科学技術イノベーション政策のための科学推進委員会(第20回) 議事録

1.日時

平成27年9月9日(水曜日)13時~15時

2.場所

文部科学省東館15階 15F1会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 「科学技術イノベーション政策における『政策のための科学』推進事業」の今後の進め方について
  2. その他

4.議事録

【黒田主査】
 それでは大体お集まりのようでございますので、第20回になりますけれども、科学技術イノベーション政策のための科学推進委員会を開催させていただきます。
 もう早いもので、始めてから4年に至るということですけれども、きょうは中間評価を頂いていますので、そのことと、今後の方針について御議論いただきたいと思います。
 それに先立ちまして、委員でおられた笠木先生が亡くなられまして、非常に残念なことなのですが、皆さんとともに哀悼の意を表したいと思いますので、御起立していただきたいと思います。
 (黙とう)

【黒田主査】
 ありがとうございました。
 それでは、早速でございますけれども、進行させていただきます。事務局に人事異動があったようですので、赤池さんから紹介したいと思います。よろしくお願いします。

【赤池分析官】
 瀧本がまだ来ていませんが、8月4日付で企画評価課長として村上が着任いたしましたので、村上から御挨拶します。

【村上課長】
 村上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 
 ちょうど直前に内閣官房の行革事務局というところにおりまして、各部署の独法を担当させていただいておりました。その際もよく機構定員や予算の関係ではエビデンス、エビデンスということをしつこく先方には問い詰めておりました。したがって、そういったものの必要性は十二分に理解しているつもりでおりますが、他方で、赤池分析官を始め、先生方のような専門的な見識がないものですから、その点、何とぞ御容赦いただければ幸いに存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

【黒田主査】
 どうも、よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から配付資料の確認をさせていただきます。

【赤池分析官】
 お手元に議事次第と資料をお配りしていますので、確認させていただきます。
 まず、議事次第、資料1、資料1の別紙1、資料2、資料3、資料4、資料5、資料6-1、6-2、6-3、6-4、資料7、それから、横書きですけれども、資料8でございます。そして、最後に資料9。これが、本資料でございます。
 それから、参考資料としまして、「科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」基本構想」、「基本方針」、「基本的考え方2012~2014」、「中間評価委員会 委員名簿」がございます。そのほか、参考資料の5として、この青い色のSciREX 、マル5と書いてある資料でございます。あと右上に書いてあります別紙1「SciREX 基盤的研究・人材育成拠点 拠点間連携プロジェクト予備調査テーマ案」、それから、「文部科学省「科学技術イノベーション政策のための科学推進委員会」科学技術イノベーション政策のための科学 ICT分野政策オプションの調査研究」が席上配付資料として提供されております。
 以上でございますが、不足等ございましたら、事務局に御連絡ください。よろしくお願いいたします。

【黒田主査】
 よろしゅうございますか。
 それでは、第1議題に入らせていただきます。最初に委員の任免につきまして、事務局から御説明いただきたいと思います。

【赤池分析官】
 資料1、資料1別紙1に基づきまして、説明をさせていただきます。
 先ほど黒田主査からありましたとおり、今般、笠木委員が逝去されたことに伴う変更でございます。資料1に設置規則がございます。ここには委員が欠けた場合という規定がないのですが、別紙としてこの資料1が一体となる資料として附属しております。ここから笠木先生のお名前を削除させていただく形で、改定させていただきたいと考えております。
 なお、後ほど詳しい説明はありますが、本推進委員会の先生方の任期は12月末でございますので、その期間に引き続き評価を踏まえた今後の推進方策について御議論いただくことになっております。
 説明は以上でございます。

【黒田主査】
 どうもありがとうございました。それでは、笠木先生の件、名簿からお名前を取るということでございますが、御同意いただけますでしょうか。

【各委員】
 (異議なし)

【黒田主査】
 どうもありがとうございます。続きまして、第2の議題で、平成28年度の概算要求の状況につきまして、事務局から御説明いただきます。

【赤池分析官】
 続きまして、議題2の平成28年度概算要求の状況を御説明させていただきます。資料2と資料3に基づきまして説明させていただきます。
 資料2は、平成28年度概算要求でございます。「政策のための科学」につきましては、項目7「社会とともに創り進める科学技術イノベーション政策の展開」の1つとして位置付けられているものでございます。今年度につきましては、昨年度の6億9,400万から6億3,400万に、減要求という形にさせていただいております。
 そして、中身ですけれども、この資料を2ページめくっていただいて、横書きに「科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」」という本事業のポンチ絵がございます。こちらにつきましては、右に要求額がございますが、6億3,400万のうち、優先課題推進枠が2,400万という要求となっております。このほかにJSTの運営費交付金として、公募型研究開発プログラム、それから、CRDS関係の諸経費を要求しているところでございます。
 まず、基盤的研究・人材育成拠点につきましては、省内での予算調整の過程で非常に厳しい予算状況ということで、今年度に事業を開始する予定でありました新規拠点が、後年度負担の見通しが立たないということで、減額をしております。
 そして、データ・情報基盤として、NISTEPの、本体事業との整理・合理化をいたしまして、2,000万円減の8,000万円ということで要求させていただいております。ただ、一応、補助金とNISTEPの減額はあるところではありますが、JSTのRISTEX、CRDSの必要経費も要求をさせていただいておりますので、集計上の数字は少し減額となっておりますけれども、全体としては事業を着実に推進する上での必要な経費は要求させていただいている状況と考えているところです。
 これに伴いまして、資料3「基本的な考え方2015(案)」につきましては、先生方に2回ほど御議論いただいたところでありますけれども、残念ながら新規拠点に関連する部分を削除させていただいております。赤線で変更部分は書いてあります。2ページ、3ページの途中から4ページの部分が、該当します。
 それから、5ページになりますけれども、中間評価につきまして、既に評価委員会による評価も今回終了しておりますので、それに伴う書きぶりの変更をしております。「基本的な考え方2015(案)」につきましては、これをもちまして案を取らせていただいて事業の推進をしてまいりたいと考えている次第です。
 事務局からの説明は以上でございます。

【黒田主査】
 どうもありがとうございました。ただいまの御説明、何か御質問なり、コメントございますか。
 今年度の新しい拠点の採択につきましては、いろいろ御議論いただいたわけですけれども、結果的には、今回は見送るということでございますけれども、よろしゅうございますか。

【各委員】
 (異議なし)

【赤池分析官】
 少し補足させていただきますと、一応評価のプロセスでも新規拠点、あるいは事業の拡大ということは指摘もされているところですので、今後、また是非努力をしていきたいと考えている次第です。

【黒田主査】
 それでは、次の議題に移らせていただきますが、SciREXの事業を始めてから、今年度で5年目になります。あっという間に過ぎてしまったわけですが、中間評価を受けるということで、昨年度からいろいろな中間評価を事業にのっとってやっていただきました。その結果につきまして、あらかたの評価が出ましたし、この推進事業そのもの全体についても評価を頂きましたので、その結果を事務局から簡単に御説明いただきたいと思います。

