試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ地質・地震動サブワーキンググループ(第2回) 議事録

1.日時

平成21年10月14日(水曜日)10時00分~12時30分

2.場所

文部科学省15階 科学技術・学術政策局会議室1
住所:東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 1.新耐震指針に照らした試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価について
  2. (1)試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ 現地調査(第1回)報告
  3. (2)試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回)~地質・地震動サブワーキンググループ(第1回)における主なコメントの整理
  4. (3)耐震安全性評価の中間報告(京都大学)について(コメント回答)
  5. 2.その他

4.配布資料

地質・地震動2-1 試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ 現地調査(第1回)報告
地質・地震動2-2 試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回)~地質・地震動サブワーキンググループ(第1回)における主なコメントの整理(案)
地質・地震動2-3 前回までのワーキンググループ等における主な論点の整理
地質・地震動2-4 前回までのワーキンググループ等における主な論点への対応
地質・地震動2-5 試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ地質・地震動サブワーキンググループ(第1回)の速記録 

5.速記録(地質・地震動サブワーキンググループ(第2回))

平成21年10月14日

【吉田原子力規制室長】  それでは、定刻となりましたので始めさせていただきたいと思います。委員の先生方におかれましては、ご多忙のところご参集いただきまして、ありがとうございます。

 本日の進行は、本サブワーキンググループの主査であります杉山先生にお願いしたいと思いますので、それでは、先生、よろしくお願いいたします。

【杉山主査】  おはようございます。きょうはお忙しい中、どうもありがとうございます。

 それでは、第2回目の地質・地震動のサブワーキンググループを始めたいと思います。このサブワーキングは公開ということですので、手を挙げていただいてからご発言をよろしくお願いいたします。

 それから、きょうも傍聴されている方もいらっしゃると思いますが、審議の進行にご協力をよろしくお願いいたします。

 それでは、最初にきょうの配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

【益田係員】  それでは、事務局より配付資料の確認をさせていただきます。

 まず、座席表の次の紙でございます。議事次第に沿って説明いたします。

まず、地質・地震動2-1、試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ現地調査(第1回)報告。

 地質・地震動2-2、試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回)~地質・地震動サブワーキンググループ(第1回)における主なコメントの整理(案)。

 地質・地震動2-3、前回までのワーキンググループ等における主な論点の整理。

 地質・地震動2-4、前回までのワーキンググループ等における主な論点への対応。

 地質・地震動2-5、試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ、地質・地震動サブワーキンググループ(第1回)の速記録。

 不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。資料、速記録等については、今後、文部科学省のホームページにて公開させていただくこととなっていることを報告させていただきます。また、地質・地震動2-5の前回の速記録につきましては、既に文部科学省のホームページにて公開させていただいておりますことをあわせてご報告させていただきます。

 なお、傍聴者の方々にはホームページをご参照くださるようお願いいたします。

 以上です。

【杉山主査】  どうもありがとうございました。

 この資料で不足等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。あと、2-5の資料、これはまだこれからですね。確認をしていただいた上でという。

【吉田原子力規制室長】  いや、2-5はこのまま。

【杉山主査】  このままですか。

【吉田原子力規制室長】  ホームページで、もう載っております。

【杉山主査】  2-5もですか。

【吉田原子力規制室長】  2-5はホームページで載っています。これは第1回の。

【杉山主査】  そうですか。わかりました。はい。

 ほかはよろしいでしょうか。資料等、皆さん、2-5までありますでしょうか。そうしたら、次の議題に移りたいと思います。きょうの最初の議題は、現地調査、この間、雨の中、何人かの方には行っていただきましたし、京都大学のほうでは非常にご丁寧にご対応いただきまして、ありがとうございました。それの報告を事務局からお願いします。

【江頭安全審査調整官】  地質・地震動2-1という資料、1枚紙によって説明させていただきます。

 主査のお話にありましたように、雨の中、出席いただきまして、これはワーキングとしての現地調査でございますので、2つのサブワーキングの先生にご参加いただいております。本サブワーキングからは藤原先生、杉山主査に参加いただいております。そのほか、丹沢先生、藤田先生、和田先生、あと上之薗先生に参加いただいております。それから、事務局から2名が同行いたしました。京都大学からは代谷副所長、釜江先生、中島先生ほか、研究所、実験所の方にかなり丁寧に説明、それから、案内をしていただいたと思っております。

 それから、実際に調査内容でございますけれども、4.調査内容というところにありますようにKURの原子炉本体、左下の写真は、炉の上部のほうに乗って、これはふたを開けて中の冷却材をのぞいているところだと思いますけれども、原子炉本体、それから、炉の地下にあります機器・配管の状況、それから、生体遮へい体、制御棒の駆動装置、使用済み燃料プール、これらの設備、機器について実際にごらんいただきました。それから、京都大学のほうから説明をいただいたということでございます。

 それから、右下のほうの写真にありますとおり、これは実際の建設時の図面、これは左のほうの青い紙を並べておりますけれども、これが設計図でございます。それから、真ん中、床のほうに置いてあるのは、これはボーリングのサンプル、花崗岩等の状況について実際にサンプルが並べられている。これも確認いただいております。それから、右の奥のほう、これも地質調査の実際の調査の報告書等を並べてありまして、これも実際にごらんいただいているところでございます。それから、1枚紙には書いておりませんけれども、実際の建屋の周辺も雨の中でしたけれども、実際に歩いていただいてご確認いただいたというところでございます。

 実際に調査に参加いただいた先生、何か補足等ありましたら。

【杉山主査】  藤原先生、何かありますか。私はすごいなと思ったのは、青焼きの図面がちゃんと残っていて、見せていただいて非常に、京都大学の先生方が皆さん手分けをして、それぞれのご専門の方が図面を描いているというところもあったので、そこは非常に印象深く拝見させていただきました。あと、コアもきちんと、スポット的ですけれども、基盤の花崗岩等もちゃんととられていましたので、それも確認させていただきました。

 以上です。

【江頭安全審査調整官】  この後、実際に京都大学のほうからご説明があると思いますけれども、あわせて現地調査のときには、実際に第1回のサブワーキングでコメントのありました中央構造線断層帯の基本モデルの再検討の状況についても、若干ご説明があったところでございます。

 以上でございます。

【杉山主査】  何かご質問とかありますでしょうか。よろしいですか。

 そうしたら、次の議題に進みたいと思います。次の議題は、この間の第1回のサブワーキンググループの主なコメントの整理、この整理に基づいて京都大学から後でご回答いただくことになるかと思いますが、その整理(案)のご説明をよろしくお願いします。

【林安全審査官】  それでは、コメントの整理表(案)ということで、第1回の親委員会と前回の第1回サブワーキングをあわせて書かれているものですが、下線の部分が前回サブワーキング第1回目のコメントになります。失礼しました。地質・地震動2-2の資料になってございます。

 まず、第1点目でございます。「1.地質・地質構造」、「1陸域」ということで、「中央構造線断層帯」について、コメントがなされました。「中央構造線断層帯の紀淡海峡から鳴門海峡の活動時期はわかっているのか。なお、紀淡海峡-鳴門海峡と金剛山地東縁-和泉山脈南縁は違う活動をすることがわかっている。」というコメントをいただいております。それに対して京都大学のほうからは、「地震調査研究推進本部・長期評価においても違うものとして示されているが、その信頼性という意味ではかなり幅のある活動時期になっている。」という回答をいただきました。

 事務局の発言になりますが、「地震調査研究推進本部より平成12年7月に発出された「全国地震動予測図」においても、紀淡海峡-鳴門海峡は金剛山地東縁から和泉山脈南縁と別に記載されている。」という報告をしております。第1回サブワーキングでの終盤でございましたけれど、杉山主査の発言であったと思いますが、「現状で、さまざまな不確かさを考慮するのであれば、紀淡海峡と紀伊半島を分ける形で、断層長さを評価して問題ないと判断する。」とのコメントがございました。

 次に、上町断層帯ということで、「現状での断層に係るデータも満足ではなく、千里丘陵にあたる北部では活断層ではない可能性もあるとされている。したがって、最大規模の断層を考えるしかない現状において、本中間報告では桜川撓曲、住之江撓曲の分岐している断層を加えて評価しており、十分な不確かさを含めた評価になっていると判断する。」というコメントをいただいております。

 大阪湾断層帯については、「説明資料の大阪湾中の活断層で、空港近傍に引かれた線は何によるものか。」というコメントがございました。京都大学からですが、「浸食及び堆積によって形成されたものという説があり、表層からの探査ではこれによる段差を検出していると考えている。」という回答でございます。

 続きまして、「3.地下構造」になります。「地下構造」の内容としてこの部分で整理することは適切ではないかもしれませんが、ひとまず、「地下構造」として追記させていただいております。「微動アレイ探査より得られた地下構造とボーリング調査で行ったPS検層との比較はなされていますか。」というコメントがございました。

 京都大学からの回答でございますが、「微動アレイ探査結果は空間自己相関法(SPAC法)で解析し、基盤岩深度はボーリング調査から得られた深度よりも3倍程度深く推定され、また、周波数-波数法(F-K法)で解析を行った場合においても、地質不規則構造によって散乱が影響し、適切な深度評価はなされないと判断した。一方、単点微動探査のH/Vスペクトルのピーク周期から深度を推定した場合は、ボーリング調査結果とおおむね整合する。したがって、基盤岩深度が平行成層となる海岸線付近において実施された微動アレイ探査によるSPAC法及びF-K法から得られた深度は、ボーリング調査結果並びにH/Vスペクトルからの推定深度はおおむね一致し、海外線から山側についてはボーリング調査結果、H/Vスペクトルからの結果によりコンター図を作成している。」という回答でございます。

 続きまして、「2.基準地震動Ss」というところでございますが、その横のコメントの部分ですが、【応答スペクトル法】と書かれているところに、括弧書きとして「全般」という語句を追加させていただきました。項目としてどこに入れるべきか迷いましたが、ひとまず、「全般」という注記を付け加えさせていただき、この部分に追記させて頂いております。

その中で、「WG等における回答」ということで、京都大学のほうから、「兵庫県南部地震における建物内での強震記録により耐専スペクトルの有効性について示す予定である。」という発言がございましたので、それを追加してございます。

 続きまして、同じく「基準地震動」の、「1内陸地殻内地震の想定と地震動評価」ということで、「応答スペクトルに基づく地震動評価」ということで、「震源近傍における破壊伝播効果(NFRD効果)及び内陸地震に対する補正は行われていますか。」というコメントがございました。それに対する回答ですが、「中央構造線断層帯、上町断層帯及び生駒断層帯は内陸補正(0.6)を考慮している。NFRD効果については、断層からの距離を考慮し、中央構造線帯のみ考慮している。また、兵庫県南部地震の強震記録を用い、応答スペクトルでの補正の是非について示す予定である。」という回答でございますが、ここの論点については、3ページには、内陸地殻内地震だけではなくて、プレート間地震及びプレート内地震に関する補正につきましても確認がなされております。

