参考資料2: 第1回放射線量等分布マップの作成等に係る検討会議事要旨(案)

1.日時

平成23年5月26日(木曜日) 14時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 3階 1特別会議室

3.議題

(1)放射線量等分布マップの作成等に係る検討会の開催について
(2)放射線量等分布マップの作成等に係る検討会の主査の互選について
(3)放射線量等分布マップの作成等に係る検討事項について
(4)放射線量等分布マップの作成に係る技術的検討について
(5)今後のスケジュール
(6)その他

4.配布資料

資料第1-1号    :放射線量等分布マップの作成等に係る検討会の開催について
資料第1-2号    :放射線量等分布マップの作成等に係る検討会の運営について(案)
資料第1-3号    :放射線量等分布マップの作成等に係る検討事項及びスケジュール
資料第1-4-1号 :「土壌濃度マップ」作成における検討事項
資料第1-4-2-1号  :福島県土壌放射能分布状況予備調査
資料第1-4-2-2号  :土壌濃度マップの作成に向けた土壌試料採取の方法について(案)
資料第1-4-3号 :「土壌濃度マップ」の対象範囲及びメッシュの設定について(案)
資料第1-4-4号 :土壌試料中の放射能濃度の測定の実施体制等について(案)
資料第1-5-1号 :農地土壌の放射性物質調査における土壌の採取について
資料第1-5-2号 :土壌放射能濃度測定用試料採取法
資料第1-5-3号 :「農地土壌の放射能濃度分布マップ」のメッシュの切り方及び測定範囲について
資料第1-6-1号 :「線量測定マップ」作成における検討事項
資料第1-6-2号 :走行サーベイシステムKURAMAの概要
資料第1-6-3号 :「線量測定マップ」の対象範囲及びメッシュの設定について(案)
資料第1-7号    :空間線量率(1センチメートル線量当量率)の測定及び土壌試料の採取に係る要領書(案)
資料第1-8号    :マップ関連研究について
参考資料1-1   :「環境モニタリング強化計画」について
参考資料1-2    :「環境モニタリング強化計画」を受けたモニタリングの強化について
参考資料1-3    :原子力被災者への対応に関する当面の取組方針(抜粋)
参考資料1-4    :平成23 年度 科学技術戦略推進費「重要政策課題への機動的対応の推進及び総合科学技術会議における政策立案のための調査」によるプロジェクトに係る実施方針

5.出席者

専門家:中村主査、池内委員、木村委員、小山委員、斎藤委員、柴田委員、杉浦委員、髙橋(隆)委員、高橋(浩)委員、髙橋(知)委員、茅野委員、長岡委員、長谷委員、久松委員、村松委員、吉田委員

事務局:渡辺次長・原子力安全監、石井EOC環境モニタリング班、斉藤EOC環境モニタリング班、栗崎EOC環境モニタリング班、日高EOC環境モニタリング班、山外EOC環境モニタリング班、遠藤EOC放射線班、佐々木(原子力安全委員会)、樫村(農林水産省農林水産技術会議事務局)、伊藤(原子力被災者住民生活支援チーム)

オブザーバ:難波(福島大学)、恩田(筑波大学)、内堀(放射線医学総合研究所)

6.議事

(1)事務局より、資料第1-1、資料第1-2について、説明が行われた。
(2)主査の互選が行われ、中村尚司東北大学名誉教授が主査に選任された。
(3)「放射線量等分布マップの作成等に係る検討会の運営について」が各委員により了承された。
(4)事務局より、資料第1-3号について説明がなされた。
(5)資料第1-4-1号、資料第1-4-3号及び資料第1-4-4号について事務局から、資料第1-4-2-1号及び資料第1-4-2-2号について恩田氏(オブザーバ)から説明がなされた。
(6)資料第1-5-1号及び資料第1-5-3号について農林水産省から、資料第1-5-2号について長谷部委員から説明がなされた。
(7) 資料第1-6-1号及び資料第1-6-3号について事務局から、資料第1-6-2号について高橋(知)委員から説明がなされた。
(8)事務局より、資料第1-7号について説明がなされた。
(9)事務局より、資料第1-8号について説明がなされた。

7.主要な質疑応答

○資料第1-3号 :放射線量等分布マップの作成等に係る検討事項及びスケジュール

【久松委員】マップを公開したときに、マップの数値自体の信頼性を問題にしたときに、サンプリング誤差の見極めだけはきっちりつけて公開した方が良い。
【事務局】メッシュの中の土質の環境等によるばらつきも確認して、調査する。サンプリングの精度のばらつきに関しても、検討会の中で検討する。報告書では、誤差要因についても調査結果をまとめる予定。

