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参考資料1−4

研究機関における公的研究費の管理・監査に関するガイドライン(実施基準)

−よくある質問と回答例−

平成19年8月
文部科学省
科学技術・学術政策局
調査調整課 競争的資金調整準備室

<総論>
Q. どのような経緯でガイドラインが策定されたのですか?
Q. ガイドラインが対象としている事業はどのようなものですか?
Q. 対象となる研究機関はまず何をやればよいのですか?
Q. ガイドラインは企業の内部統制システムを参考にしているようですが、学問の自由を旨とする大学運営とは相容れない概念ではないですか?
Q. ガイドラインは漠然としていて明確な基準がよくわかりません。具体的なひな形を示すべきではないでしょうか。
Q. ガイドラインについての説明会を開催してほしいのですが。
Q. ガイドラインについてわかりやすい形で周知を図ってほしい。

<第1節 機関内の責任体制の明確化>
Q. 最高管理責任者を理事長か学長かのいずれに当たると解するのが適当か?

<第2節 適正な運営・管理の基盤となる環境の整備>
Q. 研究費の不正と研究活動の不正行為への対応を一つの「倫理綱領」に盛り込んでよいですか?
Q. 調査・懲戒の手続きを研究上の不正行為を同一の規程に盛り込んでよいですか?

<第3節 不正を発生させる要因の把握と不正防止計画の策定・実施>
Q. 「不正防止計画」のイメージがよくわかりません。どのようなものですか?
Q. 防止計画推進部署の役割は何ですか?機関内の部門毎に設置が必要ですか?内部監査部門と別の部署にする趣旨は何ですか?

<第4節 研究費の適正な運営・管理活動>
Q. 低廉な価格のものについても検収を行う必要があるのでしょうか?

<第5節 情報の伝達を確保する体制の確立>
Q. 相談窓口は複数置いてもよいでしょうか?

<第6節 モニタリングの在り方>
Q. 内部監査部門が防止計画推進部署を兼ねることは可能か?

<第7節 文部科学省による研究機関に対するモニタリング、指導及び是正措置の在り方>
Q. 本年11月に研究機関から提出される報告書はどのように取り扱われるのですか?
Q. 悪意をもって巧妙な手口で不正が行われた場合であっても機関の責任が問われることとなるのですか?
Q. 11月の報告において「必須事項」の取組が不十分であるか否かはどのような判断基準によるのでしょうか?
Q. ガイドラインには法的拘束力があるのでしょうか?資金配分の停止等はどのような権限に基づいて行われるのでしょうか?
Q. 報告書は毎年文部科学省に提出する必要がありますか?初年度は11月でしたが、次年度以降はどのような日程になるのでしょうか?
Q. 初めて文科省の制度への申請する予定です。ガイドラインが存在していることを知りませんでしたが、申請することはできますか?
Q. 今年の11月までに実施することが求められている「必須事項」以外の事項はいつまでに達成する必要がありますか?
Q. 「知的クラスター創成事業」「地域結集型共同研究事業」の中核機関はこの「研究機関」に該当するのでしょうか?また中核機関から再委託をうける大学等は報告書を文部科学省に提出する必要はありますか?
Q. 県の研究機関は県に所属していますが、それぞれの機関ごとに対応するべきでしょうか?あるいは県として統一的なルール作りが求められるのでしょうか?

<その他>
Q. 研究費の不正対策検討会報告書においては、資金配分機関の制度の改善点についても指摘がなされていますが、どのような改善状況ですか?



<総論>
Q. どのような経緯でガイドラインが策定されたのですか?
A.  政府の財政状況が厳しい中、競争的資金については、研究者の研究費選択の幅と自由度を拡大し、競争的な研究開発環境の形成に貢献するものとして拡充が図られています。
 そのような中、研究者による競争的資金の不正使用は依然として後を絶たず、特に昨年発生した、著名な研究者による多額の研究費の不正使用問題を直接の契機に、「研究費の不正対策検討会」(主査:石井紫郎東京大学名誉教授)を設置し、昨年8月から12月にかけて集中的な審議を行いました。
 検討会の報告では、不正の要因として、研究者のモラルの問題だけでなく、研究費を受け入れる研究機関の管理体制の問題や使い勝手の問題等競争的資金の制度の問題が指摘されています。
 特に、報告書の中で、大学等の研究機関における公的資金による研究費の管理・監査体制の整備を目指して、研究機関向けのガイドラインの案が提案されました。
 文部科学省においては同検討会の報告に基づき、パブリックコメントを経て本年2月、文部科学省のガイドラインとして制定し、関係機関へ周知したものです。

