平成23年4月28日(金曜日)12時30分~14時30分
文部科学省旧庁舎6階 第2講堂
能見会長、大塚委員、鎌田委員、草間委員、高橋委員、田中委員、中島委員、野村委員、山下委員、米倉委員
笹木文部科学副大臣、林文部科学大臣政務官、清水文部科学事務次官、森口文部科学審議官、土屋大臣官房長、藤木研究開発局長、田中原子力損害賠償対策室長、篠崎原子力損害賠償対策室次長、田口原子力損害賠償対策室次長
北川 原子力発電所事故による経済被害対応室長、加藤 原子力発電所事故による経済被害対応室審議官
松本福島県副知事、上月文部科学省生涯学習局政策課長、大澤厚生労働省老健局総務課長、佐原厚生労働省保険局総務課室長
【能見会長】 それでは、時間になりましたので、第3回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、大変ありがとうございました。
開会に当たりまして、笹木副大臣より、一言冒頭のあいさつをいただきます。お願いいたします。
【笹木文部科学副大臣】 笹木でございます。今日もほんとうにありがとうございます。
福島の原子力発電の事故については、政府、東電、そして関係機関、その収束に向けて一生懸命、今、力をまとめて尽くしているわけですが、今現状は、避難区域、避難して生活されている方々、そして、これからの計画的避難、そして、被害で言いますと、農業、漁業、あるいは製造業、こうした被害も非常に大きいものがあります。一刻も早く被害者の救済を図ることが大切、もうこれは国会の中はもちろんですが、どこでも皆さんからお声を聞いておりますので、ほんとうに膨大な、そして多岐にわたる被害ですから、大変な作業、お仕事だと思いますが、今日、一次の指針案をまとめていかれる方向で議論をしていただくと聞いております。ぜひよろしくお願いします。ご協力をお願いしたいと思います。ほんとうにありがとうございます。
【能見会長】 ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思いますが、最初に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 お手元に配付資料、まず第3回原子力損害賠償紛争審査会の議事次第がございます。ここに下のほうに配付資料として、資料1、福島県からの説明資料でございます。それから、資料2-1として、学校関係、資料2-2として、介護・福祉・医療関係、それから資料3が、一次指針の案ということでございます。参考資料といたしまして、前回の議事録を配付させていただいております。不足等ございましたら、申し出いただければと思います。
なお、今ごあいさついただきました笹木副大臣、この後、13時ごろから公務のため一回中座されて、その後またお戻りになる予定でございますので、あらかじめお知らせをさせていただきます。また、高橋委員におかれましては、13時ごろにいらっしゃる予定でございます。
それから、一般的なお願い事項でございますが、発言をされる方は、私もそうなんですが、できる限りマイクに近づけて発言をいただくようお願いしたいと思います。
以上です。
【能見会長】 それでは、議題1からご議論いただきたいと思いますが、議題1は、福島県の現状についてでございます。福島県より松本副知事にお越しいただいておりますので、ご説明をお願いしたいと思います。では、松本副知事、お願いいたします。
【福島県(松本副知事)】 福島県の副知事の松本でございます。よろしくお願いします。このたびの原子力災害に関しまして、福島県の状況をご説明させていただく機会をちょうだいしました。特に第一次指針のとりまとめの前の非常に大事な時期にお話を聞いていただけるということで、感謝をいたしております。どうぞよろしくお願いいたします。では、座って話をさせていただきます。
資料1に書いておりますように、私のほうからは、住民避難等の状況、それから農林水産物の出荷制限等について、そして最後に、この紛争審査会に私どもが望むことということで、ご説明をさせていただきます。
まず住民避難の状況等でございますが、これは前回、第2回のこの審査会で、被災者生活支援チームからご説明があったとおりでございます。今も8万4,000人の福島県民が避難をしているということであります。4万人を超える県民の方々が、県内だけではなくて、県外の避難所、非常に厳しい環境の中で生活をしておられます。発生から49、50日ですか、非常に長期化しておりまして、精神的にも肉体的にもかなり限界にきているということで、避難の方々は、食事、医療、教育、就労、生活のすべてにまさに大きな影響をこうむっているということであります。できるだけ早くこの方々を救済し、避難者の実態に合った十分な賠償等が行われるべきだろうと考えております。
避難指示等の区域の現状でございますが、避難指示区域につきましては、いわゆる原発から20キロ圏内でありますが、4月22日から警戒区域ということで、立入禁止、退去命令の対象になったということであります。この区域の福島県民は約8万人いるわけでありますが、避難所、親類・知人宅、まさに転々としながら自宅に帰る日を待っていたわけでありますけど、立入禁止、退去ということで、大きな衝撃を受けているという実態でございます。
県では、警戒区域内において死亡した家畜への処理、あるいは瀕死の状態の家畜への対応というふうなことも迫られておるわけでありますけれども、何よりも畜産農家の方々は、家族同然に慈しんできた家畜の現状に非常にやりきれない状況ということで、私どものほうに切々たる訴えがございます。
それから、農業者にとりましても、まさに代々受け継いできた大切な農地、作付できないということで、受け入れられないという方も随分いらっしゃいます。少なくても通いながらでも自分の農地を耕して農業をしたいというふうな思いが私どものほうに届けられておりますので、国、事業者、そして私どもは、しっかりとこれに対応していく必要があるのかなと考えております。
それから、避難指示区域、いわゆる20キロ圏内では、放射線量のこともございますので、地震、津波で行方不明になった方々がその地域にいらっしゃるわけですが、捜索ができないということで、言ってみれば、言葉は悪いですけれども、放置されているということで、極めて残念、この精神的苦痛たるや、筆舌に尽くしがたいと思っております。
また、病院とか社会福祉施設等々から移転を余儀なくされた患者さん、この方々が、移転の途中に、避難の途中に亡くなる、あるいは、避難後すぐに避難所で亡くなるということが多数出ております。150人余りの方が、避難に起因する、避難途中、避難後の死亡ということであります。これも、ご遺族に対しましては、きちんとした対応がなされるべきと考えております。
この問題は、避難指示区域等の問題だけではございません。20キロ、30キロ圏内の問題だけではなくて、福島県内全域に及んでおります。例えば、避難指示区域以外でも、県庁があります福島市、あるいは郡山市でも、通常よりかなり高い放射能が測定されております。実は3万人を超える多くの県民が、安全と安心を求めて、できるだけ遠くというふうな気持ち、仕方がありませんけれども、そういう気持ちの中で、全国すべての都道府県に散っていっている。大変残念であります。例えば県外への転入学する生徒さんは、8,000名を超えるということで、ここで若い方が出ていってしまう。大変残念、痛恨のきわみであります。
そういうことで、福島県民は日々見えない恐怖と闘っているわけであります。特に子どもを持つお母さん、妊婦さん等々の精神的苦痛というのは、まさに私どもの比ではないと考えております。
残念ですが、健康被害だけではなくて、福島県というだけで、福島県民というだけで、いじめ、あるいは将来的に人権もおびやかされるおそれがないか、大変不安であります。避難等から解除されましても、継続的なスクリーニングをしてくれという声も非常に多いわけであります。
それから、生徒さんの話、子どもさんの話になりますと、二重の生活といいますか、子どもさんができるだけ遠いところに行きたいというときには、お母さんと子どもさんが行く、それでご主人は地元に残るということで、まさに引き裂かれた生活、二重生活を余儀なくされているということは、私どものほうとしても非常に残念でありますし、また、そのストレスはいかばかりかというふうに考えております。
先ほど移送途中の死亡の事例がございましたけれども、さらにつけ加えますと、避難の屋内指示区域では、病院の入院機能というのが国から制約されました。それで、数日の間入院すれば回復する患者さんが、入院できないということで、みずからの自宅で息を引き取る例もかなりあったと聞いております。開業医の先生方は、病院に連れていければなということで、そこで見取ったという例を多く聞いております。
学校の話になりますが、新学期はおくれながらも開始することができました。しかし、残念ながら、体育、あるいは部活動等、校外活動を制限されるというようなこともありますし、何よりも、萎縮した環境の中で子どもが生活するということがどういうことか、ご理解を賜れればと考えております。公園にまでその影響は及んでいまして、まさに子どもたちは自由に遊ぶことができない状況にございます。
それから、福島県の放射線に関する問い合わせ窓口、24時間で対応してまいったわけでありますけど、これまでに1万件を超える相談がございました。特に風評被害の話が多くございましたので、若干紹介をさせていただきます。
1つは、県外での避難所から編入した小学生、放射能がうつるということで、学校に来るなというふうな例も1つや2つではなかったというふうに聞いております。
また、日常生活では、福島県内への配達の拒否、それから、避難者のお医者さんにかかる診療の拒否、ホテルの宿泊拒否というようなこと、それから、福島ナンバー、そしていわきナンバーの車・トラックが、ガソリンスタンド、あるいはレストランに入ることを拒否されたというふうな話も聞いております。
観光のほうでは、先日、業界のほうで集まりがございました。キャンセルは県内全域ということで、今年の11月までの推計でありますが、68万人の観光客の減、74億円の損害というのが、業界団体のほうで試算した数字でございます。原子力発電所から一番遠い、尾瀬があります檜枝岐村でも、予約が皆無ということで、福島県という名前だけで敬遠されるという大変残念なことがあります。
また、商工業については、放射能に汚染されていないことを証明書としてつけてくれというようなこと、取引価格の下落、発注の激減、それから、福島県産品のものを棚から撤去するというふうなこともあったというふうに聞いております。
それから、農林水産業については後で申し上げますけれども、特に出荷制限がかかっていない地域で、例えば加工用トマトの契約の栽培を見合わせるというふうな通告がなされましたり、検査証明の要求、取引の拒否、運搬費用を割増しして要求する等々の問題も出ているということであります。
風評被害、そして精神的苦痛というのは、まさに原子力災害の特徴であり、また、最大の損害かなと私どもは考えているところであります。精神的な被害、精神的苦痛、それから風評被害というのは、県全域、県民全体に及んでおります。こういうことから、原発地域等々、あるいは周辺等々に限定することなく、幅広く救済されるべきであるというふうに考えておりますし、これ以上拡大させてはならないと思っております。
福島県民は、常に空中の放射線、あるいは積算線量というものを常に意識しながら生活をしております。そこの線量の多いところ、このストレスたるや、非常に大変であります。いつ避難指示がなされるのか、計画的避難区域が出るのかということで、聞くところによりますと、いつ出てもいいように荷物はまとめてあるという状況であります。
また、政府のさまざまな規制、それから基準について、統一的な見解なり説明がなかったということから、非常にそれが不安感をあおっているということは間違いのない事実だと思っております。日々線量を見ながら、「ああ、私のところは何シーベルトだ」、「私のところは何ミリシーベルトだ」というふうに、話題の中心は、今、福島県はすべてそこから始まります。そんな生活をどうお考えでしょうか。ぜひご理解賜りたいと思います。やはり線量の高いところと低いところには、ストレス等々も随分違っているのではないかなと考えております。
次に、資料をつけてございますけれども、2番目のテーマであります農林水産物の出荷制限等についてお話を申し上げます。
