研究炉等安全規制検討会試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回) 議事録

1.日時

平成21年7月15日(水曜日) 13時15分~16時

2.場所

文部科学省 15階 科学技術・学術政策局会議室1 東京都千代田区霞が関3‐2‐2

3.議題

  1. 新耐震指針に照らした試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価について
    1. (1)耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループの開催について
    2. (2)既設試験研究用原子炉施設の耐震安全性の確認に係る経緯等について
    3. (3)既設試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価の妥当性確認の考え方について
    4. (4)耐震安全性評価の中間報告(京都大学)について
    5. (4‐1)中間報告(原子炉設置者:京都大学)
    6. (4‐2)バックチェック報告の妥当性確認の主なポイント等について
    7. (4‐3)クロスチェックの概要について
    8. (4‐4)スケジュールについて
  2. その他

4.配布資料

  • 資料1‐1 試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループの開催について
  • 資料1‐2 試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループサブワーキンググループ構成員(案)
  • 資料1‐3 「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の改訂に伴う既設試験研究用原子炉施設の耐震安全性の確認に係る経緯等について
  • 資料1‐4 試験研究用原子炉施設耐震安全性評価の妥当性確認の考え方について(案)
  • 資料1‐5‐1 研究用原子炉KURの概要
  • 資料1‐5‐2 京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)‐新耐震指針に照らした耐震安全性評価(中間報告の概要)‐
  • 資料1‐6 バックチェック報告の妥当性確認の主なポイント等について(案)
  • 資料1‐7 京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)の耐震安全性評価の妥当性確認に係るクロスチェックの概要について(案)
  • 資料1‐8 京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)の耐震安全性評価の妥当性確認のスケジュールについて(案)

5.速記録(試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回))

平成21年7月15日

【吉田原子力規制室長】
 それでは、若干定刻よりはちょっと早いですけれども、先生方がおそろいしましたので、第1回の試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループを開催したいと思います。
 委員の先生方におかれましては、ご参集いただきまして、ありがとうございました。
 なお、本日は第1回目ということでございますので、主査が決まるまで私、原子力規制室長を拝命しています吉田が進行させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、第1回目ですので、委員の紹介をさせていただきたいと思います。
 参考資料で申しわけありませんけど、座席表の後に議事次第の後に参考資料が1とございます。ちょっと参考資料の1枚を開いていただきますと、1‐1で構成員が、1枚開いていただくと4.として構成員がございます。参考資料じゃない、ごめんなさい、資料1‐1ですね。資料1‐1の1枚開いていただきますと構成員ということであります。
 今日は和田委員だけ欠席でございまして、伊藤委員、それから、岡村委員、それから、上之薗委員、それから、杉山委員、丹沢委員、寺井委員、二ノ方委員、藤田委員、藤原委員、翠川委員ということでございます。今日は和田委員が欠席ということで事前に伺ってございます。
 続きましては、私ども事務方のほう、第1回ですので、事務方のほうをご紹介させていただきたいと思います。1枚目に座席表がございますので、座席表の私のほうの隣の左のほうから、中原安全監でございます。

【中原原子力安全監】
 中原でございます。

【吉田原子力規制室長】
 それから、明野原子力安全課長でございます。

【明野原子力安全課長】
 明野です。よろしくお願いいたします。

【吉田原子力規制室長】
 それから、その隣が江頭安全審査調整官です。

【江頭安全審査調整官】
 江頭です。よろしくお願いします。

【吉田原子力規制室長】
 それから、私の右隣が鎌倉保安管理企画官でございます。

【鎌倉保安管理企画官】
 鎌倉です。よろしくお願いいたします。

【吉田原子力規制室長】
 それから、林安全審査官でございます。

【林安全審査官】
 林です。よろしくお願いします。

【吉田原子力規制室長】
 それから、益田係員ということで、事務方を紹介させていただきました。
 それでは、開催第1回目ですので、開催に当たりまして、中原原子力安全監より一言ごあいさつをお願いいたします。

【中原原子力安全監】
 中原でございます。
 本日はお暑い中、このワーキンググループにご出席いただきまして、まことにありがとうございます。感謝申し上げます。
 ご承知のとおり、耐震の指針というのが平成18年にできまして、それに基づきまして当省所管の研究炉におきましても耐震の安全性の評価について評価を行っていただいているところでございまして、このワーキンググループは今事業者のほうで行っておりますこういった評価につきましてその妥当性についてご検討いただくために、ここの上の検討会というのがございますけれども、そこで了承されてこういったワーキンググループをつくったわけでございます。
 ご承知のとおり、発電所の耐震につきましては例の柏崎刈羽の中越沖地震というのがございまして非常に世の中の注目を集めたところでございまして、この耐震の問題というのは発電炉のみならず研究炉につきましても非常に大きな問題であると当省は考えてございますので、どうぞ忌憚のないご意見をいただきながら、厳しい評価を行っていただきたいと思ってございます。
 本日は京都大学のKURという炉がございますけれども、その炉につきましてその耐震安全性の評価結果の中間報告というのが提出されてございます。これにつきましても、本日、合議のほうをいただければありがたいと考えてございます。
 簡単でございますが、私のあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【吉田原子力規制室長】
 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、主査の互選をお願いしたいと存じます。どなたかご推薦いただけませんでしょうか。翠川先生、どうぞ。

【翠川委員】
 こういった問題に非常に造詣の深い二ノ方委員にお願いしてはいかがかと思います。

【吉田原子力規制室長】
 ありがとうございます。
 各委員におかれましては、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【吉田原子力規制室長】
 それでは、二ノ方先生、それでは、主査ということでお願いしてよろしいでしょうか。

【二ノ方委員】
 はい。

【吉田原子力規制室長】
 よろしくお願いいたします。
 それでは、先生、一言ごあいさつを、すみません、お願いいたします。

【二ノ方主査】
 東工大の原子炉工学研究所の二ノ方でございます。じゃあ、座ったままでよろしいですか。
 今回のワーキンググループの主査のご指名をいただきましたことを謹んでお引き受けいたしたいと思います。
 私、これまで原子炉の設計とか高速炉の安全研究、いわゆる研究ばっかりずっとやってきた人間なんですが、この数年間の間にこの委員会の前の試験炉の耐震安全性評価、妥当の前に実施計画書等の確認検討委員会というのがございまして、それのアドバイザーとして多少なりとも少しバックチェックの施設の選定とかそういうところに作業に参画してきた者でございます。そういう関係上、このワーキンググループの進行を微力ながら貢献できるよう努力したいと思います。
 つきましては、先生方にはいろいろこれから長丁場でございますけど、活発なご議論、ご審議よろしくお願いしますとともに、ご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします。

【吉田原子力規制室長】
 ありがとうございました。
 それでは、以後の議事進行は二ノ方先生にお願いいたしますけれども、なお、本会合は公開となっておりますので、ご発言は二ノ方主査の指名の後ということでご発言くださるようお願いいたします。
 また、それから傍聴されている方々におかれましては、円滑な議事の進行にご協力願いますようお願いいたします。
 それでは、二ノ方先生、よろしくお願いいたします。

【二ノ方主査】
 かしこまりました。
 それでは、議事に入る前に、主査代理を置きたいと思いますが、ほかの先生方におかれましてはいかがでしょうか。ご異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【二ノ方主査】
 ありがとうございます。
 それでは、僣越ですけど、私のほうから丹沢委員に主査代理をお願いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【二ノ方主査】
 ありがとうございます。それでは丹沢委員に主査代理をお願いしたいと思います。
 丹沢先生、ちょっとごあいさつを、簡単でいいと思いますが。

【丹沢主査代理】
 じゃあ、すみません。東京都市大学の丹沢でございます。
 私も二ノ方先生同様、本ワーキンググループに先立つ試験研究炉耐震バックチェック、必要な施設、そうでない施設というスクリーニング、そういったワーキンググループのほうをまず参画させていただきまして、そういう点で今回そういう面も含めてちょっと参画させていただくことになりました。
 私自身についてちょっとだけ申し上げますと、私のフィールドは炉物理、原子炉物理ということで、どちらかといいますと施設のいろんな全般のインプット、基本的なところのインプットの分野を担当してきたと言っていいかと思います。
 それと、比較的長いこと研究用の原子炉施設の利用とか管理とかに携わってまいりました。多少なりともそういった経験が今回のこれに、耐震そのものは専門ではございませんので、いろいろ勉強しながら、でも、そういった側面からいろいろ検討させていただければと思います。
 耐震そのものについて言いますと、今、私どもは文科省さんもいろんな意味でこの間、10年来と言ったらよろしいんでございましょうか、いろんな課題を取り組んできて、研究炉も発電用の原子炉施設も安全という点でいいますと基本的には3つの側面があるかなと。1つは、ほんとうの入口の安全文化と、安全をどう考えるかという倫理も含めての問題ということと、高経年化、これは基本的なフィールド、分野だと思いますし、それと、この耐震がいろんな意味で重要な課題なんじゃないかと思っております。
 そういう点も含めて、今回、できるだけ主査をサポートできればということでやらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【二ノ方主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、早速ですが、本日の配付資料につきまして、事務局のほうから確認をお願いいたします。

【益田係員】
 それでは、資料の確認をいたします。
 まず、お手許にお配りした資料で、座席表の次の資料、議事次第に基づきましてご確認をお願いいたします。
 まず、資料1‐1といたしまして、「試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループの開催について」、続きまして、資料1‐2として「試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ」実施の構成員の案ということですね。資料1‐3としまして「『発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針』の改訂に伴う既設試験研究用原子炉施設の耐震安全性の確認に係る経緯等について」、続きまして、資料1‐4「試験研究用原子炉施設耐震安全性評価の妥当性確認の考え方について(案)」、続きまして、横長の資料で資料1‐5‐1「研究用原子炉(KUR)の概要」、続きまして、同じく横長の資料、資料1‐5‐2「京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)‐新耐震指針に照らした耐震安全性評価(中間報告の概要)‐」、続きまして、資料1‐6「バックチェック報告の妥当性確認の主なポイント等について(案)」、資料1‐7「京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)の耐震安全性評価の妥当性確認に係るクロスチェックの概要について(案)」、資料1‐8「京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)の耐震安全性評価の妥当性確認のスケジュールについて(案)」。
 また、そのほかに机上に配付しました水色のファイルがございます。その中に発電用原子炉施設に関する耐震設計指針、京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)の中間報告書の概要と中間報告書の本体がございます。
 以上が資料になりますが、過不足等ございましたら、事務局までお申しつけ願います。

【二ノ方主査】
 よろしゅうございますか。
 それでは、本日の議題に入りますが、最初の議題は「耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループの開催について」でございます。
 それでは、事務局のほうから説明をお願いします。

【鎌倉保安管理企画官】
 それでは、資料1‐1と資料1‐2によりまして説明させていただきます。
 妥当性確認ワーキンググループの開催についてということで、資料1‐1でございますけれども、6月16日の研究炉等安全規制検討会で審議され了承されたものでございます。
 まず初めに、ワーキンググループの開催の目的でございますけれども、先ほど来お話がありましたけれども、平成18年9月に原子力安全委員会におきまして「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」が決定されております。文部科学省ではその12月に原子炉設置案に対しまして既設試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価の実施を指示しているところでございます。
 原子炉設置者から提出されます耐震安全性評価につきまして、その妥当性を確認するために研究炉等安全規制検討会のもとに当ワーキンググループを開催することとしてございます。
 ワーキンググループの構成でございますけれども、本ワーキンググループのもとに地質・地震動、それと、施設・構造の2つのサブワーキンググループを設けることとしております。
 検討あるいは確認の項目でございますけれども、大きな項目としまして、基準地震動の設定結果、それから、施設・構造の耐震安全性評価結果、その他必要な事項ということになってございます。
 その次のページに運営等ということで公開のもとに開催するということと、構成員は先ほどご紹介のあったとおりでございます。
 それから、参考ということで、耐震安全性評価対象施設及びその実施工程ということで線表がございます。
 評価対象施設につきましては、京都大学の研究用原子炉、KURのほか、日本原子力研究開発機構の7施設、計8施設が対象になってございます。ここにあります実施工程でございますけれども、これは京都大学並びに原子力機構における実施工程ということでございます。
 続きましては、資料の1‐2について説明させていただきます。
 先ほどありましたように、本ワーキンググループのもとに地質・地震動、それから、施設・構造のサブワーキンググループを設けるということでございまして、その構成員の案を示してございます。地質・地震動につきましては6名、それから、施設・構造につきましてはそれぞれご専門の先生4名ということで構成員を考えてございます。
 説明は以上でございます。

【二ノ方主査】
 ありがとうございました。
 何かご意見、ご質問ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、ただいまの説明にありましたように、本ワーキンググループの下に地質・地震動、及び、施設・構造のサブワーキンググループ、2つのサブワーキンググループが設置されることになります。
 構成員につきましては今の資料1‐2、鎌倉さんからご説明があったとおりなんでございますが、この案のとおりでよろしゅうございますでしょうか。お認めいただけますか。
 ありがとうございました。
 それでは、先ほどのこのワーキンググループの主査の指名がございましたように、それぞれのワーキンググループについても主査を置く必要がございますので、私がワーキンググループの主査として僣越ながら指名させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【二ノ方主査】
 もしご異議がないようでしたらば、私のほうから指名させていただきたいと思いますが、地質・地震動サブワーキンググループにつきましては、産業技術総合研究所の杉山委員に主査をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【杉山委員】
 はい、じゃあ、お引き受けいたします。

【二ノ方主査】
 ありがとうございます。それでは、杉山委員に主査をお願いすることにいたします。
 それから、もう一つの施設・構造サブワーキンググループにつきましては、私、二ノ方が務めたいと思っておりますが、よろしゅうございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【二ノ方主査】
 ありがとうございます。
 それでは、次の議題に移りたいと思いますが、次の議題は「既設試験研究用原子炉施設の耐震安全性の確認に係る経緯等について」でございます。
 この議題と次の議題、「既設試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価の妥当性確認の考え方について」でございますが、考え方についてと関連がございますので、2つの議題をあわせて事務局のほうからご説明いただきたいと思います。鎌倉企画官、よろしくお願いします。

