国際原子力事象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ(第10回) 議事録

1.日時

平成22年3月23日(火曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省16階 16F1会議室

3.議題

  1. 独立行政法人日本原子力研究開発機構東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所応用試験棟における漏水について
  2. 2008年版INESユーザーズマニュアルの運用について
  3. その他

4.配付資料

  • INES10‐1 独立行政法人日本原子力研究開発機構東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所応用試験棟における漏水について
  • INES10‐2 2008年版INESユーザーズマニュアルの運用について(案)
  • INES10‐3 研究炉等に係るINES評価ワーキンググループ設置要綱(案)
  • 参考‐1 国際原子力事象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ委員名簿
  • 参考‐2 独立行政法人日本原子力研究開発機構東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所の応用試験棟における漏水に係る独立行政法人日本原子力研究開発機構からの最終報告及び文部科学省の対応について
  • 参考‐3 第9回国際原子力事象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ速記録

5.速記録(第10回国際原子力事象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ)

国際原子力事象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ(第10回)

平成22年3月23日(火曜日)

(注:この速記録の発言内容については、発言者のチェックを受けたものではありません)

【吉田原子力規制室長】
 それでは、定刻となりました。委員の先生方におかれましては、ご参集いただきまして、ありがとうございます。
 お手元の参考資料の後ろの方ですけれども、参考資料の1の委員名簿のとおり、本会合の構成員は全部で10名でございます。本日越塚委員がまだ見えておりませんが、蜂谷委員と山中委員は欠席ということで伺っております。現在のところ7名ですけれども、定足数は足りておりますので、本日は委員長であられます中込先生にお願いしたいと思います。
 それでは先生、よろしくお願いいたします。

【中込委員長】
 それでは、第10回INES評価ワーキンググループを開催させていただきます。年度末のお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本会合は公開となっておりますので、ご発言につきましては私の指名の後に発言を願いたいと思います。
 委員の皆さんにはご協力を願うということになりますが、よろしくお願いいたします。
 それでは初めに資料の確認を事務局の方でお願いいたします。

【横井専門職】
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 お手元に座席表が1枚、あと議事次第が1枚、それからINES10‐1といたしまして、核燃料サイクル工学研究所応用試験棟における漏水について。
 それから、INES10‐2といたしまして、ユーザーズマニュアルの運用について(案)。
 それから、INES10‐3といたしまして、INES評価ワーキンググループの設置要綱(案)。
 それから、参考‐1といたしまして、委員の名簿。
 それから、参考‐2といたしまして、応用試験棟に係る最終報告と文部科学省の対応についてということで、プレス資料でございます。
 それから、最後に参考‐3ということで、前回の速記録となっております。
 資料の不足等がございましたら、お申し付け下さい。
 それから引き続きまして、本日後半の議題となっております2008年版のINESユーザーズマニュアルの件につきましては、先生のお手元には対訳版ということで、席上配付をさせていただいております。後ほどまたご参照いただければと思います。
 それから、参考‐3の速記録につきましては、先生方にコメントをいただいておりまして、既にホームページに掲載されておりますので、傍聴者の方には表紙のみということにさせていただいております。
 以上でございます。

【中込委員長】
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。特に委員名簿につきましては、ご所属等の変更がございましたら、事務局にご連絡願いたいと思います。
 それでは、早速本日の議題に移りたいと思います。まず、1番目でございますが、日本原子力研究開発機構東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所応用試験棟における漏水についてということで、INESレベルの評価結果について、事務局から説明をお願いしたいと思います。