農林水産物への放射性物質の影響につきましては、野菜、原乳、キノコ、魚、これは出荷制限になっております。さらに、風評被害、これが非常に大きいということであります。また、土壌、海洋の汚染、これは今後の、これからの本県農林水産業の復興にとって、非常に大きな障害になるのではないか。原発の事故が収束したからといって、すぐに営農はできない、漁業はできない、まさに長期にわたる、かつ極めて深刻な影響というものが懸念されるところであります。
本県は農林水産業を基幹産業としてございます。県としても、農家の方々、漁業者の方々が一刻も早く希望を持った経営を再開できるよう、心から願っているところであります。特に、レジュメにありますように、対象品目と期間、それから対象の区域、損害の範囲について申し上げますが、例えば、対象品目につきましては、国による指示、さらには、国の指示を待たないで、県が自粛要請というのをしております。そういう場合はもちろんでありますけれども、出荷制限を受けない場合であっても、取引先からの出荷停止、あるいは契約解除されるということで、多くの農林水産物が出荷の断念という事態に陥っております。
それから、価格の問題でありますけれども、市場での本県農林水産物の価格は、安全性が確認されているにもかかわらず、大きく低下してございます。若干戻ってきたというふうな話は聞きますけれども、一時は4割、5割の、例えばキュウリ、イチゴなんかがそういう値段をつけられてしまったということであります。これらについても、やはり損害賠償の対象、あるいは、期間の算定に含めるようお願いしたいと思います。
さらに、幾つかのケースについてご説明申し上げます。原発事故の収束の見通しが立たない中で、農作物の作付に関する可否、つくっていいよ、だめだよというふうな方針の提示に非常に時間がかかりました。それで、一番いい時期といいますか、適期に作付が困難になったということから、作付を断念した葉たばこ農家も、ほとんどがそういう断念をいたしました。
それから、関係市町村から指示・誘導で避難された農業者の方々ですが、今年の稲の作付を断念せざるを得なかったというのがございます。また、一部の例でありますけれども、隣接地が非常に放射線、土壌の汚染があった、あるいは隣接地が計画的避難区域になったなどということから、その隣の地域、あるいは、またその隣の地域は、「もうおれのところはつくらない」というふうな形で、作付を断念した例もございます。
対象区域についてでありますけれども、やはり区域につきましては、風評被害も含めまして、多大な損害が福島県全域に及んでおります。限定的な扱いにならないようにお願いをいたしたいと思います。
それから、警戒区域、いわゆる20キロ圏内では、立入、それから、家畜・農産物の移動も一切できません。多くの家畜が死亡する、野菜が出荷しない、あるいは刈り取りしないで放置されているという状況であります。これらにつきましても、農林水産物について十分な補償をお願いしたいと思います。
それから、損害の範囲について二、三お話し申し上げます。
まず、取引先がモニタリングをしてこいというふうなことで、取引先からの要請によるみずからのモニタリング実施経費、それから、取引先を失ったということで、新たに販路を開拓しなければならないというところで、非常に営業努力を必要としております、そんな経費、また、中にはブランドとして、例えば飯舘牛とか、川俣シャモとかいうことで、全国的にも名の通ったブランドがございますが、この信頼が全く失われてしまった、それをどうするんだというときに、PRをするだけでは済まないわけでありますけど、このブランドの信頼回復のための努力の経費、こんなものもかかっているところでございます。
3点目の、原子力損害賠償紛争審査会、この審査会に望むことであります。いろいろお話し申し上げましたけれども、今もなお避難先で非常に不便な生活を送っているというようなことはもちろんでありますけれども、地域経済と雇用を支えます事業者、いまだ全く事業の再開の見通しが立っていないという状況でございます。それから、米をはじめとした農作物の作付制限、加工食品、工業製品、観光産業等々、さまざまな分野での風評被害、これはおさまる兆しを見せておりません。大変残念なことであります。
それから、先ほど来説明しておりますように、やはり原子力災害というのは、精神的な苦痛が非常に大きいということでありますし、もし収束ができたとしても、かなり長期間の間に放射能と闘っていかなければならないという状況をどう考えるかということであります。
福島県としましては、こういうふうなことから、資料としておつけしておりますように、4月21日の日に、総理大臣ほか関係大臣に、損害賠償等に関する要望書の提出をいたしました。書いてございますが、改めて繰り返しになりますが、現段階の損害のみで断定することなく、長期的な視点に立って、起こり得る被害について想定していただき、確実に指針に盛り込んでいただきたい。
さらに、被害は県内全域であります。県内全域を対象にしていただくとともに、風評被害、精神的損害、営業損害について、できるだけ幅広く対象にしていただきたい。
それから、特にお話し申し上げたいことは、双葉郡の8つの町村は、すべて役場機能を喪失しました。行政機能を喪失しております。今、県では、8町村に職員を派遣して、行政機能の回復を図っておりますが、何よりも、全国に散らばった住民の方々の全体をどう把握するかということがスタートであります。今、さまざまな手当てで全体の70%程度は把握できておりますが、当初は2割、3割しか住民の方々がどこにいるか把握できていないということで、連絡、情報伝達、さまざまな形で膨大な作業と労力がかかっております。スタートはこれであります。今後、行政機能を喪失したそれぞれの町村が、どうやって回復していくのか。ものすごくパワーとエネルギーと労力とお金とかかっていくと思います。そうしないと、住民サービスはもとに戻っていかないというふうに思います。首尾よく、比較的早期に帰れたとしても、役場の機能はまだまだ立ち上がっていかない、ということをお話ししておかなければならないと思います。
それから、やはり速やかな救済、広範な損害のための十分な救済のためには、申し上げるまでもないわけでありますが、段階的順次に策定をお願いしたいなと思います。やはり段階的に策定するスケジュールを明確にすることで、被災者は非常に先が見えて、安心するというようなことになると思います。まさに今、被災者の方々は、この先どうなるかというのが、計画を立てられない、見通しを立てられないという現状ですので、ぜひこの辺についてはスケジュールを明確にしていただいた上で、対応をお願いしたいと思います。
細かいことになりますけれども、損害件数、被害者の数、膨大であります。ぜひ事務の簡素化をお願いしたいと思います。
福島県では、明日、原子力損害の賠償に関する問い合わせ窓口という相談窓口を開設いたします。また、関係機関の連絡調整、情報共有ということから、関係団体連絡会議を設置しまして、被災者に関するきめ細かな情報提供、手続きの支援、また、被災者と一体となったいろんなものを考えていくというふうなことを取り組んでまいりたいと思っております。
とにかく対象となる範囲、期間、最後まで被害の実態に見合った十分な損害賠償が行われるように、指針を策定していただきたいと思います。
ちょっと余談になりますが、避難指示区域はある程度わかりやすいんですが、以前は屋内退避地域がございました。最近では、計画的避難区域、あるいは緊急時避難準備区域ということでございます。そういう中で、どこまで市民活動が制約されるのかというのが明確でないというのが最も私どもの悩みであります。それぞれの地域において、どこまで平常の活動をしていいか、どこまで制約があるのかというふうなことが不明確なるがゆえに、以前も混乱がございましたし、今後も混乱が予想されるわけであります。そこはぜひしっかりとした国の方針というものも期待したいところであります。
それで、何よりも私どもがお願いしたいのは、とにかく仮払いであろうと何であろうと、一日も早い被災者への補償であります。昨日も県議会の災害対策の本部がございました。私どものほうも出席して、意見をお聞きしたわけでありますけれども、この問題が非常に大きい、何とか県が仮払いできないのかというふうな話もございました。県は仮払いできませんけれども、できるだけ仮払いと同じような効果を持つ施策というものを前倒し、前倒しで検討していこうということで、制度資金の無利子化、据え置き期間を長期にするということで、それをつなぎ資金にしていただくというようなこととか、金融機関には、できるだけ被災者の立場に立った支払い猶予なり条件緩和なりをお願いしたいということもやっております。そういうことで、まさに営業活動をされる方は、一日一日が危機感を持った対応に迫られてございます。ぜひ被災者の実態に合った賠償が速やかに、早期に、そして十分に行われるようにお願いしたいと思います。
私どものほうとしましては、被災者支援のためには、現行法制度の、ある意味枠組みにとらわれないような、必要な対策というものが早急に講じられるべきというふうに考えておりますので、その辺につきましても、ご検討、ご配慮をお願いしたいなと思っております。
福島県民と、そして被害を受けているすべての地域を代表して、私からお願いをさせていただきました。どうぞよろしくお願いします。本日はありがとうございました。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、この資料1の福島県からの現状の説明につきまして、ご質問等ございましたら、お願いいたします。
【福島県(松本副知事)】 ちょっとよろしいですか。説明し忘れたんですが、資料1の2枚目、出荷規制・摂取制限の状況の中で、昨日の動きが書いてございませんので、ちょっと訂正をさせていただきます。
野菜のところなんでございますが、4月27日、昨日でありますが、国の指示の変更によりまして、解除のほうでありますけれども、会津地域、南会津地域のキャベツ類は解除になっております。それから、同じく県南地方のブロッコリー類についても解除になっております。昨日の夜でございましたので、ちょっと資料が間に合わなかったということで、ご訂正を願いたいと思います。説明がおくれて申しわけございませんでした。
以上です。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、ご質問、ご意見等ございますでしょうか。
【山下委員】 よろしいですか。
【能見会長】 どうぞ。
【山下委員】 山下です。どうもありがとうございました。
私は、願わくは、第1回にこの福島県からの状況説明があると、より議論が深まったかというふうに思います。今副知事がおっしゃった大きなポイントの中で、農林水産関係に対する風評被害、そして、住民に対する精神的苦痛、これは単に20キロ圏内、あるいは30キロ屋内退避というだけではなく、県全体をとらえて考えてほしいというご意見だったと思いますが、副知事にお尋ねしたいのは、これは緊急的に対応すべき優先順位があります。その優先順位からいくと、当然、指針も速やかに実施される必要がありますので、段階というお言葉を今挙げられていたけれども、段階的には、まず一義的に20キロ避難、30キロ屋内退避、そして計画的避難ということが優先されるべきだというふうにお考えでしょうか。
【福島県(松本副知事)】 やはり被害の大きさ、あるいは、差し迫った必要性ということからすれば、今避難所なりにいらっしゃる方々の避難というのが第一義的に考える必要があると思いますし、また、現に出荷制限を受けている、受けていた農家の方々、あるいは水産業の方々をまずというふうに考えております。
それはそういうことで、まさにそのとおりでありますが、一方では、商工業者も非常にピンチに陥っております。それに負けないぐらいの緊急性があると思っております。
今申し上げましたように、県では独自に経営を支える施策をできる限り打っていくということで、補償が出るまでのつなぎというふうなことは考えておりますけれども、その辺も含めて議論をいただければと思います。ただ、繰り返しますけれども、緊急性、あるいは、その切迫さ、それから大きさから言えば、山下委員おっしゃるとおりだと思っております。
【能見会長】 私からも1点よろしいでしょうか。
この審査会でもって第一次指針として、損害賠償の範囲等についてある程度確定を今日すると思いますが、そうなりますと、東電が仮払いをするということになっている100万円を超えて、もっと大きな損害の賠償についての仮払いといいますか、賠償の一部支払いといいますか、そういうものが順次なされていくことになると思いますが、実際にこれを行うとなりますと、相当多数の被災者の方からの請求が出てまいります。それに対して、実際にどうやってスムーズに賠償していくかということが次に問題にもなってくると思うんですが、この点について、県としても、今の段階ではまだ具体的なことをお考えではないかもしれませんが、賠償や仮払いがスムーズに行われるように、何かもしお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
