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研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)に基づく体制整備等の実施状況について(分析結果報告)4.ガイドライン第4節 研究費の適正な運営・管理活動

 第3節で策定した不正防止計画を踏まえ、適正な予算執行を行う。業者との癒着の発生を防止するとともに、不正につながりうる問題が捉えられるよう、他者からの実効性のあるチェックが効くシステムを作って管理することが必要である。

(全機関に実施を要請する事項)

  • 1 予算の執行状況を検証し、実態と合ったものになっているか確認する。予算執行が当初計画に比較して著しく遅れている場合は、研究計画の遂行に問題がないか確認し、問題があれば改善策を講じる。
  • 2 発注段階で支出財源の特定を行い、予算執行の状況を遅滞なく把握できるようにする。
  • 3 不正な取引は研究者と業者の関係が緊密な状況で発生しがちであることにかんがみ、癒着を防止する対策を講じる。
  • 4 発注・検収業務について当事者以外によるチェックが有効に機能するシステムを構築・運営する。【必須事項】
  • 5 納品検収及び非常勤雇用者の勤務状況確認等の研究費管理体制の整備について、機関の取り組み方針として明確に定める。
  • 6 不正な取引に関与した業者への取引停止等の処分方針を機関として定める。【必須事項】
  • 7 研究者の出張計画の実行状況等を部局等の事務で把握できる体制とする。

各研究機関における取組状況

【予算の執行状況の検証等、適正な予算に向けた取組状況】

 予算の執行についてもガイドラインでは、研究機関の責任において行うことを求めているので、その予算の執行状況については、支出財源の特定などの進捗管理も含め機関が把握すべきであることはいうまでもなく、随時把握をしているとした機関の68パーセントと、一定期間ごとに検証できるとした機関の18パーセントを併せると、9割弱の機関については把握できる体制が整っている。また、これらの機関は支出財源の特定においても、適切にできているとの回答が得られている。その一方で検討中の機関は13パーセントあり、残りの約1パーセントではあるが、予算の執行状況を検証できていない機関もあり早急に対応することが望まれる。

<予算の執行状況の検証等、適正な予算執行に向けた取組状況について(取組状況整理票の項目14)>

予算の執行状況の検証等、適正な予算執行に向けた取組状況について(1,535機関)

予算執行状況の管理体制について【1,312機関:複数回答】
(取組状況で「整備している、一定期間ごとに検証」を選択した場合)

  1. 研究者及び事務職員が随時把握できるシステム・体制を整備している
  2. 事務職員が、月次等一定の期間毎に予算執行状況を把握し、その執行状況に応じて状況分析を行い、必要に応じて現場に対して指導している
  3. 月次等一定の期間毎に把握した予算執行状況を、その都度、研究者にフィードバックしている
  4. 研究者が予算の執行状況を把握・管理している
  5. その他

予算執行状況の把握について【1,312機関:複数回答】
(取組状況で「整備している、一定期間ごとに検証」を選択した場合)

【研究者と業者の癒着の防止に向けた取組状況】

 研究者と業者の癒着については、約52パーセントの機関が防止策を講じているが、逆に言うと半数近い約48パーセントの機関(検討中約41パーセント、講じられていない約7パーセント)が現状では対策がなされていない状況である。これは現在もなお、業者への預け金が問題視されていることを踏まえれば、その原因は研究者と業者との関係が緊密な状況にあると推測されるため、早急に防止策を講ずることが望まれる。

<研究者と業者の癒着の防止に向けた取組状況について(取組状況整理票の項目15)>

研究者と業者の癒着の防止に向けた取組状況について(1,520機関)

