ここからサイトの主なメニューです

研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)に基づく体制整備等の実施状況について(分析結果報告)4.ガイドライン第2節 適正な運営・管理の基礎となる環境の整備

 最高管理責任者は、研究費の不正な使用(以下、「不正」という。)が行われる可能性が常にあるという前提の下で、不正を誘発する要因を除去し、十分な抑止機能を備えた環境・体制の構築を図らなくてはならない。

(1)ルールの明確化・統一化

(全機関に実施を要請する事項)

 競争的資金等に係る事務処理手続きに関するルールについて、以下の観点から見直しを行い、明確かつ統一的な運用を図る。

  • 1 すべての研究者及び事務職員にとって分かりやすいようにルールを明確に定め、ルールと運用の実態が乖離していないか、適切なチェック体制が保持できるか等の観点から常に見直しを行う。
  • 2 機関としてルールの統一を図る。ただし、研究分野の特性の違い等、合理的な理由がある場合には、機関全体として検討の上、複数の類型を設けることも可能とする。また、ルールの解釈についても部局間で統一的運用を図る。
  • 3 ルールの全体像を体系化し、すべての研究者及び事務職員に分かりやすい形で周知する。
  • 4 事務処理手続きに関する機関内外からの相談を受け付ける窓口を設置し、効率的な研究遂行を適切に支援する仕組みを設ける。【必須事項】

各研究機関の取組状況

【競争的資金等に係る事務処理手続きに関するルールの見直しへの取組状況】

 ルールと運用の実態が乖離していないか等の観点から見直しを行うためには、ルールの運用実態を把握することが必要となる。各研究機関におけるルールの運用実態の把握状況については、約54パーセントの研究機関で把握していると回答しており、それら機関における実態把握の方法としては、一部の現場の研究者からのヒアリングを実施している研究機関が約39パーセントと最も多かった。また、約42パーセントの研究機関が「把握方法を検討している」と回答しているが、約4パーセントの研究機関にあっては「実態を把握できていない」と回答している。

<最高管理責任者等による事務処理手続きに関するルールの運用実態の把握状況ついて(取組状況整理票の項目2)>

各部局における事務処理手続きに関するルールの運用実態の把握状況(1,531機関)

事務処理手続きに関するルールの運用実態を把握している研究機関での実態把握の方法(1,017機関)

【ルールの明確化、統一的な解釈に基づく運用への取組状況】

 ルールの明確化・統一的な解釈に基づく運用については、約59パーセントの研究機関が「定められているルールは、運用実態との乖離についての問題は基本的に解消されている」と回答しており、それら機関におけるルールの明確化の方法としては、「機関として、すべてのルールを統一した」とする研究機関が約60パーセントと最も多かった。また、約37パーセントの研究機関が「運用実態と乖離している手続き等を解消する等の見直しを検討している」と回答しているが、約4パーセントの研究機関にあっては「部局の運用実態が把握できていない」と回答している。

<ルールの明確化・統一的な解釈に基づく運用に向けた取組状況について(取組状況整理票の項目3)>

ルールの明確化、統一的な解釈に基づく運用状況(1,529機関)

ルールと運用実態との乖離は基本的に解消している研究機関におけるルールの明確化の方法(1,409機関)

【研究者及び事務職員に対するルールの周知への取組状況】

 ルールの周知については、「ルールの全体構造の中での個別ルールの意味付けをわかりやすい形で体系化し、周知している」と回答している研究機関が約26パーセント、「個別ルールについて、周知している」と回答している研究機関が約50パーセントとなっており、これらの機関における周知方法は研修会・説明会により周知している機関、文書等により通知している機関が多い。

<研究者及び事務職員に対するルールの周知に向けた取組状況について(取組状況整理票の項目4)>

ルールの周知に向けた取組状況(1,540機関)

ルールを周知できている研究機関における周知方法(402機関・複数回答)

