研究炉等安全規制検討会試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第3回) 議事録

1.日時

平成22年9月7日(火曜日)13時30分から16時30分

2.場所

文部科学省15階 科学技術・学術政策局会議室1
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 京都大学KUR・耐震安全性に係る評価について
  2. 新耐震指針に照らした試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価(中間報告書等)について(独立行政法人日本原子力研究開発機構)
  3. その他

4.出席者

委員

二ノ方主査、伊藤委員、岡村委員、上之園委員、杉山委員、寺井委員、藤原委員、翠川委員、和田委員

文部科学省

明野原子力安全課長、吉田原子力規制室長、鎌倉保安管理企画官、江頭安全審査調整官、林安全審査官 他

5.議事録

【吉田原子力規制室長】 それでは、定刻となりましたので第3回試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループを開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、ご参集いただきましてありがとうございます。

 本日の進行は、本ワーキンググループの主査であられます二ノ方先生にお願いしたいと思います。それでは、先生、よろしくお願いいたします。

【二ノ方主査】 それでは、第3回の試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループの会合を開催させていただきます。本ワーキンググループは公開となっておりますので、発言は私の指名の後にお願いいたします。また、傍聴される方々におかれましては、円滑な議事進行にご協力くださいますようお願いいたします。

 本日の予定としましては、議事次第にございますとおり、京都大学KURについては、前回の妥当性確認ワーキンググループにおいて、最終報告書、評価書案等に対しまして、委員の方々から、さまざまなご指摘をいただいております。これらに対する修正などの対応内容について、最終報告書からご説明をいただき、最終的に評価書案を取りまとめることにいたしたいと思います。その後、先日、中間報告書を提出いただきました日本原子力研究開発機構における耐震安全性評価結果の中間報告に関する説明となる次第でございます。

 それでは、本日の資料の確認をよろしくお願いします。

【落合係員】 資料の確認をさせていただきます。議事次第の裏面をごらん下さい。

 資料3-1といたしまして、「第2回妥当性確認WGにおける評価書案・最終報告書に関する指摘事項とその対応について」がございます。続きまして、資料3-2といたしまして、「第2回妥当性確認WGにおける指摘事項についての最終報告書への追加項目」がございます。続きまして、資料3-3といたしまして、「耐震設計審査指針の改訂に伴う国立大学法人京都大学原子炉実験所研究用原子炉施設(KUR)耐震安全性に係る評価について(案)」がございます。続きまして、資料3-4といたしまして、「「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の改訂に伴う既設試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価について、独立行政法人日本原子力研究開発機構」、こちらはパワーポイントの資料となっております。続きまして、資料3-5といたしまして、「「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の改訂に伴う既設試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価の中間報告書(その1)」がございます。続きまして、資料3-6といたしまして「バックチェック報告の妥当性確認の主なポイント等について(案)」がございます。続きまして、資料3-7といたしまして、「日本原子力機構 既設試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価の妥当性確認のスケジュールについて(案)」がございます。最後に、参考資料といたしまして、参考-1、前回の速記録がございます。不足等がございましたら、事務局までお申しつけ願います。

 また、資料、速記録等につきましては、今後、文部科学省のホームページにて公開させていただくことになっていることを報告させていただきます。また、資料3-5の日本原子力研究開発機構の報告書につきましては、傍聴者の方々には表紙のみの配付とさせていただいております。委員の机上には、これまでの常備資料、説明資料のほかに、前回、京都大学が提出した報告書として資料2-5を置かせていただいております。また、参考-1の前回の速記録につきましても、現在、ホームページへの掲載準備に当たっております。傍聴者の方々にはホームページを参照くださるようお願いいたします。

 以上です。

【二ノ方主査】 ありがとうございました。

 何か、過不足はございますか。もし、ないようでした、議題に移りたいと思います。よろしゅうございますか。

それでは、最初の議題は、京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)の耐震安全性に係る評価についてです。最初に、第2回妥当性ワーキンググループにおける評価書案、最終報告書に対する指摘事項等につきまして、事務局からご説明をお願いしたいと思います。

【林安全審査官】 資料3-1に基づき、説明させていただきます。第2回妥当性確認ワーキンググループにおいて、評価書案及び最終報告書に対して、各委員からコメントをいただきましたので、そのコメントと、そのコメントに対する対応をまとめたものになっております。

 評価書案にかかわる内容から説明させていただきます。

 最初に、翠川委員からですが、コメントとして「「震源を特定せずに策定する地震動評価については、考慮しないこと」の記載に関して、本文、12ページでは「支障のない」に、22ページのまとめの部分では「妥当なもの」になっており、表現が異なる。」との指摘を受けました。

 それに対して、事務局の対応としては、「支障のないもの」に統一し、修正してございます。

 第2点目、同じく翠川委員からですが、「入力地震動の評価に関して、「等価線形解析の適用範囲を超える可能性があるため、再評価を求めたこと」について、その対応内容を具体的に記載するべきである。」とし、時刻歴応答解析との差異の有無、適用範囲の適合性といったことが明確に述べられていないと注意を受けました。

 それに対しまして、「拝承。」とし、翠川委員からは最終報告書に基づき、追記、修正を行ったら良いのではないかとのご助言をいただいております。

 同じく、翠川委員からですが、「超過確率に関して、資料2-2では「『参照』程度の確認と考えている」としているが、評価書案には記載がなく整合性の点で問題はないか。」という指摘を受けました。

 事務局の対応としましては、「発電用原子炉を対象とした新耐震指針は、試験研究炉では参考となるものとされていることから、超過確率について、評価書案には記載しないこととする。」とご回答を差し上げました。

 続きまして、和田委員からになります。

 「想定した地震力が一般的な建物に採用する地震力と比較し、どの程度の大きさになっているのか確認した内容を記載するべきである。」とし、評価書案、最終報告書両方に記載するよう指示を受け、「拝承。」とさせていただきました。

 同じく、和田委員からでございます。「「地震応答解析の応答結果の差は小さいことから」の記載に関して、応答解析結果が部分的な箇所をとらえたものなのか、構造物全体をとらえたものなのかなど、確認した内容を正確に記載するべきである。」というご指摘を受けました。このほかにも、「施設・構造SWGで確認した内容を具体的に記載するべきである。」との注意を受けております。

 これに対しても、「拝承。」とし、修正等させていただきました。

 続きましては、伊藤委員からになります。

 「短期許容応力度」という文言が、評価書案に使われておりますが、「短期許容応力度を判断基準としているが、許容応力度の使い方について確認することが必要。」とのご指摘を受けました。

 事務局側の対応としましては、確認でございますが、原子炉建屋に対する評価指標は、あくまでも終局耐力を念頭に置いております。しかしながら、短期許容応力度等の文言は、発生応力の程度を示すため、評価書案において使用しているものとなってございます。

 一方、機器・配管系に関しましては、評価指標に対しては短期許容応力度となってございます。評価書案には、機器・配管系の評価基準の内容を追記し、短期許容応力度以下から評価基準値以下と修正してございます。

 同じく、伊藤委員からで、「「波及的影響を考慮する原子炉建屋」の記載に関して、この「波及的な影響を考慮する」は不明瞭な表現なので削除するべきではないか。」とのご指摘を受けまして、「拝承。」とし、削除させていただきました。

 上ノ薗委員からは、「原子炉建屋の耐震安全性評価の結果に関し、本文中では保有耐力とひずみについて記載されているが、まとめでは「ひずみ」のみの記載となっている。保有水平耐力についての記載がない。」とのご指摘を受けました。これに関しましては、本文の記載内容と統一し、保有水平耐力とひずみの両方を記載してございます。

 同じく上ノ薗委員からです。「原子炉棟の耐震診断的な確認内容について評価書への記載は必要ないか。」とのご指摘を受けましたが、「原子炉棟は評価対象外であるため、評価書には記載しないこととする。」と、ご回答差し上げました。

 京都大学の最終報告書に対しまして、和田委員からは、「施設・構造SWGで示した資料・内容について、追加・追記するべきである。」とご指摘を受け、「拝承。」としております。

 翠川委員からは、「超過確率に関して、ロジックツリーの設定に係る内容の説明文を記載するべきである。」とご指示を受け、「拝承。」としております。

 資料3-1については、以上でございます。

【二ノ方主査】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に対しまして、特に、対応等につきまして、何かご意見、ご質問等があれば、よろしくお願いします。伊藤委員、どうぞ。

【伊藤委員】 1ページの私の発言のところで、これは確認なのですが、一番下のところで、機器・配管系に対する評価指標を短期許容応力度と記載しておりますが、本文を少し見せていただいたところ、余り問題は無いのですが、私の勘違いかもしれませんが、基準地震動Ssに対して、許容応力度の評価手法を適用するという考え方があるのかどうか。

 これは、施設・構造サブワーキンググループの委員の方に、質問した方がよろしいかと思いますが、基準地震動Ssに対して、許容応力度を持ち出すことは無いのではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。

 記載してある内容は、別段、問題無い内容と理解できるのですが、ここに、唐突に、評価指標を短期許容応力度で考えていますという内容は、少し不可解に思えますが、これは私の間違いでしょうか。

【二ノ方主査】 いかがでしょうか。どうぞ。

【林安全審査官】 京都大学の最終報告書の記載に、設置許可申請当時に設定した許容応力度を、評価基準と設定する旨の記載があり、それをもって、短期許容応力度としておりました。

【伊藤委員】 よろしいですか。

【二ノ方主査】 どうぞ。

【伊藤委員】 経緯はわかるのですが。

 当時の話をしますと、基準地震動S1、S2において設計されていた。基本的な考え方としては、基準地震動S1に対しては許容応力度の考え方は成立しているですが、今回はS1ではなく、対応するとすればSdとなるはずです。

 今回は別に、商業炉と同様に調査しなくても良いのですが、今回、各サブワーキンググループで確認を行ってきた内容は、あくまでも基準地震動Ssに対する確認がなされてきているのではないかなと。そのような観点から、評価指標を短期許容応力度とする旨の記載が、資料として残るのであれば、若干、気になっております。

【林安全審査官】 この資料に関してと、いうことでしょうか。

【伊藤委員】 そうです。

【釜江先生】 すみません。多分、我々の報告書に、そのようなことが書いてあるので、少し、私からよろしいですか。

【二ノ方主査】 はい。どうぞ。

【釜江先生】 確かに、基準地震動Ssに関しては機能維持という観点で、当然、許容応力度以下、弾性限界以下でないといけないということはなく、我々のところの評価基準は、事業者が基準地震動Ssに対して1つの基準として設けたものとしております。

 したがって、新耐震指針で規定されている評価基準ではなく、事業者が設定した独自の評価基準であるとご理解いただき、弾性限界を1つの評価基準とし、基準地震動Ssに対しても、そのような基準を設け報告書に記載した次第です、しかし、評価基準を短期許容応力度以下とするとの記載ぶりでは、一般論となってしまうため、少し良くないと思います。事務局の記載ぶりとしては、少しニュアンスが異なるように思います。

 事業者として、このような基準を設けたということでご理解いただき、事務局としては、少しその辺の表現を工夫してはいかがかいうことで、ご理解いただけたらと思いますが。

【伊藤委員】 はい。わかりました。

【二ノ方主査】 よろしゅうございますか。

【伊藤委員】 はい。結構です。

【二ノ方主査】 そのように修正できますか。

【林安全審査官】 はい。具体的には、事業者が定めた値だということを、明確にすれば、よろしいのでしょうか。

【二ノ方主査】 どうぞ。

【伊藤委員】 釜江先生の説明で、本文中は理解できます。

 指摘させていただいた主旨は、耐震バックチェックにおいて、機器・配管系の評価指標として、許容応力度の考え方ではないことを明確にできれば良いだけです。

 釜江先生から説明は、本文中にも、ある程度、その旨がわかるように記載されていたと思いますので、事業者が定めた判断基準としておくだけで、本文中はそれでよろしいのではないかと思います。

【林安全審査官】 はい。それでは、ここもそのような形で事業者側が定めた判断基準と記載させていただきます。

【伊藤委員】 それでよろしいですか。

【鎌倉保安管理企画官】 評価書の本文、最終報告書の方は、そのようなに記載されていると思いますが、ここは、試験研究炉の機器・配管系の評価指標について、何を設定するかということで、伊藤委員からのご指摘のとおり、基準地震動Ssに対しての評価指標、ここでの表現方法について、各委員の先生にも、ご相談させていただき決定させていただければと思います。

【二ノ方主査】 これは、後で、また修正案がありましたら、ご検討いただくということで、できる限り、早く対応したいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、質疑応答、ありがとうございました。

