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原子力損害賠償紛争審査会(第2回) 議事録

1.日時

平成23年4月22日(金曜日)13時50分~15時50分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 避難住民の現状について
  2. 東電による仮払いについて
  3. 政府指示等に伴う損害について
  4. その他

 4.出席者

委員

能見会長、大塚委員、高橋委員、田中委員、中島委員、野村委員、山下委員、米倉委員

文部科学省

笹木文部科学副大臣、林文部科学大臣政務官、清水文部科学事務次官、森口文部科学審議官、土屋大臣官房長、藤木研究開発局長、田中原子力損害賠償対策室長、篠崎原子力損害賠償対策室次長、田口原子力損害賠償対策室次長

内閣官房

加藤 原子力発電所事故による経済被害対応室審議官

説明者

松永原子力災害対策本部参事官、佐南谷農林水産省食料安全保障課長、松尾 農林水産省農業環境対策課長、森水産庁漁政部企画課長

5.議事録

【能見会長】  定刻を5分ほどおくれまして申しわけございませんでした。それでは、これから第2回の原子力損害賠償紛争審査会を開催したいと思います。本日は、皆様お忙しいところをお集まりいただき、大変ありがとうございました。
 それでは、これから議事に入っていきたいと思いますが、その前に、私のほうから皆様に申し上げたいことがございます。このたび幾つかの新聞に、第一次指針案というものが既に決まったかのような内容に記事が出まして、委員の皆様方には、本来この審査会でもって決めるべき事柄が既に決まっているのではないかという印象を持たれた方もおられるかもしれません。それは誤解なんですけれども、そういう印象を持たれてしまいましたことに対しまして、私からおわびを申し上げたいと思います。
 それに関連しまして、これは特に報道機関の皆様にお願いしたいことでございます。私はできるだけいろんな情報を皆様方に提供して、それが広く国民に伝わるということは大切なメディアの使命であると考えております。ただ、その際に、やはり正確な報道をぜひお願いしたいと思います。そういう意味では、私がこの問題に関連してこういうことが重要であると個人的に考えているということと、それから、この審査会でこれから第一次指針案として決まる中身というのは、それは当然同じではないわけで、にもかかわらず私の個人的な意見として述べたことが第一次指針案の内容として決まったかのような印象を持たれるということは、正確性を欠くという点で大変遺憾に思いますので、ぜひ報道は正確にお願いしたいと思います。
 そして、3番目に、この際、この審査会の在り方についても私の考え方をご説明したいと思います。今回の審査会は非常に注目されている審査会かと思いますが、その中立性・独立性が極めて重要です。本来はどのような審査会ないし委員会においても、中立性・独立性は重要ですが、この審査会については、ここで議論されること事柄に対して、いろんな利害関係が世間にはありますので、それだけに、この審査会の委員の皆様方は、独立で中立的な立場から議論するということを肝に銘じられていると思います。そういう意味で、この審査会において、当然議事の効率性というのを考えて原案的なものを出しますけれども、これは決してトップダウンで案が出てきて、会議ではただそれを承認するというものではありません。私としては、特にこの審査会においては、委員の皆様方が自由にご発言をしていただいて、原案に対して必要な修正、追加を加えていただくということが非常に重要だと考えております。そういうことからも、先ほどの最初に戻りますが、会議の準備のために作られる原案、また、その作成の過程での私の個人的な意見というものは、審査会における決定、今回でいえば第一次指針案そのものとは性格的に全く違うということをぜひよくご理解いただければと思います。ちょっと長くなりましたが、今日の審査会の前に申し上げたかったことは以上でございます。
 それでは、今日の配付資料の確認を事務局からお願いします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  事務局でございます。配付資料の確認の前に、本日、笹木副大臣ご出席の予定でございますが、現在、国会対応中でございまして、おくれて参るということをお知らせしたいと思います。
 それでは資料でございます。第2回原子力損害賠償紛争審査会議事次第という紙がございます。そこに配付資料として資料1から4まで、それから参考資料が5種類配付されてございます。議事の進行に伴いまして、不足等お気づきになりましたら、事務局飛んでまいりますので、合図をしていただければと思います。
 資料の確認、以上でございます。

【能見会長】  それでは早速本日の議題に入りますが、第1の議題、避難住民の現状についてでございます。前回のご議論を踏まえますと、今後、被災地の地方公共団体などからも直接ヒアリング等をする必要があると考えておりますけれども、本日のところはちょっと時間的に間に合いませんでしたので、原子力災害対策本部から、避難住民の状況を説明していただくにしたいと思います。それでは、資料1について、原子力災害対策本部から説明をお願いいたします。その後、引き続いて事務局から資料2の説明をしてもらうことにいたします。
 それでは、お願いいたします。

【原子力安全・保安院原子力災害対策本部(松永参事官)】  原子力被災者支援チームの松永でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料1に基づきましてご説明をさせていただきたいと思います。
 めくっていただきまして、1ページ目、これは地図で、大体の外縁についてご紹介をさせていただいております。ご案内のように、3月11日に原子力災害が発生いたしまして、最初の日に3キロ圏内からの避難、3キロから10キロの屋内退避という指示・公示を出させていただいた後、3月12日に20キロ圏内からの避難に係る指示を出させていただきました。さらに3月15日に、ここで言いますと外縁に当たります20キロから30キロ圏内の屋内退避に係る指示・公示を出させていただいたということでございます。
 4月11日に「計画的避難区域」「緊急時避難準備区域」の設定についての考え方が示されたところですが、本日付で「計画的避難区域」、「緊急時避難準備区域」の設定をさせていただいておりまして、その資料はまた後ろのほうにつけさせていただいておるところでございます。
 それでは、2ページ目でございますけれども、大まかな人数、どういう人数かということの資料でございまして、これは先週もお出しさせていただいたかもしれませんけれども、この避難指示に係る関係の市町村の総人口のうち、避難者の数、20キロ圏内の人口はどのぐらいか、7万8,000人、30キロ圏外の人口が39万人、そして避難者数としましては8万2,000人ぐらいということで、今のところ、必ずしも正確ではない部分もございますけれども、把握をしているところでございます。後ほど述べますように、ここの中では飯舘村、これにつきましては、30キロ圏外の人口が多かったのでございますけれども、この飯舘村で全村が計画的避難区域にさせていただいたところでございますので、この人口が圏内の人口になるという点、それから、この資料の中には出てきませんでした、30キロ圏外であった川俣町についても、今回の計画的避難区域とさせていただいたというところでございまして、この人数がまた圏内の人口として加えさせていただくことになるということでございます。
 次に、避難所等の状況でございますけれども、以下のページでは、どういった避難所が受け入れているか、直近の福島県で把握しておられる状況についてでございます。一次避難所、そこにございます福島市で言いますと、あずま総合運動場等々、定員が非常に大きいところで、当初は非常に多くの方が避難されていたわけでございますけれども、現在のところはかなりその他の地域への移転等もございまして、お手元にあるような状況になっているというのが現在の状況でございます。
 それから、12ページをごらんいただきますと、市町村ごとに、大体二次避難でどこの市に行っていらっしゃるかというようなことについて福島県は発表していらっしゃいますけれども、そのデータについておつけをさせていただきました。詳細に、どこの避難区域の市町村の方が、どこにどういう形でということの全数については、必ずしも全体像を今の時点で把握はできていないというのが現状でございますけれども、13ページをごらんいただきますと、例えば双葉町で申しますと、総人口の6,900人の方のうち、3月12日に川俣の小学校へ避難をされ、その1週間後にさいたまスーパーアリーナ、そして現在加須市の県立高校のほうに移動されている、こういう形で移動されていると伺っておるところでございます。その他、それぞれの町で集団で移動されている方、それから、いろいろな形で移動されているということが承知をしているところでございます。
 14ページにございますのは、そういった中で、市町村が災害対策本部をそれぞれのところで設けていらっしゃいます。南相馬市の場合には、南相馬市役所の中に置かれておるわけでございますけれども、例えば、今申し上げました双葉町の件につきましては、移転されている旧高校の場所に本部を置かれて、被災者の支援を行われていると伺っておるところでございます。
 15ページ以下が、今回示させていただきました「計画的避難区域」及び「緊急時避難準備区域」の設定でございます。これは本日付でそういう指示及び公示をさせていただいたところでございます。
 計画的避難区域というのは、事故発生から1年の期間内に積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれがあるため、計画的にご避難をお願いするという地域でございまして、飯舘村、川俣町の一部、それから、葛尾、浪江、南相馬の一部という形で設定をさせていただきました。
 緊急時避難準備区域は、今まで20キロから、30キロ圏内は屋内退避区域とさせていただいたのでございますが、今回の決定に従いまして、その地域設定は解除になっております。したがいまして、20キロ圏内の現在警戒区域と言われている地域、それと、今回の設定させていただいた計画的避難区域と緊急時避難準備区域と、これが設定されているということでございます。緊急時避難準備区域というのは、緊急時に屋内退避や避難の対応をお願いする可能性がある地域ということで、緊急時の避難準備、屋内退避のできるようにすること、これを求めさせていただいている地域ということでございまして、15ページの下にございますような地域を区域としての設定をさせていただいたところでございます。
 その対象人口のところで、16ページに書いてございますが、ややわかりにくいかもしれませんけれども、先ほどの20キロ・30キロ圏内との大きな変更点といたしましては、飯舘村が全村が入って、6,200人の人口が加わっている点、それから川俣町、これは全体の人口の中の一部ではございますけれども、対象地域の国勢調査上の人口としましては、千数百人の方、これが対象地域になったというのが大きな変更点の、今まで区域に指定されていなかった方々で加えられた方々でございます。その他、若干の変更はございますけれども、大きな変更はその2点でございます。
 最近の生活環境の実態でございますが、これは避難所でどのような状況になっているかということでございます。体育館等に移られて、大変に不便な生活をお願いしているところでございますけれども、最近少し改善されていると伺っておりますけれども、引き続き食事面、衛生面、医療面、その他、パーティションでプライバシーが確保されている避難所もございますけれども、まだそれが必ずしも十分でない避難所がある等々、ご不便をおかけしているという状況でございまして、これは非常に簡単な一例でございますけれども、4月19日に現地から聴取した内容でございます。
 ちょっと時間を超過したかもしれませんけれども、私のご説明とさせていただきます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 では、続けて。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  続きまして、住民の避難に関する参考情報として、資料2に、放射線の環境モニタリングの結果ということで資料をまとめてございます。この内容につきましては、文部科学省のホームページ等で随時公開されております。逐次ご説明いたしませんが、例えば1枚めくっていただいて、3ページ目のところに、20キロ・30キロ圏外のモニタリングのデータ等がございますが、ごらんになるとおわかりになりますように、北西方向に高目の線量が出ているということになってございます。その他、20キロ圏内の空間線量率、あるいは土壌のサンプリングデータ等が7ページからになってございます。それから、海洋のもの、あるいはセシウムとヨウ素だけではなく、ストロンチウムの分析結果、あるいはウラン、プルトニウムの分析結果、そういったものをまとめてございますので、ご参考にしていただきたいと思ってございます。
 説明は以上でございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの資料1と資料2に関しまして、ご質問等がございましたらお願いいたします。

