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資料3−5

研究機関における公的研究費の管理・監査の実施基準(ガイドライン)の項目構成案
(大久保委員作成資料)

1. ガバナンス
   
1 標準として実施すべき事項
 
1. 学長におけるリーダーシップとは
2. 学長と部局長の責任と権限の明確化
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
3 実施する事項の例示
 
1. 監事の役割を明確に応じ、役割に応じた任期を設定する。

2. 統制環境(PLAN
  (ア) 大学(部局)運営の見える化
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 大学運営の透明性をたかめることで、風通しのよい大学運営をめざす。
2. 大学経営における意思決定プロセスについて、外部から見てもわかりやすい、かつ明確なものとして、当該活動についてできるだけ、開示をはかることで、研究機関内における議論を適正化させることが必要。
3. 部局内における検討状況についても同様に、可能な限り、その運営について透明性を高めるような取り組みが不可欠。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 個々の意思決定の内容を開示するのではなく、当該、意思決定機関の運営の透明性を図る。なお、守秘的なものを除き、議事概要を公開するなど、できる限りの対応を図ることが望まれる。
2. 大学運営、部局運営のそれぞれを透明化することは、結果として教官と事務職員のコミュニケーションを高めることが期待される。
3. 透明化することで、理不尽なものや誹謗中傷的な歪曲化された議論が減少することが期待される。
3 実施する事項の例示
 
1. 役員会・理事会の検討事項について、守秘的なものを除き、HP等を通じて議事録等の公開をはかるなどして透明化をはかる。
2. 部局ごとに柔軟な運営ができるような制度設計を行う一方で、部局における運営についても、上記1と同様な手法をとり透明化をはかることが必要。
3. 経営者は不定期に部局ごとの議論に参加をするなど、部局運営の実態を把握したうえで、大学経営に反映させる。
(イ) 組織風土改革
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 事務処理手続きについて、部局ごとに固有な方法を採用している場合は、その手続き等を明示し、明確にする。なお、できる限りこれまでの業務方法を踏襲するものの、大学全体のルールとの整合性には十分に配慮することが必要。
2. 教官と事務職員の意思疎通を図るような組織的な取り組みを行うとともに、事務職員の地位向上を図るべく施策を行う。
3. 事務職員が教官をサポートできるように、事務職員の意識改革も行うとともに、管理本部も柔軟な対応を図る。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 経営者は、教官と事務職員との関係を良好に保持できるように配慮した取り組みを行うことが不可欠である。
2. 教官と事務職員が定期的にコミュニケーションをとる機会をもつとともに、教育研究を遂行するうえでの手続き等においての不安を解消すべく取り組みを行うこと。
3. 現場の実態を勘案したうえで、取り組む事項の趣旨を逸脱しないように、適格かつ柔軟な取り組みができる体制を構築する。
3 実施する事項の例示
 
1. 教官から指摘された事務手続きに関する問題点等について積極的な解決できるような仕組みを事務本部内に設置する。
2. 教官のOBを再雇用(臨時雇用して事務職員へのアドバイスを行うなど)するなどして、教官と事務職のコミュニケーションを強化する。
(ウ) 教職員の行動規範の策定
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 教職員がとりうるべき行動規範を制定し、研究機関内に浸透させる。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 教科書的なものではなく、教育・研究の実態に合った内容とする。
2. 簡潔かつ具体的な取り組みがわかるようなものとする。とくに、個々の行為について、趣旨を十分に勘案して、その行為に対する取組みの方針がわかるようなものとすることで、チェックリスト的な規範としないように配慮が必要である。
3. 現場の声をできるだけ反映させるなどボトムアップ的な手法により作成を行うことで、教職員が納得できるものとすること。
4. 懲罰等の判断は、行動規範を基準として判断を行えるようなものとする。
3 実施する事項の例示
 
