけですが、左側の上のグラフが国内線の旅客数であります。おおよそ27%ほど。同年同期、昨年と今年の旅客数の違いをここでは紹介しております。同じような比較をした場合、国際線については30%ほどということであります。特に訪日外国人について比較しますと、一番下にありますように4月においては約63%減ということで4割弱になっております。このうち直接的に原発の影響というのがどのぐらいかというのが論点の1つにはなろうかと思います。
めくっていただくと、その辺について少し整理したものがございます。先ほどご指摘もありましたけれども、需要の落ち込みは震災の影響と原発事故の影響が複合した結果です。したがって、原発事故に限定した影響を切り分けることは結構難しいなと我々も思っております。特に国内線においては少し難しい部分があるので、今日は比較的整理しやすい国際線の資料をご用意したということであります。したがって、国内もありますけれども、切り分けの仕方について少し議論が要ると、こういうことでございます。
海外においては、先ほど申し上げた渡航自粛や規制、放射線検査、報道、これらを見ますと、かなり絞った見方をしても東日本、具体的には羽田や成田の国際線の利用を念頭に置いた訪日旅客数の減少分については、すべて原発事故の影響であると考えられます。
なぜというところで、その下です。まず、下の左側に各国の渡航自粛と規制状況があります。国によって出し方は違います。韓国では例えば渡航注意で東京都、千葉県、渡航自制は東北地区と、こういうようになっているのもあれば、シンガポールのように日本への渡航自粛だったり、米国においても、そういう表現が使われたりします。したがって、羽田・成田に限らず、日本に向けてということがあるんですけれども、少なくとも、この具体的な状況を見ますと、羽田・成田については、もう議論の余地がないなと思っております。
それから、右側に旅客や貨物、航空機の放射線検査の状況がありますけど、ここではどこから来たかというのは、すべて日本からということになっています。成田から来たからですとか、関西空港から来たからですというのは関係ありません。日本から来たら、みんな検査されちゃうんです。それが報道されますので、日本のどこから来たかが全く考慮されてないことから、そもそも国際線については、外国から見たときに、日本のどこどこということはほとんど意味がなくて、日本に対しての自粛というようにお客様のほうはとらえられやすいというのが根底にあると。この辺もぜひ議論の中で勘案していただきたいところでございます。
最後のページに、その他、何か具体的な例がもう少しあるのかというので3点あります。
1つは、迂回飛行ということで、福島原発の半径30キロ以内は実は飛行禁止区域ということで設定されております。したがって、我々も、各社とも例えば東京から札幌に行く、青森に行く、秋田に行く、こういう部分で、この地域の上空を通る場合は、この地域を避けて通ります。通常より遠回りするということでありますので、例えば燃料代は何ぼ多くかかったんだと、こういう話になるわけです。これは毎日毎日、発生してますので、これをやり続けている間、ちりも積もればということで燃料代がどんどん増えていくという、こういうことでございます。
それから、外国における放射線検査や積みおろし拒否対応ということで、幾つかの会社の実例で、着いたところで放射線検査が必要だと言われていて、すったもんだがあって結局受け取ってもらえない、荷物がおろせない、仕方なく日本に戻した。こういう例もあって、これは今のところ大きく拡大するということにはなっていませんけれども、今後の原発の状況いかんでは、これまた、そうしたことでいろいろな費用が発生したり、収入が不足したりするということでございます。
それから、外国人パイロットが原因の欠航については、先ほど申したとおりで、エアラインとしても、ただ放置していたわけじゃなくて、1人1人に日本の放射線の状況を説明しながら、成田・羽田がなかなか理解されないときには関西空港までの勤務を要請したりはしたんですけれども、傘下のエアラインの中では、これによって、ここまでのところで100便以上が結果として欠航せざるを得なくなった会社もございます。こうしたところをもう少し整理をして、いろいろな補償なりしていただきたいと思っております。今日のところは、そうした概要なりをぜひ知っていただきたいということで報告書にいたしました。
以上でございます。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 ありがとうございました。
続きまして、全国空港ビル協会様、お願いいたします。資料は1-2-8になります。
【全国空港ビル協会(石山常務理事)】 全国空港ビル協会の石山でございます。よろしくお願いいたします。資料の1-2-8でご説明申し上げます。
私どもの協会は、羽田の日本空港ビルをはじめとしまして、全国59の空港ビル会社で構成しております。成田、関空、中部などの空港会社や離島などの空港ビル会社は加盟してはおりません。東日本大震災の発生後、大震災と原子力発電所事故のいずれに起因するものかを明確に峻別することはできないとは思うんですが、多くの空港ビル会社におきまして国際線や国内線の航空機利用客数の減少が顕著にあらわれております。また、諸外国の定期便の運航中止とか、チャーター便のキャンセルなどが発生しております。
これらの現象というのは、原子力発電所事故の影響がどの地域まで及んでいるのか、現時点で明確にすることは困難だとは思うんですが、津波による甚大な被害が発生しました仙台の空港ビル以外の多くの空港ビルでも、建物の損傷が全くないにもかかわらず、また、最近の余震の発生が少なくなっている現在でも、若干の改善は見られますけれども、この傾向は続いております。
これらの旅客数の減少とか運航中止によりまして、商業施設の売り上げの減少、特に免税売店の売り上げが減少しておりまして、そのほか、国際線のキャンセル便の関係で施設使用料の収入が減少するというような事態が発生しておりまして、空港ビル事業の収益に大きな影響が出ているところでございます。
3月12日以降の数字でございますが、次の別紙をごらんいただきたいと思います。1番目に、外国からの航空機の乗り入れがキャンセルになった状況としまして、加盟の32空港、国際線が飛んでいます32空港におきまして、定期便の運休の状況としまして、3月、4月、5月と載せてございます。主に韓国、中国、台湾、香港、ここら辺を中心に合計で1,700便強の運休が出ております。
それと、チャーター便のキャンセル。これは台湾が多くございまして150を超えておりまして、合計で200を超えております。
次に、航空旅客の関係でございますが、3月12日から4月11日までの1カ月間の数字をまとめてみましたところ、国際線の旅客数では対前年比72.6%、国内線におきましては70.1%と大変大きな影響が出ているというところでございます。
次に、成田空港については、成田空港会社のほうから説明をお願いします。
【成田国際空港株式会社(高橋取締役常務執行役員)】 それでは、成田空港の管理運営をしております成田国際空港株式会社でございます。
内容的には、先ほどの定期航空協会様、それと全国空港ビル協会様とほとんど同じでございますが、成田空港は首都圏の基幹空港としまして、ご利用されるお客様で申し上げますと、95%が国際線の空港でございます。そのため、事故の直後から海外の航空会社などから成田空港におきます放射線に関する安全性の問い合わせが非常に多く寄せられました。一部の航空会社さんは、先ほどもお話ありましたように韓国あるいは関西空港などを経由する便に変更しており、運休や減便も発生しております。今もって、そのような状況が一部続いているところでございます。
特に外国のお客様の日本離れの影響によりまして需要が大幅に減少しております。別紙のグラフを見ていただきますと、青が日本人、赤が外国人で示しておりますけれども、日本人のお客様はゴールデンウイークには大分回復してきておりますが、外国のお客様は、5月もまだ半分程度にしか戻ってないような状況でございます。
また、航空機の運航につきましても、下の表にありますように、現在、10%程度、成田空港で減少しているところでございます。今後の予測も非常に厳しい状況でございまして、我が社としましては、もとの需要に戻るのに今年度いっぱいはかかると予測しており、今年度の業績を見込んでおります。その結果、営業収益が262億円の減少ということで、最終的には、我が社は、民営化以降、初めての純損失となるような見込みでございます。
また、航空需要の減少は、先ほど、全国空港ビル協会様からもご説明がありましたように、当社だけではなくて、空港内のテナントをはじめとした、関係事業者、および、地元の企業の関係者にも売り上げ減少の影響が出ております。
弊社としましても、事故直後から空港の安全性についての現状をお知らせするために、国土交通省さんをはじめとしまして、関係の皆さんと連携して、ホームページに積極的な情報の発信に努めてまいりました。その結果もありまして、3月18日と19日にかけまして、国際民間航空機関(ICAO)、あるいは世界保健機関(WHO)、あるいは国際原子力機関(IAEA)など7つの国連機関、および、国際航空運送協会(IATA)などから、日本の空港への安全性の宣言が出されております。
また、3月29日からは、成田空港の安全性を訴えるために、弊社自らも認証機関から認められました放射線の機器測定を空港内に導入しまして測定しており、毎日、日英中韓の4カ国語で公表しているところでございます。
このような状況の中で、成田空港、日本のライフラインの要としまして、日本の復興の下支えとなるように空港の運営に努めていきたいと思いますので、よろしくお願いしいたします。
以上でございます。
【能見会長】 それでは、ここで一たん区切って、ご質問等を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
【草間委員】 定期航空協会の方にちょっとご質問したいんですけれども、原発事故によるその他の影響のところで、迂回航路云々というお話があったわけですけれども、福島原子力発電所の30キロ圏内は飛行禁止区域というお話だったと思うんですけれども、もともと原子力発電所の上空というのは、建設のときに、航空機の落下等のリスクというのを考えなくてすむようにすることにしていて、今回の事故があるないにかかわらず、原発上空を飛行するというのは禁止されているんじゃないかと思うんですけれども、この辺は、事故があったから30キロ圏内云々なんでしょうか。ここをちょっとお伺いしたいんですが。
【定期航空協会(篠辺企画委員長)】 航路の制限が始まったのは今回の事故からです。ご指摘のような形の問題がどういう形であったか、ちょっと今、我々も手元に資料ないのでわかりませんけれども、今までの航路に対して制限が加わって、迂回するような航路設定になったのは、事故後、そういう指導を受けてやっております。
【能見会長】 ほかにいかがですか。どうぞ。
【高橋委員】 同じく定期航空協会の方にお伺いします。2ページですけれども、原発事故の影響による各国の渡航自粛・規制制限状況、確かに一番詳しいのが航空会社の方だと思います。ただ、これは基本的に3月23日現在のもので、現在、かなり変わってきているところがあると思いますが、それについてはご把握されているんでしょうか。そこをお聞きしたいと思います。
