試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ地質・地震動サブワーキンググループ(第1回) 議事録

1.日時

平成21年7月31日(金曜日)13時30分~16時00分

2.場所

中央合同庁舎第4号館12階 共用1212特別会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1

3.議題

  1. 1.新耐震指針に照らした試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価について
  2. (1)試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回)における主なコメントの整理
  3. (2)耐震安全性評価の中間報告(京都大学)について(地質、地震動)
  4. 2.その他

4.配布資料

地質・地震動1-1 バックチェック報告の妥当性確認の主なポイント等について(案)
地質・地震動1-2 試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回)における主なコメントの整理(案)
地質・地震動1-3 京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)新耐震指針に照らした耐震安全性評価(中間報告)(地質・地盤調査、基準地震動Ssの策定)

5.速記録(地質・地震動サブワーキンググループ(第1回))

平成21年7月31日

【吉田原子力規制室長】  それでは、少し時間が早いのですけれども、委員の方が全員そろわれましたので、これからサブワーキンググループを開催したいと思います。委員の先生方におかれましては、ご参集いただきましてありがとうございます。

 それでは、本日の進行は、本サブワーキンググループの主査であります杉山先生にお願いしたいと思います。

 それでは、先生、よろしくお願いいたします。

【杉山主査】  サブワーキングの主査を拝命しました杉山と申します。よろしくお願いいたします。

 それでは、きょう、第1回目の地質・地震動のサブワーキングを開催させていただきたいと思います。

 初めに、事務局のほうで配付資料の確認をお願いいたします。

【益田係員】  それでは、事務局より資料の確認をさせていただきます。まず、お手元にお配りした資料で、座席表の次にございます議事次第に沿って確認をお願いいたします。

 まず、地質・地震動1-1といたしまして、「バックチェック報告の妥当性確認の主なポイント等について(案)」。地質・地震動1-2としまして、「試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキング(第1回)における主なコメントの整理(案)」。

 続きまして、横長の資料なのですが、こちらは1点訂正させていただきます。お手元の資料では地質・地震動1-4とありますが、こちらは地質・地震動1-3の資料としまして、「京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)新耐震指針に照らした耐震安全性評価(中間報告)」です。不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。

 また、資料、速記録等については、今後、文部科学省のホームページにて公開させていただくこととなっていることを報告させていただきます。

 以上です。

【杉山主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、さっき私、申し上げるのを忘れましたけれども、この会議は公開ということになっておりますので、発言する場合には挙手をしていただいて、よろしくお願いします。

 それから、きょうもあまりたくさんはお見えにはなっていませんけれども、傍聴者の方もいらしておりますので、議事進行によろしく協力をお願いいたします。

 それでは、議題に移りたいと思います。初めに前回、第1回目の妥当性確認ワーキンググループが開催されましたが、そのときの主なコメントの整理についてお願いしたいと思います。

【林安全審査官】  それでは、試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回)における主なコメントの整理についてということで説明させていただきます。先に資料の地質・地震動1-1「バックチェック報告の妥当性確認の主なポイント等について」を説明させていただきます。

 この資料は、前回7月15日に開催されましたワーキンググループの資料1-6として、その資料中に重要なポイントを中心にサブワーキンググループで確認をいただいた上、その確認結果を取りまとめていく旨の説明を加えた内容で、資料1-6としてお示しさせていただいておりました。一応、いま述べた文章がなくなったということになりますので、一部改正としての書面として、本日改めて本ワーキンググループにかかわる部分についてお示しさせていただきました。

 以下に添付されておりますのは、参考として前回ワーキンググループで確認いただきました妥当性の考え方について、本妥当性確認ワーキンググループの物差しにもなります考え方について添付させていただいております。

 引き続きまして、資料の地質・地震動1-2、第1回ワーキンググループにおける主なコメントの整理を説明させていただきます。本資料の左側にあります確認の主なポイントの欄は、先ほど説明しました妥当性確認の主なポイントが転記されてございます。その確認の主なポイントに沿って、具体的に、前回のワーキンググループにおいてコメントをいただいた内容、そのコメントに対する回答等について、本ワーキンググループにかかわる部分について説明したいと思います。

 第1点目のポイントでございますが、0.の共通事項になります。地震動の超過確率、前回の資料1-5-1の7ページにありました地震動の超過確率については、本ワーキンググループの評価に含めますかというコメントがございました。それに対して事務局のほうで回答してございます。京都大学からは最終報告により報告される予定となっております。ワーキンググループでは、本ポイントに追加しますという回答をしましたけれども、資料中に参照という文言も載ってございます。ですから、下線の部分を追記させていただきまして、本ポイントについて追加し、参照程度の確認と考えているといった記載をさせていただきました。

 なお、このポイントのほかに重要と思われる内容については、その都度ポイントに追加していきたいと考えておりますので、お願いいたします。

 その後、2番目の基準地震動Ssに関するコメントです。応答スペクトル法ということでくくらせていただいておりますが、応答スペクトルに基づいた地震動評価法については、Noda et al.の2002を用いており、その選定理由として地震観測記録を用いて諸特性(地域特性等)が考慮できることを挙げているが、実際に地震観測記録を用いて諸特性を考慮したのかというコメントをいただいております。

 それに対して京都大学からは、地震動のせん断波速度の違いについて、耐専スペクトルではVs=700m/sの地盤と想定され、本サイトの解放基盤はVs=2000m/s程度の地盤となっている。耐専スペクトルの妥当性を本サイトでの地震観測で検討することは、非常に重要であることと考えているが、残念ながら耐専スペクトルの妥当性を確認できるような地震観測が得られていない。本検討では、地盤構造の違い等の地域性を考慮に入れ、検討を行ったとご理解くださいというコメント、回答でした。

 続きまして、2ページ目にまいります。2ページ目からは施設構造の安全評価ということで、施設・構造サブワーキンググループで確認いただく部分になりますが、若干、地質・地震動にかかわる内容も含まれておりますので、抜き出しをして説明させていただきます。地震応答解析モデルの水平方向、SRモデルということで、地盤―建物連成モデルと一番上に書かれているところでございます。その中で、表層部地盤(せん断波速度Vs=2000m/s~300m/s程度)が非線形領域に入った場合、建物SRモデルのばね定数の評価について、単純にせん断波速度から算定したのか、非線形になったあるひずみレベルで、ばね定数を算定したのかというコメントがございました。

 それに対しまして、右側が京都大学の回答になりますが、基準地震動の地盤増幅については、等価線形解析により地盤の非線形性、せん断剛性低下率G/G0~せん断ひずみγの関係、減衰定数h~せん断ひずみγの関係を適切に考慮したものになっていますという回答を得ております。「また」以降の部分に関しましては、建物地盤相互作用を考慮した応答解析のモデルにかかわる部分ですので割愛させていただきます。

 3ページ目にまいります。3ページ目でマル2のところに機器・配管系とございます。その中でワーキンググループ第1回のところになりますが、評価結果には余裕度の少ない箇所があります。これは機器・配管系の評価基準に対する発生応力の比が大きく、余裕の少ないところがあることを述べておりますが、応答スペクトルから上下方向のサポート回りが厳しい状況にあると想定されますというコメントをいただきました。

 それに対しましてワーキングにおける京都大学の回答ですが、新耐震指針では上下方向の地震動についても適切に考慮するよう規定され、建屋屋根版については大きな応力を発生している。一応、上下方向の地震動について述べている部分がございましたので説明をさせていただきました。

 以上が本サブワーキンググループに関係する前回のワーキンググループにおけるコメントと回答になります。

【杉山主査】  どうもありがとうございました。

 我々のサブグループは、この1ページ目の基本的には地質・地質構造と基準地震動と入力地震動までということだとは思いますけれども、それで、1ページ目は、この応答スペクトルのところは翠川先生から確かご質問があったかとは思うのですが、これで、よろしいですか。

【翠川委員】  はい。結構です。

【釜江先生】  ちょっとよろしいですか。

【杉山主査】  はい。どうぞ。

【釜江先生】  前回、翠川委員からそういう質問を受けて、ここにも書いていますように、残念ながらデータがないというふうにお話し申し上げたのですけれども、実は兵庫県南部地震のデータが少し、場所的には建物の中ですけれども、ベースマットということで、少し翠川委員がおっしゃったようなことをフォローできるようなデータにもなり得ると思いますので、本日はないですけれども、次回といいますか、何らかの機会があれば、その兵庫県南部地震のデータをもとに、ここにありますような耐専スペクトルの有効性といいますか、それを示したいと思っています。前回はデータがないと申し上げたのですけれども、実はそういうデータが現にありました。

【杉山主査】  わかりました。どうもありがとうございます。じゃあ、その対応をどうされるかは事務局のほうで少しご検討いただけますか。

【鎌倉保安管理企画官】  では、次回以降にお願いできれば。

【釜江先生】  はい。わかりました。

【杉山主査】  よろしくお願いいたします。

 それ以外の項目で、もしご意見とかコメント等があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、今の点を次回以降にご対応いただいて、また、このコメント欄の回答も変えていただく、修正、書き加えていただくということにしたいと思います。

 それでは、きょうの2番目というか、主な議題のほうに移らせていただきたいと思います。2番目は「耐震安全性評価の中間報告(京都大学)について(地質、地震動)」ということでよろしくお願いしたいと思います。釜江先生のほうから。

【釜江先生】  いや、説明は川辺のほうがします。

【杉山主査】  わかりました。

【釜江先生】  ありがとうございます。前回、2週間前ですか、妥当性確認ワーキングで大体、中間報告のワンスルーをご説明させていただいたのですけれども、きょうはその中の地質・地震動というところで、少し枚数が多うございますけれども、限られた時間ですから、前回も少しお話ししたところをはしょりながらご説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。報告は川辺のほうから。

【杉山主査】  では、川辺先生、よろしくお願いいたします。

【川辺先生】  はい。よろしくお願いいたします。本日は、地質・地盤調査及び基準地震動策定のところについてご説明をさせていただきます。本日の内容ですけれども、この3点となってございます。お手元にあります資料は、前回、説明させていただきました資料と同じ絵も多数、かなり多く含まれておりますので、そういう絵はできるだけ説明を飛ばして、説明が必要なところ、もう一度見ていただきたいところは説明させていただくような形で進めさせていただきたいと思います。

 早速、1番の地質調査・地盤調査のところに説明を移ります。ここでは3つの内容について説明をさせていただきます。1つ目が敷地周辺の活断層についての調査結果、これは文献調査を行っております。それから、1-2としまして敷地周辺の地質構造、1-3につきましては我々のところで行いました地下構造調査について、その結果を報告、説明させていただきます。