1. 行動規範の作成と研修等の実施。
2. 行動規範を分かりやすくした解説資料の作成と研修の実施
(エ) 懲罰規定の運用の透明化
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 懲罰規程を運用実態にあわせたものとする。
2. 懲罰規程を運用を透明になるような仕組みを構築する。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 懲罰規程の運用が不透明であったり、必ずしも公平ではない取り扱いがなされないように、懲罰委員会の運営の透明性を確保することが必要。
2. 処分の判断基準を、道路交通法による罰則規定のように、具体的かつ明示的なものとする。
3. 研究機関内のルールについて、運用実態にあわせた柔軟なものを制定するとともに、当該ルールから外れた場合は、厳格な懲罰規程の適用を行うことで、例外的な処理を認めないようにする。
4. 懲罰委員会の運営について透明性を高めるため、学外の専門家(弁護士、会計士等)を参画させるなどして、懲罰委員会のガバナンスを構築するとともに、外部の目をいれることで、客観的かつ公平な判断がなされるようにする。
3 実施する事項の例示
 
1. 懲罰委員会について、学部単位で行うのではなく、大学全体として取り組む。たとえば、ある学部での懲罰委員会を開催するか否かの判断の段階においても、大学本部の役員や本部職員等が参画するほか、懲罰委員会においても、自部局の関係者のみならず、大学本部の役員および本部職員、外部の有識者(コンプライアンス委員などを有する場合)を参画させる。
2. 懲罰規程の具体的な適用および判断基準について研究機関内で統一したルールを定める。
3. 懲罰委員会の運用について、わかりやすい体制図を作成する。

3. リスク評価(PLAN)
  (ア) リスク概念の整理と体系化
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. リスクの定義を明確にする。
2. 研究機関内におけるリスク要因を整理する。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. リスクの概念は、それぞれの者により大きく異なるため、研究機関としてのリスクを整理する(リスクは限定的にとらえるものではなく、広義に捉えることが必要)。
2. リスクとして、会計上生じるリスク、法令上(社会的要請を含む)生じるリスク、事務手続き上生じるリスク、IT関係から生じるリスク、教育研究上生じるリスク、学生に関するリスクに分類する。
3. 教育研究に関わるリスクと、事務リスクとを整理把握することである。
4. 教育研究リスクと事務リスクが双方が密接に関係するリスクについて、とくに配慮を行う必要がある。
5. リスクの整理において、できるだけ現場の実態に即したものを取り上げる。
6. 部局ごとの特性(理系・文系の別など)を踏まえてリスクを整理する。
3 実施する事項の例示
 
1. 研究機関におけるリスクの定義一覧表(リスク抽出にあたって基本となるワークシート)を作成する。
(イ) リスクの洗出しと定量評価
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 研究機関内に存在する具体的なリスクを抽出する体制を構築する。
2. 抽出されたリスクを体系的に整理を行う。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 各現場にリスク意識をもたせ、自ら改善できるような体制を構築するものとする。
2. リスクの抽出は、できるだけ現場の実態を反映したものとしなければならない。そのためには、リスクの抽出に当たって、できるだけ現場の関係者に関与してもらうことが必要。
3. 例えば、予算執行が年度末に集中するようなことがあるばあい、通常の教育・研究を行っているのであれば、現場の実態とあわない会計処理が行われていることが想定されるが、それらがどのような要因によっているのかは、現場がもっとも理解しているはずである。そのような現実的なリスクを率先して把握することが必要である。とくに、このような場合は、教官個人の問題ではなく、研究機関全体の問題であることが推察されることより、組織として構造的な問題を解消するよう取り組むことが求められるのである。
4. リスクの抽出に当たっては個別事象を積み上げて整理するものの、研究機関全体を通した構造的な問題にも踏み込んで、当該研究機関の全体的な問題に焦点をあてることが不可欠。
5. リスクの整理把握については、研究機関内の独自ルールにもとづく一定の定量的な評価(発生可能性と影響度)に基づき、取り組むべき優先順位を明確にすることも必要である。
6. リスクの抽出は毎年適宜行う。
3 実施する事項の例示
 
1. 研究機関内におけるリスク抽出ができるような体制を構築する。たとえば、部局ごとにリスク把握を行い、それらを研究機関内の本部事務局で吸収できるような体制を構築する。
2. 毎年、当該研究機関におけるリスク一覧表を作成する。
3. 毎年、発生可能性と影響度を織込み、リスク一覧表に優先順位をつけたものを作成する。
(ウ) リスク対応計画の策定
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 抽出されたリスクへの具体的な対応計画を策定する。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 優先的に取り組むべきリスクを中心に、数枚程度に簡潔にまとめたものを作成する。
2. 経営者は当該リスク対応計画を常時、モニタリングしながら、必要に応じて指示を行えるようにする。
3. リスク対応計画は、研究機関全体のものと、部局ごとのものに分けて、それぞれの取り組み状況がわかるようにする。
4. 対応計画の策定に当たっては、表面的な対応ではなく、構造的な問題にも焦点をあて、研究機関全体としてどのように取り組むのかという観点から整理を行うものとする。
5. 財務リスクと非財務的な側面におけるリスクとによって対応方法に一定の配慮をすること。
3 実施する事項の例示
 