【定期航空協会(篠辺企画委員長)】 その後、大分渡航自粛の解除を含めて、各国の中で、この状態からはかなり緩和が進んでいるのは事実関係ありますので、この資料では、どこの時点でどこまでというよりは、3月のこの段階でこれだけあって、これが引き金、あるいは、この前もそうなんですけれども、お客様がその後も減り続けたままだったということになります。ゴールデンウイーク以降でも、ヨーロッパも一部、中国などもまだ解除にはなってないので、これよりは大分よくなったという認識は持っていますけれども、一方、お客様がそれですぐさま増えたかというと、残念ながら、そういう数字にはなってないということが現状でございます。
【高橋委員】 どうもありがとうございました。
【能見会長】 ほかにはいかがですか。
【山下委員】 資料1-2-5で、全国建設業協会にお尋ねしたいんですけれども、よろしいでしょうか。4枚目と最後の6枚目に関係するんですが、30キロ圏内の企業の方々だけが、例えば、この中に入って、遺体の捜査、あるいは被ばくの危険のあるような仕事をされているのか、建設業界の福島県の方も広範囲にこういうことにかかわっているのか、その辺についてお教えいただいてよろしいでしょうか。
【全国建設業協会】 お答えしたいと思うんですが、やはり30キロ圏内ですと、被ばくのおそれというか、そういう形がありまして、福島県内全体の業者の方々にお話を差し上げたところ、社長さんは行きたいと言うんですけれども、作業員の方がそういうことで行きたくないということがありまして、具体的には、30キロ圏内の方に限定されているというか、結果そうなっているということでございます。
というのは、やはり30キロ圏内の中で津波災害に遭われて、自分の家族、または同僚等が行方不明者になっているということで、自分たちが探さなければだれが探すというような一種使命感のようなもので、被ばくのおそれはあると思いつつ、義務感のようなもので入っておるのが現状でございます。
以上でございます。
【山下委員】 よくわかりました。その場合に、被ばくの管理とか健康に対する配慮というのはなされているんでしょうか。
【全国建設業協会】 一応、入るに当たりましては線量計というものを持たされていまして、最初、線量計の台数が不足しておりまして、県警の方が1台持っていて、我々はそれに従って入っていたのが実情だったんですが、それでは我々としても今どうなっているかわからないと。防護服を着ていますので、声があまり聞こえないんですね。会話ができないんですよ。ですから、県警の方が、「高いから引き揚げるぞ」と言うものが全く聞こえない状況でございますので、線量計を一人一人持たせてほしいという要望をずっとしておりまして、3月の末あたりから、県から1台ずつ作業員に貸与を受けていまして、そういう管理をしてございます。
【能見会長】 よろしいですか。
どうぞ、鎌田委員。
【鎌田委員】 同じ全国建設業協会さんへの質問ですけれども、1つは、ほかの業種でも問題になっているところですけれども、この損害の中で、津波、地震による損害と原子力事故による損害との切り分けが可能なところと不可能な部分があると思うのですが、この部分は100%原子力損害だ、しかし、ほかの部分は津波、地震等の競合部分があるんだということの切り分けが、もしできれば、将来的で結構ですけれども、切り分けをしていただいたほうが整理しやすいと思います。
【全国建設業協会】 私ども、先ほど、被害額、総額500億ぐらいになるのではないかというものは、すべて原子力災害でございます。津波災害によるものの被害が、今、現地に入れませんので、被害額の算定ができないんですね。今、警戒区域ということで全員避難されていますので、被害額の算定ができておりません。ですから、過去のデータに基づくものが、原発災害がなければ受注がこれだけあっただろうということで想定している額、それに実際、避難する際にかかった費用を上積みさせて被害額とさせていただいていますので、原発災害のみでございます。
【鎌田委員】 もう1点、4ページ目のマル3とマル4の関係がいまひとつわかりにくいところがあるんですけれども、4ページのマル3のところは、避難企業は避難先で暫定的に営業しようと思っても営業収益が上げられないという意味で、避難中は避難費用だけが損害でなくて、その間、収入がないということも見てくれという、そういう趣旨と理解してよろしいですか。
【全国建設業協会】 はい、結構でございます。
【鎌田委員】 わかりました。
【能見会長】 それでは、どうもありがとうございました。また、今後、いろいろ調査をさらにしていく上で参考にさせていただきたいと思います。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 それでは、日本労働組合総連合会様、お願いいたします。資料は1-3-1になります。
【日本労働組合総連合会(新谷総合労働局長)】 日本労働組合総連合会、連合の総合労働局長の新谷と申します。座ってやらせていただきます。
今日、作業着で失礼いたします。私ども連合は、福島ももちろんそうですけれども、非常に被害の大きかった宮城、岩手を含めまして、今、ボランティアに入っておりまして、今、毎日300人入っております。私も今日、仙台のほうから、少々やってから、その足で駆けつけましたので、こんな格好で失礼いたします。
それでは、お手元の資料に従いまして、今回の福島の原発事故に関する雇用・労働関係の損害について申し上げたいと思っております。
まず、私どもの立場としては、労働組合、労働者の立場から申し上げたいわけでございます。まず、総論的な事項としてでございますけれども、今回のこの事故に伴って、労働者の損害については、第一次指針の中でも触れていただいたわけでありますけれども、やはり今回の事故が起きなければ得られていたであろう、いわゆる逸失利益について十分補償が必要ではないかと考えてございます。この際、継続的な契約でございます期間の定めのない雇用だけではなくて、いわゆる有期契約で働いておられる方が、今回の事故を契機に、いわゆる雇いどめとなった際においても、これについてもやはり一定の損害評価を行っていただきたいと思っております。
また、労働者は、避難所で生活されている方もまだおられるわけでありまして、いつもとの職場に戻れるかわからないと。まさしく労働の尊厳を奪われたわけでございますので、この辺の精神的な損害についても十分な考慮をしていただきたいと思っております。
2つ目は、今回の事故で高い被ばく線量の中で作業されている、原発の中で労働されている方もおられますし、先ほどもお話がありましたように、20キロ圏内においても、実は公共インフラの復旧のために働いている労働者がおります。これは公務労働者も含めてでございますけれども、こういった今まで経験したことがない高い環境下での労働について、精神的な損害についても配慮いただきたいと思っております。
なお、原賠法に基づく賠償についてでございますけれども、今回の放射線による障害については晩発性の障害と考えられますので、20年たって、30年たって障害が出てくるということがございます。このときに、原賠法の無過失責任と民法の不法行為責任に基づく賠償について考慮する必要があると思っています。いわゆる労災民訴事件と類似の対応をぜひお願いしたいと思っております。
次に、立証責任の問題がございます。労働者の損害の立証をどうするかということでございますが、もちろん事業所が残っておればいいんですが、今回の災害は、実は原発の周囲でも沿岸部は津波が来たわけでありまして、津波によって事業所ごと流されてしまって、賃金台帳そのものも事業所も流されてしまって、立証するものがなくなってしまうケースも想定されるわけでございます。こういったときに、もちろん被災された労働者の方も、津波によって家ごと流されたというケースも想定されますので、この際の賃金の証明については、現在、労災保険の補償でやっている方法でございますけれども、金融機関等の振り込み等々から逆算して推定するといったことも参考にしながら、挙証責任についてお考えをいただきたいと思っております。その資料さえもないというときについては、最低補償のようなものも検討いただければありがたいと思っております。
それと、損害賠償の範囲でございます。これは、今回の当該区域で避難をされた事業所、そこに勤める労働者だけではなくて、先ほど来出ております風評被害であるとかサプライ・チェーンの関係で、どこまでこれを補償するのかということ、先ほど来、各事業者の皆さんがおっしゃっているわけでありますが、そこには必ず労働者が働いておりますので、そこの事業所の損害の認定と同時に、労働者への損害についても損害の範囲としていただくということで、ぜひお考えをいただきたいと思っております。
それと、他の制度との関係でございます。特にこれは、雇用保険の失業給付との関係でございます。雇用保険は、今回の震災並びに原発事故に際しては、さまざまな特例措置が打たれておりまして、緊急雇用対策として施策を打たれているわけではございますが、この雇用保険の失業給付については、離職時に求職活動を促進する、その目的のために設けられた給付でございますので、いわゆる民事上の損害賠償義務との相殺規定は持ってございません。これ、労災と大きく違うところでございます。ですから、今回の就労不能への失業給付については、就労不能への賠償義務を補てんするものではあり得ないという判例も一部ございますし、現行法にも相殺規定はございませんので、この辺もぜひ考慮の上、算定をお願いしたいと思っております。
また、労災については、第三者行為の災害については国による求償規定もございますが、この中には当然ながら、未払い賃金の立てかえ払いについてもぜひ評価をいただきたいと思っております。
それと、総論的な最後でございますけれども、原賠法の第3条の1項に、巨大な天災地変の際には原賠法の無過失責任の免責条項があるわけでございますが、この条項については、民法に基づく不法行為責任の免責条項ではないということをぜひ明らかにしていただきたいと思っております。
続いて、各論でございます。まず、就労不能の損害関係でございます。
これについては、先ほど来申し上げております就労不能に伴う賃金の減額部分ということでございますが、この中には、いわゆる一時金、賞与についても、過去の損害額についても認めていただきたいと思っております。これは当然、収入を支える大きな要素として家計の中に組み込まれておりますので、ぜひ考えていただきたいと思います。
それと、事業主によっては、解雇するのではなくて、休業という形で雇用を継続するということで、休業手当を払っていただいている事業者もたくさんおられます。この休業手当についても、労基法の中では最低60%ということになっておりますが、100%との賃金との差額でありますとか一時金の減額部分、これについてもぜひ評価をしていただきたいと思っております。
それと、対象地域外での、この事故の関連で、いわゆるサプライ・チェーンの関係でございます。これについても、休業の特例扱いの適用除外ということになっておりますので、これについても賃金の減額部分についての評価をお願いしたいと思っております。
それと、労働保険・社会保険の関連でも実はございまして、今回の離職に伴って、従来、雇用関係があれば、健康保険組合、または協会健保、共済組合に加入していた者が国民健康保険に加入せざるを得ないということになります。そうしますと、保険料でありますとか給付の内容について差額がございますので、この差額についても評価をいただきたいと思っております。同時に、これは厚生年金の受け取りもそうでありまして、厚生年金の被保険者報酬比例部分の算定部分についても影響が出てまいりますので、この部分の評価もお願いしたいと思っております。
それと、雇用保険の被保険者期間の断絶が出てまいりますので、雇用保険は、ご承知のとおり、被保険者期間によって給付日数に変化がございます。ここの部分についてもぜひ評価をお願いしたいと思っています。