 まず、これは前回と同じ絵になりますけれども、我々の原子炉施設、KURと、以降書いてありますけれども、KURを中心とした半径30キロ、100キロの円の中にここで示します断層が存在します。ここの青い字で書かれていますのは、地震調査研究推進本部のほうで選定されています、今は110の断層の中に含まれているものです。それで、敷地の周辺30キロの中には、そのうちの中央構造線断層帯の金剛山地東縁から和泉山脈南縁の中央構造線、それから、大阪湾断層、上町断層、生駒断層の南側が含まれるという形になっております。その少し外側には六甲・淡路の活断層です。兵庫県には有馬・高槻の断層帯というものも存在してございます。

 あと、ここで書いております断層の線ですけれども、基本的には岡田・東郷(2000)、これは近畿の活断層の線を書かせていただいています。それで、その近畿の活断層の範囲外というのは、詳細デジ活と言われるもの、中田・今泉編を一部使わせていただいておりまして、海の中の大阪湾断層につきましては横倉・他の論文から、その線を書かせていただいております。

 中央構造線断層帯につきましては、30キロ、100キロの外、ずっと四国のほうまで伸びておりますけれども、これは地震調査推進本部の長期評価によって過去の活動時期の違いから5つの区間に分けられている。それで長期評価においても我々の敷地から30キロの範囲に入るこの和泉山脈南側と金剛山地の東縁のほう、断層帯、ここまで海に至るまでを1つの区間と設定されておりまして、我々もこの考え方をもとに断層モデルを設定してございます。ですので、この海のところでちょうど切れるような断層モデルにしております。

 こちらは30キロ以内の断層をクローズアップしたものです。このような形になってございまして、近畿の活断層では、活断層の区分をこのように線の色分けと点線、破線と実線に分けておりまして、赤いものは30万年前以降に活動したものということで定義されております。それで、紫色の、少し見にくいのですけれども、KURの少し南から東にかけて少し断層があるのですけれども、これは30万年前以前にのみ活動した。それ以降には明瞭な活動がないと定義されているものですので、今回の耐震バックチェックにおいても、これは考慮しなくてもよい断層である。そういうふうに定義されているものです。

 それで、そういった断層の長さ、これは後ほど詳しく説明させていただきますが、中央構造線断層帯、前回も説明させていただきましたが、我々のところは傾斜角80度、南側ですね。傾斜角80度のものと43度のものを設定してございますけれども、それぞれ断層の長さはこういう形になります。上町断層46キロ、生駒断層、大阪湾断層42キロずつというふうにしておりまして、断層の長さから松田式を用いましてマグニチュードを出しますと、このような8.0から7.5までとなってございます。

 もう少し敷地の近傍について見てみますと、先ほど紫色で示しましたこの断層、幾つかありますけれども、成合断層からずっと右側、東にずっと行っているのですけれども、これらについては文献調査をしましても最終間氷期(13万年)以降の活動について積極的に支持する証拠が得られていないということから、地震動評価の対象とはしないと結論づけました。

 次に、大阪湾内の活断層ですけれども、大阪湾活断層は横倉・他の論文では、こういった反射法地震探査の結果から、地震基盤にこの反射法に有意な変形が見られるものとして、地震基盤上の断層分布図をこのように書かれてございます。それと、それ以外に大阪湾の断層調査としましては、海上保安庁の水路部が行いましたものがありまして、これは海底のごく浅いところの調査をしたもので、そういうものにおいてはこういう関西空港、国際空港の南側とか、こういうところにも線が引かれているということになってございます。

 こちらは敷地から近いものですので詳細な検討をしまして、こういったところ、反射法測線、この周りにある反射法測線では関西空港の周辺では明瞭な断層が見当たらないこと、それから、この岩淵・他の、これは基盤深度図ですけれども、基盤岩の深さの等高線ですけれども、大阪湾断層のところは等高線が詰まっておりまして、明らかな段差があるというものになってございますが、関西空港の周辺というのはなだらかに傾斜しているところでして、こういったもの、断層であるというのを示すような証拠はないということになっております。

 あと、この周り、関西空港の周辺の断層として線として書かれているものですけれども、この北側と南側について反射法があるのですけれども、東側についても防災科学技術研究所によって、この関西空港の対岸のところ、反射法探査が行われておりまして、申しわけないですが、このお手元の資料で北東と南西が逆になってございます。間違いでございます。前のほうが正しい。ご修正いただきたい。申しわけございません。この資料からも、この関西空港の対岸においても基盤岩を切るような断層は見つかっていないというような資料になってございます。

 以上のことから、この関西空港周辺にある水路部によって引かれた断層線というものは活断層ではないと我々は判断いたしました。

 続きまして、敷地周辺の地質につきまして、これは前回説明させていただきましたとおり、そのままの資料でございまして、我々のKURにあります大阪湾というのは、厚い堆積層、1,500メートルから、深いところでは2,000メートル近く、大阪湾、2,000メートル、3,000メートルまでのような深い堆積層でございます。KURの敷地周辺では約200メートルぐらいの堆積層になってございます。もう少しこの敷地に近いところをクローズアップしてみますと、この敷地として丸で囲んでありますけれども、これは沖積層が表層にあります。その下は泉南累層という砂礫層です。大阪層群下部に相当するものがありまして、この断面図を見ていただきますと、このちょうど地表面に堆積されまして、そのすぐ下に泉南累層があります。そして、その下はこの成合花崗岩があります。そういうような地質構造の場所に敷地は位置しております。

 続きまして、我々の行いました地下構造調査について説明させていただきます。ここでは原子炉建屋横でのボーリング調査、これは前回も少しご説明させていただきましたが、今回新たに説明させていただくものとしまして、建屋の近傍で表面波探査を行いましたが、その結果、それから、敷地周辺で、もう少し広域で微動アレイ探査と単点の微動探査を行ってございますが、その結果を説明させていただきます。

 まず、敷地内のボーリング調査ですけれども、これは我々の京都大学原子炉実験所の敷地図ですけれども、そこに原子炉建屋、今回のバックチェックの対象となる原子炉建屋がございます。それの横、こちらのほうです。ここで今回のバックチェック用のボーリングを行いました。このオレンジ色のボーリングの調査でありますが、これはこれらの建物を建てるときにやったボーリング調査でございまして、今回のものではございません。PS検層を行っているのは、こちらとここの2点になってございます。それで、ボーリング調査、今回のものは、いろいろと調査をしまして速度検層、密度検層、圧密、3軸圧縮試験、標準貫入試験、その他いろいろと検層してございます。

 地震動の評価に必要となってきますP波速度、S波速度、密度、それから、N値も参考として載せさせていただいてこのようになってございまして、建屋の近傍なのですけれども、表層の10メートル程度は、建物を建てたときに少し釜場として掘ったところで、埋め戻した土がここから出ておりまして、そこはS波速度が少し小さいものになってございます。建屋はそういう埋め戻し土はないということですので、モデル化をするときには、この下の地盤が建屋の基礎まで続いていると仮定してやってございます。

 あと、それで建屋の下、ずっとなだらかに速度が増えてまいりまして、175メートルの地点で風化花崗岩、これ、前回の資料で174メートルと記述させていただいて、これは間違いで、今回の175メートルが正しいものになってございます。風化花崗岩が出まして、181メートルのところで花崗岩のフレッシュなものが出てきます。そこからは速度も、S波速度、P波速度とも、グッと増える状況となってございます。

 こちらが敷地内のボーリング調査の結果です。5点、6点を結びまして敷地の断面を書いたものです。敷地のこのA-A断面ですけれども、少し見にくくて申しわけございませんが、このような形になっておりまして、こちら左側がこの地図で言う上側になってございます。右側が下。地図で言う左上から右下のほうに向かってなだらかに少し傾斜をする層構造となってございます。これは3度から5度程度、場所によって少し違うのですけれども、このような傾斜になってございます。

 続きまして、表面波探査の結果ですけれども、こちらは先ほどの地図をもう少しクローズアップして、原子炉建屋の上側と下側、2測線に沿って上側のほうが約150メートル、下側のほうは220メートルの測線でして、これは人力で、ハンマーで地面をたたいてする調査ですので、深いところまではわかりません。ですので、ここは25メートルまで、ごく表層の調査でございます。

 これの調査結果からいきますと、この下の柱状図を見ていただきますと、少し見にくいですけれども、お手元の資料でいきますと、ここで見たかったことは、ボーリング調査ではない方向で、この地盤の傾斜構造を1つ見てみたいということがありまして、傾斜構造を見ますと、このカラーのコンターもしくは下の柱状図の同じ速度層を引いた線を見ますと、この傾斜角、最大で約5度の傾斜になってございます。この程度であれば水平成層構造を仮定した重複反射理論の計算もほぼ成り立つようなところでございます。

 あと、原子炉建屋の横ですが、ここはもともと山だったところを切り取って原子炉建屋としたということで、少し下側もかたい、速度の速い層が浅いところにあらわれてきているというようなことになってございます。

 続きまして、これは我々のところでやりました微動探査、この黒い点が単点の微動探査を行った場所でございます。それから、この丸が微動アレイ探査を行ったところです。それから、先ほど反射法の結果を紹介させていただきましたが、これは防災科学技術研究所による反射法探査の場所です。

 あと、凡例にはないのですけれども、この700メートル、810メートル、1,060メートルと書いてありますが、これはボーリングによって基盤岩深度がわかっているところ、ほとんどが温泉ボーリングなのですが、こちらは防災科学研究所のKiK-netの観測点のボーリング探査の結果となっています。

 あと、我々のところで行いましたボーリング調査で基盤岩が出ておりますので、その深さを書いてございます。これらをコンパイルしまして求めました基盤岩深度のコンター図がこちらになります。これも論文として今年、建築学会のほうに出ておりますけれども、こういうコンターになってございまして、敷地付近の基盤岩の傾きも約5度となってございます。このような地下構造になってございます。

 以上が我々のところで行いました地下構造調査の結果です。地質調査・地盤調査はここまでなのですけれども。

【杉山主査】  どういうふうに進めたほうがよろしいですか。パーツごとに議論を進めたほうがよろしいか。まあ、忘れてしまうこともあるかもしれないので、パーツごとのほうがいいのかなという。専門も多少違うかとは思いますので、じゃあ、ここで1回切らせていただいて、今、活断層と地質構造、それから地下構造の探査について、大きく分ければその3つのお話があったかと思いますけれども、今までのご説明のところでご質問とか、ご意見を賜りたいと思いますが、先生方、いかがでしょうか。