【赤池分析官】
 説明をさせていただきます。資料4、資料5、資料6の1から4までの資料がございますが、非常に大部にわたりますので、資料4を中心に説明をさせていただきます。
 資料4でございますが、この事業につきましては、サブプログラムがあって、その基のプロジェクトということで、階層構造をなしておりまして、評価の大綱的指針に基づきましてプログラム評価も含めて実施をしております。ということで、やや複雑な構成となっておりますが、この資料4の右下部分、「基盤的研究・人材育成拠点」、それから、「公募型研究開発プログラム」、「政策課題対応型調査研究及びデータ・情報基盤整備」は、各サブプログラムの評価としてやっていただいたところでございます。それを踏まえまして、先回、先々回と推進委員会による御評価を頂いたところでありまして、その結果につきましては、右上の四角の部分がそれに相当するものでございます。
 推進委員会による全体の評価、それから、各サブプログラムの評価を踏まえまして外部評価委員による評価を受けたところでございまして、その部分につきましては、左側の「事業全体(評価委員会の評価)」というところで、評価をした結果を記載しております。
 まず、各サブプログラムの評価から御説明をさせていただきます。基盤的研究・人材育成拠点につきましては、達成としては、当初目標を達成した。修了生は想定キャリアに就職し、知識・手法等を習得する講義が開設され、連携の協力関係はできている。科学技術イノベーション政策を担う人材を育成する重要な事業であり、更なる発展が望まれるという評価を頂きました。
 課題・提案としましては、拠点間共通科目等を整備するために全ての拠点関係者が連携して議論を深めること。総合拠点を中心に各拠点の成果を集約し、履修者の知見の活用能力を涵養するカリキュラムを追加すること。クロスアポイントメント制等を利用し拠点や関係機関との人材流動を促進すべきである。新規拠点の整備を含む本整備事業の発展を目指すことを期待する、という御評価を頂きました。
 そして、各拠点の評価として、政研大A、東大A、一橋大A、阪大・京大S、九大Aで、これはS、A、B、C、Dの5段階評価でこのような御評価を頂いております。
 2番目の公募型研究開発プログラムですが、これはRISTEXにおいて外部評価を行っていただきましたが、こちらにつきましては、プログラム目標を達成する見通しがある。プロジェクト・マネジメントについては、手法や知見が蓄積されつつあり、高く評価する。
 課題と提案につきましては、プログラムレベルで「だれに何を与えるのか/与えたか」を明確にすること。今後新たなプログラムを設計する際は、ステークホルダーと濃密な意見交換を設計段階から行うこと等の御評価を頂いております。
 また、政策課題対応型調査研究及びデータ・情報基盤整備は、NISTEPにおいて外部評価委員会を設置し評価されたものでございますが、達成度としましては、「公的研究機関に関するデータ整備等」については、期待を上回る事業進捗・成果を創出している。「産業の研究開発に関する基盤的データ整備」等について相応の事業進捗・成果を創出ということです。
 課題としましては、他機関との連携、産業界のニーズ・実態把握、リサーチマインドのある行政人材育成への協力・支援。学会・ジャーナル等での情報発信、高評価事業へのリソースの重点配分等、継続的取組のNISTEP事業への取り込みが必要である、という御指摘を受けているところでございます。
 これらを踏まえまして、これは先生方に御議論いただいたことですので、その要約をさせていただきましたが、右上の事業全体の自己評価につきましては、成果が実際の政策形成に活用され始め、徐々に体制整備が整備されている。人材も育ちつつあり、人的ネットワークの構築も進んでいる。当初の構想・方針に示された事項は大体達成しているということでございます。
 ただ、課題としまして、個々の成果をシステムとして一体化させ、政策形成の実務に結び付けるために、中核的拠点機能、SciREXセンターに知見や人的ネットワークをつなぐ必要がある。
 今後の方向性としまして、学際的学問分野の深化と、政策形成の実践に向けた基本的理念の確立。それから、ガバナンスの再設計。現在の推進委員会が持つ助言機能と統括機能の分離。SciREXセンターの中核拠点機能の充実と関係機関間の連携強化。それから、拠点事業における資源の重点配分、連携プロジェクトの設定(重点課題の設定)。新手法・新指標を発掘・開発する政策指向型研究の推進。事実に基づく合理的な将来の社会課題の発掘と、これに対応できる政策担当者や研究者の育成等が極めて重要という御評価を頂いております。
 これらを踏まえまして、左で記載しておりますが、事業全体の評価結果としまして、期待どおりの成果が創出されており、高く評価をする。事業理念に沿った人材が育成され、人的ネットワークも広がってきている。整備・開発されたデータ・手法等が、実際の政策形成にも寄与している。方向性を見失わず、長期的視点で継続的に事業を進めていくべき、という評価を頂きました。
 今後の課題・方向性としては、個々の研究成果や人材をシステムとして統合する。これは、推進委員会で御指摘いただいたことと一緒でございますが、生きた政策課題に積極的に取り組んで、実際の政策形成に貢献していくことが重要という御指摘を受けております。
 また、多様性の尊重、それから、様々な可能性を包含しつつ継続的に推進することも大事だという御指摘。それから、事業の背景となる考え方の明確化と確立。将来的な社会課題に対応していける多様な人材が育成され、強固で広範なネットワークが形成されることを期待。人材育成の更なる展開と、人材が能力を発揮できる体制整備を期待する。人材育成を進めるに当たり、学問分野の確立が必要である。データ・情報基盤の整備や公募型研究開発は、引き続き実施すべきである。成果の蓄積と多様性の確保が必要。SciREXセンターが担う中核的拠点機能の一層の充実・強化に努め、各機関の連携の更なる強化と成果の橋渡しが必要、という御評価を頂きました。
 総体的に見ますと、個々の研究成果、人的なネットワークができつつあるので、これを実際にシステムとしてつなげて、生きた政策に活(い)かしていくことが課題であることが全般として御指摘されているところであります。
 もしよろしければ、次の資料7と8も併せて御説明をさせていただきます。
 これを踏まえまして、先生方には年内にアクションプラン、今後の推進の考え方につきまして、御議論いただければ有り難く考えているところでございま
 まず、資料7に基づいて説明しますが、今回の推進委員会につきましては、推進体制の再設計の方向性、新しい「推進の委員会」の体制、先ほど、助言機能と統括機能の整理という御指摘がありましたけれども、このあたりの議論を先に進めるということで、1番目としまして、「推進の委員会」の体制、「統括会議」の体制、各機関が果たすべき役割について、2番目としまして、連携強化の方策(重点課題設定の方向性)、重点課題の位置付けとか、重点課題の設定の方法等につきまして、それから、新しい「推進の委員会」で議論すべき事項等について今回、先生方に御審議いただければと考えております。
 10月から11月に21回の推進委員会を開催しまして、引き続き、「今後の推進方策」を御審議いただきまして、最終的には12月、年内には「今後の推進方策」に関する文書をまとめていただきまして、それを新しい「推進の委員会」、事業全体の方向性の指針とさせていただければ有り難く存じます。
 それで、もう少し具体的なイメージとしまして、事務方のたたき台でございますが、資料8としまして、推進の委員会、統括会議、文科省の役割につきまして、少し整理をさせていただいております。横書きの資料8でございます。
 SciREXセンター、基盤的研究・人材育成拠点、RISTEX、NISTEP、これが基本的な本プログラムの構成要素ですけれども、ここ全体につきまして、左のこの文科省、統括会議、推進の委員会は、これに対する事業の執行の関与という形で横に書かせていただいております。
 上に中央省庁、地方公共団体、政治家、アカデミーと、こちらはここで生み出された手法、政策提言、政策オプションというものが出口としてこういうところで貢献していくというあたりを書いたのが上の方でございます。
 こちらでは、推進の委員会の機能としまして、まず、主な機能としましては、推進の委員会で基本的方向性について御助言いただきまして、統括会議で関係機関間の調整を行う。それで、実務的な事業執行は文部科学省の方でさせていただくという案となっております。
 CRDSの役割につきましては、これまでも俯瞰(ふかん)・構造化という活動をしてきていたところでありますけれども、こちらは事業全体のシンクタンクとして、例えば、推進の委員会での議論、それから、統括会議での議論に、海外情報あるいはそれを踏まえた今後の新たな課題の提案等といった形で積極的に貢献していただくことを考えているところであります。
 仮称でございますが、推進の委員会の構成としては、科学技術イノベーション政策等の有識者、必要に応じて、関係機関や関係有識者も参加を想定しています。また、役割としましては、文部科学省に対し、基本的方向性等について助言を行い、重点課題の設定に当たっては、最初に、重点課題設定に係る基本的な方針について議論・助言することを想定しています。
 統括会議につきましては、構成としては、各プログラムの責任者等(NISTEP、RISTEX、CRDS)、拠点、文部科学省でございます。役割としては、各プログラムの実際の運営に関する調整。重点課題の設定に当たっては、各プログラムの実施者として、課題案を調整し、設定された課題内容について、具体化・調整を行うという機能を持っております。
 文部科学省としては、SciREX事業の執行。それから、重点課題に関しては、推進の委員会からの基本的な方針に係る助言を受け、統括会議等との調整を経てから課題を設定する。設定に当たっては、基本計画等を勘案して、重点課題を包含する重点的に取り組むべき領域を設定しておくという案で考えている次第でございます。
 ただ、具体的な人選とか、各機関の参加者のレベルにつきましては、現在、関係機関の意見を聞いているところであります。
 今、申し上げた説明は抽象度が高くて非常に分かりにくいかと思いますので、その次のページで「重点課題の設定・実施」のスキームを事務局にて整理させていただいております。丁寧に課題設定をして、それに対応した重点課題、重点領域を設定していくというのは、このプログラムの特徴でありますし、大事にしていきたい点であるということで考えまして、それを中心とした案となっております。
 まず、スキームとしましては、推進の委員会で基本的な方針を御議論いただき、お示しいただいた後に、この上の両矢印が鍵なのですけれども、SciREXセンターの場を活用しながら重点的に取り組む領域や重点課題を検討するということを想定しております。これは政策課題としてトップダウン的に決めても研究者、あるいは研究の現状がそれに対してついてこないということであれば、余り意味もないことになります。だからといって、ボトムアップ的な研究課題だけですと、政策への対応が非常に難しくなってくるということですので、政策的な要請と今の研究の現状を丁寧につないで課題設定をしていくことがポイントでございます。その場として、新しくできましたSciREXセンターの場を活用していくことを考えております。
 そのようなプロセスを経て重点課題を設定し、統括会議で重点課題に沿ったプロジェクトを調整しまして、プロジェクトの実施に至るというスキームを考えておるところでございます。
 重点課題等のイメージにつきましては、基本的な方針については、例えば、総合戦略や基本計画、あるいはそれに限らず、推進の委員会の御見識を基に取り組むべき大きな方向性について御議論をお示しいただいた上で、ここで重点領域、重点課題、個別プロジェクトの階層構造を持っておりますけれども、この中でSciREXセンターの場などを活用しながら、整理をしていく形で考えております。
 これも非常にイメージが湧きにくいのですけれども、重点的に取り組む領域としては、例えば、科学技術イノベーション成長戦略とか、科学技術イノベーションと社会と、少し粒度の高い大きなものだとすると、重点課題としては、例えば、科学技術イノベーション政策の経済効果測定とか、ステークホルダーのインボルブメント。更に個別プロジェクトになると、例えば、産学連携のメカニズム解明と制度設計、それから、ステークホルダーの対話手法というふうに、もう少しこの階層構造は整理が必要かもしれませんけれども、イメージとしてはこんなふうに階層構造をもって、きちんと下の受け手と上の政策課題が合うようなものをセットして作っていくことを考えております。これは大変時間のかかるものでありますので、例えば、事業執行の半年ぐらい前から少し議論しながら、じっくり練っていくという事業運営をしていくのが適切ではないかと考えている次第であります。
 私からは以上ですけれども、この拠点間連携プロジェクトのイメージがあった方が、現在、各拠点において議論がしやすいかと思います。有本先生から資料提供がございましたので、補足していただければ有り難いと思います。