○資料第1-4-2-1号 :福島県土壌放射能分布状況予備調査及び資料第1-4-2-2号 :土壌濃度マップの作成に向けた土壌試料採取の方法について(案)

【村松委員】 採取試料の混合の仕方で、ナイフによる混合と袋内での混合とがある。ナイフによる混合は、試料が容器からこぼれたり、湿っている試料が多くてうまく混合できず、水田土壌では不可能。袋に入れて、揉むような混合方法が実際であると思う。
  森林の場合、litterは結構大きな葉がついている。それをうまく混合しないと均一性がとれないため、そのようなところは細かく切って混ぜ込むようにした方が良い。
【恩田(オブザーバ)】 litterの問題について、小さな草であれば採土缶を打ち込めるが、葉っぱの場合は、予め、採土缶の周り(の草)を(はさみ等で)切れば、打ち込みやすくなる。具体的な方法として、検討していきたい。

【長岡委員】 土壌が固い場合に特殊な器具を使っているが、クロスコンタミを防ぐことを考えると、沢山の量を準備する必要がある。
【恩田(オブザーバ)】 1日1カ所ごと、1回きりしか使わないため、しっかり洗って、翌日また使うという形でクロスコンタミを防ぐことを考えている。
【長岡委員】 混合はどうするのか。
【恩田(オブザーバ)】 袋混合とする。
【長岡委員】 私の経験では、水田土壌はものすごく粘っこくて、ほとんど混合できないものがある。それから表面は1センチぐらい砂がかぶっていても、中が固くて、採れないような土もあると思う。それについては、今後、要検討だと思う。
【事務局】 水田の土に関して、非常に採りづらいという話はよく伺っている。日本原子力研究開発機構で、ジオスライサーという採土器があるようである。そちらの方で今回は採る方向で考えている。
【長岡委員】 混合はしないのか。
【事務局】 混合について、それはまた今後検討したい。

【長岡委員】 1カ所で5cmのサンプルを5つと、30cmのサンプルを1個とるということであるが、30cmのサンプルも今回の分析にかけるということか。要するに、今回は迅速性が問題で、私は30cmのサンプルをとるのはいいと思うが、土上の5cmにしか物は残っていないので、これは後で何かの時に分析するぐらいの気持ちでいいという趣旨の質問である。
【柴田委員】 30cmの試料は、今後、地下方向への移行がどうなるかというための初期条件をとっておくという位置づけ。これは試料にコリメータをかけて測っていくと分布がとれるので、時間のあるときに測ることを想定しているため、ヨウ素は考えていない。セシウムの移行について、土壌の質によってどう変化するかという情報が将来的には必要だろうと思う。
【長岡委員】 了解。初期条件をとるというのは非常に重要だと思う。

【髙橋(知)委員】 資料第1-4-2-2号の土壌サンプリングの概要の部分について、土壌のタイプを記録するという形になっている。このタイプは具体的にはどのような分類になるのか。これは目で見て書けるタイプなのか、後で調査しないと具体的に書けないものなのかイメージを伺いたい。
  3ページのところのサンプリングの場所の具体例に田畑が出ている。耕作制限がかかっていないところは既に耕うんしている可能性がある。従って、事故以降、攪乱を起こしていないことをきちんと確認する必要があろうかと思う。家屋や学校においても、土壌の表面をとったりと、汚染除去を既に実施している可能性がある。沈着した時点でのフォールアウトがそのまま残っていることを確認した上で、サンプリングすることが必要。
【事務局】 田畑について、基本的に農林水産省で採取してもらう次第。農林水産省の方でしか、田畑が耕されているかどうか分からないため、そちらで確認してもらう。
  他方では、学校であれば、文部科学省でも調査できるため、(採取場所について)しっかり確認した上で、採取する方向で考えていく。
【恩田(オブザーバ)】 正確に覚えていないが、我々の方で土壌のタイプを簡単に耕作地、校庭等、選べるようにしており、その中から丸をつけるという、シンプルなものを検討している。
【髙橋(知)委員】 そうすると、土地利用の方と同じような意味合いと考えてよろしいか。
【恩田(オブザーバ)】 はい。