【田中委員】  避難住民の現状ですけれども、ちょっとここで言いにくいというか、言っていいのかどうかわかりませんけれども、今後の損害額に非常に影響しそうだと思うからちょっと言わせていただきたいんですが、計画的避難区域、積算線量20ミリシーベルトというのを決められましたけれども、我が国の緊急時の避難というのは、20キロ以内は50ミリシーベルトの被ばくが予測されるときに避難していると思うんですね。これがこの時点でなぜ20ミリにしたかというのが、私はなかなか理解できないんです。今まで20キロ圏内の人はみんな、これ以上出ると50ミリになるかもしれないということで、50ミリシーベルトになるかもしれないと言って避難したんですが、今回は20ミリシーベルトになるというふうに予測したと、この50と20の基準のぶれがよくわからない。ICRPは20~100ミリで社会的損失などを考えて決めるべきではないかということをリコメンデーションしていると思うんですが、そこがよくわからなくて、だから、今度は新しく5月中ですか、計画的に避難するというんですが、ざっと言うと、そういうことが1つ、非常に疑問に思っています。

【能見会長】  もう一つについてもどうぞ。

【田中委員】  もう1点、環境モニタリングですけれども、若干専門的になるんですが、セシウムの濃度が非常に測定値がばらついています。これは理由があるからだと思うんですが、キログラムあたり5,000ベクレル以上のところは、耕作不適当地ということになっているかと思うんですが、この範囲が予想以上に遠くまで広がっているということですので、これをどういうふうに今後この中で判断していくかというのは、損害額がどこまで広がるのかということですね。それから、セシウム137の汚染というのは数カ月やそこらでなくなるものではないので、そこら辺をもう少しきちんとしていただかないと、損害額の確定が非常に難しいなというのが私の印象です。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 では、今の質問に対しておわかりになる点をお答えいただけますか。

【原子力災害対策本部(松永参事官)】  ご指摘のとおり、ICRPとIAEAの緊急時被ばく状況における放射線防御の基準値は、20ミリ~100ミリシーベルトということでございます。そういう基準値のある中で、原子力安全委員会のほうにお尋ねをしたところ、計画的避難における基準の設定に当たっては、合理的に達成できる限り低い数値という考え方をもとに、20ミリシーベルトを採用すべきとのご意見をいただきました。こういったことを考慮いたしまして、住民の皆様の健康確保という観点から、20ミリシーベルトと今回はさせていただいたということでございます。

【能見会長】  もう1点のほうはいかがでしょうか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  田中委員がご指摘の点については、事務局として、これからこの審査会の検討の中で詳細な資料を出していくようにしたいと思います。

【能見会長】  田中委員のご質問は、いずれまた具体的に、こういう地域における損害というのは何なのかという問題につながっていくんだと思いますが、今の段階ではこのぐらいでよろしいでしょうか。

【田中委員】  はい。

【能見会長】  ほかに、資料1、2につきまして、ご質問ございますでしょうか。

【山下委員】  これは私、前回も質問したと思いますが、避難住民のいわゆる定義は、これは強制的に国が出した避難住民が対象になっていますが、30キロ圏外でも自主的に避難した方々がいらっしゃいます。これについてどのように考えていくのかが第1点。
 第2点は、これは福島県内でのいわゆる避難の状況ですが、県外へ出た方々への把握はどうなっているのか、そのことについて教えてください。

【原子力災害対策本部(松永参事官)】  私ども、原子力被災者生活支援という観点で、圏外に出た方々も当然そういう意味で被災された方ということで、把握をせねばならないと思っておるのですけれども、現状では必ずしも十分に把握できていないという現状でございます。
 それから、自主的避難をされている方々についてでございますけれども、これは被災者生活の支援という観点で、自主的に避難をされている方々という点で、私どものチームとしましてはしっかりと対応しなければならないと思っております。これと先ほどの賠償の問題とは、もしかしたらちょっと違うのかもしれませんが、私どもの認識としましては、自主的に避難された方々をどうするかということも非常に重要な課題と認識しております。

【能見会長】  今の山下委員のご質問ももちろん重要な点ですけど、後で実際の損害賠償の範囲等についての指針のところでもう一度ご議論いただくチャンスがあると思いますので、今の段階はこれでよろしいでしょうか。

【山下委員】  はい。

【能見会長】  それでは、ほかにもし資料1につきましてご質問がないようでしたら、少し先に進みたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 それでは、議題2、東電による仮払いについてでございます。前回の会議でも、この仮払いというものは一体どういうものなのか、その考え方についての議論がございました。そこで、この点につきまして、内閣官房経済被害対応室の方に説明をお願いしたいと思います。

【加藤内閣官房原子力発電所事故による経済被害対応室審議官】  よろしくお願いします。
 資料が飛んで恐縮でございますが、後ろのほう、参考4、最後から2つ目の資料でございますが、ごらんいただきたいと思います。これは東京電力が4月15日、先週プレスに発表いたしました資料でございまして、お読みいただきますとわかりますように、3行目にございますが、避難による損害への充当を前提に、当面の必要な資金を「仮払補償金」として速やかにお支払いするという決定がございまして、これを踏まえて「仮払補償金」として、避難・屋内退避をしている地域、これは別紙1にございますけれども、30キロ・20キロ圏内のお住まいの方々に東京電力のほうから支払うというものでございます。
 この仮払補償金につきましては、前回の会議で若干議論がございまして、精神的障害の対象になり得るか否かというような点がございましたけれども、これにつきましては、現段階では損害額が確定していない段階で払うものでございまして、性格としては、損害賠償額、将来確定する額の一部を出すもの、そして、確定した段階で精算されるというものを考えてございます。現時点では、精神的障害というものが含まれているのかにつきましては、限定してございませんけれども、いずれ将来的に確定した段階で示されるという性格となっていると考えてございます。
 以上でございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのこの仮払いの問題につきまして、ご質問等ございましたらお願いいたします。

【野村委員】  今、精神的損害との関係についてご説明ございましたけれども、最終的にこの紛争審査会で損害賠償についての指針が決められるとすると、その指針の中でいろいろな損害の項目が挙がっていくときに、どの部分が支払われて、どの部分が支払われていないのかというのは、明確になっている必要があるように思います。もっとも、損害の賠償として支払われた額でもいいのかもしれません。今仮払いが問題となっているのは東電と被害者との関係なので、そこでお互いにどういうように理解して、金銭の授受がなされるのかということが、指針のつくり方にもちょっと影響するのではないかということで、東電と被害者との関係であるとはいえ、このことをなるべく明確にしておいたほうがいいのではないかと思います。

【能見会長】  今の点に関連して、ほかの委員でご意見ございますでしょうか。
 今の点は、おそらく野村委員のおっしゃるとおりで、仮払いがなされた後で、損害賠償しなくてはいけない額がもっとあったということが指針で決められたときに、既になされた仮払は一体何を賠償したのかということが後で問題になってくる可能性がございます。現在は東電が自主的に払っている仮払いですけれども、現在の時点で一体何について賠償しているかというのを、東電の側もおそらく明確には意識していないで払っているのではないかと思いますけれども、将来、野村委員が言われたように、既に何を払ったのかということの関係が問題となる。この点だけを、この審査会で確認しておくということでいかがでしょうか。
 それでは、仮払いの問題につきまして、これ以上ご議論がございませんようでしたら、議題3、政府指示等に伴う損害についてという議題に入りたいと思います。第1回の審査会において各府省から説明いただいた被害状況などをもとにいたしまして、損害の類型の例について、事務局で資料をまとめました。また、農林水産業に関しましては、農水省から論点と考えられる事項についての資料をいただいております。また、国交省からも資料の提供がございました。これらにつきまして、事務局、農水省の順で一通り説明をしてもらった後で、質疑に移りたいと思います。
 それでは、最初、事務局から。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  資料3-1をまずお手元にご用意いただきたいと思います。タイトルとして、原子力損害の類型となってございますが、ただいま能見先生からおっしゃっていただいたように、各省から出していただいた被害の状況、あるいは、我々のほうで考えられるものがないかということも含めまして、この損害の類型を分類したものでございます。冒頭書いてございますが、これ自体が今後の指針の内容、あるいは、その損害の範囲について何か規定しているものではないということにまずご留意をいただきたいと思います。
 損害類型を考えますときに、2つの軸がございます。1つは横軸で、地域的分類でございます。これも、ここではそれほど詳細ではなく、ざくっと分けてございますが、避難指示のあった区域に係る損害、それから、今度は海側でございますが、こちらのほうは、緊急事態応急対策として、海上保安庁のほうから航行危険区域が設定されてございます。それに係る損害。それから、それとは全く異なる観点になりますが、出荷制限、県の全域あるいは地域で出荷制限が出てございまして、これに関する損害。それから、先ほど山下先生のほうからもご指摘ありましたが、外側で発生している損害もあり得るのではないかということで分類をさせていただいております。
 それから、時間的には、これは一番下の注のところに、実を言いますと、この指示・制限の期間の前の期間というのがあるわけでございますが、とりあえずそこは、ちょっと煩雑になるので、表にあらわしてございませんが、指示・制限の有効、出ている期間、それから、出た後の期間という、こういうことで、地域と時間の2軸で分類してございます。
 避難指示の圏内につきましては、避難費用、あるいは営業損害、その区域で営業ができなくなって、それから、給与所得者は、就労等ができない、あるいは、財物の価値が、例えば乳牛であるとか、世話ができないので死んでしまうとか、そういうものがあると思います。それから、検査に関しましては、人、物両方の検査、あるいは、身体的障害として、まだ確認はされてございませんが、被ばくによる損害、それから、避難途中で病気の方が病状が悪化する等の損害が考えられると思います。それから、精神的損害ということでございます。それから、指示の解除の後でございますが、帰還費用であるとか、あるいは、そこにあるような、やはり営業損害、検査の費用が発生するということでございます。
 それから、航行危険区域の設定に関しましては、特に漁業の関係、その海域で操業している漁業の損害、それから、そこの航路を迂回することによって発生するもの、さらには、それとセットで就労不能に伴う損害というのが考えられると思います。それから、指示の制限解除後も、同様の話がございます。
 それから、出荷制限に係りましては、営業損害として、出荷不能による減収、あるいは出荷に伴う就労の機会が失われるというようなことがございますし、指示・制限解除後も、風評等により、宣伝費用とか、あるいは検査の費用とかが余計にかかるというようなことが考えられます。
 それから、指示・制限の対象外地域におきましても、先ほど山下先生がおっしゃっていただいたような避難をされた方、あるいは風評等で売上が減少があった方、あるいは確認のための検査が必要になった方というようなことが考えられます。
 それぞれの欄に「等」と書いてありますのは、これはまだ我々の想像力の至らない部分、あるいは調査が至らない部分についてカバーするために、「等」ということが入ってございます。
 それで、これをもう少し具体的に書き下したものが、資料3-2になってございます。前回の第1回の会合で各省から報告をしていただいた例、あるいは、その他報道されているもの等を、事務局のほうでとりあえず拾ったという形で、具体的なイメージがわかるようにしてございます。以上が資料3-1と3-2の説明になります。
 それから、1つ番号を飛ばしていただいて、資料3-4では、国交省のほうから、前回の状況説明で漏れていたということで、資料の提供だけいただいてございますが、不動産業に係る経済的被害について、1枚の紙をいただいてございます。これは、実際の不動産の取引の減少等がここに報告されてございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【能見会長】  それでは、引き続き農水省、お願いします。

