参考1-1: 「環境モニタリング強化計画」について

平成23年4月22日
原子力災害対策本部

1.趣旨

(1)福島第一原子力発電所の事故の状況がまだ収束していない中で、緊急時被ばく状況に対応するために、避難区域、計画的避難区域及び緊急時避難準備区域が設定されているところである。
 また、当該区域等における環境モニタリングは、文部科学省を中心に関係自治体等が実施している状況である。
(2)このような中で、この「環境モニタリング強化計画」は、事故状況の全体像を把握するとともに、計画的避難区域等の設定の評価に資することなどのために、下記の項目を考慮して適切な手法で取り組むものとする。

1福島第一原子力発電所周辺を含む適切な範囲での放射性物質の分布状況の把握
2今後の各区域(避難区域、計画的避難区域及び緊急時避難準備区域)における線量評価や放射性物質の蓄積状況評価のための準備
3周辺住民等の被ばく線量評価のための環境の線量情報の提供

2.実施内容

 「モニタリング強化計画」は、当面、事故収束後の状況への移行を視野に入れつつ、現在の緊急時被ばく状況に対応するために次のように行うものとする。

(1)環境モニタリングの実施により次のような「放射線量等分布マップ」を作成する。

1現状における放射性物質の分布状況を把握するために「線量測定マップ」を作成する。
2上記1に基づき年間20mSvを基準として当該地域における事故発生後1年間の積算線量がどの程度になるかを推定する「積算線量推定マップ」を作成する。
3土壌表層中の放射性物質の蓄積状況を把握するため「土壌濃度マップ」を作成する。

(2)各地点での測定は、空間線量率及び土壌表層のヨウ素131、セシウム134、セシウム137の濃度等を対象とする。また、効果的・効率的なモニタリングを実施するため、モニタリング実施地点の適正化や積算線量計の活用を行う。
(3)米国エネルギー省及び文部科学省が行う航空機サーベイにより、広域的な線量分布を把握するとともに、その結果を踏まえて効果的・効率的な環境モニタリング活動ができるようにする。
(4)20km圏内の避難区域については、事故状況の推移を見つつ航空機サーベイを含め可能な環境モニタリングを実施する。
(5)海洋エリアについては、沿岸域の測定点を増やすとともに、海流予測を活用した放射性物質の拡散予測を継続的に実施する。また、水産資源の調査を実施する。
(6)モニタリングの結果が蓄積され評価できる段階になった時点で、原子力安全委員会は総合的に評価し、原子力災害対策本部がその評価結果を受け、事故状況の推移も勘案して所要の措置をとる。

3.実施体制

「モニタリング強化計画」は、関係機関が密接に連携して体系的に実施する。

(1)モニタリング強化計画におけるモニタリング実施機関は、1文部科学省(日本原子力研究開発機構、大学、米国エネルギー省との連携を含む。)、2防衛省、3警察(県警)、4福島県、5電気事業者ほかとする。
(2)上記(1)の各機関の環境モニタリングの測定データのとりまとめと公表は文部科学省が行う。
(3)体系的・計画的な環境モニタリングを推進していくために、文部科学省及び原子力安全委員会は経済産業省等と密接な連携を図り、モニタリングの範囲やモニタリング手法の標準化などの具体的な実施方法を策定する。

 

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