【岡村委員】  ちょっと教えていただいて、中央構造線を、5ページですか、推本の資料で5つとかに分けられているということですけれども、2もこれ、活動時期がわかっているんですかね。1と2というのは違う活動をするというのはわかっている。

【川辺先生】  違うというふうには示されているのですけれども、ただ、その信頼性という意味では、かなり幅がある活動時期になってございますので、ただ違うというのは違うというふうに記されております。長期評価のほうでは、そのように示されている。

【岡村委員】  あともう一ついいですか。大阪湾の中の断層で、空港の近くは活断層でないとおっしゃったと思いますが、プロファイルを見てもないように見えるんですけれども、実際、これは何を引かれて赤い線になっているんですか。

【川辺先生】  これは杉山委員のほうがこの辺ご専門かと思うのですが、これは例えば大阪湾というのは氷河期と間氷期の間で海水面の水位が変わります。それで、例えばこの辺、川があるのですけれども、川によって陸になったときに削られる。海になったときにそこに堆積物がたまるとかいうことで、地表に段差が出るものもあります。陸に直行するほうはそうです。それから、平行なものとしましては海岸線で浸食があったりする場合に、そういうところに段差ができたりするというのもあるという、そういう説もございます。そういうものを表層ですので、表層の探査からは段差として拾ってくることがあると文献に書いてあります。

【岡村委員】  浸食地形。

【川辺先生】  侵食して堆積する。

【杉山主査】  いいですか。その辺は多分、岡村さんが専門だとは思うのですけれども。

【岡村委員】  いや、大阪湾の中はよく知らないので。

【釜江先生】  我々もその文献のそういう解釈、このデータは非常に浅いところのデータということで、だから、その辺の変動をどう解釈するかということで、今のような、これも我々の解釈ではなくて、少しそういう専門家のご意見を聞いたりとかですね、ということで、1つは地震基盤までは切っていないというような反射法の、それであと、上のほうの解釈は、今のような解釈が成り立つのではないかなということで、その辺は主査とか岡村先生のほうの専門で、もし何か別な解釈があれば教えていただけたらと思うのですけれども。すみません。

【杉山主査】  あとほかにもしご意見があれば承りたいと思いますけれども、いかがでしょうか。どうぞ。

【翠川委員】  17ページに地下構造探査ということで、それで、このサイトで微動アレイ探査をされているのですが、これから出てきた構造とこのボーリングのPS検層の結果というのは調和的というか、どういうような構造が出てきたんでしょうか。

【上林先生】  微動アレイがSPACでインバージョンしているのですけれども、実際、この基盤深度よりも約3倍ぐらいの深さで基盤深度が推定されています。同時にH/Vで深度を推定した場合はボーリングとほぼ同じ180メートル程度と。その理由としまして、基盤岩が海側から傾斜しておりますので、F-Kでも一応確かめたら、北西方向から波が到来しているので、深い側から浅い側に波が来ている。その場合にこの平行成層がある種、成り立たない条件になっている可能性がある。その理由はSPAC係数が非常に低めに評価される。ということは、SPAC係数を低めに評価されると、ξ・ω/cを変数とする、第一種、零次のベッセル関数、この部分が真の値とは違う値に解釈されることによって、見かけ上の位相速度が遅目に評価される。遅目に評価されると相対的に基盤深度も深い目に評価されるということで、それは波動論的な解釈になるのですけれども、SPACでは深めに評価してしまおうと。

 もう一つ、F-Kの解析結果は、逆に言うとものすごくコンターが分散しているような形のコンターになりまして、ユニークに位相速度と到来方法が見れるような目玉にはなっていなかった。これはある種、不規則構造による散乱が影響して目玉がなまってしまっている。そういう解釈から、まずSPACによるインバージョンはあまり信用できない。F-Kによるインバージョンも分解能が低かったために信用できない。それで、一応、H/Vで抑えた結果のほうが、ある種、こういう傾斜基盤に関しては信頼性があるというボーリングとの比較の結果がありましたので、それに基づいてH/Vで基盤深度を面的に求めたというのが17ページから18ページの図になってございます。

【翠川委員】  18ページの図は、結局はボーリングのデータと、それから、この単点微動探査のH/Vスペクトルのピーク周期から深度を決めてコンターを書いたと。

【上林先生】  ええ、そうです。

【翠川委員】  そうですか。

【上林先生】  一応、補足なのですけれども、海側でアレイを4点ばかりやっているのですけれども、こちら側はコンターを見ていただきますと、少しコンターの間隔が広がりますので、やや平行成層に近くなってくるということで、海側のアレイに関しましてはボーリングとSPAC、F-Kともによく一致している。当然、H/Vも一致しているというので、海側に関してはどれを使ってもわりと基盤深度は出ましたけれども、山側に関してはこのコンターのしわが、等高線が狭いので、その影響でH/Vを基本的に用いて地下構造を空間的に同定したという結果になっております。後半は補足でつけ加えさせていただきました。

【杉山主査】  今のご説明でよろしいでしょうか。

【翠川委員】  はい。

【杉山主査】  あと、ほかにご質問があれば受けたいと思いますが、いかがでしょうか。ここまではよろしいでしょうか。

 それでは、今のこの活断層、それから、地下構造の調査結果に基づいて、この地震動をこれから策定するかとは思うのですけれども、そちらの話に、よろしくお願いいたします。

【川辺先生】  はい。お願いします。2番、基準地震動Ssの策定ということで、こちらではこの示している5つの内容を説明させていただきます。まず、基準地震動Ssの策定方針、それから、微小地震の震源分布、地震発生層の検討及び敷地周辺における主な被害地震の文献調査の結果です。それから、検討用地震の選定。続きまして、検討用地震の地震動評価ということで、応答スペクトルに基づいた地震動評価と、断層モデルを用いた地震動評価。最後に震源を特定せず策定する地震動の検討をご説明させていただきます。

 まず、1つ目の基準地震動策定の方針ということで、こちら、21ページ目ですけれども、基準地震動Ssの策定フローということで流れを説明させていただきます。まず、先ほど説明させていただきました地震調査結果資料です。あとは敷地周辺の中小微小地震の分布、それから、既往の研究の成果をもとに検討用地震の選定を行います。それも内陸の地殻内地震、海洋プレート内地震とプレート間地震の3つに分けて検討用地震の選定を行います。行った後に地震動評価に移りまして、応答スペクトルに基づく地震動評価を行います。それで敷地に最も影響を及ぼすと考えられる地震につきましては、断層モデルを用いた地震動評価を行いまして、最終的に基準地震動Ssを策定します。これが敷地ごとに震源を特定して策定する地震動ということになります。それから、それとは別に内陸の地殻内地震につきましては、震源を特定せず策定する地震動というものを検討いたします。このような流れで基準地震の策定を行います。

 続きまして、震源モデルの設定ですけれども、震源モデルの設定は文献調査の結果及び地震発生層の検討の結果から、断層モデルの断層の長さ、傾斜角等の形状を決定します。その次に震源のパラメータは強震動予測レシピ、地震調査研究推進本部の出しているものですけれども、それに従って設定をします。内陸の地殻内地震ですけれども、アスペリティの場所というものは、断層の変位量が推定できる場合には変位量の大きいところに配置するということにします。最後に震源モデルは地震調査研究推進本部の震源モデル及び中央防災会議の震源モデルも参照して保守的に設定する。これらのモデルと、比較して敷地への影響が下回らないように設定をしていきます。

 続きまして、基準地震動の策定評価につきまして、これは前回説明させていただきました図ですので簡単に説明させていただきますと、応答スペクトルに基づいた地震動評価につきましては、Noda et al.の方法を用いる。この3つ目、翠川委員より質問いただきましたところにつきましては、現在のところ考慮できておりませんが、これから考慮して検討させていただきます。断層モデルを用いた地震動評価につきましては、短周期成分は統計的グリーン関数法、長周期成分は理論的な3次元差分法により計算を行います。それで、最後に、敷地近傍に位置する断層については、具体的にはこれは中央構造線断層帯ですけれども、断層モデルを用いた地震動評価の結果を重視していきたいと考えております。

 応答スペクトルに基づいた地震動評価方法は、Noda et al.の方法ですので、この図は、こういうものだということで、あと時間がありませんので説明は省かせていただきます。

 続きまして、統計的グリーン関数法を用いた地震動評価ですけれども、統計的グリーン関数は釜江(1991)に基づきます統計的グリーン関数法を用いて波形を計算します。それから、ラディエーション係数は釜江(1990)に従って設定する。それは具体的にはこのように周波数に依存したラディエーション係数ということで、周波数が高くなれば等方的な係数になる。周波数が低くなれば理論的なラディエーション係数になるというようなものを用いています。

 それと、サイト特性につきましては、地震基盤から解放基盤までの増幅特性は斜め入射を考慮した1次元重複反射理論によって評価をします。このような形で統計的グリーン関数法の計算を進めます。

 続きまして、3次元差分法を用いた地震動評価とハイブリッド合成法ですけれども、3次元差分法は不等間隔のStaggered Gridを用いた3次元差分法により計算を行います。それで、水平方向のグリッド間隔0.1キロメートル、鉛直方向は深さによって変えまして、浅いところは0.05キロ、50メートル。深いところは400メートル、0.4キロメートルの深さ間隔でグリッドを切ります。時間間隔は0.005秒としております。そうしまして、後ほど説明させていただきます地下構造モデルの設定とあわせまして、有効周波数は0.8ヘルツ以下ということになっております。

 あと、Q値の設定はGraves(1996)、これは周波数の1乗に比例する減衰、Q値を設定するということになるのですけれども、そういう方法を導入しております。それで、ハイブリッド合成法は、先ほどの高周波数側の統計的グリーン関数法と、低周波数側の3次元差分法を、0.8ヘルツを接続周期としまして、このようなマッチングフィルターをかけまして、お互いの波をフィルターがけして、このような波にします。それを足し合わせてハイブリッドの合成法として、最終的な波を合成するようにしています。