 それでは、次の議題に移りたいと思います。よろしいでしょうか。

 次の議題は京都大学から耐震安全性評価の最終報告書についてです。前回の妥当性確認ワーキンググループにおいてご指摘を受けた内容について、報告書に対する反映内容等の説明をお願いいたします。よろしいですか。

【上林先生】 それでは、事業者側の京都大学の方から、資料3-2について説明させていただきます。京都大学の上林と申します。

 資料3-2、ただいま事務局からご紹介いただきました後半の部分、京都大学最終報告書への反映の仕方ということで、資料3-2にまとめさせていただいております。

 主に、ここでは、先ほどの資料3-1によりますと、施設・構造サブワーキンググループで示した資料の内容について、もう少し細かく追記すべきであるということと、超過確率に関する内容について、細分化し、主に5つの点につきまして、最終報告書への追加内容としてお示しさせていただきます。資料の掲載順は、報告書に倣っておりますので、ページ番号の順でご確認いただければと思います。

 最終報告書に反映する内容のすべては資料3-2に記載してございますが、時間の都合もございますので、ポイントのみ口頭でご説明させていただきます。

 まず、1つ目といたしまして、先ほどの説明にもありました基準地震動Ssに基づく入力地震動に対して、一般的な建築物に採用する地震力と比較し、その大きさがどの程度になっているかを確認した資料を記載することに対し、矢印以下ように記載させていただきました。挿入部分に関しましては、最終報告書4.5節の文末に、枠で囲った文章を挿入させていただき、裏面にございます図表を追加させていただいております。

 この内容につきましては、考察的な観点で挿入するようにしておりますが、入力地震動の地震動レベルを確認する観点で、前半の文章となり、後半の方では、建物応答、入力地震動による建物応答の観点から、一般的な建築物で用いる地震力、層せん断力係数として比較しております。

 報告書に掲載する図は、第2回施設・構造サブワーキンググループでお示した図となりますが、今回、層せん断力係数も含め、幾つか修正させていただきました。

 前半の文章につきましては、入力地震動の観点として、上段の図4.5.1-6の応答スペクトルとなります、報告書の入力地震動評価の部分に、この内容が挿入されるため、基準地震動Ss-2のNS成分とEW成分の両方の応答スペクトルを描き、それと一般的な建築物で用いる入力地震動と比較する形で、告示に示されている工学基盤上での応答スペクトルを重ね書きしております。

 この内容の考察としましては、この基準地震動Ss-2のEW成分が、この赤色の実線になりますが、若干、短周期のところでNS成分が上回るところもありますが、弾塑性地震応答解析による最大応答値としては、赤色の実線のEW成分で決まっておりますので、これと比較した上での考察として、告示スペクトルに対して0.5Hzあたりにある大きなピークを除けば、全体的に3から5割程度上回っている。さらに、そのピークを考慮した場合、さらに上回っているところもあるという旨を、追記させていただいております。

 後半の文章につきましては、建物応答の観点からの説明ですが、主に、6つの層せん断力係数を描いております。6つの内訳は、1つ目は、基準地震動Ss-2EW成分の入力地震動による地震応答解析の結果から得られた応答値を、層せん断力係数に変換した値、これが赤色の点と線として描いております。2つ目の層せん断力係数は、原子炉建屋の確認保有水平耐力、プッシュオーバー解析から得られた確認保有水平耐力の値を桃色の点とし、3つ目の層せん断力係数は、当時の設計に採用した水平震度から換算した層せん断力係数が、濃い青色の点としております。それ以外には、現行の建築基準法の1次設計、2次設計における層せん断力係数となっており、これらを比較した図となっております。

 考察としましては、現行の建築基準法における1次設計の層せん断力係数、弾性設計としていた設計当時の建築基準法の層せん断力係数に対して、確認保有水平耐力は、大体5倍程度になっている。この値は、現行の建築基準法の1次設計、2次設計における標準せん断力係数の差の5とほぼ同じ程度である。ただし、上層部の3、4階に関しましては、その5倍よりも大きくなる。この部分の考察としましては、この上部の層せん断力係数の比が、確認保有水平耐力を算定する際の荷重増分解析における荷重分布形が建築基準法で定めるAi分布よりも大きく設定しているためではないかと、考察させていただいております。

 次に、2番目ですが、超過確率についてのロジックツリーの設定に係る内容ということで、主に2つの点、アンダーラインの部分を追記しております。1つ目は震源モデルの内訳に関する説明、2つ目はロジックツリーの分岐点に関する説明、これら2つの文章で追記させていただいております。

 3つ目ですが、原子炉建屋の水平地震応答解析のモデル化、非剛床、剛床について、質点系モデルと有限要素モデルの固有周期の相違についてと、屋根面の周縁部の相対変位について追記することをいただいております。

 前半の文章が、固有周期に関する追記部分になり、FEM解析による基礎固定の剛床モデルでは0.086秒で、非剛床モデルでは、同じFEM解析によって固有周期0.097秒でした。また、最終的な応答解析に用いた質点系モデルでは0.139秒で、やや剛性は低く見積もられます。これらと基礎の相互作用を考えたSRモデルによる固有周期に対して、応答スペクトルの応答値を確認すると、固有周期が一番長くなる質点系モデルの応答値が、最も大きな応答値となることを記載させていただいております。

 後半の文章が、屋根面の周縁部の相対変位に関しての追記部分ですが、今、述べました弾性有限要素モデルを用いた非剛床仮定に基づく地震応答解析から、屋根版周縁部、要するに、壁との接合部分ですが、各相対変位の最大値は、全体が一体として動く平均的な変位に対して25パーセント程度の変位の増分が確認されました。これによる曲げモーメントが局所的に発生するため、このような付加的な曲げモーメントに対して行った検討内容を、この後に続くよう、文章にさせていただいております。

 4つ目ですが、壁脚部の応力は塑性域に入るようだが、建屋全体して耐震上、問題がないという評価結果のみでなく、層せん断力係数的な全体的な層の見方というのと、局所的な応力について、少し詳細に記載した部分が以下に示しております。

 5.2.3.4節に、「外周壁の地震応答時における応力度の発生状況に関する考察」を追加えさせていただきました。

 ここでのポイントですが、次のページにお示ししている図で、これは、これまでの施設・構造サブワーキンググループ等でもお示ししておりません、この部分のみ、少し説明させていただきます。

 この図は、5ページの下段にある、印刷の都合で、ワイヤーフレームが少し薄く、消えかけて見にくいところです、が壁脚の部分になり、X方向が有限要素の壁要素365になり、これと垂直方向に作用するX方向の地震力になります。この壁が引っ張りと曲げの応力を受ける場合の軸応力度、垂直応力度の値と、X方向の地震力と平行する壁、場所は異なりますが壁要素417、ここには大きな面内せん断応力が作用するため、壁要素417の壁のせん断応力度と、壁要素365の壁の垂直応力度との時系列的な変動を確認したものが、6ページの図になってございます。

 縦軸は壁要素365の軸応力度、横軸は壁要素417に発生するせん断応力度となります。時系列的な変動の観点から、ほぼリニアな変動を示しますが、多少、揺らぎが確認でき、局所的な壁の変形によるものだと思われます。

 この内容に対する評価、考察としては、発生応力は、ここにFc/15を示しておりますが、コンクリートのせん断及び引っ張りの許容応力度を設定させていただいていますが、その値になるかならないかという程度の応力になっていることをお示しさせていただきました。

 最後、7ページになりますが、5つ目は、屋根版は版厚の薄いシェル構造となっている。屋根版についても種々の検討内容を追記してはどうかというコメントになっております。

 1箇所、訂正をお願いしたいのですが、「以下(下線部)の文を最終報告書5.7.23節に追記し、」というところで、これは「5.7.23」ではなく、「5.7.2」の誤りです。失礼いたしました。

 既に、ある節ですが、アンダーラインの部分を、その節に追加させていただいております。以前、提出した報告書では、下の5.7.2-2図の左側の図は、既に掲載させていただいておりましたが、応力の部分を拡大した右側の図、長期荷重、スタティックな荷重から鉛直方向の地震動や水平方向の地震動を受け、最終的な応力に至る変動状況がわかる図として追加させていただき、それに関する内容を追記させていただきました。

 以上でございます。

【二ノ方主査】 ありがとうございました。

 それでは、何かご意見、ご質問等ございましたらよろしくお願いします。和田先生。

【和田委員】 配慮していただいてありがとうございます。特にご意見はありません。

【二ノ方主査】 アンカーボルトの件につきましてはよろしいですか。和田委員から前回、ご質問があった対応についてです。

【釜江先生】 そうですね。前回、和田先生からご指摘を受け、原子炉が運転中のため、少し時間が経過しておりますが。今、お配りをしたベースレートとアンカーボルトの太さを、少しプロポーショナルに整合するよう施工しております。

 写真の下が、施工後として見て下さい。まだ少し、床の仕上げ等、後処理が残っておりますが、ただ、ボルト自体は、昨日、設置しております。ということで、申し訳ございませんでしたが、対応させていただきました。

【和田委員】 どうもいろいろありがとうございます。

【二ノ方主査】 それでよろしゅうございますか。

【和田委員】 はい。

【二ノ方主査】 ありがとうございました。

 ほかにご質問とかコメントございませんでしょうか。もしないようでございましたら、次に移りたいと思います。質疑応答、ありがとうございました。

 次の議題は、これまでのワーキンググループ等の確認を受け、まとめられた耐震安全性に係る評価でございます。京都大学からの最終報告書及び各サブワーキンググループでの確認内容等を基にまとめました妥当性確認に関する評価書案につきまして、前回のワーキンググループにおいて、いろいろご指摘をいただいた次第ですが、本日は、それらの指摘を、いかに反映したかということをご説明いただきたいと思います。

 それでは、事務局からお願いいたします。

【林安全審査官】 資料3-3になりますが、先に、資料3-1で伊藤委員からのコメントについて、もう一度確認させていただきたいのですが、今、新耐震指針を確認すると、確かに、基準地震動Ssに対する機器・配管系については「過大な変形、亀裂、破損が生じ、その施設の機能に影響が生じないこと」というのが評価基準になろうかと思っています。したがって、まずは新耐震指針として、評価基準はそこにあって、そのような損傷、変形等によって施設の機能に影響を及ぼさないことが評価基準となり、それを最初に示し、その後で、本京都大学の判断基準は事業者によるものとするとの記載に変えようと考えております。

【二ノ方主査】 どうぞ。

【伊藤委員】 今の内容で大体わかります、それで良いと思います。

 このままだと、許容応力度を評価基準にすると言っている資料になっているためです。このような記載ぶりでは、今後、問題が出てくると思います。今、説明された文言のとおり、断りを入れていただければ、よろしいのではないかと思います。

【林安全審査官】 はい。そのように修正させていただきたいと思います。失礼しました。

【二ノ方主査】 はい。よろしくお願いします。それでは、次、よろしくお願いします。

【林安全審査官】 それでは、引き続きまして、資料3-3に移らせていただきます。

 前回のワーキンググループにおきまして、コメントをいただきましたので、それを踏まえまして修正いたしました。

 まず、目次の部分になります。表紙をめくっていただきまして、目次の部分になります。従前までは地震動評価の部分に対しまして、震源を特定して策定する地震動として、その検討用地震の選定から断層モデルを用いた手法による地震動評価まで、この節については、細々した項目立てをしておりましたが、ほかの節とのバランスを考えて、その部分は省略させていただきました。

 あと、目次の部分で赤い文字がその訂正した部分になってございます。従前までは原子炉建屋となっておりませんでしたので、建屋と、共通の語句とさせていただきました。

 続きまして、本文の2ページ、最上段の部分になります。各ワーキンググループの検討結果等を踏まえ、従前までは評価結果を取りまとめたものであるという形で主語がございませんでしたが、「当省としての評価結果をまとめたものである」という文言とし、主語を明確にしてございます。以降、この当省が判断した旨を明確にし、各節の妥当性確認について、当省として、当省は、妥当なものと判断したというように追記してございます。

 それと、2ページの最下段になります。クロスチェックの実施者が特定されておりませんでしたので、当省がその施設・構造サブワーキングの意見を反映し、クロスチェックを実施したと、修正させていただきました。