【葛谷規制第3係長】
 この議題に関する資料というのは、INES10‐1と参考資料2が関係いたしますが、今回は資料INES10‐1を用いて説明させていただきます。
 INES10‐1については、大きく2つの構成で、右下にスライド番号がございますが、4枚目のスライド番号13までが本件の事象の概要です。スライド番号14番以降が、この事象におけるINESの暫定評価になります。
 それでは、説明させていただきます。まず、今回核燃料サイクル工学研究所応用試験棟における漏水についてですけれども、当該事象の発生事業所については、原子力機構で、施設名は応用試験棟というところです。応用試験棟では、核燃料サイクル技術開発のための基礎研究等が行われているところでございますが、そちらで漏水事象が起きました。発生日時につきましては、平成21年9月17日でございます。
 続きまして、次のページをめくっていただけますでしょうか。事象の内容について説明させていただきます。こちらの事象の内容に関係するスライド番号が3番目から6番目になりまして、適宜4番目以降のスライドを用いながら説明させていただきます。
 まず、9月17日9時半から16時ごろまで、応用試験棟3階試験室2で酸化ウランペレットの溶解試験に伴う酸濃度分析を行い、分析終了後に、流しにおいて器具の洗浄等を行っておりました。
 そして、16時5分ごろ、応用試験棟2階会議室、こちらは非管理区域になりますが、そちらに入室した従業者が、床に落ちた水滴、また吊り天井のにじみを発見しております。この時点で、目視で確認した状況では、漏洩量が約10ミリリットルと推定しております。
 スライド番号4番に、3階と2階のフロア図がありますが、上側が3階、下側が2階になっておりまして、上の左に試験室2というところがあると思いますが、そちらで実験をしておりまして、2階の下にある会議室でにじみを発見しております。
 次のページをめくって、5ページ目のスライドに、縦に切った図がありまして、実際には、管理区域の3階床から非管理区域のつり天井、そして、2階の天井という流れで漏水し、発見されております。
 16時30分ごろ、当該流しの床面を外したところ、6枚目のスライドを見ていただきたいと思うんですけれども、実際にこれが今回分析の洗浄等をしていた流しになります。この流しの排水トラップ、下に行きますと、床板をはがす前の状態があり、この床板を外したところ、排水配管接続部の表面に腐食を確認しております。
 2階会議室への漏水については、既に3階試験室の分析流しでの実験が16時頃に終了しておりますので、漏水の進展はないと判断しております。
 続きまして、次のページをめくっていただきまして、スライド番号は7になります。事業所内外の影響です。こちらについては、今回の事象の影響について、3点検討しております。
 1つ目が非管理区域の床及び天井内外の漏水によりにじんだ箇所及び周辺のダイレクトサーベイとスミヤ測定の結果、表面密度については検出限界未満だったということ、2つ目は、管理区域についてですけれども、3階試験室2の当該流しの排水配管接続部及び周辺のダイレクトサーベイ及びスミヤ測定の結果、表面密度限度未満であったということ、そして、最後に、3階試験室2内の空気中放射性物質濃度の検出限界未満であり、従業員の汚染、負傷もなかったということが挙げられております。これらを受けて、本件事象については、現時点では事業所内及び事業所外での影響は確認されておりません。
 これらについて、原因調査をしております。原因調査については大きく3つの観点でしておりまして、1つ目が漏水箇所、2つ目が漏水経路、そして、3つ目が漏水時期です。
 1つ目の漏水箇所につきましては、応用試験棟3階試験室2の排水配管接続部の塩化ビニル継手に亀裂を発見しております。こちらについては、次のページをめくっていただきまして、スライド9の右に、当該塩化ビニール継手の亀裂の写真があります。縦に亀裂が入っております。
 続きまして、また前のページ、8枚目のスライドに戻っていただきまして、漏水経路については、先ほどお示しした継手の亀裂部からの漏水が鋳鉄製継手と排水配管外面を伝い、コンクリート床からはがれた塩化ビニールシートと排水配管とのすき間に浸入し、排水配管貫通部に充填したモルタルと3階床コンクリートとの接合部及びコンクリート床面のひびを通して、非管理区域の床に至ったと確認しております。
 こちらについても、9枚目のスライドを見ていただければと思います。左側に図面がありますけれども、この亀裂箇所から鋳鉄製継手を伝わって、コンクリート面と塩化ビニールシートのすき間を通って非管理区域に浸入したと考えられております。
 10枚目のスライドに、流し床の塩化ビニールシート及び3階床の状況がございますけれども、左上の写真に掲載したとおり、塩化ビニールシートとコンクリートに隙間があり、このすき間を通って、さらに、この排水配管の周りに充てんしているモルタル部とコンクリートのすき間及びコンクリートのひびを通って非管理区域に漏水したと考えられております。
 また、8枚目のスライドに戻っていただいて、3番目の漏水時期についても検討しております。こちらにつきましては、平成19年2月に点検しておりまして、この時点では2階の会議室、吊り天井内に漏水の痕跡等の異常はございませんでした。その結果、今回の漏水についてはそれ以降と推定しております。
 続きまして、ページをめくっていただきまして、11番目のスライドで、7、原因というところでございます。先ほど3点挙げました点について、それぞれ発生原因等について検討しております。
 まず、塩化ビニール継手の亀裂の発生原因についてですけれども、こちらについては、外観観察の結果、当該亀裂箇所の肉厚に偏りが見られたということがございます。こちらについては、その下の12枚目のスライドをご確認いただければと思いますが、一番下の写真、それぞれ4カ所肉厚を測定しておりまして、上から時計回りに2.6ミリ、3.1ミリ、2.8ミリ、3.0ミリとございます。今回亀裂が確認された箇所というのは、一番肉厚が低いところ、2.6ミリの部分になります。これは、当該流しの設置工事を実施した際、当該塩化ビニール継手の加熱加工により偏りが生じたためでございます。このような状況で、平成15年に実施した補修工事がございまして、このときに当該塩化ビニール継手に機械的応力がかかり、亀裂が発生したものと考えられております。
 この平成15年実施した補修工事が、次の13番目のスライドでございます。このときの工事の内容につきましては、こちらの排水トラップ入り口側のフランジを金属製から塩化ビニール製に交換する補修工事でございます。
 内容としては、まず、それぞれ切断予定箇所をマーキングして、そのマーキングした箇所をのこぎりを用いて切断しております。その後、切断した箇所について、接着剤で新しい塩化ビニール配管を接着しております。今回の工事では、のこぎりを用いて切断しておりますので、そのときにかかった応力で、今回最も肉厚が小さい箇所で亀裂が発生したのではないかと考えられております。
 また、スライド11番に戻っていただきまして、2番目のコンクリート床面と塩化ビニールシートのすき間の発生原因についても検討しております。こちらについては、排水配管の周囲と塩化ビニールシートの間に防水加工が行われていなかったということが原因として挙げられております。このため、亀裂部からの漏水が、排水配管の周囲と塩化ビニールシートの間から、塩化ビニールシートとコンクリート床面との接合面にしみ込み、接合面が劣化したと考えられております。
 また、これまでの点検で、今回の亀裂等が発見できなかった原因として、この接続部が床板を取り外さないと目視できない構造、先ほど、6番目のスライドで、実際に床板を取り外さないとわからないという構造を写真でお示ししましたが、そういうことなどのために、これまでの点検では亀裂等を見落としていたのではないかと考えられております。
 ここまでが今回の事象の概要の説明になります。これらの事象の概要を踏まえ、今回の事象について、14枚目のスライド以降、INESの評価をしております。
 まず、INESによる暫定評価ですけれども、こちらにつきましては、今回2001年版のユーザーズマニュアルを用いて、以下の3つの基準について評価しております。1つ目が事業所外への影響、2つ目が事業内への影響、そして、3つ目が深層防護への影響になります。
 次のスライドをめくっていただけますでしょうか。こちらについては、INES評価、大きくレベル0から7までございまして、これがINES評価体系の全体概要になります。
 16番目のスライドから実際に評価を実施しております。こちらのフローチャートに従ってINES評価をいたしますが、まず、今回の事象については、INESに該当するかということで、今回は法令報告事象なので、INESに該当いたします。これらについて、所外への影響、所内への影響、深層防護への影響という形で評価しております。
 まず、所外への影響につきましては、今回、事業所外へ放射性物質等は拡散しておりませんので、これらについてはノーという形で評価しておりません。
 続きまして、所内への影響ということにつきまして、こちらは該当いたしますので、評価しております。所内への影響については、次の17番目のスライドに細かく評価しております。
 フローチャートの順番に従って、説明させていただきます。まず、放射線障害壁の損傷があるかどうかというところで、今回は実際に非管理区域に漏水しておりますので、こちらについてはイエスということで、下に行きます。
 続きまして、炉心または放射線障壁の重大な損傷があるかというところについては、今回の事象は、重大な損傷はございませんので、ノーということで下に行きます。
 続きまして、炉心または放射線障壁の大きな損傷というところでございますが、今回の事象は、大きな損傷はございませんので、ノーということで、下に行きます。
 続きまして、障壁から大量の放出があったが、安全な貯蔵区域に戻すことのできる場合については、今回の事象では、大量の放出はございませんでしたので、ノーという形で、該当せずという形で下に行きます。
 続きまして、矢印に従って、汚染の拡散というところで、これについては、汚染の拡散はございませんので、その右に行きます。作業員の被ばくについて、作業員の致命的な被ばくはございませんでしたので、ノーということで、下に行きます。
 続きましては、過剰被ばくによる作業員の急性健康障害はございませんでしたので、ノーということで、下に行きます。
 作業員の過剰被ばくについてもノーということで、該当せずということで、所内の最大レベル評価をしております。これを踏まえ、18番目のスライドに、事業所外への影響及び事業所内への影響を評価しています。事業所外への影響につきましては、適用されないということで、「‐」になります。
 続きまして、事業所内への評価については、漏水による従事者の被ばく等はございませんので、該当なしということで、こちらについても「‐」になっております。
 続きまして、19枚目以降に、深層防護の劣化にかかる評価をしております。こちらについて、潜在的な故障があるか(構造的な欠陥を含む)ということで、今回塩化ビニール継手を使うこと自体、構造的欠陥ではございませんので、こちらにつきましては、ノーという形にしております。
 これを受けて、下の「明らかに安全上の重要性がない事象」かどうかということについては、20番目のスライドにその判断根拠を示しておりまして、まず、漏水による業務従事者の被ばくはないということ、漏水は限定的な範囲であり、拡散は確認されていないという点から、安全上重要ではないと判断しております。
 それを受けて、安全上重要でない事象ということで、イエスということで、レベル0をカウントして、21枚目のスライドの付加的要因の評価方法に進みます。こちらについては、共通原因故障、手順の不備、安全文化の欠如、この3点で、実際に検討すべき評価レベルを1つ上げる事象があるようであれば、今回の評価を上げるという形になっております。
 スライド22に付加要因の検討をしておりまして、まず、1つ目の共通原因故障については、今回の事象については、単一の事象や原因の結果、多数の装置や機器が機能しなくなるようなことはなかったということを考えております。
 続きまして、手順の不備ですけれども、決められた手順に明らかな問題はございませんでした。
 そして次に、安全文化に関する事象ということで、こちらについては、放射性物質については適切な管理は維持されており、事象の再発によるものではないという点から、今回については付加的要因を挙げる必要はないと考えております。
 これらを受けまして、23番目のスライドです。基準3、深層防護への影響に関する評価をしております。この評価については、判断根拠として、まず安全上重要性がない事象ということで、レベル0になります。また、付加的要因については、該当がないということで、今回についてはレベル0からレベル1に上げる必要はないということで、基準3の深層防護への影響については、レベル0と判断しております。
 次のスライドにこれらの影響の評価をまとめております。まず1つ目の基準1、事業外への影響については、先ほどもご説明したとおり、今回は事業所外への放射性物質の影響はなく、適用はされないということで「‐」、続きまして、基準2の事業所内への影響については、事業所内の放射性物質の影響は小さく、該当はないということで、こちらについても「‐」、そして、3つ目の基準3、深層防護への影響については、まず、本事象が安全上重要な事象ではないということと、付加的要因については該当なしということで、レベル0、以上を踏まえて、評価結果全体ですけれども、事務局として暫定値レベル0と考えております。
 説明は以上でございます。