【鎌倉保安管理企画官】
 それでは、資料1‐3と1‐4に基づきまして説明させていただきます。
 まず、資料1‐3のほうは「経緯等について」ということでございますけれども、まず初めに、この1枚目に下のほうに線で囲っている部分がございますので、そこの部分で経緯の全体の概要を説明させていただきます。次に、別紙ということで1から4、用意してございますけれども、それに基づきましてその内容、ポイントなどについて説明させていただきたいと思います。
 まず初めに、四角に囲っているところでございますけれども、先ほどから説明していますように、18年9月に耐震設計審査指針が安全委員会で決定されております。同日付で安全委員会のほうから行政庁、文部科学省に対しましてバックチェックの要請がなされております。
 その年の12月に文部科学省、当省から試験研究用原子炉施設の耐震重要度分類の考え方などを示して、原子炉設置者に対しまして評価の実施を指示しているところでございます。これにつきましては、その旨、安全委員会にも報告してございます。
 当省の指示に基づきまして、原子炉設置者のほうで実施計画書等を検討されまして、平成19年7月にすべての原子炉設置者から実施計画書等の提出がなされております。当省では、原子炉設置者から実施計画書等につきまして、その妥当性の確認を実施しております。その結果、バックチェックの対象となる原子炉施設及びその評価対象設備・機器、並びに、バックチェックの対象にならない原子炉施設を確認しております。それにつきまして、平成20年2月に安全委員会のほうに報告してございます。
 次のページに移りまして、実施計画書等に基づきまして原子炉施設者のほうでは耐震安全性の評価を開始しているところでございますけれども、今年5月、日本原子力研究開発機構のほうでは、7施設ございますけれども、実施工程の見直しをしてございます。6月には、先ほどお話がありましたように、本ワーキンググループの開催につきまして研究炉等安全規制検討会で了承されております。それから、6月30日に京都大学のKURの中間報告の提出が当省にございました。本日の第1回ワーキンググループの開催に至っておるということでございます。
 続きまして、別紙1について説明させていただきます。
 これは平成18年9月に原子力安全委員会から当省に対しまして耐震安全性の確認について要請された文書、内容でございます。ポイントについて説明させていただきたいと思いますけれども、別紙ということで、安全委員会決定の文書の次のページでございます。中段以降に「記」と書いてございまして、3点について安全委員会のほうから要請されております。
 まず1.として、「行政庁においては」ということで、原子炉施設者に対して耐震安全性の評価を実施することを要請してくださいということ、それから、実施計画書が取りまとまった段階で速やかに安全委員会に報告してくださいということ、それから、耐震安全性の具体的かつ詳細な評価結果につきましてはその妥当性に関する確認を行った上で、安全委員会に報告することということが1.。
 それから、2.として、安全委員会としてはその妥当性の確認についての行政庁からの報告に関しまして検討するということでございます。
 それから、3.として、既に運転を最終的に停止するなど、周辺の公衆に過度の放射線被曝を及ぼすおそれがないことが明らかな施設についてはこの限りではありませんということ。
 この3点について、平成18年9月に当省に要請されてございます。
 続きまして、別紙2でございますけれども、先ほどの安全委員会からの要請を受けまして、当省では耐震設計審査指針自体が発電用原子炉に適用され、その他の原子炉施設につきましてはその基本的な考え方は参考になるものとされていることですので、試験研究炉への適用についてワーキンググループを設けて検討を実施してきたところでございます。その結果をもって、原子炉設置者に対して耐震安全性の評価の実施を指示したものがこの別紙2ということでございます。
 耐震指針の試験研究炉への適用の検討に当たりましては、試験研究炉は発電用原子炉に比べ、出力など規模が小さいこと、あるいは、形式が異なることなども踏まえまして検討し、試験研究炉の耐震安全性の評価、その結果を確認する際の基本的な考え方を取りまとめております。
 基本的な考え方につきましては、2枚目の別添の1/5、下のページに1/5と書いてございますけれども、別添ということで、「耐震重要度分類の考え方等について」ということのタイトルでございますけれども、そこに2.として基本的な考え方が示されております。
 (1)につきましては新設炉の耐震設計審査に当たってということでございまして、次のページ、2/5ページ目に既設炉の耐震性の確認についてということで基本的な考え方が示されております。
 まず、1つ目として、Sクラスとして選定された設備・機器等を対象に実施するものとするということで、Sクラスと申しますのは、耐震指針の中で示されておりますけれども、その設備・機器の機能が喪失し、放射性物質を外部に放散する可能性のあるもの、これを防止するために必要なものなどであって、影響の大きいものと定義されております。
 それから、原則として耐震指針と技術的に整合をとるものとするということ、それから、2として、バックチェックを行うべき原子炉や設備・機器等の選定の考え方について、ここでは地震想定影響が過度となるおそれのあるものを選定することとしております。
 それから、3として、既設炉が保有する実際の耐力に基づき耐震評価を実施することができるということ、それから、4としては、活断層調査についての基本的な考え方が示されております。
 (3)としてその他ということで、上位の分類に属するものは、下位の分類に属するものの破損によって波及的破損が生じないことを確認することとするということで、波及的影響についての考え方が示されております。ここではSクラスに属するものであっても、Bクラス、Cクラスに属するものの破損によってという、そういったような意味でございます。
 続きまして、ここでいいますバックチェックを行うべき原子炉や設備・機器等の選定の考え方ということにつきまして説明させていただきますけれども、3/5ページになります。参考1と書いてあります。
 真ん中辺のフローチャートがございますけれども、まず初めに、原子炉自体が耐震バックチェックの対象になるかどうかをまず検討するということで、ここにありますように、Sクラスとしての検討を必要とする原子炉の選定の考え方が示されております。
 原子炉施設には安全機能として停止機能、冷却機能、それから、放射性物質を閉じ込める機能があるわけでございますけれども、地震によって失われた状態を想定しまして、過度の放射線被ばくを及ぼすおそれがあるかないかを判定してございます。
 ここでいいます過度の放射線被ばくでございますけれども、周辺の一般公衆が5ミリシーベルトの被ばくを受けるかどうかということでございます。これにつきまして、関連の指針を参考にして5ミリシーベルトということで決めております。
 ここで過度の放射線被ばくを及ぼすおそれがない場合にはSsによる耐震評価は不要であるということ、及ぼすおそれがある場合にはSクラスとしての検討を必要とするということで、設備・機器についても選定をし、評価を行うということにしてございます。
 その機器、設備・機器等の選定につきましては、その次のページの4/5ページにございます。
 先ほど申し上げましたように、停止機能、冷却機能、閉じ込め機能があるわけですけれども、まず初めに停止機能について、維持されていると仮定した、場合に、過度の放射線被ばくを、及ぼすおそれがないということになりますと、停止機能のみの選定をするということにしてございます。そのほか、冷却機能、閉じ込め機能につきましても同様の考え方で選定するということにしてございます。
 このような考え方に基づきまして、別紙2の表紙に戻っていただきたいんですけれども、原子炉設置者のほうに耐震安全性の評価の実施を指示しているところでございますけれども、「記」と下のほうにございますけれども、まず、(1)としてSクラスとして分類されるべき施設について、耐震安全性の評価を実施し、報告するということ。それから、(2)としては、耐震安全性評価に当たっては、先ほどご説明しました基本的考え方に従って行うものということ、それから、次のページにございますけれども、移りますけれども、(3)ということで、耐震安全性評価の実施計画書を報告してくださいということ、(4)ではSクラスに相当する原子炉施設が存在しないと考える場合については、その根拠を説明した検討書を報告してくださいということで、原子炉設置者のほうに指示したところでございます。
 この指示に基づきまして、原子炉設置者のほうで検討が行われたわけですけれども、次に別紙3に移らせていただきます。
 先ほど申し上げました当省からの指示によりまして、原子炉設置者からは平成19年7月までに実施計画書あるいは検討書が提出されております。当省では専門家の意見を聴取しまして確認を行い、取りまとめを行ったところでございます。その結果がこの別紙3ということでございます。
 これの3枚目にページを打ってございますけれども、2ページになります。結果でございますけれども、表‐1と表‐2がございます。表‐1では耐震バックチェックを実施する原子炉施設ということで、先ほど申し上げました8施設が選定されております。それから、表‐2ということでバックチェックを要しないとする原子炉施設ということで、廃止措置中の8施設を含めまして15施設が対象とならないということになってございます。
 それで、表‐1の8施設について、それでは、どういった設備・機器が維持されればよいかということを検討してございます。
 その結果が4ページ目以降、別表1から別表8ということで、各施設ごとに設備・機器等が選定されてございます。本日検討いただきます京都大学のKURにつきましては、別表8ということで7ページ目になります。
 評価対象となる整備・機器等でございますけれども、基礎地盤につきましては原子炉建屋の基礎地盤、建物・構築物につきましては原子炉建屋ということで、これにつきましては波及的影響について評価をするということになってございます。それから、機器・配管系につきましては、先ほど申し上げました停止機能、冷却機能、それから閉じ込め機能に係る機器ということで、燃料要素以下の機器・配管系が選定されております。
 それから、地震の随伴事象につきましては、津波、周辺斜面ということで、これにつきましては敷地の状況を踏まえて適切に評価するということになってございます。
 そのようなことで対象となる原子炉施設と評価対象設備・機器等が選定されているところでございます。
 続きまして、別紙4ということで、これは今年5月に日本原子力研究開発機構で実施計画書の実施工程を見直しをしたということの資料、ペーパーでございます。
 原子力機構のほうでは、今現在、耐震安全性の評価を実施しているところでございますけれども、陸域の追加調査が生じたことや、基準地震動の策定に時間を要するということで、実施工程を見直ししたところでございます。
 以上がこれまでの経緯ということでございまして、続きまして、資料1‐4に移らせていただきます。
 以上の経緯などを踏まえまして、耐震安全性確認の考え方についてということで、事務局の案でございます。
 先ほど申し上げましたように、耐震安全性の確認につきましては当省から原子炉設置者に対して平成18年12月に指示しておりますけれども、その中に耐震上の重要度分類の基本的な考え方や分類方法を示しております。また、耐震安全性を評価する際の基本的な考え方も示しているということでございまして、また、文部科学省としては原子炉設置者が実施した耐震安全性の評価結果を確認する際にはこの基本的な考え方に従って行うこととしております。
 このことを踏まえまして、耐震安全性の妥当性確認に当たっては、先ほど申し上げました基本的な考え方なども前提としまして、試験研究炉の特徴を踏まえて確認を行いたいと考えております。
 ということで、「記」ということで、まず1.として確認対象原子炉施設等についてということで、先ほども申し上げました既に確認し選定しました耐震バックチェックを実施する原子炉施設及び当該施設の評価対象設備・機器等を確認対象としたいと考えております。
 それから、2.として妥当性の確認についてということでございますけれども、1として、原則として耐震指針と技術的に整合をとるものとするということ、2として、既設炉が保有する実際の耐力に基づき、耐震評価を実施することができるということ、それから、次のページに移りまして、活断層調査についてでございますけれども、既に既存の申請書において地質、地盤等の調査が旧耐震設計審査指針を参考にして実施されていて、以下に示すということですけれども、以下に示す場合に該当するときは、活断層調査を行わないことができるものとするということで、イ)として、地震調査研究推進本部、中央防災会議による活断層の評価が耐震指針の要求に比べて保守的であることが示され、それを採用する場合、ロ)として、既設炉が保有する実際の耐力が当該敷地において想定される基準地震動Ssによる地震力に対して明らかに十分な余裕を有することが示された場合、それから、4として、上位の分類に属するものは、下位の分類に属するものの損傷によって波及的損傷が生じないことを確認することとするということで、この妥当性確認の考え方をもって確認していきたいと考えております。
 説明は以上でございます。

【二ノ方主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、ご説明につきまして、何かご質問とかご意見ございますでしょうか。

【寺井委員】
 よろしいですか。ちょっと私、従来の議論に参加していなかったのでよく理解をしていないんですが、「もんじゅ」については別途そちらのほうでやっているのでこの対象には入らないという理解でよろしいんですか。

【吉田原子力規制室長】
 「もんじゅ」は今、保安院のほうで今やっておりますので、そちらで見るので、試験研究の範疇に、今、発電用です……。

【寺井委員】
 発電用に入っているんですね。わかりました。

【吉田原子力規制室長】
 発電用のほうに入っています。そちらに入っています。以上です。

【寺井委員】
 わかりました。

【二ノ方主査】
 よろしいでしょうか。

【上之薗委員】
 1つよろしいですか。

【二ノ方主査】
 上之薗委員。

【上之薗委員】
 この1‐4の資料の裏のページのイ)で、「活断層の評価が耐震指針の要求に比べて保守的であることが示され」、このときの保守的というのはどういう意味なんでしょうか。つまり、活断層、中央防災会議による活断層の評価が指針よりももうちょっと大きめに設定されているという、そういう意味の保守的という意味ですね。保守的というのがちょっとぴんとこなかったものですから。

【鎌倉保安管理企画官】
 推本なり中央防災会議よりこちらも少なかったら、少なく、要するに安全側に評価され、安全優先、そういう意味では安全が評価されていればと、そういう意味です。

【上之薗委員】
 わかりました。

【二ノ方主査】
 よろしいでしょうか。
 いかがでしょうか。
 これは今後ずっと妥当性を確認していく上での憲法みたいなものですから、十分ご確認をお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

【伊藤委員】
 1つだけいいですか、よろしいでしょうか。

【二ノ方主査】
 伊藤委員、どうぞ。

【伊藤委員】
 ちょっと確認したいんですが、資料1‐4の裏のページの3のロ)についてですが、ここにある「実際の耐力」という表現がございますけれども、この実際の耐力というのは確認できているんでしょうか。私自身、よく実際の耐力の意味がよくわからないので、これについてもう少しご説明いただくとありがたいんですが。

【鎌倉保安管理企画官】
 原子炉の設置申請などでは、設計上の評価をされておりますけれども、ここで言っている意味というのは多分実際に設計とは違って実際の耐力という表現で、お答えになっていないのかもしれませんけれども。

【吉田原子力規制室長】
 簡単に言いますと、実物になります、実際に建設された。建設するときは工事図書とか何かで設計されますよね。それよりも、実際には計算より多い、要するに、安全余裕を見て施工されていますので、そういう意図で、現実に施工されているもの、現在施工されているものをここではそういう表現に使っています。
 だから、実際に現物あるものの耐力ということで計算してよろしいよということで、計算なり、評価してよろしいと。

【伊藤委員】
 大体わかりましたけれども、そうしますと、設計書と実際の工事書、記録書というのが2つあるということでございますでしょうか。

【吉田原子力規制室長】
 ちょっと言い方が悪かったと思いますけれども、実際には設計図書はひとつですから。

【上之薗委員】
 ちょっと補足させてもらっていいですか。
 私、よく耐震診断とかやるんですが、それは設計図書は参考資料になるんですよ。実際はそのコンクリート強度をはかったりとか、実際に配筋されている鉄筋の本数を数えたりとか、それによって、実際に建っている建物の耐力を推測するという感じで耐震診断をやるので、多分その方法だと思っているんですけど。

【二ノ方主査】
 丹沢委員、どうぞ。

【丹沢主査代理】
 課長、室長がおっしゃっている意味はこういうことですか。記録に確実に残されて、例えば使用前検査の記録にいろんな検査結果があると。それは設工認等に対して十分何がしかの余裕を持っているということで、その使用前検査等で得られている結果をベースに評価してよろしいと、そういう意味で考えてよろしいんですか。

【吉田原子力規制室長】
 そのとおりです。

【二ノ方主査】
 よろしいですか。伊藤委員、どうぞ。

【伊藤委員】
 わかりました。どうもありがとうございます。

【吉田原子力規制室長】
 要するに、実際に施工されている耐力ということですね。要するに強度なり、そういうことですね。それで評価してよろしいし、やりなさいよと。バックチェックのときに保安院から出されたときも、そういう表現を使っております。

