国際原子力事象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ(第8回) 議事録

1.日時

平成21年2月27日(金曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省15階 科学技術・学術政策局第1会議室

3.議題

  1. INES運用の見直しについて
  2. 輸送関連事象のINES評価について
  3. 放射性物質を含むベークライトの不適切な管理について
  4. その他

4.配布資料

○ INES8-1 第7回INESワーキンググループ議事概要(案)
○ INES8-2 INES評価ワーキンググループ設置要綱
○ INES8-3 輸送関連事象のINES評価について
○ INES8-4 放射性物質を含むベークライトの不適切な管理について

(参考資料)
○ 参考‐1 INES評価ワーキンググループ委員名簿
○ 参考‐2 放射性物質を含むベークライトの不適切な管理について,平成20年10月25日文部科学省
○ 参考‐3 放射性物質を含むベークライトについて(お知らせ) ,平成20 年11月14日文部科学省
○ 参考‐4 INES Event Rating Form(ERF)

5.速記録(第8回国際原子力事象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ)

(注:この速記録の発言内容については、発言者のチェックを受けたものではありません)

平成21年2月27日(金曜日)

【吉田原子力規制室長】  それでは、定刻となりましたので、第8回のINESの評価ワーキンググループを開催させていただきます。

 ご出席いただき、ありがとうございます。本ワーキンググループは、お手元の参考資料、ちょっとダブルクリップを外してもらいますけれども、参考-1の委員名簿がありますが、構成員は10名となっております。本日は9名の方がご出席いただいておりますので、定足を満たしているというふうに考えております。三澤委員については、ご欠席ということで連絡を伺っておりますので、お知らせしておきます。

 申しおくれましたけれども、私、昨年9月に小原から引き継いで原子力規制室長を拝命しておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の進行は、運営要領に基づきまして、委員長でおられます中込先生にお願いしたいと思います。

 それでは、先生、よろしくお願いいたします。

【中込委員長】  それでは、第8回INES評価ワーキンググループを開催させていただきます。

 本ワーキンググループは公開となっておりますので、発言は私がご指名した後に行っていただきたいと思います。

 それでは、まず初めに、本日の配付資料の確認について、事務局からお願いいたします。

【横井専門職】  それでは、配付資料等の確認をさせていただきます。お手元の、ダブルクリップでとじてありますが、1枚目に本日の座席表。2枚目に議事次第の1枚紙。それから、INES8-1といたしまして、前回の議事概要(案)。INES8-2といたしまして、ワーキンググループの設置要綱。2枚紙です。それから、INES8-3といたしまして、輸送関連事象のINES評価についてということで、パワーポイントの資料。続きまして、INES8-4といたしまして、ベークライトの不適切な管理についてのパワーポイント。その後は、参考-1といたしまして、ワーキンググループの委員名簿。参考-2で10月25日付の文部科学省のプレス文、不適切な管理について。それから、参考-3といたしまして、11月14日付の文部科学省のプレス文、ベークライトについてのお知らせ文。最後に、IAEAの通報様式ということで、参考-4ということでございます。

 過不足等がございましたら、お近くの事務局までお申しつけいただきたいと思います。

 それから、補足ですけれども、INES8-1の前回の議事概要につきましては、既に先生方にお送りさせていただきましてご確認をいただいているところではございますけれども、万が一お気づきの点等がございましたら、また事務局までお知らせいただきたいと思います。

 それから、この議事概要の中に前回ご議論がありましたレベル0のプラス・マイナスのお話がございますけれども、これにつきましては、現在も事務局において検討中でございますので、また改めてご紹介したいと思います。

 それから、最後ですけれども、これまでINES8-1のように議事概要ということで作成をさせていただきましたが、昨今の事情によりまして、今後は速記録ということで作成をさせていただきまして公開ということをさせていただきたいと思いますので、ご承知おき願いたいと思います。

 以上でございます。

【中込委員長】  ありがとうございました。

 ただいま事務局から説明がありましたが、今回の議事より議事録というのは速記録として作成して公開されるということですので、よろしくお願いいたします。

 何か、今の件についてご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、議事に入りたいと思います。本日、ここにありますように、その他を入れて4つの議題が用意されておりますが、まず最初のINES運用の見直しについてでございます。

 事務局より説明をお願いいたします。

【江田専門官】  それでは、INES8-2、研究炉等に係るINES評価ワーキンググループ設置要綱の変更について、ご説明させていただきます。

 INES8-2でございますが、2枚組となっておりまして、2枚目のほうに見え消しで修正の部分について表記してございますので、2枚目の参考のほうを用いまして、変更部分についてご説明させていただきます。

 まず、目的の部分で第1条の下3行を削除してございますが、こちらにつきましては、目的というよりは第2条の事務の部分の記載でございましたので、修正としまして、第2条のほうに改めて移動させたということでございますので、内容に関して大きな変更はございません。

 第2条でございますが、ここに1点だけ、新しく変更がございます。第2条の第1項でございますが、「INES評価WGは、INES基準に基づき、文部科学省が法令報告事象」、ここからが今回の追加でございますが、「又は社会的影響が大きいと判断した事象」。これは必ずしも法令報告事象と1対1にはならなく、そのときの状況で社会的影響が大きいと文部科学省が判断した事象につきましては、文部科学省が暫定的にINES評価を検討するというような追加でございます。

 第2項につきましては、先ほど第1条の下3行で削除したものの移動でございます。

 変更点につきましては、以上でございます。

【中込委員長】  ありがとうございます。

 ただいまの事務局の要綱の改正の説明につきまして、何かご質問ございますでしょうか。

 よろしいでしょうか。特にございませんようですので、これで要綱の改正ということにさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、議題(2)としまして、前回のワーキンググループにおいて事務局より後日説明することになっておりましたINESの追加ガイダンスについて、説明をお願いしたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

【南山運転管理・検査管理官】  まず最初に私の方から、前回の宿題という形になりますが、議事録、8-1の資料でございますけれども、その2枚目の一番後ろに関係する議事がございます。最後の紙の裏側になりますけれども、(5)ということで下のほうにございまして、前回、核燃料物質等の工場または事業所の外における運搬に係るINESの運用についてというご説明をさしあげました。その際に、1枚紙で説明したということもございまして、評価の方法、この内容、いわゆる追加ガイダンスによる評価の方法というのが今回新たに取り入れられてきましたので、次回そこを詳細に整理して説明させていただくということでございました。今回、この後の議題でもございますけれども、放射性物質の不適切な管理というのはまさに追加ガイダンスに基づきまして適用して評価させていただきました関係もありまして、今回改めて資料を用いましてご説明をさせていただくということにさせていただきました。

 資料8-3につきまして、大上の方から説明したいと思っております。よろしくお願いいたします。

【大上室長補佐】  原子力規制室の大上と申します。よろしくお願いいたします。

 それでは、輸送関連事象のINES評価について、ご説明いたします。1ページをご覧いただきまして、今回の追加ガイダンスですけれども、放射性同位元素の事象や放射線源の輸送に関連するすべての事象に適用することになっております。また、スクラップ金属の輸送で身元不明の線源の紛失や発見も対象となってございます。さらに、身元不明の線源からの被ばくも対象となってございます。

 続きまして、2ページをご覧ください。現在のINESでは、基準1、放射能の放出と一般人の被ばく、基準2、施設内の放射線の影響と従業者の被ばく線量、基準3、深層防護といった、3種類の影響を考慮しています。一方、今回のガイダンスでは少し異なってございまして、1、個人の被ばく線量と環境への実際の放出、2、施設内での放射線の影響、3、深層防護になってございます。この3種類の評価のうちから、最も高い尺度が採用されることになっております。

 3ページをご覧ください。フローチャート1がございますけれども、これが全体の流れを示しているものでございます。輸送については所外が対象となっておりますので、真ん中の点線で囲われた部分については所内ということになりまして、ここについては評価しないことになっております。

 続きまして、4ページの放射能の放出についてでございます。その下のINES評価の主要な手順をご覧ください。まず、一番左の列につきまして、過剰被ばくに基づく最大レベルのご説明を行います。これについては、1、INESの評価対象かどうか。2、放射能の放出や個人の被ばくがあるか。3、放射能の放出の場合は、ヨウ素換算でどれぐらいの放出があるか。4、個人の被ばく量はどれぐらいか。このような4点のことにより評価されることになります。

 続きまして、6ページをご覧ください。環境への放出に関する評価について、ご説明します。1つ目の○について、実際の放出とは、放射性物質の大気放出や拡散汚染のことでございます。2つ目の○につきまして、放出された放射能はI-131の換算で計算されるため、他の放射性物質には係数を掛けて補正することになっております。次に3つ目の○でございますけれども、初期の段階で情報が不足する場合は、暫定評価を行いまして、その後、正式評価を行うことになってございます。4つ目の○についてですけれども、環境への放出については、数百から数千テラベクレルの放出がある場合はレベル5になりまして、大気放出が少量の場合は、個人の被ばく量に基づいて評価されるということになります。表1は、先ほど2番目にご説明しましたヨウ素換算を行うための係数を表しております。