1. リスク対応計画を作成する(研究機関としてのものと、部局ごとのもの)。
(エ) 経営者のリスク対応計画に対するコミット
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. リスクへの対応は、経営者自らが行う。そのためには、研究機関内に対して経営者自ら取り組んでいることを具体的に示すことが必要である。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. リスクへの取り組みは現場が率先して自ら行うものであるが、それらの取り組みにばらつきがでないように経営者がモニタリングすることが重要である。
2. リスクへの対応状況は、諸問題が生じた場合の重要な考慮すべき事項となる。たとえば、公然の事実として起きていた問題に何らかの対応をしていなければ、当該部局あるいは、経営者の管理責任が追及されかねないが、限られたリソースを、定量的に評価された高いリスクから対応していることが明確であれば、管理者責任についてある程度の考慮がなされる可能性がある。
3. 経営者は、研究機関内に生じるリスクについて常時、自ら対外的に説明できるようにしていなければならない。
3 実施する事項の例示
 
1. HP等を含め、各種媒体を活用して、リスクへの取り組みを研究機関内に明示する。
2. 部局ごとのリスク対応計画の進捗状況について、経営者自らモニタリングを行い、必要に応じて部局へ改善指示をだす。
3. 経営者および部局責任者のリスク対応計画に対する遂行の責任を明確にする。

4. 統制活動(Do
  (ア) リスク対応計画を実施する機関を設置
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 研究機関全体的な視点からリスク対応計画の進捗状況を管理する部署を設置する(あるいは既存の部署で行う)
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 経営者と直接的に関わる部署でありかつ、全研究機関的なとりまとめができる部署であることが必要。
2. 事務的な側面のみならず教学的な側面からの対応ができる人員の配置が必要。
3. 監査部門との密接な連絡体制が必要となる。ガバナンス的には、監査部門と分離すべきであるが、立ち上げ当初や人員数が足りない小規模機関においては、監査部門とコンプライアンス部門が一体となった取り組みをすることも考えられる。
3 実施する事項の例示
 
1. コンプライアンス室など、研究機関運営に当たって、全体的な視点から考察ができるとともに、現場の運用実態を検証しながら、リスク的要因として改善策を講じるよう関係部署と調整ができる部署を設置する。
2. 教官のOBの方などを採用して、教育研究現場に対して、具体的に対応できる人員を配置する。
(イ) 研究機関内規則等への柔軟な対応
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 研究機関内におけるルール規則の棚卸を実施し、体系化するとともに、現場実務との整合性について確認が必要。

2.

部局ごとに自治ルールが存在する場合、自治ルールではなく、研究機関内のルールとして明確にした上で、ルールの遵守を徹底する。なお、研究機関内において、それぞれの部局の特性を踏まえた複数の業務プロセスの選択肢をもたせるなど柔軟な対応をはかる(研究機関内の特性に合わせていくつかの手法に集約させる)。
3. ルールを定期的(1年に1度)かつ適宜に見直しができる体制構築をおこなう。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 運用の実態面に焦点をあて、実行可能なもの、かつ、適正な取り組みとなるような制度設計とする。
2. 形式的な要件を充足するのみならず、実施的な取り組みがわかるようなルール設定とすること。
3. できる限り現場で自らルールを考え、それらを自ら宣言し、自ら守らせるという方法をとるものとする。
4. 部局ごとの自治ルールについて、その運用が大学全体で見えるようにし、当該ルールを遵守させるような運用が望まれる。なお、文系、理系の別のように、取組み内容の相違に合わせたルール設定を行うなど柔軟な制度設計が必要である一方、似たような性質を有している部局では統一した業務プロセスとなるような体制を構築する。
3 実施する事項の例示
 
1. 研究機関内規則の定期的な見直しのできる体制構築。
2. 業務手順について、複数の手順を定め、部局ごとに選択を行わせるものとする。ただし、複数の手順の選択肢を持たせるものの、例外的な処理は、原則として認めないようにする。
(ウ) 職務権限の明確化と実務に即したルール化
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 現状の業務の役割分担と職務分掌が適切になっているか。規程と運用実態との乖離がないか確認する。

2.