 一応、まずはこのような形でまとめさせていただいておりまして、「中央構造線断層帯」に続きます。

「中央構造線断層帯(金剛山地東縁-和泉山脈南縁)」ということで、「本中間報告での基本モデルは、断層面の傾斜角を高角として(80度)として設定しているということに対し、地震調査研究推進本部及び中央防災会議での強震動予測時に用いた傾斜角はもう少し低角となっており、異なる評価となっている。」 また、括弧書きで少し記しましたが、「高角の断層面を基本モデルとする場合、本ワーキングでも何らかの判断を要すると考えるが、明確な説明が得られていない。」と、第1回サブワーキングにおいて、京都大学から明確な説明がなされていなかったことを記させていただいております。 「また、新潟県中越地震を踏まえ、短周期レベルの地震動を1.5倍(応力降下量:強震動レシピ×1.5倍)とする不確かさの考慮についても傾斜角との組み合わせに関して適切な組み合わせとなっていないものではないか。」という指摘、コメントがございました。

前半のコメントに対しては、「京都大学からは本断層は横ずれ断層と評価されている。また、断層南縁では直線状に明瞭な地表トレースが記されているが、低角では明瞭な地形として残らないと考え、傾斜角は高角と設定しました。」という回答でございました。

 不確かさの件については、「傾斜角と不確かさを同時に考慮することにより、基準地震動は大きくなることが想定されるが、地震動だけの問題でなく、施設の健全性を含めた総合的な問題として考えている。」  括弧内としては、「基準地震動の評価に際しては、地震調査研究推進本部での強震動予測時に用いたパラメータを基本モデルとし、この基本モデルに不確かさを考慮したモデルと合わせて評価を行う。」 ということで、次ページの「基準地震動Ssの策定結果」でのコメント内容と、この括弧書きの部分は重複しますが、本項目の欄に論点を記させていただきました。

 続きまして、3ページ目になります。「中央構造線断層帯」の続きですが、第1回サブワーキングの後半において、杉山主査のほうからの発言でございます。「傾斜角については、横ずれ断層であるため、高角となるとは言えない。現状の応力場から考えると新たに断層ができる場合には高角の断層面になることも考えられるが、既に弱線として地殻内にあるとすれば、その弱い部分に応力集中が発生し、それに沿って滑りが生じることも考えられる。このような考え方をもって地震調査研究推進本部・中央防災会議の断層モデルが設定されると想定する。」ということでございました。

 上町断層につきましては、「基準地震動評価においては、十分な不確かさを設定しているため、断層評価としても妥当と判断する。」というコメントをいただいております。

 続きまして、「2プレート間地震の想定と地震動評価」ということでございますが、先ほど内陸地殻内地震動における補正の内容にあわせて、この部分につきましてもコメントがなされておりました。「スペクトルの補正を行っていますか。」という質問です。「プレート間地震の補正は行っていない。なお、プレート内地震については確認をする。」 本日、報告があろうかと思いますが、ということの回答でございました。

 プレート間地震について、本サブワーキングとしてのまとめとしては、「プレート間地震において中間報告の内容で特に問題はないと判断する。」 そのような内容が、杉山主査と藤原委員のやりとりの中から伺え、記録として記させていただいております。

 あと、「3震源を特定せずに策定する地震動」ということですが、「地震調査研究推進本部より平成21年7月に発出された「地震動予測図」において、本サイトでの最大マグニチュードは変更された経緯はありますか。」という質問に対して、藤原委員のほうから、「最大マグニチュードは6.8で変更されていません。」という回答になってございます。この「震源を特定せずに策定する地震動」についても、「中間報告の内容で特段問題がないと判断する。」ということで、記させていただいております。この経緯としては、括弧内で書きましたけれども、「中間構造線断層帯の断層評価が優位となると思われるため。」 ということで、「震源を特定せずに策定する地震動」については、この程度ということで、まとめております。

 「4基準地震動Ssの算定結果」となります。「解放基盤面表面の策定」ということでございますが、特段、これに関する議論ということではございませんでした。しかしながら、京都大学の中間報告では、かなり深い深度に解放基盤表面を設定しておりますので、ひとまず、「中間報告の内容で特に問題がないと判断する」というところで記させていただいております。

「基準地震動Ssの策定結果」ということについては、先ほどの断層の傾斜角と不確かさの内容を含め、「中央構造線断層帯による断層パラメータを見直し、基準地震動の再評価を行うべきである。」というコメントを受けて、本日、報告になってございます。

 「3.原子炉建屋への入力地震動」ということになってございますが、「地下構造モデルに関しまして、地層ごとに細かく地盤定数(P波速度、S波速度及び密度)がゾーニングされておりますが、地盤の動的変形特性をどういうふうな根拠で設定したのか。」というコメントがございました。それに対しまして京都大学のほうからは、「3軸圧縮を実施しているが、すべての層については実施していない。一番近傍の値として採用している。」という回答でございました。また、地盤の動的変形特性については、設定の根拠の整理を行い、本日説明するという予定になってございます。

 あと、「等価線形解析が適用できるせん断ひずみの上限は0.1%から1%とされております。その適用範囲を超えていると思われる。逐次非線形解析等により入力地震動の評価を実施すべきである。」というコメントもいただいておりました。これに関しましても、本日、説明があるかと思います。

 あと、3ページ目に、失礼しました。少し飛ばしてしまいましたが、「4基準地震動Ssの算定結果」というところで、本日、説明をしていただきます「地震動の超過確率」というところの項目を1つ加えてございます。

 続きまして4ページ目になります。「3.原子炉建屋への入力地震動」の続きになりますが、「等価線形解析結果における最大せん断ひずみとは、時刻歴の異なる時点での最大値が発生したひずみをプロットしたものか。」という質問がございました。京都大学は「そのとおりであると。地盤の等価物性、有効ひずみでのせん断剛性Gと減衰定数hの収れん計算により求めていて、有効ひずみは最大ひずみの0.65倍としています。」という回答でございます。

 5ページ目の最後になりますが、本日、京都大学より、説明していただきます「地震の随伴事象」についても、今回、この欄に追加してございます。

 以上でございます。

【杉山主査】  説明、どうもありがとうございました。

 かなりたくさん細かい点を記録していただいてあります。一応、これで漏れがあったりとか、誤字脱字も含めて、もしご指摘があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。先生方の第1回目のときのご指摘がきちんと反映されているかどうか確認いただければと思いますが。

 翠川先生、よろしいでしょうか。

【翠川委員】  はい。特に。

【杉山主査】  では、私のほうから1点ですけれども、2ページ、3ページあたりに断層の角度が「低角」と「広角」とあるのですが、「広」という字ではなくて、コウカクって、角度が高いという意味なので、「高」という字ですので、すみませんが、これ。広角というのはまた全然別の意味で使うことはあるのですけれども、高い角度ということですので、それを修正していただければと思います。

【吉田原子力規制室長】  はい。

【杉山主査】  では、これで一応、我々のサブワーキングのコメント、それから、全体のワーキンググループのコメントもあわせてここに記させていただいてあって、これに対して、もしこれがまとまりましたら、これについて、ご回答いただければとは思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 伊藤先生、よろしいですか。

【伊藤委員】  はい。今、議事録で確認をとろうと思ったのですが、3ページ目の一番下の欄で、原子炉建屋の入力地震動のところで、コメントの中で最後のポツがございます。それで、最終的にこの非線形性の話はこのとおりだと思うのですけれども、入力地震動の評価を逐次非線形解析で実施すべきであると、こういう強い表現になっているのですけれども、これは今後かなり影響があると思うんですね。

 確かにこちらのほうのような、少しやわらかい地盤が上のほうに乗っている場合はこれでよろしいかと思うのですけれども、現時点で、私自身は逐次非線形解析コードというのが、信頼性がどれだけあるかという点がまだ問題がありまして、実施すべきであると書かれると非常に強い印象を与えるので、できればここのところは入力地震動の評価を非線形解析でも実施してみてはいかがかというような、ちょっとやわらかくしておいていただきたいなという希望があるのですが。

【杉山主査】  これは翠川先生、ご指摘かとは思いますが。

【翠川委員】  趣旨としては、要するに、ほかの方法、逐次非線形解析等で等価線形解析の方法の妥当性を検証するなり、そういうことをやっていただきたいということですので、「すべきである」というのは正確な表現ではないというのは、ご指摘のとおりだと思います。

【杉山主査】  では、いかがしたらよろしいでしょうか。実施すべきではないかとか、先ほど伊藤委員からご指摘のあったような表現でよろしいでしょうか。翠川先生のご意見で直させていただければ。

【翠川委員】  評価について確認をするとか、そういうことですかね。

【杉山主査】  「確認をすべきである」でよろしいですか。

【翠川委員】  ええ。

【杉山主査】  確認すべきである。伊藤先生、それでよろしいでしょうか。

【伊藤委員】  はい。結構だと思います。波及効果が結構大きくて、言ったわりには現実にどうすればいいのだ、どのコードを使うのだという非常に大きな問題が絡んでいますので、今、翠川先生がおっしゃったような形で確認していくということは重要だと思います。

【杉山主査】  わかりました。では、そういうことで修正のほう、よろしくお願いいたします。

【吉田原子力規制室長】  はい。

【杉山主査】  これでコメントの整理は終わりにしたいと思います。

 それでは、次に、きょうの一番重要な議題になると思いますが、京都大学から、きょう取りまとめたこのコメントに対する回答を、中間報告についてのコメント対応の説明をよろしくお願いいたします。

【釜江先生】  おはようございます。京都大学の釜江でございます。繰り返しになりますけれども、先日の現地調査には多数の委員の方々においでいただきまして、ありがとうございました。特に雨の中、あの日はピンポイントに雨でして、前日も天気で朝もましだった。午後が一番、外、フィールドに出ていただくときが、一番雨が降ったということで非常に申しわけない。我々の日ごろの行いが悪かったのかなと思っていますけれども、ありがとうございました。

 それでは、今、事務局のほうからこれまでのワーキングのQ&Aを詳細にご報告いただいたわけですけれども、我々、その中から主な論点といいますか、回答をしなければいけないこと、少しまとめてございます。これも含めてまた後でご審議いただけたらと思いますけれども、資料の2-3でございます。少し私のほうから簡単にサーベイといいますか、レビューをさせていただきたいと思います。その後、詳細な回答は川辺のほうからやらせていただきます。