 3ページになります。(12)に、本日の日付を入れて、評価書等のご確認いただくという内容に修正しております。

 続きまして、5ページの中段になります。従前までは、反射法地盤探査となっておりましたが、誤りとのご指摘を受け、「反射法地震探査」と修正しました。

 同様に、6ページの解放基盤表面の設定のところで、「新第三紀鮮新世~第四紀」と修正させていただきました。

 続きまして、14ページになります。翠川委員からのご指摘を受け、先ほど資料3-1で説明をしました、等価線形に関する文言の追記になります。中段の赤い部分になります。「再評価を求めた」というところで終わり、「再評価の結果、最大せん断ひずみ分布から等価線形が適用できるせん断ひずみの上限を超えており、時刻歴非線形解析による結果とも大きく異なるため、等価線形解析のみによる評価では不十分であるとし、等価線形解析と時刻歴非線形解析の両方の結果を考慮する必要があるとしている。さらに、周期1秒以下の周期帯で基準地震動Ss-2に基づく等価線形解析と時刻歴非線形解析による入力地震動が基準地震動Ss-3に基づく両解析による入力地震動よりも大きいこと、原子炉建屋、機器・配管系への影響を考慮し、入力地震動については基準地震動Ss-2に基づく等価線形と時刻歴非線形解析による両解析結果を用いたとしている。」とし、両方を用いたという形で修正しました。前段の部分が、翠川委員からのご指摘を受け、追記した部分になってございます。

 それと、14ページ目の下段になります。ここからが和田委員からご指摘を受けました一般建物との地震力の違いについて、施設・構造サブワーキンググループで検討した内容を追加するべきとご指摘を受けた部分になります。

「施設・構造サブワーキンググループでは、京都大学が策定した基準地震動Ssにより評価した入力地震動について、国交省告示に規定する解放工学的基盤における極めて稀に発生する地震動の加速度応答スペクトルと比べ、原子炉建屋の1次固有周期の周期帯域において、入力地震動の方が5割程度大きくなることを確認した。なお、原子炉建屋の支持地盤はS波速度400m/s程度であり、国交省告示において加速度応答スペクトルを規定する工学的基盤と整合している。」

 「また、「京都大学研究用原子炉(KUR)の設計及び工事の方法の承認申請書」(昭和37年)における耐震設計法について、昭和25年に施行された建築基準法に規定する水平震度(高さ16mまでは水平震度が0.2、それ以上は4mごとに水平震度が0.1ずつ増加)に1.5倍を乗じた地震力に対し、短期許容応力度設計法が行われていることを確認した。」

 「さらに、確認保有水平耐力から求めたせん断力係数は、耐震設計に用いた水平震度から換算したせん断力係数に対して5倍程度大きなものとなっており、現行の建築基準法における1次設計と2次設計の層せん断力係数の比と同程度であることを確認した。また、基準地震動Ssにより評価した入力地震動に基づく地震応答解析における最大応答せん断力係数についても、現行の建築基準法における2次設計の層せん断力係数と同程度であることを確認した。」

 「基準地震動に基づき評価した入力地震動と国交省告示による極めて稀に発生する地震の加速度応答スペクトルの比較を図-7に、基準地震動に基づき評価した入力地震動と現行建築基準法による層せん断力係数等との比較を図-8に示す。」ということで、44ページにこれらの図を追加してございます。

 図-7が、入力地震動と国交省告示で定める解放工学基盤表面における極めて稀に発生する地震動の加速度応答スペクトルと入力地震動を比較したものになっております。緑の部分が大方の原子炉建屋の1次固有周期帯になってございまして、青の部分で800gal、赤の部分で1,200galになっておりますので、1.5倍、5割程度の割り増しがされているものと判断させていただきました。

 図-8については、層せん断力係数を示す図になってございます。まずはこのように図を加えて、施設・構造サブワーキンググループにおいて評価した内容について追記しました。

 16ページに移ります。赤い部分が修正部分になってございますが、従前までは「クロスチェックのあわせ」という語句でしたが、だれが実施したかを明確にするよう、先ほども説明したとおり、「当省が施設・構造サブワーキンググループの意見を反映し実施したクロスチェックの結果とあわせて」と修正させていただきました。

 それと、従前までは、社団法人日本電力協会 原子力発電所耐震設計基準、JEAG 4601-1991追補版を引用しておりましたが、最新版ということで、JEAC 4601-2008が発刊されておりますので、これを最新版として修正してございます。

 それと、16ページの下段からは、地盤ばねについて、クロスチェックで評価した内容を追記しています。「水平及び回転方向の地盤ばね定数、並びに回転方向の地盤減衰係数についてはほぼ一致していることを確認した。また、水平方向の地盤減衰係数については、クロスチェックのJEAC 4601-2008に基づく係数の方が30パーセント程度大きくなる結果となったが、水平方向の地盤減衰係数を30パーセント増大させた地震応答解析において、その応答値は3から4パーセント低下する程度であったため、この程度の差が生じても建物応答への影響は小さく、京都大学が設定した水平方向の地盤減衰係数は保守的であることを確認した。」とさせていただきました。

 続きまして、マル2の部分になります。クロスチェックの青い部分の段落からになりますが、「クロスチェックにおける検討では、原子炉建屋を正64角形に置換した格子梁モデルによる荷重増分解析の結果においても、外周壁節点間の変位差を確認した。また、格子梁モデルによる弾塑性地震応答解析と、剛床仮定として設定した復元力特性を用いた弾塑性地震応答解析において、最大応答層せん断力等の差が小さいことから、原子炉建屋の全体的な応答性状を把握するには、剛床仮定に基づく荷重増分結果から設定した復元力特性を用いることに支障はないが、円筒形外周壁において、面外方向に作用する水平力によるリテーニングウォール的な曲げ応力等の、詳細な地震時挙動を模擬するためには、有限要素モデル、格子梁モデル等の精密な解析モデルにより確認する必要があることを確認した。」と修正させていただきました。

 従前までは、この部分が無かったのですが、質点系モデルによって模擬できる範囲を明確にし、それ以外の部分については、このようなモデルによって確認はする必要がある旨を追記しております。それにあわせて、弾性動的解析に用いた有限要素モデル、京都大学が設定したモデルを図-10に、クロスチェックにおいて用いた格子梁モデルの外観と壁版モデルの概念を図-11、12に示してございます。図-10が45ページ、46ページがクロスチェックで用いたモデルの図になってございます。

 続きまして、「原子炉建屋の全体的な応答性状を把握するための質点系モデルによる地震応答解析による復元力特性の初期剛性及びせん断耐力は、クロスチェックの質点系モデルにおけるそれらよりも低く、また、最大応答層間変位も大きな値となっていることから、京都大学が設定した復元力特性は保守的であることを確認した。また、上部構造におけるモデル化の妥当性を確認するため、各モデルの基礎部を固定とした解析モデルにおいて、質点系モデルの1次固有周期が、弾性有限要素モデル及びクロスチェックの質点系モデル並びに格子梁モデルよりも長く、地盤ばねを考慮した各モデルの1次固有周期はよく一致することを確認した。」としております。

 18ページ目に移ります。「以上のことから、当省は、原子炉建屋の耐震安全性評価に用いられた地震応答解析モデル(質点系モデル)については、原子炉建屋の全体的な応答性状を把握し、総体的な耐震安全性を評価するために用いることは支障のないものと判断した。」と修正させていただきました。

 続きまして、「2)原子炉建屋の耐震安全性評価結果」のところで、具体的な評価結果も修正してございます。

 マル1のところになります。従前までは、単に、地震応答解析結果という書き出しとしておりましたが、「京都大学の質点系モデルによる地震応答解析において、クロスチェックの質点系モデル及び格子梁モデルよりも大きな応答となるが」というように、付け加えてございます。

 続きまして、マル2につきましては、円筒形外周壁について詳細な応力等の内容について検討しましたので、その内容について追記しました。

 「同モデルに応答最大せん断力相当の水平力を作用させた静的解析により、1階壁脚部の発生応力については、曲げモーメントと軸力の相関関係に基づく評価では、短期許容応力度を超えるものの終局耐力以下となっていることを確認した。」とし、従前までは、この部分は、単に、終局耐力以下との書きぶりでしたが、どの程度の応力なのかということが明確になるよう「短期許容応力度を超えるものの」という形にしております。

 「また、同モデルによる地震応答解析結果による面内せん断応力については、コンクリートの短期許容せん断応力度以下であることを確認した。」としております。

 「これらの検討結果より、円筒形外周壁に作用する地震力により、面外方向に作用する水平力では壁脚部に曲げひび割れ応力は超えるが、面内方向に作用するせん断力では、外周壁一般部にはせん断ひび割れ応力以下であることを確認した。」としております。

 マル3については、屋根版についても検討してございますので、その部分について追記しております。

 「屋根版はテンションリング梁を介して円筒形外周壁に接続されており、面外方向の応力が外周壁に伝達できる加工となっていることを確認した。」とし、外周壁と屋根版は、堅固に緊結されていること、解析モデルとの妥当性を論じるにも、この部分がしっかり接続されているということが重要なため、ここで述べております。

 それと、「シェル構造となる屋根版の、端部における長期荷重時応力については、法線方向は圧縮力、円周方向については引張力が作用し、鉄筋とコンクリートを考慮した曲げモーメントと軸力の相関関係に基づく評価において長期許容応力度以下となっていることを確認した。また、屋根版周辺を固定とした弾性有限要素モデルによる地震応答解析により、水平地震動よりも鉛直地震動による応力変動が大きいこと、屋根版端部に生じる地震力の最大応力は、鉄筋とコンクリートを考慮した曲げモーメントと軸力の相関関係に基づく評価において短期許容応力度以下となっていることを確認した。さらに、クロスチェックでは弾塑性応答解析を用いたが、その応答は弾性域内となっており、発生応力は十分小さいことを確認した。」としております。

 最後に、「地震時の変形については、屋根版の頂部ライズによる転倒モーメントによって、加力方向の屋根版は鉛直方向に沈み込む挙動となること、また、屋根版が沈み込む側の壁頂部は屋根版の沈み込みに抵抗するような変形となることを確認した。」というように変形についても述べさせていただきました。

 続きまして、20ページ、機器・配管系になります。

 従前まで、この部分、機器・配管系の評価基準、今、少し論点になっておりました評価基準について明確に記してございませんでしたので、「また」以降、少し追記しました。

 「また、安全上重要な機器・配管系の耐震安全性の評価にあたっては、検討対象部材の発生応力度の最大値が当該材料の評価基準として、短期許容応力度を超えないことを確認したとしている。なお、使用材料の短期許容応力度は、日本工業規格、「京都大学原子炉研究所(KUR)の設計及び工事の方法の承認申請書」(昭和37年6月)、及び「京都大学原子炉研究所(KUR)の変更に係る設計及び工事の方法の承認申請書」(平成7年2月)に基づく値を用いたとしている。」と追記させていただきました。

 22ページになります。原子炉建屋の基礎にかかわる部分になってございます。

 なお書き以降の部分です。従前までは、「引張力」と記させていただきましたが、分かり難いとのご指摘を受け、「基礎の引き揚げ力」とさせていただきました。また、地下根入れ部における「摩擦力」と記させていただきましたが、「基礎の側面に働く引き揚げ抵抗力」と修正しております。

 最後に、23ページ以降が、まとめの部分になっておりますが、24ページに翠川委員からご指摘を受けました、「震源を特定せずに策定する地震動について」というところで、「支障のないものと判断した」というふうに修正させていただきました。それと、最終的な入力地震動、「以上のことから」というところで、最終的な地震動のまとめの部分になっておりますが、「入力地震動として、最も厳しい評価となる基準地震動Ss-2を選定し、評価していることは妥当なものと判断した。」と修正しております。

 続いて、建物・構築物の耐震安全性評価というところになります。

 本文の部分と同様な内容になってございますが、マル1については、「地震応答解析モデル(質点系モデル)については、原子炉建屋の円筒形外周壁に作用するリテーニングウォール的な面外曲げ等の詳細な地震時挙動は模擬できないが、原子炉建屋の全体的な応答性状を把握し、総体的な耐震安全性を評価するために用いることは支障がないものと判断した。」とさせていただきました。

 マル2については、保有耐力の内容について抜けておりましたので、最大せん断力は確認保有耐力を下回っているということを追記してございます。

 まず、総体的な評価についてここで述べさせていただき、なお書き以降、原子炉建屋の耐震安全性にかかわる詳細な評価は以下のとおりであると、段落を1段落とさせていただきました。

 「原子炉建屋の円筒形外周壁については、地震力の作用方向が壁の面外方向となる部分と面内方向となる部分からなり、基準地震動Ssに基づく入力地震動による発生応力は水平方向の作用方向が壁の面外方向となる壁脚部では曲げひび割れ応力を超えるが、面内方向となる壁ではせん断ひび割れ応力以下であること。」

 「屋根版の長期荷重時はシェル構造特有の応力状態にあり、基準地震動Ssに基づく入力地震動によって屋根版端部に生ずる最大応力は、鉄筋とコンクリートを考慮した曲げモーメントと軸力の関係に基づく評価において、短期許容応力度以下となっていること。」と詳細な評価の内容をまとめております。

