スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業の今後の方向性等に関する有識者会議(第5回) 議事要旨

1.日時

平成30年4月17日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省15階科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. 管理機関・指定校からのヒアリング
  2. その他

4.出席者

委員

重松委員、荒瀬委員、菊池委員、隅田委員、竹内委員

文部科学省

坂本人材政策課長、春山教育課程課教育改革調整官、鈴木教育課程課長補佐、浦山人材政策課次世代人材育成係員

オブザーバー

大阪府教育庁真田指導主事、大阪府立豊中高等学校平野校長、西大和学園中学校・高等学校東校長、西大和学園中学校・高等学校鶴谷教諭、山形県教育庁櫻井指導主事、山形県立東桜学館中学校・高等学校官校長

5.議事要旨

○運営規則に従い、会議を非公開とすることとなった。
○事務局、大阪府教育庁・大阪府立豊中高等学校、学校法人西大和学園西大和学園中学校・高等学校、山形県教育庁・東桜学館中学校・高等学校より、資料について説明が行われた。

それに関連して以下のとおり意見交換が行われた。

【主な意見】
(大阪府教育庁・大阪府立豊中高等学校のヒアリングに関連して)
・管理職を含めた教員(特に理科、数学、情報等)の在職年数について、人事異動によって取組が切れてしまう面が少なからずあるのではないかと思うが、教育委員会として何か措置を講じているのか。また、学校としてどう考えているのか。
→校長の人事マネジメントとして、主担当について、前任と後任が重なるようにして次の副担当者を据えて、順に重なりを持ちながら替えていくようにしている。
・国際共同の相手国・相手校はどのように決めたのか。SSHで、他の高校と相手先をシェアするなどの取組は行っていないのか。
→基本的には各校が今までのつながりで独自に相手先を見つけているが、例えばサイエンスデイに招待して発表いただく等の交流はある。
・オナーリーダーズの規模はどれくらいか。
→豊中高校は1120名生徒が在席しているところ、オナーリーダーズは約30~40名。主なプログラムは3~4つあり、それぞれ都合の合う大学生・大学院生が協力する。
・オナーリーダーズなど、卒業生の個人データについて高校として把握できる状況にあるのか。
→どこまで追えるかは難しいところだが、同窓会の組織で勤務先を記載するフォーマットはある。本当は学校が10年先くらいまでできれば追跡したいが、現実的には難しいのではないかと心配をしている。大学院生になってからもう少し長く関わってもらったり、企業に勤めた場合にはその観点から後輩にレクチャーしてもらったりといった関わり方が次の段階としては考えられるのではないか。

(学校法人西大和学園西大和学園中学校・高等学校のヒアリングに関連して)
・卒業生TAについて、大学院生と大学生に違いは感じているか。またそれを踏まえ、仕事内容に違いはあるか。
→大学院生は学士論文を書いているので、大学院生が学部生を指導しているという構成になっている。
・メンター制度の対象生徒人数は何名か。
→今年から始めたばかりなので、中学2年生から中学1年生に教えた生徒は十数名、中学3年生から中学2年生へは約15名、高校1年生から中学3年生へは約20名程度となっている。
・保護者から、課題探究型の勉強をしていると、大学進学に影響があるのではないかというご意見等がでてくることはないか。
→たしかに進学に保護者が期待する面はあるが、学科の勉強と課題探究型の勉強は決して無縁ではなく、課題探究型の学習をすることによって学科の勉強のモチベーションもあがるので、保護者からはむしろありがたいと感謝いただいている。また最近は推薦入試、特色入試が進んでいるので、そういったところで進路保障してもらえるという点に期待はもっていただいている。
・中学3年生の3か月間の留学プログラムは、カリキュラム上どのような設定にしているのか。
→中学から高校に進学する際、入試がないので、中学3年生の1月から3月まで、毎年合計60人弱の生徒が希望してカナダやアメリカなどに留学する。先取り学習をしているので、中学校の科目履修はそれまでに終わっている。
・2期、3期かものすごくエネルギッシュになった印象があるが、何かきっかけ等があったのか。
→進学校として、大学進学数の実績をあげていくことをテーマとしていたが、自分から問題を発見して解決していくという課題探究型の取組の中での主体性が、教科の学習にも影響するということが見て取れたので、本腰を入れることになった。
・メンターの指導について、ポイントは何か。
→TAを導入するにあたって、ファシリテーターの役割として、教え込むのではなく引き出そうということで行っており、それがTAの間で伝統としてうまく確立している。
・御校が考える国際性とは何か。
→まずは行動力、あとは自分の役割を感じてその役割をグループの中でしっかりと果たしていくこと。さらに、多様性をしっかり理解して、その多様性を踏まえたうえで実行するということだと考えている。