【福島県(松本副知事)】 もちろん、県だけで、そういうふうな支払い事務がスムーズにいくということではございません。現在のところ、それぞれの各家庭、1世帯当たり幾らというようなことですので、やはり市町村というのが非常に重要になってまいりますので、市町村の住民の方々が全国的に散らばっている中で、なるべく所在を確認しようということで県は努力しまして、市町村と一緒にやっていまして、全体的には7割ぐらいの所在は確認したのかなと思っております。
それから、いわゆる住民の方々、世帯単位数ということについては、市町村というふうな、いわゆるパートナーもおりますので、十分に対応できるかと思いますが、今後、農業の方々、農業関係についてはJA等の団体もございますが、決して組織率100%ではございませんので、そういうふうな方々に対してどう対応するか。あるいは、商工業の方々については、逆に、農業以上に組織率が高くないということもございますので、そういう方々に対してどういうふうな対応をしていくかということについては、まだ手探りの状況でございますが、先ほど説明しましたように、県内の大方の団体を網羅した連絡会議というものを立ち上げましたので、そこの中で、どういうふうな形で対応すれば円滑な支給ができるのかというようなことについて、今後皆様方と一緒に考えてまいりたいと考えております。
【能見会長】 ほかにご意見いかがですか。
【田中委員】 今のことにも関連するんですが、先ほど行政機能が失われて、7割ぐらいしかまだ掌握していないということですけど、残りの3割の方についても、きちっとケアをしないといけないと思うんですが、そういうことになると、全国にどこにおられるかわからないという状況の中で、どうするかというのはかなり大きな問題のような気がするんです。場合によっては、公共的なメディアを使ってそういうことをお手伝いいただくとか、そういうことも必要になるのではないかと思うんですが、どういうお考えでしょうか。
【福島県(松本副知事)】 やはりおっしゃるとおりでございまして、私ども県のほうとしましては、そのデータセンター、コールセンターを設けまして、24時間の電話を承って、その結果、当初3割、4割だった住民の補足が、今7割まできていると思っております。
8つの町村の中でいろいろとばらつきがございまして、ほぼ100%、あるいは90数%になった町村もございますし、やはり50、60のところもございますので、県としましては、重点的にまだ低いところについて一緒に考えていくということでございます。
具体的には、コールセンターの活用のほかに、政府公報等もご協力いただいておりますし、また、全国ネットのメディアについても、テロップで流していただくとかいうふうなことをやっております。また、おかげさまで、補償の話、仮払いの話が現実味を帯びてまいりますと、その判明率が加速的に上がっておりますので、引き続き、非常に判明していない町村と県と二人三脚で、できるだけ100に近づけるように頑張っていきたいと思っておりますが、いま一歩というふうにご理解いただいていいのかなと思っております。
【能見会長】 ほかに、よろしゅうございますか。
それでは、どうもありがとうございました。今日のお話や資料等を参考にしながら、十分に被害者の救済になるような指針等を検討したいと思います。どうもありがとうございました。
【福島県(松本副知事)】 どうもありがとうございました。
【能見会長】 それでは、議題2のほうに移りたいと思いますが、医療、福祉、学校等に関する現状についてでございます。患者とか、あるいは利用者の方々、あるいは学校の児童ですとか、生徒、保護者の方々、こういった方々がどういう損害をこうむっておられるのかということについての説明をいただきたいと思います。本日は厚生労働省と文科省から説明資料及び配付資料を用意していただいております。最初に、文科省からご説明をお願いいたします。
【文部科学省生涯学習政策局(上月課長)】 それでは、文部科学省でございます。大変時間が押していますので、ごくごく簡単に説明させていただければと思います。
資料2-1でございますが、文科省関係、学校教育のみならず、社会教育、文化、スポーツといろんな分野がございますが、今日は時間の関係で、学校教育の関連についてお話し申し上げたいと思います。
まず、その下にありますように、福島県における学校の現状でございますが、そこにありますように、学校数の合計は、国公私立合わせて約1,240校、児童生徒数は約29万人でございます。そのうち、警戒区域等による学校数は、公私立合わせて約100校、当該学校に通う児童生徒等の数は約2万人となっております。
めくっていただきまして、このような警戒区域内に住む児童生徒等への影響でございますが、現在、避難先にある学校に転学、あるいは事実上受け入れてもらう、あるいは、その学校が区域外の施設に行って、学校として再開して通学するという対応となっておりますが、いずれにしましても、このような事故によって大変強い影響を受けているということでございます。
また、損害などの影響を検討するにあたりまして、特に私立学校、この中には専修学校・各種学校もございますが、私立学校の場合ですと、私人の財産により設立された学校法人による経営であるということがございます。それから、収入の多くを授業料等の学納金収入に依存していることなどについて、ご配慮いただければというふうに考えております。
次に、その下の3、4のところでございます。具体的に考えられる損害等の影響についてでございますけれど、現在文科省で把握しているもののうち代表的なものを、必ずしもすべて網羅したものではございませんけれど、挙げさせていただいております。営業損害といたしましては、通学、通園者の避難による学校の休校、さらには風評による在学生の転学、新入生の入学辞退等による学納金収入の減少、また、経営悪化等により勤務する学校が閉校等になっている、教職員の解雇等がされることによる補償の問題がございます。また、避難費用といたしましては、仮設校舎の移設等に要する費用、あるいはスクールバスにかかる費用等々がございます。また、財物価値の損失・減少としましては、学校が再開される場合、校地・校舎の除染、あるいは、汚染された土壌、学校備品・実習設備等を交換するための費用、あるいは、校舎・校庭の放射線量の検査等のモニタリングポストの設置にかかる費用などが考えられるところでございます。
最後に、4番目でございますが、文科省におけるこれまでの主な対応例を示しております。先般、福島県内の学校校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について、原子力安全委員会の助言を踏まえて、原子力災害対策本部の見解を受けまして、学校の校舎・校庭等の空間線量率が3.8マイクロシーベルト毎時以上の場合の一定の校庭活動の制限等についての通知、あるいは、一次補正に学校再開等にかかる諸費用について盛り込んだものの各種取組が行われているところでございます。
時間の関係で、大変簡単でございますが、関連の資料は、その以下にまた詳細な資料をつけておりますが、後ほどごらんいただきたいと思います。
文科省としては、以上で説明を終わらせていただきますが、よろしくご審議のほどお願いいたします。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それでは、引き続き、厚生労働省のほうの説明をお願いいたします。
【厚生労働省】 それでは、厚生労働省でございます。お手元の資料2-2をごらんいただきたいと思います。
介護・福祉・医療等の分野における影響ということで、まず特別養護老人ホームをはじめといたします介護保険施設につきましては、30キロ圏内に30施設ございますけれども、サービス提供機会の低下に伴う利用者の方々の症状の重度化のおそれに加えまして、入所者が移転を余儀なくされておるところから、環境が異なることによる、例えば認知症の方々についてのリロケーションダメージがあります。それから、域外搬送された施設につきましては、利用者・同行者の滞在費、帰所・帰宅の交通費の負担がかかってまいるということでございまして、厚生労働省といたしましては、避難先におきましても介護サービスが柔軟に提供できる、あるいは、要介護高齢者などの他施設での受け入れについて、都道府県を通じて通達をさせていただいているところでございますが、具体的には、これは20キロから30キロのみ980名と書いておりますが、20キロ圏内を含めまして、約1,500名の方々が避難をしていただいているところでございます。
めくっていただきまして、次のページには、障害者の施設でございます。施設の数は記載のとおりでございまして、利用者の方々に対する影響、マル1からマル4は高齢者と同様でございますけれども、障害者特有の問題といたしまして、マル5にございますように、障害者の場合には、働く場を提供するという意味で、就労系のサービスを提供しておりますので、営業停止なり一時休止を余儀なくされていることから、こういったサービスを利用している障害者の方々の収入が減るという要素もございます。避難先でのサービス提供、受け入れの通知については、高齢者と同様、通達を発出しているところでもございます。
保育所関係は、詳細は確認中でございますが、約50施設ございますけれども、保育所の場合には、転園を余儀なくされておりますが、なかなか避難先で希望しても保育が受けられないという現状がございます。加えまして、屋外活動が制限をされている実態もあるようでございます。保育所の入所申込については、弾力的に取り扱うよう通知を発出しているところでございます。
【厚生労働省】 医療機関の関係ですが、薬局に関しましては、32の薬局がこの地域にございますが、閉局によりまして、医薬品、衛生材料等の入手が困難というような状況になっております。
また、医療機関でございますが、これは全部で13の病院がございます。ただ、身近な医療機関が診療制限することによりまして、遠方の医療機関をわざわざ利用しなければいけない、入院ができないといったようなことでありますとか、このようなことに伴う症状の重症化のおそれがあるということ、また、700人の方を実際搬送するということをいたしましたけれども、入院患者の方が移転を余儀なくされて、この中で病状が悪化されたということもございました。
また、下でございますが、医薬品卸の販売業等でございますけれども、こちらについても、製造所、営業所の事業の停止により、医薬品の安定供給が困難で、住民の方に対して十分なサービスが提供できていないという状況でございます。
【厚生労働省】 最下段に、業を行う方々側の影響ということで、これは一般的な営業被害とほとんど似たようなものでありますけれども、営業停止なり、あるいは患者さん・利用者さんの減少による経営への悪影響、労働者への影響というものは当然あるわけですが、やはりこれらの分野に特有な問題として、入院患者・入所者の方々を域外搬送することに伴うコストというものが当然発生する。あるいは、医療従事者・介護職員などを派遣することに伴う、派遣元の諸経費、あるいは逸失利益等が発生するというのが、この分野での1つの特徴でございますので、何とぞご考慮いただければと存じます。
以上でございます。
【能見会長】 それでは、ただいまの説明につきまして、ご意見、あるいはご質問ございましたら、お願いします。
どうぞ、大塚委員。
【大塚委員】 文科省の方のほうに1点お伺いしたいんですけど、学校の敷地の土壌の交換とかいうのは始まっているところもあるという話が新聞に出ていましたけれども、他方で、しかし、必要はないという意見をおっしゃっている方もいらっしゃったようですが、その辺の必要性に関してはどのようにお考えになっておられるでしょうか。場合によるかもしれませんけれども。
【文部科学省生涯学習政策局(上月課長)】 おっしゃったことについては、現在省内で検討中でございます。
【大塚委員】 わかりました。じゃ、また、事後お願いします。
【能見会長】 ほかにいかがですか。
よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。検討の材料にさせていただきます。
それでは、議題3、一次指針(案)についてでございます。この一次指針につきましては、一応たたき台として案が作成されておりますが、この案の要点につきまして、これを事務局のほうから説明申し上げます。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 お手元の資料の資料3でございます。「東京電力(株)福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する第一次指針」の案でございます。