 まず、1つ目、順番は少し不同になってございますけれども、特に重要なものからではなくて、1つ目は基準地震動に関して、これも応答スペクトル、我々、今、耐専スペクトルを使ってございますけれども、それに対する内陸地震、プレート間地震、プレート内地震、それぞれ補正が必要だということで、その辺の補正のやり方、やっているのか、やっていないかも含めまして説明してくださいということですので、きょう、資料2-4のほうについて3つの発生様式についての考え方をご報告申し上げたいと思います。

 中でも内陸については神戸の地震、1つの地震だけなのですけれども、幸いにも我々フリーフィールドではなくて、別な原子炉建屋の臨界装置という、手前にあった原子炉のベースマットの上で観測していまして、それが幸いにも、神戸の地震がとれたということで、この地震の記録はいろいろと、位置的にも神戸の断層をちょうど横から見ている場所に我々のところは位置するものですから、インバージョンとかいろいろなものに使っていただいて、非常にいいデータがとれたと思っています。それを使って少し補正についてのご説明をさせていただきたいと思います。

 2つ目は、これは非常に重要な、多分、きょうの一番重要なところだと思いますけれども、この中央構造線断層帯、我々がSsの対象としています断層ですけれども、これについては我々、当初は横ずれ断層ということで高角の断層を考えていましたけれども、推本、中央防災会議、それぞれ低角といいますか、43度ぐらいの角度を持った断層、これが地質境界といいますか、いろいろな調査では見えるということで、それをなかなか否定できない。この前、翠川委員からも、それを否定するような議論をしたらどうですかということもあったのですけれども、縦ずれである、高角であるということを、データを持ってなかなか説明しにくいということもあって、少し考え方を整理させていただきました。その考え方について、きょうお話しするのと、当然、それについての基準地震動の再評価、それについてもご報告申し上げたいと思います。

 それから、3つ目、地下構造。これは我々のところ、堆積地盤が200メートルぐらいあるわけですけれども、建屋への入力地震動を当然評価しなければいけないということで、そういう地盤、1次元の地盤構造モデルをつくっています。そのときに非常に細かくモデル化していまして、当然、原則は地質、砂と粘土の互層ですけれども、それを少し反映するために細かに分割したようなモデルをつくっているわけですけれども、そこでP波速度とかS波速度、要するに入力地震動に影響するような物性ですけれども、そういうものがどういうふうにゾーニングされていますかということなのですけれども、当然、すべての層で、例えば動的変形特性など求めていませんので、そういうところの関係を、どういうところのデータをどういうところのモデルに使ったかというようなことを少しゾーニングといいますか、その辺の関係を少しご紹介といいますか、ご説明させていただきたいと思います。

 あと、入力地震動、これもこれに関係しますけれども、先ほどもお話がありました。ひずみが1%ぐらいになってしまうわけですけれども、これはかなりSsが大きいということで、それで、そういうときに我々は今まで等価線形手法を使っていましたけれども、そういうひずみが大きいときには当然、等価線形の限界がございますので、少し時刻歴の非線形計算をやって検証してはどうですかという、コメントの中のトーンも少し下げていただきましたけれども、我々のスタンスとしてはやはり等価線形解析がどの程度使えるのかということ、少し時刻歴を併用しながら、そのレベルを確認するというようなことできょうはご報告申し上げたいと思います。

 それから、5つ目ですけれども、基準地震動の超過確率を示すことということで、これは指針の中にも参考としてSsがどの程度の超過確率を持っているかということを示しなさいということがございまして、きょうも一応、こういうハザードの計算をしてまいりまして、これは原子力学会の基準、基本的な方法がございますけれども、そういうのを考えながら、あとは推本の長期評価を見ながら、一般的にやられている方法で今のSsがどの程度かということをお示ししたいと思います。これは参考ということです。

 あと、建屋の健全性。これは先日の現地調査でいろいろと我々、建物とか機器、そういうものの健全性、高経年化も関係しますので、そういうデータをお見せしたのですが、少し見せ方に不備がございまして、この辺については次回の――次回といいますか、今後の施設の機器SWGのほうで、もう少し詳細に説明をさせていただきたいと思います。

 それと、機器・配管系の耐震評価、これも第1回の全体のときにいただいた藤田委員からの意見でございますけれども、こういうところについても施設・構造SWGで説明させていただきたいと思います。もう一つ、制御棒の地震時の挿入性についても同じで、そういうところでさせていただきたいと思います。

 最後に、少しお話がありました地震随伴事象、これは津波と周辺斜面による影響ということで、津波は、標高は60メートルぐらいありますから問題ないのですが、あと周辺斜面についても、この前、現地調査に来ていただいた方は目で確認をしていただいたと思いますけれども、来られていない委員の先生がいらっしゃいますので、写真等々準備してまいりましたので、それらで簡単に周辺斜面による影響はないということを説明させていただきたいと思います。

 簡単でしたけれども、少し前振りということで、こういうことについて、きょう右側に書いています資料2-4というところは、この後ご説明する内容でございます。

 それでは、詳細のほうを。

【杉山主査】  では、詳細によろしくお願いいたします。

【川辺先生】  おはようございます。川辺でございます。資料2-4のほうの詳細説明をさせていただきます。先ほどご説明させていただきました資料2-3のうち、9項目のうち6項目をきょうはコメントに対して回答させていただきます。ここに挙げました6項目です。

 まず、1項目目、応答スペクトルに基づく地震動評価における補正について、この項目につきましては、応答スペクトルに基づく地震動評価において内陸地震、プレート間地震及びプレート内地震に対する補正や震源近傍における破壊伝播効果の補正について説明することというコメントをいただいております。それに対しまして、我々の回答といたしまして、まず内陸地震に対する補正。これは兵庫県南部地震の記録を用いて内陸地震に対する補正の検討を行いました。その結果、JEAGの0.6倍、短周期のほうを0.6倍とする補正を行うこととしました。詳細につきましては、後ほど説明させていただきます。

 プレート間地震及びプレート内地震に対する補正ですけれども、残念ながら我々の敷地内では観測記録はとれておりませんので、これについては補正を行わないでJEAGに載っております方法そのままで行うということとします。また、震源近傍における破壊伝播効果(NFRD効果)の補正につきましては、これもJEAGの方法に従いまして設定しますと、中央構造線断層帯のみが破壊伝播効果の補正を行う必要があるということで、これも前回説明させていただきましたとおり、中央構造線断層帯のみをこの補正をするということにしております。

 次の4ページ目ですけれども、こちらは我々の敷地内でとれた観測記録を解放基盤面、基準地震動を設定する基盤面までおろしまして、その記録と応答スペクトルに基づく手法のスペクトルの比をとったものです。観測記録のスペクトルを応答スペクトルに基づく手法のスペクトルで割ったものですけれども、それと、こちらの画面で灰色のところ、これがJEAGに載っております内陸補正になります。

 こう見ますと短周期レベルのほうにつきましては、0.6を下回るような結果になっております。一部、このあたりいろいろな効果がありまして山がありますけれども、水平、1はほとんど上回らないという結果になっております。上下動につきましても、短周期につきましては0.6倍に近いところにある。おおむねこの結果から内陸補正をやってもいいのではないかと我々は判断いたしました。この結果、少し記録が少ないのですけれども、この結果から内陸補正は行うということにいたしました。

 続きまして、論点2、中央構造線断層帯の震源モデルの考え方について。これに対しましては、中央構造線断層帯の震源モデルの策定に関し、基本モデルと不確かさの考え方を整理し、基準地震動の再評価を行うことというコメントをいただいております。それに対しまして、まず基本モデルの考え方は、地震調査研究推進本部の強震動評価で用いられた震源モデル(傾斜角43度)のモデルを基本モデルとすることといたしました。不確かさの考え方につきましては、基本モデルに対してアスペリティの配置や応力降下量の不確かさを考慮することとしました。

 これは先に結果を申し上げますと、基準地震動は、基準地震動Ss-1、Ss-2、これは前回説明させていただいたものですけれども、それと変更はなし。もう一つ新たに設定した震源モデル、応力降下量の不確かさを考慮したものによって新たな基準地震動Ss-3を設定することとしました。前回、基準地震動Ss-3と設定していたものは傾斜角80度のものでしたけれども、それは、今回は考慮しないということで、前回のSs-3は削除させていただくこととします。

 次の6ページ目です。これが震源モデルの考え方の取りまとめの表でございます。ここでは4ケース考えてございます。Case1、Case2は、まず基本モデルといたしまして、地震調査研究推進本部のモデルと同等なアスペリティの配置をしたもの、それで、この2ケースあるといいますのが、推本のモデルが、西側のアスペリティから破壊を開始するものと東側のアスペリティから破壊開始するもの、2ケース設定されていますので、この2ケースを設定いたしました。

 そうしまして、次にCase3としまして、アスペリティが敷地に近づくもの、これは前回と同じモデルなのですけれども、そういうモデルを計算と設定させていただき、前回の基準地震動Ss-2を決定したモデルと同じモデルです。そうしましてCase4が応力降下量1.5倍のモデル。申しわけありません、この破壊開始というところ、灰色になっております。ここは不確かさを考慮しておりませんので白色に変更させていただきます。このCase4は応力降下量を強震動予測レシピに従ったものに対して1.5倍にしたものということにしております。

 その破壊開始点とアスペリティの配置がその次のページに載せてございます。まず、左側の図でいきますと、Case1、Case4の破壊開始点は西側のアスペリティの、北に行くほどこの断層は深く潜り込むのですけれども、その西側の下端に置いたもの、KURのほうに向かって破壊が進行していくようなシナリオをCase1と計算してございます。Case4は、この応力降下量が1.5倍になるというものでございます。Case2は東側のアスペリティから破壊開始するもの、Case3につきましては右側の図でアスペリティを我々の敷地の真下に置きまして、下から、アスペリティの中央下端から破壊を行うというモデルになってございます。

 以上、4ケースの断層モデルを設定いたしました。これに伴いまして解放基盤面におけるそれぞれのケースの時刻歴波形を次のページに載せてございます。これを見ていただきますと、最大加速度、Case3が前回までにお示ししておりますSs-2と同じでございます。Case3が最大加速度、速度となってございまして、その次に応力降下量を1.5倍にしたCase4のものが大きい結果となってございます。

 この応答スペクトルを比較してみますと、次のページでございますが、左側が水平動、右側が鉛直方向の応答スペクトルになってございます。まず、水平動から行きますと、圧倒的にこのCase3のEW成分というものが大きくなってございます。また、NS方向につきましても、この太い赤い線、Case3のアップダウン、上下方向のスペクトルはあるのですけれども、それを超えるものとして一番大きなものがCase4のアップダウンということで、こちら、両方の図から判断しまして、Case3の地震動とCase4の地震動を基準地震動とする。Case3のものを基準地震動Ss-2、Case4の地震動を基準地震動Ss-3とすることといたしました。基準地震動Ss-1につきましては、前回と同様に応答スペクトルに基づいた地震動評価結果から求めたものということで、変更なしということとさせていただきます。