【二ノ方主査】
 それは限界とは違うわけですね。

【吉田原子力規制室長】
 それは限界ではございません。全然違います。だから、限界はもっとそれよりずっと余裕があると思います。

【二ノ方主査】
 はい。

【吉田原子力規制室長】
 それから、1つこちらで補足させたいものがあったんですけれども、ちょっと別紙3、この別紙3のところの別紙3の別添のこれは2ページです。先ほど鎌倉のほうからバックチェックを実施する原子炉施設、これは表‐1でしないものが表‐2だとありますが、その下に、当省の見解というのがございます。ここ、ちょっと重要ですので、(1)で「耐震バックチェックを実施する原子炉施設(Sクラスとしての検討を必要とする原子炉施設)について」というとこですけれども、ここで先ほど来鎌倉のほうから言っていますけれども、どういう判断にしたかというところですけれども、ここで地震想定影響が5ミリシーベルトを超えないためということで、周辺公衆に過度の放射線被ばくを及ぼす、要するに、先ほど来から過度の放射線被ばくを及ぼすおそれがないことということがある意味ではこの5ミリシーベルトということを判断基準にしておりますので、ここが重要だと思いますので、ここでちょっと補足させていただきます。
 以上です。

【二ノ方主査】
 ありがとうございました。
 それでは、翠川委員、どうぞ。

【翠川委員】
 今の先ほどの1‐4の2ページ目の3のロ)のところで、「明らかに十分な余裕」という表現がされていますが、これは何か目安のようなものはお持ちなんでしょうか。

【鎌倉保安管理企画官】
 これはまだ平成18年12月にこういう考え方で指示しているところでございますけれども、ここの数値的な判断基準について特に当時検討はなされていないと考えられます。

【二ノ方主査】
 専門家から見た場合、十分な余裕があるだろうと、ジャッジメントですか、どちらかというと。

【鎌倉保安管理企画官】
 そういうことになろうかと思います。

【翠川委員】
 難しい問題だと思いますので。

【二ノ方主査】
 はい。
 それでは、ほかにご意見、ご質問等ございませんようでしたらば、この資料の1‐4をもちまして妥当性確認の考え方、前提とすべき考え方ということで今後作業というか確認していきたいと思います。
 それでは、次の議題は耐震安全性評価の中間報告、京都大学についてでございます。
 最初に、京都大学の原子炉実験所研究用原子炉、KURの原子炉の特徴につきまして、原子炉実験所長の中島先生からご説明をいただきまして、次に、耐震バックチェックの中間報告の内容につきまして、釜江先生のほうから説明していただきたいと思います。
 それでは、原子炉の特徴について、中島先生のほう。どちら、釜江先生のほうから。

【釜江先生】
 すみません、ちょっと少しよろしいですか。

【二ノ方主査】
 どうぞ。

【釜江先生】
 ちょっと紹介をさせていただきたいと思います。
 このバックチェックの全体のまとめを仰せつかっています原子炉実験所の釜江と申します。よろしくお願いしたいと思います。
 本日は中間報告の概要についての説明ということで、京都大学から私をはじめ、あと、中島、後ろに上林、川辺と4人で参ってございます。
 それで、少しこの後、中島のほうから、今まで少しお話がありました、やはり発電用原子炉と試験研究用原子炉、少しもともとの設計思想とかシステムがかなり異なってございますので、それを同じ土俵で耐震安全性を検討するということで、少し冒頭で少し研究炉の特徴とか固有の安全性、そういうものを少しご説明させていただいて、その後、これは当然新指針に従って我々研究炉といえどその指針に従った検討をこれまでやってございますので、その説明を、全体を今日はお話しさせていただきたいと思います。
 本来、試験研究用炉というのは、今事務局から話がありましたように、全部で8つが施設があるわけですけれども、そのうちの7つがJAEAということで、あと1つは研究炉と、KURということで、どうもいみじくもKURが先陣を切ってしまったことになったわけですけれども、これも流れがございますので、そういうものに対して対応していきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、まず、研究用原子炉、KURの概要ということで、少し発電との違いをご説明させていただきたいと思います。

【中島先生】
 私は京都大学原子炉実験所の中島と申します。残念ながらまだ所長にはなっておりませんで、研究炉部の部長というのをさせていただいています。こちら、KURの総まとめみたいなことをやっております。
 では、まずお手元の資料1‐5‐1「研究用原子炉(KUR)の概要」を使いまして、ちょっとすみません、座って説明させていただきますが。
 この表紙はこれは実は、KUR、後で今すぐ説明いたしますが、現在3年ほど運転停止しておりまして、これは2006年2月ということで停止の最後の日、停止直前の最後の運転したときの5メガワット出力を出したときのいわゆるチャレンコフ光を見ているところでございます。
 このKURはKyoto University Research Reactorの省略でございましてKURということで、研究炉全般そうですけれども、目的といたしましては、熱を使うとか電気を起こすとかそういうことではなくて、こちら黄色でマーキングしましたように、ウラン燃料の核分裂で発生する中性子を利用するための原子炉であるということでございます。
 こちらは歴史的な経緯を書いておりますが、1961年に着工して、運転開始という意味では64年からということで、今年で45歳、45年目となってございます。当初は出力1メガワットでしたが、4年後に5,000キロワット、5メガワットに出力上昇しております。
 あと、その後、燃料、使用済み燃料がたまってきたというとこで、これは大分新しい、この中では新しいですが、86年に使用済み燃料室を増設したとか、それから、いわゆる低濃縮化ということで、当初は高濃縮ウラン、93%の高濃縮ウランを使っていましたけれども、低濃縮化の研究ということで先行的に2体だけ導入して、現在はこれ、高濃縮ウラン、全部運転を終了いたしまして、現在、全炉心の低濃縮化のための許認可手続といいますか、もうほとんど終わっていますけれども、間もなく運転再開という予定でございます。
 設計諸元というほどでもないんですが、目的としてはここに書いてある何でもできるような形、一般研究、材料照射、どうのこうので、最近目玉としては医療照射というのもございます。
 型式といたしましては、タンク型といっても上部開放なのでこういうスイミングプール系タンク型と書いておりますけれども、低濃縮のウランを使って水、普通の軽水を使って中性子の減速をして炉心を冷却するといったようなものでございます。
 炉心の寸法自体非常に小さくて、後でまた説明しますけど、50センチ角ぐらいの非常に小さなもの、これは中性子を大量に発生させて外に取り出しやすくするために炉心を小さくして、外に漏れやすくするといった研究炉の特徴的なところでございます。
 それから、あとは主要な実験設備として中性子を取り出ししていろいろ使うためのいろんなものがついているといったことでございまして、また詳細は順に説明させていただきます。
 現状といたしましては、燃料の低濃縮化するために2006年3月より原子炉は運転休止中でございまして、この期間は法律上は原子炉の施設定期検査期間中ということで現在も、丸3年超えていますけれども、ずっと定期検査という期間中という形になってございます。
 この間にいろんな手続をやっておりまして、原子炉炉心に新しい燃料を入れるということで、いわゆる設置変更といいますか安全審査をやりまして、2008年の、昨年、もう1年以上になりますが、2月に承認を得ております。
 それを受けて新しい燃料をつくるための設計及び工事の方法の認可、承認ですね、それから、使用前検査、これが今続いているという状態でございまして、当初予定では既にもう燃料が入ってきて運転しているはずだったんですけれども、ちょっと輸送、これ、海外でつくっておりまして、輸送経路上のちょっと諸事情が、あんまり詳しいことは申し上げられないんですが、ございまして、ちょっと輸送が今おくれておりまして、予定としては今年の暮れぐらいには再開できるかなという形でございます。
 この変更で何をやったかというと、濃縮度を下げるということで、これまで93%と、これは原爆に直接転用できるレベルの濃縮度であるということで、これを20%未満に下げると。濃縮度を下げたら、今度臨界になるために燃料がたくさん必要になりますので、その分は密度を上げて対応して、見た目は燃料まるっきり変わらない状態で、性能も基本的には変わらない状態でございますが、安全審査をちょっと一部やり直して、新しい指針等で従ってやると若干安全評価の見直し等に伴って、安全保護回路の一部変更等も行ってございます。
 全体の概要ということでもないんですけれども、施設全体の構成といたしましては、これは原子炉の炉室という、ここ、1階レベルですけど、炉室の中に真ん中に炉心タンク、ご本尊があるということで、高さは地上高さで22メートル、直径28メートルの炉心タンクでございまして、その中心に、深さというか高さ8メートル、直径2メートルで厚さ1センチなんですけど、アルミニウム製の炉心タンクがございまして、そこが普通の水で満たされている。その下部の部分に、1階床面部分に近いところに燃料で炉心が構成されている。あと、周りにいろんな実験設備があると。
 この炉心タンク自体はいわゆる生体遮へいという2メートルの厚さのコンクリートで周りがぐるっと囲まれている。地下のほうには冷却のための冷却ポンプであるとか熱交換機がございまして、あと、建屋自体は機密構造になっておりまして、外から空気をフィルターを通して吸い込んで、地下からフィルターを通して35メートルの排気筒、スタックから出すといったような形になってございます。
 この真ん中にあります炉心部分といいますかご本尊のところはこれで、これは外から見た生体遮へいで覆われている外側でございまして、この断面を縦に切りますと、厚さ2メートルの生体遮へいの中に直径2メートルの炉心タンク、高さが8メートルであって、この下の部分に炉心があると。周りに実験用のいろんな照射用の設備等があったりとか、上から制御棒の駆動系が出ていたりとか、配管も幾つか出入りしていますけれども、これも照射物を出したり入れたりするものということでございます。
 水の流れとしてはまた後で説明しますが、この外側部分から水が入ってきまして、炉心の上から下に水を引っ張って抜くというか、だから、炉心部分、燃料の部分というのは水が上から下に流れるような流れということになってございます。
 今度はその同じ炉心を輪切りにしたというか上から見た絵でございまして、約2メートルですか、ちょっと出っ張ったりしていますけど、2メートルのコンクリートの生体遮へいの中心に直径2メートルのアルミのタンクがあって、そのほぼ真ん中に炉心部分があると。大体50センチ掛ける50センチ、炉心部分、燃料が入っている部分は50センチ角ぐらいのところです。
 これは写真で見ますとこちらになっていまして、この周りに丸く見えるのが炉心タンクの内面でございます。アルミのタンク。あと、ここ、周りにちょっと何かがちゃがちゃと刺さっているところがございますが、これは炉心タンクの中に燃料を一時的に保管できるラックがございまして、それのラックでございます。
 炉心はどこかというと、ちょっと小さくて見にくいんです。この小さいところに四角に囲まれているところがございましてこの中に燃料が入って、あるいは、周りに反射体が入ったりして、上からこう配管がいっぱい出て、これは制御棒とか照射物を入れたシールするものとか、あるいは、計測用の配管等がございまして、これが全体が深さ大体水で7メートルぐらいのところに沈んでいるといったようなことでございます。
 この炉心の部分を拡大したのがこちらでございまして、アルミで囲われたこの四角い領域の中に燃料、これは大体8センチ掛ける8センチぐらいの大きさのものなんですけれども、これを20体とか二十数体並べて臨界にすると。その周りに同じ8センチ掛ける8センチぐらいでこれはアルミで全部キャンニングしたものがございまして、この中は黒鉛が入っております。黒鉛というのは中性子をよく反射してくれるので、臨界性をよくすると。
 あと、周りには実験用設備で、こちら側、下側には重水が入ったタンクがございます。それから、反対側には黒鉛の塊が置いてあったり、あと、周りに実験用の中性子を取り出すための配管とか照射物を入れるためのものと。それから、上から制御棒の、制御棒は私ども5本ございまして、この黄色でかいてあるところなんですけれども、真ん中部分にある4本というのが粗調整用制御棒で大きな反応度を制御する、あるいは、スクラム時、緊急時にすとんと落ちて緊急停止するためのもの。それから、端っこのほうには微調整用といって小さな反応度をちょっとだけ調整するためのものというのがございます。
 この構成している燃料の写真あるいは図面がこちらでございまして、燃料全体としては90センチぐらいの長さのものでございます。下にノズルがありますけれども、実際の燃料部分というのは真ん中の約60センチぐらいで、これはこの湾曲した幅7.5センチ、7センチ強の板を、アルミでサンドイッチされた板が18枚連なっていて両脇をアルミでかしめて、アルミの板にかしめてあるといったものでございます。
 ここの部分を拡大するとこうなっていまして、真ん中の0.5ミリが燃料の入っているミート部、それから、上下が0.5ミリのアルミの被覆管で、アルミでサンドイッチされたもの、見た目はアルミの板みたいなものです。それから、この板と板の間隙が約3ミリ弱でございまして、この間を水がこう流れて燃料を冷やしてくれるといったものでございます。
 それから、あと、先ほどの写真では一部のところに制御棒がこう突っ込んであります。ここも実は燃料が入っていまして、そこの部分はちょっとこちらは絵を用意していませんけど、これは18枚普通の燃料が入っている板が入っているんですけれども、そのうちの真ん中の9枚を取り除きましてすき間をつくって、そこの間に制御棒、これはステンレスにホウ素を含ませた合金でございますけれども、それが入るような仕組みになってございます。
 この今説明させていただきましたKUR、熱出力5,000キロワット、5メガワットのものですが、これは発電炉と特に安全管理上どういう違いがあるかということでございまして、ちょっと例としてPWRの場合ということで書かせていただきましたが、運転状態といたしましては、よく言われているあれですけれども、発電炉の高出力、高温、高圧、具体的に言うと、規模にもよりますけれども、熱出力で大体3,000メガワットとか3,300メガワットぐらい、温度、一次冷却水330℃で、圧力も15メガパスカル、150キロ、150気圧ぐらいですか、になってございますが、それに対して、KURのほうは、中性子束はわりと高いんですけど、常温で圧が低いということで、熱出力5,000キロワット、冷却水温度も最大で55度で、通常四十何度とかそのぐらいでございます。冷却水圧力、大気圧がかかっているといったものでございます。
 燃料は低濃縮ウラン、どちらも、研究炉は中濃縮と書いてある、濃縮度の低いウランですが、軽水炉の場合は5%未満、研究炉の場合は20%未満という、これはとにかく小さい炉心で臨界にして中性子密度を高くして外にいっぱい取り出せるようにするという特徴でございます。ですから、そのため、炉心寸法も発電炉の場合ですと30立米ぐらいに対して、これは100リットルとか150リットルぐらい、0.1立米程度のレベルの非常に小さなもの。
 それから、あと、大きな違いとしては、安全上の違いとしては、崩壊熱の除去で、このぐらいの熱出力になりますとスクラムして、核反応をとめた後でも強制的な冷却をしないと崩壊熱が除去できませんけれども、5メガワット程度のレベルのものであれば、核分裂反応さえとめてしまえば、自然冷却で十分燃料は冷えるといったものになっております。
 あと、構造材等では、耐蝕性とか低放射化、低中性子吸収、これは逆ですね、すみません、ちょっと下のカラム、右と左、間違えました、すみません。
 研究炉でこういうものですが、発電炉はそれに加えて強度とか高温特性というのが要ると、ちょっと違う表を写したときに間違えたようで、すみません。
 ということでございまして、研究炉、特にKURの場合の特徴でございますけれども、基本的には常温常圧であってまず非常に簡単にすぐとめられるということで、私どもは設計思想としては何かあったらとにかく制御棒を落としてすぐにとめるということが設計思想としてやっております。
 それから、停止後の崩壊熱も自然循環により除去可能であると。それから、基本的には炉心タンクの中に水さえ残っていれば大丈夫、我々は冠水維持機能と言っていますけれども、冠水が維持されていれば大丈夫と。
 あと、万が一それが破れたとしても、発電炉に比べてみれば発熱量というか核分裂量が違いますので、内蔵する放射能量というのは大幅に少ないよということは明らかでございます。
 こういうことを踏まえまして、いわゆる原子炉の安全確保の3原則として、停止する、冷却する、閉じ込めというこういう3つの機能がございますけれども、それぞれについてKURはどういうことをやっているかと。停止、一般的には制御棒等を挿入することによって核分裂反応を停止することでございますが、KURでは、先ほど言いましたけれども、大きな反応度を持っている制御棒4本が異常検知から0.6秒で炉心の中に全挿入されると。だから、0.6秒で核分裂反応はほぼなくなってしまうという状態でございます。
 冷却につきましては、十分に炉心が溶けないように冷却することでございまして、KURはとにかく自然循環で、こちらの停止さえできれば、あとはタンクの中の水がなくならないようにする、もし漏れるような場合は外から補給するといったようなことを考えてございます。
 それから、閉じ込めは外部に漏れない、閉じ込めるということですが、KURの場合、先ほど申し上げた、建屋全体は機密構造で漏えい率も制限してございますけれども、それに加えて、さらに非常時は通常の換気系を停止して非常用の排気フィルターを通して少しずつ排出するといったような工夫もしております。
 それぞれについて、ちょっとごく簡単に説明させていただきますが、まず停止でございますが、先ほど、これは上から見た炉心の絵でして、水色の部分が燃料が入っているところ、ちょっと見にくいかもしれない、黄色の真ん中にある4本が粗調整用制御棒といって停止のときに使うもの、こちらちょっとオレンジ色がかったのは小さな反応度を制御する。
 これが炉心の部分からずっと上のほうに突き出していまして、この粗調整用制御棒はマグネットで通常はぶら下がっていると。運転時は炉心の上部付近に鼻先だけ突っ込んでおいて待機した状態になってございまして、何か異常があってスクラム信号が出た場合はこのマグネットが外れてすとんと落ちて、約ストローク60センチぐらいですので、0.6秒で間違いなく4本とも入るということでございます。電磁石電源の電源さえ切れれば、とにかく自然落下で落ちるということでございまして、ほかの駆動力は必要ございません。
 スクラム、0.6秒以内というのは毎年の定期検査で確認しておりますし、スクラムで信号が出たらちゃんとマグネットが切れるよということも毎月点検しております。
 あと、地震の場合は、私どもは非常に小さい加速度なんですけれども、垂直、水平ともに20ガルでスクラム信号が出るようになってございます。
 あと、ちょっとこれは細かい話ですけれども、吸収体が入った場合はとにかく直ちに未臨界になるような性能を有しておりますし、この4本のうち一番大きな反応度を持っている1本が入らなくても、残りの3本で十分に未臨界にできるだけの性能を持っております。
 これに加えて、何かあって出力暴走が出た場合には、出力係数といいますが、全領域で負ということで、これはいわゆる負の反応度フィードバック効果、負の効果で出力が上がると反応度が自動的に反応が抑えられるような設計になってございます。これが停止機能でございます。
 それから、次に冷却でございますが、これはとにかく冠水維持機能ということで、この通常はこういう外側から水が入ってきて炉心の周りを通って炉心部、上から下にこう流れて、下にこうポンプで引っ張られると。実はここの赤色でかいた2つの弁、水圧駆動弁と逆止弁というのは、この水の流れがなくなると自動的にとまるようになっている弁でございます。
 逆止弁はこの水流の力でふたをあけて流れてくるというので、水の流れがなければ閉まってしまう。水圧駆動弁というのは、これは実はこの下にある一次冷却水ポンプ、これのポンプの駆動圧を、水圧を、突出圧を持ってきて、その突出圧でぐっと押して持ち上げているような弁でございまして、何らかのあれで漏えいが起きるとか、あるいは、ポンプがとまるといったことで突出圧がなくなればこの水圧駆動弁も自動的に閉まってしまうということで、この2つの弁より下流側でもし配管破断とか漏えいが起きた場合は、この弁2つとも自動的にとまって、あとは中で自然循環で冷えるようになると、そこから先、漏れがとまってしまうということ。
 あと、万が一、この2つの弁がしまらない場合を考えまして、そのさらに上流側に手動で閉めるための閉鎖弁というものも設けてございます。これは万が一ということで手動で閉止するということで考えてございます。
 じゃあ、今度、この弁より上流側で漏えいが生じるようなことがあったらどうするかということでございますが、これはちょっとポンチ絵、見にくいかもしれません、これは炉心タンクの部分で今申した弁等が、これはちょっと1個しかかいていませんけど、ある。この炉心の直下の部分を私どもはサブパイルルームと申して呼んでおりますけれども、ここの部分が堰の構造になっていまして、ある程度そこに水が蓄えられるようになってございます。
 ですから、この配管より上流側で何か漏れた場合は、ここのサブパイルルームのところの床面からこうだんだん水がたまっていくと。ここに実はくみ上げ用のポンプ、自動でくみ上げてくれるポンプが2台、あと、当然水位のセンサーがございまして、この水位のセンサーが働けば、このポンプ、同じものが2台ございますが、働いて、勝手にくみ上げてまた炉心タンクに水を戻してくれるといったような構造になっておりますので、ここより上流側で漏れた場合でもこれがくみ上がれば炉心の水が抜けてなくなることはないでしょうといったようなことを考えております。
 あと、これに加えて、それ以外に非常用冷却設備といたしましては、炉室の外側に防火水槽、高さが大体30メートルぐらいのところですけれども、100トンの水が蓄えられたものがございまして、これはもうバルブをあけると自重でジャーッと炉心に流れていくといった。それから、あと、サブパイルルームからのくみ上げ、これは先ほど説明したものでございますが、それとあと、この炉室に隣接して使用済み燃料プールというのがございまして、そこのくみ上げ水を使うということも可能でございます。
 こういったことで十分に炉心の水がなくならないようにしてやるといったような工夫をしてございます。
 あと、万が一この燃料に何か異常があって放射性物質、特に希ガス要素等でございますが、漏れた場合どうなるかということですけれども、まず、通常はとにかくこの炉室全体が機密構造になっておりまして、空気の流れというのは制御された形になっていまして、漏えい率も、これは毎年検査しておりますけど、1日当たり3%、全体の体積の3%が24時間で漏れますよと。内外の差圧が水頭圧で2センチの場合という規定でございますけれども、そういった機密構造になっております。
 それに加えまして、先ほどの非常時の場合は、これ、ちょっと見にくいかも、入口のところにこういう水封層というダンパー、水封ダンパーという、あるいは、出口のところにもダンパーという水のタンクが設けてございまして、ここに水を入れることによってこの吸気、排気の排気口を完全にふさいでしまうことができる。
 ちょっとそこの部分を拡大した絵、これは排気の部分ですけれども、通常の排気はこう炉室のところから引っ張られてこちら側を通って、プレフィルター、ヘパフィルターを、これはポンプ、排風機のつもりですけど、で、流れていって、35メートルのスタックから放出されるんですが、非常時の場合はここを水でふさいでしまうと、水がこう張ってこの空気が流れなくしてしまう。こちらに細い配管がございまして、こちらは非常用の排気系で、これはダブルでポンプというか排風機が2台ついておりまして、あと、フィルターのヘパフィルターのほかに、ヨウ素を除去するための活性炭と、あと、銀ゼオライトを吸着するためのフィルターがついてるということでございます。
 ですから、この水封は大体5分程度でもう満杯にすることができますので、何か異常がありましたら、この水封を入口側、出口側とも水を満たしてやって、通常の排気の流れをとめてしまうと。あと、何らかで内圧が上がるようでしたら、非常系をちょろちょろと動かしながら少しずつ放出するといったような工夫を、考えに基づいてございます。
 以上が、停止、閉じ込め、冷却という安全確保の3原則でして、ちょっとおさらいですが、これはもう最後なんですけども、KURで地震時の安全確保ということで考えますと、この20ガルという非常に低い加速度で初期微動でスクラムして止めると、まずはそれがあると。止めてさえしまえば、あとは自然循環によって除熱が可能であるよということですから、直下弁より上部側の漏れがなければもうそれだけで終わりということになります。
 この2つ、停止と冠水維持というのが達成できれば、それ以外の閉じ込め機能というのは基本的には要らないという考えでございます。
 ちょっと駆け足で行きましたが、以上でございます。