 続きまして、8ページ、個人の被ばくでございます。その下にフローがございますけれども、フローの左のやや下の赤の線をたどりまして、フローチャート2のところが個人の被ばく線量に基づく評価に該当するところでございます。ここについて、ご説明します。

 10ページでございます。最初の○についてですが、確定的影響がわからない時点で、線量しきい値を利用しまして、致死的影響かどうかなどを適用します。2つ目の○については、確率的な影響を伴う被ばくについては、人数が増えることによってレベルを1または2上げることを示してございます。

 その下にフローチャート2がございますので、それをご覧いただきたいと思います。最初の黄色のコラムですけれども、早期死亡の発生、またはその可能性のときは、最低評価レベルは4となります。右の表の黄色い部分でございます。次に、緑のところでございますけれども、人数が増えてくることによって、一番右の青の部分ですが、4の評価が5、6に格上げされる場合がございます。次に、急性健康障害の発生、またはその可能性がある場合ですけれども、最低レベルは3となってございます。緑のところでございますが、人数が増えますと、同様に評価が3から4または5に上がる場合がございます。以下、それぞれの被ばく量において最低評価レベルが決められまして、人数に応じて評価レベルの数字が上がるということになっております。

 次に、12ページでございますが、深層防護でございます。下のフローをご覧いただきますと、まず輸送については、施設内の評価はありませんので、点線の部分を飛ばしまして、赤い線をたどりまして、一番右の深層防護の評価に入ります。

 続きまして、14ページをご覧ください。事象については、深層防護の劣化の観点から評価する必要がございます。実際に認められる影響がない事象は、深層防護の評価だけになります。深層防護については、すべての安全対策が喪失する最大の潜在的影響、安全対策の状況に依存することになります。

 下のフローチャート4をご覧いただきたいと思います。深層防護の劣化基準評価の手順でございます。まず、最初の黄色のひし形の枠についてですが、分類5と書かれておりますけれども、分類5とは、実際の放射能が不明で線量が測定できない場合に、線源の危険性が低いものとして決まってございます。例えば治療用に使う線源など危険性が低いものは、分類5になるということになっております。またはA2値よりも小さいものということで、この2つのものが危険性が低いものとして、レベルは0または1になります。A2値というのは、IAEA輸送規則に書かれているA2値をとってございます。2つ目のひし形でございますけれども、放射線源の置き間違いや紛失、盗難などでございまして、これは表3による評価になります。次に、安全対策の劣化ですけれども、これも後でご説明いたしますが、表4となります。次に、上の3つに該当しないその他の安全関連事象としまして、表5となります。これも後ほどご説明します。この評価のうちの高いものが深層防護の劣化基準に基づく最大レベルとなります。

 続きまして、16ページをご覧ください。線源分類による評価についてですが、後ほど述べる表2のD値を利用します。放出された放射能がわかっている場合は、放射能をD値で割り算をしまして、D値に対する比を算出し、4つの分類に分けることになります。比が小さいほど危険性が小さいものとして分類4となりまして、比が大きいものほど危険性が高いものとして分類1となります。次に、D値がない場合ですけれども、これはIAEA輸送規則で使われておりますA2値を利用します。また、核分裂性物質を含んでいる場合は、危険性が高いものとして分類1として整理します。なお、D値とは、放射能の観点から、その値を超えると危険な線源ということになっております。

 次、下の17ページをご覧ください。事象において多数の線源や輸送容器を含んでいる場合は、すべてに影響するものなのか、1つの容器に影響があるものなのかを検討して、適用するインベントリーを検討する必要があります。例えば火災であれば、すべてに影響するものとします。輸送容器1個の不適切なラベルの場合は、インベントリーは影響を受ける容器の値1個を利用します。次に、D値に対する比が0.01未満のものは、人への影響の障害はもたらさないものとして人体への影響が小さいものになり、0か1にしかなりません。

 表をご覧ください。D値に対する比で4つに分類しまして、0.01から1が分類4、1から10が分類3、10から1000が分類2、1000以上が分類1になります。深層防護の基準による最大評価レベルの欄をご覧いただきますと、分類4のときはレベルが1、分類3のときはレベルが2、分類2が2、分類1が3になります。

 続きまして、18ページを見ていただきますと、これが核種のD値でございます。

 次に19ページをご覧いただきまして、線源や装置が紛失されたり、発見されたりする場合について、ご説明いたします。この場合は、後ほどご紹介します表3になります。輸送物を探し出すことができない場合は、まず置き間違いとみなされまして、それでも見つからない場合は紛失か盗難となります。輸送物の紛失は、深層防護の劣化で評価されます。輸送物が後で発見されれば、初めの紛失と後の発見は1つの事象として扱います。最初の評価は、得られた新たな情報に基づいて再度見直されます。再評価は、最初の深層防護の評価と実際の影響に対して行います。受けた被ばく量を推定する場合は、最悪のシナリオではなく、現実的な想定を用いることになっております。

 次に、20ページの表3をご覧ください。これが、放射線源、装置あるいは輸送物の紛失、あるいは発見の事象の評価でございます。事象のタイプが○のところで書かれてございますけれども、このタイプに該当するところと、あと先ほどご説明しました分類1から4によって、評価が変わります。内容は、1から3という評価レベルになります。

 次に、21ページをご覧ください。安全対策の劣化について、ご説明いたします。深層防護の劣化があった場合に適用となります。その劣化には、輸送容器の外側のコンテナとか、遮へい、閉じ込めシステム、インターロックなどがあります。また、容器のラベル、放射線モニタリングのソフトウエアもあります。次に、安全文化も重要な要素でございまして、品質保証プロセスの不備、ヒューマンエラーの累積等は、大きな欠如となります。

 次に、22ページをご覧ください。表4は安全対策の劣化がある事象のレベル評価でございまして、事象のタイプである安全対策の劣化と1から4の分類で評価します。ここには、安全対策に劣化がない場合と、2のところですけれども、安全対策の一部が残っている場合を示しております。下の3は表4の続きでございますけれども、安全対策が残っていない場合でございます。同様に、安全対策の劣化の内容として各項目に当てはまるものと分類1から4によって評価を行いまして、評価レベルとして0から3のどれかに該当させることになります。

 続きまして、24ページをご覧ください。紛失、発見や安全対策の劣化に該当しないものは、その他の安全関連事象となります。これも同様に事象のタイプと分類1から4によって評価が決まりまして、0から3のどれかに該当させることになります。

 続きまして、INESの評価レベルの決定でございますけれども、最後のページでございます。先ほどご説明しましたように、陸上輸送では施設外の法令報告を受けた場合の評価ですので、中央部の点線の部分である所内の影響に基づく最大レベルはございません。左下の赤の部分ですけれども、過剰被ばくに基づく最大レベルと、右下の紫の部分について、深層防護基準に基づく最大レベルでどちらか大きなほうがINESの評価結果となります。

 以上、簡単ではございますが、ご説明とさせていただきます。

【中込委員長】  ありがとうございました。ご理解されたかどうかは、皆さんのご意見をお伺いしたいと思いますけれども、ちょっと私の方からお願いしたいんですが、言っていることを聞いて初めてわかるんですけれども、文章と対応がつくような形で、例えば、1つ目、2つ目、3つ目って、どこを言っているのかというのがありますので、それがわかるような形で書いていただくと非常に理解が深まると思いますので、今後、ちょっとご注意をお願いしたいと思います。

【大上室長補佐】  はい。失礼いたしました。

【中込委員長】  それでは、ただいまのご説明につきまして、何かご意見がございましたら、出していただきたいと思います。

 私の理解では、今まで施設内と施設外というふうに非常に大きく分けられており、あと深層防護というのがありましたね。それが今度は、個人の被ばくとか環境への影響って、そういうふうに切り口がちょっと変わったと。それによって被ばくというのを非常に重要視してくるというところがありますが、それと同時に、わりあいと機械的にといいましょうか、こういったケース、こういったケースの分類と、いろいろ分けて、ある程度機械的に分けられるようにしたということなんでしょうか、追加ガイダンスは。

【南山運転管理・検査管理官】  現時点においては2001年の手順書はまだありますので、それに追加される形で出ています。我々はどういう形にしておりますかというと、施設で起こった事象、要するに許認可を受けて使っているものに対して、研究炉であるとか、使用施設で法令報告があった、こういうようなケースの場合は、現時点では従来どおりやりましょうと。それに加えまして、輸送事象の、これも外運搬規則に基づいて報告が来るわけですけれども、法令報告の場合はこの追加ガイダンス。先ほど追加いたしましたそれ以外のケース、社会的に大きな、今回のベークライトのような、これについても追加ガイダンスでやりましょうという形をとってございます。

【中込委員長】  それから、私ばかり質問であれなんですが、D値を導入していますよね。私、輸送でA2値というのをよく使っているんですが、D値が入ると非常に混乱といいましょうか、D値とA2値との関連とか、いろいろ議論はあるかと思うんですけれども、いずれにしてもD値を参考にしてやれというのと、D値とA2値が合わないところといいましょうか、核種でまだ正式にD値が出てないのがありますね。そうすると、AオーバーDの値を計算できないと。そういったときの、ここでは今までA2値を使いますよということなんですけれども、今後、D値がもっと細かくなるという方向にIAEAは行っていると理解してよろしいんでしょうか。今まで足りない部分が、例えばA2値が100核種あったとすると、D値は80核種しかやってなくて、あとの20核種はどうするのということは、鋭意増やしますというのか、もうこれでD値は終わりですというのか、その辺、もしご存じでしたら、お答え願いたいんです。

【大上室長補佐】  RS-G-1.9だと少し少ないんですけれども、もう1つこういうものがございまして、これによるともうちょっと核種が増えておりま……。

【中込委員長】  増えてきている?