【中込委員長】
 ありがとうございます。
 ただいまの事務局のご説明につきまして、まず、疑問点とか、質問がございましたら、お願いしたいと思います。どうぞ。

【目黒委員】
 スライド番号11なんですけれども、原因の2のところに、排水配管の周囲と塩化ビニールシートの間に防水加工が行われていなかったと記載されているんですが、この原因については、これは当然行われているべきものだと思うんですが。

【葛谷規制第3係長】
 こちらにつきましては、実際に応用試験棟の流しが設置されたのはかなり前の時代でございまして、その時代においては、防水加工をするということが浸透していなかったと聞いております。最近の施設では、すべて防水加工をしていると聞いております。

【中込委員長】
 よろしいですか。

【目黒委員】
 はい。

【二ノ方委員】
 漏洩量が約10ミリリットルという推定で、その重要性と、もう1つは、平成21年9月ということですが、平成19年2月以降と推定されている。要は、そのときに漏れたというのではなくて、継続してずっと続いていたということではないんですか。どこからか、ある時点から、そうしたときに、10ミリリットルという値をどうとらえればいいのか、ちょっとよくわからないんですけれども。

【葛谷規制第3係長】
 実際ににじみを見て、その状況を見て、目視で確認した、従業員が、漏洩量は10ミリリットルではないかと、実際に測定はできませんので、そういう形で推定しています。

【二ノ方委員】
 だから、それがどれぐらいの意味を持つのか。

【吉田原子力規制室長】
 そういう意味では、数字にあまり意味はございません。要するに、原子炉策規制法の規則上は、非管理区域から漏れたときが、もう法令対象になります。

【二ノ方委員】
 管理区域がもうちょっとたくさん……。

【吉田原子力規制室長】
 管理区域に漏れたときは漏れてもいいわけです。いいというのは、管理区域の漏れが、ある程度、特別なことをしない限りは漏れてもいい。でも、非管理区域に漏れたときはもう量は関係なく、非管理区域に漏れたというだけで、この場合だと使用規則では、対象になります。我々は、運用としては、保安院もそうなんですけれども、もう漏れたら、量とか濃度は関係ないと。要するに、漏れたことが、本来は漏れてはだめなところに漏れるんだから、私どもは数字的なことは、多くても少なくてもあまり関係ないということで、今運用しております。
 以上でございます。

【中込委員長】
 よろしいですか。

【石田委員】
 石田です。先ほど最初の質問にあった11ページの1なんですけれども、平成15年に補修工事をしたときに、この塩ビの継ぎ手に機械的応力がかかったということで、これが原因だろうと。そのときは、床板をはがすような、どのような補修工事だったかわからないんですが、その時点で、その後に出てくる、塩ビと床面のところの接合部の漏水防止というのはされなかったのかなと思って、その平成15年のときの工事の内容がわからないので、そのときは見ていないのかどうか、そこら辺ですね。その辺はどうだったんでしょう。

【葛谷規制第3係長】
 そのときは見ていないと思います。

【石田委員】
 床板があって、その下は見えないですよね。

【葛谷規制第3係長】
 そうです。

【石田委員】
 そのときは、その板をはがすような工事ではなかった。

【葛谷規制第3係長】
 そうです。図にあるとおり、床板の上の部分でございます。

【石田委員】
 上の部分の工事なので、見ていない。

【葛谷規制第3係長】
 はい。

【中込委員長】
 このときの工事、私もそこがちょっと気になっているんですが、あぶって、とりあえず塩ビを膨らませて、ちょっと入れたと、その程度の工事と見ればいいんですか。

【杉山運転管理・検査管理官】
 それは一番初めのときです。そのときの工事は13ページのスライドです。

【中込委員長】
 補修工事というのは……。

【石田委員】
 それがどんな工事かわからないです。

【杉山運転管理・検査管理官】
 13ページのスライドのところにある工事です。

【石田委員】
 13ページ、ああ、これか、ここを切ってつないだんですね。

【杉山運転管理・検査管理官】
 もろくなったところを切断して、フランジのところを外して、この部分を全部取りかえています。

【中込委員長】
 現場合わせで、ちょっとここで合わないから、ちょっとこう……。

【杉山運転管理・検査管理官】
 そうですね。多少ずらしたほうがいいですね。

【中込委員長】
 でしょうね。これは特に珍しい手法でもなく、普通塩ビはやっちゃいますよね。

【杉山運転管理・検査管理官】
 はい。

【石田委員】
 そうか。これ自身ではないんですね。ほかの部分のときであれば、応力がこちら側にかかったということですね。

【中込委員長】
 よろしいですか。先ほどの二ノ方先生の10ミリリットルというのはあまり意味がないということになると、こういう書き方は、10ミリリットルの推定というと、それが非常に根拠があるのかなと、必要なのかなと思って。

【安部統括原子力保安検査官】
 この10ミリリットルなんですけれども、実はほぼ同じ亀裂といいますか、割れ目を塩ビの配管に用意しまして、そこに当時の排水、ある程度水を流して、同じ量ぐらいの水を流して、その結果、大体10ミリぐらい漏れたのではないかという試験の結果の推定です。

【中込委員長】
 その数字は後で生きないんですよね。

【葛谷規制第3係長】
 そのとおりです。

【中込委員長】
 漏れてはいけないと。

【葛谷規制第3係長】
 その通りです。

【二ノ方委員】
 非管理区域に10ミリリットルで、亀裂のところから漏れたのはもっと……。

【葛谷規制第3係長】
 そこは確認していません。

【中込委員長】
 これは9時半から16時までずっとここに流れしていたわけではないですよね。

【葛谷規制第3係長】
 そうではないです。

【中込委員長】
 最後だけちょっと洗うんですよね。

【葛谷規制第3係長】
 その通りです。

【中込委員長】
 須藤委員、どうぞ。

【須藤委員】
 スライドの7ページ、8ページ、状況の確認ですけれども、7ページの1つ目の○は、非管理区域で検出限界未満、2つ目の○は、管理区域で表面密度限度未満というところで、これでいいとは思うんですけれども、表面密度限度未満ということで、有意値は出たんでしょうか。それとも、ここでも検出限界未満なのかというのが1つ。
 あと8ページの一番下の漏水時期に、平成19年2月に天井の中を点検したとあるんですが、これは何かルールがあって、放射線上の管理のための点検なのか、それとも一般の安全管理の健全性とか、完全に関係ないところの点検で、たまたまだったのかというのを2つをお願いします。

【葛谷規制第3係長】
 参考資料の2の12ページ目です。今回の管理区域の3階平面図のところ、それぞれ測定結果が載っておりまして、今回のダイレクトサーベイについては、右上に数字が書いてあります。
 2つ目の平成19年2月の点検についてですけれども、こちらについては、その当時発生したトラブルの水平展開を受けた点検ということで、目視点検できるところについて、すべて点検をしていると聞いております。