これは逐一ご説明をさせていただきますが、まず1ページ目から2ページ目にかけまして、「はじめに」ということで、本指針策定の考え方を記させていただいてございます。
「はじめに」の最初のパラグラフのところでは、事故が収束しない状況が続いている中、被害者らの生活状況が切迫しており、このような被害者を迅速、公平かつ適正に救済する必要があるという認識、それから、第2パラグラフのほうでは、原子力損害に該当する蓋然性の高いものから、順次指針として提示することとし、可能な限り早期の被災者救済を図ることとしたとございます。
2といたしまして、このたびの指針におきましては、政府による指示に基づく行動等によって生じた一定の範囲の損害についてのみ、基本的な考え方を明らかにするということでございます。その後、具体的例は省略させていただきますが、「なお」ということで、2つ目のパラグラフでございますが、政府の指示によるもの以外に関しては、今後検討するということでございます。それから、次のパラグラフで、「他方で」で始まるパラグラフにつきましては、原賠法に基づく賠償以外にも、被災者救済のための複数の措置等が既に実施され、あるいは、今後実施される予定のもの等が想定されるが、これらの措置等との関係(損益相殺の可否等)についても、今後検討するということでございます。
3番目につきましては、東京電力の対応をはじめ、迅速、公平かつ適正な救済が行われることを期待する。これが「はじめに」の部分でございます。
続きまして、2ページの一番下のところからですが、第2、各損害項目に共通する考え方ということで、内容につきましては、3ページから4ページの上のところまで、大きく4項目が記してございます。
まず最初の項目につきましては、最初のパラグラフの中ほどからでございますが、本件事故と相当因果関係のある損害、すなわち社会通念上当該事故から当該損害が生じるのが合理的かつ相当であると判断される範囲のものであれば、原子力損害に含まれると考えるという考え方。それから、次のパラグラフのところでは、継続的に発生し得る損害については、その終期をどう判断するかという困難な問題があるが、この点については今後検討する。これが共通の1つ目でございます。
それから、2つ目につきましては、最初のパラグラフで、JCOの際の、これは研究会が作成したものでございますが、考え方を参考にしつつも、次のパラグラフのところでただし書きになってございますが、最後のところにまとめてございます。本件事故に特有の事情を十分考慮して策定することとした。これが2つ目の共通事項でございます。
それから、3つ目につきましては、最初の「また」以下のところで書いてございますが、被害者が数万人規模にも上り、その早急な救済が求められる現状にかんがみれば、合理的に算定した一定額の賠償を認めるなどの方法も考えられる。あるいは、下から3行目からになりますが、営業損害についても、避難による証拠の収集が困難である場合など必要かつ合理的な範囲で証明の程度を緩和して賠償することや、大量の請求を迅速に処理するため、客観的な統計データ等による合理的な算定方法を用いることが考えられる、という本件の特徴について、3で記してございます。
それから、4につきましても、これは賠償金の支払方法についてもということで、賠償額が最終的に確定する前であっても、一定期間ごとに支払いをしたり、請求金額の一部を前払いするなど、合理的かつ柔軟な対応が東電に求められる。ここまでが第2でございます。
それから、4ページのところから、具体的な指針の内容になってまいります。まず第3といたしまして、政府による避難等の指示に係る損害についてということで、まず最初に、対象の区域として、(1)避難区域、(2)屋内退避区域、それから、5ページに参りますが、(3)計画的避難区域、(4)緊急時避難準備区域、この4つの区域について解説が書いてございます。
それから、5ページの真ん中から下のところから、実際の対象者ということで、避難等対象者、ここにつきましては、避難等対象者の範囲は、政府の指示により避難その他の行動を余儀なくされた者として、以下のとおりとする。1、本件事故が発生した後に対象区域内から同区域外へ避難のための立退き及びこれに引き続く同区域外滞在を余儀なくされた者、2といたしまして、本件事故発生時に対象区域外におり、同区域内に生活の本拠としての住居があるものの引き続き対象区域外滞在を余儀なくされた者、3、対象区域内で屋内への避難を余儀なくされた者でございます。
6ページには、今の3つの項目に関する解説が、備考として書いてございます。1)のところでは、「避難」等の定義について書いてございます。2)のところでは、自主的な避難につきましても、「政府の指示により」避難や対象区域外滞在を「余儀なくされた」場合に該当するということ、それから、政府の避難指示や自主的避難の要請の前に避難や対象区域外滞在をした者についても、「政府の指示により」避難又は対象区域外滞在を「余儀なくされた者」の範疇に含めて考えるべきであるということが書かれてございます。
次の6ページの下のところから、具体的な損害項目を列挙しております。
まず1としまして、検査費用、人についての検査費用でございます。指針本体としては、読ませていただきますが、本件事故の発生以降、「避難等対象者」のうち、対象区域内で屋内退避し、又は、同区域内から同区域外へ避難した者が、放射性物質への曝露の有無等を確認する目的で受けた合理的な範囲での検査につき検査費用及びその付随費用(検査のための交通費等)を負担した場合には、被害者の損害と認められる。ここが指針でございます。
備考といたしまして、1)から3)に解説がございまして、1)では、検査を受けること自体の合理性について記述してございます。2)では、無料の検査を受けた者については、損害とは認められない。3)につきましては、政府による避難等の指示の前の検査であっても、賠償すべき損害と認められるということが書いてございます。
次に、2つ目の、避難費用の項目でございます。指針といたしましては、避難等対象者が負担した以下の費用が、損害と認められる。1)対象区域から避難するために負担した交通費、家財道具の移動費用、2)対象区域外に滞在することを余儀なくされたことにより負担した宿泊費及びこの宿泊費に付随して負担した費用、3)避難等対象者が、避難等によって生活費が増加した部分があれば、その増加費用ということでございます。
その下から、備考として、一つずつ解説が書いてございます。1)につきましては、宿泊費等の解説でございますが、8ページの上のなお書きのところで、屋内退避をした者には、避難費用は原則として認められないが、3)に該当する、これは生活費の増加部分、これについては、対象となるほか、精神的損害において考慮されるということ、さらに、そのあとで、「また」以下にございますが、屋内退避区域が解除された後、解除から相当期間経過後に生じた避難費用等は賠償の対象とならない、ただし、この相当期間がどの程度かは今後検討するということでございます。
2)のところの注書きは、その下のところで要約されますが、人数が多いために、これは先ほど共通事項にございましたが、一定金額を平均的な損害額と算定した上、対象者全員に一律に支払うことが考えられる。それについて検討するということが書かれてございます。
3)につきましては、生活費の増加費用に関する解説でございます。
4)につきましては、避難費用のうちの宿泊費についての解説でございまして、9ページのところにマル1とマル2ということがございますが、避難者に対する公平性を図るために、マル1として、宿泊費等を負担したか否かにかかわらず、避難生活を送っている者全員に平均的な宿泊費を賠償するという考え方、それから、マル2の場合は、体育館等に避難された方には、精神的苦痛がより大きいとして慰謝料の金額を増額するというやり方、この2つが考えられるが、これらについてもできるだけ早急に検討するということでございます。
それから、その次から、生命・身体的損害ということで、まず指針の部分がございます。避難等対象者につき、以下のものが損害と認められる。1)本件事故により対象区域からの避難等を余儀なくされたため、傷害を負い、健康状態が悪化し、疾病にかかり、あるいは死亡したことにより生じた逸失利益、治療費、薬代、精神的損害等。2)本件事故により対象区域からの避難等を余儀なくされ、これによる健康状態の悪化等を防止するため、負担が増加した検査費、治療費、薬代等でございます。
また、その下の備考以下に、それぞれの解説が書いてございます。1)のところでは、本件、生命・身体の損害の程度に従って個別に算定されるべきであること、それから、2)につきましては、増加費用の解説が書いてございます。それから、10ページに参りまして、3)につきましては、前回論点でもご議論いただきましたが、PTSDなどが「身体的損害」に該当し得るか否かについて、今後検討するということでございます。
続きまして、精神的損害でございます。指針、本件事故において、避難等対象者が受けた精神的苦痛(ここでは、生命・身体的損害を伴わないものに限る。)について、そのどこまでが相当因果関係のある損害と言えるか判断が難しい。しかしながら、少なくとも避難等を余儀なくされたことに伴い、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたために生じた精神的苦痛の部分については、損害と認められる余地があり、今後、その判定基準や算定の要素などをできるだけ早急に検討するということでございます。
備考につきましては、1)から4)まで、次のページにわたって解説がございますが、1)につきましては、精神的損害が賠償すべき損害の類型に入ることが書いてございます。2)につきましては、下のほうを見ていただきますと、長期間の避難、あるいは過酷な状況等が多数であると認められているということで、11ページの頭のところでございますが、したがって、本件事故においては、少なくとも避難等対象者については、一定の精神的損害を観念することができると記述されてございます。それから、3)のところでは、先ほど避難費用のところでも言及しておりました、避難に伴う賠償の算定方法について、前と同様のことが書いてございます。それから、4)につきましては、この避難による精神的損害のほかに、最後の3行にまとめて書いてございますが、一般的・抽象的不安感や危惧感にとどまらないものについて、何が、どこまで損害と認められるかは、今後検討するということでございます。
続きまして、12ページでございます。12ページからは、営業損害でございます。まず指針、従来、対象区域内で事業の全部又は一部を営んでいた者が、政府による避難等の指示があったことにより、営業が不能になる等、同事業に支障が生じたため、現実に減収のあった営業、取引等については、その減収分が損害と認められる。上記減収分は、原則として、本件事故がなければ得られたであろう売上高から、本件事故がなければ負担していたであろう(本件事故により負担を免れたであろう)売上原価を控除した額(逸失利益)とする。2)また、上記のように同事業に支障が生じたために負担した追加的費用(商品、営業資産の廃棄費用等)や、事業への支障を避けるため又は事業を変更したために生じた追加的費用(事業拠点の移転費用、営業資産の移動・保管費用等)も合理的な範囲で損害と認められるということでございます。
1)のところは、その解説が書いてございまして、あらゆる業種が営業損害の対象になるということ、それから、13ページに参りますが、2)は減収分の計算方法の補足でございます。それから、3)につきましては、これは政府の指示の前であっても、本件事故日以降の営業損害が賠償すべき損害と認められると書いてございます。それから、4)のところで、事業の廃止や倒産に至った場合の損害額の算定方法等は、困難な問題であるため、今後検討する。
続きまして、6の、就労不能等による損害でございます。まず指針の部分でございますが、対象区域内に住居又は勤務先がある勤労者について、同区域内に係る避難等を余儀なくされたことに伴い、その就労が不能等となった場合には、給与等の減収が損害と認められる。