【事務処理手続きに関する機関内外からの相談を受け付ける窓口設置への取組状況】

 「必須事項」である事務処理手続きに関する相談受付窓口の設置については、約89パーセントの研究機関で設置がなされている。しかしながら、約8パーセントの研究機関にあっては、従前より相談に対応している係を窓口として設置する予定である、競争的資金が獲得できた時点で窓口として設置するとして「検討している」と回答している研究機関も見られ、約4パーセントの研究機関は、小規模組織であり日常的に研究者の相談に対応できる等の理由で「設置できていない」と回答している研究機関があった。相談窓口の設置ができていない機関の平成19年9月末時点の競争的資金等の受給状況をみると、競争的資金等の配分を受けていない、配分は受けているが5件以下かつ1,000万円以下と小規模な研究機関が約72パーセントを占めているという状況である。
 報告書提出時点では「検討している」と回答している研究機関もあるが、全体としては「事務処理手続きに関する相談受付窓口は設置されている」と考えられる。ただし、窓口が設置されている研究機関の約18パーセントが「判断の難しい相談事項に対応できていない」と回答している。研究機関で定める手続きに関する相談に対応できていない場合には、一層の検討が求められる。

<事務処理手続きに関する相談受付窓口の設置状況について(取組状況整理票の項目5)>

事務処理手続きに関する相談受付窓口の設置状況(1,557機関)【必須事項】

相談受付窓口を設置している研究機関における窓口の設置形態(1,379機関)

  • (注)当該設問への回答に際して、部局ごとの窓口と本部事務局に総合的な窓口を設けている機関や、総合的な窓口も所掌事務に応じて設置している機関があり、複数回答している機関もあったため、「統一的に対応する窓口設置」と「部局等ごとに設置」の両者を選択している場合は、便宜上、「統一的に対応する窓口設置」として整理している。

相談受付窓口を設置できていない研究機関の研究費受給状況(54機関)

相談受付窓口を設置している研究機関における判断の難しい相談事項への対応状況(1,360機関)

【まとめ】

 事務処理手続きに関するルールの運用実態の把握や、ルールの明確化・統一的解釈に基づく運用、ルールの周知は「必須事項」ではないが、報告書提出時点では「検討している」と回答している研究機関も含めると、全体としては「ガイドライン第2節(1)ルールの明確化、統一化」への取組が進んでいると考えられる。
 なお、「ルールの明確化・統一化」への取組事例としては、実態把握に当たって本部事務局の職員が部局を訪問してヒアリングを実施している研究機関や、機関内の研究者及び関係職員のすべてを対象にしたアンケートを実施している研究機関もあり、現場で困っていることがないか等幅広に意見を求めている機関もあった。また、機関としての基本的なルールを明確に策定した上で、各研究者への意見照会・周知に取り組んでいる機関や、具体的な運用に際して、研究者等からの意見を踏まえて細部は部局で定めることを検討している機関もあった。ルールの周知に際してはHP上でルールを体系化し、わかりやすく周知するよう工夫している機関や、研究者向けのハンドブックを作成している機関もあった。
 不正を誘発する要因を除去し、十分な抑止機能を備えた環境・体制を構築するための一つの観点である「ルールの明確化・統一化」に当たっては、研究者が事務手続きを十分理解することを期待している研究機関もあったが、そのためには、わかりやすく手続きを周知する工夫等が重要であると考える。また、各研究機関の実情に応じた実効性あるルールを策定するためには、研究現場や部局の実態を踏まえることが極めて重要であり、そこから得られる課題を継続的にチェックし、常に見直しができるようにすることが望まれる。

 「必須事項」である「事務処理手続きに関する相談受付窓口の設置」への取組事例としては、学部、研究所等の多くの部局を有する組織では、各部局の相談窓口を設置した上で、競争的資金の申請関係、経理関係などの所掌事務に応じた窓口を本部事務局に設置する傾向が見られ、比較的小規模な組織にあっては、事務局長や担当課による単一窓口で対応している研究機関もあった。
 相談受付窓口の設置については、窓口として人を新たに配置することを必須として求めているものではなく、既存の係、担当者が相談を受けているのであれば、当該係や担当者を窓口として研究者等に周知されていることを求めているものである。また、効率的な研究遂行を適切に支援するための仕組みの一つであり、特に複数の窓口を設置している場合には、事務処理手続きに関してどこに相談すれば良いのかを明確にし、研究者等に周知されていることが必要であり、窓口担当者によってルールの解釈が異なることが無いような工夫がなされていることが望まれる。また、窓口が設置できていない研究機関にあっては、早急に対応することが望まれる。