Q. ガイドラインが対象としている事業はどのようなものですか?
A.  現在のところ、科学研究費補助金や科学技術振興調整費、21世紀COEプログラムをはじめとした文部科学省や文部科学省所管の独立行政法人(日本学術振興会及び科学技術振興機構)から配分される競争的資金(15制度)及び公募型の研究資金(22制度)を対象としています。
 競争的資金等一覧を参照下さい。

対象となる事業は事業の新設・廃止等により変更される場合があります。変更内容については、近く開設予定のホームページを通じて、その都度公表します。

Q. 対象となる研究機関はまず何をすればよいのですか?
A.  ガイドラインの対象となる競争的資金等の配分を受けることとなる全ての研究機関はガイドラインに沿った適切な管理体制を整備することが求められます。
 体制整備の状況については文部科学省に対し書面による報告を頂くこととなっていますが、最初の報告は本年11月に頂く予定です。
 また、11月の報告時点において、必ず実施していることを求める事項として、1最高責任者等の設置、2相談窓口、通報窓口の設置、3防止計画推進部署と設置とモニタリング及び監査制度の整備、4当事者以外によるチェックが機能する発注・検収システムの構築・運営を求めています。(平成19年5月31日付科学技術・学術政策局長通知を参照下さい。)
 特にこれらの点については、優先的にご検討頂きたいと考えています。

Q. ガイドラインは漠然としていて明確な基準がよくわかりません。具体的なひな形を示すべきではないでしょうか。
A.  研究機関は、その性格や規模において極めて多様であり、管理の具体的な方法について一律の基準を強制することは適当でないと考えています。本ガイドラインは大綱的性格のものであって、具体的にどのような体制を構築するかは、個々の研究機関の判断にゆだねられています。各研究機関においては、組織の長の責任とリーダーシップの下、研究者と事務職員が一体となって、自律的に関与して、より現実的で実効性のある体制の構築することを期待します。
 ガイドラインの別添として幾つかの実施事項の例を挙げていますが、これらは多様な選択肢の一部として参考までにあげているものであり、研究機関がこの例のとおりに実施することを求めるものではありません。

Q. ガイドラインは企業の内部統制システムを参考にしているようですが、学問の自由を旨とする大学運営とは相容れない概念ではないですか?
A.  大学における学術研究は、研究者の自由な発想を生かすための研究環境を整備されることは非常に重要です。しかしながら国民の信頼を得るためには、優れた研究成果をあげるだけではなく、公的資金を適切に管理することも同様に重要であると考えています。
 しかしながら、研究費の不正対策検討会においては、大学の管理体制の問題点として、1部局単位、あるいは専攻・学科・部門といったより小さい単位で教育研究活動が行われているが、組織全体を見通した内部管理・監査については、体制構築も含め十分ではないこと、2不正使用の問題を、研究者個人の問題とし、組織の問題として捉えないこと、3調査や懲戒の基準が不明確であること、4組織運営の透明性が確保されていないこと、などが指摘されています。
 ガイドラインは会社法等に対応した近年の企業の内部統制システムを参考にしているところですが、研究費の不正対策検討会においては、大学等の特性を十分に踏まえた管理体制の基準を示しているものです。

Q. ガイドラインについての説明会を開催してほしいのですが。
A.  多くの研究機関が対象となる説明会を利用しつつ、今までに、4月、7月の科研費説明会においてガイドラインに関する説明を行ってきているところです。今後も、できるだけこのような機会を通じてガイドラインの趣旨の周知を図って行きたいと考えています。

Q. ガイドラインについてわかりやすい形で周知を図ってほしい。
A.  説明会等の開催を利用し、ガイドラインについて説明を行っていきたいと考えています。また、今後、HPを設置しガイドライン関係の通知やFAQなどを掲載しわかりやすい形で周知を図っていくことを考えております。

<第1節 機関内の責任体制の明確化>
Q. 最高管理責任者を理事長か学長かのいずれに当たると解するのが適当か?
A.  学長は所属職員を統督するなどの責任・権限を有しており、基本的には学長と解していただくのが妥当と考えています。

<第2節 適正な運営・管理の基盤となる環境の整備>
Q. 研究費の不正と研究活動の不正行為への対応を一つの「倫理綱領」に盛り込んでよいですか?
A.  「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」の第2節(3)の全機関に実施を要請する事項の3では、「行動規範」となっていますが、名称は特にそのとおりである必要はなく、実施上の留意事項等に記載された考え方に沿ったものであれば結構です。また、研究活動の不正行為への対応と一緒の文書に盛り込んでいただいても差し支えありません。