【吉田委員】 資料第1-4-2-2号の8ページ以降の牧草地のデータは非常に重要なデータだと思っている。空間線量率、表面線量率と書いてあるところについてお教え願いたい。森林に入ると低くなっているということは、おそらく主に空間線量率として拾っているのは地表面から来ているもので、高いところにある樹冠についているものの影響はそれほどでもないということになると思う。森林の角、エッジのところというのは、通常樹冠がわりと下のほうまで来ていて、管理されていることが多い。
 1つは、そういうエッジのところで数値が高くなるようなことはなかったのかということと、あと牧草地の境の距離等を考えて、例えば森林の中を抜けているような林道とか、そういうところを、例えば走行サーベイしたときに、それが測っているのは、いわゆる牧草地、森林がないところに相当する値と考えていいのか。それとも、多少森林の影響が出るものなのか。その辺を確認してから入らないと、走行サーベイのデータ、例えば山の中を走り回ったときに、実際何をはかっているかということになると思うので、その辺について教えていただきたい。
【恩田(オブザーバ)】 事実関係から先にお答えさせていただくと、この森林の樹高はおよそ15m弱ぐらいのスギ林である。非常に密植されており、上も非常にうっ閉されている状況のものである。樹冠と地面との間にいわゆる枝葉、枝も枯れた枝しかないような状況で、主な葉は一番トップの部分についているという状況になっている。エッジの部分等について、このときは、このポイントでしか測定していないのでちょっと分からない。今後、しっかり調べていきたい。

【斎藤委員】 どういう場所で土をとるかというのは非常に重要で、攪乱がない場所を選ぶのは重要である。また、将来的にもそこの場が乱されない場所というのが重要で、将来的にそれが経時変化でどういうふうに変化していくというのも、同じ場所で試料をとって測定していく必要がある。
 それから、メッシュの切り方について、少しこういうことを考えるべきだというのを述べさせていただく。基本的には、80キロ圏内は2キロメッシュ、80キロから100キロを10キロメッシュ、それから残りの福島県を10キロ、これをベースにして考えればいいと思うが、これに加えて考えるべき要素というのが幾つかあると思う。1つは、放射線量、汚染の度合い。汚染が高いところは少し重みをつけて多目にとる必要がある。これまで、航空機サーベイとか、あるいは地上での線量率測定の結果を参考にしながら、そういうところを少し多目にとる。もう一つは、人口の多いところである。人が住んでいる。今後、対策とか、影響評価、そういったものの基礎データとして使われていくことを考えると、やはり人口の多いところに少し重みをかける必要がある。逆に、人が住んでいない、車で行けないようなところは、今回はある程度省いてもいい。そのように重みづけをしながら、全体の測定地点を調整していく必要があるのではないかと考えている。
【中村主査】 それはこの2キロメッシュ、10キロメッシュをさらに見直すということを意味するのか。
【斎藤委員】 全体はこれを踏襲する。ただ、例えば人口が多い、汚染が多いところはもう1点、2キロメッシュに(採取地点を)増やすというような感じになる。

【長谷部委員】 農地のような攪乱するところは、いずれ耕したりするため、農地を土壌濃度マップの対象地とするのはいかがなものかと考えている。
  私有地、民有地であるため、当然地権者、農家の方のご了解を得つつサンプリングをしなきゃいけない。勝手に入れば、住宅であれば、不法侵入罪になるし、まして土壌をとっていくと、それは窃盗罪である。そういうことにもなりかねない。
 農地は私ども農林水産省の関係主体、あるいは福島県であれば、福島県の農政部、農業試験場、それから普及場、一体となって、そういう農業関係者で農家の方のご了解を得たところでやろうと思っているので、土壌濃度マップの対象地として農地を対象とするのは、ちょっといかがなものか。私どもが責任を持って、やらせていただきたい。
 深さ30cmまで採るという農林水産省の方式とともに、恩田先生ご提唱の表層5cmのものも別途採って、土壌濃度マップに生かせるものは活かしていきたいと考えている。
 採取者について、農地関係はある程度体制が出来上がっており、来週くらいから一挙に数日でやってしまう予定を組んでいる。非農地については2000点以上あるところから、どのように採取するのか疑問。
【事務局】 体制は、日本学術会議からの申し出を受けている方々でうまくチームを作り、日本原子力研究開発機構や福島大学などのチームで、30チームを想定している。
  私有地などについては、福島県の小山委員にもご相談し、各福島県の市町村に打診、相談をしたうえで、そういう部分を決めてという形で考えている。

【小山委員】 資料第1-4-2-2号について、メッシュ調査ということでマップをつくるというだけなら、ある程度降下量に着目して、草でも何でもちょっと入っていても、降下量を把握していくということでよろしいのかなと思う。
 メッシュの切り方で、現在80キロ圏内を航空機モニタリングでわかっているということを考えると、今後、もう少し詳細なところがわかれば拡大するという考え方もあるのかどうかお教え願いたい。
【中村主査】 作業者の人数が限られているという状況の中で、やれることからやろうというのがこの考えであることから、拡大に関しては、その次の段階だというふうに思う。今あまり手を広げると、肝心のことができなくなってしまう可能性がある。後で考えていくという方向にしたい。