以下、備考に解説がございます。1)では、就労不能の解説がございまして、本件事故と相当因果関係のある解雇その他の離職も含まれる。それから、2)につきましては、自営業者や家庭内農業従事者等の逸失利益分につきましては、営業損害の対象となる。それから、3)につきましては、就労が不能となった期間のうち、雇用者が勤労者に給与を支払ったという場合、この場合は、営業損害と賃金の支払不能と両方で整理される場合があるということでございます。それから、4)につきましては、これは他のものと同様に、本件事故日以降のものが賠償すべき損害と認められる。それから、5)につきましては、これは就労者のみならず、就労が予定されていた者についても、その就労の確実性によって、対象となり得るということが書かれてございます。
続きまして、7の、物の検査費用でございます。指針といたしましては、対象区域内にあった商品を含む財物が、マル1、当該財物の性質等から、検査を実施して安全を確認することが必要かつ合理的であり、又はマル2、取引先の要求等により検査の実施を余儀なくされたものと認められた場合には、被害者の負担した検査費用は損害と認められるということでございます。
以下、1)と2)に、その解説が書いてございますが、2)のところでは、これも他のものと同様、本件事故日以降のものが賠償すべき損害と認められるということでございます。
続きまして、8、財物価値の喪失又は減少等でございます。まず指針といたしまして、財物につき、現実に発生した以下のものについては、損害と認められる。なお、ここで言う「財物」は動産のみならず不動産をも含む。1)政府の指示による避難等を余儀なくされたことに伴い、対象区域内に所有していた財物の管理が不能等となったため、当該財物の価値の全部又は一部が失われたと認められる場合には、現実に価値を喪失した部分及びこれに伴う追加的費用(当該財物の廃棄費用等)については合理的な範囲で損害と認められる。2)1)のほか、当該財物が本件事故の発生時対象区域内にあり、1)財物の価値を喪失又は減少させる程度の量の放射性物質(科学的に有意な量)に曝露した場合、又は、2)1)には該当しないものの、財物の種類、性質及び取引態様等から、平均的・一般的な人の認識を基準として、本件事故による当該財物の価値の全部又は一部が失われたと認められる場合には、現実に価値を喪失し又は減少した部分及び除染等の追加的費用について損害と認められるということでございます。
備考で解説がございまして、1)から5)までございますが、1)のところでは全体的な解説がございますが、真ん中のところにただし書きがございまして、当該財物が商品である場合には、営業損害と評価するか、あるいは、こちらで評価するかは、個別の事情に応じて判断されるべきであるということでございます。それから、次の17ページに参りまして、4)のところで、除染等の措置費用を損害ととらえるか否かという問題がございますが、この点は今後検討するということでございます。さらに、5)のところでは、不動産に関するものについて、今後検討を行うということでございます。
それから、第4といたしまして、政府による航行危険区域設定に係る損害について。対象区域につきましては、海上保安庁による航行危険区域に設定された、福島第一原子力発電所を中心とする半径30キロメートルの円内海域でございます。
損害項目は、まず1として、営業損害でございます。指針、航行危険区域の設定により、マル1、漁業者等が、対象区域内での操業の断念を余儀なくされたため、現実に減収があった場合は、その減収分、マル2、内航海運業又は旅客船事業を営んでいる者等が、同区域を迂回して航行したことにより費用が増加した場合又は減収が発生した場合には、当該費用の増加分又は発生した減収分、がいずれも合理的な範囲で損害と認められるということでございます。
18ページの上の備考の1)と2)は、それぞれの項目の解説がございまして、1)は漁業者の分、それから、すいません、ミスプリで少しずれておりますが、2)につきましては、内航海運業者又は旅客船事業者に関する解説がございます。それから、3)につきましては、他のものと同様、本件事故日以降の営業損害が賠償すべき損害と認められるということでございます。
それから、2としまして、就労不能等に伴う損害ということで、指針、航行危険区域の設定により、同区域での操業が不能となった漁業者又は内航海運業者等の経営状態が悪化したため、そこで勤務していた勤労者が就労不能等を余儀なくされた場合には、給与等の減収が損害と認められるということでございます。
備考のところの解説は、前述の就労不能等に伴う損害と同じでございます。
続きまして、19ページでございます。政府等による出荷制限指示等に係る損害についてということで、まず対象区域、品目について読ませていただきます。第一次指針においては、差し当たって、政府による出荷制限指示又は地方公共団体が本件事故に関し合理的理由に基づき行う出荷又は操業に係る自粛要請等(生産者団体が政府又は地方公共団体の関与の下で本件事故に関し合理的理由に基づき行う場合を含む。以下「政府等による出荷制限指示等」という。)があった区域及びその対象品目に係る損害を対象とする。但し、上記区域以外においても、また、上記品目以外についても、政府等による出荷制限指示等に伴い、返品、出荷停止、価格下落等の被害が生じているから、これらがどこまで賠償の対象となる損害に該当するかについては、今後検討する、でございます。
損害項目といたしまして、まず営業損害の指針でございます。1)農林漁業者が、政府等による出荷制限指示等により、同指示等に係る対象品目の出荷又は操業の断念を余儀なくされ、これによって減収が生じた場合には、その減収分が損害と認められる。2)また、上記出荷又は操業の断念により生じた追加的費用(商品の廃棄費用等)も合理的な範囲で損害と認められる。3)対象品目を仕入れた流通業者等が、政府等による出荷制限指示等により、当該品目の販売等の断念を余儀なくされて生じた減収分も損害と認められる。
20ページから、個々の解説が、1)から4)にございます。1)では、減収分の算定方法について、前述の営業損害と同じであること等が書かれてございます。2番目につきましては、県などの地方公共団体による出荷又は操業についても、同様に損害として認めるということが書いてございます。大変申しわけございません。20ページの1)の1行目のところでございますが、「政府による出荷制限指示等」とありますが、この「等」は削除していただければと思います。その「等」の部分が、この2)に書いてあるということでございます。それから、3)でございますが、ここも「生産者団体による出荷又は操業の」とありますが、「操業に係る自粛要請」、これは2)と表現をそろえさせていただきたいと思います。この自粛要請等があった場合には、これをすべて相当因果関係のある損害といえるかは難しい問題であるが、少なくとも、福島県沖における航行危険区域の設定、汚染水の排出等の事情を踏まえ、福島県の漁業者団体が県との協議に基づき行った操業自粛要請については、これに伴う減収及び追加的費用は、1)と同様に損害と認められることとしてございます。それから、4)のところでございますが、これも読ませていただきますが、なお、政府等による出荷制限指示等がなされる前に自主的に出荷又は操業の停止をしていたものについては、これも事故の発生により合理的な判断に基づいて実施されたものと推認でき、これを賠償対象から除外すべき合理的な理由はないから、本件事故日以降のものが損害と認められるということでございます。5)につきましては、流通業者等の解説でございますが、他と同様になってございます。
最後、21ページでございますが、この出荷停止に伴いましても、就労不能等による損害ということで、指針、政府等による出荷制限指示等により、対象品目を生産する農林漁業者等の経営状態が悪化したため、そこで勤務していた勤労者が就労不能等を余儀なくされた場合には、給与等の減収が被害者の損害と認められる。
備考につきましては、前の就労不能等の損害と同じことが言えるということでございます。
指針案の説明は、以上でございます。
【能見会長】 それでは、この指針案についてのご議論をいただきたいと思いますが、長いものですから、少し区切りながらご議論していただきたいと思います。前回も総論的なところについて一たんご議論いただいてから、具体的なところに議論を進めましたが、今回も第1の「はじめに」から、次の第2の各損害項目に共通する考え方、ここまでを一まとめにして、まずご議論いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
【高橋委員】 基本的な中身については全く異論はありません。ただし、一部、表現について気になっているところがあります。第1の最後から2の最後の段落の前ですが、ここを含めて、「今後検討する」という文言が非常に多いのが気になります。確かに、今までの各種の報告書を見ると、「今後検討する」という言葉は我々はよく使ってきたわけなんですが、ただ、今回のメッセージとしては、この「今後検討する」という言い方はあまり正しく皆さんに伝わらないのではないかというふうに危惧しております。
近々、再度新しい指針を制定して、基準をはっきりさせるわけですから、その旨は明示しておいたほうがいいのではないかと。すなわち、これらの事項については、早急に検討した上で、今後順次公表する指針に従って考え方を明確にする、指針において考え方を明確にするという形で、表現をそろえたほうがいいのではないか、というのが私の意見でございます。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
今の点について、いかがでしょうか。
大塚委員。
【大塚委員】 労災との関係については、原賠法でも附則4条にあるんですけれども、ほかに、ほかの法律との関係が出てくるものがあると思います。つまり法律で決めないといけないものも多分あると思うんですが、ここで指針をどんどん出していくのは適当だと思いますけれども、その辺についてはいかがでしょうか。事務局にちょっとお伺いしたいところがありますが。
【能見会長】 今、最後のところがよく聞こえなかったんですが。
【大塚委員】 事務局にちょっとお伺いしたいんですけど。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 ここに書いてございます内容をある程度全部含んでいると思いますが、事務局のほうでも、さまざまな救済制度を、これは法律に基づくもの、あるいは予算に基づくものもございますが、一応すべて調査した上で、そのところの原子力賠償の整理をやろうという考えではございます。
【大塚委員】 じゃ、この指針でみんな決めていけるわけですね。ここの指針で決めていくということでよろしいんですね。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 そこは、必ずしもそれのできないものもある可能性があることは否定できないと思います。
【大塚委員】 私は、そうしますと、「今後検討する」でいいかなと思います。
【能見会長】 おそらく「今後検討する」という言葉は何度もいろいろ出てきますけれども、すべてが全く同じ意味を持っているわけでは必ずしもなくて、一律に何かほかの言葉で置きかえられるかどうかというのは、一々検討しなくてはいけないのだろうという気がするんですね。
今、大塚委員が言われたのは、この指針でできるもの、あるいはできないものがあるので、しかし、そういうものについては、しかし、それはむしろ、どういう言い方をしたらいいんですかね。「今後検討する」というのではなくて、むしろ、その点は整理して明らかにするということですね。
【大塚委員】 そうです、はい。
【能見会長】 とりあえず、先ほど高橋委員から出てきた2ページ目の2つの「今後検討する」、ここは続くのでちょっと目立つということですかね。ここはどうですか。
【野村委員】 確かに、「今後検討する」という表現はちょっとあいまいだとは思います。ただ、今日までの議論である程度まとまったところというのは、要するに、一方で非常に緊急性があるということと、ある程度結論を出しやすいといいますか、議論がまとめやすいという、その両方の要素があると思うのですね。ですから、今後検討していくというのも、ある程度早く結論が出せるものとか、あるいは早く結論を出さなくてはいけないものとか、そういう観点から決まっていくのではないかと思うのです。そうすると、むしろ、なぜ第一次指針でどういうことを取り上げたかということが書かれているわけですから、その延長上で、今後もそういう方向で議論を進めるということであれば、そして、そういう趣旨がわかれば、「今後検討する」というややあいまいな表現でもいいのかなというように思いました。