【大上室長補佐】  増えてはきてございます。

【中込委員長】  A2値で扱っている核種の数並みにだんだん近づいていると理解すればよろしいんですね。

【大上室長補佐】  はい。

【中込委員長】  どうぞ。

【須藤委員】  輸送は専門じゃないのでよくわかってないところがいっぱいあるんですが、印象としては、分類分けを幾つかして、それぞれ表を作って、具体的な例が載っていて、ガイドラインとしては細かくできているのかなと。あとは、実際にこれを使ってみて、またいろいろ議論をして改良していくのかなと思いますけれども、質問したいのは11ページの被ばく線量に基づく評価のサブ手順【フローチャート2】というところで、この表に、きっちり何人という、10人、100人とかという数字と、数人、「数」というのがついているのがあるんですが、この違いは何なのかなという。

【江田専門官】  まず、100人、10人というところでございますが、INESの基本的な考え方として、レベル0から7まであります。実際上評価するのは1から7の7段階でございますが、レベルが1段階上がるということの意味づけとして、大きい概念としては、影響が1桁上がるというようなところから、1桁ずつ上げていくという基本的な思想で分類の考えを決めている。

 一方、数人、数十人というところでございますが、ここは、担当者レベルのガイダンスの議論、必ずしもここには日本側からだれか出ていた議論とは限らないんですが、その中で、数人、数十人というところ、これ、実際には英語で書いてあるんですが、基本的には、新しいガイダンスをつくっても、過去の事象を評価したときに、過去の評価が変わるようなガイダンスは新しく積み上げないという、INESの考え方がもう1つございます。それに基づきまして、担当レベルでは、数十人というところは、実際上は、例えばJCOの事故ですとかゴイアニアの事故とかをINESで過去適用してこれぐらいかなと決めたものを新しいガイダンスに適用しても結果が変わらないかという確認の中で、数十人というところはおよそ20という数字を使っていまして、数人というところは4以上。3でなくて4というところは、JCOの評価が3か4かというところで変わってきますので、そこは4というところが、ガイダンス上は明確にはなってございませんが、IAEAの議論の中ではそういったところで各国の了解がとれてございます。

【中込委員長】  よろしいでしょうか。

【須藤委員】  はい。

【中込委員長】  「数」というのは多分、severalというあたりで書いてあるんですけど、四、五人とも言えるし、三、四人とも言えるし、人によっては二、三人と言う人もいるので、我が国でも幅が広いんですね。1つの事例、JCOなんかをとって、そこをある程度の標準みたいな……。

【江田専門官】  数人というのは、4人以上。

【中込委員長】  ですから、事故と被害の度合いによって、「数」の解釈は、4人じゃなくて3人にしようかとか、5人になるかということもあり得るということなんですかね。

【江田専門官】  そこは文章的には明確になっていない。やはり過去の評価が変わるような評価というのはINESとしてはしたくないというようなところで、一方で各国の評価について何か基準があるわけではございませんので、先生がおっしゃるとおりの概念でよろしいかと思います。

【中込委員長】  非常に漠としたところがあるんですが、国内だと大きな事故が参考になりますね。

【須藤委員】  そうですね。いずれにしても、何らかの線量の数値を推定か何かで決めてからじゃないと、これは決められないんですね。

【中込委員長】  そうでしょうね。よろしいでしょうか。

【須藤委員】  はい。

【中込委員長】  どうぞ。

【目黒委員】  今までのINESというのは、基本的には原子力施設とかRI施設の中とその周辺の話だったと思うんですけど、輸送の場合の範囲というのはどこまで、我々の評価対象範囲になるんでしょうか。陸上以外を想定した場合なんですけれども、海上なり、何なり。

【南山運転管理・検査管理官】  文部科学省の部分は陸上輸送でございます。

【目黒委員】  あ、そうですか。日本近海の国内の海上輸送等は対象外ということなんですか。

【大上室長補佐】  文科省としては対象外でございまして、国土交通省の方がINESのワーキンググループみたいなものを持ってございますので、そちらで評価することになります。

【目黒委員】  わかりました。

【中込委員長】  どうぞ。

【二ノ方委員】  前回も質問申し上げたんですけれども、これは、国土交通省で行う放射性物質の輸送関連のINES評価と、それからもう1つ、放射線安全規制検討会でしたっけ? もう1つ、RIとか、これも私やっているんですけど、それの委員会とのすみ分けというのをもう一回はっきり教えていただけないでしょうか。

【大上室長補佐】  文部科学省は輸送の物に対して規制を行っておりまして、国土交通省は、運搬方法といいまして、車両にどのように積みつけるとか、小分けするとか、そういうところを規制してございます。その2つの省庁が関係してございますので、こちらの評価と、国交省にも別途ワーキンググループみたいのがございますので、そこは、事故が起こった場合は、合同の開催をやるとか、必要な連携を行いまして、同じ評価をすることになります。

【二ノ方委員】  RIは?

【大上室長補佐】  RIについては、RIの方の委員会とまた、RIも物の方の許認可、規制をしてございますので、輸送物に対して放射線規制室が担当してございまして、輸送方法については国土交通省が担当してございます。したがいまして、放射線規制室と国土交通省の方でレベルを調整しまして、評価することになろうかと思います。

【二ノ方委員】  このワーキンググループだと、研究炉にかかわるというふうになっていますね。

【大上室長補佐】  はい、さようでございます。

【二ノ方委員】  研究炉と輸送されるものというのが密接に関連している場合、ここでは輸送物を扱うわけですか。放射性物質を含むいろんな物質が行方不明になったりとか盗難に遭ったような場合というのは、放射線規制室の方のワーキンググループで扱うことが多いと思うんですけどね。

【佐藤規制第2係長】  そもそもの許認可が分かれておりまして、このワーキンググループで検討させていただくのは、あくまで先生おっしゃられるように試験研究炉等の許可を取った事業者、もしくは使用の許可の取った事業者が輸送を行う場合、そこで使っていた……。

【二ノ方委員】  オリジンが研究炉に発生しているような場合というふうに考える。

【佐藤規制第2係長】  ええ。一方で、RIの放射線障害防止法に基づいた許可を取った事業者が輸送を行う場合は、RIの方のワーキングで行う。

【二ノ方委員】  わかりました。

【中込委員長】  よろしいでしょうか。私からコメントするのも変な立場なんですが、私は実は国土交通省のINESの方の委員長をやっていまして、そこは、今ご回答ありましたとおりでございまして、ここでは輸送物なんです。基本的には輸送物の、要するに入れたものがちゃんとしているかどうか、施設側の話になります。国土交通省の担当の方は、輸送の方法だけですので、輸送物は既にありきと。それで、運び方、またはその途中で失ったり、盗られたりした場合にどう評価するかというのが切り口になっておりますので、RIを対象とされた場合には、放射線規制室からメンバーとして入っていまして、説明をしていただくことになっています。それから、核燃料物質でしたら、文科省規制対象施設の場合は当然、原子力規制室から来て、説明していただく。でも、輸送の方法については同じということで、国交省の方でやるというので、今なっております。ですから、縦割り行政の悪い面でもあるのかもしれませんが、一応、流れとしては、ぶつ切れにならないよう、連携をとりながらやっているというふうに理解しております。

 私から縦割り行政がどうのこうのというのは言いにくいんですが、実際に非常に見えない壁というのがたくさんありまして、そこはうまくコントロールしないといけないと思っております。多分、二ノ方先生はその辺を暗にご指摘されているんじゃないかというふうに思っていますが、まさにそうでございますので、我が国として、ここは文科省の管轄ですから他は知りませんではなくて、ある意味でいいおせっかいをしながら、国民から見れば国ですので、これは知りません、これは知っていますという話では答えにはなりませんので、その辺は、お互いに理解し合って、うまく説明できるようにしておくということでございますので、一応、規制は規制です。現法律に基づいての規制をやりますが、ちょっと聞く耳を持って幅広く見ていただけたらというふうに思っております。これは、コメントであり、期待でもあります。