【農林水産省大臣官房 佐南谷食料安全保障課長】  農林水産省でございます。資料3-3に沿ってご説明申し上げますが、恐縮でございますけれども、1枚エディトリアルなエラーがございまして、1ページ目は、別途お配りしておりますこの1枚紙で差し替えさせていただきたいと思います。
 それで、まず1ページ目でございますけれども、農林水産業における原子力損害のイメージを整理させていただいております。そこにございますように、まずは原子力発電所から放射性物質が放出されているということ、それから汚染水が海へも放出されている、こういうようなことでございます。こういったことを受けまして、避難指示、あるいは屋内退避指示、こういような指示も行われておりますし、左上にございますように、出荷制限指示があった県及び品目ということでございまして、関係5県におきまして、御覧のような品目につきまして出荷制限がなされている、こういうような状況でございます。そして、真ん中の囲みにございますように、生じている損害のタイプといたしましては、営業損害、休業損害、財物汚損、こういったものがございます。そして、農業者の声をご紹介させていただきますと、汚染された農地では、作った米がたとえ摂取基準以下だったとしても、自分の孫に食べさせられないし、そういったものを人様に売ることもできない、こういうような声も出ております。こういったように、今回の被害といいますのは、陸、海にわたるということ、そして、一番下にもございますように、こういったことを受けまして、報道も繰り返しなされるような結果、大きな風評被害が生じている、こういうことでございます。
 2ページ目にまいりますと、一番上の囲みにございますように、今回の事故による放射能汚染は、深刻・広範・長期にわたるということでございまして、さらに、現在に至るまでも、放射性物質の放出は止まらず、避難指示も継続している、こういう状況でございます。そして、被害者の置かれている状況というのも極めて過酷であるということと、消費者も度重なる放射能汚染の報道を受けていることにより、特に口に入れる食品については、政府指示や公的機関による自粛要請、風評も含めまして、同じように影響が生じていると考えることは、平均的・一般的な人を基準としても合理性があるものではないでしょうか。被害者を迅速に救済する上では、JCO事故の際の取組を超えて、以下の点をぜひご考慮いただきまして、スピードを重視し、一次指針、二次指針など随時示していただき、被害者への早期支払いに結びつけていただくことが大いに期待されていると考えております。
 まず第1点目でございます。被害者の置かれた過酷な現状にかんがみまして、以下のような取扱いが必要ではないかと考えております。
 着の身着のままで避難区域を飛び出した被害者、あるいは高齢・零細な農林漁業者が被害者となっている点を踏まえまして、大量・迅速・円滑に賠償問題を処理する必要性から、農家等の証明書を大幅に軽減・省略する必要があるのではないかと考えております。
 さらに、審査会の指針で示された損害につきましては、特段の反証がない限り、損害が推認されるのではないか。
 事態の収束を待って賠償金の確定・支払いを行うのではなく、被害者救済の観点から、一定期間を区切りまして、損害額を仮算出いたしまして、仮払いがなされることも求められているというふうに考えております。
 指針策定後、事業者は、被害者救済の観点から速やかに仮払いを進めることも求められていると考えております。
 3ページでございますけれども、現時点におきましてなお放射性物質の飛散が抑止されていないということに鑑みれば、市場関係者や消費者の心理的反応の結果、アからエにございますように、政府による指示、地方公共団体の要請に基づく自粛、農林漁業者による生産者団体の自粛の取組、風評、輸入規制、こういった損害につきましては、原発事故との間で反復可能性があり、相当因果関係が認められ、同時・同等の扱いがなされることが求められていると考えております。
 3番の各国の輸入規制につきましても、こういった輸入制限措置が生じたことにつきましては、その因果関係は明白であると考えられております。
 4点目といたしまして、農林水産業の実態を踏まえた対応ということで、生産着手から収穫まで一定の時間がかかること、生産の初期段階でコストの大半が投下されること、畜産の場合は毎日えさ代がかかること、作物によっては1年1作、あるいは多作のものがあること、こういった農林水産業の生産形態の実態に応じて損害認定が行われることが必要であると考えております。
 4ページでございます。損害の範囲と適切な算定の関係でございますが、出荷制限指示等により出荷されなかった場合の営業損害につきましては、減収分(失われた収入)と追加的費用を損害として認めることが求められていると考えております。風評被害による営業損害につきましては、農産物は販売時期を逸すると価格が急に落ちるということがございます。そういうことで、売上総利益に限らず算定することが求められていると考えておりまして、JCO事故の際の最終報告書において「売上総利益を損害として認める」とした点につきましては、農林水産業の実態に合わないと考えております。それから、追加的費用(廃棄費用等)に関して、こういったものにつきましても、損害に含むことを明確にする必要があるのではないかということでございます。その他、追加的な借入に係る利子、あるいは輸出についての風評被害といったことにつきましても認めることが求められていると考えております。
 そして、5ページでございますけれども、地方公共団体による出荷自粛と政府による出荷制限の関係でございます。これまでの例にもございますように、暫定規制値を超える放射性物質が検出された後、速やかに県等が出荷自粛を要請し、その後、政府による出荷制限の指示が行われているということでございます。例えば、福島における原乳につきましては、3月19日に暫定規制値を超える放射性物質が検出されまして、19日同日には川俣町、翌日の20日には福島県、そして21日には政府による本部長指示と、こういった形で出荷制限がなされているということでございます。それから、福島県の一番下のコウナゴにつきましては、4月9日に規制値を超える放射性物質が検出されまして、3月15日に全漁連の自粛が行われ、4月20日に本部長指示が行われている、こういった形で行われてきております。こういったことを踏まえますと、地方公共団体による出荷自粛要請につきましても、政府による指示と同時・同等に扱うことが求められていると考えております。
 6ページでございますけれども、こういった一部品目が政府による出荷制限の対象になった場合に、以下による損害も同等の取扱いが必要と考えております。この福島県の漁業の場合は、まずは海上保安庁によりまして航行危険区域の設定が行われております。その関係での操業停止措置がとられております。さらには、漁業者団体の操業自粛要請による操業停止、あるいは茨城県の操業自粛要請による操業停止、こういったものにつきましても同等の取扱いが必要ではないかと考えております。
 7ページでございますが、これは福島県の海域における漁業の操業実態ということでございます。左の地図にございますように、緑色の船びき網漁業、あるいは青色の底びき網漁業が、原発の沖合を含めまして広範囲に行われているということでございます。原発近辺の海域の内外にわたる形で漁業が行われており、また海流による水の移動、魚介類の移動を考えますと、食品安全の観点からは操業自粛には合理性があると考えております。政府による出荷制限や県による自粛要請も、最終的にはこういった「漁業団体からの自粛要請・指示」という形で漁業者に届いているということでございますので、内容の合理性、原発事故との関連性をもって判断することが必要ではないかと考えております。
 そして、8ページでございますけれども、4月2日に確認されました第2号取水口からの高濃度放射性排水の流出に関しまして、4月21日になりまして、東京電力より、1日から6日までの5日間に流出した放射性物質の総量が、4,700兆ベクレルと発表されております。こういった高濃度放射性排水が海洋環境に及ぼした影響の範囲、その程度は今後明らかになっていくと考えておりますけれども、これまでの間、安全な魚介類のみが消費者に供給されているのは、まさにこういった漁業者による操業自粛の決断によるものと考えております。
 以下、9ページ以降は、左の欄にございますような、避難指示等々の類型ごとに、どういった影響があるかということを整理させていただいておりますけれども、説明は省略させていただきます。以上でございます。
 すいません、あと1点だけ、参考資料の3ページだけご紹介いたしたいと思いますけれども、出荷制限品目となっていないキュウリの場合、ホウレンソウ等の出荷制限のあった日を境に価格が下落しているということを示すグラフでございます。群馬県の出荷制限が解除になった日以降も、価格はやはり回復いたしませんで、出荷制限品目のない埼玉県産の価格も同様の傾向ということでございます。3月21日の出荷制限を受けまして、群馬・埼玉県産ともに約4割落ちて、現在まで回復していない、こういう状況でございます。
 以上でございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま報告がありました点につきましてご議論いただきたいわけですが、ちょっと議論の仕方を整理させていただきますと、ただいまの説明の中には、全体の枠組みに関連する問題と、指針の具体的な内容に関連する問題とがあり、後者は後でご議論していただいたほうがいいものもございます。そこで、まずは、例えばこのような損害類型だけでよいのかとか、各損害類型のとらえ方はこれでよいのかとか、全体の枠組み等に関連するものを議論していただいたらと思います。個別的、具体的な問題、例えば、今、農水省からご説明いただいたいろいろ細かい個々の農作物についての問題点などは、後で具体的な指針の内容を決める際に議論していただき、まずは全体の枠組みについて議論するということでよろしいでしょうか。もしご意見があればどうぞ。