参考となる取組の事例

  • ★ 窓口担当者によってルールの解釈が異なることがないような工夫をしている事例
    • (私立大学)
      •  各部局担当者を相談窓口として位置づけているが、同じ内容の相談に対して異なる解釈で対応することがないようする、様々な相談事例を知ることで機関内でのルールに対する理解を共有できるようにするために、各部局担当者の報告会の定期的な開催を検討している。
  • ★ 研究者にわかりやすく周知する工夫をしている事例
    • (国立大学)
      •  研究者に事務処理手続きに関するルールを知ってもらうために、わかりやすい研究者向けのハンドブックを作成している。これに加えて、適正な研究費使用という点から、会計ルールについて、最低限、研究者として気を付けておくべき事項や、”やってはいけないこと”をポイントを絞って箇条書きにしたリーフレットを作成し、配付している。この資料は、研究室の誰でも見ることができる環境を整備している。
  • ★ 機関内ルールの統一化に当たって、組織内のコンセンサスを得る取組をしている事例
    • (国立大学)
      •  学内統一ルールを策定していくに当たって、事務職員と一部の研究者で構成するワーキンググループで原案を作成し、各学部教授会で原案について説明するとともに、学内に対して広くコメントを求め、出された意見等を踏まえて検討している。
    • (私立大学)
      •  これまでは細かな学内統一ルールがなく、10以上ある学部等ごとにルールができていた。事務職員が中心のワーキンググループ、研究者が中心の学内委員会での検討を経て可能な限り標準化を行い、研究費の取扱いに関する手引きを作成した。標準化できないものは、部局の状況に応じた手引きの作成を予定している。今後は、現場の研究者の意見を踏まえて、実態と乖離のない手引きとなるよう検証を行う。

改善・検討が必要な事例

  •  相談内容に応じて各担当者が相談窓口になって対応しているが、研究者からは誰に相談すれば良いのか分からないという意見や、複数の部署に相談しなくて済むようにならないかという意見を受けている。
  •  研究者からの相談を受け付けている部署はあるが、相談窓口として機関内外への周知は特段行っていない。
  •  相談窓口を担当する部署は決めているが、競争的資金が獲得できた時点で設置。

(2)職務権限の明確化

(全機関に実施を要請する事項)

  • 1 競争的資金等の事務処理に関する研究者と事務職員の権限と責任について、機関内で合意を形成し、明確に定めて理解を共有する。
  • 2 業務の分担の実態と職務分掌規程の間に乖離が生じないよう適切な職務分掌を定める。
  • 3 各段階の関係者の職務権限を明確化する。
  • 4 職務権限に応じた明確な決裁手続きを定める。

各研究機関の取組状況

【研究者と事務職員の権限と責任の明確化と理解共有への取組状況】

 研究者と事務職員の間における職務権限の分担領域の明確化については、約40パーセントの研究機関で「権限と責任の領域を明確に定め、理解を共有している」と回答しており、約40パーセントの研究機関で「明確に定めており、理解の共有に努めている」と回答している。しかしながら、約20パーセントの研究機関では「明確に定められていない」と回答している。

<研究者と事務職員との間における職務権限の分担領域の明確化について(取組状況整理票の項目6)>

研究者と事務職員の間における職務権限の分担領域の明確化の状況(1,542機関)

【適切な決裁権限規程及び職務分掌規程の制定状況】

 決裁権限規程及び職務分掌規程については、約21パーセントの研究機関が「過去の慣例に引きずられることなく、現状業務に合う形で規程を定め、運用している」、約48パーセントの研究機関が「現状に問題がないことを確認している」、約25パーセントの研究機関が「現状業務と職務分掌規程等の乖離における問題について整理、見直しを検討している」と回答しており、約94パーセントの研究機関で現状の確認、見直しがなされている。

<適切な決裁権限規程及び職務分掌規程の制定状況について(取組状況整理票の項目7)>

適切な決裁権限規程及び職務分掌規程の制定状況(1,532機関)