【能見会長】 指針自体は、まさにそういうものとしてここで決まるものだと思いますけれども、前回から議論がされていますように、第一次指針というのは、とにかく早く皆さんの合意が得られるものについては、損害賠償の範囲に入るということを明らかにしたいというものです。しかし、まだすぐには明らかにできない、もうちょっと議論が必要なものもあるので、その区別をする。すぐ決められるものはとにかく決め、もう少し議論が必要なものについては、この指針案では一応「今後検討する」という言葉が使われていますが、その2つを明らかにするというのが、ここでの目的でございます。
その点が明らかになるのであれば、「今後検討する」という言葉は多少あいまいであっても、今野村委員が言われましたように、それほど誤解されることはないんだろうと思いますけれども、より適切な言葉があるということであれば、案を出していただければありがたいと思います。
なお、ここは、もっとあとのほうに、具体的なところに幾つか、ちょっと違った表現をとっているところがございますが、例えば9ページの3の生命・身体的損害のちょっと前の行ですけれども、これは避難費用のところで、それの4)の解説がついているところですけれども、この避難費用等について、一律に平均的な宿泊費等を賠償するということにするか、あるいは、非常に不便なところに宿泊する者については、精神的苦痛が大きいとして慰謝料の金額を増額するかといった、一定の調整法が考えられる。これらについては、ここで書いてありますように、できるだけ早急に検討すると。ここでのニュアンスは、この避難費用等については、とにかく認めるということで大筋合意されていて、ただ、具体的な額については、この一次指針では、今日までにどういう額にしたらいいかということについて案が十分検討できなかったというものです。従って、ここは単に、今後いつか検討しましょうというのではなくて、早急に検討するという趣旨が含まれています。できれば次回ぐらいまでには出しましょう、そういうニュアンスの言葉も数カ所使われております。
そういう意味では、一応メリハリをつけているつもりではございます。
【高橋委員】 全体を読めば、ニュアンスの違いがわかる、かつ、一般的な形で問題を検討していくんだという悠長な話ではないということが読み手の方にわかる、かつ、今日の審議経過を含めてわかるようであれば、私はこだわりません。
【能見会長】 どうもありがとうございます。
ほかにご意見ございますでしょうか。
【山下委員】 これは指針の基本コンセプトとして極めて重要な点だと思うのですが、福島県の副知事がおっしゃったように、風評被害、あるいは精神的な障害ということを非常に重要視している福島県については、このような項目は成り立つと思いますが、大きくこの構成を見ると、1は政府による避難等の指示に関する損害、2は政府による航行危険区域設定に係る損害、そして、3が政府等による出荷制限指示等に係る損害ということで、いずれも損害賠償の定義をここで書いてあるわけですが、「はじめに」という文章の中では、いずれも、あたかも福島県の半径30キロ圏内を中心に対象を絞ったような書き方がされています。しかし、最後の、私が申した3というのは、当然、これは福島県を超えて、風評被害に対する対応をしているわけであります。つまり、出荷制限をしたということに対する損害を補償するということでありますから、当然、福島県を超えているということになろうかと思います。それがより具体的に読み取れるような「はじめに」という基本コンセプトのほうが、後々、今後どのように我々がこの第一次指針をつくったかということが明示できるのではなかろうかと思います。
その理由は、あえて風評被害をこうむるという大きな代償を受けて、政府は汚染されたものを出さないという出荷制限をしたわけですね。これは最終的には、健康を守る、人に放射線の健康影響を与えないということで、すべてこういう措置がされているわけですから、この損害賠償というのは、当然、環境汚染も含めてそうですけれども、もろもろ最終的に行き着くところは、命を守るという視点で損害賠償しているんだということが明示されるべきではないかというふうに考えます。私、この全体を読んで、今のご説明を聞いて、個別に単に法的な立場でこういう補償をするのではなくて、その基本コンセプトには、放射線のいわゆる過剰な被ばくを防ぐという意味でこれがなされた為に生じた損害賠償の措置ではなかろうかいうふうに感じるのですが、その辺は事務局はいかがでしょうか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 前回の論点整理のところで、第一次指針の範囲といたしまして、区域あるいは外縁が明確に設定できる部分というところで、30キロ圏内プラス出荷制限の出ている品目・区域ということで、本件の指針案ができてございます。
今の山下先生のご指摘との関係では、出荷制限のところの第5のところでございますが、対象品目、19ページでございますが、ここのところに、出荷制限指示等の定義、今回の範囲を書いた上で、ただし書きで風評被害等の部分について書いてあるわけでございますが、ここのところに出荷制限の趣旨のようなことが書かれれば、多少今のような趣旨が、単に指示があったからだけではなくて、今のお話だと、国民の健康維持というか、そういう観点が入れば、そのような趣旨が多少は反映されるかなというふうに考えます。
【能見会長】 コンセプト自体は、これは今山下委員が言われましたように、まさにこの原子力事故によって生じた損害は、基本的にはすべて賠償するということです。ただ、何が賠償すべき損害かどうかについて議論がありうるので、当面、政府の指示等によって、あるいは出荷制限も含めて、避難、あるいは出荷制限されることによって生じた損害については、賠償されるべきことにあまり異論がないであろうから、これは賠償範囲に入るということをここで明確にするという方針のもとでできております。ただ、確かに、おっしゃるように、おそらく「はじめに」のところの1のところなんだと思いますね。1のところの文章が、例えば、最初の平成23年3月云々に発生したこの事故は、広範囲にわたる放射性物質の放出をもたらした上、更に深刻な事態を惹起しかねない危険を生じさせた。このため、政府による避難、屋内退避の指示などにより、多数の住民らが、避難その他の行動を余儀なくされ、あるいは、生産及び営業を含めた事業活動の断念を余儀なくされるなど云々とあり、ここの部分の表現から、第一次指針で扱う損害賠償の範囲が、避難に伴うものだけに限定されているかのようなニュアンスを受けると、そういうことなんでしょうね。そういう意味の文章ではないわけですけれども、例えば、今の同じ段落の、また、数万人以上に及び避難者云々等々、全体を見ると、必ずしも限定するという趣旨ではないことは分かるのですけれども。若干、もし何か言葉をつけ加えれば、山下委員の疑念といいますか、それは払拭されるのではないかというふうに思います。
できれば今日一次指針を確定したいものですから、表現や文言についてより適切なものがあれば、ご提案をいただきたいと思います。もっとも、あまりたくさん直すということになって一端事務局に持ち帰るということになると、前文の部分を直すために、指針の確定がまた次回に延びてしまうということにもなりかねません。これはできれば避けたいので、何か具体的な修正案を出していただくか、あるいは、この文章でもいわんとする趣旨が読み取れるということであれば、一応これをご承認いただいて、次回または今後修正するチャンスがあるときに直すということでも済むのかもしれないと思います。
鎌田委員。
【鎌田委員】 おそらくその趣旨は、資料3の2ページのなお書き、あるいは、1ページの下から3行目からの2という項目全体で、本来その点も、もうちょっと明確に書くべきであったろうと思います。「そこで、まず、このたびの指針においては、」というところで、第一次指針では、区域を限定して、明らかに賠償されるべき区域からまず決めるとしています。だけど、そこから漏れたものについては、賠償しなくていいということを言っているわけではなくて、それは次のステップの問題だということが、その2ページの「なお」という文言で始まる段落内に書かれていると思うんです。けれども、一応中身に入っているものの、それがわかりやすく明確に出ているかというと、ここで言う、「なお」の段落の2行目の「第一次指針で対象とされなかった損害項目やその範囲、例えば云々」という、この書き方でいくと、損害の項目の問題だけであって、地域とか人の広がりについて少し配慮されていないかのように読めなくもないんですが、その次に、「第一次指針の対象外となった者の云々」というにもなっていますので、この指針全体としては、もうちょっと幅広いことを考えていて、当面、この区域についてのみ、第一次指針としては出すという関係は一応書かれているんだろうというふうに思います。
【能見会長】 今の鎌田委員のご意見も、文章としてはより良い文章はあるかもしれないけれども、一応ここで指針でもって扱う損害賠償の範囲については、もっと広いものを当然考えているけれども、とりあえず今ここでは早く合意できるものとして、一定のものに限定している、そういう趣旨は読み取れるというご意見かと思います。
中島委員。
【中島委員】 簡単な修正で確定するという意味で、今の山下委員の趣旨を一語だけ変えるとしまして、案なんですが、1ページの本文の9行目ですが、「福島県全体、さらには」の部分、この「さらには」のところで、まるで追加したような印象を受けるので、これを「のみならず」に変えるということで、大分ニュアンスが変わりますが、いかがでしょうか。「福島県全体のみならず、周辺の各県も含め」ではいかがでしょうか。
【能見会長】 これは、とりあえずそういう修正でよさそうですね。いかがでしょう。よろしいですか。では、ここはまずそう修正いたしましょう。
それ以外の、先ほどの2ページの「なお」のところも、あるいはもうちょっと何か方法があるかもしれませんけれども、趣旨は一応明らかであるということで、ご了解いただければ、この前文のところは一応これで確定させていただきます。ただ、前文が後で修正されていけないということはないと思いますので、より趣旨が伝わるような文章を、もう一回推敲して、しかるべき時期に取りかえるということもあり得るということをご了解いただければと思います。よろしいでしょうか。
それでは、前文のところ、それから、各損害項目に共通する考え方のところ移りたいと思いますが、こちらはよろしいですか。ここもそれなりに、JCOとは違うということを強調し、それから、本来であれば損害賠償においては証明をしなくてはいけないところを、今回の損害の規模、それから、避難しなくてはいけない状況にある下での損害証明などというのは難しいので、通常のルールではなくて、大量の被害を迅速に処理するという観点から、一定の方法を提案しています。すなわち、迅速な賠償ができるようにという視点から、一定の方針を明確に打ち出しているというところでございます。これも特にご異論がなければ、これで確定させていただければと思います。よろしいですか。
それでは、ここまでは確定したとしまして、次の第3、政府による避難等の指示に係る損害についての部分、これをまた1つのまとまりとしてご議論いただきたいと思います。ここはいかがでしょうか。
中島委員、どうぞ。
【中島委員】 9ページの指針の1のところで、この対象となる生命・身体的損害の意味がここに入っておりますけれども、この中にも、疾病にかかって受けた精神的損害を含むということになっておりまして、そうすると、この第一次案では、身体的損害を伴う精神損害と、身体的損害を伴わない精神損害を分けておりますので、そうしますと、身体的損害とは何かによって、入ってくる範囲が決まってくる、変わってきますので、ここを明確にするためには、この文章を変えることまでは必要ないように思いますが、ここの審議会での解釈の統一的な意見として、例えば、ここでいう「身体的損害」というのは、医療上必要性のある精神疾患も含むというようなことを言うと。例えば、疾病であれば身体的損害であるということですから、例えば精神科、あるいは心療内科の科目の対象となるようなものも、ここでいう疾病として、身体的損害に含まれるというような解釈指針はいかがでございましょう。
【能見会長】 この文は若干わかりにくい部分ですので、ぜひ皆様のご意見を伺いたいところですが、今のような中島委員のご提案がございましたが、それに関連してご意見をいただければと思いますが、いかがでしょう。
大塚委員。
【大塚委員】 賛成です。疾病があって、実際に治療を受けるということになると、精神上の疾患であっても治療費が発生すると思いますので、今の中島さんの意見に賛成したいと思います。