【大塚委員】  質問だけで、議論ではないですけれど。議論のほうは座長のおっしゃるとおり後でさせていただくほうがいいと思いますので。
 1点だけ質問ですが、4ページの5のマル1のところで、売上総利益に限らず算定することが求められているというふうにお書きになっていて、販売時期を逸すると急速に価値を失うということを考慮しということですが、もう少し詳しくご説明いただけますでしょうか。あるいは、9ページ以下のところが関連しているんでしょうか。

【能見会長】  はい。

【農林水産省大臣官房 佐南谷食料安全保障課長】  例えば、ホウレンソウを例にして申し上げますと、ホウレンソウ1把が200円で売られていたとして、その場合に、例えば原価を150円といたしましょうか。そうすると、200円で売ったものが、150円原価ですから、50円の粗利益がある、こういうわけであります。そして、JCOの考え方というのは、「その粗利益の50円を補償すればいいではないか」、こういうようなことだと思うんですけれども、例えば農家がホウレンソウを育てておりまして、畑にホウレンソウができている場合には、もう既に種代とか、農薬代とか、そういうコストは全部かかっているわけです。ですから、農家に補償するに当たっては、その50円ではなくて、200円ということではないでしょうかと、そういうことが1つの考え方であります。さらには、それを、とにかく被害があるわけですけれども、仮に原価割れで売った場合には、そこの50円だけではやはり足りないということだろうと思います。ですから、そういったことをぜひお考えいただきたいということでございます。

【能見会長】  大塚委員、よろしいでしょうか。

【大塚委員】  はい、ご意見として。

【能見会長】  後でまた細かいレベルの議論をする際に、今の点もご議論いただけるかと思います。
 ほかに、今の段階でご意見等ございますでしょうか。
 よろしいですか。そうしたら、今説明のあった農業水産業に関連する細かいレベルの問題に関しては、後で質問が出れば、そのときまたお答えいただくとして、とりあえず質問は終わらせていただきたいと思います。
 それでは、これから指針の枠組みおよびその具体的な内容についての議論を進めたいと思います。既に先ほどの説明で、損害の類型についての大きな考え方が示されたわけでございますが、それをもとに、指針の具体的な内容について議論したいということでございます。
 第1回の会議におきましていろいろご議論いただきまして、その際に、まず可能な範囲で早急に最初の指針をまとめる、それは迅速に賠償していく上であまり問題がない――問題がないというのは、こういうものは賠償していいだろうということについての大方の合意が得られるようなものという意味ですが、こういうものをできるだけ早く第一次の指針の中にまとめて、公表したいという考え方が議論され、大方のご了承を得られたかと思います。そこで、その方針に基づき、事務局にこれに関連しての論点を整理してもらいました。それが資料4です。では、事務局から資料4について説明してください。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  資料4について説明をさせていただきます。一次指針作成に向けた主な論点ということで整理をさせていただいてございます。
 まず一番最初に、一次指針作成の考え方というのは、今、能見先生のおっしゃったことを少し書き下したという形になってございます。
 それから、この後、先ほど資料3-1でお示しいたしました損害類型に従った形で論点を整理させていただいてございますが、その前に、全体の共通の論点として、そこに、1ページ目ですが、損害の範囲と賠償の方法ということで整理をさせていただいてございます。
 共通の課題として、まず損害算定の始期、どこから始めるべきか、事故の直後なのか、あるいは政府の指示が出た後なのかという問題があると思います。
 それから、それとは逆に、発生期間の営業損害、あるいは就労不能に伴う給与の減少、これの終期をどのように合理的に定めていけばいいかという問題があるかと思います。
 それから、3番目といたしまして、これは地震、津波と同時に起こってございますので、そういったものとの被災者救援制度、あるいは雇用保険等の他の制度との重複が出てまいる可能性がございます。そういったものについて、どのように整理をすればいいのかという問題があると思ってございます。
 それから、賠償の方法に関してでございますが、マル4のところでございますが、今回は被害者の数が大量でございますので、損害賠償自体は、原則は一件一件ということなのでございましょうが、実際に被害者が迅速に救済されるという観点からは、何か定額化、あるいはまとめて何か算定するようなことを考えなくてよいのかというのがマル4でございます。
 それから、マル5につきましては、損害が継続しているということにかんがみれば、すべての損害が確定してからではなくて、途中で一定の期間を区切ってやることも必要なのではないかということでございます。
 それから、その他、賠償請求の手続の問題として、今の途中で区切ってということも関係するのでございますが、仮払いの問題も含めて、何か配慮すべき点はないのかというのが共通のものでございます。
 2ページ以下は、先ほどの資料3-1の損害の類型、特に地域的な区分ごとに論点を整理させていただいてございます。まず2ページ目からは、避難指示、あるいは屋内退避指示、それから、本日出ました計画的避難区域の指示、こういったものに関する損害としてどういうものが考えられるかということでございます。まず対象区域自体をどのように設定するかという話がございます。それから、2番目として、対象期間、これは先ほど共通の論点として申し上げたとおりでございます。あるいは、指示が出る前に自主的に避難した場合というのも考える必要があるということでございます。
 それから、損害の範囲としまして、こちらで一応次のような損害が考えられるのではないかというものとして、まず避難費用ということでございます。これは実際に移動に要した費用、あるいは、移動した後も滞在に必要な費用でございます。
 それから、営業損害といたしましては、この避難区域等の中で営業をしていた事業者に関しまして、事故、あるいは避難指示に伴い失われた利益、減収分、これをどのように算定するかという話。それから、追加的費用につきまして、特に資産の、営業所を移動する、あるいは商品を廃棄しなければいけない、こういったものに係る費用をどう考えるかということでございます。それで、星印のところで、考えるに当たっての論点も書かせていただいてございますが、避難区域と営業の範囲をどのように考えるかということでございます。区域内の営業のすべてを考えるのか、それとも、除かれるようなものがあるのか、あるいは、具体的な損害の算出や賠償方法をどうするか、それから、廃業、倒産の場合の損害をどのような形で把握していくのかというような問題がございます。
 それから、就労不能、いわゆる給与所得者にとっては、対象区域に居住地があって、避難をして通勤ができなくなった、あるいは、対象区域内に勤務先があって、勤務先そのものが休業の状態になったというような給与の減収分がございます。
 それから、(4)といたしましては、財物価値の喪失又は減少ということで、避難指示により財物の価値が失われるようなケース(家畜の死亡等)、そういったものが考えられるのではないかと思います。
 それから、4ページでございますが、これは表のところで申し上げましたが、避難地域となったことによって、人、あるいは商品も含めまして、検査費用というのが発生するケースが考えられますので、そういったものについて損害と認めるべきかどうか。
 それから、身体的損害につきましても、放射線による被ばくだけではなくて、実際、避難による健康悪化のようなものをどう考えるべきか。あるいは、そういったものを予防するための費用というのをどう考えるかということが書いてございます。
 それから、精神的損害につきましては、そもそも対象とするのかしないのか、あるいは、対象とするのであれば、どの範囲にするのかという問題があると考えてございます。
 それから、4ページの下のところからは、具体的な事例として、例1から例6を挙げてございます。もちろん、このほかにもいろんな事例があると考えてございますが、当面、事務局のほうで思いついたものを拾っているということでございます。
 それから、6ページのところは、こういって考えたときに、一次指針の中で整理できるもの、整理できないものが考えられると思いますが、一番最初にまとめるには、今後整理に時間がかかるのではないかというものが、6ページの上のところにございます。1つは、地震・津波の損害と原発の事故による損害との仕分けの仕方、あるいは、これは自家用農産物に伴う、具体的には食費になってまいりますが、費用、あるいは、対象区域外の区域に居住する住民の避難、あるいは、対象区域外の営業に係る損害、この辺は風評が多くなってくると考えられますが、そういったもの、あるいは、避難指示の解除後の各種損害、そもそも避難がまだ解除されておりませんので、これについてはなかなか最初で結論を出すのは難しいのではないかというようなことでございます。
 それから、航行危険区域設定に係る損害につきましても、今のと同じような整理をしてございまして、営業存在、就労不能に伴う損害というのを挙げてございます。
 それから、7ページ以降に、出荷制限等に係る損害についてということで、こちらは20キロ圏内、30キロ圏内とは少し整理が違ってまいりますが、政府による出荷制限の指示に伴う損害として、1つは、7ページの下にございます営業損害に係る論点がございます。ここれは、例えば営業損害として、減収分、これは出荷されなかったことに伴い失われた売上高から、出荷されなかったことに伴い支出されなかった売上原価を控除した額というような考え方があるのではないかということでございます。それから、追加的費用として、廃棄費用等がございます。
 それから、8ページに参りますと、出荷停止に伴いまして、やはり就労機会を失われた方々もいらっしゃると考えられますので、(2)のところに、就労不能等に伴う損害というのを書いてございます。
 そのあと、8ページの下からは、先ほどと同じように、具体的な例として2つ挙げてございまして、さらに9ページのところは、これも避難区域に係るものと同じように、今後検討する必要がありますが、少し時間を要するというものをそこに並べてございます。
 資料の説明のほうは若干雑駁でございますが、ご議論をぜひお願いしたいと思います。

【能見会長】   それでは、今たたき台として出ました資料4につきましてご議論をいただきたいと思います。どこからご議論いただいてもよろしいんですけれども、あまりあっちこっちに飛ぶと効率的な議論ができませんので、最初に、1ページの、一次指針作成の考え方、および共通の論点、ここを中心にご議論いただければと思いますが、いかがでございましょうか。