【須藤委員】
 多分普通はやりませんよね、天井の中は。何かなければ。

【中込委員長】
 よろしいですか。

【石田委員】
 同じような流しというか、排水トラップをつけた部分というのは、この建物にはあるんですか、管理区域の中に。

【安部統括原子力保安検査官】
 この応用試験棟でほかに8カ所ありまして、そこについては異常なかったと。

【石田委員】
 先ほどの塩ビの亀裂と、もう1つ原因として挙げられていましたよね。接合部のところです。床面と塩ビのすき間ができていますけれども、そこから漏れたということですけれども、その辺のシールもきちんとされている、ほかは。

【安部統括原子力保安検査官】
 そうです。

【石田委員】
 そうですか。

【安部統括原子力保安検査官】
 漏れなくやっている。

【石田委員】
 では、たまたまここの部分だけがそういう状況だったんですかね。

【安部統括原子力保安検査官】
 結局床面と塩ビが張り合わせてあったんですけれども、そこに少しずつ水がしみ込んでいって、接着性がなくなって、そのすき間から水が流れ出てしまったという変化が起きたということです。

【中込委員長】
 ちなみに、何年に作ったんでしたっけ、大分古そうだけれども。どこに書いてあるかな。ああ、昭和55年ね。よろしいでしょうか。どこにでもありそうな感じなんですが。

【葛谷規制第3係長】
 参考資料の2の4ページ目に記載してあります。

【中込委員長】
 わかりました。ちなみに、これは今まだこういう手当てをしてやりなさいと、使っていいということでいいんですね。何か使っちゃだめとかという話ではないと思うんですが。

【葛谷規制第3係長】
 そのような話ではないです。塩化ビニルを交換し、防水シート等の措置をした後に使用してもよいということになっております。

【中込委員長】
 わかりました。そのほか、ご意見ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、特にないようでしたら、本事象につきまして、INESレベルの暫定評価というのを、レベル0としておりますが、本会合の検討結果と、そのレベル0ということにしたいと思いますけれども、ご異議ございませんでしょうか。

【須藤委員】
 いいですか。

【中込委員長】
 どうぞ。ご意見ですね。

【須藤委員】
 はい。16ページのシート1のところで、真ん中に所外への影響はなしで、所内への影響はイエスで、下に来るんですけれども、漏洩はあって、非管理区域まで行ってしまったということは有意な事象なんですけれども、それを被ばくもなし、汚染も管理レベル未満ということなんですけれども、影響ありとなるのかどうか、ノーということは考えられないのかなというのが1つです。左側に行くというルートは考えられないのかというのが1つ。
 あと、19ページで一番上に潜在的な故障があるかということで、今回は漏洩量も微量で、汚染もないということでおさまっているんですが、例えば、今回はウランの溶解の分析液か何かですか、ここで取り扱う最大レベルの放射性物質を流したときにどういう状況になるかという潜在的な可能性を考える必要はないのかと。今回は溶解液の分析液ということで、たまたまレベルが低かったのかもしれない。亀裂が入っていることを知らないままずっと継続した状態で、最大レベルの放射性物質を取り扱ったときにどうなるかという考慮は要らないのかという観点が……。

【中込委員長】
 それに対して、どうでしょう。まず、許可が最大どのくらいになっているかですね。

【葛谷規制第3係長】
 1つ目のご質問の件ですけれども、直接事業所内への影響がないということで、ノーという形で右側に行くのはどうかという意見なんですけれども、非管理区域に漏洩があった時点で所内への影響はあると考えております。過去もそういう形で評価しておりまして、その並びをとった上でも、この部分についてはイエスで評価し、実際は「‐」になるのではないかと事務局は考えております。

【中込委員長】
 流れとしては、イエスで行って、最終的にノーのラインに入るので、問題ないと理解してよろしいですね。その後、深層防護のところ、Eのところが、下に流れる途中の話ですね。こういった評価の仕方というのは……。

【吉田原子力規制室長】
 そこは、可能性の話なので、可能性の話をしたら、確かにすぐに下に行く可能性はあるんですけれども、INESの評価というのは、あくまで起きた事象に対する評価ですので、可能性を含めて議論する必要はないと思います。

【須藤委員】
 そうなんでしたっけ。

【吉田原子力規制室長】
 当該事象について議論すればいいと理解しています。

【中込委員長】
 解釈の仕方ですね。「潜在的な故障が実際の事故につながったと想定し」ですよね。

【須藤委員】
 この「潜在的な」というのはどういう意味かなんですけれども。例えば、安全機能を有する機器が故障した場合に、結果的に事故が起こっていなくても、何か起因事象が起こった場合に、安全機能が失われているので、それがすぐ事故につながるような場合があると。そういうときに、深層防護が劣化した状態になっているんですけれども、それで何かしらのINES評価がつく場合がありますよね。ということで、必ずしも結果だけで判断するようなものではない。亀裂が生じた状態で最悪どこまでいくかというのを、何か判断されるべきものかと思っていたんですけれども、違うんですか。

【吉田原子力規制室長】
 すみません、僕の説明不足でした。確かにそう、起因事象ですね。だから、今回起因事象があるかないかなんです。だから、もし、今回起因事象が起きていたら、もう1つ隣のそれと同じようなことが起きていれば、それはそれを踏まえて、ずっと評価していかなければだめだと思うんです。だから、今回は漏れたというだけなので、それ以上の起因事象はございませんという意味での、まして例えば、ポンプがとまります、それによって、起因事象で、次の何かがストップしたとなれば、それで全部拡大しますので、そこは評価の中では見ていかなければならない、深層防護の観点から。今回はそういう起因事象がないので、だから、1つ、2つ起因事象があればまた別です。

【中込委員長】
 可能性を言うと、これもだめ、あれもだめ、こんなときはどうなるのという話になってしまって、INESの評価とはちょっと違うと思うんですけれども、この場合は、例えば、非常に高濃度の高放射性物質を中で取り扱って、だっと流す、同じやり方なのか、そうしたら、可能性としては出ないこともないでしょうけれども、そういったときには、そんな高濃度のものをそんな場所で洗いませんと、処理してから洗いますとかと言ったら、そちらで防ぎますので、何かそういう、何でも流していいのだと……。

【葛谷規制第3係長】
 流しで原液は流さないというルールになっています。そこは手順書で記載されており、原液自体を別の容器に移した後、流しで洗浄しています。

【中込委員長】
 そういった縛りがあるということがちゃんとあれば、そう書いておけばよろしいのではないかと思うんです。

【杉山運転管理・検査管理官】
 使われるものは天然ウラン500キログラム、劣化ウラン500キログラム、トリウムが1キログラムです。

【中込委員長】
 それを全部そこへ流すわけでもないでしょう。

【葛谷規制第3係長】
 その通りです。

【中込委員長】
 もし、手順書を破る事情があったら、また別にINESの評価になるということでよろしいですね。

【葛谷規制第3係長】
 はい。

【中込委員長】
 そういったことで、まず、委員の方のご理解を得なければいけないんですけれども、よろしいでしょうか。
 それでは、ちょっと元に戻りますけれども、暫定レベル0ということで評価されておりますが、その結果を本会合の検討結果といたしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中込委員長】
 ありがとうございます。
 それでは、ご異議がないようですので、本事象につきましては、原子力規制室が定めましたINESレベルの暫定値レベル0が妥当であるという結論としたいと思います。どうもありがとうございます。
 それでは、これで1つ目の議題を終了させていただきまして、2つ目ですが、2008年版のINESユーザーズマニュアルの運用についてということで、事務局からご説明をお願いしたいと思います。