 以上が修正したポイントとなってございます。以上です。

【二ノ方主査】 大変な労力を注いでいただきまして、どうもありがとうございました。何かご意見、ご質問等ございますればよろしくお願いします。

【和田委員】 どうもいろいろありがとうございました。何も異論はありません。

【二ノ方主査】 よろしいですか。

【和田委員】 はい。どうもありがとうございました。

【二ノ方主査】 どうもありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。伊藤委員、どうぞ。

【伊藤委員】 先ほどの許容応力度にかかわる内容として、本文20ページ、上段の赤文字の部分ですが、あえて、この「当該材料の評価基準値として」という文言は要らないのではないかと思います。あくまでも、発生応力が許容応力度を超えないことを確認していることだけ記載されていけば十分と思います。ここに、「評価基準」という語句を持ってくるからおかしくなるので、そういう点で、少しこだわっていたということでございます。

 もし、修正ができるのであれば、20ページもそのような形にしていただき、この「当該材料の評価基準値として」は、要らないのではないかということが、まず第1点です。

【林安全審査官】 はい。

【伊藤委員】 それと、用語ですが、14ページ、下から2行目に「解放工学的基盤」という用語がありますが、これは正式な用語でしょうか。

【林安全審査官】 告示で定められている用語です。

【伊藤委員】 「解放」と最初に付くのですか。「工学基盤」という語句であれば、大体、我々もよく使う用語なのですが。

【林安全審査官】 はい。告示で定められているスペクトルは、上載の土を除いたスペクトルとして規定されており、解放された工学基盤という意味として使用しておりました。

【伊藤委員】 そうですか。告示の中でこの用語が使われているのであれば良いと思いますが、何か、少し違和感のある用語で、我々、工学屋から見ると、普通は工学基盤としか言っていない話で、それで十分、要件は済む話なのですが。

【林安全審査官】 やはり上載部分の土が有るのと無いのとでは、地震動のスペクトルが若干変わるかと思うので、解放工学的基盤という語句で規定しているものと考えておりました。もう一度確認してみます。

【伊藤委員】 はい。

 それと、あと、15ページで、「せん断力係数」という用語については、「層せん断力係数」にした方がよろしいのではないですか。

 先ほど、京都大学の方からご説明いただいた中で、15ページの赤色の文字の4行目以下の「また」以降に、「層せん断力係数」という語句がたくさん出てきますよね。

 これ、「せん断力係数」で良いのか。もしそうであれば、先ほどの京都大学の方の説明でもあった44ページのこちらも全部、京都大学の資料では「層せん断力係数」となっていて、44ページでは「せん断力係数」と箱の中がなっているという、用語の統一をしたほうが良いのではないかなと。

 私は、どちらかというと「層せん断力係数」が適切だと思います。Ai分布のことを考えて「せん断力係数」という言い方をされているのでしょうか。

【林安全審査官】 高さ方向のせん断力係数の分布に着目した場合は、「層せん断力係数」を一般的に用いていると思います。お示ししている図が、高さ方向を示しているため、確かに、「層せん断力係数」の方が、据わりが良いかもしれないなとは思います。

【伊藤委員】 その辺からいくと、「層せん断力係数」の各層のある値ですから、そのように思うのですが、まあ、事務局にお任せしたいと思います。

【林安全審査官】 はい。

【二ノ方主査】 用語の統一については、また、ご検討いただきたいと思います。

【林安全審査官】 はい。

【二ノ方主査】 ほかにいかがでしょうか。おおむねよろしゅうございますか。本日、これまでのご質疑等々いろいろ勘案しまして、妥当性確認ワーキンググループとして、本評価書案、極めて些細な修正、残っておりますが、現時点として、本評価書案をご確認いただいたということとさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【二ノ方主査】 では、今後の予定につきましては事務局の方からご説明をいただきたいと思います。

【鎌倉保安管理企画官】 評価書案につきましては、今ほど伊藤委員から3点ほどご指摘がございましたので、1点の20ページの「当該材料の評価基準値として」というところにつきましては、削除させていただきたいと思います。それと、あと14ページの「解放工学的基盤」という文言につきましては確認させていただきます。それともう1点、15ページの「せん断力係数」なのか、「層せん断力係数」なのかということで、これも適切な用語に合わせたいと思っております。以上3点、修正あるいは確認させていただきまして、評価書として取りまとめということで、ご確認いただいたということにさせていただきたいと思います。

 今後の予定ですけれども、この評価書を取りまとめた後、内閣府の原子力安全委員会の方に適当な時期に報告する予定となっております。ということですので、各委員の先生方におかれましては、安全委員会の報告後にまたやりとりなどがあると思いますので、その際には、ご協力の程、よろしくお願いしたいと思っております。

 事務局からは以上でございます。

【二ノ方主査】 ありがとうございました。

 先ほど私、「些細な」と申し上げまして、申しわけございません。言葉の使い方は、大変に大事なことでございますので、失礼いたしました。撤回いたします。

 それでは、次の議題は、日本原子力開発機構、既設試験研究用原子炉施設の耐震安全評価についてでございます。よろしゅうございますか。先日、地質調査結果及び基準地震動に係る内容の中間報告書が提出されました。今後、地質・地震動サブワーキンググループにおきまして、それらの評価内容の詳細について検討を確認することになりますけれども、本日は中間報告の概要についてご報告をいただきたいと思います。よろしいでしょうか。特に、原子力研究開発機構の施設におきましては、初めての先生方もいらっしゃると思いますので、最初に、日本原子力研究開発機構の施設概要について説明をいただきまして、その後に、地質調査と基準地震動に関する報告内容についてご説明をいただきたいと思います。

 それでは、まず施設概要についてお願いいたします。

【JAEA寺門氏】 それでは、これから資料3-4に基づきまして、「新耐震指針の改訂に伴う原子力科学研究所の試験結果の概要について」ご説明したいと思います。私は日本原子力研究開発機構原子力科学研究所の寺門でございます。よろしくお願いします。

 原子力科学研究所で評価対象となっている試験研究用原子炉のうち、JRR-3、JRR-4、それからSTACY、TRACYについて、説明させていただきます。大洗研究開発センターに設置されている高速実験炉、それからHTTR及びJMTRについては、宇井がご説明させていただきます。

 それでは、1ページでございますけれども、まず、今回の評価対象となっている原子力科学研究所と大洗研究開発センターの所在場所でございますが、このようになっております。原子力科学研究所という枠の中にJRR-3、JRR-4、STACY、TRACYが記載されています。赤文字の部分が今回の評価対象の施設でございます。そのほかに原子力科学研究所の中にはJRR-2、NSRR、FCA、TCAという原子炉施設、それから、臨界実験装置がございますけれども、こちらの方は今回評価対象外となっております。また、同様に茨城県大洗町に大洗研究開発センターがございまして、高速実験炉、HTTR、JMTRが評価対象となっております。

 2ページでございます。このページからは原子力科学研究所の試験研究用原子炉についてご説明させていただきます。まず、原子力科学研究所の敷地についてですが、JRR-3とJRR-4の施設が、上下に並んで設置されております。隣り合った場所に位置しております。それから、STACY、TRACYが、少し海岸沿いの方にあるかと思いますけれども、STACYとTRACYは1つの建家に設置されております。1つの建家にそれぞれ隣接する形で設置されております。

 次、ここからは原子力科学研究所の各施設についてご説明します。

 最初に、JRR-3についてですけれども、3ページでございます。JRR-3の原子炉建家、ごらんのように円筒型の建家になっております。直径は約32m、地上からの高さが27mとなり、地上1階、地下1階となっております。そのわきの方に、排気筒がございまして、排気筒の高さは約40mとなっております。

 次のページに主要諸元が書いてございます。JRR-3は昭和37年に初臨界を迎えました。その後、平成2年に大改造を行い、現在の炉心として、今まで運転しております。平成2年の改造は原子炉本体を全部撤去し、すべての主要設備の交換を行う大改造を行っております。その際に原子炉建家の評価でございますけれども、設置許可を行いまして、その当時の耐震指針に基づく評価を行い、施設の健全性を確認しています。

 現在の使用目的ですが、上の方に書いておりますとおり、ビーム実験、燃料材料照射、シリコン半導体の製造、RI生産になっております。燃料は低濃縮ウランでございますが、正式な化学物質の形からいきますと、低濃縮ウランシリコンアルミニウム分散型合金燃料で用いております。原子炉熱出力は20MWとなります。運転の形式は26日間の連続運転を行っております。26日間を1サイクルとする運転を行っていることでございます。

 次のページは、安全確保の3原則と、それに対してJRR-3がどのような特徴を持っているかをまとめた表でございます。「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」の機能に対し、それぞれまとめてございます。まず、「停止」と書いてございますが、「原子炉を止める」の機能に対しては、制御棒のスクラム時間が約0.6秒以下であり、また、制御棒が故障しましても炉心周りにドーナツ状に重水タンクが設置されております。その中の重水をダンプすることにより停止が可能となっています。

 次に、「冷却」に関してですが、地震によって炉が停止しても、原子炉プールの冠水が維持されていれば燃料破損を生じない。つまり、軽水炉のように強制冷却を必要とせず、自然対流による崩壊熱除去が可能である、そういう特性を持っております。したがいまして、一番下の「閉じ込め」の機能でございますが、燃料破損を生じない限り、有意な放射性物質の放出はないということで、燃料破損の防止が最終目標となります。

 このような目標から、評価の対象としましては、原子炉プールが設置されている原子炉建家、それから、原子炉本体の中では燃料要素が入っている燃料要素本体、それから、炉心構造材としてベリリウム反射体とか、そういったさまざまな構造体が入ってございます。それから、「止める」ということでは、下の方にあります制御棒駆動機構案内管、制御棒案内管、それから、下の方の計測制御系統施設であります制御棒、制御棒駆動機構、こういった設備の機能確保が重要となります。

 あとは、冠水維持ということで、JRR-3自身が開放型プールの原子炉ですので、原子炉プール躯体、それから、ライニング、プール貫通部のシール構造、このようなものが冠水維持に必要な設備となります。あと、それと同時に、原子炉プールのプール水の抜けが無いようにするサイフォンブレーク弁、こちらの方の機能確保も重要であることになってきます。具体的な例を挙げますと、こういった設備機器が評価対象になってきます。原子炉建家につきましては、その波及的影響について評価することとし、この表は今回の耐震評価の実施計画書から持ってきたものでございます。

 続きまして、JRR-4原子炉施設でございます。JRR-4原子炉施設は、このように角形の原子炉建家、それから、その前にある附属研究室等からなっております。原子炉建家は地上2階、地下1階となっており、地上部分の横幅は約48m、奥行きは20mとなっています。

 JRR-4の主要諸元ですが、目的としましては、開発研究、一般研究、材料照射、教育訓練ということで、放射性同位元素の生産、医療照射を行っております。「BNCT」と呼ばれる脳腫瘍の治療とか、そういったものに用いられるものでございます。炉型はJRR-3と同じように、原子炉建家中にプールがあり、プールに沈んでいるスイミングプール型となっています。燃料の材質もJRR-3で使われているものと同じでございます。低濃縮ウランシリコンアルミニウム分散型合金燃料を使用しています。ただし、運転は昼間のみで、1日6時間程度運転するデイリー運転で、休日、夜間の運転はありません。

 こちらのJRR-4も、JRR-3と同じように、安全確保の3原則と施設の特徴をまとめてみますと、制御棒の落下時間は実測で0.7秒以下、制御棒が故障した場合でも非常用制御設備により停止可能となっております。それから、崩壊熱除去、「冷却」という意味では自然対流による崩壊熱除去が可能であり、冠水が維持されていれば燃料破損を生じないことになります。「閉じ込め」の機能に対しては、非常用排気設備により放射性物質を除去し、建家内の負圧を維持する。ただし、燃料破損を生じない限り、有意な放射性物質の放出はないことになります。その他、冷却水とか、そのようなものの放射能は無視できる程度でございます。したがいまして、閉じ込め機能の観点では燃料破損を生じさせないことが目標となってきます。

 以上、このようなことからJRR-4の評価の対象設備を選びますと、原子炉建家、それから、原子炉本体、格子板、燃料要素、それから、燃料そのものであります使用済燃料貯蔵器とか、燃料一時貯蔵棚、このような燃料の健全性を確保するものがございます。それから、サイフォンブレーク弁は、先ほどのJRR-3と同じように冠水維持を保つものでございます。それから、制御材、制御材駆動装置、こちらの方は、原子炉の停止装置ということで、「停止」のために必要となり、こちらの機能確保を考えていくことになります。

 以上がJRR-4でございまして、続きまして、STACYとTRACYという臨界実験装置でございます。STACY、TRACYは、この図面の実験棟Aの中に設置されてございます。同一建家内の隣接する部屋に設置されております。実験棟Aは地上3階建て、高さが約19m、平面で約54m×42m、そのような大きさの施設でございます。ちなみに、地下1階建てでございます。