Q. 調査・懲戒の手続きを研究上の不正行為を同一の規程に盛り込んでよいですか?
A.  研究費の不正使用に関しては、透明性と公正性を担保することに主眼があり、その基本的な考え方に沿って具体的な対応は機関側でご判断いただければ結構であると考えています。但し、研究活動の不正行為と、研究費の不正使用では、不正の性質の違いに基づき、調査に関与される方や問題の有無の判定方法等は異なりますので、それぞれに応じた対応を行っていただく必要があります。そのような点をご勘案の上、規程そのものを一つにまとめられるかどうかは、機関でご判断いただければ結構です。

<第3節 不正を発生させる要因の把握と不正防止計画の策定・実施>
Q. 「不正防止計画」のイメージがよくわかりません。どのようなものですか?
A.  不正防止計画は不正を発生させる要因を把握し、具体的不正防止計画を策定・実施することにより関係者の自主的取組により不正の発生を防止することが趣旨です。
 現状の経費執行体制を整理把握し、その中で不正を発生させる要因や問題点があるかどうかを検証確認し、内容により取組む優先順位をつけるなどガイドラインにおける実施上の留意事項を踏まえ機関の実情等に応じて対応して頂きたいと考えております。

Q. 防止計画推進部署の役割は何ですか?機関内の部門毎に設置が必要ですか?内部監査部門と別の部署にする趣旨は何ですか?
A.  リスクを認識し、その対策を立てるという役割を持つのが防止計画推進部署であり、現場での対応体制の企画・推進に当たるところである。
 一方、内部監査部門は自ら実施に当たるのではなく、防止計画推進部署などの対応をさらに(客観的に)チェックする立場とすることが望ましいとの考えから、防止計画推進部署とは別にすることを推奨しております。また、防止計画はさまざまなリスクを総合的に勘案して機関全体の観点から策定することが望ましく、防止計画推進部署は部門毎というより、そのような総合的な対応ができる位置づけが適当と考えております。

<第4節 研究費の適正な運営・管理活動>
Q. 低廉な価格のものについても検収を行う必要があるのでしょうか?
A.  金額の多寡にかかわらず納品された事実がなければ支払いはできません。したがって、低廉な価格のものについても、検収行為は必要と考えています。
 その際、発注の当事者以外によるチェック体制に取り組んでいただくようお願いします。

<第5節 情報の伝達を確保する体制の確立>
Q. 相談窓口は複数置いてもよいでしょうか?
A.  相談窓口の設置は、機関内外からの競争的資金等の使用に関する窓口がどこにあるかを機関において明確にしておくことが趣旨で、規模や役割などに応じて複数おくことも差し支えないと考えますが、その場合は窓口の役割を明確に示すことが必要です。

<第6節 モニタリングの在り方>
Q. 内部監査部門が防止計画推進部署を兼ねることは可能か?
A.  防止計画推進部署と、内部監査部門の役割は異なっており、可能な限り両者を分離するというのが基本的な考え方です。しかしながら、対象には極めて小さい機関も含まれるので、内部監査部門と防止計画推進部署を分けて設置することが難しい場合には、内部監査部門が防止計画推進部署を兼務することもやむを得ないと考えています。したがって、可能であれば両者を分離していただくようお願いします。

<第7節 文部科学省による研究機関に対するモニタリング、指導及び是正措置の在り方>
Q. 本年11月に研究機関から提出される報告書はどのように取り扱われるのですか?
A.  文部科学省は研究機関から提出された報告書を基にガイドラインの「全機関に実施を要請する事項」の内容との整合性について確認を行います。また、報告書の確認以外にサンプリング等により現地調査を行い体制整備等の実態把握を行うこととしております。これらの結果、機関の体制整備等の状況について問題がある場合には問題点を指摘するなど注意を促すこととなります。

Q. 11月の報告において「必須事項」の取組が不十分であるか否かはどのような判断基準によるのでしょうか?
A.  研究機関からの報告書の様式については現在検討中でありますが、その様式において機関の取組み状況を記載し報告していただくことになります。不十分であるかどうかの判断基準についても報告書様式の内容と並行し検討を行っているところであり、いずれにしても取組みが行われていない場合は明らかに問題があることとなるのでガイドラインに沿った適切な対応をお願いします。

