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資料3−6

内部統制の基本的要素の観点から見た不正事例への対応
(大久保委員作成資料)

事例案1 物品費に関する不正への対応

  課題 対策 対策上の課題
統制環境 教官と事務官のコミュニケーションが悪いため、事務官による教官に対する現場での牽制が効きにくい傾向がある。 事務官による日常的な牽制ができるような組織風土作りが必要。 事務官の育成が急務の課題。教官と対等に議論ができるような人材育成が必要。
過去の慣習との決別を明確にして、教職員がとりうるべき行動を明確に規定する。 教職員の行動規範を策定する。なお、行動規範には、実務的に必要とされる内容が優先順位をつけて記載されており、かつ、個々の事象に対する細かな対応手順ではなく、研究機関としての取り組む方針を明記することが必要。 現場の実態にあわせたものとする(抽象的かつ教科書的なものは避ける)
教員の補助金に対する意識を改善する必要がある。 補助金であっても大学が管理すべきものであるとの意識を浸透させる。  
制度が硬直化しているため、建前と本音において運用実態とルールに一定の乖離が見られる ルールを運用実態に合わせた柔軟なものとすることで、ルールに外れた場合の懲罰規程を厳格化する。  
補助金制度の使い勝手が悪い。    
教官は学生に対して絶対的権限を持っている。在学中のみならず卒業後も教官との強い結びつきが存在するため、問題が発覚しにくく、牽制作用が機能しにくい。ただし、学生との一体感を有するが故に個人的な不正はおきにくい。    
懲罰規程の運用があいまいであったり不透明である場合がある。 懲罰委員会の運営の透明性を高めるため、部局内による対応から、大学としての対応に切り替えるとともに、内部通報制度の充実や、外部識者による運用のモニタリング(ガバナンスの強化)の徹底を図る。 内部通報制度における通報者の保護に関する徹底した対応が必要。
リスク評価 研究機関内の実質的な問題点が把握されていない。 研究機関内におけるリスクを抽出して対応すべき序列を明確につける(まず経営管理の側面から)。具体的には、現場が感じているリスク(ルールと実態が乖離している点)、決裁が複雑で責任が不明確となっている点、取引の牽制が十分ではないと想定される点、予算執行が特定の時期に偏っている点などをリスクとして認識する必要がある。 リスク調査の対象期間は、研究室も含むが、その守秘義務が適切に守れるような仕組みが必要。
  リスク対応計画を策定し、具体的な改善策を盛り込む。  
教授の絶対的権限が強いためリスクが顕在化しにくい土壌がある。    
統制活動 全研究機関的な対応が取り組みにくく、部局ごとの取り組みになりがちである。 部局ごとの自治を表面化させ、それらを研究機関内においていくつかの取引パターンに類型化させ、内部統制の問題は配慮のうえ、当該取引ルール化する。ただし、部局ごとにすべてルールが異なるのではなく、文系・理系の別あるいは、理工学部系・農学部系・医学部系の別など、大規模組織で3−4パターンに整理集約することも必要。  
ルールやマニュアルが形骸化する傾向がある。 ルールについては、過去の慣例に固執することなく、業務の実態に合わせて最も効率的な手法を取り入れることが必要。また、ルールや規程・規則について、研究機関として定期的(最低でも年1回)に見直しができる体制を構築する。 ルールの見直しに当たってはできるかぎり現場の意見を聞き入れ、実態に配慮して、ルールと運用実態を一致させることが必要。
多くの研究機関では、一定金額以下の物品の納品について、ルール上は事務官が検収することとなっているが、実態は、納品書における検収サインを形式的に見ているだけで、検収が適切になされていない。 実際に運用可能な範囲でルール設定をすることが必要。その場合、発注と検収の双方の業務の観点から牽制をかけることが必要。例えば、発注を柔軟にするのであれば、検収を厳格にしたり、あるいは、発注と検収についてルールを明確にしたうえで、事後的な検証を厳しくするあるいは、財務会計システムを利用した予算執行管理を厳格に管理するなどの手法が必要となる。(第2回研究会配付資料2−1−2、P9参照のこと) 例外的取引を恒常化させず、柔軟な対応とすることで、例外的な処理を認めないように、強弱をつけることが必要。
一部の部局では、1日中納入業者が研究室に出入りするなど、教官と業者の関係が必要以上に密接な関係となっている。 米国の大学が採用しているブランケット方式などを参考に、一定額以下の一定の取引行為については、業者に取引枠を与え、その範囲内では、教官との接触をせず、メール等の物理的な対応とし、かつ、納品とともに請求書は業者から直接大学に送付するような仕組みを検討するなどして、運用は柔軟にしつつ、実態的な牽制をかけることが必要。  
予算執行が年度末に集中する傾向がある。 発注時点で支出財源を特定させなければならない。なお、事後的な支出財源の変更については柔軟な対応も必要である。そのため、発注書に財源を明示させ、それらを財務会計システムに入力できるようにする。 過去の慣例から支出時点での財源特定に組織内部から抵抗感をもたれる可能性が高いが、予算執行の適正化をはかるためには、必要不可欠な対応である。
行動規範が浸透していない。 教官に対しても行動規範を浸透させる努力が必要であるが、他方、行動規範については厳格な運用を行う。行動規範に違反をする行為については厳格な懲罰規程を運用するなど。  
情報と伝達 教官と事務官のコミュニケーションが悪い 日常的な牽制が最も効果を発揮するものと考えるため、事務官が教官に対して、日常的に、その内容を確認できるような組織風土を作ることが必要。そのためには、経営者がリーダーシップを発揮して、教官に対して、理解を求めていくことが必要。 実効性を持たせるためには、強制力を持たせなければならない可能性がある。
外部とのコミュニケーションが悪いと指摘される。 業者等からの相談窓口を設置 相談された内容の守秘が確実に守れることを外部に示さなければならない。
  外部に対して研究機関の方針、コンプライアンスへの取り組みなどがわかる情報開示を行う必要がある。  
研究機関内における情報伝達が的確に伝わらない。 上記のことについては学内に対しても同様に考えるものとする。  
内部通報制度の体制構築(体制がない、あるいは、実効性が乏しいと指摘されることがある) 研究機関内部だけでは、通報内容の守秘が守られるか不安が残るため外部機関を利用するほか、通報されたものが適切に処理がなされているかどうかを検証するために、外部識者を集めたコンプライアンス委員会などを設置する。 コンプライアンス委員会の設置目的は、個々の事象に対する検証ではなく、内部通報制度そのものが機能しているか検証することにある。とくに、研究機関は身内による運営によりその透明性が疑われることがあるため、外部の目をいれることにポイントがある。
モニタリング 内部監査スタッフの不足 内部監査スタッフとして専門性の高い人材を配置する(専門性とは、法律・会計のほか、研究機関の内情に精通しているOB等も含む)また、監査の質を一定に保つために、過去の不正対策などを中心として、監査マニュアルなどの策定を行う。 OBの雇用については、非常勤として、監査部門が現場に出るときのアドバイザーのような形で関与することが望ましいと考える。
監査対象領域が限定的になる。 財務的な監査手法から、非財務的な情報を含む監査手法へ進化させる。具体的には、リスク分析に基づく、体制整備を重点項目として捉えていくリスクアプローチなどの手法を採用する。 財務情報に対する監査手法と非財務情報に関する監査手法とは異なる点に留意が必要。
形式的な書類をそろえることに終始しており、実質的な検証がなされにくい。 取引実態がわかるような監査証拠をあつめる。たとえば、納品書について、業者発行の現伝票を確認し、伝票の連番などを通して取引時期を特定するなどの対応が必要。 監査人の能力向上が求められる。また、監査対応マニュアルを充実させ、監査の質を一定に保つことが必要。
研究機関内での内部監査の位置づけが明確ではない。 内部監査部門の位置づけを経営者直轄の組織とするとともに、研究機関内に対して、その位置づけと権限を明確にした上で、周知徹底を図る。  