 こちらの方が、STACYの炉心タンクを示したものでございます。このように、これまで述べたJRR-3、JRR-4のようにプールの中に沈んでいるとかではなく、空気中に炉心が設置してある感じになってございます。ウラン・プルトニウム燃料タンク型ということで、炉心タンク中にその液体燃料が入ることになります。大きな特徴は、主要燃料としては液体燃料を使うことでございます。熱出力は非常にごくわずかなもので、最大200W、積算出力は0.1kWhとなります。溶液燃料を使っており、炉出力の制御は溶液燃料の供給量によって行います。それから、炉の停止も安全棒、下の方に安全棒等と書いてございますけれども、安全棒等の落下及び溶液燃料の排出により行えることが大きな特徴となっています。

 こちらの方が主要諸元としましてTRACYのものでございます。TRACYも同じように溶液燃料を使うことでございます。この炉心は、大きな特徴しては、過渡出力運転ができることでございます。低出力運転が最大10kW、過渡出力運転が最大5,000MWとなっております。ただし、5,000MWといいましても、パルス状の出力ですので、その間の積算出力は約9kWhと非常に高いピーク数が出ますが、積算出力は制限されておりますので、炉出力全体としては大したことはないものとなっております。STACYと同じように、安全棒等の停止装置がございます。それから、過渡出力運転用の調整トランジェント棒という瞬間的に引き抜ける制御棒が設けてあります。1日4時間程度の定時運転を行っております。炉の「停止」は、安全棒等の落下、それから、溶液燃料の排出となります。

 以上、STACY、TRACYのものも同じようにまとめてみますと、「停止」に関しては、安全棒等の挿入、これは設計値1.5秒に対して、実測値約1秒により原子炉が停止します。それにあわせて、燃料排液により原子炉停止がされることになります。空気中に炉心があり、さらに熱出力が相対的に低いため、冷却設備は無いです。したがいまして、「閉じ込め」の意味では、液体燃料が排液された時に、機器・配管による閉じ込め、それから、グローブボックス、フードによる閉じ込め、換気空調設備及び建家による放射性物質の放出低減を行うことになります。閉じ込め機能に関しては、JRR-3とJRR-4の場合には燃料破損を防止することで、確保することとしておりましたが、溶液燃料を建家内に閉じ込めることにより、閉じ込め機能を確保することになります。

 したがいまして、今回の評価対象は、炉室等の実験棟A、STACY、TRACYが設置してある建家の主要部の健全性であり、これが確保される場合は、周辺環境に過度の放射線被曝を及ぼすおそれが無いため、ほかの設備については壊れても良いとし、まあ、壊れても良いとすると、語弊があるかもしれませんが、評価を省略することができるという実施計画書になってございます。したがって、第一の評価対象としては、原子炉建家実験棟Aになります。それから、TRACYについても、同じ建家に設置されており、原子炉建家、実験棟Aが評価対象となり、それの健全性が確保される場合は、その他の設備については評価を省略する実施計画書になっております。

 最後に、原科研中の試験研究炉と軽水型発電炉の違いについてまとめております。これまで述べました試験研究炉との比較表を示すと、繰り返しになりますが、TRACYの過渡出力5,000MWは、瞬間的な発生出力ということで、軽水型発電炉3,000MWに対し、高いように見えますが、積算出力の観点で見ると非常に低い値となります。それから、冷却材についてですが、JRR-3、JRR-4は軽水で冷却しております。それから、STACY、TRACYは、冷却設備は無いです。それから、冷却材温度ですが、炉心の原子炉プールのプール水温度について、JRR-3、JRR-4ともに、出口温度で摂氏40度、42度となっており、こちらの方は、お風呂の温度と同じ位の温度となっており、軽水型発電炉の摂氏300度に対してこのような温度になっています。

 冷却材圧力については、これはプール中の冷却される圧力ですが、開放型プールに設置されていることでJRR-3、JRR-4ともにプール水頭圧がかかる程度でございます。燃料につきましては、濃縮で約20パーセントの板状燃料を使っています。STACY、TRACYについては溶液燃料を使っています。棒状燃料も使っております。炉心寸法は軽水型発電炉に比べますと、かなり小さく、直径が約60cm、70cm、高さも大体60cm位で、軽水炉の高さ約3.7 cmに比べ、随分、小型のものになっております。試験研究炉と発電炉の違いで、一番大きいのが、停止後の崩壊熱除去の際に、強制循環冷却が必要かということだと思います。JRR-3、JRR-4ともに停止後、強制循環冷却が無くても、十分に崩壊熱除去ができる状態になっております。自然対流による熱除去が可能となっております。

 以上、簡単ではございますが、原子炉科学研究所の試験研究炉について簡単にご説明しました。引き続き、大洗研究開発センターの研究炉について宇井からご説明します。

【JAEA宇井氏】 大洗研究開発センターの宇井でございます。引き続き、大洗開発センターの原子炉施設の概要についてご説明いたします。

 大洗研究開発センターでございますが、今ご説明がありました原子力科学研究所から南へ約20km離れております。敷地としては約160万平方メートル位です、敷地東側は太平洋となっております。その敷地内で3炉、高速実験炉「常陽」が敷地東側に1基、JMTRとHTTRという原子炉が、それぞれ西側にあります。

 各炉の、施設の概要についてご説明いたします。まず、高速実験炉です。写真の中央にドーム型の原子炉建家、それから、写真で赤白となっている主排気筒がございます。それから、その横に主冷却機等の建家がございます。それから、第一使用済燃料貯蔵建家と第二使用済燃料貯蔵建家、このような構成の原子炉施設でございます。

 主要諸元としては、原子炉名称、高速実験炉「常陽」でございます。型式はウラン・プルトニウム混合酸化物燃料、ナトリウム冷却高速中性子型でございます。原子炉の熱出力は140MW、原子炉容器の材質はステンレス鋼を使ってございます。燃料ですが、U-235の濃縮度が約18パーセント、核分裂性Puの富化度としては、16から21パーセント、棒状燃料で、被覆材はステンレス鋼を用いてございます。炉心ですが、等価直径、有効高さとして、それぞれ0.8m、0.5m。

 冷却材はループとなっており、冷却材は液体金属ナトリウムとし、それが2ループ備えてございます。それから、それぞれの冷却材流量でございますが、1次冷却材としては1,350t/h、2次冷却材のループ流量としては、1,200t/hでございます。それから、冷却材の入口温度が摂氏350度、出口温度が摂氏500度でございます。除熱の方式として、空気冷却の冷却器が4基ございます。それから、主冷却器の入口/出口の温度ですが、それぞれ摂氏470度で摂氏300度まで冷やして出て、主冷却器の空気の流量で、7,700立方メートル/分でございます。

 施設の安全確保の3原則として、その特徴でございます。3原則として停止機能ですが、制御棒の挿入により、原子炉を速やかに安全に停止することが可能になってございます。スクラム時間は0.8秒以下でございます。地震時において、水平150galでスクラム、安全機能としてスクラムする設計となってございます。冷却としては、電源喪失ということがございますので、無停電電源設備で運転しまして、その運転にはポニーモーターを用い、それによって冷却する設計でございます。ポニーモーターが停止した場合には、補助冷却系が自動起動して冷却する設計でございます。それから、先ほどからも出ていますが、自然循環が可能な機器配置設計としており、自然循環試験によって崩壊熱除去が可能であることを実証してございます。閉じ込め機能としては、温度高、放射能高でアイソレーション、原子炉格納容器が隔離されることで放射性物質を閉じ込める設計となってございます。それから、非常用換気設備で放射性物質を除去してございます。

 評価の対象でございますが、建物・構築物としては、先ほどの丸円筒型の原子炉建家、附属建家を含むということです。それから、主冷却建家、第一使用済燃料貯蔵建家、第二使用済燃料貯蔵建家、主排気筒でございます。機器・配管系としては、原子炉本体として原子炉容器、炉内構造物。それから、核燃料物質の取扱施設としては、使用済燃料貯蔵設備の貯蔵ラック、それぞれ第二SFFと書いてあるのが第二貯蔵建家でございます。それから、燃料移送機。それから、冷却系統設備としては1次冷却系、2次冷却系、補助冷却系、主送風機でございます。主送風機につきましては、波及的影響について評価することになってございます。計測制御系としては制御棒、それから、制御棒の駆動機構、制御装置でございます。原子炉格納施設として格納容器、格納容器附属設備。その他の原子炉の附属施設として、非常用の電源設備でございます。

 続きまして、HTTR(高温工学試験研究炉)の施設概要をご説明いたします。中央に四角い建家で原子炉建家がございます、排気筒、右側に使用済燃料貯蔵建家、その排気筒の横に冷却塔、その左側に研究棟という、こういう構成でございます。

 主要諸元としては、原子炉名称HTTR、原子炉熱出力は約30MW、冷却材はヘリウムガスを使用してございます。それから、原子炉の出口冷却材温度が摂氏850度と摂氏950度、それぞれ定格運転の場合が摂氏850度、高温試験運転の場合が摂氏950度の出口冷却材温度となります。入口の冷却材温度は摂氏395度でございます。それから、冷却材の圧力は、4MPa、1次冷却材の流量は、定格運転時には45t/h、高温試験運転時においては37t/hでございます。炉心の有効高さは2.9m、等価直径としては2.3m。出力密度は2.5MW/立方メートルでございます。燃料体の形式ですが、ピン・イン・ブロック型といいまして、ブロックの中に燃料ピンが入ってございます。そのピンの中に被覆粒子のパーティクルの燃料が詰めてございます。原子炉の圧力容器は鋼製ですが、2.25Cr-1Mo鋼という合金を用いてございます。

 安全確保の3原則と施設の特徴でございます。停止機能でございますが、制御棒の挿入により原子炉を速やかに安全に停止することが可能となっています。スクラム時間は12秒以内でございます。それで、制御棒の挿入で制御棒が故障しても、後備停止系というものを持っており、それによって原子炉が停止することを可能な構造となってございます。冷却機能につきましては、炉容器冷却設備が作動しなくても燃料最高温度は初期値を上回ることなく、燃料破損は生じないことで冷却機能は必要がない、そのような特徴を有してございます。閉じ込め機能につきましては、原子炉格納容器の隔離、非常用空気浄化設備によるサービスエリア負圧維持及びサービスエリアの空気浄化によって放射性物質を閉じ込めて除去することが可能でございます。

 評価の対象でございますが、建物・構築物としましてBクラスでございますが、原子炉建家、使用済燃料貯蔵建家、排気筒。原子炉建家と使用済燃料貯蔵建家につきましては、天井クレーンを含んで波及的影響について評価する。この中で天井クレーンを含んでございます。その天井クレーンについては、波及的影響について評価をすることになってございます。

 機器・配管系でございますが、As、Aクラスでございます。原子炉本体としまして、原子炉圧力容器、原子炉圧力容器の支持構造物、炉内構造物でございます。核燃料物質の取扱施設及び貯蔵施設としましては、使用済燃料貯蔵設備の貯蔵プール、それから、貯蔵ラックでございます。原子炉冷却系統施設としましては、先ほども冷却のところでご説明しましたが、評価対象の施設はございません。計測制御系の施設としまして、制御棒、制御棒駆動装置、後備停止系、原子炉保護設備、工学的安全施設の作動設備。それから、原子炉格納施設としまして、格納容器、それから、格納容器バウンダリに附属する配管・弁・非常用空気浄化設備でございます。その他の原子炉の附属施設としましては、非常用電源設備、制御用圧縮空気設備でございます。

 続きまして、JMTRの原子炉施設の概要説明をいたします。中央にございます赤い円筒型、ドーム型が原子炉建家でございます。その前に居室実験室建家がございまして、後ろにちょうど赤い円筒型の上に4つの台のようなものが見えますが、これが冷却塔でございます。それから、排気筒、それの隣にホットラボ施設でございます。

 主要諸元でございます。原子炉名称はJMTRです。目的としては、材料試験、燃料試験、RIの生産ですが、材料照射試験とか、燃料照射試験でございます。炉型式としては、軽水減速軽水冷却型タンク型でございます。臨界が、非常に古く1968年でございます。熱出力としては50MWでございます。燃料要素としては、濃縮度、ウラン235濃縮度約20パーセント、燃料芯材は3号炉、4号炉と同じように、アルミで被覆されたシリサイドの板状燃料でございます。ウラン密度としては4.8g/立方センチメートルでございます。反射材としては、ベリリウムを使用してございます。制御棒につきましては、ボックス型のハフニウムを使用してございます。中性子束としては、熱中性子束で4.8×1018、高速中性子束としましても4.8×1018でございます。出力密度としては425。1次冷却材の流量でございますが、約6,000立方メートル/h、圧力1.5MPa、これは炉心入口でございます。運転形態は、サイクル運転とし、1サイクル30日。それを、年間6サイクル予定を目標として運転してございます。