 続きまして、2-2の微小地震の震源分布と地震発生層の検討及び被害地震についての調査です。まず、微小地震の分布ですけれども、これは左側から気象庁の地震カタログの震源データを用いてこの図を書いておりまして、震源深さがゼロから30キロが左側の図で、右側が30キロから60キロ、この年代は2004年から2007年にしてございますが、これはあまりたくさんにすると真っ黒になってしまってわからないので、傾向を見るためにこのようにここでは一例として2004年から2007年までのデータを用いています。敷地周辺100キロと200キロ、黒で書いてしまったので敷地がわからないのですけれども、この円の中心が敷地になってございます。

 ゼロから30キロを見ますと、このような震源分布で、ここでわかりづらいのですが、赤で示していますポインターの先が六甲・淡路の活断層帯、それから、ここに黒い塊がありますけれども、これは和歌山の平野下部で起こっている微小な地震をあらわしてございます。こちらが六甲・淡路の北東側で、北摂山地で起こっている微小地震群がこのように真っ黒な形で敷地周辺には見えてございます。

 30キロから60キロになってきますと、プレートの潜り込みの形状によって潜り込んでいるところ、プレート間、プレート内での地震がこのように出てくるような形になりまして、出てくる地域と出てこない地域に分かれる。60から90キロも一部見えるのですけれども、微小なマグニチュード5以下ですと、これ以上、60から90以下になると、もう見えてこない。90キロから120キロになりますと、少し遠いところでは見えるのですけれども、敷地周辺ではあまりないという結果になってございます。

 先ほどの結果を、敷地を含む幅100キロのところを取り出しまして断面に落としたもの、左側が東西断面ですけれども、このKURと書いてあるのが敷地位置でして、敷地の位置のこの地震発生層に相当すると考えられるこの浅いところですと、20キロより浅いところで一度切れまして、このプレートの潜り込みと考えられますところでまた潜り込んでいます。南北のほうがプレートの潜り込みがよくわかるのですけれども、こうなりましてKURの敷地の下、南から、この図では左側が南、右が北になるのですけれども、南から北に向かってこのようにプレートが潜り込んでいる様子が微小地震、マグニチュード5以下の地震の震源分布からもわかる。この分布から敷地直下の潜り込んだプレートの上面を60キロと我々は判断しまして、この後の評価にその値を用いることとしております。

 続きまして、地震発生層についての文献調査の結果ですけれども、敷地周辺のこのキュリー点深さというものが11キロから12キロになってございます。それとまた別にZhao et al.によるコンラッド面の深さというのは敷地周辺では15キロから16キロ程度となってございます。

 あと、これは微小地震について、敷地を含む100キロの升の中だけを取り出しまして集計したものですけれども、そうしますと、D5%というのが4.3キロ、D95%というのが11キロ、90というのが11.3キロと、このようになっています。右側の下にある図が累積頻度分布を示し、このような形で分布しています。ただ、KURの位置はここなのですけれども、これは南北断面です。こちらから見て、右から左に向かって見ていただいたものと思えばいいと思いますが、そうしますとKURよりこっち側、北側が若干深くなっている。南側は浅くなっている。

 これは南側のほうというのは、この和歌山平野及びその周辺で起こっている地震をあらわしております。北側といいますのは、ほとんどこの六甲・淡路断層帯のところで起こっているものが主なもので、この黒いところですね。そのほかこの大阪平野内の地震も含まれておりますけれども、このような分布として見えておりまが、少し活動の毛色が違うようなものになってございます。深さが変わってくる。ただ、それを一緒くたにして集計しますと、このような累積頻度になっているという結果です。

 あと、JNESの2004年の報告書に基づきまして、我々の敷地では、近畿というところと南海というところの境界になりますけれども、それぞれの地震発生層の評価は、近畿のほうでは、D10%が8キロ、D90が14.9、これを引いてしまいますと層厚6.8キロ。南海という区分では、D10が7.2、D90が15.1で、層厚が7.9ということになってございます。

 それから、地震調査研究推進本部による、これは中央構造線断層帯の強震動評価の際に用いられ、検討されました結果ですけれども、これによりますと地震発生層、この中央構造線断層帯の周辺では上端4キロ、下端15キロということになってございます。我々が、今までお示ししました図で一番深いところは15キロということで、我々もこの推本の結果を用いまして、上端4キロ、下端15キロとして地震発生層を設定することといたしました。

 続きまして、敷地周辺における主な被害地震ということで、これは最新版の日本被害地震総覧を集計した結果ですけれども、敷地の周辺100キロ、200キロの円をかきまして、その中にマグニチュード5以上のものをプロットしました。そうしますと、主な分布としましては、この東南海、南海地域の地震の分布、それから、内陸地殻内、このあたりの敷地周辺100キロ以内になりますが、こういう分布が敷地周辺の状況となります。

 それで、この被害地震総覧の中で我々の敷地のあるところで震度Ⅴ以上にあたる地震というものをピックアップしますと、この右上の表になります。このような南海地震、東南海地震であるもの、あと内陸の地震のものも含まれてございます。この震度Ⅴといいますのは、気象庁の震度階級で言いますと、建物に被害が出始める震度ということで、そういうところから、震度Ⅴ以上というものを決めまして、こういうものをピックアップしてきました。

 それから、被害が載っていないものというものも、被害地震総覧の中にございますので、マグニチュードと距離から、距離のこういう図をとりまして、ここに示してあります3文献から引っ張れます震度とマグニチュード、距離の関係の線ですね。マグニチュード5の区域、6の区域、4の区域、こういう線を引っ張りまして、震度Ⅴ以上になるものを右下の表にピックアップしてございます。そうしますと、この同じ地震が我々のKURの敷地において震度Ⅴ以上であると推測される地震となってございます。

 それと、続きまして敷地周辺の活断層と震央の分布ですけれども、まず左側は被害地震と活断層の分布の関係を示しております。ここの左側の図を見てみますと、有馬・高槻断層帯、そこの横で1596年の慶長伏見の地震が起こってございます。あと、1995年の兵庫県南部地震もこの六甲・淡路断層帯で起こっております。それが敷地周辺の30キロの円の中にあるもの、もしくはその直近にあるものとして主な被害地震になってございます。

 あと、右側の図は微小地震です。マグニチュード5以下の地震の震央分布と活断層の分布状況を比較したものですけれども、この図から判断しまして、敷地周辺に存在する活断層の位置とマグニチュード5以下の地震の震央分布の間には明瞭な対応は見られないということで、活断層周辺で地震活動が活発であるというのはあまり見られない。一部和歌山のところ、少し微小地震が見られますが、これは中央構造線断層帯と関係あるかどうか不明なのですけれども、それ以外は、もう活動はあまり見られないという結果になってございます。

 ここまでが微小地震等の説明です。

 続きまして、検討用地震の選定。まず、断層モデルは幾つか各機関から提案されていますが、それを参照しました。こちらは推本の確率論的地震動予測地図で示されています断層モデルです。ここでは断層の長さ、断層位置がこのように設定されてございます。それから、こちら側の右、ここでは見にくいのですが、お手元の資料と合わせて見ていただければと思いますが、生駒断層帯の震源――申しわけございません、これは間違っています。上町断層ではなくて生駒断層です。中央防災会議による震源モデルが左側の図になっています。右側の図が我々の設定した震源モデル、断層モデルになってございます。

 下側の表が断層モデルを比較してございまして、まず断層の長さからいきますと、中央防災会議は推本の長期評価の結果をもとにこのように断層線を引っ張っておりますので、こちらと同じ値になってございます。我々のところで42キロ、少し長いのですが、これは生駒断層帯の中の田口断層、この北側の断層なのですけれども、大阪府の調査で2003、2004、2005年の調査で少し北側まで伸びているという結果が出ていましたので、その結果を反映しまして少し北側に長くなるようにとってございます。あと若干このポイントが少しずれているかと思います。そういったもので我々の断層の長さというものは42キロになってございます。

 あと、断層幅ですけれども、こちら地震発生層からまず先に説明させていただきます。推本と中央防災会議は下端15キロ、上端3キロ、4キロと少し違うのですが、下端は15キロに設定して、ただ、断層の傾斜角を35度から45度というふうに設定してございますので、断層幅というものは21キロ、16キロとなってございます。

 我々のところでは、大阪府のその後の調査結果から断層の傾斜角というものは、生駒断層の調査では60度という結果がありましたので、それをもとに60度としました。地震発生層は3キロ、18キロ。先ほど北側に行くと若干微小地震の震央、震源が深くなるということも考慮しまして、保守的に少し多目に18キロとしております。3キロから18キロにしましたけれども、傾斜角が立っていますので、60度と高角ですので断層幅は17キロと、確率論的には予測地図のモデルより少し小さくなってございます。

 あとは、断層面積等は、アスペリティの面積はこのように設定してございます。このようなモデルを設定しております。ただ、初めにあります応答スペクトルに基づく地震動評価では、このアスペリティとかの値は使いません。断層の長さからマグニチュードを計算します。それと断層面の位置で等価震源距離を求めます。その形状と断層の長さのみで地震動の規模が決まるということになってございます。

 続きまして、上町断層の震源モデルですけれども、左側が中央防災会議のモデルになってございます。右側が我々のモデルです。我々のモデルでは少しこの横に出ています桜川撓曲であるとか、そういった撓曲も断層面に設定してございます。あと、上町断層では反射法探査の結果から北側で基盤岩の落差、上町断層の西側と東側の落差が500メートルぐらいになってございます。南側に行くとその落差がだんだん小さくなるということで、北側に我々は大きなアスペリティを置きました。南側には小さいアスペリティを置きました。それでこのアスペリティの配置としてございます。断層の長さは我々が46キロ、中央防災研が43キロ、端点の取り方等で少し長さが変わってきてございます。

 あと、断層面積は我々のところでは928平方キロで、中央防災会議の推本のモデルよりもかなり大きくなってございますが、これは地震発生層を少し多くとっておりますので、その分、面積が増えているという結果になってございます。

 続きまして、大阪湾断層帯の震源モデルです。こちらは中央防災会議の公開されている資料の中にアスペリティ等のデータがございませんでしたので、そのデータは載せてございません。断層の長さは、中央防災会議推本は39キロを設定しておりまして、我々は42キロと少し長めに設定してあります。あと、アスペリティの位置は、我々は南側に大きいものを設定しました。北側に小さいものを配置して、こんな形でモデルを設定してございます。断層面、地表面の位置は、ほぼ推本の長期評価の位置と合うように設定しております。北側に若干長くなっておりますが、この距離が少し伸びるという形になってございます。