【久松委員】 1つの地点から採ったサンプルを5個別々に測るということは、Ge半導体検出器の測定時間には余裕があるというふうに解釈してよろしいか。
  もう1点は、5個の採り方がランダムとだけ書いてあり、無原則であるが、ある程度原則を示し、ただしこれにとらわれる必要はないというふうにすべき。
【中村主査】 沢山のグループがばらばらなことをやると、データの信頼性がなくなるため、そのような統一というのは非常に重要。今日の意見を基にまとめて、詳細は恩田先生や事務局にお任せいただいて実施したいと思うが、それでよろしいか。
【池内委員】 日本分析センターの所有するGe半導体検出器は、19台と、文部科学省の3台借りているものの、22台ある。6月の中旬に10台新規に入れる予定である。土壌試料が1万1,000試料になるが、そのうち4割ぐらいは日本分析センターでやらせていただこうかと考えている。残りについては、信頼性のある結果を得られる研究所、あるいは大学にお願いしようと思っている。
【池内委員】 クロスチェックを既にやっており、日本分析センターで測った試料を東京大学に送っていただき、東京大学から各大学に送付している。現在、結果を待っている状況。
【斎藤委員】 大学側で6,000サンプル、それから日本分析センターで4,000サンプルを測定する予定。クロスチェックについては、事前のチェックとともに、事後も幾つかサンプルを選んで相互で測ることを予定している。

【久松委員】 同一地点に複数回やったときの再現性も余裕があれば確認しておいてほしい。
【事務局】 再現性というのは、土壌を同じ場所でとって、同じ結果が出るかどうかの確認か、それとも分析結果が何回分析しても同じ結果が出るということの確認か。
【久松委員】 サンプリングのエラーが問題である。どこか代表的なところでもう一度同じことを繰り返して行い、そのときの再現性を確認しておくと、値の信頼性という意味からものが言えるだろうということ。
【斎藤委員】 そういう意味では、5個の試料を同じ手法で採るわけであるが、それ全体を見ることによって、そういう手法で採ったときのばらつきがどの程度かというような知見が得られてくるのでは。
【久松委員】 それは違うと思う。出された平均値そのものの標準偏差というのは一応あるわけで、それがきちんとまたやったら、同じような標準偏差の範囲におさまるかどうかである。

【中村主査】 (a)土壌の採取方法に関しては、先ほどご提案があったように袋に入れて混ぜる方法に統一していただく必要があると思う。(b)採取方法は、30cm試料については、後ではかるという目的のためにとるということと、(c)5カ所をとるということ、(d)対象範囲を2キロ四方と10キロ四方で、人口の重みや汚染の強さによって多少修正することは、斎藤委員で調整すること。

【内閣府(伊藤)】 原子力被災者生活支援チームからも、地元に配置されたメンバーから地元の要望というのが幾つか挙がっている。
 モニタリングの箇所についてもっときめ細やかにやってほしいと要望があり、この測定対象の設定の際には、是非そういった要望を考慮していただけるように配慮していただければというのが1つある。そうすれば、先ほど言った試料を採る際の協力を得ることにもつながるので、そのような配慮をお願いしたい。

○資料第1-4-3号 :「土壌濃度マップ」の対象範囲及びメッシュの設定について(案)及び資料第1-4-4号 :土壌試料中の放射能濃度の測定の実施体制等について(案)

【高橋(浩)委員】 資料の1-4-4の実際の測定の仕様について、これでやると、多分、ヨウ素とセシウムの比というのは場所によって随分ばらついていると思うので、必ずしもヨウ素を同じ統計精度で測るという目的にはいかないと思う。少しピークに着目したような手法をとらないと、dead timeが出たら10分で切るというふうにしてしまうと、セシウムが非常に強いところでは、ヨウ素が出ていたとしてもひっかからない可能性もある。今回、ヨウ素を測りたいということを主眼にするのであれば、今の段階ではヨウ素が出るような、1時間をまず保って、もしピークである程度以上の統計誤差が保証されるところまでいっているのであれば、そこで切るというふうにした方がいい。

○資料第1-5-1号農地土壌の放射性物質調査における土壌の採取について、資料第1-5-2号土壌放射能濃度測定用試料採取法、及び資料第1-5-3号「農地土壌の放射能濃度分布マップ」のメッシュの切り方及び測定範囲について