【横井専門職】
 それでは、議題2といたしまして、2008年版のINESユーザーズマニュアルの運用について(案)ということで、ご説明させていただきたいと思います。資料につきましては、INES10‐2と10‐3を用いて説明させていただきたいと思います。
 10‐2の1の概要というところですが、これはもうご案内のとおりの経緯でございますけれども、これまでINESのマニュアルにつきましては、いわゆる2001年版というもので文部科学省は運用してきております。
 その後、IAEAから輸送に関する追加ガイダンスということで、2006年に策定されておりまして、その追加ガイダンスにつきましても、当省では2008年7月から運用を開始しております。
 今回、昨年6月でございますけれども、INESのユーザーズマニュアルの2008年版ということで、中身については前段の2001年版と追加ガイダンスの2006年版が統合した形として2008年版が出版されまして、タイトルにつきましても、「国際原子力・放射線事象評価尺度」ということで、2つを合わせたような名称になっております。
 これにつきまして、文部科学省といたしましても、今後発生いたしますINESの評価におきまして、このマニュアルを使って運用を開始させていただきたいということでございます。
 2の2008年版のマニュアルの主な変更点でございますけれども、中身につきましては、この1から3のように、これまで2001年版で使用されてきました原子力施設に関するもの、それから、追加ガイダンスにうたわれておりました放射性同位元素と輸送に関するこれらのものを合わせたことによる用語の統一が行われております。それから、2の基準等の明確化、3の実事例の追加がなされているということで、大きくはこの3つになっております。
 ただし、ここに書いておりますが、マニュアルの前書きにも書いてある言葉なんですけれども、INESユーザーズマニュアルの継続的な使用の観点から見直しが図られたということですので、中身につきましては、対象範囲等の変更はございません。
 1枚おめくりいただきまして、別紙ということで、2008年版INESユーザーズマニュアルの主な変更点ということで、ご紹介したいと思います。
 1は原子力施設、放射性同位元素、輸送の各分野における用語の統一でございます。最初のところでは、評価の分類ということで、これまで基準の1、2、3と言っておりました所外への影響、所内への影響、深層防護の劣化、追加ガイダンスにつきましては、被ばくの影響、環境又は施設内への影響、深層防護の劣化と言っておりましたが、2008年版になりますと、これらを統合したような形で、人と環境への影響、施設における放射線バリアと管理への影響、深層防護への劣化ということになっております。
 それから、2つ目の評価尺度の体系というところでは、いわゆるレベル0から7までの体系の表になっているところですけれども、ここにつきましても、2001年版と追加ガイダンスが合わさったことによりまして、多少用語が変更になっております。
 例えば、レベル7ですと、「深刻な事故」というのが「深刻な事故レベル」、レベル6ですと、「大事故」というのが「大事故レベル」、それから、レベル5が、「所外へのリスクを伴う事故」というのが、「広範囲な影響を伴う事故」、あとレベル4につきましては、「所外への大きなリスクを伴わない事故」というのが、「局所的な影響を伴う事故」という形で用語が変更になっております。
 それから、所外への影響、レベル2というところですが、これにつきましては、いわゆるレベル0から7までの表の中で、所外への影響のレベル2というところに、今まで2001年版では記載がなかったんですけれども、追加ガイダンスでは、10mSvを超える一般国民の被ばく、あと年間の被ばく線量限度を超える作業者の被ばくというのが書かれておりまして、2008年版につきましては、右に書いてあるとおり、10mSvを超える公衆の被ばく、法令による年間限度を超える作業者の被ばくということで、両者が合わさって反映されたというものでございます。
 それから、裏面に行きまして、2として、基準の明確化というところでございます。最初のところは、深層防護への影響評価における対象事象の明確化ということで、これまで2001年版は、原子力施設、実質的には発電用の原子炉ということで記載されておりました。それから、2006年版の追加ガイダンスにつきましては、輸送と放射線源が記載されておりました。
 これらについて2008年版では、出力運転中の発電用原子炉の事象、特定施設での事象、輸送及び放射線源の事象ということで、3つに分かれました。
 一番最初の出力運転中というのは、実質的に発電用原子炉のことですので、2001年版のものがそのまま入っております。それから、輸送放射線源については、そのままほとんど変わりはございません。
 2つ目の特定の施設での事象というのが、フローとしては新たに追加になっておりまして、米印で書いておりますとおり、特定の施設というのは、核燃料サイクル施設、研究炉、加速器、放射性核種の製造及び販売、あとここには書いておりませんですが、廃止措置中のものということで、「特定の施設での事象」というカテゴリーが追加になっております。
 文部科学省といたしましては、原子力施設としては、主に試験研究炉と使用施設が対象になりますので、カテゴリー的にはこの「特定施設での事象」というところを今後は使っていくことになろうかと思います。
 それから、2つ目の人と環境への影響評価における被ばく人数の定義ということで、これまで被ばく評価を行うに当たって、数人とか、数十人というようなあいまいな形で記載されておりましたが、2008年版では、数人は3を超える数、数十人は30を超える数ということで、これまでの実績等を踏まえまして、この2008年版に改定になったとしても、これまでの評価が変わらないものということから、変更されていると聞いております。
 それから、3つ目の人と環境への影響における被ばく人数の考慮ということで、これまで被ばくの人数を考慮していたのは、輸送と放射線源、2006年の追加ガイダンスにのみ記載されておりました。今後は右のとおりで、原子力施設についても、被ばくの評価に当たっては、人数も考慮するということが追加になっております。
 それから、4つ目ですが、施設における放射線バリアと管理への影響における施設の汚染に関する線量当量算定時の換算係数の追加ということで、要は、特定の核種から放出された放射能をヨウ素131に換算して、それと比較できるようにするという換算係数のことですけれども、これまで2001年版では、主なものとして19核種、それから、追加ガイダンスの2006年版のほうでは、22核種が表として挙げられておりました。これが2008年版では、これを両者合わせて22核種ということで、一部換算係数の数値が変更になっているところもあるようですが、基本的にはこの核種がそのまま移行しているという考えになっております。
 それから、3の事例の追加ということで、これまでマニュアルを実際に運用するに当たって、実事例として実際に評価した例が載っていたんですが、これまで23事例、13事例と載っていたんですが、今回は充実されて55事例が掲載されているということで、この部分でかなりページ数が増えているような状況になっております。
 主な変更点ということでは、以上でございます。
 それでは、1ページ目にお戻りいただきまして、3の当省の適用範囲でございます。これにつきましては、2008年版になっても従来どおりでございまして、原子炉等規制法の62条の3の主務大臣への報告と、輸送に関する事故故障等の報告ということで、いわゆる法令報告事象のあった事象、それから、社会的影響が大きいと原子力規制室長が判断した事象について適用するということですが、これは変更ございません。
 2ページ目でございますが、4の評価の方法でございます。これにつきましても、変更はございません。基本的には、このユーザーズマニュアルを用いて評価を行います。レベルの正式な確定に関しましては、INES評価ワーキンググループにおいて、暫定的に評価したINESレベルの妥当性についてご検討いただきまして、その検討結果を参考に最終的に確定するという手順になります。
 それから、5の運用開始時期でございます。2008年版を用いましたINESユーザーズマニュアルの運用開始時期につきましては、今年4月1日以降に発生した事象から適用して評価を実施したいと考えております。なお、3月31日までに発生しました事象に関しては、従来どおり旧マニュアルということで実施したいと考えております。
 最後に今後の予定でございますが、本日のワーキンググループにおきまして、2008年版の運用ということでご了承いただきました後、4月1日から運用を開始させていただきたいと考えております。なお、補足ですけれども、原子力安全・保安院の事象につきましても、4月1日から適用するということで聞いております。
 それでは、もう1つのINES10‐3ということで、引き続きご説明させていただきたいと思います。INES10‐3の資料は、当ワーキンググループの設置要綱になっております。裏を見ていただくと、変更箇所ということで、参考までに記載させていただいております。今回この2008年版のマニュアルを運用するというご了承をいただきました後、このような形で変更させていただきたいと考えております。訂正箇所につきましては、今回INESのマニュアルの名前が、国際原子力・放射線事象ということに追加になっておりますので、上から3行目ですけれども、「放射線」というのが追加になっております。あと英文のほうも同じように直しております。
 それから、従来のユーザーズマニュアルに加えて、その追加ガイダンスということで記載されておりましたが、この追加ガイダンスは取り込まれる形になりますので、「及びその追加ガイダンス」という文言は削除させていただきたいと考えております。
 一番最後の附則というところですが、先ほど申し上げましたとおり、2008年版のマニュアルにつきましては、4月1日以降発生した事象をもとに評価を実施させていただきたいと考えておりますので、この要綱につきましても、4月1日から施行するとさせていただきたいと考えております。
 そのほかにつきましては、特段の変更はございません。
 簡単ではございますが、以上でございます。