【能見会長】 3と4の関係がわかりにくいかもしれません。3の生命・身体的損害、これは何らかの意味での身体的な傷害が起きて、その身体的な傷害に伴って、さらに精神的な損害が発生するという場合を考えているわけです、4のところは、ここで扱うものの意味として、括弧書きにありますように、この精神的な苦痛というのは、生命・身体的な損害を伴わないものに限るということで、先ほど中島委員が説明されましたように、3と4は精神的な損害について、身体的損害を伴うものと伴わないものに分けています。その限界が少しわかりにくい。わかりにくいということの意味は、どういう場合にどっちに入るのかというのがよくわからないので、3のほうでより明確に、医療的な、先ほど何とおっしゃったのでしたっけ。
【中島委員】 医療上必要性のある疾病であれば、精神疾患も含む。
【能見会長】 おそらく解釈はそれでよろしいのではないかと思います。
どうぞ、米倉委員。
【米倉委員】 一見して、3の生命・身体的損害と4の精神的損害があたかも何か分かれたように見えてしまうというところから、混乱を招いているんだと思いますが、すべての病気が、明らかな身体的な疾病と精神的な疾病とに分けること自体がもともと無理なので、そういう意味で、3のほうは、何らかの疾病があって、それに対して医療行為が行われるというもの、疾患をすべて含むというふうに理解すればいいんだと思います。
今のお話で、そこのコンセンサスがきちっととれていれば、4番の精神的損害というのは、明らかな治療等が行われなくても、このような精神的な苦痛等に対して何らかの損害を認めるという考え方で理解できるのかなと思います。
問題は、今の言葉を備考のどこかに入れるのか、もうここに書かれている言葉で、私はこれでもいいように思います。
【能見会長】 中島委員のご意見も、文章化しなくても、ここでの意味の共通の理解があればいいのではないかということだと思いますので、米倉委員のご意見と同じかと思います。
おそらく3と4の関係も、今米倉委員がおっしゃったように、3のほうで、何か治療を受けなくてはいけないような、そういう精神的損害であれば、これは3のほうに入るけれども、そうでないものも4では救う場合があるということですね。
どうぞ、田中委員。
【田中委員】 確認なんですが、11ページの4)のところに、「一定以上の放射性物質に曝露したことによる精神的苦痛など様々なものが考えられる云々」と書いてありますが、ここで一般的・抽象的不安感、危惧感等は精神的損害として認められるものではないと言いつつも、これからどこまで損害が認められるかは、今後検討するということになっています。
それで、実は、俗によく100ミリシーベルトの低線量の被ばくの場合には、ないとは言い切れなくて、かつ、医学的証明もできないというややこしい状況にありますので、今日のところはこの表現でいいと思うんですが、その部分については、別途、もう少し専門的な知見を持った方をも含めて、きちっとしたご議論をして、案を出すという方向で理解してよろしいでしょうかという、そういうことなんですが。
【能見会長】 まずここで書いてあることの意味を、ここでも共通の理解として明らかにしたほうがいいと思いますけれども。ここで言おうとしているのは、放射性物質に曝露した、けれども、それがまだ具体的な健康被害などに至っていない、そういうときにも精神的な苦痛は発生するということは十分考えられるので、そういうものは精神的損害として賠償の対象になり得ると、ということです。しかし、そのあとの文章ですが、放射性物質には曝露していない、だけども、原子炉から放射能が出たというので、それに対する不安を感じて、ここに書いてある抽象的な不安感、一般的な不安感などが発生したという場合は、これは賠償の対象にならない。実際に放射性物質に曝露した場合と、そうでない場合とで線を切って、後者は精神的損害としては認めないというのでどうかという案でございます。
ですから、そもそもこういう区切り方がおかしいということであれば、ここを変えなくてはいけないと思います。繰り返しになりますが、ここで言おうとしているのは、その精神的損害を主張する人が、全然曝露される可能性もない、非常に遠くに住んでいるけれども、原子炉から放射能が出ているということで、非常に心配性の人がいて、それで不安感を感じている。こういうときの精神的な危惧感等は、ここでいう賠償の対象にはならないということなんだというふうに私は理解しておりますが。
【田中委員】 それであれば結構です。
【能見会長】 それであれば、とりあえずここはよろしいですか。
【米倉委員】 そのとおりだと思います。やはり現地でそれなりの環境におられる方々にとってみますと、将来、ひょっとするとがんが起こるかもしれないという不安感、そういう意味での精神的苦痛がある方と、東京、あるいは、場合によってはもっと遠方のほうで、バックグラウンドが上がっているという話で、たかだか1ミリシーベルトにいかないような線量しか受けない、そういう方々の感じている不安感というのは、これはやはり別物としてとらえるべきではないかなと思います。
【能見会長】 よろしゅうございますでしょうか。
どうぞ、草間委員。
【草間委員】 3番の身体的損害と精神的損害の分け方は、先ほど米倉先生言われたような形で明確だと思います。
そこで、先ほど「今後検討する」という時期の問題ですけれども、今日福島からも、スケジュールを示していただくということが大変重要だというお話があったと思います。そこで、精神的損害に関しては、ここでできるだけ早急に検討するという形になっておりますが、ここは早く検討しなければいけないというのはよくわかりますけれども、精神的損害に関して、時間をかけなければいけないように思いますので、ここに「できるだけ早急に検討する」という、先ほどのご説明で幾つか段階がありますということで、よくわかりますけれども、こういう比較的早い検討でいいのかどうかというのをちょっとご審議いただきたいと思います。
それと、もう一つ、ついでによろしいでしょうか。
【能見会長】 はい、どうぞ。
【草間委員】 16ページのところの一番上ですけれども、放射性物質の汚染の程度をどう判断するかというところで、一番上に「科学的に有意な量」とありますが、この科学的に有意なというのは、科学的にということで、ものすごく客観的に思われるかと思いますけれども、これは何が科学かというところはすごく難しいと思うんですね。今まで、ほかのところのものは、例えば政府がこう言った、自治体がこう言ったという形で、書かれているので、汚染のレベルはどうするかというようなことは、やっぱり、文部科学省が一定のレベルを決めないと、まさにこういったところが風評被害に結びつくという形になります。例えば所定の量とか何かしないと、私は、科学的な有意な量というのは、客観的に書いたようで実は一番混乱を起こす言葉だと思いますけど、いかがでしょうか。
【能見会長】 これについては、いかがでしょうか。放射線等のご専門の方のご意見も伺いたいと思いますが。
私は、所定のという表現でも構わないと思いますけれども。
【草間委員】 科学的に有意な量という言い方をしますと、一番低いと、例えばバックグラウンドの2シグマを超えたら、科学的に有意なというような判断をされかねないと思うんですね。だから、そういう意味では、私は、やっぱり所定のという形で、あるところで決めるという形にしないと、大混乱になってしまうと思います。
【能見会長】 ただ、所定のというふうにしたときに、今委員が言われたように、どこか別なところでその数値というものが決まるものなのかどうかというのは、実はそう簡単ではないということでしょうか。
【草間委員】 例えば、身体汚染のレベル等にしましても、当初はかなり低いレベルで汚染があるかどうかという判断をしていたわけですけれども、現在は身体汚染があるかどうかの判断をするためのレベルが出されているわけです。だから、そういったレベルは、例えば、原子力安全委員会なり、あるいは文科省の所定のところで決めるべきではないかなというのを強く思いまして、今のような発言をさせていただきました。
【能見会長】 どうぞ、米倉委員。
【米倉委員】 確かに、私もこの表現を見て、ちょっと今までうかつで気がつかなかったんですが、「科学的に有意な量」の前のところに、「財物の価値を喪失又は減少させる程度の量の放射性物質」と書いてあって、何かの価値を下げるということを科学的に有意な量として果たして判定できるのかというのは、非常に難しいと思います。
ここに書かれている「科学的に有意な量」というのが、汚染があったかどうかということだと、まさに草間委員が言われたように、バックグラウンドを超えるものということになって、非常に低いレベルのものが当てはまってしまいます。ちょっとあいまいな表現だなというふうに感じました。
【能見会長】 これは1と2との比較が重要なんだと思いますが、1ポツと2ポツで、2ポツのところをごらんいただきますと、1)には該当しないものの、財物の種類、性質及び取引態様等から、平均的・一般的な人の認識を基準として、本件事故により当該財物の価値の全部又は一部が失われたと認められる場合。これは明らかに、所定のといいますか、一定の被ばく量に達しないような微量のものであっても、場合によっては、一般人の感覚からすると、当該財物の価値が失われたと判断される場合があり得るので、そういうものをこれは拾うという考え方です。
それと比較して、前のほうの1ポツのほうは、一応客観的にというのでしょうか、放射能に曝露しているので、その量にももちろんよるわけですけれども、被ばくしている量からして、その財物の価値が減少していると一般に言えるようなもの、そういう基準で2つを分けております。では、どのぐらいがここで想定されている科学的な有意な量、あるいは所定の量なのかというと、それは、それこそいろんなほかの専門の分野のご意見を伺わないと決まらないけれども、ここでは抽象的に基準を、1ポツと2ポツとの間で線を引くために、こういう言葉を使っているということです。
中島委員、どうぞ。
【中島委員】 今の会長のご意見に賛成なんですが。この16ページの「科学的に有意な量」というのは、証明方法を言っているんだと思うんです。2と比較しますと、一般的な人の認識を基準にしてというところですから、この証明方法については、4ページの1行目にありますように、大量の処理をするためには、場合によっては客観的な統計データで計算してもいいんだという、証明の程度の緩和をしたわけで、それと同じように、放射線の量が物の価値をどの程度毀損したかなんていうのは、市場の反応ですから、証明が非常に難しい。とすると、むしろ統計的なデータによる合理的な算定と似たような意味で、科学的に統計上、あるいは疫学的に有意な量という方法でよろしいという趣旨と解釈してはどうでしょうか。
【能見会長】 はい。
じゃ、田中委員。
【田中委員】 結論から申し上げますと、今中島委員がおっしゃったように、これは市場での判断が意味を持ってくるので、例えば中国に輸出するのには、中国の基準に従わないとだめだとかということで、この趣旨は、現物の価値を喪失又は減少させる程度ということですので、この括弧の中はとりあえず取ったらどうかと思うんですが。
それで、草間委員のおっしゃるとおりで、いつかここをきちっとした議論をして、決めていかないと、これだけの汚染が広がった状況では、混乱のもとですので、ぜひこれはしかるべきところできちっと決めていただく必要はあるんですが、ここで何か決めてしまうというのも、ちょっとできそうもないような量だという気がするんですが、いかがでしょうか。どういうふうに定義しても、これは科学的に言っても、所定の量というのも、ちょっと無理があるような気がするんですが。
【能見会長】 鎌田委員。
【鎌田委員】 私も、括弧書きは削除してはどうかと思います。証明責任との関係でいうと、逆に、この括弧書きがあると、科学的に有意な量を証明しなければいけない。科学的に有意な量が定まらないと、これは適用の余地がないというふうな運用のされ方のおそれもあって、ここのi)、ii)両者を通じて、全体として目指しているところとの関係では、必ずしもこの括弧書きはなくていいのではないかなというふうに思います。
それと、草間委員のもう一つの、10ページの4の指針第2文は、少なくとも避難等を余儀なくされたことによる損害があるときに、精神的損害としてそれをカウントするなら、早く決めないと避難費用の算定ができないので、そこだけは早急に検討しなければいけないという趣旨で、この指針は書かれているんだろうと思います。精神的損害全体については、草間委員がおっしゃるように、時間をかけてやらなければいけないけれども、この第2文のほうは、今の避難費用等の損害を何でカバーするかという方針全体を決める一部にこれが組み込まれているので、そこだけは早く決めましょうという趣旨ではないかというふうに理解しております。