【農林水産省(樫村)】 資料第1-5-1号について、水田と畑は条件が違うため、水田は15cm、畑地については30cmの土壌をとって測定することを考えている。採取方法について、農地の場合、作付けが圃場を単位として行われるので、1つの圃場の代表値をとるという視点から、圃場に対角線を引きまして、その交点の1カ所と、交点と拡張点を結んだ線の中点4点、合計5点について土壌をとり、それを混ぜ合わせて測定するということを考えている。圃場にも、大きいところ、小さいところがあるため、基本的には10アールを対象に考えている。
  採取点については、畑によって色々な状況があるが、農作物の残渣等がない場所を選んで採ることにしている。

【農林水産省(樫村)】 資料第1-5-3号について、メッシュの切り方について、福島県とそれ以外の県について、考え方を分けている。福島県については、2kmのメッシュ。それから福島県以外については、10kmのメッシュで設定することと考えている。
 測定の範囲について、福島県以外のところについて、現在関係県と調整中である。福島県については、農地が含まれるメッシュが2416あり、このうち300メッシュを選び調査する。そのうち125については、既に調査を済んでいる。今後は、残りの175をやることとしている。この調査するメッシュの選び方について、当然同じメッシュでも畑で使われている面積の比率が違うため、耕地面積の割合が高いもの、これまでの既存の調査において放射能濃度が高いと思われるような地域中心に選んでいく。

【吉田委員】 マップのでき上がりのイメージについて、メッシュごとに色分けされたような地図が最終的にできるというイメージでよいか。
【長谷部委員】 2kmメッシュであるため、かなり粗いメッシュである。300と言っても、福島県のある程度全域について、中通りより東が多いと思うが、それについての農地土壌のBq/kgの等値線が描けるようなものというイメージ。
【吉田委員】 私のご質問の意図は、例えば細長い畑地というか、そういう地形があったときに、そういうところのコンターを実際に引いたような地図をつくっていく。実際にそういう作業は問題なくできるのかという質問も含めている。
【長谷部委員】 細かいところまでは正直検討はしてない。そこは一緒に農地土壌マップを作られる文部科学省の機関の方と相談しならが行うことになると思う。
【斎藤委員】 検討を行う必要はあるが、私のイメージとして、無理してコンターを引かない。メッシュの中の平均値を色で示す。それを並べるといったイメージが一番良いと思う。コンターを引くと、どうしても人工的な島ができたり、そういうことがあるため、それは避けるのが良いというのが私の意見である。今後、どういう地図を描いていくかということは、またここで議論していただいて決めていきたい。

【吉田委員】 農耕地の採取の仕方について、これは基本的に採る前に均一にするということか。つまり、畝がある場合というのがちょっと気になったが、畝を平らにするということは、畝のところに乗っている表層土を畝のないところに被せてしまうという作業であると思う。そこのところで非常に不均一が生じると思う。その辺りは、どういうふうに処理されてから採るのか。
【長谷部委員】 この手法によれば、畝がない状態にして測るということ。
【吉田委員】 採る前にある深さ全部、あるエリアをきれいにまぜて畑の状態を作ってから採るのであれば分かるのだが、この状態で畝を崩して平らにするだけだと、無理にそこに不均一を作り出してしまう状態になっている。畝がもとあったところと畝でなかったところをとるので、全然違う結果になるんじゃないかと思う。
【長谷部委員】 ご指摘の部分は分かるので、検討して、修正が必要なら修正する。

【中村主査】 これに関しは、農林水産省のほうで今のご質問に対しまして検討していただき、この方法で進めていただきたい。

○資料第1-6-2号 :走行サーベイシステムKURAMAの概要

【髙橋(知)委員】 この測定はかなり周りの状況に左右されるところがある。この走行サーベイシステムでとられるデータは、道路上の車内の線量率である。これをどのように最終的にマップに落としていくかということは別途議論が必要ということを考えている。
  現在、実際に走行サーベイが始まるにあたって、その走行サーベイのためのプロトコル、手順書の作成を最終的なところを行っているところ。