【有本教授】
 別つづりの一番下、別紙「SciREX基盤的研究・人材育成拠点 拠点間連携プロジェクト予備調査テーマ案」、日付が8月23日となっている人材育成拠点運営協議会資料に基づいて説明します。
 今、5拠点6大学、GRIPSと一橋と東大と阪大・京大連合と九州大学。この間で人材育成拠点の運営協議会を作り、約2か月、3か月に一度、様々な連携について議論をしております。以前から共通のプロジェクトをやってはどうかということで、半年以上議論してきました。8月23日から犬山でサマーキャンプを行い、5拠点6大学で60、70人の学生と、ファカルティのメンバーと事務局合わせて30、40人が参加しましたが、その場において、拠点のリーダーが集まって議論し、フィージビリティスタディでもいいので、本格的に連携のプロジェクトを行おうということで、ここに4つほど挙げております。ここにありますように、産学連携とイノベーション促進に向けての規制・制度的課題。これは、東大の城山先生が中心で、今、準備をしていただいております。
 それから、2つ目に科学技術と社会に関係する諸課題への対応。これは阪大の小林先生、京大の川上先生を中心に。
 3つ目が、地域イノベーション政策ということで、一橋の青島先生からの提案で、一般的な地域イノベーション政策の設計ではなくて、今まで地域イノベーション政策についての様々な言説とか地域イノベーション政策について研究があるけれども、それを一度集積して俯瞰(ふかん)的にマッピングできないかみんなで連携してやろうということになっています。
 4つ目は、九大の永田先生からで、大学、研究機関の評価です。今、大学の国際的な評価が問題になっていますけれども、そういうものを少し落ち着いてスタディできないかということであります。
 個人的な考え方ですけれども、5拠点の連携でそれなりのリソースはあると思いますが、それ以外にこの全体プロジェクトとしては、科学技術・学術政策研究所もありますし、社会技術研究開発センターの公募型研究もあるわけです。それらとの仕分というよりも、むしろ連携を取りながら全体として成果を上げていく仕組みを将来構築していく必要があると思います。
 以上です。

【黒田主査】
 ありがとうございました。赤池さんの御説明、それから、有本さんの御説明を含めて、今後の進め方についてお話しいただきたいと思うのですけれども、何か現時点で御意見がありますか。

【赤池分析官】
 少し補足で、SciREXセンターにおける現在の連携プロジェクトのスキームについて説明をいたします。SciREXセンターでは、今、3領域の先生方が御研究をされているところですけれども、拠点間連携のスキームとして新たに考えているものがございます。拠点間連携は今までは各拠点に予算を全て配分して、それから自発的に連携していただきたいという形でやっていたのですけれども、なかなかこれはやりにくいとのことで、少しまとまった予算を留保しまして、それを重点的に拠点間連携に配分する形で考えているところです。
 拠点間連携につきましては、少なくとも今までの反省として、このプロジェクトにきちんとコミットしていただける特任教員あるいは特任のポスドクの方などを雇う形にしないと、これはなかなかうまくいかないということで、そういう方を十分雇うだけの経費を1つの単位として持とうということで考えております。ですので、そういう方を中心に拠点間連携、もちろん、これはいずれかの拠点で採用される、あるいはクロスアポイントメントとしてシェアして採用されるケースもあるかもしれませんが、必ずこのプロジェクトを担当する人がいて、こちらのプロジェクトにつきましては、基本的には少し粒度の大きくて実践的でプロジェクトチーム研究という色彩のものも考えているところでございます。
 他方、これはRISTEXとはまだ相談をしているところですけれども、公募型研究開発プログラムの今後の展開におきましては、このセンターの連携プロジェクトとは違った形で、もう少し粒度が小さくて、より新しいことに取り組めるような形でやるのがいいのではないかということで、大まかな形で今、考えているところです。
 RISTEXのプログラムにつきましては、まだこれから制度設計ですので、これから一歩遅れますけれども、そんなイメージで考えているところです。
 今、有本先生から御説明いただいたところは、連携プロジェクトとして何を組んでいくか。そのときに、来年度から始める前に今年度のフィージビリティをどうしたらいいかという、フィージビリティスタディの一環として今やっていただいているというのが現状でございます。

【有本教授】
 補足で、解釈ですけれども、今日のこの委員会の大事な趣旨は、中間報告があって、次のステージに移るということ。それも今までばらばらいろいろやってきたけれども、これを組織的・継続的にきちんと組み替えていくステージになる。それのオペレーショナルな1つとして、今、私が説明したものがある全体のステージが切り替わるときのガバナンスの問題とか、この委員会がプラクティカルな話に加えて、もう少し学問的な話とか、それの背景として歴史がどうだったかということを議論するものに切り替えてもらう。プラクティカルなものは別にステアリングコミッティみたいなものを作るということが、一番大事なところではないかと思います。

【黒田主査】
 今、有本さんがおっしゃったことを私も思っていたのですけれども、4年間たって、反省を含めて少し述べさせていただきたい。SciREX事業そのものがどういう方向でどういうものに資するのかということは、最初、この委員会でいろいろ御議論いただいて、科学としてのディシプリンをどうするかというのは、最初から話題になったと思うのです。仮に2期と言わせていただきますと、2期目のSciREX事業においては、そういうことを推進委員会がきちんと本気で議論をしていくことが必要なのではないか。1期目の段階では、なかなかその議論にいきつかなかったのは、実は動かしてみないと問題の所在が分からないということもあったように思います。例えばSciREXでいうサイエンスとはどのようなことなのかということも、少なくとも私自身は、それほど明確に最初の時点では捉えることができなかったという気がいたしておりました。
 推進委員会の2期目の役割というのは、私自身は各事業がやっている成果を受け止めながら、政策の科学としての科学をどう作っていくか。どういうものがSciREXの科学に関する既定のディシプリンとして充実しなければいけないのかということを、まず、推進委員会のメンバーを含めていろいろな方々の御議論を頂きながら方向をまとめていくことが必要ではないかと思うのです。それがないと、今まで4年間やってきた各セクション、各事業の内容はかなり多岐にわたっているわけですけれども、全体をまとめてSciREXというのは一体どんなものかということを、なかなか外に見えるような形では説明できない。恐らくそういうものがないと、教育のコアプログラムもなかなかはっきりしたものができないし、公募のRISTEXの事業にしても、どういう公募をこれからして事業展開していくかということについての焦点が定まらない。
 それから、データを作ったり、政策のオプションを作ったりするにしても、そこについての根っこにある基盤ないしはフィロソフィーを固めることを前提にして動いていかないといけないのではないかという気がずっとしていたのですけれども、そういう意味では、先生方にいろいろ御協力いただいて、ここまできたことについては厚くお礼申し上げたいと思うのですが、2期目のところで何をやるべきかということをもう少し忌憚(きたん)のない御議論をまず頂いた方がいいかなと思います。

【有信委員】
 今の黒田先生の話を聞いていて、元々ここでいう科学とは何ぞやという部分があって、それに対して九大の永田先生などは熱心だったのだけれども、コアカリキュラムのようなもの、つまり、学問的な意味で全体像を明らかにしようという話があったのですが、黒田先生の話は、それは今既存のある様々な知識の体系を政策のための科学という形で組み直して、ある種の体系をつくる。これが1つのリスクの原形になっているのだけれども、これは実際に新しい部分だからやってみなければわからないというのは、具体的な、例えば、政策オプションのようなものを作るという作業を通して、新しい知識をそこで抽出してという知識の体系ができているという形で新たに作ろうという部分があったわけですね。それが多分新しいディシプリンができるきっかけになる。だから、そういう意味では、要はベースとしての既存の知識を、具体的にはここの中でも使うわけだけれども、それを使いながら、そこで更に必要な新しい知識を、一定の期間で構成していくような作業が、必要なのかもしれないですね。実際中でやっている人たち自身の具体的な成果を見ながら、それとは少し離れた形でお互いに一応インタラクションしながらそういうものを出していくというのが、例えば、この委員会ならこの委員会がそういう役割を果たせればいいのかなと思います。