 続きまして、中央構造線断層帯の震源モデルですけれども、こちらは推本によって強震動評価が行われておりますので、そのモデルを説明させていただきます。強震動評価では、この和歌山の海岸部から和泉山地の南側を通って、金剛山地の東縁までを1つの断層として設定しております。傾斜角43度で北側に傾斜するモデルとしてこのような形でモデル化をされておりまして、ただ、地表断層の線はこういうふうになっているのですけれども、L字型になっているのですが、地下では1枚物の断層、ここで少し形が変わります。このような1枚の断層として評価されております。それに対しまして中央防災会議は少し形状が違う。3枚の断層面がそれぞれに潜り込んでいるようなものとしてある。ただ、端点の取り方はどちらも同じで、和歌山の海岸部から東側を1つの断層活動区域としてとっております。

 次のページに行きまして、その左上が推本による強震動評価の際の震源モデルの立体的な説明図になってございます。このような形になっております。それに対しまして我々が設定しましたモデルについて、我々はこの中央構造線断層帯の南側というのは横ずれ断層だということで、横ずれ断層で傾斜角、こういうふうに寝ている断層帯というのは少し考えにくいだろうという意見も多数ございますので、少し高角にしまして傾斜角が80度、南側80度にしたモデルを基本モデルとして1つ設定しました。ただ、そうは言っても推本等で43度のモデルも設定されてございますので、そちら側も無視できませんので、そちら側についてもこのような形でCase2としたモデルを設定してございます。

 さらにアスペリティの位置は敷地に影響が最も大きくなるように保守的にということで、推本のモデルと変えまして敷地の真下に大きなアスペリティを置くようにしました。それで、断層の長さとパラメータを見ていきますと、このような形になっていまして、設定モデルCase1というのはこういう形でやっています。断層の長さというのは、これは2枚の断層を置いていますので、我々はこの南側の60キロと、この和泉山地の東側の16キロを足して76キロということで断層の長さを設定しました。これは直線で端点を結ぶというのもあるのですけれども、ここではこういう形で断層の地表面の線を結んで76キロとトータルの長さを設定してございます。これによってマグニチュードを計算しています。

 Case2の場合は、この1枚物の断層面としてなっておりますので、南側のこの断層だけ、和泉山地の南側の断層の長さだけをとりまして、断層の長さとして60キロとしてございます。推本の強震動評価でも60キロ、中央防災会議は64キロと設定してございます。断層幅につきましては、我々もこの推本の強震動評価のモデルと同じモデルを設定してございますので、幅16キロという、こちらCase2のほうが推本のモデルと同じですけれども、16.1キロとしてございます。このような形で設定してございます。

 それで、ここにつきましては地震発生層の上端と下端も推本、中央防災会議と同じものにしてございます。あと、マグニチュードを計算しますと、断層の長さからCase1のモデルは8.0、Case2のモデルは松田式を使うと7.8となってございます。アスペリティ等の面積もこのようにして、これは強震動予測レシピに従って設定しております。

 続きまして、今のような震源モデルを用いまして検討用地震の選定ということで内陸地殻内地震について応答スペクトルを用いた評価を行いまして、応答スペクトルを書きますと、やはり敷地に一番近い中央構造線断層帯の地震というものが敷地に最も影響のある地震ということで、これを検討用地震として選定します。

そのほかに断層の位置と走向から断層の破壊過程による敷地への影響が大きくなる可能性があるとして、上町断層帯の地震も検討用地震として選定しました。これは具体的には先ほどの絵を見ていただければいいのですが、上町断層帯は北から南に敷地に向かって存在していますので、もし北から南に破壊が進行してくるとしますと、破壊の効果、ディレクティビティ効果で敷地への地震動が大きくなる可能性があるとして検討用地震としてここに残すことにいたしました。

 続きまして、検討用地震の震源モデル(プレート間地震)についてですけれども、プレート間地震の震源モデルというのは、想定する地震としましては東南海地震と南海地震、それから、東南海、南海合わせた連動型の地震を想定しております。震源モデルとしまして、地震調査研究推進本部によるモデルをもとに我々が論文として2008年に書きましたモデル、こういったモデルを設定しました。マグニチュードは推本の設定と同じ8.1、8.5、8.4となります。このようなモデルを設定してございます。

 続きまして、検討地震の海洋プレート内の地震です。これは地震調査研究推進本部の強震動予測地図に基づいて海洋プレート内のマグニチュード7.4とする、これはどういうことかといいますと、確率論的地震動予測地図では、このような形で日本の地域に分けておりまして、我々の敷地のあるエリアはここになるのですけれども、このエリアというのは1番のエリアになりますが、この1番のエリアの最大のプレート内の地震というのはマグニチュード7.4、これは2004年の紀伊半島の南東沖の地震をもとにこのように設定されており、この考えに基づきましてプレート内の地震というのをマグニチュード7.4と設定しました。

 それと、先ほどの微小地震のところで説明させていただきましたように、プレート上面深さは60キロに設定してございます。それにプラス10キロして断層面という面の広がり20キロ、それより深くしまして、70キロのところにマグニチュード7.4の地震が起こるというふうにしてプレート内地震を評価することとしました。以上をまとめまして検討用地震は内陸地殻内地震、プレート間地震、海洋プレート内地震として、このような地震を設定しました。

 続きまして、検討用地震の評価ということで、応答スペクトルに基づいた地震動評価としまして、先ほど選定しました検討用地震につきまして、応答スペクトルに基づく地震動評価を行いますと、このような49ページのような結果になりまして、やはり応答スペクトルを見ますと、中央構造線断層帯の地震が最も大きい地震だと。その中でもこの赤い色のほうがわずかながら大きくなる。原子炉建屋の固有周期が大体0.1、0.3秒、そのあたりにありますので、そのあたりで最も大きくなるようなところということで、中央構造線断層帯の傾斜角43度のモデルを最も大きくなるとして基準地震動Ss-1として設定いたしました。

 その設定した地震の地震動を実際に合成するわけなのですけれども、この青色が地震動の応答スペクトルで、先ほど示しましたスペクトル、標準応答スペクトルに示しました、それのフィッティング具合がこの程度になりまして、この両者の比をとりますと、こういうふうになります。ここでのクライテリアとしまして――すみません、書いてございませんけれども、この標準スペクトルの85%を下回るものがない、下回らないようにして、このような地震動を設定しました。このようにタイムウインドーをかけまして、このような波形を合成してございます。

 続きまして、断層モデルを用いた地震動評価としまして、先ほど応答スペクトルに基づいた地震動評価で、敷地への影響が大きいと考えられる中央構造線断層帯、それから上町断層帯の、ここでは断層モデルを用いた地震動評価を行いました。その際に、震源の不確かさの考え方を取り入れまして、まず、中央構造線断層帯の傾斜角について80度と43度、80度を基本モデルとしたいということですけれども、それは43度も設定して、アスペリティにつきましては敷地の近くに配置しておりますので、大きいアスペリティ、それでも不確かさを考慮している。これは少し検討、ケーススタディーをしてございまして、敷地から離れたところに置いた場合よりも、先ほどお示ししました位置に置いたほうが最も敷地影響があるということで、あそこに設定してございます。

 それから、応力降下量の設定、これは新潟県中越沖地震の後に考慮しまして、強震動レシピで設定します応力降下量の1.5倍というものもCase3として設定してございます。

上町断層帯につきまして、傾斜角は一定としてございますが、アスペリティは北側に先ほど配置したモデルをお示ししましたけれども、不確かさとして南側に配置するもの1つ、それから、Case3としまして応力降下量を1.5倍にするものを1つ設定してございます。

 こちら、53ページが中央構造線断層帯の震源モデルのアスペリティの配置の図になってございます。

 54ページが上町断層帯の震源モデルのアスペリティの配置。上町断層帯につきましては、これは左側が北側で、北側のセグメントが3つありまして、セグメント4とセグメント5というのは、桜川撓曲と住之江撓曲のところの断層になってございます。基本的には、このセグメント1、2、3の3つがメーンの北から南に伸びる断層となっておりまして、Case1とCase3では北側に大きなアスペリティを配置します。Case2では南側に大きなアスペリティを配置します。Case2の場合、下側の場合では破壊開始地点はこちらにおいて、敷地のほうに破壊が進行するような大きなアスペリティ、破壊が進行するように設定してございます。

 55ページ、56ページは断層パラメータになりますので、これは時間の都合上、飛ばさせていただきます。

 続きまして、57ページの理論的手法による3次元差分法計算に用いました地下構造モデルの説明ですけれども、こちらも堀川・他の論文をもとに、このように3層構造のモデルを設定しまして、速度構造3層、堆積層3層と地震基盤の4層構造にしております。それで、2層目と3層目の深さ、2層目の上面深さ、3層目の上面深さ、4層目の上面深さはこのようなものになってございまして、少し見にくいのですが、大阪湾の中の大阪湾断層帯のところでは、急激に段差ができるようなもので、それから、上町断層のところですが、急激に西と東に段差ができる。生駒断層のところでも西と東で段差ができるようなモデルになってございます。このようなモデルで長期周期成分の地震動を計算しました。

 続きまして、これもハイブリッド合成をした結果ですけれども、それの応答スペクトルをお示ししますとこのような形になりまして、原子炉建屋の卓越周期、固有周期のところでは、一番大きいものが先ほど示しました中央構造線断層帯のCase2の場合の地震動です。これを基準地震動に設定するとします。その次に大きい地震動も、その後の地盤増幅特性を考慮しまして基準地震動として残すこととしました。これを中央構造線断層帯のCase3のモデル、応力降下量を1.5倍にしたモデルですけれども、基準地震動Ss-3として設定いたしました。

 以上で、基準地震動を3つ設定したところですが、これはすべての地震動の波形をかいた図になってございます。

 続きまして、震源を特定せず策定する地震動の検討ということで、震源を特定せず策定する地震動としまして、地震調査研究推進本部としましては、このような確率論的地震動予測地図の中でブロック分けしまして、それぞれにマグニチュードを設定してございます。我々の敷地は、ここではこの三角、マグニチュード6.8のところになってございますけれども、このような区域に分類されてございます。地域番号としましては13番のところになってございます。

 そのほかにJNES(2004年)の検討結果ですと、先ほども説明しましたけれども、微小地震に基づく地震発生層というのは、このような形でD10、D90の差をとって6.8キロ、近畿のブロック、南海のブロックではD10、D90、7.9ということです。それから、我々の先ほど集計しました結果で敷地周辺100キロの領域において地震発生層の深さ6.4キロと考えられる。

