資料1 科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」事業に関するアドバイザリー委員会における指摘事項

科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」事業に関するアドバイザリー委員会におけるこれまでの指摘事項

平成28年12月9日

(1)事業評価について
◆本事業の評価について
○大綱的指針の見直しが行われたが、本事業でもプログラム評価の視点を入れるとよい。
○本事業の評価指標や人材育成拠点事業の中で生まれた方法論、見方が妥当か整理すべき。
○アドバイザリー委員会は、全体を基本方針に基づいてやっていく運営等々を含めて、中身が本当にいっているかどうかを常に評価し、かつアドバイスしなければいけない立場。それに対して、外部評価委員会が全体を評価。それは、アドバイザリー委員会がどういう方針で、どういうことをやってきたかも含めて、SciREX事業について評価していただくという形。

◆その他評価一般について
○成果に結び付いていないが、着実に学術的財産となりつつある部分を評価で考慮すべき。
○第5期基本計画フォローアップでは、数値目標設定だけでない丁寧な議論が必要。
○ソフト系科学技術等は、研究開発の成果が分かり辛く手法が固まっていないため、常に予算削減・事業廃止のプレッシャーがあるが、短期的に成果を求めすぎず、長期的視点に立った事業の継続が重要。
○AIを入れ、客観的な成果の分析手法も検討すべし。

(2)本事業の役割について
○第5期基本計画でも26兆円という具体的な数字が出たが、そのような議論に対し少しでもエビデンスベースで進めるようにするべき。
○科学と社会との関係において政策がどういう役割を果たすかということが重要。
○創造的破壊は、日本の企業或いはイノベーションにしっくりこない言葉。社会全体の仕組みも含め、「政策のための科学」の中に織り込んでいく必要性がある。
○科学技術イノベーション政策、それを推進することによって「公益」を実現するというのが、SciREX全体の目標。
○科学技術イノベーションを把握するための指標のとらえ方に留意すべき。その指標に何の意味があるのかをきちんととらえることや、目標設定とどう位置付けるか、使用するに当たって気をつけるべき点や、専門家の介在の必要性など十分認識する必要有り。
○科学技術に関わる課題という一言で片付けず、様々な類型の分析や時間軸の違い(短期化中長期的か)なども考慮すべき。

(3)「政策のための科学」の学問領域について
◆情報の扱いについて
○発信する情報への工夫次第で受け止める側の評価が変わるが、それが政策決定にどう影響を持つか分析することも重要な「政策のための科学」の一要素。
○情報化社会において情報をどう集積するかは、政策の科学にとって非常に重要な視点。
○科学技術イノベーションには、速いスピードで加速している情報化社会の現状分析が不可欠。
○情報化社会の現状分析は、情報学以外の分野での政策や研究分野にも影響を与えている。
○重要なのは、情報の価値が大事であることを、いろいろな形で発信していくこと。エビデンスの有無で大きな違いが出てくることが、社会全体で共有されていくこと。
○情報の発信の仕方、伝達の仕方が、どういう価値観に基づいて評価を形成しているかというのを解明していくことが重要。
○情報・データが急速に増え、ビッグデータを基にした解析手法も高度化。SxiREXについてもこのような状況を見つつ、SciREXで得られた情報・データを政策に使えるように可視化していくことが重要。

◆文化、人文社会科学と科学技術について
○文化や科学リテラシーに対して政策がどういう役割を果たすべきか考えるべき。
○数値には表しにくい心理的なことや感覚は、データとは別に大事なもの。理系のデータに基づくサイエンスと、人々が何を考えて生きているかという人文社会分野両方が必要。
○科学的なエビデンスを持ってやっていくというときに、人々の感覚をどう捉えていくべきなのかというのが大きな課題。
○科学の前の部分での情報の収集あるいは認識の一致、そういったものが必要。
○人々が幸福と思うかどうかといった価値観も、もう少し考えられてもよい。
○社会のモラルに関するところは、国として大きく取り組まなければいけない問題。
○サイロ・エフェクトの問題に向き合い、分野横断、俯瞰の視点でエビデンスを捉えていくべき。

◆研究振興
○日本の高い基礎科学技術力を効率的に活用するため、活用シーンを想定した基礎的研究成果のデータベース構築が重要。
○研究者の関心の範囲に限定された研究を、それぞれの構造モデルから最後の応用例までのトータルのデータベースとして整理することによって、活用範囲が大きく開ける。
○研究費の配分法などは「政策のための科学」の対象になるのではないか。
○新しいイノベーションを起こす仕組みとして、組織の部分に踏み込んだ発想が必要。
○共用設備の利用は文部科学省で進められているが、民間への拡張も考える必要がある。
○日本とシリコンバレーの差をよく理解した支援体制の構築が重要。
○モノづくりだけではなく、情報、データでバックアップされたより高度なサービスを付加することが、政策の目指すべき方向として重要。
○日本の研究力の低下、国際共同研究の割合の伸び悩みなどにどう向き合うかは喫緊の課題。日本の研究を、新しい分野へのチャレンジや、価値の創造に結びつけていくために、SciREXとしてもどうすべきかが求められてくる。

(4)人材育成の在り方について
○文系と理系の総合化、俯瞰(ふかん)的な視野の元で政策ができる人材の養成が必要。
○卒業者がどこで活躍するかを考えた上で、人材育成をすべき。
○本事業の成果を教科書することが是非必要。
○若手行政官がこの分野で研修を積んでいくというのは非常に大事。
○小・中・高・大学あるいは専門学校での一貫性が担保された教育がされるべき。
○研究者は自分の研究をしており、教育体制について企業人のように組織としては考えないので、必要な人材の育成が遅れてしまう。
○新しい学問は国立大学が牽引すべきだが、実際は大学のガバナンス問題等があり難しい。
○情報関係の学問に限らず、一般に日本の場合は新しく成長している分野を組織として位置付けるのが弱い。

(5)政策形成とのダイアログについて
○行政官の方から何が必要なのかが、余りよく分かっておらず、整理されていない。行政官、実務者、研究者のダイアログが大事。
○政策形成で出てきたルールや原則が、実際の政策形成に逆にフィードバックできるかというのが次の課題になる。
○課題が広がっており、一つの省では解決できなくなっている。勘と経験は重要だが、それでは処すことができなくなってきたのが現実。
○行政側のニーズと研究側のシーズの突き合わせについては必ずしも文科省に限定される物ではないはず。SciREX事業のユーザーとして広く各省、地方自治体なども意識すべし。
○SciREX事業で取り扱える課題はCSTI等が取り扱う広大な課題と比べれば小さい。CSTIとのインターフェースを確立し、SciREX成果の活用やインタラクションを拡大することなどは重要な取組。

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科学技術・学術政策局企画評価課

(科学技術・学術政策局企画評価課)

-- 登録:平成29年02月 --