 安全確保の3原則と施設の特徴でございますが、停止機能といたしましては、制御棒の挿入によりましてスクラム時間、約0.8秒以下でございます。制御棒が故障した場合にはバックアップスクラム装置というものを備えており、それによって停止可能でございます。冷却機能につきましては、原子炉が停止して豊富な保有水量が確保されていれば冠水が維持されるため、燃料破損を生じない。炉心が炉プール中に沈んでおり、その保有水量が確保されれば炉心は必ず冠水する構造でございます。閉じ込め機能につきましては、非常用排気設備によって放射性物質を除去して、建家内の負圧を維持します。ただし、燃料破損を生じない限り、有意な放射性物質の放出はございません。冷却水、建家内空気、排気・廃液の放射能は無視できる程度でございます。

 評価対象ですが、原子炉建屋(炉プール、カナルを含む)とございます。このカナルが、先ほど最初の写真の外観図の中でホットラボと、このカナルでつながっている特徴があり、カナルを含んでございます。原子炉本体としては、炉心、燃料要素、反射体、圧力容器、制御棒案内管、照射試験装置炉内管、キャプセル。照射試験をするために、このような試験装置がございます。そのための炉内管が炉心に入っており、炉内管が原子炉本体中に含めてございます。

 核燃料物質の取扱施設及び貯蔵施設につきましては、カナル、それから、貯蔵施設としまして使用済燃料ラック。カナルが貯蔵施設になっており、そこに使用済燃料ラックに使用済燃料を入れて保管してございます。原子炉冷却系統設備としては、主冷却系配管、主要弁類、主循環ポンプ、緊急ポンプ、圧力サージタンク、熱交換器、これのサイフォンブレークライン、これが冠水維持装置のところのサイフォンブレークラインと言っているものでございます。計測制御系施設につきましては、制御棒、制御棒駆動機構でございます。波及的影響については、原子炉建屋の波及的影響について評価することとしてございます。

 大洗研究センターの3炉と軽水型発電炉との違いを一覧にしてございます。まず、熱出力としては、3炉とも発電炉より小さい。当然、試験研究用でございますので小さい。ただし、冷却材はそれぞれ異なり、高速実験炉が液体金属ナトリウム、HTTRはヘリウムガス、JMTRは軽水でございます。それから、冷却材温度につきましては、高速実験炉の出口温度は500℃、HTTRは最高950℃、これが軽水炉と比べて高く、JMTRは水炉のため、最高摂氏60度位で、発電炉よりは低い。冷却材圧力ですが、高速実験炉は0.5MPa、HTTRは4MPa、JMTRは1.5MPa、発電炉と比べて、一概に低い圧力でございます。それから、中性子エネルギーですが、高速実験炉「常陽」は、高速炉なので高速中性子200keV(平均)で、熱出力は、高速実験炉「常陽」だけ高速中性子となります。それから、燃料でございますが、「常陽」が核分裂性のPuの富化燃料でございます。それから、棒状燃料で被覆管が「常陽」はステンレス、HTTRは濃縮度平均約6パーセントで、燃料としては被覆燃料でございます。JMTRは濃縮度約20パーセントで、アルミ被覆の板状燃料でございます。炉心の寸法としては、大体、直径として、「常陽」で0.8m、高さ0.5m。HTTRが少し大きくて直径2.3m、高さ2.9m。JMTRは直径0.4m、高さ0.75mという寸法でございます。

 崩壊熱除去法でございますが、「常陽」は、強制循環冷却は不要で、自然循環による熱除去が可能になってございます。それから、3炉とも強制循環冷却は不要となっておりまして、HTTRは、受動的間接冷却が可能と記載しておりますが、この受動的間接冷却というのは、冷却材が無くなっても燃料から炉心構造材、原子炉容器に熱が伝達されて、自然に冷却していくことを受動的間接冷却が可能と記載してございます。JMTRは、自然対流による熱除去が可能でございます。

 以上で、大洗研究開発センターの各炉の概要説明を終了いたします。

 最後に、耐震安全性評価スケジュールということで一覧表についてご説明いたします。原子力科学研究所ですが、JRR-3、JRR-4、STACY、TRACYにつきましては、地質・地盤調査と、耐震安全性評価に分けてございます。大洗研につきましても、対象原子炉施設は違いますが、同じように書いてございます。平成22年、中間報告(その1)として今回、8月31日、原子力科学研究所と大洗研究開発センターをご報告をしてございます。原子力科学研究所につきましては、中間報告(その2)として、本年、平成22年12月末に(その2)として中間報告をすることとしてございます。大洗研究開発センターとしては、本年度末、平成23年3月末を中間報告(その3)、この報告は通しで(その3)となりますが、報告する予定としてございます。内容としては、以下のとおりでございます。

 以上でございます。

【二ノ方主査】  ありがとうございました。

 それでは、以上の7つの施設につきまして、何かご質問ございますか。細かなご質問でも結構ですが、もしなければ先に進ませていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。幾つか気になるところはあることはあるのですけれども、よろしいですか。

 私が、少し気になったのは、波及的影響に関する評価については、ほとんどの施設でございましたが、波及的影響とは、どのように考えればよろしいですか。

 各施設についてではなくて結構ですが、「常陽」について言えば主送風機とかですよね。あと、原子炉建屋が波及的な影響を評価するという、例えば、HTTRなどはそうですね。ごめんなさい、違う。HTTRは波及的な影響は無いですね。

【JAEA(西原)】 HTTRの場合、天井クレーンが原子炉建家の上部に付いています。それが落下すると炉心に影響を及ぼすため、波及的影響を確認します。

【二ノ方主査】 わかりました。落下の影響ですね。

【JAEA(礒崎)】 「常陽」のところは、自然循環によって冷却するということで、主送風機が破損しますと自然循環の流れを阻害するため、波及的影響を確認します。

【二ノ方主査】 そうですか。それは主送風機だけについてですか。

【JAEA(礒崎)】 いや、主送風機は耐震Cクラスになっており、耐震Aクラスの部分については、この1次冷却系、2次冷却系の中に入っておりますので、耐震Cクラスは波及的影響が出てくるということです。

【二ノ方主査】 そういうことですね。はい。わかりました。ほかの設備についても、そのように考えで評価しているわけですね。

【和田委員】 2年位前に、皆さんと視察の際に、どの施設かよく覚えておりませんが、排気筒に接続された外部配管を支える鉄骨骨組みが、海岸縁でボロボロに錆びた状況を拝見しましたが、それはもう修繕されたのでしょうか。

【JAEA寺門氏】 多分、今回の評価対象施設では、そのような状態のものは無いと思います。

【和田委員】 そうですか。この施設ではないのかもしれませんが、東海村のどこか施設だったと思いますが、このような書類においても確認してなく、図面もなかったです。

【JAEA寺門氏】 確かに、海岸縁の方に、一般焼却炉があり、煙突がそのようにボロボロであったと思います。

【JAEA(平根)】 よろしいですか。恐らく、数年前といいますと高経年化で視察いただいた時だと思われます。

【和田委員】 そうですね。2年位前だったか。

【JAEA(平根)】 はい。高経年化関係で対象になっている施設と、今回対象になっている施設が、少し異なりますので、多分、ほかの原子炉ではないかと思います。

【和田委員】 そうですか。いずれにしても、何も現物を見ないで、提出された報告書だけでは良く把握できない部分もあるため、現地調査を実施した方が良いと思います。

【二ノ方主査】 すみません、1つだけ教えて下さい。

JRR-3の原子炉建家、これは波及的影響について評価するとございますが、この原子炉建家が波及的影響を及ぼすとは、どういうことでしょうか。

【JAEA(荒木)】 JRR-3の原子炉建家は耐震Bクラスで、元々、Bクラスで設計しております。

【二ノ方主査】 格納ではない訳ですね。わかりました。はい。

 他にいかがでしょうか。もしなければ。

【上之薗委員】 1つよろしいですか。

【二ノ方主査】 はい。上之薗委員、どうぞ。

【上之薗委員】 15ページと16ページですが、実験棟の主要部の健全性が確保される時は、評価を省略するとの記載がされてありますが、なぜ省略できるのか、わからないため、多分、評価の際に、どういう理由で省略したかを明確にする必要があると思います。

【JAEA寺門氏】 STACY、TRACYについては液体燃料であるということで、原子炉建家中で、その液体が、例えば、炉心から。

【上之薗委員】 いや、今、説明する必要はなく、後で省略した際に、このような理由によって省略したという文言が残っていけば良い、報告書に。

【JAEA寺門氏】 はい。わかりました。

【二ノ方主査】 ほかによろしゅうございますか。時間が過ぎておりますので、先に進めさせていただきたいと思います。

 それでは、中間報告の内容について説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【JAEA圷氏】 それでは、中間報告の内容についてご説明したいと思います。ただいまご説明しましたように、本調査は東海地区と大洗地区に分けて調査してございます。それで、これからご説明します中間報告書(その1)の内容として、大きく分けて3点ございます、1番目の耐震安全性評価の基本方針は、今説明しました7つの施設共通の基本方針でございます。それから、2番目の敷地周辺・敷地近傍・敷地の地質、3番目の基準地震動Ssの策定、これは東海と大洗のそれぞれについてご説明させていただきます。

 申し遅れました。1番目の内容について説明する圷でございます。2番が中山、3番目が山崎で説明させていただきます。

 耐震安全性評価の基本方針でございますけれども、資料中段に「主な事項」として記載してございます。基準地震動Ssに対する耐震設計上重要な施設の安全機能の確保の観点から実施します。これが基本でございます。それで、評価対象の施設としましては、文科省様から示されました「Sクラスとなる設備・機器等の選定の考え方」に基づいて、地震想定影響に着目して機器を選定してございます。具体的には、試験研究用の建物は発電用の施設に比べ熱出力が小さいものでございますから、地震想定影響は比較的小さなものになってございますけれども、炉の形とか規模が多種多様になってございます。そこでSクラスを選定するに当たっては、施設の安全機能の喪失を仮定しまして、その地震想定影響の程度に着目して施設を選定することとしてございます。

 それで、その下でございますけれども、Sクラス以外のその他の施設の設備につきましては、波及的なことでございますけれども、その破損によってSクラスに相当する設備・機器に波及的影響を及ぼすおそれがある設備・機器について評価を実施いたします。それから、基準地震動Ssは、新耐震指針に則り「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」と「震源を特定せず策定する地震動」の両方を考慮して策定いたします。それから、その下でございますけれども、地震応答解析手法と解析モデル、許容値等につきましては、従来の評価実績、それと最新の知見及び規格・基準等を考慮して評価に用いることといたします。

 それと、最後でございますけれども、一番上に書いてございますけれども、平成18年9月20日に保安院様から提示されております基本的な考え方並びに評価手法及び確認基準というものも参考に実施いたします。

 評価の流れでございますけれども、新潟県中越沖地震による知見を反映して調査、それから、評価を進めることにしてございます。上の四角の囲み、破線で囲んだところが基準地震動Ssの策定でございまして、下のほうが施設の耐震安全性評価についての部分でございます。それで、上の部分、緑色で染めてある部分が、今回、中間報告している範囲の部分でございます。基準地震動Ssの策定は、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」と「震源を特定せず策定する地震動」の双方を検討してございます。それから、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」、地震発生様式に応じて検討用地震動を策定しまして、応答スペクトル、断層モデルを用いた手法による地震評価をしてございます。これらから基準地震動Ssを策定し、地震動の超過確率を参考に検討、比較してございます。

 それから、その下に移りまして、まず原子炉建屋の基礎地盤の安定性評価でございますけれども、滑り、沈下等の安定性評価をいたしまして、それから安全上重要な建物・構築物の耐震安全性評価をいたします。これから出力されます床応答スペクトル等の解析結果等用いまして、安全上重要な機器・配管系の耐震安全性評価をいたします。波及的影響を及ぼす危険についても検討いたします。

 それから、最後でございますけれども、地震随伴事象に関することでございますけれども、敷地周辺に斜面等がございますものについては安定性を評価いたしますし、津波に対する評価もいたします。ここに基礎地盤安定性評価を必要に応じてと書いてございますけれども、これまで申請で不十分な点を必要に応じて実施することとしておりますけれども、実際はすべてを行うこととしてございます。

 早口でございまして、失礼しました。次に移ります。次に移ってよろしいでしょうか。

【JAEA中山氏】 それでは、引き続きまして2番の敷地周辺・敷地近傍・敷地の地質ということで概要をご説明させていただきます。原子力機構の中山でございます。

 本日、地質関係でご説明します資料は大きく4つございまして、1つ目が地質調査の概要でございます。それから、2つ目、3つ目が陸域、海域の調査内容、それから最後に新耐震指針に照らしました断層の評価ということで記載をしてございます。