それと、雇用調整助成金であります。これは先ほど言いましたように、解雇するのではなくて、休業によってぎりぎりまで労働者の雇用を維持するという事業主に対して、その休業に対して、政府が労働保険特会から助成金を出すという制度でございますけれども、事業主の払った雇用調整助成金との差額について、営業損害として、これは労働者に直接ということではございませんけれども、事業主が負担しておりますので、評価をいただきたいと思っております。
なお、サプライ・チェーンの関係で5ページに記載してございますが、これはものづくりの部分だけでございますけれども、現在、雇用調整助成金のサプライ・チェーンの評価においては、これは震災被災地と書いてありますけれども、これは今回の地震でいきますと対象区域ということになると思いますが、対象区域における事業の総量の3分の1以上の経済的な関係を有する者。2次のサプライ・チェーンについては、その事業所と2分の1以上の取引を有するという形で、今、運用されておりますので、ご参考にご紹介したいと思います。
労働者の配置転換に伴う損害であります。今回の対象区域に事業所があった、あるいは住居があったといったケースに、転居せざるを得ないというときの二重生活部分の評価をしていただきたい。二重生活部分であるとか転居については細かく書いてありますが、実は案外見落としがちなのは、子供さんの入学金であるとかいうところが、労使交渉の中でもよく交渉の項目になるんですけれども、これは多くの企業では労働協約の中に取り込んでおりますので、この辺の払った費用の営業損害でありますとか、あと、二重生活、単身赴任になりますので、西日本の事業所に配置転換になって単身赴任になった、そのときの二重生活の部分をどう評価するかといったところ。それと、通勤経路の変更に伴う損害、これについてもぜひ評価をお願いしたいと思っております。
それと、安全性関係でありますが、福島の第一原発の中で労働されている方についての安全衛生対策について、通常業務と違う事故の対応ということで重装備の対応になっておりますので、この辺にかかった装備費について、ぜひ評価をいただきたいと思っております。
それと、原発労働者については、私ども連合も政府に要請をしておりまして、電離則の適用の内容についてきちっと対応をお願いしたいということも言っておりますし、また、先ほど、警戒区域外のところでもありましたけれども、これは後ほど出てまいりますが、電離則の準用をお願いしたいといった要請もしているところでございます。
今回の不利益取り扱いの問題についても、ぜひ考慮いただきたいのは、実は原発労働者については、電離則において被ばく線量の上限が決まってございます。100ミリシーベルト被ばくしますと、5年間、原発作業につけないということになりますので、労働者が解雇であるとか配置転換によって経済的な損失があった場合に、これはぜひ評価をして、もちろんそんな解雇があってはいけないわけでありますが、万が一そういうことがあったときにはぜひ評価をしていただきたいと思っております。
あと、警戒区域の労働者についても、先ほど申し上げたように、線量計でありますとかタイベック・スーツ等々の装備費がかかっておりますので、これも評価をいただきたいと思っております。
それと、健康診断ですね。圏外のところでも電離則に準じた取り扱いということで、健康診断を政府も出しておりますが、我々、もっと健康診断をやっていただきたいわけでありますが、そのときの費用についても評価をいただきたいと思っております。
それと、労働災害については、実はじん肺であるとかアスベストと同様に、非常に長い、晩発性の障害でございますので、時効除斥期間の20年の評価をどうするかということをぜひご検討いただきたいと思っております。生命、身体の侵害について、20年を超える可能性がございますので、これについては、じん肺訴訟で運用されておりますように、損害発生の時点を時効の起算点とするといったような運用、あるいは、20年についても見直しをするといったことをぜひ検討いただきたいと思っております。
それと、労災との関係で、これはかつて労災認定と原賠法の認定がずれたケースもございまして、これについては、労災認定がされた場合には原賠法の対象とするということの運用を確認いただければありがたいと思っております。
それと、労災については、企業の上積み補償というものが労働協約等でございますので、これについての評価もぜひお願いしたいと思っております。
最後に、訓練でございます。今回の事故によって、公共職業訓練を受けておられた方が、避難指示のために訓練先が変更になったという場合、それによって生じた損害についても、ぜひ損害と認めていただきたいと思っております。
私からは以上でございます。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 ありがとうございます。
続きまして、全国生活衛生同業組合中央会様、お願いします。資料は1-3-2でございます。
【全国生活衛生同業組合中央会(小宮専務理事)】 生活衛生同業組合中央会、専務理事の小宮山でございます。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
資料に基づきましてご説明を申し上げます。ただ、後半のほうの調査票につきましては、縮小版ということで、大きいものもございますので、後日、提出をさせていただきたいと思っておりますが、2ページ目でございます。縦書きの下のページになりますが、生活衛生営業、これは生活衛生関係業の運営の適正化及び振興に関する法律に規定されておりまして、16業種の営業の総称でございます。床屋さん、パーマ屋さん、理容、美容、映画館、クリーニング業、おふろ屋さん、公衆浴場。先ほど、国土交通省、観光の切り口でご発言をさせていただきましたホテル・旅館業、食肉、食鳥肉の販売業、氷屋さん、氷雪販売業。一般飲食とありますのは、11番目以降、そば・うどん店、すし店、喫茶店、中華料理、社交業、料理業のほかの一般、それ以外の飲食業という16の団体でございます。
特徴といたしましては、事業所数、全国121万で、全事業所の21%。従業者数は628万人を数える。収入27兆円という規模でございますが、特性といたしまして、国民生活に密着をしている。地域社会において住民の生活に欠かせないサービスを提供する営業であるということ。それから、「3ちゃん商売」と言っていまして、父ちゃん、母ちゃん、あんちゃんということで営業しておりますが、経営基盤が脆弱、従業員5人以下の、中小企業対策の一環でありますが、零細事業者が約7割を占めるという団体でございます。書いてございませんが、もう一つの特性は、衛生規制を受けていると。食品衛生法の衛生規制等々を受けています。中小企業対策の一環でありますが、厚生労働省が所管をしているという特徴がございます。下の図にございますように、16連合会の団体、これは中央の連合会がございまして、各都道府県に16業種ないところもございますけれども、572の組合があるという大きなかたまりの団体でございます。
続きまして、資料の3以降、調査をしたものでございまして、むしろ4をごらんいただきたいと思いますけれども、東日本大震災による生衛業の影響等緊急調査結果というのがございます。抜粋でございますけれども、3月30日から4月8日までの間に実施をいたしました。全国47都道府県。都道府県ごとに16業種に属する生衛業の中から、調査に協力を得られる方、1業種当たり5から10業者ということでございまして、下のほうにございます3,289から回答をいただいたものでございまして、第1表で申し上げますと、大きな影響があるが青いところでありまして、下の赤いところが、やや影響あり。まとめますと、65%ということでございます。
次から表が細かくなって恐縮でございますが、4ページ目では、都道府県別に影響を受けているかどうかということを見ておりまして、岩手県、宮城県、福島県、茨城県等々、左から大きく右にということでございまして、何らかの状況で被害を47都道府県受けているということでございます。
6ページ目でございますけれども、これは業種別にどういう影響を受けたのかということでございます。先ほどの旅館・ホテル業は90%を超えて最も高く、また、飲食関連業界も80%を超えるというのが6ページの表でございます。
7ページ目でございますけれども、売り上げの減少要因といたしまして、これは項目を設定いたしまして業界に尋ねておりまして、一番多いのが、顧客の減少、予約客のキャンセルが続き、計画停電による影響、そして、13.4%に、原発事故等による風評被害という項目を設定いたしまして、こういうお答えをいただいております。
ただ、それぞれが重複してといいますか、関連をしてといいますか、こういう項目を並べて、この時点での風評被害は13.4%ということでありますが、次の8ページでございますが、これも原発事故風評被害を都道府県別にまとめたものでございまして、福島、東京、富山、新潟、こういった結果になっております。
9ページ目には、売り上げの減少要因で原発事故風評被害を分析したものでございますが、ホテル・旅館業の次、赤い平均値までは飲食関係が非常に多うございまして、材料の確保等々で影響を受けているのかと思いますが、10ページ目は売り上げの増減状況でございまして、対前年度比、やはり非常に大きな影響を受けております。ホテルで90.3%、飲食関連業界70%以上という回答でございまして、平均的には四、五十%ぐらいということでございます。
そして、恐縮でございますが、3ページ目にお戻りをいただきたいと思いますけれども、ここでいろいろとまとめをいたしております。1つ目は、生衛業は全国的に売り上げ減少等の影響を受けている。全国の約65%の業界が影響ありと回答いたしております。特に3月、4月の売り上げは70%を超えて減少しているということが明らかになった。
2番目では、売り上げ減少の主な要因は、顧客減少、予約のキャンセルということでございまして、それぞれ61%、37%と非常に大きな割合を占めております。後段は旅館ですので割愛いたします。
3番目は、運転資金需要、自粛ムードの解消や税金の減免措置等の支援が必要。特に後段2行目には、運転資金に対する融資、つなぎ資金がどうしても必要だということ。過度な自粛ムードの解消、税金の減免措置というようなことでございまして、原発関連について私も一回りしてまいりましたけれども、業界はやはり国民生活に密着しているということもございまして、なるべく地域のために貢献をしたいと、こういうことでございます。そして、自立をしたいのだと主張する方が多うございました。みずから立って頑張りたいのだ。それから、もう一つは、みずから律して、近所、隣から、いわゆる自分たちが風評被害といいますか、悪い目で見られないように、きちっとやっていきたいのだという声を聞いております。
まとめで申し上げますと、原発のみならず、早急に見通しを明らかにしていただきたい。早期収束がつけばもちろんでありますが、見通しについても明らかにしていただきたい、こういうことでございまして、私ども業界、衛生規制を受けていると冒頭申し上げましたけれども、ノロウイルス、O-157、そしてBSEの関係、鳥インフルエンザ等々、かつて感染症、あるいは複雑な病原体を対象に、見えない敵と闘ってきたということ。そして、そこでも風評被害を非常に感じたということもございますが、何よりも一日も早い計画をお示しいただいて、そうしますと、将来に向かって、今も被災地で炊き出し等、理容・美容が貢献する事業、旅館が受け入れということをやっておりますけれども、前向きな気持ちが当組合にはございますので、それがなえないうちに、いろいろ早期なご指導をお願いを賜ればと思います。
以上でございます。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 ありがとうございます。