【発注・検収業務における当事者以外の者によるチェックが行われるシステムの構築に向けた取組状況】

 「必須事項」である発注・納品検収については、当事者以外によるチェックが有効に機能するシステムによる管理が求められている。発注と納品検収が誰によって行われているかについては、発注業務は全て会計職員が発注と回答している機関が約40パーセント、一定の条件下で研究者が発注と回答している機関が約47パーセント、全て研究者が発注と回答している機関が約13パーセントとなっている。しかし、一定の条件下としながらもその条件(規定等)が曖昧であったりして、規定上会計職員が発注することとされている物品について、実際は研究者が発注するなどルールと実態の乖離が見られる機関も散見された。一方で、今まで特例としてきた研究者発注について、責任と権限を与え一定の金額まで認めることとした機関もあった。
 検収業務については約68パーセントの機関においては全て会計職員が行い、約27パーセントの機関が一定の条件下で研究者が行っており、残りの約5パーセントの機関においてはすべて研究者が行っていると回答している。また、「一定の条件下で研究者が行っている」と「すべて研究者が行っている」と回答している機関のうち約12パーセントの機関については当事者以外のチェックはなされていないという回答である。
 ガイドラインでは、不正の防止と研究の円滑かつ効率的な遂行を両立させるよう配慮したうえで、発注業務を柔軟にすることを目的として研究者による発注を認める場合にあっても、実施事項の例にもあるようにチェック機能が十分発揮されるよう、複数の対応を組み合わせる等をして体制整備を行うことを求めている。一部、または全て研究者が検収し、その根拠規程もなく、かつ当事者以外のチェックがなされていない機関の平成19年9月末時点の競争的資金等の受給状況を見ると、競争的資金の配分を受けていない、配分は受けているが5件以下かつ1,000万円以下と小規模な研究機関が約59パーセントを占めているという状況であるが、受給状況に関わらず早急にチェック機能が発揮される体制整備の構築が望まれる。

<発注・検収業務における当事者以外の者によるチェックが行われるシステムの構築に向けた取組状況について(取組状況整理票の項目16)>

発注・検収業務における当事者以外の者によるチェックが行われるシステムの構築に向けた取組状況について【必須事項】

発注業務(1,549機関)

検収業務(1,549機関)

一部又はすべて研究者が検収し、その根拠規程もなく、かつ当事者以外のチェックがない機関
(受給状況別:44機関)

発注権限の明確化について
(発注業務で「一定の条件下で研究者、全て研究者」を選択した場合:913機関)

検収権限の明確化について
(検収業務で「一定の条件下で研究者、全て研究者」を選択した場合:492機関)

当事者以外の者によるチェックについて
(検収業務で「一定の条件下で研究者、全て研究者」を選択した場合:487機関)

発注と検収の牽制について【1,059機関:複数回答】
(発注業務と検収業務で「一定の条件下で研究者、全て研究者」を選択した場合)

  1. 発注と検収を牽制するために、内部監査による検査を強化した
  2. 発注と検収を牽制するために、業者と研究者の関係で癒着を防ぐような取組をした
  3. 発注書に、発注者の発注権限の根拠を明示している
  4. その他

検収業務(機関種別別:1,552機関)

【納品検収、非常勤雇用者の勤務状況確認等の研究費管理体制の整備に関する取組方針の取組状況】

 納品検収、非常勤雇用者の勤務状況等の管理体制の整備への取組については、約52パーセントの機関が取組方針として定めているとしている。その具体的な周知方法としては、機関内の会議や文書による通知など複合的に対応されていた。また、その他として説明会を開催し周知をされている機関もあった。なお、検討中と回答している機関は約38パーセント、定められていないと回答している機関は約9パーセントであった。

<納品検収、非常勤雇用者の勤務状況確認等の研究費管理体制の整備に関する取組方針の制定状況について(取組状況整理票の項目17)>

納品検収、非常勤雇用者の勤務状況確認等の研究管理体制の整備に関する取組方針の制定状況について(1,538機関)

取組方針の具体的な周知方法について【807機関:複数回答】
(方針の制定状況で「定めている」を選択した場合)

  1. 行動規範の中に組み込んでいる
  2. 冊子などを作成して配付している
  3. ホームページにより周知している
  4. 文書等により通知をしている
  5. 機関内の各種会議等において、伝達している
  6. その他

【不正な取引に関与した業者への対応状況への取組】

 「必須事項」である不正な取引に関与した業者への対応状況については、約57パーセントの機関が業者に対する処分方針を定めている。機関が業者に対する処分方針を定めることは、研究者と業者の癒着の防止策として効果的であると考えられる。なお、必須事項にもかかわらず検討中とした機関は約32パーセント、方針を定められていないと回答した機関は約12パーセントに上り、全体的には取り組みが不十分と考えられる。なお、方針を定められていない機関の平成19年9月末時点の競争的資金等の受給状況を見ると、競争的資金の配分を受けていない、配分は受けているが5件以下かつ1,000万円以下と小規模な研究機関が約69パーセントを占めているという状況である。