実効性があり、かつ実務的に十分な承認体制となっているか検証する。
3. 決裁権限が適切なものとなっているか再検討が必要。承認印が数多く並んでいても、無責任なものとなりかねない。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 過去の慣習や慣例に引きづられた形式的な規程とせずに、実務の実態にあわせた体制を構築するとともに、それらを規定化する。
2. 権限委譲すべきものは委譲したうえで、承認印を簡素化し、決裁に対する責任を明確にする。なお、決裁内容にもよるが、責任を明確にするためには、決裁者を3人程度とすることが望ましい。また、決裁者は、形式的要件のみならず、実質的な責任を負うことを明確にして、実効性のある決裁を行うものとする。
3 実施する事項の例示
 
1. 決裁権限規程の見直し。研究機関として一覧性を有する権限規程を作成し、責任を明確にする。
2. 業務目的に合わせた職務分掌規程とする。
(エ) 予算執行の適正化
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 予算の執行状況を検証し、運営実態とあったものになっているのか確認する。

2.

予算執行が遅れている場合は、その原因を探り改善するべく検討を行う。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 一般的に教育研究は年間を通じて行われるものであり、執行が年度末に集中するような要因は考えにくい。そのため、年度末に予算執行が集中しているような場合は、執行処理に何らかの問題があると考えざるを得ない。
2. 財源の特定が、支払時点になっているなど、執行処理が遅れる要因となっていないのか確認を行う。
3. 当該年度が開始後に予算配分がなされていないのか、など予算執行管理において運営上の使いにくさの問題点等について、研究機関本部において適格に把握するとともに、具体的な改善策を講じることが必要。
3 実施する事項の例示
 
1. 予算編成方針を、教育研究目的との関係が明らかになるように、目的別予算編成を精緻化する。
2. 発注段階で予算財源を特定化するように制度設計を行う。
3. 予算配分を当該年度の開始以前に確定させ、4月からは配分された予算でしっこうできるようにする。
4. 年度が始まったにもかかわらず予算配分がなされない、あるいは、補助金等について実質的な受諾後交付されるまでの間など、限定的な期間において予算執行ができないような場合に、立替払い制度などの代替策として対応をはかれるような制度を構築する。
(オ) 物品等の発注検収業務の適正化
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 発注段階で、財源を特定し、予算執行処理を行うことを義務付ける。

2.

発注者と業者の関係が緊密になり過ぎないようにする対策を講じること。
3. 発注・検収業務について、第三者からの牽制が効くシステムを構築・運営すること。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 発注と検収の相互牽制が係るような調達業務全体の枠組みでの牽制を検討することが必要。具体的には、発注業務を円滑にした場合は、検収における牽制を厳格化するなどの方策が必要。また、実務的に対応できる牽制システムを前提に制度設計を行うことも重要である。
2. 牽制システムは、物品調達行為に関わる不正を抑止する効果を上げるとともに、物品調達の効率性を不当に低下させないため研究活動の円滑な実施を最終的に妨げないものとするよう、効果と効率のバランスに配慮すること。
3. 部局の特性(文系・理系の別)に応じた対策も必要となる。理系であれば、ある程度は、現場による直接発注を認めざるを得ないが、それを前提とした制度設計を構築することが必要となる。
4. 調達業務の制度設計にあたっては、発注と検収体制を整備するのみならず、研究機関の内部統制を構築しなければならない(統制環境、リスク評価、情報と伝達。モニタリングなどとあいまって統制活動が機能をする)。
3 実施する事項の例示(別紙を参照のこと)
 
1. 現場の実態にあった調達ルールとする一方で、運用面を厳格にする。
2. 請求書等について、業者が発効する現伝票を証拠書類とする。
3. 不正行為に加担した業者に対しては、全学的に取引を一定期間停止するなどの措置を講じる。