【二ノ方委員】  よくわかりました。

【石田委員】  今のお話で輸送物と輸送方法というので一つ仕分けがあるんですけれども、同時に、海上輸送、航空輸送に伴う事故の発生のときは、国交省の方なんですね。

【中込委員長】  そうです。

【石田委員】  そこがさらにややこしさに拍車をかけているのかもしれませんけど。

【中込委員長】  石田委員からもご指摘ありましたけれども、実は規制当局が3つありまして、いわゆる核燃料使用施設でも、サイクルに関係するところですね。マイニングから、いわゆる製錬とか、いろんな加工施設、それから燃料、原子力発電所に関係あるものはすべて、保安院の管轄になります。それから、その他の使用施設というのがあります。核燃料は必ずしも発電だけではありませんので、大学で使うものとか、病院で使うものとか、それから一般の研究で使うもの、そういったものにつきましては、使用施設というのがありますので、それは文部科学省の管轄になります。輸送というのは全部に共通するものですので、これは国土交通省。それから、事故が起こったときは全体で、どこが関係するかというのはまさに、各省庁はそれぞれ、防災とか、いろんなのを持っていますので、対応はしますけれども。それから、輸送のルートについては警察庁の国家公安委員会が関係するという形で、走っているときに、交通事故があったり、輸送のルートで問題があるときには、国家公安委員会が管轄するということになっています。量に応じて、非常に放射能の低いものから、大量の影響を及ぼすものによって、当然のことながら対応の仕方が違うということになっていますので、まさに物と方法と、それから今言った海上……。

【石田委員】  海上か、航空……。

【中込委員長】  そうですね。かつては原子力船というのがありましたから、そういったことにつきましては国土交通省の管轄ということで、いわゆるコンピタントオーソリティーで所管管理が3つなんですね。国土交通省であり、文部科学省であり、経済産業省という形になっていますので、外国から見ると非常に奇異な世界だというふうに思われています。そこは、ある程度整理は必要だろうなとは思いますが、現法律として特に決定的な欠如はございませんので、うまく連携してできているというふうに思っております。

 委員長がしゃべり過ぎました。失礼いたしました。

 その他、ご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、私からちょっと確認させていただきたいんですけれども、先ほど、要綱の改正がありました。それから、今の追加ガイダンスの説明がございましたけれども、それらをまとめますと、今後、輸送事象と放射線源、放射線源は核燃料物質とか核原料物質をこの場合は指しますけれども、文部科学省が、法令報告事象、または社会的影響が大きいと判断された事象については、ただいまご説明のありましたINESの追加ガイダンスに従って評価するということでよろしいのですね。

【南山運転管理・検査管理官】  そのとおりでございます。

【中込委員長】  わかりました。ということでございますので、今後、そういう目を持って、実は次の議題がまさにそれに該当するものだろうと思いますので、早速、次の議題に移りたいと思います。

 それでは、議題(3)としまして、放射性物質を含むベークライトの不適切な管理についてということで、INESのレベル評価結果について、事務局から説明をお願いいたします。

【南山運転管理・検査管理官】  最初に私の方から、参考資料に基づきまして、これまでのところの経緯をご説明させていただきます。

 まず参考2の方を見ていただきますと、平成20年、昨年10月25日付の文部科学省の報道発表資料でございますけれども、この10月23日に、まさに文部科学省の玄関のほうに、ベークライト、放射線を放出するものがあって、それを2個ほど持ってこられた方がおりました。その取り扱いをどうしたらいいんだろうかということで、相談が参りました。当省におきましては、概要を測定したところ、1個について毎時数マイクロシーベルトオーダーの放射線を出しているということから、直ちに職員等を保管場所に派遣し、調査を実施したところでございます。調査結果を踏まえまして所有者が十分に安全確保される場所に移動したということで概要を書いてあるわけです。そのベークライト、放射線を出すというものなんですけれども、2段落目のところですが、どういう状況だったかといいますと、保管場所、東京都文京区にあったわけですけれども、長屋状の場所のわきに所有者が駐車場として使っていた空き地がございました。その空き地に、長屋の端に住んでいる方がいるわけですけれども、そのわきに当該物質が置かれていたという状況でございまして、隣家におけます放射線量を推定した結果、最大で19ミリシーベルト。その当該物質がいつからそこにあったのかということでございますけれども、この時点では本年5月、昨年5月、長野県の方から持ってきたということを話しておりましたので、それから約半年間この場所にあったということでございます。

 その下にベークライトの概要を書いてございますが、写真も次のページにございます。一番右にベークライトという写真があるわけですけれども、大きさは、3センチ掛ける3センチ、厚みが5ミリ程度のものでして、重量は1個あたり約14ないし15グラムというもので、2種類あったわけですけれども、数量的にこれが1個でありますと大したものではないんですけれども、15万個あるという話でございまして、それがこの倉庫に入れられていたということでございます。写真でございますけれども、左上のものが移動前の保管状況。これは文京区でございますけれども、いわゆる物置、簡易な物置の中に積まれていた。段ボール箱に入ったものと、段ボールから出されて1個ごとに袋に詰められたものがこのように保管されておりまして、この裏側に人が住んでおったわけです。これは一般の方が住んでおったという状況でございます。所有者が至急これを移動しようということで、2日後にこれを長野県の方のもとあった場所に戻した。上の真ん中の写真、ちょっと写りが悪いんですけれども、山の中に土地を借りて、そこにこの倉庫ごと移設しまして、設置した状況でございます。この後、さらに土のうを積み込んで、左下の写真にかぎをかけた状況がありますけれども、移動後に保管庫に施錠をして、立ち入り制限の縄張りをしたというものです。

 所有者には、これはどういうものかということを、この時点では放射線を出すということはわかっていたわけですけれども、放射性物質の中身を調べなさいということを言ったところ、分析結果が11月に出ましたので、それを第2報として参考-3で再度報道発表したところでございます。「放射性物質を含むベークライトの所有者から、当該物質の分析結果について、文部科学省に情報提供されましたので、お知らせします」ということで、11月14日に公表したものでございます。中身は、2.で書いてございますけれども、当該ベークライトにトリウム232が含まれておって、放射能濃度、含有量は次のとおりということで、放射能濃度は690ベクレル/グラム、含有量が170ミリグラム/グラムという形でございまして、規制値を超えるということが明らかになりまして、これは核原料物質であるというふうに判断いたしました。

 あわせまして、次のページになりますけれども、INESによる暫定評価をしたところでございます。最初のプレス発表でもございましたけれども、最大で19ミリシーベルトということなんですが、周りの隣家におきましては、参考-2の2ページ目になりますけれども、3カ所の隣接民家の放射線量を推定しておりまして、最大19ミリに対して、16ミリ、5.8ミリといった数字が出てございました。これに基づきまして、被ばくに基づく評価はレベル2というふうにいたしました。それから、深層防護のところに1と書いてございますけれども、これにつきましては、そもそも平成15年当時に、これは放射性物質が含まれるものであるという情報を所有者は得ておりましたけれども、それに対して平成20年まで何らすることなく、相談に来る前に物を動かしてしまって、山の中にあったものを街の中に運び込んでしまった上で当省の方に相談に来たものですから、少なくともその半年間の間に相当量の被ばくがあったということをかんがみますと、深層防護の劣化に基づいて格上げしてレベル1ということで評価いたしまして、総合2という評価をしたところでございます。

 概要はこんな経緯でございまして、参考-4で、これにつきましてレベル2という暫定評価を打ちましたので、IAEAの方にもこれを通報したものでございます。それが参考-4の資料でございます。

 すみません、前段が長くなりましたが、引き続きまして資料-4に基づきまして、江田の方から説明をさしあげたいと思います。

【江田専門官】  それでは、INES8-4の資料のほうで先ほどの概要についての詳細をご説明させていただきます。

 まず、件名、発見場所、施設の種類、事象の特徴、これにつきましては、IAEAに報告した参考-4の方を主に記載してございます。本件事象の特徴としましては、公衆の過剰被ばくがあったということ。また、深層防護の劣化があったということ。最後に、文部科学省はプレス発表でこれらの事実を公表しているということでございます。また、汚染の拡大、負傷・死傷者の発生など、これにつきましては後ほどご説明いたしますが、なしということで、事象の特徴として洗い出しております。

 おめくりいただきまして、右下にありますページ番号で申し上げますと、2ページでございます。先ほど既にご確認していただいているかとは思いますが、繰り返しとなりますが、5月に所有者が長野県から文京区内の所有地に当該物質を移動させたところでございます。23日に文部科学省はその所有者から連絡を受け、現地に職員を派遣したところ、放射線を出す物質のベークライトを確認した。また、そのとき周辺の空間線量率等をはかってございます。文部科学省の安全確保指導を受けまして、所有者は、10月25日に文京区から長野県の飯綱町の山林に移動させたというようなものが概要でございます。なお、飯綱町に移動させた後は、文部科学省の指導等によりまして安全確保されているところから、一般公衆への被ばく等はございませんので、縄張りと距離をとったりとか、安全確保されてございますので、今回のINESの対象とはなってございません。

 3ページでございますが、こちらもまた繰り返しとなりますが、被ばくの状況としては、保管していた場所であります物置の周囲には、ここでは便宜的にA、B、Cと申し上げさせていただきますが、A、B及びCの3カ所の隣接民家が存在いたしました。文部科学省は、これは主に25日の立ち会いのときのデータでございますが、物置周辺の空間線量率を電離箱で測定してございます。また、空間線量率の測定結果から、こういった値を評価しているところでございます。Aが19、Bが16、Cが5.8ミリシーベルトというところでございます。あわせて文部科学省は、放射線源が搬出された後に物置があった場所の汚染検査等を行いまして、そういったところで異常値が検出されないというようなところで安全が確保されていることも確認してございます。