続きまして、日本医師会様、お願いします。資料は1-3-3になります。
【日本医師会(横倉副会長)】 日本医師会の副会長の横倉と申します。どうぞよろしくお願いします。座って、少し説明させてもらいますが、資料は後ほどごらんいただくということで、少し口頭でお話しさせていただきます。
今日、ご報告をさせていただく原子力損害賠償の件につきましては、日本医師会が福島県医師会から報告を受けている原子力発電所関係の損害の説明でございます。また、福島県医師会には、福島県にある医療機関の約90%以上の医療機関が参加をしているということでございますから、ほぼ全域をカバーしております。
まずもって、福島県の医師会から、今日せっかく意見陳述をするならば、ぜひ言ってほしいと言われたことが、今回の原子力発電所のいろんな事件によりまして、避難をしなきゃいけなくなった方々、その方たちが従来受けられている医療を受けられなくなったと。そういう住民の皆様の健康管理、また医療につきまして、県内に、あの地域で約6万人ぐらい避難をされておるわけでありますが、県内の全地区医師会が患者さんや住民の方の健康を守るために非常に努力をしているということ。そして、通常であれば、いわゆるがん検診や生活習慣病の健診等々を受けなきゃいけないわけでありますが、避難所に行っているということで、そういう健診が十分受けられなくなっている住民がたくさんいらっしゃる。そういうことについて十分ご配慮をお願いしたいということでございます。
そして、もう第一次指針でいろいろと発表になっておりますが、今回の原発事故による警戒地域に入った医療機関として、機能を果たせなくなっている医療機関というのが、公立・公的病院が2軒、民間病院が6軒、診療所が34軒ございます。この損害といいますと、どうしても経済的な数値が要るかと思いますが、医療機関というのは経済的数値というのを表に出すのはなかなか難しいところがございますけれども、公立病院の収入を平成20年度、総務省でまとめられています『地方公営企業年鑑』というのがございますが、それから算出しまして、年間約73億円。また、民間病院及び診療所の損失は、これは会計事務所等で構成されているTKCという団体がございます。そこのいろんな指標を、私どもの日医総研という研究機構で分析をしておりますけれども、その分析から算出すると、民間病院で約82億、診療所全体で55億6,000万程度、合計212億程度の医療収入というのがあの地域では収入としてはなくなっているということでございます。
また、屋内避難地域には、民間病院が1軒、診療所が23軒ございまして、損失割合を約7割と計算いたしますと、36億程度の収入が得られなくなっているということでございます。
お手元の資料は、30キロ圏外の医療機関で、住民の方々が減少することによる医療機関の減少を示しております。お手元の資料の3ページ目にそれを書いてございます。これは、いわき・相馬地域での資料でございまして、いわき・相馬地域には、公立病院が6軒、民間病院が29軒、診療所が267軒ございます。そこの住民の方々が相当数避難をするということで、この地域にいらっしゃらなくなったということもございます。それによる損失が発生していると。損失割合を30%と計算して、そこにあるように、年間で317億程度ではないかということでございます。
それと、福島県内にあって、いわゆる会津地域、福島県は、ご案内のとおり、海側の浜通りから中通り、会津地域という3つの地域に大別されるわけでありますが、会津地方と、避難したいわき・相馬地域を除いたところには、公立病院が15軒、民間病院が58軒、診療所が702軒あるということで、住民の方々の移動等々で、そこに書いているような損失があるんではないかということが想定されているところでございます。
医療機関というのは、先ほど、連合の方もお話しになっておられましたが、極めて労働集約型の産業といえば、そういう産業でございます。特に私的病院、公的病院は、収入における人件費比率が50から60%を占めているということで、その人というのは、多くの方が何らかの国家資格を持っておられる。看護師さんや放射線技士さん、理学療法士等々、いわゆる資格を有している方が営業に携わっているということであります。ですから、そういう資格を有している方を他地域に流出してしまいますと、戻ってこなくなる。もともとが人的な医療資源と言われる、そういう有資格者の方、非常に少ない地域でございますので、地域の医療再建には非常に支障が出るということで、それぞれの医療機関では、患者さんや地域住民がある程度減少したからといって、なかなか雇用契約を解除することが難しいという状態にあるということで、かなり無理して雇用継続をしておられるというような状況にあろうかと思っております。
お手元の資料の2枚目は、これは、今後予想される、域外搬送された入院患者さんや同行者の帰院・帰宅の交通費の負担についてまとめておるところでございます。避難入院患者の圏域を30キロメートル圏域として、避難患者さんは全国に及び実態が把握できていない現状から、100キロメートル圏外としてのものでございます。
移動方法については、バスによるものとして、1医療機関1台、かつ1台当たり30名を限度とした計算で、これぐらいの費用がかかるのではないかなということで書いております。
入院患者さんの域外搬送につきましては、多くが自衛隊と消防が負担をしていただいたということで、医療機関の負担はそう多くはなかったということでございますが、今度、戻ってこられるときには費用が発生するということであります。
それと、1ページ目は、福島県の全域に日本医師会の災害医療チームを派遣いたしました。一応、今月いっぱいで福島県は自力で、今後の医療は、ある程度行えるという状況にあるということでございますが、3月の発災から5月いっぱいまで236チームを派遣いたしております。医師が377名、看護師が294名ということで、そのほか事務職員等々が入られます。
職種別には、医師が1,135日、看護師が809日おられます。多くの医師はボランティアということで出ていただいておりますが、全国それぞれの医療機関、自分の仕事をある程度お休みいただいて出ていただいておりますが、病院・診療所の医師や看護師さん、1日当たりどれぐらい売り上げるかということを、大ざっぱなつかみの数字で出すとこういう数字になるということで、ご参考までに記載をさせていただいたということでございます。
以上でございます。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 続きまして、全日本病院協会様、お願いいたします。資料は1-3-4でございます。
【全日本病院協会(安藤理事長)】 ただいまご紹介していただきました全日本病院協会の副会長の安藤でございます。本日は大変よい機会をいただきまして、まことにありがとうございます。全日本病院協会のほかに、3つの病院協会、日本病院会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、この4つの病院団体で4病院団体協議会というものをつくっております。この4つで全国の病院の約70%弱をカバーしております。また、病床数としても100万ベッドほどございます。そういう意味では、多くの声を反映しているものだと思っております。病院協会も日本医師会と絶えず連絡をとりながら、リンクしながら活動を行っております。
先ほど、日本医師会の横倉副会長のほうでお話がありましたけれども、現在、大変な医師不足、看護師不足ですが、さらに福島県を含む東北地方というのは、もともと、かわいそうなぐらい医療スタッフが少ないところでございますので、今回、この原発の事故というのがさらに大きな追い打ちをかけるのではないかと思って、大変危惧しております。
今回は、福島県の会員病院を中心としてのアンケートを行いまして、その結果をまとめたものをお話しさせていただきますとともに、福島県病院協会からの補償の要望書もございますので、あわせてごらんになっていただければ幸いでございます。
では、資料に沿ってお話をさせていただきます。全部で3つに分かれておりまして、1つは避難費用に関するもの、2つ目には営業損害に関するもの、3つ目には損害金ではない要望事項というふうに分かれております。
では、第1番目の避難費用に関するものですが、1つとして、避難指示、自主避難にかかわらず、退避に際して要した費用、職員の派遣、付き添いに要した費用、移送患者への薬剤、食料、日用品等の支給に要した全費用をお願いしたいと思っております。
2つ目には、同様に、入院患者さんたちを戻すための移送にかかった費用をお願いしたいと思っています。
2つ目には、営業損害に関するものですけれども、1つとして、近隣住民の方々の減少に伴う外来患者さんの数の減少ということでございまして、例を挙げてみますと、ある産科の専門クリニックでは、里帰り分娩のキャンセル、また、地域住民の県外避難による県外医療機関への紹介等のために、外来や入院患者さんの数が大幅に減少したと。それを見積もってみますと、クリニックにおいても年間約1億円の減収がシミュレーションされています。
2つ目の例としましては、やはり大きなことは、原発関連で物流がとまり、薬が入荷しないために、どうしても外来を縮小しなければいけないと。その損失がございます。
2つ目に、原発事故に起因した職員の自主退職及び風評被害による職員採用への影響ということでございまして、これもある病院の例ですが、常勤医師が6名いたところが、3人退職して半分になってしまったと。そして、病床を減らして入院を再開したけれども、なかなか追いついていけないというような状況があります。
2つ目としましては、郡山市にある、ある病院ですが、放射線量が高く、職員の不安が大きくなってきていると。特に小さな子供さんを持つ職員や、本人や配偶者が他県出身の場合、県外への転職を考えている職員が増えているということ。また逆に、他県出身者が当院への休職を辞退した例があると。求人募集もなかなか希望者がいないということでございます。さらに最近では、募集に関しては業者の方に頼む場合がありますけれども、それはさらに高い費用がかかるということで、大変な状況でございます。
3つ目には、他の医療機関からの支援要員への経費がかかります。
4つ目としまして、放射線の影響による空調費の増加分でございますけれども、通常であれば、もう大分暖かくなってきましたから、窓の開閉によって暑さを調整しますけれども、現在、それができていない。その費用が膨大にかかるということでございます。
5つ目には、休業により使用不能となる医薬品、医療機械、その他の物品費、その補てんをしていただきたい。
6つ目には、借入金返済延長による利息の割り増し分がございます。
7番目としましては、医業の未収金ですけれども、3・11前の方々は、てんでんばらばらに、どこに行ってしまったかわからないということで、これを回収することが結構大変でございます。
これに加えまして、30キロ圏内で休業している病院からのことですけれども、放置すれば使用が不可能となる医療機械の固定資産、そしてまた、再使用に当たっての調整費というものがございます。国では、どちらかというと救急病院や一般急性期病院に関しては補てんを考えているけれどもということでございまして、例えば、療養病床とか慢性期の病院に関して、あるいは介護の施設もそうでしょうけれども、そこら辺のことがまだ明示されておりませんので、そこら辺もあわせてお願いできればと思っています。
9番目としましては、同一法人で複数の医療機関を持っているところの例でございますけれども、同一法人内で他病院に職員を配置がえした場合も、その転居などに関する費用を補てんしていただきたいということです。