<不正な取引に関与した業者への対応状況について(取組状況整理票の項目18)>

不正な取引に関与した業者への対応状況について【必須事項】(1,548機関)

不正取引に関与した業者に対する処分方針を定められていない機関
(受給状況別:181機関)

【研究者の出張計画の実行状況等の把握に向けた取組状況】

 研究者の出張計画の実行状況等の把握に向けた取組状況についての旅費関係については、約89パーセントの機関が取組・体制を整備していると回答している。その事例としては、出張報告書や航空券の半券の提出により複合的に確認している機関が多かった。検討している機関は約10パーセント、できていない機関は約1パーセントであった。
 人件費関係については、約68パーセントの機関が取組・体制を整備していると回答している。実態把握の方法としては出勤簿に基づき本人に確認している事例が多くを占めた。そして検討中が約31パーセント、体制を整備できていない機関が約6パーセントであった。なお、回答した機関の中には実験補助等の研究支援者を要していない機関も含まれている。

<研究者の出張計画の実行状況等の把握に向けた取組状況への対応状況について(取組状況整理票の項目19)>

研究者の出張計画の実行状況等の把握に向けた取組状況について

旅費関係(1,535機関)

実験補助等の継続的な作業を行う研究支援者等に係る人件費関係(1,501機関)

実態把握の事例について【1,358機関:複数回答】
(旅費関係で「整備している」を選択した場合)

  1. 出張報告書の提出により確認している
  2. 航空券の半券により確認している
  3. 用務地における領収書等により確認している
  4. 旅行会社への業務委託等、業者で旅行の事実を確認できる体制を整備している
  5. 研究者の出勤管理簿との照合により、重複等の検証を行っている
  6. 実費精算方式を採用している
  7. 日常的な教員と職員のコミュニケーションを強化している
  8. その他

実態態把握の事例について【945機関:複数回答】
(人件費関係で「整備している」を選択した場合:945機関)

  1. 研究支援者等は機関で雇用し、出勤簿等を部局等事務で管理するなど直接本人に勤務実態を確認している
  2. 研究支援者等に対して一定期間以上の雇用をしている者に対して、部局等事務職員が面談をしている
  3. 研究支援者等の一部の者は機関で雇用せずアルバイト謝金で支出しているが、出勤簿等を部局等事務で管理するなど直接本人に勤務実態を確認している
  4. 研究支援者等は機関で雇用し、成果物により勤務実態を確認している
  5. 研究支援者等の一部の者は機関で雇用せずアルバイト謝金で支出しているが、成果物により勤務実態を確認している
  6. 研究支援者等は機関と雇用関係にはなく、成果物により勤務実態を確認している
  7. 出勤簿等は研究者が管理しており、部局等事務で勤務実態を確認できる体制が整備されていない
  8. その他

【まとめ】

 他者からの実効性のあるチェックが効くシステムを作って管理することについては、特に検収センターの整備を含め、納品検収における当事者以外の者によるチェックが行われる体制については、多くの機関において急速に整備がなされている。
 一部の機関においては、研究者と事務職員との間で十分な議論を経ないまま、「第三者検収」の形式を期限内に整えることだけに傾注したと思われるケースが見受けられる。一方で、機関において研究活動の機動性、迅速性を確保しつつ、最適な管理体制をどのように構築すべきかを研究者と事務職員との間で議論を重ね、試行錯誤中のケースも多く見受けられたところであり、機関による取組姿勢に開きがあるといえる。
 物品購入に係る不正使用は、物品購入を依頼した者が納品事実の確認を行っている場合に発生しており、ガイドラインでは「当事者以外の者による検収」を求めているが、一定金額以下の物品を購入する際の検収(納品事実の確認)を、当該物品の購入を依頼した研究者に委ねている研究機関がある。
 このように、機関の責任において、一定金額以下の物品検収を研究者に委ねている研究機関の中でも、事後に抜き打ちで納品事実の確認を行ったり、発注の際に不自然な傾向がないかを経理担当部局でモニターし、業者との癒着防止策を講じるなど、複数の取り組みを組み合わせて総合的な牽制が効く措置を講じている研究機関もあれば、特段に牽制が効く措置を講じていない研究機関も見受けられる。牽制が効く措置が講じられているにもかかわらず、当事者による検収を行っていることのみを捕まえて、問題があるとするのはガイドラインの趣旨ではないが、牽制が効く措置が講じられていない研究機関にあっては改善が必要である。
 比較的規模の大きい機関については、財務会計システム、Web購入システムの導入など経理管理のIT化に取り組んでいる機関が多く、初期投資は一定レベル必要ではあるが、業務の効率化だけでなく、不正防止にも大きな効果があると考えられる。
 不正な取引に関与した業者への対応については、研究機関が業者に対する処分方針を定めることは、研究者と業者の癒着の防止策として効果的であり、また必須事項でもあるので処分方針が定められていない研究機関にあっては、早急に機関としての方針を定め業者等に対して表明して行くことが必要である。