 1枚おめくりいただきまして、4ページでございますが、被ばくの推定、A、B、Cのご説明を個別にさせていただきます。まず民家A、線量が一番高かったところでございますが、こちらの被ばくの評価につきましては、表の中には白抜きのところとオレンジ色のところがございますが、白抜きのところは実際に我々が測りました測定データでございます。オレンジ色のところ、評価点2.5メートルというところで表記しておりますのは、民家Aに居住する方の主な滞在位置として、安全側に線源の近い場所を評価点として選定してございます。我々の測定データをもとに評価点を、単純基本的には距離の二乗で減衰するということでプロットいたしまして、その2.5メートルの距離のところを読み取ったところ、5マイクロシーベルトという値を算出いたしました。実際にこの場所をとっておりますが、5マイクロというのは妥当であろうというところで、線量率としては時間当たり5マイクロシーベルトという値を求めました。その5マイクロシーベルトに滞在時間であります5カ月という数字、線源が文京区にあった期間はおおよそ6カ月ということでございますが、民家Aにいらっしゃった方からの聞き取りから滞在係数として5カ月という数字を出して、ただ、もちろんご記憶があいまいなところもございましょうから、安全側に考えて1カ月を31日として、単純に31掛ける5を5マイクロシーベルトに掛けまして、数字を丸めて19ミリシーベルトというのが、当該期間、線源がありました期間の積算線量というところで求めておりますが、このときの評価におきましては、途中の遮へい効果等は無視して、ポイントソースと仮定して評価してございます。

 続きまして、民家B及びCでございますが、こちらは、同じように白抜きの線量率につきましては、文部科学省の実測値でございます。この実測値をもとに民家B及びCの線源に近いほうの、民家の前の値の線量率を用いまして、滞在時間、こちらは先ほどと同じように1カ月を31日として、こちらの方については6カ月ということで評価してございます。単純に、3.5、1.3、それぞれに滞在時間を掛けまして積算線量を求めた結果が、民家Bが16、民家Cが5.8というようなところになってございます。当然、実際に住まわれている民家B、Cにつきましては、建物遮へいですとか、距離ですとか、滞在係数ですとかというところで実際には多少低くなると思いますが、そこの点につきましては、安全側に考えて、16、5.8というところで評価してございます。

 続きまして、1枚めくりまして、6ページ、7ページでございますが、保管の状況。こちらにつきましては、放射線源の状況、放射線障害の防止措置がとられていたのかというところでございます。概要のほうでも既に触れてございましてちょっと恐縮でございますが、放射線源はトリウムであるというところが確認されてございます。また、保管されていた場所等での汚染――これは搬出時の文部科学省の確認等でございますが、汚染はなく、トリウムの飛散は生じていないと判断してございます。また、放射線障害の防止措置でございますが、所有者は当該物質が管理の必要な――これは法律による手続が必要というところも含めてでございますが、必要な放射線源である認識を有していなかったことから、必要な措置――これは、放射線管理の基本でございます線源管理ですとか、個人被ばくの管理ですとか、線量等の環境管理、それらを全くされていなかったという状況でございます。

 続きまして、1枚おめくりいただきまして、8、9ページですが、これらをもとに文部科学省は、INES暫定評価、追加ガイダンスに基づく評価を行いました。先ほど既にご説明させていただいていますフローチャート1に基づきまして、被ばくに基づく評価、環境の評価、深層防護の劣化の評価を行ってございます。

 1枚おめくりいただきまして、10ページ、11ページでございますが、まず環境への影響の評価でございます。既にご説明のとおり、保管場所周辺、倉庫周辺で汚染検査、また、そのものにつきましても直接法でサーベイしてございますが、汚染はありませんので、1枚戻っていただきまして9ページのフローチャート1では、右下でございますが、ここはレベル5となるようなI-131相当で数百から数千テラベクレルオーダーの放射能の大気放出というのはございませんので、右側のN、赤いほうの矢印、該当なしということでフローチャート2に進んでございます。

 続きまして、フローチャート2、個人被ばくに入りますが、一般公衆は、先ほどご説明させていただきましたが、最大19、また16というところで、一般公衆の被ばくで10ミリシーベルトを超えていると推定された方が数人いらっしゃいましたので、これは民家Aと民家Bの住人の方でございますが、フローチャート2に基づきまして、最低評価レベル2のところで、人数評価では、居住者は文部科学省で確認してございまして、10人以下というところで、このフローチャート2に基づく最大評価レベルは、2という数字を求めてございます。

 続きまして、フローチャート4の深層防護の劣化のサブ手順でございますが、当該トリウムにつきまして、今回は分類5の線源、またはA<A2値がというところがございますので、今回はまたはのほうのA2値を用いて評価してございます。分類5につきましては、先ほど中込先生からご指摘ありましたようにD値がすべてそろっているということではございませんでしたので、我々としては、暫定評価当時は、既に数字がわかっているトリウムのA2値を用いて評価してございます。13ページ下のほうの参考でございますが、トリウムの場合は量にかかわらずA2値は制限なしということですので、分類5相当ということで、こちらのフロー図におきましては、Yesということで、分類5の線源、または放射能はA2値未満であるというところに該当するということで、赤い矢印、右のほうに行ってございます。12ページの一番下の注釈でございますが、安全対策が明らかにすべて喪失したか、安全文化の欠如の証拠がある場合にはレベル1もあり得るというところでございますので、我々は、安全文化の欠如、こちらはもちろん、するべき法律的手続がされていなかったり、管理区域を設定して被ばくの低減を図るですとか、線源の員数管理、個人被ばくの管理をするといったところが何らされてないところから、安全文化の欠如があったと判断して、レベル1を付加してございます。

 14ページに参りまして、深層防護のまとめでございますが、発見されたトリウムはA2値未満であるところから表3から表5の該当にはなりませんが、安全文化の欠如があったということは明らかでございますので、安全文化のレベル1付与ということで、深層防護の劣化については、レベル1を結論としてございます。

 最後、15ページ、結論でございますが、被ばくに基づく評価は2。こちらは、10ミリシーベルトを超える被ばくをした一般公衆が存在したということでございます。A、Bの民家の方でございます。また、環境への評価は、放射性物質の放出がありませんでしたので、適用なし。最後の深層防護の劣化は、安全文化の欠如を判断根拠に1ということで、総合評価としては、一番数字の大きいレベル2というところで暫定評価を決めてございます。

 ご説明は以上でございます。

【中込委員長】  ありがとうございました。

 ただいまの事務局からのご説明につきまして、ご質問等ありましたら、お引き受けしたいと思います。いかがでしょうか。

 ちょっと2つほど質問をしたいんですけど、4ページの民家Aの方が一応申告に基づいて5カ月と。あとは6カ月ですよと。これ、5カ月と6カ月にしたところで結果はほとんど関係ないんですけれども、Aの人だけいなかったとか、そういう何かあるんですか。そうしないと、片方が5カ月で片方が6カ月での評価というのは、ちょっと説明が難しいのかなと。安全側ですと言っておきながら、その差は何だろうという。

【南山運転管理・検査管理官】  極端に安全側にするという趣旨で言えば6カ月をそのまま適用してもいいわけですけれども、すぐ直近に住んでいらっしゃいましたし、念には念を入れて生活状況とかをお聞きしました。直接インタビューさせていただきました。その際に、ご家族の方が別に住んでいらして、1カ月ほどそちらのほうに行っていたとか……。

【中込委員長】  不在していたということですね。

【南山運転管理・検査管理官】  そういうインタビューの結果も踏まえて、この結論といたしました。

【中込委員長】  細かい話はどうでもいいんですけれども、要するに、申告に基づいて1カ月間いなかったということで5カ月を使用したという、ちゃんとした説明が要ると思うんですね。

 それからもう1点なんですが、12ページのところですが、安全文化の欠如があったということで、レベル1。もともと分類5のものですから、対象外といいましょうか、0で構わないんですが、実際には安全文化の欠如があったので1ですって、何をもって安全文化の欠如としたかというのは、ちょっと説明が要るのかなと。例えば14ページのところに「安全文化の欠如があったことからレベル1と評価される」。どこが欠如だったのかということですね。多分、私の推測では、これは平成20年に移動しているんですね、飯綱町から。そのとき既に、先ほどのご説明では平成15年ごろから放射線が何か出ていそうだということを知っていたと。知っていながらこういうことをしたということで、安全文化の欠如があったんじゃないかと。知っていながらやっていたと。法律を知っているか、知らないかは、ちょっと別だと思うんですね。ほとんどの方は原子炉等規制法というのは知らないと思いますので、知らない方が悪いんだというのは行政の考え方であって、一般的に知られてないのが当たり前なんです。ですけれども、放射線が出ているということを知っていながらそういうことをしなかったということがそもそも国際レベルで言うと安全文化の欠如だよということだということで、理由づけですから、安全文化の欠如ということを既に知っていながら即対応しなかったという安全文化の欠如があったというので、きちっと理由を書いたほうがよろしいかと思います。

 私からは、2つほど指摘させていただきました。

 石田委員、どうぞ。

【石田委員】  2つあるんですけど、今の安全文化の欠如に関しては、追加ガイダンスの中で具体的に、こういう場合が安全文化の欠如に該当するよって、3項目だったかな? 何かあったと思います。そういったことを照らし合わせた上で記載されたらいかがかというのが1つです。