【杉浦委員】 我々がとろうとしているのは、単位面積当たりの放射能が一番大事なデータだと思っているわけであるから、土壌の上の放射能はどう考えればいいのかというのが、Car-borne測定でどこまで押さえるかということになると思う。これについては、どのようにまとめたらよいか。
 市街地は土がある部分と、アスファルトがあって、空間線量率のデータが、土壌があるところとかなり違う状況だと思う。そこの解析をきちんとしないといけない。
【斎藤委員】 単位面積当たりの濃度という意味では、土をとってきたデータを中心に用いる。
 このサーベイデータの意味付けとしては、そういう汚染状況が場所によってどういうふうに変化していくかというのを詳細に押さえる基礎データとするというようなことになる。チェルノブイリでも、例えば100m、200m走ると、放射線のレベルが非常に変わる。2kmメッシュの中で1点をとったのでは、そういう細かい変動というのはつかみ切れないので、そういう汚染状況の地域による変動というのを包括的に押さえてしまおうというのが、この走行サーベイの意味。
 あくまでも土壌の濃度の絶対値という意味では2kmメッシュでとった土壌のデータを用いる。
【長岡委員】 追加で説明したい。土壌採取の場合と線量測定の場合では、データの密度が全然違う。あるモデルを使えば、線量率と何らかの仮定をとった放射能濃度との間に関係が出るから、そういうのを見ながら、車で走ったデータを使って、濃度が高いと想定されるところに、実測値がなければ、採取するというやり方になると思う。
【斎藤委員】 あくまでも車の上の値という意味付けである。それで、レベルの変動の傾向を見るということになる。

【杉浦委員】 2kmメッシュでとった濃度だけで物が語れるのかというところの使い方ということを気をつけて頂きたい。被曝のところにつながるような、土壌の濃度をもって全部を代表するのではなくて、アスファルトがたくさんあるようなところのデータというのも、きちんと被ばくということを考えるときに使えるような視点で整理したほうが良い。
【斎藤委員】 走行サーベイについても、人口が多いところは密に走行サーベイを行うという、そういう視点でやっている。被曝とある程度結びついた形でのデータがとれると思っている。

【中村主査】 これはずっと走りながら、1点としては数秒ぐらいでデータをとっていくのか。
【髙橋(知)委員】 何秒おきにということは可変になっており、現在の時点では10秒おきに設定している。
【中村主査】 10秒だとすると、カウント数は非常に少ないカウント数で変わっていくため、平均値的なものが出ると考えたらよいか。
【髙橋(知)委員】 はい。平均値と考えていただいて良い。ある程度の、100mくらいでの解像度という考えでいけるかと思う。

【中村主査】 だんだん車のバックグラウンドが上がるという心配は考えなくていいのか。
【髙橋(知)委員】 そこについては、プロトコルを作成中であり、朝必ずある場所へ行って、そこで車内の線量を測定することにより、車による汚染、線量上昇がないということを毎朝確認して、その上で出発することを考えている。洗車を必ずする部分も入っている。

○資料第1-7号 :空間線量率(1センチメートル線量当量率)の測定及び土壌試料の採取に係る要領書(案)

【木村委員】 このような調査が何回も続くのだとすれば、この調査地点に確実に同じ場所に行けるようにしておいて方が良いと思う。GPSは非常に有力であるが、ずれる可能性もある。その場所の略図を描いて目標物を決め、目標物から調査地点までの距離を測っておくような地図を残せば安全である。
   2回目に測定したときに、土壌中濃度が大きく違った場合とかの原因究明のためには、土質、それか土色を記録して、その違いを見るというのは有効。ただし、主観的になるため参考情報にしかならないかと思うが、土色に関しては、標準土色帖をチームが1冊ずつ持って歩くことによって、かなり客観的に土の色を記録することができるかと思う。
【長岡委員】 1度採った場所で、もう1回採ると変なデータになってしまう。そこで採ったというところを残す何かを考えたほうが良いと思う。
【木村委員】 我々もモニタリングでできるだけ同じ場所で、ちゃんと距離を測って、できるだけずれないようにして、ずっと10年以上測ったりしている。もし去年採ったところでもう1回とったら、濃度が低い土壌を採ってしまうのではという心配はあった。しかし、あまりそういうことは今までは見られていないのは確かである。
【髙橋(知)委員】 サーベイメータのバックグラウンド値を最初に測定することになっているが、これは場所を決めておかないと、バックグラウンドとはいえ、既に高くなっているところを測ってしまうとバックグラウンドにならない。どこでバックグラウンドとして測定するかということを確定しておいた方がよい。
【斎藤委員】 毎日スタートの時に同じ場所にみんな集まってから行くため、そこを測ればよい。
【中村主査】 非常に沢山のチームで行う手前、この要領書で方法を統一するという教育が非常に重要だと思う。その辺は非常に注意していただく必要がある。
【斎藤委員】 今、計画しているのは、朝必ずミーティングをする。行く前に、8時から9時まで。今日はどういう方式でどこを採るのだという風にする。帰ってきたら、また情報交換、本日こういう問題があった。それを毎日更新しながら、次の測定に活かしていく。みんなで統一して測定を考えるようにすることを考えている。
【難波(オブザーバ)】 写真撮影について、この写真がどういう目的で何を撮るのかというのがちょっとわからない。その撮った場所を、同じ場所に行くとか、そういう目的で撮るということも可能だろうと思う。測定している姿を撮れば、同じ場所で線量測定することが繰り返しできる。そういう撮り方もできると思う。
  作業者の防護服について、足は特に記述がないが、ゴム長靴とかが現実的。
  GPSは、恩田先生の図でもUTMが使われていて、福島大学もUTMを使っている。これはチーム毎に違っていても差し支えないかもしれないのではないか。
【斎藤委員】 かなり精度が違うものなのか。機種によって精度が違うということなのか。
【難波(オブザーバ)】 GPSの北緯・東経を何度何分とやらないで、UTMというメートルが単位になっているのを使うと、出ている値がメートル単位なので、便利なことは結構多い。WGS-84というのは同じにしておけば、換算は後でできる。
【斎藤委員】 可能であれば、両方とっておくような形にすればどうか。
【難波(オブザーバ)】 後で換算はできるため、両方とる必要なない。何度何分で慣れている人はそっちの方が間違いなく書けるかもしれないし、逆にUTMでなれている人はそっちのほうが感覚的にわかりやすいという差がある。
【長岡委員】 後でごちゃごちゃしないように、それを統一しておくべき。統一しておかないと、後でもう1回手順が入ってしまう。データベースをつくるために、今そこの段階からやろうという趣旨である。