Q. ガイドラインには法的拘束力があるのでしょうか?資金配分の停止等を行う場合はどのような権限に基づいて行われるのでしょうか?
A.  ガイドラインに基づいた管理体制が整備されない場合は、文部科学省は研究機関に対し問題点を指摘するとともに、文部科学省と協議の上、改善計画を作成し、同計画を実施することを求めることとなります。
 この改善計画が適切に履行されず、体制整備の問題が解決されていない場合は、有識者による検討の結果を踏まえて、当該機関に対し、文部科学省は必要に応じ、1管理条件の付与、2機関名の公表、3一部経費の制限、4配分の停止を求めます。
 具体的な是正措置の発動は、該当する制度の担当部局の横断的な合意の下、一律に実施されることとなります。ガイドラインに基づく必要な体制整備については、研究機関が資金配分を受けるための必要条件として、各制度の集要項や個別の契約等の中で位置づけられることとなります。これらを法的な根拠として、具体的な是正措置が発動されることとなります。

Q. 報告書は毎年文部科学省に提出する必要がありますか?初年度は11月でしたが、次年度以降はどのような日程になるのでしょうか?
A.  研究機関は、ガイドラインに基づく体制整備の実施状況について、年に1回程度、書面による報告を文部科学省に提出することとされています。今年度は11月にその報告書を提出していただくこととしておりますが、次年度以降については現在のところ提出時期は未定です。提出依頼に当たっては、機関の体制整備の取組み状況や配分機関の公募状況等を勘案し定めていくこととなります。

Q. 悪意をもって巧妙な手口で不正が行われた場合であっても機関の責任が問われることとなるのですか?
A.  不正事案が発生した場合、文部科学省等は、当該機関から追加の情報提供を求め、現地調査を実施するなどにより、不正に関与した者の責任とは別に、体制整備等の問題について調査を行うこととされております。従ってその調査の結果に基づき対応が行われることとなります。

Q. 初めて文科省の制度への申請する予定です。ガイドラインが存在していることを知りませんでしたが、申請することはできますか?
A.  ガイドラインは、文部科学省又は文部科学省が所管する独立行政法人から配分される、競争的資金を中心とした公募型の研究資金について、配分先すべての機関においてそれらを適正に管理するために必要な事項を示したものです。初めて申請する場合でも、結果として資金が配分されることとなった場合、ガイドラインに沿った対応が求められることとなります。

Q. 今年の11月までに実施することが求められている「必須事項」以外の事項はいつまでに達成する必要がありますか?
A.  必須事項を含めガイドラインに示された全機関に実施を要請する事項は、競争的資金等を受ける研究機関が取り組むべき事項です。従って11月までに必須事項以外は取り組む必要がないということではなく、機関においては必須事項に限らず出来る限り速やかに全ての事項に取り組んで頂く必要があると考えております。

Q. 「知的クラスター創成事業」「地域結集型共同研究事業」の中核機関はこの「研究機関」に該当するのでしょうか?また中核機関から再委託をうける大学等は報告書を文部科学省に提出する必要はありますか?
A.  中核機関では事業総括や科学技術コーディネーター等が研究管理に従事される部分については管理が必要であり、その部分については、ガイドラインに基づく体制の整備を行っていただく必要があると考えています。
 また、ガイドラインの報告の対象としては、再委託先までを対象とはしていませんが、中核機関は、文部科学省や科学技術振興機構に対して事業の遂行に全面的に責任を負う立場にありますので、委託先の研究実施機関においてガイドラインの第1節から第7節に規定される、体制整備、報告の提出、文部科学省等の行う現地調査への協力等が行われるようにするとともに、中核機関として行う資金管理等についても遺漏なきようご対応いただきたいと考えます。

Q. 県の研究機関は県に所属していますが、それぞれの機関ごとに対応するべきでしょうか?あるいは県として統一的なルール作りが求められるのでしょうか?
A.  それぞれの研究機関において定めることになります。定め方等については、種々の形態があると思われるので、県の規則が適用され県としての決めのやり方があればそれに沿って対応していただくものと考えております。各研究機関が混乱しないよう県がイニシアチブをとることも形態として考えられます。

<その他>
Q. 研究費の不正対策検討会報告書においては、資金配分機関の制度の改善点についても指摘がなされていますが、どのような改善状況ですか?
A.  研究期間確保の観点からの実績報告書の提出期限の延長や委託費における様式の統一など可能な範囲での改善を図りつつあるところです。今後も、配分機関や省内WGなどにおいて、制度の目的、特性等に応じ検討を進めて行きたいと考えております。


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