 ここまでが地震動の考え方でございます。

 続きまして、地下構造モデルの設定につきまして、地層ごとに細かく地盤定数がゾーニングされているが、地盤調査や土質試験との関係からその根拠を説明することというコメントをいただいておりまして、これに対しまして地盤構造モデルの作成において地盤調査や土質調査によって地盤定数(非線形特性)などが得られている地層については、それらの値を用いて同データが得られていない地層については、地層の深さや土質を考慮して取得したデータを併用してございます。

 ということで、その詳細が次のページにございます。こちらの表、11ページの表ですけれども、右側の7列は前回までにお示ししております地下構造モデルでございます。このP波速度、S波速度等のPS検層につきましては、1メートルごとに速度を測定しておりますので、各地層で必ず1つ以上のもの、値があります。層ごとにそれらを平均して値をモデルとしてございます。

 その右側の2列ですけれども、まず、この非線形特性のG-γ、h-γの値を測定しております点が、この資料番号とついておりますところに番号を打ってあるところですが、その層につきましてはG-γ、h-γ、非線形特性を測定してございます。上から順番に粘土層はC、砂礫層をSとして名前をつけていってございますが、このような形になってございます。深いところでは少し飛び飛びになってございますが、このような形で測定を行っております。それに対しまして、今回、設定しておりますモデル、非線形特性は、測定をしている層はそのままその値を使う。測定をしていない層につきましては、粘土層と砂礫層の区別をした上で、それに最も近い層の特性を用いるということで、このような設定モデルということにしてございます。

 その次のページ、12ページ、13ページ目がG-γ、h-γの関係、非線形特性の関係でございます。これは測定結果を載せているものでございます。このような形で地盤の特性は設定してございます。

 続きまして、14ページ目、解放基盤面以浅の堆積地盤の地震応答解析について、解放基盤面以浅の堆積地盤内における地震応答解析に等価線形解析が適用されているが、発生ひずみから考えて等価線形解析の適用範囲を超えると思われる。時刻歴非線形解析によって検討を行ってください。とのコメントをいただいておりました。それに対しまして等価線形解析と非線形解析の検討を行いまして、その結果の比較を行いました。ここでは基準地震動Ss-2に対して等価線形解析、これは前回までお示ししておりますものですけれども、それと非線形解析を適用した結果、非線形解析の結果、波形の応答スペクトル、ひずみ等に両手法による相違が見られることがわかりました。したがいまして、後ほど詳細は説明させていただきますが、非線形解析によって堆積地盤の地震応答解析を実施することといたしました。

 非線形解析の結果ですけれども、論点2において再評価した基準地震動に対して、時刻歴の非線形解析を実施した結果、構造物・機器への影響が大きい周期帯では基準地震動Ss-2のEW成分の応答スペクトルが最も大きくなりました。これも後ほど説明させていただきます。

 15ページ目に移りまして、この15ページ目の図は、基準地震動Ss-2を解放基盤面から入力いたしまして、その上の層の建屋の基礎位置まで上げてきたものの比較です。黒い線が等価線形解析の結果で、ピンク色の線が今回新たに解析を行いました非線形解析の結果になってございます。左列が加速度波形、右列が速度波形でございます。上下動につきましては線形で上げてございますので、非線形、等価線形等の結果はございません。

 水平動を見ていただきますと、NS成分につきましては入力のほう、Ss-2の最大加速度等を小さくなってございましたので、非線形と等価線形解析の結果、それほど大きな差は出ていないという結果になりました。ただ、EW成分につきましては入力、Ss-2の地震動が大きかったために両者に明らかな差が見てとれると判断しました。

 続きまして、16ページが今の波形の水平動の応答スペクトルになってございます。非線形解析のEW成分、太い赤い線ですけれども、この結果が前回お示ししました等価線形解析のピンク色の細い線ですけれども、これを周期0.4秒付近、大きく上回ってしまう結果になってございます。

 次のページに移りまして17ページは、その地盤の応答解析結果、最大加速度分布、深さ方向の最大加速度分布、最大せん断ひずみ分布と最大せん断応力度分布でございますが、こちらはNS成分の結果です。NS成分につきましては両者、等価線形解析、青色のほうと非線形解析の赤い線ですけれども、それほど大きな差は出なかったと判断いたしました。

 その次のページ、EW成分になりますと、前回、非常にひずみが大きかった領域、110メートルから150メートル前後のところ、等価線形解析のひずみ、非常に大きくなってございましたけれども、ここで非線形解析をする両者の差が大きく出てございまして、それ以浅の結果についてもNS成分に比べて非常に大きな違いが出ているという結果になりました。

 最大せん断ひずみ等の横軸の最大値は、その中の値に応じて変えてございまして、NS成分の先ほどの図では最大0.5で、EWのほうは3になってございます。見る尺度も、全然変わってきてございますが、これぐらいの差が出てきているということで、この結果をもちまして、我々といたしましては非線形解析の結果、先ほど応答スペクトルでも大きな値となりましたので、非線形解析を用いて地盤の増幅特性を評価することといたしました。

 続きまして、19ページ目ですけれども、先ほどはSs-2について建屋の基礎部の波形を示しましたけれども、Ss-3についても波形をお示しいたします。Ss-3のほうは、波形はこのような形、最大振幅も加速度で550gal程度となってございます。その次が建屋基礎位置での地震応答スペクトルの比較ということで、水平動、Ss-2、Case3とCase4、ここでは基準地震動ではなくて上に上げたものですので、断層モデルの名前をもう一度用いましてCase3とCase4とつけさせていただいておりますけれども、水平動と上下動の応答スペクトル、このようになってございます。

 ここまでが非線形応答解析の結果でございます。

 続きまして、基準地震動の超過確率について、事務局から基準地震動の超過確率を示すこととコメントをいただいておりまして、それに対しまして超過確率の検討方法につきましては、敷地における地震ハザード評価は日本原子力学会の方法により行ったと。その結果ですけれども、構造物・機器への影響が大きい周期帯では、基準地震動Ss-2の超過確率が10-4から10-5になるということで、その結果は次のページにお示ししてございます。

 これは解放基盤面における地震動のハザードスペクトルと基準地震動の応答スペクトルの比較でございます。KUR建屋の固有周期は0.2から0.3秒程度のところにあるのですけれども、その周期帯におきましてこのEW成分、緑の太い線ですけれども、こちらは10-5を超えるような領域になってございます。NS成分につきましても10-4を超えるかどうかというようなところで推移してございます。ハザードスペクトルとの比較、超過確率はこのような結果になってございます。

 続きまして、地震随伴事象につきまして、津波及び周辺斜面による影響について説明すること。まず、回答としまして、津波につきましてはKURの建屋地点の標高は約60メートルとなっており、津波の影響を考慮する必要はないと判断してございます。周辺斜面につきましても、KURの地盤レベルより高い位置に存在する崖や斜面は周辺には存在しないこと、さらにKUR建屋は丘陵の切土上の堅固な地盤に建設されており、山を削って建屋を建ててございまして、また、周辺地盤及び地層境界の傾斜は緩い。最大で5度程度となってございます。一方、建屋の東側には埋土地盤が存在しますけれども、これは後ほど写真で説明させていただきますが、その端部には杭基礎を持つ施設が建設されている。したがって、これら地盤の変形あるいは周辺施設直下の地盤の大規模な側方流動の可能性は低く、建屋の斜面による安定性は確保されていると我々は判断してございます。

 24ページが我々の敷地、原子炉実験所の敷地ですけれども、丸で囲ったところがKURの建屋になってございます。少し前の図で説明させていただきますと、KURの下側、少し右側のところですけれども、貝殻といいますか、丸に少ししっぽの生えたような建屋があります。これが臨界集合体実験装置、小規模な原子炉建屋でございますが、こちらは杭基礎の建屋になってございます。この下側に向かいまして少し斜面があるのですけれども、ここ、杭基礎の建物とベタ基礎の非常に重たい建物が建設されてございまして、こちら方向には側方流動がないであろうと考えております。

 こちらが航空写真でございますが、現地調査に来ていただいた委員の方々には、このあたり少し、雨の中ですけれども見ていただいたかと思いますが、このグラウンドが少しKURの建屋よりも下がってございます。ただ、ここに杭基礎の建屋がありますので、こちら方向については地盤が押さえられて安定している。その他、大きな斜面、地形等はございませんので、地盤は安定していると考えます。

 ここに番号を振ってございますのが、次のページに写真を、そのKUR建屋に向かって写真を撮ってございます。1番、2番、3番、4番、5番と周りからグルッと回って写真を撮ってございますけれども、その次のページですけれども、この写真から見て、少し建屋がたくさんありまして、なかなかいいアングルがなかったのですけれども、周り、大きな崖地形等がないということがこの写真からわかっていただけるかと思います。グラウンド側のほうを除いては、斜面等はございませんということで、建屋周辺斜面についても安定していると我々は考えてございます。

 以上で説明を終わらせていただきます。

【杉山主査】  どうもありがとうございました。

 地震随伴現象も含めて、これも加えると今までに出された問題点というか、課題という形で6つに整理をしていただいて、それぞれにお答えをいただいたというふうに思います。それで、きょうはこの各論点について、ここで議論を、これで妥当かどうか、あるいはもし追加のご質問等あれば承って審議を進めていきたいと思います。それで、一応、各論点別に順次審議を進めたいと思います。まず、論点1です。応答スペクトルに基づく地震動評価における補正についてということですが、これについてご意見等いただければと思いますが、いかがでしょうか。

【翠川委員】  4ページ目に兵庫県南部地震の観測記録と耐専スペクトルの比を出されていて、これをもって0.6倍というのがよろしいだろうというようなご説明なのですが、その後にご説明があったように、この建屋での重要な周期帯域というのが0.2秒から0.3秒というようなお話で、そのあたりを見ると、そうとも判断しにくくて、保守的な判断にはなっていないようにも思うのですが、その辺はいかがなのでしょうか。

【釜江先生】  このデータを出したとき、もう少し詳細に説明すればよかったのでしょうけれども、この記録が得られたのは、先ほど少し申し上げました横のKUCAという臨界装置のベースマットということで、その記録を200メートルといいますか、はぎ取って解放基盤の波に持っていって、そこで耐専と比べたということでありまして、非常に高周波のところ、10ヘルツ以上のところというのは非常に小さいということなのですけれども、多分、ご指摘のところは0.2秒とかのところだと思うのですけれども、ここについてはいろいろなことが多分考えられると思うのですけれども、震源の問題ではないと思うのですけれども、ベースマットということで建物の影響が全く拭い去られていないということがございます。