【事務局】 実際にGPSは、(現地のモニタリングで)何度も問題が起きていることで、あくまで参考値にしかならないということを念頭にして、実際にはマップと写真なり、目標値なりで、どこに、あるいはどの点から何メートルとかということを明確にするべき。GPSは同じ点でも衛星の状態によって数値が変わるため、それを頼りにまた同じところへ行こうというのは無理なことなので、参考値だと思っていただいた方がよい。

【斎藤委員】 それでは、写真をしっかり撮るということと、それから目標地点をちゃんと記録する。
【木村委員】 写真はそこの場所を特定するということだけではなくて、そこの場所の環境が変わるということもある。今、復興が進めば、そこを整地して何か建物を建てるとか、周囲も撮っておいた方が良い。近くに建物が建ったために線量が変わったとかということもあり得ないことはないし、土を整地したために低くなったということもあるかもしれない。周辺環境の違いも見るということができる。

【髙橋(知)委員】 オーバーシューズを使わなくてもよろしいか。クロスコンタミの関係。足の方もオーバーシューズを使って使い捨てにした方が、クロスコンタミ防止のために良いと思う。
【斎藤委員】 ちょっと考えさせていただきたい。

【内閣府(佐々木)】 記録表の方にGM管式サーベイメータの記載が残っているということ、V型容器の容器種別が残っていることから、混乱を生じないためにきちんとした方が良い。
【中村主査】 修正していただきたい。

【事務局】 服装について、現地モニタリングも当初はタイベックを着たりしていたが、住民の方のことを考えると、あまり過度な服装をすると、住民の方から、「自分たちはここに住んでいるのに、外部から来た人間がそんな格好しているんだ」という意見があった。その辺も考慮していただきたい。
【斎藤委員】 基本的には普通の作業服と長靴、そういった服装を考えている。

【池内委員】 サーベイメータのところについて、NaIシンチレーション式サーベイメータは毎時30マイクロシーベルトを超えるとカウントできなくなるため、この値を超えた場合は電離箱式サーベイメータかGM管式サーベイメータで測るということを書いていただきたい。

【吉田委員】 測り終わった土をどうするかということについて、これだけちゃんとしたプロトコルで広範囲に集められた土壌は、この目的を達した後は、ある意味貴重な財産になる可能性がある。できればしっかり残して、後でシェアできるような形でということを、この先、考えていかなきゃいけない。測り終わった土壌を当面こうしようとか、そういう決まり事は作っておいた方が良い。
【斎藤委員】 測り終わった土壌は、大阪大学へ送って、そこで保管するということを考えている。将来的には大阪大学にずっと置くことはできないので、JAEAかどこかで引き取って、保管しながら、必要に応じてまた再度測定をしたり、そういうことに使っていくということは考えている。そのまま廃棄ということはせずに、何らかの形で保管しておく。そういう方策は考えていくつもり。