5. 情報と伝達
  (ア) 内部通報制度の構築
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 形式的なものではなく、実効性のある、内部通報制度の構築を行う。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 通報者保護を徹底するために、内部通報制度の運用面を実効性のあるものとする。そのためには、外部の識者を間に介在させ、身内による制裁処分や、通報内容の特定がされにく状況や、報復措置に対する徹底した対応が必要となる。
2. 通報窓口について、研究機関と何ら関係のない外部の弁護士事務所等(できれば個人でないある一定規模以上の弁護士事務所)とし、通報内容におうじて、研究機関に設置された外部の識者からなるコンプライアンス委員会が事実の調査を行い、対応を図るなど、慎重な対応ができる制度設計が必要。
3. 誹謗中傷をさけるために、通報者は実名を前提として、やむを得ない事情がある場合にのみ匿名とする。また、通報の実効性を高めるためには、通報の受付時間を限定したり、メールでの具体的な対応とする。
4. 原則として、受け付けた通報に対する措置は、通報者にフィードバックを行うこととする。
3 実施する事項の例示
 
1. 弁護士等を通報窓口とする。
2. 外部識者からなるコンプライアンス委員会を設置する。
3. 学内に対して、内部通報制度の仕組みおよび実効性について周知徹底を行う(決して奨励してはいけないが)。
(イ) 学外からの意見受付窓口の設置
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 学外から意見を受入れる仕組みを構築する。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 実効性のある相談窓口を設置し、それらを外部に対して説明していかなければならない。
2. 具体的には、業者の方が教官との関係について問題を持っている場合など、当該相談者の立場を考えた対応ができなければならない。そのため、内部通報制度と同様、相談を受けた内容が、相談者の不利な状況を生み出さないような制度設計が必要となり、かつ、それを外部の相談者が理解できるものとしなければならない。
3 実施する事項の例示
 
1. 学外からの意見や相談窓口を設置
2. HP等を通じて、学外からの相談窓口があることを積極的に開示していく。
(ウ) 教官と事務官のコミュニケーション強化
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 教官と事務官がコミュニケーションをとりやすい、あるいは、とれる体制または状況を構築する。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 事務官の専門能力を高めることで教官を理解させることも必要となる。また、杓子定規な対応ではなく、教官から要求された事項について、実行可能性の観点から柔軟に対応をはかり、当該事象への対応結果について適切に説明を行い、了解を得るような取り組みも必要。
2. 管理体制を強化するためには、その財源も必要となるため、事務官によるサポート力を向上させる一方で、外部資金の間接経費率を高めるなどの措置が必要となる。
3 実施する事項の例示
 
1. 教官OBのアドバイスをもらいながら、教育研究現場との関係を強化していく。
2. 事務官の専門性を向上させる施策あるいは、専門性の高い職員を採用する。
(エ) 浸透度調査の実施
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 行動規範あるいは各種ルール等に対して、教官および事務職員がどの程度理解をしているのか確認を行う。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 研究機関内に存在するリスクを測定するためにも、教職員の意識およびルール等の遵守対する捉えかたについて定期的(2から3年に一度)に調査する。とくに重要な点は、研究機関が規定している行動規範を始めとしたルールに対する意識や遵守状況の実態を調査することである。ルール等が形骸化をしていたり、当該ルールを遵守できない事情が、研究機関全体の構造的な問題に起因していることなどを抽出することが狙いとなる。
2. 調査に当たっては結果の適正性を担保するために、できるだけ、全職員を対象とする一方、外部を活用して、ITなどを使用しないような配慮を行う。
3. 調査内容について教官と職員をわけるなどの配慮を行うことも適宜必要に応じて行う。
4. 当該調査結果については、経営者がリーダーシップをとりながら、しかるべき部署(コンプライアンス室、監査室)等が対処を図ることが必要である。
3 実施する事項の例示
 
1. 全教職員の意識調査あるいは浸透度調査を行う。
(オ) 情報開示
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 研究機関における意思決定プロセスについて外部に対して開示を行う。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 行動規範をはじめ、研究機関の運営にあたり、運営の仕組みや取り組み状況などの情報開示を行う。なお、重要な点は、結果としての個々の行為よりも、意思決定がどのようになされているのかという観点から、意思決定プロセスについて情報を開示するとともに、それらが適切に運用されていることを報告書に盛り込む。
2. 最近、企業ではCSR報告書(注:企業の社会的責任報告書)等の各種情報開示が進んでいるが、USR(大学の社会的責任)報告書などの観点から、ガバナンスやコンプライアンス体制など非財務的な側面および研究機関運営に当たっての意思決定プロセスを開示することが考えられる。
3 実施する事項の例示
 