【二ノ方主査】
 ありがとうございました。
 先ほどは失礼しました。勝手に辞令を出しまして、申しわけありません。
 それでは、引き続きまして、中間報告の内容についてご説明をお願いします。

【釜江先生】
 それでは、中間報告書の概要ということでご報告申し上げたいと思います。原子炉実験所の釜江でございます。よろしくお願いいたします。
 先ほど、中島のほうからいろいろと地震に関するところの話とか、少し地震だけではなくて、事故・トラブルのときのいろんなバックアップ、冷やす、閉じ込めるというような、そこが少しこれからお話しするところと少しギャップがございますので、少しその辺をあらかじめご了解いただきたいと思います。
 それで、今日のご説明する内容でございますけれども、今日は第1回目ということで全体を一通りお話ししてくれという話でございますので、目的から、最終的に機器・配管の耐震安全性評価のところまで、少し駆け足ですけれども。それと、あと、サブが2つできるということなので、それぞれにつきましては詳しいところはまたそのサブワーキングのほうで詳細についてはご報告申し上げたいと思います。ですから、そういう意味では今日は概略ということでご理解いただけたらと思います。
 それで、今日は目的、安全性の評価の概要と、あと、3.に地質・地盤調査、これは活断層の評価等ということでございますけれども、ここで先ほど少し考え方のところで議論になったところでございますけれども、結論から申し上げますと、我々のところは特に場所が関西ということで、大都市圏、大阪を抱えているということで、いろんな断層に関して、これは地震防災という意味でいろんな機関がいろんな調査を、これは兵庫県南部地震があったということも含めてですけれども。
 それで、我々のところでは、原子力発電所がやっているようにフィールド調査はしてございません、主として文献調査。という意味では、今日、杉山委員、岡村委員がいると、その筋の別段の委員がいらっしゃるんですけれども、その前で文献調査の結果をお話しするのは少し素人としてお恥ずかしいところがございますけれども、ご勘弁願いたいと思います。間違ったことは言わないとは思うんですけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 それと、4.は、そういう断層調査の後、基準地震動Ssの策定ということ、それと、5.にそういうSsを使った施設の安全性ということで5.、6.とやります。
 ただ、ここで後で少し詳細をお話ししますけれども、研究用原子炉、これは昭和39年にできたということ。それと、その当時は当然発電炉の指針もございませんし、特に研究炉ということでその発電炉が岩盤立地ということが義務化されていますけど、当然、その当時は研究炉はそういう制約もございませんでしたので特に岩盤立地ではございませんので、そのSsから一番大事な建屋の入力地震動、そういうところが少し洪積地盤、堆積地盤があるところということで、少しその辺の考え方が非常に重要になってくるということで、そこらも少しお話ししたいと思います。そういうちょっと違いがあるということをご理解いただければと思います。
 ということと、あと、建物につきましては今回中間報告ということで、原子炉建屋のみ、これもそこに書いてございますように、建屋そのものは発電と違いましてBクラスでございます。これは特に建屋自身が放射性物質の閉じ込める機能という意味ではございませんので一応Bクラスということで、例えば中にあります重要な機器ですね、先ほどの制御棒なり、原子炉本体、そういうものへの波及的影響ということで、当然建物自身は倒壊はしないといいますか、弾性限度を超えてもそういうSクラスへの波及的影響を及ぼさないかどうかという、そういう観点から検討してございます。
 それと、すみません。それで、後でお話ししますけれども、建物構築部については、その他も、その他に使用済み燃料室、使用済み燃料プールですね、これも今Sクラスに、今全く使用済み燃料はないんですけれども、その施設についても最終報告ではご報告申し上げたいと。
 最後に機器・配管のところでございますけれども、これもここでは本日のところは止める、冷やす、閉じ込めるというその3大重要機能に関係する機器のみということでお話しさせていただきたいと思います。それ以外の部分も少しございますけれども、それについては最終報告でご報告申し上げたいと。
 目的等々は非常にあれですし、方針についても実施計画書に従って安全性評価をするということでございます。
 まず、簡単に、既に概略があったんですけれども、少し耐震という意味でお話し申し上げたいと思うんですけれども、KURはここにございます。大阪府泉南郡熊取町というところです。大阪平野の南部にあります丘陵地帯でございます。全景がこういう形になってございまして、ここに原子炉があって、ここに今回の対象から外れましたけれども、臨界実験装置、KUCAという非常に小さな原子炉がございます。敷地はこういう形でありまして、ほぼ10万坪ございます。
 それで、ここに出ていますように、周辺の地形的には丘陵地ということで、なだらかには起伏がございますけれども、こういう場所でございます。これを見ていただくと、大体その場所の地形的なことをご理解いただけるかなと思います。この辺もやはりため池が多うございまして、周辺にはたくさんございます。
 それで、原子炉建屋自身はこういう円筒型の建物でございまして、あと、周りにはホットラボ、実験設備、実験棟、そういうものが付属的についてございます。中はもう先ほどお話がありました、原子炉本体が円筒型の建物ににょきっと真ん中に設置されていると。周りは中性子を使った実験設備ですね。非常に煩雑に見えますけれども、いろんな実験孔が周りに出ていろんな実験研究に寄与しているということで、ここにありますように、出力が5,000キロワットと。
 昭和37年、できたのが39年に1メガワットで臨界になると。昭和43年に5メガワットに出力上昇されたということで、非常に古い、築後45年ぐらいはたっているということで、当時のその点設計思想は今と全く違ってございますので、そういうところも少しご理解いただけたらと思います。
 今回の対象、中間報告の対象でございますけれども、これは先ほどの事務局からのご説明にもありました我々のKURのところの評価対象施設でございまして、建屋の地盤、それから、建屋そのもの、これはBクラスで波及的影響ということです。あと、原子炉本体として、ここに少しお手元に、私は燃料要素そのもののところも黒字になってございまして、実はこれは最終報告でご報告するということで、すみません、今回は含まれてございません。
 ですから、今回は生体遮へい体というもの、炉心タンク、これは炉心タンクと申し上げますのは、今少し中島のほうから話がありました、全体の生体遮へいの中にあるタンクのライニングと、内張りという意味で、タンクそのものが耐震強度を持っているものでございませんので、これは一体だとご理解いただけたらいいと思います。それと、あと、先ほど言いましたように、その他の施設としてはプール室とか使用済み燃料ラック、そういうものがございまして、これも最終報告。今回は、その一次冷却系配管、先ほどの別紙の直下のところですね、それについての耐震。これは冠水維持という意味で非常に大事な設備でございます。あと、制御棒系統、計測制御系統施設として制御棒と制御棒駆動装置、先ほど少し絵が出ていました、そういうもの。
 あと、最終報告では津波、津波はここら辺は標高60メートルぐらいでありますので、津波は全く関係ない。また、周辺斜面についても少し今の全景をごらんいただいて、そういう斜面崩壊という意味のものは多分該当しないんではないかなと思うんですけれども、最終的には最終報告では何らかの議論をさせていただきたいと思っています。
 少し細かなところで概略ということで、これは先ほど別な絵で全く同じ絵でございますけれども、少しカラーになっています。
 それで、施設の、先ほどお話ししましたここの中にある施設、設備でございますけれども、これは真ん中にある原子炉本体、これは断面を見ますと中に直径2メートルの井戸みたいなものがあって、その内側に厚さ1センチのアルミ合金のタンクがライニングされていると。その中に炉心がありまして、炉心を冷やすための1次冷却系配管が地下にあって、出口と入口というのが、実際はこういう形で設置されてございます。この上に炉心があるということです。
 ここはサブパイルルーム、先ほど言いましたサブパイルルーム、少し部屋になってございます。ここに弁が、もう一つ上にも弁がありますけれども、逆止弁と、あと、上に手動弁がございます。
 これが地下の部分です。これが一つの対象ということです。
 この上で破断がありますと水が全部出てしまいますから、事故のときには当然再くみ上げができるんですけれども、そういう、今回は耐震ということなので、再くみ上げポンプまでを保証しますとそれもSクラスになってしまいます。ということで、我々はもうその整備そのもの、そのものが大丈夫であるという評価をしてございます。これが1次系です。
 あと、制御棒ですね。これが、ここに上に制御棒駆動装置がありまして、タンクの中に制御棒があって、制御棒自身はもう先っぽの燃料体に入る部分だけですけれども、これがこの辺に電磁石でつられていて、最終的に地震のときには下へ落ちるということです。
 ですから、最終的に我々の評価としてはこの制御棒の案内管、これが弾性範囲であるということと、今は0.6秒で落ちるということですので、20ガルで0.6秒ということで、ほとんどの地震が初期微動で落ちてしまうということで、非常にとめるという意味では非常に安全ではないかと、そういうふうに思っています。
 これが概略ですね。
 それで、評価の流れでございますけれども、これは発電所と同じような形のものでございます。まず、地質調査・地震調査ということで、今回、地質・地盤調査のみをお話ししますけれども、これは本来はフィールド調査なんですけれども、我々のところはそういう文献調査でいろいろと断層、地質、地質構造を調査してございます。
 それから、そういうものが認定された後でございますけれども、基準地震動の策定ということで、ここで既にこれは指針に従って敷地ごとに震源を特定して策定する地震動と、震源を特性せず策定する地震動、一応指針どおりにとりあえず話としては考えてございます。
 敷地ごとに震源を特定して策定する地震動につきましては、まず、検討用地震の選定ということで、これは内陸、地殻内地震とかプレート境界地震、あるいは、プレート内地震、そういうものから敷地の影響を考慮しまして検討用地震を選定すると。
 その後、指針に従って、応答スペクトル法による方法と、敷地に近い場合、特に断層モデルを重視したそういう評価、そのものから、最終的に敷地の影響を考慮して、基準地震動Ssとして設定してございます。ちなみに、我々のところは3つのSsを設定してございます。
 そういうものが得られますと、ここからは、先ほど言いましたように、基準地震動というのは解放基盤でございますので、我々のところの設置地盤、洪積地盤が堆積している場所ですので、設計用入力地震動という形で評価をして、そういうものに基づいて重要な機器、建物の安全評価をするという流れでございます。
 この中では、中越沖地震を踏まえたことということで、少し短周期レベルが大きい地震動も考えて評価をしてございます。
 まず、地質・地盤調査ということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、今回の地質構造、活断層の評価ということでは既往の文献調査をまずやって、そういうものからSsの対象になる活断層を認定するという流れにしてございます。
 あと、もう少しローカルな話としては、やはり先ほど言いましたように、解放基盤の設定でありますとか、地震波の増幅の話でありますとか、これは入力地震動を評価するという意味で。そういう意味で、新たに基盤岩までの到達するボーリング、これは結論から言いますと180メートル、200メートルぐらいボーリングしたわけですけれども、そういう調査を実施して、敷地内の地盤構造を把握してございます。
 これは敷地100キロ、半径100キロの中のこれは推本、地震調査研究推進本部から出ている活断層分布ということで、我々のところは、特に推本がいろんな地震防災を対象とした形で地震動予測地図の作成ということでかなり古い時代、ときから断層に関する調査、文献調査です、そういうものから、全国的に同じ品質なのかどうかわかりませんけれども、そういう断層の長期評価等々をされていますので、そういうものを参考にして、我々のところに影響する断層を認定したということで、この絵は陸域につきましては岡田・東郷という、2000年、あと、中田、これは近畿の活断層という、近活と言われているものですけれども、それと、中田・今泉編という、これは活断層詳細デジタルマップですね、そういうものとか、あと、これは四国の部分だけです、この部分だけがこれに該当します。
 海域につきましては、ここでは横倉・他というとこで、結局これは神戸の地震の後、特に関西圏でも、この辺の多分仕事なんかもそうだと思うんですけれども、いろいろと調査をされたということで、そういうものが反映された形の地図になっていると理解してございます。
 これをごらんになりますように、ここにKURがございまして、周りには中央構造線断層帯、それから、上町断層帯、あと、生駒断層帯ですね。大阪の中には大阪湾断層帯、ここは六甲・淡路と、有馬・高槻断層帯とか、大阪平野は周りは全部活断層ということで非常に地震環境としては厳しいところでございますけれども、そういう状況になってございます。
 少しこの中央構造線の中の海の中が少しここに書いてございませんけれども、推本のほうでは紀淡海峡から鳴門海峡にわたってのこの断層帯、セグメントがかかれてございまして、少し手がきではかけるんですけれども、デジタルしかなかったものですから少しここにはかいてございませんけれども、中央構造線としてはこうつないで、西は四国の西までつながっている非常に長い断層帯でございますけれども、推本によりますと、6つぐらいのセグメントに分かれた活動、要するに活動時期とか、これは過去の活動時期等々から6つのセグメントに分かれるということで、推本としてはこの領域では金剛断層、金剛東縁から和泉山脈南縁、これを一つのセグメントとしての地震発生ということを考えられているところでございます。
 もう少し目を近づけますと、30キロ範囲にしますと、KURはここですから、そうしますと、敷地に影響ある断層としては、やはりこの中、今申し上げた中から一つはやはり中央構造線断層帯というのが非常に近いところになります。それと、上町断層帯、あと、生駒断層、あと、大阪湾断層というのが大体30キロ以内の中で関係する断層であろうということで、我々のところも内陸地殻内地震の検討用地震の選定の中ではこの4つの断層をターゲットに考えてございます。
 ただ、中央構造線の断層帯につきましては、金剛から和泉山脈南縁については、推本のほうでは43度という、中央構造線の43度、北傾斜ということで非常に低角とまでいかないかもしれませんけれども、そういうモデルを出されています。
 それと、もう一つ、中央構造線というのは右横ずれ断層ということで、非常にこういう低角というのは非常に考えにくいという話もあったり、この辺の露頭の調査では部分的にはやはり非常に高角だということもあったり、いろんなその辺の文献調査をいろんなのをして、1つは、南縁については80度ぐらいの北傾斜ということ、そういうものでもモデルとしては考えております。
 これはちなみに大阪府が地域防災計画上の被害想定に使われたモデルということで、それも考えてございます。ですから、少し断層帯の長さの評価が少し変わりますので、長さから規模を出すと少し違っています。ただ、同じものでございまして、少し金剛山、ここについては45度で逆断層で、この和泉山脈南縁については低角の43度モデル、これは推本のモデルと、もう一つ、80度で少し立ったモデル、2とおりの考え方で検討用地震を考えることにしてございます。
 本来は右横ずれということでは高角の断層を考えたいわけですけれども、推本からもそういうことが出ていますので、少しこれも参考にしたということでございます。
 それと、もう少し目を近づけますと、この岡田・東郷の近活では少し敷地周辺にこういう断層が線を引かれています。これは近活は30万年以降ということで、少し今の耐震指針の枠組み、13万年よりは少し古いものも入っているわけですけれども、その中にいろいろと議論をされていまして、最終的には活断層とは認定されていないということですけれども、少しこういうものがあるということで、例えば成合断層というのは非常に敷地の近いところに走っていたり、あと、神於山断層からずっと内畑断層ということで、これが5キロですから、少しそういうところにも変動地形的なものが見えるということでしていますけれども、実際は岡田・東郷の中身によりますと、過去に動いた時期とかいろんなところから考えますと、特に13万年以降に動いたということを積極的に指示するような証拠がないということで、我々は地震動の対象とはしてございません。
