研究開発評価推進検討会(第43回) 議事要旨

1.日時

平成29年10月2日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省15階 特別会議室

3.議題

  1. 研究開発評価推進検討会の運営について
  2. 座長の選任及び座長代理の指名について
  3. 研究開発評価推進検討会のこれまでの活動について
  4. 平成29年度の研究開発評価推進検討会の活動について
  5. 平成29年度研究開発評価人材育成研修等について
  6. その他

4.出席者

委員

林座長、小湊座長代理、安藤委員、伊地知委員、遠藤委員、栗本委員、嶌田委員、高橋委員、花田委員、丸山委員

文部科学省

松岡企画評価課長、國分企画評価課課長補佐、菊池企画評価課評価・研究開発法人支援室主任

5.議事要旨

審議に先立ち、事務局より資料1に基づいて委員の紹介が行われた。


議題1 研究開発評価推進検討会の運営について

 事務局から資料2に基づき説明が行われ、資料2の運営要領について了承された。

議題2 座長の選任及び座長代理の指名について

 運営要領に基づき、委員の互選により林委員が座長に選出された。
 また、林座長の指名により小湊委員が座長代理に決定した。


議論3 研究開発評価推進検討会のこれまでの活動について

 事務局から資料3に基づき説明が行われた。各委員からの主な発言は以下のとおり。


【高橋委員】
 これまで、研究開発評価人材育成研修(初級)を行ってきて、平成25年度に中級をトライしたということだが、初級と中級の区分の定義は何か。また、類似の研修等が文部科学省以外であるか。

【林座長】
  初級と中級の違いだが、どのレベルまでが初級で身につける知識、スキルなのか、どこからが中級なのかは、これまで議論してきたがはっきりしなかった。類似の研修についてはどうか。

【丸山委員】
  総務省が政策評価研修というものを定期的に実施していて、大分中身は違うが、同じ評価という観点では類似の研修になる。

【林委員】
  総務省の政策評価研修は基本的なことをしっかり学ばせるような形の研修で、この研究開発評価人材育成研修は初級とあっても、政策評価研修よりは少し上のレベル。

【栗本委員】
  平成25年度に行った研究開発評価人材育成研究における中級の研修(ワークショップ)は、実際には中級というよりも初級が終わった人のケア、つまり、初級の後は、どうあったら良いのかということで中級を試みた。


議論4 平成29年度の研究開発評価推進検討会の活動について

 事務局から資料4について説明が行われ、平成29年度の活動スケジュールについて了承された。各委員及び事務局の主な発言は以下のとおり。


【事務局】
 人材育成研修について来年度から初級から次のステップとしての研修等を検討している。先ほど、初級と中級の区分についての話があったが、中級という言葉を使ってしまうと中級の定義が人や職務内容によって変わってくるので、事務局としては人材育成研修(中級)といった言葉を使わず「研究開発評価実施者のレベルアップのための活動の方向性」ということで今後検討していきたい。

【嶌田委員】
 人材育成研修の初級に関しては、係長研修のような感じになっている。各大学1名なので、 URAの方がはじかれて、事務系の研究評価担当の方が来られることが多い。中級の問題としては、この辺りの初級研修に来た方を更に育てるのか、それとも初級研修にはじかれてしまう方々も視野にいれて、スポット的にテーマ別に参加者を募るのか検討するのはよいと思う。

【栗本委員】
 中級という言葉を使わず、レベルアップ・プログラムをという方向性はよいのではないか。ただし、対象者が誰で、その誰に対して何を、どのようにというフレームについての議論をする必要がある。そうした議論がないと、ニーズがないのに実施したり、ニーズがあるにも関わらず間違った方向性に行ってしまいかねないので、現場感覚のある関係者がうまく課題設定する必要がある。

【小湊座長代理】
 大学の事務職員やファンディングエージェンシー等に関わっている方々を対象に研修をやろうとすると、特に大学の場合は2、3年でジョブローテーションが入って、知識やスキルの積み上げが難しい。レベルアップ研修を実施するとき、それをどういう水準でやっていくのか、誰を対象にするのか、難しさはある。


【栗本委員】
 第5期科学技術基本計画によると、若手研究者の人材育成という論点と新たな価値創造という論点がある。例えば、若手人材の育成という課題設定をしたら若手研究者の現状がどうなっているのかを調査する。あるいはイノベーション等、新しい価値創造をするためにどういう取組を始めているのかを調査した上で話を進めないと現場との乖離(かいり)が生じる。前者を回避するためには例えば、現場の若い研究者が一体何に困っているのか等を把握した上でレベルアップというストーリーを描く必要がある。

【高橋委員】
 URAの中で評価専門人材に近い形の仕事をしている人は、正確な人数を把握しているわけではないが、余りいないと思う。現場において評価というのは恐らく二つの意味があって、一つは総務省系の機関評価、国立大学であれば国立大学法人評価、これは大学の昔からのメカニズムに組み込まれているので、事務系に対応ラインがあると思う。一方、URAが部分的に対応している「評価」は、事業をきちんと運営している確認のフォーマットにとして受け止めているのではないか。多くは外部資金による事業の評価であり、評価自体を、自らより良くしていく、とか、個性を発揮するという発想が現場側にあるのかというと、恐らく余りないのではないか。このため、初級はジェネラルな知識体系をみんなで同じようにシェアする、その次は個別にテーマを設定するという全体の構想は、かなり現場に合ったものかと思う。