 それからもう1つは、今度は質問なんですけれども、今のお話で民家Aの方はお一人だけだということなんですか、対象者は。

【南山運転管理・検査管理官】  民家Aに住んでいらした方はお一人。

【石田委員】  BとCのほうは、対象者は何人と話しているんですか。

【南山運転管理・検査管理官】  民家Bはお二人。一応、住民票上というか、そこまで詳しくは調べてないんですけれども、2名から3名。

【石田委員】  というのは、レベル評価を行う場合に、合計人数が10人超えていると、3になっちゃいますね。この資料には人数が書いてないんですね。これを見ると10人以下のところに矢印が行っているのでそういうことだろうと思ったんですが、その辺はちょっと明確にした方がいいんじゃないかなという気がします。10人以下であるということをどこかに明確に記載した上で、10人以下だから2のほうですという言い方にしたほうがよろしいのかなあと。

【中込委員長】  そうですね。文科省で調査した結果ということで、8名とかね。で、10名以下だというほうが非常にわかりやすいと思います。

【蜂谷委員】  よろしいでしょうか。

【中込委員長】  よろしいですか。

【石田委員】  結構です。

【中込委員長】  じゃあ、蜂谷さん、どうぞ。

【蜂谷委員】  民家Aの測定値のことなんですが、実測されて、距離の二乗に反比例するのがそのままとは思わないんですけれども、その数字が若干違っているのと、あと、居住していて、その人が一番大事なところは、実測はしてないということですよね。それはなぜだったのかということと、それがほんとうにこの値で該当しているかというのをちょっとご説明いただきたいなと思ったんですが。

【南山運転管理・検査管理官】  これはまさに調査をやった際に、物があるときに測定いたしました。インタビューなり状況を話しましたのは前後いたしましたので、そのときには線源は移動しておりました。ですので、そこで実測ができなかったということでございます。そこの部分というのは、インタビューをして、最初は具体的に一番居住しているところで放射線を測定させていただきました。隣の家は所有者が事務所として使っているところですので、そこで線量を測定いたしました。一番住んでいらっしゃるところについては、こういう状況でありましたので一刻も早く物を移動せないかんということで、移動いたしました。その後、実際にはどういう暮らしぶりでありましたでしょうかという話をインタビューいたしました。そういった関係で一番いらっしゃるところは実測できなかったというのが実情でございます。

【蜂谷委員】  実情はわかりましたが、実際はそこが一番だし、ある程度持っていれば、すぐ実測値というものが測れるものですので、少なくともこれからはその中のものを測っていただくことが、相手の方や何かも実際の値を見るということがとても大事だと思いますので、もう終わってしまったことですからこの推定値しかないんですが、そういうことはやっていただきたいなと。INESの判定には直接はかかわりがなかったんですけれども、私、専門家じゃないんですが、数字を見るとちょっと違うから、そのまま当てはめて推定するのにはちょっとあれなのかなと思ったので、実測値があればそれが一番だと思いましたので。

【中込委員長】  ありがとうございます。結果には影響を及ぼさないとは思うんですが、やる手順としてですね。これは今、飯綱町の方に移っていますから、場合によっては2.5メートル離れたところの線量というのは、ある程度測れますよね。

【南山運転管理・検査管理官】  それはできます。

【中込委員長】  できますよね。物が移動している。長野県ではかったから高い値が出るという話ではないと思いますので、バックアップデータになるかどうかわかりませんが、推定した5マイクロシーベルトというので、5が6になろうが、7になろうがいいんですけれども、これが50とか、そういうことはないと思いますけれども、そういったことでちょっと確認しておいた方が、ただ推定だけというよりはよろしいのかなと思いますけど。

【南山運転管理・検査管理官】  いずれにしても、今の状況等も踏まえまして、確認をいたします。

【中込委員長】  ということは、多少なりとも後追いでも確認していますということですね。

【蜂谷委員】  あともう1点。東京に来る前、5年間いた間は、それ以降はきちんと大丈夫だというふうにここでうたってありますけれども、東京に搬入される前も十分安全は確保されていたということでよろしいんでしょうか。

【南山運転管理・検査管理官】  今回そこが一番難しいところなんですけれども、それを裏づけるものがない状況です。今、炉規法に基づく届出を受けましたので、そこに経緯を文章として書いてもらいましたが、ずっと長い間、20年なり30年、山林の今置いてあるところにあったということで届出はされていますけれども、時間的には、5年ではなく、もっと長い期間その山の中にあったという話なんですが、今置いてある場所であったかどうかという、その裏はとれておりません。そこは一番……。

【蜂谷委員】  興味で聞くんですが、最初から降って湧いたようにそこに来たものではないので、そのもの自体はどこでできてというか、そういうものが来たというのも、結局、今はわからないということですか。

【吉田原子力規制室長】  私の方から経緯を説明しますと、これは新聞なんかにも出ていますが、東京の新聞の方はあまり出てなかったですけど、地元の方は結構出ていますが、約20年ぐらい前に今の所有者が担保としてとっているんですね。担保としてとって、長野県の飯綱町の今のところに保管したと。今、南山が言ったように、今置いている場所は持っていた場所と本人はおっしゃっているんですが、いろいろ周りの状況、町なりの人、もちろん我々、町長とか町の担当者ともいろいろ情報を共有しているんですけれども、そこではないんじゃないのと。飯綱町にあったかもしれないけど、その場合でも飯綱町の別の場所にあったのではないかと聞いているんですが、そこは裏がとれていません。ただし、そこはどこかという話で言うと、ほとんど原野みたいなところで、旧別荘地みたいで、ほとんど人が住んでない。そこの、大きな倉庫みたいな、そこに入っていたみたいというのが、我々、何回か町の方へ行って、もちろん向こうの住民の方にもインタビューして聞いた話です。いずれにしても、飯綱町ではほとんど人が通らない。もし通ったとしても、あるのは道端じゃないので、道路から何メートルも離れているので、被ばくはほとんどなかったんだろう。倉庫にずっと体をくっつければ結構あると思うんですけど、そういう状況ではないような場所なので、まずそういう影響はなかったんじゃないか。一個人とか、一般住民に対しての影響はなかったんじゃないかというふうには思っております。確かにそこは裏がとれてないのであれなんですけど、我々、いろいろ周りの人、町の関係者以外の人に、住民にも聞いているんですね。何十年も住んでいる方は、昔、別荘地だったので、今でも別荘地と言いながら、建っているのは二、三軒で、あとは建屋がみんな壊れているんですね。そういうすごく不便なところの山の奥というところに約20年前からあったというのは聞いております。

【中込委員長】  ありがとうございます。本件につきましては、これは私の感想なんですけれども、過去を探り出すと切りがない。要するに、明らかになった時点で、その後どう対応するかということが非常に大切なことですので、法律のほうがずっと後からできたものですから、対応を誤らないように、今の法律に基づいてきちっとやるということが、私は大切かと思います。過去はどうだったかと言ったところで、法律もないのに、規制もできない、罰則もできないような世界のときにどうするのっていう話になりますので、私は、現時点で、わかった時点からの対応が非常に重要かというふうに理解しております。どうしてこうなったのかというのは、勉強のためにはいいと思います。それから、今後そういうことにならないように、例としてこういうことがあるから皆さん注意してくださいというのには役立つんですけれども、INESの評価の方としては、わかった時点でどう対応したかということで評価するのでよろしいかというふうに、私は理解しております。

 今のも含めまして、その他ご意見等ございましたら。どうぞ。

【須藤委員】  先ほどの今保管している山合いの方で線量を実測したらどうかというお話なんですけど、実際のところは、倉庫にいっぱい入れていた状態で、今はどういう状態かわからないですが、民家Aの方が2.5メートル評価点ということでそんなに離れてないので、物の置き方ですね。これでぐっと線量なんかは変わっちゃうと思うんですね。まとめて置くのと、平べったく薄く配置したりするのとでは全然変わっちゃうので、もし測るのであれば、そこら辺を考慮しないと、一番理想的な現場と同じような配置で置き方を再現してからやらないと、今置いてある状態で測ってやると、全然違った、倍とか簡単に変わっちゃうと思うので、それは考慮が必要かなと。ただ測ればいいというものではないという。

【南山運転管理・検査管理官】  おっしゃるとおりだと思います。写真も非常に見づらいんですけれども、倉庫も同じ倉庫でございますので、積み方もほぼ同じように。後ろ側に土のうが積んであるとか、そこら辺の形状は若干違うとは思いますけれども、データ的には参考にできるのかなというふうに思っております。データも持っておりますので、一応確認をした上で、そこは間違いないということを確認したいと思います。

【須藤委員】  ついでにと言ったら何なんですけど、評価とは関係のない話で、表面線量率で120マイクロシーベルトとかって出ている。これは、先ほど縄張りとかして制限区域として管理しているということだったんですが、管理区域取り扱いということですか。

【南山運転管理・検査管理官】  山林の方ですね。

【須藤委員】  山林の方です。

【南山運転管理・検査管理官】  管理区域というよりも、ここの場合は一般の人が立ち入らないように、レベル的に言えば、周辺監視区域レベルのところで縄張りしてございます。

【須藤委員】  管理区域ではない。

【南山運転管理・検査管理官】  ええ、周辺監視区域レベルという形で。

【吉田原子力規制室長】  いや、管理区域にも……。

【南山運転管理・検査管理官】  もちろん二重にはしてありますけど。

【中込委員長】  管理区域、確か週30……。何でしたっけ?