【中込委員長】
 ありがとうございます。
 皆さんかなりご承知のことと思いますけれども、2008年版のINESは改正というか、こうなったということをご紹介いただきましたが、これにつきまして、まずご質問等ございますでしょうか。どうぞ、須藤委員。

【須藤委員】
 文部科学省の話ではないんでしょうけれども、一番最後のINES10‐2の資料の4ページの変更後の一番上ですけれども、対象として、出力運転中の発電用原子炉の事象と書いてあって、そうすると、停止中の発電用原子炉の事象というのはどうなるのかなと思ったんですけれども。

【横井専門職】
 停止中の原子炉については、特定の施設での事象という方に、さらに停止中の原子炉に関する事象と書いてありまして、フロー的にはそちらになっているという形になります。ここでは、あくまでも出力運転中ということで用いています。

【須藤委員】
 はい。

【中込委員長】
 そのほか、石田委員、どうぞ。

【石田委員】
 原子力規制室でこの2008年版ということですが、INES、文部科学省の放射線規制室でもINESをやっていると思うんですが、そちらの動きとか、あと輸送の範囲では国土交通省も入ると思うんですけれども、そちらは何か全体が歩調を合わせていくんですか。それはどんな状況になっていますでしょうか。

【横井専門職】
 今回の2008年版の運用開始につきましては、あらかじめ関係省庁と打ち合わせをさせていただいておりまして、保安院につきましては、既にINESの委員会が開催されて、4月1日以降運用を開始するということになっております。
 それから、当省のRIにつきましては、放射線規制室に確認したところ、会合という形はとりませんが、別途各委員の先生方に運用開始ということで連絡をさせていただいていると聞いております。
 国土交通省につきましても、このような形で年に2回ぐらいの会合と聞いておりますけれども、そういった会合で、タイミングを見て、そこで2008年版の運用ということで諮ると聞いております。

【石田委員】
 実質的には日本全体が一斉に動き出すと考えていいんですね。

【横井専門職】
 はい。

【中込委員長】
 よろしいですか。ちょっと1つ、私、経済産業省の方も、どっちも関係しているのもあるんですけれども、いろいろな各担当部署で、担当規制当局で暫定的レベルを評価して、それぞれの委員会で評価するということになっていますが、そういう意味で、我が国として、バランスを調整するということはやるんですか。
 例えば、同じような事故なのに、経済産業省がやったら、きついけれども、こっちは緩いとか、そういった調整というのは、特にお役所同士でやるということはあるんですか。あるんですかと私が聞くのも変なのかもしれません。
 文部科学省がやった基準と、三澤先生からも実は0プラスとか、0マイナスがあってもいいんじゃないのというのは、確かにそういう案がありまして、その後どうなっているのかというのは、ちょっと聞きたいところもありますが、その前に、ニュアンスの違いとかというのは、調整する必要があるのか、いや、文部科学省は文部科学省でやるんですというのも1つの答えかもしれませんけれども、その辺はどう考えておられますか。

【横井専門職】
 正直なところでは、事象について、例えば、レベル0でよろしいかというお伺いは立てておりませんが、INESのレベル評価につきましては、経済産業省が評価の事例としては非常に多ございますので、文部科学省側がそれを多少ウォッチングして、こちらに反映できるものは参考にさせていただきたいと考えておりまして、特段すり合わせというようなことを公にやっているということはございません。

【中込委員長】
 そうですか。これは、国同士でレベルを比較してはだめということは知っていますけれども、日本として、例えば、原研機構であったり、発電所であったり、管轄が違うなんていうことは、IAEAとしては全然知る立場にはないんですよね。そうすると、日本での評価となると思いますから、その辺は調整も何もなしで、文部科学省が言っているのと、あれというのは、すべて経済産業省のほうが大きいからそっちに従いますというので、ある意味ではそこですり合わせというか、レベル合わせをしているのならともかくなんですが、やっぱり我が国として何か必要なのかなという、いや、なければいけないというあれではないかもしれませんけれども。

【吉田原子力規制室長】
 もし必要であれば、あれですけれども、今のところ各施設ごと、それぞれ各省庁で所掌されている施設についてINESのものを、基準マニュアルを採用しているだけであって、もし、それがINESの基準がもっとそうじゃなくて、全体的な試験研究炉もそれこそ実用炉もここでやっている出力中とかいっていますけれども、そういうのとみんな一緒だと、一緒にこういう評価をするという統一の基準ができれば、それぞれ国内で調整しなければだめでしょうけれども、今はそれぞれ施設毎になっていますので、それぞれ与えられている施設について、自分らがやるだけと認識しております。

【中込委員長】
 特に大きな違いは感じられないし、その必要性がないということで、現状ではないということでいいですね。

【吉田原子力規制室長】
 はい。

【中込委員長】
 だから、けしからんという意味ではありません。わかりました。ありがとうございます。そのほか、三澤先生。

【三澤委員】
 今、中込先生が言っていただきましたが、以前ちょっとお話がありました。経済産業省ではレベルプラスマイナスというのがあって、0ですね。文部科学省ではまだ0だけということで、以前これをプラスマイナスという評価も可能にするような運用もいいのではないかという話があったかと思うんですが、今でもそのように思っているんですが、いかがなものでしょうか。

【横井専門職】
 その後、鋭意検討はしている状況ではありますが、レベル0というところは、INESの評価に照らしますと、マニュアルではあくまでもレベル0と書いておりますので、文部科学省としては、あくまでもレベル0はレベル0だという考えでやっております。
 保安院につきましては、プラスマイナス0でやっているということは承知しておりますが、聞いているところでは、プラスというのは、安全上重要ではないんだけれども、安全に影響を与え得るもの、あとレベル0のマイナスというのは、安全上重要ではないんだけれども、安全に関係し得る事象ということですけれども、この線引きというのはなかなか難しいところがあるようでして、社会的な影響とかを含めて、事象毎に個別に評価をしているというのが実態だそうです。このため、しゃくし定規にプラスはここから上だとか、これがマイナスだとかというところは、指標としてなかなか難しいということがありますので、そのような保安院の動きを我々もウォッチングして検討はしているんですけれども、現状では一応レベル0は0ということで運用していきたいと考えております。