 この建物、杭基礎で非常にかたい建物ですので、固有周期も非常に高いです。そういうことも関係するのかなということと、もう一つ、はぎ取りということで逆解析していますので、そういうところで少しそういうものも含まれているかなという気はするのですけれども、耐専の補正というのは、もともとは茨城県沖とか、福島沖のプレート境界で得られたデータということで、少し高周波が出ている地震だということで、多分、内陸との補正をするということが、もともとの発端だったと思うのですけれども、そういうことを考えますと、どこまでがそういう震源をあらわしているかという非常に厳密に言えば、そういうところまで多分行くと思うのですけれども、この0.2、0.3のところは、当然、今、見ると1ぐらいに来ているのですけれども、そういうことから考えると、この辺が、本当に、震源の問題なのか。

 というのは、神戸の地震は多分ご存じだと思いますけれども、そんなに高周波を出していないんですね。震源モデルからいくと、レシピで言われるような平均的な震源動だったと思うのですけれども、そういうことから言うと、ほんとうはこういう計算をすると、その耐専スペクトルのでき方とかですね、見れば、ほんとうはきれいにいけば、その神戸の地震の震源を考えれば、もう少し短周期もきれいに落ちているというところがほんとうは理想だったのですけれども、ただ、そういう先入観を持てばですね。ただ、そういうところでとれたデータとかいうことで、純粋なそういうフリーフィールドの解放基盤といいますか、というところのものではないということもあるのかなということで、あまりきれいな答えが出せないところがあるのですけれども。

 我々、少なくとも短周のところ、0.1から0.2以下ぐらいのところで、少しそういう評価ができないかなということで、これを見てそういうふうに判断したのですけれども、確かにおっしゃるように、そういうところがあるのですけれども、その辺はデータのとれた場所とか、いうところで少しご判断いただけたら。何かこれ以上のことができるかなと、1点の観測なものですから、なかなか、我々のところのデータだけでという話になりますと、こういう形になるのですけれども、何か、もしそれ以上のご質問がございましたら、我々の見解としては、そういうふうに判断はしていますけれども。

【杉山主査】  どうぞ。

【翠川委員】  結局、この材料だけで判断させていただくとなると、なかなか難しいと思うんですよ。例えば、この耐専スペクトルに対する観測記録の応答スペクトルの比というのは、震源特性だけではなくて、深い地盤特性の差というのも出ているのだと思うんですね。要するに、この耐専スペクトルが出されている福島のサイトの深い地盤構造の増幅特性と、ほかのサイトの深い地盤構造の増幅特性の差とか、あとは震源特性の差とか、そういったものが入り込んでいるので、震源特性だけの差というわけでは多分ないと私は理解しているんですね。

 ですから、この結果だけを見せていただくと、この結果から、この細い線と太い線が大体合っていますねと、いうのはなかなか説明がしづらいのではないかと感じるのですけれども、例えばこれ、ほかのサイトですと、いろいろな場合がありますけれども、やはり保守的な評価で、こういう場合には内陸補正を採用しないというような、そういう場合もあるわけですけれども、まず、その辺で少し説明が、もしそういうご説明をされるのだったら、それなりに何か材料を出していただかないと、これだけでは少し説明が弱いのではないかと思いますけれども。

【杉山主査】  この点についてほかの委員の方からもご意見を伺いたいと思いますが、伊藤先生、藤原先生、ご専門かとは思いますが、いかがでしょうか。

【伊藤委員】  いや、藤原先生のほうから。どうぞ。

【杉山主査】  では、どうぞ。

【藤原委員】  確かに、この1つだけの地震記録で、このグラフ、この図だけから説明をするということであれば、翠川先生がおっしゃられたような形に、どうしてもパッと見ると受けとめてしまうと思うんですね。ですから、もし、こういった説明を通されるのであれば、この図面ではない別の形でうまく説明できる根拠資料があれば、よろしいかとは思うのですけれども、ここだけで押し通すのは、逆に誤解を招きかねないのではないのかなという印象を持ってしまう。

【杉山主査】  伊藤先生、どうですか。どうぞ。

【伊藤委員】  私はこちらの専門ではないのであれですけれども……。

【杉山主査】  ああ、そうですか。

【伊藤委員】  今までの審査の過程からいくと、感覚的には補正しないほうがいいのではないかなと。この図だけですと、そういうふうに感じますね。今までの原子炉サイトの事例から言ってしまうと、補正なしというほうで検討すべきではないかな、という感じはします。ただ、専門でないので、素人の意見ということでお願いします。

【杉山主査】  岡村先生、何か意見。

【岡村委員】  まあ、本質的なところはわからないけれども、感覚としては今皆さんがおっしゃったことと同じことです。

【杉山主査】  まあ、そうですね。だから、これ、基本的に全体の安全というのはいろいろな、ほかの項目についても、いろいろな不確かさが重なった形で評価をしているわけですけれども、私もこの図から、根拠にしてというと、特に下の図などは、まあ、上もそうですけれども、0.2秒から0.3秒という、一番わりと構造物に影響が大きいところが少し過少だというのはやっぱり、この図で説明されると専門家でない方もそういう印象を持つと思うんですね。

 ですから、これはどういうふうにするかを、ほんとうはきょうまとまればよかったのですけれども、0.6にするのだったら、やはり皆さんが納得できるような情報と、変えていただくということが必要だと思いますし、あるいはこれ、後ろのほうにまたいろいろ影響があるとは思いますが、内陸補正なしでやっていただくかという、大きく分けると、その2つの対応があろうかとは思うのですが、京都大学のほうとしてはいかがでしょうか。

【釜江先生】  この絵だけを見るとほんとうそうなんですね。それで、耐専との比較というのは、これは神戸の地震を考えているということで、恐らく、先ほど申し上げましたように短周期のところというのは、やはり、神戸の地震の特徴をあらわしていると思うんですね。耐専との違いという意味ですね。ただ、0.2とか何とかというのは、多分、今、翠川委員もおっしゃったように、あれは要するに耐専との地盤の違いですね。内陸補正ということで、当然、震源の問題として取り扱う。実際は我々のところの地盤と、当然、これは200メートルもおろしていますけれども、あまり深い、この0.2とかいうのは、深い構造の位置ではないと私は思うのですけれども、ただ、耐専でとれた、その処理をした地盤との違いというのも当然あります。

 それは当然、それを否定はできないわけですけれども、そこをどう、この線を上下ということで、それを少し震源の問題なのか、道具の問題なのか、地盤の問題なのかというときに、私自身は多分、地盤の問題で、うまくこの耐専と、ここの地盤との補正というんですか、そういうところは、極端に言えばうまくいっていないというところと、やはり建物の影響が少し入っているという、総合的な書き方でその辺の大きくなっているところが、原因があるのではないか。

 要するに内陸補正というのは、関西で起こる中央構造線にしろ、上町にしろ、神戸の地震にしろ、どういう短周を出すかという、そういうことが、まず第一だと、私は思うのですけれども、ただ、皆さんデータがないから、1にしているというところも当然あるのですけれども、もともとの原則、発想というのは、多分、私はそういうところだと思うので、神戸の地震のように、そういう震源をわかっているものもありますし、それが中央構造線でどうか、上町でどうかという話になると、それは当然、内陸の平均的なものだという予測で、レシピが成り立っているわけで、やらなければいけないわけなのですけれども。

 あとはその地盤の問題が少しその中に入り込んでいるということで、この絵をダイレクトで見れば、おっしゃるように、これで0.2、0.3のところが大きいではないかということで、これは安全側を見れば、10ヘルツから全部これは1にしなさいよというご判断だとは思うのですけれども、それを全く私どもは受け入れないつもりはないのですけれども、もう少しデータ、もう少し小さな規模でもいいのですけれども、あればもう少しこの辺、ばらつきの中で議論はできると思うのですけれども、この1つのデータだけなので、そういうご判断をいただければ、それに従わざるを得ないかなという気は、これは先ほどと同じ、なかなか議論をしても勝ち目がないとは思いませんけれども、少し平行線のようにも思いますし、まだバックチェックは続きますから、少し小さな地震、もう少し違う地震もないことはないので、少し総合的にもう一度検討は。ただ、応答スペクトルのほうは全くSsには特に影響しませんので。ということで、私のほうからは。

【杉山主査】  はい。どうぞ。

【上林先生】  今のお話と少し別の角度から一応補足ということで、きょうの図面にはお示ししていないのですが、お配りいただいている中間報告書になるのですが、中間報告書の4-52ページというところに耐専のスペクトルというのが……。

【吉田原子力規制室長】  4-52ですか。

【上林先生】  ええ。

【杉山主査】  青いほうですか。

【上林先生】  常備資料の耐震関係という。そこに耐専のスペクトル、今議論になっている標準応答スペクトルというのが示されておりますけれども、これと4-54ページに対象となるSsに選定した場合の中央構造線、これは等価線形の以前の結果になるのですけれども、それの応答スペクトルというのが濃い青で示されている一番値の大きな部分なのですけれども、今、耐専の補正の見方とはまた別の見方としまして、補正とは別に最後、何で上の応答が決まるかという見方で見ていただければということで、一応、今、議論になっております0.2秒から0.3秒あたりのスペクトル、速度応答値を見ると耐専では大体30kineぐらい、Ss-2という中央構造線の断層モデルに対しては約70から80kineという値で、大体2倍以上という差が出ておりますので、補正をしない場合でも、その応答スペクトル、解放基盤での応答スペクトルという見方においては、断層モデルで恐らく最後は決まるだろうということが、一応、という見方だけ少しご紹介させていただきます。

【杉山主査】  今の点、よろしいですか。何か、もしご意見かあれば。

【翠川委員】  ですから、少しお考えをまた整理していただいて、多分、今おっしゃったように、結果的には大きな問題にはならないと思いますけれども、考え方をきちんとしていただかないと、説明性がなくなりますので、その辺だけ少しお考えを整理していただけたらと思います。

【杉山主査】  それでは、申しわけありませんが、この論点1については、少し修正を京都大学のほうにお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、論点2のほうに、次に移りたいと思います。論点2は中央構造線の震源モデルの考え方ということで、これについては藤原先生からご指摘があったと思いますが。

【藤原委員】  ここで少し考え方を見直して説明していただいて、大分すっきりして、多分、基本モデルの考え方もこれであれば、いろいろな説明をする上でもそんなに困らないかなという気はしました。

 1点だけなんですけれども、計算では、このCase4の設定は、これでもうよろしいかなと思うのですけれども、Case3でアスペリティ位置の不確かさを考慮したモデルというのが提案されていて、不確かさを考慮することの意味なのですけれども、これはどちらかというと、安全側で少し大きめの地震動を出す場合を設定しようということで、このCase3は水平動については、多分、一番振幅が大きくなる、そういう設定になっているのだとは思うのですが、ちょうど、ぴったり、この破壊の開始地点、アスペリティの位置との関係で、この今のサイトが、ちょうど上下動に関しては、恐らく一番小さくなる幾何学的位置関係にあるんですよね。