最後、3番目、その他の損害金ではない要望事項ですけれども、一日も早い仮払いの支払いをお願いしたいということです。病院もどんどん動いておりますし、また職員の生活の問題もございます。
2つ目としましては、休業による雇用保険の所定給付日数を一律1年間に延期をしていただきたい、そう思っています。
3番目としましては、多数の自主退職者に対して、退職金の立てかえ払い、これを病院や診療所への無利子ということでお願いしたいと思っています。
4番目としましては、これはまた種類が違いますけれども、福島第一原発周辺のより詳細な放射線量のモニタリングと経日的変化の公表を早目にしていただきたいということでございます。
以上でございます。どうもありがとうございました。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 ありがとうございます。
続きまして、全国社会福祉協議会様、お願いいたします。資料は1-3-5でございます。
【全国社会福祉協議会(川井常務理事)】 全国社会福祉協議会の常務をしております川井でございます。本日はお呼びいただきまして、どうもありがとうございます。座ってやらせていただきます。
全国社会福祉協議会でございますが、私ども、この区分の左に書いてございますように、社会福祉施設でございますとか、居宅サービス事業者でございますとか、都道府県や市町村の社会福祉協議会などで構成している団体でございます。このほか、民生委員さんなんかの団体も構成メンバーになっておりますが、今回の議論では、民生委員さんは在宅でございますので、一般国民の方と同じような被害を受けておるということだろうということで、この3つのことにつきまして、どういう被害が現地で起きているのかということで、聞き取りをいたしました結果を一覧表にまとめたところでございます。
まず社会福祉施設でございますが、大きく分けて、特別養護老人ホームのように、施設の中で生活をされているような施設。それから、保育所のように、世帯から施設に通って利用している形態。それから、居宅サービス事業者というのは、事業所から世帯に訪問をして訪問サービス等のサービスを提供しているということでございますが、大きく分けて3つ入っているわけですが、その経営者の立場から見たら、どういう被害があるかというのが上段にまとめてございます。
1つは、避難地域にありますこれらの施設がどういう被害を受けているかという整理をしたものが右側でございますが、1つは、利用者、施設も避難をしなきゃいけないということでありますから、多かれ少なかれ減収という問題に直面いたしております。特に通所系の施設でございますとか居宅サービス系の事業においては、サービスの利用者が移転してしまうわけでございますので、お客さんがいなくなるということでございまして、いわば事業の存続に影響するような影響が出ているということでございます。
また、新たなところで事業をやるという入所系の施設を考えてみますと、代がえ施設を取得し、さらにそこに施設、建物を建ててやっていかなきゃならんということでありますから、この費用は新たに移転することに伴って必要な金というようなことになります。
また、新たなところに行くとなりますと、職員の方が必ずしも全員ついてきてくれるわけでないということでありまして、そのことに伴いまして事業の継続が困難になるというようなことで、予定される収入がなくなるということもございます。
それから、職員は新たなところで採用するということになりますと、今日の状況でございまして、人材難ということがございまして、相当の費用を覚悟しなければ確保できないような状況がございます。
また、居宅系のサービスにおきましては、移転先ということであれば、必ずしも自前の施設を持たなきゃできないということではありませんが、その場合については、移転先で必要な物件を確保しなきゃいけないということでありますので、賃貸料という問題も出てまいります。
次に、屋内避難ということで指示をされているところでは、上に書いてあるような、多かれ少なかれ影響ありますけれども、そのほかに、やはり除線という問題がございまして、土の入れかえをやっているなんていう施設もございます。そういう費用。
それから、窓をあけられないというようなこともございまして、新たに新しい冷暖房の設備を導入しなきゃいかんという問題もございますし、新たに必要な器具の整備をしなきゃいけないというような問題もございます。
また、その下でございますが、社会福祉施設の中には、子供さん、乳児施設なんて言っておりますけれども、そういう施設もございます。そういうところでは、水道水を使ってないというようなことがありまして、また、特別養護老人ホームにおきましては特別食を出すというようなことで、相当諸経費のコストが高くなっているというような問題がございます。
それから、社会福祉施設というと、ちょっと思いつかないといいますか、ちょっと違う系統なんでございますが、社会福祉施設の中には、低所得者でございますとか障害者でございます皆さん方が、作業をして働いて収入を上げるという、いわば就労支援事業でございますとか授産施設と言われる施設がございます。これは、工賃が入ってまいりませんと、ここで作業した分の、通常で言いますと賃金に当たる分でございますけれども、それがもらえないということになるわけでございますが、現状におきましては、放射能の影響で避難するというようなこと、あるいは、農作業なんかもやっておるんですが、農作業が十分できないとか、屋内作業をしちゃいけないとか、そんなような問題がございまして、生産品といいますか、それが減少になるというようなこともございますし、福島でつくったものですよというようなことで風評被害で物が売れないというような問題がございます。
そもそも、これらの施設は、作業することで収入を得るというのが目的の施設でございますので、従前得られたような収入が原発事故のために得られないというような状況になっているという現状があることをお含みいただきたいと思います。また、停電等がございますと、生産活動には影響してくるということでございます。
こうしたことで、これは経営者の立場からの話でありますが、じゃあ、そこに働く人はどんなことになっているかということがその次の「職員等」のところでございます。
施設が移転をするとなりますと、職員も移転をしなきゃいけないということでありますので、移転のための費用でございますとか、移転先の住まいの確保のために、従前の住まいとは別に必要な金が要るという問題がどうなるのかという問題でございますし、中には、移転が困難だということで仕事をやめるというような方も出ておりますが、こういう方々は原発の被害であるのかないのかというような問題もあるのではないかと。私どもは、移転をすることによって仕事ができないということでありますから、被害だろうと思いますけれども、そういう問題がございます。
また改めて、サービスを利用している方を考えてみますと、利用者も移転をしなきゃいけないわけでございますから移転費用が新たにかかるということでありますし、その次の「利用者の疾病・死亡への補償」と書いてありますが、これは原発でということではありませんが、先般の津波で、相当県外の施設に行くとか、隣の町村の施設に移動するとかいう入所者がございました。新聞報道にもございましたが、その過程の中を通じて数十人の方がお亡くなりになられたという状況がございます。こういうことは被害なのか被害でないのかという問題がございます。
それから、避難先で新たにサービスを利用しながら生活をしていくということでございますけれども、避難先環境が違うわけですので、従前使っていたサービス料で足りるのかどうかということがございます。改めて利用者の負担の増という問題に直面するということでございます。
また、障害者とか高齢者は、通常の住宅では生活ができないという方も多いわけでございますので、バリアフリー化の問題でございますとか、バリアフリー化いたしますと退去のときはもとに返さなきゃいかんという問題もありますので、これらの経費がかかるということでございます。
「利用者」の一番下に書いてありますのは、先ほど申し上げた就労支援等のサービスをするときの経営者側の収入が少なくなりますから、利用者も減収になるということの、同じ話の裏表を整理してございます。
もう一つのグループといたしまして社会福祉協議会でございますが、これは全国に社会福祉協議会というのがございますけれども、各都道府県に都道府県社会福祉協議会、市町村に市町村社会福祉協議会、全国にそれぞれございます。これらの社協の中には、地域外に避難をしなきゃいけないという社協も出てきておりまして、それらについては社会福祉施設等の移動の場合と同じような状況があるということでございます。加えまして、最後のところに書いてございますが、社会福祉協議会は地域のさまざまな仕事をやらなきゃいけないと義務づけられておりまして、「生活福祉資金貸付事業」と書いてありますが、緊急の小口資金などの貸し付け業務などをやっておりますし、それから、避難所でございますとかボランティアセンターとかいうところにさまざまかかわっているわけでございますが、新たに受け入れした市町村が相当な業務量を新たに背負わなきゃいけないということになっておりまして、避難した社協とは別に、避難した地域の住民の方々を受け入れた社会福祉協議会も相当な負担になっているという問題がございますので、これなどは第一次の指針の中では直接的に出てこないような感じでございますので、あえてここに整理をしていただいております。
私ども、これらの問題をいろいろ並べましたが、現段階では、関係者から聞き取りをしたぐらいのレベルで来ておりまして、この被害の量でございますとか、被害の額でありますとかいうのは、これからの問題でございます。多少言いわけをさせていただきますと、今までボランティアセンターでございますとか、緊急避難した方の避難所のお世話とかを社会福祉協議会は精いっぱいやっておりまして、こちらのほうまで正直手が回っておらないという現状でありますが、2カ月たってきたということでありますので、これらの問題も少し調査等を進めていかなきゃいけないという認識でいるところでございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、委員の皆さん、ご意見がございましたらお願いします。
【田中委員】 やや言いにくいところもあるんですけれども、例えば、先ほど日本労働組合総連合会の資料の中にありましたけれども、電離則で緊急時の被ばくと一般の通常時の被ばくというのは普通分けて扱うのですけれども、今回、厚労省が緊急時被ばくをそのまま足すみたいなことを言ったというふうに聞いていますが、その事実関係をまず1つ確かめたいのと、もしこれをやると、原発サイトで今働いている人たちは、軒並みもうほとんど、そこ以外の場所での労働というか、放射線従事者としての仕事はできなくなるという一種の専門職としての失業ですね、そういう状況が起こるんではないか。だから、その辺をきちっと本来は分けてやるんだと私は思っていたんですが、そういうことが一緒になることによって、お互いに労働者が働けなくなるという被害が拡大しているんじゃないかという感じがします。
これを突き詰めていきますと、原発サイトで働く人がいない。まだまだ福島のサイトでは働いてもらわなきゃいけない人がたくさん必要なのに、働けなくなっていくという状況が出てくるんじゃないか。それが多分被害を拡大していくんじゃないかということが懸念されます。