【高橋委員】  私は損害賠償よりも、行政法が専門でございますので、そういう意味では、賠償の方法、前回も申し上げましたが、ここは、私にとっては非常に重要であると思われる論点でございます。
 現実の支払い手続を迅速に進めるには、証明などの軽減の問題であるとか、定額化の問題、最初に大まかな基準で払って、後から細かな調整をするとか、いろんなやり方が多分あると思います。その辺はぜひ細かく検討していく必要があるのではないかと思っております。
 それから、この賠償は、経験がないほど多数な方を相手にして支払い手続を迅速に進めなければいけないということがございます。そこで、支払いの体制についても、きちんとしたものをとっていただくということを明示的に指針の中に入れることが重要です。そして、賠償側のほうに組織的にちゃんと払っていただく、かつ、時期的な不公平感がないような形での公正性に配慮した支払いをすることを、順序といったようなことも含めてぜひ要請することを、内容的に盛り込むのが重要であると思っております。
 以上でございます。

【能見会長】  ありがとうございます。
 ほかにご意見ございますでしょうか。

【山下委員】  今回、損害のイメージというのが農林水産省のこの差し替えの図でよくわかるんですが、これを見てわかるように、いわゆる物的な、あるいは経済的な損失については、まさにこのとおりで、20キロ、30キロを容易に超えているわけですね。そうすると、今回の議論の第一義的な20キロ圏内、あるいは20キロ・30キロ圏内というのはまさにこのとおりで、損害補償の優先順位はオーケーですけれども、例えば学校のいわゆる制限ということで、自粛というのが出ています。そういう子どもたち、例えば福島で言うと、福島市とか郡山市、それを超えるようなところに対する子どもたちへの影響というのは、これは無視できませんので、そういうものも指示・制限等の対象外かもしれませんが、考慮する必要があるのではなかろうかというのが第1点です。ですから、損害の範囲の中で、提案頂いた優先順位はこれで結構ですが、ぜひ指示・制限等の対象外でも、そういうところを入れていただきたいというのが1つです。
 そして、もう一つは、この損害の中で、多分後から議論になると思いますけれども、緊急時に対応した人たちがいっぱいいます。各都道府県から来られた職員、あるいは医療関係者のチーム、そういう方々も多大な費用を自己負担で来ているはずです。そういう、いわゆる送り主、すなわち福島県をサポートしている大勢のバックアップのグループに対する損害補償はどうなるのかということも、もしどこかで議論できればというふうに思います。
 以上です。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 一言、この避難指示等が出ている範囲との関係で申し上げますと、これは今山下委員がおっしゃったとおりで、ここは優先順位が高いであろうということで、本日の会議でも大方のご同意、ご賛同が得られるであろうということで、この部分をまず本日の第1次指針案として出したというものでございます。山下委員が言われたようなそれ以外のところで生じている損害についても、これを否定するということではもちろんなくて、それについては今後さらにご議論いただくことになります。この20キロ、30キロの範囲外の住民に生じた損害をどうすべきかという議論をすると、おそらく本日の会議では結論がでない恐れがありますので、そういう損害もあることを意識しつつ、しかしまずは、一次指針としてまとめられるというものをご議論いただければと思います。ただ、一次指針の案として本日出てきたものの中にも、相当意見が割れる可能性のものもあります。このような問題について、ご議論いただければと思います。
 ほかの委員はいかがでしょうか。もし総論的なところについてほかにご意見がなければ、具体的な内容のところに移りたいと思います。後で、総論に関連するような問題、全体に関する議論があれば、再び戻って議論することは可能ですが。
 ほかの委員のご意見がなければ、私の意見ですが、こういう資料が出て、ここに1ページのような一次指針の考え方ということで出てくることは当然必要なことだと思うんですけれども、この前につける前文のようなものが必要なのではないかと思います。ここに提出されている指針案には重要な内容の骨子が書いてあるだけなんですけれども、この前に前文を置き、例えば、今回の事故と前回のJCOとの比較などがおそらく議論になると思いますので、JCOのときとどう違うかというようなこと、その違いに配慮しながらこの指針がつくられているといった内容の前文みたいなものがあるとよろしいのではないかと思います。 ほかによろしいですか。それでは、先に行きまして、2ページ以降、6ページに航行危険区域設定に係る損害というのがございますが、それの前のところまでが1つの区切りになりそうななので、ローマ数字の1、避難指示、屋内退避指示等に係る損害というところについてご議論いただければと思います。いかがでしょうか。

【大塚委員】  具体的な細かい話になるわけですけれども、3点ほど申し上げておきたいと思いますけれども、あるいは議論させていただきたいということでございますが。
 まず3の(1)の避難費用ですけれども、標準的な宿泊費等で請求するという考え方が示されていて、私も賛成なんですが、例えば法的な観点から問題になり得るのは、体育館等に避難しておられた方についてどうするかということです。1つは、ここでもう標準的な宿泊費で出してしまうという方法もあると思いますし、あるいは、ここではあまり額は出せないけれども、精神的損害のほうで加算するという方法もあるかもしれませんが、どちらにしても、体育館等でかなり不自由なさった方については、それなりの配慮をしないといけないと思いますので、どちらかの方法をとるのではないかと思っていまして、そこはぜひご議論いただきたいところです。私は標準的な宿泊費等でもいいような気もしているんですけれども、そこは考え方が分かれると思いますので、ご議論いただければと思いました。
 それから、2つ目の点ですけれども、営業損害のほうですけれども、一番考えなくてはいけないのは、事業のリソースが対策区域内にあって、それが失われたという方たちだと思いますけれども、他方、部品等の工場で、ほかの企業がその部品がないために生産ができなくなるとかいうケースも出ております。これは民法上は間接損害の話になると思いますけれども、代替性がないということであれば、そういうものも損害に入ると思います。これが第一次指針に入れるべきことなのかは、私も判断つきかねます。ただ、ちょっと後でもいいかもしれませんけれども、代替性がないものについては、何らかの形で検討していただく必要があるのではないかと思います。
 それから、(7)の身体的損害のところですが、避難者の健康悪化による損害というのは、前回私が発言させていただいた点でございまして、入れていただいてありがたかったと思っていますけれども。これはおそらく、亡くなった方もいらっしゃるようなんですけれども、亡くなった方については、やはり逸失利益、つまり、(3)の問題と、それから(8)の精神的損害とに分かれて、両方が請求できるということになるのではないかと思います。精神疾患についても、相当因果関係があるということであれば、認めるべきではないかと思います。
 それから、(8)の精神的損害でございますけれども、これも対象にしたほうがいいと思っているんですけれども、避難の期間によって、今回だと20キロとか30キロのところでランク分けをするかどうかという問題とか、あるいは、今ちょっと申しました、避難者が避難が原因で亡くなったということで、相当因果関係がある場合には、死亡の慰謝料というのは多分ランクが違ってくると思いますし、先ほどの体育館で暮らしておられる避難者の方とかについても、もしこちらのほうで増額するのであれば、ちょっとランクを変えたほうがいいという問題も出てくると思いますので、精神的損害についてランク分けをする必要があるいは出てくるかもしれないということを申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 いろんなところへ議論は関連しますので、あるいは少し整理しなくてはいけないかもしれませんが、とりあえずは、あまりこちらで議論の枠をはめないで、先ほど区切った範囲内の問題については、ご自由にご意見をお出しいただければと思います。

【野村委員】  非常に細かな問題なのですけれども、検査費用について、物のところには必要かつ合理的という要件が書かれていて、人のところにはそういう表現がありません。しかし、おそらく人についても抽象的には同じような要件が必要で、ただ、一般にはその要件が当然に満たされているというように考えるということではないかと思うのです。
 新聞に報道されているように、つくば市で福島から入ってくる人に検査を要求しているというようなときに、その費用もこれは最終的に東京電力が負担するということになりそうですが、そういうものまで負担させるのが合理的かというと、やや疑問があるかなという気がします。一般的には、もちろん、自分の健康について心配になって検査を受けるというのは当然ですので、それはそれで十分この記述でわかりますけれども、多少細かく考えなくてはいけないのではないかと思いました。
 以上です。

【能見会長】  ただいまご指摘の必要かつ合理的なという要件は、野村委員は、たまたま検査費用に関連して発言されましたが、他の損害類型でも問題となりうる要件です。ある意味ではすべての損害に関する問題ですが。

【野村委員】  ほかの損害についてもある程度同じだと思います。ただ、先ほど大塚委員からもありましたけれども、体育館への避難のように、実際に支出していなくても、やっぱり被害者間のバランスというのはあって、一定の額が賠償として支払われるべきだと思うのです。それから、実際に宿泊費を支払っている場合にも、その額は多分まちまちだと思うんですよね。それによって生活の快適さはもちろん違うのでしょうけれども、損害の賠償としては、ある程度標準化せざるを得ないのではないかと思います。

【能見会長】  ほかの委員のご意見はいかがでしょうか。

【田中委員】  1つ、ここにも書いてありますけれども、今のこの被害というのは継続中で、どこまで継続するかわからないという、その範囲もどこまで広がるかわからないという中での事象なので、ぜひその区切り方をうまく区切って、とにかく緊急に救済できるようにしていく必要があるんだろうと思います。
 それは、1つは、ここで避難指示、こういうことですけれども、ここは風評は入らないんでしたか。

【能見会長】  もちろん、営業損害のところでは関連しますが、本日は、風評損害についてどこまで損害賠償の範囲に入るかということについての結論は出ないのではないかと思います。

【田中委員】  出荷制限のほうで議論すると。わかりました。それが1点ですね。
 それから、身体的損害の中で、放射線による、作業員の、これはサイト内の作業員と理解してよろしいんでしょうか。

【能見会長】  それは賠償の対象となる損害であることは確かです。

【田中委員】  そうですか。それは多分法的にも少し違う枠組みで補償されると思うので。

【能見会長】  かもしれません。

【田中委員】  ここは、ここで公衆度被ばくとこれとは少し分けなければいけないなという感じがしています。
 それで、公衆度被ばくについては、すぐさま影響の出る量ではないというのも確かかもしれませんが、一応放射線の影響としては、長期的とか晩発的な影響というのも否定するものではありませんので、それについては継続的に観察するとか、検査をするとか、そういうことの中で、具体的にそういうものが生じた場合には、きちっとした補償をするというか、そういう考え方をとるべきではないのかなと思います。
 以上です。