【中込委員長】
 いかがですか。

【吉田原子力規制室長】
 今、担当から言いましたように、検討していないわけではなくて、検討しているんですけれども、試験研究炉は事例がないんです。1年に1件とか、2件で、だから、もう少しその辺が、例えば、今回みたいな漏洩の話なんていうのは、ほんとうに安全上にあれですから、保安院ベースでいうと、マイナスに入るかもしれないですけれども、だから、その辺はもうちょっと事例を積み上げてというか、別に事故を、トラブルを起こしてほしいというわけではないんですけれども、その辺をもうちょっと踏まえて、事例をいろいろ検討してみて、それで検討していきたいとは思っていますけれども、まだその段階にはいっていない、決定する段階にはいっていないということです。

【中込委員長】
 多分0プラスとか、0マイナスというのは数値でどうのこうのという話ではなくて、気持ちだと思うんです。報告は、最終的には0だと思います。だけれども、何となく、もうちょっと注意してねという0と、まあ、これは0にもならないというと変ですけれども、そんなにきりきりやることもないんじゃないかと、そこは皆さんのご経験で……。

【吉田原子力規制室長】
 そこは安全上とか、何かそういう用語で今やっているわけですね。

【中込委員長】
 というつもりなんですが、事例のことを言われると、統計的にどうのとなってしまうので、ちょっと数量の話はしたくないんですけれども、気持ちとしてはわかってもらえます? 0プラスとか、そういったので、いや、もう数値を決めなければいけないから、したくないんです、するつもりはありませんというのか、それとも、将来やってもいいかなという、どうなんでしょうか。
 今言ったように、0プラスだから、0マイナスよりは厳しく何とかというのではなくて、多分事業者に対しても、もうちょっと注意してねという、法令でどうのこうのというのではないんですけれども、そういった国内の気持ちだと思うんです。多分0プラスなんていったって、IAEAはこれは何だとなりますから、これは0で全然問題ないと思いますけれども、あまりしゃくし定規に0は0ですと言ってしまうと、それは間違いはないけれども、もう1つ気持ちとしてと、多分三澤先生は現場を管理されているので、そういう気持ちだったと思うんですけれども。

【三澤委員】
 私もオフィシャルな報告という形で0となるのは、異論はないわけなんですが、今、室長から事例を重ねてという話がありましたけれども、まさにそうだと思うんですが、そういう意味でも、今後これを重ねる上でも、議論の中で、これはもしかすると0のプラスじゃないかという意見を、INESのこの会議の場で発言させていただいて、それを何らかの形で集約、事例という形で集めておくということはあってもいいんじゃないかと。もちろんこの会議は公開の会議ですので、そういう形がいいのかどうか、ちょっと疑問なところはあるんです。ただ、議論の中に、プラスマイナスという話があっても、今後それは役に立つのではないかと思っています。

【中込委員長】
 その他、今0プラスマイナスの話がありますが、委員の方で妥当だなと、それは細か過ぎるとか、そういういろいろな意見があってもおかしくないと思うんですけれども、今やれということではなくて、そういった方向が、この委員会として出せるかどうかなんですけれども、いかがでしょう。

【石田委員】
 私、ちょっと難しいんじゃないか。

【中込委員長】
 0は0でいいんじゃないかということですね。

【石田委員】
 ええ。軽水炉のような大きな施設、あるいは再処理もそうですけれども、そういうインベントリーがものすごく大きなところと、ここで扱うような少し小さなところで、例えば、同じ漏洩があったとしても、もとがものすごく大きかったり、こちらの方が高かったりすると、そういう違いだとか、色々なところが出てくると思うんです。そこのニュアンスが同じ、例えば、プラスとかマイナスとかという言葉は同じ、共通に使ってしまうと、経済産業省の対象物と文部科学省の対象の施設とが同じように外から見られるんじゃないかと、そこがちょっと気になる感じが私はします。あえてそこのプラスマイナスを文部科学省対象の施設の中ではつけなくても差し支えないのではないかという気がいたします。

【中込委員長】
 ある意味でインベントリー、同じリアクターでも……。

【石田委員】
 ええ。相当違いますよね。

【中込委員長】
 そのほか、ご意見等ございますか。どうぞ。

【須藤委員】
 今の経済産業省の保安院でプラスマイナスをつけているというのは、どういう効用が見られているのかなというのがよくわからないんですが、何か文部科学省の方からは説明しがたいところがあるかと思いますけれども、今みたいな、気持ち、同じ0でもプラスマイナスをつけることによって、受けとめ方が違うという期待もあるでしょうし、どういうことだったのかなと。

【中込委員長】
 回答いただけます?

【横井専門職】
 はい。昨年末に開催された保安院のINESの小委員会で、このINESのレベルプラスマイナスという話が出ておりまして、先ほど、プラスについては、安全に影響を与え得る事象とか、マイナスについては安全に関係し得る事象と承知していると申し上げました。その資料を見る限りは、事故・故障に対するきめ細やかな分類が可能となるようにレベル0を2つに分割したと書いておりまして、社会的な影響とか、そういった色々な状況を含めて、多少重みづけをするのに使っていると承知しております。

【中込委員長】
 効果は? 効果を聞いているんですけれども。

【横井専門職】
 効果につきましては、この公開資料を見る限りは触れておりません。

【中込委員長】
 二ノ方先生、何か。

【二ノ方委員】
 私も保安院の委員をやっているんですけれども、基本的には、同じ0でも、限りなくじゃない、1に近いような0とか、0でも対象にならないか、ボーダーラインにあるようなものを0マイナスにすることがある、感覚的なものではなくて、一応マトリックスがあって、先ほどおっしゃった、きめ細かな判断基準というのを作ってはあるんです。きめ細かなといっても、例えば、発生頻度、こういう事象、コンポーネントがたくさんあった場合には、寿命中にどのくらい起きる可能性があるかとか、それによっては、起こり得る可能性が高いものというのは、常に、それはどこかで引っかかる可能性があるし、引っかからないようなもので、例えば、潜在的な影響がどれくらいあるかと、基本的に先ほどのDID、defense in depthの基本評価のところにあるこの辺のところをもう少し細かくして、それで、一個一個、プラス3分の1、プラス3分の2と、そういうのが全部マトリックスに書いてあるんです。そういうのをここに対応させるかどうか。
 今まで我々がここで審議してきた事象に関していうと、やっぱり対象が大きな動力炉とは違って、先ほどのやつなんかも、シンプルですよね。潜在的な故障と言われても、何が潜在的なのかわからない、顕在化しているから、ああいうふうになっているから、ああいう評価ができるわけですから、そういう意味では、何となくプラスマイナスというのを明確に、我々が扱っている対象が、どちらかというと、ああいう複雑な一方だけでなくて、ものすごくシンプルなものがあるから、それに対応させることができるかできないかというのは、その度に難しいかなという気がします。扱う分野、どちらかというと、こちらの方が幅が、スペックが広いような感じがするんです。ですから、動力炉というか、発電所というか、発電プラントとか、再処理とか、そういう大きな、極めて巨大なシステムに対する判断基準をここに直接適用するのはちょっと難しいかなと、そんな感じがします。

