「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(以下「文科省指針」という。)において、「文部科学省及び研究開発機関等の事務局における人的拡充を含めた研究開発評価体制の構築や職員等の評価実施能力の向上を図ることは、評価に係る各種作業を円滑に行う上で不可欠」とされており、「評価事務局職員等を持続的に養成・確保していくために有効な対応策の構築」に努めることとされている。
また、当面の研究開発評価推進の方向性として「研究開発評価(文科省指針)の普及と定着」を目指すこととしている。
文部科学省として研究開発評価に関する業務を担う人材育成を効果的・効率的に実施するための研修の在り方について検討する。
(1)研究開発評価人材育成研修(初級)
大学や独立行政法人等の評価業務に従事する事務職員(経験年数1年程度)を対象として、基礎的な知識等を習得することを目的として、平成22年度試行、平成23年度から実施。(2日間、40名程度参加)
<主な課題等>
・内容及びテキストの更新等について検討が必要
・中級以上の研修について要望がある
(2)研究開発評価シンポジウム
研究開発機関における研究開発評価の効率化及び充実を促進するとともに、評価関係者の意識向上や評価関係者同士の連携促進を目的として、平成17年度から開催。(半日間、120名程度参加)
<主な課題等>
・テーマと文部科学省研究開発評価推進検討会における活動全体を有機的に連携させる工夫が必要
(3)研究開発評価研修(政策評価相互研修会)
専門的知見を有する評価人材の養成を目的として、平成15年度頃から実施。
<主な課題等>
・内容を含めた研修形態等の検討が必要
(4)その他
・ミニキャラバン(平成20年,平成21年,平成23年)
・ワークショップ(平成25年)
(1)研修の必要性 ※平成27年研究開発評価推進委託調査報告書より
各研究開発機関等における研究開発評価人材の育成方策は、現在それほど積極的に行われておらず、重要な知識・スキル等は必ずしも十分ではなく、各機関において十分に実施できない知識・スキル等(特に「評価システムの設計・構築」)に関して、研修プログラムの整備が求められている。
初級向け研修については、毎年の人事異動により相当数の新任者が発生することから、今後も継続すること、また、関係者に広く提供できるようにすることが望まれている。
また、評価に関する一定の知識・スキルがある層については、複数機関間の評価人材での意見交換の実施等の検討、「評価システム設計・構築」などを共通プログラムとして、参加者のニーズに合わせた事例を用いたワークグループ等による研修を検討する必要がある。
(2)文部科学省として実施すべき研修等の在り方
文部科学省としては、「研究開発評価(文科省指針)の普及と定着」を目指し、一般的評価業務に携わる多数の事務職員を中心として「評価の理解者」への転換することを継続的に行うこととし、また、評価担当部署等に配属される職員等については、実務経験が重要であることから各機関においてオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)を中心とした人材育成を行うとともに、評価実務者に必要な知識の習得の場を提供することが必要と考える。
このため、次に掲げる研修等の実施について、開催形態や開催頻度、研修・講演内容等の開催方法について検討を重ね、研究開発評価の普及と定着を目指す。
(ア)研究開発評価人材育成研修(初級)
対象:研究開発に関する業務に従事する新任の事務職員等
目的:研究開発評価の基礎的な知識を習得させることにより、「評価の理解者」を育成する
形態:講義形式及びワークショップ
主な研修内容(案):
・評価の意義、体系
・基本的な用語の使い方
・文科省評価指針の内容
・評価に活用し得る思考法(ロジック・モデルの設計等) 等
(イ)研究開発評価人材育成研修(中級)
中級研修については、原則、研究開発評価について一定以上の経験とスキルを有する職員を対象として検討を進めてはどうか。
対象:研究開発評価を担当し、一定の経験・スキルを有する職員等
目的:研究開発評価システムの設計・構築に必要となる知識や、具体的な評価手法、実例等を習得させることにより、実務者としての人材を育成
形態:ワークショップ及び意見交換
主な研修内容(案):
・評価システムの構築・設計について
・評価結果の反映
・評価事例(ケース・スタディ)
・評価指標の設定 等
(ウ)研究開発評価シンポジウム
対象:各府省及び各研究開発機関等における研究開発評価関係者
目的:科学技術政策に関する最近の動向も踏まえ、研究開発機関における研究開発評価の効率化及び充実を促進するとともに、評価関係者の意識向上や評価関係者同士の連携を促進
形態:講演及びパネルディスカッション
なお、これらの研修の実施に当たっては、研修効果の最大化及び開催負担の軽減に向けた類似研修プログラム等(※)との連携や、ノウハウの蓄積や研修効果の把握・モニタリング等に向けた企画・運営の外部委託、文部科学省内部職員向けの研修プログラムの増設等、効率化と効果の最大化に向けた諸方策を検討することが必要である。
(※参考)類似の研修等の事例
【エビデンスベースの政策形成のための科学技術イノベーション政策形成実務研修】
対象:文部科学省職員及び政府機関関係者(特に、入省3~5年目程度の方、科学技
術系部局に初めて着任された中堅クラスの方を中心に、科学技術イノベーシ
ョン政策に関する基本的知識を必要とする方を想定。)
主催:文部科学省科学技術・学術政策局企画評価課
【政策の質の向上等に資する能力開発に係る研修】
対象:文部科学省職員(特に、課長補佐~係員級)
主催:文部科学省大臣官房政策課評価室
平成29年2月 研修の在り方について(議論、まとめ)
平成29年度中 教材等作成、体制整備等
平成30年度~ 段階的に実施
科学技術・学術政策局 企画評価課 評価・研究開発法人支援室