 それと、最近、変動地形学的にいろんなところで地形を読まれている、変動地形を読まれているわけですけれども、我々のところも岡山大学の隈元先生にいろいろとご協力いただきまして、この大阪の南のほうもそういうものを読んでいただいています。
 それで、最終的にはまたサブワーキングのほうではその辺の結果をお示ししたいと思うんですけれども、現状もう既に作業を終わっていまして、その中では当然こういうところは断層としては認定されてございません。当然ここの上町断層は当然そこにも載ってきてございますけれども、少なくともこういうところは断層としては認定されていないということで、我々の評価というものは特にそういうものからも支持されていると理解をしてございます。
 そういう意味では、すみません、その次に大阪湾の話ですけれども、大阪湾も兵庫県南部地震の後、いろいろ、反射法地震探査とか、原子力発電所の海域でやられている調査に比べれば密度としては十分とは言えないのかもしれませんけれども、そういう探査をやってございまして、そういうもので、ここはこれは一つは海上保安庁水路部ですかね、そういうところがやった反射法探査、そういうものの断面図なんですけれども、ここには大阪湾断層というのは非常にきれいな断層があるわけですけれども、そういうところは非常に基盤岩も切っているということで、非常にここ断層があるということは非常にきれいに出ているわけですけれども、少し仕切りに近いほう、陸域に近いほうというのはこれを見ても特にそういう大きな断層が見えてはいないような気がします。
 ここにも少しそういうらしきものが線を引かれているんですけど、特に論文の中でこの辺は言及されてなくて、こういうところにあるところ、これは基盤岩の、この横倉さんの基盤岩、こういうものから出てきた結果の断層位置図ですけれども、基盤岩を切っているところですけれども、これは水路部がもう少し浅いほうのデータからやったときに、少しこの辺にちょこちょことこういうものがかかれているわけですけれども、こういうものは少し非常に浅いところのデータでして、こういう基盤岩を切っているか切っていないかとかからいいますと、特にこういうところはそういう地震を起こすような断層ではないという判断ができるんではないかなということで、大阪湾についてはこの大阪湾断層というものが一つ大きな検討用地震の対象になるんではないかなと。
 ちなみに、これはこういう反射法からの基盤岩の深度の分布です。非常にこういうところは非常に大きなギャップがあって、大阪湾断層が非常にきれいに見えている。少しこういうところもしわしわと見えるんですけれども、こういうデータから見ると、特にこの大阪湾の東側にそういう大きな断層があるというふうには見えないように思います。
 それが周辺の断層、活断層等々でございまして、あと、地質的な話としては、これは大阪平野の全体の地質、表層地質ですけれども、大阪湾平野は周りがすべて断層ということで、平野部、あと、丘陵部、台地部、丘陵部、あと、山地ということで、特徴的に地質が分類されていまして、これ、例えば断面を見てみますと、こういう形で表層、沖積層があって、ここに少しかいていますけれども、大阪層部ですね、主たるあれは大阪層群上部、下部ということで、この熊取近辺も少しサイトがかいてございませんけれども、大阪層群の下部ということで、この北側で見える地層、大阪層群の下部等のようなものがここにもあるということで、途中にはこの上町断層ということで非常にきれいな断層が見えたり、この生駒のほう、こういうことで、地質的にはこの熊取周辺というのは丘陵地でございまして、大阪層群が一応露頭しているようなところでございます。
 少し、もう少し細かく見るとこう敷地はここでして、この凡例からいきますと、泉南累層という、大阪層群ですけれども、が露頭しているところで、少し南に行きますと領家、成合花崗岩という花崗岩が少し一部露頭しているという、そういう場所でございます。
 それで、もう少しそういうところ、我々のところを、敷地が先ほどでいいますとこういうことですけれども、過去にいろんなボーリング調査をされています。これは当然KURをつくるときですからこれは昭和38年ごろに2本のボーリングを、今だとそういうことでは済まないとは思うんですけれども、2本のボーリングと。
 それとあと、臨界装置をつくるときにも2本のボーリングということで、実はここにKUR、京大炉の2号炉計画というのが昭和53年ごろにありまして、今の出力の6倍ぐらいの原子炉をここにつくろうという、そういう計画があったわけです。そのためにボーリング、ここは今は2本しかかいてございませんけれども、もう少しこの辺、集中的に十数本のボーリングをしたということで、ただ、残念ながらそれは実現されずにまだ自然のままでございますけれども、そういうところで、所内的にはこれ以外にも少しボーリングのデータがございまして、これはサブワーキングのほうでもう少しその辺詳細にして、その敷地内の地層の分布状況なんかをもう少しビジュアルな絵をおつくりしてまたご報告申し上げたいと思っています。
 それと、ここに新たにボーリングを掘りました。建物のそばを少しやれるというもので、少し離れていますけれども、大体この建物を覆っている支持層も含めた形で判断できるような場所で、ここでボーリングを、最終的には200メートルぐらいのボーリングを掘りまして、それがこういう形でありまして、今のこの断面、少し一部の断面ですけれども、こういう形になります。
 これが過去のボーリングでして、ここは大阪層群、砂と粘土の5層状態ということで、少し地層は南東方向に少し傾いてございますけれども、こういう規則正しい粘土と砂の5層状態になっていまして、ここ標高が60ですから、これが花崗岩が出てきたところですけれども、大体足しますと180メートル、百七十数メートルぐらいで風化花崗岩が出まして、180ぐらいまで掘ると非常にピュアな花崗岩が出てきております。
 最終的には我々はこの花崗岩のところを解放基盤に設定して、以下の基準地震動を策定するということにしております。
 これはこの中でいろんなPS検層、地震波伝播も含めて調べるためにボーリング抗内にPS検層とかいろんな調査をしてございまして、これが180メートル、200メートルぐらい掘ったボーリングの生データのPS検層のP波速度、S波速度、あと、密度と、あと、N値です。
 この辺を見ていただきますと、表層10メートルぐらいはこれは建物をつくるときの工事の関係で、おそらく今のようなやり方じゃなくて多分オープンカットされたんだと思うんですけれども、少し埋め戻し土があったものですから上の10メートルぐらいは少し非常にやわらかいものです。
 あと、これがベースがつくようなところからは少し地山になりまして、こういうS波速度だとしますと300か400ぐらいからずっとなだらかに深さとともに大きくなる。一番その洪積地盤のところでは1,000メートルはない、700メートルぐらいですかね。
 そこから急に花崗岩が入りますと急に大きくなっているということで、風化部分はこのぐらいですけれども、180メートルぐらい掘りますとピュアなところではVsが2キロぐらいになるということで、我々のところで今この181メートルのところを解放基盤に設定して、基準地震動を評価してございます。
 そういうことで、一応活断層、あと、その辺、敷地の地盤、そういうものの後、先ほどの方針に従いまして基準地震動Ssの策定ということでやってございます。
 まず、地震の分類と検討用地震の選定ということで、これは指針に従って我々は3つのタイプの地震を想定してございます。といいますのは、やはり地殻内地震だけではなくて、やはり関西というのは南海、東南海、東海、東海は関係ないかもしれません、プレート境界の地震が非常に発生確率が高いということもありまして、そういうもの。
 あと、海洋プレート内地震、これも指針の中でうたわれていまして、これについては非常に難しいんですけれども、ここでは幾つかのそういう文献等々も参考にしましてやってございまして、まず、内陸地殻内地震としましては、先ほど言いましたように、中央構造線断層帯の金剛山地、これは西縁じゃなくて東縁です、から、和泉山脈南縁と、上町断層帯を一応選定してございます。
 これは後でなぜこれを選定したかというのはお話しさせていただきたいと思います。これはここに簡単には書いています、地震規模と敷地との関係、距離との関係ということで、地震のレベルを勘案しまして、この2つを検討用地震の対象にしたと。
 プレート境界地震については、これは推本からも中央防災会議からもいろいろと震源モデル等々が発表されていますので、我々のところも想定南海地震として8.4の南海地震、これはここでは推本のモデルを参考にして想定南海地震、あと、想定東南海地震、それと、2つが連動した場合というモデルをもとに検討用地震として考えてございます。
 あと、プレート内地震ですけれども、これは、これも推本の検討ですけれども、2004年に7.4の東海道沖地震、東海道沖の地震ですね。これがスラブ内地震だということで、これはもぐり込もうとしている、込んだじゃなくて、もぐり込もうとしているところの地震ですけれども、こういう規模の地震が敷地の真下に起こった場合ということで、その地震を規模は7.4を使いまして、あと、場所はプレートの、フィリピン海プレートの中に入ったところ、場所です。そういうところで考えてございます。
 多分、この検討用地震、3つのタイプがありますけれども、この差異とか考えますと、やはり中央構造線断層というのは非常に近くて大きいということで、最終的にはSsとしてはこれが決まるわけですけれども、ただ、検討用地震としてはこの3つのタイプの地震を考えてございます。
 少しどういうモデルでやったかということなんですけれども、中央構造線断層帯と上町断層帯ですけれども、先ほど言いましたように、中央構造線断層帯につきましてはこの推本から出ている43度モデルですか、すべて金剛断層のほうも少し43度、和泉山脈南縁についても43度で北傾斜しているような1枚断層、1枚といいますか、こう曲がったような、非常に地下では変わった形をしているような、そういう断層と。もう一つは、金剛断層については逆断層、43度の逆断層で、和泉山脈南縁については横ずれ断層ということで、少し北側に80度少し傾斜したようなモデル、この2つを考えてございまして、もう一つ、上町断層については、これは推本のモデルでありますとか、あと、大阪府のモデルを参考に何枚かのセグメントから成るこういうモデルを考えてございます。
 あと、プレート境界ですけれども、これは基本は推本のモデル、非常に大分前に出されたモデルですけれども、それを少し我々のところでモディファイをしまして、実際はこういうもので我々も大阪平野の中で長周期地震動予測をしたりしていまして、そういうモデルを今回も使ってございます。
 これは南海地震、3枚のセグメントから成る、これは少しプレート境界が屈曲していますので少し深さが違うということで、少し3枚にした、それぞれのアスペリティを置いたもの。東南海地震についてはこういう1枚で、これも3つのアスペリティを置いたものということと、それが連動した場合ということで、この3つのモデルを使っていろんな検討をしたという。
 あと、プレート内地震というのは、先ほど言いましたように、推本から出ている、この領域では7.4ということですので、それを使って、それを先ほど言いましたように直下に持っていきまして、深さは敷地直下が大体60キロくらいがプレート境界両面ということで、少し中に入ったところということで70キロぐらいということで深さを設定してございます。
 これが3つのタイプの地震。
 それで、後々いろいろと地震発生層の話が関係して、これは特定せずの話もそうですし、特定している話でも断層幅を決めるときには要るということで、少し既存のデータですけれども、検討してございまして、これはよく発電所でも使われているコンラッド面の深度と、あと、キュリー点深度ということで、こういうものからしますと、この辺では大体深さ、深いほうの発生層の深さのほうは15キロ、16キロと、キュリー点では11から12キロというようなデータとか。
 あと、微小地震の発生からよく使われていることがあるんですけれども、ここでも少し検討してみますと、これは気象庁の一連のデータを用いた検討ですけれども、これ、南北に切ったときに、こちら側が北側でこっちは南側なんですけれども、ご存じのように、和歌山の市内といいますか、あそこは非常に微小地震が頻発して震群があるわけですけれども、それが非常に浅いところで起こってきまして、それと、もう少し北へ行きますとこういう形になります。今、これ全体で例えば深さの分布、よくD10、D90という、全体の数のうちの10%を受け持つのがどれぐらいの深さかというようなところで浅さ限界を決めたりとか、深さ限界はD90ぐらいというようなことでやられていますけれども、いいか悪いかは別にしまして、とりあえず同じような形でやってみました。
 それで、今回はこの和歌山の非常にローカルな地震も入っていますので、これもごらんになったら2つの全く違う形が見えると思うんですけれども、非常にこっちは数が多いもんですから、少しこっち側の、多勢に無勢じゃないですけれども、少しこっちに押されて、少しこのデータの処理からは浅いほうが5キロぐらいで深いほうが11キロぐらいと、こういうところに来てしまいますけれども、実際はこっちからいきますともう少し深いですので、別々なデータセットでやるともう少し違った形。こういうものをどうとるかと。和歌山というのは少し違うメカニズムなのかもしれませんので、少しこれを入れてやるというのはあるかもしれません。
 ですから、ただ、全体を見ると15キロぐらい、14キロから15キロぐらいというのが深いほうを深くとるという意味ではこれなのかなと。浅いほうについては、和歌山のほうは非常に浅いところで、精度もあると思うんですけれども、こういうところにくるんではないかなということで、最終的に、こういういろんなデータですね。
 もう一つは、JNESなんかがもうこういう日本列島を分割して、それぞれのところで、これも微小地震に基づく同じような検討ですけれども、D10、D90ということで、これは近畿のブロックではこういう浅いほうが8.1で深いほうが14.9で、層厚としては7キロぐらい。南海ということで、少し中央構造線より南側ですね、それでは7.2と15.1であまり変わりませんけれども、層厚が8キロぐらいというような、こういうデータも出されたり。
 あと、地震研究推進本部もこの中央構造線断層帯の強振動予測をやっているわけですけれども、そのときに使われた値としては、上端を4キロで下端を15キロということで、11キロの幅を考えられたということで、そういうことがトータル、我々はこの推本のこの値を使ってこれ以後計算しているわけですけれども。
 こういうことで、地震発生としては、今までのデータからいくとこれは非常に保守的でありますけれども、これを使っていると、使うこと自身が安全側という意味ではいいんではないかなということで、我々はこれを使っています。
 それで、次に、実際、検討用地震の選定と今のように地震発生予想の設定がありますので、その後、基準地震動の評価ということでやってございます。
 これは指針にありますように応答スペクトルに基づいた評価と、特に敷地に近い場合についてはこれは断層モデルを用いた手法による地震動評価、これを重視するということで、これは原安院のほうでもそういう指導がありますし、我々のほうでも非常に近い断層がございますので、断層モデルを用いた地震の評価というのは非常に重視をして一つずつ決めているところでございます。
 この応答スペクトル、断層モデルにどんな方法を使ったかということですけれども、応答スペクトルに基づく地震動評価としては、ここに幾つかの条件、この評価をするための条件としてはあると思うんですけれども、指針で言われていますようにやはり水平、鉛直、両方評価できることとか、あるいは、震源の広がりを考慮できること、ポイント総数ではなくて、特にアスペリティなんかも考慮できると。それとか、あと、いろんな地盤物性の違い、そういうものも、これは経験主義ですから、経験主義と、そのサイトとの地域性の違いみたいなものが容易に評価できる。
 そういうことから考えますと、今、これは発電炉もすべてそうですけれども、Noda et al.という、別名、耐専スペクトルと呼ばれていますけれども、そういうスペクトルが一番最新のスペクトルになる。
 ここで当然この耐専スペクトルにも適用限界がございまして、当然これは回帰式ですから、経験式ですから、その使ったデータの条件にディペンドするということで、当然近いところで大きな地震というのが当然非常に厳しいわけですけれども、今の中央構造線断層帯が一番近くて一番大きいんですけど、それはぎりぎりその耐専スペクトルの適用限界に入るかなというところで、少ししみ出ているところもあるんですけれども、ほかにスペクトルもないことはないんですけど、今は耐専スペクトルで評価をしてございます。
 最終的には、中央構造線断層帯についてはやっぱり断層モデルによる評価というものを重視してございますので、特にこれ自身で設計用地震動が決まっているわけではございませんけれども、少し指針に従った形で評価をしております。