【中込委員長】
 わかりました。

【目黒委員】
 私はまだ結論というところまではいっていないんですけれども、例えば、原子炉と、大きな施設と文部科学省が管轄の施設は大きさが違いますけれども、レベル0と1の違いは同じなんです。だから、そういう意味では、インベントリーが違うから、0プラスをつける、つけないというのは当てはまらないような気はするんです。ただ、対象施設が、種類が多岐にわたっているので、我々の中で基準を決めるのは、極めて難しいのではないかと。
 今度基準を決めたがために、後でその値が一人歩きして評価されてしまっても、怖いかなというところがあって、確かに、トラブルを起こしたところに、もう少しで1ですというような警告を含めて、0プラスの効果はあるんだと思うんですけれども、その判断基準を決めるのが大変であり、対象施設が多岐にわたっている分、難しいのかな。
 先ほど室長が言われたように、それなりの経験を積んだ上で、少しずつ決めていかなければいけないのかなという気は、ちょっと時間がかかるんじゃないのかな。今すぐここで作ってくださいという結論は出しにくいんじゃないかと私は思っております。

【中込委員長】
 ありがとうございます。多分これは結論、どれが正しいかというのはないと思いますが、とりあえず2008年バージョン、今後は4月1日からということなんですけれども、今までの所外、所内というのが、今度は人と環境とか、被ばくということに重点を置かれている。これは輸送なんかは特にそうです。輸送で所内とは何ということになるので、輸送も含めて、人体への影響とか、環境への影響とかということを中心に書かれて、深層防護は基本的には変わっていないんですけれども、そういった観点に立って評価されていくという中で、文部科学省は手作り施設を管理しているみたいなものですよね。一品一品それぞれ色々な特徴があるものをやっているので、統一的に一概に共通事項はこうということは言えないかもしれませんけれども、今回4月から新しく変わったのを含めて、将来も事例をいろいろ重ねるかもしれませんが、その中でまた検討させていただけたらと思っております。
 今の皆さんへのお答えは、国の方からもうしませんという話ではなくて、やってもやらなくても、どっちでもいいかなという感じだと思いますので、その辺については、ちょっと時間をかけてでも議論していけばと思っております。
 よろしいでしょうか。

【土屋委員】
 一言だけ、何も言うことがないんですけれども、INESの評価というのは、多分事業者の方からも、社会からも信頼されるシステムになっていくことが必要、重要なのかなと思うんです。そういう意味では、きちんと説明ができるのかどうかということも、今度評価レベルを多様化するかどうかにかかわるんじゃないかなと思うので、これから議論していけばいいんじゃないかと思います。

【中込委員長】
 ありがとうございました。
 三澤先生、どうぞ。

【三澤委員】
 1つだけ、インベントリーとかという問題もあるんですが、INESのレベルを決めるフローは、今日のも非常にクリアに0というところに行きつくわけなんですけれども、いつも悩むところというか、これはいいのかなと思うのは、付加的な要因というところ、例えば、安全文化の欠如というときに、1つ上げるという、これはINESのマニュアルに明確に書いてあることなんですが、例えば、今回の漏洩というところに、もし、マニュアルがなかったと。例えば、先ほど言われた、原液はどこかに捨てて、ここは洗うところですというだけのマニュアルがあったということで、問題なしということになったんですが、もし、仮にそういうマニュアルがなくて運用していたとしたら、安全文化の欠如というところにならざるを得ない。だけれども、これを1つ上げて、0を1にするところには、どう考えてもそこまではいかないだろうと。
 そう考えたときに、例えば、これをもし、安全文化の欠如というときに、0だったのを0プラスにするというのは、そういう意味で、事業者への警告ということも含めて、それなりの意味があるものではないかということを思いまして、確かに外部への影響ということでは、発電炉とは違うんですが、やはり安全文化ということを考えたときには、そういう1つの細かい分類があってもいいのではないかと、私はそんな意見を持っております。

【中込委員長】
 ありがとうございます。各専門家からそういうご意見をいただくということは大変重要なことだと思いますので、今後の参考にさせていただきたいと思っております。決してこれで決まりという話ではありませんので、これから議論を重ねていきたいと思っております。
 よろしいでしょうか。そうしましたら、2008年版のINESの説明をいただきましたけれども、その運用についてご了解いただけたものといたしますが。

【目黒委員】
 すみません、細かなところで大変申しわけないんですけれども、一応文章上の話なので、INES10‐2の別紙の変更後のところなんですけれども、用語の統一のところ、3ページなんですけれども、INESレベルのレベル0から7までのところの用語で、例えば、「深刻な事故レベル」と、「レベル」という言葉がついているところとないところがあるんですけれども、これは何か理由があってこのような書き方をされているんでしょうか。何か本文を見ると「レベル」という用語は入っていないんですが。

【横井専門職】
 根拠といたしましたのは、2008年版マニュアルの3ページに、0から7までのレベル表ということで載っております。「深刻な事故レベル」とか、「大事故レベル」、「レベル」を併せて書いたほうが正しいかとは思いますが。

【中込委員長】
 レベル7が「深刻な事故」だったのが、レベル7というのが、「深刻な事故レベル」と、「レベル」という言葉が入っているということですかね。何か新しいほうは入っていたような気がするんだけれども、英語バージョンを見れば……。

【目黒委員】
 英語がないんですよね。メジャーアクシデント。

【土屋委員】
 メジャーアクシデント。前にある。

【中込委員長】
 レベル7というので、深刻な事故……。

【土屋委員】
 レベルの名前なのか、何とかレベルなのかということですね。

【中込委員長】
 やっぱりこれはレベルとついたらおかしいね。だって、レベル5といったら、何とか事故でおしまいになっているから、事故レベルとは書いていない。広範な影響を伴う事故……。

【横井専門職】
 では、そこは統一させていただきたいと思います。ありがとうございました。

【中込委員長】
 全部通じる話だから、がらっと内容が変わるわけではないので、ありがとうございます。

【横井専門職】
 ありがとうございました。

【中込委員長】
 それでは、そういったことで、「レベル」を本番というか、オリジナルに合わせるということで。

【二ノ方委員】
 変更でもう1つよろしいですか。今のページで、「深層防護への劣化」というのと、「深層防護の劣化」の意味、「……への」というのは変わったんですかね。

【中込委員長】
 昔から「……への」だったと思うけれども、意味の違いはどうだったっけ。「深層防護の劣化」というのと、「……への劣化」というのは、ちょっと意味が違う。

【二ノ方委員】
 違います。

【横井専門職】
 中身は変わっていないと認識しておりますので……。

【中込委員長】
 「深層防護の」だよね。

【横井専門職】
 はい、ここは統一したいと思います。ありがとうございました。

【中込委員長】
 では、そういうことを踏まえまして、ご意見がないと私は判断いたしますが、今後4月1日以降に発生します事象につきましては、この2008年バージョンで運用したいと思っております。
 それでは、今日はよろしいでしょうか。本日の議題は以上でございますが、ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、最後に事務局から連絡事項等があれば、お願いしたいと思います。

【吉田原子力規制室長】
 本日はご議論いただきまして、どうもありがとうございました。原子力機構核燃料サイクル工学研究所の応用試験棟に係る事象のINES正式値につきましては、本日の会合の結果を参考といたしまして、文部科学省として決定させていただきたいと思っております。
 また、2008年版のINESユーザーズマニュアルにつきましては、本年4月1日以降に発生する事象を対象に運用させていただきたいと思っております。
 次回の開催については、後日事務局から連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 本日はありがとうございました。

【中込委員長】
 それでは、委員の皆様におかれましては、特に0プラス、0マイナスということで、活発なご意見をいただきまして、ありがとうございます。これは今後続けていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、特に今回のは0でよかったということはないんですけれども、施設に対してもまたご連絡と気を緩めないようにするようにお願いしたいと思います。
 以上をもちまして、第10回INES評価ワーキンググループを閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

【吉田原子力規制室長】
 どうもありがとうございました。

‐了‐

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室

横井、林
電話番号:03-6734-4033(直通)

(科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室)