 あと、地震調査研究推進本部による微小地震に基づく地震発生層では、中央構造線断層帯の強震動評価の際に地震発生層を11キロと見積もりまして、この中で一番大きいものが11キロということで、これから断層の傾斜角45度として、地震発生層を飽和した断層面を仮定して、発生し得る地震規模はマグニチュード6.7であるとなっております。

 あと、震源を特定せず策定する地震動、加藤ほかの論文というものも皆さん参照されてございますので、そのまま参照しますけれども、その加藤ほかの論文の、ここで示されるスペクトルと、我々が設定しました基準地震動Ssを比較しますと、基準地震動、これはNS、EW両方の成分を基準にして書いてございますけれども、大きいほう、基準地震動のSs-3とSs-2のEWは、その加藤ほかのスペクトルを明らかに上回っております。このような結果から、震源を特定せず策定する地震動は基準地震動Ssの選定に際しては考慮しないということを結論づけました。

【杉山主査】  どうもありがとうございました。

 ここで震源のモデルから、それから、震源を特性せずも含めてお話がありましたけれども、ここまでの2番目のところで、まず少しご質問等があればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【翠川委員】  細かいことで確認ですが、応答スペクトルの例えば43ページです。計算されているんですけれども、これは例えば内陸補正とか、あとNFRD補正とかありますけれども、あと、この後につくプレート間地震についても多分補正というのは考えられていると思うのですが、そのあたりのご説明がなかったのですが。

【川辺先生】  まず、内陸補正はしております。

【翠川委員】  0.6倍。

【川辺先生】  はい。0.6。中央構造線断層帯については、NFRD、ニアフィールドの効果の補正もしてございます。あと、その後のプレート間地震についてはそのまま、プレート内地震ですね。ニアフィールドも入れていませんし、あと内陸補正もしていないそのままのものでやって、補正はしてございません。

【翠川委員】  要するに中央構造線と上町断層、生駒断層については0.6倍しているということですか。

【川辺先生】  しています。はい。

【翠川委員】  それから、中央構造線についてはNFRDをさらにかけていて、ほかのものは距離が離れているので……。

【川辺先生】  すみません、はい。

【翠川委員】  ほかのものは距離が離れているからNFRDはかけていないということですか。

【川辺先生】  はい。

【翠川委員】  それから、プレート間地震はどこだったかな。

【川辺先生】  49ページ。

【翠川委員】  49ページのこのプレート内のM7.4というのはそのまま。

【川辺先生】  そのままでございます。申しわけありません、それ、ちょっと確認して次回に答えさせていただきたい。

【翠川委員】  はい。

【釜江先生】  後ろから申しわけない。多分、プレート内地震のところのブルー、水色ですか。少し、短周期、グッと盛り上がっていますので、その辺考えているような気もするのですが、少し確認させてください。すみません。

【川辺先生】  申しわけございません。

【釜江先生】  それともう一つ、内陸補正ですけれども、今、神戸の地震で冒頭に少し耐専との比較をという話をさせていただいたのですけれども、そこでどんな結果が出るかわからないのですけれども、しかも、データとしては1つだということで、少しその辺で補正してもいいのかどうなのかというところも含めて、0.6倍ですから、最終的には断層モデルのほうが非常に大きいので、特にSsに多く影響しないと思うのですけれども、その辺を含めて内部補正についても次回、今の補正する方法でいいのかどうかということも含めて報告申し上げたい。

【翠川委員】  はい。ありがとうございます。

【杉山主査】  よろしいですか。

【翠川委員】  はい。

【杉山主査】  ほかにもしご質問等がありましたらお願いいたします。地震動がご専門の藤原先生、何かもしあれば。特になければあれですけれども。

 私のほうから質問ですけれども、この間、推本で新しい2009年版のものを出したときに、ここで引用されている震源を特定せずの、前は6.5とかありましたけれども、あのミニマムは幾つ。

【藤原委員】  6.8ですね。

【杉山主査】  6.8ですか。じゃあ、ここの地域は特に変更がないということですね。

【藤原委員】  そうですね。多分、それよりは、もう、この震源が特定できる地震の方が。まず、ここを問題にする必要はないのかと思っているのですけれども。

【杉山主査】  ええ、もちろんそうですけれども。

【藤原委員】  あとは、ここで質問しなくても、いずれ、どうせ明確にしておかなければいけないと思われている一番効きそうなポイントなのですけれども。

この中央構造線断層帯の断層面の設定が傾いた場合と傾いていない場合というのがあって、あとは不確かさを考慮して応力降下量を1.5倍にするとかというものについて、傾いていない場合についてはやっているけれども、傾いている場合は、そっちは傾いているというのが基本モデルではないとして、二重に重ね合わせて大きくする、考慮しないというロジックで、多分、応力降下量の1.5倍というのはやっていないのだと思うのですけれども、それはもうそういう形でということ。

【川辺先生】  そういう形で考えています。

【杉山主査】  そこは後で何かこのポイントに基づいて、取りまとめるときに議論がちょっと、私もそこは少し必要かなという気はしますので。

【藤原委員】  ええ。多分、一番効きそうなのはそこかなという感じで。

【杉山主査】  そうですね。それはまた質問というか、全部終わってから、まとめのときにまた議論させていただきたいと思いますけれども、それ以外に何かもしありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。

 そうしたら、3番目の入力のほうを。

【川辺先生】  64ページからの原子炉建屋基礎への入力地震動の評価ということで説明させていただきます。これは初めに説明させていただきましたボーリング調査の結果からモデル化をしまして、初めはガタガタしていたP波速度の柱状図でしたけれども、これはモデル化をした後ですので、このような形、少しきれいなものに見えてございます。我々はこのボーリングの中で鉛直アレイ観測も行って、地震観測も行っておりまして、地表面と13メートルの深さ、85メートルの深さ、200メートルの深さまでの4地点の観測をしております。200メートルのところは花崗岩の中になってございます。

 その実際のパラメータというものは、P波速度、S波速度、密度というのはこのような形になってございます。一番上のほうは、S波速度170と177となってございますけれども、原子炉建屋の基礎が位置している場所、ここだけ少数になっているのですが、基礎の位置を詳しくやるためにここだけ少数を入れておりますけれども、7.3メートルの深さのところでは、S波速度363メートル/秒というところになってございます。そこからだんだんと深くになるに従って速度が上がっていくということです。風化花崗岩になりますと、982メートル/秒のS波速度になりまして、フレッシュな花崗岩になってきますと1,597、2,436と、どんどんとS波速度が上がるようなモデルになってございます。

 これも前回説明させていただきましたので、簡単にだけ、2007年の地震、マグニチュード4.7の地震をシミュレーションと観測で比較しました。地下の200メートルから地表までの伝達関数ですね。地下200メートルで地震動を入射しまして、先ほど設定しましたモデル、地表面の地震動を計算するという方法でやったものが理論ということですね。それから、観測というのは地下200メートルと地表の地震動のスペクトルの比をとったものです。これぐらいのフィッティングと伝達関数。応答スペクトルとフーリエスペクトルのフィッティング、それから、波形のフィッティングはこの程度になるということです。

 あと、入力地震動の、これはSs-2による入力地震動の評価ということで、冒頭にも申しましたけれども、我々はサイト近傍の断層につきましては、断層モデルによる地震動評価を重視するということで、ここでSs-2とSs-3の入力地震動を求めてございます。地下181メートル、解放基盤で先ほど設定しました入力地震動Ss-2をこの等価線形のモデル化をしまして建屋基礎位置まで上げてきますと、このような形になります。ここでEW成分で約1,500galであったものが、お手元の資料を見ていただいたほうがきれいに見えますけれども、634galになってございます。この程度まで最大加速度は落ちている。これを最大せん断ひずみ、せん断応力、減衰定数とか、あと最大加速度、最大速度の分布で見ています。

 これはNS成分ですけれども、NS成分で見ますと、最大加速度、先ほどのところは下から順番に、こう上がったり下がったりということで、あまり変わらずということになっております。ただ、EW成分の1,500galが上に上がると600gal強になるというのは、こういうことになってございまして、最大加速度で言いますと下から入って、140メートルぐらいのところをピークにしましてだんだんと落ちてくる。そこでは、ひずみがこのような形で非常に大きくなって、そこで波が小さくなるという結果になってございます。ただ、速度について見ますと、下から上に行くと徐々に上がっていって、100kine程度であったものが、上で150kineのところまで増幅するということになっています。

 次、Ss-3による入力地震動もこのような形、71ページの形になってございまして、それのせん断ひずみ、最大速度、最大加速度等を見てみますと、これもNS成分は比較的入力が小さかったものですから、上に上がるに従って加速度は大きくなるのですけれども、ひずみも、これ、先ほどの図は横軸、これ、各図で変えていまして、これは0.15ですけれども、先ほどの図は3ですので、それ、申しわけありません、けたを合わせてございません。図によって変わってございます。Ss-3のEWのほうは横軸、ひずみで言いますと1%が最大値になってございまして、これも140メートルちょっと浅いところで最大の加速度になりますとグッと落ちる。そこでは、ひずみがグッと最大ひずみが大きくなっていくということになってございます。このような形で増幅をする。

 これは最大有効ひずみの位置における動的変形特性というのは、先ほど最大のひずみが出たところで、有効ひずみとG-γ、h-γの関係を見ると、この赤い線のところが最大のひずみが出たところでして、このような関係になってございまして、これは観測で地殻調査で求めたものでいくと、このようなところまでひずみが行っているという結果になってございます。

 以上です。

【杉山主査】  今、入力地震動の評価の件でご説明いただきましたけれども、この部分について、ご質問があれば承りたいと思いますが。

【翠川委員】  これ、等価線形。

【川辺先生】  等価線形でやっています。

【翠川委員】  ひずみが2%というと、例えば、1%以上になると等価線形の適用範囲外というようなことが言われているかと思うんです。

【川辺先生】  我々、3%程度までと考えていたのですけれども、1%ということで。

【翠川委員】  厳密には10-3を超えるとやはり等価線形は危なくなるということで。

【川辺先生】  はい。危なくなると。ただ、有効ひずみにしますと、ギリギリ1%、1.5%は行き過ぎかもしれないですけれども、1%強という。

【翠川委員】  1%って、もう10のマイナス2乗を超えていますよね。

【川辺先生】  そうですね。

【翠川委員】  ですから、ちょっと私はこれは。

【川辺先生】  別の方法で。

【翠川委員】  ええ、別の方法でチェックされたほうがよろしいのではないかなと。いわゆる時刻歴の逐次、非線形を通ってやっぱり解かれたほうがいいのではないかと思いますけれども。