それから、先ほど、窓を閉め切っておかなきゃいけないというのが二、三出ていました。今、私が毎日見ているんですけれども、文科省の空気ダストのデータは、ほとんど検出されない状況ですね。だから、相当風でほこりが舞い上がらないようなときでもない限りは、窓なんかあけたって全然構わないと思うんですけれども、そういった指導をぜひやって、それは空調を入れるというのも必要だと思いますが、2日前に福島に行っていたんですが、30度を超しました。子供たちが長袖を着て、窓を閉め切った中で教育を受けているような状況というのは、これは、せっかく測っているデータを生かせば解決できるわけで、まさに花粉症の予報みたいなことで対応できるんじゃないかと思うので、そういうことをもっときめ細かくやらないと、この風評被害とか出さなくてもいい被害というのはいっぱい出てくるような気がするのです。
ですから、いろいろな意味で、私は放射線に対する基準というのをもう少し丁寧に適用していくことが必要じゃないかと、今、皆さんからのお話を聞いてつくづく感じていますので、その辺適宜ご配慮いただければと思います。
【日本労働組合総連合会(新谷総合労働局長)】 最初のご質問が厚生労働省の運用のところなので、私は答える立場にございませんが、労働者を守るという立場から言えば、私の資料の6ページにございますように、今の1年間で50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトの上限は全然揺るがすつもりはございません。これをきちっと守っていただくことが大前提でございます。
ですから、こういう被ばく線量を浴びないように、まず曝露防止をきちっとやっていただくということが根本的にお願いしたい点でございますが、万一この線量に達してしまったといったときに、ここに記載のとおり、それによって労働者が職を失うことにならないように、そんなことがあってはならないと思いますし、特定の労働者に負担がかかってしまいますと、どうしてもこの被ばく線量に近づいていきますので、多くの人が原発で働いて収束に向けていただけるように、電事連を含めて、人材供給ということについてもぜひ配慮いただきたいと思っております。
以上です。
【田中委員】 今、福島の原発サイトの被ばく状況というのは、通常じゃなくて緊急時ですよね。だから250ミリシーベルトまでということで決めているわけですから、そこに50ミリシーベルトのことと合わせてしまうというのは、250ミリという基準を決めて今働いていただいている方に働くなということなんですよね。そこはやっぱり分けておかないと、被ばく線量を増やせということを私は言っているわけじゃなくて、そこは分けておかないと、200ミリとか100ミリを被ばくした人は、そこの仕事が終わったら、もうあとほかの事業所では働けないということになるわけで、そういうことになるから、その辺の基準の適用というのをもう少しきちっとすべきであって、連合のほうができるだけ労働者の被ばくを下げるという原則は、それはそれで結構だと思うんですが、そこのところは分けて考えないと、今の現実には合わないことになるということを申し上げたのですが。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 事務局のほうで厚労省に後ほど確認してお答えするようにいたします。
【田中委員】 そうですね。
【能見会長】 それでは、この審査会の作業との関係で、委員の中でさらにご質問があれば伺いますが。
【高橋委員】 同じく連合の方にお聞きします。連合はかなりスタッフも抱えていらっしゃって、法的な検討を随分されてきたと思います。その関係でお聞きしたいのですけれども、3ページの2と4ページの3については、基本的に所管官庁のすべき話だと私は理解しています。したがって、この審査会の指針として措置すべき話なのかなということを疑問に思ったのですが、そこら辺はいかがお考えでしょうか。ちょっとお聞かせいただければと思います。
もう少し具体的にいえば、例えば、原子力損害賠償支払いに対する求償の問題は、基本的に所管官庁の話です。それから、こちらの4の3も基本的には、制度をそういうふう手直しすべきかという話なので、指針でそこまで書くべきなのかということは疑問だと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
【日本労働組合総連合会(新谷総合労働局長)】 ありがとうございます。
ご指摘をいただいた3点ございまして、3ページの2の労災保険の補償との関係でございますけれども、これについては、ご承知のとおり、労基法の中に第三者行為による求償についての規定がございますので、それをきちっと運用していただきたいという趣旨でございます。そういった意味では、厚生労働省の所管ということがご指摘に当たるのかもしれませんけれども、それは指摘を申し上げたというところです。
それと、4ページの3、労働保険。社会保険の関係ですけれども、これは所管というよりも、ぜひこの紛争審査会の中でご検討いただくべき課題ではないかと思いまして記載をさせていただきました。実質的に労働者が辞職によって労働保険、社会保険の保険料の負担であるとか、給付の差額が現実に発生いたしますので、これは所管の問題というよりも、ぜひこの審査会の中で損害をどのように評価するのかということをご審議いただきたいと思っております。
【高橋委員】 わかりました。どうもありがとうございます。
【能見会長】 いろいろそれぞれの活動といいますか、あるいは業種の中で個別に検討していくと、この審査会で一般的にただ理解していたよりはいろいろ深い難しい問題があるということがよくわかりました。これらの問題についても、審査会の検討事項である限り、我々として検討したいと思っております。
そういうことで、もしほかに特にご意見がなければ、これでよろしいでしょうか。今日はどうもありがとうございました。大いに参考にさせていただきます。
それでは、次の議題に移りたいと思います。第2の議題ということで、第二次指針策定に向けた論点についてでございます。前回もかなりご議論いただきましたが、そういう意味で一通りは議論していただいたわけでございますけれども、引き続き、この論点整理に基づく議論を行いたいと思います。前回からの資料を多少修正しておりますので、事務局から要点の説明をお願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 手短にやらせていただきます。
資料2でございます。前回の議論も踏まえまして、論点を若干修正させていただいております。
1ページ目は、帰宅費用と精神的損害の項目の順番を見やすく並べかえさせていただいております。
それから、3ページの3のところに、これはご指摘ございましたので、「通勤や通学などに関し、特に高額の生活費の増加」ということをつけ加えさせていただいております。
それから、5ページの(3)でございますが、作付制限指示について2つのパラグラフで記述しておりましたが、内容は変えずに1つのパラグラフにさせていただいております。
それから、7ページでございますが、「地域の範囲」の2の出荷制限区域のところに、市町村もあるということを明記させていただいてございます。
それから、その下の「品目の範囲」のところに、3と5の間に4という食用に加えて、飼料作物、葉たばこ等、ちょうど中間に入るようなものを入れさせていただいております。
それから、8ページからの「その他の業種」でございますが、ここも食品のみならず、体に接触するものというご指摘もございましたので、従来の整理を若干変えまして、9ページの「品目・業態」のところで、食品、身体に接触する品目、その他というふうに整理を変えさせていただいてございます。
以上です。
【能見会長】 それでは、この案につきましてご議論をお願いします。
【高橋委員】 前回、大学の関係でこの点に関する議論が始まる前に中座しまして、大変申しわけございませんでした。
議論を後で、今日配られております議事録なども拝見して、多少出おくれた議論を申し上げることになるか、とも思いますが、一点、申し上げます。すなわち、議論を拝読して、今回の指針はどういう性格を持っているのかということを前提とした専門的な議論が既に開始されているように思いました。他方、今回の会議が公開の場でやられていることもありますし、国民に対するメッセージということもありますので、ぜひ専門的な議論をする前に、指針とはどういうものなのかということを、委員の認識を共通してまず議論していただいたほうがいいというのが私の感想です。行政法の専門家が、民法の先生には当然のことをお聞きするようですけれども、少し確認していただければと思います。よろしくお願いします。
【能見会長】 ご質問の趣旨は、指針とはどういうものであるかについて、我々の中ではある程度共通な理解があると思いますけど、なお、不十分なので、指針の意味をわかりやすく説明したほうがいいということでしょうか。
【高橋委員】 私も行政法の専門でございますし、法律の専門以外の方もいらっしゃいますので、そこはきちんと法律的にどういう意味を持つのかというのは確認しておいたほうがいいだろうということでございます。
【能見会長】 それでは、私が理解する指針の意味というのを一通りご説明いたしますと、今回、原子力事故によって損害が生じ、事業者である東京電力が原賠法に基づいて損害賠償責任を負うという前提で考えますが、そのときにどういう範囲の損害を賠償することになるのかというのは、もちろん最終的には裁判所等で決まる事柄ではありますけれども、迅速に賠償を行っていく、そしてまた、当事者間での和解などを行う際にも賠償範囲についての指針があると和解が促進されるということから、この審査会においてはどういう基準でどういうものを賠償するのか、賠償範囲についての指針を決定することになっているかと思います。
今私が申し上げた指針というのは、ある意味ですべてを含めというのでしょうか、法律に基づけばどういうものが賠償の対象になるかということ自体は、非常にいろいろな細かいものもあり、すべてを実際には、いわゆる第一次とか第二次とか中間指針とかいう中ですべてを描くということはなかなか難しいんですけれども、当面、迅速に賠償していく上で、我々委員会の中でもって、こういう損害についてはあまり異論がないであろうと判断したもの、例えば、裁判所でそんなに争われることはないだろうというような損害については、この指針の中でその旨を明らかにし、東京電力が賠償していく際に参考にしてもらう、これが一応指針の意味だろうと思います。
もし、今のような説明でなお不十分でこういう点をさらに明らかにしてほしいということがございましたら、お願いいたします。
【高橋委員】 それを前提にした上で、これから議論していきたいと思います。
【能見会長】 我々法律家からすると、ある程度、この指針というものはどういうものかということは大体共通の認識があると思うんですけれども、法律の専門以外の委員の方の中には、あるいは指針のイメージがわかりにくい点があるかもしれませんので、もし委員の中でご質問等があれば、この際、議論したいと思いますが、いかがでしょうか。
【草間委員】 私は放射線のほうの専門で法律の専門ではありませんけれども、今回第二次指針でして、第一次指針のときに私はそういう理解は十分させていただいたつもりで、議論に加わらせていただいているところなんですけれども。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、我々委員の中では、一応共通な理解があり、指針の意味について、さらに具体的にこの中身を詰めていく段階で、なお明らかにすべき点があれば、その際また議論をするということで話を先に進めてよろしいでしょうか。
どうもありがとうございます。
それでは、この「第二次指針作成に向けた主な論点(改訂版)」ですけれども、この中で議論されていることについて、内容的にご議論があればお願いいたします。
【田中委員】 ちょっと確認だけさせて下さい。
【能見会長】 はい。