 それから、一番重要な断層モデルを用いた地震動評価ですけれども、これはいろんな方法がございますけれども、我々のところではハイブリッド法、短周期は統計的グリーン関数法で長周期というのは理論的手法という、これは3次元でやってございますけれども、そういうハイブリッド法で一応評価をしてございます。
 まず、応答スペクトルに基づいた地震動評価ということで、先ほどの幾つか検討用地震、プレート内、プレート境界、ありましたけれども、それで少し耐専スペクトル、スペクトルをこれで規模と等価震源距離、これはアスペリティを考えたときの等価震源距離ということで、この2つのパラメータで決まるスペクトルですけれども、これが結果としてはこういう形になってございます。
 まず、水平と鉛直2つ方向、両方方向ですけれども、これが中央構造線断層帯の、これは2つ今モデルを提示しましたけれども、ほとんど同じです。片方は規模が大きいんですけど少し遠いということと、そういうことで傾斜が43度と80度の場合、規模が、規模と距離との関係でほぼ同じようになってしまいます。少し線が太いですから同じように見えますけど、数字的には少し43度のほうが少し大きいというところですけれども、ほほ同じ。それ以外の、上町断層帯はこういうところで、あと、生駒断層帯はもう少し、当然距離が大きいのでこうなります。
 これからでも、内陸地殻内地震のSsの候補になるのは、この中央構造線断層帯であると我々は思ってやっています。
 ただ、上町断層帯というのは応答スペクトル法からいきますと少し小さいんですけれども、これは先ほどの絵にありましたように、南北に走っている断層帯でして、これは破壊過程によっては敷地に影響があるということも考えられますから、こういう耐専スペクトルというような経験値からいくと少し小さいんですけれども、とりあえず検討用地震として加えて、断層モデルによる地震動評価もあわせて行ってございます。
 これは先ほどの全体の、プレート内地震とかプレート境界、すべて入れた形のスペクトルの表示でございまして、先ほどの絵に少しプレート内、プレート境界が加わったものでして、やはり南海、東南海は非常に規模が大きいんですけれども、やはり距離が遠いということで、非常に小さい、この中央構造線断層帯が非常に大きいという言い方がいいのかもしれませんけれども、この絵から見ると我々のところではやはりこの中央構造線断層帯と、先ほど言いました、少し言いました上町断層帯の少し断層モデルによるということで、それをSsの策定のための地震、ターゲットの地震としてございます。
 それで、ここに書いていますように、応答スペクトル法に基づいた地震動も必要でございますので、我々はここではグリーンと少しダイダイ色の大きさから少し考えまして、最終的には少しだけの違いなんですけれども、傾斜角43度の、これは推本モデルですけれども、それをもとにこのスペクトルにフィットする波をSs‐1として今定義してございます。
 それと、もう一つ、断層モデルのほうですけれども、これには一応不確かさを考えてございます。これは中央構造線断層帯に関しましては、先ほど言いましたように、基本モデルはやはり我々の指標としてはやはり横ずれ断層ということで、傾斜角は80度というものを我々は基本モデルとして考えてございまして、当然、アスペリティの場所でありますとか破壊開始点、そういうものは敷地への影響を考慮して設定してございまして、あと、パラメータの設定については強震動予測レシピに従ってございます。
 もう一つ、Case 2としまして、この43度モデル、先ほどの推本モデルも一つの候補には挙げてございます。
 もう一つ、最後にそのCase 3、これは少し不確かさということで、これは先ほどの新潟県中越沖地震の話でございまして、少し短周期をレシピよりは大きく出すという、そういうモデルをこの基本モデルに付加しまして、合計3つのケースを考えてございます。
 同じように、上町断層につきましても、傾斜角は65度、東傾斜です、これですね。それで、一応アスペリティ、幾つかのこのセグメントに分かれるんですけれども、北側のセグメントに大きなアスペリティを配置する場合を基本モデルとして、少し不確かさとして南側のセグメントにも少し大きなアスペリティを置くとか、あと、先ほどの応力降下量もこの基本モデルに対して少し付加したと。
 これは上町断層、これはもう杉山委員なんかがいろいろと調査をされていますのであれなんですけれども、少し地表のそういう変異といいますか、そういうのを見ると、やはり北のほうは非常に大きいけれども、南のほうへ行くと少しずつ小さくなるということで、そういうものをアスペリティがどこに存在するかということ、それのアスペリティの特性、そういうものを考えると、やはり基本モデルとしてはやはり北のほうにそういう大きなものができて、南のほうはそうでもないというのが基本モデルとしては非常に断層調査を容易に取り入れるという意味では妥当ではないかなということで、我々もそれを考えましてこういうものを基本モデルにして、ただ、少し敷地への影響を考えて南のほうにも少しアスペリティを置くような、少し大きいものを置くような形では考えてございます。
 あと、パラメータについては少し小さいので、お手元の資料、これは推本のレシピに従って構築したモデルでございます。これは中央構造線断層帯の3つのケースについてのパラメータ、上町断層帯についての3つについてのパラメータでございます。アスペリティ及びその背景領域についてのパラメータが記載してございます。
 それから、ハイブリッド法でやっているということで、大阪平野の3次元の地下構造モデルが必要でございまして、ここでは産総研の堀川さんたちがつくられたモデルを少し4層に置換をしまして、4層モデルとして構築してございます。一番低速度層がVs400ということで、こういう層でやってございまして、これは少し見にくいですけれども、それぞれ上面深度のコンターでございます。大阪湾の中では大体3キロぐらい深さがある。ここが上町断層があるところですけれども、少し東大阪で深く、1.5キロぐらいになって、大阪の中心部でも大体1.5キロぐらいの深さがあるというような基盤岩深度ですね。こういうモデルを使いまして、理論計算を、長周期側の理論計算をしてございます。
 その結果でございますけれども、断層モデルの結果、これは南北東西、水平2成分の結果ですけれども、これがCase 2、これは中央構造線……、ちなみに、最終的にはこの波形としては中央構造線のものしか載せてございません。上のスペクトルには先ほどの上町断層、ですから合計6ケースの地震動でございまして、これを見ていただきますと、この青色系が中央構造線で赤色系が上町断層ということで、やはり規模と距離等々から考えまして、やはり原子炉に、建屋に影響するところの短周期領域というのはほとんど中央構造線断層帯が来ます。少し長周期側である方向によっては上町断層による影響があります。
 これは当然アスペリティと破壊伝播の効果で、少しそういうディレクティビティ効果によって少し2秒あたりにピークが出るSsもございますけれども、我々としてはこのやはり短周期領域を重視するということで、中央構造線断層帯によるこのCase 2をSs‐2とします。
 これ、Case 2とCase 3、少しスペクトル的にはほとんどCase 2のほうが、2のほうが大きいですけれども、少し出入りがあったりとか、これはあくまでも基準地震動、解放基盤での話なので、当然仮定の入力位置まで増幅するということで、その特性によっては少し逆転するかもしれないということもあって、建物への影響も考えまして、そりあえずSs‐2と、Case 3をSs‐3にして、両方とも基準地震動にして今考えてございます。
 これはちなみに加速、それのSs‐2の加速度波形の3方向成分と速度波形です。非常に近い、非常に破壊が敷地に近づく方向ということと、規模が大きいということではすべて大きいということもあるんですけれども、少しパッシブな波が得られています。非常に振幅も大きいです。ちなみに、1,500ガルぐらいございまして、150カインですから非常に大きな破壊であります。
 それで、それを例えば波形にしますとこのこういう形になりまして、ちなみにこの耐専スペクトルはこれですから、非常に断層モデルの値が多いということがおわかりだと思います。ですから、逆に、このSs‐1というのはほとんど建物への影響という意味では考えてございません。
 あと、特定せずなんですけれども、先ほど言いましたように、この辺、このあたりの地震発生層から考えられる地震の規模というのは大体6.7ぐらいということと、あと、推本の特定しにくい地震の規模というのがこのエリアでは6.8ということで、この領域では6.7から6.8ということなんですけれども、我々はその非常に中央構造線という、直下に断層面を持ってきているということもあって、これがこういう関係なんですけれども、これは断層モデルの結果と、これが今、一つが加藤スペクトルというのがありまして、これは特定できない地震によるスペクトル、これは指針に従うとこういうスペクトルが推奨されるわけですけれども、それを重ね書きしますとこういう位置にきます。ですから、非常に我々の直下にある特定性が非常に大きいものですから、ここの今回の検討では特定せずは我々は考えないということで今話を進めてございまして、この部分を重視したとご理解いだけたらと思います。
 それの後、これは解放基盤の話ですから、そこから上に1次元の重複反射理論で等価線型解析によって建物が設置されているこの入力位置ですね、基礎盤の位置まで地震動を上げてございます。そういう作業のためのモデルがこういう1次元のモデルでして、花崗岩があって、あと、砂と粘土が互層状態にある、その辺のPS、Vsですね、S波速度、P波速度、密度というのは、先ほどの地盤調査から得られたもので、このベースマットのところまで地震動を非線形効果を考えながら上げたという。
 それの妥当性を我々、地震観測もやっていますので、そういうボアホールでの地震観測結果でその今のモデル化がどうかということを検証した結果でして、シミュレーションとその観測記録との比較がこういうところでされていまして、よく合っているということで、今我々が使っている1次元構造というのはそれなりの精度があると理解してございます。
 そういうものを使いまして上げた結果がここにあります。これが建屋基礎位置での入力地震動ということで、先ほど1,500ぐらいをやったやつが非常に小さくなって、加速度が非常に小さくなるということで、これはこの中の非線形効果が非常に大きいということです。
 ですが、こういうスペクトルはこのスペクトルになりまして、ですから、この辺の短周期側はかなり小さくなっているとご理解いただけたら。逆に、長周期側は非線形効果によって少し大きくなっているということで、最終的な入力地震動としては600ガル、六百数十ガルぐらいということで、これをもとに我々は建物のほうの計算をしていると。これはSs‐2、Ss‐3も同じような傾向でございます。
 ちょっと時間がなくてすみません、ちょっと急がせてもらいまして。
 そういうものを使って建物の応答計算をしたわけですけれども、建物については4質点、基礎も入れますと5質点のスウェイ・ロッキングモデル、こういうモデルで建物は実際地下1階、地上1階ですね。こういうものをプッシュオーバー解析によって復元力を求めて、最終的にはこれを多質点系のスウェイ・ロッキングモデルによる応答計算をして、先ほどのベースマット位置での入力地震動をこの外部からこれに入力をしてこれを揺すらすと、それで応答値を求めて建屋の安全性を検討したということで、ちなみに、固有振動数は大体4ヘルツ、4.2ヘルツぐらいです。スウェイ・ロッキングですね。基礎を固定にしますと7ヘルツぐらいであります。非常に、だから、かたい建物ではあるとは言えます。
 それと、周りには少し付属建屋があるんですけれども、これは上部構造についてはエクスパンションで切れていますので、これが独立とした形で振動計算をしています。ただ、基礎については少しつながっていますから、少しその辺の考慮はしてございます。
 あと、基礎のスウェイ・ロッキング、ばねですね。ばねについては非常に基準地震動から上へ上がるのに非常に非線形化した動向をしています。ですから、建物が設置されるこのベースマット周辺の地盤というのは地震時に少し非線形となる可能性が非常に高いということで、そういうばねを、要するにS波が低減したようなそういうばねを別に求めまして、それをスウェイ・ロッキングばねにしてございます。
 ここがばねの値、これは減衰、実部と虚部があるような、これは減衰をあらわしますけれども、そういうもので地盤ばねを評価をしまして、SRモデルに。
 最終的にこれが応答結果でして、先ほどSs‐2と3を使うと言いましたけれども、それぞれ応答がやはり地震動の周波数特性によって変わります。それで、我々のところは両方の4つの波を使ってその中の大きい、それぞれに出てくる大きな応答、それをもとに安全性評価を行いました。ですから、この網かけがあるところがその中で一番大きく出た応答値です。
 例えば、最大加速度でありますとか層間変形角とか層せん断力、そういうものは、ここら辺が一番大事ですけれども、ですから、この地下1階以上についてはこのSs‐2が非常に大きかった。ベースマット、地下に関してはこのSs‐3、これが一番大きな応答で、そう大きくない、違いはないんですけどね。そういう形で、一番大きいのを利用して評価をしました。
 最終的には、ここにありますように、必要保有水平耐力と最大応答せん断力の比較がここにありますけれども、すべて1を超えているということで安全であるという結論と、この復元力の中で応答値がどこにいるかということでプロットしたものがこれでございまして、この右、横軸はせん断ひずみでございますけれども、これは原発の耐震壁のひずみの限度、2掛ける10のマイナス23乗という、ここの一番右端ですけれども、ひずみとしてはそれ以下に入っているということで、復元力の中でもまだ少し勾配、非線形の領域に入っている部分もございますけれども、倒壊に及ぶようなものではないと、ひび割れはあるけれども、そういう状態であると我々は結論してございます。
 最後に機器ですけれども、この生体遮へいも一つは構築物ですけれども、機器の中に含めてやってございまして、それと、あと、配管。生体遮へいは1階の床に固定されていますけれども、地下からも連続体ですけれども、そういうものを床応答からこれ自身、非常に剛性が高い剛体に近いものですけれども、その床応答をもとにこの建物、生体遮へいの応答を計算しまして、それによる地震力を求めて、それに対してこのコンクリート構造物が大丈夫かどうかというのを検討しました。
 配管につきましては、炉心直下から最初のサポートがこの炉心直下にございまして、このサポート位置までのこの区間ですね。というのは、この上で配管破断がありますと、バルブよりも上ですのでみんな水が出てしまうということで、非常にこの区間が大事であると。もし地震時にどこかが配管がやぶれても、水がとまってここの逆止弁、いろんな駆動弁がききますので、少なくとも冠水維持は確保できるということで、弁よりも上のところが非常に大事だということで、配管の強度計算としてはこのサポートのこの一つのサポートまでの区間、これに対して、床応答加速度をもとに評価をした結果を載せてございます。
 ちなみに、このサポートとサポートの間は非常に剛ですので、非常に剛体としての挙動をするということで、床応答スペクトル法というもので外力を評価をしてございます。
 あと、制御棒ですけれども、制御棒は非常に研究炉ということで非常に安全性が大事だということで、すぐとまる形にはなっていますけれども、こういうふうに、中には制御棒、中に制御棒駆動装置があって、制御棒があって、最終的に先端のほんとうの制御棒とシャフトでつながっているような形でございます。周りにはこの案内管がありまして、これが地震時に水の中で振動するわけですけれども、この案内管そのものについては3ヘルツぐらいの固有振動数を持っていまして、それは地下1階の先ほどの床応答の3ヘルツでの応答値、そういうものを外力にしまして、この案内管の強度が大丈夫かどうかということを検討してございます。
 それと、もう一つ、その制御棒の先っぽですね、制御要素ですね。それも案内管からこういう形でボルトで固定されていますので、こういうところのボルトがこの案内管が動く、制御棒が動くことによる耐震強度、そういうものも評価をして、最終的に安全であるということを確認してございます。
 それがまとめたものがここでして、生体遮へい体、制御棒・制御棒駆動装置、あと、1次冷却系配管というのがそれぞれ圧縮、せん断、そういうものによって発生値と許容値があって、すべて評価基準値のほうが大きいということでマルであるということで、少しぎりぎりの部分もございますけれども、全体としてはこのSsに対して施設・設備は健全であると考えてございます。
 今後は、あと残された少し施設、設備がございますので、そういうものの評価を行って、最終報告書を提出する運びになろうかと思っております。
 すみません。時間が少し延びましたけれども。ありがとうございました。