【川辺先生】  そのとおりです。

【藤原委員】  それでこの計算、上下動についてどれぐらい、後のいろいろな議論でそれが必要になるのかも、あるとは思うのですけれども、そこについては若干、このままでいいのかなという心配もあるので、そこを少し説明していただくか、あるいは、少し追加の検討をしていただくということもありかなとは思っているのですけれども、どうでしょうか。

【杉山主査】  いかがでしょうか。

【川辺先生】  まず、Case3、確かにご指摘いただいたとおりに水平動が最も大きくなるように、建屋に影響が出るようにケーススタディーをしまして、その結果、そこに置いたということになります。上下動を大きく出すモデルというものも、アスペリティによっては設定できるのですが、そうしますと、先ほどのCase4の場合、そのあたりに持ってくるもののほうが大きくなります。ですので、Case3とCase4両方を基準地震動とするというところで、両方とも考慮した安全側の考えになっていると考えております。

【杉山主査】  どうぞ。

【藤原委員】  上下動については、最悪ケースがどの辺かという検討は特にはせずに、例えば、Case4でもかなり大きいので、このぐらいでも大丈夫だろうという判断でおられたということで、それは、多分そんなに変わらないと思うので、それであれば、そういう形で少し説明をうまくやっておいたほうが、この波形の図とか、これを見るとCase3のところで上下動が、極端にほかのケースと比べて小さいので、何でだろうと思われる方がいらっしゃると思うんですね。

【杉山主査】  ほかの先生はいかがでしょうか。これ、確かに9ページの右の図を見ると、鉛直動は、今のCase3は、ずっと長周期のほうは、すごく低くなってしまっているので、これは我々みたいな素人の人には、やっぱり、今言ったような説明を、もちろん下に書いてあるCase3、太い矢印の下の説明でいいと思うのですが、特に、鉛直方向については、今ご説明があったようなことを、どこかに簡単でも結構ですので書いておいていただいたほうが、親切かなという気はいたします。要するに、鉛直方向については過少評価にはなっていないということが、ちゃんとわかる形をどこかにしていただくほうがいいのかなと思いますが。結果としては、私もこれで問題ないかなとは思いますが、その説明のほうだけ、それは素人の人にも誤解がないようにしていただければと思います。

 いかがでしょうか。この論点2についてはよろしいでしょうか。それでは、その点だけを書き加えていただくということで、よろしくお願いいたします。

 では、次に論点3で地下構造モデルの設定についてということで、ご意見をいただきたいと思います。これは伊藤先生、いかがでしょうか。

【伊藤委員】  かなりデータも出していただいたのでわかりました。ただ、確認だけ少しさせていただきたいのですが、11ページで、まず右端のほうに非線形特性を考えるときに設定モデルの欄で、地層はあるんですけれども、設定モデルで設定されていないのがあるんですけれども、これは解析上は関係ないということでしょうか。

【川辺先生】  はい。今、お示ししております上のほうの3層につきましては、基礎地盤、建屋基礎よりも浅いところにありますので、現段階での波を出す段階ではここは使用してございません。あと、下のほうのR1、R2、R3とあるレイヤーネームですけれども、そこは花崗岩となってございますので、弾性体として計算しておりますので、そこも非線形特性は入れてございません。

【伊藤委員】  わかりました。あともう1点、12、13ページですけれども、ここにプロット点があるのですけれども、これは3軸の動的変形試験か何かデータそのものでしょうか、それとも設定モデルでプロットした点になっているのでしょうか、どちらですか。

【川辺先生】  これは3軸のデータそのものでございます。

【伊藤委員】  ああ、そうですか。そうしますと、実際にこの後で出てくる非線形解析のところで使われる、掛け式というんでしょうか、そういうものについての表示はこれにはされていないわけですか。

【上林先生】  かわって説明させていただきます。これは実験値、多少ばらついているのですけれども、実際、モデル化するときは双曲線型R-Oモデルに基づくような形で若干このプロットのある部分も補正はされております。今、伊藤委員ご質問の、多分、この外挿の部分とかを含めてのご質問かと思うのですけれども、その部分に関しましてはR-Oモデルといいますか、双曲線に沿う形で外挿なり内挿をしております。

【伊藤委員】  わかりました。伺いたい点は、R-Oモデルを使っているということであれば、それで結構だと思います。特に地下モデルについての、私からの質問に対してはこれで結構だと思います。

【杉山主査】  どうもありがとうございました。

 ほかの委員で、もしこの論点3についてご意見等ありましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

【翠川委員】  少し確認ですけれども、この点は実験値を平滑化したものなんですね。

【上林先生】  そうです。

【翠川委員】  例えば、R-Oモデルでモデル化したときには、どういう曲線になるということを、合わせて線を書いていただくとよろしいのではないかなと。多分、伊藤先生は紳士なのでおっしゃらなかったですけれども。

【杉山主査】  どうぞ。

【上林先生】  すみません、上林です。手を挙げずに失礼しました。

 翠川委員がおっしゃるように、実線を加えるのを失念しておりますので、最終報告書にはそれを入れた、モデル化の形で入れさせていただきたい。一応、この上に乗るような形では、モデル化になっているということだけ補足させていただきます。

【杉山主査】  では、すみませんが、最終報告書ではそういう形で計算した数値のほうも合わせて示していただきたいと思います。

 それでは、よろしいでしょうか。論点3もこれで一応問題なしということにさせていただきたいと思います。

 その次は論点4です。これも前回ご指摘がかなりあったかとは思いますが、解放基盤面以浅の地盤の地震応答解析で、これ、等価線形では、ほかの何でしたっけ、時刻歴の非線形解析によって検証したらいかがか、という意見かとは思いますが、翠川先生、いかがでしょうか。

【翠川委員】  まず、先ほどの伊藤委員がおっしゃっていましたけれども、この非線形解析のコード、計算コード、例えばYUSAYUSAとかいろいろありますけれども、これは何をお使いになったかということを記載していただきたいのと、あともう一つ、この18ページの絵で、そもそも質問の発端は、この18ページの真ん中のせん断ひずみ分布の青い線を見て、これが2%ぐらいになっているので、こんな大きなひずみで、等価線形でいいんですかということだったのですが、これを時刻歴非線形解析でやると、このちょうど大きくなっているところだけがポコンとへこんで、それ以外のところは大体合っているか、これはどういうふうに、説明できるものなのか教えていただきたいのですが。

【杉山主査】  お願いします。

【上林先生】  18ページの真ん中のひずみ度分布なのですが、等価線形の場合、当然、翠川委員がご存じだと思うのですが、最大ひずみ、要するに、振幅の一番大きなところの各層で生じている最大ひずみに対応する形でこの分布図で描かれている。したがいまして、このピークといいますか、大きなひずみが出ている下の層、もしくは、もう少し下の層といいますか、145メートルないし、その下の層と、もう少し下に基盤岩があるのですけれども、その部分とのコントラストが等価線形の場合、見かけ上、一番強くあらわれている。

 時刻歴の場合は時々刻々それが変化しておりますので、見かけ上、その継続時間中すべてのコントラストがあるわけでなくて、一瞬大きくなるところはあると思うのですが、それがある時間にはまだコントラストが小さくなる。コントラストが等価線形の場合、大きくなると、そこにどんどんひずみがまた集中していって、より見かけ上のひずみが大きくなってくるという――まあ、悪循環という表現はおかしいのですが、そういうひずみが進む循環を等価線形の場合、見かけ上、起こしてしまうので、こういったひずみの大きなものが出てきたというのが、現象ではないかと判断しております。

【杉山主査】  いかがでしょうか。

【翠川委員】  わかりました。ありがとうございました。

 あともう一つ、この等価線形と非線形解析がどう違うかといいますか、要するに、違いはここだけで、これ以外はあまり大きな違いはないようにも、私には見えるんですね。その辺、もう少し考察していただいて、今、おっしゃったことも含めて、何か説明をしていただくと、非常に説明性が高くなるし、あと関連して、地盤・建物連成モデルでは等価線形解析を使っているから、動的地盤バネを出しているわけですよね。ですから、それが大丈夫なのだというのも、例えば、こういうものを使って説明していただけると、非常にこちらとしては聞きやすくなると思いますので、この結果が合っているところと合っていないところを、きちんと分けていただいて、説明していただいて、全体にこの部分を除けば、等価線形でもそんなにおかしいことをやっているのではないか、というようなご説明をしていただくと、大変聞きやすくなるのではないかなと、私は思いますけれども。

【杉山主査】  いかがでしょうか。貴重なご指摘かと思いますが。

【上林先生】  翠川委員がおっしゃいましたように、その見方、説明の仕方というのは、最終報告書に向けて改善していきたいと思います。

 それと、今おっしゃっていただきました、例としまして1ページ前の17ページのところにございます、先ほど、川辺のほうから説明がございましたように、横軸のひずみの小さいレベルでは両者の差というのは、分布系を含めてそれほど大差は出ていない。ひずみがあるレベルから大きくなると、先ほど申しましたようにインピーダンス等の問題のひずみに集中的な問題で、18ページのほうでは、顕著な差が出てくるというのは、この17、18から、一般的な見方としては見られるのではないかと見ております。

 あと、上屋の相互作用モデルのSRモデルのバネを決めるときのケースにつきましても、一応、今、等価線形でやった結果といいますのは、現在の中間報告書に載せさせていただいているのですけれども、時刻歴非線形のこのひずみ分布、要するに、等価S波速度というのを換算した場合のバネモデルについても、今、バックグラウンドでは一応計算して、最終報告書にはそれを反映した形でご報告し、安全側という観点から採用するものを選定していきたいと考えております。

 あと1つだけ、先ほどの手法のご指摘がありましたので、一応、報告書には、当然、書かせていただきますが、いつも口頭でお話しさせていただきますと、等価線形につきましてはDYNEQというアプリケーションを使用させていただいておりまして、時刻歴非線形につきましては、今、翠川委員ご指摘のYUSAYUSAというのを使わせていただいております。

 以上です。

【杉山主査】  どうもありがとうございました。

 翠川先生、今のご回答でよろしいでしょうか。

【翠川委員】  はい。結構です。

【杉山主査】  伊藤先生。

【伊藤委員】  よろしいでしょうか。地盤の安定性のほうから確認しておきたいのですけれども、まず、先ほどの18ページの翠川先生がおっしゃった、これは、なぜこんなに差が出てくるかというあたりはきちっと説明していただきたいなと思います。先ほどの回答に少しあったのですけれども、Vsのゾーニングを見ますと、そんなにインピーダンス差が出てきているのかな、という感じもあるので、いろいろな面から解析上の扱いを含めてご検討いただければなと思います。