【まとめ】

 研究者と事務職員の間における職務権限に関しては、会計規則等で研究者の権限を示している研究機関などが多いと考えられる。理解を共有しているかという点に関しては、ルール見直しの際に研究者の意見を踏まえていること、研修会・説明会を通じた周知を行っていること等により、一定の理解が得られているものと思われるが、引き続き理解の共有に取り組むことが望まれるとともに、今後は、ルールに関する理解度の確認行為などを通じた検証が望まれる。また、対応がなされていない機関にあっては、今後の対応が望まれる。
 なお、一部の研究機関では、研究費は研究者個人のものという意識が強く、研究費の機関管理の原則が必ずしも徹底されておらず、事務職員の権限を支払いに関する事務手続きや一定条件以上の物品の納品確認などに限定している機関や、研究者が支払い関係書類をとりまとめている機関が見受けられた。研究者個人への補助の性格を有する競争的資金であっても、その原資が国民の税金である以上、国民の信頼に応えるため、物品購入手続きをはじめとする競争的資金等の管理は、研究機関の責任において行われることが原則であるという考え方へ意識を改めることが望まれる。

 また、適切な決裁権限規程及び職務分掌規程の制定状況については、概ね各研究機関とも整備されていると考えられる。しかしながら、現状把握を行っていないと思われる機関等が見受けられるが、これらの研究機関にあっては現状の把握を行い、必要があれば見直すことが望まれる。

参考となる取組の事例

  • ★ 実態と乖離していたルールの見直しに取り組んでいる事例
    • (国立大学)
      •  会計規則等では、研究者の依頼に基づいて事務職員が業者に発注することになっていたが、事実上、研究者による業者への発注を黙認していた。ガイドラインを受けて学内で検討した結果、円滑な研究遂行の観点から、実態に即して会計規則等を見直し、研究者が発注できることを明文化した。
    • (私立大学)
      •  事務処理手続きの実態確認を行ったところ、規則上、決裁権限は部課長にあるが、実質は係長が処理したものを形式的に決裁していたものがあった。責任と権限の明確化を図るうえで、実態に即して、形式的になっていた部課長による決裁を定めた規定を改め、係長に決裁権限があることを明確にした。

(3)関係者の意識向上

(全機関に実施を要請する事項)

  • 1 研究者個人の発意で提案され採択された研究課題であっても、研究費は公的資金によるものであり、機関による管理が必要であるという原則とその精神を研究者に浸透させる。
  • 2 事務職員は専門的能力をもって公的資金の適正な執行を確保しつつ、効率的な研究遂行を目指した事務を担う立場にあるとの認識を機関内に浸透させる。
  • 3 研究者及び事務職員の行動規範を策定する。

各研究機関の取組状況

【関係者の意識向上への取組状況】

 研究者個人の発意で提案され採択された研究課題であっても、研究費は公的資金によるものであり、機関による管理が必要であるという原則とその精神を研究者に浸透させる。また、事務職員は専門的能力をもって公的資金の適正な執行を確保しつつ、効率的な研究遂行を目指した事務を担う立場にあるとの認識を機関内に浸透させる。これらの事柄に関する関係者の意識向上への取組状況については、約60パーセントの研究機関で取組がなされており、約38パーセントの研究機関が「検討している」と回答している。しかしながら、約2パーセントの研究機関では「取組を行えていない」と回答している。

<意識向上に向けた取組状況について(取組状況整理票の項目8)>

関係者の意識向上への取り組み状況(1,540機関)

意識向上に向けた取組を行っている研究機関における取組の例(921機関・複数回答)

行動規範を策定し、周知している研究機関における行動規範の策定方法(344機関)

【まとめ】

 関係者の意識向上への取組の事例としては、「公的研究費の適正な執行の管理と効率的な研究遂行に向けた認識確立のための行動規範を策定し、研修会等を通じて研究者・事務職員に対して周知している」と回答している研究機関が最も多く、次いで「その他」の回答が多かった。この「その他」については、職員の行動指針を記載したカードを全職員に常時携帯させている、研究者と事務職員一人一人に説明しているなどの事例もあったが、説明会を開催しているものが多かった。行動規範の策定方法については「研究者と事務職員が一緒になって検討し、作成した」とする研究機関(研究現場の具体的な課題を踏まえたものを含む。)が約43パーセント、「研究者又は事務職員が他の研究機関のものなどを参考に作成した」とする研究機関が約38パーセントとなっている。「その他」の例としては、県職員の倫理規程によるものや、全社的な行動憲章を行動規範としているなどが多かったが、中には学外有識者を含む委員会で作成した研究機関もあり、理事長が理事及び学部長等主要な教員と検討して作成した研究機関もあった。