【杉山主査】  これもかなり重要な指摘がありましたので、これまた最後のまとめのときに議論したいと思いますけれども、まずご質問、ほかの点でいかがでしょうか。伊藤先生、何か。

【伊藤委員】  これ、今、翠川先生がおっしゃった点は気になる点でございますけれども、これは安定性評価とはまた別の話で、地震動の基礎の入力の話ですよね。ですから、結構、こういう直接基礎から入力される話になるので、これはきちっとしたほうがいいのではないかなという気はしますね。ただ、よくわからなかったのは、非常に細かく各層ごとにVsのゾーニングがされているのですけれども、これ、1個、1個について非線形解析、等価線形のためのHDモデルか何かをつくられて入力しているのでしょうか。

【川辺先生】  実際に3軸の圧縮試験とかしているのは、すべての層についてはやってございませんので、一番近い層でその値は書かれています。

【伊藤委員】  それがやはり地層を代表するというようなものか、どういう感覚でやられたのか。要するにサンプリングできたところでやったのかというあたりが、やっぱり結果にも響くので、きちっとサンプリングされた考え方とかは整理しておかれたほうがいいのではないかなと思います。安全側になっているのかどうか、減衰のとり方も大分変わってくると思うので。

【川辺先生】  次回、その資料を準備させていただきますので、そこは説明させていただきます。

【伊藤委員】  はい。特に今のところは。

【杉山主査】  はい。どうもありがとうございました。

 ほかに今の入力地震動のところでご質問があればと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。そうしたら、一応、今、これで活断層から入力地震動まで大きく3つに分かれているとは思いますけれども、そこのご説明と、それにかかわるご質問を承りましたけれども、これ、きょう一応、ここの「ポイント等について」に従ってコメントの整理みたいなことを。

【鎌倉保安管理企画官】  そのご議論いただいた結果を我々のほうでまとめますので、きょうはご議論いただければと思います。

【杉山主査】  わかりました。はい。それでは、きょうの地質・地震動1-1の主なポイントについて(案)というのがあると思いますが、基本的にはこれに基づいて、繰り返しになることもあるかとは思いますけれども、まず地質構造のところで、ポイントになるところ、基本的にきょうのお話ですと、中央構造線断層帯のところが重要になるかと思いますが、先ほど藤原さんからご指摘があったのは2のほうで議論するとして、まず1としては地質構造というか、特に活断層の認定等について、まずここでの議論を集約というか、いろいろな意見をあればお出しいただきたいと思いますが、ここは岡村さんのほうからどうでしょうか。まあ、忌憚の意見を言っていただけるかとは思いますけれども。

【岡村委員】  忌憚のないというか、まあ、とにかく中央構造線という大きな断層があるので、それ以上のものはここは考えようがないと思うんですね。ですから、断層の判断としてはこれでいいとは私は思うのですが。

【杉山主査】  わかりました。

 もしほかの先生方でご意見があれば伺いたいと思いますが、よろしいでしょうか。

【林安全審査官】  事務局から報告です。先ほど話になりました21年7月に出ております予想図の最新版が手元にございます。その中で先ほど岡村委員のほうから海域における中央構造線が分断されているのかどうかということが言われておりまして、確かにこの中においても海域における断層帯と、今、京都大学が評価している断層帯については別建てとして構成されておりますので、まずは推本としては別建ての評価をしているかなと考えられます。

【杉山主査】  私もここが専門なので、主査ですけれども意見を申し上げれば、私も基本的にこれでよろしいのかなと。活断層、地盤というか、地質構造についてはですね。例えば個別に言うと、上町断層は、これは中央防災会議も、それから、地震推本も基本的にはまだデータがないので、ほんとうは千里丘陵、北のほうはもう活断層ではない可能性もあるのですけれども、その辺まだきちんと我々も調査していないので、こういう最大規模の断層を考えるしか今の時点ではない。それに沿った評価をしていただいていますし、それから、分岐しているような小さい、住之江撓曲みたいなものまで含めて断層の面積を稼いでいただいていますので、上町については、私はどちらかというと過大に近いような、十分な不確かさも含めた評価になっているかと思います。

 中央構造線についても、これもほんとうは地震本部でも非常に、ある意味では苦し紛れというか、スケーリング則には多分、過大になってしまうので、どこかで分けなければいけないというのでこれも苦労して分けたので、これが絶対ユニークな答えということはないかもしれませんけれども、今の時点ではこの紀淡海峡と紀伊半島を分けるという形で、それ以降の、後で議論になりますけれども、それ以降でのいろいろな不確かさを考慮するとすれば、ここで区切った形で評価をしておくというので問題がないと私も思います。

 あと、この地質、地質構造でもしご意見があればと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。そうしたら、あと2つ、この大きな問題があるんですね。特にそのうちの基準地震動のところに移りたいと思います。それで、ここ、資料を見ると一応、マル1、マル2、マル3、マル4と分けてありますが、順番を追って、マル1の内陸地殻内地震からいきたいと思いますが、これは今の1番の地質、地質構造、それから、今までのご説明を伺った中でもやはり中央構造線断層帯、ここの不確かさをどうするかということで、先ほど藤原委員からご指摘があった点なのですが、藤原先生、もし、もう少しご意見があれば、ここで詳しく言っていただければと思いますが。

【藤原委員】  私ももう中央構造線の地震本部の評価とか、いろいろその議論を聞いていて難しいのかなと思っているのですけれども、この評価のロジックとして、ここではわりと高角で80度ぐらいに立った断層面を想定したものを基本モデルとするというロジックになっていますよね。一方で、地震本部の長期評価で公表されているのは、もう少し低角の断層で評価されているというところで、そこが違った見解で、あえてここでわりと高角に立った断層面を採用するとなると、それなりにここでそういった判断をしたということが必要になるという気がするんですね。ここのところが、どういうふうにここがまとまるのかというところがちょっと。

【杉山主査】  わかりました。

 岡村さん、どうですか。活断層、やっぱり専門家として。

【岡村委員】  中央構造線はよく勉強していませんので、特にこうすればいいという意見は。

【釜江先生】  いいですか。

【杉山主査】  はい。

【釜江先生】  これに関しては、ここのサイトだけではなくて伊方とかいろいろあって、そういう議論もいろいろとあちこちにあって、少なくとも地質境界は見える。それは下の西のほうもそうなのですけれども、それはあくまでも地質境界であって、横ずれという意味では非常に力学的にも起こりにくいというところと、南縁で非常に線上に、きれいに地表トレースしてあるんですね。だから、ああいうものが例えば43度で横ずれを起こしたときに、ああいう地形って残るのかどうかということ、そこが私自身も専門ではないので、ほんとうはその辺の説明をちゃんとしていただきたいと思うのですけれども、我々はそういう別なところの評価とか、そういう今の文献調査で、少なくとも低角ではないだろうということで80度、その中でも安全サイドで少し寝かせたわけですけれども、推本は43度という話が出ているのですけれども、そういうところの議論をもう少しちゃんとして、その上で43度を基本モデルにするのかどうかというところを少し、我々ではなくて委員の先生も含めて判断していただけたらと思うのですけれども、我々の見解としては、そういうところを地質学的にそういう説明をできるのかどうかというところ、地質境界が見えているのはもう間違いない。その辺は杉山先生とか、岡村先生に。

【杉山主査】  ここでそういう議論をしてもよろしいんですか、多少――多少というか。

【鎌倉保安管理企画官】  はい。

【杉山主査】  あまり活断層の人は、今、ここに2人しかいないのであれですけれども、じゃあ、ざっくばらんに私も意見を述べさせていただくと、確かに釜江先生のおっしゃったように、要するに断層がない状態で初期値はある。要するに破壊面がなくて、そういうときに新しい断層ができる場合には、今の応力からいくと、横ずれだったら立った断層ができると思うんですよ。ただ、問題は中央構造線というのは、もう今から、大ざっぱに言えば1億年というか、まあ、もう少し若いですけれども、要するに恐竜がいた時代、白亜紀ぐらいから6,000万年前、7,000万年前から形成されてきて、それは今でも反射法探査であるように、見えるように、やっぱり北に傾斜しているわけですね。40度とか50度。

 だから、その1つの考え、先ほどの説明と少し違う意見を言うとすると、既に弱線として、弱い面としてその地殻内にあるとすれば、それはその応力場と、今言ったように無傷の場合にできる断層とは違うものがあってもいいんですよ。それがその弱いところですから応力集中が起こって、そこに沿って滑りが生ずるという考えもあると思うんですね。基本的にはそういう考えに沿って地震本部、それから中央防災会議のモデルというのはつくられてきたと思うんですね。

 それから、これは基本的に今いろいろな原子力安全委員会とか、ほかのところでも中央構造線とか、それから糸静線もそうですけれども、断層が寝ているか立っているかというのはいろいろな議論があって、それは1つは、どういうメンバー、あるいはどういうバックグラウンドの人がその議論をしているかによってもかなり違っているんですよ。だから、それがあるので、今の時点では私はやっぱり、私も藤原委員と同じ意見なのは、基本モデルという――まあ、基本モデルは今言ったように立っているのを基本モデルとしても、不確かさを考えるときに基本モデルが一番優越的というふうには、多分、中央構造線の場合、言えないと思うんですね。

 ですから、まさにここに出していただいていますけれども、そのレシピに中越沖のときの教訓で1.5倍にするというのは、私はやはり断層が寝ているものにおいてもやっておいていただいたほうが妥当かなと。つまり、基本モデルをCase1としたということに対して、それをベースにして不確かさを見るのは、やっぱり少し片手落ちの気が私もするので、そこはできればCase2についても応力降下量を増やした場合を考えていただくのがほんとうは望ましいのかなと個人的には思うのですが。

【釜江先生】  今、ここで即答は。

【杉山主査】  ええ。

【釜江先生】  おそらくこれは最終的には地震動だけの問題ではなくて、施設の健全性というところとトータルな話だと思いますので、その辺も含めてご審議いただいて、その判断を。まあ、ごらんのように1.5倍と43度というのがコンパネになっているんですよね、今ね。そうすると、その傾斜角43度で1.5倍というのは、どのぐらいのレベルになるかということは多分、推しはかっていただけると思うのですけれども。