【上林先生】  はい。

【伊藤委員】  それから、もう1点は、18ページの図で結構だと思うのですけれども、ひずみレベルからいくと非常に小さいレベルというか、それほど大きくなく1%以下になってきているわけですね。ただ、せん断応力はこれ、単位が合っていたとすると結構大きい応力になっています。最初に確認しなければいけなかったのを忘れてしまって、申しわけないのですが、これは1次元のモデルでしょうか。2次元ではなくて1次元で、上下水平同時入力。

【上林先生】  水平だけ。

【伊藤委員】  水平だけですか。上下動は入っていないということですか。そうすると、ここは逆に言うと、混乱を招くのですが、地盤という形で少し書いてあるのですけれども、我々、すぐ地盤の安定性と結びつけて考えてしまうので、何か等価線形と時刻歴応答解析の比較検討みたいな話ですよね。地盤の安定性の話を直接やっているわけではないので、誤解を招くので、そこら辺を、少し整理されて説明していただきたいなと思います。ここの図だけからは相当いろいろなことがあって、私自身もこのくらいの応力が出たら、時刻歴非線形だと、相当地盤の強度がないと、安定上もたないのではないかという気がします。

 これ、単位からいくと10キロぐらいとか、5キロから10キロ働いているわけですね。結構な強度がないと、地盤の安定上は破壊領域に到達して、破壊領域以降の扱いの問題も、いろいろとあると思いますので、いろいろな面で出てくるので、ここは地盤の安定と切り離した形で、ご説明いただいたほうがよろしいと思います。特に、上下動も入っていないということで、それでお願いしたいなと。そういうふうな資料で、まとめていただきたいと思います。

【杉山主査】  京都大学さん、どうぞ、ご回答をお願いします。

【上林先生】  今、伊藤委員ご指摘のように、もう少し、はっきりと分けさせて、一応、論点のところに、流れに沿っていまして、今この論点、一応、補足という意味で僣越なのですけれども、4は、ここの論点は、ちょうど地下構造モデルの設定で、翠川委員から以前ご指摘がありました、水平動の等価線形の妥当性ということに対してのみの比較対象の図になっておりますので、安定性云々ということの定量的なことはやっておりませんけれども、その辺は自身の随伴事象的なところで、若干入るような話になっているのかなと思って、ここは少しそういう意味で、等価線形と非線形解析との比較のみということで、限定するような文章に修正、報告書のほうにはきっちりと書かせていただきたいと思っています。

【杉山主査】  では、よろしくお願いします。

 1つ確認なのですけれども、今、伊藤委員がご指摘になった、せん断応力の大きさが、大阪層群の下部のところあたりも結構大きいですよね。そこは現実問題としては大丈夫なのでしょうか。もし今、お答えできれば、参考に伺いたいと思うのですけれども、もし、可能でしたら。

【上林先生】  その辺の情報、応力に関しては詳しく調べてはないので、斜面の強度等を含めて、今の場合は、あくまでも1次元解析でやっているもので、そういうある傾斜を考えて2次元等というのは実施していないもので、今のところは、それに対して回答できる材料は持ち合わせておりません。

【伊藤委員】  粘着力(c)と内部摩擦角(φ)を確認していただければ、わかると思いますので、強度試験もやっておられると思いますので、基本的にはそれで。Vsとか、ほかのデータから見ると、結構、破壊近傍あたりウロウロしているのではないかな、という気もありますので、ちょっと見ていただければと思います。

【杉山主査】  今の点、最終報告書作成に向けて少し検討をよろしくお願いしたいと思います。

 では、論点4は、藤原先生は何かありますか。

【藤原委員】  いや。

【杉山主査】  よろしいですか。

【藤原委員】  はい。

【杉山主査】  そうしたら、次の論点5のほうに移りたいと思います。これは超過確率について、これは参考程度ということなのですが、もしご意見等ありましたら、よろしくお願いいたします。

 では、藤原委員。

【藤原委員】  1点、教えていただきたいのですが、この超過確率を計算するためのハザード評価の中で、この中央構造線の、ここの断層帯の地震発生確率は、どのように扱われたのかな、ということが少し気になったので。

【釜江先生】  いろいろなケースを考えたのですけれども、4ケースほど、その平均値とか、最大発生確率、発生確率何%から何%とかありますよね。その最大をとったり、平均をとったりとか、これは多分、平均のときのパターンだったと思うのですけれども、そんなに非常に変わった――。

【川辺先生】  はい。

【藤原委員】  長期評価の結果だと「ほぼゼロから5%ぐらい」で、幾つかの平均のとり方があって、それぞれ幅を持って推定された平均の活動間隔と、あと、最新活動時期の平均値というか中央の値をとった組み合わせで、この発生確率を計算すると、ほぼゼロになってしまうわけですね。最大のケース、ほんとうに確率最大値のところをとると、すごく大きな値になる。特殊なところになっていて、ここでの地震ハザードを計算するときの確率の与え方は、結構、影響しているかなと思ったので。

【杉山主査】  どうぞ、お願いします。

【川辺先生】  推本の確率の平均の場合と最大の場合と出していただいておりますけれども、その両方をミックスする形でここを評価しておりまして、最大の方につきましては平均よりも確率とか、そちらに行く場合は下げておりますけれども、両方を考慮する形のものになってございます。

【藤原委員】  ゼロにはしていないということ。

【川辺先生】  ゼロにはしてございません。我々、ゼロの場合から徐々に上げていっていろいろやっているのですが、これはちょっと厳しめの値を出してきております。

【藤原委員】  わかりました。

【杉山主査】  翠川先生。

【翠川委員】  そうすると、要するに、ロジックツリーを使っておられるということですよね。

【川辺先生】  はい。そうです。

【翠川委員】  そうするとやっぱり、最終的な資料には、そういう、主な影響の大きな活断層ですとか、地震帯についてどういうロジックツリーを、使ったかという資料は残していただいたほうが、いいと思うのですけれども。

【川辺先生】  はい。わかりました。そのようにさせていただきます。

【杉山主査】  岡村先生、何かありますか。

【岡村委員】  いえ、特に。

【杉山主査】  よろしいですか。

 私も、これって参照程度なので、どの程度か、いろいろな委員会でもこれはブラックボックス的なところが非常に多くて、皆さん、この数字がどういう意味があるかというのを、まあ、参照という言い方もまた非常に難しいのですけれども、一応、せっかく、今のお話ですと、かなり安全保守的なというか、安全側の数値を出していただいていると思いますので、是非ほかのところにも波及することもあるかとは思いますので、そういうデータもきちんと入れ込んでいただければとは私も思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、この超過確率はこれで資料に、きちんと最終資料に加えていただくということで、基本的にはこれでよろしいかと思います。

論点6、最後の論点で、地震随伴事象について、これ、津波は先ほど標高ということで特に問題ないということでしたが、周辺斜面も特に問題はないと思いますが、ご意見等ありましたらよろしくお願いいたします。どうぞ。

【岡村委員】  大した問題ではないと思うのですけれども、この写真を見ると上のほうに水たまりというか、池がありますよね。これはどういう、何か形を見ると谷か何かに水をためたような形に見えるのですけれども、どういうもので、ここの深さはどのぐらいあるのか、もしわかれば教えていただきたい。

【釜江先生】  これは農業用のため池なのですけれども、たまに日干ししますので見るのですけれども、正確に何メートルかという、そんなに深い池ではないですね。多分、原子炉のGLよりは5メートルぐらい下がっているような、そんな深いあれではなくてという、この辺、たくさんため池が、この後ろにもあるし、左側にもあるのですけれども、もともと人工的につくったのか、もともとの谷に水がたまったのか、多分、ため池ですから人工的に何かそういうふうなことをしたのではないかなと思います。その詳細は、もし、どういうところが問題といいますか、ご指摘いただいたら調べますけれども。

【岡村委員】  いや、水が張ってあるので、深さがわからないので、あんまり深いとやっぱり、この斜面というのは地面が見えるところだけ見ていても安全と言えないのかなというところですね。ですから、この原子炉がある側の斜面といいますか、その辺がしっかりしていればいいと思うのですけれども、その辺も、少し何かコメントなり説明があっていいのかなと思いました。

【杉山主査】  どうぞ。

【釜江先生】  すみません、私、今、日干しのときに目で見た感覚だけお伝えしたのですけれども、当然、データがあると思いますので、深さとか、その辺を少し調べて追加で説明、紹介だけはさせていただきたいと思います。

【杉山主査】  では、その点もよろしくお願いいたします。

 伊藤先生。

【伊藤委員】  周辺斜面の点については、地形的に岡村先生の話をしたことが気にはなると思うのですけれども、私自身は、ここの23ページに書いたのが少し気になって確認したいのですけれども、先ほど23ページの下のほうに、杭基礎で構造物がつくられているということなのですが、この杭基礎が、杭が防御になるという言い方ではないですよね。これ、京都大学さんの言い方としたら。この杭基礎が防御であるということであれば、これが間接支持と、同じような形で考えざるを得なくなって、これが果たしてSsの機能維持チェックがされているのかという問題になってしまうと思うんです。そういう点で、この書き方が私は非常に気になっていまして、こういうふうなことを、ここに記載して、今後もこの周辺斜面についてくるということであれば、杭基礎についてのSsの機能維持をきちっとされておくべきだと思います。

 それとあと、もう1点気になるのが、地震随伴事象という表現の中には明確に出ていないのですけれども、ここは液状化のチェックをここはされているかどうかだけを確認しておいていただきたいなと思います。結構、今回、地震動が大きくなっていますので、そこの辺についても、液状化のチェックをきちっとやっておいたほうが、よろしいのではないかなと思います。

【杉山主査】  では、その2点、よろしくお願いします。

【釜江先生】  最初のほうなのですけれども、杭基礎云々というところが非常にクローズアップされてしまったのですけれども、我々の非常に定性的な話なのですけれども、南側、下側に、少しグラウンド側に向けて少しというのは、4番のKURのところはもともと山だった。それをつぶして下のほうに、要するに、臨界装置のほうに土を持ってきた。それで、グラウンドのところはもともとの谷のところなのですが、そこは少し傾斜が、地山はですね。それをその後、臨界装置をつくり、その横にFFAG、加速器の建物、非常に大きな建物をつくったということで、杭基礎のように、1つの大きな擁壁があるということで、それがもつか、もたないかというところまで、要するに、非常に定量的なところまでは当然評価はしていないのですけれども。