 次のページをごらんいただきまして、こちらが今回の地質調査の概要を示している資料でございます。新耐震指針を踏まえた調査といたしましては、研究炉施設が設置されております東海、大洗の各敷地からの距離に応じまして調査範囲を設定してございます。この距離に応じまして文献調査、変動地形調査、地表地質調査、地球物理学的調査等の調査を組み合わせて実施しているという状況でございます。なお、今回の調査に際しましては、東海村の原子力科学研究所の北側に隣接してございます日本原子力発電殿がございまして、こちらの東海第二発電所と調査範囲が重なる部分につきましては、協調した調査、それから、評価を実施しているという状況でございます。

 こちらの資料の中で左の図で具体的な調査範囲を示してございます。東海村にございます原子力科学研究所と大洗町にございます大洗研究開発センターの距離といたしましては、約20km程度離れてございます。東海の20km南に大洗研究所があるというような位置関係にございます。それぞれの施設を中心に書きました30km、それから100kmの円というものをプロットいたしますと、このような位置関係になるということでございます。このうち緑色で囲みました範囲につきましては、陸域の調査範囲ということで示してございまして、こちらにつきましては文献調査によって指摘される断層等を中心に、表のほうにも記載してありますように、空中写真判読、地表地質調査、ボーリング調査、トレンチ調査、それから、反射法地震探査等を実施いたしております。

 それから、一部の調査につきましては、少し遠方の断層に関しても調査を実施してございまして、ここでは特に関谷断層、関東平野北西縁断層帯といったところで空中写真判読ですとか、地表地質調査を実施してございます。また、海域にマークがしてあります水色の範囲でございますが、こちらにつきましては事業者による海上音波探査、それから、他機関の記録の再解析といったものを実施いたしまして断層の評価を実施しているというような状況でございます。

 それから、次のページで具体的な調査イメージをお示ししてございますが、こちらでは陸域の地質調査といたしまして、地表地質調査をお示ししてございますが、断層露頭の踏査ですとか、それから一部のリニアメント、断層の直下ではトレンチ調査を実施した結果を踏まえて地質と断層との関係を把握しているというような状況でございます。

 それから、次のページに移っていただきまして、3番目の海域の地質調査におきましては、まずAの事業者の調査といたしましては、敷地を中心とする半径約30kmの範囲を含みます沿岸方向約90km、それから、沖合方向に向かいまして約40kmの範囲において調査目的に合わせてブーマー、ウォーターガン、エアガンといったような音源を選択したマルチチャンネル方式の海上音波探査を実施してございます。こちらの探査測線の総延長が東海、大洗を含めまして約3,140 kmになります。それから、他機関の音波探査が既にこの海域でも実施されてございまして、旧石油公団様、地質調査所等の記録も踏まえまして、海域の断層評価を実施しているという状況でございます。

 それから、(4)でございますが、こちらが今回、バックチェックに伴いまして評価をするということにいたしました、耐震設計上評価するということにした断層の評価一覧でございます。陸域、海域の調査を踏まえまして、最終的に事業者として断層の評価を耐震設計上考慮するとしたものが大きく4つございます。1つ目が表の中にも書いてございますが、棚倉破砕帯、これは敷地の北方にございますが、棚倉破砕帯西縁断層の一部、長さ約13kmというもの。それから、2つ目が大洗沖にございますF3からF4断層、約16km。それから、敷地の北西方向になりますが、関谷断層という約40 kmの断層、それから、敷地の西方にございます関東平野北西縁断層帯、約82km、この4つの断層を耐震設計上考慮するということで記載をしてございます。

 このうち関谷断層につきましては、従来から耐震設計上考慮している断層でございまして、それ以外の3つの断層につきましては、図の中でも緑色の点線で丸を囲っておりますが、今回のその新耐震指針に基づく評価を行った上で、新たに考慮するということにした断層でございます。なお、棚倉破砕帯西縁断層の一部におきましては、断層の長さ約13kmというふうに書いてございますが、その表の隣側にマグニチュード6.8のコメ1ということで記載させていただいておりますが、地震動評価上は想定される地震動の規模を考慮いたしまして、この13kmという長さについては16kmとして地震動評価上は評価をしてございます。

 また、海域の大洗沖で確認されましたF3、F4断層につきましては、活動の履歴ですとか、断層の形態等を考慮いたしまして、それらが非常によく似ていて近接をしているということが調査結果からわかりまして、この2本の断層につきましては、一連の断層として評価するという扱いをいたしまして、後期更新世以降の活動性が否定できない区間の北端と南端を結んだ約16kmというものを評価するというような形で、この後ご説明いたします地震動評価のほうに反映をしているというような状況でございます。

 断層、地質関係につきましては以上でございます。引き続きまして、地震動の評価についてご説明をいたします。

【JAEA山崎氏】 引き続きまして、基準地震動Ssの策定の概要についてご説明いたします。まず、原子力科学研究所のほうからご説明いたします。説明内容は、検討用地震の選定、選定されました検討用地震の地震動評価、基準地震動Ssの策定です。

 検討用地震の選定ですが、地質調査、地震調査等により敷地周辺に震度5弱程度以上の影響を及ぼすと考えられる地震を地震発生様式ごとに選定いたします。内陸地殻内地震の方は、ただいま地質調査のほうで説明がありましたこの4つの断層を評価しまして、一番敷地に影響を与えると評価されましたのがF3からF4断層でございます。これを内陸地殻内地震の検討用地震としました。

 次にプレート間地震ですが、プレート間地震は、この地域は太平洋プレートとフィリピン海プレートがございます。歴史地震のほうで鹿島灘の地震、塩屋崎沖の地震、那珂川下流域の地震、福島県東方沖の地震等がございます。それから、中央防災会議の方でフィリピン海プレートと北米プレートの境界の地震として茨城県南部の地震を想定しておりまして、これも検討してございます。検討した結果は1896年の鹿島灘の地震が一番敷地に影響を与えるということで、これを検討用地震として選定いたしました。

 次に海洋プレート内地震ですが、こちらも太平洋プレート内とフィリピン海プレート内の地震を検討しております。関東諸国の地震、霞ヶ浦付近の地震、茨城県龍ヶ崎付近の地震、それから、中央防災会議のほうで設定している茨城県南部の地震、これはフィリピン海プレート内の地震でございます。それから、太平洋プレート内の方も考慮するということで、地震調査委員会のほうで設定しております太平洋プレート内の震源をあらかじめ特定しにくい地震、こちらも検討してございます。検討した結果は茨城県南部の地震、中央防災会議が設定している、これが検討用地震と選定いたしました。

 続きまして地震動評価ですが、地震動評価は応答スペクトルに基づく手法、断層モデルを用いた手法による地震動評価を行ってございまして、評価に当たりましては不確かさ、基本ケースに加えましてアスペリティ位置、断層傾斜角等の不確かさを考慮して地震動評価を行ってございます。評価結果を下の図に示しておりまして、左側が応答スペクトル、右側が断層モデルを用いた地震。それから、そのほかに震源を特定せず策定する地震動ということで、地域性を考慮した結果、加藤ほか(2004)による応答スペクトル、これが震源を特性せず策定する地震動となってございます。

 それで、基準地震動Ssといたしましては、応答スペクトル、断層モデルそれぞれを包絡するようなSsを設定してございます。設定した基準地震動Ssのスペクトルが赤色の線でございまして、時刻歴波形を左側に示しております。水平が600galの地震動、鉛直は400galの地震動となりました。

 それで、すみません、言い忘れたのですが、原子力科学研究所におきましては、地震観測を今年の2月から始めたばかりでございまして、原子力科学研究所単独で地震動評価をできるほどの観測はまだ十分には得られておりませんということで、隣接するサイクル工学研究所、基準地震動Ssを先行して策定しております再処理施設がございます。こちらの地震動を補正するということで、今ご説明しました基準地震動Ssを策定しております。

 それから、続きまして大洗研究開発センターでございます。大洗研究開発センターも同様でございまして、検討用地震はそれぞれ耐専スペクトルで評価した結果、内陸地殻内地震はF3からF4断層、プレート間地震は1896年 鹿島灘の地震。海洋プレート内は中央防災会議の茨城県南部の地震となってございます。

 地震動の評価ですが、応答スペクトルに基づく手法と断層モデルを用いた手法を用いて評価いたしまして、不確かさを考慮して評価した結果が下の図でございます。「震源を特定せず」は原科研と同様で、加藤ほかのスペクトルを「震源を特定せず」としております。

 それで、基準地震動Ssですが、応答スペクトルを包絡するようなスペクトルを基準地震動Ssといたしまして、断層モデルの方はこのスペクトルを一部超過するものがあらわれますが、これを個別波として扱ってございます。

基準地震動Ss-Dの方の地震動波形ですが、こちらも水平の最大加速度は600gal、鉛直の最大加速度は400galとしております。それから、こちらが基準地震動Ss-Dを超過した3波、3波超過しましてそれぞれ、基準地震動Ss-1、Ss-2、Ss-3としております。この中で加速度が一番大きかったものがSs-2のEW成分で、最大加速度が697galとなってございます。大洗研としましては、この計4波を基準地震動Ssとしてございます。

 簡単ですが、以上で基準地震動Ssの概要の説明を終わらせていただきます。

【二ノ方主査】 ありがとうございました。

 それでは、何かご質問、ご意見ございましたらお願いします。

【和田委員】 何もないようなので、新潟県中越沖地震から得られた知見を参考にというお話が、少し途中でありましたが、耐震クラスを分け耐震安全性評価を実施しておりますが。

 新潟県中越沖地震の際に、非常時に使用される建物の鉄骨梁が破断したり、扉の開閉に支障が生じたり、原子力施設ではない建物に被害が発生した。そのこと自体、原子力発電所全体の機能が損なわれることではないが、日本原子力研究開発機構内にも、普通の耐震レベルで設計した建物について、どのようになっているか教えて下さい。

【二ノ方主査】 どのようなお考えかを、お知らせいただければ良いですね。

【和田委員】 一般の大学や小中学校で実施している、いわゆる耐震診断として、診断結果のIs数値が、どの程度となっていますか。

 重要な建物、このような原子炉建屋は、このように評価・確認することは重要なことですが、普通の建物が、どのようになっているのかを教えて下さい。

【JAEA圷氏】 私どもの施設は、原子力施設として一番古く、昭和33年から始めております、いわゆる新耐震の昭和56年以前の建物が結構ございます。

 研究所内で合計約2,000棟の建物がありますが、原子力施設については、今回の耐震バックチェック等で評価しておりましたが、ご指摘とおり、その他の古い施設に対しては、現在、ホットの施設も解体工事を行っておりますが、一般施設も使用しなくなった建物は、改造、解体を進めてございます。それでも結構な建物が残ってございまして、これから研究計画との関係、予算上の問題もございますが、さらに改造する建物について、それを研究所内、機構全体として大規模地震対策検討委員会というのを立ち上げまして、検討を進めているところでございます。

 十分な進捗は、まだ出ておりませんが、粛々と計画をつくっているところでございます。

【和田委員】 その建物が壊れたからといって、放射能が放出されてしまうとか、そのようなことはなくても、その建物が機能しないと、施設全体がコントロールできなくなってしまうような建物について、東京電力は、新潟県中越沖地震による教訓して、原子力発電所より丈夫ではないかと思うような免震建物を完成させております。

【JAEA圷氏】 原子炉建家については、発災時の自立化のため非常用電源も確保されておりますが、施設全体にかかわる外部連絡等のライフライン関係建家については、ご指摘のとおりであり、その重要性も認識しておりますので、対応については優先度を付けて検討を進めてございます。

【和田委員】 どうもありがとうございます。

【二ノ方主査】 よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。

 ほかに。翠川委員、どうぞ。

【翠川委員】 10ページに、検討用地震の選定ということで、スペクトルが出ていますけれども、これで鹿島灘の地震の赤い線だけがスペクトルの形状がほかのものと違っていますが、これは何を考慮してこのようになったのですか。

【JAEA山崎氏】 鹿島灘の地震ですか。

【翠川委員】 はい。

【JAEA山崎氏】 鹿島灘の地震はサイト補正係数を考慮しますと、短周期側で耐専との差で4倍、周期1秒から5秒までが2倍というサイト補正係数を設定しておりますので、このような形状になってございます。