【黒田主査】
 そうですね。たまたま政策オプションという話が出たので、私から別添の横に机上配付ということで、昨年から今年にかけてやってまいりました政策オプション、ICTの分野の結果が若干まとまって出てきましたので、これを御覧いただきながら感じをつかんでいただきたい。究極は今、有信先生がおっしゃったとおりに、こういう作業、研究を通じながら、科学技術イノベーション政策の科学とはいかなるものかということを徐々に作り上げていく。その中に、公募プログラムの成果であるとか、NISTEPの情報などをどう入れていくかということで体系化していくことが目的だと思っています。
 1枚めくっていただきまして2ページ目ですが、最初、委員会で議論した第1期のときの計画案に出ていますけれども、最近の科学の状況を考えた上で、自然科学と人文社会科学との連携に基づいて、エビデンスベースドの「科学的な政策の設計と立案」をするということ。
 それから、“Science for Science Policy”と“Policy for Science”という両方が信頼を置きながら共進化できるような構造を作り上げること。
 もう1つは、そういったものは、国民への理解を求めるということでは、説明責任と国民への理解をきちんと果たせるような構造を作っていくことが、1つのSciREXの姿であることを御議論いただいたと思うのです。
 下の3ページ目に、ポンチ絵で描いてありますけれども、まさにこのポンチ絵で描いてあるようなPDCAのサイクルを回して政策を立案していこうというのは、科学技術イノベーション政策の科学だと思うのです。ポンチ絵の左下のところがスタートだとしますと、まず、我々は現在の科学のステージがどういう状態にあるかとか、現在の社会経済のステージがどういう問題があるかということをきちんとエビデンスベースドで把握することが大切で、その上で現在の科学が将来どういう方向に進むかということについては、自然科学者の各分野のいろいろな情報を得て、科学技術についてのシナリオを描いてみるとか、片方、社会、経済についても、人文社会科学者の知見を借りながら、社会の振興についてのシナリオを描いてみるということをやりながら、将来どんな世界を作っていくか、日本を作っていくかということについての将来ビジョンがあって、そのビジョンを達成するためにいろいろな科学技術政策のインストルメントを使わなければいけない。そこで課題の設定ができて、課題を達成するためのいろいろな政策手段があり得るわけですから、そのオルタナティブな政策手段を政策オプションという形で作成をしていって、それを作成した幾つかのオプションを素材にして、説明責任を果たし、かつ理解を得る。そして、ある場合には合意形成をするという形で、政策の立案・設計ができれば、1つの科学が成り立ち得るのかと。そういうことのPDCAサイクルを回しながら、科学技術というものを作っていくことが、全体を意識した形だろうと思うのです。
 そのときに次のページを御覧いただくと、“Science for Science Policy”という、いわばSciREXの部分と、知見と、それを実際に政策に運用していく“Policy for Science”という部分は、ある種の共進化の構造を持たなければいけないということを、両方の議論の素材を重ねながらやっていくというのが、実施したときの目標になるのだろうと思うのです。
 その中で、今回、ICTの中でもIoTに注目をして、政策オプションというものを作ってみたのです。その中で非常に雑ぱくですけれども、5ページに書いてあるものが、私自身がいろいろ考えてみたところ、現在の科学のステージというのは、過去の歴史観を踏まえて、どういうところにあるかということをまずきちんと議論しなければいけない。これはもちろん、いろいろな考え方があるわけですから、この議論をきちんとやっていく。やはり情報科学を中心にした計測の精度、観測の精度、実験の精度が非常に急激に進んできたことが、あらゆる科学に影響を与えて、20世紀を通じてそれが大きく進歩するわけですけれども、それが21世紀には更なる進歩を遂げるに違いない。そういうことを踏まえて、ある1つの科学分野だけではなくて、ほかの科学分野との連携も科学の判断としては必要になってくるし、政策の判断としてもそれが要求されるというのが、現在の第5期でも言葉を使っていますけれども、「大変革時代」ということの1つの表れではないか。
 特に情報革命と言われるものについては、情報というものは過去からもずっと人類の歴史で常に使われてきているわけですけれども、20世紀に入ってからの情報革命というのは、まさに15、16世紀に大航海時代という形で世界がグローバル化に進んだのと同じように、情報を通じてもっとスピードがあり、もっと情報の規模の大きい、かつ情報を分析してやる、いろいろな構造が考えられるという世界を、科学においても社会の理想においても招くことになっている。そのこと自身が非常に大きな問題を将来起こすかもしれない。情報のセキュリティの問題であるとか、もっと言えば、情報社会がこういった形で進むことが、ある種の個人の価値観が非常にはっきりしてきて、個人主義がもっと進むようなことがあるとすると、個人主義をベースにしたデモクラシーをどうやって作っていくかということに科学がどう関与できるかということも大きな問題ではないだろうかと思っています。そういうことを考えますと、今まで考えられてきた自然科学、人文社会科学との統合を含めた新しい科学のステージに科学自身が入っている。広い意味での科学ですけれども、科学自身が入っているわけで、そこに情報の技術なりAIなりということが入ってきたときに、社会をまた変えていくこともあり得るということで、そこをどういうふうに考えるかということも認識をはっきり持たなければいけない。
 4つ目は、社会科学、特に経済を中心に見ますと、そういう情報科学が進み、あらゆる科学がそれを基盤にした知的な蓄積をするわけですから、その知的な蓄積のダメージというものをどういう形で社会全体の公益に結び付けていくのかということが非常に重要な使命になってきて、情報科学だけに限っていきましても、あとからシミュレーションで若干やっていますけれども、例えば、情報の技術を社会にインストールするために、単体の技術だけではなくて、プラットフォームを作ることが非常に重要だと言われているわけです。実際にプラットフォームを作ることは一体どういう効用を持つのかということについては、もう少し科学として考えてみなければいけない要素を持っている。
 最後は、5番目ですけれども、そういう状態の中が、一言で言えばまさにトランス・サイエンス時代と言われていることで、科学技術だけでは解決できない、いろいろな人類的課題をもたらしている。ELSIとかSSHという形で、自然科学と人文・社会科学との連携は非常に重要だと言われているわけです。欧米の社会がそれを課題にしているのと、日本の社会でそれを課題にするのは少しずれているような気がしてしようがないのですけれども、そういうことも上のような科学の歴史的な感覚も含めて、もう少しきちんと整理しておかないといけない課題ではないかと思っている次第です。
 少し具体的に、では政策オプションは一体どうやって作るのだということを簡単に御説明したいのですが、6ページにあるのは、政策オプションをこういうふうに考えている。先ほどお話ししたとおりでございます。その中から、いろいろな科学についての政策オプションがあり得るわけですけれども、とりあえずICTという、先ほど申しましたようにいろいろな大変革をもたらす可能性のある情報処理の推進の科学ということを中心にした科学技術がどういう形で社会経済に影響を与えるかということに関して、政策オプションを作ってみよう。ICTといっても極めて広いものですから、その中でのIoTをベースにして、政策オプションを経済社会評価として作ってみたわけでございます。
 8ページを御覧いただきますと、IoTないしはICTという形に限って、今、問題にしたわけですけれども、その中で一番喫緊の課題として言われているのは、1つは「機械と人間」という言い方で表現されていますけれども、これ以上、情報科学が進む、そして機械というものがAIの先端にまでいくと、人間の能力のうち、ある部分はかなり機械に代替されるのではないか。それが単純労働であるとか、そういった部分の失業を将来生む可能性がある。常に経済学のところでは、「テクノロジカル・アンエンプロイメント」という言葉が言われていますけれども、そういう失業が生まれることの例があったわけです。それがどうやったら回避できるかということ。
 2つ目は、日本のIoT、ICTに関するいろいろな調査では出ていることですけれども、ここのICT技術、IoTの技術については、かなり先端の技術を日本は持っていますが、実はそれらを統合したプラットフォームのビジネス、プラットフォームをどうやって作るかということに関しては、非常に後れを取っているような気がする。そういうプラットフォームの可能性、プラットフォームを作るということは、一体どういうことを意味するのか。大きく分けて2つあると思うのですが、1つは、例えば、ナノテクのプラットフォームを作った形で、ある施設、ある利用のプログラム、データベースみたいなものを標準化、共有化していく形で横断的なプラットフォームの場を具体的に政策が作るということもあります。
 それから、もう1つは、社会システムとしてあるプラットフォームが進む。
 例えば、ここでシミュレーションしていますのは、情報処理に関する各産業なり、各企業がそれぞれ持っているわけですけれども、その情報処理機能が、現在、内部化して企業でやっている部分が、アウトソースした方がより効率的だと、したがって市場の中で情報処理というあるマーケットができ、そこに新しい価値の創造ができるという形で、産業横断的なプラットフォームが形成される。そういうことをエンカレッジするような税制であるとか、補助金の政策であるとか、減価償却のやり方であるとか、いろいろな政策があり得るわけですけれども、そういうプラットフォーム化を進めることの効用が社会システムとしてあるのではないか。
 前者は既にナノテク等で実行済みですし、いろいろな知見が積み重なっていると思いますので、プラットフォームを経済のマーケットのメカニズムとして作ったときに、その上で問題視したような失業の問題であるとか、要素技術の有効な使い方であるとか、効率性だとかということに解決がつくだろうかということをオプションとしていろいろな形で出してみたというのが、今回の作業でございます。
 9ページは、ICT、IoTの技術がどういう要素技術を持っているのかというのが、これはCRDSの岩野先生たちのユニットと一緒にずっと作業をやらせていただきまして、9ページの下の欄に少し細かくて恐縮ですけれども、いろいろな技術、要素技術のシーズがあって、それぞれについてそれがブラッシュアップされる。ところが、まさにこれから考えなければいけない政策オプションを作っていくときに一番大きな問題だと思うのですけれども、こういった要素技術の発達が経済の機能としてどういうふうに結びつくかということが、なかなか明確な形では得られない。
 今回は、これらの機能、要素技術がある分、生産のプロセスであるとか、プロダクトであるとかという形でイノベーションを起こして生産性を上げるという部分について、どれぐらいというのをヒアリングでいろいろな形で確かめました。