【杉山主査】  まあ、そうですね。

【釜江先生】  その辺をなかなか研究炉ということで、我々も主張するのはなかなか難しいのですけれども、少しトータルに施設のほうも含めて考えていただければ。きょう、それでしろというご主張をいただくと少し考えなければならないので、そういうことも考えて試算は少しやってみたいと思うのですけれども、それをSsにするかどうかというところは少し。

【杉山主査】  わかりました。だから、そういう不確かさを、どこの段階で見るかということはあるかとは思うんですよね。

【釜江先生】  それと、先ほどの弱線の話は別のところでもよく出ていて、当然、そういう情報があれば、力学的な話と別に、そこで滑るということも当然否定はできないと思うのですけれども、例えば申し上げているのは、和泉山脈南縁の地表トレースといいますか、ああいうものを例えばほんとうに43度で横ずれしたときに、ああいうふうにきれいに。

【杉山主査】  いや、そうではなくて、それは特に一番よくわかっているのは、伊方沖の伊予灘等の音波探査というか、反射法の探査でわかっていると思いますけれども、浅いところは鉛直の断層なんですよ。つまり、堆積層の中は鉛直な断層がちゃんと見えているわけです。プルアパート構造とか、要するに横ずれのですね。あとフラワー構造とかが見えていて、それで、岩盤が要するに二、三キロメートルのところにあるわけですね。そこから先は寝ているという、要するに深いところで寝ている断層が堆積層というか、浅いところではこういうふうに。

【釜江先生】  それ、横ずれの場合でも。

【杉山主査】  そうです。だから、要するに、堆積層の中は、当然、断層面が立っているわけです。だから、地表から数キロまでは立った断層面なんですね。そこから下、深いところは、その断層面が寝るという、基本的にはそういうモデルだと思います。

【釜江先生】  逆断層ではそういうことをよく聞いたことがある。横ずれでもそういうふうに。

【杉山主査】  そうですね。それについては、例えば、今、伊藤先生、きょうお見えになっていますけれども、電中研などが、もうかなり前から、いろいろな実験的な研究もしていて、要するに、深いところではこういう傾斜した断層の上で横ずれをさせて、そうすると、上にあるやわらかい地層のところに立った断層が、横ずれ断層がちゃんと形成し得る。そういうサンドボックスみたいなものを使った研究とか、あるいは、シミュレーション的な研究というのも実際にはされているので、私などは全然そういうことがあっても不自然だとは思わないのですけれども。

 ですから、立っている断層が、ずっと地表まで寝ているわけではなくて、地表はあくまで、そのような意見、あるいはいろいろな観測事実、あるいは反射法の結果等も断層は立っているのは間違いありません。それが地震を発生する、いわゆる4キロとか、より深いところまで立っているわけではなくて、その部分は要するに古い弱面としての中央構造線を使って断層が滑っているという、基本的にはそういうモデルだというふうには思いますけれども。

【釜江先生】  横ずれ、残念ながら地下が見えないので、立っているかどうかがですね。

【杉山主査】  そうですね。

【釜江先生】  弱面だという、それもどのぐらい弱面なのかって非常に難しいところがあると思うのですけれども。

【杉山主査】  ですから、そこは――どうぞ。もしあれでしたら。

【伊藤委員】  多分、岩盤の中だけのほんとうのかたいところだけであれば、途中から寝てくるというのはあまりあれですけれども、被覆層のところについてもかたさによっては、今、杉山主査がおっしゃったような問題は実験的には出てきているので、結構、そういうことは出るのではないかなと。ただ、それが現実のものとして全部わかっているかというと、それはあくまでも実験的に出てきているということだけで、そういう事例をこれからいろいろと探す必要があるのではないかということだと思いますけれども、途中、とってすみません。

【杉山主査】  いえいえ。だから、そういう問題は少しあるかなとは思いますが。

 こればっかり時間をとってもあれなので、じゃあ、これはどのように扱ったらよろしいでしょうか。

【鎌倉保安管理企画官】  要するにトータルでの話もありますので、京都大学の方でご検討いただくということで。

【杉山主査】  じゃあ、まずレベルとか、試算をちょっとしていただいてということに、すみませんが、よろしくお願いいたします。内陸地殻内地震はそれでよろしいでしょうか。あとは上町断層等もいろいろありましたけれども、これはやっぱり結果を見ると南側に大きなアスペリティがあって、ディレクティビティ効果が最大になるような破壊の位置を北に置いているので、それがやっぱり基本的には大きくなっているということはあると思いますけれども、これはこれでよろしいかと。

 では、2番目のプレート間地震についてはいかがでしょうか。これについてご意見を伺いたいと思いますが。藤原先生、いかがですか。

【藤原委員】  特に、これに関しては、問題はない。

【杉山主査】  特に、よろしいですか。では、特に、もしほかの先生でご意見がなければ、今の藤原先生のご意見をここの委員会の意見として代表させて、特に問題ないということでさせていただきたいと思いますが。

 それから、3番目、震源を特定せず策定する地震動についてはいかがでしょうか。結果的には、これはSsの策定には含まれていないというところになるかと思いますけれども、そういう判断でよろしいでしょうか。

 翠川先生、よろしいでしょうか。

【翠川委員】  特にありません。

【杉山主査】  そうしたら、今、それらを踏まえて基準地震動、Ssの算定結果ということで、これは一応、ポイントとしては2つに分かれていますね。1つは解放基盤表面の策定、グランドレベルがマイナス181付近の花崗岩、地盤のせん断波速度、これが、S波速度が1,600というようなことがありますが、この点と、あと結果ですね。そこに一応、数値が挙げられていますが、これらを含めて、もしご意見があればお願いしたいと思います。 

結果ということになると、試算していただくものがどうなるかということでかなり変わってくるかとは思うのですけれども、いかがでしょうか。

【翠川委員】  さっきの試算の話ですけれども、基本的には1.5倍になるんですよね。

【川辺先生】  それに近いものです。

【釜江先生】  おっしゃるとおりです。

【翠川委員】  ですから、ほとんど計算しなくても結果はほとんど1.5倍ということになると思うんですね。だから、その辺どういうふうに考えるのかということは、ですから、もし80度が標準でしたっけ、何でしたっけ、基本モデルだというふうにおっしゃるのなら、それなりに主張していただかないと何か、きょうのご説明では単にさらっとこれを基本モデルにしますとしかおっしゃらなくて、なぜ基本モデルにするのかということが私にはあまり伝わらなかったので、これを基本モデルにされるのなら、それなりに主張していただかないと。

【杉山主査】  さっきのご説明だと、要するに力学的にちょっと不自然だというお話だったのですけれども、そこは私、少し意見を申し上げましたように、無傷なところならそうですけれども、新しく断層ができるのはそのとおりだと思うのですけれども、古い6,000万年前からある古傷があるとなれば、必ずしもそういう説明だけではちょっと弱いのかなと思いますけれども。

【釜江先生】  我々、もともとからフィールドでいろいろな調査をしていないということで、そういう文献調査等々で硬直しているという話で、ですから、最新のそういう情報に関しては、冒頭に申し上げましたように別なサイトの、そこはいろいろな調査をされたり、いろいろな考察もされていますので、そういう人のふんどしでは、あれなのですけれども、少しそういうことも含めて基本モデルの部分、今、翠川委員がおっしゃったようなところはやはり。ただ、確定的にどちらが正しいかというところは、どう結論を出すか非常に難しいと思うのですけれども、不確かさもそうだし、どこまでそういう主張ができるのかどうか微妙なところではありますけれども、次回、少しそういう情報を集めてお話しさせていただきたい。

【杉山主査】  基準地震動全般、今、4番目のところですが、そういうことでよろしいでしょうか。算定結果のところは、今言ったような形でもう少し検討していただくという形でお願いしたいと思います。

 では、3番目の、これも先ほどから等価線形、非線形のお話が出てきましたけれども、入力地震動の件について、きょうの取りまとめをしたいとは思いますが。先ほど翠川先生からご指摘があったとは思うのですけれども、もしつけ加えるようなことがありましたら。

【翠川委員】  ですから、先ほど伊藤委員がおっしゃったように、まず、どういう動的変形特性をどういう根拠でどう設定したかというようなご説明と。それから、等価線形化手法の適用範囲を超えていると私は思いますので、やはり別の方法でも検討していただいて安全側の評価になっているとか、そういったことを確認していただきたいと思いますけれども。

【杉山主査】  伊藤先生、いかがでしょうか。

【伊藤委員】  全くそれで結構だと思います。

【杉山主査】  減衰の話ですか。

ほかに何か入力地震動の件でご意見あるでしょうか。よろしいでしょうか。

 そうしたら、一応、これで、今の件で、きょうのこのポイントに従った議論の取りまとめというのは、こういう形でさせていただきたいと思います。かなり京都大学さんには大変な宿題が残ってしまったかもしれませんけれども、是非よろしくお願いしたいと思います。

【伊藤委員】  1つだけよろしいですか。私、まだ理解できないでいるのかもしれませんが、例えば72ページとか、この最大せん断ひずみと書かれているということは、これ、時刻が全然違って、最大値が発生したときのひずみですよね。

【川辺先生】  はい。そうです。

【伊藤委員】  それぞれのポイントにおける。

【川辺先生】  はい。そうです。

【伊藤委員】  この時点での合成を、解析に、等価線形に使われたということですか。

【川辺先生】  そうです。

【伊藤委員】  最大値のときのやつを使われたんですか。

【川辺先生】  有効ひずみとして。

【上林先生】  0.65倍。

【伊藤委員】  これの0.65倍のひずみを使っているということ。

【上林先生】  G-γに落として。

【伊藤委員】  ああ、それだったら……。

【上林先生】  先ほど最大という話をしたので有効です。γエフェクトの、そうです。

【伊藤委員】  ええ、そうですよね。

【杉山主査】  よろしいですか。

【伊藤委員】  はい。結構です。

【杉山主査】  それでは、一応、これでポイント等についての確認を終わらせていただきたいと思います。それで、きょうはこれで基本的には議題は終了ということですね。

 それでは、私のほうから事務局にお返ししますので、よろしくお願いいたします。

【鎌倉保安管理企画官】  本日はご議論どうもありがとうございました。幾つか京都大学さんに次回までにご検討いただく点がございましたけれども、次回の開催日時等につきましては、別途調整させていただきまして事務局より連絡させていただきたいと思います。

 なお、現地調査につきましても、あわせて別途調査させていただきますのでよろしくお願いしたいと思います。

 以上でございます。

【杉山主査】  では、第1回目の地質・地震動のサブワーキンググループを閉会したいと思います。どうもありがとうございました。

── 了 ──

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