【田中委員】 風評被害のところで、例えば6ページのアのところに「敬遠したくなる心理を一般に是認できる場合」とか、その下に「原則として事故との相当因果関係が認められる」という記述があるのですが、これは今日もたくさんいろいろな話を聞いて、どれがどうなんだか私にはさっぱりわからなくなったので、これについては、前回、別途作業グループをつくるようなお話があったのですが、そういうところである程度精査していただけると見てもよろしいのでしょうか。ここでやるのでしょうか。
【能見会長】 いわゆる風評損害で、原子力損害として賠償の対象になるものはどういう基準で――基準というのはあいまいな表現かもしれませんが、まずは6ページに書いてあるような抽象的な意味で、どういう基準で風評損害というものが賠償範囲に入ってくるのかということについては、専門委員というよりは、この審査会そのもので決定すべき事項だと思います。
ところが、いろいろな事業、今日もいろいろな話がありましたが、それぞれの事業においてかなり特殊な事情があったり、それぞれの事業について基準を当てはめて、仮に風評損害という言葉を使うと、どういう風評損害までがその事業においては、あるいはその分野においては賠償の範囲に入るべきかということについては、これは例えばマーケットの構造であるとか、どういうところにそもそも風評損害が生じているのかとか、そういうことはやはり調査しないとわからないので、これは専門委員の皆さんに調査をしてもらう、そういうことになるかと思います。
【田中委員】 ありがとうございました。
【能見会長】 ちょっと一言、前々回の修正したこの案を、前回とそんなに変わっているわけではございませんけれども、これをもとにして次回ぐらいにはもうちょっと具体的にといいますか、例えば風評損害について言いますと、今日の資料の7ページのところで、地域の範囲と品目の範囲について選択肢というのでしょうか、どれとどれを組み合わせて範囲を決めるかということをこの審査会では最終的に決めることになりますので、そういう意味では、風評損害について組み合わせというのでしょうか、こういうものももし今日の審査会でご議論があれば、ぜひお願いしたいと思います。
【高橋委員】 前回の議事録にも出ていたことですが、確認させて頂きます。一つは、風評被害を積極的に認めていく場合、商品購入を回避する行動の心理が合理的かどうかということを基準にしてやっていくわけです。そういう場合は、線引きをした他の損害とのバランスからいうと、その心理が合理的と認められるかどうかについての終期についての基準はある程度しっかり定めておいたほうがいいと思います。もちろん、事故が収束していない、観光業の方については、影響はまだ収束していないんだというお話もあると思います。しかしそれ以外の例えば農業等の主に放射線の放射能の汚染というのは、当初の水素爆発による拡散によるものであるということが認定されておりますので、その辺、ある種の目安はきちんと出しておいたほうがいいのかなというのが、まず、前回の議事録からの感想でございます。
【能見会長】 先ほど終期とおっしゃったのでしょうか。
【高橋委員】 はい。
【能見会長】 特に終期についてはっきりさせたほうがいいというご趣旨でしょうか。
【高橋委員】 に関する目安です。どういう考え方でいくのかと。つまり、合理的であるというふうに見られる言動というのはどこまでなのかというところを、ある種、考え方を示しておいたほうがいいのかなと思ったということでございます。
【能見会長】 それはまさにここでご議論いただきたい点だと思いますけれども、例えば、こういった風評損害というものを今後何年分ぐらいまで見るのかとか、そういう話ですね。
【高橋委員】 はい、そうです。
【能見会長】 これについて何かご意見があればお願いいたします。
【草間委員】 終期に関しては前回も議論があったわけですけれども、今日もちょっとお話がありますように、福島第一原子力発電所事故そのものの収束が必ずしもはっきり見通しがないところで、ここで第二次指針の中で終期がどうこうということの議論ではなく、第一次指針、第二次指針、第三次指針というような形で多分予定されておられるんだろうと思うんです。
いずれにしましても、この補償に関してはできるだけ迅速にやりましょうということだったので、私は、終期については、原子力発電所そのものの事故の見通しというのは必ずしもまだはっきりしていない中で、この第二次指針の中で終期がどうかというような議論は、早過ぎるような気がするんです。
したがいまして、第二次指針の中では、今日お話しいただいた風評被害はほとんど、前回の第二次のときが少なくとも事故発生の周辺都県にしましょうということだったわけです。終期については第二次指針の中では取り扱わない、あるいは第二次指針の中では迅速にという視点では、風評被害については、とりあえず前回ご議論したように、発生県と周辺都道府県という形で、これからそのワーキンググループをつくって、さまざまな調査をしていただいて、もっと広げなきゃいけないとすれば、そこの第三次指針の中でやるというような形にし、私は、第二次はここで一応まとめるべきじゃないかなという印象を持っているんですけど、いかがでしょうか。
【能見会長】 どうもありがとうございました。私はあまり発言してはあれかもしれませんけれども、私も今のご意見に賛成で、風評損害についての終期というのは、これはもちろんどこかの段階では検討することになると思いますけれども、第二次指針を作成する上で必ずしも今決めなくてはいけない問題ではないだろうと思います。
ほかの委員でご意見があれば、いかがでしょうか。
【中島委員】 私も会長のご意見と同じで、現に放射性物質が出ている間は時効も進行停止しているわけですから、その間は少なくとも終期を議論するのは時期尚早ではないかと思います。
【高橋委員】 すいません。終期と申し上げたのは、全くそれが切れるという話ではないですよね。つまり、合理的な範囲としてどこまでかというところに時間的な視点があるんじゃないのかということを申し上げている訳です。別にまた新しくいろいろと新たな事象が出てくれば当然新たな形での風評が出てくるわけですから、そういう意味では、ある種の放出との関係の時間的な視点というのもあるんじゃないでしょうかということを申し上げたかったのです。
【田中委員】 今回の事故の特徴というのは、セシウムが出ているということで、これの終わりがいつになるかということは、まず我々が生きている間には終わらないだろうというのが私の率直な感想です。
ですから、サイトの問題が落ちついたとしても、既に出てしまったセシウムの影響というのは長く続くわけです。ですから、サイトが落ちついたって、避難している人たちがいつ帰れるかということは、その帰る場所がそれなりにきちっと暮らせる環境に戻らない限りは帰れないわけですし、風評についても同じようなことが起こり得るわけで、だから、それが非常に通常のいろいろな災害と異なるところなので、その辺をご理解いただいたて、私もそういうつもりで議論したほうがいいんじゃないかということで、結論的に言うと、当面第二次指針では、先ほど草間先生がおっしゃったとおりでいいと思います。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
ほかに別のご意見があれば伺いたいと思います。
【鎌田委員】 考え方としては両方の中間ということになるのかもしれないんですけれども、確定的な現実的損害があって、その周辺に風評被害と言われるものが存在しているわけですよね。
【能見会長】 風評被害の理解はどうか、営業損害を中心にして考えた場合という話ですね。
【鎌田委員】 ええ。6ページでは、風評損害と言われるものについての基本的な物の考え方がアであり、それの具体的な適用の仕方について、イで1と2という2段階を設けている。1というのは、もうかなり確定的に機械的にこの基準に当てはまれば、ほぼ100%賠償の範囲に入れますよというものであって、その枠に当てはまらないものが2であって、2のような書き方も一つの指針なんだと思っているんですけれども、1の基準を外れたものについては個別の事情に基づいて考えることになるけれども、それを考えるときのポイントはこういうことですよという指針を出すことになりますね。
1の部分で、非常に具体的に、画一的に適用できるようにしていくとき、場合によっては、例えば何々県の農業では何々県の葉ものについて、いつごろからいつごろまではもう問題なしに賠償されるべき損害と認定するという、そういう議論をするときには時期の観点が入ってき得る。絶対に入れないとか、絶対に入れるとかいうふうなものではなくて、より基準を明確に決めていこうと思ったら、その中に時期の観点も入ってきてもいいけれども、絶対にそれを一律に決めなきゃいけないというと、それは無理でしょうということなりますけれども、絶対入れちゃいけないという話でもないだろう、ものによるんだろうということです。
【能見会長】 一般論とは今おっしゃったとおりで、例えば前回の議論にありました、避難をしていることに伴う精神的損害などにつきましては、これから先、仮設住宅とかいろいろ住居環境なども変わってくるので、環境が変わると、例えば避難に伴う精神的損害の賠償の額であるとか、どういうものを賠償するかも含めて変わる可能性がありますので、そういう意味では、時間の要素というのは常にあるんだろうと思います。
風評損害についても、今、鎌田委員が言われたように、一般論としては時間的な要素はある。ただ、中島委員が言われたように、現在まだ出荷制限がされているようなものもあり、その周辺的な、出荷制限がされているものそのものについては、これは風評損害のカテゴリーではなくて、営業損害の問題なんですが、その周辺の農産物等について、どこまで賠償するかというのは、ここでのいわゆる風評損害の問題で、これは出荷制限などは続いているような、あるいは、もうちょっと広く言うと、放射性物質の危惧が続いている限りはある意味で続く。しかし、その環境が変われば、当然、賠償範囲というものも変わってくる可能性があるだろう、そういう抽象的なことは言えると思います。
いずれにせよ、時間的な要素を第二次指針で何らかの形で書くか、抽象的には書けるかもしれませんけれども、あまり詰めた議論は、おそらく今はまだできないのではないかと思いますので、適切な表現で織り込むことができるとお考えであれば、何か表現をご検討いただければと思います。
【高橋委員】 私が申し上げた趣旨もほとんど鎌田先生と同じであります。物によっては考え得るということは、検討すべき課題であると思います。
【能見会長】 わかりました。場合によっては、総論みたいなところで触れるということがあり得るかもしれません。
【鎌田委員】 むしろ逆なのかもしれません。細目に入っていったときに、これこれの品目に関してはいつからいつまでのものというようなかたちで入ってきたほうがよくて、抽象的なところで時期を考慮しますと抽象的に書くと、それ自体としてあまり意味がないことになるので、そういう観点もあり得るということは共通の認識にしておいて、はっきり時期的なものを書いたほうが具体的な運用がより円滑になるときには、それは書くということになる。この部分では、かなり具体的な個別の品目について個別の状況を考えないと、時期の問題というのは盛り込みにくいんだと思うので、そういう意味では総論に書くより、各論で非常に具体的な基準が提示できるときには盛り込むということのほうが現実的かなというのが私の感想です。