 関係者の意識向上への取組は「必須事項」ではないが、「検討中」の研究機関を含めるとほぼすべての研究機関が取組に着手している状況であり、全体としては取組が進んでいると考えられる。公的研究費の機関管理を適正に行う上で、関係者の意識は極めて重要であり、検討中の研究機関や取組がなされていない研究機関にあっては、一層の取組が望まれる。
 また、関係者の意識向上を図る上では、関係ルールの周知や不正使用の事例紹介も重要ではあるが、各研究機関のルールを守る上で、関係者に求められる共通的な意識を「行動規範」として具体的に示し、意識の浸透を図ることが重要である。行動規範の策定に際しては、当該研究機関の研究者及び事務職員が「自分たちの規範を自分たちで作り上げる」という気持ちで十分に議論する等のプロセスを経て、職員全体の意識の共通化が図られることが期待される。

参考となる取組の事例

  • ★ 関係者の意識向上や意識の共有を図るために、現場の声を把握しようとしている事例
    • (国立大学)
      •  本部事務職員が部局事務職員と補助金、委託費のルールの統一や、部局の抱えている課題について意見交換を行い、ルールの解釈や事務処理について周知するとともに、課題については提案を行うなどの取組を行っている(教員を対象としたものも実施予定)。
    • (国立大学)
      •  公的研究費の管理・監査体制の検討は、不正防止だけでなく、業務改善、研究推進、経費節減等を視野に入れて取り組んでいる。現実的で実効的な管理体制を構築するためには、研究者と事務職員の意識の共有が重要と考え、すべての研究者と事務職員を対象とした詳細な意識調査を実施した。現時点では集計中ではあるが、今後、その結果を踏まえた取組を行う。

(4)調査及び懲戒に関する規程の整備及び運用の透明化

(全機関に実施を要請する事項)

  • 1 不正に係る調査の手続き等を明確に示した規程等を定める。
  • 2 不正に係る調査に関する規程等の運用については、公正であり、かつ透明性の高い仕組みを構築する。
  • 3 懲戒の種類及びその適用に必要な手続き等を明確に示した規程等を定める。

各研究機関の取組状況

【不正に係る調査の手続き等を明確に示した規程等の制定状況】

 不正に係る調査の手続き等を明確に示した規程等の制定状況については、約47パーセントの研究機関で定められているが、約37パーセントの研究機関が「規程の策定に向けて検討している」、約16パーセントの研究機関が「規程を定められていない」と回答している。不正に関する調査は、不正が発生した部局から独立した第三者を含む委員会で行うとする研究機関が多く、民間企業では機関から独立した委員会で行うとの回答が多かった。
 また、不正使用を行った者に対する懲戒の根拠規程については、約73パーセントの研究機関で規程が制定されており、約19パーセントの研究機関が「規程の策定に向けて検討している」と回答している。しかしながら、約8パーセントの研究機関では「規程を定められていない」と回答している。また、規程を定めている研究機関における当該規程の運用基準については、約半数の研究機関で運用基準が明文化されていない状況となっている。

<不正使用に係る調査に関する規程の整備状況について(取組状況整理票の項目9)>

不正に係る調査に関する規程等の制定状況(1,541機関)

規程を定めている研究機関における調査を行う委員会の設置形態(723機関・複数回答)

<不正使用を行った者に対する懲戒の根拠規程の整備状況について(取組状況整理票の項目10)>

不正使用を行った者に対する懲戒の根拠規程の制定状況(1,536機関)

不正使用を行った者に対する懲戒の規程を定めている研究機関における懲戒の種類等を定めた運用基準の制定状況(1,119機関)

【まとめ】

 不正使用に関する事実関係の調査や懲戒処分の運用に当たっては、公正かつ透明性の高い仕組みが重要であり、仮に当該機関において不正使用の事例がなくても、事例が発生したときや、不正使用に関する通報等があったときに適切に対応できるように仕組みを確立しておくことが重要である。現段階で「必須事項」とはしていないが、不正事例が発生した場合に処分の根拠となる規程等が定められていないことでそれが行えないようなことがあってはならない。このため、規程等が定められていない研究機関にあっては、適切に処分を行えるようにするとともに、透明性を確保する上でも一層の検討が望まれる。