 その結果、例えば、生産のプロセスでいきますと、保守をするプロセスであるとか、在庫管理をするとか、物流であるとか、設計をするとか、情報処理をするとか、いろいろな形の機能があるわけですが、その機能が要素技術をとらえることによって、それぞれより効率的になる。その効率性が生産性の上昇に結びついて、プロセスのイノベーションやプロダクトイノベーションを起こして、全体のマーケットに波及するという形のものを今回、シナリオで描いてみました。
 その次を御覧いただきますと、3つの段階を描いていまして、10ページにありますが、3段階のシナリオでオプションを描きました。最初はステップ1ですが、ステップ1は必要とされる個別、例えば、工場にセンサーが入って、リアルタイムでデータを取って分析することができるということがステップ1でございます。したがって、ステップ1は、個別の事業所であるとか、個別のプロセスの中で、そういうものが行われるという状態。
 それから、ステップ2は、それが今度は少しデータが共有されて、例えば、企業内で各事業所、工場、事業所のそういうデータが共有されることによって、定量的なデータベースができるとか、熟練工の匠(たくみ)の技術と言われている技能がコンピュータライズされるとか、その知見を蓄積できる形で修正シナリオができるとか、それをある種の成長戦略に企業が結び付けることができるといった捉え方をするのをオプション2と書いています。
 オプション3は、それが産業間で横断的に情報処理技術が更に進むとか、分析の技術がより進むとか、クラウドの技術がより進むという形で、情報処理産業そのものが育成されていくというものでございまして、順番にオプション1、2、3でそれぞれ段階的にシナリオを描いた結果、それが経済構造にどういう影響を及ぼすかということのシミュレーターを作ってみたというのが、今回の作業でした。13ページにポンチ絵が描いてありますけれども、ある技術シナリオを与えて、その技術シナリオが経済にインパクトを与えると、どの機能についてどれぐらいの生産効率が上がるかということについては、シナリオでヒアリング情報を基にして、幾つかのオルタナティブを与えることにしました。人口は森田先生の人口問題研究所で作られている、将来人口の性別・年齢別将来人口分布を与える。そのことによって、労働市場の労働供給がどういうふうに変わっていくかということは、外生的に与えた上で、それが各産業の市場で需要と供給の財市場、サービス市場のバランスが取れるようなメカニズムを取ることによって、全体の生産構造、GDPにどういう影響を与えるかということ。それから、財政のバランスにどういう影響を与えるかということを計量的に測定してみたということでございます。
 14ページ、15ページは、細かいいろいろな前提がありますので、御覧いただけたらと思います。
 その次の16ページに、先ほど申し上げました機能にどう対応するかということで、IoTが進むことによって、製造業のプロセスについてのプロセスイノベーションが起こる。マーケティングから保守までいろいろな機能について、いろいろなステップで生産性が少しずつ上がっていくというので、ここは仮説ですけれども、その下の17ページにありますような仮説を置いて、政府のR&Dの投資として、オプション1では、年20億円をシミュレーション上ですけれども、2015年から2019年まで5年間続ける。オプション2では、倍にして40億円を5年間続ける。オプション3では3倍にしてトータル60億円を全体として進めるということを、R&Dとしてやる。
 R&Dを政府のR&Dという形で限りましたけれども、政府のR&Dは後からまた少し加えますけれども、公共財としてある種の全体のプラットフォームの関連ビジネスに影響を与えるという形で経済に影響を与えることを想定しています。その投資がどの時点で生産性に影響を与えるかというシナリオが次の18ページのところにありまして、それぞれ第1段階から第3段階まで、少しずつラグがありますけれども、実現する時点間が違っているわけです。その時点間が違ったことによっての効果ももちろんあります。
 そのシミュレーションをやった結果が19ページにありますけれども、GDPがどれぐらいこの政策効果によってシフトしていくかということで、GDPにだけ、マクロの結果だけ御覧いただきますと、その真ん中辺にありますが、オプション1、オプション2、オプション3、それぞれで一番効果のあったところでそれぞれ年度も違いますが、これぐらいずつのGDPの上昇効果をもたらせています。その上昇効果というのは、2015年から2030年までの実質GDP平均成長率に換算いたしますと、何もこういう政策を打たなかったケースが年率1.74%という計算になっておりますが、それに対して実質のGDPで1.74%。それに対してオプション1だけだと、それが1.75ですから、平均的ですが、成長率が0.01だけ伸びる。それから、オプション2ですと、1.79%。オプション3ですと、2.26%。ですから、何もしなかったケースについて、オプション3のプラットフォームまできちんと形成されるということになると、かなりの成長率のアップが遂げられるという結果になっているわけです。
 ここはあくまでも、成長率とシナリオの関係は、最初のシナリオに依存しますので、シナリオで与えたときの感応度分析ができるということで、シナリオはいろいろ与えれば経済への影響はそれぞれ変わってくるという形でございますけれども、マクロの結果だけを見ることをやっていてもしようがないので、このモデルでは産業が全部で93部門ありまして、それぞれの部門が製造業については主生産をやるアクティビティと、企業内の情報処理活動をやるアクティビティ、もう1つは企業内の研究開発活動をやるアクティビティというふうに3つのアクティビティに分けています。それ以外に産業として、情報処理やインターネット、ソフトを開発するような情報産業も片方にあります。
 シナリオとしては、こういう生産性の変化を与えることによって、オプション1、2、3でロジックとしてどういう形に経済が動いていくかということをロジックチャートで示したものがあります。
 例えば、オプション1、2、3という3つを、資料の20ページをロジックに従って見ていただきますと、それぞれのオプションとしてのインパクトを与えることによって、製造業の短期的な雇用がどうなるかとか、長期的な資本の投資がどうなるか、それから、製造業の価格低下がどうなるかということですが、オプションと、今、ここは3だけ示しますけれども、オプション1、2、3という数字は、例えば、雇用の変化を見ていただきますと、このIoTが進むことによって、雇用、特にものづくりの情報に対する情報機械等に関する中心である民生用電子・電気機械のところでは、このオプション1、2、3が進むことによって、雇用は少しずつ減っていきます。これがまさに危惧されていた、IoTを入れることによって失業が増えるのではないかと言われていた部分ですけれども、この部分については、ある意味では雇用が減るということになります。
 しかし、それがどういう形になるかというと、その他のサービス業を御覧いただきますと、労働雇用が製造業からサービス業に大きく移動することによって、失業が吸収されるというメカニズムを持っていまして、短期的には労働時間が少しずつ短くなって、ワークシェアリングをマン・アワー・レイバーではするということが出てきますし、オプション1、2、3に進むことによって、結果的に実質賃金が上がっていく。表の見方は、例えば、実質賃金の変化のところで、0.58、0.25、0.48と書いてありますけれども、0.58というのはオプション1、0.25というのはオプション2、0.48というのはオプション3ですが、最初単体でオプション1はIoTを入れる。それが少し企業内にまで波及する。更に産業間まで波及するということで、産業間まで波及することによって、だんだん実質賃金なり、それぞれの生産のレベルも上がっていくというのが結果として出てくるわけでございます。当然、企業内の情報処理という部分の企業内の情報処理はアウトソースしますので、低下していきまして、それに対して、例えば、20ページのところは一番右側の列ですけれども、アウトソースすることによって、情報処理産業の方、ソフトウェアを見ますと、ソフトウェアのところはどんどん拡大していく。そこに雇用が吸収される。結果的に効率化することによって、実は民生用の機械であるものづくりそのものの生産も拡大するというシナリオが描けるというのが、このオプション3までの結果でございます。
 細かくなって恐縮ですが、23ページを御覧いただきますと、それぞれの政策効果が各産業の生産にどういう影響を与えるかとか、雇用にどういう影響を与えるとか、科学にどういう影響を与えるかということが出ています。
 例えば、23ページの最初の行は、生産額、産業別に主生産額で見ているわけですから、主生産額のところは生産額が少しずつ上がります。それに対して、赤い棒グラフで出ている部分は、企業内の情報処理活動というのは、下がってきます。その分、何が増えるかと申しますと、これらがアウトソースされて、横断的なソフトウェアであるとか、情報処理提供サービスであるとか、インターネットだとかというものが拡大していく。その結果として、それらの産業が雇用を吸収することになるという結果が出ています。
 もう1つは、企業内の研究開発活動が活発になりまして、雇用としては、ものづくり産業の雇用が情報処理活動に移る部分と、企業内の研究活動、研究開発活動に対する雇用が大きくなっていくという結果が出ております。
 したがって、IoTが進むことによって失業が顕在化するというよりも、そういう意味での産業構造、雇用構造の変化が誘導できれば、プラットフォームの効果が非常によく出て、結果的にIoTで当初心配した失業の問題などは回避できるだろうというのが1つの結論になっているわけです。そういう意味で、プラットフォームビジネスというのは非常に重要で、そういうものをどう喚起するかによって産業構造形態を変えていく、雇用構造形態を変えていくことがこのシミュレーションで一番重要な課題であろうということでございます。
 片方で、雇用が大きく、ただ単純な労働から、研究開発活動等、それから、情報処理活動にも進むわけですから、そういうところの人材教育がこういう形のプラットフォームを作るということと非常に重要な平衡性を持っている。そういうことがないと、マーケットの中でディストーションを起こして、結果的にIoTの影響が軽減されることになるだろうと思います。
 これは、1つの政策オプション作りの道具を作ったということですから、これをベースに拡大しながら、どんな技術が入ることによって政策の動きがどうなるかということを確かめてみるということですけれども、最初に申しましたように、まだまだ科学技術、自然科学と経済学との結びつきのところは不確かなところがございまして、そういうものについての情報収集はこれからどうしても必要だろうと。経済学も少し観察ができるようになってきた、ビッグデータが使えるようになりましたから、ビッグデータの結果のエビデンスをこういう体系の中にインストールするような受皿を、こういう政策のシミュレーターでできるというのは、非常に重要なことだろうと考えているわけでございます。
 そのような話で今までやってきたのですけれども、有信先生がおっしゃるように、こういうことが政策の科学としての1つの議論の材料となって、政策科学のディシプリン作りに役立っていくのかなと。