 イメージとしては、そこに大きな擁壁があるというような前提で、そういう意味では臨界装置がどうなればどうかという、その次のステップになってくるのかもしれませんけれども、そういう意味では書き過ぎたところは、非常に定性的なことで書いてしまったので、今よく考えますと裏目に出たかなという気はするのですけれども、最終的には地盤の安定性というところも含めての話だと思うのですけれども、臨界装置はもともと地山で、一部、臨界装置のほんとうにグラウンド側のところ、それも今は、FFAG、大きな建物とか臨界装置をつくるときに、ほとんど埋め戻したやつは取ってしまっていますので、ほとんど地山に両方の建物は乗っているということで、非常に大きな擁壁があると私は理解している。

 ですから、この3つが同時に何とかしてしまわない限りは、そういうことは起こらないのではないかなということで、それは、全く否定はできないと言えばそうなのですけれども、何かご指導いただけたらとは思います。

【伊藤委員】  最終的に地盤の安定を考えるときの話になってくると思うんですね。先ほど私、少し誤解していてご迷惑かけたのですが、地盤の発生応力とか、ああいうものから見るとかなり非線形領域に入って、解放基盤面より上のほうの地盤については、かなり厳しい状況になっているかもしれない。そういうことで地盤の滑り安定とか、そういうものを実際に考えていったときに、想像するに、この杭基礎で、この杭で、その滑りは抑えるのだというような感覚で、これを書かれているのかなと。

 余計な観測までしてしまいましたので、ちょっと言い過ぎだったところはあると思うのですが、もし今、釜江先生がおっしゃったような形のことがあるのであれば、あえて何かこの杭の話とか、こういうことについては特段触れる必要はないのではないかなと。地盤の安定上、問題がないということで、きちっと言えるのであれば、何ら、こういう人工構造物に頼る必要はない。逆に、人工構造物の話をしてしまうと、それのSs機能維持の話がどうしても出てまいりますので、そういう観点で、まとめられたほうがいいのではないかな、と私は思うのですけれども。

【釜江先生】  わかりました。どうも非常に貴重なコメントをいただきまして、先ほど申し上げましたように、ちょっと勇み足だったなというところもございますので、最終的には、地盤の安定性というところで、恐らくお話しすべきところですので、そういう形にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

【杉山主査】  その辺の表現、文章の表現を少し修正していただきたいと思います。

 随伴事象、ほかによろしいでしょうか。

【釜江先生】  液状化の話ですね。

【杉山主査】  すみません。

【上林先生】  伊藤委員からご指摘がありました点で、直接液状化的な有効応力解析等は行っておりませんが、参考としまして、今のところ、ここのちょうど基礎の7.3メートル、GL、7.3メートルから上をはぎ取った状況の入力地震動というのは、入力地震を評価する上では行っているのですが、並行しまして、この図表等には出しておりませんが、地表まで含めた形の同様のSsを入力したときのひずみレベルというのを、一応確認しておりまして、口頭で言うのも、申し上げさせていただきますと、大体、液状化が起こるという20メートルぐらいから以浅というところを着目しますと、おおよそひずみレベルが0.1から0.2%ぐらいのひずみレベルになっておりまして、そういう意味から液状化というのは、今回、解析しなくても生じないのではないか、という判断をさせていただいております。

【杉山主査】  では、そういう旨をどこかにきちんと書いていただけばよろしいでしょうか。

【伊藤委員】  はい。

【杉山主査】  では、よろしいでしょうか。論点6まで進みましたが。

 そうしますと、きょう、これで一応、6つの論点を今議論していただいて、2番、問題として、少し残っているのが、1番の補正ですね、この内陸補正をどうするかというのが一番大きい問題で。あとの論点については、基本的にはこれでいいというものと、あと資料の追加とか、あるいは表現を修正していただければよろしいかとは思うのですが、この論点1について、今、事務局からも少しお話があったのですが、これについて、もう1回、ここでサブワーキングを開いて議論をする必要があるのか、あるいは、データを、事務局を通じて、皆さんにメール等で流していただいて、それで了承するという形でよろしいか。このどちらがよろしいでしょうか。これは確かにわりと重要な問題かとは、結果には影響しないということですが、この点について皆様の今後の対応を、どうしたらいいかをご意見を伺いたいと思いますが、翠川先生、いかがでしょうか。皆さんの意見を伺いたいと思いますが。

【翠川委員】  私は、このためだけに集まらなくても、メール審議等でも審議はできるのではないかと、思いますけれども。

【杉山主査】  藤原先生、いかがでしょうか。

【藤原委員】  すっきりさせるためには補正を行わないということで、この図をつけて、それでまとめられたら、もう集まる必要はないような気がするのですが。

【杉山主査】  岡村さん、いかがでしょうか。

【岡村委員】  私は専門外ですから、このために集まるよりは、ないほうが嬉しいですね。

【杉山主査】  伊藤先生、いかがでしょうか。

【伊藤委員】  私も岡村先生と同じです。

【杉山主査】  そうですか。そうすると、どうしますか、京都大学さん、今、そういう意見もあるのですが、いかがいたしましょうか。

【釜江先生】  我々の立場としては、あまりそれを「うん」と言いたくはないのですけれども、これを見ると、やっぱりデータということが1つの大きなウエートなので、データがないものについては、あまり大きなことを言えないというところは、我々も弱い面を持っていますし、少し検討は追加します。最終的には、今、藤原委員がおっしゃったように、すっきりする形ということも含めまして、少し検討はさせていただく。

 それで、あと、できればメール等でやらせていただけると幸いですが、それもどういう結果が出るかということも、まだ見えないところもございますので、その方針について少し時間をいただいて、それで一度、事務局のほうにご提示させていただいて、その結果をもとに、また何かご判断をしていただけたら。要するに、検討はさせていただくということと、最終的には、そういう藤原委員のおっしゃったようなところで、まとめさせていただくということも、視野に入れて検討させていただきたいということで、よろしくお願いします。

【杉山主査】  では、委員のご意見と、それから、京都大学のお考えも伺ったわけですけれども、これについてはやはり少し問題はあるとは思いますので、京都大学に至急検討していただくと。その結果については、今の皆さん、委員のご意見ですと、メールの審議でいいのではないか、という意見が多かったと思いますが、よろしいですか。

【林安全審査官】  事務局から少し要望ですが、今回、応答スペクトルの補正以外にも、さまざまな意見が出ております。今後、施設・構造サブワーキングのほうに移っていくため、委員皆様は、最終的な親委員会まで参集いただかない状況になります。今回、ご意見をいただいた内容が、そのまま、京都大学のほうで最終報告に網羅するということではございますが、最終報告となってしまいますと、かなり時間が経過してから、ご確認いただくような状況にもなります。

したがって、応答スペクトルの補正の内容を含めて、きょう審議いただいた内容に関しましては、サブワーキンググループは開催しなくても、大方の資料をお送りさせて頂き、それぞれの委員の方が思われていることが、反映された資料になっているかどうかの確認をしていただきたいなと考えてございますが、よろしいでしょうか。

京都大学さんのほうも、少し作業が出てまいりますが、今回、各委員に確認いただいたほうが、後の作業がスムーズに進むかなと考えてございまして。

【釜江先生】  きょう、いろいろとご審議いただいて、記載の方法とか、説明の方法、そういうところをいろいろとコメントをいただいて、今の内陸補正のところは、少し別にしましてですね。ただ、今後、基準地震動が決まらないと、その次の施設のほうの審議に移っていけないので、できましたら、基準地震動そのものについての結果みたいなものをいただけると助かりますし、その、今残された幾つかの課題、それについては早急に対処させていただきたいと思いますけれども、そこだけを少し決心をしていただけたら助かるのですけれども、いかがでしょうか。こちらから言う問題ではないかと思いますが。

【鎌倉保安管理企画官】  本日ご議論いただいた幾つかのご指摘、あるいはコメント等につきましては、京都大学さんのほうで検討していただき、でき次第、私ども事務局のほうにいただきまして、各委員にご確認いただくと、そういう手順で進めさせていただければと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

なお、施設・構造の確認に用いる入力地震動については、本日のご指摘の内容によって、変更にはならないと思いますが、改めて、確認させて頂き、施設・構造サブワーキングでの確認に反映させていただきたいと思います。

【杉山主査】  そういうことでよろしいでしょうか。それでは、最後にもう1回取りまとめがありますけれども、それにも少し関係しますので、まとめていきたいと思いますが、全体としては、まず断層の評価ということでは上町断層、中央構造線、大阪湾断層というような形できちんと提示をしていただいたので、これは問題がないとは思っております。それから、基準地震動についてもきょう議論をいただきまして、中央構造線等についても新しいモデルを提示していただいたということで、これについても特段問題はないかとは思います。

 それから、地下構造の評価についても、きょう幾つか表現とか情報を追加していただきたいということが出されましたので、これについては対応していただくと。

それから、問題はやっぱり入力地震動のところで、今、こちらの目次でいきますと、(1)の内陸補正の部分については、早急に対応していただいて、検討していただいて、その結果を含めてご報告をいただくというふうにお願いしたいと思います。

超過確率や地震随伴現象については特に問題がありませんので、これについても超過確率だったら、そのベースとなったデータを示していただく。それから、随伴現象についても液状化等については、今、口頭でご説明いただいたものをつけ加えていただくということで対応していただければと思いますが、いかがでしょうか。それでよろしいでしょうか。

 そうしたら、その報告をあれですか、サブワーキングに対する報告をいたただいて、それをどういう形で、メールか何かで。

【林安全審査官】  そうですね。

【杉山主査】  皆様にお送りして確認をいただくという形をとらせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。もしそういうことでご賛同いただければ、そういう形で今後対応していただきたいと思います。

 それでは、京都大学さん、いろいろと注文がついて作業が大変かとは思いますが、何とぞよろしくお願いいたします。

 一応、きょうの議論はこれで終わりとなりましたので、事務局のほうで、もしありましたらお願いします。

【鎌倉保安管理企画官】  本日はお忙しい中ご議論いただきましてありがとうございました。先ほどご指摘のありました点につきまして、主査からお話がありましたように京都大学さんから、その回答についていただき、委員の方にご確認いただくということにしたいと思います。

 また、本日、コメントなどいただきましたものにつきましては、コメント整理表のほうに追加・反映させていただきたいと思っております。また改めて本日、先ほど主査から取りまとめていただきました確認結果、それぞれの項目についての確認結果につきまして、別途書面にまとめまして主査確認の後、各委員にメールにて送付させていただきたいと思っております。その中で確認いただきまして、コメントなどありましたら、さらにいただければと思っております。

 以上でございます。

【杉山主査】  ほかに何か、この議題以外のことで、もし委員のほうから話題等ありましたら。よろしいでしょうか。

 では、なければ、少し時間が早いですけれども、第2回のサブワーキンググループを終わりにしたいと思います。皆様、きょうはどうもお疲れさまでした。ありがとうございました。

── 了 ──

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