【能見会長】  今の時間の区切りの問題とか、あるいは晩発性の問題というのは、非常に重要な問題でありまして、ぜひご議論いただきたいと思いますけれども、もし今の点に関連して、ほかの委員でご議論ございましたらお願いしたいと思いますが。

【山下委員】  ただ今ありましたように、身体的な影響というのは、まさにご指摘のとおりで、ないとは言えませんので、どこをもって損害賠償の対象にするか、非常に難しいと思います。
 特に一般住民、これは20キロ、30キロ圏に限らないということで、子どもであればあるほど、その影響は、感受性が高いわけですから、その辺についての身体的損害が直ちにではないとした場合に、どこまで賠償の範囲とするのかということの指針は必要かと思います。すなわち、健康モニタリングだけしても終わりが見えないということが1つあります。
 それから、今回は放射線健康影響の風評被害は対象にしないということですが、一番心配されているのは、母親、あるいは女性であります。これに対する精神的な影響については、実は全く定量して評価ができないというのが現状ですから、これをどのようにするかということも、やはりどこかで議論すべきではないかということをコメントさせてもらいます。

【能見会長】  高橋委員、どうぞ。

【高橋委員】  晩発性の障害の把握をどうにし、それに対する補償をどうしていくのかということは、損害賠償制度の因果関係論で見るべきことでもあると思いますが、行政上の措置として、どういうことがあり得るのかという、別の論点が多分あると思います。この点については、公害訴訟、公害問題の経過の中でもいろんな議論が繰り返されておりますので、それを参考にして、多少時間をかけて――当然、十分な対策をとるわけですが、それをどの制度で発動していくのかというのは、慎重に考えるべきなのではないか、というのが私の考え方です。
 以上です。

【能見会長】  それでは、大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  今の晩発性の影響については、高橋委員と同じように考えておりまして、行政上の検査とかも含めて、措置をとる必要があると思います。行政上の検査費用についてはここに入ってくるとは思いますけれども、措置については別途考える必要があると思います。
 それから、先ほどの、時間的な範囲については、がまだ事故が収束していませんので、不明だということがございましたが、私もそのとおりだと思いますけれども、ですから、例えば避難費用とかについても、一か月当たりとかいうような形で考えると思いますし、(3)なんかも一か月当たりとかという考え方がとれると思いますし、もちろん、二か月のところで払えば二か月分ということになりますけれども、それぞれ月で区切られたりできるものは、そういう考え方をとっていくという決め方をしていくのではないかと思っております。

【能見会長】  どうもありがとうございました。

【米倉委員】  先ほど来、放射線による身体的な障害についてというお話が少しありましたので、私のほうからコメントを出しておきたいと思うんですが。
 現段階で、いわゆる住民の方々への被ばく線量はそれほど多くないと考えられています。これは適切な避難が行われたということと、それに伴って、今度は問題としては、住民の方々に非常に不自由をおかけしている、そういうことが起こるんだと思います。
 むしろ一番問題となっている高線量被ばくというのは、作業者の中に見られる。こういう方々への補償等については、別の枠組みというお話が今ありましたので、そうであれば、ここで議論することではないのかもしれません。
 問題は、一体これがどこまで続くのかという期間の問題になったときには、これについては、実は現段階では何とも言えない。今現在被ばくが続いているという状況でもありますので、そういう意味で、この枠組みの中で、直ちにこれを判断するというのは非常に難しいのではないかなということを感じました。
 それと、現段階で考えられている、もし今の想定の中ですべてのことがうまく収まったとしますと、いわゆる年間20ミリシーベルトという枠の中ですので、有意ながんの発生率が起こるというふうには考えにくいようなレベルですので、そうなってまいりますと、実際にそのときに起こってきた何か病気ができたときに、それが果たしてこれによるものかどうかという判断は非常に難しいレベルになるので、何か別の枠組みを考えないと無理なのではないかなと思います。

【能見会長】  ほかに。

【野村委員】  期間の問題なのですけれども、1カ月当たりの避難費用というように、ある程度定額化しやすいものは、そういう対応が可能だと思うんですけれども、必ずしもすべての損害がそうなるわけではないと思いますので、例えば、どこかの時点までに生じた損害について一たんまとめて払い、そしてまた、その次、どこかの時点で支払うというように、損害額の変動が大きく、月というよりは、もうちょっと長いスパンで考えなくてはいけないものもあるのではないかという気がします。
 いずれにしろ、通常の債権額とそれを支払う資金との関係というのは、資金のほうが不足すれば、どこかで全部名乗りを上げてもらって、場合によっては割合弁済というのが通常の世界です。それはすべての債権を平等に弁済するというのが公平だということです。ここで考えているように、請求が出てきたものから順番に払っていくということになると、どこかで資金がなくなるとしたら、これはあまり公平なシステムとは言えないわけですね。ですから、おそらく、ここでは、一応出てきた損害は全部支払われるという前提がないとまずいのではないでしょうか。賠償されるべき損害としてその範囲に入ってくるものは、一応全部が弁済されるという前提が必要なのではないかと思うのです。先ほど申し上げればよかったかもしれないのですけれども、もしかしたら最初のところに、前提の条件としてそういうことをある程度書いたほうがいいのかなと思います。

【能見会長】  ありがとうございました。
 最後の問題点は非常に難しい問題でございますが、今、この案として審議していただいているのは、当然、その全額が払われるべきであるという前提のもとでの案でございます。将来、あるいはどこかの時点で東電に賠償の資力が足りないという問題が生じたときにどうするのかという問題があります。そういう状況になると、今いろんな損害の類型が議論されていますが、その中で賠償についての優先順位をつけるかどうかとか、あるいは多数の被害者の中で先に請求した者が賠償を受けるということでよいのか、被害者間の公平を図らなくてよいのかとか、いろんな問題が出てくる可能性があります。これらの問題は、この審査会の権限との関係でその全てを取り扱えるわけではないので、非常に重要なご指摘でありますけれども、今の段階ではこれ以上詰めた議論はできないのではないかと思います。しかし、今の点についても含めて、ほかの委員のご意見を伺えればと思いますが、いかがでしょうか。

【中島委員】  ここの指針の中で賠償資力というのがどうなるかということは、今とりあえずは度外視して、純粋に全額払われるという前提で、つまり、純粋に理論的に指針を示すべきだという座長のお考えに賛成でございます。
 それから、検査費用について、先ほど野村委員がおっしゃられた、人の検査費用と物の検査費用で表現が違うという点でございますけれども、野村委員のご意見は、人についても、物と同じように、必要かつ合理的な場合に限定すべきだというご指摘だったと思いますが。その例として挙げられた、つくば市では福島から入ってくる人に検査をしている。その費用は負担させるべきでは、賠償させるべきではないのではないかというご指摘だったと思うんですけれども、私はむしろ逆で、人と物について、このように基準を分けたことには理由があるのではないか。やはり合理的か必要かなどという表現を入れますと、移動するという緊急差し迫ったときに、必要かどうか判断するいとまもない。ところが、物については、取引ですから、少しいとまがあるという違いを考えますと、やはり原案のとおり、人については限定しないほうがいいのではないか。さっきのつくば市の例は、むしろ払わせる、賠償の対象にしたほうがいいと感じます。
 あと、精神的損害については、大塚委員のご指摘のように、ある程度ランク付けして定額化するということが、大量処理の上では合理的ではないかなと思います。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 まだいろいろご意見がおありかと思いますが、いままでのご議論の中で幾つか重要な論点が指摘されました。これらについて少しまとめて議論していただきたいと思いますが、1つは、避難費用等、特に避難した先で日々かかる費用というのは、今後、避難している期間が継続する限りはずっと続いていくという性質のもので、継続的に発生していく損害というタイプでございます。このように継続的に損害が発生していく場合に、損害が確定するまでは賠償ができないというのは適当ではないので、先ほどの大塚委員のご意見ですが、一定の期間を区切って、例えば1カ月ごとに賠償していくというのはどうかというご意見がございました。
 これについては、この指針案の1ページ目にも書いてございますが、賠償の方法に関連する問題ということになります。つまり、継続している損害はすべて損害であるが、損害賠償額全額が確定していない時点でどのように被害者から請求するかという問題は、賠償の方法の問題になってまいりまして、マル5のところで、一定の期間を区切って賠償するというのはどうだろうかという問題を提起してございます。
 そうするとして、その期間をどうするのかということで、1カ月とか、あるいはもっと長期の期間はどうかというご意見がありましたので、この点について、もしほかのご意見をお持ちの方がおられましたら、お願いしたいと思います。