【二ノ方主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、あと10分ほどですか。どれぐらいとれます? 15分ぐらい。

【鎌倉保安管理企画官】
 そうですね。すみません。

【二ノ方主査】
 じゃあ、大体その15分程度ぐらいの間で、ご議論、ご質問等、コメントございましたらいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 ちょっと、じゃあ、私のほうから1件。
 先ほど中島先生のご説明の中で、この設備の電源系統のご説明をちょっといただきたいなと思ったんですが、バックアップ電源、及び、そのオフサイトパワー2系統とか、そういうことになっています?

【中島先生】
 電源、非常用の電源でディーゼルがございまして、あとは主要な計装部分については無停電電源を介して、それももとは非常電源にもつながっていますけども、やっております。
 基本的にはそのディーゼルは1台なんですけれども、これと隣接してKUCAという臨海実験装置がございまして、実はそこにも同じ容量のディーゼルがございまして、いざというときはそちらからも電源を供給することはできるということになってございます。

【二ノ方主査】
 トータルブラックアウトというのは考えなくていいわけですか、そういう意味では。

【中島先生】
 そうですね。無停電電源装置がございますので、必要最低限の時間は維持できるということで、あと、それがその後は、だから、ディーゼルが立ち上がるということですから、ディーゼルが立ち上がらなくても停止、あるいは、自然循環による冷却は可能であると思います。

【二ノ方主査】
 電源、確保されている間はとめる、冷やす、閉じ込めるというのは全部確保はできるかということですね。

【中島先生】
 そうです。基本的には、だから、とめる、冷やすはパッシブのところですので、そういう意味では外部電源なくても大丈夫ということです。

【二ノ方主査】
 はい。閉じ込めの場合、これは負圧管理はされていますよね。

【中島先生】
 通常、大体水頭圧で5センチ程度の負圧を維持しております。

【二ノ方主査】
 はい。
 藤田委員、どうぞ。

【藤田委員】
 電機大の藤田ですけれども、今、釜江先生のほうからお話がありました。ちょっと伺わせていただきます。5ページのところ、まだよく全体を把握しているわけじゃないんですけれども、5ページのところで、今KURでの評価対象施設(1)という表がございますけれども、先ほどのご説明で何か低濃縮化に伴ういろんな改良みたいなのがあって、今年中に何か立ち上げられるかもしれないという話があったんですけれども、ここ、ちょっとこの表の中の分け方、区分というのはざっくりし過ぎているのかもしれないですけれども、例えば耐震評価上、今回のモディファイによってかなりその性質が耐震上の性質、動的な特性が変わり得るような場所というのはこの表でいくとどの辺に当てはまるのかなというのがちょっと知りたいですけど。

【釜江先生】
 炉物理的なところはまた中島先生からお話していただきますけど、我々のところ、こういう評価対象を決めたときに、これは事務局のほうから少しご説明があったと思うんですけれども、ある設備が地震で壊れたときに、最終的に外部の影響が5ミリシーベルトを超えるかどうかというようなところでこのセレクトをしてきたわけですけれども、それは少なくとも低濃縮になっても特に変わらないと思います。原則は変わらない。
 ですから、低濃縮化することによって設備が増えるとか、このSsの枠組みに入るような施設が増えるとか減るとかということはございません。

【藤田委員】
 わかりました。

【二ノ方主査】
 よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

【上之薗委員】
 1つよろしいですか。
 先ほどの評価の考え方で実際の強度、耐力とかありましたけれども、コンクリート強度とかは実際のものを調べられたんですか。それとも、設計基準強度を使われたか。

【釜江先生】
 ちょっと私、申し忘れたんですけれども、結論から言いますと設計ベースです。今回の評価は設計ベースです。我々は四十数年たっていますので、その間、4回ぐらい健全性調査と称して、多分10年ごとぐらいにコンクリートの強度を、あと、鉄筋のさびとか、鉄筋の強度までやっていませんけれども、あと、ひび割れ等々をやって。
 当然、コンクリートについては年々また強度は上がっていって、ですから、非常に古い話で、180キロなんですね、コンクリートが。非常に今だと考えられないことだと思いますけど。ただ、実際強度計算して破壊、そういう試験をしますと二百五、六、40とか50とかはございますけれども、そういうことは確認していますけど、あくまでもピンポイントなもんですから、とりあえず評価としては今のところ設計ベースでやっているというのが実情でございます。

【上之薗委員】
 わかりました。

【二ノ方主査】
 伊藤委員、どうぞ。

【伊藤委員】
 ちょっと私も建屋の設計のほうはあまりよくわかってないんですが、5の建物・構築物の耐震安全性評価の中で、建屋の質点モデルでスウェイ・ロッキングモデルでやられておりますが、これのときに地盤が非常に岩着してないということを考えたときに、地盤がVsで200とか300ぐらいあったと思うんですけれども、そういうことですと結構非線形領域に入っているんじゃないかなと。
 非線形領域に入った場合にこの建屋のこのスウェイ・ロッキングモデルのばね定数の評価の仕方、これについて単純にVsから算定しているのか、そうじゃなくて、この非線形になった領域のあるひずみレベルでばね定数を設定しているのか、そこら辺はどういう考えでやられているんでしょうか。

【釜江先生】
 これがその絵なんですけれども、最終的に、先ほど申し上げましたように、解放基盤面に地震動を、決定した地震動を与えて、左のように、当然これはより均一になっていますが、実際は互層構造があるわけですけれども、それのそれぞれのG/G0~γ、h~γを扱いまして、非線形応答解析をして、最終的にそれぞれ相互のひずみレベルとか、当然せん断剛性の低下、Vsの低下を入れればそういうものが出るわけですが。
 そういうものを考慮した形のモデルをまずこういうモデルをつくりまして、それに、これは容積法という方法でこういう地盤ばねの力と変位の関係からこういう解析をしまして、当然そのときにはおそらくこの力がかかる影響というのは下のほうまでいってないと思うんですけれども、非常にローカルには非常にベースマット近辺の非線形化された地盤の影響というのは非常にばねに反映されていると思います。ですから、非常に減衰が大きい形、これはちょっと減衰定数は、ここに30%ぐらい、非常に大きな減衰ですね。これは1つは地盤がかなり非線形化されているという。