事例案2 旅費に関する不正への対応

  課題 対策 対策上の課題
統制環境 教官と事務官のコミュニケーションが悪いため、事務官による教官に対する現場での牽制が聞きにくい傾向がある。 事務官による日常的な牽制ができるような組織風土作りが必要。  
制度が硬直化しているため、建前と本音において運用実態とルールに一定の乖離が見られる ルールを運用実態に合わせた柔軟なものとすることで、ルールに外れた場合の懲罰規程を厳格化する。  
リスク評価 旅費の執行上の使いづらさなど運用における問題点への対応ができていない。 旅費の執行上の問題点を聞き出し、できる限り制度として柔軟な対応をはかる。  
統制活動 旅費の精算が形式的になっている点がある。 領収証主義をとり、新幹線や宿泊についても、できるかぎり、領収証を添付することとする(領収証証拠主義)。新幹線は領収証が発行されるし、宿泊についても、限度額を上回る部分は個人負担であっても、泊まった事実を検証することが可能である。 領収証の偽造を業者が行うようなケースは犯罪そのものであり、内部統制の枠外となる。
一律日当制をとるため、出張した実態がわかりにくくなる。なお、宿泊の領収証の添付などで対応は可能であるが、より牽制を高めるためには実費精算とする。 予算執行を柔軟にしたうえで実費精算主義にする。  
教官の出勤管理ができていない。 細かな出勤管理は必要はないが、どこにいるのかについて、部局事務で把握することで、旅費の2重払いや架空旅費に対して牽制がとれる。なお、セキュリティの観点からも、教官がどこにいるのかを把握していることも有用と考える。  
情報と伝達      
モニタリング 監査対象や監査手法について見直す。 同一の先生の旅費を一定期間洗い出して検証したり、出勤簿に照らし合わせるほか、出張の目的や概要を抜き打ちでヒアリングを実施するなど、実質面での監査を行うことが必要。  

事例案3 人件費に関する不正への対応

  課題 対策 対策上の課題
統制環境      
     
リスク評価 人件費の執行上の使いづらさなど運用における問題点への対応ができていない。 執行上の問題点を聞き出し、できる限り制度として柔軟な対応をはかる。  
統制活動 アルバイトの雇用契約が年度末に集中している。    
アルバイト管理が研究室まかせとなっている。 アルバイトの管理については部局事務で一元化して管理を行い、日常的にアルバイトの方と接触を持つことで、事務官側で実態を把握するとともに牽制をかけることが必要。  
アルバイトに関する予算執行が実務にあっていない 予算執行について実務にあわせた柔軟なものとする。  
アルバイト採用の面談を事務側で行っていない。 アルバイトを採用する段階あるいは、年度を越えて契約する場合、事務官側でアルバイトの方と面談を行い、勤務実態、居住状況などの確認をすることで牽制を図る。  
情報と伝達      
モニタリング 監査対象や監査手法について見直す。 任意にアルバイトや非常勤職員について聴取して、状況を確かめていく。その際には、住んでいる住居と口座の支店との違いなど、実態的な側面をヒアリングする。  


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