【有信委員】
 これで少なくとも一応一巡したわけですよね。
 これは例えば、今やっている戦略的基礎研究で、ステップ1、2、3とあるものをこちらに持って来てやってみるとか、結果、どこか絞らないと支障があるけれども、それをやると今度は自然科学の側(がわ)が入ってくるので、これを彼らに検討してもらうか、あるいは彼らのテーマをここに持ってきて回すか。

【黒田主査】
 そういうことをやっていきながら、モデルそのもののブラッシュアップをやっていく。

【有信委員】
 それから、もう1つ思ったのは、今朝、学術審議会で政策研がやっているシナリオの話があったのです。ICTでこれはいわば生産のプロセスイノベーションの話をやっているわけですけれども、プロダクトイノベーションという意味で、いわばICTベースでやるときに、結局、はっきり言って、例えば、こういう話があるわけです。ビル・ゲイツは、メモリーは64キロビットあればそれで十分だと。これ以上のメモリーは、人間は必要としないと言っていたわけです。IBMのワトソンは、大型計算機など、市場はせいぜい世界で3台ぐらいだと言っていたわけで、つまり、今の状況からものすごく飛躍する可能性があるのと、それから、どういう方向に飛躍するかについて、シナリオは実は結構いろいろ出ているのですよね。ばかばかしい話をしてはいけないのだけれども、例えば、日本の想像力だと余りそういうのは出ていないのですが、アメリカで出ている様々な小説などを読むと、インターネットベースでいろいろな犯罪を取り扱った小説が出ていて、そこにソフトウェアがやればできる可能性が現在は実現していないけれども、ここまでできるかもしれない。ここまでできるぐらいの体裁があることによって、そういうことが行われているというものがあって、そういうところをベースにしながら、新しい構想を作っていくということは、夢物語で申し訳ないのですが、そういうパスがさっき言った政策研でやっているシナリオの話などと結びつけて、1つの取組方としてできると、これは非常に堅実というか、サイエントリックにきちんとやっているのだけれども、もう少し飛んだ部分なども入れるようなことがあるといいかもしれない。

【黒田主査】
 そうですね。NISTEPのフォーサイトを分野別につなげることは、チャレンジしてみるべきだと思います。
 相澤先生、何か御意見ありますか。

【相澤委員】
 もう一度この最初の、今日議論すべきところに戻っていきますね。例えば、今、黒田先生がこういうふうに示されたことをどこがどうやってやるのかということと合わせないと……。

【黒田主査】
 そうですね。これ自身は、今、GRIPSにあるSciREXセンターの1領域としてやっている。

【赤池分析官】
 そうですね。では、少しその辺りを、私も資料を用意したので。

【相澤委員】
 私がここで議論していくときに、さっき2枚の紙で説明があったところで、この話とSciREXのセンターとしてやるべきことと、いろいろなことが整理されていないのではないかという感じがするのです。特に中間評価のところで、ここでも議論いたしましたけれども、赤字で書いてあるSciREXセンターの中核的拠点機能が何を意味するのかということと、そのときに、ここで議論したとき、もう1つは、それではRISTEXの機能はどういうことなのか。あのときに議論の対象として、SciREXセンターの機能にいろいろな政策、課題が出てきますよね。RISTEXも課題が出ますね。そのときに、有本さんにすぐ書き直してもらえたけれども、SciREXセンターのやるべき機能というのは、個々いろいろ出てくる課題というようなレベルのものを、もう少し次元の高いところで俯瞰(ふかん)して、まとめ上げていく。
 ここで出てきた2枚目の紙に記載された課題、領域、プロジェクトと、それぞれの拠点やSciREXセンターの切り分けですね。結局、そうして全体として、この推進会議の役割なのか、そこのところがやるべき機能、そこに合わせた機能、その相関性が見えないことが問題だと私は思います。

【赤池分析官】
 前回、SciREXセンターと、各領域とそれぞれのアクティビティが連関している図を用意させていただきました。今回は議論が重なるものですから用意していなかったのですけれども、先ほどの資料8と、この私どもが用意しましたSciREXセンター、この青い資料、参考資料5と合わせて見ていただきますと、私どもが考えていますのは、SciREXセンターを中心に、SciREXセンターのところにいろいろな知見が集まりまして、これがそれぞれの政策のステークホルダーと関係を持ちながら、政策に最後は生かされていくということの場として、SciREXセンターというものが活(い)かされていく。これが常設的な議論の場でこういう議論が行われて、政策リエゾンが入ってプロジェクトを回しながら、政策の提案なりが出てきてというサイクルで考えているところでして、もちろん、その1つの機能が、3領域の先生方の活動がまずありましたし、この拠点間、機関間の連携としてのプロジェクト。それが、先ほど有本先生が例示されていたようなプロジェクトもある。
 それから、また、それは更に新しい知見とか、新しいネットワークを発掘して、長期的につなげていくものとして、RISTEXの新しいプロジェクトがこれから動いていく。そういう形で考えていって、それらの知見がSciREXセンターに集まって政策につながっていく。もちろん、SciREXセンターだけではないのですけれども、そういう基本的なパスが出来上がるといいなというのが、次のステップとして考えています。

【黒田主査】
 それは相澤先生もそうだと思っていらっしゃると思うのです。だけれども、問題は、今まで3年、4年やってきて、現実として推進委員会で議論する議論の中身が、例えば、RISTEXでは、どういうプログラムで何をやっているのかとか、SciREXでは、どういうデータでどうやって作ってどうやっているかということは、我々は知らないままで、いろいろな議論をしているわけです。これでは、何がどう連携してしまうかわからないですよね。それが一番まずいのだと思います。ここで議論するのだったら、それぞれの委員会で現在のことを報告していただいて、我々の考えている体系の中にどうはまるかということをやっていかなければいけないですね。

【赤池分析官】
 そうですね。わかりました。

【有信委員】
 報告のフォーマットを作らないと、やっていることをそのまま説明してもらってもかなり難しいと思うのです。それと、基本的にはこういうプロジェクトを、ある意味では勘と経験ではなくて、科学的にやっている。その科学的にやっている部分が、ここのものになるわけで、従来どおりの勘と経験と言ったら怒られるけれども、そういうその人の持っている知識と想像力にディペンドする形で知識、想像力、スキルだけ、個人的な能力にディペンドした形だけでやっている部分で出た成果では困るわけです。

【赤池分析官】
 今までも、例えば、それぞれRISTEX、NISTEPとSciREXセンターと事業の報告をしてきましたけれども、ああいうスタイルでは余り……。

【黒田主査】
 わからないですよね。それは、私はどこかが悪いというのではなくて、推進委員会の責任だと思います。推進委員会で何をどうつなげるかということをもう少し議論して、体系をこちらが出さないと、なかなか出ないのではないですかね。

【有本教授】
 さっきから出ているように、実績には3年やってきたわけです。それで、こういうケースがいっぱい出始めたわけです。それから、各大学でも共通的な科目を作れと言うのだけれども、それぞれの大学が苦労しながら、今年で3回目の学生を受け入れて、シラバスを作ってずっと積み上げて修正しながら、それを今、集めているわけです。そうすると、おのずからコアはどこなのだと。政治学的なプロセスの話、こういう経済学の話。ここまで細かくはないのだけれども。それから、科学技術社会論みたいなものがおのずから出てくるわけです。そういう段階になった。だから、それを大きく地図を描いて、ここがこう動いているというものが描けるようになってきたのではないか。

【黒田主査】
 そうですね。私もそう思っています。

【相澤委員】
 もう一歩進めると、今のマッピングに相当するようなものが、こことの関係で考えると、一番上の層に領域というものがある。資料8の2ページ目です。これが、それぞれに皆やるべき実施者等というところに、それぞれの機関が全部入ってしまっているから、この領域とか重点課題とかプロジェクトというのは、個々のセンター、RISTEX、NISTEPなり、そういうところがそれぞれこういうことを階層的に形成して寄り集まるという構図なのか、推進委員会は領域と言っているのは、SciREXセンターの領域を想定して、SciREXセンターを中心のセンター、中核的機能というのはむしろそういうところにきちんと置いて、それの下に重点課題というのは関連機関が実施をしていくという構図を取るのか。それぞれのセンターはばらばらにあって、さっき有本さんが言われたように、いろいろなものの成果が、ケーススタディ的なものからモデルだとか、そういうものが出てくる。そういうものをただ並べて俯瞰(ふかん)することを取るのか。推進委員会でやる場合としては、随分違うと思うのです。

【有本教授】
 今、先生がおっしゃったことは時間軸だと思うのです。データがあって、データセットがあって、それを分析していく。フレーミングを作った上で、きちんとアナリシスをして、次にデザインをした上でポリシーのアクションを取っていくという時間軸の中で、それぞれどこのポジションにいるのか。SciREXセンターというのは、かなりポリシーに近い方で動いている。その時間軸の問題と学問の空間的な分布です。そういうものがあると分かり易(やす)いのではないかと思います。

【赤池分析官】
 先生のお答えに関しては、一応理念としては、SciREXセンターの3領域というのは、別に先生の研究領域を指しているわけではなくて、政策のデザインをして分析評価をして、この絵にも描いてありますけれども、そこは1つの政策のための科学を構成する3つの大きな要素だと。そこに大きく皆ひも付けられて、それがプロセスとして回るというイメージで考えています。だから、ばらばらなものがざっとあって、そこにという意味ではなくて、そこには3つの領域と各領域PMの活動領域という意味ではなくて、広くネットワークのコアとなっていくというイメージでは考えていますけれども、ただ、具体的なやり方だと思います。

【相澤委員】
 ここで言っている領域と、SciREXセンターに設定されている領域とは違うのだということですよね。

【赤池分析官】
 それとは違います。

【相澤委員】
 そうすると、これは誤解を招くから、ここの推進委員会が領域設定をするという、その領域とは何かということをもう一度明確にしておかないと、その領域に従って、いろいろなところがそれぞれの機能を生かしてやっていくというイメージですよね。

【赤池分析官】
 そういうイメージです。

【相澤委員】
 だとすれば、少しこれがミスリーディングになるのではないかと思います。

【赤池分析官】
 わかりました。そういう意味では、ここに入るテーマとして、例えば、科学と社会とか、ステークホルダー、経済分析、そういうイメージだと思うのです。

【黒田主査】
 この区分だと、その領域と重点課題とプロジェクトというのは、リニアに結び付いているという感じですよね。それでは、今までのSciREXセンターの領域というのと全然違いますよね。