【田中委員】  今度の事故は、JCOと比べると、請求する人とかその中身がものすごく多いというのか、私は素人ですけど、損害賠償というと、個別に要求して個別に払うというのがそうなのかなと思いますが、JCOのときは、仲介役として自治体が真ん中に入ってやったというようなことで、大量にさばいたということがあります。
 それで、この場合も、多分、避難住民一人一人、一家族それぞれどういう要求をしていいかというのは、おそらくよくわからないのではないかと思います。こういうものに慣れていないから。そういう場合のことを考えて、具体的にどうするかということで、そのときに、今座長がおっしゃったように、5とか6、ここの賠償の方法との関係で、事務的になるのかどうかわかりませんけど、少し考え方を整理しておいたほうがよろしいのではないかと思いますが。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 今の1ページのマル4とかマル5に関連する、あるいはマル6にも関連いたしますが、それから、2ページ目のところでも、避難費用という項目のところで星印がついていて、個別の宿泊代等ではなくて、標準的な宿泊費等で請求することとすべきかというような問題も提起されております。そういうことに関連するかと思いますが。
 1点、ちょっと気がついた点ですが、今の2ページ目の星印、私が読み上げたところで、この「標準的な宿泊費等で請求することとすべきか」という表現は、それしか請求できないという意味に取られかねませんので適当ではなくて、むしろ「請求することができるとすべきか」というふうに直したほうがいいのではないかと思います。すなわち、被害者は理論的には実際にかかった費用は相当因果関係の範囲内で全額賠償請求できるわけで、その額は標準額よりも大きいこともありえます。しかし、迅速な賠償をするという観点から、標準的は損害として一定金額を請求できる、後から実際にかかったより多額の損害についても平均的損害で足りなかった分は請求できるという意味で、「標準的な宿泊費等で請求することができるとすべきか」というふうに直したらどうかと思います。おそらく皆様のご意見とこのようなご意見だと推測しますが、そして田中委員のご意見も、これで解決されるかと思いますが。
 もしこの避難費用等についてなおご意見があれば、お願いいたしますが、なければ、先ほど議論になった別の論点について確認といいますか、ご議論いただければと思いますけれども。
 先ほど議論いただいた中で、精神的損害について、ランク付けをすべきかどうかというようなことが議論となりました。これについても、もう少しご意見があればお聞きしたいと思います。できれば本日の議論をもとにして、次回の審査会までには公表できる内容を確定したいと思いますけれども、その精神的損害に関しては、幾つかのランク付けをするところまでは決められると思いますが、それぞれのランクの精神的損害としてどのぐらいの金額がいいかというのは、すぐには決まらないと思いますので、そういう意味では、今日、ここでご議論いただくのは、その基本方針、ランク付けする場合に、どんな観点からランク付けするのがいいのかといった基本的な考え方をご議論いただければと思います。いかがでしょうか。

【大塚委員】  20キロ、30キロで切るというのは1つの考え方かなと思っていまして、屋内退避の方と、すぐに出なくてはいけなかった方とは、精神的な損害は違うものと思います。
 死亡の場合の慰謝料の話ですが、これは人数はそれほど多いわけではないので、今ここでどのぐらい強調して申し上げる必要があるかどうかわからないですけれど、これは多分全然別の意味はあるんだろうと思います。
 それから、さっきの避難費用で、結局、体育館で避難されている方は、もう標準的な宿泊費で払うというご趣旨で先ほど座長がまとめられたというふうに考えてよろしいですか。

【能見会長】  はい、宿泊費等に関してはですね。

【大塚委員】  では、私もそれで結構です。

【能見会長】  今の大塚委員のご発言にもありましたが、それは精神的損害というときに、どういうタイプの精神的な苦痛に対する賠償なのかというと、実はいろんなカテゴリーがあるということです。たとえば、避難していることによって不自由な生活を強いられているという意味での精神的な苦痛に対する賠償のほかにも、避難先で死亡したことによる精神的苦痛や、それから、先ほど母親が子供のことを特に心配しているというご意見がございましたが、そのような精神的苦痛、さらにこれをもうちょっと一般化すると、もしかすると原子炉のすぐ近くにおられた方で――実際にこういう方がおられるのかどうかはわかりませんけれども、ある程度放射能を浴びた可能性のある方たちがおられて、こういう方たちは、現在、身体的な損害という形で健康被害が具体化はしていないけれども、将来がん等が発生するかもしれないという不安や恐怖感がつきまとう。このような意味での精神的苦痛をこうむる可能性もあります。このように精神的損害には、その内容によって分けて考えるべきものがある。
 こういうものをどこまで賠償の対象にすべきかというご議論は当然あると思いますけれども、精神的損害というものについても類型化ができ、かつ、原子炉からの距離等によってもあるいは分けることもできるかもしれない。皆様のご意見の中からそのようなことを感じましたが、皆様、ご意見いかがでしょうか。

【高橋委員】  この点は、指針の性格という問題に関わることであると思います。例えば宿泊費については、多分、画一的に、交渉の過程の中で変動することはなく、決まっていくものだろうと思います。
 他方、慰謝料の話は、大まかな考え方を示されて、被害者の方に実際の事情をお出しいただいた中で、決めるべきものでしょう。共通性や平等性という見地は必要でしょうが、さきほど、フレキシブルな指針ということをおっしゃったように聞こえたのですが、そのようなものであれば、一次指針という形でも出せるかなというふうに私は思いました。その辺については、座長はどのようにお考えでしょうか。

【能見会長】  フレキシブルということの意味は、こういう種類の精神的損害については、当面というか、一次指針のもとで、問題がないものとして認められますという程度の指針という意味であれば、私が申し上げたことです。
 ただ、ではそれをもとにして、実際に東電と自分が精神的損害をこうむったという人たちとの間で賠償の交渉などが出てくると、そうすると、直ちに幾ら払うのかとか、あなたはどういう精神的損害をこうむったから幾らぐらいですとかいうことが議論になって、そこはなかなか指針がないと賠償が進まないんだろうという気もするんですね。
 ですから、今の第一次指針では、私が申し上げたのは、金額は入れるのはちょっと難しいと思いますけれども、どこかの段階で指針として、これはおそらく精神的損害についての仮払いの指針みたいなものなのかもしれません。何か具体的な額も、もしできればいいのかなという気がしているということですね。

【高橋委員】  はい、ありがとうございました。

【能見会長】  どなたが先に手を挙げられましたか。まず山下委員。

【山下委員】  精神的損害というのは、極めて複雑ですし、単純にここで議論するのは非常に難しいと思います。私が強調したいのは、これは震災で、なおかつ原子力災害で、避難された方々はもちろんですけれども、亡くなって放置された方々もいらっしゃるわけですね。1,000体以上に及び死体が、だれがどこまで責任をとるのかということは、これは全く議論されていないので。精神的損害というのは、亡くなった方に対するケアを、あるいは、その痛みを持っている家族の方、プラス、今これを捜索して、いわゆる危険な中へ入って、警察官を含め、あるいは監察官を含め、やっていらっしゃる方々にとっても、実は精神的なケアが非常に大きいんですね。こういう一時的な心のケアが必要な方は、実は医療従事者であったり、こういうことの救助活動に当たっている方々も含まれてしかるべきではないかと思いますので、これは、ここでこの専門家がいない中で議論してもしょうがない。むしろ小委員会でワーキンググループが、この精神的な対応については必要ではないか。まずここでは、生活のインフラが崩壊した衣食住ができない方々、そういう方々を一時的に救済するので急ぐということがあって、同時に、これは至急そういう基準、あるいはカテゴリーをつくるのがよかろうかと思います。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 では、大塚委員、続いてどうぞ。

【大塚委員】  今の点も非常に重要で、1つのカテゴリーができるのかなと思いました。一般的に言えば、かなり個別的に分かれていってしまうと、残念ながら、具体的な審査を一つ一つやるケースとか、あるいは訴訟とかということにゆだねざるを得ない場面もあります。今までの公害の判決とかを見ると、やっぱりランク付けというのは3つとか4つとかというぐらいでして、今回はこれは指針ですので、ある程度定型的に大量処理をさせていただくというような観点から分けることが必要になってくると思いました。
 今の遺体を放置されたというのは精神的な苦痛として扱うべきものと思いますけれども、作業員の方の精神的苦痛は、おそらく労災とか、別のことも両方考えて検討していく必要があると思います。
 以上です。

【能見会長】  いろんなご意見をいただきました。精神的損害については、賠償の範囲に入っていいだろうということについての大まかなご了解はあるように思いますが、なお具体的にランクを設けるかどうか等につきましては、もうちょっと検討しろということかと思います。ということで、この問題は一たん持ち帰って、もう少しよく検討して具体化した案を考えたいと思います。
 ローマ数字の1のところはいかがでしょうか。営業損害等については、細かいところはともかくとして、基本的には賠償範囲に入るということで、皆さんのご同意が得られたということでよろしいでしょうか。

【高橋委員】  6ページの一番上でございますが、このことの意味がちょっと私にはわかりません。地震・津波による損害と発電所事故による損害を仕分けるかということなんですが、素人的に考えると、避難とかそういうところで、損害はある意味ではちゃんと分けられるのではないかと思います。これで分けられないといって指針作成後に後回しされるということになると、不利になる方もお出になるのかな、という危惧もあります。どのような旨でこの論点をお出しになったのかをちょっとご説明いただければありがたいんですが。

【能見会長】  では、これは事務局のほうから説明をお願いします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  ここにつきましては、どのように仕分けるかというところを論点にしてございますが、仕分けなければいけないという認識では書いてございます。ただ、一方で、20キロ、30キロ圏内で、そもそも津波の被害の実態がよくわかっていない部分もあるということで、こういう書き方をさせていただきました。
 それから、ケースによっては、仕分けること自体が結構難しいケースもあるのではないか。例えば、避難そのものが、最初の避難が津波で避難をしたのか、避難指示で避難をしたのかというようなケースもあるのではないかということで、こういうふうに書かせていただいております。

【能見会長】  いかがでしょうか。よろしいですか。

【高橋委員】  明示的に区分できなければ、とりあえずお払いするというほうが私はいいとは思います。ただ、これは個人的な意見でございますが。

【能見会長】  それも1つの貴重なご意見だと思います。なかなかここは理論的に難しい問題が含まれています。この問題点をここで言及しているのは、こういう難しい問題があるということの指摘だけはしておくという趣旨です。実際に起きた損害が津波によるものなのか、原子力事故によるものなのかという問題は、どこかで議論して解決をしなくてはいけないのですが、今、一次指針をつくる段階ではなかなか意見がまとまらないであろう思います。そこで、こういう問題があることの指摘にとどめ、具体的には後で検討するということですが、それでよろしいでしょうか。
 それでは、次に、ローマ数字の2の、航行危険区域設定に係る損害についてのところはいかがでしょうか。それと少し関連しますので、出荷制限等に係る損害、3のところも含めてご議論いただければと思います。