参考となる取組の事例

  • ★ 経理管理のIT化等による不正防止とコスト削減、業務効率化を目指している事例
    • (国立大学)
      •  汎用品や試薬について、専用Webサイト内で複数社のカタログの中から物品を比較検討して購入できるシステムを運用し、研究費の効率的使用と発注、納品記録の保持による予算執行状況の検証を図っている。サイトを通じて購入した結果、2割程度の購入経費の圧縮が可能となった。更に今まで発注毎の請求書が発行されていたが、サイトで発注されたものが一括で請求書を発行できることになり、業者の負担も減り経理処理についても効率化がなされた。また、システムへの参加業者からは、不正行為を行わない旨の誓約書を提出させ、癒着防止に資することとしている。
    • (民間企業)
      •  毎年3月に複数社から消耗品等の見積りをとり、品名ごとに一番安価な業者を一覧にして年度初めに研究者に周知し、その業者へ発注する仕組み(ベストプライス制度)を導入。予め価格が判明していることにより業者との癒着防止にもつなげている。
  • ★ 今までの検収方法を見直し新たな方法を導入した事例
    • (国立大学)
      •  従来までの納品検査を改め、検収(納品事実の確認)と検査(品質性能等の確認)のダブルチェックをしている。検収は検収センターで行い、検査は研究者等が行うこととし、明確な検査が行える体制とした。また、品質保持等のため、検収センターにおいて開梱が不可能な物品(冷凍品、アイソトープ、動植物)については、検収センター納品の際に、定型メモ(検収センターにおいて当該物品が検収困難なため研究室において第三者の検収・検査を行ってもらう旨)を付し、納品書には検収・検査を行った者の確認印を求めることで、検収・検査の確認と責任の所在を明確にしている。
    • (国立大学)
      •  業者に対して説明会を開催し、Q&Aなどを含む納品検査のリーフレットを配付して、適正な納品検収に対しての理解と協力を求めた。
    • (国立大学)
      •  少しでも早く研究室へ納品ができることを目的として、機関の敷地入り口付近に検収センターを設けることにより、業者が検収のために事務棟内部への荷物の積み卸しの手間を省き、車の荷台に納品物を積んだまま検収できる様な効率的な方法をとっている。
    • (独立行政法人)
      •  検収センターにおいて検収が困難な物品や研究室に直接納品される大型物品等の検収のため、検収担当事務職員が、毎日定時に機関内を巡回し研究室にて検収を行っている。
    • (私立大学)
      •  支出依頼書に交付申請額、今回執行額、累積執行額、残額及び経費執行に関する理由を記載する欄を設けて、研究者及び事務職員が常に把握できるような仕組みを整備している。
      •  同一業者との取引が多い場合は、研究者及び業者に取引状況の確認を行なっている。

改善・検討が必要な事例

  •  一部の研究資金についてのみ第三者検収を行っていて、その他の研究資金については他の牽制措置がとられていない状態で、当事者のみによる検収が行われている。
  •  実験動物の管理について担当部署に任せきりで、事務側が実態を把握していない。
  •  出張報告を書面によらず口頭のみで行っており、事実の確認の記録として残らない取扱いをしている。
  •  不正な取引に関与した業者への対応について、前例が無いので事象が起きてから個別に対応する。
  •  新たな取組みの導入にあたって、研究者と事務職員との十分な議論がなされていない。