【赤池分析官】
 それは違います。同じ言葉で使っているので整理した方がいいかと思います。

【桑原教授】
 1点質問ですけれども、時間軸で考えたときに、現在、あるいは向こう1、2年間は、SciREXセンターが掲げる領域と、ここで新しい委員会が議論して、全体として進めていく領域はイコールではない、別だとわかるのですけれども。ただもう少し長い目で見て、5年後、どういう姿を考えるのか。5年後もSciREXセンターは何か1パーツとしての領域をやっていて、プロジェクト全体としての3領域はまたそれとは別にありますということでいくのでしょうか。そうであるとすると、中核拠点とは一体何なのだろうという気がするのです。だから、スタート時点では今までの流れもあるし、蓄積も違うから、イコールにはならない。ただ、次の第2期が終わるぐらいまでの間には、SciREXセンターの事業とプロジェクト全体としての重要領域はインテグレートされて、同じものになるという考え方もあり得ると思います。そのシナリオがないと中核拠点のイメージが変わってくると思うのです。最終的に全体像を見るような中核拠点にするのか、それとも飽くまで最後まで1パーツにすぎないものとするか。ただそうすると、中核拠点がなぜいるのだろうという感じがします。
 そういうことを申し上げるのは、先生方からディシプリンをどうするかという御議論が出ているのですけれども、この政策のための科学というのは、政策実装を目指した新しいアプリケーションをする分野ですから、1つの重要な機能あるいは観点として、政策のための科学がある時点で何かを生み出して、それが何らかの形で政策サイドに投げられる、投影される。それはレポートで出ることもあるでしょうし、ディスカッションで出る、いろいろな形態があり得るのですよね。その形態によって実際に行政サイドで起こる結果も多分違ってくる。ですから、研究として何かの知識をまとめるというプロセスで終わるわけではなくて、それをどういうプロセスで行政サイドに、あるいは産業なども含めて、行政に限らないかもしれませんけれども、投げるのか。そのフィードバックループをどういうふうに設計するのかという部分が、そろそろ議論すべき点に入ってきたと思うのです。今までコンテンツの方をまず作らないと前に進まないという段階でした。それを考えると、今までのプロセスというのは、例えば、NISTEPはNISTEPでやります、RISTEXはRISTEXでやります、大学拠点は大学拠点でやります、SciREXセンターはSciREXセンターでやります、でも良かったとは思いますけれども。それでいくとNISTEPは今までの何十年間の歴史があるから、多分、そのスタイルでいくし、RISTEXもその歴史的背景があるから、そのスタイルでいくし、SciREXセンターは生まれたばかりですから、割とフレキシブルかもしれませんが、それぞれ違う形のものがずっと進んでいく。この点は判断なので、いろいろなパターンがあった方がいいという考え方もあるとは思います。ただ、成果をどういう投げ方をして、それに対して行政はどう反応して、それがうまくいったのか、もう少し工夫の余地があるのかというのは、ある種の観察機能、第三者的観察機能がないとできないですよね。そういうものも実装し得るのは、SciREXセンターしか無理なのかなという感じがするのです。であれば、スタート時点はともかく、第2期の終了時点のある種の仮想目標として、そういう機能、ウォッチの機能も含めたインテグレーションは、基本的にはSciREXセンターでやる。ただ、RISTEXやNISTEPが従来の路線で直接やることを全く妨げはしない。何かこのような基軸があると、SciREXセンターがこのプログラム全体の中核センターであるという意味論が少しはっきり出てくるような気がするのですが、いかがでしょうか。

【赤池分析官】
 私も桑原先生の御指摘のとおりだと思いますけれども、まさに今までのそれぞれの組織的感性と新しく生まれたSciREXセンター、新しく生まれたSciREXセンターも3人のPMの先生方にそれぞれ分担して担当していただいているものもあるので、そこをつないでどういう設計に、そこの関係性を設計していくのかというのは、まさにこのマネジメントの実務的な悩みではあります。そういう意味では、先ほどから申し上げているとおり、3人の先生というのは自分の研究をやるということではなくて、それぞれの関係機関も含めて、コミュニティのコアであるという考え方で、SciREXセンターが育てていくのが基本の思想であると思います。

【有本教授】
 私は、SciREXセンターの担当もしているものですから、率直に言うと、大学はばらばらの個人商店みたいなところで、ここにこういうものを置くということが、もともと無理筋なところがあるのです。
 しかし、現実的にそういうふうに置かれたわけだから、桑原さんが今おっしゃったように、そういうウォッチというか、システムと同時に人です。そこを次のステージで、SciREXセンターの人というのは、今まではコンテンツを作る方に集中していたのだけれども、そういう形でつなぐ人、あるいは全体を、プラットフォームをウェルオーガナイズするような人をかなり充実しないといけない。それから、上手にポリシーの方につないでいく。大事なのは、桑原さんが言われたように、ここだけがポリシーに対して最後の出口ではない。それぞれが得手、不得手があってアナリストが中心であるものもあるし、ポリシーオプション作成中心もある。次の3年間できちんとそういうものを作っていく。多様性は維持しつつ、シンセサイズというか、あるいは編集機能かわかりませんけれども、そういう難しいこともやる。

【黒田主査】
 お二人のおっしゃることは大体わかるのですけれども、ここで最初に示された重点課題というとらえ方が、イメージが狭くなってしまうのではないかと思うのです。重点課題というと、この推進委員会で今年は何々課題を中心的にやろうという形で、課題を決めるみたいなことになってしまう。それは多分、SciREXセンターも動きが取れないし、RISTEXを含めてほかの研究センターのいろいろなところも動きが取れないので、それぞれ、例えば、RISTEXが持っているノウハウ、NISTEPが持っているノウハウは違いますよね。片方は社会技術を念頭に置いてやっているわけです。片方はデータベースとか基盤研究があるわけですから、そういうものの予算を生かしながら、どうやってSciREXというフィロソフィーの中にそれをコンパウンドしていくか。コンパウンドするときの受け手が、中核拠点のプロジェクトで受ける部分があれば、それは1つあってもいいし、たまたま今年はこういう形の連携が取れたということでもいいわけですし、拠点大学との連携であってもいいだろうしということはあるのです。だから、私のイメージは、推進委員会というのは、そういうことのアクションのメカニズムを議論するのは必要ですけれども、それ以外にどんな科学を作るのだということを議論していただきたいという気がするのです。

【相澤委員】
 ですから、そういう意味では、重点課題も問題なのだけれども、領域というのが何を意味しているか。これがころころ変わるようなものをイメージすると、サイエンスとして確定できない。

【黒田主査】
 そうですね。そこのところをきちんと押さえるものを作りたいわけですよね。

【相澤委員】
 そうですね。だからそれを大きな学問領域としての領域という意味合いとして、そこに余りポリティカルなものを置くのではなく、そこは学問領域……。

【黒田主査】
 ポリティカルな意味を置くのではないというよりも、ポリティカルだけを意識して、それに役立つようなということだけではなくて、役立たなければ困るわけですけれども、広い意味でのベースを作りたいということですよね。

【赤池分析官】
 少しそこも悩んでいるところで、この推進の委員会では、ここにもありました基本的な方針を御審議いただいて、領域、重点課題以下は統括会議や関係機関で議論しようという形で一応分けておいて、そういう意味では黒田先生がおっしゃっていたのは、どちらかといえばここは学問であるべき政策の科学としての姿をここで御審議いただくという形にしておいて、それで今年何をやるかみたいなことは、むしろ統括会議や実務的なところで決めた方がいいのではないかと思います。

【黒田主査】
 統括会議でも今年何をやるかという課題を設定するのは非常に難しいのではないかと思います。

【赤池分析官】
 3年ぐらいで今、イメージで考えているのです。概念で分けられるのですけれども、イメージというかコンセプトの外縁がはっきりしないので、申し訳ないと思います。

【黒田主査】
 私としては、推進委員会を次のセットでやるときには、先生方にむしろ科学観みたいなものをそれぞれ1回報告していただく。プレゼンテーションしていただく。そして、それを素材にして議論をしあうというところから、もちろん、科学観というよりも、政策も含めてですけれども、多分、それぞれ皆さん、領域も違うし、持っているイメージは違っているのだと思います。そういうことをお互いに忌憚(きたん)ない意見を戦わせるような場であった方が、全体の方向を考えるには、まずそれをやってみた方がいいのではないかという気がするのですけれども、そういうのはどうでしょうか。勝手なことを言っていますけれども。

【有本教授】
 例えば、私の経験では、この中間評価のときに、この人材の拠点のチームリーダーが呼ばれて、いろいろヒアリングしていただいた。そのときに非常に印象に残るのが、GRIPSは何でナチュラルサイエンスをきちんと科目に入れないのかというのをかなり強く言われた。そのときに私が申し上げたのは、GRIPSに来る学生というのは、出口は行政官とか、社会科学の研究者です。そういうことで、そういう人たちに対して、ナチュラルサイエンスの中身をそんなに、それは俯瞰(ふかん)的にCRDSがやっているような、今のICTはどういう方向になっているか、産業構造とかサイエンスの変化というところまでは学生に教えますが、それ以上に自然科学の方法論、内容については必要ないと言っていました。それぞれの拠点によって違うかも分かりませんけれども。政策のための科学というのはどこまでスコーピングするのだというところで、新しい委員会で議論をやってほしいものです。