【南山運転管理・検査管理官】  3カ月につき1.3。

【中込委員長】  ありますよね。それを超えるようですと、当然のことながら管理区域を使うんですけれども、それとの整合はちゃんととれているわけですね。

【南山運転管理・検査管理官】  はい。

【吉田原子力規制室長】  今、倉庫がこうあったら、周りを管理区域としてロープを張って、表示はしてあるんです。その周りを周辺監視区域ということで、またロープを張ってある。

【須藤委員】  管理区域なんですね、倉庫は。

【吉田原子力規制室長】  もちろんそうです。ただし、それはロープ1本か2本ですので入れるので、我々、事業者に対して、それは管理区域だということで、簡単に人が立ち入られないようにしてくださいということで、今、指導をしているところです。それに従わなかったら、次の手段を考えようと思っています。

【中込委員長】  1点だけ、今後の教訓で非常に必要かと思うんですけど、平成15年ころに放射線が出ているんじゃないかと知ったと言われましたね。これは何で知ったんですか。認知しておきながら5年間もほうっておくということは、認知してなかったらまた別なんですけれども、認知というのは何で?

【南山運転管理・検査管理官】  知人の方が、こういうものは売れるのではないかとかいう話を持ちかけてきたそうなんです。

【中込委員長】  ベークライトですね。

【南山運転管理・検査管理官】  このベークライトをです。そのためには素材がどんなものかということを測定したほうがいいということで、ある測定機関に持ち込んで、これは放射線が出るものだという結果を得ておりまして、それを所有者も持っておりました。

【中込委員長】  通常の人で、ベークライトに放射性物質が含まれているというのは、思わないですよね。私、これが非常に疑問なんです、実は。

【南山運転管理・検査管理官】  おそらく、温浴効果とか、マイナスイオンとか、そういった業界ではそういったものがあって、私も初めてこういう形状を見たんですけれども、そういうことで使えるのではないか。そもそも、20年前という話がありましたけれども、そういう経緯はこの所有者は知っていましたので、これは空気浄化に使うものであるとか、20年、30年前の作られた状況を伝聞で聞いておりましたので、今風に言えば、空気浄化とか、家庭用の浄水器とか、お風呂の中にこれを入れたらとか、そういったいろんな知識としては周りも持っておって、こういう形で例えばお風呂の中に入れてというようなことも、いろんな友人関係、知人関係と話をしている中でこういったことがわかってきたんじゃないかと。

【中込委員長】  空気浄化とか、マイナスイオンを作るとか、そういう理解は全くしてないで、ベークライトそのものが何か役立つんじゃないかという程度だったのかね。もしベークライトがそういったことになると、規制するときに、放射線レベルを測りなさいよという話になってしまうと、大変な影響が出てくるような気がしているんですね。

【南山運転管理・検査管理官】  古い話、20年、30年前のときには、ラドン温泉器とか、そういう放射性物質が含まれているということは、知識の中でわかるようにはなっていたのではないかと思っております。ただ、当時、それを担保で受けて、山の中にあったという状況しか知らなかった。それを実際に測定してみようと言った人が平成15年に出てきて、データとしてはもらっておったと。

【中込委員長】  その人が測ってみなかったら、ずっとわからないままということですね。

【吉田原子力規制室長】  そうですね。そこでわかったから、逆にこれは売り物になるだろうと思って、温泉に入れて……。これはちょっと穴があいていますので、これに小さいひもをつけて、温泉の蛇口に置いておけば、イオン効果があるとか、ラドンが発生するとか、そういう形で売り出そうと思って、私どもの方にそれを2個持ってきて、これはどうですかねと相談に来た。そこで初めて我々は知った。

【中込委員長】  ということは、今後もこういうことはあり得るわけですね。

【吉田原子力規制室長】  あり得ます。

【中込委員長】  まさかというものが。ペットボトルから放射線が出ていますとか、極端に言うとそういうこともあり得るということですね。

【吉田原子力規制室長】  そうです。

【中込委員長】  どうぞ。

【石田委員】  今のお話を聞いて、心配なことのもう1つは、20年ぐらい前に担保としてとったというんですが、この人に売ったというか、渡した人というか、渡した会社なのかわからないですけれども、それはわからないんですか。

【吉田原子力規制室長】  いや、その辺は全部調べました。

【石田委員】  というのは、これは、国内で作られたのか、外国で作られて輸入されたのかどうかわからないですけれども、もし国内で作られたとしたら、もっといっぱい、あっちこっちに同じものがあるかもしれないですし、輸入されたとしても、これがすべてなのかどうかわからないですよね。ですから、同じようなものが日本の中のあちこちにまだあるかもしれないですよね。その辺は文科省としても十分調べておく必要があるんじゃないかなという気がします。

【吉田原子力規制室長】  それはもう新聞あたりでも公表されていますけれども、昭和54年にある方が、鎌倉の方ですか、鎌倉の人が核燃料物質を持っていて検挙されて、その人が持っていた物質は、今のJAEAさんの方で持っていってくれということで、その当時、警察が持っていった。その人がこれらを作ったのだろうと。それがずっと今まで長野県の方に置かれていて、平成15年に初めて売り出そうと思った。その途中で、作った人はもう亡くなられたと聞いている。それから、会社は倒産されている。そういうことから、担保としてとったけれども、売れないしどうしようかということで、当初は担保をとった人も所有者が亡くなったことも知らなかったからいろいろあったんですけど、そのうちだんだんわかってきて、私どもいろいろ、元はどこかというのを調べたら、今の昭和54年に突き当たったと。

【石田委員】  置いてあるものが全てだろうということですか。

【吉田原子力規制室長】  ええ、ほぼこれで全てだと思います。

【中込委員長】  INESの評価には直接は関係ないかもしれませんが、逆にINESの評価をすることによって、どうしてこういうことが起こるのかということが明らかになる。これは非常に大切なことだと思いますので、今後、文部科学省の方の対応も、ただINESさえ評価すればいいのではなくて、そういったものを洗い出すといいましょうか、そういった工夫を考えていただければというふうに思っています。基本的には、持っていた人が悪いという姿勢ではなくて、ちゃんと言ってほしいということが非常に大切かというふうに思っております。

【吉田原子力規制室長】  もう1つ、今の石田委員の話ですけれども、我々、これとは直接関係ないんですけれども、今持っている人とも直接は関係ないんですけれども、まだ昭和54年の経緯は調べ切れてないところがあるので、今、昔の書類を探している。だけど、ほとんど書類がない、30年経つのでなかなかないんですけれども、当時これに携わった私どものOB、そういう人にいろいろ当たって、今、少しずつ聞いているところです。

【二ノ方委員】  そういう場合に、不適切な管理が明らかになって、かつ実際にどれぐらい被ばくしたかどうかわからないと。基本的には潜在的な影響というものをある程度推定した上で、これも一種の深層防護プラス1とか、何かそういう話になるんじゃないかと思うんですが、そういうことも考えられるわけですか。過去の裏づけがないというのが多いと思うんですけどね。

【南山運転管理・検査管理官】  過去どこまでさかのぼれるかとか、その被ばくの状況ですね。今知り得ている事実としては、かつては山林に置いてあった。それがこの6カ月間、街中に置かれていた。街中で、隣が民家だった。このケースがやはり大きいというふうに私どもは判断しておりますので、山の中にある状況、今の状況と同じだと、そこはかっちり突き詰めたわけではありませんけれども、そういう状況であれば、そこまでさかのぼって評価する必要はなかろうということです。

【二ノ方委員】  先ほど中込先生がおっしゃったように……。

【南山運転管理・検査管理官】  ケース・バイ・ケースでやろうかと思います。

【二ノ方委員】  そういう事実が発生した時点で確定するというような形になると思いますけど。

【中込委員長】  ですから、いろんなことで得られた知見とか、そういうのを詮索するという意味ではなくて、そういったことを、まさにレッスンラーンズなんだと思うんですが、今後の規制に少しでも反映できるように。それから、事業者も知らないで済む話ではないんだよということを認識させるためにも報道して、持っている人は、気になるんだったら、ちゃんと言ってくださいと。私はそうすることが大切かと思っていまして、けしからん、けしからんとか、されるほうも、黙っていようという、そういう姿勢ではなくて、お互いにうまくいくような形にしないといけない。私は、そのためのINESの評価だと思っていますので、罰則するための規制ではないと、評価ではないというふうに思っています。ですから、それを今後、行政側、それから事業者側もちゃんと反映できるような形で、あなたたちは安全文化のこれこれの点で欠如しているから今後注意してください、関係する人たちもそれを認識してくださいというアナウンスだというふうに思っていますので、そういった意味でINESの評価って大変重要だというふうに理解しております。

