環境放射能評価検討会(第7回) 議事要旨

1.日時

平成21年10月22日(木曜日)午前11時~午後0時25分

2.場所

文部科学省16F1会議室

3.議題

  1. 平成20年度海洋環境放射能総合評価事業の成果について
  2. その他

4.配付資料

  • 資料7-1 第6回環境放射能評価検討会議事概要
  • 資料7-2 平成20年度海洋環境放射能総合評価事業成果報告書(核燃料サイクル施設沖合海域)の概要
  • 資料7-3 平成20年度海洋環境放射能総合評価事業海洋放射能調査結果(案)(文部科学省)
  • 資料7-4 平成20年度海洋環境放射能総合評価事業成果報告書(財団法人海洋生物環境研究所)

5.出席者

委員

飯田主査、小佐古副主査、長見委員、木村委員、津旨委員、東嶋委員、長岡委員、橋本委員、久松委員、皆川委員、宮原委員 、吉岡委員

文部科学省

明野原子力安全課長、閑念防災環境対策室長 他

オブザーバー

財団法人海洋生物環境研究所(御園生研究参与 他)

6.議事概要

○ 飯田主査により議事進行がなされた。

○ 事務局から資料7-1により前回検討会の議事概要(案)について説明があり了承された。

○ 事務局から資料7-2、資料7-3により平成20年度海洋環境放射能総合評価事業の成果について、財団法人海洋生物環境研究所から資料7-4により委託事業成果報告書について説明があり、質疑応答の後、資料7-2について各委員からの指摘等を反映した修正を事務局が実施することとなった。なお、事務局からセイコーEG&G社製のγ線核種分析プログラムの不具合に関し、測定結果に影響を与えるものでない旨の説明を行い、了承された。

○ 議事終了の後、次回会合の開催日については今後日程調整することとし閉会した。

 7.主な質疑応答等

 <資料7-2、資料7-3、資料7-4関連>

(小佐古副主査) 7-2のまとめで結構かと思うが、やはり何を議論しているのかというのを交通整理する必要がある。論点はいくつかあって、調査は何のためにやっているのか。通常、「例年の変動の範囲の中」としているが、核燃料サイクル施設は、本格操業に向けた試験操業中であり、本格操業になれば必ず放出が増えるため、「変動の範囲内」という表現で十分なのかという問題がある。次に、許認可との関連である。事業を実施する場合には、経済産業省が事業許可ということで、事業所境界における排気、排水の濃度を法令で決めている。環境への影響についても事業者が算出し、許可申請を行っていることから、環境への影響評価に用いられた数字をもとに議論することが、非常に重要な点ではないか。また、測定値について、船でサンプリングを行うときに、いっせいに各ポイントの採水を行うことはできない。こういう状態のものを時系列なしに測定値を並べている状況を踏まえ、正確な議論をしないといけない。そして、変動の範囲を超えた測定値について話題になるときに、漁業者の被ばくはどうなる、放射能の入った魚を食べた消費者の被ばくがどうなるのかが議論になって、位置づけが非常に不明確であった。本年9月から消費者庁ができたことにも留意すべきである。

(飯田主査) 変動の範囲というのをどのように表現していくか。まだ始まってないから、これまでの表現でもいいと思うが、今後、実際に再処理施設が動き出したときにどういう表現にしていくかというところは議論していく必要がある。

(吉岡委員) 軽水炉も試運転の際があったわけで、再処理施設の試運転時に評価するのも一案ではないか。

(小佐古副主査) 変動の範囲という言い方は、やはり正確に見ておく必要がある。

(久松委員) 報告書の書き方としては、全くこれで問題ないということを確認しておきたい。165ページの付録1でトリチウムの実効線量を計算している。こういう実効線量の計算の試算の結果を出すこと自体は必要なことだと思う。別の話として核種の選択について、以前から少し気になっていたが核燃の海域でトリチウムが入っているのは、トリチウムの放出量が多いから選択されているのだと思う。2番目に多いのは何かというと、ストロンチウム、セシウムもあるが、実はヨウ素129と思う。ところがヨウ素129については、核燃海域調査には入っていないので、もし何かの機会があったら、ぜひ核種の組みかえなどもご検討いただければと思う。

(吉岡委員) 再処理施設由来と過去の核実験由来のプルトニウムの違いは、プルトニウム238の存在比である。なぜプルトニウム238を測定対象としていないのか。

(津旨委員) 資料7-4の数値モデルについて、検出された値を説明するために数値モデルを用いて、測定ポイントで出てもおかしくないというような使い方だと思うが、こういうものを出してしまうと、観測値を補完するという意味で数値モデルも見られてしまう。試みとしての取り組みと思うので扱いには留意する必要がある。

(御園生研究参与) モデルとサンプリングについては裏表の関係であることから奔出口の近傍から水塊を追って、あるいはいくつかの測点で時間を追って取っていくというような工夫が必要だろうと思う。原燃が放出の時間を開示してくれれば、そのようなこともやったらよいとは思っているが、現実には船の運用のこともあり、どういう方法をとるべきか、もう一、二年考えさせていただきたい。核種の選択のことで若干ご説明すると、アルファ線でプルトニウムを測っているので、測定対象にあげていないが、プルトニウム238があれば検出される。実際に、核燃海域の深い測点の海底土で、たまに検出することがある。