【丸山委員】
 個人業績の評価についても論点がある。互いに分野や所属組織が異なる研究者同士を比較するのはビブリオメトリクスを使えばある程度はできるけれども、それだけでは見えてこないものもある。成果が出ていても見えない人も結構いて、技術系や研究支援を行っている研究者など、余り論文を出さないような人で光っているような人、そういった人も含めて点数化して、論文では見えない人を見たいというニーズがあると考えている。また、研究開発プログラム評価をどう対処していくか、というのが課題。


【花田委員】
 評価を実施するに当たって、そのタイムラグや変化の激しさにも課題がある。 例えば、研究開発を行う独立行政法人が国立研究開発法人化したとき、国の方はそこから動くが、現場では、次の年に国立研究開発法人化することを前提に動いていかなくてはならない。そこから時間をかけていろいろやり方を変えて、安定するまでには時間がかかる。それもPDCAサイクルの一環と言う意味では正しいこととも言えるが、毎年度変化に対応していくことへのストレスも否定できず、もう少し安定的に進められないのかという意見は多い。
 評価はPDCAの一環だが、変化の激しさを前提にやっていかなければならない中で、研究成果の最大化ということも言われるし、チャレンジングな研究開発を、イノベーションを、出口志向をとも言われる。一方で、イノベーションの源泉となる基礎研究の重要性も否定できない。当初のプラン設定が肝心でPDCA全体としての検討が必要である。


【安藤委員】
 第5期科学技術基本計画では、共創的なイノベーションが謳(うた)われている。その中で、ファンディング・プログラムのマネジメントや評価を担う立場においては、プログラム評価やチャレンジングな研究開発の評価をどうするのかは大きな課題で、従来型の特定のディシプリン内での評価ではもう対応できない状況も生じている。文部科学省における研究及び開発に関する評価指針の改定がなされたが、特筆課題を始めその議論の中で、特にどこが重要なのか、個々の委員の方々の関心がそれぞれ違う中でどうするのかというのは、この全体の中での議論で必要。


【遠藤委員】
 他にも例えば、競争的研究資金に関連した評価を、大学等の各機関においてどのように利用するかという論点もある。例えば、プロジェクト評価では、何か特定の目標を持って引っ張っていくというよりは、ボトムアップ的なものを支援していくということで、大学としてどういう申請を奨励するのか、あるいは採択だけではなく不採択になったときでもその研究者をどう評価するのかということがうまく動くような支援が大切。科研費を大学あるいは研究機関においてどのように利用し人材育成に活(い)かしていくか、議論のときに念頭に置いてもいいかと考えている。


【伊地知委員】
 全体を把握して、個々をつまびらかにするということを忘れないようにしなければいけない。個々の担当者から議論すると、その担当で局所最適化を図るところになってしまうので、大学等機関全体の中からどうあるべきかということを、この場では意識しておいた方がいいと思う。


議題5 平成29年度研究開発評価人材育成研修等について

 事務局から資料5 に基づき説明が行われた。


【林座長】
 研修の講義ではプロジェクト管理評価を扱うかどうか。

【栗本委員】
 プロジェクト管理は一種の進捗管理だが、研究開発評価人材育成研修の限られた時間でできるのかどうか。


【嶌田委員】
 プロジェクト管理評価のメソッドを知りたいという話なのか、概念的な話を聞きたいということなのか。具体的な話となると、現場によって聞きたい話は違う。


【高橋委員】
 国立大学等が外部資金で行ったことの評価なのか、自分の組織内の自己資源に基づく自主性を重んじられる仕事の評価なのかで大きく異なる。恐らく前者が多いはずで、外部資金のきちんとした管理と似たことを言っているのか。一方で、今後重要な自己資源とか、公的なお金、企業との関係性が必要な産学連携のプロジェクトマネジメントになると、30分や1時間でできるような話ではないのではないか。


【林座長】
 プロジェクト管理評価について今年度実施するのはハードルが高いと。その他、昨年度はロジックモデル作成をワークショップで実施し、アンケートでは好評だったが、今年度はどうするか。


【栗本委員】
 これまで行ったロジックモデル作成について言えば、一昨年、政策評価でも使われているロジックモデルが比較的評判が良いと聞くので、それを検討会の研修でも試みたらどうかという提案があって実施した。その結果、グループごとに関心事が参加者の組織属性による固有の個別問題であったり、用語が相対的に統一されていなかったり、例えばアウトプットとアウトカムの違いがファシリテーターによって違うという意見もあった。そのため、昨年度はその辺りの共通基盤を整える意味で、概念や用語の標準化を試みたという経緯がある。


【林座長】
 プロジェクト評価は取り扱わないと、ワークショップはロジックモデルをやると、それで進めたい。具体的な研修の進め方は今後詰めていきたい。


議題6 その他

 事務局から平成28年度研究開発評価推進委託事業の結果概要及び平成28年度研究開発評価シンポジウムのアンケート結果報告があった。

お問合せ先

科学技術・学術政策局 企画評価課 評価・研究開発法人支援室

(科学技術・学術政策局 企画評価課 評価・研究開発法人支援室)