【相澤委員】
 それがこの今の領域ということにも関わることで、要するに、何を研究なり、あるいは学問の対象としているのか。そこのところが元々あいまいなのですよね。

【黒田主査】
 だから、それを2期目は考える時期なのではないかと思います。

【相澤委員】
 そうだと思います。だから、そういう意味だと何となく整理がついてくる気もするのです。

【小林委員】
 最初から政策のための科学が何だかわかりにくいというところはあった。ここで一度、政策のための科学とは何かということを皆、真正面から議論しないと。

【黒田主査】
 議論した方がいいですよね。本当にそういう気がします。

【郷委員】
 私もそう思います。最初からそれは科学なのだから、やはり科学の成果を聞かなければいけないという気があって、それは、ここで新しいサイエンスの結果が出てきたのか、あるいは、役に立つ政策について、こういう科学が新しく開けそうだとか、何かそういうものが出てくるといいなと思っています。

【森田委員】
 今日のお話もそうですし、私もRISTEXもやっていますし、SciREXセンターの1領域もやっていますし、ここの委員もやっているのですが、印象として最初に申し上げます。政策のための科学というときのイメージですけれども、私の専門は社会科学というか政治学なので、ある意味でいうと、純粋のサイエンスからいうとほど遠いところをやっているような気もしますが、ここの科学というのは客観的な法則のようなものを発見して、それにデータを入れれば正解が出てくるようなものは、そもそも政策の分野というか、政治の分野で期待するというのは、かなり難しいと思います。むしろ、実装という言葉も聞かれましたけれども、私自身は政策を決めるときに、今までよりもかなり合理的に、という言い方がいいのか、科学的にといったら混乱しますが、皆さんが合意できるような形でのツールをどうやって開発していくかという話だと思います。実際に政治学で言えば、政策を作るときに行政の現場の場合には、かなり制約条件があるわけです。というのは、1つは、かなりの政策分野でタイムリミットが決まっているということ。それまでにきちんとしたデータを全部集めて、結論を出すことは非常に難しいわけです。そういう意味ですと、不確実性の下でできるだけ精度の高い、正解に近づけるような方法を考えていくのが1つあるでしょう。
 もう1つは、この政策の分野で一番厄介なのは、要するにそれぞれのステークホルダーがたくさんいて、皆、利害が違っているわけです。逆に言えば、正解が人によって全部違っている世界である。その中で1つの合意を得なければいけない。そのためにはどういう思考方法でどういうデータを作っていくかということになりますから、政治学の方から言えば、1つは合意に到達するための手続であるとか、ルールのようなものに非常に関心がある。現実の問題として、科学技術予算をどう配分するかというときに、客観的な方程式できちんと配分できればというのが、ある意味で政策のための、科学技術イノベーション政策のための科学が狙ってきたところだと思うのですけれども、実際に皆さんが合意するような方程式があって、そこにデータを入れれば配分比率が出てくるとか、そういう話にはなかなかならないわけです。そこで、そのときにどういうふうに議論するかというところですけれども、ただ声が大きい人とか、どこかで有力者に働きかけるような人が有利になるというのではなしに、それなりの成果、きちんとした根拠が必要でしょう。私自身は、そういう不確実性を少なくして効率的に、しかもステークホルダーの合意と言いましょうか、意見の違う範囲を最小化するような、そうした決定のツールと言いましょうか、知識なりを考えていくことが重要ではないか。
 したがって、先ほどの黒田先生の出されました例というのはそうだと思いますけれども、こういう根拠で、こういう過程の下で、こういうデータを入れたら何%どうなると、その幾つかのオプションがあって、その中から選ぶのが価値判断になるわけですが、その数字そのものは全員が前提として受け入れるという環境があれば、実際の政策のクオリティはかなり高くなるのではないか。そのための思考方法とか、そういうものを開発していくことがミッションかなと思います。
 ただ、だんだんそうではないかなと思ったのですけれども、少なくともこの事業がスタートしたときには、はるか向こうにパラダイスがあるはずだと言って闇の中を船出していって、皆ばらばらなところに行って、時々すり合わせをして少し方向が固まってきたかなと。まさにそれでも最終終着点が明確なイメージでとらえられているかというと、まだそうではないと思うのです。少なくとも今日の議論を伺っていてもそう思いますけれども、ある程度絞り込まれてきたのではないか。そういう意味ですと、ステージでいうと、SciREX2.0になるかどうか知りませんけれども、そうした形で、これからは、ばらばらな方向にいっていたのを、もう少し方向をきちんとそろえていく。そして、効率的に目的に近づくという方法を考えていこうということだと思います。そのときに、要するにガバナンスの問題をどうするかということが出てきて、それぞれRISTEXもCRDSもそうですし、いろいろなところが参加しているわけですけれども、基本的にこれはある意味で司令塔をどうするかという話にもなってくると思います。多分、御提案になったガバナンスの仕組みというのは、今の会社における経営の在り方で言いますと、ある目的に対してミッションをもって一生懸命やる執行役員と、それに対して少し離れた大所高所からそれをきちんとコントロールする取締役会とに分けるというのが、統括会議と推進委員会というイメージだと思うのです。その両者がどういう関係にあるかというのは、ある意味で健全な対立関係で緊張を保ちつつ、コントロールしていくというイメージかなと思うのです。そうした形で2.0に向かうときに、少しフレームを見直してみることが必要かなと思いますし、今、領域の概念が幾つかあるという話がありましたけれども、これは正直申し上げまして、SciREXセンターでやっている限りだったら、集合が重なるのですよね。きれいに分かれるような形で領域が決められるかというと、必ずしもそうではなくて、そこはやはり執行役員会議ですり合わせをやりながらということになるのかなと。そのときにリーダーとは言いませんけれども、コーディネーター的な役割をどういうふうに位置付けていくかとか、ガバナンスの形を変えるならば、そうしたことを少し考えていただく必要があるのかなと思っております。元々、政策のための科学が何かという哲学は常に見直さなければいけないのですけれども、毎回スタートラインに戻っているようで、なかなか難しいのかなと。

【黒田主査】
 ありがとうございました。非常によくまとめていただいたので、今日のお話がまとまったような気がいたします。
 ただ、今日出た問題は全て課題ですよね。だから、今日出た課題を再整理させていただいて、個別にお話をし、2回目に向けて整理していく形でいかがでしょうか。

【赤池分析官】
 わかりました。では、今、先生方が御議論いただいたことが、まず、幾つかの問題になっております。ガバナンスの問題は、これは事務的に引き取って、かなり先生方のイメージが分かりましたので、そういう科学としての在り方を検討する新しい推進の委員会と、正に執行をする場としてだと、我々、事務的な者ともう少しすり合わせする必要があるので、そこは整理してみます。
 それから、次に先生方に、中身を科学としてということであるならば、この間みたいに先生方から御披露いただくような形にした方がよろしいですか。

【黒田主査】
 それはもう少し……。問題提起をしていただくのは重要だと思うのですけれども、それを素材に議論することをやってもいいのではないかという気がします。

【赤池分析官】
 それであれば、私どもも先生方に御議論いただきたいポイントと、先生方からいろいろ御提供できる話題と合わせた議論みたいなものを考えさせていただきます。
 それと、体制とか構成員とか、その次はまた今の御議論を踏まえて、ですね。そういう意味では、少し整理をさせていただくと、推進の委員会の方は、より助言的と言いますか、自由にディスカッションしていただくような場になって、それでむしろ統括機能の方に執行機能を寄せるというイメージでどうですか。

【黒田主査】
 そうですね。

【赤池分析官】
 分かりました。黒田先生から御議論があったときに、例えば、拠点の方と関係機関の方がこの推進の委員会に参加するというのは、そこでは情報共有とか、オブザーバー的に見ていくというイメージですか。

【黒田主査】
 私は参加した方が、拠点のリーダーもSciREX全体の方向について責任の所在がはっきりするように思うのです。科学論ばかり言っていてもなかなかSciREXにすぐはいかないので。そういう話が重要ですけれども、拠点のリーダーに、どういうものを拠点が人材育成として求めているのか、若しくは、やろうとしているのかというのは、実態を伺った方がよい気はします。

【赤池分析官】
 分かりました。

【黒田主査】
 それも1つの意見ですから、もう一回検討してください。

【赤池分析官】
 はい、整理をさせていただきます。

【有本教授】
 次に御議論いただくときには、荒くてもいいから、それぞれのNISTEP、RISTEX、SciREXセンターのやっている、研究テーマについて、その全体を俯瞰(ふかん)してプロットする。それを議論すると、構造が分かってくるのではないかと思います。
 上山先生がGRIPSに来たので、上山先生の専門の経済思想史のようなものをSciREXセンターのもう一つの柱として動かしていくというアイデアもある。それらを議論してもらうのが一番いいのではないかと思います。

【黒田主査】
 そうですね。少し具体的な相談がないと。
 では、そういうことで今日は大体よろしいでしょうか。
 局長、何かありますか。

【川上局長】
 よく相談して考えます、という以上に今日は言えそうもないので。

【黒田主査】
 それでは、今後のスケジュールを事務局からお願いします。

【赤池分析官】
 今後のスケジュールにつきましては、ひと月ぐらい準備させていただきまして、先生方と日程を調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。また年内までには今後のアクションという形で整理させていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

【黒田主査】
 どうもありがとうございました。

【泉センター長】
 来月の中旬にSciREXセンターのシンポジウムがあって、あそこでは狭義の視野のことはそんなに議論になる感じではないと思いますけれども、SciREXセンターの方でうまく整理していただいて、それぞれの出場者にはミッションを与えてくだされば、それでいいかなという感じもしますが、どんなものですか。

【有本教授】
 今、十分私はフォローしておりませんけれども、せめてディスカッションのスピーカーの方は共有しておかないとまずいですよね。分かりました。

【赤池分析官】
 また日程、中身はよく相談させていただきます。

【黒田主査】
 ほかに何かございますか。
 では、そういうことで、今日は長時間どうもありがとうございました。次回またよろしくお願いします。

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