【中島委員】  まず航行危険区域の問題なんですが、原案では、航行危険区域(30キロ圏内)を基準として、営業損害の部分では、その区域内で操業する漁業についての営業損害が賠償の対象になるという表現になっておりますが。そうすると、航行危険区域外の部分の操業は、先ほどの農水省のご説明では、実質的に操業が自粛されていると。その部分の営業損害は入らないという趣旨でございましょうか。
 もしそうだとすると、魚介類の原産地表示が、福島県沖としか表示できないですよね。そうしますと、危険区域外の操業をたとえしたとしても、福島県沖としか表示できないものですから、実際は売れないということを考えますと、食品表示の単位部分は、やはりこの中に含めるべきではないかと思います。
 それと同じですけれども、3の出荷制限の損害なんですが、問題は3つの観点で限定されていますが、区域、品目、期間です。この案ですと、出荷制限指示のあった品目と区域と期間に限定するという案でございますけれども、これも食品表示は県単位でされるということを考えますと、その県の一部について出荷制限があれば、例えば茨城県産としか書けないわけですから、それ以外の区域の農産物も売れなくなるということを考えますと、その区域については、食品表示の単位である県単位にすべきではないかと。
 それともう一つ、品目と期間ですけれども、品目については、例えばホウレンソウは出荷制限があるけど、同じ区域でとれたトマトは出荷制限がない、しかし、実際はトマトも売れないという場合に、この表現ですと外れることになりますけれども、実際は、なぜ出荷制限されないかと言いますと、検査のときに、食することを前提にして、洗って検査するから、トマトみたいにつるんとしたものは、洗うとみんな落ちてしまうので、基準値に達しないので出荷制限になっていない。しかし、セシウムが、トマトを避けてホウレンソウにだけ降っているわけではないわけですから、同じ地域に出荷制限された品目があれば、同じ地域のそれ以外の品目も、当然にこれは賠償の対象に入らなければですね。その市場の反応というのは合理的だと思うんです。洗えば確かに落ちるものは出荷制限になっていないけれども、消費者の心理としては食べたくない。ゼロではないわけですから。ということで、そこを少し広げる必要があるのではないか。
 期間も同じで、これは現在まだセシウムが放出されているわけですから、たとえ基準値以下に今なったために出荷制限が解除されたとしても、なおゼロではないということ、出荷制限は解除されてもゼロではない、だから売れないということがもしあるとしましたら、これも入れるべきではないか。
 と考えますと、結論から申しますと、食品表示の単位になっている県の中に何らかの形で出荷制限が入っている場合には、その県内のすべての農産物は対象にすべきではないかというのが私の考え方でございます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 今の点に関連して、もしほかのご意見があれば。

【大塚委員】  事務局に対する質問もちょっとあるんですけど、今、中島先生がおっしゃっていただいたように、食品表示は県単位という話なんですけど、4月の初めに県単位から市町村単位に分けるようにしたと思いますけど、その辺は、今も県単位しか表示はできていないということでしょうか。前提の問題をお伺いしておきたいんですけれども。

【能見会長】  それでは、農水省の方、ご存じであればどうぞ。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  もしまだ残っていれば、先ほど農水省の……。

【農林水産省大臣官房 佐南谷食料安全保障課長】  野菜等の原産地表示につきましては、原則として都道府県単位の表示が義務付けられております。ただし、任意表示といたしまして、市町村レベルの表示をすることも可能ということでございます。

【能見会長】  表示に関してはそういうことです。その上でご質問がございますか。

【大塚委員】  ちょっと後で。

【能見会長】  わかりました。
 先ほどの中島委員からの、魚介類についてのご意見は、あるいは事務局のほうでどなたか適切な方がおられればお答えいただけますか。
 先ほどのご意見は、魚介類に関しては、福島県沖というような形でしか表示されていなくて、そういう意味では、この航行危険区域内で操業する漁業についてだけ賠償するというのは足りないのではないかということだったと思いますが。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  事務局としての考え方は、まずはっきりと線を引ける範囲ということでまずあれしたわけで、その外縁のところをどうするかというのは、今後の議論にしていただくというのも考え方ではないかと思って、事実関係として認識はしておりますが、今の一次的なこれにはなかなか確定的に書けなかったということで、今こういう書き方になっているということでございます。

【能見会長】  それから、私から説明すべきことかどうかわかりませんが、漁業の場合についても、出荷制限等というんでしょうか、漁業組合等によって自主的に出荷制限をするというのがあるとすると、3のほうの出荷制限等にかかわってきて、そういうものを賠償範囲に含めていいかどうかという問題になってきます。

【田中委員】  ちょっとよろしいですか。私、茨城県に住んでいるんですが、こうなごに放射能が検出された後は、茨城県の海産物はどこの港にも揚げられないということで、もう操業を止めたんですね。ですから、そういうものについては、やっぱりきちっと賠償をするべきだと思います。ただし、その後再開しているものについては、どう判断するかは、少し議論があるかと思いますが。あとは、その後の、結局、風評被害まで含めると、ずるずると長くなるんですけれども、明確なところを、この段階については、きちっと請求に基づいた賠償をしたほうがいいのではないかと思いますが。

【能見会長】  わかりました。
 それから、先ほど中島委員から、もう一つ、あるいは2つに分けるべきかもしれませんが、出てきたご意見としては、ある県単位で考えたときに、その県単位である品目が出荷規制がかかったということになると、消費者のほうは、福島県だったら福島県産全体の農作物が危険だというふうに考えて買い控え等をするので、結局、売れなくなって、そういう損害も賠償範囲として、これもある種の風評損害でしょうけれども、風評損害の中でも相当因果関係等といいますか、事故との密接性があるので、賠償範囲に入れるべきではないかと。かつ、先ほどのご意見は、それを第一次指針の中で入れるべきではないかというご意見だったでしょうか。

【中島委員】  はい。

【能見会長】  そういうご意見ですが、これについていかがでしょうか。

【米倉委員】  私は、基本的な考え方はそれでいいのではないかと思います。すなわち、グレーゾーンというのは必ず出てくるんですけれども、今のように、実質的には消費者がもう絶対に買わないということがわかって出さないわけですから、これはもう出荷制限と同じレベルと考えても、今回の場合はいいのではないかなと私は思いました。

【能見会長】  ほかにいかがでしょうか。
 大変申しわけございません、時間がいろいろ限られていて、この次の段階の作業もどんどんしなくてはいけないこともあり、今の段階でご意見いただければ、作業がしやすくなります。

【大塚委員】  この出荷制限等の考え方は、非常に難しいところだと思っています。例えば、ある県のある市だけが問題になったケースがありましたけれども、そういうケースは例えばどうやって扱うかというようなことは、考えなくてはいけない問題としてあると思います。
 それから、今中島先生がおっしゃったような、県で全部、それから作物も1つにせず全部という考え方と、それから、原案のように一つ一つ扱っていくけれども解除してもすぐ消費者が買うとも限らないので、一定期間それに延長したものをくっつけるという考え方と、多分2種類ぐらいに分かれると思います。私もどちらがいいかはすぐにはわからないんですけれども、仮に県で全部、グレーのところも入れてしまうとすると、期間はいつまでにするかというのはどこかで考えておかなくてはいけないと思いますので、そういういろいろ考えるべきことがあるということだけ申し上げておきます。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 大変申しわけないんですが、私もこの後授業が控えているということもありまして、あまり時間がありません。会議の時間に少しおくれて来たのがいけないのですが、そこで5分ぐらいは延ばしたいと思います。なお今の点についてご意見をいただければと思います。

【野村委員】  今のことと直接関連するわけではないのですけれども、ここで第一次指針で出すのは、一応こういう基準というのは立てますけれども、どこかで最終的に見直すというか、修正するということですね。膨らませるのか、減らすのか、両方あるかもしれませんけれども。そういうことでよろしいのですよね。例えば、精神的損害も、極端に言えば、なかなか難しいけれども、仮にこのぐらいの金額をとりあえず決めておくとして、仮払いした後で、十分に検討することも考えられます。すなわち、もう少し事態が落ちついてから、確定的な考え方を明確にするという、そういうこともあり得るわけですね。

【能見会長】  はい。おっしゃるとおりでございます。第一次指針というのは、迅速に賠償していくために、賠償の対象とすることに異論が少ない損害を示していこうというものです。指針で損害賠償の範囲というのがそもそも決まらないと、仮払いであれ何であれ迅速な賠償は進まないので、とりあえず第一次指針で問題ないものを決めていこうということです。
 ただ、野村委員が今言われたように、とりあえず決めた指針の後で、こういうものも損害に入るのではないかということで議論をされて、指針が修正されて賠償の対象が追加されることはあり得ます。これは問題がないんですが、指針に基づいて一たん払った損害賠償を後で指針を見直して縮減するというのは、理論的にはあり得ると思いますけれども、実際上は難しいと思います。
 いずれにせよ、指針自体は、仮に第一次指針が決まっても、さらにそれを修正したり、内容を追加したり、審査会の合意ができたものから順次追加の指針として出せるのではないかと思います。
 ほかにご意見はありますか。高橋委員、どうぞ。

【高橋委員】  次回、第一次指針の案が出てくると思います。その場合に、指針に入った項目についての説明と、入らなかった項目についての説明とは、座長おっしゃいましたように、前文がつくと思いますので、そこでご説明いただけるような形で明確にしていただければと思います。この点は、是非お願いしたいと思います。
 特に、前回地方公共団体のお話をして、これは不要不急ではないかというようなご反応はあったと思います。ただ、次回等にでも、拠点を失われ、当該自治体の地域の外で住民の福祉に頑張っておられる首長さんが出てこられると思います。緊急性がどのぐらいあるのかというのは、それで皆さんにもおわかりになると思いますけれども、多分、一次指針作成以降に地方公共団体の損害の話は出てくると思いますが、そのような形で、地方公共団体のことについても、何らかの理由で後回しになった、その理由も明示していただければありがたいと思います。
 以上です。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、もし今この場でぜひご発言をしたいという方がおられなければ、今日のご意見を踏まえまして、第一次指針として合意できそうな内容を盛り込んだ案を作成したいと考えます。そしてこれを次回お諮りして、第1次指針として確定するという段取りをとりたいと思います。どうも本日は活発なご議論ありがとうございました。
 今後の審査会の開催の予定等については、事務局から説明をお願いします。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  次回は、4月28日木曜日になります。12時半から14時半にこの場所で開催することを予定してございます。後日、正式に事務局からご案内申し上げますとともに、傍聴の皆様にもホームページでお知らせをさせていただきたいと思ってございます。
 それから、本日お配りした資料でございますが、郵送をご希望される委員の方は、そのまま机の上に置いていっていただければ、後ほど郵送させていただきます。
 以上です。

【能見会長】  それでは、本日の会議を終了します。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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