1. 研究機関の運営状況に関する報告書を作成し、HP等により開示を行う。

6. 監査制度のあり方
  (ア) 実効性のある監査制度の確立に向けて
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 研究機関全体的な視点から監査制度を見直すことが必要。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 財務情報を対象とした監査から、非財務情報を対象とした監査まで監査対象範囲を拡充する場合、当該監査対象の特性に応じた監査体制の構築が必要となる。具体的には、財務情報の監査は、伝票等を通じて数値の特定をどのように行うのかという捕らえ方をするのに対して、非財務情報の監査は対象範囲が広く、研究機関全体のリスクを特定しそれらを最小化するための仕組みが如何にできるかを捉えた監査体制をとることが必要となる。
2. 非財務的な情報を監査対象とした場合、研究機関全体からみた監査体制とは、まず、1次的な予防効果として現場における牽制が適切にできるかといった点が重要となり、2次的な措置として、それらの牽制が適切になされているのか、なされていない場合は、その原因は何かということを日常的にコントロールするリスク管理部署が必要となる。そのうえで、それらが機能しているかどうか検証するのが内部監査部門の業務ということとなる。
3. すなわち、内部監査部門の強化に当たっては、単なる人員増強ではなく、研究機関を運営を全体的な視点から考察できる能力を有する者を配置するとともに、その実効性を高めるためには、1次的あるいは2次的な予防措置が取られることが前提となる点に留意することが必要である。
(イ) 内部監査制度の構築
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 財務的な側面および非財務的な側面の双方を監査できる体制を構築する。
2. リスク管理部門との連携を強化して、リスクに応じた内部監査を実施する。
3. 内部監査部門を経営者の直轄的な機関として位置づけ、当該監査部門に一定の権限を付与する。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 内部監査の実施に当たっては、研究機関内のリスクに応じた強弱をつけた実施が望ましい。なお、財務的な情報に対する監査と非財務的な情報に関する監査のそれぞれの特徴を踏まえた監査制度の構築が望まれる。
2. 大規模な研究機関と中小規模の研究機関とではその対応が異なるものとされるが、独立した内部監査部門を設置することが望ましいが、人員的に困難な場合には、以下のような方法をとることも考えられる。
(ア) 財務情報に対する内部監査は、伝票等を通じた取引の検証に重点がおかれるため、内部監査担当の部署が取りまとめる責任を有したうえで、複数の部署から人員を確保して内部監査チームとして対応することが考えられる。
(イ) 非財務情報に対する内部監査については、リスクの抽出および対応計画の策定、執行状況を管理する部署等において兼務して実施することが考えられる。その場合、担当する職員は、研究機関全体の運営を見ることができる高い能力を有した者を配置することが必要となる。
3 実施する事項の例示
 
1. 内部監査チームの編成(内部監査部署の設置)
2. リスク管理部門からリスク情報を入手したうえで、監査計画を立案する。
(ウ) 外部監査との連携強化
 
1 標準として実施すべき事項
 
1. 監事監査、公認会計士監査との連携を強化する。
2 実施すべき事項を具現化する上でのポイント
 
1. 監事、公認会計士と内部監査部門が相互にかつ、定期的に情報交換をもつ場を設定する。なお、それぞれの立場は異なるため、互いの意見形成には影響を及ぼしてはならないが、研究機関内に存在するリスクに関する情報や、監査の重点項目については、相互に意見交換を図ることで、効率的かつ効果的な監査を実施することが考えられる。
2. 内部監査部門は、自ら監査を実施するのみならず、外部監査機関のほか、内部通報制度における外部識者からなるコンプライアンス委員会や外部からの相談窓口など、研究機関内のあらゆる部署との連携を行うことで、効果を発揮できるようにする。
3 実施する事項の例示
 
1. 監事および公認会計士と内部監査部門が相互に定期的に情報交換をする場をもつ。

7. 文部科学省による指導のあり方

8. 機関に対する制裁措置


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