【能見会長】 今日いろいろ感触を得たかったのは、先ほどの7ページのあたりですが、風評損害の中のこの第二次指針で書くとすれば、この辺が重要になってくる。先ほど鎌田委員が2つのカテゴリーを分けられて、その第1のほうは、その類型に入れば賠償の対象になるということが当然に明らかになる。そういうものの範囲をどうやって決めるかということで、例えば地域の範囲に関しては幾つかの選択肢がありますが、例えば、出荷制限区域、これは県となると3とほぼ同じなのかもしれませんが、市町村単位ということであれば、出荷制限区域というのはかなり狭い範囲になります。他方で品目については、出荷制限された農産物は営業損害の問題になりますけれども、それ以外の農産物については風評損害の問題となり、品目の選択肢として3の農林水産物を選ぶと、出荷制限区域の中の出荷制限されていないそれ以外の農産物について風評損害として賠償を認めるということになるわけです。あるいは、出荷制限区域を含む県ということになると、何々県の中の、そして3を選べば、何々県の農林水産物、これは出荷制限はされていなくても、いわゆるここで言う風評損害として賠償の範囲に入る。そういう選択肢の組み合わせを次回あたりには決定したいわけですけれども、それについてのご意見をいただけるとありがたい。
ただ、この時間の問題というのは今は書けないような気がしますが、何かうまい方法があればご発言をいただきたいと思います。
【中島委員】 今、会長のおっしゃったレジュメの7ページの地域と品目についての一つの考え方として意見を申し上げさせていただきますと、現在、出荷制限以外に牧草地の牧草の制限、牛に食べさせてはいけないと言われている制限の県が出ておりまして、食品は500ベクレルですが、牧草は300だと。その根拠は、食品は洗って食べますが、牛は草を洗わないで食べさせるから低くなっているんじゃないかと思います。牧草地の制限がついているのは、出荷制限区域を含む8県か9県の周辺に広がっていると思います。それが県単位ではなく地域単位だったかもしれませんが、県単位であれば、牧草地の制限のある県という意味で4の一部と、そして牧草地に制限が出ているということは、少なくとも300ベクレル以上、その地に放射性物質が注いでいるということになりますので、ゼロではないということが明らかですので、同じ状態で畑でつくられている農作物にも、当然同じ量の放射性物質が注いでいると。ただ、出荷制限になっていない理由は、食べ物については500ベクレルであり牧草の基準の300より高いということと、検査に当たっては、食べる状態と同じぐらい洗って検査されるという2つの理由で出荷制限がついてないだけだと考えられます。ところで、牧草地に制限がついているということは、当然放射性物質はゼロでないことが明らかですので、その範囲の農作物については出荷制限がなくても市場としては何らかの後発的な影響があると恐れて納入を拒否したり、あるいは低い評価で価格が下がったりという反応をしていると考えられます。その市場の動きというのは合理的であると考えてよいのではないか。
そういう意味では、その周辺が牧草の制限のある部分に限られるという前提での4と、口に入れるという意味での品目での4、4の一部と周辺県を牧草地の制限というところに限定しまして、4と品目の4の組み合わせというのは1つ考えられるのではないかと思います。
【能見会長】 どうもありがとうございます。
科学的な根拠のほうは必ずしもよくわからないところがありますが、今の中島委員のご意見だと、牧草地の制限の300ベクレルと食品の500というのは、実質的には同じ基準だという趣旨ですね。
【中島委員】 はい。
【能見会長】 いかがでしょうか。
【高橋委員】 今の具体的には、風評被害としての基準を実際上は300ベクレルにするという話になるんでしょうか。ちょっとそこの意味がよくわからないんですが。
【草間委員】 基準はここで決める課題ではない。
【中島委員】 ベクレルのことは何も言っているんじゃなくて。
【高橋委員】 賠償の指針の範囲としてそういうふうになるのかということです。
【田中委員】 今そうなんです。今、食物摂取基準というのがあって、間違っていたら直していただきたいんですが、食べ物については通常は500ベクレル/キログラムという値で大体決まっていて、例えば……
【草間委員】 ヨウ素とセシウムは、レベルは違いますけど。
【田中委員】 セシウムですね。ヨウ素はもちろん違います。おっしゃるとおり、核種を言わないといけないので、ヨウ素も違うし、ウランとか全部違うわけですけれども、今の時期はセシウムが問題になっていますから、セシウムでいうとそういうことになっています。
例えばお米の場合は、500ベクレル/キログラムなんですが、土壌から最大で10%吸い上げて米にいくというデータに基づいて、これは一番安全案のデータだと承知していますが、それで5,000ベクレル/キログラム以上の土壌では水田を控えてくださいということになっています。
だから、牧草の場合は300にしておくのは、乳牛とかの摂取基準が、リットル当たりになるんだと思いますが、200ベクレルなんです。その牧草を食べた牛が、全部乳牛とは限らないと思いますけれども、乳を出したときの濃度が200ベクレル/リッターということで、そこのあたりの因果関係で牧草に対する制限を設けているということなので、今おっしゃったように300でないといけないということではないんだと。ただ、それがほんとうにそういうことでいいかどうかというのは、またいろいろ議論がありますが、ここでやることではないんだと思います。
【能見会長】 そうですね。どうもありがとうございました。
今の中島委員のご意見も、あるいは今のご説明を伺っていて、場合によっては食品と牛乳みたいなものと、またちょっと違って考えるべきなのかもしれませんね。
【高橋委員】 今の発言を含めてやや消極的なことを言ったように受け取られた方がいらっしゃったかもしれません。しかし、私はこの事態に対してきちんとした経済的な損害を担保するべきであるという立場は先生方と全く一緒です。ただし、損害賠償、つまり因果関係の範囲として、きちんとこの制度の中で救済していく話と、食の安全・安心として政府がきちんと国民の方に守っていくべき措置、その一環としてとるべき措置というのは2つの考え方があって、そこは両方ちゃんと組み込んでやっていかないといけない。
相当因果関係に基づく損害賠償の制度で、どこまで賠償の範囲を拡大するべきかということについては、ここの2つの制度のバランスをきちんと考えていくべきだろうと思います。そこは、政府の責任としてやっていただくべきことはやっていただくし、こちらできちんとやるべきことはやっていくべきだと、そういう考え方で、臨むべきではないか、と申し上げたかったということです。
【能見会長】 一般論としては、おそらく異論がないことだろうと思います。ここで考えるべきことは、原子力損害賠償法に基づく損害賠償の範囲として、どういうものを指針に記載するかという問題で、今問題となっている風評損害についていえば、具体的なわかりやすい例で申し上げますと、例えばこの地域の範囲について、先ほど3とか4、あるいはその中間みたいな議論がありましたが、例えば3と4ではかなり範囲として違ってくるわけです。出荷制限区域を含む県ということになりますと、ある農産物について出荷制限がされていますと、その地域を含む県全体が地域ということになって、そこでつくられる、今度は品目のほうの範囲を決めなくちゃいけませんが、仮に3でいうと、食用の農水産物がすべて風評損害の対象になる。そのときの考え方というのは、出荷制限がされている区域を含む県については、そもそも農産物等についての品質表示が県単位で行われているということは議論になりましたし、したがって、消費者のほうは何々県の農水産物であるということによって買い控え等が生じても、これはある意味でやむを得ないといいますか、市場のそれなりに正常な反応であろうと。
他方、出荷制限されている区域において、出荷制限されていない農産物をつくっている人たちが、そういう農産物が市場で買われないことによってこうむる損害というものも当然賠償されてしかるべきであるという判断をすると、この3を選ぶということになるわけです。
あるいは、もっと狭い範囲でもって、県全体を含むのは広過ぎるというので、出荷制限をされた区域だけの風評損害にとどめようというのであれば、2という地域を選ぶことになります。
それから、4というのは出荷制限区域を含む県及びその周辺都県というのは、今読んでみると、周辺都県という概念が少しあいまいな感じがしますけれども、出荷制限区域を含む県は3で入るわけですから、その隣接周辺都県をどこら辺まで入れるかというのは、また議論しなくちゃいけないと思いますけれども、仮にそれが適当だという判断をここでして、品目と組み合わせて、その結果、地域と品目の組み合わせで決まる範囲については、これは原則として相当因果関係があるということで風評損害として賠償の対象にする。こういう判断をやはりどこかではしなくてはいけないので、これはこの審査会で決めていただくことであると思います。
ということで、引き続きもしご意見があれば。姜の資料では、いろいろな選択肢が出ているだけで、どのような組み合わせを取るべきか、実際にどこら辺で線を引くべきかということについての議論の手がかりとなることがここには書いていないので、線引きについてなかなか議論がしにくいかと思いますけれども、もし何かご意見があればぜひ伺わせていただきたいと思います。
中島委員は先ほどご意見を言われましたが、ほかの委員、いかがでしょうか。もし今この場でご意見がなければ、次回また原案的なものを用意いたしますけれども、それまでの間にこれをご検討いただいて、どういう組み合わせが適当であるか、ぜひご意見をお寄せいただければと思います。
【中島委員】 先ほど田中委員がご指摘になった6ページのアの表現なんですけれども、この「危険性を懸念し、敬遠したくなる心理を一般に是認できる場合」という表現になっています。これは、平成元年の名古屋高裁金沢支部の敦賀原発事故の判決の表現そのものですけれども、この敦賀原発の判決は、この表現の言い方を変えまして、同じ条件が起きたなら、同じ反応が起きるような場合がそれであるというふうに言い方を変えておりますので、これをこの風評損害の市場の合理性という観点で言いかえるならば、同じ事故が起きたならば、市場が同じ反応を起こすであろうという範囲がこの範囲だ。そして、もし裁判になったら、その範囲で相当因果関係が認められるはずだというふうに考えられます。一応それを指摘させていただきたいと思います。
【能見会長】 今の中島委員のご説明にありましたように、非常に特殊な反応の場合を考慮するのではなくて、一般的にそういう反応が起きるであろうという状況のもとでの風評損害については賠償範囲にしようというときの裁判上の法律的な表現なのかもしれませんけど、そういう趣旨がここに含まれております。
もしほかにご意見がなければ、避難費用等につきましては、大体皆さんの合意が得られたかと思いますし、若干つけ加わった説明もございますけれども、今の風評損害のところが一番大きな問題かと思いますので、次回、案を用意するようにいたしますので、またそれについてご議論いただくということでいかがでございましょうか。
それでは、本日、長い間ご議論いただきましてありがとうございました。次回、第二次指針というものをお示ししたいと思います。
議事はこれで終わりですが、次回の日程などにつきまして事務局から説明をお願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 次回は、5月31日火曜日を予定してございます。時間と場所は、例によりまして後刻発表させていただきます。
以上です。
【能見会長】 それでは、これで閉会いたします。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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