【翠川委員】 先ほど、何か、この地点では地震観測を始めたばかりなので、それでどうのこうのとおっしゃっていて、その辺がよくわからなかったのですけれども。

【JAEA山崎氏】 原子力科学研究所の南側、約2kmのところに核燃料サイクル工学研究所がございまして、こちらで地震観測をやっております。その記録から、この東海地区のサイト補正係数というものを出しまして、直接、原子力科学研究所の記録からサイト補正係数を出したのではありませんが、再処理施設の地震観測の記録からサイト補正係数を出しまして、鹿島灘周辺では、特に、短周期が4倍という結果が得られております。

【翠川委員】 詳しいことは、また後でお伺いすることだと思います。

【JAEA山崎氏】 はい。地質・地震動サブワーキンググループのときに。

【翠川委員】 2km離れていたら同じなのかという、また後で、ご説明いただきたいと思います。

【JAEA山崎氏】 はい。

【二ノ方主査】 ありがとうございます。

 ほかにいかがですか。藤原委員、どうぞ。

【藤原委員】 この検討用地震の選定のところで、この3番目の海洋プレート内の地震が最終的には、このフィリピン海プレートの地震になっているのですか。太平洋プレートの中の、この敷地の真下のあたりというか、そのあたりの地震は、結局、選定されなかったのですか。

【JAEA山崎氏】 はい。太平洋プレート内の地震としましては、地震調査委員会の、震源をあらかじめ特定しにくい地震ということで、マグニチュード7.1を敷地直下に想定したのですが、結局、茨城県南部の方が、スペクトルで上回りましたので、こちらを検討用地震といたしました。

【藤原委員】 マグニチュード7.1でやられたということ。

【JAEA山崎氏】 はい。7.1で、太平洋プレート内ですと60km位になります。

【藤原委員】 そうですか。

【二ノ方主査】 今の点、よろしいですか。この点の詳細につきましては、地質・地震動サブワーキンググループの方で、改めて確認することと思いますが。

【藤原委員】 また、そちらの方で確認させていただきます。

【二ノ方主査】 杉山委員。

【杉山委員】 私も、実際には、地質・地震動サブワーキンググループでの話になりますけれども、最初に1つだけ申し上げておきたいのは、東海第二発電所における保安院での1次審査は大体終わっておりますが、まだ原子力安全委員会での2次審査が終わっておらず、ここでの結果も原子力安全委員会に報告されます。したがって、それらを踏まえ、やはり、私、それから、岡村委員も、保安院の東海第二発電所の審査の際にも、かなり強く、最後に申し上げましたが、北側のサイトの方で、これを見ていただくと南側のサイトで、例えば15ページで、断層モデルによる地震動評価では、新潟県中越沖地震の知見を考慮し、アスペリティの位置とか、不確かさを考慮すると、非常に、15ページにあるように基準地震動Ss-DHを超過する地震動が出てきております。これはF3からF4断層が、ほぼ敷地真下にあるということで、このような結果になっているのですが、実は、北側のサイトも、これは保安院の審査の際にも、意見が分かれましたが、F1、F2断層という断層が海域にあり、これを、どうするかという問題はあると思います。

 保安院の東海第二発電所の審査の際には、正確に忘れましたが、念のためにということでF1、F2断層が地震を起こした時に、どのような地震動になるかということを考慮した上で、東海第二発電所の耐震安全性を確認しておりますが。地質・地震動サブワーキンググループの地質の専門委員は、たまたま、F1、F2断層を評価すべきだという者がいるため、大変申し訳ないですが、したがって、多分、地質・地震動サブワーキンググループでは、私としては、やはり北側のサイトのF1、F2断層について、それについても安全側に評価してほしいということを、言わざるを得ないと思います。前もって、少し発言させていただきました。

【JAEA中山氏】 確認ですが、東海第二発電所の保安院の審議では、敷地の北方にありますF1断層の評価がご議論になったかと思うのですが、東海の敷地前にあるF2断層の方につきましては、一応、根無しの断層ということで、活動性の方は否定するということでご議論をいただいていたかと思いますが。

【杉山委員】 そうでしたか。忘れましたけれども、とにかく北側の方にある断層で、私はやはり否定できないものがあるということで、最終的には、評価はまとまったと思います。多分、2次審査に移行し、また異なる専門委員の意見として、評価すべきという意見が出る可能性が非常に残されていると思うため、そこは慎重な審査が必要と思います。

【二ノ方主査】 はい。ありがとうございました。

【岡村委員】 1ついいですか。

【二ノ方主査】 岡村委員、どうぞ。

【岡村委員】 簡単な質問ですけれども、8ページの評価した断層の図があるのですけれども、この見方がよくわりません。凡例に、青い線が従来評価で、それに緑色の点線で囲ってあるものが、新指針による追加評価ということになっているのですけれども、これは追加評価の方の数が少ないという意味ですか。要するに、青い線というのが、従来評価なのですが、従来評価は、関谷断層だけですね。

【JAEA中山氏】 申しわけありません。従来評価としては、関谷断層だけでございました。新指針以降につきましては、緑色の点線の丸がしてある3断層を、新たに評価に加えたということで、図が同じになってしまっています。

【岡村委員】 少し分かりにくいですね。

【JAEA中山氏】 申しわけありません。

【岡村委員】 断層の青い線が重複しており、それに緑色の点線で囲ったものが追加というように見えるため、断層を示す線の色を変える等、修正していただいた方が良いと思います。

【JAEA中山氏】 わかりました。はい。

【二ノ方主査】 よろしいでしょうか。

 それでは、上之薗先生。

【上之薗委員】 見方の問題ですが、10ページと14ページを見た時に、同じ震源にかかわらず配色を変えています。報告書では、同じ配色として下さい。そのように修正いただかないと、とっさに見た時に比較しにくいです。同様な震源位置で、同じような震源を有するのに、配色が異なると、どのように違うのだろうと考えてしまいます。

【JAEA山崎氏】 はい。次の報告書ではそのようにいたします。

【二ノ方主査】 よろしくお願いします。ほかにいかがでしょうか。もしなければ、次に進みたいと思いますが、ただいまの中間報告の詳細な説明と、それに関する確認につきましては、地質・地震動サブワーキンググループの方で行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次の議題に移りますが、バックチェック報告の妥当性確認の主なポイント等についてでございます。事務局のほうからお願いできますか。

【林安全審査官】 資料3-6にて説明させていただきます。バックチェック報告の妥当性の確認については、重要なポイントを中心にサブワーキンググループで確認いただいた上で、事務局において確認結果を取りまとめていくこととします。日本原子力開発機構 既設試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価の妥当性における重要なポイントは、以下の項目と考え、地質・地震動サブワーキンググループにおいて、ご確認いただく主なポイントを列記しております。今、杉山委員からお話があったとおり、近傍に保安院側で審議されている再処理施設があり、地質・地質構造については異なることもないと考え、バックチェックのポイントは保安院のものを引用した資料になってございます。

 改めまして、内容を確認させていただきます。

「1.地質・地質構造」について。「1 陸域」については、棚倉破砕帯西縁断層の一部、棚倉破砕帯東縁付近の派生断層の活動性。これには、コメが付記されておりますが、資料下段に示すとおり、「中間報告(その1)において、耐震設計上考慮すべき活断層として評価されていないものも審議のポイントに含め、活動性評価の根拠について確認する。」こととし、まさに、先ほど北側のサイトのF1断層についても、どうかというころがあったとおり、そのようなところについてもご確認をいただきたいというところで挙げてございます。2点目、関口-黒磯リニアメントの活動性。3点目、鹿島台地・行方台地周辺の活傾動の評価。4点目、関東平野北西縁断層帯の綾瀬川断層の南東延長部の活動性です。

 「2 海域」です。海域につきましては、先ほどの敷地前面海域に認められる断層の評価になります。あと、活断層として評価されておりますF3、F4の断層の評価となります。

 2番目に基準地震動Ssとなります。プレート間地震(1896年鹿島灘の地震)の想定と地震動評価(震源のモデル化を含む解析手法、パラメータの設定や不確かさの考慮について)ということになってございます。同様に、海洋プレート内地震として茨城県南部のプレート内地震です。あと、基準地震動Ssの策定結果に加えて、原子炉建家の入力地震動、京都大学と同様に入力地震動についてもご確認いただきたいと考えてございます。

 なお、報告時期が異なるため、東海地区の原科研、JRR-3、JRR-4、STACY、TRACYを含む建家。STACY、TRACYは炉の名称のため、NUCEFという建家の名称を記させていただきましたが、この3つの原子炉建家の入力地震動という観点で、ご確認をお願いしたいと考えております。

 以上が、地質・地震動サブワーキンググループにおける確認内容となり、施設・構造サブワーキンググループにおいては、従前どおり、3施設の耐震安全性評価について、ご確認いただきたいと考えてございますが、日本原子力研究開発機構からの報告がまだ未提出のために、そのポイントはまだ明らかになっておりません。したがって、提出後にこれらポイントを示したいと考えてございます。

 概略、JRR-3、JRR-4、NUCEFの建家・構築物、これら建家内の機器・配管系の解析手法等にかかわる内容になると考えております。以上です。

 3ページが、コメントとそれに対する回答ということで、従前から使用してきたもので、コメント整理表としてまとめ、記入例のイメージとして添付しております。

 以上です。

【二ノ方主査】 ありがとうございました。

 何かご質問ございますか。ご意見ございましたら承りたいと思いますが。よろしゅうございますか。何か追加等ございましたらば、サブワーキンググループの会合が開かれる前ぐらいまでにいただければ、事務局の方にご連絡いただければよろしいかと思いますが、よろしゅうございますか。

 それでは、これまでの審議で残っておりますのがスケジュールについてということでございますが、大体5分ぐらいですか、スケジュールについてご説明いただきましょうか。

【鎌倉保安管理企画官】 それでは、事務局の方から、資料3-7によって、今後のスケジュールについて説明させていただきます。

 本日、日本原子力研究開発機構から、原子力科学研究所、大洗研究開発センターについての中間報告(その1)が報告されておりますので、今後、妥当性確認ワーキンググループ、あるいは各サブワーキンググループの方で検討していただき、原子力科学研究所につきましては、23年度前半、来年の春以降を目途に妥当性確認の取りまとめを行いたいと考えております。

具体的なスケジュールですが、まず、2つ目のところにあります地質・地震動サブワーキンググループですけれども、原子力科学研究所及び大洗研究開発センターの基準地震動、加えて、原子力科学研究所の入力地震動の評価の妥当性の確認を行い、取りまとめを行う。

 その後、その次の、施設・構造サブワーキンググループの方で、それを基にして、原子力科学研究所の4施設についての施設、機器・配管系の耐震安全性評価の妥当性確認、取りまとめを行うということにさせていただきまして、その間、一番下にありますように現地調査ということで、本日の会合の開催後、日程調整をさせていただきまして現地調査を実施したいと考えております。サブワーキンググループの検討が終了後、一番上の四角のところですけれども、第4回の会合を開催しまして、全体の取りまとめを行いたいと考えております。

 以上でございます。

【二ノ方主査】 ありがとうございました。

 それでは、スケジュールにつきまして何かご意見とか、ご質問ございますでしょうか。大洗地区も含めるとどれ位かかりそうですか。

【鎌倉保安管理企画官】 大洗研究開発センターの報告書は、来年3月に提出いただく予定です。大洗地区につきましては、原子力科学研究所の妥当性確認が取りまとまった後に、開始させていただければと考えております。なお、同時並行的に確認することも可能かとは思いますが、現時点では、そのように考えております。

【二ノ方主査】 お願いします。わかりました。ありがとうございました。

 ほかに何かございますか。ということで、本日の議題は以上でございます。ほかに何かございますでしょうか。特になければ、それでは、最後に事務局から何か連絡事項等がございましたら、お願いいたします。

【鎌倉保安管理企画官】 はい。わかりました。本日は、ご議論いただきましてどうもありがとうございました。

京都大学研究用原子炉KURの耐震安全性に係る評価書案につきましては、ご確認いただき、取りまとめられたということになってございます。今後、先ほども説明しましたように、日本原子力研究開発機構の試験研究炉につきまして妥当性確認を行っていきたいと考えておりますので、引き続き、よろしくお願いしたいと思っております。

 また、地質・地震動サブワーキンググループの開催日程、あるいは、現地調査の日程等につきましては、別途、ご連絡差し上げ、調整させていただければと思っておりますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

【二ノ方主査】 ありがとうございました。

 それでは、一応、きょうの予定は全部終わったことになります。本日は、大変、お暑い中をお集まりいただきまして、ありがとうございました。皆様、委員の先生方には、活発なご議論をいただきまして、ありがとうございました。また、傍聴者の皆様方には、円滑な議事進行に協力いただきまして、ありがとうございました。

 以上をもちまして、第3回試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループを閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

【吉田原子力規制室長】 どうもありがとうございました。

 

(了)

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