 山中先生、どうぞ。

【山中委員】  先ほどの安全文化の欠如の判定をしたというところの確認なんですけれども、放射線が出る物質であるのを認知していたにもかかわらず放置したから、これは安全文化の欠如であるという、そういう判定? もし万が一、素人さんで全く知らずに、何か危ないものかもしれないというのを近々になって知って持ってきたというのであれば、これはそうではないということですね。

【吉田原子力規制室長】  そういうことです。

【山中委員】  といいますのも、未登録の核原料、核燃料というのを我々もよく受け入れるんですけれども、いわゆる試薬瓶に入っていてトリウムとかウランとか書いてあるものであれば非常にわかりやすくて、確かにそれはたまたま出てきたのであれば、たまたま出てきたものであって、何年か前にあったというのがわかっていて、ずっと放置していて何年もたってから届け出たというのであれば、これは問題である。ただし、鉱物であったりとか、全く本人が知らずにというのは結構ある話なので、その辺、ちょっと確認をしたくてお聞きしたんです。

【南山運転管理・検査管理官】  それであれば、私ども全く……。

【吉田原子力規制室長】  その点に対しては、私どものホームページに、今、委員長がおっしゃったように、けしからんというわけじゃなくて、今、山中委員が言ったように、そういうのが出たら、速やかに相談してください。そして、こういう手続きをしてくださいということで、別に、持っていること、それから発見したことがけしからんと、我々も全然考えていない。そういうものが最近多いものですから、特にRI、それからこういう核燃料・核原料物質が多いものですから、数年前からホームページにそれを出しまして、こういうものが見つかったら、お知らせください。そして、こういうものはこういう形で分析してくださいということで分析機関あたりもご紹介いたしまして、今、ホームページで出しています。そういうことをやっていますので、こればかりじゃなくて、しょっちゅう小さい案件がいっぱい来ます。それから、こういうのを将来使いたいんですけど、どうですかねというご相談もしょっちゅう、1日一、二件は常にある状態です。

【中込委員長】  多分、本件については、今、山中先生がおっしゃったように、20年、全く本人たちが知らないで移動したり何かしていたら、これは知らなかったことを攻められないところはあるんですが、私が聞いたところによりますと、平成15年にわかっていたんだということで、知っていながら、私、その知識ありませんからというのは逃げの口上ですので、そこはやっぱりきちっと対応すべきだというので、安全文化を知っていながらやっていたということで、やっぱりまずいんだろうなという気はしています。どれだけ放射線障害に対する知識があったかどうかはわかりませんが、少なくとも放射性物質であり、それを知らないということ自体、それは我が国においてはおかしいと思いますので、ですから、放射性物質だということを認知していたということで、安全文化の欠如という、その理由がそこだというふうに思っています。

 その他、ご意見ございますでしょうか。

【土屋委員】  とても瑣末なことですけど、先ほど測定の話が出ているときに、私は話を聞いていてもよくわからなかったのは、物置と住宅の配置図が全然なくて、どこでどう測ったのかがまるでわからなくて、距離だけおっしゃっても、どういうふうな距離なのかがわからなかったんですね。なので、できたらそういうのもちょっと付けていただくと、2.5mが測れなくても、類推してもオーケーかなというような、その絵でも見ればわかるかもしれなかったなので、それをお願いしたいなというふうに思うのと……。

【中込委員長】  おっしゃるとおりですね。私も実は質問したかったんですけれども、これは私が勝手に解釈したんですが、多分、プライバシーとかいろんな問題があって配置を描くのをはばかっているのかなと、勝手に想像したんですね。

【土屋委員】  それも少しあるんでしょうけど、大まかでいいので、測定ポイントだけでも。

【中込委員長】  そうなんです。A、B、Cって何? ということで、どういう配置だというのがよくわからなかったので、私は今のを聞きながら、ざっと絵を描いているんです、自分で。こういう配置かなあというのをね。長屋スタイルですとか、いろんな想像をして描いているんですが、ここの場合は、それを公開するかどうかは全然別の話として、やはり配置は描いておいていただいた方が。行政の方のご判断で、プライバシーの問題とか、いろんな問題が出てくるかもしれませんが、もしそれをクリアできるようでしたら、ぜひ描いておいていただきたい。

【南山運転管理・検査管理官】  今後とも工夫をしたいと思っております。

【中込委員長】  ポンチ絵でも構わないんです。

【南山運転管理・検査管理官】  何しろ個人の情報で、どこだという点を日夜聞かれておりましたので、そこはちょっと過剰に反応したのかもしれません。

【中込委員長】  住所とかはどうでもいいんです。A、B、Cの配置がわかるだけでいい。その辺、今後の対応ということで、お願いいたします。

【吉田原子力規制室長】  はい。その辺、工夫させていただきます。

【中込委員長】  よろしいでしょうか。

 それでは、他にございませんようですので、本事象につきましては、INESのレベルの暫定値レベル2というのが評価されているわけですが、それが妥当であるというふうに本ワーキンググループの検討結果といたしますが、よろしいでしょうか。ご異議ございませんでしょうか。

(「はい」の声あり)

【中込委員長】  ありがとうございます。それでは、本事象につきましては、原子力規制室が定めましたINESレベルの暫定値レベル2というのが妥当であると、結論にしたいと思います。どうもありがとうございます。

 あと、その他がありますが、事務局の方で予定している議題はございますでしょうか。

【南山運転管理・検査管理官】  特にございません。

【中込委員長】  よろしいですか。

 委員の方で、こういうことを議論してもらいたいというのはございますでしょうか。

【二ノ方委員】  議論をしてもらうということではないんですが、追加ガイダンスの解釈のところで、今の安全文化等に関して、基本的に付加的要因として例えば0を0プラスにしたりとか、1をプラスにするくらいのことは昔あったと思うんですが、2になっていますから、2をプラス1することはないので先ほどのはこれでよろしいかと思うんですけれども、この追加ガイダンスを読んだ限りにおいては、常に0に対してプラス1だけですね。1レベルが2になるということは、あり得ないわけですか。

【中込委員長】  0がないんですね。0が1になることがない、ここでは。

【南山運転管理・検査管理官】  ここで言いますと……。

【二ノ方委員】  0が1にならないんですか。

【中込委員長】  0は対象外になりますよ。

【石田委員】  深層防護は0ですが、安全文化の欠如は1になる。

【中込委員長】  そういうのはありますけど。

【南山運転管理・検査管理官】  いろんなフローチャートの中でもございましたけれども、例えば先ほどの資料-3の17ページですか……。

【中込委員長】  15ページですね。

【南山運転管理・検査管理官】  今回用いましたのはフローチャート4でございますけれども、この場合、レベル0/1のところで安全文化の欠如ということでレベル1に格上げしてございますが、その他、例えば……。

【石田委員】  安全文化の欠如というのはもともとINESの深層防護そのものに追加的にやっているものですから、深層防護そのものは、劣化していて1という評価が2という評価になって、安全文化の欠如によってさらに上乗せされる場合はあると思います。

【中込委員長】  今のご質問の趣旨は、よろしいんですか。

【二ノ方委員】  この追加ガイダンスを以前からいただいて、解釈というか、これを適用する場合に、基本的には付加的要因ということ、そういう記述にはなっていないのかな。

【石田委員】  これは抜粋で、まとめていただいたやつなので、ガイダンスそのものをこのファイルの中に一緒に入れていただければいいのかなという気もするんです。

【南山運転管理・検査管理官】  この中に追加ガイダンスの英語版を見出しを入れずに入れてありますけれども、青いファイルの後半の方に一応とじてはございます。

【石田委員】  英語版だけなんですね。

【南山運転管理・検査管理官】  ええ。日本語版はまだ入れてございませんので、大変見づらい資料になってございますけど、それもあわせまして次回以降できるだけ……。

【中込委員長】  そうですね。もう一回、きちっと説明してもらったほうがわかりやすいですね。

【石田委員】  このガイダンスはRI室の方でやったのにあったような気がしましたけれども、連携をとっていただいて。

【南山運転管理・検査管理官】  用意いたします。

【中込委員長】  宿題という格好で、今言ったレベルアップするときの基準ってどういうことなのだろうかということがきちっとわかるように次回説明していただくということでよろしいでしょうか。

【二ノ方委員】  ちょっと勉強してみますけど。

【南山運転管理・検査管理官】  レベル0のプラスとか、マイナスとかいうのもありましたけれども……。

【中込委員長】  それはまた別の機会ですね。

 ありがとうございます。それでは、ちょっと宿題がありますけれども、事務局の方、よろしくお願いいたします。

 その他、ございませんですね。

 そうしましたら、事務局の方から連絡事項等がありましたら、お願いしたいと思います。

【吉田原子力規制室長】  本日は、ご議論いただきまして、ありがとうございました。本日のベークライトの事象に関しては、INESの正式値につきまして、本日のワーキンググループの結果を踏まえまして、私どもで決定をしたいと思います。

 次回のINESのワーキンググループの開催等については、後日また事務局の方からお知らせしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 きょうは、ご多忙のところ、どうもありがとうございました。

【中込委員長】  委員各位、それから傍聴者の皆様におかれましては、議事進行にご協力いただきまして、まことにありがとうございます。

 それでは、以上をもちまして第8回ワーキンググループを閉会させていただきたいと思います。本日は、どうもありがとうございました。

── 了 ──

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