【能見会長】 議論が相前後いたしますけれども、4の精神的損害のところの最後の文、「今後、その判定基準や算定の要素などをできるだけ早急に検討する」という文章は、まさに今鎌田委員が言われたように、避難費用のところで問題になりまして、これも仮払い等で迅速に賠償していこうというときに、その精神的損害の部分、先ほど議論になりましたが、非常に不便なところでもって避難生活を送られている方については、精神的な損害というのを上乗せして賠償するというようなことでございます。そういうときの精神的損害をどのぐらい上乗せするかといった基準などについては、できるだけ早く、また、ある程度早く確定ができると思いますので、そういうのを早くやろうという趣旨でございます。
ですから、ほかの諸々の場合を含めた精神的損害一般についての基準について難しい部分は、ここにいくら早急に検討すると書いてありましても、やはり少し時間はかかるかもしれません。その際、皆様のご意見も伺いながら、慎重な判断基準を考えていくということで、草間委員、いかがでしょうか。
【草間委員】 はい。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
それから、先ほどから議論になっております「科学的に有意な量」というところは、これも鎌田委員が提案していただきましたように、その前の文章で、「財物の価値を喪失又は減少させる程度の量の放射性物質」という言葉がありますので、科学的に有意な量というのはなくても、十分その意味は明らかであると思いますので、ここは皆さんのご意見も、これが問題をもたらすということのようですので、削除するということでいかがでしょうか。
【野村委員】 14ページにも、同じ表現があります。下から3行目です。これもやっぱり削除するということかなと思いました。検査費用のところですね。
【能見会長】 そうですね。
大塚委員。
【大塚委員】 今、数値が決まらないということで削除していただいて、私もいいと思ってはいるんですけれども、先ほど会長にもご説明いただいたように、15ページ、16ページのローマ数字の小さい1と2というのは、2のほうは、平均的・一般的な人の認識というのを基準にするということで、こちらのほうがある意味広いんですけれども、1のほうは、この程度の量の放射線があれば、先ほど中島さんのほうからもご説明があったように、わりと簡単にこの要件がクリアされるということになっているので、本当は1のほうは、かなり明確なものにしていただいたほうがいいんですよね。だから、基準は本当は決めていただいたほうが、数値で決めていただくことができるのであれば、ここでやることではないかもしれませんけれども、そのほうが望ましいとは思います。今ここでは無理かもしれません。
【能見会長】 それはおっしゃるとおりだと思います。ただ、その数値をどのぐらいにしたらいいかということについての意見が、おそらくまだここではまとまらないと。
【大塚委員】 今日は無理ですね。
【能見会長】 それでは、一応16ページのほうは削除するということでよろしいでしょうか。それから、検査費用のほうでしたっけ、14ページ、こちらもおそらく同じ問題だと思いますので、ここだけあるというのも変なので、あとのほうを削除した以上は、こちらも削除するということでよろしいでしょうか。
それでは、避難費用等についてはよろしいでしょうか。
山下委員。
【山下委員】 9ページと10ページで、ぜひ一言つけ加えていただきたいのは、この損害、身体的損害もさることながら、精神的損害、いずれもやはり検査、あるいは正しい診断基準がないと、いわゆる補償の仕方が難しいと思うので、早急にするということをぜひお願いしたいと同時に、基準の策定ということも並行してやっていただかないと、これは、我々プロではありませんから、精神・心理的な方々へのお願いが必要ではないかというのが1つのコメントです。もう一つは、14ページ目、検査費用が、これは商品を含む財物が主に検査されたときの費用というふうになっていますが、今の現場で一番の問題は、環境モニタリング、土壌モニタリング、学校の検査等で、従来全く行われていなかった線量測定というのをおびただしい数をやっています。これも、いわゆる補償、あるいは賠償というのも当然そうなってくるので、これがどこに入るのかなと。その検査費用という意味で、環境のモニタリング、土壌のモニタリング等については、どのように賠償されるかということをちょっと教えていただければと思います。
【能見会長】 あるいは、これは事務局のほうがよろしいかもしれませんけど、環境のモニタリングというのは、個々人がやっているんでしょうか。違いますよね。そういう意味では、前に議論があったと思いますけれども、全く同じではありませんが、自治体等も損害をこうむることはいろいろあるわけで、それから、被災者等に自治体のほうから一時払いをしているというようなものも、損害になる可能性があるわけですが、そういうものとして、どこかでまとめて扱わせていただくほうがよろしいかと思いますけれども、少なくともここではメンションしていただいたということを記録にとどめ、次回以降検討するということでよろしいでしょうか。
それから、9ページ等のところで、ここで先ほど明確な基準と山下委員が言われたのは、例えば疾病とか健康状態の悪化とか、そういうものについてある程度基準があったほうがいいだろうと、そういうご趣旨でしょうか。
【山下委員】 はい。
【能見会長】 これ、なかなか基準というのは難しいかもしれませんけれども、やはりここでは生命・身体的な損害ということで、健康状態の悪化、疾病等を問題にしておりますので、常に医者の診断書が必要かどうかは別ですけれども、基本的にはそういうものが出るというようなものが、ここでいう健康の状態の悪化であり、疾病であるということになるかと思います。これも一応了解事項ということでよろしいでしょうか。
それでは、避難費用等については、このぐらいにさせていただきまして、次の第4の、政府による航行危険区域設定に係る損害についてと、それから、第5の、政府等による出荷制限指示等に係る損害について、これはあわせてご議論いただければと思います。いかがでしょうか。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 先生、よろしゅうございますか、事務局からでございますが、ミスプリントで、17ページの下から6行目、指針のところでございますが、マル1の、「漁業者等」となっているんですが、ここの「等」が余計でございますので、削除をお願いしたいと思います。
【能見会長】 はい。
一応前回までのご意見を踏まえてまとめたものであります。しかし、前回いろんなご意見がございまして、あるいは、ここに十分取り上げられていない、あるいは反映していないところもあるかもしれませんが、第一次指針として、早急に賠償するという観点から見たときに、こういう内容でよろしいかどうかということをご検討いただければと思います。
中島委員が特に主張されていたと思いますが、もしご意見があれば。
【中島委員】 19ページの、対象区域及び品目という段落のただし書きの4行でございますが、地域、品目は、市場の反応が必ずしも出荷制限された地域と品目に限定しないで広がっている、これをどう考えるかという問題でございますが。ある程度これは広げないと、もう常識に反するというようなことはあると思うんですが、これはどこで線を引くかという技術的な表現の問題も含めて、今後、引き続き検討して、できるだけ早く整理するという趣旨であると理解いたしまして、第一次案としては、これでとりあえずは早く出すということでございますので、これで結構でございます。
【能見会長】 どうもありがとうございました。
第一次指針として、何とかして早く指針を出したいという観点から、前回議論になったように、例えば、ある県においてある農産物について出荷制限がなされた、あるいは幾つかの農産物についてなされた、そういうときに、その県において出荷制限のなされていない、それ以外の農産物についても、その県の産物であると、市場において拒絶反応から買わないということから生じる損害があるではないかというご指摘だったと思います。これはもちろんそのとおりであるというようには私も思いますが、ただ、場合によっては、これは架空の例ですけれども、ある県において出荷制限のされている品目というものが数として非常に少ない、あるいは、場合によって1種類ぐらいしかない、また、地域もその県においてごく限られた地域でしかないというときと、それから、県を見たときに、たくさんの品目が出荷制限に遭っていて、また地域的にも非常にいろんな地域でもって制限されている、そういう場合とでは、やっぱり少し違うかもしれないということで、線引きというんでしょうか、これもある種の風評損害の一部ですけれども、どこで線を引いて、一部の風評損害については損害賠償の範囲に入れるかということがなかなか難しい問題ですので、とりあえず第一次指針では、次の段階の検討課題とさせていただいて、ここに書いてあるような程度でまとめさせていただければというふうに思う次第でございます。
それでは、これについて、特にご異論がなければ、こういうことで早急に指針を確定させていただければと思います。最後のほうは少し急ぎましたけれども、全体を通じましてご意見がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
【草間委員】 この審査会は、要するに原賠法に基づく賠償の問題ですけれども、JCOの事故のときに、直ちに一般住民を対象にして、健康管理をどうするかということを検討するためと、作業者を対象にした健康管理をどうするかを検討する委員会ができました。これから避難している方たちのPTSDあるいは精神的な問題等が大変問題になってくるわけでして、健康被害という形から言いますと、やっぱり予防ということが大変重要ですので、私は、この審査会とは関係ないですけれども、JCOの事故のときでさえも、一般住民を対象にした健康管理をどうするか、あるいは作業者を対象にした健康管理をどうするかという委員会が直ちに立ち上がって検討されました。今回の場合は、特に作業者の場合は、原発労働者だけではなく、消防とか、警察とか、自衛隊とか、様々な職種の方たちがおられるということを考えますと、ぜひ、今日国会議員の方もおられますので、こういった2つの委員会を立ち上げていただくということは大変重要なことではないかと思いますので、お願いしたいと思います。
【能見会長】 どうもありがとうございます。
それでは、先ほど何点か修正箇所がございましたが、それを修正したものを本日第一次指針として確定したという扱いをしたいと思います。皆様、長い時間、また、本来であればもっと議論したいという方もおられたと思いますけれども、ご協力ありがとうございました。
それでは、本指針の取り扱い等に関して、事務局のほうから説明をお願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 先ほどまでの議論での追加項目につきましては、直ちに事務局のほうで修正をいたしまして、なるべく早く委員の皆様に配付いたしますのと、それから、ウェブページへのアップ、公表をさせていただきたいと思っております。
以上でございます。
【能見会長】 それでは、これで本日の議事を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
次回の日程などにつきまして、これも事務局から説明をお願いします。
【田口原子力損害賠償対策室次長】 1枚紙で、今後のスケジュール等と書かれた資料を配付させていただいております。次回の第4回の紛争審査会でございますが、5月の中旬を予定してございます。具体的には、今、5月16日を考えてございますが、追って正式に場所、時間等をご案内させていただければと思います。それから、その後でございますが、以降、月2回程度の開催を予定してございます。予定される議題として、そこに書いてございますが、本日の第一次指針の中の検討項目等、あるいは、福島県以外の地方公共団体等からのヒアリング等が予定されると思いますが、いずれにせよ、次回の4回の紛争審査会のときに、もう少し具体的なスケジュール、あるいは調査検討体制というのをご説明させていただければと思っております。
以上です。
【能見会長】 それでは、これで閉会いたします。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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