(山形県教育庁・東桜学館中学校・高等学校のヒアリングに関連して)
・管理職の配置について、何か工夫はしているか。
→理系の教員が管理職として配置されていると認識している。また教頭先生に関しても、もともとSSH校で指導されていた方が配置されるような形で考慮されていると思われる。
・中学校の併設という特長があるが、中学校での取組を県内の公立中学校と共有していくということについて、どのように考えているか。
→東桜学館中学校が県内初の中高一貫校ということもあり、もともと中高での連携や接続は課題となっているところであるが、やまがたサイエンスコーチ育成プロジェクトで中学校の先生にも参加いただいたり、サイエンスフォーラムにも中学校だけでなく小学校にも案内を出したりといった形で、小学校、中学校、高校とつながるような形で県で支援をしている。
・学校のカリキュラムについて、イノベーションやデザインといった新しいことや、国際性、地域性といったものも入っていて、非常にユニークだと思うが、イノベーション、デザインのテーマについては、生徒が自分で見つけているのか。
→中学校では昨年度、歴史・文化、産業、自然という3つのカテゴリーでスタートしたが、逆に生徒がそのカテゴリーに縛られてしまい多様性がでてこなかったので、今年度はフリーでテーマ設定をしており、身近なところから疑問をみつける形をとっている。
・教師の研修は行っているのか。
→各学年の担当者を中心に打合せをしながら、学年で共通理解を図りつつ進めていくのが基本体制。教師が指導するというよりも、生徒の学び方を育てるという姿勢をとっている。この点については、サイエンスコーチ育成プロジェクトの中で、コーディネートする力の育成も行っていたところであり、このプロジェクトに参加した先生方を中心に広めていけると考えている。
・教師からの要望などを聞き入れられるような仕組みなどはあるのか。
→現場からの声で困っているのは、探究活動、課題研究の指導をしたことがないのでわからないといったものなので、サイエンスフォーラムで先生方の発表を取り入れる等の取組を行っている。
・SSH指定校として、他の学校と違うと感じる雰囲気や日々の活動はあるか。
→学び合いの中で生徒が育つということを非常に実感している。特に、探究活動を通じて培ったものが、日頃の授業や部活動、学校行事等で非常に発揮されていると感じている。


(全体について)
・SSHにおける探究的な学びをすることが結果として生徒を伸ばしていき、それは受験にも当然プラスになるという考え方を、進学する生徒がたくさんいる学校が持っていることは、非常に重要。SSHを通して学び方を変える学校も出てきている。
・進学校のSSH申請については、それぞれの教育委員会や学校でそれまでの実績を踏まえて考えていくというふうになればいいと思う。新しい教育課程、学習指導要領が出て、必ずしも知識の詰め込みだけではないという意識を先生方ももってきているので、その点は非常に追い風になっていると思う。
・SSHは高校の事例ではあるが、高校だけにとどまらないことがよくわかった。高大連携、中学校との接続の広がり、官庁との関わり、民間との関わり、外国とのつながり、SSH指定校以外の学校での取組など。このような、事業自体の非常に多様な影響のようなものを何か見える形で示すことができれば、本事業のインパクト(義務教育と高等教育をうまく結ぶ核となっている)を示せるのではないか。


○最後に、事務局より今後の開催スケジュールについて説明があり、閉会した。

以上

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