(長岡委員) 解析モデルのことについて、本当に使えるモデルと、本当に適切なデータがあればいいが、まだまだそのレベルにいってはいない気がする。将来、研究テーマとしてやるのはいいが、既に確立したものがあるかのような議論をしてしまうと、別の変な話になってしまうので、そこは少し注意が必要と思う。

(小佐古副主査) プルトニウムについて補足すると、プルトニウムは環境中にいっぱいある。人体の中にも数百億個のプルトニウムが入っている。環境中のプルトニウムというのは極微量ではあるが、分析センターの作ったデータベースを見ても必ず入っている。そのことを前提にして議論しないと、出たという議論だけが躍ることとなり変なことになる。我々が安全を確保するためのレベルはこれと、リスクマネージネントをやるレベルがこれと、どこまでやるのというのが必ず出てくる。今の議論は、こんな低いレベルを議論しているわけなので、環境におけるパフォーマンスを、もっとグローバルに抑えることに注力して、考えたほうがいいということだってあり得る。

(吉岡委員) さっき核種の話をしたが、この表にも載っている、例えば、アンチモン125が入っている。これは、実は核実験でもあんまり出てきたことはない。ヨウ素、テルル132の話もあったように、他にもっと高いものがあって、これは出るということは普通ないし、原子力発電所周辺でも出たことないので、核種の選定について、今後、議論するのであれば検討して欲しい。

(東嶋委員) 資料7-2の報告書について、この報告書が誰に向けて作られているのかということ。この報告書を基にして、さらにこのデータを一般の国民にわかりやすく評価したものが作られるのであればいいが、この成果報告書そのものが一般の国民に向けて出されるのであれば、やはり表現を見直していただいた方がよいと思う。一つは、2のトリチウムのことで、委員の方々から幾つかお話があったが、この0.076から1.3という数値をどう評価するかということが、素人には分かりづらい。他のデータについては、過去3年の変動幅と比較しているが、このトリチウムのデータについてだけは、その変動幅から逸脱したという理由で、急にバックグラウンドが出てきて、何かバックグラウンドと比較しているような感じになっている。

(小佐古副主査) 例えば3のところについて、「非常に保守的な評価として、この数字が1年継続したと仮定して」と書いてあるが、非常に微妙な言い方をしている。多分、ディスチャージされて、当たりのところを計っているから高い数字が出ている。今、行って計るとこんな数字は出ない。ディスチャージしてないので、ものすごく低い数字が出る。ここでやっているのは、全体の中で一番高いのは、パーセンテージにしたら、そんなに大きなパーセンテージでなく、年の一番高いところが年中続くとしたらどうなるかいうことを表現している。

(明野課長) 今ご指摘の点は、確かに資料7-2は、一般の人たちにもわかるものにするという趣旨であるので、もう少しわかりやすく表現するように工夫したいと思う。

(宮原委員) 水産関係者にとって、海洋でほんとうに六ヶ所村が本格稼働したときに大丈夫かということを何らかの方法で担保してもらうとありがたい。特に、政権が交代したことによって、核燃施設に対するアゲインストの風は強いと思うので、そういったご努力をひとつお願いしたい。

(木村委員) 今、測定値を比較する指標として、いろいろ過去の範囲とかバックグラウンドとか出ていて、その中に、施設が稼動すればどのぐらいの数値が想定さるかという話があったが、これはもう事業者のほうで、(海水中トリチウムは)年平均で300Bq/L、そういう数値を示している。その値になっても、線量評価してこの程度であるという説明をずっとしてきている。それと比べれば、今年度の測定値は十分低い。ただ、調査計画にはいろいろ検討すべきことがあるかもしれないが、これまでより高めの数値が出たときには、施設寄与がないデータというのはどのぐらいなのか、それに比べて、今回のデータは若干高く、それが再処理工場の寄与ではないかと考えられるのであればそれをきちんと明記すべきだと思う。その上で、その分を線量評価してみると、十分に低いということをきちんと明記する。このとき、55万分の1というような表現はあまり適切でないような気がする。施設寄与は施設寄与として示した上で、その影響度としては十分低いということをきちんと説明をするということが最も大事ではないかと思っている。

(飯田主査) これでまとめに入りたいと思うが、この報告書の内容については、特に修正や加筆する必要はないという意見が多かったので、資料7-3については、よろしいと思うが、広報する部分、この部分については少し検討していただいて、特に表現のところ、一般に出ていってしまうことなので、私のほうからもちょっと意見。最初のところの絵も出るのか。

(閑念室長) お出ししようと思っている。

(飯田主査) 絵が出るのであれば、採集日も入れたほうが親切だと思う。そういう形で、トリチウム以外は、この報告書の内容、十分担保していて、過去5年間の測定値と同程度であったということを確認されたという報告書で出させていただくということにしたいと思う。

(小佐古副主査) 日にちを入れておかないと、年中、こういうので推移していると思われるが、今行ってはかったら、全然出ないということになる。

(伊藤室長補佐) 資料7-2の修正については、事務局にて修正案を作成し飯田主査へご確認いただくことでよいか。

(各委員) 異議なし。

(飯田主査) では、私に一任と言うことでよろしくお願いしたい。

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室

伊藤・山口
電話番号:03-6734-4040(直通)
ファクシミリ番号:03-6734-4042

(科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室)