○資料第1-8号 :マップ関連研究について

【高橋(浩)委員】 今後の研究になるのかもしれないが、土壌サンプリングして、後で測定というと、非常に手間がかかって大変な作業になる。その場でもっとデータを蓄積する手法というのをもう少し考えるべきか。もしそういう切り口があれば、もっと早くに色々なデータを得ることができるのだろうと思う。
【中村主査】 そういう測定器が数多くすぐ入手できれば良いが、そこの問題はある。
【高橋(浩)委員】 仮に数台でもあれば、それを活用して、早い段階でマッピングをとるというのは十分可能である。
【長岡委員】 継続的にフォローをしていく場合には、in-situ測定をやれば、場を乱すこともないし、比較的短時間で平均的な値がとれるという非常にすぐれた方法があるので、参考にしていただきたい。
【事務局】 in-situ測定に関しては、今、原子力安全技術センターが持っている測定器があり、航空機モニタリングでも使用を予定している。

【小山委員】 市町村の方に説明すると、大体皆さん、これをどう見たらいいのかと。他の様々な基準なんかがあるが、それらはどういう基準で、物差しでこのデータを、結果を示したときに安心すればよろしいのか、心配しなきゃいけないのか。データマップをつくって、結局どのように見ていくのか。
 今後継続的にやっていくのか。そういったことを心配されておられる。
 その辺についても、色々と作っていくのと同時に、これをどのように皆さんが受けとめていけばいいのかということについても提示することも必要。

【事務局】 これからデータを色々な方々に協力して試料をとっていただいたり、線量を測定していただいたり、分析してデータを出していただいたりする。そのデータについては、この検討会の場で皆様方に、一応マップの作成として妥当かどうかというのを評価していただいた上で、今後、それを関係省庁等の承認も得た上で、実際に公開していくという形になっていくかと思う。その点で最終的な数値の評価の方法については、関係省庁等ともきちんと図りながら進めていくというふうに考えている。

【木村委員】 この間新聞で、東京電力がガンマカメラを使って放射性物質の放射性の強さの分布をとっていたのを見た。森林について、そのようなものが何か使えないのか。詳しい方がいたら教えていただければと思う。
【吉田委員】 感度が十分にあれば、そういう形で使える可能性はあるかなとは思う。
【高橋(浩)委員】 日本原子力研究開発機構にコンプトンカメラを1台作っているところがある。それで、アメリカは結構、NIHなんかは大分お金を出して、その開発が進んでいて、化合物の半導体を使ったコンプトンカメラ、実際持ってこようとかいってオファーがあったりした。だからそういうものは十分可能性があると思う。
【吉田委員】 森林に関しては、1つは、何年後かまで待って、土に落ちたときにもう1回評価し直す。あるいは、木を切るぐらいまでのことをして、そこの現存量を全部評価してしまう。
  それからもう一つは、空から測ったときの、分解能の問題等あると思うが、測ったときに、実際に牧草地とその隣の森林で有意な差が出ているのかどうかというのをチェックして、空からのサーベイがそのまま使えるかどうかあたりを、実際の現場の値と比べてチェックしていくというあたりが現実的と思う。
【斎藤委員】 実際、今回の測定対象地域はかなりの部分が森林である。その部分をヘリサーベイで測ってみて、その値を地上値に直したときに、実際にどういうものが評価できているかというのは今後ちゃんと調べていく必要がある。今後、その解析、ヘリサーベイが行われている、あるいは今後行われるヘリサーベイについて、実はこういう値を評価しているんだということを明らかにしていくということは非常に重要だと思う。
 ガンマカメラについては、ひょっとするとうまく使うとデータが出てくる可能性はあるのではないかと思う。高崎研究所で開発しているので、応用も考えていきたい。
【村松委員】 森林に関して、チェルノブイルのところでも森林の方が土壌中などの濃度がその周りよりも高い。それは森林のフィルター効果というか、上部のキャノピーが大きいので、そこに沈着しているものがあり、何年かたつと落ちてきて高くなる。何年後かには必要だと思うし、別研究として、これではなくて、今回の地点なんかもすごく初期で重要になると思う。別研究である程度場所を決めて、何年後かというよりは、毎年ぐらい調べる地点があってもいいかと思う。これから派生する研究の1つかと思う。

【斎藤委員】 先ほど指摘されたin-situ測定の重要性について、今回のような場合でも、Ge半導体検出器でかなり広範の平均的な核種濃度を測定できる技術というものがしっかり確立されていれば、技術的には確立されているが、それがちゃんと保持されていれば、もうちょっと効率よくそういう測定ができるのではないか。
【中村主査】 研究所とか大学とか個々では持っている。それがうまく活用がさっとできるかどうかという問題もある。
【斎藤委員】 そういうものが使えるような状態で適正にメンテナンスされているような体制をつくっておくということは非常に重要。

以上

お問合せ先

文部科学省 原子力災害対策支援本部

(文部科学省 原子力災害対策支援本部)