【伊藤委員】
 そうですか。

【釜江先生】
 そういうものも影響を考慮しながらばねを求めています。

【伊藤委員】
 わかりました。それだったら結構だと思います。どうもありがとうございます。

【二ノ方主査】
 よろしいでしょうか。

【伊藤委員】
 はい。

【二ノ方主査】
 藤田委員、どうぞ。

【藤田委員】
 すみません、あともう一つ伺いたいのが、ちょっと53ページの結果表というのがあって、先ほどちょっと厳しいところも幾つかあると言っていたんですけれども、どうも先ほどのスペクトル、設計の地震動スペクトルを見て、ちょっと結構上下方向のサポート周りが厳しいのかなというのをちょっと感じがするんですけれども、これはやはり上に持っていったとき、上下のほうの地震動でやっぱり7ヘルツとか10ヘルツぐらいいったら大体上下のサポートを大体普通に設計するとその辺が結構共振したりするという、ピークに値するところが多いと思うんですけど、やっぱりその辺が、これは応答のほうのあれが出ていないのでわかるんですけど、その辺、やっぱりかなり出ちゃっていますかね。

【釜江先生】
 今回の指針は上下方向も考えなさいという形になって、建物のほうもこの屋根面なんかもこういう上下方向の振動がきくわけですけれども、機器についてもちょっと詳細についてはまたサブのほうでいろいろと資料をお出ししてお話しして、どのぐらいきいているかというところはお話ししたいと思います。
 ただ、やはり今までと違って上下方向の地震動も同時に考えるという、しかも、ダイナミックに。昔は静的に半分とかという話だったんですけれども、少し屋根なんかの固有振動数の関係でやはり厳しいところはございます。それは当然屋根だけではなくて、そういうサポートについても関係する分が出てくると思うんですけれども、そういうところは少し上下方向、今日はあまり細かく応答についてもお話ししてなかったんですけれども、少しサブのほうではその辺を少しお話しさせていただきたいと思います。

【藤田委員】
 じゃあ、また改めて伺わせていただきたいと。

【二ノ方主査】
 翠川先生、どうぞ。

【翠川委員】
 26枚目のスライドに基準地震動Ssの評価というのがというのがあって、そこで応答スペクトルに基づいた地震動評価手法で、3として地震観測記録を用いて諸特性が考慮できるということをも考慮してNodaの方法を使ったということなんですが、実際にこの地震観測記録を用いてこの諸特性というのは考慮されたんでしょうか。

【釜江先生】
 ここで多分書いたのは、1つは地盤のVsの違いですね。耐専でVs700ぐらいと想定される。我々のところというのは今2,000という、解放基盤は2,000ということなので、そういうところを少し書いて、実際まだ地震観測記録で記録という意味で残念ながら大きな地震が我々のところ、観測はしているんですけれども、例えばほんとうは耐専スペクトルなんかの妥当性をそれぞれサイトでとれた地震記録なんかでその妥当性を見るということは非常に大事だと思うんですけれども、残念ながら、それに匹敵するような地震記録というのがまだ得られていませんので、ここに書いてあることを読むと、今先生がおっしゃったように、そういうことなんですけれども。
 少し地域性云々というところはやはり地盤構造の違い、そういうものも考えてやれるといいますか、やったというか、そういうふうにご理解いただけたらと思うんですけれども、よしいでしょうか。

【翠川委員】
 要するに、使えそうな地震記録が残念ながらとれていないということですね。

【釜江先生】
 はい。

【翠川委員】
 わかりました。

【二ノ方主査】
 よろしいですか。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 制御棒の挿入性という観点で、例えばいろんな3ヘルツとか4ヘルツとかいうそういうときに、かなりの変形を仮定することもあり得るわけですか、案内管の。その場合の挿入性についてとか、そういう評価はどうやっていますでしょうか。

【釜江先生】
 制御棒については発電所と違いまして非常にこの構造そのものが、これは上は案内管です、こっちを少しやる、6.6メートルぐらいあるわけですね。
 それで、我々のところのこの中の燃料、ハンドリングは上からやるもんですからあんまり、ほんとうはこういうものを拘束して周りからとめて、なるべく固有振動数をかたくして剛にしてやるというのが耐震的には非常に変形を抑えるという意味でも非常に大事、重要なんですけれども、どうもやっぱりいろんなハンドリングの問題とかいうことで、今は6メートルぐらい何のサポートもなしに燃料、最後までやって、このモデルからいいますと、この炉頂部、この上ですね、このここで固定されているのと、制御棒そのものが燃料層とここで固定されているという。2カ所でピン支持的な固定がされているということで、ここは非常にフリーなんですね。
 それで、やはり固有振動数のデータを見ますとやはり3ヘルツぐらいになってしまう。これは水の影響、粘性の影響を何も考えず、空中だということで、これは悪さもし、いいほうにもなるとは思うんですけれども、今は空中ということでやりますと3ヘルツするもので、これは建物と共振、建物の共振点が、先ほど言いましたように、三、四ヘルツなんで、非常に応答値としては非常に大きな力で。
 それで、おっしゃったように、今それを例えばスタティックにかけますと変位が非常に大きくなります。ただ、応力的には弾性限度だというんですけれども、ですから、ただ、我々のところ、0.6秒で20ガルで落ちるということで、非常に共振がきている間に3ヘルツで最大振幅で振れている間に制御棒落とすわけではなくて、もうそれ以前に落としているということで、とりあえず制御棒としてはまたもとに戻っているという、塑性変形して残留変形が残らないということだけの今確認でして、少し変位についても計算上はできるんですけれども、非常に制御棒、複雑な案内管、非常に切り欠きがあったり、なかなか計算に載らないところがありますので、少しそういう変形については少し実験的に、実験的にといいましてもスタティックな実験だと思うんですけれども、ちょっとそういうことで少し変形を考えたいと思うんですけど。
 ただ、我々のところの主張としてはやはり0.6秒で20ガルで落とすというところですね。そこを少しご理解、発電所のように非常に共振が来ている間に何秒で落ちるかという議論ではなくて、そういうふうにご理解いただけたらと思うんです。

【二ノ方主査】
 わかりました。
 基本的には仮にATWSになったとしても、出力上昇はないわけ、ないはずですよね。

【中島先生】
 引き抜けたら困りますけども、それ以外は臨界を維持するだけということです。何かあれば、とにかく出力係数が負ですから低下する方向に行くはずです。

【二ノ方主査】
 そういうふうに私も理解しております。
 ほかにご質問ございませんか。よろしいですか。
 丹沢先生、いい?
 もしございませんようでしたら、もし後から何かご質問出てくるようでしたらば、事務局のほう、ないし、私のほうにご連絡いただければ、そういうふうに対応いたしたいと思います。
 それでは、よろしいですか、次の議題に移って。最後じゃないですね、もう一つですね。2つですね。
 中間報告について、そのバックチェックの報告の妥当性確認の主なポイント等についてということで、事務局のほうからご説明いただけますか。

【林安全審査官】
 それでは、「バックチェックの報告の妥当性確認の主なポイント等について(案)」ということで、資料1‐6に基づいて説明させていただきます。
 耐震バックチェックの報告内容に関する妥当性確認の具体的な進め方については、資料1‐6に示すように、重要なポイントを中心に今後開催されるサブワーキンググループ、ワーキンググループで確認していただき、事務局として取りまとめていきたいと考えてございます。
 先ほど説明いただきました京都大学の重要な確認のポイントについては、サブワーキンググループごとに今資料に示す内容を事務局の案として挙げさせていただきました。
 例えば、地質・地震動サブワーキンググループでは地質・地質構造において陸域の活断層の評価として上町断層帯、及び、中央構造線断層帯が重要な確認ポイントであると考えて挙げてございます。
 また、資料2枚目の横書きの資料にありますとおり、サブワーキンググループで確認された内容を確認のポイントごとに各委員からの質疑のコメントと、それに対応する回答を整理し、随時まとめていくことを予定してございます。
 この確認のポイントというのは、現時点での事務局の案としてお示しさせていただいておりますので、追加等の修正が必要な場合もあるかと思いますが、その場合にはサブワーキンググループの開催までに教えていただきたいと思いますので、事務局のほうまでご連絡をお願いしたいと思います。
 本資料については以上です。

【二ノ方主査】
 ありがとうございました。
 それでは、この件につきましてご意見、ご質問ございましたら、よろしくお願いします。藤原委員、どうぞ。

【藤田委員】
 1点だけ確認なんですけど、先ほどの資料、5‐2の7ページのところのフローを見てみますと、基準地震動Ssと地震動の超過確率の参照という矢印があるんですけど、この点については今回は特に議論はする必要はないでしょうか。

【林安全審査官】
 今、ポイントとしてはまず挙げてございませんが、サブワーキングのところで最終報告にはたしか盛り込まれてくるというふうに認識してございます。ですから、随時、ポイントに含まれていなくても上がってきた資料の中で議論いただければと考えてございます。

【二ノ方主査】
 よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。
 ほかにご意見はございませんか。ご質問ございませんか。よろしいでしょうか。
 もし追加のご質問とかコメントがございましたらば、サブワーキンググループの会合の前までに事務局のほうにご連絡いただければよろしいかと思います。

【鎌倉保安管理企画官】
 事務局から。先ほど申し上げましたように、サブワーキンググループのほうで議論している中でこの点も重要だということであれば、ポイントとして追加していきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

【二ノ方主査】
 そうですね。よろしくお願いします。
 それでは、よろしいですか、次に行って。
 だったら、次のクロスチェックの概要について事務局のほうからご説明お願いします。

【林安全審査官】
 資料1‐7の「京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)の耐震安全性評価の妥当性確認に係るクロスチェックの概要について(案)」ということで説明いたします。
 クロスチェックの目的としましては、京都大学が実施した地震応答解析における解析条件等の適否、結果の妥当性についてクロスチェックを実施します。耐震バックチェックの結果の妥当性の確認に資することを目的としてございます。
 また、クロスチェックの主な内容としまして2点目でございますが、京都大学が地震応答解析に用いた計算コードとは異なる計算コードを用い、地質・地震動サブワーキンググループで確認いただいた入力地震動により解析を実施しまして、京都大学の解析結果と比較し、解析条件、内容の妥当性について確認するものでございます。
 調査の対象としましては表1に示すとおりになってございまして、本日説明いただいた原子炉建屋本体と京都大学が実施した機器・配管系についてでございます。なお、このクロスチェックの実施の内容等につきましては、今後開催される施設・構造のサブワーキンググループで意見等をいただくような予定をしておりますので、どうぞそのときにはよろしくお願いいたします。
 本資料については以上です。

【二ノ方主査】
 ありがとうございました。
 何かご意見、ご質問ございますか。競争入札ですよね。よろしいですか。
 もしほかにご質問、コメントないようでございましたらば、最後の議題ですね。スケジュールについて、事務局のほうからご説明をお願いします。

【鎌倉保安管理企画官】
 資料1‐8でございます。スケジュールの案ということでございますけれども、今後、サブワーキンググループなどを開催しまして、本ワーキンググループで全体の取りまとめを行い、21年度中に取りまとめを行いたいと考えてございます。
 本ワーキンググループにつきましては本日の第1回会合のほか、両サブワーキンググループ終了後に全体の取りまとめを行いたいと考えております。
 それから、地質・地震動サブワーキンググループでも地質・地震動についての取りまとめを行いたいと考えております。
 それから、施設・構造サブワーキンググループにつきましては地質・地震動サブワーキンググループにおける検討の結果が出た段階から開催したいと考えております。こちらのサブワーキンググループにつきましても取りまとめを行い、その後、全体のワーキンググループで取りまとめを行うというスケジュールにしたいと考えております。
 それから、現地調査についてですけれども、本日の開催後、適切な時期に、適当な時期に調整を行いましてワーキンググループ委員による現地調査を実施したいと考えております。また、別途これにつきましては調整させていただきたいと思っております。
 以上でございます。

【二ノ方主査】
 大体大まかな工程をちょっと教えてもらえますかね。例えば、最終会合は大体どれぐらいになりそうだ、来年春になるのか。

【鎌倉保安管理企画官】
 そうですね、来年の2月、3月ぐらいに最終会合を開ければと考えております。

【二ノ方主査】
 目標として。現地調査についても大体どの辺をお考えになっていますか。

【鎌倉保安管理企画官】
 現地調査につきましては8月、あるいは、9月上旬、中旬といったようなところを考えておりますけれども、別途日程調整などを、あるいは、ご希望される先生などについても調査させていただければと思っております。

【二ノ方主査】
 ということでございます。
 何かスケジュールについてご意見とかご質問ございますか。よろしいですか。

【釜江先生】
 すみません。

【二ノ方主査】
 釜江先生、どうぞ。

【釜江先生】
 先ほどのクロスチェックのことについて少しだけお願いといいますか、既にあれなんですけれども。ご存じのように、最近、核防護上でいろいろと今までは燃料盗取とか、それは今回低濃縮になりますからかなりセキュリティは下がるんですけれども、あと、妨害・破壊行為等々でほかにPP上のこともいろいろあって、クロスチェックになると外部にそういう資料が出るということもございますので、ほとんどのものは大丈夫だとは思うんですけれども、もしそういう場合は少しご配慮いただけたらと思いますので、よろしくお願いしたいということなんですけれども。

【二ノ方主査】
 それは、どうぞ。

【鎌倉保安管理企画官】
 承知しました。既にPP上の問題もございますので、仕様書等にもそういったことも盛り込むということで準備しております。

【二ノ方主査】
 十分考慮して対応したいと思います。よろしくお願いします。
 ほかにございますか。
 釜江先生、随分急がせてしまって、ちょっと時間が少し五、六分余ってしまったかもしれないんですけど、よろしいですか。
 それでは、本日の議題、以上でございます。
 何かほかにご意見とか、この場で何かご意見ございましたらいただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。
 もしないようでしたらば、事務局のほうから連絡事項等ございましたらお願いします。

【鎌倉保安管理企画官】
 本日、お忙しいところをご議論いただきまして、ありがとうございました。
 次回の本ワーキンググループの開催日時等、あるいは、サブワーキンググループの開催日時等につきましては別途日程調整の上、事務局のほうからご連絡差し上げますので、よろしくお願いしたいと存じます。
 以上でございます。

【二ノ方主査】
 あと7施設ありますから、それを、適宜グルーピングか何かしながらやっていくことになりますけど、数年かかる感じですか、トータル。

【鎌倉保安管理企画官】
 日本原子力開発機構の実施工程が22年度末までになってございますので、その後、ワーキンググループのほうで検討していくことになりますので、数年、あるいは、数年以上かかるのではないかと推察されます。

【二ノ方主査】
 ということでございますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 本日は皆様には、先生方にはいろいろ活発な議論をいただきまして、ありがとうございました。傍聴者の皆様方には議論の進行に、審議にご協力いただきまして、ありがとうございます。
 以上をもちまして、本日の第1回の試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループの会合を閉会させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

‐了‐

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室

林、益田
電話番号:03-5253-4111(内線3923)

(科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室)